JPH1056977A - 生物餌料用栄養強化物 - Google Patents

生物餌料用栄養強化物

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JPH1056977A
JPH1056977A JP8238645A JP23864596A JPH1056977A JP H1056977 A JPH1056977 A JP H1056977A JP 8238645 A JP8238645 A JP 8238645A JP 23864596 A JP23864596 A JP 23864596A JP H1056977 A JPH1056977 A JP H1056977A
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fortified
water
fatty acid
oil
ester
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JP8238645A
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Shuichi Sakamoto
酒本秀一
Hideyuki Fujita
藤田英之
Hitoshi Nagasaki
長崎仁志
Hiroyuki Kanai
金井弘幸
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N C F KK
Oriental Yeast Co Ltd
Original Assignee
N C F KK
Oriental Yeast Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種生物餌料に共通して使用でき、かつ
培養液を汚さず、常温で長期保存が可能で取り扱いが容
易な生物餌料用の栄養強化物を提供すること。 【解決手段】 ポリヒドロキシ化合物並びに蛋白質及び
/又は蛋白分解物の存在下、ω−3高度不飽和脂肪酸含
有油脂及び/又はエステルを乳化してなる生物餌料用栄
養強化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生物餌料用の栄養強
化物、それを用いた生物餌料の栄養強化方法およびその
生物餌料を用いた魚類の飼育方法に関する。
【0002】
【従来の技術】養殖または放流を目的とした魚類の種苗
生産が世界各国で積極的に行われており、孵化直後の仔
魚ならびに稚魚には、例えばシオミズツボワムシやアル
テミアなどの生物餌料を与えることが一般的に行われて
いる。しかしながら、これらの餌料生物は必要な栄養要
求を必ずしも満たしておらず、特に海産魚にとって必要
なω−3高度不飽和脂肪酸の栄養要求を満たしていない
ことが指摘されている。このため、種苗生産の現場で
は、生物餌料に対し、ω−3高度不飽和脂肪酸などの脂
肪酸類を補うため栄養強化油を直接与える方法が採られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
栄養強化油は、栄養強化をする際に前処理としてミキサ
−等による乳化処理を行わなければならず、その処理が
非常に繁雑であったばかりでなく、油がむき出しの状態
であることから、栄養強化中に培養液が汚れ、生物餌料
の活性を落とし、数が急減することがあった。また、従
来は、シオミズツボワムシでは、栄養強化油として遊離
の脂肪酸やエステルを与えると、活力低下や、数の急減
が時折見られることから、トリグリセライドのような形
の栄養強化油が使用されてきたのに対し、アルテミアで
は、トリグリセライドを使用すると栄養強化の程度が低
くなってしまうため、エステルを使用しなければならな
い等、餌料生物毎に異なった栄養強化油を用いる必要が
あり、たいへん不便であった。さらに、従来の栄養強化
油は、酸化しやすく不安定であることから取り扱いの点
でも難点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記従来技
術の問題点を解決するため鋭意研究の結果、ω−3高度
不飽和脂肪酸含量の高い油を膜で包んで乳化処理を行う
ことにより、乳化のためのミキシング作業が不要で、各
種の生物餌料に共通して使用でき、かつ培養水を汚さ
ず、常温で長期保存が可能な生物餌料用栄養強化物を得
