JP5415299B2 - ヒラメ飼育用生物餌料及びヒラメ飼育方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒラメ飼育用生物餌料及びヒラメ飼育方法に関する。更に詳しくは本発明は、ヒラメの飼育において腹面黒化等の不具合を有効に防止し得るヒラメ飼育用生物餌料と、このヒラメ飼育用生物餌料を投与して行うヒラメ飼育方法に関する。
近年、ワムシ、アルテミア等の生物餌料の栄養強化方法の研究・開発を背景に、各種水産動物の養殖技術が発展し、食用魚全体に占める養殖魚の割合が高くなってきている。
例えば、ワムシやアルテミア等を、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)等のn3系高度不飽和脂肪酸が増えるように栄養強化すると、養殖魚の生残率の向上等に有効であることが分かっている。
しかし、本願発明者の研究によれば、n3系高度不飽和脂肪酸の増加のみに注力した現在の栄養強化法は、少なくともヒラメの体色異常の発生という問題に対して必ずしも有効ではない。ヒラメの体色異常とは、本来は白色を呈するべき腹面が黒色を呈する「腹面黒化」や、本来は黒色を呈するべき背面が白色を呈する「背面白化」をいう。かかる体色異常はヒラメの市場価値を著しく低下させるものであり、とりわけ腹面黒化が重大な問題であると考えられる。
従来、養殖魚を対象とした配合飼料あるいは生物餌料に関しては下記「特許文献1」〜「特許文献3」に例示される多数の公知文献が存在する。しかしこれらの公知文献において、ヒラメの体色異常、特に腹面黒化を有効に解決できる十分な提案は開示されていない。
特開昭60−156349号公報。 この特許文献1は、グルタチオンを各種の給餌形態のもとに使用して魚介類を養殖し、それらの魚介類の体色黒化を防止するための魚介類の養殖方法及び魚介類飼料の発明を開示する。
特開平11−276091号公報。 この特許文献2は、構成脂肪酸として所定組成比以上のドコサペンタエン酸を含む油脂及び微生物を配合し、魚類の種苗生産における奇形の発生を防止するための動物性プランクトン用飼料及び魚類の奇形防止剤の発明を開示する。
特開2007−314492号公報。 この特許文献3は、cis9,trans11−共役リノール酸と魚油を有効成分として含む、脂質代謝の改善を図るための脂質代謝改善用組成物を開示する。
以上の従来技術状況から、本発明は、ヒラメ仔稚魚の良好な成育等の本来の目的を達成できると共にヒラメの体色異常、特に腹面黒化の発生を有効に抑制できるヒラメ飼育用生物餌料と、このヒラメ飼育用生物餌料を投与して行うヒラメ飼育方法を提供することを、解決すべき技術的課題とする。
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための第1発明の構成は、下記の(1)及び(2)の内のいずれか1以上の条件を満たすように栄養強化されたワムシを有効成分とするヒラメ飼育用生物餌料である。
(1)脂肪含量が10.5〜11.5重量%dmの範囲内である。
(2)含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が10〜15%の範囲内である。
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための第2発明の構成は、第1発明に記載のワムシであって、グルカン及び/又はブドウポリフェノールを添加して栄養強化されたワムシを有効成分とするヒラメ飼育用生物餌料である。
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための第3発明の構成は、下記の(1)〜(3)の内のいずれか1以上の条件を満たすように栄養強化されたアルテミアを有効成分とするヒラメ飼育用生物餌料である。
(1)脂肪含量が22〜26重量%dmの範囲内である。
(2)含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が40〜44%の範囲内である。
