JPH03123449A - 仔魚用餌料生物と仔魚の増養殖方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、仔魚用餌料生物と仔魚の増養殖方法に関す
るものである。さらに詳しくは、この発明は、栄養強化
作用の良好な仔魚用餌料生物とこの餌料生物を用いての
高効率な仔魚の増養殖方法に関するものである。

（従来の技術とその課題） 多くの魚種の仔魚は、通常、震化後数日で餌を消化する
能力を有するようになり、養殖を行う場合には、その最
初の餌料として、シオミズツボワムシ（以下ワムシと略
す）、カキ幼生、ウニ受精卵などを与えている。次いで
、仔魚の生育に合わせて、やや大型の動物プランクトン
、たとえば、チグリオパス、ミジンコ、あるいはアルテ
ミアなどを給餌している。

これらの天然プランクトンは、仔魚の生育に必須な各種
栄養素を有するが、なかでも、高級脂肪酸、とくに炭素
数２０以上で不飽和結合がω−３の位置にある高度不飽
和脂肪酸（ω−３ＨＵＦＡ）は重要な栄養素であり餌料
中のその含有率が仔魚の生長率および生存率を左右する
ことが知られている。そこで、養殖において給餌するＨ
料として、たとえば、ω−３ＨＵＦＡを植物油や動物油
に添加した餌料（特開昭５ｌ−５１４９２）や、ω−３
ＨＵＦＡ、とくにエイコサペンタエン酸（ＥＰＡ）およ
びドコサヘキサエン酸（Ｄ　Ｍ　Ａ　）で栄養強化した
ユーグレナ（ミドリムシ）を原料とする任意用合成餌料
（特開昭６４−７４９５２　）などが提案されている。

また、天然プランクトンの栄養価は、これを養殖するた
めに与えられる餌料の栄養価によって左右されることか
ら、ω−３ＨＵＦＡを含有する培養液で培養した酵母を
給餌することにより栄養強化したワムシを餌料とする仔
魚の養殖方法（特開昭５４−１０５０８１　）も提案さ
れている。

これらの従来の技術においては、ω− ３ＨＵＦＡにより餌料を栄養強化する場合、実際には、
ω−３ＨＵＦＡのエステルが用いられてきており、また
、たとえば、従来よりワムシの栄養強化に用いられてい
るニスター８５らエステルタイプの油脂であり、使用時
に乳化させることを必要としている。しかしながらこの
発明の発明者による最近の研究からの知見では、餌料生
物の′２養強化には、エステルタイプよりもトリグリセ
リドタイプの油脂の方がより有効であることが明らかに
なってきており、トリグリセリドタイプの脂質を用いた
餌料生物の栄養強化用乳化オイルへの期待が高まってき
ていた。

この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたもので
あり、ω−３ＨＵＦＡ）−リグリセリドからなる乳化オ
イルにより栄養強化した任意用餌料生物を提供すること
を目的としている。

さらには、この発明は、これらを給餌する仔魚の増養殖
方法を提供することを目的としてもいる。

（課題を解決するための手段） この発明は、上記の課題を解決するものとして、ω−３
高度不飽和脂肪酸（ＨＵＦＡ））リグリセリドにより栄
養強化してなることを特徴とする任意用餌料生物とこれ
らを用いて増養殖する仔魚の増養殖方法を提供する。

この発明で用いるω−３高度不飽和脂肪酸（ＨＵＦＡ）
は、魚介類の油中に比較的多く含まれているものであり
、これを含有する栄養強化用乳化オイルは、精製した魚
介油から容易に得ることができる。また、このω−３高
度不飽和脂肪酸（ＨＵＦＡ）は、炭素数および不飽和結
合の数により約８種の脂肪酸に分類されるが、このうち
エイコサペンタエンａ　（Ｅ　Ｐ　Ａ　：　Ｃ２６＋Ｓ
ω３　）およびドコサヘキサエン酸（Ｄ　ＨＡ　：　Ｃ
ｚ＊＝＊ω−３）がとくに重要な栄養素である。

