JP2015157916A - ポリウレタン樹脂水性分散体 - Google Patents

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知身 横井
将浩 渡辺
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将浩 渡辺
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Yuki Nekohashi
祐貴 猫橋
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Abstract

【課題】 分散安定性、乾燥皮膜の耐水性及び機械物性のいずれにも優れるポリウレタン樹脂水性分散体を提供する。【解決手段】 一般式(1)で表されるジアミン(a1)を含有する活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)と水性媒体とを含有するポリウレタン樹脂水性分散体。【化1】[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数2〜10のアルキレン基を表し、AOは炭素数3〜12のオキシアルキレン基であり、複数個ある場合のAOは同一でも異なっていてもよく、aは1〜5の整数を表し、bは5〜100の整数を表し、cは0〜10の整数を表し、かつ10≰b+c≰110を満たし、cが1以上の場合、b個のオキシエチレン基とc個のオキシアルキレン基(AO)の結合形式はランダムでもブロックでもこれらの併用でもよい。]【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリウレタン樹脂水性分散体に関する。
従来、ポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法としては、ポリウレタン樹脂に乳化剤を混合し、機械的剪断により強制的に乳化分散する方法が採られていた(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法においては、良好な分散安定性を得るために多量の乳化剤が必要であり、この乳化剤の影響により、皮膜形成性が著しく阻害されるため、満足すべき物性を有する皮膜が得られ難いという問題があった。
特開平01−020221号公報
本発明の目的は、分散安定性、乾燥皮膜の耐水性及び機械物性のいずれにも優れるポリウレタン樹脂水性分散体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、一般式(1)で表されるジアミン(a1)を含有する活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)と水性媒体とを含有するポリウレタン樹脂水性分散体である。
Figure 2015157916
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数2〜10のアルキレン基を表し、AOは炭素数3〜12のオキシアルキレン基であり、複数個ある場合のAOは同一でも異なっていてもよく、aは1〜5の整数を表し、bは5〜100の整数を表し、cは0〜10の整数を表し、かつ10≦b+c≦110を満たし、cが1以上の場合、b個のオキシエチレン基とc個のオキシアルキレン基(AO)の結合形式はランダムでもブロックでもこれらの併用でもよい。]
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は分散安定性に優れ、乾燥皮膜の耐水性及び機械物性のいずれにも優れる乾燥皮膜を形成できる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、一般式(1)で表されるジアミン(a1)を含有する活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)と水性媒体とを含有する。
Figure 2015157916
一般式(1)中、複数個あるR1及びR2はそれぞれ独立に炭素数2〜10の2価の炭化水素基[直鎖又は分岐のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基及びデシレン基等)]である。
1及びR2は、得られる皮膜の耐水性及び機械物性の観点から、好ましいのは炭素数2〜5のアルキレン基であり、更に好ましいのはエチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基及び1,5−ペンチレン基である。
aは通常1〜5の整数を表し、機械物性の観点から好ましいのは1〜3である。
bは通常5〜100の整数であり、ポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から、7〜80が好ましく、更に好ましくは10〜60である。bが5より小さい場合はポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性が乏しく、経時で沈降が見られるなどの不具合が発生しやすい。また、100より大きい場合は、ポリウレタン樹脂の親水性が大きく耐水性が低下する不具合がある。
cは、通常0〜10の整数であり、分散安定性の観点から0〜8が好ましく、更に好ましくは0〜5である。10より大きい場合は、ポリウレタン樹脂の疎水性が高くなり、分散安定性が低下する不具合が発生する。
b及びcは、10≦b+c≦110を満たし、cが1以上の場合、b個のオキシエチレン基とc個のオキシアルキレン基(AO)の結合形式はランダムでもブロックでもこれらの併用でもよいが、分散安定性の観点から好ましいのはブロック形式であり、更に好ましいのは末端のブロック、即ち一般式(1)における窒素原子から最も遠い位置にあるブロックがポリオキシエチレンのブロックであるものである。
一般式(1)中のAOは炭素数3〜12のオキシアルキレン基であり、AOが複数ある場合それぞれ同一でも異なっていてもよく、分散安定性の観点から好ましいのは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、更に好ましいのはオキシ−1,2−プロピレン基である。
