JP5411306B2 - 無機繊維不織布用バインダー - Google Patents

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Description

本発明は無機繊維不織布用バインダーに関する。さらに詳しくは無機繊維不織布(ガラスチョップドストランドマット等。以下同じ。)の製造工程において、従来よりもバインダー散布時の歩留まり率(散布したバインダーのうち、無機繊維積層体に付着したバインダーの重量%、以下同じ。)を向上させることができ、かつバインダーの付着量を低減しても該不織布の均一で優れた機械的強度(引張り強さ等の機械的強度、以下同じ。)を維持することができる無機繊維不織布用バインダーに関する。
従来、無機繊維不織布用バインダーとしては、機械粉砕により粉末化された不飽和ポリエステル樹脂を使用したもの(例えば特許文献1、2参照)が知られている。
特開昭57−55931号公報 特開2003−301035号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のものは目付量[1m2当たりのマットの重量(ガラスチョップドストランド積層体にバインダーを加えて最終的に仕上がったマットの重量]が低いマット(目付量100g/m2程度)の製造工程において、ガラスチョップドストランド積層体上に散布されたバインダーのおよそ半分が、該積層体に付着せず落下してしまい、歩留まり率が悪いという問題があり改善が切望されていた。
本発明の目的は、目付量の低い無機繊維不織布の製造工程においても、バインダー散布時の歩留まり率に優れ、しかもバインダーの付着量を低減しても不織布の均一で優れた機械的強度が維持される不織布を与える無機繊維不織布用バインダーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記4発明である。
(I)粒子表面の少なくとも一部が親水性微粒子(B)で被覆された樹脂粒子(A)を含有してなり、(B)の数平均一次粒子径が1〜20nmである無機繊維不織布用バインダー(X)。
(II)上記(I)のバインダー(X)を用いて無機繊維積層体を結合させてなる無機繊維不織布。
(III)上記(II)の不織布を強化材として成形してなる無機繊維強化プラスチック成形品。
(IV)無機繊維積層体にバインダーを散布し、加熱、溶融後、該積層体をプレス成形して不織布を製造する方法において、上記(I)のバインダー(X)を用いることを特徴とする無機繊維不織布の製造方法。
本発明の無機繊維不織布用バインダー(X)は下記の効果を奏する。
(1)バインダー散布時の歩留まり率に優れる。
(2)無機繊維不織布に均一な機械的強度を付与できる。
[樹脂粒子(A)の構成樹脂]
樹脂粒子(A)を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエステル樹脂(PS)、ポリウレタン樹脂(PU)、ポリアミド樹脂(PA)およびポリ酢酸ビニル樹脂(PV)等が挙げられる。これらのうち無機繊維との接着性の観点から好ましいのはポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、とくに好ましいのはポリエステル樹脂である。
[ポリエステル樹脂]
ポリエステル樹脂(PS)には、ポリ(2〜6またはそれ以上)カルボン酸(エステル形成性誘導体も含む)(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合物、カルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の自己縮合物、およびラクトン(a4)の開環重縮合物等が含まれる。
ポリカルボン酸(a1)としては、脂肪族[炭素数(以下Cと略記)3〜30、例えばコハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリカルバリル酸]、芳香族[C8〜30、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラブロムフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸]、および脂環含有ポリカルボン酸[C6〜50、例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−および1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸、ダイマー酸];これらのポリカルボン酸のエステル形成性誘導体〔酸無水物(無水マレイン酸、無水フタル酸等)、低級アルキル(C1〜4)エステル[ジメチルエステル(テレフタル酸ジメチル等)、ジエチルエステル(マレイン酸ジエチル等)等]、酸ハライド(テレフタル酸ジクロライド等)等〕;およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ポリエステル樹脂の着色防止の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
低分子ポリオール(a2)としては、水酸基1個当たりの数平均分子量[以下Mnと略記。測定は後述の測定条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。以下同じ。]が300未満(好ましくは分子量31以上かつMn250以下)の2価〜10価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
(a2)としては、2価アルコール(a21)、3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a22)、およびこれらのアルコールまたは多価(2価〜3価またはそれ以上)フェノールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記。C2〜10)低モル(2〜10モル)付加物(a23)、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
AOとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,3−および2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下THFと略記)、スチレンオキサイド、C5〜10またはそれ以上のα−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリン、およびこれらの2種以上の併用(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。
これらのAOのうち、後述する無機繊維不織布の機械的強度、および無機繊維強化プラスチック(FRP)への適用におけるスチレンモノマー等の無機繊維への浸透性の観点から好ましいのは、EO、PO、およびこれらの併用である。
2価アルコール(a21)としては、脂肪族アルコール〔直鎖アルコール[C2〜10、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール(以下それぞれEG、DEG、1,3−PG、1,4−BD、1,5−PD、1,6−HDと略記)]等;分岐鎖を有するアルコール[1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール(以下それぞれ1,2−PG、NPGと略記)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジオール等]〕;および環を有するアルコール〔C8以上かつMn600未満、例えば脂環含有アルコール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等]、芳香脂肪族アルコール(m−およびp−キシリレングリコール等)等〕が挙げられる。
3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a22)の具体例としてはアルカンポリオール[C3〜10、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール(以下それぞれGR、TMP、PE、SOと略記)]、該アルカンポリオールの分子間もしくは分子内脱水物[ジPE、ポリGR(重合度2〜8)、ソルビタン等]、糖類およびその誘導体(配糖体)(ショ糖、メチルグルコシド等)が挙げられる。
