JP5412307B2 - 橋梁用支承装置の据付方法及びその方法に用いる固定治具 - Google Patents
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Description
また、弾性支承装置を桁の下部に取り付けた状態で搬送することは知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、上部構造物側に固定される上沓と、下部構造物側に固定される下部支持部材上の支承とを搬送して下部構造物上に据え付ける場合に、前記の間隙を容易に確実にまた正確に設けることが可能な支承装置の据え付け方法及びその方法に用いる固定治具を提供することを目的とする。
第2発明では、第1発明の橋梁用支承装置の据付方法において、前記側部支持部材には、上沓側に張り出す上揚力抵抗部が設けられており、前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、固定治具も取り外すことを特徴とする。
第3発明では、第1発明の橋梁用支承装置の据付方法において、前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、固定治具も取り外すことを特徴とする。
第4発明では、第1発明の橋梁用支承装置の据付方法において、前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、前記スペーサを取り外した後、ボルトを締め込むことで、固定治具を固定し、固定治具の押圧部を上揚力抵抗部とすることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかの橋梁用支承装置の据付方法において、前記固定治具は、橋軸方向に開口するボルト挿通用スリットを有する基板に、縦部分が一体に設けられ、その縦部分の上部に橋軸直角方向の上沓側に張り出す押圧部を備えていることを特徴とする。
第6発明では、第1〜第4発明のいずれかの橋梁用支承装置の据付方法に用いられる固定治具であって、前記固定治具は、橋軸方向に開口するボルト挿通用スリットを有する基板に、縦部分が一体に設けられ、その縦部分の上部に橋軸直角方向の上沓側に張り出す押圧部を備えていることを特徴とする。
また、側部支持部材に配置されるボルトを操作することで、スペーサを取り外すことができるので、機械的な操作でスペーサの撤去を行うことができるので、施工が容易である等の効果が得られる。また、現場におけるスペーサを他の支承装置の搬送作業に利用することもできる等の効果も得られる。
第2発明によると、第1発明の橋梁用支承装置の据付方法において、前記側部支持部材には、上沓側に張り出す上揚力抵抗部が設けられており、前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、固定治具も取り外すので、第1発明の効果に加えて、機械的な操作で固定治具の撤去を行うことができるので、施工が容易である等の効果が得られる。
第3発明によると、前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、固定治具も取り外すので、第1発明の効果に加えて、機械的な操作でスペーサ及び固定治具の撤去を行うことができるので、施工が容易である等の効果が得られる。また、現場におけるスペーサ及び固定治具を他の支承装置の搬送作業に利用することもできる等の効果も得られる。
第4発明では、第1発明の橋梁用支承装置の据付方法において、前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、前記スペーサを取り外した後、ボルトを締め込むことで、固定治具を固定し、固定治具の押圧部を上揚力抵抗部とするので、側部支持部材側に上揚力抵抗部を備えていない場合でも、固定治具における押圧部を上揚力抵抗部として利用することができる等の効果が得られる。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかの橋梁用支承装置の据付方法において、前記固定治具は、橋軸方向に開口するボルト挿通用スリットを有する基板に、縦部分が一体に設けられ、その縦部分の上部に橋軸直角方向の上沓側に張り出す押圧部を備えているので、側部支持部材に配置されるボルトを利用して側部支持部材上に固定治具を配置して固定することができ、また、固定治具を固定しているボルトを若干緩めることで、固定治具を橋軸方向に移動して、固定治具を側部支持部材から離脱させることができ、固定治具の取り外し作業が容易になる。また、側部支持部材が下部支持部材に一体又はボルトにより固定されている形態では、ボルトを取り外すことなく、側部支持部材を下部支持部材に確実に連結した状態で、固定治具の取り外しを行うことができる。