ジアミン(a1)は、例えばポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜10)ポリ(n=3〜7)アミン(ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等)のアミノ基をケトン[メチルエチルケトン(以下、MEKと略記)及びメチルイソブチルケトン等]でケチミン化したもののイミノ基に必須成分としてのエチレンオキサイド(以下、EOと略記)と任意成分としての炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを開環付加させて、ケチミン化した部分を加水分解してアミノ基を再生させることで得ることができる。
炭素数3〜12のアルキレンオキサイドとしては、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−又は2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記)、3−メチルテトラヒドロフラン、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)等が挙げられ、分散安定性の観点から炭素数3〜4のアルキレンオキサイドが好ましく、POが更に好ましい。炭素数3〜12のアルキレンオキサイドは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
EOと炭素数3〜12のアルキレンオキサイドの付加形式はランダム付加でもブロック付加でもこれらの併用でもよいが、分散安定性の観点から付加形式として好ましいのはブロック付加であり、更に好ましいのは末端のブロック、即ち一般式(1)における窒素原子から最も遠い位置にあるブロックがEOのブロック付加によるものである。
ジアミン(a1)以外の活性水素成分(A)としては、ポリオール(a2)、(a1)以外の親水性基と活性水素を有する化合物(a3)、鎖伸長剤(a4)及び反応停止剤(a5)等が挙げられる。
ポリオール(a2)としては、化学式量又は数平均分子量(以下、Mnと略記)が300以上の高分子ポリオール(a21)及び化学式量又はMnが300未満の低分子ポリオール(a22)が挙げられる。
本発明におけるポリオールのMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記)を用いて例えば以下の条件で測定することができる。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
・溶液注入量:10μl
・流量:0.6ml/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
化学式量又はMnが300以上の高分子ポリオール(a21)としては、ポリエーテルポリオール(a211)及びポリエステルポリオール(a212)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(a211)としては、脂肪族ポリエーテルポリオール及び芳香族環含有ポリエーテルポリオールが挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシエチレンポリオール(PEG等)、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリ(オキシプロピレン)グリコール等]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール及びポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールの市販品としては、PTMG1000[Mn=1,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]及びサンニックストリオールGP−3000[Mn=3,000のポリ(オキシプロピレン)トリオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのEO付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等]及びビスフェノールAのPO付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物及びビスフェノールAのPO5モル付加物等]等のビスフェノール骨格を有するポリオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
ポリエステルポリオール(a212)としては、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール及びヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールは、低分子量(化学式量又はMnが300未満)の多価アルコールと炭素数2〜10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とを反応させて得られるポリエステルポリオールである。
低分子量(化学式量又はMnが300未満)の多価アルコールとしては、化学式量又はMnが300未満の2価〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール及び化学式量又はMnが300未満の2価〜8価又はそれ以上のフェノールのAO低モル付加物が挙げられる。これらの内で好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAのEO又はPO低モル付加物及びこれらの併用である。
