JP5027762B2 - ガラスチョップドストランドマット用バインダー - Google Patents
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Description
また、一方でガラスチョップドストランドの積層体に付着せず、落下するバインダーがあり、本来ガラスチョップドストランドマットに必要とされる所定量以上のバインダーを供給しなければならないという欠点もあった。
すなわち本発明は、数平均円形度が0.8〜1.0で、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径が100〜400μmであり、かつ、100μm未満の粉末粒子の含有率が20重量%以下である球状合成樹脂粉末(A)を含有してなることを特徴とするガラスチョップドストランドマット用バインダーである。
また、ガラスチョップドストランドの積層体に付着せずに落下するバインダーが従来バインダーに比べ少なく、供給量を低減できるという効果を有する。
ここで、円形度とは、下記式で算出される値であり、粒子を顕微鏡で撮影し、その写真を画像処理することで測定、算出できる[例えば、(株)キーエンス製の顕微鏡VK−8500、およびその付属の同社製の形状解析ソフトVK−H1A7による画像解析;(株)セイシン企業製の粒度・形状分布測定器PITA−1]。
また、数平均円形度とは、後述する方法で求められる値である。
円形度=4πF/L2
但し、F:粒子の投影面積
L:粒子の投影周囲長
数平均円形度が0.8未満であると、積層体への均一付着性が損なわれやすい。本発明においては、全微粒子個々の円形度が上記の範囲にある必要はなく、円形度の数平均値が上記範囲であればよい。
なお、円形度については、「コンクリートの劣化・硬化過程の非接触全視野ひずみ計測」委員会研究成果報告書、第三章建設分野における光学的全視野計測を用いた実験・研究、3.6デジタル技術を用いた骨材の形状評価に解説されている。
この体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法による粒度分布測定機[例えば、日機装(株)製マイクロトラックFRA粒度分析計]で測定される。
体積平均粒子径が100μm未満ではバインダーがガラスチョップドストランドの積層体の専ら表面に分散、付着し、内部のガラス繊維の結着が不十分となる。これによりガラスチョップドストランドマットの表面側、裏面側および内部における強度間にバラツキが生じマットの品質が損なわれる。また、体積平均粒子径が400μmを超えると、バインダー粒子の自重増加で、該積層体に付着せずに積層体の隙間を抜けて、落下、散逸するバインダー量が増え、該積層体の単位重量当たりの付着バインダー量が減少する。これによりガラスチョップドストランドマットの性能確保の観点からさらに多くのバインダーの供給が必要となり、結果的に該マット全体が硬くなり、後の加工作業時の作業性が悪化することとなる。
ここで、この軟化点は、JIS K2207「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験方法(環球法)」に準拠して測定した値である。
ポリイソシアネート(a1)には、ジイソシアネートおよび3官能またはそれ以上の多官能イソシアネートが含まれ;例えば、炭素数(以下Cと略記)(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート(a11);C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート(a12);C6〜15の脂環式ポリイソシアネート(a13);C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(a14)[ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基およびオキサゾリドン基含有変性物など];およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
この低分子多官能活性水素含有化合物(a2)には、低分子ポリオール(a21)および低分子ポリアミン(a22)が挙げられる。
この低分子ポリオール(a21)としては、2価アルコール(a211)、3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a212)およびこれらのC2〜10のアルキレンオキサイド(以下AOと略記。)の低モル付加物;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの(a21)のうちの観点から好ましいものは脂肪族ジオールであり、さらに好ましいものは1,4−ブタンジオールおよびネオペンチルグリコールである。
これらの(a22)のうちガラスチョップドストランドマットの強度の観点から好ましいものは脂環式ジアミンおよび脂肪族ジアミンであり、特に好ましいものはイソホロンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