第6発明では、第1〜第4発明のいずれかの橋梁用支承装置の据付方法に用いられる固定治具であって、前記固定治具は、橋軸方向に開口するボルト挿通用スリットを有する基板に、縦部分が一体に設けられ、その縦部分の上部に橋軸直角方向の上沓側に張り出す押圧部を備えているので、簡単な構造の固定治具とすることができ、また、固定治具を側部支持部材に残す場合には、固定治具における押圧部を上沓に対向配置される上揚力抵抗部として利用することができる等の効果が得られる。
なお、図示を省略するが、前記基板2と縦部分4とを溶接により一体に組み立ててもよく、あるいは基板2と縦部分4のいずれか一方にボルト挿通孔を有するフランジ(横又は縦方向のフランジ)を設け、他方に雌ねじ孔を設けてボルトにより一体に組み立てるようにしてもよい。
なお、上部構造物11と弾性支承12と下部支持部材10とを仮固定する形態を主に説明するが、既存の橋梁支承装置を補修する場合には、上部構造物11はそのまま利用されるため、上部構造物11が若干ジャッキアップされた状態で、上沓7と弾性支承12と下部支持部材10とを仮固定した状態で搬送し、上沓7をソールプレート37に対向又は圧着させた状態で前記セットボルト36により取り付けられる。
前記のボルト19は、橋軸方向に間隔をおいて、複数(図示の場合は4本)設けられている。
前記の下部支持部材10における橋軸方向の両端部には、橋軸直角方向の中間部において、橋軸直角方向に間隔をおいて複数の雌ねじ孔20が設けられている。
前記下部支持部材10の上面には、ストッパ部材21が載置され、前記ストッパ部材21はその中央部に円形の貫通孔からなる弾性支承配置用の貫通孔を有し、その貫通孔の周囲壁を、弾性支承における弾性層22の水平方向のせん断変形を拘束するせん断変形拘束壁23としている(図22参照)。
前記のストッパ部材21はその橋軸方向の両端部のボルト挿通孔に挿通されると共に下部支持部材10の雌ねじ孔20にねじ込まれたボルト24により、前記ストッパ部材21は、下部支持部材10に固定されている。
弾性支承12は、上下のキャップ状の鋼板25を対向するように配置され、その間にゴムのような弾性層22を積層一体化していると共に、上部の鋼板上面の凹部に、四フッ化エチレン板からなる滑り支承板26を備えている。弾性支承12における上部のキャップ状の鋼板25の側周面がせん断変形拘束壁23の内周面に係合することで、弾性支承12の弾性層22のせん断変形は阻止される。弾性支承12における上部のキャップ状の鋼板25の側周面とせん断変形拘束壁23の内周面との横方向の間には、小さな間隙が形成されている。
したがって、前記の上下の滑り面により、橋台又は橋脚等の下部構造部物27側に固定される下部支持部材10上の弾性支承12に対して、上部構造物11側が橋軸方向にすべり移動可能な構造となっている。
前記のように側部支持部材8を下部支持部材10に一体に設けた形態の下部支持部材10である場合には、固定治具1は側部支持部材8にボルトにより固定するようにすればよい。
前記のスペーサ9は、平板状としてもよいが、平板状以外にも、上面に凹溝状部を有するスペーサ9でもよく、前記の凹溝状部に固定治具1を係合させるようにしてもよい。
なお、図において、符号34は上沓7の凹部と、桁11aの下側に固定の高さ調整用の鋼板の凹部とに嵌合配置される鋼製短柱状のせん断キーであり、符号36は、上沓7を桁11aの下フランジ35に固定するためのセットボルトである。
前記の固定治具1を固定しているボルト19を緩めても、残りの複数のボルト19が側部支持部材8を下部支持部材10に確実に固定しているため、固定治具1を固定しているボルトの操作が可能になっている。
前記のような固定治具1の基板2に、横方向に開口するスリット3を備えていると、ボルト19を抜き取ることなく、単に緩めるだけで、容易に固定治具1を取り外すことができる。
固定治具1の基板2に、スリット3に代えてボルト挿通孔が設けられている場合には、前記ボルト19の脱着操作をすることでも、固定治具1を側部支持部材8から取り外し、側部支持部材8を下部支持部材10に確実に固定することができる。