上記(a21)、(a22)のうち無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのは脂肪族アルコール、さらに好ましいのは、1,4−BDおよびNPGである。
前記AO付加物(a23)の具体例としては、上記(a21)、(a22)のAO低モル付加物、および多価(2価〜3価またはそれ以上)フェノールのAO低モル付加物が挙げられる。
該多価フェノールには、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、−F、−C、−B、−ADおよび−S、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、ジヒドロキシビフェニル、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナフタレン(1,5−ジヒドロキシナフタレン等)、ビナフトール等];並びに3価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール等)、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)とアルデヒド(ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等)もしくはケトン(アセトン等)との縮合物(フェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾール中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタルアルデヒドとの縮合反応で得られるポリフェノール、レゾルシンとアセトンとの縮合反応で得られるポリフェノール等)が含まれる。
前記カルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の具体例としては、C2〜10、例えば乳酸、グリコール酸、β−ヒドロキシル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシ吉草酸;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記ラクトン(a4)にはC4〜15(好ましくはC6〜12)のもの、例えばε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンが挙げられる。
本発明において前記GPCの測定は下記の条件で行うものとする。
<GPC測定条件>
[1]装置 :HLC−8220[東ソー(株)製]
[2]カラム :TSKgel SuperMultiporeHZ−M[東ソー(株)
製]
[3]溶離液 :テトラヒドロフラン
[4]基準物質:ポリスチレン
[5]注入条件:サンプル濃度2.5mg/ml、カラム温度40℃
上記のポリエステル樹脂のうち迅速な重縮合反応の観点およびFRP等への適用における無機繊維不織布へのスチレン等の浸透性の観点から好ましいのは、ポリカルボン酸(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合物、さらに好ましいのはポリカルボン酸(a1)と前記AO低モル付加物(a23)との重縮合物、とくに好ましいのは脂肪族ポリカルボン酸と環を有する多価フェノールもしくは芳香脂肪族アルコールのAO低モル付加物との重縮合物である。
上記の重縮合時の反応温度は、通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。該重縮合反応は通常常圧または減圧(例えば6kPa以下)で行われる。
また、該反応は得られるポリエステル樹脂の着色防止の観点から窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
該重縮合反応時の(a1)と(a2)の反応当量比(カルボキシル基/水酸基の当量比)は、迅速な重縮合反応および得られるポリエステル樹脂の安定性の観点から好ましくは0.85〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.2である。
該製造後のポリエステル樹脂の酸価(mgKOH/g。以下においては数値のみを示す。)は、耐水性の観点から好ましくは20以下、さらに好ましくは0〜15である。
該重縮合反応は、無触媒でも、エステル化触媒を使用してもいずれでもよい。
エステル化触媒としては、プロトン酸(リン酸等)、金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B、4A、4Bおよび5B族金属等)含有化合物[カルボン酸(C2〜4)塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、塩化物、水酸化物、アルコキシド等]が挙げられる。
これらのうち反応性の観点から好ましいのはカルボン酸塩[2B、4A、4Bおよび5B族金属のカルボン酸(C2〜4)塩]、金属酸エステル、酸化物、およびアルコキシド、得られるポリエステル樹脂の着色防止の観点からさらに好ましいのは酢酸亜鉛、酢酸ジルコニル、テトラブチルチタネート、ビス〔2,2’−[(2−ヒドロキシエチル)イミノ−κN]−ビス[エタノレート−κO]〕チタネート、三酸化アンチモンおよびジブチルスズオキサイドである。
エステル化触媒の使用量は、ポリカルボン酸(a1)と低分子ポリオール(a2)の合計重量に基づいて、反応性および着色防止の観点から好ましくは0.005〜3%、さらに好ましくは0.01〜1%である。
また、該反応を促進するため、有機溶剤を加えて還流させることもできる。反応終了後、有機溶剤は除去するのが好ましい。
有機溶剤としては、水酸基のような活性水素を有しないものであれば特に制限はなく、例えば炭化水素(トルエン、キシレン等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)が挙げられる。
また、前記カルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の自己縮合反応、およびラクトン(a4)の開環重縮合反応は、上記(a1)と(a2)との重縮合反応における反応条件に準じて実施することができる。
本発明におけるポリエステル樹脂(PS)の重量平均分子量(以下Mwと略記。測定は前記測定条件のGPC法による。)は、無機繊維不織布の機械的強度および加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは5,000〜60,000、さらに好ましくは10,000〜55,000、また、Mnは同様の観点から好ましくは1,500〜7,000、さらに好ましくは2,000〜6,000である。
(PS)の軟化点[測定は環球法(JIS K2207、「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験法」)に準拠]は、無機繊維不織布の粘着性の発現防止とバインダー(X)による無機繊維間の結合性の観点、および後加工の作業性(後述のFRPへの適用における型へのフィット性等、以下同じ。)の観点から好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは90〜140℃である。
(PS)の示差熱分析法によるガラス転移温度(以下Tgと略記。測定はJIS K7121、「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠)は、バインダー(X)貯蔵時のブロッキング防止とバインダー(X)による無機繊維間の結合性の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは40〜60℃、さらに好ましくは45〜55℃である。
[ポリウレタン樹脂]
ポリウレタン樹脂(PU)には、ポリ(2〜3またはそれ以上)イソシアネート(b1)と活性水素含有化合物(b2)との重付加物が含まれる。
