しかしながら、吐出重量を正確に測定するための吐出重量測定工程を実施することは必要であって、吐出重量測定工程の間は、描画対象物に向けて液状体を吐出する描画吐出工程が休止するため、液滴吐出による描画のために要する時間が増大するという課題があった。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出方法は、液滴吐出ヘッドから液状体を吐出すると共に、前記液状体を着弾させる対象である基材と前記液滴吐出ヘッドとを相対移動させることによって、前記基材上に前記液状体を配置する描画吐出工程と、前記液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置に対して前記基材の給除材を実施するための給除材工程と、前記液滴吐出ヘッドが、当該液滴吐出ヘッドから吐出された前記液状体の重量測定を実施するための重量測定吐出を実施する重量測定吐出工程を含み、重量測定吐出された前記液状体の重量を測定する重量測定工程と、を有し、前記給除材工程が実施されている間に、略並行して前記重量測定吐出工程を実施することを特徴とする。
この液滴吐出方法によれば、液滴吐出ヘッドが吐出を実施していることを必要としない給除材工程の間に、液滴吐出ヘッドが吐出を実施することが必須である重量測定吐出工程を実施する。液滴吐出ヘッドの言わば休止時間に、重量測定吐出工程を実施することによって、重量測定吐出工程のための時間が新たに発生することがないため、液滴吐出による描画のための作業時間の増加を抑制することができる。
なお、給除材工程は、処理済みの基材を実際に取外したり、次に処理するべき基材を実際に取付けたりする、実際に給除材を実施する工程に加えて、取付けた基材の位置合わせの工程や、給除材のために、基材を載置するためのステージを移動させる工程なども含んでいる。
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記液滴吐出ヘッドが、前記液滴吐出ヘッドの状態を維持するための捨て吐出を実施する捨て吐出工程と、前記液滴吐出ヘッドの吐出状態を検査するための検査吐出を、前記液滴吐出ヘッドが実施する検査吐出工程と、検査吐出されて着弾した液状体の状態の情報を取得する状態情報取得工程と、を含み、前記液滴吐出ヘッドの吐出状態を検査する吐出検査工程と、をさらに有し、前記給除材工程が実施されている間に、前記捨て吐出工程及び前記検査吐出工程を実施することが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、液滴吐出ヘッドが吐出を実施していることを必要としない給除材工程の間に、液滴吐出ヘッドが吐出を実施することが必須である検査吐出工程を実施する。液滴吐出ヘッドの言わば休止時間に、検査吐出工程を実施することによって、検査吐出工程のための時間が新たに発生することがないため、液滴吐出による描画のための作業時間の増加を抑制することができる。また、給除材工程の間に、液滴吐出ヘッドが休止していると、吐出口の乾燥などの不具合が発生する可能性がある。給除材工程の間に、捨て吐出工程を実施することにより、吐出口の乾燥などを抑制して、液滴吐出ヘッドの適正な状態を維持することができる。
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記液滴吐出ヘッドを複数有する組に含まれる1台の前記液滴吐出ヘッドは、前記重量測定吐出を実施し、当該組に含まれる前記重量測定吐出を行う前記液滴吐出ヘッド以外の前記液滴吐出ヘッドは、前記組に含まれる1台の前記液滴吐出ヘッドによる前記重量測定吐出に並行して、前記捨て吐出を実施することが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、一組の液滴吐出ヘッドにおける一個の液滴吐出ヘッドが重量測定吐出を実施している間に、他の液滴吐出ヘッドは、捨て吐出を実施することにより、吐出口の乾燥などを抑制して、液滴吐出ヘッドの適正な状態を維持することができる。
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記状態情報取得工程と、前記重量測定吐出工程とを、それぞれの工程を実施する時刻を互いにずらして実施することが好ましい。
重量測定吐出工程においては、液滴吐出ヘッドと吐出された液状体を受ける装置とを対向させる必要がある。状態情報取得工程においては、状態情報取得装置と測定対象とを対向させる必要がある。液滴吐出ヘッドと液状体を受ける装置と状態情報取得装置と測定対象とを、両工程を同時に実施できる状態に配置すると、各装置がそれぞれ配置される位置の位置関係が制約されるため、液状体を吐出するための装置が大型になる可能性が高くなる。
この液滴吐出方法によれば、重量測定吐出工程と状態情報取得工程とを実施する時間をずらすことにより、両工程を同時に実施できるように各装置を配置することが不要となることから、各装置の配置の自由度が保たれるため、液滴を吐出するための装置が大型になることを抑制することができる。
また、液滴吐出ヘッドと液状体を受ける装置と状態情報取得装置と測定対象とのいずれかを一体に移動させることも可能となり、移動用の装置を削減することができる。
[適用例5]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記状態情報取得工程に略並行して、前記重量測定吐出工程を実施することが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、重量測定吐出工程と状態情報取得工程とのいずれか一方を実施する間に、他方も実施することができる。これにより、重量測定吐出工程を実施するために必要な時間と、状態情報取得工程を実施するために必要な時間とのいずれか一方が、液滴吐出による描画に要する時間に及ぼす影響を殆どなくして、液滴吐出による描画に要する時間の増加を抑制することができる。
[適用例6]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記重量測定工程において測定された前記液状体の重量の測定値の、基準値に対する差異が、所定の値を超えた場合には、確認検査を実施することが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、確認検査によって、重量測定工程における測定結果を検証することができる。測定結果を検証することによって、一時的に発生した吐出量の変動が測定されることに起因して、当該一時的な変動に対応して不要な対処処置が実施されることを抑制することができる。
[適用例7]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記確認検査が、前記重量測定工程であることが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、一時的に発生した吐出量の変動が再度実施される重量測定においても測定される可能性は小さいため、再度重量測定を実施することで、重量測定工程における測定結果を検証することができる。
[適用例8]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記確認検査が、前記吐出検査工程であることが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、吐出検査工程を実施して、吐出不良などを含む吐出状態を検証することで、吐出重量の変動の要因となる吐出状態の変動の有無を検証することができる。また、吐出重量の変動の要因となる吐出状態の変動の種類を検証することができる。吐出状態の変動の種類としては、例えば、吐出口の詰りによる吐出不良(吐出されない)や、吐出量過多や吐出量過少などが挙げられる。
[適用例9]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記重量測定工程において測定された前記液状体の重量の、基準値に対する差異が、第一の値を超えると共に、第二の値以下である場合には、前記液滴吐出ヘッドにおける吐出条件の補正を実施することが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、吐出条件の補正を実施するだけで、吐出重量の変動を解消できる可能性がある。吐出条件の補正は短時間で実施することが可能であるため、吐出重量の変動を解消するために他の方法を用いる場合より、吐出重量の変動に対応するための時間を短縮することができる。第一の値は、例えば、吐出重量の許容誤差であり、第二の値は、例えば、吐出条件によって変えることが可能な吐出重量の可変量である。
[適用例10]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記液滴吐出ヘッドの駆動源は圧電素子であって、前記吐出条件の一つは、前記液滴吐出ヘッドに印加する駆動電圧であり、前記補正は、駆動電圧値の補正又は駆動電圧波形の補正を含むことが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、液滴吐出ヘッドに印加する駆動電圧又は駆動電圧波形を調整することによって、吐出重量の変動を補正することができる。圧電素子を駆動源とする液滴吐出ヘッドは、適切な駆動電圧又は駆動電圧波形を選択することによって吐出量の設定値を実現するため、吐出重量の変動を、駆動電圧又は駆動電圧波形を調整することによって、補正することができる。
[適用例11]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記給除材工程が一回実施される間に、一台の前記液滴吐出ヘッドによる前記重量測定吐出工程を実施することが好ましい。
複数の液滴吐出ヘッドにおいて重量測定吐出工程を実施した場合、重量測定吐出工程に要する時間の合計が増大するため、当該時間の合計が給除材工程に要する時間を超える可能性が増加する。給除材工程に要する時間を超える時間は、描画のための作業時間の増加要因となる。この液滴吐出方法によれば、一回の給除材工程の間に重量測定吐出工程を実施する液滴吐出ヘッドは1台であって、重量測定吐出工程に要する時間は最短であるため、重量測定吐出工程に要する時間が描画のための作業時間の増大要因となる可能性を最も小さくすることができる。
[適用例12]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、複数の前記液滴吐出ヘッドを含むヘッド組を規定し、前記ヘッド組に含まれる全ての前記液滴吐出ヘッドがそれぞれ一回の前記重量測定吐出工程を順次実施し、それぞれの前記液滴吐出ヘッドが吐出した前記液状体の重量測定を実施するヘッド組重量測定工程と、前記重量測定吐出工程を並行して実施することなく前記給除材工程を所定の回数実施する重量測定休止工程と、を有することが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、重量測定休止工程を設けることにより、重量測定工程に要するエネルギを抑制することができる。重量測定工程は、一定の稼働時間を隔てて実施すれば充分検証機能を果たすことが可能である。例えば、複数の液滴吐出ヘッドを組にして、当該組の各液滴吐出ヘッドについて各一回ずつ重量測定工程を実施し、所定の稼働時間の後、該組の各液滴吐出ヘッドについて各一回ずつ重量測定工程を実施するような方法であっても、検証機能を果たすことが可能である。
[適用例13]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記重量測定吐出工程の実施状態に拠って、前記重量測定吐出によって吐出された前記液状体を収容する重量測定受器の交換指示を出すことが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、重量測定吐出工程の実施状態に拠って、重量測定受器に着弾して蓄積された液状体の量を把握することができるため、当該蓄積された液状体の量に拠って、重量測定受器の交換を効率的に実施することができる。なお、重量測定吐出工程一回ごとに重量測定受器を空にするのは、一回ごとに交換時間を必要として効率的ではない。また、重量測定受器を空にすることを必要としないほどの容量を有する重量測定受器を用いることは、重量測定受器や、当該重量測定受器を備える重量測定ユニットなどが、重量測定受器を空にすることを必要とする大きさの重量測定受器を用いる場合に比べて大きくなり、液状体を吐出するための装置が大型になる。従って、重量測定受器は、適宜空にすることを必要とする程度の大きさとすることが効率的である。
[適用例14]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記重量測定吐出工程における前記重量測定吐出の吐出数を累計し、当該吐出数の累計が所定の数値を超えた時点で、前記重量測定受器の交換指示を出すことが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、重量測定吐出工程で吐出された吐出数の累計によって、重量測定受器を交換することが指示される。重量測定吐出工程で吐出された液状体の液滴は、吐出不良(吐出しない)の場合を除いて、重量測定受器に着弾する。このため、重量測定受器に着弾した液状体の液滴の数は、重量測定吐出工程で吐出された吐出数に概ね等しい。重量測定吐出工程で吐出された吐出数の累計によって、重量測定受器の交換を指示することで、重量測定受器の交換を効率的に実施することができる。なお、重量測定受器内の液状体は溶媒が蒸発するため、重量測定吐出工程で吐出された吐出数の累計は、吐出された吐出数の液状体に含まれる溶質の重量の累計に換算して用いることが好ましい。
