JP5424742B2 - 車両用前照灯装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用前照灯装置に関し、特に、自動車などに用いられる車両用前照灯装置に関するものである。
車両用前照灯装置は、一般にロービームとハイビームとを切り替えることが可能である。ロービームは、対向車や先行車を含む前方車両にグレアを与えないように近方を所定の照度で照明するものであり、主に市街地を走行する場合に用いられている。一方、ハイビームは、前方の広範囲および遠方を比較的高い照度で照明するものであり、主に前方車両が少ない道路を高速走行する場合に用いられている。
ハイビームは、ロービームと比較してより運転者による視認性に優れているが、他車両の運転者にグレアを与えてしまうという問題がある。したがって、特に都市部での夜間走行時にはロービームが用いられる場合が多く、ロービーム時にはハイビーム用の光源は使用されていない。また一方で、ロービーム時に運転者による道路の視認性を向上させたいという要求は常に存在している。
これに対し、特許文献1には、光束に対して進退移動可能に設けた2枚の遮光板を組み合わせて車両前方の片側領域だけがハイビームとなる配光パターンを形成可能な構成を備え、左右の灯具で異なる側の片側領域がハイビームとなった配光パターンを形成するとともに、各灯具をスイブルさせて前方車両の存在領域に合わせた遮光領域を形成する技術が開示されている。
独国特許出願公開第102007045150号明細書
上述の状況において、本発明者は以下の課題を認識するに至った。すなわち、上述の特許文献1では、前方車両から照射された光を車両に搭載したカメラで検知することで前方車両の存在を認識している。しかしながら、周囲環境がある程度明るい状態、例えば薄暮時などは、前方車両が必ずしも前照灯や、テールランプ等の標識灯を点灯しているとは限らない。そのため、この方法では薄暮時などに前方車両の存在を認識できない場合があり、その結果、前方車両に応じた適切な配光パターンを形成できず、前方車両にグレアを与えてしまうおそれがあった。
本発明は、発明者によるこうした認識に基づいてなされたものであり、その目的は、前方車両の存在に応じて配光パターンを変化させる場合に、前方車両にグレアを与える可能性を低減する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置は、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む付加配光パターンを形成可能な灯具ユニットと、前方車両の存在に応じて灯具ユニットによる光の照射を制御する制御部と、を備え、制御部は、車両の周囲環境が所定の明るさを超えたと判断した場合には、付加配光パターンの形成を制限することを特徴とする。
この態様によれば、前方車両の存在に応じて配光パターンを変化させる場合に、前方車両にグレアを与える可能性を低減することができる。
上記態様において、制御部は、車両の周囲環境が所定の明るさを超えたと判断した場合には、周囲環境が所定の明るさ以下の場合よりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンを形成してもよい。これによっても、前方車両の存在に応じて配光パターンを変化させる場合に、前方車両にグレアを与える可能性を低減することができる。
上記態様において、制御部は、車両の周囲環境が所定の明るさを超えたと判断した場合には、周囲環境が所定の明るさ以下の場合よりも照度の低い付加配光パターンを形成してもよい。これによっても、前方車両の存在に応じて配光パターンを変化させる場合に、前方車両にグレアを与える可能性を低減することができる。
また上記態様において、制御部は、車両の周囲環境が所定の明るさを超えたと判断した場合には、付加配光パターンの形成を禁止してもよい。これによれば、前方車両にグレアを与える可能性をより低減することができる。
上記態様において、制御部は、車両の周囲環境が所定の第1の明るさを超えたと判断した場合には、周囲環境が第1の明るさ以下の場合よりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低いか、または照度の低い付加配光パターンを形成し、周囲環境が第1の明るさよりも明るい第2の明るさを超えたと判断した場合には、付加配光パターンの形成を禁止してもよい。これによれば、運転者の視認性の向上と前方車両にグレアを与える可能性の低減との両立を図りながら、構成部品の消耗を抑制することができる。
本発明によれば、前方車両の存在に応じて配光パターンを変化させる場合に、前方車両にグレアを与える可能性を低減することができる。
実施形態1に係る車両用前照灯装置の内部構造を説明する概略鉛直断面図である。 回転シェードの概略斜視図である。 前照灯ユニットの照射制御部と車両側の車両制御部との動作連携を説明する機能ブロック図である。 図4(A)〜図4(F)は、配光パターンの形状を示す説明図である。 周囲環境の明るさと付加配光パターンのカットオフライン高さとの関係を説明するための図である。 前方車両の存在状態と周囲環境の明るさに応じて行う配光パターンの自動形成制御の制御フローチャートである。 実施形態2に係る車両用前照灯装置における、周囲環境の明るさと付加配光パターンの照度との関係を説明するための図である。 図8(A)は、実施形態3に係る車両用前照灯装置における、周囲環境の明るさと付加配光パターンのカットオフライン高さとの関係を説明するための図であり、図8(B)は、実施形態3に係る車両用前照灯装置における、周囲環境の明るさと付加配光パターンの照度との関係を説明するための図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車両用前照灯装置の内部構造を説明する概略鉛直断面図である。本実施形態の車両用前照灯装置200は、前照灯ユニットが車両の車幅方向の左右に1灯ずつ配置された配光可変式前照灯である。左右に配置された前照灯ユニットは左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、以下では、右側の前照灯ユニット210Rの構造を説明し、左側の前照灯ユニットの説明は適宜省略する。なお、左側の前照灯ユニットの各部材について記載する場合には、説明の便宜上、各部材に対して前照灯ユニット210Rの対応する部材と同一の符号を付す。
前照灯ユニット210Rは、車両前方側に開口部を有するランプボディ212と、この開口部を覆う透光カバー214で形成される灯室216を有する。灯室216には、光を車両前方方向に照射する灯具ユニット10が収納されている。灯具ユニット10の一部には、当該灯具ユニット10の上下左右方向の揺動中心となるピボット機構218aを有するランプブラケット218が形成されている。ランプブラケット218はランプボディ212の内壁面に固定されたボディブラケット220とネジ等の締結部材によって接続されている。したがって、灯具ユニット10は灯室216内の所定位置に固定されるとともに、ピボット機構218aを中心として、前傾姿勢または後傾姿勢等に姿勢変化可能である。
また、灯具ユニット10の下面には、曲線道路走行時等に進行方向を照らす曲線道路用配光可変前照灯(Adaptive Front-lighing System:AFS)などを構成するためのスイブルアクチュエータ222の回転軸222aが固定されている。スイブルアクチュエータ222は車両側から提供される操舵量のデータやナビゲーションシステムから提供される走行道路の形状データ、対向車や先行車を含む前方車両と自車との相対位置の関係等に基づいて、灯具ユニット10を、ピボット機構218aを中心に進行方向に旋回(スイブル:swivel)させる。その結果、灯具ユニット10の照射領域が車両の正面ではなく曲線道路のカーブの先に向き、運転者の前方視認性を向上させる。スイブルアクチュエータ222は、例えばステッピングモータで構成することができる。なお、スイブル角度が固定値の場合には、ソレノイドなども利用可能である。