ポリイソシアネート(以下PIと略記)(b1)としては、ジイソシアネート(以下DIと略記)および3官能(以下TIと略記)またはそれ以上の多官能イソシアネート、例えば、炭素数(以下Cと略記)(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族PI;C2〜18の脂肪族PI;C6〜15の脂環式PI;C8〜15の芳香脂肪族PIおよびこれらのPIの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基またはオキサゾリドン基含有変性物等);およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香族PIとしては、例えば1,3−および/または1,4−フェニレンDI、2,4−および/または2,6−トリレンDI(以下TDIと略記)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンDI(以下MDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI〔粗製ジアミノジフェニルメタン[ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物で、ジアミノジフェニルメタンと少量の(例えば5〜20重量%)3官能以上のポリアミンとの混合物]のホスゲン化物、一般的にポリアリールPI(以下PAPIと略記)と称する。〕、1,5−ナフチレンDI、4,4’,4’’−トリフェニルメタンTI、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
脂肪族PIとしては、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(以下HDIと略記)、ドデカメチレンDI、1,6,11−ウンデカンTI、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI(2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート)、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
脂環式PIの具体例としては、例えばイソホロンDI(以下IPDIと略記)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’および/または2,4’−DI(以下水添MDIと略記)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンDIが挙げられる。
芳香脂肪族PIの具体例としては、例えばm−および/またはp−キシリレンDI、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDIが挙げられる。
PIの変性物の具体例としては、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビューレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート基含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうちで好ましいものは、経日による変色が少ないという観点で良好な脂肪族および脂環式ポリイソシアネート、特に、HDI、IPDI、水添MDIである。
PI(b1)と反応させる活性水素含有化合物(b2)としては、低分子多官能活性水素含有化合物(b21)および高分子ポリオール(b22)が挙げられる。
この低分子多官能活性水素含有化合物(b21)には、低分子ポリオールおよび低分子ポリアミンが挙げられる。
低分子ポリオールとしては、前記(a2)と同じものが使用できる。低分子ポリオールのうち好ましいのは2価アルコール、さらに好ましいのは2価の脂肪族アルコール、とくに好ましいのは1,4−BDおよびNPGである。
低分子多官能活性水素含有化合物のうち低分子ポリアミンには、アミノ基に含まれる活性水素1個当たりのMnが300未満(好ましくは分子量30以上かつMn250以下)のジアミンおよび3官能またはそれ以上のポリアミンが挙げられ、前記ポリイソシアネート(b1)のイソシアネート基がアミノ基に置き換わったものが含まれる。
ジアミンとしては、脂肪族(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、脂環式(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等)、芳香族(ジエチルトルエンジアミン等)、芳香脂肪族(キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等)および複素環ジアミン(ピペラジン等)が挙げられる。
3官能またはそれ以上のポリアミンとしてはポリアルキレン(C2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)、ポリフェニルメタンポリアミン(ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物等)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの低分子ポリアミンのうち後述する無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのは脂環式および脂肪族ジアミン、さらに好ましいのはイソホロンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンである。
活性水素含有化合物(b2)のうち、高分子ポリオール(b22)としては、水酸基当量がMn300以上の2価〜4価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
高分子ポリオールには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびこれら2種以上の混合物が含まれる。高分子ポリオールの水酸基当量は、ガラスチョップドストランドマットの柔軟性および機械的強度の観点から、好ましくは300〜10,000、さらに好ましくは500〜5,000、とくに好ましくは800〜3,000である。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合系ポリエステルポリオール(ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物)、ポリラクトンポリオール(ポリオールを開始剤とするラクトンモノマーの開環重合物)、ポリカーボネートポリオール[ポリオールとアルキレン(C2〜4)カーボネート(エチレンカーボネート等)との反応物、ポリオールと、ホスゲン化カーボネートもしくはジフェニルカーボネートとのエステル交換反応物];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエステルポリオールを構成するポリオールとしては前記低分子ポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール(後述)が使用できる。
縮合系ポリエステルポリオールを構成するポリカルボン酸には、ポリカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体が含まれる。
ポリカルボン酸としては、脂肪族(2〜6価、C3〜30のポリカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸)、芳香族(2〜6価、C8〜30のポリカルボン酸、例えばオルト−、イソ−およびテレフタル酸、テトラブロム−およびテトラクロルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)および脂環含有ジカルボン酸(2〜6価、C6〜50のポリカルボン酸、例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−および1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸、ダイマー酸)、これらのエステル形成性誘導体[酸無水物(無水マレイン酸等)、低級アルキル(C1〜4)エステル〔ジメチルエステル(テレフタル酸ジメチル等)、ジエチルエステル(マレイン酸ジエチル等)等〕、酸ハライド(テレフタル酸ジクロライド等)]、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのポリカルボン酸のうち無機繊維との接着性の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
ポリラクトンポリオールを構成するラクトンモノマーとしては、C3〜20(好ましくは4〜12)のラクトン、例えばβ−ラクトン(β−プロピオラクトン等)、γ−ラクトン(γ−ブチロラクトン等)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトン等)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトン等)、大環状ラクトン(エナントラクトン、ウンデカノラクトン、ドデカラクトン等)]、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、およびこれらの混合物である。
