JP5427638B2 - スイッチモジュール - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話、ノートPC等の電子機器のキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールに関する。
従来、携帯電話、ノートPC等の電子機器には、キー部を有するキー基板が設けられており、さらにキートップの接触、非接触によって電気的接続のON、OFFを切り替えるスイッチモジュールがキー基板に対向配置されている。図5に、複数のキー部70を有するキー基板80に対向配置されている従来のスイッチモジュール100の概略斜視図を示す。また、図6に、図5に図示したスイッチモジュール100の概略断面図を示す。
図6(a)に示すように、スイッチモジュール100には、電極55を内包するメタルドーム50、回路基板60、導光部材30、及び発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)20が設けられている。メタルドーム50は、メタルドームシート40によって回路基板60上に一体に保持されており、導光部材30は、粘着層35によって、所定の間隔を空けてメタルドームシート40に取り付けられている。また、導光部材30の下面には、白インクがドット状に印刷される印刷加工、又はプリズム加工等の光散乱加工部30aが設けられており、導光部材30とLED20との間には、LED20から射出された光を効率的に導光部材30の端部から導光部材30内に導くためのリフレクター(反射部材)25が設けられている。
かかる構成によると、キー部70が下方に押圧されてメタルドーム50が変形することによる、メタルドーム50と電極55との電気的な接触、非接触によって、スイッチのON、OFFを切り替えることが可能になると共に、キー基板80の裏面、即ち、キー基板80とメタルドームシート40との間に導光部材30が設けられているので、LED20から射出されて導光部材30内に入射した光を光散乱加工部30aで散乱させることにより、導光部材30内から各々のキー部70を照明することが可能になる。なお、関連する技術が特許文献1〜6に開示されている。
特開2009−246821号公報 特開2008−152951号公報 特開2009−140871号公報 特開2009−187855号公報 特開2004−139983号公報 特開2008−226844号公報
しかしながら、上記従来の構成には以下の課題がある。
図6(b)に、導光部材30内における光の進行方向を模式的に示す。LED20から射出され、リフレクター25によって導光部材30の端部から導光部材30内に入射した光は、例えば図中L1に示す光のように、導光部材30の上面及び下面における反射を繰り返しながら導光部材30内を進んでいく。また、図中L2に示す光のように、導光部材30の上面からキー部70の方向へ抜け出すように、光散乱加工部30aで散乱される光
もある。
しかしながら、導光部材30内に入射される光には、図中L3、L4に示す光のように、光散乱加工部30aが形成されていないにも関わらず、導光部材30の端部近傍において導光部材30の上面からキー基板80の方向へ漏れ出る光が存在する。その結果、キー基板80の表面では、L3、L4の光が漏れ出る領域、即ちLED20近傍の領域が他の領域と比較すると極端に光り過ぎるといった課題がある。
一方、一般的に、キー部を照明可能なスイッチモジュールに対しては、複数のキー部をできる限り均一な輝度で照明するといった「輝度均一性」の要求がある。しかし上述の構成において「輝度均一性」の要求を満たすためには、LED20近傍の光り過ぎる領域にキー部70を配置することを避けねばならず、LED20と(LED20に最も近い)キー部70との距離を離す必要がある。即ち、図6(b)に示す「距離a」を大きく設定する必要があり、LED20の近傍にキー部7を配置することが出来ない。よって、このことがキー部70の配置の設計上、デザイン上の制約につながっている。すなわち、従来の構成では、輝度均一性の要求を満たしつつ、さらにキー部70の配置の設計上、デザイン上の制約を緩和するといった要求を満たすことは不可能であった。
