JP5027762B2 - ガラスチョップドストランドマット用バインダー - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスチョップドストランドマット用粉末状バインダーに関する。より詳細には、均一な、強度としなやかさを有し、後の加工作業(FRP成型時のマットの型枠へのフィッティング等)時の作業性が良好となるガラスチョップドストランドマットを提供するバインダーに関する。
ガラスチョップドストランドマットは、通常、繊維径約10μm前後のガラス単繊維数10〜数100本をサイジング剤にて集束してなるガラスストランドを所定の長さに切断して得られた多数本のガラスチョップドストランドを搬送用ネット上に方向性無秩序に分散積層させた後、この積層体にバインダー粉末を散布し、オーブンチャンバーで加熱することによりガラスチョップドストランド間をバインダーで結合させて得られる。このバインダーについては、従来から機械粉砕により粉末化された不飽和ポリエステル樹脂が多く使用されてきた(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、従来のバインダーは機械粉砕により粉末化されているため、粒子形状が不定形であるとともに、粒度(以下において粒径と同じ意味で用いる)分布幅が広いため、ガラスチョップドストランドマットに付与されるべき所定量のバインダー粉末をガラスチョップドストランドの積層体に供給しても、バインダー粉末が積層体の表面層に偏積し、内部のガラス繊維の結着が不十分となり、ガラスチョップドストランドマットの強度やしなやかさにバラツキが生じ、マットの品質が損なわれ、後の加工作業時の作業性が悪化する原因となっている。
また、一方でガラスチョップドストランドの積層体に付着せず、落下するバインダーがあり、本来ガラスチョップドストランドマットに必要とされる所定量以上のバインダーを供給しなければならないという欠点もあった。
特開昭57−55931号公報 特開2003−48255号公報
本発明の目的は、実質的にバインダーの供給量が低減でき、かつ均一な、強度としなやかさを有し、後の加工作業性に優れたガラスチョップドストランドマットとするのに好適なバインダーを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、数平均円形度が0.8〜1.0で、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径が100〜400μmであり、かつ、100μm未満の粉末粒子の含有率が20重量%以下である球状合成樹脂粉末(A)を含有してなることを特徴とするガラスチョップドストランドマット用バインダーである。
本発明のガラスチョップドストランドマット用バインダーを構成する球状合成樹脂粉末(A)は、形状が球形で定形であるとともに、粒度分布幅が狭いことから、ガラスチョップドストランドの積層体にバインダーが均一に付着するため、従来の課題であったガラスチョップドストランドマットの引張り強さなどの強度と剛軟度などのしなやかさのバラツキを効果的に防ぐことができ、FRP成型時のマットの型枠への賦形性(フィッティング性)が優れるなどの後の加工作業性に優れる。
また、ガラスチョップドストランドの積層体に付着せずに落下するバインダーが従来バインダーに比べ少なく、供給量を低減できるという効果を有する。
本発明における球状合成樹脂粉末(A)の数平均円形度は、0.8〜1.0、好ましくは0.85〜1.0、さらに好ましくは0.90〜1.0である。
ここで、円形度とは、下記式で算出される値であり、粒子を顕微鏡で撮影し、その写真を画像処理することで測定、算出できる[例えば、(株)キーエンス製の顕微鏡VK−8500、およびその付属の同社製の形状解析ソフトVK−H1A7による画像解析;(株)セイシン企業製の粒度・形状分布測定器PITA−1]。
また、数平均円形度とは、後述する方法で求められる値である。

円形度=4πF/L2

但し、F:粒子の投影面積
L:粒子の投影周囲長

数平均円形度が0.8未満であると、積層体への均一付着性が損なわれやすい。本発明においては、全微粒子個々の円形度が上記の範囲にある必要はなく、円形度の数平均値が上記範囲であればよい。
なお、円形度については、「コンクリートの劣化・硬化過程の非接触全視野ひずみ計測」委員会研究成果報告書、第三章建設分野における光学的全視野計測を用いた実験・研究、3.6デジタル技術を用いた骨材の形状評価に解説されている。
本発明のガラスチョップドストランドマット用バインダーを構成する(A)は、球形であることと一定の領域の粒子径を有することを要件とし、具体的にはその数平均円形度が0.8〜1.0で、体積平均粒子径が100〜400μmであり、かつ、100μm未満の粉末粒子の含有率が20重量%以下であることが必要である。
本発明における球状合成樹脂粉末(A)は、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径が100〜400μmであり、バインダーの均一付着性とバインダーの落下物低減の観点から、好ましくは120〜350μm、更に好ましくは130〜300μm、特に好ましくは135〜250μmである。
この体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法による粒度分布測定機[例えば、日機装(株)製マイクロトラックFRA粒度分析計]で測定される。
体積平均粒子径が100μm未満ではバインダーがガラスチョップドストランドの積層体の専ら表面に分散、付着し、内部のガラス繊維の結着が不十分となる。これによりガラスチョップドストランドマットの表面側、裏面側および内部における強度間にバラツキが生じマットの品質が損なわれる。また、体積平均粒子径が400μmを超えると、バインダー粒子の自重増加で、該積層体に付着せずに積層体の隙間を抜けて、落下、散逸するバインダー量が増え、該積層体の単位重量当たりの付着バインダー量が減少する。これによりガラスチョップドストランドマットの性能確保の観点からさらに多くのバインダーの供給が必要となり、結果的に該マット全体が硬くなり、後の加工作業時の作業性が悪化することとなる。
(A)中の100μm未満の粒子の割合は20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。20重量%を超えると積層体の専ら表面に分散、付着し、ガラス繊維の結着が不十分となりガラスチョップドストランドマットの表面側、裏面側および内部における強度間にバラツキが生じるばかりでなく、粉塵が発生し、作業環境が悪化する。
球状合成樹脂粉末(A)を構成する合成樹脂の環球法による軟化点は、ガラスチョップドストランドマットの、後の加工作業時の作業性(不都合な粘着性が生じない)およびマット成形温度(低く設定できる)、ガラス繊維間の結合の観点から、好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは90〜140℃である。
ここで、この軟化点は、JIS K2207「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験方法(環球法)」に準拠して測定した値である。
球状合成樹脂粉末(A)を構成する合成樹脂の組成としては、上記の数平均円形度、体積平均粒子径、100μm未満の粉末粒子の含有率を満足するものであればその合成樹脂の種類は特に限定されないが、例えばポリウレタン樹脂(A1)およびポリエステル樹脂(A2)が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(A1)は、通常、ポリイソシアネート(a1)と活性水素含有化合物を重付加反応させて得られる樹脂である。
