JP5425068B2 - 広域に水を分配する散水用マット - Google Patents

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Description

本発明は、特に園芸および造園ならびに農業において、広域に水を分配する散水用マットに関し、散水用マットのエレメントを収容できる、1つの第1担体層および1つの第2担体層と、第1担体層と第2担体層とを接続する、1つ以上の接続と、第1担体層と第2担体層との間に配置されたエレメントであって、散水用マット内へ水を供給し、散水用マット中に水を分配する、1つ以上の水供給エレメントと、第1担体層と第2担体層との間に配置された、貯水用の1つの吸収層と、を有する。
以下において、水という用語が使用される場合、この用語は水に加えて、主として水を基にしているが、例えば栄養物、ビタミン、または微量元素などの別の物質の構成成分を含むことが可能な混合物を含むことを意味している。これらの物質は、溶解した状態で存在していても、溶解していない状態で存在していてもよい。
園芸の分野においては種々の潅漑システムが知られており、これらは、具体的には温室散布の用途に設計され、極めて正確に計量された散布を可能にするが、結果として比較的複雑化された設計を有している。例えば、ドイツ特許出願公開第2019423A号公報は、植木鉢または別の容器内にある植物用の潅漑デバイスを説明しており、特別に圧力を補償する特徴を有し、不均一な表面上であっても一様な放水を促進している。
ドイツ特許出願公開第19933554A1号公報には、耕作され植物が植えられた領域を広域に水を分配する地下供給システムが開示されており、同システムでは、バルブのように作用する放水口を備えた弾性のあるホースが、農地領域内の地下に設置され、水供給システムへ接続されている。これらは、計量された水供給システムを用いて、ホースの上下に隣接する土壌ゾーンへ水分を途切れなく与えるために使用される。このために、個別のホースは、大略60から70cmの間隔で、かつ大略30から60cm地下の深さで配置され、両側において櫛形の導管へ接続され、さらに地下に設置され、水を供給される。この特定の供給システムにとって、広域散布用の潅漑ホースを配置することは、時間および費用の両方の点で、極めてコスト高になる。
ドイツ特許出願公開第10118643号公報は、好ましくは園芸または造園の地下領域に設置された、広域に水を分配する布地散水用マットを説明している。この散水用マットでは、散水用ホースは、導水能力を有するフリース材料でできた2つの織布間に、一定の間隔で配置されている。散水用マットは、低コストで製造され、容易に設置することが可能である。不利益は、地盤の水分を調整するために、例えば張力計などの外部の測定デバイスを用いなければならないことである。これは、広い領域を潅漑する場合、容認しがたいほどに高いコストに結果する。この理由で、水の供給は、通常、経験値に従って調整される。その結果、好ましくない場合、不要な浸出ロスとなったり、例えば極端なレベルの日光が与えられると乾燥土壌となったりする可能性がある。さらにその上、一部の地域では、地盤内の塩分が地下層の毛細管作用といっしょに機能し、散水用マット内に塩類の集積をもたらす可能性がある。例えば砂礫層のような毛細管障壁を用いて、地盤の毛細管作用を分裂させるやり方が一般に知られている。この解決法は、材料の可用性が不足していたり、関連付けられたコストが高かったりする特別な場合において、実現可能であるにすぎない。ドイツ特許出願公開第10118643号公報の散水用マットは、充填用のストリップ(細長い小片)が間に位置するフリース材料でできた従来の織布のせいで、比較的高い貯水容量を有する。貯水容量をさらに高めるためには、貯水バッファ特性を増加させることが望ましい。フリース材料でできた織布をより厚くすることでこの課題を解決することは、関連付けられるコストのためにできない。
ドイツ特許出願公開第2019423A号公報 ドイツ特許出願公開第19933554A1号公報 ドイツ特許出願公開第10118643号公報 ドイツ特許第283008A5号公報 ドイツ特許出願公開第4037396C2号公報
このような認識に基づいて、本発明の目的は、上述した不利な点を取り除き、広域散布用の費用対効果の優れた散水用マットを入手可能にすることである。この散水用マットは、隣接する用地区画における一様な湿潤を確実にするために、既知の解決法と比較してより高い貯水容量を有し、散水用マット内の塩類の集積に対して対策を提供する。
この目的は、本発明により、散水用マット内の水分レベルを検出する手段を設けることによって達成される。水分レベルを検出することにより、マットが乾燥しないように、過剰な水で充填されないように、散水用マット内への水の供給を調整することが可能となる。散水用マットが乾燥する場合、水を供給する植物は水不足を招くことになり、その結果、収穫高の低減をもたらし、もしくは最悪の場合のシナリオとして、これらの植物の全滅をもたらす可能性がある。地盤の最大水取り込み容量を越えて、散水用マットを充水することにより、土壌を水浸しにすることが可能となり、対応する植物の腐朽をもたらすことになる。さらにその上、浸出ロスに直面することになる。すなわち、地盤内へ導かれた水は、地盤の散水用に最適に使用されない。散水用マット内の水分レベルを検出する能力により、オペレータは、この本質における課題を回避することが可能となる。
本発明における有利なさらなる展開は、散水用マット内の水分レベルを検出する手段が、第1担体層と第2担体層との間に配置されることで特徴付けられる点である。手段を設置するのに追加の作業ステップは、必要としない。むしろ手段は、散水用マットといっしょに動作するように設置される。これにより、追加で発生するコストを防止し、散水用マット全体にわたる水分レベルの決定が信頼性のあるかつ代表的なものとなるように、手段が分布することを確実にする。さらに、散水用マット内において、手段により測定された水分レベルから、水分レベルが著しく逸脱するようなゾーンの形成を妨げる。したがって水の供給が不正確に投与されることが、回避される。