そこで本発明は、キー基板に対向して設けられるスイッチモジュールにおいて、導光部材端部近傍からキー部の方向へ漏れ出る光の光量を低減し、導光部材内を進む光によってキー部を均一に照明することが可能なスイッチモジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明にあっては、
キー部を有するキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールであって、
前記キー基板に対向する表面に電極層が形成された回路基板と、
前記キー基板と前記回路基板との間に設けられている導光部材と、
光を射出する光源素子と、
前記光源素子から射出された光を前記導光部材の端部から前記導光部材内に入射させる反射部材と、
を備え、
前記電極層に対して前記キー部が移動することで、スイッチのON、OFFが切り換えられると共に、前記導光部材内に入射した光によって前記導光部材内から前記キー部を照明可能であるスイッチモジュールにおいて、
前記導光部材は、
前記キー基板と対向する第1の面と、その反対側にあって前記回路基板と対向する第2の面と、を有しており、
第2の面における前記端部近傍には、
前記反射部材によって前記導光部材内に入射された光であって、第2の面で反射された後に第1の面で反射されることなく前記端部近傍の第1の面を透過する光の光路上に、光吸収性のインクによる印刷パターンが形成されていることを特徴とする。
かかる構成によると、導光部材の第2の面において、第2の面で反射された後に第1の面で反射されることなく導光部材の端部近傍の第1の面を透過する光の光路上に、光吸収性のインクによる印刷パターンが形成されているので、導光部材の端部近傍から漏れ出る光を、印刷パターンによって吸収することができる。すなわち、導光部材の端部近傍から漏れ出る光の光量を低減できる。その結果、光源素子に対してキー部を近づけて配置しても、そのキー部が他のキー部と比較して光り過ぎるといった問題を回避できるので、キー部配置に関する設計上、デザイン上の制約を緩和出来ると共に、輝度均一性の要求を満たすことができる。なお、印刷パターンは、導光部材の端部近傍の第1の面を透過する光の
光路上にのみ形成されているものである。よって、導光部材内を進む他の光(導光部材の端部近傍から漏れ出ない光)は、印刷パターンで吸収されることがなく、キー部を十分に照明することが可能になる。
また、
前記反射部材は、
前記端部における第1の面を覆うようにして設けられており、
前記印刷パターンは、
第2の面において、前記反射部材によって前記導光部材内に入射された光であって、第2の面で反射された後に前記反射部材のエッジ部近傍から第1の面を透過する光の光路上に形成されていると好適である。
かかる構成によると、反射部材が導光部材の端部における第1の面を覆うようにして設けられているので、光源素子から射出された光をより効率的に導光部材内に入射させることができる。また、反射部材のエッジ部近傍から漏れ出る光を印刷パターンによって吸収することができ、よって、反射部材のエッジ部近傍から漏れ出る光の光量を低減できる。その結果、光源素子に対してキー部を近づけて配置しても、そのキー部が他のキー部と比較して光り過ぎるといった問題を回避できるので、キー部の配置に関する設計上、デザイン上の要求と、輝度均一性の要求とを同時に満たすことが可能になる。
また、
前記導光部材には、
前記導光部材内に入射した光を散乱させることが可能な光散乱加工が施されており、前記光散乱加工が施された部分において散乱された光によって、前記導光部材内から前記キー部を照明可能であると好適である。
かかる構成によると、導光部材内に入射した光を散乱させることによって、散乱された光によって導光部材内からキー部を好適に照明することが可能になる。
また、
前記光散乱加工とは、
光散乱性を有するインクを前記導光部材に印刷する印刷加工、又は、
光散乱性を有する3次元形状を前記導光部材に形成する3次元形状加工、
であると好適である。
かかる構成によると、簡易な加工方法によって導光部材に光散乱加工を施すことが可能になる。なお、ここでいう印刷加工とは、例えば白インクをドット状に印刷するような加工が挙げられ、さらに3次元形状加工とは、金型加工、レーザ加工等の加工方法によって、反射部材に凹凸、プリズム等を形成する加工が挙げられる。