高分子ポリオールのうち、ポリエーテルポリオールには、2個以上の活性水素原子を有する化合物のAO付加物が含まれる。
2個以上の活性水素原子を有する化合物としては、低分子ポリオール(前記)、多価フェノール(前記)、アミン[1級モノアミン、例えばアルキルもしくはアルケニルアミン(C1〜20)、芳香族アミン(アニリン等)、アルカノールアミン(ヒドロキシルアルキル基がC2〜4)、ポリアミン(前記)、複素環ポリアミン、例えばピペラジン、アミノアルキル(C2〜4)ピペラジン(アミノエチルピペラジン等)]等が挙げられる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(PU)のうち、無機繊維不織布の柔軟性および機械的強度の観点から好ましいのは、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートと高分子ポリオールとの重付加物であり、さらに好ましいのは脂環式ポリイソシアネートとポリエステルポリオールとの重付加物である。
ポリウレタン樹脂(PU)の製造は、通常の方法で行うことができ、ポリイソシアネート(b1)と活性水素含有化合物(b2)とをすべて一括反応させる方法(ワンショット法)、およびこれらの反応成分の一部を予め反応させてイソシアネート基もしくは水酸基末端ウレタンプレポリマーを経由して多段反応させる方法(プレポリマー法)等が挙げられる。これらのうち加熱溶融時の粘度およびブロッキング防止の観点から好ましいのはイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと前記低分子多官能活性水素含有化合物(ここでは伸長剤および/または架橋剤として使用)を反応させる方法である。
ワンショット法における(b1)と(b2)の当量比(NCO/活性水素)は、通常、0.7〜1.3当量、加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは0.8〜1.2である。
また、プレポリマー法におけるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、好ましくはポリイソシアネート(b1)と高分子ポリオール(b22)、および必要により前記低分子多官能活性水素含有化合物(b21)との反応により形成される。その際の(b1)と(b22)および(b21)の当量比(NCO/活性水素)は、(b1)1当量に対し、(b22)は通常0.1〜0.6当量、好ましくは0.2〜0.5当量、(b21)は通常0〜0.2当量、好ましくは0.05〜0.10当量である。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1.5〜6重量%である。
伸長剤としては、前記の、2価アルコール(脂肪族アルコール、環を有するもの等)、ジアミン(脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族および複素環ジアミン等)、これらジアミンのケチミン化合物[ジアミンと、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(以下MIBKと略記)等のケトンとのケチミン等]、および水が挙げられる。これらのうちポリウレタン樹脂(PU)の無機繊維との接着性の観点から好ましいのはケチミン化合物である。
(PU)の製造においては、必要に応じて、分子量を調整するための末端封止剤を使用することができる。末端封止剤としては、低分子モノオール、低分子モノアミン等が挙げられる。
低分子モノオールとしては、C1〜10のもの、例えば脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、n−およびi−プロパノール、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール等)、芳香脂肪族アルコール(ベンジルアルコール等);低分子モノアミンとしては、C1〜18のもの、例えば脂肪族モノアミン[モノアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン等)等]が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂(PU)のMwは、無機繊維不織布の機械強度および加熱溶融時の粘度の観点から、好ましくは10,000〜100,000、さらに好ましくは1,5000〜60,000、また、Mnは同様の観点から好ましくは1,500〜30,000、さらに好ましくは2,000〜20,000である。
(PU)の軟化点は、バインダー(X)による無機繊維間の結合性の観点および後加工の作業性の観点から好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
(PU)のTgは、バインダー(X)貯蔵時のブロッキング防止の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは−40〜40℃、さらに好ましくは−20〜20℃である。
[ポリアミド樹脂]
ポリアミド樹脂(PA)には、ポリ(2〜6またはそれ以上)カルボン酸(エステル形成性誘導体も含む)(c1)と低分子ポリアミン(c2)との重縮合物、カルボキシル基とアミノ基を同一分子内に有する化合物(c3)の自己縮合物、およびラクタム(c4)の開環重縮合物等が含まれる。
ポリカルボン酸(c1)としては、前記ポリカルボン酸(a1)と同じものが挙げられる。
低分子ポリアミン(c2)としては、アミノ基1個当たりのMnが300未満(好ましくは分子量30以上かつMn250以下)の2価〜4価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリアミンが使用できる。(c2)には、2価アミン(c21)、3価〜4価またはそれ以上のポリアミン(c22)、並びにこれらの2種以上の混合物が含まれる。
2価アミン(c21)としては、脂肪族ジアミン[直鎖アミン(エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等)];分岐鎖を有するジアミン[3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジアミン等];脂環含有ジアミン[(1,4−ビス)ジアミノメチルシクロヘキサン、ダイマージアミン、イソホロンジアミン(以下IPDAと略記)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’および/または2,4’−ジアミン(以下PACMと略記)等];および芳香脂肪族ジアミン[ジフェニルメタン−4,4’および/または2,4’−ジアミン等]が挙げられる。
3価〜4価またはそれ以上のポリアミン(c22)としてはアルカンポリアミン[C4〜10、例えば3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等]が挙げられる。
上記(c21)、(c22)のうち無機繊維不織布の機械的強度および(PA)樹脂の着色防止の観点から好ましいのは脂肪族ジアミン、脂環含有ジアミン、さらに好ましいのは、エチレンジアミン、IPDA、PACM、ダイマージアミンである。
カルボキシル基とアミノ基を同一分子内に有する化合物(c3)の自己縮合物としては、C2〜C10、例えばグリシン、アラニン、グルタミン酸、γ−アミノ酪酸等のアミノ酸の自己縮合物が挙げられる。これらのうち無機繊維不織布の機械的強度およびポリアミド樹脂(PA)の着色防止の観点から好ましいのはグリシンおよびアラニンである。
ラクタム(c4)としては、C3〜20(好ましくは4〜12)のラクタム、例えばβ−ラクタム(β−プロピオラクタム等)、γ−ラクタム(γ−ブチロラクタム等)、δ−ラクタム(δ−バレロラクタム等)、ε−ラクタム(ε−カプロラクタム等)、大環状ラクタム(エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタム等)]、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのはγ−ブチロラクタムおよびε−カプロラクタムである。
上記ポリアミド樹脂(PA)のうち、重縮合反応時の迅速性および後述するFRP等への適用における無機繊維不織布へのスチレン等の浸透性の観点から好ましいのはポリカルボン酸(c1)と低分子ポリアミン(c2)との重縮合物、さらに好ましいのは、脂環含有ポリカルボン酸と脂環含有ポリアミンの重縮合物である。
