JP5417324B2 - リチウムイオン電池及びリチウムイオン電池用電極巻回体 - Google Patents

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Description

本発明は、帯状の負極と帯状の正極とを帯状のセパレータを介して積層巻回してなる巻回電極体をその巻戻りを防止しつつ非水電解液とともに電池缶内に封入してなるリチウムイオン電池、およびリチウムイオン電池に封入する電極巻回体、の改良に関する。
帯状の負極と帯状の正極とを帯状のセパレータを介して積層巻回してなる巻回電極体をその巻戻りを防止しつつ非水電解液とともに電池缶内に封入してなるリチウムイオン電池において、巻回電極体の巻戻り防止手段としては、一般にポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなる巻戻り防止用テープを、巻回電極体の回りに巻回し付着させたものが用いられている。形成された電極巻回体は、ほぼぴったり嵌挿される内径の電池缶中に挿入され、次いで注入された非水電解液とともに電池缶中に封入される。ここでポリエチレン等のポリオレフィンは、非水電解液に対する親和力が小さく、電極巻回体の嵌挿後の電池缶に非水電解液を注入し、電解液を巻回電極体中に含浸させる作業性を著しく悪化させる。また、電極巻回体をその外径と近接した内径を有する電池缶に嵌挿すること自体の作業性をも損なう。このうち、非水電解液に対するポリオレフィンテープの親和性の乏しさを緩和する目的で、非水電解液に対する親和性が高いポリフッ化ビニリデンをコーティングした巻戻り防止用テープも提案されている(特許文献1)。しかしながら、このようなコーティングテープは、コーティング樹脂であるポリフッ化ビニリデンと、テープ構成樹脂であるポリオレフィンの間の親和性が既に悪いので、コーティング自体が困難であるほか、コーティングした後もテープを巻回電極体の周囲に巻回し付着する過程、更には非水電解液との接触により、簡単に剥離してしまう欠点がある。
他方、非水電解液との親和性の良好なフッ化ビニリデン樹脂自体からなる巻戻り防止用テープを用いることも既に提案されている(特許文献2)。これにより、形成された電極巻回体を用いると、嵌挿後に注入された非水電解液が速やかに巻回電極体に含浸されるほか、非水電解液の含浸により巻戻り防止用テープが膨潤して厚みを増すため、電池缶への電極巻回体の嵌挿時には両者間に若干大きな間隙が許容されるため、電池缶への電極巻回体の嵌挿の作業が著しく容易となる利点も生ずる。
しかしながら、フッ化ビニリデン樹脂製の巻戻り防止用テープを用いる電極巻回体を嵌挿したリチウムイオン電池にも一つの欠点が見出された。すなわち、リチウムイオン電池の性能向上に対する要求は広汎であり、単位時間当りに大なる出力を要求される電動工具等の電源としての利用も行われているところ、このような大出力リチウムイオン電池においては使用時の電極温度も90℃程度まで上昇するため、巻戻り防止用テープが非水電解液に膨潤するのみでなく、溶解して電池性能の著しい低下が生ずる欠点が見出された。
特開2007−184234号公報 特開平6−181058号公報
従って、本発明の主要な目的は、大出力用途におけるように高温の使用条件下においても安定した巻戻り防止作用を発揮する巻戻り防止用テープを周囲に付着させて形成された電極巻回体を嵌挿してなるリチウムイオン電池、ならびにこのようなリチウムイオン電池用電極巻回体を提供することにある。
本発明者らは、上述の目的で、特にポリオレフィン等とは異なりフッ化ビニリデン樹脂に対して良好な親和性ないし混和性を有する熱可塑性樹脂を求めて各種樹脂を試験した結果、芳香族ポリエステル樹脂がこのような目的に最適であり、かくして得られるフッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の複合材料(混和物あるいは積層体)からなる巻戻り防止用テープを用いることが、上記本発明の目的の達成に極めて有効であることが見出された。本発明のリチウムイオン電池は、このような知見に基づき、帯状の負極と帯状の正極とを帯状のセパレータを介して積層巻回してなる巻回電極体の周囲に、巻戻り防止用テープを付着してなる電極巻回体を、非水電解液とともに電池缶内に封入してなり、前記巻戻り防止用テープが、(i)フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを質量比で95:5〜60:40あるいは40:60〜5:95の割合で含む混和物層単独、または(ii)上記(i)に記載の組成を有する フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の混和物層と、フッ化ビニリデン樹脂および芳香族ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂からなる隣接樹脂層とを含む積層物、である複合材料からなることを特徴とするものである。