高分子ポリオール(a3)には、ポリエステルポリオール(a31)、ポリエーテルポリオール(a32)、およびこれら2種以上の混合物が含まれる。高分子ポリオール(a3)の水酸基1個当たりのMnは、ガラスチョップドストランドマットのしなやかさおよびガラスチョップドストランドマットの強度の観点から、好ましくは300〜10,000、さらに好ましくは500〜5,000、特に好ましくは800〜3,000である。
ポリカルボン酸類(a3111)の具体例としては、脂肪族ポリカルボン酸(官能基数2〜6、C3〜30のポリカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸)、芳香族ポリカルボン酸(官能基数2〜6、C8〜30のポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)、脂環式ジカルボン酸(官能基数2〜6、C6〜50のポリカルボン酸、例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸およびダイマー酸);これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(C1〜4)エステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなど)、酸ハライド(酸クロライドなど)、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちバインダーの軟化点の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1.5〜6重量%である。
これらのうちガラスチョップドストランドマットの強度および軟化点の観点から好ましいものはジアルカノールアミンであり、特に好ましいものはジエタノールアミンおよびジプロパノールアミンである。[場合により、アミノ基に対してイソシアネート基が過剰当量に存在する場合は、ヒドロキシル基もイソシアネート基との反応に関与して、伸長剤および架橋剤として作用する。]
これらのうちガラスチョップドストランドマットの強度の観点から好ましいものはヒドロキシル基を有しない脂肪族モノアミンであり、特に好ましいものはブチルアミン、オクチルアミン、2−エチルへキシルアミン、ジブチルアミンである。
例えば、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1当量に対する伸長剤の当量比は、好ましくは0.05〜1.5当量、さらに好ましくは0.1〜1.2当量である。また、停止剤の当量比は、通常0〜0.4当量、好ましくは0.05〜0.3当量であり、架橋剤の当量比は、通常0〜0.4当量、好ましくは0.02〜0.2当量である。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1当量に対する、伸長剤と停止剤と架橋剤の合計の当量比は好ましくは0.1〜2.3当量、さらに好ましくは0.3〜1.7当量である。
(1)樹脂の生成反応工程中に球状粒子を形成させて樹脂の分散体を得る方法、
(2)樹脂溶液から樹脂を沈殿させる方法、が挙げられる。
(1)分散剤を含有した水中で、ポリウレタン樹脂の水分散体を形成させ、該水分散体から樹脂粒子を分離乾燥して粉末(A)を得る方法(例えば特開平07−133423号および特開平08−120041号各公報に記載の方法)。
(2)ポリウレタン樹脂を溶解しない有機溶剤(n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなど)中でポリウレタン樹脂の非水分散体を形成させ、該非水分散体から樹脂粒子を分離乾燥して粉末(A)を得る方法(例えば特開平04−255755号公報に記載の方法)などが挙げられる。
これらのうちでは、多量の有機溶剤を使用せずしかも所望の形状・粒径の微粒子が容易に得られる点で(1)の方法が好ましい。
(1−1)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと伸長剤を、分散剤を含有する水中で分散機で分散させる製造法、
(1−2)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと伸長剤と停止剤を、分散剤を含有する水中で分散機で分散させる製造法、
(1−3)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを、分散剤と伸長剤および必要により停止剤を含有する水中で分散機で分散させる製造法などが挙げられる。
これらのうち数平均円形度を1.0に近づけ、100μm未満の粉末粒子を低減する観点から好ましいのは(1−1)の方法である。
高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は、好ましくは1,000〜30,000rpm、さらに好ましくは2,000〜10,000rpmである。分散時間は、好ましくは0.1〜5分である。回転数や分散時間がこれらの範囲内であれば好ましい体積平均粒子径の樹脂粒子が得られ易い。
