JP5425005B2 - 圧電部品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、携帯電話機等の移動通信機器に使用される、SAWデュプレクサ、SAWフィルタに用いられる弾性表面波(SAW)デバイス及び圧電薄膜フィルタ等の圧電部品に関し、とく、にウェハレベルで圧電素子をチップサイズにパッケージング、かつ、中空部を構成する外囲壁部及び天井部にナノフィラーまたはマイカフィラーを添加した感光性樹脂フィルムを用い中空部の耐モールド圧力性を向上させた圧電部品及びその製造方法に関する。
携帯電話機に搭載される圧電部品(SAWデバイス)では、圧電効果により電極が振動する空間を確保する必要り、その櫛歯電極部(IDT電極部)の周囲に所定の中空部が不可欠である
従来SAWデバイスの小型化を図るため、SAW素子チップを金(Au)バンプあるいは半田バンプを用いて、配線基板にフリップチップ・ボンディング(フェースダウン・ボンディング)し、樹脂等でSAW素子チップ全体を封止して、SAWデバイスの小型パッケージ・デバイスを構成している。
さらに、SAWデバイスの小型化・低背化を図るため、櫛歯電極部の周囲に所定の中空部を形成し、この中空部を保持したまま、櫛歯電極側の集合圧電基板(ウェハ)全体を樹脂で封止し、外部接続電極を形成した後、ダイシングにより個々のSAWデバイスに分割してなる超小型化されたチップサイズ・パッケージSAWデバイスが提案されている。
例えば、特許文献1に記載されているSAWデバイスでは、櫛歯電極が形成されているSAWチップ(圧電基板)の上面に感光性樹脂からなる空隙(中空部)形成層(外囲壁)を形成し、この空隙形成層の上に封止層(天井部)を積層して封止し、櫛歯電極の周囲に空隙(中空部)を形成している。
また、特許文献2に記載されているSAWデバイスでは、櫛歯電極が形成されているSAWチップ(圧電基板)に対面して貫通電極を有するカバーを金属接合部を介して接合して封止し、SAWチップとカバーの間に櫛歯電極を収容する中空部を形成していた。
さらに、特許文献3に記載されているSAWデバイスでは、圧電基板の表面に設けたSAW素子と、このSAW素子上に中空部を有する第1樹脂部と、この第1樹脂部の上に第2樹脂部を設け、この第2樹脂部にシリカフィラーを添加して、第2樹脂部(天井部)の弾性率を向上させるようにしてある。
特開2006−108993号公報 特開2006−197554号公報 特開2007−142770号公報
しかしながら、この種の圧電部品を客先においてトランスファーモールド等で実装用基板等に実装してモジュール等に使用する際に、通常、5MPaから15MPaの圧力が付与されるため、特許文献1に記載されているSAWデバイスの空隙(中空部)形成層及び封止層を有機材料のみで構成した場合には、天井部を構成する封止樹脂層を厚くするか、あるいは硬い材料で構成しなければ、トランスファーモールド等で樹脂封止する際、櫛歯電極を収容する中空部が潰れてしまい、櫛歯電極の電気的特性を損なってしまうおそれがあった。しかし、封止樹脂層を厚くすること、及び硬い材料で封止樹脂層を構成して所望の耐モールド圧力性を、この種の樹脂封止に用いられている感光性樹脂材料のみで、実現することは極めて困難であった。
また、特許文献2に記載されているSAWデバイスでは、貫通電極を設ける貫通孔のカバーへの形成、及びSAWチップ(圧電基板)とカバー(基板)の接合・貼り合せのために別途電極が必要であるとともに、基板同志の貼り合せの際に、基板に“そり”が発生するおそれがあり、また、同一素材(圧電基板)からなる基板(ウェハ)を貼り合せるので、圧電部品の製造コストが高くなるおそれがあった。さらに、圧電部品の低背化を実現するためには、基板(ウェハ)の薄片化が不可欠であるが、その実現化は、極めて困難であった。