また本発明のリチウムイオン電池用電極巻回体は、帯状の負極と帯状の正極とを帯状のセパレータを介して積層巻回してなる巻回電極体の周囲に、巻戻り防止用テープを付着してなり、前記巻戻り防止用テープが、(i)フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを質量比で95:5〜60:40あるいは40:60〜5:95の割合で含む混和物層単独、または(ii)上記(i)に記載の組成を有する フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の混和物層と、フッ化ビニリデン樹脂および芳香族ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂からなる隣接樹脂層とを含む積層物、である複合材料からなることを特徴とするものである。
本発明のリチウムイオン電池の一例の模式部分分解斜視図。 本発明の電極巻回体の一例の模式斜視図。 本発明で用いる巻戻り防止用テープの一例の厚み方向模式断面図。 本発明で用いる巻戻り防止用テープの一例の厚み方向模式断面図。 本発明で用いる巻戻り防止用テープの一例の厚み方向模式断面図。 本発明で用いる巻戻り防止用テープの一例の厚み方向模式断面図。 本発明で用いる巻戻り防止用テープの一例の厚み方向模式断面図。 本発明で用いる巻戻り防止用テープの一例の厚み方向模式断面図。 本発明で用いる巻戻り防止用テープの一例の厚み方向模式断面図。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態について、より詳細に説明する。
本発明で形成するリチウムイオン電池の全体構造は、従来の電極巻回体を挿入したリチウムイオン電池のそれとほぼ類似するものである。図1は、その部分分解斜視図である。すなわち、このリチウムイオン電池は、基本的にはいずれも帯状である正極1、ポリエチレン等の高分子物質の微多孔性膜からなるセパレータ2、負極3およびセパレータ4をこの順序で積層したものを渦巻き状に巻き回してなる巻回電極体(発電素子)14の周囲に巻戻り防止用テープ5を付着してなる電極巻回体15を、負極端子6aとして機能する底部(その上には、あらかじめ絶縁板(図示せず)を配置する)を有する電池缶6中に収容した構造を有する。このリチウムイオン電池において、更に負極3は、上記の底部に配置した絶縁板(図示せず)を挿通して延長する負極リード(図2の3a)を介して負極端子(電池缶底部)6aに電気的に接続され、頂部においてはスペーサ(絶縁板)7a、ガスケット7bおよび安全弁8を配置した後、正極リード1aを介して前記正極1と電気的に接続された凸部において正極端子9aを構成する頂部プレート(電池蓋)9を配置し、電池缶6の頂部リム6bをかしめて全体を封止した構造を有する。通常は、途中、電極巻回体15を電池缶6中に嵌挿した段階で、頂部構造を完成する前に、電池缶6中に、非水電解液が注入され、主としてセパレータ2,4および電極1、3を含浸する状態で電池缶6中に収容される。
正極1および負極3は、それぞれ鉄、ステンレス鋼、鋼、銅、アルミニウム、ニッケル等の金属箔あるいは金属網等からなり、厚さが5〜100μm、好ましくは5〜20μmとなる集電体の少なくとも一面に、活物質および必要に応じて加えられるカーボンブラック等の導電助剤をフッ化ビニリデン樹脂等のバインダー溶液あるいはSBR等のゴム系バインダーエマルジョンととともに混合して得られた合剤スラリーを塗布し、例えば50〜170℃で乾燥して厚さが10〜1000μmの電極合剤層を形成したものである。
リチウムイオン二次電池用の活物質としては、正極の場合は、一般式LiMY(Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr、V等の遷移金属の少なくとも一種:YはO、S等のカルコゲン元素)で表わされる複合金属カルコゲン化合物、特にLiNiCo1−x(0≦x≦1)をはじめとする複合金属酸化物やLiMnなどのスピネル構造をとる複合金属酸化物が好ましい。また、リン酸鉄リチウムに代表されるオリビン構造を有するリチウム含有化合物も好ましく用いられる。負極の場合は、黒鉛、活性炭、あるいはフェノール樹脂やピッチ等を焼成炭化したもの等の粉末状炭素質材料に加えて、金属酸化物系のGeO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbOなど、あるいはこれらの複合金属酸化物(例えば特開平7−249409号公報に開示されるもの)等が用いられる。
