以下の説明に用いる図においては、可変キャパシタおよび基板内部などの構造をわかりやすくするために、各部の寸法の比率が実際の比率とは異なる比率で示されていることがある。また、基板については、平面図への図示を省略している。
〔第一の実施形態〕
図1は第一の実施形態における可変キャパシタ10の例を示す平面図、図2は図1のA−A線矢視断面図である。
図1および図2に示すように、可変キャパシタ10は、基板11上に、固定電極12、可動電極14、アンカー部15a、15b、第一の信号線路16、および第二の信号線路17などを有している。
基板11は、複数の絶縁層からなる多層構造になっている。基板11内には、駆動電圧を供給(印加)するための駆動配線DLおよびグランド配線GLが設けられている。本実施形態では、絶縁層110a〜110cからなる3層構造になっており、絶縁層110a、110b間に駆動配線DLが形成されており、絶縁層110b、110c間にグランド配線GLが形成されている。各絶縁層110a〜110cの厚さは、例えば、10μm〜数百μm程度である。
以降、絶縁層110a〜110cに共通する事項を説明するときは、「絶縁層110」と総称することがある。
基板11として、例えば、多層配線基板である低温同時焼成セラミック基板(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)が用いられる。
固定電極12は、金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)などの導電性材料からなり、基板11の表面に形成されている。ただし、第一の信号線路16の端部を固定電極12として利用してもよい。固定電極12は、例えば、高周波回路における信号線路の一部となる。
可動電極14は、金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)などの導電性材料からなり、その中央部が固定電極12と空隙を介して対向するように架橋された状態で基板11の上方に形成されている。可動電極14は、アンカー部15a、15bによって両持ち張りの状態で支持されている。可動電極14は、例えば、高周波回路における信号線路の一部となる。
アンカー部15a、15bは、金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)などの導電性材料からなり、可動電極14をその両側で支持するように、第二の信号線路17の支線路17a、17bの延伸方向の一部の上面に形成されている。
第一の信号線路16は、可動電極14の架橋方向と直交する方向に延伸するように基板11の表面に形成されており、固定電極12に接続されている。
第二の信号線路17は、支線路17a、17bを有し、第一の信号線路16の延伸方向と同一の方向に延伸するように基板11の表面に形成されており、支線路17a、17bおよびアンカー部15a、15bを介して可動電極14に接続されている。
第一の信号線路16および第二の信号線路17は、グランド配線GLなどとともにいわゆるマイクロストリップラインを構成している。
本実施形態では、可変キャパシタ10は、第一の信号線路16が高周波信号の入力側となり、第二の信号線路17が高周波信号の出力側となるように、高周波回路に接続されるものとする。ただし、高周波信号の入力側および出力側が本実施形態とは逆になるように可変キャパシタ10を接続してもよい。後述する他の実施形態における可変キャパシタについても同様である。なお、本実施形態においては、高周波信号として、1MHz以上の周波数の信号を想定している。
図2に示すように、固定電極12および可動電極14は、基板11の内部に設けられている配線にそれぞれ接続される。ただし、その接続には2つの形態があり、図2(a)は第一の接続パターンを示しており、図2(b)は第二の接続パターンを示している。
図2(a)の第一の接続パターンにおいて、固定電極12は、その直下の基板11内に設けられているビア抵抗RVaを介して駆動配線DLに接続されている。また、可動電極14は、アンカー部15a、15b、支線路17a、17b、および支線路17a、17bの直下の基板11内にそれぞれ設けられているビア抵抗RVb、RVcを介してグランド配線GLに接続されている。
つまり、固定電極12と駆動配線DLとはビア抵抗RVaによって、支線路17a、17bとグランド配線GLとはビア抵抗RVb、RVcによって、それぞれ直結されており、かつ最短距離でつながっている。
図2(b)の第二の接続パターンにおいて、固定電極12は、その直下の基板11内に設けられているビア抵抗RVaを介して駆動配線DLに接続されている。また、可動電極14は、アンカー部15a、15b、支線路17a、17b、および支線路17a、17bの直下の基板11内にそれぞれ設けられている導体ビアCVa、CVbを介してグランド配線GLに接続されている。
つまり、固定電極12と駆動配線DLとはビア抵抗RVaによって、支線路17a、17bとグランド配線GLとは導体ビアCVa、CVbによって、それぞれ直結されており、かつ最短距離でつながっている。
すなわち、第一の接続パターンと第二の接続パターンとの違いは、可動電極14とグランド配線GLとの間に、ビア抵抗RVb、RVcが挿入されているか、導体ビアCVa、CVbが挿入されているかの違いであり、そのほかは同じである。