本発明における有利なさらなる展開において、散水用マットの水分レベルを検出する手段は、センサー配線として具体化される。これらのセンサー配線は、例えば低電圧のケーブルを有し、本質的に2つの金属配線、特にすずをコーティングした銅配線で構成され、担体層または吸収層内で、互いに絶縁されて配置される。銅配線間の伝導度または抵抗は、水分レベルに依存して変化し、各特定の変化はそれぞれの水分レベルに割り当て可能である。このタイプのセンサー配線は、ドイツ特許第283008A5号公報においてさらに詳細に説明されている。潅漑される領域の本質のせいで、方向もしくは高度において突然の変更がなされる場合、このようなセンサー配線は極めて柔軟性があるので、その使用は特に実用的である。このタイプのセンサー配線の使用により、設置の間に、水分レベルを検出する手段および散水用マット自身における動作能力を損なうような、ケーブルの断線リスクが低減する。水分レベルの信頼性のある検出を確実にすることを可能にするためには、用いられる金属配線の腐食を防止する必要がある。腐食は金属配線の表面特性を改変し、その結果、伝導度を変化させるため、測定値は元の水分レベルにもはや一致しない。通しで完全に腐食した金属配線は、もはや水分レベルを決定するのに使用できない。用いられる配線の腐食を防止可能にする、または少なくとも低減可能にする目的で、適切な被覆が設けられ、金属を保護する役目を果たしてもよい。さらに、配線は、非腐食性の表面処理、例えばすずのコーティングを受けてもよい。
本発明における有利なさらなる展開において、散水用マット内の水分レベルを検出する手段は、水分センサーおよび関連付けられる配線を有する。このため、既知のタイプにおけるすべての水分センサー、しかし好ましくは、例えば容量性水分センサーなど、電子的に記録可能な形で測定された水分レベルを出力するもの、を用いることが可能である。本発明によれば、これらのセンサーは、関連付けられた配線といっしょに、後者の設置の前に散水用マット内に設置され、取り付けられる。引き続く配線は、なにも必要でない。散水用マットの設置後、水分レベル用の適切なディスプレイおよび/または制御部へ接続する必要があるだけである。
本発明における有利なさらなる展開において、担体層は導水材料、特に、例えば不織布などの布地で構成される。布地の他に、導水材料はさらにグラスファイバーまたはミネラルコットンを含むことが可能である。散水用マットに導水布地を用いるいくつかの有利な点のうちの1つは、グラスファイバーまたはミネラルコットンと比較して、環境適合性が良好で、かつ購入するコストが低いことで特徴付けられることである。さらにその上、布地は柔軟性があり、そのため散水用マットが設置される予定の地形の特性に、容易に適合させることが可能である。さらにその上、散水用マットは、容易に巻き上げられ、散水用マットの保管および輸送に必要となるスペースを低減する。水供給エレメントを通して散水用マット内へ導かれた水が、散水用マット内に一様に分布し、地域の引き出し変動に独立して、水分レベルがほぼ一定に維持されることを、導水能力は確実にする。さらにその上、導水材料は、いくらかの貯水容量を有し、隣接する地盤における水の供給および水分レベルの両方において、変動を補償可能にする。特に、使用される不織布が腐朽耐性の合成ファイバー材料から製造される場合、別の導水材料と比較して、不織布材料は高い貯水容量を示すので、潅漑技術における不織布の使用は、特に有利な点であると分かった。
本発明における有利なさらなる展開において、接続は、縫い合わせ状形式で具体化される。これらの接続は、縫う処理、接着処理、または別の接合処理による、例えば縫い目接合処理を用いて作り出すことができる。この間に、水供給エレメントは、滑りを防止するためにきっちり詰まったように囲まれる。金属接続と対照的に、例えばクリップまたはクランプなどのタイプの接続は、ある程度の柔軟性を有し、散水用マットの全体にわたる柔軟性が維持されるようになる。さらにその上、この接続は、いかなる尖った角も作り出さず、水供給エレメントまたは担体層は、特に散水用マットの設置の間にダメージを受けない。さらにその上、これらの接続は腐食の影響を受けにくく、比較的長期間であっても湿った地盤環境に確実に耐えることが可能である。
吸収層は、吸収性のファイバーベッドとして具体化されることが、さらに好ましい。このように、散水用マットの貯水容量は、低コストでさらに増加する。増加した貯水容量は、散水用マットのバッファ効果を高めるために望ましく、隣接する地盤における水の供給および水分レベルの両方において、変動が補償可能となる。夏期に極めてわずかな降雨しかなく、散水用マット内への水の適正な量の供給を困難にするまたは禁止する水制限を制定している領域では、高い貯水容量は特に有利な点である。高い貯水容量を考慮すると、散水用マットは、乾期は少なくとも部分的に克服することが可能となるように、前向きのやり方で充水することが可能であり、それゆえに植物が枯れたり、収穫高が低下したり、収穫を全面的にロスしたりするリスクを最小化することになる。
特にこれらの理由のために、本発明における有利なさらなる展開において、吸収層および/またはファイバーベッドは、高吸収性の樹脂を含み、貯水容量を増加させる。高吸収性の樹脂は、例えば変性ポリアクリル酸塩で構成され、自身の重さの100から1000倍の重量の水量を貯蔵することが可能である。これらの高吸収性の樹脂は、粒状の材料として存在してもよく、地盤内で膨張し、ゲル粒子(ヒドロゲル)を形成するとともに、その処理中に水を貯蔵する。植物根は、ゲル粒子を通してうまく成長することが可能であり、ゲル粒子から水を引き出すことが可能である。
本発明の水供給エレメントが平らなホースとして具体化される場合、実用的である。平らなホースの使用は、特に、散水用マットの全体にわたる高さが関心事である場合に、興味のあることである。高さを全体にわたって減少させることにより、必要となる保管スペースが低減され、散布用地への輸送が促進される。
さらにその上、散水用マットの設置のために掘削する必要がある材料量を低減し、設置コストを低減することが可能となる。
本発明における特に好ましいさらなる展開において、水供給エレメントは、穿孔された潅漑ホースまたはソーカーホースとして具体化され、水供給システムに接続可能であると意図される。穿孔された潅漑ホースとして水供給エレメントを具体化することにより、散水用マット内へ単純なおよび費用対効果の優れた放水が促進される。穿孔の直径、形状、および数は、ホース内における予想される水要求および圧力降下に、問題なく適合可能である。特に、供給される水の品質または純度を考慮に入れることが可能である。例えば、水が河川から引き出される場合、水は多数の粒子を含み、小さい直径の穿孔を急速に詰まらせる。穿孔の直径を適切に調整することにより、一般に複雑でコスト高の水のろ過ステップを回避することができる。さらにその上、水供給エレメント内で穿孔場所を特定することが可能である。散水される現存の土壌および植物の特性に依存し、潅漑ホースの外周に沿って穿孔を一様に分布させることが実用的であるかもしれない。一般に用いられる潅漑ホースは、互いに180度で面した対で配置される穿孔を有するが、配置の実施の形態または穿孔の数は異なってもよい。散水用マットの方向は偶然の産物であるが、しかし特定の散布のためには穿孔の方向は、正確に固定することができる。水を供給するためには、複雑な地下導管システムを設置しなくても、現存の水供給システムへホースの端部が直接に接続されてもよい。水供給システムは、現存の公益企業のシステムであってもよいが、しかし例えば近くの湖または河川から水が得られる場合、分散化されたポンプシステムへ接続されることも可能である。