(3)含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比が10〜12%の範囲内である。
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための第4発明の構成は、第3発明に記載のアルテミアであって、グルカン及び/又はブドウポリフェノールを添加して栄養強化されたアルテミアを有効成分とするヒラメ飼育用生物餌料である。
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための第5発明の構成は、ヒラメ仔稚魚に対して下記(a)及び/又は(b)のヒラメ飼育用生物餌料を投与するヒラメ飼育方法である。
(a)第1発明又は第2発明に記載のヒラメ飼育用生物餌料。
(b)第3発明又は第4発明に記載のヒラメ飼育用生物餌料。
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための第6発明の構成は、生物餌料の投与終了時においてヒラメ魚体が下記(1)〜(3)の内のいずれか1以上の条件を満たすことを指標としてヒラメの飼育を行うヒラメ飼育方法である。
(1)魚体の脂肪含有量が8〜10重量%dmの範囲内である。
(2)魚体の含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が34.5〜35.5%の範囲内である。
(3)魚体の含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比が15〜16%の範囲内である。
第1発明に係るワムシを有効成分とする生物餌料や、第3発明に係るアルテミアを有効成分とする生物餌料の投与により、ヒラメの体色異常、特に腹面黒化の発現率が減少し、仔稚魚の良好な成育及び生残率も維持できる。
特に上記のワムシ、アルテミアが第2発明、第4発明に規定するように特定の物質を添加して栄養強化されたものである場合には、腹面黒化の発現率が更に減少する。
これらの生物餌料は、好ましくは第5発明の方法に従って投与することができる。
一方、第6発明に規定する指標値を満たすようにヒラメの飼育を行うと、結果的に腹面黒化の発現率が有効に減少する。
試験区別にヒラメの腹面黒化状況の評価結果を示す。 ワムシ脂肪含量とヒラメ体色異常(腹面黒化面積率)の関係を示す。 アルテミア脂肪含量とヒラメ体色異常(腹面黒化面積率)の関係を示す。 ワムシ脂肪酸組成とヒラメ体色異常(腹面黒化面積率)の関係を示す。 アルテミア脂肪酸組成とヒラメ体色異常(腹面黒化面積率)の関係を示す。 ヒラメ魚体の脂肪含有量等と体色異常(腹面黒化面積率)の関係を示す。
次に本発明の実施形態を、その最良の形態を含めて説明する。
〔ヒラメ飼育用生物餌料〕
本発明に係るヒラメ飼育用生物餌料は、それぞれ特定の条件を満たすように栄養強化された、ワムシを有効成分とする生物餌料及びアルテミアを有効成分とする生物餌料である。
(ワムシを有効成分とする生物餌料)
本発明に係るワムシを有効成分とする第1の生物餌料(以下、これを「ワムシ系の第1生物餌料」とも呼ぶ)は、下記の(1)及び(2)の内のいずれか一方の条件を満たすように栄養強化されたワムシからなり、特に好ましくは下記の(1)及び(2)の双方の条件を満たすように栄養強化されたワムシからなる生物餌料であり、又はこのようなワムシを含む適宜な餌料組成物である。
(1)脂肪含量が10.5〜11.5重量%dmの範囲内である。
(2)含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が10〜15%の範囲内である。
上記(1)の脂肪含量は、より好ましくは10.8〜11.2重量%dmの範囲内である。上記(2)の組成比は、より好ましくは11〜13%の範囲内である。
ワムシを上記のように栄養強化する方法は特に限定されないが、例えばシゾキトリウム属の植物プランクトンをワムシに摂食させる方法が好ましい。上記植物プランクトンとしては、例えば脂肪含量が35.2%程度で脂肪酸中のDHAの組成比が49.6%程度のものを用いることができる。