ポリイソシアネート(a1)には、ジイソシアネートおよび3官能またはそれ以上の多官能イソシアネートが含まれ;例えば、炭素数(以下Cと略記)(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート(a11);C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート(a12);C6〜15の脂環式ポリイソシアネート(a13);C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(a14)[ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基およびオキサゾリドン基含有変性物など];およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香族ポリイソシアネート(a11)の具体例としては、例えば1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(以下TDIと略する)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略する)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI〔粗製ジアミノジフェニルメタン[ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物で、ジアミノジフェニルメタンと少量の(例えば5〜20重量%)3官能以上のポリアミンとの混合物]のホスゲン化物、一般的にポリアリールポリイソシアネート(以下PAPIと略する)と称する。〕、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート(a12)の具体例としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと略する)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート)、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネート(a13)の具体例としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下IPDIと略する)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’および/または2,4’−ジイソシアネート(以下水添MDIと略する)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、例えばm−および/またはp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネートの変性物(a14)の具体例としては、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビューレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート基含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうちで好ましいものは、経日による変色が少ないという点で良好な脂肪族および脂環式ポリイソシアネート、特に、HDI、IPDI、水添MDIである。
ポリイソシアネート(a1)と反応させる活性水素含有化合物としては、低分子多官能活性水素含有化合物(a2)および高分子ポリオール(a3)が挙げられる。
この低分子多官能活性水素含有化合物(a2)には、低分子ポリオール(a21)および低分子ポリアミン(a22)が挙げられる。
上記低分子ポリオール(a21)としては、水酸基1個当たりの数平均分子量[以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]300未満(好ましくは分子量31以上かつMn250以下)の2価〜10価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
この低分子ポリオール(a21)としては、2価アルコール(a211)、3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a212)およびこれらのC2〜10のアルキレンオキサイド(以下AOと略記。)の低モル付加物;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
AOとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略す)、プロピレンオキサイド(以下POと略す)、1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、C5〜10またはそれ以上のα−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリン;およびこれらの2種以上の組み合わせ(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。これらのうち好ましいものは、EO、PO、およびこれらの併用である。
2価アルコール(a211)の具体例としては、脂肪族ジオール[直鎖ジオール(C2〜10、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);分岐鎖を有するジオール(C3〜10、たとえばプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジオールなど)など];および環状基を有するジオール[C8以上かつMn600未満、たとえば1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−およびp−キシリレングリコール、2価フェノール(ビスフェノールAなど)の(ポリ)オキシアルキレンエーテル(アルキレン基のC2〜4)など]が挙げられる。
3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a212)の具体例としてはアルカンポリオール(C3〜30、たとえばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびそれらの分子間もしくは分子内脱水物[ジペンタエリスリトール、ポリグリセリン(重合度2〜8)、ソルビタンなど]、糖類およびその誘導体(配糖体)(蔗糖、メチルグルコシドなど)が挙げられる。
これらの(a21)のうちの観点から好ましいものは脂肪族ジオールであり、さらに好ましいものは1,4−ブタンジオールおよびネオペンチルグリコールである。
低分子多官能活性水素含有化合物(a2)としての低分子ポリアミン(a22)には、アミノ基に含まれる活性水素1個当たりのMnが300未満(好ましくは分子量30以上かつMn250以下)のジアミン(a221)および3官能またはそれ以上の多官能アミンが挙げられ、また、前述のポリイソシアネート(a1)のイソシアネート基がアミノ基に置き換わったポリアミン(a222)が含まれる。
ジアミン(a221)の具体例としては脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど)、芳香族ジアミン(ジエチルトルエンジアミンなど)、芳香脂肪族ジアミン(キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等)、複素環ジアミン(ピペラジンなど)が挙げられる。
ポリアミン(a222)の具体例としてはポリアルキレン(C2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど)、ポリフェニルメタンポリアミン(ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物など);およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの(a22)のうちガラスチョップドストランドマットの強度の観点から好ましいものは脂環式ジアミンおよび脂肪族ジアミンであり、特に好ましいものはイソホロンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