本発明における球状合成樹脂粉末(A)のポリエステル樹脂(A2)としては、ポリカルボン酸類[例えば、前述のポリカルボン酸類(a3111)]と低分子ポリオール[例えば、前述の(a21)]との重縮合物、およびカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a41)の重縮合物などが挙げられる。
ポリエステル樹脂(A2)のうちで、ガラスチョップドストランドマットの強度およびしなやかさの観点から好ましいのはポリカルボン酸類(a3111)と低分子ポリオール(a21)との重縮合物であり、さらに好ましいものは、脂肪族ポリカルボン酸と芳香脂肪族ジオールのAO低モル付加物との重縮合物である。
(1)分散剤存在下、水系媒体中で予め酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンなどのケトン系有機溶剤で溶解したポリエステル樹脂(A2)を分散機で分散して、(A2)の水分散体を形成させ、この水分散体から樹脂粒子を分離乾燥して粉体を得る方法。
(2)上記有機溶剤溶液に貧溶剤(シクロヘキサン、石油エーテル等)を徐々に混合し、不溶化した微粒子を沈殿させるか、または上記有機溶剤溶液(トルエン、エチレングリコール等)を温度差(例えば高温の有機溶剤溶液を徐々に冷却する)を利用して微粒子を沈殿させ、該樹脂微粒子を分離乾燥して粉体を得る方法などが挙げられる。
これらのうちでは、多量の有機溶剤を使用せずしかも所望の形状・粒径の微粒子が容易に得られる点で(1)の方法が好ましい。
また、ポリエステル樹脂(A2)の重量に対する、分散剤と水からなる分散剤溶液の使用量は、好ましくは50〜1,000重量%、さらに好ましくは100〜1,000重量%である。50〜1,000重量%であればポリエステル樹脂(A2)の分散状態が良好になりやすく、好ましい体積平均粒子径の樹脂微粒子が得られ易い。
必要によりポリエステル樹脂(A2)の有機溶媒溶液を低粘度化するために40〜100℃に加温してもよい。
高速せん断式分散機[例えば、ヤマト科学(株)製ウルトラディスパーザー]を使用した場合、回転数は、好ましくは1,000〜30,000rpm、さらに好ましくは2,000〜10,000rpmである。分散時間は、好ましくは0.1〜5分である。回転数や分散時間がこれらの範囲内であれば好ましい体積平均粒子径の樹脂粒子が得られ易い。
なお、(B2)はガラスチョップドストランドマットをマトリックス樹脂(不飽和ポリエステル樹脂等)で固めてFRPに加工する際の硬化促進を目的とするものである。
高級脂肪酸としては、C8〜24、たとえばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等;
高級脂肪酸の塩としては、上記高級脂肪酸のアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、バリウム、マグネシウム等)、亜鉛、銅、ニッケル、コバルトおよびアルミニウム等の塩;
珪素または金属の酸化物としては、二酸化珪素(斜方晶、立法晶、六方晶および単斜晶等)、酸化珪素(無定形等)、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等、該炭化物としては、炭化珪素および炭化アルミニウム等、が挙げられる。
(B1)の市販品としては、アエロジルR972、アエロジル200[いずれも商品名、日本アエロジル(株)製]、レオロシール[商品名、(株)トクヤマ製]等が挙げられる。
これらの(B1)のうち、(A)の粉体流動性の観点から好ましいのは高級脂肪酸の金属塩および珪素または金属の酸化物である。
金属石鹸としては、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、ナフテン酸バリウム、オクテン酸マンガン等;
アミン化合物としては、N,N−ジメチルアニリン、O−トルイジン、モルホリン等、が挙げられる。
これらの(B2)のうち、樹脂との相溶性の観点から好ましいのはアミン化合物である。
有機難燃剤としては、ホスフェート〔芳香族モノホスフェート(トリクレジルホスフェート等)、芳香族ジホスフェート[レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等]等〕、芳香環含有ハロゲン化合物(デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA等)等が挙げられる。
無機難燃剤としては、アンチモン化合物や金属水酸化物等が挙げられる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等;
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等、が挙げられる。
これらの(B3)のうち、樹脂との相溶性の観点から好ましいのは有機難燃剤である。
(1)離型処理した平板金型内にガラスチョップドストランドを方向性無秩序に均一厚みになるように散布する。