ワムシに対する上記植物プランクトンの投与量は特に限定されないが、その投与量によりワムシやアルテミアの脂肪含有量、脂肪酸組成に差を生じ、かつ、それらの生物餌料を投与したヒラメの成長度にも差異を生じる可能性がある。但し、実施例において後述するように、現状における植物プランクトンの通常の推奨投与量(1回あたり2L/KL培養水:ワムシ密度1000個体/ml)を投与した生物餌料でヒラメを飼育すると腹面黒化の発現率が高い傾向があり、その半量程度の植物プランクトンの投与が好ましい。
本発明に係るワムシを有効成分とする第2の生物餌料(以下、これを「ワムシ系の第2生物餌料」とも呼ぶ)は、上記したワムシ系の第1生物餌料に係るワムシであって、かつ、グルカンとブドウポリフェノールとの少なくとも一方を添加して栄養強化されているワムシからなる生物餌料であり、又はこのようなワムシを含む適宜な餌料組成物である。
グルカンの種類は必ずしも限定されないが、パン酵母由来β−1,3/1,6−グルカンを好ましく例示することができる。ブドウポリフェノールの種類も必ずしも限定されないが、ブドウ種子抽出ポリフェノールを好ましく例示することができる。
グルカンとブドウポリフェノールは上記した栄養強化用の植物プランクトンに対して、例えば3g/1000gワムシ湿重量程度に添加することが好ましい。グルカンとブドウポリフェノールはいずれか一方のみを使用することもできるが、両者の併用が特に好ましい。併用する場合は、グルカン10重量部:ブドウポリフェノール1重量部程度の重量比とすることが好ましい。
(アルテミアを有効成分とする生物餌料)
本発明に係るアルテミアを有効成分とする第1の生物餌料(以下、これを「アルテミア系の第1生物餌料」とも呼ぶ)は、下記(1)〜(3)の内のいずれか一つの条件を満たすように栄養強化されたアルテミアからなり、特に好ましくは下記(1)〜(3)の内のいずれか二つの条件を満たすように栄養強化されたアルテミアからなり、とりわけ好ましくは下記(1)〜(3)の全ての条件を満たすように栄養強化されたアルテミアからなる生物餌料であり、又はこのようなアルテミアを含む適宜な餌料組成物である。
(1)脂肪含量が22〜26重量%dmの範囲内である。
(2)含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が40〜44%の範囲内である。
(3)含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比が10〜12%の範囲内である。
上記(1)の脂肪含量は、より好ましくは23〜25%dmの範囲内である。上記(2)の組成比は、より好ましくは41.5〜42.5%の範囲内である。上記(3)の組成比は、より好ましくは10.5〜11.5%の範囲内である。
アルテミアを上記のように栄養強化する方法、「アルテミアを含む適宜な餌料組成物」の意味に関しては、上記のワムシの場合と同様である。
本発明に係るアルテミアを有効成分とする第2の生物餌料(以下、これを「アルテミア系の第2生物餌料」とも呼ぶ)は、上記のアルテミア系の第1生物餌料に係るアルテミアであって、かつグルカンとブドウポリフェノールとの少なくとも一方を添加して栄養強化されているアルテミアからなる生物餌料であり、又はこのようなアルテミアを含む適宜な餌料組成物である。
〔ヒラメ飼育方法〕
本発明に係るヒラメ飼育方法は、ヒラメ仔稚魚に対して上記したワムシ系の生物餌料、及び/又は、アルテミア系の生物餌料を投与する方法である。
ワムシ系の生物餌料及びアルテミア系の生物餌料について、それぞれ第1生物餌料を用いることも好ましいが、それぞれの第2生物餌料を用いることが、ヒラメの腹面黒化の発現率を低減させる上で更に好ましい。
ヒラメ飼育方法においてワムシとアルテミアを併用投与する場合、ワムシ系の第1又は第2生物餌料を通常のアルテミアと併用し、あるいはアルテミア系の第1又は第2生物餌料を通常のワムシと併用しても、ヒラメの腹面黒化の発現率減少、仔稚魚の良好な成育及び生残率等の効果を期待できる。しかし、ワムシとアルテミアの双方について、ワムシ系の第1又は第2生物餌料とアルテミア系の第1又は第2生物餌料を併用投与することが好ましく、とりわけ、ワムシ系の第2生物餌料とアルテミア系の第2生物餌料を併用投与することが好ましい。