さらに、特許文献3に記載されているSAWデバイスでは、第2樹脂部(天井部)を構成する感光性樹脂にシリカフィラーを添加して弾性率の向上を図っているものの、添加するシリカフィラーの粒径が0.01μmから8μmと大きいため十分な耐モールド圧力効果が得られなかった。
上記した課題を解決するために、本発明は、櫛歯電極を封止する中空部を構成する外囲壁部に用いる感光性樹脂にナノフィラーを添加し、また、天井部に用いる感光性樹脂にナノフィラーまたはマイカフィラーを添加して、感光性樹脂フィルムを形成して外囲壁部及び天井部の弾性率を向上させ、耐モールド圧力性に優れ、かつ、低背化・小型化を実現した圧電部品を低コストで製造する。
そのため本発明の圧電部品は、圧電基板と、該圧電基板の主面に形成された櫛歯電極と、該櫛歯電極に隣接して配設された素子配線部を有する配線電極とからなる圧電素子と、前記素子配線部の上面に形成された絶縁層と、該絶縁層の上面に形成された再配線層と、該再配線層の上面から、前記櫛歯電極を除き、その全面を覆う無機材料からなる保護膜層と、該保護膜層上に感光性樹脂フィルムを積層して形成した外囲壁部と、該外囲壁部の開口先端部に前記感光性樹脂フィルムを積層して形成した天井部と、該外囲壁部及び天井部を貫通して形成した電極柱と、からなり、ここで、前記感光性樹脂フィルムが、平均粒径が1.0nm以下の無機材料からなるナノフィラーまたはマイカフィラーを含み、かつ、弾性率が3.0GPa以上である感光性樹脂からなる。
また、本発明の圧電部品の製造方法は、集合圧電基板と、該集合圧電基板の主面に形成された圧電素子と、前記集合圧電基板に形成された配線部と、該配線部に接続され前記集合圧電基板に形成された貫通電極と、前記圧電素子の上面を囲むように設けた中空部とからなる圧電部品の製造方法において、前記集合圧電基板の主面に形成された前記圧電素子を囲む外囲壁部を、感光性樹脂フィルムを前記集合圧電基板の主面に積層して形成する工程と、該外囲壁部の上面に感光性樹脂フィルムを積層して第1天井部を形成する工程と、からなり、前記感光性樹脂フィルムが、平均粒径が1.0nm以下の無機材料からなるナノフィラー及び/またはマイカフィラーを含み、かつ、弾性率が3.0GPa以上の感光性樹脂からなることを特徴とする。
耐モールド圧力性に極めて優れ、かつ、低背化・小型化された圧電部品を、部品の厚みを大にすることなく、低コストで製造できる。
本発明の圧電部品の実施例であるSAWデバイスを示す図である。 本発明の圧電部品の実施例であるSAWデバイスの製造方法の概略工程を示す図である。 感光性樹脂フィルムへのナノフィラー添加量(重量%)と弾性率(150℃)との関係を示すグラフである。 感光性樹脂フィルムが樹脂のみの場合(曲線A)、ナノフィラーを充填した場合(曲線B)、及びマイカフィラーを感光性樹脂フィルムに充填した場合(曲線C)の所定の温度範囲(常温、モールド温度、ガラス転移温度及びリフロー温度にわたる)におけるそれぞれの弾性率を示したグラフである。
以下、本発明の圧電部品及びその製造方法について、ここに添付する図1及び図2に基づいて、詳細に説明する。
圧電部品(SAWデバイス)
図1は、本発明の圧電部品の実施例であるSAWデバイスを示す。
このSAWデバイス1は、図1に示すように、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の圧電性基板あるいは基板上に形成した圧電機能を有する圧電基板(ウェハ)2と、この圧電基板2の主面にスパッタリングあるいは蒸着により形成されたアルミ膜からなるIDT電極3と、感光性樹脂フィルムからなり圧電基板2の主面上に積層されたその上端部に開口部を有する外囲壁部4と、この外囲壁部4の上端面に積層される同じく感光性樹脂フィルムからなる天井部5とからなり、積層された外囲壁部4と天井部5と圧電基板2の主面との間にIDT電極3及び配線電極を囲む中空部Cが形成されている。