(2)(1)のガラスチョップドストランドとほぼ同量の水道水をガラスチョップドストランドの表面が十分に湿るように霧吹きにて噴霧する。
(3)所定量のガラスチョップドストランドマット用バインダーを均一散布する。
(4)上記(1)〜(3)の操作を1〜3回またはそれ以上繰り返す。
(5)115〜170℃に加熱したプレス機によりプレスしてガラスチョップドストランドマットを得る。
K=20×[10T/(dπ)]1/2 (1)
式中、Kはガラスチョップドストランドの直径、すなわち、ガラス単繊維を約10〜数百本収束したストランドを円柱と見なした時の直径を表し、Tはガラスチョップドストランドの平均ストランド番手(tex)、dはガラス繊維の密度(g/cm3)、πは円周率を表す。
1)分散剤の製造
撹拌棒および温度計を備えた反応容器に、ポリカプロラクトンジオール(Mn2,000)787部、プロピレングリコールのPO/EOランダム付加物(Mn4,000、PO/EOの重量比=50/50)800部を仕込み、120℃で減圧脱水した。脱水後の水分は0.05%であった。次いでHDI 55.5部、水添MDI 65.5部およびジブチル錫ジラウレート0.6部を添加し80℃で5時間反応を行い、(分散剤−1)を得た。
撹拌棒および温度計を備えた反応容器に、ポリカプロラクトンジオール(Mn2,000)2,000部を投入し、0.4kPaの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてIPDI 457部を投入し、110℃で10時間反応を行い、イソシアネート基含量3.6%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー[プレポリマー(a−1)]を得た。
反応容器に、エチレンジアミン50部とMIBK50部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、(鎖伸長剤−1)を得た。
得られたプレポリマー(a−1)50部、(鎖伸長剤−1)0.6部を混合しておき、(分散剤−1)2部を水250部に希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザー[ヤマト科学(株)製]を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合した。混合後、撹拌棒および温度計を備えた反応容器に混合液を投入し、50℃で10時間反応を行った。次いでブロッキング防止剤のアエロジルR972[日本アエロジル(株)製。以下同じ。]0.5部を加え、濾別、乾燥を行い球状のポリウレタン樹脂の球状粉末(A1−1)50部を得た。
(A1−1)を構成するポリウレタン樹脂のMwは50,000、軟化点は98℃、Tgは−45℃、(A1−1)の、レーザー回折散乱法で測定された(以下同じ)体積平均粒子径は218μm、100μm未満の粒子の含有率は9%であり、顕微鏡写真による画像処理で測定された(以下同じ)数平均円形度は0.91であった。
1)ポリエステルの製造
冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管の付いた反応容器中にビスフェノールAのPO2モル付加物3,530部、ネオペンチルグリコール545部、フマル酸1,670部、ジブチル錫オキサイド3部を仕込み、窒素雰囲気中180℃で4時間反応させた。その後、200℃まで昇温し、3〜4kPaの減圧下で反応させ、酸価12.0になったところで180℃に冷却して取り出し、(ポリエステル−1)を得た。(ポリエステル−1)のMwは24,000、軟化点は113℃、Tgは46℃であった。
上記の(ポリエステル−1)100部を酢酸エチル200部に溶解、混合しておき、ノニルフェノールEO14モル付加物[ノニポール200、三洋化成工業(株)製。以下同じ。]4部を水500部に希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザー[ヤマト科学(株)製。以下同じ。]を使用し、回転数9,000rpmで5分間混合した。
次いでこの混合液を撹拌棒および温度計付きの反応容器に移し、50℃まで昇温し、20〜30kPaの減圧下で酢酸エチルを留去し、(ポリエステル−1)からなる粒子分散液を得た。次いでこの粒子分散液を遠心分離し、更に水を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した後、ブロッキング防止剤のアエロジルR972 1部を加え、乾燥して球状のポリエステル樹脂の球状粉末(A2−1)100部を得た。
(A2−1)の体積平均粒子径は193μm、100μm未満の粒子の含有率は11%、数平均円形度は0.93であった。
1)ポリエステルの製造
冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのEO2.2モル付加物3,365部、フマル酸1,123部、ジブチル錫オキサイド6部を仕込み、窒素雰囲気中180℃で4時間反応させた。その後、200℃まで昇温し、3〜4kPaの減圧下で反応し、210℃まで昇温し、酸価16.0になったところで180℃に冷却して取り出し、(ポリエステル−2)を得た。(ポリエステル−2)のMwは36,000、軟化点は116℃、Tgは53℃であった。