(PA)製造の際、重縮合時の反応温度は、通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。該重縮合反応は通常常圧で反応させた後、必要により減圧(例えば40kPa以下)で行われる。また該反応は(PA)の着色防止の観点から窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
(c1)と(c2)の重縮合反応時の反応当量比(カルボキシル基/アミノ基の当量比)は、迅速な重縮合反応および得られる(PA)の安定性の観点から好ましくは0.6〜1.4、さらに好ましくは0.7〜1.2である。
得られる(PA)の酸価は、耐水性の観点から好ましくは10以下、さらに好ましくは0〜3である。
また、該重縮合反応では、反応促進のため、有機溶剤を加えて還流させることもできる。
有機溶剤としては、水酸基およびアミノ基のような活性水素基を有しないもの、例えば、炭化水素(トルエン、キシレン等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)が挙げられる。
有機溶剤の使用量は、(c1)と(c2)の合計重量に基づいて通常50%以下、生産性および安全性の観点から好ましくは5〜25%である。有機溶剤は無機繊維不織布の生産の観点から反応終了後は除去することが望ましい。
(C1)と(C2)の重縮合反応による(PA)は、通常次のようにして製造することができる。まず、冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管を備えた反応容器中に、前記のアミン成分および酸成分を仕込み、窒素雰囲気下で加熱し通常130〜220℃で4〜6時間反応させ、その後、必要により5〜40kPaの減圧下でさらに通常1〜5時間反応させることで、ポリアミド樹脂を製造することができる。
また、前記(c3)の自己縮合反応、および(c4)の開環重縮合反応は、上記(c1)と(c2)との重縮合反応における反応条件に準じて実施することができる。
ポリアミド樹脂(PA)のMwは、無機繊維不織布の機械的強度および樹脂の加熱溶融時の粘度の観点から、好ましくは4,000〜60,000、さらに好ましくは6,000〜25,000、Mnは同様の観点から好ましくは2,000〜15,000、さらに好ましくは3,000〜8,000である。
(PA)の軟化点は、無機繊維不織布の粘着性の発現防止とバインダー(X)による無機繊維ストランド間の結合性、および後加工の作業性の観点から好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
(PA)のTgは、バインダー(X)貯蔵時のブロッキング防止とバインダー(X)による無機繊維ストランド間の結合性の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは30〜60℃、さらに好ましくは45〜55℃である。
[ポリ酢酸ビニル樹脂]
ポリ酢酸ビニル樹脂(PV)には、公知の酢酸ビニルの重合物、またはエチレン−酢酸ビニルの共重合物が含まれる。該(共)重合物は、原料モノマーを(共)重合させて製造しても、また該(共)重合物の市販品を使用してもいずれでもよい。
上記(共)重合物の市販品のうち、酢酸ビニルの重合物としては、「デンカサクナール SN−17A」[商品名、電気化学工業(株)製]等、また、エチレン−酢酸ビニルの共重合物としては、「EVAFLEX 550」[商品名、三井デュポン・ポリケミカル(株)製]等が挙げられる。
ポリ酢酸ビニル樹脂(PV)のMwは、無機繊維不織布の機械的強度および加熱溶融時の粘度の観点から、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜400,000、また、Mnは同様の観点から好ましくは5,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜70,000である。
(PV)の軟化点は、バインダーを(X)用いた無機繊維不織布の粘着性発現防止およびバインダー(X)によるストランド間の結合性の観点から30〜90℃、さらに好ましくは40〜80℃である。
(PV)のTgは、バインダー(X)貯蔵時のブロッキング防止の観点、および該バインダー(X)を用いた無機繊維不織布の柔軟性の観点から好ましくは−40〜30℃、さらに好ましくは−30〜20℃である。
[樹脂粒子(A)]
本発明における樹脂粒子(A)は、前記樹脂を、例えば粉砕機「サンプルミル」[商品名、型番「SK-M10」、協立理工(株)製。以下同じ。]を用いて、通常、回転数10,000〜15,000rpmで1〜5分間粉砕して粒子状とした後、目開きの異なる篩を組み合わせる等で篩い分けることにより製造することができる。
本発明における樹脂粒子(A)の体積平均粒子径[Dv]は、粉体流動性、バインダー(X)の発塵性および後述する無機繊維不織布の機械的強度の観点から、好ましくは50〜500μm、さらに好ましくは75〜350μm、とくに好ましくは100〜250μmである。
ここにおいて、Dvはレーザー回折散乱法により求めることができ、測定装置としては、例えば粒度分布測定器[商品名「マイクロトラックMT3000II 粒度分析計」、日機装(株)製]が挙げられる。
[親水性微粒子(B)]
本発明のバインダー(X)において、(A)の表面の少なくとも一部を被覆する親水性微粒子(B)としては、ケイ素、アルミニウム、鉄、チタン、マグネシウム、およびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する酸化物、およびこれらの混合物からなる微粒子等が挙げられる。
酸化物としては、二酸化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらのうち、(A)のブロッキング防止およびバインダー散布時の歩留まり率の観点から、好ましいのはケイ素の酸化物および酸化チタンである。
(B)の使用量は、バインダー(X)のブロッキング防止および無機繊維間の結合性の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.05〜3%、とくに好ましくは0.1〜1%である。
ここで親水性微粒子(B)における親水性とは、水に濡れやすい特性をいう。200mlのビーカーに25℃の水100mlをいれ、その上に微粒子0.1gを散布する。このとき、微粒子が水中へ3時間以内に没するものを親水性微粒子と定義する。
なお、疎水性微粒子とは、上記の親水性微粒子の定義にあてはまらない微粒子を言う。
(B)の数平均一次粒子径は、1〜20nmであり、後述する比表面積の観点、および粉体流動性の観点から、好ましくは3〜10nmである。該粒子径が1nm未満のものは工業的に入手困難であり、20nmを超えるとバインダー(X)散布時の歩留まり率および無機繊維不織布の機械的強度が劣る。
該粒子径は透過型電子顕微鏡(以下TEM)の画像を解析することで求めることができ、測定装置としてはTEM[型番「H−7100」、(株)日立製作所製]と画像解析式粒度分布測定ソフトウェア[商品名「Mac−View」、(株)マウンテック製]等が挙げられる。
樹脂粒子(A)に上記親水性微粒子(B)を添加、混合することで、親水性微粒子(B)で少なくとも一部が被覆された樹脂粒子(A)を得ることができる。
ここにおいて、混合機としてはプラネタリーミキサー、ナウターミキサー、タンブラーミキサー等の粉体混合機が挙げられる。これらのうち混合効率の観点から、プラネタリーミキサー[例えば機器名「HIVIS MIX」、型番「T.K.HIVIS MIX F model.03」、特殊理化工業(株)製。以下同じ。]等が挙げられる。
混合条件としては、生産性および親水性微粒子(B)の被覆率の観点から、5〜40℃で、5〜90分混合するのが好ましい。
親水性微粒子(B)で被覆された樹脂粒子(A)のBET法による比表面積は、バインダー(X)散布時の歩留まり率の観点、およびバインダー(X)のブロッキング性の観点から、好ましくは0.3〜5.0m2/g、さらに好ましくは0.8〜3.0m2/gである。
ここにおいて、BET法における比表面積の測定装置としては、たとえば比表面積測定装置[商品名「トライスター3020」、(株)島津製作所製]等が挙げられる。
親水性微粒子(B)で被覆された樹脂粒子(A)の(B)による被覆率は、バインダー(X)散布時の歩留まり率の観点から好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