ワムシ系の第1又は第2生物餌料とアルテミア系の第1又は第2生物餌料を併用投与するに当たり、それらの投与スケジュールは特に限定されない。しかし、一般的には、以下の投与スケジュールに従うことが好ましい。
(1)基本的に、ワムシ系生物餌料の投与期間を先行させ、その投与期間の終了前にアルテミア系生物餌料の投与期間を開始する。
(2)ワムシ系生物餌料の投与期間の開始時期は受精卵の孵化後数日を経過した時点とし、投与期間の終了時期はアルテミア系生物餌料の投与開始時点の2週間後程度とする。
(3)アルテミア系の第1又は第2生物餌料の投与期間は、ヒラメ仔稚魚がアルテミアを摂食可能になったと判断される時点、例えば孵化後2〜3週間を経過した時点から開始し、その投与期間中に配合飼料の投与を開始すると共に、配合飼料の投与開始から2〜3週間を経過した時点でアルテミア系生物餌料の投与期間を終了する。
本発明に係るもう一つのヒラメ飼育方法は、基本的にヒラメ仔稚魚の飼育の手段及び条件を限定することなく、生物餌料の投与終了時におけるヒラメ魚体が満たすべき一定の基準を指標とする方法である。この基準とは、以下(1)〜(3)の内のいずれか一つの条件を満たすことであり、特に好ましくは以下(1)〜(3)の内のいずれか二つの条件を満たすことであり、とりわけ好ましくは以下(1)〜(3)の全ての条件を満たすことである。
(1)魚体の脂肪含有量が8〜10重量%dmの範囲内である。
(2)魚体の含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が34.5〜35.5%の範囲内である。
(3)魚体の含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比が15〜16%の範囲内である。
上記(1)の脂肪含有量は、より好ましくは8.5〜9.5重量%dmの範囲内である。上記(2)の組成比は、より好ましくは34.7〜35.0%の範囲内である。上記(3)の組成比は、より好ましくは15.3〜15.8%の範囲内である。
次に本願発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されない。
〔実施例1:試験区の設定〕
生物餌料の栄養強化条件が異なる以下のA区〜D区の4区を設定した。なお、各区において栄養強化したワムシ、アルテミアの脂肪含量及び脂肪酸組成を分析しておいた。
A区:ワムシの培養密度は1000個体/ml、アルテミアの培養密度は100〜150個体/mlに調整し、これらのワムシ、アルテミアに対してシゾキトリウム属の植物プランクトン(脂肪含量35.2%、脂肪酸中のDHAの組成比49.6%)を毎日朝夕に分けて1日当たり合計3L/KL(17時に2L、翌朝6時に1L)与えて栄養強化した。植物プランクトンにはグルカンやブドウポリフェノールを添加していない。A区では以上のワムシ、アルテミアを用いてヒラメ仔稚魚を飼育した。
B区:A区と同じ条件で上記植物プランクトンを与えて栄養強化したワムシ、アルテミアを使用したが、この植物プランクトンには、グルカン10重量部:ブドウポリフェノール1重量部からなる混合物を3g/1000g湿重量(ワムシ、アルテミア)添加している。グルカンとしてはパン酵母由来β−1,3/1,6−グルカンを用い、ブドウポリフェノールとしてはブドウ種子抽出ポリフェノールを用いた。
C区:ワムシ、アルテミアに対してA区の半量の上記植物プランクトンを与え、植物プランクトンにはグルカンやブドウポリフェノールを添加していない。
D区:ワムシ、アルテミアに対してB区の半量の上記植物プランクトンを与え、この植物プランクトンにはB区と同じ混合物をB区と同量添加した。
〔実施例2:ヒラメの飼育〕
(生物餌料及び配合飼料の給餌)