スイブルアクチュエータ222は、ユニットブラケット224に固定されている。ユニットブラケット224には、ランプボディ212の外部に配置されたレベリングアクチュエータ226が接続されている。レベリングアクチュエータ226は例えばロッド226aを矢印M,N方向に伸縮させるモータなどで構成されている。ロッド226aが矢印M方向に伸長した場合、灯具ユニット10はピボット機構218aを中心として後傾姿勢になるように揺動する。逆にロッド226aが矢印N方向に短縮した場合、灯具ユニット10はピボット機構218aを中心として前傾姿勢になるように揺動する。灯具ユニット10が後傾姿勢になると、光軸を上方に向けるレベリング調整ができる。また、灯具ユニット10が前傾姿勢になると、光軸を下方に向けるレベリング調整ができる。このような、レベリング調整をすることで車両姿勢に応じた光軸調整ができる。その結果、車両用前照灯装置200による前方照射光の到達距離を最適な距離に調整することができる。
なお、このレベリング調整は、車両走行中の車両姿勢に応じて実行することもできる。例えば、車両が走行中に加速する場合は車両姿勢は後傾姿勢となり、逆に減速する場合は前傾姿勢となる。したがって、車両用前照灯装置200の照射方向も車両の姿勢状態に対応して上下に変動して、前方照射距離が長くなったり短くなったりする。そこで、車両姿勢に基づき灯具ユニット10のレベリング調整をリアルタイムで実行することで走行中でも前方照射の到達距離を最適に調整できる。これを「オートレベリング」と称することもある。
灯具ユニット10下方の灯室216の内壁面には、灯具ユニット10の点消灯制御や配光パターンの形成制御を実行する照射制御部228(制御部)が配置されている。図1の場合、前照灯ユニット210Rを制御するための照射制御部228Rが配置されている。この照射制御部228Rは、スイブルアクチュエータ222、レベリングアクチュエータ226等の制御も実行する。
灯具ユニット10はエーミング調整機構を備えることができる。例えば、レベリングアクチュエータ226のロッド226aとユニットブラケット224の接続部分に、エーミング調整時の揺動中心となるエーミングピボット機構(図示せず)を配置する。また、ボディブラケット220とランプブラケット218の接続部分に、車両前後方向に進退する一対のエーミング調整ネジ(図示せず)を車幅方向に間隔をあけて配置する。例えば2本のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、灯具ユニット10はエーミングピボット機構を中心に前傾姿勢となり光軸が下方に調整される。同様に2本のエーミング調整ネジを後方に引き戻せば、灯具ユニット10はエーミングピボット機構を中心に後傾姿勢となり光軸が上方に調整される。また、車幅方向左側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、灯具ユニット10はエーミングピボット機構を中心に右旋回姿勢となり右方向に光軸が調整される。また、車幅方向右側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、灯具ユニット10はエーミングピボット機構を中心に左旋回姿勢となり左方向に光軸が調整される。このエーミング調整は、車両出荷時や車検時、車両用前照灯装置200の交換時に行われる。そして、車両用前照灯装置200が設計上定められた規定の姿勢に調整され、この姿勢を基準に本実施形態の配光パターンの形成制御が行われる。
灯具ユニット10は、回転シェード12を含むシェード機構18、光源としてのバルブ14、リフレクタ16を内壁に支持する灯具ハウジング17、投影レンズ20を備える。バルブ14は、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。本実施形態では、バルブ14をハロゲンランプで構成する例を示す。リフレクタ16はバルブ14から放射される光を反射する。そして、バルブ14からの光およびリフレクタ16で反射した光は、その一部が回転シェード12を経て投影レンズ20へと導かれる。
図2は、回転シェードの概略斜視図である。回転シェード12は、回転軸12aを中心に回転可能な円筒形状の部材である。また、回転シェード12は軸方向に一部が切り欠かれた切欠部22を有し、当該切欠部22以外の外周面12b上に板状のシェードプレート24を複数保持している。回転シェード12はその回転角度に応じて、光軸O上であって投影レンズ20の後方焦点位置に切欠部22またはシェードプレート24のいずれか1つを移動させることができる。これにより、光軸O上に配置されたシェードプレート24の稜線部形状に応じた配光パターンが形成される。例えば、回転シェード12のシェードプレート24のいずれか1つを光軸O上に移動させてバルブ14から照射された光の一部を遮光することで、ロービーム用配光パターンまたは一部にハイビーム用配光パターンの特徴を含む配光パターンを形成する。また、光軸O上に切欠部22を移動させてバルブ14から照射された光を非遮光とすることでハイビーム用配光パターンを形成する。
回転シェード12は、例えばモータ駆動により回転可能であり、モータの回転量を制御することで所望の配光パターンを形成するためのシェードプレート24または切欠部22を光軸O上に移動させる。なお、回転シェード12の外周面12bの切欠部22を省略して、回転シェード12に、遮光機能だけを持たせてもよい。そして、ハイビーム用配光パターンを形成する場合は、例えばソレノイド等を駆動して回転シェード12を光軸Oの位置から退避させるようにする。このような構成にすることで、例えば、回転シェード12を回転させるモータがフェールしてもロービーム用配光パターンまたはそれに類似する配光パターンで固定される。つまり、回転シェード12がハイビーム用配光パターンの形成姿勢で固定されてしまうことを確実に回避してフェールセーフ機能を実現できる。
図1に戻って、リフレクタ16は、その少なくとも一部が楕円球面状であり、この楕円球面は、灯具ユニット10の光軸Oを含む断面形状が楕円形状の少なくとも一部となるように設定されている。リフレクタ16の楕円球面状部分は、バルブ14の略中央に第1焦点を有し、投影レンズ20の後方焦点面上に第2焦点を有する。
投影レンズ20は車両前後方向に延びる光軸O上に配置され、バルブ14は投影レンズ20の後方焦点を含む焦点面である後方焦点面よりも後方側に配置される。投影レンズ20は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、後方焦点面上に形成される光源像を反転像として車両用前照灯装置200前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。なお、灯具ユニット10の構成は特にこれに限定されず、投影レンズ20を持たない反射型の灯具ユニットなどであってもよい。
図3は、上述のように構成された前照灯ユニットの照射制御部と車両側の車両制御部との動作連携を説明する機能ブロック図である。なお、上述のように右側の前照灯ユニット210Rおよび左側の前照灯ユニット210Lの構成は基本的に同一であるため、前照灯ユニット210R側のみの説明を行い前照灯ユニット210L側の説明は省略する。
前照灯ユニット210Rの照射制御部228Rは、車両300に搭載された車両制御部302から得られた情報に基づいて電源回路230の制御を行いバルブ14の点灯制御を実行する。また、照射制御部228Rは車両制御部302から得られた情報に基づいて可変シェード制御部232、スイブル制御部234、レベリング制御部236を制御する。可変シェード制御部232は、回転シェード12の回転軸12aにギア機構を介して接続されたモータ238を回転制御して、所望のシェードプレート24または切欠部22を光軸O上に移動させる。なお、可変シェード制御部232には、モータ238や回転シェード12に備えられたエンコーダ等の検出センサから回転シェード12の回転状態を示す回転情報が提供されてフィードバック制御により正確な回転制御が実現される。