いずれの接続パターンにおいても、固定電極12および可動電極14は、可変キャパシタ10の容量電極としての役割のほかに、駆動電極としての役割も有する。
なお、第一の接続パターンは、例えば、図20(a)に示す可変キャパシタ4a〜4cのように、信号線路1に対して可変キャパシタ10を直列に接続する場合に行われる接続パターンである。また、第二の接続パターンは、例えば、図20(b)に示す可変キャパシタ4d、4eのように、信号線路1に対して可変キャパシタ10を並列に接続する場合に行われる接続パターンである。
以降、ビア抵抗RVa〜RVcに共通する事項を説明するときは、「ビア抵抗RV」と総称することがある。導体ビアCVa、CVbについても同様に「導体ビアCV」と総称することがある。
ビア抵抗RVは、基板11の1層または複数層の絶縁層110を貫通するビアホールに形成されている抵抗体である。本実施形態では、第一の接続パターンおよび第二の接続パターンにおいて、絶縁層110b、110cを貫通するようにビア抵抗RVaが形成されている。また、第一の接続パターンにおいて、絶縁層110cを貫通するようにビア抵抗RVb、RVcが形成されている。
ビア抵抗RVは、例えば、直径50μm〜200μm程度の円柱状である。また、絶縁層110の厚みとビア抵抗RVの直径との比では、例えば、1:1〜2:1程度となる。ビア抵抗RVの抵抗値(インピーダンス値)は、基本的には高周波信号を遮断するのに十分な値である。例えば、線路の特性インピーダンスが50Ω程度である場合に、数百Ω程度以上の値であり、好ましくは500Ω以上の値である。
ただし、ビア抵抗RVの抵抗値は、可変キャパシタ10の適用先の回路の種類に応じて適宜調整してもよい。つまり、ビア抵抗RVを高周波信号の遮断に用いるだけでなくその他の用途に用いてもよい。よって、ビア抵抗RVa〜RVcの各抵抗値は、互いに同じであることもあるし、異なることもある。例えば、第一の接続パターンにおいて、ビア抵抗RVa〜RVcのすべての抵抗値が500Ωに設定されることもあるし、ビア抵抗RVaの抵抗値が500Ωに設定され、ビア抵抗RVb、RVcの抵抗値がそれ以上またはそれ以下の値に設定されることもある。
導体ビアCVは、基板11の1層または複数層の絶縁層110を貫通するビアホールに形成されている良導体である。本実施形態では、第二の接続パターンにおいて、絶縁層110cを貫通するように導体ビアCVa、CVbが形成されている。
導体ビアCVも、例えば、直径50μm〜200μm程度の円柱状である。その抵抗値(インピーダンス値)は、高周波信号を良好に通過させるのに要求される値である。例えば、数百mΩ程度以下の値である。
ビア抵抗RVは、基板11としてLTCCが用いられる場合には、例えば、次のようにして作製される。
すなわち、絶縁層110となる所定の大きさのグリーンシートを用意し、ビア抵抗RVを形成しようとする箇所にパンチングまたはレーザーなどによって、例えば穴径50μm〜200μm程度の貫通穴(ビアホール)を穿孔する。
次に、貫通穴内にスクリーン印刷などの技術によって適当な抵抗材料を充填する。抵抗材料は、ビア抵抗RVに要求される抵抗値などに応じて選択される。抵抗材料として、例えば、金属酸化物などが用いられる。あるいは、ニクロム(NiCr)または窒化タンタル(Ta2N)などが用いられる。
次に、上層の絶縁層110に穿孔される貫通穴に連なるビア抵抗RVを形成する場合には、抵抗材料を充填した貫通穴の上部を覆うように、スクリーン印刷などによって導電パターンまたは抵抗パターンを形成する。これにより、上下の絶縁層110間にいわゆる受けランドが形成され、両絶縁層110に穿孔される貫通穴同士を確実に接続することができる。
そのほか、駆動配線DLおよびグランド配線GLとなる導電パターンなどを印刷などによって形成するなどして、一層の絶縁層110を作製する。
同様にして、複数の絶縁層110を作製し、それらを積層した積層体に圧力を加えた後に焼成(焼結)することにより、ビア抵抗RVが内蔵された基板11が完成する。
導体ビアCVも、ビア抵抗RVの場合と類似の方法により形成される。すなわち、導体ビアCVを形成する場合には、穿孔した貫通穴内に抵抗材料ではなく導電材料を充填する。
このように、基板11としてLTCCが用いられる場合には、ビア抵抗RVおよび導体ビアCVは、LTCCの製造における焼成と同時に形成される。
図3は、可変キャパシタ10の等価回路を示す図である。
第一の接続パターンにおける可変キャパシタ10は、図3(a)に示すような等価回路で表現可能である。
すなわち、固定電極12は、第一の信号線路16に接続されるとともに、ビア抵抗RVaを介して駆動配線DLに接続されている。
ここで、ビア抵抗RVaは、固定電極12に極めて近い位置である固定電極12の直下に設けられている。よって、可変キャパシタ10を高周波回路に接続したときに、第一の信号線路16に入力される高周波信号は、駆動配線DL側へはほとんど流れ込むことがなく、つまり、駆動配線DL側とは遮断され、そのまま固定電極12側へ印加される。つまり、ビア抵抗RVaによって、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