該被覆率は走査型電子顕微鏡(以下SEM)の画像を解析することで求めることができ、測定装置としてはSEM[型番「JSM−7000」、日本電子(株)製]と画像解析式粒度分布測定ソフトウェア[商品名「Mac−View」、(株)マウンテック製]等が挙げられる。
[無機繊維不織布]
本発明の無機繊維不織布は、無機繊維積層体と、親水性微粒子(B)で被覆された樹脂粒子(A)を含有する無機繊維不織布用バインダーから構成されるものである。
ここにおいて無機繊維とは、石、スラグ、ガラス等の溶融物を繊維化して得られる鉱物繊維、および炭素繊維等が含まれる。
上記溶融物は、所望の物性値を有する岩または鉱物を混合した鉱物組成物を炉内で溶融することによって形成される。鉱物繊維の具体例としては、ガラス繊維、ロックウール、ストーンウール等が挙げられる。これらの製造方法としては、遠心法(ロータリー法)、火焔吹き付け法、吹き飛ばし法等が挙げられ特に限定されることはない。
上記炭素繊維は、アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタール等の副生成物)を原料に高温で炭化して作成される繊維であり、アクリル繊維を使った炭素繊維はPAN(ポリアクリロニトリル)系、ピッチを使った炭素繊維はピッチ系と区分されるものである。
上記無機繊維のうち、工業上の観点から好ましいのはガラス繊維である。
本発明の無機繊維不織布は、具体的には例えば以下の工程で製造することができる。
(1)金網上に無機繊維を方向性無秩序に均一な厚みになるように散布して無機繊維積層体を得る。
(2)所定量の水道水を該積層体の上面または下面側から積層体表面全体が濡れるように霧吹きにて噴霧する。
(3)所定量のバインダー(X)を積層体の上面側から均一に散布して、付着させる。
(4)積層体表面の全体が湿るように霧吹きにて所定量の水道水を上面側から噴霧し、所定量のバインダー(X)を均一に散布して、付着させる。
(5)上記(4)の工程は必要により、さらに1回または2回以上繰り返してもよい。
(6)上記(5)までの工程で得られたバインダー(X)付着積層体を85〜200℃で1〜10分間加熱した後、ロールプレス機により0.01〜5MPaの圧力でプレスしてバインダー(X)で結合された無機繊維不織布を得る。
上記(2)、(4)および(5)で使用する水道水の噴霧量は、それぞれバインダー(X)を含まない無機繊維積層体の重量に基づいて、バインダー(X)の付着性および後工程での乾燥容易性の観点から、好ましくは10〜1000%、さらに好ましくは20〜700%である。
本発明のバインダー(X)の無機繊維積層体への散布時における前記歩留まり率(重量%)は、無機繊維不織布製造の工業的観点から好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、とくに好ましくは90%以上である。該歩留まり率は後述の方法で測定される。
無機繊維積層体の重量に基づくバインダー(X)の付着量(%)は、不織布の機械強度およびハンドリング性(柔軟性、後述する無機繊維強化プラスチック成形品作成時の成形型へのフィット性等、以下同じ)の観点から好ましくは1〜20%、さらに好ましくは2〜15%である。
バインダー(X)の付着量は、無機繊維がガラス繊維等の高耐熱性のものの場合は後述の無機繊維不織布の強熱減量(%)により求められるが、無機繊維が後述の炭素繊維のように該強熱減量が求められない場合は、無機繊維積層体に付着したバインダー(X)量を直接測定することで求めることができる。
無機繊維不織布の単位重量(目付量)は、通常、70〜900g/m2であるが、不織布の機械的強度および歩留り率の向上の観点から、好ましくは80〜250g/m2、さらに好ましくは90〜160g/m2である。
本発明の無機繊維不織布の引張強さの最大値と最小値の差は、不織布の柔軟性、機械的強度の均一性の観点から好ましくは45N以下、さらに好ましくは30N以下である。
また、本発明の無機繊維不織布の曲げ弾性率は、不織布の機械的強度および柔軟性の観点から好ましくは0.5〜3.0MPa、さらに好ましくは0.8〜2.8MPaである。
[無機繊維強化プラスチック成形品]
本発明の無機繊維強化プラスチック(FRP)成形品は、本発明の無機繊維不織布を強化材として成形してなる。該成形品の成形法については特に制限されることはなく、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、プリフォーム法、マッチドダイ法およびSMC法等が挙げられる。これらのうち例えばハンドレイアップ法は通常以下の手順で行われる。
(1)成形型表面に離型剤を塗布する。
(2)ローラー等を用いて均一な厚みになるよう室温(15〜25℃)でマトリックス樹脂(不飽和ポリエステル樹脂等)を成形型表面に塗布する。
(3)約40℃に温度調整した温風炉内で該樹脂をゲル化させる。
(4)無機繊維不織布を成形型表面にフィットさせ、マトリックス樹脂をスチレンモノマー等で希釈した溶液をローラー等により無機繊維不織布上に積層し、ローラーにより空気抜きを行う。
(5)積層体を温風炉内で硬化させる。
(6)型から取り出し成形品を得る。
ハンドレイアップ法を含む前記成形法で得られる成形品のマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、変性アクリル樹脂、フラン樹脂等)、および熱可塑性樹脂(ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂等)が挙げられる。
これらのうち、例えば上記ハンドレイアップ法の場合は、熱硬化性樹脂が用いられ、成形時の作業性の観点から好ましいのは、不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂である。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は特記する場合以外は重量%を表す。
実施例1<バインダー(X−1)の製造>
(1)ポリエステル樹脂(PS−1)の製造
反応容器中に、ビスフェノールAのEO2.2モル付加物3,365部、フマル酸1,123部、ジブチルスズオキサイド6部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で4時間反応させた。その後、200℃まで昇温し、2kPaの減圧下、同温度で6時間反応させた後、酸価16.0になったところで該樹脂を取り出した後、室温に冷却してポリエステル樹脂(PS−1)を得た。 (PS−1)の、Mwは30,000、Mnは2,800、軟化点は116℃、Tgは53℃であった。
(2)樹脂粒子(A−1)の製造
(PS−1)100部を「サンプルミル」を用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した。得られた樹脂粉末を目開き212μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き75μmの篩で篩い分けて、75μmの篩上に残った樹脂粒子(A−1)を得た。(A−1)のDvは140μmであった。
(3)バインダー(X−1)の製造
(A−1)10部に親水性微粒子「AEROSIL 380」[商品名、日本アエロジル(株)製、二酸化ケイ素、数平均一次粒子径 7nm](B−1)0.05部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−1)で被覆された樹脂粒子(A−1)からなるバインダー(X−1)を得た。(X−1)のBET法における比表面積は1.9m2/g、被覆率は85%であった。
実施例2<バインダー(X−2)の製造>
(1)バインダー(X−2)の製造
(A−1)10部に親水性微粒子「AEROSIL 380S」[商品名、日本アエロジル(株)製、二酸化ケイ素、数平均一次粒子径 5nm](B−2)0.05部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−2)で被覆された樹脂粒子(A−1)からなるバインダー(X−2)を得た。(X−2)のBET法における比表面積は1.5m2/g、被覆率は97%であった。
実施例3<バインダー(X−3)の製造>
(1)バインダー(X−3)の製造
(A−1)10部に親水性微粒子(B−1)0.1部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−1)で被覆された樹脂粒子(A−1)からなるバインダー(X−3)を得た。(X−3)のBET法における比表面積は2.8m2/g、被覆率は100%であった。
実施例4<バインダー(X−4)の製造>