スイブル制御部234は、スイブルアクチュエータ222を制御して灯具ユニット10の光軸を車幅方向について調整する。例えば、曲路走行や右左折走行などの旋回時に灯具ユニット10の光軸をこれから進行する方向に向ける。また、レベリング制御部236は、レベリングアクチュエータ226を制御して、灯具ユニット10の光軸を車両上下方向について調整する。例えば、加減速時における車両姿勢の前傾、後傾に応じて灯具ユニット10の姿勢を調整して前方照射光の到達距離を最適な距離に調整する。車両制御部302は、前照灯ユニット210Lに対しても同様の情報を提供し、前照灯ユニット210Lに設けられた照射制御部228L(制御部)が、照射制御部228Rと同様の制御を実行する。
本実施形態の場合、前照灯ユニット210L,210Rによって形成される配光パターンは、運転者によるライトスイッチ304の操作内容に応じて切り替え可能である。この場合、ライトスイッチ304の操作に応じて、照射制御部228L,228Rが可変シェード制御部232を介してモータ238を制御して配光パターンを決定する。
本実施形態の前照灯ユニット210L,210Rは、ライトスイッチ304の操作によらず、車両周囲の状況を各種センサで検出して、車両300の状態や車両周囲状況に最適な配光パターンを形成するように自動制御してもよい。例えば、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等が存在することが検出できた場合には、照射制御部228L,228Rは車両制御部302から得られた情報に基づいてグレアを防止するべきであると判定し、ロービーム用配光パターンを形成する。また、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等が存在しないことが検出できた場合には、照射制御部228L,228Rは運転者の視認性を向上させるべきであると判定して回転シェード12による遮光を伴わないハイビーム用配光パターンを形成する。また、ロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターンに加えて、後述する特殊ハイビーム用配光パターンや特殊ロービーム用配光パターンを形成可能な場合には、前方車両の存在状態に応じて前方車両を考慮した最適な配光パターンを形成してもよい。このような制御モードをADB(Adaptive Driving Beam)モードという場合がある。
このように先行車や対向車などの対象物を検出するために、車両制御部302には対象物の認識手段として例えばステレオカメラなどのカメラ306が接続されている。カメラ306で撮影された画像フレームデータは、画像処理部308で対象物認識処理などの所定の画像処理が施され、その認識結果が車両制御部302へ提供される。例えば、画像処理部308から提供された認識結果データの中に車両制御部302が予め保持している車両を示す特徴点を含むデータが存在する場合、車両制御部302は車両の存在を認識して、その情報を照射制御部228L,228Rに提供する。照射制御部228L,228Rは、車両制御部302から車両の情報を受けて、その車両を考慮した最適な配光パターンを形成する。ここで、前記「車両を示す特徴点」とは、例えば、前方車両の前照灯や、テールランプ等の標識灯の推定存在領域に現れる所定光度以上の光点である。また、画像処理部308から提供された認識結果データの中に予め保持している歩行者を示す特徴点を含むデータが存在する場合、車両制御部302がその情報を照射制御部228L,228Rに提供し、照射制御部228L,228Rは、その歩行者を考慮した最適な配光パターンを形成する。
また、車両制御部302は、車両300に通常搭載されているステアリングセンサ310、車速センサ312などからの情報も取得可能であり、これにより照射制御部228L,228Rは車両300の走行状態や走行姿勢に応じて形成する配光パターンを選択したり、光軸の方向を変化させて簡易的に配光パターンを変化させたりすることができる。例えば、車両制御部302がステアリングセンサ310からの情報に基づき車両が旋回していると判定した場合、車両制御部302から情報を受け取った照射制御部228L,228Rは回転シェード12を回転制御して旋回方向の視界を向上させるような配光パターンを形成するシェードプレート24を選択することができる。また、回転シェード12の回転状態は変化させずに、スイブル制御部234によりスイブルアクチュエータ222を制御して灯具ユニット10の光軸を旋回方向に向けて視界を向上させてもよい。このような制御モードを旋回感応モードという場合がある。
また、夜間に高速走行しているときには、遠方から接近する対向車や先行車、道路標識やメッセージボードの認識をできるだけ早く行えるように自車前方を照明することが好ましい。そこで、車両制御部302が車速センサ312からの情報に基づき高速走行していると判定したときに、照射制御部228L,228Rは回転シェード12を回転制御してロービーム用配光パターンの一部の形状を変えたハイウェイモードのロービーム用配光パターンを形成するシェードプレート24を選択してもよい。同様の制御は、レベリング制御部236によりレベリングアクチュエータ226を制御して灯具ユニット10を後傾姿勢に変化させることでも実現できる。上述したレベリングアクチュエータ226による加減速時のオートレベリング制御は、照射距離を一定に維持するような制御である。この制御を利用して、積極的にカットオフラインの高さを制御すれば、回転シェード12を回転させて異なるカットオフラインを選択する制御と同等の制御ができる。このような制御モードを速度感応モードという場合がある。
また、車両制御部302は、車両300に搭載されている照度センサ316からの情報も取得可能であり、上述のように車両周囲状況に最適な配光パターンを形成するように自動制御する際、照射制御部228L,228Rは周囲環境の明るさ(以下、適宜、環境照度という場合がある)に応じて配光パターンの形成を制御することができる。環境照度に応じた配光パターンの形成制御の詳細は後述する。
また、車両制御部302は、車両300に搭載されている図示しない車間距離センサからの情報も取得可能であり、照射制御部228L,228Rは前方車両と自車との距離(車間距離)に応じて配光パターンのカットオフラインの高さを調整することができる。例えば、車両制御部302が車間距離センサからの情報に基づき前方車両が比較的遠方にいると判定した場合、照射制御部228L,228Rはレベリング制御部236によりレベリングアクチュエータ226を制御して灯具ユニット10を後傾姿勢に変化させる。これによりロービーム用配光パターンのカットオフラインをわずかに上昇させて、前方車両へのグレアを防ぎつつ、運転者の視認性を向上させることができる。このような制御で形成する配光パターンをダイナミックカットオフラインという場合がある。
なお、灯具ユニット10の光軸調整は、スイブルアクチュエータ222やレベリングアクチュエータ226を用いずに実行することもできる。例えば、エーミング制御をリアルタイムで実行するようにして灯具ユニット10を旋回させたり前傾姿勢や後傾姿勢にして、所望する方向の視認性を向上させてもよい。
この他、車両制御部302は、ナビゲーションシステム314から道路の形状情報や形態情報、道路標識の設置情報などを取得することもできる。これらの情報を事前に取得することにより、照射制御部228L,228Rはレベリングアクチュエータ226、スイブルアクチュエータ222、モータ238等を制御して、走行道路に適した配光パターンをスムーズに形成することもできる。このような制御モードをナビ感応モードという場合もある。以上説明した各種制御モードを含む配光パターンの自動形成制御は、例えばライトスイッチ304によって自動形成制御が指示された場合に実行される。