また、可動電極14は、第二の信号線路17に接続されるとともに、ビア抵抗RVb、RVcを介してグランド配線GLに接続されている。
ここで、ビア抵抗RVb、RVcは、それぞれ可動電極14に極めて近い位置である支線路17a、17bの直下に設けられている。よって、可変キャパシタ10を高周波回路に接続したときに、可動電極14に印加される高周波信号は、グランド配線GL側へはほとんど流れ込むことがなく、つまり、グランド配線GL側とは遮断され、第二の信号線路17側へそのまま出力される。つまり、ビア抵抗RVb、RVcによって、高周波信号のグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
第二の接続パターンにおける可変キャパシタ10は、図3(b)に示すような等価回路で表現可能である。すなわち、図3(a)に示す等価回路から、ビア抵抗RVb、RVcを省いた構成として表現可能である。
この場合にも、固定電極12に極めて近い位置にビア抵抗RVaが設けられているため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
さて、可変キャパシタ10は、固定電極12および可動電極14の両電極間に静電容量Ec1を有する。
駆動配線DLを介して固定電極12に駆動電圧が印加されると、両電極間に静電引力が作用して、可動電極14が固定電極12の側へ変位することにより、すなわち、両電極間の距離が変化することにより、可変キャパシタ10の静電容量Ec1が変化する。つまり、静電容量Ec1は可変容量である。
以上の通り、可変キャパシタ10では、ビア抵抗RVによって、高周波信号の駆動配線DLまたはグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
しかも、ビア抵抗RVは、基板11の内部に埋め込まれているため、周辺回路への浮遊容量が小さく、高周波信号の伝達に悪影響を及ぼすことがない。また、基板11の表面のスペースが従来通りに確保される。
なお、本実施形態では、固定電極12がビア抵抗RVを介して駆動配線DLに接続され、可動電極14がビア抵抗RVまたは導体ビアCVを介してグランド配線GLに接続されていたが、互いが逆に接続されていてもよい。すなわち、可動電極14がビア抵抗RVを介して駆動配線DLに接続され、固定電極12がビア抵抗RVまたは導体ビアCVを介してグランド配線GLに接続されていてもよい。
〔第二の実施形態〕
図4は第二の実施形態における可変キャパシタ20の例を示す平面図、図5は図4のB−B線矢視断面図である。
図4および図5に示すように、可変キャパシタ20は、駆動電極21a、21bが固定電極12とは別個に設けられている点、つまり駆動分離型である点で、第一の実施形態における可変キャパシタ10とは異なる。
すなわち、固定電極12は駆動配線DLに接続されておらず、駆動電極21a、21bがそれぞれビア抵抗RVd、RVeを介して駆動配線DLに接続されている。そのため、可変キャパシタ10において設けられていたビア抵抗RVaは、可変キャパシタ20では不要であるので、設けられていない。
可変キャパシタ20のそのほかの構成要素は、第一の実施形態における可変キャパシタ10と共通する。共通する構成要素については、可変キャパシタ10の説明で用いた符号と同一の符号を付し、説明を省略する。後述する他の実施形態における可変キャパシタの説明においても同様である。
駆動電極21a、21bは、金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)などの導電性材料からなり、固定電極12を間に挟んで基板11の表面に形成されている。つまり、固定電極12の両脇に近接して設けられている。なお、本実施形態では、2つの駆動電極21a、21bが設けられているが、同様の駆動電極が1つまたは3つ以上設けられていてもよい。
図5に示すように、駆動電極21a、21bは、それぞれその直下の基板11内に設けられているビア抵抗RVd、RVeを介して駆動配線DLに接続されている。
つまり、駆動電極21aと駆動配線DLとはビア抵抗RVdによって、駆動電極21bと駆動配線DLとはビア抵抗RVeによって、それぞれ直結されており、かつ最短距離でつながっている。
図5(a)は第一の接続パターンを示しており、図5(b)は第二の接続パターンを示している。
いずれの接続パターンにおいても、固定電極12は、可変キャパシタ20の容量電極としての役割を有するが、駆動電極としての役割を有さない。他方、可動電極14は、可変キャパシタ20の容量電極としての役割のほかに、駆動電極としての役割も有する。
図6は、可変キャパシタ20の等価回路を示す図である。
第一の接続パターンにおける可変キャパシタ20は、図6(a)に示すような等価回路で表現可能である。
すなわち、可動電極14は、第二の信号線路17に接続されるとともに、ビア抵抗RVb、RVcを介してグランド配線GLに接続されている。
ここで、ビア抵抗RVb、RVcは、それぞれ可動電極14に極めて近い位置である支線路17a、17bの直下に設けられている。そのため、高周波信号のグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