セパレータ2,4等に含浸される非水電解液としては、例えばリチウム塩などの電解質を非水系溶媒(有機溶媒)に溶解したものを用いることができる。ここで電解質としては、LiPF、LiAsF、LiClO、LiBF、CHSOLi、CFSOLi、LiCl、LiBr等がある。また、電解質の有機溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの混合溶媒などが用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
セパレータ2,4は、ポリオレフィン等の高分子物質の微多孔膜のほか、不織布、その他の多孔質材料を用いることもできる。厚さは例えば10〜50μm程度である。
本発明に従い、このような電極1,3とセパレータ2,4の交互積層巻回体からなる巻回電極体(発電素子)14の周囲に、フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の複合材料からなる巻戻り防止用テープ5を付着して電極巻回体15を構成する。図2は、このようにして形成される電極巻回体15の1例の模式斜視図であり、正極1の集電体の延長部からなる正極リード1aおよび負極3の集電体の延長部からなる負極リード3aを併せて示している。巻戻り防止用テープ5には、例えばニードルパンチ等により微細透孔(特に図示せず)を形成して、非水電解液の浸透を促進してもよい。本発明においては、フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の非水電解液による膨潤性を利用するため、3巻き程されていた従来のポリオレフィン系巻戻り防止用テープとは異なり、1〜2巻き、特に1巻きであっても電池缶収容−非水電解液の注入後の膨潤による厚み増大作用を通じて巻回電極体14の巻き戻し防止作用が効果的に発現する。
なお上記においては、円筒型電池の例を示したが、電極巻回型である限りにおいて本発明のリチウムイオン電池の全体形状は、角型とすることもできる。
以下、本発明で用いる巻戻り防止用テープの層構造のいくつかを、その厚さ方向分模式断面図を参照して説明する。
本発明に従い、上記電極巻回体15の巻戻り防止用テープ5は、フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の複合材料により構成される。複合の態様には、主として混和と積層がある。従って本発明で用いる巻戻り防止用テープ5の最も簡単な構成は、図3に示すように、混和物の単層51からなるものであり、積層における最も簡単な構成は、図4に示すように、フッ化ビニリデン樹脂の1層52と芳香族ポリエステル樹脂の1層53との積層体である。しかしながら、図4のフッ化ビニリデン樹脂層52と芳香族ポリエステル樹脂層53の少なくとも一方を、フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の混和物の層に代えることも可能であり、図5のようにフッ化ビニリデン樹脂の1層52を芳香族ポリエステル樹脂の2層53で挟持する構成、図6のように芳香族ポリエステル樹脂の1層53をフッ化ビニリデン樹脂の2層52で挟持する構成も可能である。但し、本発明でフッ化ビニリデン樹脂に加えて芳香族ポリエステル樹脂を用いて複合材料化する理由は、非水電解液との接触下におけるフッ化ビニリデン樹脂単独での耐熱性不足を補うためであるため、積層態様において、巻回電極体14に近接する層が芳香族ポリエステル樹脂層である方がより好ましい。
ここで、巻戻り防止用テープを構成する複合材料の成分であるフッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂について説明する。
本発明で使用するフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンの単独重合体あるいは共重合体のいずれでもよい。フッ化ビニリデン共重合体には、フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な他の単量体、例えばエチレン、プロピレン等の炭化水素系単量体、またはフッ化ビニル・トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル等のフッ化ビニリデン以外の含フッ素単量体との共重合体が含まれるが、共重合体の場合、フッ化ビニリデン単位を90モル%以上、特に95モル%以上の範囲で含むことが好ましい。