さらに、圧電基板2の、例えば、その四隅には、4本の電極柱(電極ポスト)6が封止樹脂Pに形成された孔(ビアホール)中に電解メッキで形成され、電極柱6の上端部は、圧電基板2の主面に形成された配線電極と、またその他端部は、端子電極7にそれぞれ電気的に接続されている。そして、必要に応じてこれらの貫通電極7の下端部には半田ボール電極10が固着され、それらの周りにフラックスが供給されて、実装基板P(プリント基板)の外部配線電極(図示なし)に半田ボール電極10それぞれ接続される。ここで、貫通電極7の下端部に半田ボール電極10を固着させる理由は、貫通電極7間のピッチが、例えば、200μ程度に狭くなると実装基板Pへの接続作業が極めて困難となるので、半導体素子のモジュール化のために客先でプリント基板に実装作業をする際、予め貫通電極7の下端部に直径が150μ程度の半田ボールを固着させて、半田ボール電極10を構成するようにする。なお、客先で貫通電極7を直接半田ペーストを用いて実装基板Pへ接続できる場合は、半田ボール電極10を固着させなくてもよい。
ここで、櫛歯電極3と配線電極とが圧電素子を構成し、圧電素子として、弾性表面波(SAW)素子のほかに、FBAR、MEMSで製造した素子等に適用可能である。
また、配線電極を構成する素子配線は、Al、Cu、Au、Cr、Ru、Ni、Mg、Ti、W、V、Ta、Mo、Ag、In、Snのうちのいずれか一つを主成分とする材料、またはこれらの材料と酸素、窒素、けい素との化合物、あるいはこれらの材料の合金、または金属間化合物、これらを多層に積層した配線から構成する。
また、IDT電極3及び配線電極を形成した圧電基板2の主面には、SiO2層、感光性樹脂からなる絶縁層8ならびに、この絶縁層8の上表面に再配線層9を、順次形成し、さらに、再配線層9の上に、IDT電極3を除き、その全面を覆う薄膜の無機材料からなる保護膜層を形成する。
ここで、圧電基板2の主面に形成する絶縁層8を形成する際、まず、ポリイミドを主成分とする有機材料からなる絶縁層を形成し、さらに、この絶縁層の表面(上面)に無機材料からなり、膜厚が200オングストローム以上の絶縁層を形成してもよい。
また、前述した再配線層の表面に形成する保護膜層を構成する無機材料としては、SiO2、石英ガラス、炭素繊維等が好適である。
とくに、本発明の圧電部品の実施例であるSAWデバイスでは、再配線層9の上面に形成した保護膜層の上面に感光性樹脂フィルムからなる外囲壁部4を形成し、さらに外囲壁部4の上端面に同じく感光性樹脂フィルムを積層して天井部5を形成し、外囲壁部4及び天井部5を形成する感光性樹脂フィルムとして、平均粒径が1.0nm(ナノメートル)以下の無機材料からなるナノフィラー(nano−filler)が添加され、かつ、その弾性率が3.0GPa(ギガパスカル)以上(180℃以下の温度で)の感光性エポキシ樹脂を用いる(図3参照)。
このような1.0nm以下の平均粒径をもつナノフィラーが添加され、かつ、その弾性率が3.0GPaの感光性樹脂フィルム(例えば、エポキシ樹脂フィルム)を外囲壁部4及び天井部に用いることにより、耐モールド圧力性に極めて優れ、かつ、低背化・小型化された圧電部品(SAWデバイス)が、部品の厚みを大にすることなく、低コストで製造できるようになる。
とくに、本発明の圧電部品の実施例のSAWデバイスでは、客先での当該SAWデバイスの実装用基板へのトランスファーモールド(樹脂封止)時に、SAWデバイスに付与される高圧(例えば、5MPaから15MPa)に十分耐えて、中空部が潰されてしまい櫛歯電極の電気的特性が損なわれるのを防止するため、外囲壁部及び天井部を形成する感光性樹脂に平均粒径が1.0nm以下のナノフィラーを添加した感光性樹脂フィルム(例えば、厚みが、50μm〜100μm)を用いる。
通常、ナノフィラーとは、その平均粒径1μm以下、とくに1nm〜500nmのものをいうが、本発明のナノフィラーとしては、平均粒径が、1nm以下、とくに0.8nm以下のものを用い、重量比で0.0%〜30%のナノフィラーを添加した感光性樹脂フィルムを用いる。