次に、車両用前照灯装置200の各前照灯ユニット210L,210Rにより形成可能な配光パターンについて説明する。図4(A)〜図4(F)は、配光パターンの形状を示す説明図である。なお、図4(A)〜図4(F)では、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンを示している。
上述の通り、前照灯ユニット210Lおよび前照灯ユニット210Rは実質的に同一の構造を有し、したがって同一の配光パターンを形成可能である。また、図1に示すように、投影レンズ20は前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであるため、各配光パターンは、それぞれに対応するシェードプレート24によって遮光された部分を含む光源像が上下左右に反転した像となる。したがって、各配光パターンのカットオフライン形状と各シェードプレート24の稜線形状とが対応している。
図4(A)に示す配光パターンは、ベーシックロービーム用配光パターンLo1である。ベーシックロービーム用配光パターンLo1は、左側通行時に前方車両や歩行者にグレアを与えないように配慮された配光パターンである。ベーシックロービーム用配光パターンLo1は、その上端のV−V線よりも右側に、水平ラインであるH−H線と平行に延びる対向車線側カットオフラインを、またV−V線よりも左側に、対向車線側カットオフラインよりも高い位置でH−H線と平行に延びる自車線側カットオフラインを、そして対向車線側カットオフラインと自車線側カットオフラインとの間に、両者をつなぐ斜めカットオフラインをそれぞれ有する。斜めカットオフラインは、対向車線側カットオフラインとV−V線との交点から左斜め上方へ45°の傾斜角で延びている。
図4(B)に示す配光パターンは、いわゆる「ドーバーロービーム」を形成するドーバーロービーム用配光パターンLo2である。ドーバーロービーム用配光パターンLo2は、右側通行時に前方車両や歩行者にグレアを与えないように配慮された配光パターンである。ドーバーロービーム用配光パターンLo2は、V−V線を対称軸としてベーシックロービーム用配光パターンLo1と略線対称である。
図4(C)に示す配光パターンは、ハイビーム用配光パターンHi1である。ハイビーム用配光パターンHi1は、前方の広範囲および遠方を照明する配光パターンであり、例えば、前方車両や歩行者へのグレアを配慮する必要のない場合に形成される。ハイビーム用配光パターンHi1は、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む付加配光パターンに相当する。
図4(D)に示す配光パターンは、いわゆる「左片ハイビーム」を形成する左片ハイ用配光パターンHi2である。左片ハイ用配光パターンHi2は、左側通行時にハイビーム用配光パターンHi1の対向車線側を遮光し、自車線側のみハイビーム領域で照射する特殊ハイビーム用配光パターンである。左片ハイ用配光パターンHi2は、自車線に先行車や歩行者が存在せず、対向車線に対向車や歩行者が存在する場合に利用することが好ましく、対向車や歩行者にグレアを与えず、自車線側のみのハイビーム照射により運転者の視認性を高めることができる。左片ハイ用配光パターンHi2は、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む付加配光パターンに相当する。
図4(E)に示す配光パターンは、いわゆる「右片ハイビーム」を形成する右片ハイ用配光パターンHi3である。右片ハイ用配光パターンHi3は、左側通行時にハイビーム用配光パターンHi1の自車線側を遮光し、対向車線側のみハイビーム領域で照射する特殊ハイビーム用配光パターンである。右片ハイ用配光パターンHi3は、対向車線に対向車や歩行者が存在せず、自車線に先行車や歩行者が存在する場合に利用することが好ましく、先行車や歩行者にグレアを与えず、対向車線側のみのハイビーム照射により視認性を高めることができる。右片ハイ用配光パターンHi3は、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む付加配光パターンに相当する。
図4(F)に示す配光パターンは、いわゆる「Vビーム」を形成するVビーム用配光パターンLo3である。Vビーム用配光パターンLo3は、自車線側カットオフラインおよび対向車線側カットオフラインの両方が水平ラインと同程度の高さであり、ロービームとハイビームの中間的な特徴を有する特殊ロービーム用配光パターンである。Vビーム用配光パターンLo3は、前照灯ユニット210Lで形成したベーシックロービーム用配光パターンLo1L(説明の便宜上、前照灯ユニット210Lで形成した配光パターンには、各配光パターンの符号の後に符号「L」を付し、前照灯ユニット210Rで形成した配光パターンには、各配光パターンの符号の後に符号「R」を付す。以下、同様。)と、前照灯ユニット210Rで形成したドーバーロービーム用配光パターンLo2Rを重ね合わせることで形成することができる。上述のように、ベーシックロービーム用配光パターンLo1Lは斜めカットオフラインを有し、またドーバーロービーム用配光パターンLo2Rはベーシックロービーム用配光パターンLo1Lと線対称である。そのため、Vビーム用配光パターンLo3は、中央部の水平ラインより下側に2本の斜めカットオフラインで形成される略V字状の遮光領域を有する。また、ベーシックロービーム用配光パターンLo1Lとドーバーロービーム用配光パターンLo2Rとが重畳されるため、Vビーム用配光パターンLo3の対向車線側の光照射領域はベーシックロービーム用配光パターンLo1の対向車線側の光照射領域よりも上方に移動する。一方、ドーバーロービーム用配光パターンLo2に対しては自車線側の光照射領域が上方に移動する。したがって、Vビーム用配光パターンLo3は、ベーシックロービーム用配光パターンLo1およびドーバーロービーム用配光パターンLo2よりも運転者の視認性を向上させることができる配光パターンとなる。Vビーム用配光パターンLo3は、比較的遠方にある前方車両や歩行車にグレアを与えず、水平ラインと同程度の高さまでの光照射により運転者の視認性を高めることができる。Vビーム用配光パターンLo3は、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む付加配光パターンに相当する。
上述の構成を備えた車両用前照灯装置200はさらに、いわゆるスプリット配光パターンを形成することができる。このスプリット配光パターンは、水平ラインよりも上方の中央部に遮光領域を有し、遮光領域の水平方向両側にハイビーム領域を有する特殊ハイビーム用配光パターンである。スプリット配光パターンは、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む付加配光パターンに相当する。スプリット配光パターンは、前照灯ユニット210Lで形成した左片ハイ用配光パターンHi2Lと、前照灯ユニット210Rで形成した右片ハイ用配光パターンHi3Rとを重ね合わせることで形成することができる。スプリット配光パターンを形成する際、左片ハイ用配光パターンHi2Lのハイビーム領域と右片ハイ用配光パターンHi3Rのハイビーム領域とが接しないように両配光パターンが重畳され、これにより遮光領域が形成される。遮光領域は、前照灯ユニット210L,210Rの灯具ユニット10をスイブルさせて左片ハイ用配光パターンHi2Lおよび右片ハイ用配光パターンHi3Rの少なくとも一方を水平方向に移動させることで、水平方向にその範囲を変化させることができる。