またフッ化ビニリデン樹脂には、上述したフッ化ビニリデンの単独又は共重合体を構成するモノマーの100質量部に対して、0.1〜3質量部のカルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシル基およびカルボニル基から選択された少なくとも一つの接着性官能基を有し且つフッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーを共重合させて、これら接着性官能基の導入により改質したフッ化ビニリデン重合体を用いることも好ましい。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、クロトン酸などの不飽和一塩基酸、またはマレイン酸、シトラコン酸などの不飽和二塩基酸もしくはそのモノアルキルエステルが挙げられる。またエポキシ基を有するモノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエステル、アリル酢酸グリシジルエステル等が挙げられる。また、ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等が;またカルボニル基を有するモノマーとしては、エチレンカーボネート等が挙げられる。これら接着性官能基を有するモノマーは、接着性官能基を有さないフッ化ビニリデン重合体形成モノマー100質量部に対し、0.1〜3質量部と少量であるので、フッ化ビニリデン重合体形成モノマーとともに水性媒体中での懸濁重合により形成可能である。
また、膨潤性を維持しつつ耐熱性を向上するために、化学的架橋法(ポリアミン類、ポリオール類あるいは多官能性架橋剤と、ラジカル発生剤の添加)あるいは物理的架橋法(電子線やγ線の照射)による架橋構造の導入も好ましい。
本発明においては、非水電解液中での耐熱性と膨潤性とを考慮して、上記したフッ化ビニリデン樹脂のうち、そのインへレンド粘度(ηinh、本書においては、樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した溶液の30℃における対数粘度をいう)が0.8〜1.3dl/g、特に0.85〜1.1dl/gのものを用いることが好ましい。
上記フッ化ビニリデン樹脂とともに複合材料を構成する芳香族ポリエステル樹脂は、ポリエステルを構成するジオールとジカルボン酸の少なくとも一方、好ましくはジカルボン酸が芳香族であるものをいう。好ましい芳香族ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。またフッ化ビニリデン樹脂との親和性を改善するために、ジオールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)等の他のジオール成分で置き換えたり、カルボン酸の一部、例えばテレフタル酸の一部をイソフタル酸に置き換える等により、結晶性を低下させることも好ましい。但し、過剰な置換は、芳香族ポリエステル樹脂の使用による非水電解液中での巻戻り防止用テープの耐熱性向上効果が得られなくなるので避けるべきである。また、芳香族ポリエステル樹脂の分子量相当の尺度としては、一般にIV(イントリンシック・ビスコシティー)が用いられており、本発明の目的のためには、0.6〜1.4dl/g、好ましくは0.65〜1.1dl/g、より好ましくは0.7〜1.0dl/gのものが用いられる。
本発明の巻戻り防止用テープを構成するフッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の複合態様には、前述したように大別して混和(ブレンド)と積層とがある。このうち、積層の場合には両樹脂の複合比は比較的任意であるが、混和の場合には、両樹脂の相溶性にはある程度の制約があり、フッ化ビニリデン樹脂:芳香族ポリエステル樹脂の質量比が40:60〜60:40の範囲は避けるべきである。他方複合の効果を発揮するためにはフッ化ビニリデン樹脂:芳香族ポリエステル樹脂の質量比が95:5〜5:95の範囲であることが好ましい。結局、混和と積層の両態様を含めて、耐熱性を維持する範囲内でフッ化ビニリデン樹脂の膨潤による厚み増大効果をより良く享受するために、フッ化ビニリデン樹脂:芳香族ポリエステル樹脂の質量比が95:5〜60:40の範囲が好ましく、95:5〜70:30の範囲が最も好ましい。
二つの代表的複合態様のそれぞれの長所を挙げると、積層態様は、耐熱層(非膨潤層)が必ず存在するために、安全性が高いこと、物性が安定することが挙げられる。他方、混和態様は製膜装置が簡便となること;得られる巻戻り防止用テープのカール性が無いこと;表裏の区別なく使用できることが挙げられる。
上述した各種態様を含めて、巻戻り防止用テープ1枚の合計厚さは20〜70μm、特に30〜50μm程度が適当であり、必要に応じて強度向上、厚み調整等の目的で一軸又は二軸に延伸したものでもよい。
本発明の巻戻り防止用テープ5は、巻回電極体14の最外層であるセパレータ4に付着する形態で配置される。従ってセパレータ4を構成するポリオレフィン等のシール性を利用して、ヒートシールあるいは超音波シールにより、巻戻り防止用テープ5を巻回電極体14の周囲に付着させて、巻回電極体14の巻き戻り防止を達成することができる。しかし、より簡便には、巻戻り防止用テープ5の巻回電極体14との付着面側(積層の場合には、好ましくは芳香族ポリエステル樹脂層53または芳香族ポリエステル樹脂を隣接する樹脂層中よりも多く含む混和層側)に接着剤を塗布して粘着型の巻戻り防止用テープを形成することが好ましい。図7〜図9は、図3〜図5の巻戻り防止用テープの巻回電極体14との付着面側(図では下側)にそれぞれ粘着剤層55を設けた粘着型巻戻り防止用テープの厚さ方向模式断面図である。