[適用例15]上記適用例にかかる液滴吐出方法において、前記重量測定工程において測定された前記液状体の重量を累計し、当該重量の累計が所定の数値を超えた時点で、前記重量測定受器の交換指示を出すことが好ましい。
この液滴吐出方法によれば、重量測定工程で測定された重量の累計によって、重量測定受器を交換することが指示される。重量測定工程で測定された重量の累計は、重量測定受器に蓄積された液状体の重量である。重量測定工程で測定された重量の累計によって、重量測定受器の交換を指示することで、重量測定受器の交換を効率的に実施することができる。なお、重量測定受器内の液状体は溶媒が蒸発するため、測定された重量の累計は、液状体に含まれる溶質の重量の累計に換算して用いることが好ましい。
[適用例16]本適用例にかかる液滴吐出装置は、液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、吐出された前記液状体を着弾させる対象である基材を載置するためのステージと、前記液滴吐出ヘッドと前記ステージとを主走査方向に相対移動させるステージ移動手段と、前記液滴吐出ヘッドから吐出された前記液状体の重量を測定する重量測定ユニットと、前記液滴吐出ヘッドと前記重量測定ユニットとを主走査方向に相対移動させる重量測定ユニット移動手段と、前記液滴吐出ヘッドと前記重量測定ユニットとを、前記主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させる重量測定ユニット副移動手段と、前記液滴吐出ヘッドと前記重量測定ユニットと前記重量測定ユニット移動手段と前記重量測定ユニット副移動手段とを制御する重量測定制御部と、を備え、前記重量測定制御部は、前記重量測定ユニット移動手段及び前記重量測定ユニット副移動手段を制御することによって、前記液滴吐出ヘッドが前記重量測定ユニットに臨む位置に位置するように、前記液滴吐出ヘッドと前記重量測定ユニットとを相対移動させ、前記ステージに対する前記基材の給除材を実施する時間、及び給除材のために前記ステージが前記ステージ移動手段によって相対移動されている時間を含む給除材時間の間に、前記液滴吐出ヘッドを制御することによって、吐出された液状体の重量測定を実施するための重量測定吐出を実施させることを特徴とする。
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出ヘッドが吐出を実施していることを必要としない給除材時間の間に、液滴吐出ヘッドが吐出を実施することが必須の重量測定吐出が実施される。液滴吐出ヘッドの言わば休止時間に、重量測定吐出を実施することによって、重量測定吐出のための時間が新たに発生することがないため、液滴吐出による描画のための作業時間の増加を抑制することができる。
なお、給除材時間は、処理済みの基材を実際に取外したり、次に処理するべき基材を実際に取付けたりする、実際に給除材を実施するための時間や、給除材のために、基材を載置するためのステージを移動させるための時間に加えて、取付けた基材の位置合わせのための時間なども含んでいる。
[適用例17]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドの状態を維持するために前記液滴吐出ヘッドが実施する捨て吐出によって吐出される前記液状体を受ける捨て吐出受器と、前記液滴吐出ヘッドの吐出状態を検査するために前記液滴吐出ヘッドに実施させる検査吐出によって吐出される前記液状体を着弾させる検査吐出着弾シートと、当該検査吐出着弾シート上に着弾した前記液状体の状態情報を取得する状態観測装置と、を含む吐出検査装置と、前記液滴吐出ヘッドと前記状態観測装置とを制御する吐出検査制御部と、をさらに備え、前記重量測定ユニット移動手段は、前記液滴吐出ヘッドと、前記吐出受器及び前記検査吐出着弾シートと、を前記主走査方向に相対移動させ、前記重量測定ユニット副移動手段は、前記液滴吐出ヘッドと、前記吐出受器及び前記検査吐出着弾シートと、を前記副走査方向に相対移動させ、前記重量測定制御部は、前記重量測定ユニット移動手段及び前記重量測定ユニット副移動手段を制御することによって、前記液滴吐出ヘッドが前記捨て吐出受器又は前記検査吐出着弾シートに臨む位置に位置するように、前記液滴吐出ヘッドと前記吐出受器及び前記検査吐出着弾シートとを相対移動させ、前記重量測定ユニット移動手段及び前記重量測定ユニット副移動手段を制御することによって、前記状態観測装置が前記検査吐出着弾シートに臨む位置に位置するように、前記状態観測装置と前記検査吐出着弾シートとを相対移動させ、前記吐出検査制御部は、前記給除材時間の間に、前記捨て吐出及び前記検査吐出を実施させるように、前記液滴吐出ヘッドを制御し、前記吐出検査制御部は、また、前記状態観測装置が臨んだ前記検査吐出着弾シートの上に着弾した前記液状体の状態情報を取得するように、前記状態観測装置を制御することが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出ヘッドが吐出を実施していることを必要としない給除材時間の間に、液滴吐出ヘッドが吐出を実施することが必須である検査吐出を実施する。液滴吐出ヘッドの言わば休止時間に、検査吐出を実施することによって、検査吐出のための時間が新たに発生することがないため、液滴吐出による描画のための作業時間の増加を抑制することができる。また、給除材時間の間に、液滴吐出ヘッドが休止していると、吐出口の乾燥などの不具合が発生する可能性がある。給除材時間の間に、捨て吐出を実施することにより、吐出口の乾燥などを抑制して、液滴吐出ヘッドの適正な状態を維持することができる。
[適用例18]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記重量測定制御部は、前記液滴吐出ヘッドを複数有する組に含まれる1台の前記液滴吐出ヘッドを、前記重量測定吐出を実施するように制御し、当該組に含まれる前記重量測定吐出を行う前記液滴吐出ヘッド以外の前記液滴吐出ヘッドを、前記組に含まれる1台の前記液滴吐出ヘッドによる前記重量測定吐出に並行して、前記捨て吐出を実施するように制御することが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、一組の液滴吐出ヘッドにおける一個の液滴吐出ヘッドが重量測定吐出を実施している間に、他の液滴吐出ヘッドは、捨て吐出を実施することにより、吐出口の乾燥などが起こることを抑制して、液滴吐出ヘッドの適正な状態を維持することができる。
[適用例19]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記吐出検査制御部及び前記重量測定制御部は、前記状態観測装置による前記状態情報の取得と、前記液滴吐出ヘッドによる前記重量測定吐出の実施と、がそれぞれを実施する時刻が互いにずれて実施されるように、前記状態観測装置及び前記液滴吐出ヘッドを制御することが好ましい。
重量測定吐出を実施する場合には、液滴吐出ヘッドと重量測定ユニットとを対向させる必要がある。状態情報を取得する際には、状態観測装置と検査吐出着弾シートとを対向させる必要がある。液滴吐出ヘッドと重量測定ユニットと状態観測装置と検査吐出着弾シートとを、重量測定吐出と状態情報の取得とを同時に実施できる構成にするためには、各装置がそれぞれ配置される位置の位置関係が制約されるため、液滴吐出装置が大型になる可能性が高くなる。
この液滴吐出装置によれば、重量測定吐出と状態情報の取得とを実施する時間をずらすことにより、重量測定吐出と状態情報の取得とを同時に実施できるように各装置を配置することが不要となることによって、各装置の配置の自由度が保たれるため、液滴吐出装置が大型になることを抑制することができる。
また、液滴吐出ヘッドと重量測定ユニットと状態観測装置と検査吐出着弾シートとのいずれかを一体に移動させることも可能となるため、移動用の装置を削減することができる。
[適用例20]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッド又は前記状態観測装置と、前記検査吐出着弾シートと、を前記主走査方向に相対移動させる検査ユニット移動手段をさらに備え、前記吐出検査制御部は、前記検査ユニット移動手段及び前記重量測定ユニット副移動手段を制御して、前記液滴吐出ヘッドが前記検査吐出着弾シートに臨む位置に位置するように、前記液滴吐出ヘッドと前記検査吐出着弾シートとを相対移動させ、前記状態観測装置が前記検査吐出着弾シートに臨む位置に位置するように、前記状態観測装置と前記検査吐出着弾シートとを相対移動させ、前記吐出検査制御部及び前記重量測定制御部は、前記状態観測装置による前記状態情報の取得と、前記液滴吐出ヘッドによる前記重量測定吐出の実施と、が略並行して実施されるように、前記状態観測装置及び前記液滴吐出ヘッドを制御することが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、検査ユニット移動手段及び重量測定ユニット移動手段を用いることによって、状態観測装置と検査吐出着弾シートとの主走査方向の相対移動と、液滴吐出ヘッドと重量測定ユニットとの主走査方向の相対移動とを、それぞれ独立して実施することができる。即ち、液滴吐出ヘッドと重量測定ユニットとを対向させることと、状態観測装置と検査吐出着弾シートとを対向させることとを、並行して実施することができる。これにより、重量測定吐出と状態情報取得とをそれぞれ独立して実施することが可能となり、重量測定吐出と状態情報取得とのいずれか一方を実施する間に、他方も実施することができる。このため、重量測定吐出を実施するために必要な時間と、状態情報取得を実施するために必要な時間とのいずれか一方が、液滴吐出による描画に要する時間に及ぼす影響を殆どなくして、液滴吐出による描画に要する時間の増加を抑制することができる。
[適用例21]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッド又は前記状態観測装置と、前記検査吐出着弾シートと、を前記副走査方向に相対移動させる検査ユニット副移動手段をさらに備え、前記吐出検査制御部は、前記検査ユニット移動手段及び前記検査ユニット副移動手段を制御することによって、前記液滴吐出ヘッドが前記捨て吐出受器又は前記検査吐出着弾シートに臨む位置に位置するように、前記液滴吐出ヘッドと前記検査吐出着弾シートとを相対移動させ、前記状態観測装置が前記検査吐出着弾シートに臨む位置に位置するように、前記状態観測装置と前記検査吐出着弾シートとを相対移動させることが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、検査ユニット副移動手段及び重量測定ユニット副移動手段を用いることによって、状態観測装置と検査吐出着弾シートとの副走査方向の相対移動と、液滴吐出ヘッドと重量測定ユニットとの副走査方向の相対移動とを、それぞれ独立して実施することができる。これにより、状態観測装置と検査吐出着弾シートとの副走査方向の相対移動と液滴吐出ヘッドと重量測定ユニットとの副走査方向の相対移動との両方を、重量測定ユニット副移動手段のみを用いて実施する場合に比べて、より容易に、重量測定吐出と状態情報取得とをそれぞれ独立して実施することができる。
[適用例22]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドから前記重量測定吐出された前記液状体の重量を前記重量測定ユニットによって測定した測定値の、基準値に対する差異が、所定の値を超えた場合には、確認検査を実施することが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、確認検査によって、重量測定の測定結果を検証することができる。測定結果を検証することにより、一時的に発生した吐出量の変動が重量測定において測定されることに起因して、当該一時的な変動に対応して不要な対処処置が実施されることを抑制することができる。
[適用例23]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記確認検査が、前記重量測定ユニットによる重量測定であることが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、一時的に発生した吐出量の変動が再度実施される重量測定においても測定される可能性は小さいため、再度重量測定を実施することで、重量測定における測定結果を検証することができる。
[適用例24]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記確認検査が、前記吐出検査装置による前記液滴吐出ヘッドの吐出状態の検査であることが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、吐出検査を実施して、吐出不良などを含む吐出状態を検証することで、吐出重量の変動の要因となる吐出状態の変動の有無を検証することができる。また、吐出重量の変動の要因となる吐出状態の変動の種類を検証することができる。吐出状態の変動の種類としては、例えば、吐出口の詰りによる吐出不良(吐出されない)や、吐出量過多や吐出量過少などが挙げられる。