一般に、添加するフィラーのサイズ(粒径)が大きい(例えば、平均粒径が4μmシリカフィラー)場合には、フィラー充填率が低いと、弾性率を高める効果が低いため、フィラーの感光性樹脂への添加量が、少なくとも30%以上なければ、期待する弾性率向上の効果が得られない。そのため、感光性樹脂フィルムの価格が高価になるとともに、粘性が高くなり、樹脂封止時に所望のリフロー効果が得られないとする、問題点があった。
これに対して、本発明では、平均粒径が1nm以下、とくに0.8nm以下の、ナノフィラーを重量比で1%〜30%程度(少量の添加量、例えは5%程度でもよい)添加した感光性樹脂をフィルム状に成形し、この感光性樹脂フィルムを加熱・押圧して圧電基板に貼り付け、外囲壁部を形成し、さらに、この外囲壁部の先端部に同じくナノフィラーを添加した感光性樹脂フィルムを加熱・押圧して貼り付け(積層し)、天井部を形成して、弾性率が向上した(硬い)中空部を構成する。
さらに、このナノフィラーの添加により、感光性樹脂フィルムの熱膨張係数を小さくすることができるほか、その硬化時の収縮率が小さくなるとともに、ガラス転移温度が150℃から195℃に上昇して、モールド加熱時の温度範囲(150〜180℃)においても、所定の弾性率(3GPa)を保持することができるようになる。
また、ナノフィラーの添加量が、前記したように、シリカフィラーの添加量よりも少ないため、感光性樹脂材料として、フォトリソグラフィー及び現像後の外囲壁部及び天井部の形状の劣化を極力少なくすることができる。
さらに、通常、感光性樹脂材料では、通常のフィラーを樹脂材料に添加することにより、感光性樹脂材料の弾性率を高くすることは、可能であった。しかし、感光性樹脂材料中での感光時に、光が屈折率の相違により乱反射するため、従来用いられていたフォトリソグラフィーでは、所望の形状に外囲壁部及び天井部を形成することが極めて困難であった。しかし、ナノフィラーを用いることにより、それらの形状を適正に構成することが可能となった。
ここで、本発明で感光性樹脂材料に添加する粒子状のナノフィラーの材料としては、SiO2、シリカ、マイカ等の透光性をもつものが最適である。なお、ナノフィラーに加えて、平均粒径が15μm以下のフィラーを感光性樹脂材料に加えて、弾性率を高くすることも可能である。
また、本発明では天井層5を形成する感光性樹脂材料にナノフィラーに加えて平均粒径が15μm以下のマイカ(雲母)フィラーを添加し、または、ナノフィラーに代えて前記マイカ(雲母)フィラーだけを感光性樹脂材料の10〜45重量%添加して、形成時にマイカフィラーを感光性樹脂フィルムの面に対して同一方向に向くように高配向して感光性樹脂フィルムを形成する。とくに、マイカフィラーは、例えば、90とアスペクト比(短片と長片との比)が大きく、薄くて強度が大で、かつ、低価格(SiO2等からなるナノフィラーよりも低廉)で得られるものである。
このマイカフィラーの感光性樹脂フィルムへの添加により、4.6GPa程度の弾性率が、8.3GPa程度まで向上して高弾性化されることが、本発明者により実証されている(図4参照)。
また、感光性樹脂の硬化剤を変更すること(ガラス転移温度の上昇)により、感光性樹脂フィルム自体の弾性率が2GPaから2.8GPaに向上して高弾性化が図れるとともに、そのガラス転移温度(Tg)を、例えば178℃から194℃に上昇でき、トランスファーモールド時の強度が向上した。
圧電部品の製造方法
次に、本発明の圧電部品の製造方法を、その実施例であるSAWデバイスの製造方法について、図2に基づいて説明する。
まず、図2に示すように、LiTaO3、LiNbO3、水晶等からなる集合圧電基板(ウェハ)を準備し、工程(1)で、集合圧電基板の主面に〔切断後に個片を形成する個々(例えば、7000個)の圧電部品(SAWデバイス)となる圧電基板〕、それぞれ対応する櫛歯電極(IDT)及びこれに接続される配線電極を、Al等からなる金属膜をスパッタリングまたは蒸着して、所定の厚み(例えば、2000〜4000オングストローム)に成膜し、フォトリソグラフィーにより不要な金属膜及び残存するレジストを除去して、櫛歯電極及び配線電極(以下、「圧電素子」という)を形成する。