また、
前記光散乱加工が、
前記導光部材の第2の面に施されていると好適である。
かかる構成によると、光散乱加工と、光吸収性のインクによる印刷パターンとが導光部材の同一面に施されることになるので、同一の工程内においてこれらの加工を位置精度よく行うことができ、生産効率の向上、製造コストの低減を図ることができる。特に、光散乱加工として印刷加工を採用する場合は、製造工程において、同一の印刷機器を用いてこれらを同一工程内で位置精度よく印刷することができるので、生産効率をより向上させることが可能になる。
また、
前記導光部材には、
厚さが100μm以上300μm以下の光透過性を有するシート部材が用いられていると好適である。
かかる構成によると、厚さの薄い光透過性を有するシート部材を用いることにより、スイッチモジュール全体の小型化を図れる他、キー部と電極層との間に介在する導光部材の厚さが薄いので、ユーザがキー部を操作する際にユーザに伝わるクリック感を向上させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、キー基板に対向して設けられるスイッチモジュールにおいて、導光部材端部近傍からキー部の方向へ漏れ出る光の光量を低減し、導光部材内を進む光によってキー部を均一に照明することが可能なスイッチモジュールを提供することが可能になる。
本発明の実施形態に係るスイッチモジュールの概略断面図。 本発明の実施形態に係るスイッチモジュールの上面図。 本発明の実施形態に係るスイッチモジュールの効果を説明する図。 本発明の実施形態に係るスイッチモジュールの効果を説明する図。 従来のスイッチモジュールの概略斜視図。 従来のスイッチモジュールの概略断面図。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[実施形態]
<1:スイッチモジュールの全体構成について>
図1(a)を参照して、本発明を適用可能な実施形態に係るスイッチモジュール1の全体構成について説明する。図1(a)は、本実施形態に係るスイッチモジュール1の概略断面図である。
本実施形態に係るスイッチモジュール1は、キー部7を有するキー基板8に対向配置されており、例えば、携帯電話、ノートPC等の電子機器における10キー基板、QWERTYキー基板に用いることが可能である。また、タッチパネル等にも用いることが可能である。
図1(a)に示すように、スイッチモジュール1は、発光素子としてのLED2、電極11を有する回路基板6、それぞれの電極11を覆うメタルドーム5を有するメタルドームシート4(電極層)、及びメタルドームシート4上に粘着層10によって取り付けられる導光シート3(導光部材)を備えている。回路基板6には、FPC基板(Flexible Printed Circuit)を用いることが可能である。また、LED2と導光シート3との間には、LED2から射出された光をLED2の端部から効率的に導光シート3内に入射させるリフレクター9(反射部材)が設けられている。
かかる構成によると、キートップ7aが図中下方に移動してメタルドームシート4を押圧し、これによってメタルドーム5が変形してメタルドーム5と電極11とが接触することにより、メタルドーム5と電極11とが電気的に接続された状態となり、即ち、スイッチがOFFからONの状態に切り換えられる。なお、一般的にスイッチモジュールには、操作性の観点から、キー部を押したときにユーザに十分なクリック感が伝わることが望ましいとされているが、本実施形態によれば、一定の強度を有するメタルドーム5の変形によってスイッチのON、OFFが切り換わるようにしているので、ユーザに対して十分なクリック感を伝えることができる。なお、それぞれのメタルドーム5はメタルドームシート4に対して一体に接着されており、製造過程では、メタルドーム5が実装済みのメタルドームシート4を回路基板6に取り付けることで、複数の電極11に対してメタルドーム5を精度良く、かつ簡易な工程で取り付けることが可能になる。
<2:導光シートについて>