この発明では、たとえば、ＥＰＡを特に多く有している
精製イワシオイルおよびＤ　Ｎ　Ａを多く有している精
製マグロオイル、精製イカオイルを各々単独であるいは
それらを混合してトリグリセリド含有率９９％の栄養強
化用乳化オイルを実現してもいる。

餌料生物としてはワムシあるいはアルテミアが特に例示
されるが、これらの栄養強化に際しては、これら餌料生
物を入れた水槽に、各々の養殖に適した餌料、たとえば
ワムシの場合には各種酵母や、アルテミアの場合にはマ
リンオメガ等と共に、上記の乳化オイルを添加すればよ
い。

もちろん、生物種は上記のものに限定されることはない
が、−殻内に、このような任意用餌料生物の栄養強化は
、通常２４時間以内に完了することができる。このため
、翌日の給餌量相当のワムシあるいはアルテミアを以上
の方法により栄養強化し、それを通常の方法により仔魚
に与えることができる。

ω−３高度不飽和脂肪酸トリグリセリドによって、従来
法に比べてはるかに高成績で任意用餌料生物の栄養強化
が可能となり、また、これによって仔魚の増養殖も高効
率なものとなる。

以下、この発明の実施例を示し、さらに詳しくこの発明
の構成および作用効果について説明する。

実施例１ （乳化オイルの製造） 精製イワシオイルおよび精製マグロオイルを用いて、Ｅ
ＰＡとＤＭＡの各々の含有量を変えたトリグリセリド（
９９％）からなる４種の栄養強化用乳化オイル（Ａ、Ｂ
、Ｃ，Ｄ）を製造した。これらの乳化オイルの脂肪酸組
成について、ＥＰＡ。

ＤＩｆＡおよび全ω−３ＨＵＦＡ　（Σω−３１−Ｉ　
Ｕ　Ｆ　Ａ　）の含有率を示したものが表１である。

乳化オイル（Ａ）は、ＥＰＡに富む精製イワシオイルを
用いて製造したものであり、一方乳化オイル（Ｂ）はＤ
ＭＡに富む精製マグロオイルを用いて製造しな。乳化オ
イル（Ｃ）は、ｖＩ製イワシオイルと精製マグロオイル
を混合することにより、ＥＰＡとＤＭＡの含有率をほぼ
等しくした。また乳化オイル（Ｄンは、上記乳化オイル
（Ａ＞にオリーブオイルを１：０．１９の割合で混合し
、乳化オイル（Ａ）の脂肪酸組成を変更したものである
。

実施例２ （ワムシの栄養強化） 実施例１で製造した各乳化オイルを用い、ワムシの栄養
強化を行なった。ワムシは、海産クロレラで養殖したワ
ムシ（Ｒｏｔｉｆｅｒ　Ｌ　ｔｙｐｅ）を使用した。ま
ず、ｒ沿海水２０Ｏｎ＋ｊに市販パン酵母５ｇを加え、
ミキサーを用いて軽く撹拌した後、乳化オイル（Ａ）〜
（Ｄ）のいずれかを３１．ｌｌ添加し、再度ミキサーで
充分に乳濁する状態まで撹拌して培養原液を調整した。

次いで、この培養原液を、小型パンライト水ｍ（３０ｊ
り中の海水２ＯＮに加え、ワムシ培養液とした。

この培養液に、翌日の給餌量相当のワムシを投入し、充
分な通気条件下で２０時間培養することにより栄養強化
した。

実施例３ （ワムシ含有脂肪酸の経時的変化） 栄養強化したワムシの脂肪酸含有量が実際に改善された
かを調べるため、ワムシの脂質取り込み量の経時的変化
を測定した。ワムシ培養液にワムシを投入して０，３．
１２．２４時間後にそれぞれサンプルを収り出し、ワム
シ乾重量当りの総脂質、ＥＰＡ及びＤＨＡの含有率をそ
れぞれ測定した。これらの結果を示したものが表２であ
る。この表２の結果から明らかなように、ＤＮＡ含有率
は経時的に増加しており、乳化オイル（Ａ）によりマム
シが栄養強化されたものと考えられる。