次いで、工程(2)で、圧電素子の表面に、SiO2等の無機材料あるいは有機材料からなる保護膜(SiO2膜)を形成する。圧電素子の上面にSiO2等からなる保護膜(SiO2膜)を形成する際には、まず、SiO2膜を圧電素子上に形成し、その後、圧電基板全体に感光性樹脂からなるレジストを塗布し、フォトリソグラフィー及びCF4ガス等によるドライエッチングにより保護膜(SiO2膜)を形成する。
ここで、本発明の圧電部品の製造方法の実施例では、感光性レジストを予め形成した圧電素子の上面に塗布し、フォトリソグラフィーを用いてパターン形成し、その後、SiO2等の無機材料をスパッタリングしてSiO2膜を圧電素子の表面に形成する。さらに、溶媒を用いたリフトオフによりレジストを除去し、圧電素子上面の必要な部位にのみSiO2保護膜を残存させることもできる。
さらに、IDT電極部及び配線電極を除く、SiO2保護膜上に、誘電率が3.5以下の感光性樹脂〔例えば、BCB樹脂(サイクロテン;Cyclotene(登録商標)〕を塗布して絶縁層を形成し、フォトリソグラフィーにより、IDT電極及び配線電極を露出させる(工程3)。
次に密着層としてのCr及び導体層としてのCuをSiO2膜上に形成した絶縁層に蒸着させ、レジスト塗布した後、フォトリソグラフィーによりIDT電極と配線電極を露出させた後、レジスト上に付着したCr及びCuをリフトオフ(エッチング)により除去し、再配線層の形成を行う(工程4)。
工程5では、先に形成した再配線層の上表面に、IDT電極を覆うようにしてSiO2を厚さが100〜500オングストローム程度の無機材料あるいは有機材料からなる保護膜層を形成し、IDT電極をドライエッチングにより露出させた後、Cr/AlあるいはTiW/Cu等の材料によりメッキ用電極を圧電基板の保護膜層の表面上に形成する。
次いで、ナノフィラーを添加した感光性樹脂フィルムを加熱・軟化させて保護膜層上にラミネート(積層)し、フォトリソグラフィーによりパターニング、露光、現像を行い先端開口部をもつ外囲壁部を形成する(工程6)。
さらに、先に形成した外囲壁部の先端開口部に、同様に、ナノフィラーまたはマイカフィラーを添加した感光性樹脂フィルムを加熱・軟化させてラミネート(積層)し、フォトリソグラフィーにより天井部を形成する(工程7)。
これらの工程6及び7により、図1に示すように、封止樹脂Pからなる外囲壁部4と天井部5とで囲まれた中空部Cが樹脂封止部に形成される。
さらに、工程8で、感光性樹脂フィルムからなる外囲壁部と天井部に、すでに形成されている孔(ビアホール)、にCu電解メッキを施して埋めて電極柱を形成し、工程9で電極柱の下端に形成した端子電極にNi及びAu無電解メッキを施す。
ここで、電極柱をCu電解メッキにより形成し、電極柱の下面にNi及びAuメッキ無電解メッキを施して端子電極を形成する。これにより、Cuからなる電極柱の酸化が防止でき、客先でのはんだ付けの際の電極柱のはんだ付け性が良くなる。ここで、端子電極へのメッキは、Ni及びAuメッキに代えて、Auのみ、あるいはNi、Pd及びAuによる無電解メッキもしくは電解メッキとしてもよい。
また、電極柱は、電解メッキのほかに、電極形成用の孔(ビアホール)に溶融はんだを埋込み、あるいは導電性ペーストによる埋め込みにより形成してもよい。
次いで、工程10で、貫通電極の下端部に直径が150μ程度の半田ボールを溶着して、半田ボール電極10を形成する。
そして、電解メッキ完了後、圧電基板を個々の圧電部品に分割し、個片の圧電部品(SAWデバイス)に分割する(工程(1))。
1 圧電部品(SAWデバイス)
2 圧電基板(ウェハ)
3 櫛歯電極(IDT電極)
4 外囲壁部