本発明における有利なさらなる展開において、水供給エレメントは放水用の散水ろ床を有する。散水ろ床による放水は、特定の水圧においてだけ開始する。水供給システムからの水供給エレメントの分離後に残存する水は、ゆっくり流出することもせず、水供給エレメント内に残存する。これにより、水供給システムからの水供給エレメントの分離後に、散水用マット内へさらに放出される水は皆無であるから、散水用マット内の水分レベルのさらに正確な制御が可能となる。実施の形態における散水ろ床無しの変形例では、水供給エレメント内に残存する水は、対策が導入される場合を除いて、主として散水用マットの下方の用地区画内へ、低圧でかつ小量、放出される。しかし、これは正確には植物の増殖に対して重要性が低い区画にすぎない。それゆえに、水は効率的に使用されていない。したがって、散水ろ床の使用は、水分レベルをより良好に制御する役目を果たすだけでなく、現存の水のさらに効率的な使用を確実にする方策を表す。
本発明における特に好ましいさらなる展開は、水供給エレメントが、吸収性の布地被覆を有する線状の形状で具体化されることで特徴付けられる点である。このタイプの水供給エレメントは、ほとんど費用をかけずに製造され、低い水消費を特徴としながら同時に良好な潅漑作用を与え、穿孔の詰まりを防止することが可能である。さらにその上、布地被覆における吸収性の設計により、水供給エレメントの全長に沿って、放水が途切れなく起こることが可能となる。例えばドイツ特許出願公開第4037396C2号公報には、このタイプの水供給エレメントが説明されている。
水供給エレメントおよび/または水分レベルを検出する手段が、検出器を用いて検出可能である場合、さらに有利である。この目的のために、水供給エレメントおよび水分レベルを検出する手段は、ホイル(薄片)、例えば金属ホイルを備えてもよく、例えば金属検出器などの適切な検出器によって検出可能である。したがって、散水用マットが地下に設置される場合であっても、水供給エレメントおよび水分レベルを検出する手段の場所は決定可能である。マットの設置後に、地盤領域において、新植物用の穴の掘削、ゴルフコースの再設計、特にホールを含むグリーンの再調整などの建設作業が実行される予定の場合には、意図された建設作業が、水供給エレメントおよび/または水分レベルを検出する手段に対して、場合によってはダメージを与えるかどうかを、前もって決定することが可能である。
本発明における有利なさらなる展開において、担体層間における水供給エレメントの横の固定化用に、および水供給エレメントと担体層との間の高さ調整として、充填用のストリップ(細長い小片)が設けられる。充填用のストリップとして、フリース材料でできたストリップ、フェルトストリップ、布地糸、ロープ状材料、または例えば泥炭層などの底質を用いてもよい。接続が固定化効果を水供給エレメントにすでに働かせているにもかかわらず、充填用のストリップは、例えば補完的凹部によって、使用される水供給エレメントの特定の形状に適合することが可能である。補完的凹部は、位置保持力を改善し、接続の不均一な荷重を防止する。この目的のためには、充填用のストリップが吸収層よりも低い弾力性で具体化され、その結果いかなる荷重が働いても比較的圧縮されないようになっている場合に実用的である。これにより、吸収層および水供給エレメントにおける種々の圧縮によって生成される波状起伏を防止することが可能となり、散水用マットの水平面レベルの設置を確実にする。
本発明における有利なさらなる展開において、第2担体層は、水−不浸透性外面を有する。本発明によれば、外面は、大地の表面から離れて面している散水用マットの側面である。一般に、散水用マットは散水用マットの上方に位置した地盤領域を湿らすように意図されている。散水される植物は、主としてこの領域に位置しているからである。第2担体層の水−不浸透性外面を有することにより、散水用マットの下方に位置する地盤領域内への水の導入が防止される。これにより浸出ロスが防止され、用水がさらに効率的に使用可能となる。
本発明のさらなる態様は、散水用マット内の塩類の集積を防止する毛細管障壁に関する。いくつかの領域内の地盤土壌は、高い塩分を有する。長期間にわたる地盤の毛細管作用により、塩類が散水用マット内に集積する。この結果の1つは、散水用マットへ供給された水がほぼ無塩であったとしても、散水用マットによって周囲の土壌内へ送水された水が、増加した塩分を運ぶことである。散水される植物が、高められた塩分によってダメージを受け、場合によっては次々に枯死する結果が起こり得る。さらに、散水用マットの表面または水供給エレメントにおいて、塩類による外皮が形成され、隣接する土壌内への放水が抑制されまたは詰まることさえあるようになる。水−不浸透性層を設けることが、散水用マット内の塩類の集積を低減する役目を果たしているにもかかわらず、毛細管障壁の使用は、次のいくつかの有利な点を有する。すなわち、毛細管障壁は地盤の毛細管作用を分裂させるが、しかし水−浸透性を残存させる。これにより、しみ出た水が散水用マットの上方の地盤領域内に集積し、土壌を水浸しにすることが防止される。水−不浸透性層が散水用マットの下方側に存在している場合、散水用マットにおいて形成している塩類の集積または塩類の外皮のいずれも、水を勢いよく流したとしても十分に取り除くことはできない。散水用マットの一方の側面から、水が出て行くことができるだけだからである。本発明による毛細管障壁の使用により、この課題は回避される。
本発明における有利なさらなる展開において、毛細管障壁は、第2担体層の下方に配置され、接続を用いて散水用マットに着設される。このように毛細管障壁は、散水用マット内へ統合可能で、組み立て用に追加の作業は必要としない。これは、毛細管障壁が、通常、砂礫層の形で具体化されるので、先端技術と比較して非常に有利であることを表す。しかしながら砂礫層を設けることは、材料および設置の点では極めて高いコストを伴う。毛細管障壁を散水用マットに着設するための、すでに存在している接続を用いることは、単純な設計および生産に寄与し、毛細管障壁を設けることによるコストは安価のままである。
本発明における有利なさらなる展開は、毛細管障壁が根を固定したマットとして具体化されることで特徴付けられる点である。根を固定したマットは、容易にかつ安価に購入可能な3次元的ジオテキスタイルである。それは、地盤の毛細管作用を効果的に妨害し、散水用マットに特に容易に着設可能である。根を固定したマットの寸法は、地盤特性に容易に適合することが可能である。