ポリイソシアネート(a1)と反応させる高分子ポリオール(a3)としては、水酸基1個当たりのMnが300以上の2価〜4価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
高分子ポリオール(a3)には、ポリエステルポリオール(a31)、ポリエーテルポリオール(a32)、およびこれら2種以上の混合物が含まれる。高分子ポリオール(a3)の水酸基1個当たりのMnは、ガラスチョップドストランドマットのしなやかさおよびガラスチョップドストランドマットの強度の観点から、好ましくは300〜10,000、さらに好ましくは500〜5,000、特に好ましくは800〜3,000である。
ポリエステルポリオール(a31)としては、例えば、縮合系ポリエステルポリオール(a311)(ポリオールとポリカルボン酸類との重縮合によるもの);ポリラクトンポリオール(a312)(ポリオールを開始剤としてラクトンモノマーを開環重合したもの);ポリカーボネートポリオール(a313)[ポリオールとアルキレン(C2〜4)カーボネート(エチレンカーボネートなど)との反応、ポリオールと、ホスゲン化カーボネートまたはジフェニルカーボネートとのエステル交換によるもの];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a311)、(a312)および(a313)におけるポリオールとしては低分子ポリオール[例えば、前述の(a21)]および/またはポリエーテルポリオール[例えば後述の(a32)]の1種以上が使用できる。
縮合系ポリエステルポリオール(a311)における ポリカルボン酸類(a3111)には、ポリカルボン酸自体だけでなく、そのエステル形成性誘導体が含まれる。
ポリカルボン酸類(a3111)の具体例としては、脂肪族ポリカルボン酸(官能基数2〜6、C3〜30のポリカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸)、芳香族ポリカルボン酸(官能基数2〜6、C8〜30のポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)、脂環式ジカルボン酸(官能基数2〜6、C6〜50のポリカルボン酸、例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸およびダイマー酸);これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(C1〜4)エステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなど)、酸ハライド(酸クロライドなど)、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちバインダーの軟化点の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
ポリラクトンポリオール(a312)におけるラクトンモノマーとしては、C3〜20(好ましくは4〜12)のラクトン、たとえばβ−ラクトン(β−プロピオラクトンなど)、γ−ラクトン(γ−ブチロラクトンなど)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトンなど)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトンなど)、大環状ラクトン(エナントラクトン、ウンデカノラクトン、ドデカラクトンなど)];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちガラスチョップドストランドマットの強度の観点から好ましいのは、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、およびこれらの混合物が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(a32)には、2個以上の活性水素原子を有する化合物にAOが付加した構造のものが含まれる。2個以上の活性水素原子を有する化合物としては、低分子ポリオール[例えば前記(a21)];2価のフェノール類[例えばビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)、単環フェノール類(カテコール、ハイドロキノンなど)];アミン類[1級モノアミン、例えばアルキルもしくはアルケニルアミン(C1〜20)、アニリン、アルカノールアミン(ヒドロキシルアルキル基のC2〜4)(後述の停止剤に挙げるものなど)、ポリアミン例えば前記(a22)、複素環ポリアミン、例えばピペラジン、アミノアルキル(C2〜4)ピペラジン(アミノエチルピペラジンなど)]などが挙げられる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(A1)のうち、ガラスチョップドストランドマットのしなやかさおよび強度の観点から好ましいものは、脂肪族ポリイソシアネート(a12)および/または脂環式ポリイソシアネート(a13)と高分子ポリオール(a3)との重付加反応物であり、さらに好ましいものは、脂環式ポリイソシアネート(a13)とポリエステルポリオール(a31)との重付加反応物である。
ポリウレタン樹脂(A1)の製造は、通常の方法で行うことができ、活性水素含有化合物とポリイソシアネート(a1)を全て一括して反応させる方法(ワンショット法)、およびこれらの反応成分の一部を予め反応させてイソシアネート基もしくは水酸基末端ウレタンプレポリマー(a)を経由して多段反応させる方法(プレポリマー法)などが挙げられる。(A)の体積平均粒子径の観点から好ましいのはプレポリマー法、特にイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと低分子多官能活性水素含有化合物(a2)(ここでは伸長剤および/または架橋剤として使用)および/または停止剤を反応させる方法である。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、好ましくはポリイソシアネート(a1)と高分子ポリオール(a3)および必要により低分子多官能活性水素含有化合物(a2)との反応により形成される。その際の(a1)と(a2)および(a3)の当量比は、(a1)1当量に対し、(a2)は通常0〜0.2当量、好ましくは0.05〜0.10当量、(a3)は通常0.1〜0.6当量、好ましくは0.2〜0.5当量である。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1.5〜6重量%である。
伸長剤としては、前述の(a21)の説明で挙げた2価アルコール(a211)(脂肪族ジオール、環状基を有するジオール等)、(a22)で挙げたジアミン(脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、芳香脂肪族ジアミン、複素環ジアミン等)、これらジアミンのケチミン化合物[ジアミンと、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(以下MIBKと略記)などのケトン類とのケチミン等]、および水が挙げられる。これらのうち(A)の体積平均粒子径の観点から好ましいのはケチミン化合物である。
架橋剤としては、(a21)の説明で挙げた3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a212)(グリセリン、トリメチロールプロパンなど)、および(a22)で挙げたポリアミン(a222)(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど)が挙げられる。
停止剤としては、C2〜4のヒドロキシアルキル基を1個もしくは2個有するモノアミン、及びヒドロキシル基を有しない脂肪族系(脂環式および脂肪族を含む)モノアミンが挙げられる。