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる炭素数2〜10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの併用が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの市販品としては、サンエスター2610[Mn=1,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、サンエスター2620[Mn=2,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]及びサンエスター5620[Mn=2,000のポリネオペンチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールは、前記低分子量(化学式量又はMnが300未満)の多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4〜12のラクトン(例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前記低分子量(化学式量又はMnが300未満)の多価アルコールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。低分子量多価アルコール及びアルキレンカーボネートはそれぞれ2種以上併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)及びポリ[シクロヘキシレンビス(メチレン)/ヘキサメチレン]カーボネートジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、ニッポラン980R[Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製]、ニッポラン981[Mn=1,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製]、デュラノールG4672[Mn=2,000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、エタナコールUH−200[Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、宇部興産(株)製]及びエタナコールUM−90[Mn=900のポリ[シクロヘキシレンビス(メチレン)/ヘキサメチレン]カーボネートジオール、宇部興産(株)製]等が挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールには、ヒマシ油、及びポリオール又はAOで変性された変性ヒマシ油が含まれる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造できる。ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油、ヒマシ油のEO(4〜30モル)付加物等が挙げられる。
高分子ポリオール(a21)の内、機械物性の観点から、好ましいのはポリカーボネートジオールであり、その使用量は、活性水素成分(A)の重量に基づいて少なくとも30重量%であることが好ましい。
(a21)のMnは、ポリウレタン樹脂の機械強度の観点から、通常300以上、好ましくは300〜10,000、更に好ましくは300〜6,000である。
化学式量又はMnが300未満の低分子ポリオール(a22)としては、2価の脂肪族アルコール、3価の脂肪族アルコール及び4価以上の脂肪族アルコールが挙げられる。(a22)の内、破断強度、破断伸び等の樹脂の機械物性の観点から好ましいのは、2〜3価の脂肪族アルコールであり、脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールが特に好ましく、脂肪族3価アルコールとしては、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
本発明では、ポリウレタン樹脂の耐水性、機械強度を損ねない範囲で(a1)以外の親水性基と活性水素を有する化合物(a3)を用いることができ、前記(a3)としては、アニオン性基と活性水素を有する化合物(a31)及びカチオン性基と活性水素を含有する化合物(a32)等が挙げられる。
アニオン性基と活性水素を有する化合物(a31)としては、例えばアニオン性基としてカルボキシル基を有し、炭素数が2〜10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸)、酒石酸及びアミノ酸(例えばグリシン、アラニン及びバリン)等]、アニオン性基としてスルホン酸基を含有し、炭素数が2〜16の化合物[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸及びスルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル等]、アニオン性基としてスルファミン酸基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[N,N−ビス(2−ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等]等並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(a31)に用いられる中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1〜20のアミン又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
炭素数1〜20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
(a31)に用いられる中和剤として、(U)を水性分散体とした場合の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点から好ましいのは、25℃における蒸気圧が高い化合物であり、更に好ましいのはアンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミン、特に好ましいのはアンモニア、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びジエチルアミン、最も好ましいのはアンモニアである。