[適用例25]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドの吐出条件を設定する吐出条件設定部をさらに備え、前記液滴吐出ヘッドから前記重量測定吐出された前記液状体の重量を前記重量測定ユニットによって測定した測定値の、基準値に対する差異が、第一の値を超えると共に、第二の値以下である場合には、前記吐出条件設定部が、前記液滴吐出ヘッドにおける吐出条件の補正を実施することが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、吐出条件設定部を用いて吐出条件の補正を実施するだけで、吐出重量の変動を解消できる可能性がある。吐出条件設定部による吐出条件の補正は短時間で実施することが可能であるため、吐出重量の変動を解消するために他の方法を用いる場合より、吐出重量の変動に対応するための時間を短縮することができる。第一の値は、例えば、吐出重量の許容誤差であり、第二の値は、例えば、吐出条件によって変えることができる吐出重量の可変量である。
[適用例26]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記吐出条件の一つは、前記液滴吐出ヘッドに印加する駆動電圧であり、前記補正は、駆動電圧値の補正又は駆動電圧波形の補正を含むことが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出ヘッドに印加する駆動電圧又は駆動電圧波形を調整することによって、吐出重量の変動を補正することができる。圧電素子を駆動源とする液滴吐出ヘッドは、適切な駆動電圧又は駆動電圧波形を選択することによって吐出量の設定値を実現するため、吐出重量の変動を、駆動電圧又は駆動電圧波形を調整することによって、補正することができる。
[適用例27]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、一回の前記給除材時間の間に、一台の前記液滴吐出ヘッドによる前記重量測定吐出を実施することが好ましい。
複数の液滴吐出ヘッドにおいて重量測定吐出工程を実施した場合、重量測定吐出工程に要する時間の合計が増加するため、当該時間の合計が給除材時間を超える可能性が増大する。給除材時間を超える時間は、描画のための作業時間の増加要因となる。この液滴吐出装置によれば、一回の給除材時間の間に重量測定吐出を実施する液滴吐出ヘッドは1台であって、重量測定吐出に要する時間は最短であるため、重量測定吐出時間が描画のための作業時間の増大要因となる可能性を最も小さくすることができる。
[適用例28]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、複数の前記液滴吐出ヘッドを含むヘッド組を予め規定し、前記重量測定制御部は、複数回数の前記給除材が実施されるのに伴って、前記ヘッド組に含まれる全ての前記液滴吐出ヘッドがそれぞれ一回の前記重量測定吐出を順次実施し、それぞれの前記液滴吐出ヘッドが吐出した前記液状体の重量測定が実施されるように、前記重量測定ユニット移動手段及び前記液滴吐出ヘッドを制御すると共に、第一の液滴吐出ヘッドの前記重量測定吐出を並行して実施することを伴う前記給除材と、次に当該第一の液滴吐出ヘッドの前記重量測定吐出を並行して実施することを伴う前記給除材との間に、前記重量測定吐出を並行して実施することを伴わない前記給除材が複数回数実施されるように、前記重量測定ユニット移動手段及び前記液滴吐出ヘッドを制御することが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、重量測定吐出を並行して実施することを伴わない給除材を実施する。即ち、基材に向けて液状体を吐出する作業を実施する一定時間における重量測定の回数を減少させる。これにより、重量測定に要するエネルギを抑制することができる。重量測定は、一定の稼働時間を隔てて実施すれば充分検証機能を果たすことが可能である。例えば、複数の液滴吐出ヘッドを組にして、当該組の各液滴吐出ヘッドについて各一回ずつ重量測定を実施し、所定の稼働時間の後、該組の各液滴吐出ヘッドについて各一回ずつ重量測定を実施するような方法であっても、検証機能を果たすことが可能である。
[適用例29]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記重量測定吐出によって吐出された前記液状体を収容する重量測定受器と、前記重量測定受器の交換時期を算出して、交換指示情報を出す受器管理部と、をさらに備え、前記受器管理部は、前記重量測定吐出の実施状態に拠って、前記交換時期を算出することが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、受器管理部は、重量測定吐出の実施状態に拠って、重量測定受器の交換時期を算出し、当該交換時期に従って交換指示情報を出す。重量測定吐出の実施状態に拠って、重量測定受器に着弾して蓄積された液状体の量を把握することができるため、受器管理部の交換指示情報に拠って、重量測定受器の交換を効率的に実施することができる。なお、重量測定吐出を一回実施するごとに重量測定受器を空にするのは、一回ごとに交換時間を必要として効率的ではない。また、重量測定受器を空にすることを必要としないほどの容量を有する重量測定受器を用いることは、重量測定受器や、当該重量測定受器を備える重量測定ユニットなどが、重量測定受器を空にすることを必要とする大きさの重量測定受器を用いる場合に比べて大きくなり、液滴吐出装置が大型になる。従って、重量測定受器は、適宜空にすることを必要とする程度の大きさとすることが効率的である。
[適用例30]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記重量測定吐出の吐出数を累計し、当該吐出数の累計が所定の数値を超えた時点を前記交換時期とすることが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、受器管理部は、重量測定吐出で吐出された吐出数の累計によって、重量測定受器を交換することを指示する交換指示情報を出す。重量測定吐出で吐出された液状体の液滴は、吐出不良(吐出しない)の場合を除いて、重量測定受器に着弾する。このため、重量測定受器に着弾した液状体の液滴の数は、重量測定吐出で吐出された吐出数に概ね等しい。重量測定吐出で吐出された吐出数の累計によって、重量測定受器の交換を指示することで、重量測定受器の交換を効率的に実施することができる。なお、重量測定受器内の液状体は溶媒が蒸発するため、重量測定吐出で吐出された吐出数の累計は、吐出された吐出数の液状体に含まれる溶質の重量の累計に換算して用いることが好ましい。
[適用例31]上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記受器管理部は、前記重量測定において測定された前記液状体の重量を累計し、当該重量の累計が所定の数値を超えた時点を前記交換時期とすることが好ましい。
この液滴吐出装置によれば、重量測定で測定された重量の累計によって、重量測定受器を交換することが指示される。重量測定で測定された重量の累計は、重量測定受器に蓄積された液状体の重量である。従って、重量測定で測定された重量の累計によって、重量測定受器の交換を指示することで、重量測定受器の交換を効率的に実施することができる。なお、重量測定受器内の液状体は溶媒が蒸発するため、測定された重量の累計は、液状体に含まれる溶質の重量の累計に換算して用いることが好ましい。
[適用例32]本適用例にかかる液滴吐出装置の吐出重量測定方法は、液滴吐出ヘッドから液状体を吐出すると共に、前記液状体を着弾させる対象である基材と前記液滴吐出ヘッドとを相対移動させることによって、前記基材上に前記液状体を配置する液滴吐出装置の吐出重量測定方法であって、吐出された前記液状体の重量測定を実施するための重量測定吐出を前記液滴吐出ヘッドが実施する重量測定吐出工程を有し、前記液滴吐出装置に対して前記基材の給除材を実施するための給除材工程が実施されている間に、前記重量測定吐出工程を実施することを特徴とする。
この液滴吐出装置の吐出重量測定方法によれば、液滴吐出ヘッドが吐出を実施していることを必要としない給除材工程の間に、液滴吐出ヘッドが吐出を実施することを必須とする重量測定吐出工程が実施される。液滴吐出ヘッドの言わば休止時間に、重量測定吐出工程を実施することによって、重量測定吐出工程のための時間が新たに発生することがないため、液滴吐出による描画のための作業時間の増加を抑制することができる。
なお、給除材工程は、処理済みの基材を実際に取外したり、次に処理するべき基材を実際に取付けたりするような、実際に給除材を実施する工程に加えて、取付けた基材の位置合わせの工程や、給除材のために基材を載置するためのステージを移動させる工程なども含んでいる。
[適用例33]本適用例にかかる液滴吐出装置の吐出重量測定装置は、液状体を吐出する液滴吐出ヘッドと、吐出された前記液状体を着弾させる対象である基材を載置するためのステージと、前記液滴吐出ヘッドと前記ステージとを主走査方向に相対移動させるステージ移動手段と、前記液滴吐出ヘッドから吐出された前記液状体の重量を測定する重量測定ユニットと、前記液滴吐出ヘッドと前記重量測定ユニットとを主走査方向に相対移動させる重量測定ユニット移動手段と、前記液滴吐出ヘッドと前記重量測定ユニットとを、前記主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させる重量測定ユニット副移動手段と、を備える液滴吐出装置の吐出重量測定装置であって、前記液滴吐出ヘッドと前記重量測定ユニットと前記重量測定ユニット移動手段と前記重量測定ユニット副移動手段とを制御する重量測定制御部、を備え、前記重量測定制御部は、前記重量測定ユニット移動手段及び前記重量測定ユニット副移動手段を制御することによって、前記液滴吐出ヘッドが前記重量測定ユニットに臨む位置に位置するように、前記液滴吐出ヘッドと前記重量測定ユニットとを相対移動させ、前記ステージに対する前記基材の給除材を実施する時間、及び給除材のために前記ステージが前記ステージ移動手段によって相対移動されている時間を含む給除材時間の間に、前記液滴吐出ヘッドを制御することによって、吐出された液状体の重量測定を実施するための重量測定吐出を実施させることを特徴とする。
この液滴吐出装置の吐出重量測定装置によれば、液滴吐出ヘッドが吐出を実施していることを必要としない給除材時間の間に、液滴吐出ヘッドが吐出を実施することを必須とする重量測定吐出が実施される。液滴吐出ヘッドの言わば休止時間に、重量測定吐出を実施することによって、重量測定吐出のための時間が新たに発生することがないため、液滴吐出による描画のための作業時間の増加を抑制することができる。
なお、給除材時間は、処理済みの基材を実際に取外したり、次に処理するべき基材を実際に取付けたりする、給除材を実施する時間や、給除材のために、基材を載置するためのステージを移動させるための時間に加えて、取付けた基材の位置合わせのための時間なども含んでいる。
以下、液滴吐出方法、及び液滴吐出装置の一実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、例えば、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、顔料を含む機能液や発光性の樹脂を含む機能液を導入した液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の発光素子等を形成するものである。
<液滴吐出法>
最初に、カラーフィルタなどの形成に用いられる液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状材料に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えない、駆動電圧を調整することによって、液滴の大きさを容易に調整することができるなどの利点を有する。本実施形態では、液状材料選択の自由度が高いこと、及び液滴の制御性が良いことから上記ピエゾ方式を用いる。
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出装置の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
図1に示すように、液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド17(図4参照)を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、機能液供給部(図示省略)と、検査ユニット4と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6(図6参照)とを備えている。
吐出ユニット2は、液状体である機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド17を120個有している。ワークユニット3は、液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台21を有している。機能液供給部は、機能液を貯留する貯留タンク(図示省略)を有し、液滴吐出ヘッド17への機能液の供給を行う。検査ユニット4は、液滴吐出ヘッド17からの吐出状態を検査するための、吐出検査ユニット18及び重量測定ユニット19を有しており、重量測定ユニット19にはフラッシングユニット14が併設されている。メンテナンスユニット5は、液滴吐出ヘッド17の保守を行う吸引ユニット15及びワイピングユニット16を有している。吐出装置制御部6は、これら各機構部等を総括的に制御する。後述する重量測定処理、描画処理、吐出検査処理、及びびメンテナンス処理などは、吐出装置制御部6による制御に基づいて行われている。吐出装置制御部6が、重量測定制御部、又は吐出検査制御部に相当する。