また、駆動電極21a、21bは、可動電極14に作用するように固定電極12と近接して配置されており(図5参照)、ビア抵抗RVd、RVeを介して駆動配線DLに接続されている。
ここで、駆動電極21a、21bは、その他の電極、信号線路、および配線などの周辺回路と直接には接続されていないが、周辺回路との間、特に近接して配置されている固定電極12との間の寄生容量Cpによって、高周波で用いたときのインピーダンスの低下が無視できなくなることがある。
ビア抵抗RVd、RVeは、それぞれ駆動電極21a、21bに極めて近い位置である駆動電極21a、21bの直下に設けられている。そのため、寄生容量Cpがあっても、高周波信号のグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
第二の接続パターンにおける可変キャパシタ20は、図6(b)に示すような等価回路で表現可能である。すなわち、図6(a)に示す等価回路から、ビア抵抗RVb、RVcを省いた構成として表現可能である。
この場合にも、駆動電極21a、21bに極めて近い位置にそれぞれビア抵抗RVd、RVeが設けられているため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
さて、可変キャパシタ20も、第一の実施形態における可変キャパシタ10と同様に、固定電極12および可動電極14の両電極間に可変容量である静電容量Ec2を有する。
〔第三の実施形態〕
図7(a)は第三の実施形態における可変キャパシタ30の例を示す平面図、図7(b)は図7(a)のC1−C1線矢視断面図、図8は図7(a)のC2−C2線矢視断面図である。
図7および図8に示すように、可変キャパシタ30は、基板31上に、第一の固定電極32、第二の固定電極33、可動電極34、アンカー部35a、35b、第一の信号線路36、および第二の信号線路37などを有している。
基板31は、第一の実施形態における基板11と同様の形態を有している。
第一の固定電極32および第二の固定電極33は、形成材料および形状などにおいて、第一の実施形態における固定電極12と同様の形態を有している。また、第一の信号線路36の端部および第二の信号線路37の端部を、それぞれ第一の固定電極32および第二の固定電極33として利用してもよいことも同様である。
第一の固定電極32および第二の固定電極33は、両者のそれぞれ1つの側面同士が、可変キャパシタ30の中心軸であるα−α軸を間に挟んで対向するように配置されている。つまり、第一の固定電極32および第二の固定電極33は、α−α軸を対称軸として、互いに対称に配置されている。
可動電極34は、第一の実施形態における可動電極14と同様の形態を有している。
アンカー部35a、35bは、基本的には第一の実施形態におけるアンカー部15a、15bと同様の形態を有しているが、基板31の表面に直接に形成されている。
第一の信号線路36は、第一の実施形態における第一の信号線路16と同様の形態を有している。
第二の信号線路37は、第一の信号線路36の延伸方向と同一の方向に延伸するように基板31の表面に形成されており、第二の固定電極33に接続されている。
可変キャパシタ30は、全体として、その中心軸であるα−α軸を対称軸として対称となるように構成されており、入力側から見た特性と出力側から見た特性とがほぼ同じである。よって、可変キャパシタ30においては、入力端である第一の固定電極32および出力端である第二の固定電極33における高周波信号の反射を低減することができる。
図8に示すように、第一の固定電極32および第二の固定電極33は、それぞれその直下の基板31内に設けられているビア抵抗RVa、RVbを介して駆動配線DLに接続されている。
つまり、第一の固定電極32と駆動配線DLとはビア抵抗RVaによって、第二の固定電極33と駆動配線DLとはビア抵抗RVbによって、それぞれ直結されており、かつ最短距離でつながっている。
ただし、第一の固定電極32または第二の固定電極33のいずれか一方だけがビア抵抗RVを介して駆動配線DLに接続されていてもよい。
図8(a)の第一の接続パターンにおいて、可動電極34は、アンカー部35a、35b、およびアンカー部35a、35bの直下の基板31内にそれぞれ設けられているビア抵抗RVc、RVdを介してグランド配線GLに接続されている。
つまり、アンカー部35a、35bとグランド配線GLとはビア抵抗RVc、RVdによって直結されており、かつ最短距離でつながっている。
図8(b)の第二の接続パターンにおいて、可動電極34は、アンカー部35a、35b、およびアンカー部35a、35bの直下の基板31内にそれぞれ設けられている導体ビアCVa、CVbを介してグランド配線GLに接続されている。
つまり、アンカー部35a、35bとグランド配線GLとは導体ビアCVa、CVbによって直結されており、かつ最短距離でつながっている。
いずれの接続パターンにおいても、第一の固定電極32、第二の固定電極33、および可動電極34は、可変キャパシタ30の容量電極としての役割のほかに、駆動電極としての役割も有する。
図9ないし図11は、可変キャパシタ30の等価回路を示す図である。
第一の接続パターンにおける可変キャパシタ30は、図9(a)に示すような等価回路で表現可能である。