本実施形態に用いられている導光シート3について説明する。本実施形態では、厚さ125μm、ショア硬度97の光透過性を有するウレタンゴムシート(熱硬化性)を用いているが、導光シート3として適用可能な材料はこれに限られるものではなく、ポリカーボネートフィルム、シリコンゴムシート等の透明シートを用いてもよい。また、導光シート3の厚さは特に限定されるものではないが、厚さ100μm以上300μm以下であるとより好適であるといえる。なお、ここでいう「透明シート」とは、必ずしも無色透明を意味するものではなく、LED2から射出された光が透過可能なものであれば、導光シート3は「無色透明」に限られるものではない。
本実施形態では、このように厚さの薄い導光シート3を用いているので、スイッチモジュール1の小型化を達成できる他、さらに、上述したクリック感の感度を向上させることが可能になる。なお、以下では、導光シート3の表面において、キー基板8と対向する側の面(図中上面)を「第1の面3b」、回路基板6と対向する側の面(図中下面)を「第2の面3c」として説明する。
導光シート3には、第2の面3cに、導光シート3に入射した光を散乱させる光散乱加工が施されている。ここでは光散乱加工として、白インク(光散乱性を有するインク)によるドット印刷(印刷加工)がインクジェットプリンタによって施されており、これにより、第2の面3cには白色ドット3aが印刷されている(ここでは光散乱性を有するインクとして白色インクを採用しているが、光散乱性を有していれば白色以外のインクを用いてもよい)。白色ドット3aは、キー部7に対応する位置にそれぞれ印刷されており、これにより、LED2から導光シート3内に入射した光を白色ドット3aで散乱させ、散乱された光によって、導光シート3内からキー部7を照明することが可能になる。なお、白色ドット3aのドット密度、形状等は特に限定されるものではないが、例えば、LED2から離れた領域(光が減衰して伝わる領域)で白色ドット3aのドット数を多くすることにより、LED2から離れた領域に配置されるキー部7であっても十分な光量で照明することが可能になる。
また、光散乱加工の形態はこれに限られるものではなく、金型加工、レーザ加工等による3次元形状加工を所定の位置に施し、導光シート3に凹凸形状、プリズム形状を形成する形態であってもよい。この場合も、白色ドット3aと同様に、3次元形状加工が施された部分によって光を散乱させることで、キー部7を好適に照明することが可能になる。なお、印刷加工(白色ドット3a)は第2の面3cに施されるものであるが、3次元形状加工は、導光シート3の第1の面3bに施されてもよい。この場合も、第1の面3bに施された3次元形状加工において光が散乱することで、光を第1の面3bからキー部7の方向に透過させ、キー部7を好適に照明することが可能になる。
<3:リフレクターについて>
本実施形態では、LED2から射出された光を導光シート3の端部から導光シート3内に効率的に入射させるためのリフレクター9が設けられている。本実施形態のように厚さの薄い導光シート3を用いる場合は、LED2の光射出領域幅よりも導光シート3の厚さの方が薄くなっていることが多く、このような場合は、LED2から射出された光を効率的に導光シート3内に入射させるためにも、LED2と導光シート3との間にリフレクター9を設けることが有効である。本実施形態では、より効率的に光を入射させるべく、導光シート3の端部において、リフレクター9が第1の面3bを覆うように設けられているが、リフレクター9の形状は特に限定されるものではない。
<4:光の進み方>
図1(b)を参照して、本実施形態における導光シート3内の光の進み方について説明する。図1(b)は、図1(a)に示すスイッチモジュール1について、LED2の近傍を拡大した概略断面図である。
LED2から射出された光は、リフレクター9によって導光シート3の端部から導光シート3内に入射される(リフレクター9を介さずに直接導光シート3内に入射する光もある)。本実施形態では、導光シート3の第1の面3b、第2の面3cが、共に空気層と接しており、屈折率の違い(空気層の屈折率を1.0とすると、導光シート3の屈折率は約1.45である)から、導光シート3内を進む光は、図中L1、L2のように、第1の面3b、及び第2の面3cにおける反射を繰り返しながら、導光シート3の他方の端部に向かって進むことになる。そして、その光路上に白色ドット3aがある場合は、白色ドット3aにおいて光が散乱し、L2に示す光のように、導光シート3内からキー部7の方向に光が抜け出すことになる。なお、LED2から射出された後に、粘着層10を透過してメタルドームシート4内に入射する光もあるが、この光も、メタルドーム5の表面等で反射され、粘着層10を透過して再び導光シート3内に入射することになる。