A区〜D区の各区ごとに、500L容量の水槽を各区2水槽準備して、これらの水槽にそれぞれヒラメ受精卵7500粒を収容し、孵化させた。孵化後3日目よりワムシの朝夕計2回の給餌を開始した。ワムシは各区ごとに前記のように栄養強化したものを用い、その給餌量は毎日250万個体〜1200万個体の範囲内で、魚の成長に従って多くした。ワムシの給餌は孵化後30日令まで続けた。
一方、ヒラメ仔稚魚が18日令に達した時、各区ごとに前記のように栄養強化したアルテミアの朝夕計2回の給餌を開始した。その給餌量は毎日30万個体〜600万個体の範囲内で、魚の成長に従って多くした。アルテミアの給餌は孵化後56日令まで続けた。
更に、孵化後41日令で全ての試験区において同一の配合飼料の給餌を開始した。この配合飼料は日清丸紅社製の商品名「アルテックK2」であって、水分6.9%、蛋白質56.8%、脂肪16.4%、灰分12.8%からなる。配合飼料の給餌は飼育の終了まで継続した。水温は飼育開始時の18℃から飼育終了時の25℃まで次第に昇温した。
(分養その他)
以上の飼育期間中、孵化後38日令に達した時点で2500尾/500L容水槽に分養した。又、孵化後58日令に達した時点で各区100尾の魚を取上げ、腹面黒化の状態(腹面黒化魚の出現率と黒化面積率)を調べると共に魚体成分の分析を行った。
又、孵化後3〜58日令の期間中、ほぼ6日に1度の割合で各水槽から20尾ずつ取り上げ、各試験区のヒラメの全長を測定した。
〔実施例3:試験結果の評価〕
(評価1:試験区別のヒラメの成長と腹面黒化率)
上記のように、A区〜D区におけるヒラメの経時的な全長変化をチェックした結果、具体的なデータの提示は省略するが、試験区別のヒラメの成長曲線には実質的な差異が認められなかった。
一方、試験区別に飼育終了時のヒラメにおける腹面黒化魚の出現率と腹面黒化の度合いを評価した結果を図1に示す。図1において、横軸は試験区の別を示し、縦軸の棒グラフの高さは腹面黒化魚の出現率を示す。棒グラフ中の色分け区分は腹面黒化の度合いをランク別に分けたもので、下方の区分ほど軽度の腹面黒化であり、上方の区分ほど重度の腹面黒化であることを示す。具体的には、棒グラフ中の最下方の色分け区分は黒化面積比が10%未満であることを示し、次いで上方の色分け区分に向かって順次、黒化面積比が10%以上で40%未満、40%以上で70%未満、70%以上であることを示す。
図1のA区とC区の対比、及びB区とD区の対比より、ワムシ、アルテミアに対する植物プランクトンの投与量は、「1日あたり3L/KL培養水」よりも、その半量程度とした方が腹面黒化の抑制に有利であることが分かる。又、A区とB区の対比、及びC区とD区の対比より、植物プランクトンにグルカンとブドウポリフェノールを添加した方が腹面黒化の抑制に有利であることが分かる。
(評価2:生物餌料の脂肪含量等とヒラメ体色異常の関係)
以下の各評価は、実施例1で述べたように、栄養強化したワムシ、アルテミアの脂肪含量及び脂肪酸組成を予め分析しておいた結果を踏まえ、ワムシ、アルテミアの脂肪含量等と、そのようなワムシ、アルテミアを投与して飼育したヒラメの体色異常との関係を評価したものである。
(イ)脂肪含量とヒラメ体色異常の関係
図2に、ワムシの脂肪含量とヒラメにおける腹面黒化(図中では「腹面黒化面積率」として■のプロットで表現。以下の各図も同様)との関係を示す。図3にはアルテミアについて同様の関係を示す。
図2及び図3から分かるように、ワムシの脂肪含量を11重量%dm程度(例えば10.5〜11.5重量%dmの範囲内)とし、アルテミアの脂肪含量を24%dm程度(例えば22〜26重量%dmの範囲内)とすることが、ヒラメにおける腹面黒化出現の抑制に有効である。
(ロ)ワムシの脂肪酸組成とヒラメ体色異常の関係
図4(a)にはワムシの含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比(%)と、そのワムシを投与したヒラメにおける腹面黒化面積率との関係を示し、図4(b)には同様にワムシの含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比と、そのワムシを投与したヒラメにおける腹面黒化面積率との関係を示す。