粘着剤層55は、セパレータ層に密着すれば、その種類に制限はなく、例えば、ポリイソプレン系粘着剤、スチレン−ブタジエンランダム共重合体系粘着剤、スチレン−イソプレンブロック共重合体系粘着剤、ブチルゴム粘着剤、ポリイソブチレン粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の各種粘着剤を使用できる。これらの粘着剤は市販品として容易に入手できる。粘着強度はセパレータの材質によって選択すれば良い。
巻戻り防止用テープ表面への粘着剤塗工液の塗布方法は、特に限定されないが、ディッピング法やスプレー、およびコーター、印刷機を用いることができる。コーターとしては例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、バーコーター等が挙げられる。
塗工液を乾燥する方法としては、特に限定されないが、自然乾燥や、所定の温度に設定した乾燥機で乾燥する方法、またはコーターに付属の乾燥機を用いる方法が挙げられる。乾燥温度は、例えば、熱風乾燥を用いる場合は50〜120℃であることが好ましい。
乾燥時間は塗布する方法によって適宜選択できる。粘着剤層55は、一般に乾燥厚さとして10〜30μm程度に形成される。
以下、本発明のリチウムイオン電池及びリチウムイオン電池用電極巻回体の特徴要素である巻戻り防止用テープの製造評価例、比較例を挙げ、更に電極巻回体およびリチウムイオン電池の製造評価実施例を示す。
<<製造例・比較例>>
[混和型(単層)]
(製造例1)
フッ化ビニリデン樹脂としてインヘレント粘度(ηinh)=1.0dl/gのポリ弗化ビニリデン(株式会社クレハ製「KF#1000」)90質量%と、芳香族ポリエステル樹脂としてポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー株式会社製「700FP」)10質量%とをペレットブレンドし、Tダイを備えた口径40mmφの単軸押出機を用いてダイ温度280℃で押出し、幅250mm、厚み50μmの帯状フィルムを作製した。
(製造例2および3)
ポリ弗化ビニリデンと、ポリブチレンテレフタレートとの混合組成を質量比で70:30(製造例2)および30:70(製造例3)と変えたこと以外は製造例1と同様にしてフィルムを得た。
(製造例4)
ポリフッ化ビニリデン(ηinh=1.0dl/g)95質量%と芳香族ポリエチレンテレフタレート(PET:イーストマンケミカル(株)製「A12」)5質量%を用いた以外は、製造例1に準じて幅250mm、厚さ40μmの単層フィルムを作成した。
(製造例5)
ポリフッ化ビニリデン(ηinh=1.0dl/g)90質量%と芳香族ポリエチレンテレフタレート(PET:イーストマンケミカル(株)製「A12」)10質量%を用いた以外は、製造例1に準じて幅250mm、厚さ40μmの単層フィルムを作成した。
(製造例6)
ポリフッ化ビニリデン(ηinh=1.0dl/g)80質量%と芳香族ポリエチレンテレフタレート(PET:イーストマンケミカル(株)製「A12」)20質量%を用いた以外は、製造例1に準じて幅250mm、厚さ40μmの単層フィルムを作成した。
(製造例7)
ポリフッ化ビニリデン(ηinh=1.0dl/g)90質量%と芳香族ポリエチレンテレフタレート(PET:イーストマンケミカル(株)製「A12」)10質量%を用いた以外は、製造例1に準じて幅250mm、厚さ30μmの単層フィルムを作成した。
(製造例8)
ポリフッ化ビニリデン(ηinh=1.0dl/g)90質量%と芳香族ポリエチレンテレフタレート(PET:イーストマンケミカル(株)製「A12」)10質量%を用いた以外は、製造例1に準じて幅250mm、厚さ50μmの単層フィルムを作成した。
(比較例1)
ポリフッ化ビニリデン(ηinh=1.0dl/g)の単独原料を用いる以外は製造例1と同様にしてフィルムを得た。
(比較例2および3)
ポリフッ化ビニリデン(ηinh=1.30dl/g;(株)クレハ製「KF#1300」)(比較例2)およびポリブチレンテレフタレート(「700EP」)(比較例3)をそれぞれ単独で用いる以外は、製造例1と同様にして2種のフィルムを得た。
[評価]