ライトスイッチ304によって配光パターンの自動形成制御の指示がなされている状態で、カメラ306から得られた情報によって車両制御部302が前方車両の存在を検知すると、車両制御部302から情報を受け取った照射制御部228L,228Rは、前方車両が遮光領域の形成可能範囲内に存在するか否か判定する。前方車両が遮光領域の形成可能範囲内に存在する場合には、照射制御部228L,228Rは、前方車両を遮光領域に含むようなスプリット配光パターンを形成する。また、照射制御部228L,228Rは、車両制御部302からの指示に応じて、移動する前方車両の位置に合わせて遮光領域を変形させる。前方車両が遮光領域の形成可能範囲から外れたら、照射制御部228L,228Rは前方車両が照射領域に含まれないように、左片ハイ用配光パターンHi2Lおよび右片ハイ用配光パターンHi3Rの少なくとも一方の照度を低減する。以上の制御により、前方車両に与えるグレアを防ぎながら、他の領域、特に左右の路肩領域における運転者の視認性を向上させることができる。なお、前記「低減」には、配光パターンを形成したままその照度を前方車両にグレアを与えない程度にまで下げる場合と、配光パターンの照度を0にする場合とを含む。配光パターンの照度を0にする場合には、照射制御部228L,228Rがベーシックロービーム用配光パターンLo1に切り換えることを含む。
続いて、上述の構成を備えた本実施形態の車両用前照灯装置200による配光パターンの形成制御の一例を説明する。図5は、周囲環境の明るさと配光パターンの平均カットオフライン高さとの関係を説明するための図である。
本実施形態では、照射制御部228L,228Rが前方車両の存在に応じて灯具ユニット10により所定の付加配光パターンを形成するとともに、自車両の周囲環境が所定の明るさを超えた場合に付加配光パターンの形成を制限する。付加配光パターンは、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む配光パターンであり、この付加配光パターンとしては、ハイビーム用配光パターンHi1、左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3、スプリット配光パターン、Vビーム用配光パターンLo3などが挙げられる。
具体的には図5に示すように、周囲環境の明るさが照度Lx1を超えた場合に、周囲環境の明るさが照度Lx1以下の場合よりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンを形成する制限ADBモードを実行する。これにより、照度Lx1を超えたときの配光パターンの平均カットオフライン高さは、ベーシックロービーム用配光パターンLo1の平均カットオフライン高さHaよりも高く、照度Lx1以下のときの平均カットオフライン高さよりも低くなる。
例えば、照射制御部228L,228Rは、環境照度が照度Lx1を超えている場合には、検知した前方車両の存在状態がハイビーム用配光パターンHi1を形成可能な状態であっても、ハイビーム用配光パターンHi1よりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンである左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3、スプリット配光パターン、あるいはVビーム用配光パターンLo3を形成する。また、照射制御部228L,228Rは、環境照度が照度Lx1を超えている場合には、検知した前方車両の存在状態がスプリット配光パターンを形成可能な状態であっても、スプリット配光パターンよりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンである左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3、あるいはVビーム用配光パターンLo3を形成する。また、照射制御部228L,228Rは、環境照度が照度Lx1を超えている場合には、検知した前方車両の存在状態が左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3を形成可能な状態であっても、これらの付加配光パターンよりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンであるVビーム用配光パターンLo3を形成する。
あるいは、照射制御部228L,228Rは、レベリングアクチュエータ226を制御して灯具ユニット10の光軸を下げることで、前方車両の存在状態に応じた付加配光パターンのカットオフライン高さを所定量だけ下げ、これによりカットオフラインの高さが相対的に低い付加配光パターンを形成してもよい。光軸を下げることでカットオフライン高さの低い付加配光パターンを形成する場合、カットオフライン高さは、前方車両にグレアを与える可能性を低減できる高さとして、例えばカットオフライン全体が水平ライン以下となる高さまで下げられる。
検知した前方車両の存在状態がVビーム用配光パターンLo3を形成可能な状態であって、環境照度が照度Lx1を超えている場合には、照射制御部228L,228Rは、Vビーム用配光パターンLo3を形成するとともにレベリングアクチュエータ226を制御して灯具ユニット10の光軸を下げることで、Vビーム用配光パターンLo3よりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンを形成する。このとき、Vビーム用配光パターンLo3を構成するベーシックロービーム用配光パターンLo1Lおよびドーバーロービーム用配光パターンLo2Rのうち、少なくとも一方の配光パターンのカットオフライン高さを下げてもよく、左側通行時にはドーバーロービーム用配光パターンLo2Rのカットオフライン高さを下げることが好ましい。
車両の周囲環境の明るさは、照度センサ316の検知結果に応じて判断することができる。この場合、照射制御部228L,228Rは車両制御部302から照度センサ316の検知結果を取得することができる。照射制御部228L,228Rは、照度センサ316によって検知された環境照度が照度Lx1を超えた場合に、車両の周囲環境が所定の明るさを超えたと判断する。ここで、前記「所定の明るさ」は、前照灯を点灯しなければ運転者の視認性の確保が困難な明るさと、周囲が所定程度明るいために前照灯を点灯しなくても運転者の視認性をある程度確保できるが、その程度が十分ではなく前照灯の点灯により視認性の向上を図ることができる明るさ、すなわち前照灯を点灯する車両と点灯しない車両とが混在する状態となる明るさとの境界の明るさであり、例えば、夜間と薄暮時との境界の明るさである。また、前記「照度Lx1」は、前記「所定の明るさ」のときの照度であり、例えば夜間と薄暮時との境界の照度である。したがって、図5に示すように、平均カットオフラインは、夜間では高く薄暮時には低くなる。この明るさおよび照度は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。
車両の周囲環境の明るさを判断する方法としては、照度センサ316を用いた環境照度の測定に限定されず、例えば、車両300がDRL(Daytime Running Lamp)を搭載している場合は、DRLが点灯している場合に周囲環境が所定の明るさを超えたと判断してもよい。照射制御部228L,228Rは車両制御部302からDRLの点灯情報を取得することができる。あるいは、所定の時間帯を環境照度が照度Lx1を超える時間帯として定めて、これを車両制御部302あるいは照射制御部228L,228Rの図示しない記憶部に予め登録しておき、登録された時間帯情報と現在時刻とを比較して周囲環境が所定の明るさを超えたと判断してもよい。また、地域別の日の出/日の入り時刻テーブルを複数記憶部に格納しておき、ナビゲーションシステム314に搭載されているGPS(Global Positioning System)によって車両300の現在位置を取得して、記憶部に格納された地域別の日の出/日の入り時刻テーブルのうち車両300の現在位置に対応するテーブルを参照して、現在時刻における車両300の環境照度を推定することで、周囲環境が所定の明るさを超えたと判断してもよい。あるいは、決められた車両走行地域に対応する日の出/日の入り時刻テーブルを予め記憶部に格納しておき、当該テーブルを参照して現在時刻における環境照度を推定することで、周囲環境が所定の明るさを超えたと判断してもよい。