上記の(ポリエステル−2)100部を酢酸エチル200部に溶解、混合しておき、ノニルフェノールEO14モル付加物4部を水500部に希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザーを使用し、回転数9,000rpmで5分間混合した。次いでこの混合液を撹拌棒および温度計付きの反応容器に移し、50℃まで昇温し、20〜30kPaの減圧下で酢酸エチルを留去し、(ポリエステル−2)からなる粒子分散液を得た。次いでこの粒子分散液を遠心分離し、更に水を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した後、ブロッキング防止剤のアエロジルR972 1部を加え、乾燥して球状のポリエステル樹脂の球状粉末(A2−2)100部を得た。
(A2−2)の体積平均粒子径は206μm、100μm未満の粒子の含有率は8%、数平均円形度は0.95であった。
前記の(ポリエステル−1)100部を酢酸エチル200部に溶解、混合しておき、ノニルフェノールEO14モル付加物6部を水550部で希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザーを使用し、回転数10,000rpmで5分間混合した。以下製造例2と同様にして、(ポリエステル−1)からなる粒子分散液を得た。
さらに、製造例2と同様にして、球状のポリエステル樹脂の球状粉末(A2−3)100部を得た。(A2−3)の体積平均粒子径は135μm、100μm未満の粒子の含有率は17%、数平均円形度は0.97であった。
前記の(ポリエステル−2)100部を酢酸エチル100部に溶解、混合しておき、ノニルフェノールEO14モル付加物3部を水500部に希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザーを使用し、回転数9,000rpmで5分間混合した。以下製造例2と同様にして、(ポリエステル−2)からなる粒子分散液を得た。
さらに、製造例2と同様にして、球状のポリエステル樹脂の球状粉末(A2−4)100部を得た。(A2−4)の体積平均粒子径は225μm、100μm未満の粒子の含有率は7%、数平均円形度は0.87であった。
製造例2で得られた(ポリエステル−1)100部をサンプルミルで機械粉砕し、ブロッキング防止剤のアエロジルR972 1部を加え、ポリエステル樹脂の粉砕品(A2‘−1)95部を得た。(A2‘−1)の体積平均粒子径は223μm、100μm未満の粒子の含有率は26%、数平均円形度は0.56であった。
製造例3で得られた(ポリエステル−2)100部をサンプルミルで機械粉砕し、ブロッキング防止剤のアエロジルR972 1部を加え、ポリエステル樹脂の粉砕品(A2‘−2)95部を得た。(A2‘−2)の体積平均粒子径は157μm、100μm未満の粒子の含有率は56%、数平均円形度は0.71であった。
ガラスチョップドストランド用のガラスストランド(平均ストランド番手T=30tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm2、ストランド直径K=123.6μm)を東技研(株)製ガラスチョッパーを用いて約5cm長さに切断し、ガラスチョップドストランドとした。ここにおけるK、T、dの意味は前記と同じである。
離型処理した75cm×40cmの平板金型内に得られたガラスチョップドストランド45.0gを方向性無秩序に均一厚みになるよう散布し、次にガラスチョップドストランドの表面が湿る程度まで霧吹きにて水道水を噴霧した。
さらにガラスチョップドストランドの重量の3.0%相当量である1.35gのバインダー(A1−1)[以下においてバインダーの記号は、これを構成する前記樹脂の粉末の記号と同一とする。]を均一にガラスチョップドストランド上に散布した。さらにその上に、45.0gのガラスチョプドストランド散布、水道水噴霧、1.35gのバインダー散布の操作を2度繰り返した。従って、合計ガラスチョプドストランド135.0gに対してその3.00%相当量の4.05gのバインダーを散布した3層構造を形成した。
その後、150℃に加温したロール型プレス機により1.5m/分のスピードで加熱セットし、厚さ1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量450g/m2、強熱減量3.91gのガラスチョップドストランドマット(GM−1)を得た。
強熱減量は、通常ガラスチョップドストランド上に散布したバインダー量(重量%)の90%以上、好ましくは93%以上である。強熱減量が散布したバインダー量の90%より低いと、落下のバインダーが多く、かつガラスチョップドストランドマットの強度が不足することとなる。このマット強度不足を解消するには、バインダーの供給量を増やす必要があることから、マット生産時のコストアップを来たすこととなる。