5 天井部
6 電極柱
7 端子電極
8 絶縁層
9 再配線層
10 半田ボール電極
C 中空部

Claims (10)

  1. 圧電基板と、該圧電基板の主面に形成された櫛歯電極と、該櫛歯電極に隣接して配設された素子配線部を有する配線電極とからなる圧電素子と、前記素子配線部の上面に形成された絶縁層と、該絶縁層の上面に形成された再配線層と、該再配線層の上面から、前記櫛歯電極を除き、前記再配線層の全面を覆う無機材料からなる保護膜層と、
    該保護膜層上に感光性樹脂フィルムを積層して形成した外囲壁部と、該外囲壁部の開口先端部に前記感光性樹脂フィルムを積層して形成した天井部と、前記外囲壁部及び該天井部を貫通して形成した電極柱と、からなり、
    ここで、前記感光性樹脂フィルムが、平均粒径が1.0nm以下の無機材料からなるナノフィラーを添加し、かつ、弾性率が3.0GPa以上である感光性樹脂からなることを、特徴とする圧電部品。
  2. 前記天井部を構成する前記感光性樹脂フィルムに、前記ナノフィラーに加えて、マイカフィラーを添加したことを特徴とする請求項1に記載の圧電部品。
  3. 前記天井部を前記ナノフィラーに加えて、前記マイカフィラーを10重量%〜45重量%添加した感光性樹脂フィルムにより形成したことを特徴とする請求項2に記載の圧電部品。
  4. 前記ナノフィラーの添加量が、1%〜30%(重量%)であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電部品。
  5. 前記素子配線部の上面に形成された前記絶縁層が、前記素子配線部の上面に形成された有機材料からなる絶縁膜と、さらに、該絶縁膜の上面に形成された厚さが200オングストローム以上の無機材料と、からなる絶縁膜からなることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電部品。
  6. 前記圧電素子が、弾性表面波素子、であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電部品。
  7. 前記素子配線部が、Al、Cu、Au、Cr、Ru、Ni、Ti、W、V、Ta、Mg、Mo、Ag、In、Suのうちのいずれから主成分とする材料からなり、また、これらの材料と酸素、窒素、けい素の化合物、またはこれらの材料の合金、または、金属間化合物あるいはこれらを多層に積層した配線から構成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電部品。
  8. 前記圧電基板が、LiTaO、LiNbO、水晶の圧電性基板、または基板上に形成した圧電機能を有する基板から形成されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電部品
  9. 集合圧電基板と、該集合圧電基板の主面に形成された圧電素子と、前記集合圧電基板に形成された配線部と、該配線部に接続され前記集合圧電基板に形成された貫通電極と、前記圧電素子の上面を囲むように設けた中空部とからなる圧電部品の製造方法において、
    前記集合圧電基板の主面に形成された前記圧電素子を囲む外囲壁部を、感光性樹脂フィルムを前記集合圧電基板の主面に積層して形成する工程と、
    前記外囲壁部の上面に感光性樹脂フィルムを積層して天井部を形成する工程と、
    からなり、前記外囲壁部と前記天井部を形成する前記感光性樹脂フィルムに、平均粒径が1.0nm以下の無機材料からなるナノフィラーを含み、かつ、弾性率が3.0GPa以上の感光性樹脂を用いたことを特徴とする圧電部品の製造方法。
  10. 前記貫通電極が、電解メッキにより前記外囲壁部と前記天井部を貫いて形成されることを特徴とする請求項に記載の圧電部品の製造方法。
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