停止剤としてのヒドロキシアルキル基を1個もしくは2個有するモノアミンとしては、モノアルカノールアミン[C2〜4、たとえばモノエタノールアミン、モノプロパノールアミン];ジアルカノールアミン[C4〜8、たとえばジエタノールアミン、ジプロパノールアミン]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうちガラスチョップドストランドマットの強度および軟化点の観点から好ましいものはジアルカノールアミンであり、特に好ましいものはジエタノールアミンおよびジプロパノールアミンである。[場合により、アミノ基に対してイソシアネート基が過剰当量に存在する場合は、ヒドロキシル基もイソシアネート基との反応に関与して、伸長剤および架橋剤として作用する。]
停止剤としてのヒドロキシル基を有しない脂肪族系モノアミンとしては、脂環式モノアミン[モノ−およびジ−シクロアルキル(C5〜18)アミン、例えばシクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等]、脂肪族モノアミン[モノ−およびジ−アルキルもしくはアルケニル(C1〜20)アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、2−エチルへキシルアミン、ノニルアミン、オレイルアミン、N−メチルブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうちガラスチョップドストランドマットの強度の観点から好ましいものはヒドロキシル基を有しない脂肪族モノアミンであり、特に好ましいものはブチルアミン、オクチルアミン、2−エチルへキシルアミン、ジブチルアミンである。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対する伸長剤、停止剤および架橋剤の仕込み比率は、所定の重量平均分子量[以下Mwと略記。測定はGPC法による。]のポリウレタン樹脂を形成する範囲で適宜選択される。
例えば、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1当量に対する伸長剤の当量比は、好ましくは0.05〜1.5当量、さらに好ましくは0.1〜1.2当量である。また、停止剤の当量比は、通常0〜0.4当量、好ましくは0.05〜0.3当量であり、架橋剤の当量比は、通常0〜0.4当量、好ましくは0.02〜0.2当量である。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1当量に対する、伸長剤と停止剤と架橋剤の合計の当量比は好ましくは0.1〜2.3当量、さらに好ましくは0.3〜1.7当量である。
また、ポリウレタン樹脂(A1)のMwは、通常10,000以上、好ましくは15,000〜1,000,000であり、Mnは、通常1,000以上、好ましくは1,500〜500,000である。
また、ポリウレタン樹脂(A1)の末端基は通常水酸基もしくはアミノ基であり、イソシアネート基ではない。
ポリウレタン樹脂(A1)を本発明の球状で得る方法としては、
(1)樹脂の生成反応工程中に球状粒子を形成させて樹脂の分散体を得る方法、
(2)樹脂溶液から樹脂を沈殿させる方法、が挙げられる。
本発明における球状合成樹脂粉末(A)の樹脂組成がポリウレタン樹脂(A1)の場合、その粒子の製造方法としては、
(1)分散剤を含有した水中で、ポリウレタン樹脂の水分散体を形成させ、該水分散体から樹脂粒子を分離乾燥して粉末(A)を得る方法(例えば特開平07−133423号および特開平08−120041号各公報に記載の方法)。
(2)ポリウレタン樹脂を溶解しない有機溶剤(n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなど)中でポリウレタン樹脂の非水分散体を形成させ、該非水分散体から樹脂粒子を分離乾燥して粉末(A)を得る方法(例えば特開平04−255755号公報に記載の方法)などが挙げられる。
これらのうちでは、多量の有機溶剤を使用せずしかも所望の形状・粒径の微粒子が容易に得られる点で(1)の方法が好ましい。
(1)の方法には、分散剤存在下、水系媒体中で、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、伸長剤および必要により停止剤、架橋剤を反応させることにより樹脂微粒子を得る方法が含まれる。
例えば、
(1−1)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと伸長剤を、分散剤を含有する水中で分散機で分散させる製造法、
(1−2)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと伸長剤と停止剤を、分散剤を含有する水中で分散機で分散させる製造法、
(1−3)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを、分散剤と伸長剤および必要により停止剤を含有する水中で分散機で分散させる製造法などが挙げられる。
これらのうち数平均円形度を1.0に近づけ、100μm未満の粉末粒子を低減する観点から好ましいのは(1−1)の方法である。
使用される分散剤としてはアニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性の界面活性剤、高分子型分散剤、およびこれらの併用が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、C8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸またはその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、C8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステルもしくはエーテル硫酸エステルまたはそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウムなど]、C8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、C8〜24の炭化水素基を1個もしくは2個有するスルホコハク酸塩、C8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステルもしくはエーテルリン酸エステルまたはそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、C8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]およびC8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコール(C8〜24)AO(C2〜8)付加物(重合度=1〜100)、多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール脂肪酸(C8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ソルビタン等]、脂肪酸(C8〜24)アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(C2〜8)(重合度=1〜100)アルキル(C1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(C2〜8)(重合度=1〜100)アルキル(C8〜24)アミンおよびアルキル(C8〜24)ジアルキル(C1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