すなわち、第一の固定電極32は、第一の信号線路36に接続されるとともに、ビア抵抗RVaを介して駆動配線DLに接続されている。また、第二の固定電極33は、第二の信号線路37に接続されるとともに、ビア抵抗RVbを介して駆動配線DLに接続されている。
ここで、ビア抵抗RVaは、第一の固定電極32に極めて近い位置である第一の固定電極32の直下に設けられている。また、ビア抵抗RVbは、第二の固定電極33に極めて近い位置である第二の固定電極33の直下に設けられている。そのため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
また、可動電極34は、ビア抵抗RVc、RVdを介してグランド配線GLに接続されている。
ここで、ビア抵抗RVc、RVdは、それぞれ可動電極34に極めて近い位置であるアンカー部35a、35bの直下に設けられている。そのため、高周波信号のグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
第二の接続パターンにおける可変キャパシタ30は、図9(b)に示すような等価回路で表現可能である。すなわち、図9(a)に示す等価回路から、ビア抵抗RVc、RVdを省いた構成として表現可能である。
この場合にも、第一の固定電極32および第二の固定電極33に極めて近い位置にそれぞれビア抵抗RVa、RVbが設けられているため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
さて、可変キャパシタ30では、第一の固定電極32と可動電極34との間に静電容量Ec31を有する可変容量部CAaが実現される。また、第二の固定電極33と可動電極34との間に静電容量Ec32を有する可変容量部CAbが実現される。また、第一の固定電極32と第二の固定電極33との間に静電容量Ec33を有する固定容量部CBが実現される。
駆動配線DLを介して第一の固定電極32および第二の固定電極33の両固定電極に駆動電圧が印加されると、両固定電極と可動電極34との間に静電引力が作用することにより、静電容量Ec31、Ec32が変化する。つまり、静電容量Ec31、Ec32は可変容量である。他方、静電容量Ec33は固定容量である。
このように、可変キャパシタ30は、可変容量のほかに固定容量を有している。よって、可変キャパシタ30においては、第一の実施形態における可変キャパシタ10と較べて、容量の可変幅をより自由に設定して所望のインピーダンス値を得ることができる。
図9(a)に示す等価回路は、ビア抵抗RVa、RVbによって、高周波的には、可変容量部CAa、CAbおよび固定容量部CBから駆動配線DLが切り離された回路として捉えることができる。そこで、図9(a)に示す等価回路は、図10(a)に示す等価回路に置き換えることができる。
すなわち、第一の接続パターンにおける可変キャパシタ30は、可変容量部CAa、CAbが、固定容量部CBの両側の信号線路と、グランドに接続された抵抗Rとの間に並列に接続された回路で表現可能である。なお、抵抗Rは、ビア抵抗RVc、RVdによる合成抵抗である。
さらに、抵抗Rの抵抗値が十分に大きい場合、例えば500Ω以上である場合に、図10(a)に示す等価回路は、図10(b)に示す等価回路に置き換えることができる。
すなわち、第一の接続パターンにおける可変キャパシタ30は、直列に接続された可変容量部CAa、CAbが、固定容量部CBと並列に接続された回路で表現可能である。
また、図9(b)に示す等価回路は、図11(a)に示すπ型の等価回路に置き換えることができる。
すなわち、第二の接続パターンにおける可変キャパシタ30は、可変容量部CAa、CAbが、固定容量部CBの両側の信号線路とグランドとの間に並列に接続された回路で表現可能である。
さらに、図11(a)に示すπ型の等価回路は、図11(b)に示すT型の等価回路に置き換えることができる。
すなわち、第二の接続パターンにおける可変キャパシタ30は、可変容量部CAが、固定容量部CBa、CBb間の接続部とグランドとの間に接続された回路で表現可能である。
なお、本実施形態では、第一の固定電極32および第二の固定電極33がビア抵抗RVを介して駆動配線DLに接続され、可動電極34がビア抵抗RVまたは導体ビアCVを介してグランド配線GLに接続されていたが、互いが逆に接続されていてもよい。すなわち、可動電極34がビア抵抗RVを介して駆動配線DLに接続され、第一の固定電極32および第二の固定電極33がビア抵抗RVまたは導体ビアCVを介してグランド配線GLに接続されていてもよい。
〔第四の実施形態〕
図12(a)は第四の実施形態における可変キャパシタ40の例を示す平面図、図12(b)は図12(a)のD1−D1線矢視断面図、図13は図12(a)のD2−D2線矢視断面図である。
図12および図13に示すように、可変キャパシタ40は、駆動電極41a、41bが第一の固定電極32および第二の固定電極33とは別個に設けられている点、つまり駆動分離型である点で、第三の実施形態における可変キャパシタ30とは異なる。
すなわち、第一の固定電極32および第二の固定電極33は駆動配線DLに接続されておらず、駆動電極41a、41bがそれぞれビア抵抗RVe、RVfを介して駆動配線DLに接続されている。そのため、可変キャパシタ30において設けられていたビア抵抗RVa、RVbは、可変キャパシタ40では不要であるので、設けられていない。