(a31)の内、得られる皮膜の機械物性及びポリウレタン樹脂(U)の分散安定性の観点から好ましいのは、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸及びこれらの塩であり、更に好ましいのは2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸のアンモニア又は炭素数1〜20のアミンによる中和塩である。
カチオン性基と活性水素を含有する化合物(a32)としては、例えば炭素数1〜20の3級アミノ基含有ジオール[N−アルキルジアルカノールアミン(例えばN−メチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルジプロパノールアミン)及びN,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(例えばN,N−ジメチルエタノールアミン)等]等の化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(a32)に用いられる中和剤としては、炭素数1〜10のモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロパン酸及び乳酸等)、炭酸、塩酸、燐酸、硫酸、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、メチルクロライド及びベンジルクロライド等が挙げられる。
(a32)に用いられる中和剤として、(U)を水性分散体とした場合の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点から好ましいのは、25℃における蒸気圧が高い化合物であり、更に好ましいのは炭素数1〜10のモノカルボン酸及び炭酸、特に好ましいのはギ酸及び炭酸、最も好ましいのは炭酸である。
また、(a32)に用いられる中和剤として、(U)を水性分散体とした場合の貯蔵安定性の観点から好ましいのは、沸点が50℃以上の中和剤であり、更に好ましいのはギ酸、酢酸及び乳酸、特に好ましいのはギ酸及び乳酸である。
(a31)及び(a32)における中和剤は、主としてポリウレタン樹脂(U)を水性分散体とする場合に用いられる。(a31)及び(a32)に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水性媒体への分散工程前、水性媒体への分散工程中又は水性媒体への分散後のいずれの時期に添加してもよいが、ポリウレタン樹脂(U)の安定性及び水性分散体の安定性の観点から、水性媒体への分散工程前又は水性媒体への分散工程中に添加することが好ましい。
ポリウレタン樹脂(U)を水性分散体とする場合の(U)中の親水性基の含有量は、(U)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜5mmol/g、更に好ましくは0.02〜3mmol/g、特に好ましくは0.02〜1mmol/gとなるよう調節する。
本発明における親水性基の含有量とは、未中和のカチオン性基又はアニオン性基のmmol/gを意味する。例えば、(a31)における親水性基の含有量は、2,2−ジメチロールプロピオン酸のトリエチルアミン塩の場合は、カルボキシル基(−COOH)のmmol/gを、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸のトリエチルアミン塩の場合はスルホン酸基(−SO3H)のmmol/gを指す。また、(a32)における親水性基の含有量は、3級アミノ基中の窒素原子のmmol/gを指す。
鎖伸長剤(a4)としては、水、炭素数2〜10のジアミン(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、ポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミン(ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等)、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及び炭素数2〜10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。
反応停止剤(a5)としては、炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)、炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン並びにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。(a1)以外の親水性基と活性水素を有する化合物(a3)としては、アニオン性基と活性水素を有する化合物(a31)及びカチオン性基と活性水素を含有する化合物(a32)等が挙げられる。
本発明における有機イソシアネート成分(B)としては、従来ポリウレタンの製造に使用されているものが使用でき、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)、炭素数4〜22の鎖状脂肪族ポリイソシアネート(b2)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)、炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(b5)等が挙げられる。有機イソシアネート成分(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、トリレンジイソシアネートをTDIと略記)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
(b1)〜(b4)のポリイソシアネートの変性物(b5)としては、前記ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等;遊離イソシアネート基含有量が通常8〜33重量%、好ましくは10〜30重量%、特に12〜29重量%のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物が挙げられる。