<5:光の漏れを低減する構成について>
図1(b)、図1(c)を参照して、従来の課題として挙げられている「光の漏れ」を低減する構成について説明する。図1(c)は、図1(b)に示す光L3、L4の進行方向を模式的に表した図である。
上述したように、LED2に近い導光シート3の端部近傍では、第2の面3cで反射された後に第1の面3bで反射されることなく第1の面3bを透過する光が存在し(図1(b)、図1(c)のL3、L4の点線部分)、従来の構成では、このような光によって導光シート3の端部近傍、即ち、キー基板8におけるLED2近傍が光り過ぎるといった課題があった。例えば本実施形態のようなリフレクターを用いる場合は、リフレクターのエッジ部から光が漏れ出るといった現象が見られる。そこで本実施形態では、この課題を解決すべく、導光シート3の端部近傍の第2の面3cに、黒インク(光吸収性のインク)による印刷パターン12を形成している点を特徴とする。
より具体的には、第2の面3c上であって、かつ、図1(b)、図1(c)に示す光L3、L4の光路上、即ち、第2の面3cで反射された後に第1の面3bで反射されることなく第1の面3b(リフレクター9のエッジ部)を透過する光の光路上に、印刷パターン12を形成している。なお、第1の面3bから漏れ出す光の光路上であれば、例えば接着層10と導光シート3との界面に印刷パターン12を形成する形態であってもよい(図1(b))。
かかる構成によれば、リフレクター9のエッジ部から漏れ出る光L3、L4を、第2の面3cに形成された印刷パターン12において吸収することができるので、リフレクター
9のエッジ部から漏れる光の光量を低減することができる。即ち、導光シート3端部近傍からの光の漏れを低減できる。なお、ここでは印刷パターン12として、黒色UV硬化インク(主剤:光重合組成物70〜90質量%、顔料:カーボンブラック粒子1〜5質量%、その他:重合開始剤1〜5質量%、を含むもの)を、UV硬化装置としてSubzero(Integration社製)を用い、ピエゾ式(360dpi、液滴量14pl)のインクジェット方式で導光シート3にパターン印刷しているが、光吸収性のインクとは、必ずしも黒インクに限定されるものではなく、灰色、濃紺等、光を好適に吸収可能なインクであればよい。
<6:印刷パターンの位置、形状について>
図2を参照して、印刷パターン12の位置、形状について説明する。図2は、本実施形態に係るスイッチモジュール1の上面図であり、特に、印刷パターン12が形成される位置を模式的に示している図である。
黒インクによる印刷パターン12が形成される位置は、第2の面3c上であって、かつ第2の面3cで反射された後に第1の面3bで反射されることなく第1の面3b(リフレクター9のエッジ部)を透過する光の光路上であれば特に限定されるものではない。例えば、図2(a)、図2(c)、図2(e)に示すように、スイッチモジュール1を上面から見た場合に、印刷パターン12がリフレクター9の内側に隠れる位置に形成されていてもよく、また、図2(b)、図2(d)、図2(f)に示すように、リフレクター9の外側に印刷パターン12が形成されていてもよい。
また、図2(a)〜図2(f)における「照光エリア」とは、キー部7に対応する領域を示すものであるが、「照光エリア」とLED2との相対的な位置関係を考慮して、印刷パターン12を形成する位置を決めるとより効果的である。例えば、図2(a)、図2(b)のように、LED2の正面にスリットが出来るように印刷パターン12を形成すると、「照光エリア」の光り過ぎを抑制しつつ、図中下方(Y方向)へLED2からの光をより多く通すことができるので、LED2から離れた位置にあるキー部7であっても、十分な光量で照明することができる。また、図2(c)、図2(d)のように、LED2の正面にスリットを設けることなく印刷パターン12を形成すれば、より確実に「照光エリア」の光り過ぎを抑制することができる。また、図2(e)、図2(f)のように、LED2の正面に「照光エリア」がある場合は、LED2の正面に印刷パターン12を形成すれば、「照光エリア」の光り過ぎを好適に抑制することができる。すなわち、「照光エリア」から漏れ出す光を吸収可能な位置であれば、第2の面3c上における印刷パターン12の位置はどのような位置であってもよい。