方、ＢＰＡ含有率には経時的変化はみられない。

実施例４ （ワムシ含有脂肪酸の測定） さらに、各乳化オイル（Ａ）〜（Ｄ）について、ワムシ
の脂肪酸含有量に対するそれぞれの栄養強化効果を調べ
た。乳化オイル（Ａ）〜（Ｄ）のいずれかで２４時間栄
養強化したワムシについて、乾重量当りの総脂質、ＥＰ
Ａ及びＤＭＡの含有率をそれぞれ測定した。また比較例
として栄養強化されないワムシの脂肪酸含有率も同様に
測定した。

これらの結果を示したものが表３である。この表３の結
果から明らかなように、各乳化オイルで２４時間栄養強
化されたワムシは、比較例のワムシに比べてＤＭＡが有
意に増加したが、総脂質及びＥＰＡに関しては、比較例
との間に顕著な差はみられない。

実施例５ （アルテミアの栄養強化） 実施例１で製造した各乳化オイルを用い、アルテミアの
栄養強化を行なった。アルテミアは通常の方法で零化単
離したアルテミア幼生を用いた。

まず、海水２００１ｊに、アルテミア用細胞壁処理剤濃
縮クロレラ餌料のマリオンメガ−Ａ（日清ファインケミ
ファ■）３０ｎＪと、各乳化オイルのいずれかを添加し
、ミキサーで撹拌、乳化させて培養原液を調整した。こ
の培養原液を、小型パンライト水槽（３０ｊ）中の海水
２０Ｊｌに加えて培養液とし、この培養液に翌日の給餌
量相当のアルテミアを投入、充分な通気条件下で２２時
間培養することにより栄養強化した。

実施例６ （アルテミア含有脂肪酸の測定） 実施例５で栄養強化したアルテミアの脂肪酸含有量が実
際に改善されなかを調べるため、乳化オイル（Ａ）〜（
Ｄ）のいずれかで２４時間栄養強化したアルテミアにつ
いて、乾重量当りの総脂質、ＢＰＡ及びＤＨＡの含有率
をそれぞれ測定した。

また比較例として栄養強化されないアルテミアの脂肪酸
含有率ら同様に測定した。これらの結果を示したものが
、表４である。この表４の結果から明らかなように、各
乳化オイルで２４時間栄養強化されたアルテミアは、比
較例に比べＤＨＡ、ＥＰＡとも増加するが、その程度は
、ＤＨＡの方がより大きかつな。

表４ 実施例７ （マダイ仔魚の飼育） 実施例２によって得なワムシを用いて、マダイ仔魚の飼
育試験を行なった。乳化オイル（Ａ）〜（Ｄ）で栄養強
化したワムシを給餌する試験区（Ａ′）〜（Ｄ′）およ
び比較例として栄養強化しないワムシを給餌する対照区
を設け、マダイ仔魚のその後の生存率および生長率に対
する餌料生物の栄養価の効果を検討した。

各試験区、対照区とも畔化後タロレラワムシで飼育され
た１０口令のマダイ仔魚３０００尾を１００ｊ水槽に収
容し、試験区では栄養強化しなワムシ（１００万〜２０
０万個体、毎日漸次増加）をマイクロメツシュのネット
でＰし取り、軽く水洗いした後に、また対照区の仔魚の
場合には栄養強化しないワムシを、１日１回午前１０時
頃給餌した。水槽中の海水温度は２０．２°Ｃ〜２１．
９℃、注水量は毎分５０ｍ１とし、強性水による換水を
給餌前３０分間行う条件下で１２日間飼育した。