本発明における好ましいさらなる展開において、毛細管障壁は、屈曲耐性ファイバーおよび/または布地の切れ端で形成され、網状構造によって囲まれる。このように、毛細管障壁は、極めて単純なやり方で製造可能である。連続的な層を形成する必要はなく、むしろ不連続のファイバー、または例えば布地生産の間に端切れとして残され、どのようにも整列する必要がない布地切れ端、を使用することが可能である。網状の構造は、さらに、残りの布端切れまたは別のファイバーで構成可能である。これは、持続可能性に寄与し、さらに散水用マットの製造コストを低減する。
本発明における有利なさらなる展開において、水供給エレメントは、散水用マット内へガスを供給するのに使用可能なやり方で具体化される。このための必要条件は、使用される水供給エレメントが、ガスを通さない材料で製造され、充填されたガスが意図された位置に存在することだけである。加えて、ホース接続は、水供給エレメントがガスを通さないやり方でガス供給システムに接続可能であるように、選択される必要がある。散水用マット内へガスを導入することは、散水用マットの近辺にある土壌を緩める一般的な効果を有し、表面からの土壌の通気処理を改善する。これはさらに水浸しの土壌の形成を阻止し、根の増殖を支援する。散水用マットは、ガス供給を用いて、一定の時間間隔内で乾燥可能であり、例えばかびの形成を阻止し、耐用年数を長くする。さらにその上、これは、詰まった穿孔を、水だけでなくガスにより開放することができる能力を加える。散水用マット内へ空気を導入する場合、土壌は下方から通気され、植物には有益となる。適切なガスを導入することにより、土壌内の細菌または害虫を殺すことが可能となる。いくつかの水供給エレメントを使用して水を供給し、並行して、別の水供給エレメントを用いて、散水用マット内へおよびしたがって隣接する用地区画内へガスを供給することが可能となる。
散水用マット内へガスを供給するガス供給エレメントは、本発明における有利なさらなる展開を表す。この場合、散水用マットは、ガス用および水用の2つの異なる供給エレメントを有する。これは、供給エレメントが、供給された流体に具体的に最適化可能なことを意味する。散水用マット内へ水およびガスの並行供給が可能である。ガス供給能力における上述した有利な点は、この場合に同等に適用される。
本発明における有利なさらなる展開は、散水用マットの構成を変更する空の導管で特徴付けられる。散水用マットの構成に対する変更は、例えば動作過程の間における水供給エレメントの数の変更を含んでもよく、またはいくつかの水供給エレメントを停止し、異なる水供給エレメントを使用することを含んでもよい。さらに構成変更は、古いセンサー線の置き換えとして、または動作過程の間において関連があると分かった別の量の測定用に、散水用マット内にセンサー線を後で設置することであってもよい。
散水用マット内へ供給された水の塩分を決定する測定装置を設けることは、さらに有利な点である。すでに上述したように、塩類の集積は、散水用マット内に封鎖状態をもたらすことが可能であり、その結果、動作能力が低下することになる。さらにその上、余りに高い塩分は植物にダメージを与える。供給された水の塩分を決定する能力を考慮すると、このような塩類の集積の形成および植物へのダメージは、許容し得る塩分を有する水を散水用マットへ供給することによってだけ、前もって十分に阻止可能である。
用いられる方法に依存して、例えば伝導度測定を通じて水分レベルを決定する上述したセンサー線を用いる場合、塩分は散水用マット内の水分レベルの決定にさらに影響を及ぼすことが可能である。この場合、水分レベル用に決定された値は、供給された水の塩分に依存する係数で補正されなければならない。特に塩分が変数の場合、問題が生じる。したがって、供給された水の塩分が知られている場合に、水分レベルの正確な決定が可能なだけである。
本発明のさらなる態様は、特に園芸および造園において用地区画を散水するのに用いられる水を、さらに効率的に使用する潅漑システムに関し、
− 広域に水を分配する散水用マットであって、散水用マット内の水分レベルを検出する手段を有する散水用マットと、
− 散水用マットの動作に関する情報を入力する入力部と、
− 散水用マット内へ水を供給する送水デバイスと、
− 散水用マットへ供給された水の塩分を決定する測定装置と、
− 散水用マットへ供給された水の量を決定する測定デバイスと、
− 天気に関連するデータを測定する、さらなる測定デバイスと、
− 散水用マット内の水分レベルおよび散水用マットへ供給された水の塩分に関連する情報、ならびに天気に関するデータ、を出力する出力部と、
− 手段、測定装置、測定デバイス、およびさらなる測定デバイスから受けたデータを記録および処理し、変換部および送水デバイスを制御する制御信号を生成する制御部と、を有する。
本発明による潅漑システムにおける有利なさらなる展開は、手段、測定装置、測定デバイス、さらなる測定デバイスから、記録および処理のために制御部によって受けたデータと、変換部および送水デバイスを制御するために制御部によって生成された制御信号と、を受信ステーションへ送信する送信部である。
本発明のさらなる態様は、特に園芸および造園ならびに農業において用地区画を散水するのに用いられる水を、さらに効率的に使用する方法に関し、
− 散水用マットによって、広域に水を分配するステップと、
− 入力部によって、散水用マットの動作に関する情報を入力するステップと、
− 手段を用いて、散水用マット内の水分レベルを検出するステップと、
− 送水デバイスによって、散水用マット内へ水を供給するステップと、
− 散水用マットへ供給された水の塩分を、測定装置によって決定するステップと、
− 散水用マットへ供給された水の量を、測定デバイスによって決定するステップと、
− さらなる測定デバイスによって、天気に関連するデータを測定するステップと、
− 制御部によって、手段、測定装置、測定デバイス、およびさらなる測定デバイスから受けたデータを記録および処理するステップと、
− 制御部によって、変換部および送水デバイスを制御する制御信号を生成するステップと、を有する。
本発明による方法は、手段、測定装置、測定デバイス、およびさらなる測定デバイスから、記録および処理のために制御部によって受けたデータと、変換部および送水デバイスを制御するために制御部によって生成された制御信号と、を受信ステーションへ送信するステップによってさらに展開される。
本発明のさらなる態様は、特に園芸および造園ならびに農業において用地区画の潅漑に用いられる水を、さらに効率的に使用する制御システムであり、コンピュータ上でコンピュータプログラムが実行される場合に次のステップを実行するようにコンピュータに指示するプログラム手段を含む制御システムに関し、
入力部、測定装置、測定デバイス、およびさらなる測定デバイスから受けた情報を処理するステップであって、入力部から受けた情報は、散水用マットの動作に関し、測定装置から受けた情報は、散水用マットへ供給された水の塩分に関し、測定デバイスから受けた情報は、散水用マット内へ供給された水の量に関し、さらなる測定デバイスから受けた情報は、天気に関連するデータに関する、ステップと、