また、本実施形態では、図2(a)〜図2(f)に示すように、印刷パターン12を長方形状に形成している。本発明者らの鋭意検討によれば、奥行き(図2中Y方向)を0.3mm〜0.7mm、幅(図2中X方向)を5.0mmとすれば、キー部7を照明する他の光の光路に干渉することなく、リフレクター9のエッジ部から漏れ出る光のみを効果的に吸収できることがわかっている。しかしながら、印刷パターン12の形状は特に限定されるものではなく、例えば楕円形、円形、ドットの集合等であってもよい。また、寸法についても、LED2の放射角度と「照光エリア」の位置等を鑑みて、リフレクター9のエッジ部から漏れ出る光のみを効果的に吸収できる寸法であればよい。
<7:検証実験について>
(比較例)と(実施例1)〜(実施例3)のそれぞれに対して、「照光エリア」の光り過ぎを抑制する効果を検証する検証実験を行った。以下、図3(a)、図3(b)を参照して、検証実験の条件、結果について説明する。図3(a)は、検証実験に用いた「照光エリア」(キー部に対応するエリア)、LED2の配置を示す模式図であり、図3(b)は、(比較例(左))と(実施例1(右))のそれぞれで測定した輝度等高線図である(
上側は上面から見た図、下側は3次元状に表した図)。なお、ここでは輝度測定用装置として、HI−LAND社製 RISA−COLOR/ONEIIを用いた。
(比較例)
比較例として、図3(a)に示す「照光エリア」(キー部)の配置において、黒インクの印刷パターン12を形成しない場合について、「照光エリア」の輝度(cd/m)を測定した。発明者らの鋭意検討によると、図示する複数の「照光エリア」のうち、左上と右上にある「照光エリア」(斜線部で示すエリア)に顕著な「光り過ぎ」の現象が生じており、これにより、満足のいくレベルの「輝度均一性」が達成できていないことが確認されている。そこで、左上と右上にある「照光エリア」を対象とし、(比較例)と(実施例1)〜(実施例3)とでその輝度を比較した。なお、(比較例)では、左上の「照光エリア」の輝度が39.6cd/mで、右上の「照光エリア」の輝度が37.2cd/mであり、他の「照光エリア」の輝度と比較すると高い輝度を示すことがわかったが、さらに、局所的には、左上の「照光エリア」では、LED2に近い左上領域が、右上の「照光エリア」では、LED2に近い右上領域が、極端に光り過ぎていることが確認されている。
(実施例1)
実施例1では、図3(a)に示すように黒インクの印刷パターン12を形成し、印刷パターン12の奥行き(図中Y方向)寸法を0.5mm、幅(図中X方向)寸法を4.0mmとした。かかる条件で輝度を測定した結果、左上の「照光エリア」の輝度が22.0cd/m(比較例では39.6cd/m)、右上の「照光エリア」の輝度が23.0cd/m(比較例では37.2cd/m)にそれぞれ大幅に低下していることが確認された。また、他の「照光エリア」では、輝度の低下がほとんど見られなかった。すなわち「光り過ぎ」を抑制し、「輝度均一性」の要求を満たせることがわかった。
(実施例2)
実施例2では、図3(a)に示す黒インクの印刷パターン12において、印刷パターン12の奥行き(図中Y方向)寸法を0.7mm、幅(図中X方向)寸法を4.0mmとした。かかる条件で輝度を測定した結果、左上の「照光エリア」の輝度が21.5cd/m(比較例では39.6cd/m)、右上の「照光エリア」の輝度が21.0cd/m(比較例では37.2cd/m)にそれぞれ大幅に低下していることが確認された。また、他の「照光エリア」では、輝度の低下がほとんど見られなかった。すなわち「光り過ぎ」を抑制し、「輝度均一性」の要求を満たせることがわかった。
(実施例3)