(1)バインダー(X−4)の製造
(A−1)10部に親水性微粒子「AEROSIL 200」[商品名、日本アエロジル(株)製、二酸化ケイ素、数平均一次粒子径 12nm](B−3)0.05部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−3)で被覆された樹脂粒子(A−1)からなるバインダー(X−4)を得た。(X−4)のBET法における比表面積は0.65m2/g、被覆率は63%であった。
実施例5<バインダー(X−5)の製造>
(1)ポリウレタン樹脂(PU−1)の製造
[ウレタンプレポリマーの製造]
反応容器に、ポリカプロラクトンジオール[商品名「プラクセル220」、ダイセル化学工業(株)製、Mn2,000]2,000部を仕込み、0.4kPaの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてIPDI 457部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、イソシアネート基含量3.6%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(PP−1)を得た。
[伸長剤の製造]
反応容器に、エチレンジアミン50部とMIBK50部を仕込み、50℃で1時間反応させ、(伸長剤−1)を得た。
[ポリウレタン樹脂の製造]
反応容器に、(PP−1)1,222部、トルエン2,481部を仕込み、窒素雰囲気下で65℃まで昇温して(PP−1)を溶解させた。次に(伸長剤−1)30部を15分かけて滴下しながら仕込み、同温度で3時間反応させた。その後、n−ブチルアミンを36.5部加えて同温度で1時間反応させた。さらに150℃まで昇温して撹拌しながら2kPa下で4時間脱トルエンを行った後取り出し、室温に冷却してポリウレタン樹脂(PU−1)を得た。(PU−1)の、Mwは21,000、Mnは5,100、軟化点は108℃、Tgは−15℃であった。
(2)樹脂粒子(A−2)の製造
(PU−1)100部を液体窒素中(−196℃、以下同じ。)で10分間冷却した後、「サンプルミル」を用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した。その後実施例1と同様にして樹脂粒子(A−2)を得た。(A−2)のDvは119μmであった。
(3)バインダー(X−5)の製造
(A−2)10部に親水性微粒子(B−1)「AEROSIL 380」0.05部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−1)で被覆された樹脂粒子(A−2)からなるバインダー(X−5)を得た。(X−5)のBET法における比表面積は1.8m2/g、被覆率は77%であった。
実施例6<バインダー(X−6)の製造>
(1)ポリアミド樹脂(PA−1)の製造
反応容器に、ダイマー酸[商品名「EMPOL 1061」、コグニスジャパン(株)製]1,645部、IPDA540部を仕込み、窒素雰囲気下、160℃で2時間反応させた。その後、180℃および200℃で各2時間反応させた。次に5〜6kPaの減圧下で反応させ、酸価が2になったところで、取り出した後、室温に冷却してポリアミド樹脂(PA−1)を得た。(PA−1)の、Mwは19,000、Mnは7,600、軟化点は92℃、Tgは46℃であった。
(2)樹脂粒子(A−3)の製造
(PA−1)100部を「サンプルミル」を用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した。得られた樹脂粉末を目開き212μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き75μmの篩で篩い分けて、75μmの篩上に残った樹脂粒子(A−3)を得た。(A−3)のDvは155μmであった。
(3)バインダー(X−6)の製造
(A−3)10部に親水性微粒子「TTO−51(A)」[商品名、石原産業(株)製、酸化チタン、数平均一次粒子径 10nm](B−4)0.1部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−4)で被覆された樹脂粒子(A−3)からなるバインダー(X−6)を得た。(X−6)のBET法における比表面積は0.75m2/g、被覆率は80%であった。
実施例7<バインダー(X−7)の製造>
(1)樹脂粒子(A−4)の製造
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂[商品名「EVAFLEX550」、三井デュポン・ポリケミカル(株)製、Mw:100,000、Mn:23,000、軟化点:61℃、Tg:−26℃](PV−1)100部を液体窒素中で10分間冷却した後、「サンプルミル」を用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した。その後は実施例1の(2)と同様にして樹脂粒子(A−4)を得た。(A−4)のDvは160μmであった。
(2)バインダー(X−7)の製造
(A−4)10部に親水性微粒子(B−1)0.05部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−1)で被覆された樹脂粒子(A−4)からなるバインダー(X−7)を得た。(X−7)のBET法における比表面積は1.7m2/g、被覆率は91%であった。
実施例8<バインダー(X−8)の製造>
(1)樹脂粒子(A−5)の製造
(PS−1)100部を「サンプルミル」を用いて回転数12,000rpmで3分間粉砕した。得られた樹脂粉末を目開き323μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粒子(A−4)を得た。(A−4)のDvは225μmであった。
(2)バインダー(X−8)の製造
(A−5)10部に(B−2)0.02部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−2)で被覆された樹脂粒子(A−5)からなるバインダー(X−8)を得た。(X−8)のBET法における比表面積は1.0m2/g、被覆率は86%であった。
実施例9<バインダー(X−9)の製造>
(1)樹脂粒子(A−6)の製造
(PS−1)100部を「サンプルミル」を用いて回転数14,500rpmで4分間粉砕した。得られた樹脂粉末を目開き125μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き54μmの篩で篩い分けて、54μmの篩上に残った樹脂粒子(A−6)を得た。(A−6)のDvは105μmであった。
(2)バインダー(X−9)の製造
(A−6)10部に親水性微粒子「AEROSIL 130」[商品名、日本アエロジル(株)製、二酸化ケイ素、数平均一次粒子径 16nm](B−5)0.45部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−4)で被覆された樹脂粒子(A−6)からなるバインダー(X−9)を得た。(X−9)のBET法における比表面積は4.8m2/g、被覆率は100%であった。
実施例10<バインダー(X−10)の製造>
(A−2)10部に親水性微粒子「AEROSIL 255」[商品名、日本アエロジル(株)製、二酸化ケイ素、数平均一次粒子径 10nm](B−5)0.15部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B−5)で被覆された樹脂粒子(A−2)からなるバインダー(X−10)を得た。(X−10)のBET法における比表面積は3.0m2/g、被覆率は100%であった。
比較例1<バインダー(X’−1)の製造>
(A−1)10部に親水性微粒子「AEROSIL 50」[商品名、日本アエロジル(株)製、二酸化ケイ素、数平均一次粒子径 30nm](B’−1)0.05部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B’−1)で被覆された樹脂粒子(A−1)からなるバインダー(X’−1)を得た。(X’−1)のBET法における比表面積は0.6m2/g、被覆率は36%であった。
比較例2<バインダー(X’−2)の製造>
(A−1)10部に疎水性微粒子「AEROSIL R972」[商品名、日本アエロジル(株)製、二酸化ケイ素、数平均一次粒子径 16nm](B’−2)0.05部を加えた後、混合し、疎水性微粒子(B’−2)で被覆された樹脂粒子(A−1)からなるバインダー(X’−2)を得た。(X’−2)のBET法における比表面積は1.2m2/g、被覆率は55%であった。