可変キャパシタ40のそのほかの構成要素は、第三の実施形態における可変キャパシタ30と共通する。
駆動電極41a、41bは、それぞれ第二の実施形態における駆動電極21a、21bと同様の形態を有している。つまり、第一の固定電極32および第二の固定電極33の両脇に近接して設けられている。
図13に示すように、駆動電極41a、41bは、それぞれその直下の基板31内に設けられているビア抵抗RVe、RVfを介して駆動配線DLに接続されている。
つまり、駆動電極41aと駆動配線DLとはビア抵抗RVeによって、駆動電極41bと駆動配線DLとはビア抵抗RVfによって、それぞれ直結されており、かつ最短距離でつながっている。
図13(a)は第一の接続パターンを示しており、図13(b)は第二の接続パターンを示している。
いずれの接続パターンにおいても、第一の固定電極32および第二の固定電極33は、可変キャパシタ40の容量電極としての役割を有するが、駆動電極としての役割を有さない。他方、可動電極34は、可変キャパシタ40の容量電極としての役割のほかに、駆動電極としての役割も有する。
図14は、可変キャパシタ40の等価回路を示す図である。
第一の接続パターンにおける可変キャパシタ40は、図14(a)に示すような等価回路で表現可能である。
すなわち、可動電極34は、ビア抵抗RVc、RVdを介してグランド配線GLに接続されている。
ここで、ビア抵抗RVc、RVdは、それぞれ可動電極34に極めて近い位置であるアンカー部35a、35bの直下に設けられている。そのため、高周波信号のグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
また、駆動電極41a、41bは、可動電極14に作用するようにそれぞれ第一の固定電極32および第二の固定電極33と近接して配置されており(図13参照)、ビア抵抗RVe、RVfを介して駆動配線DLに接続されている。
ここで、ビア抵抗RVe、RVfは、それぞれ駆動電極41a、41bに極めて近い位置である駆動電極41a、41bの直下に設けられている。そのため、駆動電極41a、41bと周辺回路との間、特に近接して配置されている第一の固定電極32および第二の固定電極33との間に寄生容量Cpがあっても、高周波信号のグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
第二の接続パターンにおける可変キャパシタ40は、図14(b)に示すような等価回路で表現可能である。すなわち、図14(a)に示す等価回路から、ビア抵抗RVc、RVdを省いた構成として表現可能である。
この場合にも、駆動電極41a、41bに極めて近い位置にそれぞれビア抵抗RVe、RVfが設けられているため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
さて、可変キャパシタ40でも、第三の実施形態における可変キャパシタ30と同様に、静電容量Ec41を有する可変容量部CAa、静電容量Ec42を有する可変容量部CAb、静電容量Ec43を有する固定容量部CBが実現される。
図14(a)に示す、第一の接続パターンにおける可変キャパシタ40の等価回路は、可変キャパシタ30の場合と同様に、高周波的には、図10に示す等価回路に置き換えることができる。
また、図14(b)に示す、第二の接続パターンにおける可変キャパシタ40の等価回路も、可変キャパシタ30の場合と同様に、高周波的には、図11に示す等価回路に置き換えることができる。
〔第五の実施形態〕
図15は第五の実施形態における可変キャパシタ50の例を示す平面図、図16は図15のE−E線矢視断面図である。
図15および図16に示すように、可変キャパシタ50は、基板51上に、第一の固定電極52、第二の固定電極53、可動電極54、アンカー部55a、55b、第一の信号線路56、および第二の信号線路57などを有している。
基板51は、第三の実施形態における基板31と同様の形態を有している。
第一の固定電極52および第二の固定電極53は、形成材料などにおいて、それぞれ第三の実施形態における第一の固定電極32および第二の固定電極33と同様の形態を有している。第一の信号線路56の端部および第二の信号線路57の端部を、それぞれ第一の固定電極52および第二の固定電極53として利用してもよいことも同様である。
第一の固定電極52および第二の固定電極53は、それぞれ第一の櫛歯部52a〜52cおよび第二の櫛歯部53a〜53cを備え、両者の各櫛歯部が所定の距離を隔てて互い違いに入り込むように配置されている。なお、本実施形態では、両者に3本ずつの櫛歯部が設けられているが、同様の櫛歯部が2本または4本以上設けられていてもよい。
第一の固定電極52および第二の固定電極53は、中心点に対して互いに対称に配置されている。
可動電極54およびアンカー部55a、55bは、それぞれ第三の実施形態における可動電極34およびアンカー部35a、35bと同様の形態を有している。
第一の信号線路56および第二の信号線路57は、基本的にはそれぞれ第三の実施形態における第一の信号線路36および第二の信号線路37と同様の形態を有しているが、線路幅が若干幅広に形成されている。