ることができることを見いだし、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、ポリヒドロキシ化合物並び
に蛋白質及び/又は蛋白分解物の存在下、ω−3高度不
飽和脂肪酸含有油脂及び/又はエステルを乳化してなる
生物餌料栄養強化物、それを用いた生物餌料の栄養強化
方法およびその生物餌料を用いた魚類の飼育方法に関す
るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の栄養強化物、それ
を用いた生物餌料の栄養強化方法およびその生物餌料を
用いた魚類の飼育方法について詳細に説明する。本発明
の栄養強化物の原料とする蛋白質としては、O/W型乳
化物を作り得る限り特に制限はなく、一般に食品工業で
従来から使用されている、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、生
卵黄、生卵白、全卵白、カゼインナトリウム、脱脂粉
乳、ホエ−粉末、大豆蛋白、血粉、微生物蛋白等、また
はこれらをプロテア−ゼ、酸等を用いて処理した分解物
等、さらには、肉乃至魚肉蛋白あるいはそのエキス類、
また、酵素分解したグルテン、ゼラチン等を単独または
混合して用いることができる。膜の作り易さの点から、
水溶性のものを使用することが好ましい。
【0006】本発明の栄養強化物中におけるこれらの蛋
白質及び/又は蛋白分解物の含有量は、適切な乳化・成
形性を保ち良好な栄養強化物を得る上で、0.5〜2
0.0重量%、好ましくは1.0〜20.0重量%、で
あることが望ましい。
【0007】本発明の栄養強化物では、原料としてω−
3高度不飽和脂肪酸含有油脂及び/又はそのエステル化
物を用いる。ω−3高度不飽和脂肪酸含有油脂として
は、イカ油、ホタテ油、イワシ油、カツオ油、カツオ頭
油等が好ましく用いられる。これら油脂は、単独でも2
種以上を混合して用いてもよい。また、本発明で使用さ
れる不飽和脂肪酸含有エステルは、不飽和脂肪酸含有油
脂をメチルアルコール、エチルアルコール等のアルコー
ル類でエステル化したものであり、必要に応じて蒸留
し、ω−3高度不飽和脂肪酸を濃縮して用いることもで
きる。上記脂肪酸含有油脂とエステルとの混合物を用い
ることもできる。
【0008】本発明におけるω−3高度不飽和脂肪酸含
有油脂及び/又はエステル中におけるω−3高度不飽和
脂肪酸の含有量としては、生物餌料の栄養強化度を不足
させないように、15重量%以上とすることが良く、更
に好ましくは25重量%以上とすることが良い。
【0009】本発明に係る栄養強化物中におけるω−3
高度不飽和脂肪酸含有油脂及び/又はエステルの含有量
は、1〜80重量%の範囲で製造することが可能であ
り、使用目的に応じて液状から、流動性を有しないペ−
スト状まで、変化させることが可能であるが、実際に本
発明の生物餌料栄養強化物を使用して、生物餌料を栄養
強化する現場では、ある程度流動性のある方が使い易い
ため、20〜40重量%とすることが好ましい。
【0010】本発明の生物餌料用栄養強化物は、ポリヒ
ドロキシ化合物並びに上記蛋白質及び/又は蛋白質分解
物の存在下、上記ω−3高度不飽和脂肪酸含有油脂及び
/又はエステルを乳化することによって得ることができ
る。
【0011】本発明で用いるポリヒドロキシ化合物は、
単糖類、少糖類、糖アルコール、澱粉等の多糖類の加水
分解物であって、本発明の好ましい態様で用いられるポ
リヒドロキシ化合物としては、ソルビト−ル、マニト−
ル、還元水飴等の糖アルコ−ル類、グルコ−ス、フラク
ト−ス、シュ−クロ−ス、ガラクト−ス等の糖類、イソ
マルト−ス、イソマルトトリオ−ス、バノ−ス、ラクト
スクロ−ス、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、大豆
オリゴ糖等のオリゴ糖、澱粉の加水分解によって得られ
る各種の転化糖、水飴、デキストリン、異性化糖、シラ
ップ等が挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物は単
独でもあるいは2種以上の混合物で用いることも勿論可
能である。
【0012】本発明に係る栄養強化物中におけるポリヒ
ドロキシ化合物の含有量は、10重量%以上、好ましく
は20重量%以上であれば良く、必要に応じて適当量を
使用することが可能である。
【0013】本発明においてポリヒドロキシ化合物を混
合することにより、乳化の安定性を増大させることがで
きる。また、餌料生物の増殖培養時に必要な大量の空気