液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース1Aを備え、各ユニットなどが、X軸支持ベース1Aの上に配設されている。X軸テーブル11は、主走査方向となるX軸方向に延在して、X軸支持ベース1Aの上に配設されており、ワーク載置台21をX軸方向(主走査方向)に移動させる。Y軸テーブル12は、複数本の支柱7Aを介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース7の上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在している。吐出ユニット2は、それぞれ12個の液滴吐出ヘッド17を有するキャリッジユニット51を、10個備えている。10個のキャリッジユニット51は、10個のブリッジプレート52のそれぞれに吊設されている。ブリッジプレート52は、Y軸スライダ(図示省略)を介して、Y軸テーブル12に、Y軸方向に摺動自在に支持されている。Y軸テーブル12は、ブリッジプレート52(キャリッジユニット51)を、Y軸方向(副走査方向)に移動させる。
X軸テーブル11及びY軸テーブル12の駆動と同期して液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、機能液滴を吐出させ、ワーク載置台21の上に載置されたワークWに対して、任意の描画パターンを描画する。
吐出検査ユニット18は、検査描画ユニット161と、撮像ユニット162(図2参照)とを有している。検査描画ユニット161は、重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と一体に移動するように構成されている。検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられたブロックを、吐出検査ブロック4aと表記する。撮像ユニット162は、2個の検査カメラ163,163(図2参照)と、検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164(図2参照)と、を有している。カメラ移動機構164は、Y軸支持ベース7に固定されている。2個の検査カメラ163,163は、カメラ移動モータ(図2では図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
メンテナンスユニット5が備える吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、X軸テーブル11から外れ、かつY軸テーブル12によりキャリッジユニット51が移動可能である位置に配設された架台8の上に配設されている。吸引ユニット15は、複数の分割吸引ユニット141を有し、液滴吐出ヘッド17を吸引して、液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78(図4参照)から機能液を強制的に排出させる。ワイピングユニット16は、洗浄液を噴霧したワイピングシート151を有し、吸引後の液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76a(図4参照)を拭き取る(ワイピングを行う)ものである。このようにして、吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、液滴吐出ヘッド17の保守を行い、液滴吐出ヘッド17の機能維持又は機能回復を図るようになっている。
次に、液滴吐出装置1の各構成要素について、図1に加えて、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、液滴吐出装置の概略構成を示す側面図である。図2は、X軸方向に延在する側面の側面図であり、図3は、Y軸方向に延在する側面の側面図である。
図1、図2、又は図3に示すように、X軸テーブル11は、X軸第1スライダ22と、X軸第2スライダ23と、左右一対のX軸リニアモータ26と、一対のX軸共通支持ベース24と、を備えている。
X軸第1スライダ22には、ワーク載置台21が取付けられている。X軸第1スライダ22は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸第2スライダ23には、検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられた吐出検査ブロック4aが取付けられている。X軸第2スライダ23は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸リニアモータ26は、X軸共通支持ベース24に並設されており、X軸第1スライダ22又はX軸第2スライダ23をX軸共通支持ベース24に沿って移動させることによって、ワーク載置台21(ワーク載置台21に載置されたワークW)又は吐出検査ブロック4aをX軸方向に移動させる。X軸第1スライダ22とX軸第2スライダ23とは、X軸リニアモータ26により個別に駆動可能である。X軸リニアモータ26と、X軸共通支持ベース24と、X軸第1スライダ22とが、ステージ移動手段に相当する。X軸リニアモータ26と、X軸共通支持ベース24と、X軸第2スライダ23とが、重量測定ユニット移動手段に相当する。X軸方向が主走査方向に相当し、Y軸方向が副走査方向に相当する。
ワーク載置台21は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル31と、吸着テーブル31を支持し、吸着テーブル31にセットしたワークWの位置をθ軸方向にθ補正するためのθテーブル32等を有している。図1及び図2におけるワーク載置台21の位置が、ワークWの給除材を行うための給除材位置となっており、未処理のワークWを吸着テーブル31に導入(給材)するときや、処理済のワークWを回収(除材)するときには、吸着テーブル31をこの位置まで移動させるようになっている。当該給除材位置において、ロボットアーム(図示省略)により、吸着テーブル31に対するワークWの搬入・搬出(載換え)が行われる。また、吸着テーブル31には、給材されたワークWをX軸方向及びY軸方向に寄せこむようにして、これをプリアライメントする機構(図示省略)が組み込まれている。吸着テーブル31に給材された未処理のワークWのアライメントは、θテーブル32を用いて、給除材位置において実施される。ワーク載置台21のY軸方向と平行な一対の辺には、描画前フラッシングユニット111の一対の描画前フラッシングボックス121が添設されている。
画像認識ユニット80は、2台のアライメントカメラ81,81と、カメラ移動機構82と、を有している。カメラ移動機構82は、X軸支持ベース1Aの上に、Y軸方向に延在して、X軸テーブル11を跨ぐように配設されている。アライメントカメラ81は、カメラホルダ(図示省略)を介して、カメラ移動機構82に、Y軸方向にスライド自在に支持されている。カメラ移動機構82に支持されたアライメントカメラ81は、X軸テーブル11に上側から臨み、X軸テーブル11の上のワーク載置台21に載置されたワークWの各基準マーク(アライメントマーク)(図示省略)を画像認識することができる。2台のアライメントカメラ81,81は、カメラ移動モータ(図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
各アライメントカメラ81は、ワーク載置台21のX軸方向への移動と協働して、カメラ移動機構82によりY軸方向に移動しながら、上記ロボットアームが給材した各種ワークWのアライメントマークを撮像して、各種ワークWの位置認識を実施する。そして、このアライメントカメラ81の撮像結果に基づいて、θテーブル32によるワークWのθ補正が実施される。
Y軸テーブル12は、10組のY軸スライダ(図示省略)と、一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。一対のY軸リニアモータは、上記した一対のY軸支持ベース7,7の上にそれぞれ設置されて、Y軸方向に延在している。20個(10組)のY軸スライダは、一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに各10個ずつ摺動自在に支持されている。一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに支持された各1個のY軸スライダからなる1組のY軸スライダは、吐出ユニット2を構成するキャリッジユニット51が固定されたブリッジプレート52を両持ちで支持している。吐出ユニット2を構成する10個の各キャリッジユニット51をそれぞれ固定した10個のブリッジプレート52は、10個のブリッジプレート52を両持ちで支持する10組のY軸スライダを介して、一対のY軸支持ベース7,7の上に設置されている。
一対のY軸リニアモータを(同期して)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸支持ベース7,7を案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート52がY軸方向に移動し、ブリッジプレート52に吊設されたキャリッジユニット51がY軸方向に移動する。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、キャリッジユニット51を独立させて個別に移動させることも可能であるし、10個のキャリッジユニット51を一体として移動させることも可能である。
キャリッジユニット51は、12個の液滴吐出ヘッド17と、12個の液滴吐出ヘッド17を6個ずつ2群に分けて支持するサブキャリッジ53と、を有するヘッドユニット54を備えている(図5参照)。また、キャリッジユニット51は、ヘッドユニット54をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構61と、θ回転機構61を介して、ヘッドユニット54をブリッジプレート52に支持させる吊設部材62と、を備えている。
<液滴吐出ヘッドの構成>
次に、液滴吐出ヘッド17について、図4を参照して説明する。図4は、液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図である。
図4に示すように、この液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針72,72を有する液体導入部71と、液体導入部71に連なる方形のヘッド本体74と、液体導入部71とヘッド本体74との間から側方に突出するヘッド基板73と、を備えている。ヘッド本体74は、液体導入部71に連なるポンプ部75と、ポンプ部75に連なるノズル形成プレート76と、を有している。ノズル形成プレート76には、ノズル形成面76aに開口する吐出ノズル78が形成されている。液滴吐出ヘッド17においては、一列あたり180個の吐出ノズル78からなるノズル列78bが2列形成されている。ポンプ部75には、ピエゾ圧電素子が設けられており、当該ピエゾ圧電素子を駆動することによって、液体導入部71から供給されてきた機能液を吐出ノズル78から吐出する。一個の吐出ノズル78に対応して一個のピエゾ圧電素子が設けられており、それぞれの吐出ノズル78ごとに独立して機能液を吐出することができる。ヘッド基板73には、一対のコネクタ77,77が設けられている。このコネクタ77が、FFCケーブルなどによって、吐出装置制御部6と接続されている中継基板と接続されることで、液滴吐出ヘッド17が吐出装置制御部6と接続される。
液滴吐出ヘッド17が液滴吐出装置1に取付けられた状態では、ノズル列78bはY軸方向に延在する。2列のノズル列78bをそれぞれ構成する吐出ノズル78同士は、Y軸方向において、相互に半ノズルピッチずつ位置ずれしている。X軸方向の同じ位置において、それぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。
<ヘッドユニット>
次に、ヘッドユニット54について、図5を参照して説明する。図5は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図5に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット54が液滴吐出装置1に取付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。図5に示すように、ヘッドユニット54は、サブキャリッジ53と、サブキャリッジ53に搭載された12個の液滴吐出ヘッド17と、を有している。液滴吐出ヘッド17は、サブキャリッジ53に固定されており、ヘッド本体74がサブキャリッジ53に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル形成面76aが、サブキャリッジ53の面より突出している。図5は、ノズル形成面76a側から見た図である。12個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に分かれて、それぞれ6個ずつの液滴吐出ヘッド17を有するヘッド群55を2群形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド17のノズル列78bはY軸方向に延在している。