受けた情報を記録するステップと、
変換部および送水デバイスを制御する制御信号を生成するステップと、を有する。
本発明は、次の図面を用いてさらに詳細に説明される。
本発明における可能性のある実施の形態例の側面図を示す。 本発明による潅漑システムにおける有利な実施の形態の変形例を示す。
散水用マット10は、1つの第1担体層12および1つの第2担体層14を有し、これらの層の間には、水供給エレメント16が配置されている。水供給エレメント16は穿孔34を有し、長手方向または横断方向に沿って配置されてもよく、種々の直径および断面の形状を有してもよい。しかしながら、散水用マット10内の圧力降下を弱めるためには、長くて広いマットに対しては、長手方向に沿って水供給エレメント16を配置することが実用的である。特に相当に大きい散水用マット10を、異なる水供給エレメント16によって供給されるいくつかの区画に細分することによって、圧力降下はさらに低減可能である。この場合、個別の水供給エレメント16は、供給するように意図されている散水用マット10の特定の区画内においてだけ、穿孔34を有する。残りの区画では穿孔を少しも含まず、これらの区画を通して水を導くだけである。水供給エレメント16において種々の直径を設けることにより、圧力降下はさらに低減可能である。散水用マット10をいくつかの区画に細分することによって、設置している間の追加の労力は何も必要とされない。
2つの担体層12および14は、1つのまたはいくつかの接続18によって互いに着設される。図示された例において、接続18のそれぞれは、それぞれの水供給エレメント16に隣接して位置している。さらに2つの接続18間に、センサー線20が配置される。これらは、散水用マット10内の水分レベルを直接に検出するように具体化されるか、または散水用マット10全体に一様に配置されたいくつかの水分センサーの配線を表すかのいずれであってもよい(水分センサーは図1には示されていない)。さらに第1担体層12と第2担体層14との間に吸収層22が配置され、水貯蔵の役目を果たす。この吸収層22は、吸収性のファイバーベッドとして具体化可能であり、高吸収性の樹脂を含んでもよい。吸収層22の貯水容量は、高吸収性の樹脂およびファイバーベッドの両方によって高められる。図示された散水用マット10は、さらに毛細管障壁24を有する。図示された例では、この障壁は、屈曲耐性ファイバーおよび/または布地切れ端で形成され、ファイバーおよび/または布地切れ端を、事前に定められたスペース内に保つ網状構造26によって囲まれる。図示された実施の形態例では、水供給エレメント16は、吸収性の布地被覆28を有する直線状の形状で具体化されている。
図示された例では、水の導入と並行して、散水用マット10内へガスを導入する能力を作り出すために、水供給エレメント16に加えてガス供給エレメント36が設けられる。図1に従う現存の水供給エレメント16は、さらにガス供給として使用可能であり、所望のように、水供給エレメント16とガス供給エレメント36との設計上の差は何もない。このための必要条件は、水供給エレメント16が、ガスを供給するのに適切である、すなわちガスを通さない材料で構成されるという点である。その結果、ガスは意図された位置からだけ流れ出すことが可能であり、水供給エレメント16はガス供給システムに接続可能となる。しかし設計はさらに異なってもよく、例えば吸収性の布地被覆28は、設けられていたなら、取り除かれることが可能である。
図1に示されたエレメントのすべては、単一の構成要素へと組み合わせられ、その結果、これらのエレメントのすべてを含む散水用マット10が、単一の作業動作で設置されることが可能となる。地盤内に散水用マット10を設置することによって、散水用マット10の上方に位置した第1用地区画30および散水用マット10の下方に位置した第2用地区画32が作り出される。この場合、散水される植物(図示されていない)は、主として用地区画30内に位置している。代わりの構成としては、散水用マット10は、地盤上に、すなわち地盤の上方に直接に設置可能であり、例えば、ロールアウトグラス(巻状から展開された草地)は、担体層12上に直接に置かれることが可能である。例えば、植木鉢は、鑑賞植物の栽培またはバルコニーでの植林において一般的に行われているように、担体層12上に直接に置かれることが可能である。しかしながら、この場合の水の蒸発は、地下設置の場合よりも高い。地盤領域30に位置した植物の根は、散水用マット10内へ浸透することが可能であり、場合によってはモデルに依存して横切ることさえある。
散水用マット10の設置後、水供給エレメント16は、水供給システム(図示されていない)へ接続される。引き続いて散水用マット10内へ水が供給され、水供給エレメント16は水で充填される。穿孔34を経由して吸収性の布地被覆28内へ水が入力し、水供給エレメント16の全長にわたって水の一様な分布をもたらす。最適な放水を確実にするために、穿孔34は、種々の直径および形状を有することが可能である。吸収層22は、この状態から、その最大吸収容量に達するまで、すなわち水で完全に充填されるまで、水を吸収する。散水用マット10へ供給されるいかなる追加の水も、その後、第1担体層12および第2担体層14を経由して隣接する地盤領域30および32へ放出される。さらに担体層12および14は、導水布地、特にフリース材料でできた織布で構成されてもよく、その結果それらは、散水用マット10全体にわたってさらに一様な水分布を得るのに、同様に寄与する。散水用マット10全体を通して水を一様に分布させることは、種々の水分レベルを有するゾーンの形成を防止しまたは少なくとも低減するから、重要である。いくつかの地盤領域は、地形および土壌の特性に起因して、別の地盤領域よりも水の消費量が高い。したがって、これらのゾーンは、別のゾーンよりも、散水用マットからさらに水を引き出す。フリース材料でできた織布の導水能力は、必要がある場所に水が輸送されることを確実にする。これにより、散水用マット10内における水分レベルの勾配が低減される。
すでに上述したように、成長初期における植物の根は、当初は用地区画30に独占的に含まれている。したがって、水を用地区画32へ供給することは、実用的ではない。この理由で、散水用マット10へ供給された水を用地区画30内へ独占的に放出するために、および同時に、用地区画32から散水用マット10内への水の進入を防止するために、担体層14は、毛細管層の代わりに、水−不浸透性層(図示されていない)を設けることが可能である。植物根が散水用マット10内へ浸透することが可能であるにもかかわらず、水−不浸透性層は、植物根が散水用マット10の全体を横切ることを防止する。