高分子型分散剤としては、ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダなどのカルボキシル基含有(共)重合体、並びに特開平07−133423号公報および特開平08−120041号公報に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有する高分子型分散剤など[例えば、ポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたものなど]が使用できる。 これらの高分子型分散剤のMwは通常3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜100,000である。
これらの分散剤のうちで分散後の二次凝集防止の観点から好ましいものは、高分子型分散剤およびノニオン性界面活性剤であり、さらに好ましいものは上記公報に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有する高分子型分散剤である。
分散剤の使用量は、ポリウレタン樹脂の固形分に対して通常0.1〜5%(以下、特に断りのない限り%は重量%を表す)、好ましくは0.2〜4%である。また、分散剤は、水の重量に対し好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%である。0.01〜5%であれば好ましい体積平均粒子径の樹脂微粒子が得られ易い。また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの重量に対する、分散剤と水からなる分散剤溶液の使用量は、好ましくは50〜1,000%、さらに好ましくは100〜1,000%である。50〜1,000%であればイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの分散状態が良好になりやすく、好ましい体積平均粒径の樹脂微粒子が得られ易い。必要によりイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを低粘度化するために40〜100℃に加温してもよい。また、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、MIBKなど)、塩素系溶剤(ジクロルメタン、ジクロルエタン、トリクロルエタンなど)および/または芳香族系溶剤(トルエン、キシレンなど)などをイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して50重量%以下添加してもよい。
分散剤を含有する水中へのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの分散の方法として好ましいのは、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波式等の公知の分散機を使用する方法である。これらのうちさらに好ましい方法は高速せん断式分散機を使用する方法である。
高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は、好ましくは1,000〜30,000rpm、さらに好ましくは2,000〜10,000rpmである。分散時間は、好ましくは0.1〜5分である。回転数や分散時間がこれらの範囲内であれば好ましい体積平均粒子径の樹脂粒子が得られ易い。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、伸長剤および停止剤との反応時間は特に限定はなく、それらの反応性および反応温度などに応じて適宜採択される。例えば、反応温度が30℃の場合は、通常1〜40時間、好ましくは5〜20時間である。本発明の製法において、反応温度は通常0〜80℃、好ましくは20〜60℃である。
この分散体をフィルタープレス、スパクラーフィルター、遠心分離機等の公知の設備を使用して濾過または分離し、得られた粒子を乾燥することによりポリウレタン樹脂(A1)の粉末が得られる。粒子を乾燥するには、循風乾燥機、スプレードライヤー、流動層式乾燥機等の公知の設備を用いて行うことができる。
一方、本発明おける球状合成樹脂粉末(A)の樹脂組成がポリエステル樹脂(A2)の場合を以下に説明する。
本発明における球状合成樹脂粉末(A)のポリエステル樹脂(A2)としては、ポリカルボン酸類[例えば、前述のポリカルボン酸類(a3111)]と低分子ポリオール[例えば、前述の(a21)]との重縮合物、およびカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a41)の重縮合物などが挙げられる。
このカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a41)の具体例としては、C2〜6、たとえば乳酸、グリコール酸、β−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシ吉草酸;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエステル樹脂(A2)のうちで、ガラスチョップドストランドマットの強度およびしなやかさの観点から好ましいのはポリカルボン酸類(a3111)と低分子ポリオール(a21)との重縮合物であり、さらに好ましいものは、脂肪族ポリカルボン酸と芳香脂肪族ジオールのAO低モル付加物との重縮合物である。
ポリエステル樹脂(A2)の重縮合時の温度は通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。重合中の雰囲気は窒素などの不活性ガスの存在下で行うことが望ましい。重合時のポリカルボン酸類とポリオール類の当量比はカルボン酸基/水酸基の当量比で、好ましくは1/0.7〜1/1.1である。重縮合後の酸価は好ましくは20以下である。
ポリエステル樹脂(A2)のMwはガラスチョップドストランドマットの強度およびしなやかさの観点から5,000〜50,000が好ましい。
球状合成樹脂粉末(A)を構成する樹脂がポリエステル樹脂(A2)の場合、示差熱分析によるガラス転移温度(以下Tgと略記)は、通常40〜60℃、貯蔵時のブロッキングの防止および後の加工作業時の作業性の観点から好ましくは45〜55℃である。
球状合成樹脂粉末(A)がポリエステル樹脂(A2)の場合、その製造方法としては、
(1)分散剤存在下、水系媒体中で予め酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンなどのケトン系有機溶剤で溶解したポリエステル樹脂(A2)を分散機で分散して、(A2)の水分散体を形成させ、この水分散体から樹脂粒子を分離乾燥して粉体を得る方法。
(2)上記有機溶剤溶液に貧溶剤(シクロヘキサン、石油エーテル等)を徐々に混合し、不溶化した微粒子を沈殿させるか、または上記有機溶剤溶液(トルエン、エチレングリコール等)を温度差(例えば高温の有機溶剤溶液を徐々に冷却する)を利用して微粒子を沈殿させ、該樹脂微粒子を分離乾燥して粉体を得る方法などが挙げられる。
これらのうちでは、多量の有機溶剤を使用せずしかも所望の形状・粒径の微粒子が容易に得られる点で(1)の方法が好ましい。
使用される分散剤としては、前述のポリウレタン樹脂(A1)を球状粉末で得る方法と同じ分散剤が使用でき、前述の分散剤のうちで好ましいものは、高分子型分散剤およびノニオン性界面活性剤である。
分散剤の使用量は、樹脂の固形分に対して通常0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜8重量%である。また、分散剤は、水に対し好ましくは0.01〜7重量%、さらに好ましくは0.1〜5%重量である。0.01〜7%重量であれば好ましい体積平均粒子径の樹脂微粒子が得られ易い。
また、ポリエステル樹脂(A2)の重量に対する、分散剤と水からなる分散剤溶液の使用量は、好ましくは50〜1,000重量%、さらに好ましくは100〜1,000重量%である。50〜1,000重量%であればポリエステル樹脂(A2)の分散状態が良好になりやすく、好ましい体積平均粒子径の樹脂微粒子が得られ易い。