一つのヘッド群55が有する6個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において、互いに隣合う液滴吐出ヘッド17の、一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78が半ノズルピッチずれて位置するように、位置決めされている。仮に、ヘッド群55が有する6個の液滴吐出ヘッド17において、全ての吐出ノズル78のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル78は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。即ち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド17が有するそれぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。この直線をノズル群線と表記する。液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド群55を構成している。
ヘッドユニット54が有する二つのヘッド群55は、Y軸方向に一つのヘッド群55分の間隔を隔てて配置されている。即ち、一つのヘッドユニット54の吐出ノズル78から一滴づつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、ノズル群線一本の長さ分の間隔を隔てて、2本のノズル群線が形成される。ヘッドユニット54を、Y軸方向に一つのヘッド群55分移動させて、同様に2本のノズル群線を形成することで、ノズル群線が4本連なった直線が形成される。当該直線は、設計上では、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78の数の48倍の数の点が、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78のノズルピッチの半分の間隔(ノズルピッチ)で、連なっている。
隣合うヘッドユニット54も、それぞれのヘッド群55が、互いにY軸方向に一つのヘッド群55分の間隔を隔てて配置されるように位置することが可能である。従って、ノズル群線の長さ相当のY軸方向の移動を挟んで、それぞれ、吐出ユニット2が有する各吐出ノズル78に一滴ずつ機能液を吐出させることで、Y軸方向に延在する一直線を形成することができる。この、吐出ユニット2が有する全120個の液滴吐出ヘッド17が各二回の吐出で描画できるラインの長さは、ワーク載置台21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応している。
なお、ノズル列78bの端の方における吐出ノズル78のいくつかを使用しない場合には、使用しない吐出ノズル78が、使用する吐出ノズル78と、Y軸方向において重なるように、液滴吐出ヘッド17を配置する。
<液滴吐出装置の電気的構成>
次に、上述したような構成を有する液滴吐出装置1を駆動するための電気的構成について、図6を参照して説明する。図6は、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図である。液滴吐出装置1は、制御装置65を介してデータの入力や、稼働開始や停止などの制御指令の入力を行うことで、制御される。制御装置65は、演算処理を行うホストコンピュータ66と、液滴吐出装置1に入出力する情報を入出力するための入出力装置68とを有し、インタフェイス(I/F)67を介して吐出装置制御部6と接続されている。入出力装置68は、情報を入力可能なキーボード、記録媒体を介して情報を入出力する外部入出力装置、外部入出力装置を介して入力された情報を保存しておく記録部、モニタ装置などである。
液滴吐出装置1の吐出装置制御部6は、インタフェイス(I/F)47と、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)45と、RAM(Random Access Memory)46と、ハードディスク48と、を有している。また、ヘッドドライバ2dと、駆動機構ドライバ40dと、給液ドライバ60dと、メンテナンスドライバ5dと、検査ドライバ4dと、検出部インタフェイス(I/F)43、を有している。これらは、データバス49を介して互いに電気的に接続されている。
インタフェイス47は、制御装置65とデータの授受を行い、CPU44は、制御装置65からの指令に基づいて各種演算処理を行い、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する制御信号を出力する。RAM46は、CPU44からの指令に従って、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存する。ROM45は、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチン等を記憶している。ハードディスク48は、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを保存したり、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチン等を記憶したりしている。
ヘッドドライバ2dには、吐出ユニット2を構成する液滴吐出ヘッド17が接続されている。ヘッドドライバ2dは、CPU44からの制御信号に従って液滴吐出ヘッド17を駆動して、機能液の液滴を吐出させる。駆動機構ドライバ40dには、Y軸テーブル12のヘッド移動モータと、X軸テーブル11のX軸リニアモータ26と、各種駆動源を有する各種駆動機構を含む駆動機構41とが接続されている。各種駆動機構は、上記した、アライメントカメラ81を移動するためのカメラ移動モータや、θ回転機構61の駆動モータなどである。駆動機構ドライバ40dは、CPU44からの制御信号に従って上記モータなどを駆動して、液滴吐出ヘッド17とワークWとを相対移動させてワークWの任意の位置と液滴吐出ヘッド17とを対向させ、ヘッドドライバ2dと協働して、ワークW上の任意の位置に機能液の液滴を着弾させる。
メンテナンスドライバ5dには、メンテナンスユニット5の吸引ユニット15と、ワイピングユニット16と、フラッシングユニット14とが接続されている。メンテナンスドライバ5dは、CPU44からの制御信号に従って、吸引ユニット15、ワイピングユニット16、又はフラッシングユニット14を駆動して、液滴吐出ヘッド17の保守作業を実施させる。
検査ドライバ4dには、検査ユニット4の吐出検査ユニット18と、重量測定ユニット19とが接続されている。検査ドライバ4dは、CPU44からの制御信号に従って、吐出検査ユニット18、又は重量測定ユニット19を駆動して、吐出重量や吐出の可否や着弾位置精度などの、液滴吐出ヘッド17の吐出状態の検査を実施させる。
給液ドライバ60dには、給液ユニット60が接続されている。給液ドライバ60dは、CPU44からの制御信号に従って給液ユニット60を駆動して、液滴吐出ヘッド17に機能液を供給する。検出部インタフェイス43には、各種センサを含む検出部42が接続されている。検出部42の各センサによって検出された検出情報が検出部インタフェイス43を介してCPU44に伝達される。
<吐出検査ユニット>
次に、吐出検査ユニット18について、図7を参照して説明する。図1を参照して説明したように、吐出検査ユニット18は、検査描画ユニット161と、撮像ユニット162とを有している。検査描画ユニット161は、重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と一体に移動するように構成されている。図7は、検査描画ユニットの全体構成を示す外観斜視図である。
吐出検査ユニット18は、吐出ユニット2を構成する全液滴吐出ヘッド17(の吐出ノズル78)から機能液が適切に吐出されているか否かを検査するためのものである。検査描画ユニット161は、吐出ユニット2を構成する全ヘッドユニット54が備える全液滴吐出ヘッド17の全吐出ノズル78から検査吐出された機能液を受けられるように構成されている。撮像ユニット162は、検査描画ユニット161に描画された検査パターン(着弾ドットのパターン)を撮像して検査する。上述したように、検査描画ユニット161はX軸テーブル11に搭載されている。撮像ユニット162はY軸テーブル12直下で、Y軸支持ベース7に固定されて検査位置に固定的に設けられており、2個の検査カメラ163,163は、それぞれ独立してY軸方向に移動可能である。
図7に示すように、検査描画ユニット161は、検査シート171と、検査ステージ172と、シート送り手段173と、シート送り支持部材174と、ユニットベース175と、真空センサ(図示省略)と、を備えている。検査シート171は、液滴吐出ヘッド17から検査吐出された昨日液の液滴を着弾させるための帯状のシートで、Y軸方向に延在している。検査ステージ172はY軸方向に延在しており、検査ステージ172の上に検査シート171が載っている。シート送り手段173が、非検査済み部分を検査ステージ172に送り込むように、かつ検査シート171の検査済み部分を検査ステージ172から送り出すように、検査シート171を移動させる。シート送り手段173は、シート送り支持部材174に支持されており、シート送り支持部材174は、ユニットベース175に支持されている。真空センサは、検査ステージ172上に載置される検査シート171のセット不良を検出する。
図2を参照して説明したように、撮像ユニット162は、2個の検査カメラ163,163と、検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164と、を有している。検査カメラ163は、検査シート171に検査吐出された着弾ドットを画像認識するもので、X軸テーブル11に上側から臨む姿勢で、Y軸支持ベース7に固定されたカメラ移動機構164を介して、Y軸方向にスライド自在にY軸支持ベース7に支持されている。
検査描画ユニット161は、吸着テーブル31が給除材位置に移動したときに、検査シート171が撮像ユニット162の検査カメラ163に臨む位置に移動して当該位置に位置することが可能である。即ち、撮像ユニット162は、ワークWの載換え中及びアライメント中に、検査パターンの撮像を実施することができる。2個の検査カメラ163による撮像結果は、吐出装置制御部6に送信されて画像認識され、この画像認識に基づいて、各液滴吐出ヘッド17の各吐出ノズル78が正常に機能液を吐出しているか(ノズル詰まりがないか)否かが判定される。また、着弾した液滴の相対位置が規定された位置であるか否かが判定される。これらの判定もワーク載換え中及びアライメント中に行われる。検査シート171が、検査吐出着弾シートに相当し、撮像ユニット162が状態観測装置に相当し、吐出検査ユニット18が、吐出検査装置に相当する。
<重量測定ユニット>
次に、重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14について、図8を参照して説明する。図8は、重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの図である。図8(a)は、重量測定ブロックの平面図であり、図8(b)は、重量測定ブロックの側面図である。上述したように、重量測定ユニット19、フラッシングユニット14、及び検査描画ユニット161が一体に設けられた吐出検査ブロック4aが、一体に移動するように構成されている。
図8に示すように、重量測定ブロック91Aは、4つの重量測定装置91と、支持フレーム92とを備えている。支持フレーム92は、4つの重量測定装置91を支持しており、支持フレーム92がX軸第2スライダ23に固定されて、重量測定ブロック91AがX軸第2スライダ23に搭載されている。吐出検査ブロック4aは、5つの重量測定ブロック91Aを有し、合計20個の重量測定装置91が、Y軸方向に並んで、X軸第2スライダ23に搭載されている。1つの重量測定装置91が1つのヘッド群55に対応しており、並列する二つの重量測定装置91が、1つのヘッドユニット54に対応している。
重量測定装置91は、定期フラッシングボックス93と、受液容器94と、電子天秤99(図8(a)では受液容器94の下に隠れている)と、重量測定時フラッシングボックス95と、機能液吸収材97と、押えプレート98と、これらを収容するケース96と、を有している。定期フラッシングボックス93と、重量測定時フラッシングボックス95と、機能液吸収材97と、押えプレート98とは、フラッシングユニット14に含まれる。フラッシングユニット14には、20個の重量測定装置91のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の、定期フラッシングボックス93と、重量測定時フラッシングボックス95とが含まれる。受液容器94と、電子天秤99とは、重量測定ユニット19に含まれる。重量測定ユニット19には、20個の重量測定装置91のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の、受液容器94と、電子天秤99とが含まれる。
受液容器94は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち、任意の1個の液滴吐出ヘッド17のみに対向して、当該液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることができる大きさである。受液容器94は、電子天秤99の上に載っており、電子天秤99は受液容器94の重量を測定することで、受液容器94内に着弾した機能液の重量を測定する。液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることで増加した受液容器94の重量が、液滴吐出ヘッド17から吐出されて受液容器94内に着弾した機能液の重量である。
吐出装置制御部6のCPU44は、測定した機能液の重量を積算してRAM46に記憶させておき、積算重量が一定量に達すると、受液容器94の交換指示情報を出す。この場合の吐出装置制御部6が、受器管理部に相当し、受液容器94が、重量測定受器に相当する。