上記例で製造した巻戻り防止用テープ(フィルム)については、以下のように、耐熱性(目視外観観察)、厚み、厚み増加率および重量増加率の測定を行った。すなわち、上記例で製造したフィルムの各々を、横2cm、縦4cmの矩形にカットし、厚み及び重量を測定した。その後電池缶内における非水電解液との接触状況と近似させるために、スライドガラスで挟んでオートクレーブに入れ、電解液(エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびジメチルカーボネート(DMC)の混合溶液(組成比=16/8/76体積%)に、電解質としてLiPFを1.0mol/L混合したもの)を注入し封入した。このオートクレーブを90℃のオーブン中で16時間保持し、室温まで冷却後取り出した。オートクレーブからサンプルを取り出し付着した電解液を拭き取って、目視観察ならびに厚みおよび重量増加率の測定を行った。
厚み測定は平型の測定子(8.5mmφ)を用い、測定力1.5Nで行った。目視観察結果の評価基準としては、亀裂が発生したものや大きく白化したものを×とし、亀裂が無く、また白化も少ないものを○とした。
上記製造例、比較例で得られたフィルムの概要および評価結果の概容をまとめて次表1に示す。
Figure 0005417324
結果を補足説明すると製造例1〜8で得られたフィルムは目視観察で外観に劣化は見られないが、充分に膨潤していることが確認された。なお、重量増加率に比べて厚み増加率が大なる理由は、フィルムの変形が一様な厚み増加ではなく褶曲状の変形であるためであるが、このような褶曲変形で電極巻回体と電池缶内壁間の空隙が満たされ巻回電極体の巻き戻し防止効果が発現することが確認されている。
これに対し、それぞれηinh=1.0dl/gおよび1.3dl/gのポリフッ化ビニリデンを単独からなる比較例1および2のフィルムは、膨潤性は大であるものの顕著に白化し、かつ亀裂も存在していた。他方、ポリブチレンテレフタレート(PBT)単独を用いた比較例3のフィルムは外観の劣化は非常に少ないものの膨潤性が非常に乏しく、ポリオレフィン巻戻り防止用テープに比べての利点は認められなかった。
(製造例9)
製造例1で得られたフィルムに市販のアクリル系粘着剤(東洋インキ製造株式会社製「BPS1109」)を乾燥後の厚みが20μmとなるように固形分濃度をトルエンで希釈して調整し、メイヤーバーによって塗布後、70℃の乾燥機中で30分間乾燥させ粘着剤層付フィルムを得た。このフィルムを市販のポリエチレン製セパレータ(厚さ22μm;旭化成株式会社製「ハイポアS6722」)に粘着させたものの非水電解液に対する耐熱性を上記評価方法により、目視評価した。その結果、外観の劣化は認められなかった。目視評価では、フィルムの膨潤も確認されたが、セパレータと粘着剤の寄与の除外が極めて困難であるため、数値的評価は割愛した。
[積層型(二層)]
以下の製造例10〜18中、製造例10〜16は参考例である。
(製造例10)
フッ化ビニリデンとしてのポリ弗化ビニリデン(ηinh=1.0dl/g)と、芳香族ポリエステル樹脂としてのポリブチレンテレフタレート(「700FP」)とを厚み比が90:10となるように、二層Tダイを備えた口径40mmφ、および30mmφの押出機によりダイ温度270℃で押出し、幅250mm、厚み50μmの二層フィルムを作製した。
(製造例11および12)
ポリ弗化ビニリデン〈ηinh=1.0dl/g〉と、ポリブチレンテレフタレート(700FP)との厚み構成比を80:20(製造例11)および60:40(製造例12)とそれぞれ変える以外は製造例10と同様にして2種の二層フィルムを得た。
(製造例13〜16)
フッ化ビニリデンとしてηinh=0.85dl/gのポリ弗化ビニリデン((株)クレハ製「KF#850」)、芳香族ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)(イーストマンケミカル(株)製「A12」)を用いた以外は、製造例10と同様にして、但し、全体厚みおよび厚み比を後記表2に示すように変化して4種の二層フィルムを得た。
(製造例17)
膨潤層を形成するために製造例1で用いたポリフッ化ビニリデン(ηinh=1.0dl/g)とポリブチレンテレフタレート(PBT、700FP)との70:30質量%の混合物を、非膨潤層を形成するために同じポリフッ化ビニリデンとポリブチレンテレフタレートの30:70質量%の混合物を用い、厚み構成比を膨潤層60%、非膨潤層40%とした以外は製造例10と同様の方法により二層フィルムを得た。
(製造例18)
膨潤層を形成するために製造例13で用いたポリフッ化ビニリデン(ηinh=0.85dl/g)およびPET(「A12」)の70:30質量%の混合物を、非膨潤層を形成するために同PET(「A12」)100%を用い、厚み構成比を膨潤層50%、非膨潤層50%とした以外は製造例10と同様の方法で二層フィルムを得た。
(比較例4)
製造例10において、PBTの代りにポリメチルメタクリレート(PMMA,三菱レイヨン株式会社製「HBY−N19」)を用いる以外は製造例10と同様にして二層フィルムを得た。
(比較例5)