前記のような状態においては、地震動時において、下部構造物に対して上部構造物が相対的に上方に離反するような動きに対して、前記の上揚力抵抗部28が、上沓7における係合フランジ15の上面に係合して抵抗するようになる。
図11から図16を参照して、前記第1実施形態の変形形態である本発明の第2実施形態の橋梁用支承装置の据付方法について簡単に説明する。
この形態は、側部支持部材8に上揚力抵抗部28を備えていない形態の場合で、前記の固定治具1を利用して、固定治具1における押圧部6を上揚力抵抗部として利用した形態である。図11〜図13には、上部構造物11側の上沓7に、弾性支承12を内蔵するようにストッパ部材21を固定した下部支持部材10を吊り下げるように仮固定して搬送可能な状態が示され、図14から図16には、下部構造物27に搬送した後、アンカーボルト挿通孔29に無収縮モルタルからなる硬化性充填材30を充填すると共に、スペーサ9を撤去した状態が示されている。
この形態では、上沓7上面と、スペーサ9の上面との距離により、所定の間隙Gの高さ寸法が設定され、その高さ寸法レベルに、固定治具1における横部分5の下面レベルを低下させることで、所定の間隙が形成可能にされている。
図17を参照して、本発明の第3実施形態の橋梁用支承装置の据付方法について説明する。
この形態は、下部構造物27と桁等の上部構造物11との間に、別個にこれらの構造物11,27に連結される上揚力抵抗装置(図示を省略した)と共に使用する場合に、側部支持部材8に上揚力抵抗部を設ける必要のない場合である。
施工手順は、前記第1実施形態と同様な据え付け施工手順と同様に実施できるため、施工手順の説明は省略する。
なお、前記の上揚力抵抗装置としては、公知の弾性支承体を用いればよく、弾性支承体としては、上下両端部にボルト又はボルト・ナットにより取り付け可能な張り出しフランジを有する取り付け鋼板を有し、両取り付け用鋼板の間にゴム等の弾性層と鋼板等の硬質板とを交互に積層一体化し、水平方向にせん断変形可能な弾性支承体を用い、両取り付け用鋼板を、それぞれ上部構造物及び下部構造物に取り付ければよく、両取り付け用鋼板のいずれか一方と構造物側との間には間隙が設けられ、上部構造物の鉛直荷重を負担しない形態である。このような上部構造物の鉛直荷重を負担しない形態の弾性支承体からなる上揚力抵抗装置と、本発明における上部構造物の鉛直荷重を負担する装置との組み合わせ形態となる。
図18〜図21を参照して、本発明の第4実施形態の橋梁用支承装置の据付方法について説明する。
この第4実施形態は、側部支持部材8に上揚力抵抗部を備えていない形態で、側部支持部材8の上面側に、上揚力抵抗部を備えた上揚力抵抗部材31をボルト33により固定するための複数の雌ねじ孔32を備えた形態である。
このような形態では、前記第1実施形態と同様で図18に示すように、固定治具1と上沓7における係合フランジ15との間にスペーサ9を介在させた状態で、上部構造物11と共に弾性支承12を備えた下部支持部材10を下部構造物の所定の位置に搬送配置する。そして、図19に示すように、側部支持部材8に上揚力抵抗部を備えた上揚力抵抗部材31を取り付ける。なお、上揚力抵抗部材31の取り付け時期は、予め又は前記の下部構造物の所定の位置に搬送後いずれの時期でもよい。
前記第1実施形態と同様に、下部支持部材10等と共に桁からなる上部構造物11を下部構造物27上に設置の仮受けジャッキ上に配置し、アンカーボルト挿入孔29に無収縮モルタル等の硬化性充填材30を充填・硬化する。そして、固定治具1とスペーサ9を撤去すると共に仮受ジャッキを短縮して撤去する。
このような固定支承の形態では、弾性支承12の上部に連結鋼板を備えた形態として、連結鋼板と上沓とをボルトあるいはボルト・ナット等により連結するようにすればよい。前記の連結鋼板と上沓等には、適宜ボルト挿通孔あるいは雌ねじ孔が設けられる。
図23〜図24を参照して、本発明の第5実施形態の橋梁用支承装置の据付方法について説明する。この形態は、図1〜3における上部構造物11(11a)が予めセットされていない形態であり、この形態は、既存の橋梁支承装置を補修する場合に適用できる形態である。
この第5実施形態は、上沓7と下部支持部材10との間に弾性支承12を介在させた状態で仮固定し、下部支持部材10と共に仮固定された全体をクレーン等により吊り上げ搬送することで、適宜ジャッキアップされた既設の桁11aの下側で下部構造物27上に搬送し、その後、上沓7の上面をソールプレート37の下面に対向又は圧着させた状態でセットボルト36により、既設の桁11aに固定して、上部構造11(桁11a)を所定の位置に配置した形態である。