重量測定時フラッシングボックス95は、重量測定時フラッシングボックス95aと重量測定時フラッシングボックス95bとが、X軸方向において受液容器94を挟んで配置されている。ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち1個の液滴吐出ヘッド17が受液容器94に臨む位置にあるとき、ヘッド群55を構成する他の5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は重量測定時フラッシングボックス95bのいずれかに臨む位置に位置する。重量測定対象の液滴吐出ヘッド17が受液容器94に臨んで重量測定のための吐出を実施する時に、測定対象外の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は重量測定時フラッシングボックス95bに臨んで、捨て吐出を実施する。
1個の重量測定装置91でヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について重量測定を行うため、1個の液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を行っている際に、その他の5個の液滴吐出ヘッド17はその重量測定吐出が終わるのを待つことになるが、その「待ち」状態の液滴吐出ヘッド17に捨て吐出を行わせることができる。このため、「待ち」状態の間に吐出ノズル78が乾燥することを抑制して、「待ち」状態後に重量測定吐出を良好に行うことができ、適切な測定結果を得ることができる。
定期フラッシングボックス93は、定期フラッシング時に捨て吐出された機能液を受けるものである。
重量測定時フラッシングボックス95及び定期フラッシングボックス93内には、機能液吸収材97が、その両長辺部を一対の押えプレート98により押え付けた状態で敷設されている。なお、受液容器94は、各液滴吐出ヘッド17に対し、ノズル列単位で機能液を受け得る大きさに形成されている。
電子天秤99は、受液容器94に吐出された機能液の重量を測定し、測定結果を吐出装置制御部6に出力する。吐出装置制御部6は、電子天秤99から入力した測定結果に基づいて、ヘッドドライバ2dから液滴吐出ヘッド17に印加する駆動電力(電圧値)を制御する。即ち、重量測定結果が目標範囲内の場合は、電圧値を変更することなく、次のワークWに対する描画を行う。他方、重量測定結果が目標範囲外の場合は、予め求めた印加電圧値と重量測定値との分解能データに基づいて電圧値を変更し、変更後の電圧値で、再度重量測定を行う。この重量測定及び電圧値変更は、重量測定結果が目標の範囲内になるまで、繰り返し行われる。この場合の吐出装置制御部6が、吐出条件設定部に相当する。
<フラッシングボックスの構成>
次に、重量測定時フラッシングボックス95と、定期フラッシングボックス93の形状、及び検査カメラ163及び液滴吐出ヘッド17(ヘッド群55)に対する位置関係について、図9を参照して説明する。図9は、検査カメラと、液滴吐出ヘッドと、重量測定時フラッシングボックス及び定期フラッシングボックスと、の位置関係を示す模式図である。
二箇所の重量測定時フラッシングボックス95の内、定期フラッシングボックス93側に形成された重量測定時フラッシングボックス95aと、定期フラッシングボックス93とは、検査カメラ163による検査シート171の上に着弾した液滴の画像取得の際に用いられる。これらは、検査カメラ163が、検査シート171のX軸方向におけるいずれの位置に臨んだ場合であっても、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17の捨て吐出を同時に受け得る大きさに形成されている。上述したように、重量測定時フラッシングボックス95aと、定期フラッシングボックス93とは、フラッシングユニット14に含まれ、検査シート171は、検査描画ユニット161に備えられている。フラッシングユニット14と検査描画ユニット161とは、吐出検査ブロック4aを構成するものであり、互いの位置関係は固定であって、一体に移動させられる。従って、重量測定時フラッシングボックス95aと、定期フラッシングボックス93と、検査シート171と、は一体に移動させられる。検査カメラ163と液滴吐出ヘッド17(ヘッド群55)とのX軸方向の位置関係も固定である。
図9(a)に示した吐出検査ブロック4aは、検査カメラ163が、検査シート171のX軸方向における最も定期フラッシングボックス93側の端に臨むような位置に位置している。吐出検査ブロック4aがこの位置にあると、ヘッド群55の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に対向しており、液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に着弾する。
図9(b)に示した吐出検査ブロック4aは、検査カメラ163が、検査シート171のX軸方向における最も給除材位置側の端に臨むような位置に位置している。吐出検査ブロック4aがこの位置にあると、ヘッド群55の液滴吐出ヘッド17は、定期フラッシングボックス93に対向しており、液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液は、定期フラッシングボックス93に着弾する。
次に、ワークWのアライメント作業を実施する際の、ワーク載置台21と、定期フラッシングボックス93及び重量測定時フラッシングボックス95と、ヘッド群55の液滴吐出ヘッド17との位置関係について説明する。図10は、アライメントカメラと、ワーク載置台と、定期フラッシングボックスと、重量測定時フラッシングボックスと、ヘッド群の液滴吐出ヘッドとの位置関係を示す模式図である。
図10(a)において、ワーク載置台21には、ワーク載置台21の中央にワークWがセットされた状態で、アライメントマークMが液滴吐出ヘッド17から最も離れるワークW1がセットされている。ワーク載置台21は、X軸第1スライダ22によってX軸方向に移動されて、当該ワークW1のアライメントマークMがアライメントカメラ81に臨んでおり、アライメントカメラ81によるアライメントマークMの画像認識が可能な位置に位置している。この場合のワーク載置台21の位置が、ワークWのアライメント作業を実施する状態におけるワーク載置台21の位置の中で最もヘッド群55側の位置である。ワーク載置台21がこの位置に在っても、ワーク載置台21に対し、X軸第2スライダ23により吐出検査ブロック4aを最大限接近させた状態では、ヘッド群55の液滴吐出ヘッド17の直下には、重量測定時フラッシングボックス95の、定期フラッシングボックス93から遠い側の、最も遠い部分が臨んでいる。即ち、吐出検査ブロック4aのX軸方向の位置を制限するワーク載置台21の位置が、最もヘッド群55側の位置にあっても、液滴吐出ヘッド17のひとつを受液容器94に臨ませて、重量測定を実施し、重量測定時フラッシングボックス95によって、ヘッド群55の他の5個の液滴吐出ヘッド17からの捨て吐出を受けることができる。
吐出検査ブロック4aの給除材位置側への移動は、ワーク載置台21の位置によって制限されるが、給除材位置とは反対側への移動は制限されないため、吐出検査ブロック4aは、図10(b)に示すような位置に位置することが可能である。図10(b)に示すような位置では、ヘッド群55の液滴吐出ヘッド17は、定期フラッシングボックス93に対向しており、液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液は、定期フラッシングボックス93に着弾する。
このように、定期フラッシングボックス93は、ワークWの載換え時等の描画処理休止時に行われる、ヘッド群55の6個全ての液滴吐出ヘッド17の捨て吐出(フラッシング)を受けることが可能である。定期フラッシングボックス93は、受液容器94から離れた位置に設けられているため、液滴吐出ヘッド17から捨て吐出された機能液滴が受液容器94に入る可能性は極めて小さい。これにより、受液容器94の交換の回数を抑制することができる。
次に、図11、及び図12を参照して、重量測定を実施する一連の動作について説明する。図11は、ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す側面図である。図12は、液滴吐出ヘッドと重量測定装置との位置関係を示す平面図である。
図11(a)及び図12(a)に示したように、重量測定の開始に際して、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させると共に、Y軸リニアモータによって吐出ユニット2を構成する10個のヘッドユニット54をY軸方向に移動させる。この操作によって、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置91の各受液容器94を、ヘッドユニット54の各ヘッド群55の1番目の液滴吐出ヘッド17aに臨ませる。
次に、各受液容器94に向けて、各ヘッド群55の1番目の液滴吐出ヘッド17aの全ノズルから、重量測定吐出を実施する。このとき、各ヘッド群55の2番目から6番目の液滴吐出ヘッド17b〜17fは、重量測定時フラッシングボックス95に対向しており、重量測定時フラッシングボックス95に向けて捨て吐出を実施する。
液滴吐出ヘッド17aの重量測定吐出が終わると、重量測定装置91をX軸方向に移動させて、図11(b)に示したように、各受液容器94を、重量測定装置91の移動軌跡上に設けられた風防部材101の直下に移動させる。この状態で、電子天秤99により、受液容器94に着弾した吐出液滴の重量の測定を行う。重量測定装置91が風防部材101の直下に位置することにより、気流(例えばチャンバルームにおけるダウンフローや乱流など)が風防部材101により遮断されるため、電子天秤99は、気流の影響を受けることなく、正確に重量測定を行うことができる。
液滴吐出ヘッド17aの吐出液滴の重量測定後、2番目の液滴吐出ヘッド17bを受液容器94に臨ませて、同様にして、重量測定吐出を行う。以下同様にして、各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について、順次吐出された液滴の重量を測定する。最後に、図12(b)に示したように、6番目の液滴吐出ヘッド17fを受液容器94に臨ませて、重量測定吐出を実施し、吐出された液滴の重量を測定する。
次に、図13を参照して、ワーク載置台21が給除材位置に在って、ワーク載置台21に対するワークWの給除材が実施されている際の、描画処理休止状態における液滴吐出ヘッド17の動作について説明する。図13(a)は、ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す側面図であり、図13(b)は、液滴吐出ヘッドと重量測定装置との位置関係を示す平面図である。ワークWの給材等の描画処理休止時には、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させることで、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置91の各定期フラッシングボックス93を、ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17に臨ませる。そして、全ての液滴吐出ヘッド17は、各定期フラッシングボックス93に向けて、捨て吐出を実施する。
<描画>
次に、液滴吐出装置1によって、ワークWの所定の位置に機能液を配置する描画工程について、図14を参照して説明する。図14は、描画工程を示すフローチャートである。
図14のステップS1,S2,S3,S4,S5の各ステップは、液滴吐出装置1の給除材に関わる各装置よって実施され、ステップS21からステップS34の各ステップは、吐出ユニット2や検査ユニット4などによって実施される。液滴吐出装置1の各装置は、図14のステップS1,S2,S3,S4,S5の各ステップと、ステップS21からステップS34の各ステップとを並行して実施できるように構成されている。
図14のステップS1では、液滴吐出装置1の給除材位置に在るワーク載置台21にワークWを給材する。ワークWの給材は、給材ロボットなどによって実施される。
次に、ステップS2では、ワーク載置台21に載置されたワークWのアライメントを実施する。ワークWのアライメントは、画像認識ユニット80のアライメントカメラ81によってワークWに形成されたアライメントマークMの画像を取得し、撮像結果に基づいて、θテーブル32によってワークWのθ補正を実行することで実施する。
次に、ステップS3では、ワーク載置台21をX軸方向に移動する。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、給除材位置でアライメントされたワークWが次の描画吐出工程を開始する開始位置に位置するように移動される。
開始位置に位置するように移動されたワークWに対して、ステップS21が開始される。ステップS21では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、ワークWに向けての描画吐出を実施する。より詳細には、X軸テーブル11(X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動すること)によるワークW(ワーク載置台21)の移動、及びY軸テーブル12による液滴吐出ヘッド17(吐出ユニット2のヘッドユニット54)の移動によって、液滴吐出ヘッド17をワークWの任意の位置に対向させる。それと共に、液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させて、ワークWに向けて機能液滴を吐出させることにより、ワーク載置台21の上に載置されたワークWに対して、機能液からなる任意の描画パターンを描画する。