必要によりポリエステル樹脂(A2)の有機溶媒溶液を低粘度化するために40〜100℃に加温してもよい。
分散剤を含有する水中へのポリエステル樹脂(A2)の分散の方法としては、前述のポリウレタン樹脂(A1)を球状で得る方法と同じく、好ましいのは、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波式等の公知の分散機を使用する方法である。これらのうちさらに好ましい方法は高速せん断式の分散機を使用する方法である。
高速せん断式分散機[例えば、ヤマト科学(株)製ウルトラディスパーザー]を使用した場合、回転数は、好ましくは1,000〜30,000rpm、さらに好ましくは2,000〜10,000rpmである。分散時間は、好ましくは0.1〜5分である。回転数や分散時間がこれらの範囲内であれば好ましい体積平均粒子径の樹脂粒子が得られ易い。
この分散体をフィルタープレス、スパクラーフィルター、遠心分離機等の公知の設備を使用して濾過または分離し、得られた粒子を乾燥することによりポリエステル樹脂粉末が得られる。粒子を乾燥するには、循風乾燥機、スプレードライヤー、流動層式乾燥機等の公知の設備を用いて行うことができる。
球状合成樹脂粉末(A)を含有してなる本発明のガラスチョップドストランドマット用バインダーには、(A)以外に、前記の分散剤、および必要に応じて、ブロッキング防止剤(B1)、硬化促進剤(B2)および難燃剤(B3)からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(B)を含有させることができる。これらの添加剤(B)は、予め樹脂粉末(A)に含有させてもよいし、使用時に添加してもよい。
なお、(B2)はガラスチョップドストランドマットをマトリックス樹脂(不飽和ポリエステル樹脂等)で固めてFRPに加工する際の硬化促進を目的とするものである。
ブロッキング防止剤(B1)としては、高級脂肪酸またはその塩、珪素または金属の酸化物、珪素または金属の炭化物、またはこれらの混合物や複合組成物からなる微粒子等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、C8〜24、たとえばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等;
高級脂肪酸の塩としては、上記高級脂肪酸のアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、バリウム、マグネシウム等)、亜鉛、銅、ニッケル、コバルトおよびアルミニウム等の塩;
珪素または金属の酸化物としては、二酸化珪素(斜方晶、立法晶、六方晶および単斜晶等)、酸化珪素(無定形等)、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等、該炭化物としては、炭化珪素および炭化アルミニウム等、が挙げられる。
(B1)の市販品としては、アエロジルR972、アエロジル200[いずれも商品名、日本アエロジル(株)製]、レオロシール[商品名、(株)トクヤマ製]等が挙げられる。
これらの(B1)のうち、(A)の粉体流動性の観点から好ましいのは高級脂肪酸の金属塩および珪素または金属の酸化物である。
(B1)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常10%以下、(A)のブロッキング防止性および(A)のガラスチョップドストランド結着性の観点から好ましくは0.01〜8%、さらに好ましくは0.1〜5%である。
硬化促進剤(B2)としては、金属石鹸、アミン化合物等が挙げられる。
金属石鹸としては、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、ナフテン酸バリウム、オクテン酸マンガン等;
アミン化合物としては、N,N−ジメチルアニリン、O−トルイジン、モルホリン等、が挙げられる。
これらの(B2)のうち、樹脂との相溶性の観点から好ましいのはアミン化合物である。
(B2)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常10%以下、硬化速度および樹脂のガラス繊維への接着性の観点から好ましくは0.0001〜7.5%、さらに好ましくは0.001〜5%である。
難燃剤(B3)としては、有機および無機難燃剤が挙げられる。
有機難燃剤としては、ホスフェート〔芳香族モノホスフェート(トリクレジルホスフェート等)、芳香族ジホスフェート[レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等]等〕、芳香環含有ハロゲン化合物(デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA等)等が挙げられる。
無機難燃剤としては、アンチモン化合物や金属水酸化物等が挙げられる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等;
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等、が挙げられる。
これらの(B3)のうち、樹脂との相溶性の観点から好ましいのは有機難燃剤である。
(B3)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常20%以下、難燃性および前記不飽和ポリエステルの硬化の阻害防止の観点から好ましくは0.5〜10%、さらに好ましくは1.0〜5%である。
本発明のガラスチョップドストランドマットは例えば以下の手順で製造することができる。
(1)離型処理した平板金型内にガラスチョップドストランドを方向性無秩序に均一厚みになるように散布する。
(2)(1)のガラスチョップドストランドとほぼ同量の水道水をガラスチョップドストランドの表面が十分に湿るように霧吹きにて噴霧する。
(3)所定量のガラスチョップドストランドマット用バインダーを均一散布する。
(4)上記(1)〜(3)の操作を1〜3回またはそれ以上繰り返す。
(5)115〜170℃に加熱したプレス機によりプレスしてガラスチョップドストランドマットを得る。
本発明のバインダーを構成する球状合成樹脂粉末(A)の体積平均粒子径をD(μm)とした場合、該Dと、下記の式(1)から求められるガラスチョップドストランドの直径K(μm)との比[D/K]は、ガラスチョップドストランドマットの強度、均一性および該マット作成時のバインダー量の低減の観点から好ましくは0.1/1〜4/1、さらに好ましくは0.5/1〜3/1、とくに好ましくは1.3/1〜2/1である。

K=20×[10T/(dπ)]1/2 (1)

式中、Kはガラスチョップドストランドの直径、すなわち、ガラス単繊維を約10〜数百本収束したストランドを円柱と見なした時の直径を表し、Tはガラスチョップドストランドの平均ストランド番手(tex)、dはガラス繊維の密度(g/cm3)、πは円周率を表す。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
製造例1<ポリウレタン樹脂の球状粉末(A1−1)の製造>
1)分散剤の製造
撹拌棒および温度計を備えた反応容器に、ポリカプロラクトンジオール(Mn2,000)787部、プロピレングリコールのPO/EOランダム付加物(Mn4,000、PO/EOの重量比=50/50)800部を仕込み、120℃で減圧脱水した。脱水後の水分は0.05%であった。次いでHDI 55.5部、水添MDI 65.5部およびジブチル錫ジラウレート0.6部を添加し80℃で5時間反応を行い、(分散剤−1)を得た。
2)ウレタンプレポリマーの製造
撹拌棒および温度計を備えた反応容器に、ポリカプロラクトンジオール(Mn2,000)2,000部を投入し、0.4kPaの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてIPDI 457部を投入し、110℃で10時間反応を行い、イソシアネート基含量3.6%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー[プレポリマー(a−1)]を得た。