実施例3では、図3(a)に示す黒インクの印刷パターン12において、印刷パターン12の奥行き(図中Y方向)寸法を0.3mm、幅(図中X方向)寸法を4.0mmとした。かかる条件で輝度を測定した結果、左上の「照光エリア」の輝度が25.7cd/m(比較例では39.6cd/m)、右上の「照光エリア」の輝度が24.8cd/m(比較例では37.2cd/m)にそれぞれ大幅に低下していることが確認された。また、他の「照光エリア」では、輝度の低下がほとんど見られなかった。すなわち「光り過ぎ」を抑制し、「輝度均一性」の要求を満たせることがわかった。
次に、図3(b)に、(比較例)と(実施例1)とにおける、図3(a)の左上の「照光エリア」の輝度等高線図を示す。図3(b)において上側に示すものが、左上の「照光エリア」を上面から見た場合の輝度等高線図であり、下側に示すものが、左上の「照光エリア」の3次元輝度等高線図である。図示するように、(比較例)では、「照光エリア」全体で輝度が高く、特にLED2に近い左上領域は極端に高い輝度を示していることがわかる。これに対して(実施例1)では、全体的に輝度が低下していることがわかる。すな
わち、黒インクの印刷パターン12を形成することで、「光り過ぎ」を確実に抑制できていることがわかる。
<8:本実施形態の効果について>
本実施形態に係るスイッチモジュール1によれば、従来の構成では得ることができなかった以下の効果を得ることが可能になる。
(キー部配置の設計上、デザイン上の制約について)
本実施形態に係るスイッチモジュール1によれば、上述の構成によって、導光シート3端部近傍から漏れ出る光の光量を低減することができる。よって、従来の構成ではキー部をLEDに近づけて配置すると、漏れ出た光によってLED近傍にあるキー部が極端に光り過ぎるといった課題が生じ、これにより、キー部をLEDに近づけて配置することが出来ないといった、設計上、デザイン上の制約が生じていたが、本実施形態では、キー部7をLED2に近づけて配置しても、このような光り過ぎの課題を生じることはない。よって、図1(b)で示す距離a(LED2に最も近いキー部7とLED2との間隔)を狭くすること、即ち、キー部7をLED2に近づけて配置することができ、キー部配置の設計上、デザイン上の制約を緩和することができる。
また、本実施形態では、導光シート3の第2の面3c上に黒インクによる印刷パターン12を形成している。LED3端部近傍から漏れ出る光を低減するという観点では、第1の面3b上に印刷パターンを設けることも考えられるが、両者の間では、キー部配置の設計上、デザイン上の制約で大きな差が生じる。図4を参照して、この点について説明する。図4(a)は、本実施形態(第2の面3c上に印刷パターン12を形成)の構成を示すものであり、図4(b)は、比較例(第1の面3b上に印刷パターン12を形成)の構成を示すものである。図示するように、本実施形態は、比較例よりも導光シート3の「有効長さ」が長いことがわかる。導光シート3の「有効長さ」とは、導光シート3内に導かれた光が第1の面3bから射出可能な領域の長さを指し、言い換えると、キー部7を照明可能な領域の長さと言え、この長さが長いほど、キー部7を配置可能な領域が広がることになる。よって、比較例と比較すると、本実施形態では、より広い範囲にキー部7を配置することができるので、キー部配置の設計上、デザイン上の制約を緩和することが可能になる。
(輝度均一性について)
本実施形態によれば、LED2近傍に配置されたキー部7が他のキー部7と比較して極端に光り過ぎるといった現象を抑制できる。また、第2の面3c上に形成される黒インクの印刷パターン12は、導光シート3の端部近傍(リフレクター9のエッジ部)から漏れ出る光の光路上にのみ形成されるものであるので、キー部7を照明するための他の光(例えば図1(b)のL1、L2)には何ら影響はなく、LED2から離れたキー部7であっても十分な光量で照明することができる。よって、キー基板8に配置されている複数のキー部7をほぼ均一な輝度で照明することができ、「輝度均一性」の要求を満たすことが可能になる。
(生産効率、製造コストについて)