ステップS21の次に、ステップS4では、ワーク載置台21をX軸方向に移動する。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、給除材位置に位置するように移動される。この移動は、描画吐出の最後の相対移動からX軸第1スライダ22(ワーク載置台21)が停止することなく、描画吐出の最後の相対移動の延長として実施される。
次に、ステップS5では、描画パターンが形成されたワークWを、ワーク載置台21から除材する。ワークWの除材は、給材ロボットなどによって実施される。
ステップS5の次には、ステップS1に進み、ステップS1,S2,S3,S21,S4,S5を繰り返す。ステップS4,S5,S1,S2,S3が、給除材工程に相当する。上述したように、ステップS4,S5,S1,S2,S3は、X軸リニアモータ26や、画像認識ユニット80や、θテーブル32や、給材ロボットなどを用いて実施される。
ステップS21の次に、ステップS4と略同時に開始されるステップS22では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出が実施される。より詳細には、ステップS4でワーク載置台21が給除材位置の方向に移動されることによって、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨む位置に、吐出検査ブロック4aが移動可能となる。吐出検査ブロック4aは、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23を駆動することによって、X軸方向に移動させられる。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、移動させられるため、吐出検査ブロック4aとワーク載置台21とは、それぞれ独立して移動させることができる。従って、検査吐出のための吐出検査ブロック4aの移動は、ワーク載置台21の描画吐出のための最後の相対移動に略並行して実施することができる。本実施形態では、ワーク載置台21の描画吐出のための最後の相対移動に略同期して、検査吐出のための吐出検査ブロック4aの移動を開始している。即ち、ステップS21の描画吐出を終了する前に、ステップS22の検査吐出を実施するための吐出検査ブロック4aの移動が開始されている。
移動中の吐出検査ブロック4aにおける検査描画ユニット161の検査シート171が、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれと対向した時点で、当該液滴吐出ヘッド17から検査シート171に向けて、検査吐出が実施される。それぞれの液滴吐出ヘッド17の吐出タイミングは、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれから吐出されて検査シート171に着弾した機能液の液滴が、検査シート171上にY軸方向に延在する一直線を形成するよう規定されている。吐出検査ブロック4aは、検査シート171に着弾した機能液の液滴が形成した一直線が、吐出検査ユニット18の検査カメラ163によって撮像可能となる位置に位置するように移動させられる。検査シート171が、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17と対向した時点で、当該液滴吐出ヘッド17から検査シート171に向けて、検査吐出が実施されるのが、検査吐出工程に相当する。描画吐出を終了する前に、検査吐出を実施するための吐出検査ブロック4aの移動が開始されているため、液滴吐出ヘッド17は、描画吐出に略連続して、検査吐出を実施する。従って、描画吐出と検査吐出の間で、液滴吐出ヘッド17の状態の変化は実質的にないため、検査吐出では、描画吐出と同じ吐出が再現される。
次に、ステップS23では、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した機能液の液滴の画像を取得する。画像は、それぞれの液滴について取得され、この画像から、それぞれの液滴の大きさや着弾位置の情報が得られる。また、検査カメラ163による画像取得に並行して、液滴吐出ヘッド17は、液滴吐出ヘッド17内の機能液の状態を一定の状態に維持するための捨て吐出を実施する。図9を参照して説明したように、検査カメラ163が、検査シート171に臨むような位置に位置している状態では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に対向している。そのため、液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に着弾する。
次に、ステップS24では、検査ユニット4を移動して、重量測定ユニット19が液滴吐出ヘッド17に対向するように、重量測定ユニット19(検査ユニット4)を、位置合わせする。より詳細には、図11及び図12を参照して説明したように、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させる。それと共に、Y軸リニアモータとY軸スライダとによって、吐出ユニット2を構成する10個のヘッドユニット54を、Y軸テーブル12に沿って、Y軸方向に移動させる。これによって、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置91の各受液容器94を、各ヘッド群55における一つの液滴吐出ヘッド17に臨ませる。X軸リニアモータ26と、X軸共通支持ベース24と、X軸第2スライダ23とが、重量測定ユニット移動手段に相当し、Y軸リニアモータとY軸スライダとY軸テーブル12とが、重量測定ユニット副移動手段に相当する。
次に、ステップS25では、各ヘッド群55において受液容器94に臨んでいる一つの液滴吐出ヘッド17から受液容器94に向けて、液滴吐出ヘッド17の全ノズルから、重量測定吐出を実施する。受液容器94に着弾した機能液の重量が、電子天秤99によって測定される。受液容器94に着弾して電子天秤99によって測定された機能液の重量が、吐出重量である。
このとき、図11及び図12を参照して説明したように、各ヘッド群55における受液容器94に臨んでいない各5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95に対向しており、重量測定時フラッシングボックス95に向けて捨て吐出を実施する。
次に、ステップS26では、測定された吐出重量を吐出重量の規格値と比較して、吐出重量の誤差を求め、当該誤差を誤差の規格値と比較して、測定された吐出重量の誤差が規格値に適合するか否かを判定する。
吐出重量の誤差が規格値に適合する場合(ステップS26でYES)には、ステップS27に進む。
ステップS26の次に、ステップS27では、各ヘッド群55がそれぞれ有する6個の液滴吐出ヘッド17の全てについて、重量測定が終了したか否かを判定する。
各ヘッド群55がそれぞれ有する6個の液滴吐出ヘッド17の全てについて、重量測定が終了していた場合(ステップS27でYES)には、ステップS28に進む。
ステップS28では、重量測定を実施することなく、描画を実施する。重量測定を実施しない描画の期間は、一定の吐出状態が維持できる期間や一定の吐出状態を維持して描画できるワークWの描画枚数などを、実験などで予め求めることによって、定める。定められた重量測定を実施しない描画の期間の間、ステップS28を実施した後は、ステップS21に進み、新たにワーク載置台21の上に載置されたワークWを描画対象として、ステップS21からステップS27、及びステップS29からステップS34を実施する。
各ヘッド群55がそれぞれ有する6個の液滴吐出ヘッド17の全てについて、重量測定が終了していない場合(ステップS27でNO)には、ステップS21に進み、新たにワーク載置台21の上に載置されたワークWを描画対象として、ステップS21からステップS27を繰り返す。このとき、ステップS24では、各ヘッド群55がそれぞれ有する6個の液滴吐出ヘッド17において、重量測定が終了していない液滴吐出ヘッド17に、受液容器94を臨ませる。次に、受液容器94を臨ませた液滴吐出ヘッド17を測定対象として、ステップS25からステップS27を実施する。
ステップS26において、吐出重量の誤差が規格値に適合していない場合(ステップS26でNO)には、ステップS29に進む。
ステップS26の次に、ステップS29では、測定された吐出重量の値の規格値に対する誤差が、所定の値以下であるか否かを判定する。吐出重量の誤差の所定の値は、例えば、液滴吐出ヘッド17の駆動条件を調整することによって補正可能な誤差量を予め求めたものである。
ステップS29において、測定された吐出重量の値の規格値に対する誤差が、所定の値以下であった場合(ステップS29でYES)には、ステップS30に進む。
ステップS30では、測定対象としている液滴吐出ヘッド17に印加する駆動電圧を、測定された吐出重量の値の規格値に対する誤差の大きさに対応して、調整する。
ステップS30の次には、ステップS25に進み、ステップS25からステップS29を繰り返す。
ステップS29において、測定された吐出重量の値の規格値に対する誤差が、所定の値を超える場合(ステップS29でNO)には、ステップS31に進む。
ステップS31では、上述したステップS25と同様に、各ヘッド群55において受液容器94に臨んでいる一つの液滴吐出ヘッド17から各受液容器94に向けて、液滴吐出ヘッド17の全ノズルから、重量測定吐出を実施する。受液容器94に着弾した機能液の重量が、電子天秤99によって測定される。
各ヘッド群55における受液容器94に臨んでいない各5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95に向けて捨て吐出を実施する。
以下、ステップS26、ステップS29、ステップS30の各ステップと同様に、ステップS32、ステップS33、ステップS34の各ステップを実施する。
吐出重量は、一時的に変動して直ぐに適正状態に戻る場合もある。ステップS31からステップS34の各ステップは、ステップS29において、測定された吐出重量の値の規格値に対する誤差が所定の値を超えると判定されたことが、一時的な変動に起因するものであるか否かを検証するためのステップである。一時的な変動に起因して誤差が所定の値を超えた場合は、ステップS32、ステップS33、ステップS34の各ステップを実施することでステップS21からの各ステップに戻ることができる。
ステップS33において、測定された吐出重量の値の規格値に対する誤差が、所定の値を超える場合(ステップS33でNO)には、ステップS35に進む。
ステップS35では、調整処置を実施する。調整処置としては、吸引ユニット15による機能液の強制排出や、ワイピングユニット16によるノズル形成面76aの拭取などの保守作業が挙げられる。或は、液滴吐出ヘッド17自体の劣化が進行している場合には、液滴吐出ヘッド17を新しいものに交換する。
図14においては、ステップS35を実施して描画工程を終了する工程順になっているが、調整処置が、液滴吐出装置1が備えるメンテナンスユニット5を用いる保守作業などの場合には、一時的に描画工程を中断して保守作業などを実施し、当該保守作業などが終了後、続けて描画工程を実施する。液滴吐出ヘッド17の交換などの処置が必要な場合には、一旦、描画工程を終了する。
上述したように、ステップS22はステップS4と略同時に開始される。ステップS22及びステップS22に続いて実施するステップS23からステップS34は、給除材工程に相当するステップS4,S5,S1,S2,S3を実施する間に、ステップS4,S5,S1,S2,S3と並行して実施する。
本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)液滴吐出ヘッド17が吐出を実施していることを必要としない給除材工程(ステップS4,S5,S1,S2,S3)の間に、液滴吐出ヘッドが吐出を実施することが必須の重量測定吐出工程(ステップS25)が実施される。液滴吐出ヘッドの言わば休止時間に、重量測定吐出工程を実施することによって、重量測定吐出工程のための時間が新たに発生することがないため、液滴吐出による描画のための作業時間の増加を抑制することができる。
(2)液滴吐出装置1では、X軸テーブル11は、X軸第1スライダ22と、X軸第2スライダ23と、左右一対のX軸リニアモータ26と、一対のX軸共通支持ベース24と、を備えている。X軸第1スライダ22にはワーク載置台21が固定されており、X軸第2スライダ23には、フラッシングユニット14、吐出検査ユニット18の検査描画ユニット161及び重量測定ユニット19が固定されている。ワーク載置台21と、フラッシングユニット14、検査描画ユニット161、及び重量測定ユニット19とが、同一軌道上にあるため、これらの各ユニットなどとヘッド群55とを対向させるためには、これらの各ユニットなどを同一軌道に沿って移動させるだけでよい。これにより、ワーク載置台21に載置されたワークWに向けての描画吐出と、吐出検査ユニット18による吐出検査又は重量測定ユニット19による重量測定との移行時間を、描画吐出と、吐出検査又は重量測定との移行に際して、移動方向を変えて各装置相互の相対移動を実施することを必要とする場合に比べて、短くすることができる。このため、定期的に重量測定や吐出検査を実施した場合でも、重量測定処理と描画処理と吐出検査処理との相互間の移行を短時間で実施することができることから、全体としてのタクトタイムを短縮することができる。