可変キャパシタ50も、全体として、その中心点に対して対称となるように構成されており、第三の実施形態における可変キャパシタ30と同様に、入力側から見た特性と出力側から見た特性とがほぼ同じである。よって、可変キャパシタ50においても、高周波信号の反射を低減することができる。
図16に示すように、第一の櫛歯部52aは、その直下の基板51内に設けられているビア抵抗RVaを介して駆動配線DLに接続されている。
つまり、第一の櫛歯部52aと駆動配線DLとはビア抵抗RVaによって直結されており、かつ最短距離でつながっている。
ただし、第一の櫛歯部52aの代わりに第一の櫛歯部52b、52cが駆動配線DLに接続されていてもよいし、第一の櫛歯部52a〜52cのすべてが駆動配線DLに接続されていてもよい。
また、第二の櫛歯部53cは、その直下の基板51内に設けられているビア抵抗RVbを介して駆動配線DLに接続されている。
つまり、第二の櫛歯部53cと駆動配線DLとはビア抵抗RVbによって直結されており、かつ最短距離でつながっている。
ただし、第二の櫛歯部53cの代わりに第二の櫛歯部53a、53bが駆動配線DLに接続されていてもよいし、第二の櫛歯部53a〜53cのすべてが駆動配線DLに接続されていてもよい。
結局のところ、第一の櫛歯部52a〜52cおよび第二の櫛歯部53a〜53cのうちの少なくとも1つが駆動配線DLに接続されていればよい。
また、図16(a)の第一の接続パターンにおいて、可動電極54は、アンカー部55a、55b、およびアンカー部55a、55bの直下の基板51内にそれぞれ設けられているビア抵抗RVc、RVdを介してグランド配線GLに接続されている。
また、図16(b)の第二の接続パターンにおいて、可動電極54は、アンカー部55a、55b、およびアンカー部55a、55bの直下の基板51内にそれぞれ設けられている導体ビアCVa、CVbを介してグランド配線GLに接続されている。
いずれの接続パターンにおいても、第一の固定電極52、第二の固定電極53、および可動電極54は、可変キャパシタ50の容量電極としての役割のほかに、駆動電極としての役割も有する。
第一の接続パターンにおける可変キャパシタ50は、第三の実施形態における可変キャパシタ30の場合と同様に、図9(a)に示すような等価回路で表現可能である。
この場合にも、第一の固定電極52および第二の固定電極53に極めて近い位置にそれぞれビア抵抗RVa、RVbが設けられているため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
また、可動電極54に極めて近い位置にビア抵抗RVc、RVdが設けられているため、高周波信号のグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
第二の接続パターンにおける可変キャパシタ50も、第三の実施形態における可変キャパシタ30の場合と同様に、図9(b)に示すような等価回路で表現可能である。
この場合にも、第一の固定電極52および第二の固定電極53に極めて近い位置にそれぞれビア抵抗RVa、RVbが設けられているため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
さて、可変キャパシタ50では、第一の固定電極52と可動電極54との間に静電容量Ec51を有する可変容量部CAaが実現される。また、第二の固定電極53と可動電極54との間に静電容量Ec52を有する可変容量部CAbが実現される。
そして、第一の櫛歯部52aと第二の櫛歯部52aとの間、第一の櫛歯部52bと第二の櫛歯部53bとの間、および第一の櫛歯部52cと第二の櫛歯部53cとの間にそれぞれ静電容量Ec53を有する固定容量部CBが実現される。つまり、第一の固定電極52と第二の固定電極53とで、いわゆるInterdigital型の固定キャパシタが構成されており、隣接する各櫛歯部間にEc53を有する。
駆動配線DLを介して第一の櫛歯部52aおよび第二の櫛歯部53aに駆動電圧が印加されると、第一の固定電極52および第二の固定電極53と可動電極54との間に静電引力が作用することにより、静電容量Ec51、Ec52が変化する。つまり、静電容量Ec51、Ec52は可変容量である。他方、静電容量Ec53は固定容量である。
このように、可変キャパシタ50は、可変容量のほかに固定容量を有している。しかも、第一の固定電極52および第二の固定電極53の櫛歯部の本数に応じた固定容量を持たせることができる。例えば、櫛歯部の本数を多くすれば、その分だけ固定容量の値を大きくすることができる。よって、可変キャパシタ50においては、第三の実施形態における可変キャパシタ30と較べて、容量の可変幅をより自由に設定して所望のインピーダンス値を得ることができる。
図9(a)に示す、第一の接続パターンにおける可変キャパシタ50の等価回路は、可変キャパシタ30の場合と同様に、高周波的には、図10に示す等価回路に置き換えることができる。
また、図9(b)に示す、第二の接続パターンにおける可変キャパシタ50の等価回路も、可変キャパシタ30の場合と同様に、高周波的には、図11に示す等価回路に置き換えることができる。