を水中に暴気させる処理を行う場合にも、水への分散性
や流動性が良好な安定した乳化物を形成することができ
る。乳化剤として界面活性剤を用いた場合、孵化直後の
仔魚あるいは稚魚のエラの発育不良や背曲病の発生を引
き起こしたり死滅率の増大をもたらすが、本発明におけ
るポリヒドロキシ化合物の使用によりかかる問題を回避
することもできる。
【0014】本発明の餌料の一態様としては、食塩を添
加することが好ましい。食塩の存在は、微生物の発育防
止あるいは死滅効果を生じ、栄養強化物の保存性を高め
る。食塩単独でも効果はあるが、ポリヒドロキシ化合物
自体にも同じ作用があり、食塩とポリヒドロキシ化合物
とを併用すると顕著な効果が奏される。食塩の添加量は
9重量%以上であることが好ましい。
【0015】本発明に係る栄養強化物の乳化粒子径は、
初期餌料生物の口を通過することのできる程度の大きさ
とし、具体的には1μ〜30μ、好ましくは5〜20μ
の範囲とすることが良い。30μ以上の粒子径では、初
期餌料生物が本発明に係る栄養強化物を体内に取り込む
ことが困難になり、また1μ以下の粒子径では摂取量が
低減する。
【0016】本発明における最も好ましい態様の栄養強
化物は、ポリヒドロキシ化合物またはその水溶液に、好
ましくはさらに食塩の存在下、蛋白質または蛋白分解物
を溶解し、必要に応じてアルカリ等でpHを調整した
後、撹拌下ω−3高度不飽和脂肪酸油またはエステルを
滴下することで得られる。
【0017】以上の如くして得られた栄養強化物は、例
えば、シオミズツボワムシ、アルテミア、ミジンコ、タ
マミジンコ、チグリオプス等の生物餌料用の栄養強化物
として用いることができる。この栄養強化物は、使用時
に水を添加することによって、良好な水中油型乳化物質
になる自己乳化性を有し、使用時の労力・設備を大幅に
節約することが可能となる。更に、当該栄養強化物は、
常温で安定しており保存性にも優れている。
【0018】本発明の栄養強化物をシオミズツボワムシ
に使用する場合は、一次培養したシオミズツボワムシ
を、魚に与える6〜12時間前に必要量だけ採取し水槽
に移し、次ぎにパン酵母を培養液1000リットル当た
り100g〜300g添加すると同時に、本発明の栄養
強化物を培養液1000リットル当たり150〜220
g添加して栄養強化する。栄養強化開始後6〜12時間
で栄養強化されたシオミズツボワムシを回収し、仔稚魚
に与える。
【0019】本発明の栄養強化物をアルテミアに使用す
る場合は、孵化・単離したアルテミア幼生を直ちに栄養
強化槽に移し、マリンオメガを飼育水1000リットル
当たり1リットル添加するとともに、本発明の栄養強化
物を飼育水1000リットル当たり150〜300g添
加する。栄養強化開始後6〜12時間後にアルテミアを
回収し、仔稚魚に与える。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。 〔実施例1〕2000mlのビ−カ−に、水288gと
イソマルト500、固形分50%:昭和産業(株)製)
480gと、リン酸2ナトリウム(昭和化学(株)製)
8gを計量し、ホモミキサ−(特殊機工(株)製)にて
穏やかに撹拌し、均一な水溶液を作成する。均一になっ
たところで卵黄粉末(太陽化学(株)製)96gを添加
し、ホモミキサ−で泡が立たないように分散溶解させ
る。その後食塩(日本たばこ産業(株)製)192gを
投入して、均一に溶解させる。水溶液が全て均一になっ
たら、予め1000mlビ−カ−に計ってあったDHA
60E(ドコサヘキサエン酸エチルエステルを主成分と
する高度不飽和脂肪酸エステル、日本化学飼料(株))
480gとイ−ミック80(エ−ザイ(株)製)16g
の混合均一の油を、ホモミキサ−の回転数を5000r
pmにて撹拌しながら少しずつ注入する。注入し終わっ
たら、ホモミキサ−の回転数を5600rpmとして、
5分間乳化撹拌し、その後回転数を5000rpmに落
として1分間撹拌すると、ω−3高度不飽和脂肪酸含有
エステルの水中油型栄養強化物が得られた。この栄養強
化物を顕微鏡下で乳化粒子径を測定したところ、5〜1
2μの範囲の乳化粒子が大部分であったので、所定の目
的は達せられた。また、20リットルの水槽に10リッ
トルの水を張り、この栄養強化物1gを分散させ、通気
曝気テストをしたところ、24時間白濁のままであり、
栄養強化物は少しも破壊されていなかった。
【0021】〔実施例2〕2000mlのビ−カ−に、