餌料生物の栄養価の効果をみるため、飼育試験最終日ま
で生存した仔魚を対象として、体長測定、活力試験を行
なった。生存率を含めたこれらの結果を示したものが表
５である。なお、この場合の活力試験は、仔魚を空中に
５秒間露出させ、２４時間後の生存率によって評価した
。

この表５から明らかなように、乳化オイルで栄養強化し
たワムシを給餌されたＡ′〜Ｄ′の各試験区のマダイ任
意は、生育度（体長）、生存率（％）および活力試験（
％）のいずれにおいても、対照区の仔魚に比べてすぐれ
た結果を示している。

実施例８ （マダイ任意含有脂肪酸の測定） 実施例７で１２日間飼育された各試験区（Ａ゛）〜（Ｄ
゛）及び対照区マダイ任意についてそれぞれの脂肪酸含
有率を測定した。これらの結果を表６に示す、この表６
の結果から明らかな様に、総脂質及びＢＰＡに関しては
、対照区と各試験区で有為な差はみられないが、Ｄ　Ｍ
　Ａは、各試験の仔魚で有意な一増加を示している。

実施例９ （マダイ任意の飼育） 実施例５によって得たアルテミアを用いて、マダイ任意
の飼育試験を行なった。

実施例７と同様にして、各乳化オイル（Ａ）〜（Ｄ）で
栄養強化したアルテミアを給餌する試験区（Ａ″）〜（
Ｄ″）と対照区を設け、３０日令のマダイ任意を各区そ
れぞれ５００尾づつ１００Ｊ水槽に収容した。

アルテミアはマイクロメツシュのネットで枦し取り、海
水で懸濁物等を充分に洗い落しな後、１日１回午前１０
時頃に給餌した。水槽中の海水温度は２１℃〜２２．４
℃、注入量は毎分７０ｎＪとし、強性水による検水を給
餌前３０分間行なう条件下で１３日間飼育した。

飼育試験終了後、実施例７と同様にしてマダイ任意の体
長、生存率を測定するとともに、活力試験をも行なった
。

これらの結果を示したものが表７である。この表７から
明らかな様に、乳化オイル（Ａ）〜（Ｄ）で栄養強化し
たアルテミアを給餌する各試験区（Ａ″）〜（Ｄ”）の
マダイ任意は、生育度（体長）、生存率および活力試験
のいずれにおいても、対照区の仔魚に比べずぐれた結果
を示している。

実施例１０ （マダイ任意含有脂肪酸の測定） 実施例って１３日間飼育された各試験区（Ａ″′）〜（
Ｄ’“）及び対照区の仔魚について、それぞれの脂肪酸
含有率を測定した。これらの結果を表８に示す。この表
８の結果から明らかなように、脂肪質とＥＰＡに関して
は、対照区と各試験区で有意な差はみられないが、各試
験区の仔魚で有意な増加を示している。

（発明の効果） 以上詳しく説明したように、この発明により、ω−３高
度不飽和脂肪酸（ＨｌＪＦＡ）、特にＥＰＡ、ＤＨＡを
多く含有する高度不飽和脂肪酸のトリグリセリドを用い
ることにより、従来のエステル等の強化によるものに比
べてもはるかに高成績で任意様餌料生物であるワムシお
よびアルテミアを栄養強化することができる。またこの
発明の乳化オイルによって栄養強化された餌料生物を給
餌することによって、任意の成育、生存率は極めて良好
なものとなる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）ω−３高度不飽和脂肪酸トリグリセリドにより栄
   養強化してなることを特徴とする仔魚用餌料生物。
2. （２）ワムシまたはアルテミアを栄養強化してなる請求
   項（１）記載の仔魚用餌料生物、（３）請求項（１）記
   載の仔魚用餌料生物を用いて仔魚を増養殖することを特
   徴とする仔魚の増養殖方法。