なお、本実施形態では、第一の固定電極52および第二の固定電極53がビア抵抗RVを介して駆動配線DLに接続され、可動電極54がビア抵抗RVまたは導体ビアCVを介してグランド配線GLに接続されていたが、互いが逆に接続されていてもよい。すなわち、可動電極54がビア抵抗RVを介して駆動配線DLに接続され、第一の固定電極52および第二の固定電極53がビア抵抗RVまたは導体ビアCVを介してグランド配線GLに接続されていてもよい。
〔第六の実施形態〕
図17は第六の実施形態における可変キャパシタ60の例を示す平面図、図18は図16のF−F線矢視断面図である。
図17および図18に示すように、可変キャパシタ60は、駆動電極61a、61bが第一の固定電極52および第二の固定電極53とは別個に設けられている点、つまり駆動分離型である点で、第五の実施形態における可変キャパシタ50とは異なる。
すなわち、第一の固定電極52および第二の固定電極53は駆動配線DLに接続されておらず、駆動電極61a、61bがそれぞれビア抵抗RVe、RVfを介して駆動配線DLに接続されている。そのため、可変キャパシタ50において設けられていたビア抵抗RVa、RVbは、可変キャパシタ60では不要であるので、設けられていない。
可変キャパシタ60のそのほかの構成要素は、第五の実施形態における可変キャパシタ50と共通する。
駆動電極61a、61bは、それぞれ第二の実施形態における駆動電極21a、21bと同様の形態を有している。つまり、第一の固定電極52および第二の固定電極53の両脇に近接して設けられている。
図18に示すように、駆動電極61a、61bは、それぞれその直下の基板51内に設けられているビア抵抗RVe、RVfを介して駆動配線DLに接続されている。
つまり、駆動電極61aと駆動配線DLとはビア抵抗RVeによって、駆動電極61bと駆動配線DLとはビア抵抗RVfによって、それぞれ直結されており、かつ最短距離でつながっている。
図18(a)は第一の接続パターンを示しており、図18(b)は第二の接続パターンを示している。
いずれの接続パターンにおいても、第一の固定電極52および第二の固定電極53は、可変キャパシタ60の容量電極としての役割を有するが、駆動電極としての役割を有さない。他方、可動電極54は、可変キャパシタ60の容量電極としての役割のほかに、駆動電極としての役割も有する。
第一の接続パターンにおける可変キャパシタ60は、第四の実施形態における可変キャパシタ40の場合と同様に、図14(a)に示すような等価回路で表現可能である。
この場合にも、駆動電極61a、61bに極めて近い位置にそれぞれビア抵抗RVe、RVfが設けられているため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
また、可動電極54に極めて近い位置にビア抵抗RVc、RVdが設けられているため、高周波信号のグランド配線GLへの漏洩を効率よく防止することができる。
第二の接続パターンにおける可変キャパシタ60も、第四の実施形態における可変キャパシタ40の場合と同様に、図14(b)に示すような等価回路で表現可能である。
この場合にも、駆動電極61a、61bに極めて近い位置にそれぞれビア抵抗RVe、RVfが設けられているため、高周波信号の駆動配線DLへの漏洩を効率よく防止することができる。
さて、可変キャパシタ60でも、第五の実施形態における可変キャパシタ50と同様に、静電容量Ec61を有する可変容量部CAa、静電容量Ec62を有する可変容量部CAb、静電容量Ec63を有する固定容量部CBが実現される。
図14(a)に示す、第一の接続パターンにおける可変キャパシタ60の等価回路は、可変キャパシタ40の場合と同様に、高周波的には、図10に示す等価回路に置き換えることができる。
また、図14(b)に示す、第二の接続パターンにおける可変キャパシタ60の等価回路も、可変キャパシタ40の場合と同様に、高周波的には、図11に示す等価回路に置き換えることができる。
図19は、可変フィルタ70の例を示す斜視図である。
図19に示すように、可変フィルタ70は、基板71、分布定数線路としてのマイクロストリップ線72、可変共振部73、および可変カップリング部74などを有している。また、基板71内に、内層グランド70Gおよびビア70Vを有している。
上述の可変キャパシタ10〜60は、例えば、可変カップリング部74に適用することが可能である。その場合に、マイクロストリップ線72は、上述の可変キャパシタ10〜60の固定電極または可動電極に接続される。なお、可変カップリング部74によって、高周波信号の伝播長または通過周波数などを適宜調整することが可能になる。
以上の実施形態において、可変キャパシタ10〜60の全体または一部の構造、形状、および材料などは、本発明の主旨に沿って適宜変更可能である。
例えば、可変キャパシタ10〜60には、入力用の信号線路と出力用の信号線路とが一対一で設けられていたが、入力用の信号線路と出力用の信号線路とを一対多または多対多で設けてもよい。その場合に、信号線路ごとに対応する固定電極などを設ける。そのようにすることで、例えば、可変キャパシタ10〜60に分波器としての機能を持たせることが可能となる。
また、上述のビア抵抗およびその他の構成は、可変キャパシタに限らず、高周波信号の損失を防止する必要がある各種のMEMSデバイスに広く適用可能である。