本実施形態では、導光シート3の第2の面3cに光散乱加工としての白色ドット3aが印刷されている。この場合、導光シート3の同一面(第2の面3c)に白色ドット3a、及び黒インクによる印刷パターン12がインクジェットによって印刷されることになるので、製造過程では、同一の製造機器(印刷機器)を使用して、同一面に白色ドット3aと黒インク印刷パターン12とを同一工程内で印刷することができ、生産効率の向上、製造コストの低減につながる。また、白色ドット3、及び印刷パターン12は、導光シート3に位置精度良く印刷される必要があるが、本実施形態では同一工程内でこれらを印刷する
ことができるので、煩雑な位置合わせ作業を必要とせずに、これらの位置精度を上げることができる。また、光散乱加工として第1の面3bに3次元形状加工を施す場合も、製造過程において、3次元形状加工を施しつつ、第2の面3cに黒インクの印刷パターン12を印刷することは可能であるので、生産効率を向上させ、製造コストを低減させることができる。
以上より、本実施形態によれば、キー基板に対向して設けられるスイッチモジュールにおいて、導光部材端部近傍からキー部の方向へ漏れ出る光の光量を低減し、導光部材内を進む光によってキー部を均一に照明することが可能なスイッチモジュールを提供することが可能になる。
1…スイッチモジュール 2…LED 3…導光シート 3a…白色ドット 3b…第1の面 3c…第2の面 4…メタルドームシート 5…メタルドーム 6…回路基板 7…キー部 8…キー基板 9…リフレクター 10…粘着層 11…電極 12…印刷パターン

Claims (6)

  1. キー部を有するキー基板に対向して設けられるスイッチモジュールであって、
    前記キー基板に対向する表面に電極層が形成された回路基板と、
    前記キー基板と前記回路基板との間に設けられている導光部材と、
    光を射出する光源素子と、
    前記光源素子から射出された光を前記導光部材の端部から前記導光部材内に入射させる反射部材と、
    を備え、
    前記電極層に対して前記キー部が移動することで、スイッチのON、OFFが切り換えられると共に、前記導光部材内に入射した光によって前記導光部材内から前記キー部を照明可能であるスイッチモジュールにおいて、
    前記導光部材は、
    前記キー基板と対向する第1の面と、その反対側にあって前記回路基板と対向する第2の面と、を有しており、
    第2の面における前記端部近傍には、
    前記反射部材によって前記導光部材内に入射された光であって、第2の面で反射された後に第1の面で反射されることなく前記端部近傍の第1の面を透過する光の光路上に、光吸収性のインクによる印刷パターンが形成されていることを特徴とするスイッチモジュール。
  2. 前記反射部材は、
    前記端部における第1の面を覆うようにして設けられており、
    前記印刷パターンは、
    第2の面において、前記反射部材によって前記導光部材内に入射された光であって、第2の面で反射された後に前記反射部材のエッジ部近傍から第1の面を透過する光の光路上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチモジュール。
  3. 前記導光部材には、
    前記導光部材内に入射した光を散乱させることが可能な光散乱加工が施されており、前記光散乱加工が施された部分において散乱された光によって、前記導光部材内から前記キー部を照明可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチモジュール。
  4. 前記光散乱加工とは、
    光散乱性を有するインクを前記導光部材に印刷する印刷加工、又は、
    光散乱性を有する3次元形状を前記導光部材に形成する3次元形状加工、
    であることを特徴とする請求項3に記載のスイッチモジュール。
  5. 前記光散乱加工が、
    前記導光部材の第2の面に施されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のスイッチモジュール。
  6. 前記導光部材には、
    厚さが100μm以上300μm以下の光透過性を有するシート部材が用いられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスイッチモジュール。
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