水176gとイソマルト500(固形分50%:昭和産
業(株)製)800gと、リン酸2ナトリウム(昭和化
学(株)製)48gを計量し、ホモミキサ−(特殊機工
(株)製)にて穏やかに撹拌し、均一な水溶液を作成す
る。均一になったところで卵黄粉末(太陽化学(株)
製)80gを添加し、ホモミキサ−で泡が立たないよう
に分散溶解させる。水溶液が全て均一になったら、予め
1000mlビ−カ−に計ってあったDHA27G(日
本化学飼料(株))480gとイ−ミック80(エ−ザ
イ(株)製)16gの混合均一の油を、ホモミキサ−の
回転数を5500rpmにて撹拌しながら少しずつ注入
する。注入し終わったら、ホモミキサ−の回転数を63
00rpmとして、5分間乳化撹拌し、その後回転数を
5700rpmに落として1分間撹拌すると、ω−3高
度不飽和脂肪酸含有エステルの水中油型栄養強化物が得
られた。この栄養強化物を顕微鏡下で乳化粒子径を測定
したところ、5〜10μの範囲の乳化粒子が全粒子の7
0〜80%であったので、所定の目的は達せられた。ま
た、20リットルの水槽に10リットルの水を張り、こ
の栄養強化物1gを分散させ、通気曝気テストをしたと
ころ、24時間白濁のままであり、栄養強化物は少しも
破壊されていなかった。一方、この栄養強化物を6ケ月
間保管したが、微生物の増殖もなく、水分離、油分離も
なく、流動性もほとんど変化がなかった。
【0022】〔実施例3〕1000mlのビ−カ−に、
水90gとソルビト−ル(固形分50%:日研化学製)
150gと、リン酸2ナトリウム(昭和化学(株)製)
15gを計量し、ホモミキサ−(特殊機工(株)製)に
て穏やかに撹拌し、均一な水溶液を作成する。均一にな
ったところで酵素分解卵黄粉(太陽化学(株)製)40
gを添加し、ホモミキサ−で泡が立たないように分散溶
解させた後、食塩60gを添加し、同様に撹拌して食塩
を完全に溶解させる。水溶液が全て均一になったら、予
め300mlビ−カ−に計ってあったカツオRB油
((株)NCF製)150gとイ−ミック80(エ−ザ
イ(株)製)5gの混合均一の油を、ホモミキサ−の回
転数を2000rpmにて撹拌しながら少しずつ注入す
る。注入し終わったら、ホモミキサ−の回転数を300
0rpmとして、5分間乳化撹拌し、その後回転数を2
000rpmに落として1分間撹拌すると、ω−3高度
不飽和脂肪酸含有油脂の水中油型乳化組成物が得られ
た。この乳化組成物を顕微鏡下で乳化粒子径を測定した
ところ、5〜20μの範囲の乳化粒子が大部分であった
ので、所定の目的は達せられた。また、20リットルの
水槽に10リットルの水を張り、この乳化組成物1gを
分散させ、通気曝気テストをしたところ、24時間白濁
のままであり、乳化組成物は少しも破壊されていなかっ
た。一方、この乳化組成物を6ケ月間常温保管したが、
微生物の増殖もなく、水分離、油分離もなく、流動性も
ほとんど変化がなかった。
【0023】〔実施例4〕1000mlのビ−カ−に、
水115gとソルビト−ル(固形分50%:日研化学
製)150gと、リン酸2ナトリウム(昭和化学(株)
製)15gを計量し、ホモミキサ−(特殊機工(株)
製)にて穏やかに撹拌し、均一な水溶液を作成する。均
一になったところでカゼインナトリウム(太陽化学
(株)製)5gを添加し、ホモミキサ−で泡が立たない
ように分散溶解させたる。その後食塩(日本たばこ産業
(株)製)60gを投入して撹拌し、均一に溶解させ
る。水溶液が全て均一になったら、予め300mlビ−
カ−に計ってあったイカRB油((株)NCF製)15
0gとイ−ミック80(エ−ザイ(株)製)5gの混合
均一の油を、ホモミキサ−の回転数を3000rpmに
て撹拌しながら少しずつ注入する。注入し終わったら、
ホモミキサ−の回転数を4000rpmとして、5分間
乳化撹拌し、その後回転数を3500rpmに落として
1分間撹拌すると、ω−3高度不飽和脂肪酸含有イカ油
乳化組成物が得られた。この乳化組成物を顕微鏡下で乳
化粒子径を測定したところ、6〜15μの範囲の乳化粒
子が全体の90%前後占有したので、所定の目標は達せ
られた。また、20リットルの水槽に10リットルの水
を張り、この乳化組成物1gを分散させ、通気曝気テス
トをしたところ、24時間白濁のままであり、乳化組成
物は少しも破壊されていなかった。
【0024】〔実施例5〕40kg容量30kg仕込量
のパイロットプラント、TKオ−トホモミキサ−(特殊
機械工業製)付属乳化槽(岩井機械工業製)に、水5.