さらに、カメラ306で撮影された画像の照度を車両制御部302、あるいは照射制御部228L,228Rで検出し、この画像の照度に基づいて周囲環境が所定の明るさを超えたと判断してもよい。この場合には、例えば、カメラ306の各画素の平均ピクセル深度が所定のしきい値を超えた場合に、周囲環境が所定の明るさを超えたと判断する。また、カメラ306の各画素の平均ゲインが所定のしきい値を超えた場合に、周囲環境が所定の明るさを超えたと判断してもよい。あるいは、カメラ306の各画素の平均ピクセル深度がしきい値を超え、かつ平均ゲインがしきい値を超えた場合に、周囲環境が所定の明るさを超えたと判断してもよい。
なお、照射制御部228L,228Rは、周囲環境の明るさが照度Lx1を超えている場合、カットオフライン高さの低い付加配光パターンを形成せずに、付加配光パターンの形成を禁止するようにしてもよい。この場合には、ベーシックロービーム用配光パターンLo1が形成された状態となる。
カットオフラインの高さが低い付加配光パターンを形成する場合は、運転者の視認性をベーシックロービーム用配光パターンLo1に比べて向上させることができるとともに、カットオフライン高さを下げた分だけ前方車両にグレアを与える可能性を低減できる。一方、付加配光パターンの形成を禁止する場合は、運転者の視認性はベーシックロービーム用配光パターンLo1と同程度であるが、前方車両にグレアを与える可能性はカットオフライン高さを下げる場合よりも低減することができる。カットオフラインの高さが低い付加配光パターンを形成するか、付加配光パターンの形成を禁止するかは、要求される運転者の視認性と前方車両へのグレアの防止とに応じて適宜選択することができる。
図6は、前方車両の存在状態と周囲環境の明るさに応じて行う配光パターンの自動形成制御の制御フローチャートである。このフローは、照射制御部228L,228Rが所定のタイミングで繰り返し実行する。
まず、照射制御部228L,228Rは、車両制御部302から得られた情報に基づいて、配光パターンの自動形成制御指示がなされているか判断する(ステップ1:以下S1と略記する。他のステップも同様)。自動形成制御の指示がなされていない場合(S1_No)、本ルーチンを終了する。自動形成制御指示がなされていた場合(S1_Yes)、照射制御部228L,228Rは、車両制御部302から得られた情報に基づいて、車両の周囲環境が所定の明るさを超えているか判断する(S2)。
車両の周囲環境が所定の明るさを超えていた場合(S2_Yes)、照射制御部228L,228Rは、上述の付加配光パターンの形成制限を含む制限ADBモードを実施する(S3)。車両の周囲環境が所定の明るさを超えていなかった場合(S2_No)、照射制御部228L,228Rは、車両制御部302からの指示に基づいて、前方車両の存在に応じた付加配光パターンを形成する通常ADBモードを実施する(S4)。
なお、周囲環境が所定の明るさを超えた場合に、前方車両にグレアを与える可能性を低減可能な他の配光パターンとして、水平ラインと同程度の高さのカットオフラインを有する水平カット配光パターンなどを形成するようにしてもよい。
以上説明した構成による動作と作用効果を総括する。本実施形態に係る車両用前照灯装置200では、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む付加配光パターンを、前方車両の存在および周囲環境の明るさに応じて制御している。具体的には、車両の周囲環境が所定の明るさを超えたと判断した場合、付加配光パターンの形成を制限している。そして、付加配光パターンの形成制限として、本実施形態では周囲環境が所定の明るさ以下の場合よりもカットオフラインの高さの低い付加配光パターンを形成している。あるいは、付加配光パターンの形成を禁止している。このように、周囲環境が所定の明るさを超えた場合に付加配光パターンの形成を制限した場合には、薄暮時など、前方車両が必ずしも前照灯等を点灯しているとはいえず、そのため前方車両の検知漏れが生じやすい状況において、検知されなかった前方車両に与えるグレアを防ぐことができる。したがって、前方車両の存在に応じて配光パターンを変化させる場合に、前方車両にグレアを与える可能性を低減することができる。
また、周囲環境の明るさに応じて付加配光パターンの形成を制限しているため、カメラと他のセンサとを組み合わせて前方車両を検知することで前方車両の検知漏れを防ぎ、これにより前方車両へのグレアを防ぐ場合と比べて、より安価な構成で前方車両にグレアを与える可能性を低減することができる。さらに、ADBモードでのバルブ14の点灯回数や、回転シェード12を回転させるモータ238の駆動回数などを減らすことができるため、省電力化と、バルブ14やモータ238等の車両用前照灯装置200を構成する部品の長寿命化とを図ることができ、また、これらの部品に要求される耐久性を引き下げることができる。
(実施形態2)
実施形態2に係る車両用前照灯装置は、付加配光パターンの形成制限として照度を低減する点が実施形態1と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、車両用前照灯装置の主な構成や、形成可能な配光パターンの形状、制御フロー等は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
図7は、実施形態2に係る車両用前照灯装置における、周囲環境の明るさとベーシックロービーム用配光パターンのカットオフラインよりも上方の領域における配光パターンの照度(以下、適宜、「ロービーム用配光パターン上方領域の照度」という)との関係を説明するための図である。本実施形態では、照射制御部228L,228Rが前方車両の存在に応じて灯具ユニット10により所定の付加配光パターンを形成するとともに、自車両の周囲環境が所定の明るさを超えた場合に、付加配光パターンの形成を制限する。
具体的には図7に示すように、照射制御部228L,228Rは、周囲環境の明るさが照度Lx1を超えた場合に、周囲環境の明るさが照度Lx1以下の場合よりも照度の低い付加配光パターンを形成する制限ADBモードを実行する。これにより、照度Lx1を超えた場合のロービーム用配光パターン上方領域の照度は、照度Lx1以下の場合よりも低くなる。
例えば、照射制御部228L,228Rは、検知した前方車両の存在状態がハイビーム用配光パターンHi1、左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3、スプリット配光パターン、あるいはVビーム用配光パターンLo3を形成可能な状態で、環境照度が照度Lx1を超えている場合には、これらの付加配光パターンの照度を所定の低照度となるまで低減して、照度の低い付加配光パターンとする。照射制御部228L,228Rは、電源回路230からバルブ14に出力する電力の大きさを変化させることで、付加配光パターンの照度を低減することができる。ここで、前記「所定の低照度」は、前方車両にグレアを与えないように配慮した照度であり、設計者による実験やシミュレーションに基づき設定することが可能である。
あるいは、照射制御部228L,228Rは、環境照度が照度Lx1を超えている場合、照度の低い付加配光パターンを形成せずに、付加配光パターンの形成を禁止するようにしてもよい。この場合には、ベーシックロービーム用配光パターンLo1が形成された状態となる。
照度の低い付加配光パターンを形成する場合は、運転者の視認性をベーシックロービーム用配光パターンLo1に比べて向上させることができるとともに、照度の低減により前方車両にグレアを与える可能性を低減できる。一方、付加配光パターンの形成を禁止する場合は、運転者の視認性はベーシックロービーム用配光パターンLo1と同程度であるが、低照度の付加配光パターンを形成する場合よりも前方車両にグレアを与える可能性はより低減することができる。照度の低い付加配光パターンを形成するか、付加配光パターンの形成を禁止するかは、要求される運転者の視認性と前方車両へのグレアの防止とに応じて適宜選択することができる。