(3)重量測定時フラッシングボックス95は、重量測定時フラッシングボックス95aと重量測定時フラッシングボックス95bとが、X軸方向において受液容器94を挟んで配置されている。ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17のうちで、1個の液滴吐出ヘッド17が受液容器94に対向して重量測定吐出を実施している際に、その他の5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は重量測定時フラッシングボックス95bに対向しており、捨て吐出を実施することができる。これにより、液滴吐出ヘッド17は、「待ち」状態の間に吐出ノズル78が乾燥することを抑制して、「待ち」状態後に重量測定吐出を良好に行うことができる。
(4)吐出検査ブロック4aは、重量測定ユニット19、フラッシングユニット14、及び検査描画ユニット161が一体に設けられているため、X軸リニアモータ26と、X軸共通支持ベース24とに加えて、X軸第2スライダ23を用いて、X軸方向に一体で移動する。重量測定ユニット19、フラッシングユニット14、及び検査描画ユニット161をそれぞれX軸方向に移動するために、X軸スライダをそれぞれ個別に設ける構成に比べて、移動させるための装置を小型化することができる。
(5)液滴吐出装置1は、ワーク載置台21が液滴吐出ヘッド17に対向しない位置に設定されている給除材位置に、ワーク載置台21を位置させて、ワークWの給除材を実施する。これにより、ワークWの給除材が実施されている状態において、重量測定ユニット19を液滴吐出ヘッド17に対向させることが可能となるため、給除材の間に、重量測定を実施することができる。
(6)重量測定時フラッシングボックス95a及び定期フラッシングボックス93は、検査カメラ163が、検査シート171のX軸方向におけるいずれの位置に臨んだ状態でも、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17が、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に対向するような大きさに形成されている。これにより、検査カメラ163による検査シート171の上に着弾した液滴の画像取得の際に、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17の捨て吐出を同時に実施することができる。
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
(変形例1)前記実施形態においては、検査シート171(検査吐出着弾シート)を有する検査描画ユニット161は、重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と、X軸方向(主走査方向)に、一体に移動するように構成されていた。しかし、検査吐出着弾シートと重量測定ユニットとを、主走査方向に、一体に移動させることは必須ではない。検査吐出着弾シートと、重量測定ユニットとをそれぞれ個別に主走査方向に移動させる構成であってもよい。そのように構成することで、検査吐出着弾シートが状態観測装置に対向しているときに、重量測定ユニットと液滴吐出ヘッドとを対向させることができる。検査吐出着弾シートを個別に主走査方向に移動させる装置が、検査ユニット移動手段に相当する。
前記実施形態においては、撮像ユニット162の検査カメラ163(状態観測装置)によって、検査シート171(検査吐出着弾シート)に着弾した機能液の液滴の画像を取得するステップ(状態情報取得工程)の後で、液滴吐出ヘッド17から重量測定ユニット19の受液容器94に向けて重量測定吐出(重量測定吐出工程)を実施していた。しかし、検査吐出着弾シートと、重量測定ユニットとをそれぞれ個別に主走査方向に移動させるように構成することで、検査吐出着弾シートが状態観測装置に対向している状態で、重量測定ユニットと液滴吐出ヘッドとを対向させることを可能ならしめ、状態情報取得工程と、重量測定吐出工程とを、略並行して実施することができる。
(変形例2)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド17のみがY軸方向に移動可能であって、吐出検査ブロック4aは、重量測定ユニット19、フラッシングユニット14、及び検査描画ユニット161が一体に設けられており、Y軸方向の位置は互いに固定であった。また、検査カメラ163を有する撮像ユニット162もY軸方向の位置は固定であった。しかし、検査描画ユニット161の検査シート171、撮像ユニット162、又は重量測定ユニット19、をY軸方向に移動させるY軸方向移動装置を設けてもよい。Y軸方向移動装置が、検査ユニット副移動手段に相当する。
前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド17のみがY軸方向に移動可能であるため、上記各装置間のY軸方向の相対移動は、液滴吐出ヘッド17のY軸方向への移動によってなされていた。例えば、受液容器94にヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17の一個を対向させると、ヘッド群55のY軸方向の位置が、必ずしも、検査描画ユニット161の検査シート171の適切な位置に対向しないため、液滴吐出ヘッド17が対向するべき装置ごとに、液滴吐出ヘッド17のY軸方向への移動を行う必要があった。Y軸方向移動装置を設けることによって、検査描画ユニット161の検査シート171、撮像ユニット162、及び重量測定ユニット19の相互間の相対移動が可能となるため、相互間のY軸方向の位置合わせを実施することができる。これにより、これらの装置に対する液滴吐出ヘッド17の位置合わせのための液滴吐出ヘッド17のY軸方向への移動及び位置合わせの必要回数を、少なくすることができる。
(変形例3)前記実施形態においては、重量測定は、各液滴吐出ヘッド17ごとに実施していたが、吐出重量を液滴吐出ヘッド17の単位で測定することは必須ではない。液滴吐出ヘッドが備えるノズル列ごとに測定してもよいし、各ノズルごとに測定してもよい。
(変形例4)前記実施形態においては、吐出重量のずれに対処する方法として、液滴吐出ヘッド17に印加する駆動電圧を調整することで吐出量を適正な値に調整する方法について説明したが、吐出重量のずれに対処する方法は、他の方法であってもよい。例えば、当該吐出重量が適正でない液滴吐出ヘッドからの吐出液滴が着弾する位置に隣接する位置に着弾させる液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを、吐出重量が適正でない液滴吐出ヘッドと合わせて適正な吐出重量となるように調整することで補ってもよい。
(変形例5)前記実施形態においては、吐出検査をワークWの交換が一回実施されるごとに一回実施していたが、吐出検査をワークWの交換の度に実施することは必須ではない。例えば、ヘッド群を構成する全部の液滴吐出ヘッドの重量測定が各一回実施される間に、吐出検査を一回実施してもよい。
(変形例6)前記実施形態においては、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17に関する重量測定を、連続する6回の給除材工程の間に実施していたが、給除材工程のたびに液滴吐出ヘッド17に関する重量測定を実施することは必須ではない。例えば、二回の給除材工程に一回の重量測定を実施するといったように、一連の重量測定を伴う給除材工程の間に、重量測定を実施することなく給除材工程を実施してもよい。
(変形例7)前記実施形態においては、給除材工程の間に吐出検査工程の状態情報取得工程を実施していたが、給除材工程の間に状態情報取得工程を実施することは必須ではない。液滴吐出ヘッドを用いる検査吐出のみを給除材工程の間に実施して、状態情報取得工程は描画吐出などと並行して実施してもよい。
(変形例8)前記実施形態においては、受器管理部としての吐出装置制御部6のCPU44は、測定した機能液の重量を積算してRAM46に記憶させておき、積算重量が一定量に達すると、受液容器94(重量測定受器)の交換指示情報を出していた。しかし、受器管理部が測定した機能液の重量を積算して重量測定受器の交換指示情報を出すことは必須ではない。受器管理部は、液滴吐出ヘッドが重量測定吐出した吐出数を積算して記憶させておき、吐出数が一定量に達したところで、重量測定受器の交換指示情報を出してもよい。重量測定吐出一回あたりの吐出数は一定であり、重量測定吐出の回数は、重量測定吐出の指令を出した回数であって、計数が容易であることから、吐出数の累計を容易に積算及び記憶することができるため、測定した重量を積算する場合に比べて、受器管理部における情報処理が少なくてよい。
(変形例9)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を実施している間に、当該液滴吐出ヘッド17が属するヘッド群55を構成する他の液滴吐出ヘッド17は捨て吐出を実施していた。しかし、当該液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を実施する間にそれらの液滴吐出ヘッド17が捨て吐出を実施することは必須ではない。一個の液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を実施している間に、他の液滴吐出ヘッド17において、吐出ノズルの乾燥などの不具合が発生する可能性が実質的になければ、他の液滴吐出ヘッド17は単に休止していてもよい。
(変形例10)前記実施形態においては、一回の給除材時間の間に、一個の液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を実施して、一個の液滴吐出ヘッド17が吐出した液滴の重量測定が実施されていたが、一回の給除材時間の間に一個の液滴吐出ヘッド17についてのみ重量測定を実施することは必須ではない。一回の給除材時間の間に複数の液滴吐出ヘッドについて重量測定を実施することが可能であれば、複数の液滴吐出ヘッドについて重量測定を実施してもよい。
(変形例11)前記実施形態においては、各ヘッド群55がそれぞれ有する6個の液滴吐出ヘッド17の全てについて、重量測定が終了するごとに、重量測定を実施することなく、描画を実施する期間を設けていたが、重量測定を実施することなく、描画を実施する期間を設けることは必須ではない。ワークWの交換が実施される際には、毎回重量測定を実施してもよい。
(変形例12)前記実施形態においては、測定された吐出重量の値の規格値に対する誤差が所定の値を超える場合には、測定結果を検証するために、再度重量測定を実施していたが、測定結果を検証するために実施するのが重量測定であることは必須ではない。測定結果を検証するために実施するのは、吐出検査ユニット18を用いた吐出検査などであってもよい。
(変形例13)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド17と、ワーク載置台21と、のX軸方向の相対移動は、ワーク載置台21をX軸方向に移動することで実施していた。液滴吐出ヘッド17と、検査描画ユニット161、重量測定ユニット19、又はフラッシングユニット14と、のX軸方向の相対移動は、検査描画ユニット161と重量測定ユニット19とフラッシングユニット14とからなる吐出検査ブロック4aをX軸方向に移動することで実施していた。撮像ユニット162と検査描画ユニット161とのX軸方向の相対移動は、検査描画ユニット161をX軸方向に移動することで実施していた。しかし、これらのX軸方向の相対移動をワーク載置台21、又は吐出検査ブロック4aをX軸方向に移動することで実施することは必須ではない。液滴吐出ヘッド17又は撮像ユニット162をX軸方向に移動することによって、上記したX軸方向の相対移動を実施する構成であってもよい。
また、前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド17と、ワーク載置台21、検査描画ユニット161、重量測定ユニット19、又はフラッシングユニット14と、のY軸方向の相対移動は、液滴吐出ヘッド17を有する吐出ユニット2をY軸方向に移動することで実施していた。当該相対移動は、吐出検査ブロック4aをY軸方向に移動することで実施する構成であってもよい。
さらに、上記X軸方向及びY軸方向の相対移動を、ワーク載置台21、吐出検査ブロック4a、液滴吐出ヘッド17、又は撮像ユニット162をX軸方向及びY軸方向に移動させることによって実施する構成であってもよい。
(変形例14)前記実施形態においては、ステップS22はステップS4と略同時に開始され、ステップS22及び続いて実施するステップS23からステップS34は、給除材工程に相当するステップS4,S5,S1,S2,S3を実施する間に、ステップS4,S5,S1,S2,S3に並行して実施されていた。しかし、測定された吐出重量の値の規格値に対する誤差が所定の値を超えた場合に実施するステップS29からステップS34、又は検証のために実施するステップS31からステップS34を実施する場合には、ステップS22からステップS28を実施するための時間に加えて、ステップS29からステップS34又はステップS31からステップS34を実施するための時間が、必要である。これらの時間の合計が給除材工程の時間を超える場合には、ステップS29からステップS34又はステップS31からステップS34を実施する必要が生じた際は、描画吐出を一旦停止してもよい。