3)伸長剤の製造
反応容器に、エチレンジアミン50部とMIBK50部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、(鎖伸長剤−1)を得た。
4)ポリウレタン樹脂の球状粉末(A1−1)の製造
得られたプレポリマー(a−1)50部、(鎖伸長剤−1)0.6部を混合しておき、(分散剤−1)2部を水250部に希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザー[ヤマト科学(株)製]を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合した。混合後、撹拌棒および温度計を備えた反応容器に混合液を投入し、50℃で10時間反応を行った。次いでブロッキング防止剤のアエロジルR972[日本アエロジル(株)製。以下同じ。]0.5部を加え、濾別、乾燥を行い球状のポリウレタン樹脂の球状粉末(A1−1)50部を得た。
(A1−1)を構成するポリウレタン樹脂のMwは50,000、軟化点は98℃、Tgは−45℃、(A1−1)の、レーザー回折散乱法で測定された(以下同じ)体積平均粒子径は218μm、100μm未満の粒子の含有率は9%であり、顕微鏡写真による画像処理で測定された(以下同じ)数平均円形度は0.91であった。
製造例2<ポリエステル樹脂の球状粉末(A2−1)の製造>
1)ポリエステルの製造
冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管の付いた反応容器中にビスフェノールAのPO2モル付加物3,530部、ネオペンチルグリコール545部、フマル酸1,670部、ジブチル錫オキサイド3部を仕込み、窒素雰囲気中180℃で4時間反応させた。その後、200℃まで昇温し、3〜4kPaの減圧下で反応させ、酸価12.0になったところで180℃に冷却して取り出し、(ポリエステル−1)を得た。(ポリエステル−1)のMwは24,000、軟化点は113℃、Tgは46℃であった。
2)ポリエステル樹脂の球状粉末の製造
上記の(ポリエステル−1)100部を酢酸エチル200部に溶解、混合しておき、ノニルフェノールEO14モル付加物[ノニポール200、三洋化成工業(株)製。以下同じ。]4部を水500部に希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザー[ヤマト科学(株)製。以下同じ。]を使用し、回転数9,000rpmで5分間混合した。
次いでこの混合液を撹拌棒および温度計付きの反応容器に移し、50℃まで昇温し、20〜30kPaの減圧下で酢酸エチルを留去し、(ポリエステル−1)からなる粒子分散液を得た。次いでこの粒子分散液を遠心分離し、更に水を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した後、ブロッキング防止剤のアエロジルR972 1部を加え、乾燥して球状のポリエステル樹脂の球状粉末(A2−1)100部を得た。
(A2−1)の体積平均粒子径は193μm、100μm未満の粒子の含有率は11%、数平均円形度は0.93であった。
製造例3<ポリエステル樹脂の球状粉末(A2−2)の製造>
1)ポリエステルの製造
冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのEO2.2モル付加物3,365部、フマル酸1,123部、ジブチル錫オキサイド6部を仕込み、窒素雰囲気中180℃で4時間反応させた。その後、200℃まで昇温し、3〜4kPaの減圧下で反応し、210℃まで昇温し、酸価16.0になったところで180℃に冷却して取り出し、(ポリエステル−2)を得た。(ポリエステル−2)のMwは36,000、軟化点は116℃、Tgは53℃であった。
2)ポリエステル樹脂の球状粉末の製造
上記の(ポリエステル−2)100部を酢酸エチル200部に溶解、混合しておき、ノニルフェノールEO14モル付加物4部を水500部に希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザーを使用し、回転数9,000rpmで5分間混合した。次いでこの混合液を撹拌棒および温度計付きの反応容器に移し、50℃まで昇温し、20〜30kPaの減圧下で酢酸エチルを留去し、(ポリエステル−2)からなる粒子分散液を得た。次いでこの粒子分散液を遠心分離し、更に水を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した後、ブロッキング防止剤のアエロジルR972 1部を加え、乾燥して球状のポリエステル樹脂の球状粉末(A2−2)100部を得た。
(A2−2)の体積平均粒子径は206μm、100μm未満の粒子の含有率は8%、数平均円形度は0.95であった。
製造例4<ポリエステル樹脂の球状粉末(A2−3)の製造>
前記の(ポリエステル−1)100部を酢酸エチル200部に溶解、混合しておき、ノニルフェノールEO14モル付加物6部を水550部で希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザーを使用し、回転数10,000rpmで5分間混合した。以下製造例2と同様にして、(ポリエステル−1)からなる粒子分散液を得た。
さらに、製造例2と同様にして、球状のポリエステル樹脂の球状粉末(A2−3)100部を得た。(A2−3)の体積平均粒子径は135μm、100μm未満の粒子の含有率は17%、数平均円形度は0.97であった。
製造例5<ポリエステル樹脂の球状粉末(A2−4)の製造>
前記の(ポリエステル−2)100部を酢酸エチル100部に溶解、混合しておき、ノニルフェノールEO14モル付加物3部を水500部に希釈した液を添加した後、ウルトラディスパーザーを使用し、回転数9,000rpmで5分間混合した。以下製造例2と同様にして、(ポリエステル−2)からなる粒子分散液を得た。
さらに、製造例2と同様にして、球状のポリエステル樹脂の球状粉末(A2−4)100部を得た。(A2−4)の体積平均粒子径は225μm、100μm未満の粒子の含有率は7%、数平均円形度は0.87であった。
比較製造例1<ポリエステル樹脂の粉砕品(A2‘−1)の製造>
製造例2で得られた(ポリエステル−1)100部をサンプルミルで機械粉砕し、ブロッキング防止剤のアエロジルR972 1部を加え、ポリエステル樹脂の粉砕品(A2‘−1)95部を得た。(A2‘−1)の体積平均粒子径は223μm、100μm未満の粒子の含有率は26%、数平均円形度は0.56であった。
比較製造例2<ポリエステル樹脂の粉砕品(A2‘−2)の製造>
製造例3で得られた(ポリエステル−2)100部をサンプルミルで機械粉砕し、ブロッキング防止剤のアエロジルR972 1部を加え、ポリエステル樹脂の粉砕品(A2‘−2)95部を得た。(A2‘−2)の体積平均粒子径は157μm、100μm未満の粒子の含有率は56%、数平均円形度は0.71であった。
実施例1 <ガラスチョップドストランドマット(GM−1)の作成>
ガラスチョップドストランド用のガラスストランド(平均ストランド番手T=30tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm2、ストランド直径K=123.6μm)を東技研(株)製ガラスチョッパーを用いて約5cm長さに切断し、ガラスチョップドストランドとした。ここにおけるK、T、dの意味は前記と同じである。
離型処理した75cm×40cmの平板金型内に得られたガラスチョップドストランド45.0gを方向性無秩序に均一厚みになるよう散布し、次にガラスチョップドストランドの表面が湿る程度まで霧吹きにて水道水を噴霧した。
さらにガラスチョップドストランドの重量の3.0%相当量である1.35gのバインダー(A1−1)[以下においてバインダーの記号は、これを構成する前記樹脂の粉末の記号と同一とする。]を均一にガラスチョップドストランド上に散布した。さらにその上に、45.0gのガラスチョプドストランド散布、水道水噴霧、1.35gのバインダー散布の操作を2度繰り返した。従って、合計ガラスチョプドストランド135.0gに対してその3.00%相当量の4.05gのバインダーを散布した3層構造を形成した。