なお、車両の周囲環境の明るさを判断する方法は、実施形態1と同様である。また、付加配光パターンの形成制限として、実施形態1のカットオフライン高さの低下と、本実施形態の照度の低減とを合わせて実施してもよい。この場合には、それぞれを単独に行う場合と比べて照射制御部228L,228Rによる制御が複雑になるが、前方車両にグレアを与える可能性をより低減することができる。
以上説明した本実施形態の構成によっても、前方車両の存在に応じて配光パターンを変化させる場合に、前方車両にグレアを与える可能性を低減することができる。
(実施形態3)
実施形態3に係る車両用前照灯装置は、夜間と薄暮時との区別に加えて、薄暮時と昼間とを区別して付加配光パターンの形成を制御する点が実施形態1および2と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、車両用前照灯装置の主な構成や、形成可能な配光パターンの形状、制御フロー等は実施形態1または2と同様であるため、実施形態1または2と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
図8(A)は、実施形態3に係る車両用前照灯装置における、周囲環境の明るさと配光パターンの平均カットオフライン高さとの関係を説明するための図であり、図8(B)は、実施形態3に係る車両用前照灯装置における、周囲環境の明るさとロービーム用配光パターン上方領域の照度との関係を説明するための図である。
本実施形態では、照射制御部228L,228Rが前方車両の存在に応じて灯具ユニット10により所定の付加配光パターンを形成するとともに、車両の周囲環境が所定の第1の明るさを超えたと判断した場合に周囲環境が第1の明るさ以下の場合よりもカットオフラインの高さが低い付加配光パターンを形成し、周囲環境が第1の明るさよりも明るい第2の明るさを超えたと判断した場合に付加配光パターンの形成を禁止する。
具体的には図8(A)に示すように、照射制御部228L,228Rは、周囲環境の明るさが照度Lx1を超えた場合に、周囲環境の明るさが照度Lx1以下の場合よりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンを形成し、また、周囲環境の明るさが照度Lx1よりも明るい照度Lx2を超えた場合に、付加配光パターンの形成を禁止する制限ADBモードを実行する。これにより、照度Lx1より大きく照度Lx2以下の場合における配光パターンの平均カットオフライン高さは、ベーシックロービーム用配光パターンLo1の平均カットオフライン高さHaよりも高く、照度Lx1以下のときの平均カットオフライン高さよりも低くなり、照度Lx2を超えたときの配光パターンの平均カットオフライン高さは、ベーシックロービーム用配光パターンの平均カットオフライン高さHaと同等となる。
例えば、実施形態1と同様に照射制御部228L,228Rは、環境照度が照度Lx1を超えている場合、ハイビーム用配光パターンHi1を形成可能な状態では、左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3、スプリット配光パターン、あるいはVビーム用配光パターンLo3を形成し、スプリット配光パターンを形成可能な状態では、左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3、あるいはVビーム用配光パターンLo3を形成し、左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3を形成可能な状態では、Vビーム用配光パターンLo3を形成する。
あるいは、照射制御部228L,228Rは、レベリングアクチュエータ226を制御して灯具ユニット10の光軸を下げることで、前方車両の存在状態に応じた付加配光パターンのカットオフライン高さを所定量だけ下げ、これによりカットオフラインの高さが相対的に低い付加配光パターンを形成してもよい。
検知した前方車両の存在状態がVビーム用配光パターンLo3を形成可能な状態であって、環境照度が照度Lx1を超えている場合には、照射制御部228L,228Rは、Vビーム用配光パターンLo3よりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンを形成する。
また、照射制御部228L,228Rは、環境照度が照度Lx2を超えている場合には、カットオフライン高さの低い付加配光パターンを形成せずに、付加配光パターンの形成を禁止する。
あるいは、本実施形態では、照射制御部228L,228Rが前方車両の存在に応じて灯具ユニット10により所定の付加配光パターンを形成するとともに、車両の周囲環境が所定の第1の明るさを超えたと判断した場合に周囲環境が第1の明るさ以下の場合よりも照度の低い付加配光パターンを形成し、周囲環境が第1の明るさよりも明るい第2の明るさを超えたと判断した場合に付加配光パターンの形成を禁止する。
具体的には図8(B)に示すように、照射制御部228L,228Rは、周囲環境の明るさが照度Lx1を超えた場合に、周囲環境の明るさが照度Lx1以下の場合よりも照度の低い付加配光パターンを形成し、また、周囲環境の明るさが照度Lx1よりも明るい照度Lx2を超えた場合に、付加配光パターンの形成を禁止する制限ADBモードを実行する。これにより、照度Lx1より大きく照度Lx2以下の場合におけるロービーム用配光パターン上方領域の照度は、照度Lx1以下の場合よりも低くなり、照度Lx2を超えたときの当該照度はベーシックロービーム用配光パターンLo1と同等となる。
例えば、実施形態2と同様に照射制御部228L,228Rは、検知した前方車両の存在状態がハイビーム用配光パターンHi1、左片ハイ用配光パターンHi2、右片ハイ用配光パターンHi3、スプリット配光パターン、あるいはVビーム用配光パターンLo3を形成可能な状態で、環境照度が照度Lx1を超えている場合には、これらの付加配光パターンの照度を所定の低照度となるまで低減して、照度の低い付加配光パターンとする。また、照射制御部228L,228Rは、環境照度が照度Lx2を超えている場合には、照度の低い付加配光パターンを形成せずに、付加配光パターンの形成を禁止する。
なお、環境照度が照度Lx1〜Lx2の間にあるときの付加配光パターンの形成制限は、カットオフライン高さの低下と照度の低減とを合わせて実施してもよい。この場合には、それぞれを単独に行う場合と比べて照射制御部228L,228Rによる制御が複雑になるが、前方車両にグレアを与える可能性をより低減することができる。
車両の周囲環境の明るさは、照度センサ316の検知結果に応じて判断することができる。照射制御部228L,228Rは、照度センサ316によって検知された環境照度が照度Lx1を超えた場合に、車両の周囲環境が所定の第1の明るさを超えたと判断し、環境照度が照度Lx2を超えた場合に、周囲環境が所定の第2の明るさを超えたと判断する。ここで、前記「所定の第1の明るさ」は、実施形態1の「所定の明るさ」と同一であり、前記「照度Lx1」は、前記「所定の第1の明るさ」のときの照度である。また、前記「所定の第2の明るさ」は、周囲が所定程度明るいために前照灯を点灯しなくても運転者の視認性をある程度確保できるが、その程度は十分ではなく前照灯の点灯により視認性の向上を図ることができる明るさと、前照灯を点灯しなくても運転者の視認性を十分に確保できる明るさとの境界の明るさであり、例えば、薄暮時と昼間との境界の明るさである。また、前記「照度Lx2」は、前記「所定の第2の明るさ」のときの照度であり、例えば薄暮時と昼間との境界の照度である。したがって、図8(A)および図8(B)に示すように、平均カットオフライン高さと、ロービーム用配光パターン上方領域の照度はそれぞれ、夜間で高く、薄暮時には低く、昼間には更に低くなる。第1の明るさ、第2の明るさ、照度Lx1、Lx2は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。