比較例3<バインダー(X’−3)の製造>
(A−1)10部に親水性微粒子「レオロシール QS−09」[商品名、(株)トクヤマ製、二酸化ケイ素、数平均一次粒子径 23nm](B’−3)0.05部を加えた後、混合し、親水性微粒子(B’−3)で被覆された樹脂粒子(A−1)からなるバインダー(X’−3)を得た。(X’−3)のBET法における比表面積は0.4m2/g、被覆率は42%であった。
実施例11<ガラスチョップドストランド不織布(GM−1)の作成>
ガラスチョップドストランド用のガラスストランド(平均ストランド番手T=30tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm2、ストランド直径K=123.6μm)を、ガラスチョッパー[商品名「ガラスチョッパー」、東技研(株)製]を用いて約5cm長さに切断し、ガラスチョップドストランドを得た。離型処理したタテ75cm×ヨコ40cmの平板金型内に得られたガラスチョップドストランド30.0gを方向性無秩序に均一厚みになるよう散布してガラスチョップドストランド積層体とし、次に該積層体の上面側から該積層体の表面が湿る程度まで霧吹きにて水道水(30g)を均一噴霧した。
次に散布したガラスチョップドストランドの重量の10%相当量である3.0g[単位面積当たり10.0g/m2]のバインダー(X−1)を均一にガラスチョップドストランド積層体上に散布した。その後、200℃の循風乾燥機内で2分間、バインダーを溶融させ、その後、150℃に温度調整したロール型プレス機(圧力0.2MPa)により20m/分のスピードで加熱プレスし、厚さ.21mm、不織布の単位重量(1平方メートル当たり重量)109g/m2、強熱減量(測定方法は後述)8.6%のガラスチョップドストランド不織布(GM−1)を得た。なお、強熱減量は、後述のJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.3.2強熱減量」に準拠して測定した値である。
実施例12〜20
実施例11において、バインダー(X−1)を表1に従って他のバインダーに代えたこと以外は実施例11と同様にして、ガラスチョップドストランド不織布(GM−2)〜(GM−10)を得た。
実施例21<炭素繊維不織布(NW−1)の作成>
実施例11において、ガラスストランドに代えて炭素繊維[商品名「パイロフィルTR30S3L」、PAN系、繊維1m当たりの重量:200mg/m、三菱レイヨン(株)製]を用いた以外は実施例10と同様にして、炭素繊維積層体とし、次に該積層体の上面側から該積層体の表面が湿る程度まで霧吹きにて水道水(30g)を均一噴霧した。
次に炭素繊維の重量の10%相当量である3.0g[単位面積当たり10.0g/m2]のバインダー(X−1)を均一に炭素繊維積層体上に散布し、2.76gのバインダーを該炭素繊維積層体に付着させた。その後、実施例10と同様にして、厚さ0.28mm、不織布の単位重量109g/m2の炭素繊維不織布(NW−1)を得た。
比較例4
実施例11においてバインダー(X−1)に代えて(X’−1)を使用し、散布するバインダー量を5.0gに変えたこと以外は実施例11と同様にして、ガラスチョップドストランド不織布(GM’−1)を得た。
比較例5、6
比較例4において、バインダー(X’−1)を(X’−2)、(X’−3)に代えたこと以外は比較例4と同様にして、ガラスチョップドストランド不織布(GM’−2)、(GM’−3)を得た。
上記で得られた無機繊維不織布[ガラスチョップドストランド不織布(本発明においてGMと略記)および炭素繊維不織布(本発明においてNWと略記)]について以下の方法に従って性能評価した。結果を表1に示す。
<評価方法>
(1)GMの強熱減量(%)
JIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.3.2強熱減量」に準拠して測定される値で、マット重量に基づく、ガラス繊維を除く付着バインダー量の割合(%)を表す。具体的な測定手順は以下のとおりである。
1)試験片約5gを磁性るつぼに入れ、105℃で30分間乾燥させた後、デシケーター
内で室温まで放冷却し、0.1mg単位まで重量(m1)を測定する。該乾燥した試
験片入りるつぼを625℃に温度調整した電気炉内に入れ、扉を開いたまま5分間燃
焼させた後、扉を閉め、さらに10分間燃焼させた。その後試験片入り磁性るつぼを
取り出しデシケーター内で室温まで放冷却し、0.1mg単位まで重量(m2)を測
定する。
2)試験片を入れない空の上記るつぼを、105℃で30分間乾燥させた後、デシケータ ー内で室温まで放冷却し、0.1mg単位まで重量(m0)を測定する。
3)下記式から強熱減量を算出する。

強熱減量(%)=100×〔[(m1)−(m2)]/[(m1)−(m0)]〕
(2)歩留まり率(%)(バインダー散布時の歩留まり性の評価)
下記式から歩留まり率を算出する。

歩留まり率(%) = (W2/W1)×100

但し、W1:無機繊維積層体に対して散布したバインダー重量
W2:無機繊維積層体に付着したバインダー重量
GMの場合、W2は次の計算式から求められる。
W2 = GM重量×強熱減量/100
NWの場合、
W2は、バインダー散布前後の積層体の重量の差から求められる。
(3)無機繊維不織布の引張強度(N)(機械的強度の評価)
各GMから、タテ×ヨコ150mm×50mmの試験片を10枚ずつ切り出し、これらについてJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.4引張強さ」に準拠して引張強度を測定し、試験片10枚の平均値を得た。
(4)無機繊維不織布の引張強度の最大値と最小値の差(機械的強度の均一性の評価)
試験片10枚の引張強度の最大値と最小値の差を求め下記の基準で評価した。
<評価基準>
○:30N以下
△:30N超45N以下
×:45N超
Figure 0005411306
表1の結果から、本発明のバインダーを使用して得られた無機繊維不織布は、比較のバインダーを使用して得られた無機繊維不織布と比べ、バインダー散布時の歩留まり率がよく、本発明のバインダーは無機繊維不織布に均一な機械的強度を付与できることがわかる。
本発明のバインダーで無機繊維積層体を結合させてなる無機繊維不織布は、無機繊維強化プラスチック成形品用の強化材等として用いられ、該成形品は、自動車用部材(成形天井材等)、小型船舶(カヌー、ボート、ヨット、モーターボート等)の船体、住宅用部材(建材、バスタブ、浄化槽等)、風車のブレード等幅広い分野に適用されることから、極めて有用である。

Claims (10)

  1. 粒子表面の少なくとも一部が親水性微粒子(B)で被覆された樹脂粒子(A)を含有してなり、(B)の数平均一次粒子径が3〜10nmである無機繊維不織布用バインダー(X)。
  2. (A)を構成する樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂およびポリ酢酸ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のバインダー。
  3. (A)の重量に基づく(B)の割合が、0.01〜5重量%である請求項1または2記載のバインダー。
  4. 親水性微粒子(B)で被覆された樹脂粒子(A)の比表面積が0.3〜5.0m2/gである請求項1〜3のいずれか記載のバインダー。
  5. (B)が、ケイ素、アルミニウム、鉄、チタン、マグネシウムおよびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する酸化物である請求項1〜4のいずれか記載のバインダー。
  6. 無機繊維が、鉱物繊維および炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか記載のバインダー。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載のバインダーを用いて無機繊維積層体を結合させてなる無機繊維不織布。
  8. 請求項7記載の不織布を強化材として成形してなる無機繊維強化プラスチック成形品。
  9. プラスチック成形品が、自動車成形天井材、小型船舶船体、建材、バスタブ、浄化槽または風車のブレード用である請求項8記載の成形品。
  10. 無機繊維積層体にバインダーを散布し、加熱、溶融後、該積層体をプレス成形して不織布を製造する方法において、請求項1〜6のいずれか記載のバインダー(X)を用いることを特徴とする無機繊維不織布の製造方法。
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