その後、150℃に加温したロール型プレス機により1.5m/分のスピードで加熱セットし、厚さ1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量450g/m2、強熱減量3.91gのガラスチョップドストランドマット(GM−1)を得た。
なお、強熱減量はJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.3.2強熱減量」に準拠して測定した値である。
強熱減量は、通常ガラスチョップドストランド上に散布したバインダー量(重量%)の90%以上、好ましくは93%以上である。強熱減量が散布したバインダー量の90%より低いと、落下のバインダーが多く、かつガラスチョップドストランドマットの強度が不足することとなる。このマット強度不足を解消するには、バインダーの供給量を増やす必要があることから、マット生産時のコストアップを来たすこととなる。
実施例2 <ガラスチョップドストランドマット(GM−2)の作成>
バインダー(A2−1)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量449g/m2、強熱減量3.93gのガラスチョップドストランドマット(GM−2)を得た。
実施例3 <ガラスチョップドストランドマット(GM−3)の作成>
バインダー(A2−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量450g/m2、強熱減量3.91gのガラスチョップドストランドマット(GM−3)を得た。
実施例4 <ガラスチョップドストランドマット(GM−4)の作成>
バインダー(A2−3)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量450g/m2、強熱減量3.97gのガラスチョップドストランドマット(GM−4)を得た。
実施例5 <ガラスチョップドストランドマット(GM−5)の作成>
バインダー(A2−4)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量450g/m2、強熱減量3.87gのガラスチョップドストランドマット(GM−5)を得た。
比較例1 <ガラスチョップドストランドマット(GM‘−1)の作成>
バインダー(A2‘−1)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1
平方メートルあたりマットの単位重量448g/m2g、強熱減量3.55gのガラスチョップドストランドマット(GM‘−1)を得た。
比較例2 <ガラスチョップドストランドマット(GM‘−2)の作成>
バインダー(A2‘−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、1平方メートルあたりマットの単位重量448g/m2、強熱減量3.43gのガラスチョップドストランドマット(GM‘−2)を得た。
本発明における評価方法は下記のとおりである。
<軟化点>
JIS K2207「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験方法(環球法)」に準拠して、田中科学機器製作株式会社自動軟化点試験器ASP−5により測定した。
<Tg>
JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に準拠して、セイコー電子工業株式会社製RDC−220により測定した。
<体積平均粒子径および100μm未満の粒子の含有率>
日機装株式会社製マイクロトラックFRA粒度分析計により測定した。
<数平均円形度>
キーエンス製の顕微鏡VK−8500で写真撮影し、同社製の付属の形状解析ソフトVK−H1A7で画像解析を行い、数平均円形度を求めた。
ここで、数平均円形度とは、無作為に取り出した30個の粒子各々の円形度を測定し、これを数平均する操作を10回繰り返し、得られた10個の値を単純平均した値である。
<落下バインダー量>
ガラスチョップドストランドに対するバインダー供給量から、実施例と比較例のガラスチョップドストランドマット(GM−1)〜(GM‘−2)の強熱減量を差し引いた値を落下バインダー量(g)とした。

落下バインダー量(g)=バインダー供給量−強熱減量
<ガラスチョップドストランドマットの引張強さの測定>
実施例と比較例のガラスチョップドストランドマット(GM−1)〜(GM‘−2)それぞれを、350mm×65mmに切り出して試験片10枚ずつ作成し、これらをJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.4引張強さ」に準拠して測定した。10枚の平均値、および最大値と最小値の差を表1に示す。
<ガラスチョップドストランドマットの剛軟度>
実施例と比較例のガラスチョップドストランドマット(GM−1)〜(GM‘−2)それぞれを、2cm×15cmに切り出して試験片10枚ずつ作成し、これらをJIS L1096「一般織物試験方法」の「8.19.1剛軟性A法(45°カンチレバー法)」に準拠して測定した。剛軟度は試験片が移動した長さ(mm)で表し、表1に10枚の平均値、および最大値と最小値の差を示す。
Figure 0005027762
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜5のガラスチョップドストランドマット用バインダーは、比較例1、2のバインダーに比べ、落下バインダー量が非常に少なく、バインダー供給量を低減することができることがわかる。また、得られたガラスチョップドストランドマットは強度(引張り強さ)としなやかさ(剛軟度)に優れ、かつそのバラツキも小さいことがわかる。
本発明のガラスチョップドストランド用バインダ−は後の加工作業性に優れたチョップドストランドマットをもたらすため、カヌー、ボート、ヨット、モーターボートなどの小型船舶の船体、一般家屋におけるバスタブ、浄化槽などのガラス繊維強化プラスチック(FRP)成形品に有効に使用することができ、極めて有用である。

Claims (7)

  1. 数平均円形度が0.8〜1.0で、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径が100〜400μmであり、かつ、100μm未満の粉末粒子の含有率が20重量%以下である球状合成樹脂粉末(A)を含有してなることを特徴とするガラスチョップドストランドマット用バインダー。
  2. (A)が、環球法による軟化点80〜150℃を有する請求項1記載のバインダー。
  3. (A)が、ポリウレタン樹脂(A1)からなる請求項1または2記載のバインダー。
  4. (A)が、40〜60℃のガラス転移温度を有するポリエステル樹脂(A2)からなる請求項1または2記載のバインダー。
  5. さらに、ブロッキング防止剤、硬化促進剤および難燃剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(B)を含有させてなる請求項1〜4のいずれか記載のバインダー。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載のバインダーでガラスチョップドストランド積層体を結合させてなるガラスチョップドストランドマット。
  7. ガラスチョップドストランド散布、水散布およびバインダー散布からなる工程を経て形成されるガラスチョップドストランド積層体を加熱プレス成形してガラスチョップドストランドマットを製造する方法において、請求項1〜5のいずれか記載のバインダーを用いることを特徴とするガラスチョップドストランドマットの製造方法。
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