有機ポリイソシアネート成分(B)の内、得られる皮膜の機械物性の観点から好ましいのは(b1)、(b2)、(b3)及び(b4)であり、更に好ましいのは(b1)及び(b3)、特に好ましいのはMDI、IPDI及び水添MDIである。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)には、必要により酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、可塑剤及び離型剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤の使用量はポリウレタン樹脂(P)の重量に基づいて通常10重量%以下、好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)が、前記アニオン性基と活性水素を有する化合物(a31)の内のカルボキシル基を有し、炭素数が2〜10の化合物を用いたものである場合、(U)が有するカルボキシル基と反応性を有するエポキシ系架橋剤を添加することにより、分子内に架橋構造を導入することができ、耐水性及び耐溶剤性に優れた皮膜を形成することができる。
エポキシ系架橋剤としては、分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されず、例えば炭素数4〜40のもの(エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等)が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂(U)が水酸基又はアミノ基を有する場合、これらの基と反応性を有するブロックイソシアネート系架橋剤を添加することにより、分子内に架橋構造を導入することができ、耐水性及び耐溶剤性に優れた皮膜を形成することができる。
ポリウレタン樹脂(U)に水酸基を導入する方法としては、活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させる際に、(B)のイソシアネート基の当量に対して、(A)の水酸基の当量が過剰となる様に反応させる方法や、(A)と(B)から末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後にこれと前記反応停止剤(a5)としてのモノ又はジアルカノールアミン等を反応させる方法等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(U)にアミノ基を導入する方法としては、(A)と(B)から末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、このウレタンプレポリマーのイソシアネートの当量に対して過剰当量の前記鎖伸長剤(a4)としての炭素数2〜10のジアミン及び/又はポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミンを反応させる方法等が挙げられる。
ブロックイソシアネート系架橋剤は特に限定されず、例えば前記有機ポリイソシアネート成分(B)をブロック化剤(フェノール、チオフェノール、クロルフェノール、クレゾール、レゾルシノール、p−sec−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール及びp−ノニルフェノール等のフェノール類;イソプロピルアルコール及びtert−ブチルアルコール等の第2級又は第3級のアルコール;アセトキシム、メチルエチルケトキシム及びシクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、エチルメチルアミン等の1級炭素に結合した第2級アミン、ジイソプロピルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、イソプロピルシクロヘキシルアミン等の2級炭素に結合した第2級アミン、ジ−t−ブチルアミン等の3級炭素に結合した第2級アミン並びにイソプロピルエチルアミン等のその他の第2級アミン等の炭素数2〜15の脂肪族第2級アミン;ジフェニルアミン及びキシリジン等の芳香族第2級アミン類;フタル酸イミド類;ε−カプロラクタム及びδ−バレロラクタム等のラクタム類;マロン酸ジアルキルエステル、アセチルアセトン及びアセト酢酸アルキルエステル等の活性メチレン化合物;ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール及び3−メチル−5−フェニルピラゾール等のピラゾール系化合物;酸性亜硫酸ソーダ等)等でブロック化したものが挙げられる。
ブロックイソシアネート系架橋剤の市販品としては旭化成(株)製のデュラネートシリーズ(デュラネート22A−75P、24A−100、21S−75E、TPA−100、TKA−100、MFA−75B、MHG−80B、TLA−100、TSA−100、TSS−100、TSE−100、P301−75E、E402−80B、E405−70B、AE700−100、D101、D201、MFK60X及びA201H等)及び三井化学(株)製のタケネートシリーズ(タケネートD−103N、D−160N、D−140N、D−110N、D−181N、D−120N、D−165N90CX、D−204、D−170N、PWシリーズ及びBシリーズ等)等が挙げられる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)が架橋構造を有さず有機溶媒に可溶でMnが測定可能な場合、(U)のMnは機械強度、耐溶剤性及び耐水性の観点から、好ましくは2,000〜1,000,000、更に好ましくは5,000〜500,000、特に好ましくは7,500〜200,000である。
ポリウレタン樹脂(U)のMnはGPCを用いて例えば以下の条件で測定することができる。
・装置:「HLC−8120GPC」[東ソー(株)製]
・カラム:「Guardcolumn HXL−H」(1本)、「TSKgel GMHXL」(2本)[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
・溶液注入量:100μl
・流量:1ml/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリスチレン
ポリウレタン樹脂(U)の水性分散体を製造する方法としては、例えば、以下の[1]及び[2]の方法が挙げられる。
[1]活性水素成分(A)の内、ジアミン(a1)、ジオール(a21)、ポリオール(a22)、並びに必要により(a1)以外の親水性基と活性水素を有する化合物(a3)、鎖伸長剤(a4)及び反応停止剤(a5)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、有機溶媒(J)の存在下又は非存在下で一段又は多段で反応させてポリウレタン樹脂(U)を形成し、必要により(a3)により導入された親水基部分を中和又は四級化により塩を形成させ、有機溶媒(J)及び/又は界面活性剤の存在下又は非存在下で水性媒体に分散する方法。
[2]活性水素成分(A)の内、ジアミン(a1)、ポリオール(a2)、(a1)以外の親水性基と活性水素を有する化合物(a3)並びに必要により鎖伸長剤(a4)及び反応停止剤(a5)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、有機溶媒(J)の存在下又は非存在下で一段又は多段でウレタンプレポリマーを形成し、次いで必要により該プレポリマーの(a3)により導入された親水基部分を中和又は四級化により塩として、有機溶媒(J)、界面活性剤、鎖伸長剤(a4)及び/又は鎖停止剤(a5)の存在下又は非存在下で水性媒体に分散して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応[水及び/又は(a4)による鎖伸長、及び必要により(a5)による鎖停止]させる方法。
本発明における有機溶媒(J)としてはケトン系溶媒(例えばアセトン及びMEK)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル及びγ−ブチロラクトン)、エーテル系溶媒(例えばTHF)、アミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチルカプロラクタム)、アルコール系溶媒(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶媒(例えばトルエン及びキシレン)等が挙げられる。これらの有機溶媒(J)は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明における水性媒体とは、水又は水と前記有機溶媒(J)との混合物を意味する。
本発明ではポリウレタン樹脂の機械強度及び耐水性を損なわない範囲で界面活性剤を使用することができ、その界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びその他の乳化分散剤等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えばAO付加型ノニオン性界面活性剤及び多価アルコール型ノニオン性界面活性剤が挙げられる。AO付加型としては、炭素数10〜20の脂肪族アルコールのEO付加物、フェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO付加物、炭素数8〜22のアルキルアミンのEO付加物及びポリ(オキシプロピレン)グリコールのEO付加物等が挙げられ、多価アルコール型としては、多価(3〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエート等)及びアルキル(炭素数4〜24)ポリ(重合度1〜10)グリコシド等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステル又はエーテル硫酸エステル及びそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等];炭素数8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]並びにアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
その他の乳化分散剤としては、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基含有(共)重合体及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン基又はエステル基を有する乳化分散剤[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂水性分散体を製造する前記方法[1]について以下に説明する。
この方法におけるポリウレタン樹脂は、活性水素成分(A)の内、ジアミン(a1)、ポリオール(a2)、並びに必要により(a1)以外の親水性基と活性水素を有する化合物(a3)、鎖伸長剤(a4)及び反応停止剤(a5)とを、有機ポリイソシアネート成分(B)と有機溶媒(J)の存在下又は非存在下で反応させることにより得られる。反応温度は好ましくは100〜250℃、更に好ましくは150℃〜250℃、特に好ましくは180℃〜220℃である。
前記ウレタン化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン化反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、アミン触媒、例えばトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン及び米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(サンアプロ社製「DBU」)等];錫系触媒、例えばジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレート及びオクチル酸錫;チタン系触媒、例えばテトラブチルチタネート;ビスマス系触媒、例えばトリオクチル酸ビスマス;等が挙げられる。