製造例10においてPBTの代りにポリプロピレン(PP,日本ポリプロ株式会社製「ノバテックFY6H」)を用いる以外は、製造例10と同様にして二層フィルムを製造した。
上記製造例および比較例で得られた二層フィルムの構成の概容と、単層フィルムと同様に非水電解液との接触放置試験により評価した結果を次表2にまとめて示す。
Figure 0005417324
上記表2の結果を補足説明すると、製造例10〜17で得られた二層フィルムは、いずれも膨潤性が充分であり、目視での劣化は非常に少なかった。非膨潤性であるPETの厚み構成比が50%である製造例18の二層フィルムは膨潤性が低いが、許容範囲であった。芳香族ポリエステル樹脂の代りにポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いた比較例4の二層フィルムは非水電解液に対する膨潤性は示すものの、大きく白化し、かつ亀裂も存在しており、フッ化ビニリデン樹脂単層フィルム(比較例1)に対する耐熱性改善効果は得られなかった。また芳香族ポリエステル樹脂の代りにポリプロピレン(PP)を用いた比較例5では、PVDFとの界面での接着が得られないか、極めて弱いため、テープの作製時及びその後のハンドリング時(切断、貼り合せ工程)に層間剥離を起こし、非常に作業性が悪く、工業的用途には不適であることが明らかとなった。
<<電極巻回体およびリチウムイオン電池の作製・評価>>
(実施例1)
以下のようにして、図2および図1に概容を示すような単層の巻戻り防止用テープを含む電極巻回体およびリチウムイオン電池を作製した。
[負極の作成] 出発原料として石油ピッチを用い、これに酸素を含む官能基を10〜20質量%導入(いわゆる酸素架橋)した後、不活性ガス気流中で1000℃にて焼成することによって、ガラス状炭素に近い性質をもった炭素材料を得た。この炭素材料について、X線回析測定を行った結果、(002)面の面間隔は3.76Åであった。またピクノメータ法により真比重を測定したところ、1.58g/cmであった。この炭素材料を粉砕し、平均粒径10μmの炭素材料粉末を得て、この粉末状の炭素材料を負極活物質担持体とした。このような炭素材料90質量部に結着剤としてのポリ弗化ビニリデン10質量部を混合し、負極合剤を調整した。この負極合剤を、溶剤であるN−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。負極集電体として厚さ10μmの帯状の銅箔を用い、この集電体の両面に負極合剤スラリーを塗布し、乾燥させた後、圧縮成型して帯状の負極3を作成した。成型後の負極合剤の厚さは両面共に80μmで同一とし、電極の幅は58mm、長さは700mmとした。この負極集電体にニッケル製の負極リード3aを溶接した。
[正極の作成] 正極は炭酸リチウム0.5モルと炭酸コバルト1モルとを混合し、900℃の空気中で5時間焼成することによってLiCoOを得て、このLiCoOを正極活物質とした。このLiCoO91質量部に導電剤としてのグラファイト6質量部、結着剤としてのポリ弗化ビニリデン3質量部をそれぞれ混合し、正極合剤とした。この正極合剤をN−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。
正極集電体として厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔を用い、この集電体の両面に均一に正極合剤スラリーを塗布し、乾燥させた後、圧縮成型して帯状の正極1を作成した。成型後の正極合剤の厚さは両面共に80μmで同一とし、電極の幅は57mm、長さは650mmとした。この正極集電体にアルミニウム製の正極リード1aを溶接した。
[巻回電極体の作成] 上記で形成した帯状の負極3、帯状の正極1及びそれぞれ厚さ15μm、幅60mm、長さ900mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムよりなる一対のセパレータ2,4を負極3、セパレータ2、正極1、セパレータ4の順に積層してから、この積層体を渦巻状に多数回巻き回すことによって、渦巻式巻回電極体14を作成した。この巻回電極体における中心部の中空部分(巻芯を引き抜いた跡)の内径は3.5mm、外径は17mmであった。
[電極の固定] この巻回電極体の最外周全体に、厚さ50μm、幅60mm、長さ65mmの製造例1と同様にして形成したフィルムに製造例4と同様に厚さ20μmのアクリル系粘着剤層を有する粘着型巻戻り防止用テープを約1周分巻き付け付着させた。
[電解液の注入] 上記のようにして得られた電極巻回体を、ニッケルメッキを施した鉄製の電池缶6内に収納した。上記巻回電極体の上下両面には絶縁板を配設し、負極集電体から導出した負極リード3aを電池缶の底部6aに溶接すると共に、正極集電体から導出した正極リード1aを金属製の安全弁8の突起部に溶接した。次いでプロピレンカーボネートの溶媒中にLiPFを1mol/Lの割合で溶解した非水電解液をこの電池缶内に注入した。注入して1時間後には、粘着テープは既に充分に膨潤していた。