車両の周囲環境の明るさを判断する方法としては、照度センサ316を用いた環境照度の測定に限定されず、例えば、所定の第1の時間帯を環境照度が照度Lx1を超える時間帯として定め、所定の第2の時間帯を環境照度が照度Lx2を超える時間帯として定めて、これを記憶部に予め登録しておき、登録された時間帯情報と現在時刻とを比較して周囲環境が第1または第2の明るさを超えたと判断してもよい。また、地域別の日の出/日の入り時刻テーブルを複数記憶部に格納しておき、記憶部に格納された地域別の日の出/日の入り時刻テーブルのうちGPSで取得した車両300の現在位置に対応するテーブルを参照して、現在時刻における車両300の環境照度を推定することで、周囲環境が第1または第2の明るさを超えたと判断してもよい。あるいは、決められた車両走行地域に対応する日の出/日の入り時刻テーブルを予め記憶部に格納しておき、当該テーブルを参照して現在時刻における環境照度を推定することで、周囲環境が第1または第2の明るさを超えたと判断してもよい。
さらに、カメラ306で撮影された画像の照度を車両制御部302、あるいは照射制御部228L,228Rで検出し、この画像の照度に基づいて周囲環境が第1または第2の明るさを超えたと判断してもよい。この場合には、例えば、カメラ306の各画素の平均ピクセル深度が所定の第1のしきい値を超えた場合に、周囲環境が第1の明るさを超えたと判断し、平均ピクセル深度が所定の第2のしきい値を超えた場合に、周囲環境が第2の明るさを超えたと判断する。また、カメラ306の各画素の平均ゲインが所定の第1のしきい値を超えた場合に、周囲環境が第1の明るさを超えたと判断し、平均ゲインが所定の第2のしきい値を超えた場合に、周囲環境が第2の明るさを超えたと判断してもよい。あるいは、カメラ306の各画素の平均ピクセル深度と平均ゲインとを組み合わせて周囲環境が第1または第2の明るさを超えたと判断してもよい。
このように、本実施形態では、照射制御部228L,228Rが所定の第1の明るさを超えたと判断した場合にカットオフライン高さが低いか、あるいは照度の低い付加配光パターンを形成し、第1の明るさよりも明るい第2の明るさを超えたと判断したときに付加配光パターンの形成を禁止している。これにより、運転者の視認性の向上と前方車両にグレアを与える可能性の低減とを両立させながら、省電力化と、バルブ14やモータ238等の車両用前照灯装置200を構成する部品の長寿命化とを図ることができ、また、これらの部品に要求される耐久性を引き下げることができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、各実施形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくは変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述の各実施形態同士、および上述の各実施形態と以下の変形例との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
上述の各実施形態では、周囲環境の明るさが照度Lx1を超えた場合に付加配光パターンの形成を制限したが、周囲環境の明るさに加えて、周囲環境が市街地であった場合に付加配光パターンの形成を制限してもよい。すなわち、市街地は、郊外路と比べて前方車両が存在する可能性が高いが、環境照度が郊外路に比べて高いため前方車両が前照灯を点灯していない可能性が郊外路よりも高い。そこで、周囲環境の明るさが照度Lx1を超え、かつ周囲環境が市街地であった場合に、付加配光パターンの形成を制限する。これによれば、市街地において前方車両に与えるグレアの可能性を低減するとともに、郊外路における運転者の視認性を向上させることができる。なお、周囲環境が市街地であることは、車速センサ312から得られる車速情報や、この車速情報と照度センサ316から得られる照度情報との組み合わせにより判断することができる。あるいは、ナビゲーションシステム314から得られる情報によっても市街地であることを判断できる。
また、上述の各実施形態では、昼間から夜間に移行する際の薄暮時における付加配光パターンの形成制御について説明したが、この付加配光パターンの形成制限は、薄暮時に限定されず、夜間から昼間に移行する際の明け方などの薄明時にも適用可能であり、これらの場合であっても同様の効果を得ることができる。
また、実施形態2または3において、付加配光パターンの照度を低減する場合には、ロービーム用配光パターンのカットオフラインより上方の領域における照度のみを低減するようにしてもよい。これによれば、前方車両にグレアを与える可能性を低減しつつ、ロービーム用配光パターンのカットオフラインよりも下方における運転者の視認性を向上させることができる。ロービーム用配光パターンのカットオフラインより上方の領域における照度の低減は、例えば、シェードプレート24に代えて多数の微細な画素をマトリクス配置した光透過型LCD(液晶)装置で構成したシェードを用いることで実現できる。
また、上述の各実施形態では、照射制御部228L,228Rが、前方車両の存在状態や、周囲環境が所定の明るさを超えているか等を判断しているが、車両制御部302がこれらの判断を実行するようにしてもよい。この場合、照射制御部228L,228Rは、車両制御部302からの指示に基づいてバルブ14の点消灯や、スイブルアクチュエータ222およびモータ238の駆動等を制御する。
10 灯具ユニット、 14 バルブ、 200 車両用前照灯装置、 210L,210R 前照灯ユニット、 228,228L,228R 照射制御部、 302 車両制御部、 306 カメラ、 316 照度センサ。

Claims (4)

  1. ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の領域を含む付加配光パターンを形成可能な灯具ユニットと、
    前方車両の前照灯または標識灯に基づいて検出される前方車両の存在に応じて、前記灯具ユニットによる光の照射を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、車両の周囲環境が、運転者の視認性を確保する上で前照灯の点灯が必要とされる夜間よりも明るく、運転者の視認性を確保する上で前照灯の点灯が不要である昼間よりも暗い、前照灯の点灯により運転者の視認性の向上を図ることができる所定の薄暮時であると判断した場合には、周囲環境が前記夜間の場合よりも照度の低い付加配光パターンを形成することを特徴とする車両用前照灯装置。
  2. 前記制御部は、車両の周囲環境が前記薄暮時と判断した場合には、周囲環境が前記夜間の場合よりもカットオフラインの少なくとも一部の高さが低い付加配光パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。
  3. 前記制御部は、車両の周囲環境が前記薄暮時と判断した場合には、周囲環境が前記夜間の場合よりも照度の低い付加配光パターンを形成し、周囲環境が前記昼間と判断した場合には、付加配光パターンの形成を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。
  4. 前記付加配光パターンは、水平ラインよりも上方の中央部に遮光領域を有し、当該遮光領域の水平方向両側にハイビーム領域を有するスプリット配光パターンであり、
    前記制御部は、カメラで撮像された前方車両が前記遮光領域に含まれるように前記スプリット配光パターンを形成し、移動する前方車両の位置に合わせて前記遮光領域を変形させ、
    車両の周囲環境が前記薄暮時であることを、カメラで撮影された画像の照度に基づいて判断する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用前照灯装置。
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