4kg、リン酸2ナトリウム0.9kg、イソマルト5
00(固形分50%)9kgを投入し、TKオ−トホモ
ミクサ−を下げ乳化槽の蓋を閉じ、3000rpmで1
0分間撹拌し、均一な溶解液を作成する。終了後、蓋を
上げ、卵黄粉末1.8kgを投入後、再度蓋を下げ、真
空をかけながら10分間、4500rpmで撹拌する。
撹拌終了後、食塩3.6kgを投入し、蓋を下げて乳化
槽を密閉し、4000rpmで真空をかけながら撹拌
し、食塩を完全に溶解させる。その後、真空解除し、蓋
を上げて、撹拌機に付属している流動板を溶解の位置よ
り乳化の位置に合わせ、蓋を閉じる。乳化槽の油の注入
口から、予め15リットルステンレス容器に計量してあ
ったDHA60E、9kgと、イ−ミックス80、0.
3kgの均一混合油を、TKオ−トホモミキサ−の回転
数を2500rpmにセットし、撹拌しながら注入す
る。注入終了後、3000rpmで1分間予備乳化撹拌
を行い、次に3500rpmに回転数を上げ、5分間乳
化撹拌を行い、その後続けて3000rpmに下げ、5
分間乳化撹拌するとω−3高度不飽和脂肪酸含有エステ
ル乳化組成物が得られた。この乳化組成物を顕微鏡下で
乳化粒子径を測定したところ、5〜14μの範囲の乳化
粒子が全体の60〜70%を占めていたので、所定の目
標は達せられた。また、20リットルの水槽に10リッ
トルの水を張り、この乳化組成物1gを分散させ、通気
曝気テストをしたところ、24時間白濁のままであり、
乳化組成物は少しも破壊されていなかった。
【0025】〔実施例6〕シオミズツボワムシに対し、
実施例5で得られた本発明に係る栄養強化物を用いて、
栄養強化試験を行った。500リットルパンライト水槽
を5面(A区〜E区)用意し、各水槽にナンノクロプシ
スおよびパン酵母で一次培養したシオミズツボワムシ
を、培養水に1ml当たり約200個体収容した。な
お、培養液の温度は22℃とした。各水槽に、加水しミ
キサ−で懸濁させたパン酵母100gを入れた後、本発
明の栄養強化物をA区には0g、B区には37.0g、
C区には73.5g、D区には110.5g、E区には
147.0g添加し、栄養強化を行った。シオミズツボ
ワムシの計数と活力チェックを、栄養強化開始時、6時
間後、12時間後、24時間後に行った。結果を表1、
図1〜2に示す。
【0026】
【表1】 シオミズツボワムシ密度の変化(単位:個体/ml) ────────────────────────────────── 試験区 A B C D E ────────────────────────────────── 開始時 204 214 223 217 230 6時間後 234 203 248 222 203 12時間後 266 250 224 260 207 24時間後 271 259 198 213 159 ──────────────────────────────────
【0027】図1〜2に示されているように、ワムシの
脂質とDHA含有量は、試験開始後12時間目までは経
時的に高くなっており、栄養強化が有効であることは明
らかである。また、栄養強化物の添加量は培養水1kl
当たり150〜220g、栄養強化時間は6〜12時間
が適当であることが確認された。
【0028】〔実施例7〕アルテミアに対し、実施例5
で得られた本発明に係る栄養強化物を用いて、栄養強化
試験を行った。500リットルパンライト水槽を5面
(A区〜E区)用意し、各水槽に予め孵化槽で孵化させ
たアルテミア幼生を、水1ml当たり約100個体収容
した。なお、水温は28℃とした。各水槽に、アルテミ
ア幼生の餌としてマリンオメガ(日清ファインケミカル
製)を500ml入れた後、本発明の栄養強化物をA区
には0g、B区には37.0g、C区には73.5g、
D区には110.5g、E区には147.0g添加し、
栄養強化を行った。アルテミア幼生の計数と活力チェッ
クは、栄養強化開始時、6時間後、12時間後、24時
間後に行った。結果を表2、図3〜4に示す。
【0029】
【表2】 栄養強化中のアルテミアの生残率の変化(%) ────────────────────────────────── 試験区 A B C D E ────────────────────────────────── 開始時 100 100 100 100 100 6時間後 87.2 90.0 100 100 94.7 12時間後 66.0 62.5 92.7 100 78.9 24時間後 40.4 50.0 65.9 69.6 42.1 ──────────────────────────────────
【0030】図3〜4に示されているように、アルテミ
アの脂質とDHA含有量は、試験開始後12時間目まで
は経時的に高くなっており、栄養強化が有効であること