バインダー(A2−1)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量449g/m2、強熱減量3.93gのガラスチョップドストランドマット(GM−2)を得た。
バインダー(A2−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量450g/m2、強熱減量3.91gのガラスチョップドストランドマット(GM−3)を得た。
バインダー(A2−3)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量450g/m2、強熱減量3.97gのガラスチョップドストランドマット(GM−4)を得た。
バインダー(A2−4)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量450g/m2、強熱減量3.87gのガラスチョップドストランドマット(GM−5)を得た。
バインダー(A2‘−1)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1
平方メートルあたりマットの単位重量448g/m2g、強熱減量3.55gのガラスチョップドストランドマット(GM‘−1)を得た。
バインダー(A2‘−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量448g/m2、強熱減量3.43gのガラスチョップドストランドマット(GM‘−2)を得た。
<軟化点>
JIS K2207「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験方法(環球法)」に準拠して、田中科学機器製作株式会社自動軟化点試験器ASP−5により測定した。
JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に準拠して、セイコー電子工業株式会社製RDC−220により測定した。
日機装株式会社製マイクロトラックFRA粒度分析計により測定した。
キーエンス製の顕微鏡VK−8500で写真撮影し、同社製の付属の形状解析ソフトVK−H1A7で画像解析を行い、数平均円形度を求めた。
ここで、数平均円形度とは、無作為に取り出した30個の粒子各々の円形度を測定し、これを数平均する操作を10回繰り返し、得られた10個の値を単純平均した値である。
ガラスチョップドストランドに対するバインダー供給量から、実施例と比較例のガラスチョップドストランドマット(GM−1)〜(GM‘−2)の強熱減量を差し引いた値を落下バインダー量(g)とした。
落下バインダー量(g)=バインダー供給量−強熱減量
実施例と比較例のガラスチョップドストランドマット(GM−1)〜(GM‘−2)それぞれを、350mm×65mmに切り出して試験片10枚ずつ作成し、これらをJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.4引張強さ」に準拠して測定した。10枚の平均値、および最大値と最小値の差を表1に示す。
実施例と比較例のガラスチョップドストランドマット(GM−1)〜(GM‘−2)それぞれを、2cm×15cmに切り出して試験片10枚ずつ作成し、これらをJIS L1096「一般織物試験方法」の「8.19.1剛軟性A法(45°カンチレバー法)」に準拠して測定した。剛軟度は試験片が移動した長さ(mm)で表し、表1に10枚の平均値、および最大値と最小値の差を示す。
Claims (7)
- 数平均円形度が0.8〜1.0で、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径が100〜400μmであり、かつ、100μm未満の粉末粒子の含有率が20重量%以下である球状合成樹脂粉末(A)を含有してなることを特徴とするガラスチョップドストランドマット用バインダー。
- (A)が、環球法による軟化点80〜150℃を有する請求項1記載のバインダー。
- (A)が、ポリウレタン樹脂(A1)からなる請求項1または2記載のバインダー。
- (A)が、40〜60℃のガラス転移温度を有するポリエステル樹脂(A2)からなる請求項1または2記載のバインダー。
- さらに、ブロッキング防止剤、硬化促進剤および難燃剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(B)を含有させてなる請求項1〜4のいずれか記載のバインダー。
- 請求項1〜5のいずれか記載のバインダーでガラスチョップドストランド積層体を結合させてなるガラスチョップドストランドマット。
- ガラスチョップドストランド散布、水散布およびバインダー散布からなる工程を経て形成されるガラスチョップドストランド積層体を加熱プレス成形してガラスチョップドストランドマットを製造する方法において、請求項1〜5のいずれか記載のバインダーを用いることを特徴とするガラスチョップドストランドマットの製造方法。
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