ウレタン化反応を行うための反応容器は、加熱、撹拌可能な反応容器であれば問題なく使用できるが、撹拌強度、密閉性及び加熱能力の観点から、一軸又は二軸の混練機を用いるのが好ましい。一軸又は二軸の混練機としては、コンティニアスニーダー[(株)栗本鐵工所製]及びPCM30[池貝(株)製]等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(U)又はこれらの有機溶媒溶液を、必要により(a3)により導入された親水基部分を中和又は四級化により塩として、又は前述の界面活性剤の存在下、水性媒体に分散させることにより本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体が得られる。
水性媒体に使用される有機溶媒(J)は、分散性の観点から水溶性の有機溶媒であることが好ましい。(J)を使用した場合には、ポリウレタン樹脂水性分散体製造後に必要によりこれを留去してもよい。
有機溶媒(J)を使用する場合の水と有機溶媒(J)との重量比[水/(J)]は、ポリウレタン樹脂(U)の分散性の観点から、好ましくは99/1〜50/50である。
ポリウレタン樹脂(U)又はこれらの有機溶媒溶液を水性媒体に分散させるための分散混合装置としては、回転式分散混合装置、メディア式分散混合装置及び高圧式分散混合装置等が挙げられるが、温度調整、固体粒子の供給及び分散能力等の観点から回転式分散混合装置が好ましい。
回転式分散混合装置としては、例えばTKホモミキサー[プライミクス(株)製]、クレアミックス[エムテクニック(株)製]、フィルミックス[プライミクス(株)製]、ウルトラターラックス[IKA(株)製]、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、キャビトロン[ユーロテック社製]及びバイオミキサー[日本精機(株)製]等が挙げられる。
回転式分散混合装置としては、これらの回転式分散混合装置から選ばれる2種類以上の装置を併用してもかまわない。
尚、これらの回転式分散混合装置を使用する際の回転数は、ポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から、通常100〜30,000rpm、好ましくは500〜30,000rpm、更に好ましくは1,000〜30,000rpm、特に好ましくは2,000〜30,000rpmである。
回転式分散混合装置を用いて分散混合処理する際の分散液の温度は、ポリウレタン樹脂(U)の分解や劣化等を防ぐ観点から、ポリウレタン樹脂(U)の溶融温度未満、好ましくは溶融温度よりも5℃以上低い温度で室温以上の温度、更に好ましくは溶融温度よりも10〜120℃低い温度で室温以上の温度であることが好ましい。
回転式分散混合装置に供給されるポリウレタン樹脂(U)と水性媒体の重量比は、目的とする水性分散体の樹脂成分含有量によって適宜選択されるが、好ましくはポリウレタン樹脂/水性媒体=10/2〜10/100、更に好ましくは10/5〜10/50である。
また、ポリウレタン樹脂(U)と水性媒体との回転式分散混合装置内の滞留時間は、好ましくは0.1〜60分、更に好ましくは10〜30分である。
ポリウレタン樹脂水性分散体を製造する前記方法[2]について以下に説明する。
この方法におけるウレタンプレポリマーは、活性水素成分(A)の内、ジアミン(a1)、ポリオール(a2)、並びに必要により(a1)以外の親水性基と活性水素を有する化合物(a3)、鎖伸長剤(a4)及び反応停止剤(a5)とを有機ポリイソシアネート成分(B)と有機溶媒(J)の存在下又は非存在下に、活性水素含有基(カルボキシル基、スルホン酸基及びスルファミン酸基を除く)に対するイソシアネート基の当量比率が好ましくは1.01〜3、更に好ましくは1.1〜2となる割合でウレタン化反応させることにより形成される。
ウレタンプレポリマー化反応は、好ましくは20℃〜150℃、更に好ましくは60℃〜110℃の反応温度で行われ、反応時間は好ましくは2〜15時間である。ウレタンプレポリマーは好ましくは0.1〜5重量%のイソシアネート基を有する。
ウレタンプレポリマー化反応においては反応を促進させるため、必要により上述のウレタン化反応に使用される触媒を使用してもよい。
得られたウレタンプレポリマー又はその有機溶媒溶液を、必要により該プレポリマーの(a1)及び/又は(a3)により導入された親水基部分を中和又は四級化により塩として、有機溶媒(J)、前述の界面活性剤、鎖伸長剤(a4)及び/又は鎖停止剤(a5)の存在下又は非存在下で水性媒体に分散して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応[水による鎖伸長並びに必要により(a4)による鎖伸長及び(a5)による鎖停止]させることにより本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体(PE)を得ることができる。
ウレタンプレポリマー又はその有機溶媒溶液を水性媒体に乳化分散させる装置の方式は特に限定されず、例えば、(1)錨型撹拌方式、(2)回転子−固定子式方式[例えばエバラマイルダー(荏原製作所(株)製)]、(3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、(4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、(5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社製)]、(6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、(7)高圧衝撃式[例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社製)]、(8)膜乳化式[例えば膜乳化モジュール]、及び(9)遠心薄膜接触式[例えば「フィルミックス」(プライミックス社製)]等の乳化機が挙げられる。これらの内、好ましいのは、(1)及び(2)である。
界面活性剤は、ポリウレタン樹脂(U)のウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水性媒体分散工程前、水性媒体分散工程中又は水性媒体分散後のいずれの時期に添加してもよいが、(U)の分散性及び水性媒体性分散体の安定性の観点から、水性媒体分散工程前又は水性媒体分散工程中に添加することが好ましい。