図4(a)から分かるように、ワムシにおけるn3系脂肪酸の組成比を12%程度(例えば10〜15%)とすることがヒラメにおける腹面黒化出現の抑制に有効である。ワムシにおけるn6系脂肪酸の組成比に関しては、体色異常の発現とは特段の関連が認められなかった。
(ハ)アルテミアの脂肪酸組成とヒラメ体色異常の関係
図5(a)にはアルテミアの含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比(%)と、そのアルテミアを投与したヒラメにおける腹面黒化面積率との関係を示し、図5(b)には同様にアルテミアの含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比と、そのアルテミアを投与したヒラメにおける腹面黒化面積率との関係を示す。
図5(a)及び図5(b)から分かるように、アルテミアにおけるn3系脂肪酸の組成比を42%程度(例えば40〜44%)とし、かつn6系脂肪酸の組成比を10〜12%の範囲内とすることがヒラメにおける腹面黒化出現の抑制に有効である。
(評価3:ヒラメ魚体の脂肪含有量等と体色異常の関係)
飼育終了後のヒラメをA区〜D区からランダムに100尾取り上げて、それらのヒラメ魚体における脂肪含有量(重量%dm)、含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比(%)及び含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比(%)のそれぞれと、体色異常との関係を調べた。脂肪含有量に関しては図6(a)に、n3系脂肪酸の組成比に関しては図6(b)に、n6系脂肪酸の組成比に関しては図6(c)に、それぞれ示す。
図6(a)から分かるように、魚体の脂肪含有量が高い程ヒラメの腹面黒化面積率が高く、魚体の脂肪含有量が9重量%dm程度(例えば8〜10重量%dmの範囲内)であることが、ヒラメにおける腹面黒化出現の抑制に有効である。
又、図6(b)及び図6(c)から分かるように、魚体の含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が35%程度(例えば34.5〜35.5%の範囲内)であることが、更に、魚体の含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比が15.5%程度(例えば15〜16%の範囲内)であることが、それぞれヒラメにおける腹面黒化出現の抑制に有効である。
本発明により、ヒラメ仔稚魚の良好な成育等の本来の目的を達成できると共に腹面黒化等のヒラメの体色異常の発生を有効に抑制できるヒラメ飼育用生物餌料と、このヒラメ飼育用生物餌料を投与して行うヒラメ飼育方法が提供される。

Claims (3)

  1. 下記の(1)及び(2)の内のいずれか1以上の条件を満たすように栄養強化されたワムシであって、グルカン及び/又はブドウポリフェノールを添加して栄養強化されたワムシを有効成分とするヒラメ飼育用生物餌料。
    (1)脂肪含量が10.5〜11.5重量%dmの範囲内である。
    (2)含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が10〜15%の範囲内である。
  2. 下記の(1)〜(3)の内のいずれか1以上の条件を満たすように栄養強化されたアルテミアであって、グルカン及び/又はブドウポリフェノールを添加して栄養強化されたアルテミアを有効成分とするヒラメ飼育用生物餌料。
    (1)脂肪含量が22〜26重量%dmの範囲内である。
    (2)含有脂肪酸中のn3系脂肪酸の組成比が40〜44%の範囲内である。
    (3)含有脂肪酸中のn6系脂肪酸の組成比が10〜12%の範囲内である。
  3. ヒラメ仔稚魚に対して下記(a)及び/又は(b)のヒラメ飼育用生物餌料を投与するヒラメ飼育方法。
    (a)請求項1に記載のヒラメ飼育用生物餌料。
    (b)請求項2に記載のヒラメ飼育用生物餌料。
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