図示された例では、毛細管障壁24は、第2担体層14の下方に配置される。毛細管障壁24は、地盤の毛細管作用を分裂させ、用地区画32からの水が散水用マット10に達することができないようにする。しかしながら、毛細管障壁24は水−浸透性であり、散水用マット10が用地区画32内へ水をさらに放出するようにする。土壌の塩分が極めて高く、毛細管障壁24が存在していない場合、塩類は散水用マット10内に集積し、その結果、穿孔34が詰まり、それゆえに散水用マット10の動作能力に障害をもたらす。さらにその上、堆積した塩類は供給された水に溶解し、高められた塩分を有する水が植物へ供給され、植物にダメージを与えることになる。担体層14において水−不浸透性層が設けられる実施の形態の変形例と対照的に、植物根は散水用マット10をどこでも横切ることが可能である。
水分レベルを検出する手段20は、散水用マット10の水分レベルを最適な範囲に維持する目的で設けられる。手段20は、水分レベルを数値化することが可能であり、理想的には、電子的に記録可能な形式で水分レベルを出力することが可能であるように具体化される。手段は、制御部またはフィードバック制御部50(図2を比較)へ接続され、例えばポンプなどの送水デバイス40(図2を比較)を起動することによって、決定された水分レベルに従って散水用マット10内への水の供給を制御してもよい。代わりの構成としては、手段20は、出力部46(図2を比較)によって水分レベルを表示し、例えば視覚、聴覚、または触覚形式で、随意で警告を出すだけであり、その結果、水分レベルが再び最適範囲内となるまで、水の供給が手動で増加または減少可能となる。このように、散水用マット10内へ余りにも大量の水を供給することが回避可能となる。散水用マット10内へ大量の水を供給すれば、植物が必要とする以上の水を用地区画30に供給することになる。これは、用地区画30内に水を集積(水浸しの土壌)し、植物の腐朽をもたらすこととなる。これは、さらに、十分な水が用地区画30へ供給されずに、植物の乾燥をもたらす状態を回避する。
吸収層22は、散水用マット10内への水の供給および地盤領域30による水の引き出しの両方において、変動を補償するバッファの役目を果たす。例えば長期間の間、散水用マット10内へ水が供給されず、同時に用地区画30の水分レベルが乾期のせいで減少する場合、用地区画30は、吸収層22から水分を引き出し、吸収層22の水分レベルが飽和限界以下に降下するようにする。吸収層22にもはや水が含まれないようになるまで、または現在、残存する水が非常に強く保持され、用地区画30または植物根の毛細管力が吸収層22から水を引き出すのに十分でないようになるまで、散水用マット10から水分が引き出されることが可能である。自身の重さの100から1000倍に対応する水量を貯蔵することが可能な高吸収性の樹脂で、吸収層22が構成される場合、乾期を少なくとも部分的に克服するのに十分な水を散水用マット10内に貯蔵することが可能なようになる。
図1に図示された散水用マット10は、さらに加えて空の導管38を設けられる。空の導管の場所および空の導管の数は、両方とも自由に選択可能である。空の導管は、散水用マット10の構成が変更される予定の場合には、特に有利な点である。例えば、散水用マット内へ導入可能な水の量が、以前の見積もりに反して、地盤の潅漑を長続きさせるのに十分ではないと見出される場合、大した努力なしに、追加の水供給エレメントを設置することが可能である。空の導管は、さらに、散水用マット10内へセンサー線20を引き続き設置することが可能なやり方で具体化することができる。現存のセンサー線が、例えば不適切な設置のせいで、散水用マット10内の種々の位置で切断され、もはや完全に移動させることが可能ではない場合、現存のセンサー線20の再配置は、問題があると分かる。空の導管38は、さらに、散水用マットの動作過程の間においてだけ関連があると分かった量を測定するのに使用されるセンサー線に利用可能である。
図2は、本発明による潅漑システムの有利な実施の形態の変形例を図示する。潅漑システムは散水用マット10を有し、散水用マット10は、散水用マット10内の水分レベルを検出する手段20’から20’’’を備える。送水デバイス40の助けを借りて、水流線54経由で散水用マット内へ水が供給される。水流線54は、供給された水の塩分を決定する測定装置42、および供給された水の量を決定する測定デバイス44を含む。潅漑システムは、さらに制御部50を有し、制御部50は、対応する線を経由して、入力部58、測定デバイス48、出力部46、および送信部56と接続される。
潅漑システムの動作中に、散水用マット10の動作に関する情報が、入力部58を経由して制御部内へ入力される。もっとも単純なシナリオにおいて、この情報は、散水用マット10が動作を開始するべきまたは動作を掌握するべきであることを示す。制御部は、散水用マット10内の水分レベルに関する情報を受ける。この目的のために、手段20から20’’’’が設けられる。上述したように、散水用マット10を通して一様に水が分布するので、散水用マット10全体を通して水分レベルを測定する必要はない。図示された例では、手段20は、散水用マット10のいくつかの区画(この場合、4つ)内に配置されるが、しかし特に、散水される予定の用地区画内における水の引き出しが幅広く変化すると予想可能な場合、種々の数の区画を使用することは有利な点である。
測定装置42は、供給された水の塩分に関する測定データを、制御部50へ与える。上述したように、用いられる測定方法に依存して、散水用マット10内の水分レベルの決定が、供給された水の塩分に依存的であってもよい。本発明による潅漑システムのこの実施の形態の変形例では、手段20から受ける情報であって、供給された水の塩分に関係する情報の自動的な補正を、制御部50が実行することが可能であり、その結果、水分レベルが極めて正確に決定可能となる。
制御部50は、決定された水分レベルに従って送水デバイス40を駆動する。このための条件は、入力部58を経由して形成することが可能である。例えば、水分レベルがある値以下に降下する場合、水を供給するように指定することが可能である。測定デバイス44は、散水用マット10へ実際に供給された水の量を測定する。それゆえに、水分レベルが水の供給にいかに反応するかを決定することが可能である。これは、例えば、特定の値によって水分レベルを増加させるのに必要な水の量を決定することを可能にする。さらにこれは、散水用マット10の時間遅れ、すなわち水分レベルが水の供給にいかに迅速に反応するか、の予測を形成することを可能にする。
制御部50は、出力部46にさらに接続される。出力部は、モニターまたは警告表示であってもよい。警告が出される時の基準は、入力部58を経由して指定可能である。例えば、指定された期間の間、水分レベルがある値以下にまたは以上にある場合、警告が出されるように指定可能である。これは、潅漑システムが適切に機能せず、検査が求められるという指示である。