この後電池缶、互いに外周を密着させている安全弁8及び金属製の電池蓋9のそれぞれを、表面にアスファルトを塗布した絶縁封口ガスケット7bを介してかしめることによって、電池缶6を封口した。以上のようにして、直径18mm、高さ65mmの円筒型非水電解質リチウム二次電池を作成した。
[電池の充電] このようにして作製したリチウム二次電池を次の条件で充・放電試験した。すなわち充電条件は、23℃の雰囲気中、1時間率(1C、実電流は2400mA)の定電流、最大電圧4.2Vの定電圧で充電するように設定した。放電条件は、23℃の雰囲気中、1Cの電流で2.75Vまで放電するように設定した。
[効果の確認] さらにこの電池を90℃のオーブンに16時間保持し、その後室温まで冷却した。その後前述した条件と同じ条件で充放電試験を行った。
充放電試験終了後に電池を解体し目視による観察を行った。粘着テープは収縮し変形しているものの、電極を固定しており、また亀裂などが発生していないことが確かめられた。
(実施例2)
巻戻り防止用テープとして、製造例5で作製した積層フィルムのPBT層側に製造例4と同様の方法で粘着加工したテープを用いた他は、上記実施例1と同様にして、電極巻回体およびリチウムイオン電池を作製し、実施例1と同様にして充・放電試験および高温放置試験後、電池を解体し、目視による観察を行った。その結果粘着テープは収縮して変形しているものの、電極を固定しており、また亀裂などが発生していないことが確かめられた。
上述したように、本発明によれば、非水電解液に対する膨潤性を示すフッ化ビニリデン樹脂を耐熱性且つフッ化ビニリデン樹脂と良好な親和性を示す芳香族ポリエステル樹脂と組み合せた複合材料からなる巻戻り防止用テープを用いて、これを巻回電極体の周囲に付着固定した電極巻回体を非水電解液とともに電池缶に封入することにより、大出力用途におけるように高温の使用条件下においても巻回電極体の巻き戻りを安定的に防止して性能の低下を防止可能なリチウムイオン電池およびそのための電極巻回体が提供される。

Claims (5)

  1. 帯状の負極と帯状の正極とを帯状のセパレータを介して積層巻回してなる巻回電極体の周囲に、巻戻り防止用テープを付着してなる電極巻回体を、非水電解液とともに電池缶内に封入してなり、前記巻戻り防止用テープが、(i)フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを質量比で95:5〜60:40あるいは40:60〜5:95の割合で含む混和物層単独、または(ii)上記(i)に記載の組成を有する フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の混和物層と、フッ化ビニリデン樹脂および芳香族ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂からなる隣接樹脂層とを含む積層物、である複合材料からなることを特徴とするリチウムイオン電池。
  2. 前記巻戻り防止用テープが積層物(ii)からなる複合材料からなり、芳香族ポリエステル樹脂層または芳香族ポリエステル樹脂を隣接する樹脂層中よりも多く含む混和物層が巻回電極体に近接して付着される請求項に記載のリチウムイオン電池。
  3. 前記巻戻り防止用テープが粘着剤層を介して巻回電極体に付着される請求項1または2に記載のリチウムイオン電池。
  4. 前記巻戻り防止用テープが全体としてフッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂を質量比で95:5〜60:40の割合で含む請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池。
  5. 帯状の負極と帯状の正極とを帯状のセパレータを介して積層巻回してなる巻回電極体の周囲に、巻戻り防止用テープを付着してなり、前記巻戻り防止用テープが、(i)フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを質量比で95:5〜60:40あるいは40:60〜5:95の割合で含む混和物層単独、または(ii)上記(i)に記載の組成を有する フッ化ビニリデン樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の混和物層と、フッ化ビニリデン樹脂および芳香族ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂からなる隣接樹脂層とを含む積層物、である複合材料からなることを特徴とするリチウムイオン電池用電極巻回体。
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