このような形態では、下部支持部材10を広巾寸法のものを用い、アンカーボルト挿通孔を有する下部支持部材10として、その下部支持部材10のアンカーボルト挿通孔に、下部支持部材10の上側からナット付きアンカーボルト16を下部構造物27のアンカーボルト挿入孔29に落とし込んで配置した後、適宜桁をジャッキダウンして弾性支承12を所定のレベルに位置させた後、図24に示すように、無収縮モルタル等の硬化性充填材30を充填・硬化し、ナット38を締め込んで設置が完了する。
前記の変形形態として、図示を省略するが、下部支持部材10を下部構造物に固定する形態としては、下部支持部材10にアンカーボルト挿通孔を兼ねたカプラー嵌合係止孔を設け、アンカーボルト16を備えた雌ねじ孔付きカプラーを下部支持部材10の上から落とし込んで下部支持部材10に係止し、広巾頭部を有するボルトを下部支持部材10の上側から、前記カプラーの上部の雌ねじ孔にねじ込んで締め込む形態等、従来公知の各種の形態を採用してもよい。
2 基板
3 スリット
4 縦部分
5 横部分
6 押圧部
7 上沓
8 側部支持部材
9 スペーサ
10 下部支持部材
11a 桁
11 上部構造物
12 弾性支承
13 滑り支承面
14 切り欠き段部
15 係合フランジ
16 アンカーボルト
17 雌ねじ孔
18 ボルト挿通孔
19 ボルト
20 雌ねじ孔
21 ストッパ部材
22 弾性層
23 せん断変形拘束壁
24 ボルト
25 キャップ状の鋼板
26 滑り支承板
27 下部構造物
28 上揚力抵抗部
29 アンカーボルト挿入孔
30 硬化性充填材(無収縮モルタル)
31 上揚力抵抗部材
32 雌ねじ孔
33 ボルト
34 せん断キー
35 下フランジ
36 セットボルト
37 ソールプレート
38 ナット
Claims (6)
- 上沓と下部構造物に固定される下部支持部材とを支承と共に搬送して下部構造物上に設置する橋梁用支承装置の据付方法において、前記下部支持部材はその橋軸直角方向の両側に側部支持部材が設けられ、下部支持部材と上沓との間に支承が介在され、上沓上に配置されたスペーサを押圧する押圧部を有する固定治具を前記側部支持部材に配置して、側部支持部材に直接又は側部支持部材を介して下部支持部材にボルトにより固定することで、上沓とこれに対向するように下部支持部材又は側部支持部材側に設けられる上揚力抵抗部との間の間隙を一定に保ち、かつ下部支持部材と上沓とその間の前記支承の移動を拘束した状態で、上部構造物と共に下部支持部材及び支承を下部構造物上に搬送して配置した後、前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、前記スペーサを取り外すことを特徴とする橋梁用支承装置の据付方法。
- 前記側部支持部材には、上沓側に張り出す上揚力抵抗部が設けられており、前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、固定治具も取り外すことを特徴とする請求項1の橋梁用支承装置の据付方法。
- 前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、固定治具も取り外すことを特徴とする請求項1の橋梁用支承装置の据付方法。
- 前記固定治具を固定しているボルトを緩める又は脱着することで、前記スペーサを取り外した後、ボルトを締め込むことで、固定治具を固定し、固定治具の押圧部を上揚力抵抗部とすることを特徴とする請求項1の橋梁用支承装置の据付方法。
- 前記固定治具は、橋軸方向に開口するボルト挿通用スリットを有する基板に、縦部分が一体に設けられ、その縦部分の上部に橋軸直角方向の上沓側に張り出す押圧部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の橋梁用支承装置の据付方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の橋梁用支承装置の据付方法に用いられる固定治具であって、橋軸方向に開口するボルト挿通用スリットを有する基板に、縦部分が一体に設けられ、その縦部分の上部に橋軸直角方向の上沓側に張り出す押圧部を備えていることを特徴とする固定治具。
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