さらに、天気に関連するデータを測定し、そのデータを記録および処理のために制御部50へ中継する、さらなる測定デバイス48が設けられる。図示された例では、測定デバイス48は、3つのセンサー52’から52’’’を有し、温度、空気湿度、および輝度を測定する。追加のセンサーが設けられてもよい。天気に関連するデータの記録は、天気に関連するデータへの、散水用マット10内の水分レベルの依存性を、経験的なやり方で見つけるのに使用される。目標は、天気に関連するデータにおける変化への、散水用マット10の反応を予測することが可能となることであり、すなわち数学的モデルを作り出すことであり、その結果、散水用マット10内の水分レベルの測定がもはや必要でないようにすることである。
例えば、散水用マット10の上方の空気温度が測定され、水分レベルと比較される場合、相関関係を決定することが可能である。温度が上昇するにつれて、散水用マット10内の水分レベルが降下し、適切な水の供給が開始できるようにする。しかしながら、予想される水分レベルについて信頼性のある予測を形成可能とするために、温度情報がそのままでは十分でなくてもよい。(コンピュータによって)温度を時間で積分することにより、土壌内へのおよび散水用マット10内への固有の熱入力が生成され、水分レベルを決定するのにさらに適しているかもしれない。散水用マット10内の水分レベルが地盤内に存在している水の蒸発に依存しているので、空気湿度を考慮に入れることにより、水分レベルの予測がさらに信頼性のあるものとなることが可能である。さらに、ちょうど風(風方向、強さ、継続期間において)と同様に、入射する太陽放射の量を表す輝度が、水分レベルに影響を及ぼす。さらにその上、土壌特性(砂質土壌は、粘土質土壌とは異なる水分を保持する)、散水用マットが設置される地下深さ、および散水される予定の植物のタイプが、水分レベルに影響を及ぼすことが可能である。しかしながら、これらの変数(土壌特性、設置深さ、植物のタイプ)は、時間依存性ではなく、それゆえに一回考慮に入れる必要があるだけである。
潅漑システムは、さらに送信部56を有し、送信部56は、制御部50によって供給され記録されたすべてのデータと、制御部50によって生成された制御信号とを、受信ステーション58へ送信することが可能である。送信は、いずれか適切なやり方でもたらされる。インターネット接続がもっとも実用的であると思われる。この場合、受信ステーション58は、オペレータおよび/または潅漑システムの製造業者によって位置付けされることが可能である。このように、潅漑システムの動作はオンラインでモニターされ、重大な動作状態は直ちに認識されることが可能である。これにより、故障の是正のために遠隔診断の能力が備えられるか、または、オペレータおよび/もしくは製造業者が、故障を見つけるために多くの時間を費やす必要なく、えり抜きの資格のある人材と直接に潅漑システムへ行動を共にすることが可能となる。サービスおよびメンテナンスは、このように著しく単純になる。
すべての操作上のデータが記録されているという事実により、法的責任問題における責任問題を容易に明確にする。例えば、繰り返し要求されたにもかかわらず潅漑システムの操作の変更がなされなかったことを、製造業者が証明できる場合、オペレータに法的責任があり、製造業者にはない。
記録する特徴は、さらに、典型的なおよび信頼性のあるやり方で潅漑システムを操作するオペレータへ、品質章を授与する選択肢を作り出す。このように、製造業者は、オペレータの品質、ならびに潅漑システムの安全性および信頼性を改善することが可能となる。さらにその上、潅漑システムが、品質章を着けているオペレータによって明らかに専門家のやり方で操作されている場合、例えば、同一の収穫高に対する明確なレベルの水節約、もしくは芝生の品質の改善、または潅漑システムにおける一定期間の機能無故障のような、具体的な結果が達成可能であるとの保証を、顧客は得ることが可能である。このような保証における条件のうちの1つは、製造業者によって保証されまたは適切であると評価されている検出器を用いて、適切に設計された供給エレメントおよび/または手段20の場所を早期に決定した後にだけ、用地区画30における構成上の方策が実行可能であることであってもよい。
上述したモデル化の態様は、さらに、関係のある動作データを送信する選択肢によって支援される。例えば、製造業者は、設置された潅漑システムのすべてから関係のある動作データを記録し、モデル化のために使用することが可能である。完全に異なる条件の基でおよび世界の種々の領域において生成された動作データを、このために使用することが可能である。この場合に展開されたモデルは、極めて広いデータ基準に基づいており、展開されたモデルの品質を改善する。
本発明は、実施の形態例を用いて説明されたが、この説明は、完全で最終的なものと見なすべきではない。明細書では説明されていないが当業者には明らかないかなる変更および修正も、本発明が基づいている主たる概念から逸脱しない。例えば、散水用マットの担体層は、説明されたやり方とは異なるやり方で、互いに接続されてもよい。さらに、供給エレメントは、種々の方向に合わせられてもよいし、いくつかの吸収層に配置されてもよい。水供給エレメントは、水を供給するようには限定されていない。原理的には、水供給エレメントは、あらゆる想像可能な流体を供給するように使用可能であるが、しかしながら本発明によって想像される流体は、植物の増殖を促進するものである。主要な部分にとってこれは水であるが、しかしながら増殖刺激添加物で高められてもよい。これらは、栄養物、微量元素、ビタミンなどであってもよい。一方で、水は、例えば酸素などのガスで高められてもよい。潅漑システムは、さらに散水用マットの動作における安全性および信頼性を増加させるセンサーを有してもよい。さらに、供給される水の粘度を測定するセンサーが想い描かれることができ、増殖刺激物質が混ぜられている場合、特に関係がある。余りに高い粘度は、地盤領域内への放出を遅らせることが可能である。
本発明によるさらなる実施の形態の変形例は、請求項27および次において説明される。
本発明が基づく関係のある概念は、散水用マットが、2つの担体層、すなわち上端に位置する第1担体層および下端に位置する第2担体層で構成されるだけではなく、これらの2つの担体層が吸水容量または貯水容量について異なっていることである。上方の担体層の吸水容量、すなわち貯水容量は、より下方の担体層の吸水容量よりも大きい。
さらに、より大きい/より小さい貯水容量の比率を逆にすることが考えられるが、しかし上方の担体層が下方の担体層よりも高い貯水容量を有するという、より実用的な試みが示された。