は明らかである。また、栄養強化物の添加量は培養水1
kl当たり150〜220g、栄養強化時間は6〜12
時間が適当であることが確認された。
【0031】〔実施例8〕従来品との比較 本発明に係る栄養強化物および市販の栄養強化剤(パワ
ッシュ:オリエンタル酵母工業)を用いて、シオミズツ
ボワムシを栄養強化し、その効果について比較を行っ
た。100リットルパンライト水槽を2面用意し、各水
槽にシオミズツボワムシを培養水1リットル当たり15
0〜200個体収容した。なお、培養水の温度は22℃
とした。 各水槽に、加水しミキサ−で懸濁させたパン
酵母20gを入れた後、一方の水槽には本発明に係る栄
養強化物29.5g(油として10g)を、他方には加
水しミキサ−で懸濁させた市販の栄養強化剤10g(油
として10g)を添加して、栄養強化を行った。結果
は、図5に示すように、本発明の栄養強化物を用いて栄
養強化を行ったシオミズツボワムシの密度は、市販の栄
養強化剤を使用した場合よりも高い増殖を示した。な
お、活力は各試験区分とも違いは見られなかった。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の生物餌料
用栄養強化物は、栄養強化の作業をする際にミキサ−な
どの乳化処理を行う必要が無く、保存性にも優れてい
る。また、栄養強化中に生物餌料の培養水を汚さず、各
種の餌料生物に対して共通して使用することが可能であ
ることから、従来の栄養強化油に比べて、格段に簡便な
生物餌料の栄養強化が可能となる。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】栄養強化中のワムシ脂質含量の変化を示す図で
ある。
【図2】栄養強化中のワムシDHA含量の変化を示す図
である。
【図3】栄養強化中のアルテミア脂質含量の変化を示す
図である。
【図4】栄養強化中のアルテミアDHA含量の変化を示
す図である。
【図5】本発明の生物餌料用栄養強化物と従来品を使用
した場合のワムシ密度の変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田英之 千葉県千葉市美浜区新港8番2号オリエン タル酵母工業株式会社内 (72)発明者 長崎仁志 千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目6番地WB Gマリブウエスト28階株式会社エヌ・シ −・エフ内 (72)発明者 金井弘幸 埼玉県草加市弁天町272番地コダマ油化工 業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリヒドロキシ化合物並びに蛋白質及び/
    又は蛋白分解物の存在下、ω−3高度不飽和脂肪酸含有
    油脂及び/又はエステルを乳化してなる生物餌料用栄養
    強化物。
  2. 【請求項2】ポリヒドロキシ化合物が、単糖類、少糖
    類、糖アルコール、多糖類の加水分解物あるいはこれら
    の混合物からなる群から選ばれた1種である請求項1記
    載の栄養強化物。
  3. 【請求項3】食塩を併用することを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の栄養強化物。
  4. 【請求項4】ω−3高度不飽和脂肪酸含有油脂及び/又
    はエステル中のω−3高度不飽和脂肪酸の含有量が15
    %以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    の1項に記載の栄養強化物。
  5. 【請求項5】乳化粒子径の主体が1μ〜30μであるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかの1項に記載の
    栄養強化物。
  6. 【請求項6】ポリヒドロキシ化合物並びに蛋白質及び/
    又は蛋白分解物を含有する水溶液にω−3高度不飽和脂
    肪酸油脂及び/又はエステルを添加して乳化せしめるこ
    とを特徴とする生物餌料用栄養強化物の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかの1項に記載の栄
    養強化物を用いた生物餌料の栄養強化方法。
  8. 【請求項8】栄養強化物の添加量が、生物餌料の培養水
    1kl当たり50〜300gであることを特徴とする、
    請求項7記載の栄養強化方法。
  9. 【請求項9】請求項7または請求項8記載の栄養強化方
    法で得られる生物餌料を用いることを特徴とする魚類の
    飼育方法。
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