下方の担体層は、好ましくはプラスチック材料、例えば最大で大略50から80%のポリプロピレンおよび大略20から50%のポリアクリル酸塩材料で構成され、この場合の好ましい貯蔵容量(吸収容量)は、1平方メートルにつき大略0.5から2リットルの水である。
上方の担体層は、好ましくは少なくとも3つの材料、すなわちポリプロピレン、ポリエチレン、およびビスコースで構成され、ポリプロピレンの構成成分は30から50%の範囲内にあり、ポリエチレンの構成成分は15から40%の範囲内にあり、ビスコースの構成成分は10から45%の範囲内にある。この担体層の貯蔵容量は、1平方メートルにつき大略1.2から5リットルの水であるべきである。実際の貯水容量は可変であり、特に、ビスコースのより高い割合によって増加されることが可能である。
個別の場合に対して調整された特定の貯蔵容量は、主として成長する植物に依存し、しかしさらに本発明による散水用マット上に用いられる土壌材料に依存する。例えば、本質的により低い貯水容量を有する土壌材料の場合、散水用マットはより高い貯蔵容量を含み、本質的により高い貯水容量を有する土壌材料の場合、マット自身はより低い貯水容量を有することが可能である。
さらに、本発明による散水用マットが、土壌内の水/湿気の塩分を測定する測定デバイスを備える場合、特に有利な点であるこの測定デバイスは、散水用マットの領域内における、水もしくは水分または土壌の電気的伝導度を測定する、電気的伝導性測定デバイスで構成可能である。測定デバイス自身は、散水用マットにおける2つの担体層間、または散水用マットの下方もしくは上方に配置されることが可能である。
最後に、本発明によれば、本発明のさらなる展開が、2つの担体層間の大地材料、例えば粘土もしくはローム土層または類似のもの、すなわち一方では貯水容量を有し、他方では現存の土壌材料内におけるあらゆる起こり得るミネラル不足を補償するためにミネラルコンテンツを有する材料、を配置することで特徴付けられることが可能である。

Claims (21)

  1. 芸および造園ならびに農業において、広域に水を分配する散水用マットであって、
    前記散水用マットのエレメントを収容できる、1つの第1担体層および1つの第2担体層(12、14)と、
    前記第1担体層と前記第2担体層(12、14)とを接続する、1つ以上の接続(18)と、
    前記第1担体層と前記第2担体層(12、14)との間に配置されたエレメントであって、前記散水用マット内へ水を供給し、前記散水用マット内に水を分配する、1つ以上の水供給エレメント(16)と、
    前記第1担体層と前記第2担体層(12、14)との間に配置された、水貯蔵用の1つの吸収層(22)と
    前記散水用マット内の水分レベルを検出する手段(20)と
    前記散水用マット内の塩類の集積を防止する毛細管障壁(24)と、を有し、
    前記毛細管障壁(24)は、前記第2担体層(14)の下方に配置され、前記接続(18)を用いて前記散水用マットに着設されることで特徴付けられる、散水用マット。
  2. 前記手段(20)は、前記第1担体層と前記第2担体層(12、14)との間に配置されることで特徴付けられる、請求項1に記載の散水用マット。
  3. 前記手段(20)は、センサー線として具体化されることで特徴付けられる、請求項1から2のいずれか1つに記載の散水用マット。
  4. 前記手段(20)は、水分センサーおよび関連付けられた配線を有することで特徴付けられる、請求項1から3のいずれか1つに記載の散水用マット。
  5. 前記担体層(12、14)は、導水材料、織布地のような布地で構成されることで特徴付けられる、請求項1から4のいずれか1つに記載の散水用マット。
  6. 前記接続(18)は、縫い合わせ状形式で具体化されることで特徴付けられる、請求項1から5のいずれか1つに記載の散水用マット。
  7. 前記吸収層(22)は、吸収性のファイバーベッドを有することで特徴付けられる、請求項1から6のいずれか1つに記載の散水用マット。
  8. 前記吸収層(22)および/または前記ファイバーベッドは、高吸収性の樹脂を含み、貯水容量を高めることで特徴付けられる、請求項に記載の散水用マット。
  9. 前記水供給エレメント(16)は、平らなホースとして具体化されることで特徴付けられる、請求項1から8のいずれか1つに記載の散水用マット。
  10. 前記水供給エレメント(16)は、穿孔された潅漑ホースまたはソーカーホースとして具体化され、水供給システムに接続されることが可能なことで特徴付けられる、請求項1から9のいずれか1つに記載の散水用マット。
  11. 前記水供給エレメント(16)は、水用の散水ろ床を備えることで特徴付けられる、請求項1から9のいずれか1つに記載の散水用マット。
  12. 前記水供給エレメント(16)は、吸収性の布地被覆(28)を有する線状の形状で具体化されることで特徴付けられる、請求項1から11のいずれか1つに記載の散水用マット。
  13. 前記水供給エレメント(16)およびまたは水分レベルを検出する前記手段(20)は、検出器を用いて前記水供給エレメントおよびまたは水分レベルを検出する前記手段の場所が検出可能なことで特徴付けられる、請求項1から12のいずれか1つに記載の散水用マット。
  14. 前記担体層(12、14)間における前記水供給エレメント(16)の横の固定化用に、および前記水供給エレメント(16)と前記担体層(12、14)との間の高さ調整として、充填用のストリップを設けることが可能なことで特徴付けられる、請求項1から13のいずれか1つに記載の散水用マット。
  15. 前記第2担体層(14)は、水−浸透性外面を有することで特徴付けられる、請求項1から14のいずれか1つに記載の散水用マット。
  16. 前記毛細管障壁(24)は、根を固定するマットとして具体化されることで特徴付けられる、請求項1から15のいずれか1つに記載の散水用マット。
  17. 前記毛細管障壁(24)は、屈曲耐性ファイバーおよび/または布地の切れ端で形成され、網状構造で包まれることで特徴付けられる、請求項1から16のいずれか1つに記載の散水用マット。
  18. 前記水供給エレメント(16)は、前記散水用マット内へガスを供給するのに使用可能なやり方で具体化されることで特徴付けられる、請求項1から17のいずれか1つに記載の散水用マット。
  19. 前記散水用マット内へガスを供給するガス供給エレメントで特徴付けられる、請求項1から18のいずれか1つに記載の散水用マット。
  20. 前記散水用マットの前記構成を変更する空の導管(38)で特徴付けられる、請求項1から19のいずれか1つに記載の散水用マット。
  21. 前記散水用マット内へ供給された水の塩分を決定する測定装置(42)で特徴付けられる、請求項1から20のいずれか1つに記載の散水用マット。
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