ポリウレタン樹脂水性分散体から得られる皮膜の耐水性の観点からは界面活性剤を使用しないことが好ましいが、界面活性剤を使用する場合のその使用量は、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
本発明において、ポリウレタン樹脂(U)の体積平均粒子径は、ポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜1μm、更に好ましくは0.02〜0.7μm、特に好ましくは0.03〜0.5μmである。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体は、上述の有機溶媒(J)を含有してもよいが、臭気、経時安定性、環境負荷、安全性及び生産コスト等の観点からは、有機溶媒の含有量は水性分散体の重量に基づいて、10,000ppm以下であることが好ましく、更に好ましくは8,000ppm以下、特に好ましくは5,000ppm以下である。
ポリウレタン樹脂(U)の有機溶媒溶液を製造する方法としては、例えば、活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを前記有機溶媒(J)中で反応させる方法が挙げられる。
反応方法としては(A)と(B)と(J)を一括して反応容器に仕込み反応させる方法、(J)の存在下に(A)と(B)とを分割して多段反応をさせる方法、及び予め混合した(A)と(B)と(J)とを加熱された多軸押出し機中を通過させて反応させる方法等、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられる反応形態が適用できる。
反応温度は通常30〜180℃、好ましくは60〜120℃である。また、反応を促進させるため前記ウレタン化触媒を使用することができる。
ポリウレタン樹脂(U)を、媒体を含まない固形樹脂等の形態で得る方法としては、(U)の有機溶媒溶液を得る方法において有機溶媒(J)を使用せずに(A)と(B)を反応させる方法や、前記(U)の水性分散体、懸濁重合によって得られた(U)の分散液又は(U)の有機溶媒溶液から水性媒体又は有機溶媒を除く方法等が挙げられる。
本発明のジアミン(a1)を用いたポリウレタン樹脂は、界面活性剤を使用して乳化分散させていない事から、耐水性が高く、機械物性に優れることから、塗料、コーティング剤(防汚コーティング剤等)、繊維加工処理剤(顔料捺染用バインダー、不織布用バインダー、補強繊維用集束剤、抗菌剤用バインダー及び合成皮革用原料等)、紙処理剤等に幅広く使用することができる。
これらの用途に用いる場合には、必要によりその他の添加剤、例えば塗膜形成補助樹脂、触媒、顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤等を1種又は2種以上添加することができる。
本発明の樹脂水性分散体を水性塗料に用いる場合、塗膜形成補助やバインダー機能の向上等を目的として、必要により(U)以外に、他の水性媒体分散性樹脂又は水溶性樹脂を併用していてもよい。
水性塗料に併用される他の水性媒体分散性樹脂又は水溶性樹脂としては、例えば本発明におけるポリウレタン樹脂(U)以外の水性媒体分散性又は水溶性のポリウレタン樹脂、ビニル系樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの他の樹脂は、水性塗料の用途毎に、各用途で常用されるもの等から適宜選択することができる。
水性塗料における本発明のポリウレタン樹脂(U)の含有量は、水性塗料中の樹脂固形分の重量に基づいて好ましくは0.1〜100重量%、更に好ましくは1〜100重量%である。
水性塗料は、更に架橋剤、顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤、凍結防止剤及び水等を1種又は2種以上含有することができる。
顔料としては、水への溶解度が1以下の無機顔料(例えば白色顔料、黒色顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料及びメタリック顔料)並びに有機顔料(例えば天然有機顔料合成系有機顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、顔料色素型アゾ顔料、水溶性染料からつくるアゾレーキ、難溶性染料からつくるアゾレーキ、塩基性染料からつくるレーキ、酸性染料からつくるレーキ、キサンタンレーキ、アントラキノンレーキ、バット染料からの顔料及びフタロシアニン顔料)等が挙げられる。顔料の含有量は、水性塗料の重量に基づいて好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
顔料分散剤としては、上述の界面活性剤が使用でき、顔料分散剤の含有量は、顔料の重量に基づいて好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。
粘度調整剤としては増粘剤、例えば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイト等)、セルロース系粘度調整剤(Mnが20,000以上のメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等)、タンパク質系粘度調整剤(カゼイン、カゼインソーダ及びカゼインアンモニウム等)、アクリル系粘度調整剤(Mnが20,000以上のポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸アンモニウム等)、ビニル系粘度調整剤(Mnが20,000以上のポリビニルアルコール等)及び会合型粘度調整剤等が挙げられる。
消泡剤としては、長鎖アルコール(オクチルアルコール等)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレート等)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン及びポリエーテル変性シリコーン等)等が挙げられる。
防腐剤としては、有機窒素硫黄化合物系防腐剤及び有機硫黄ハロゲン化物系防腐剤等が挙げられる。
劣化防止剤及び安定化剤(紫外線吸収剤及び酸化防止剤等)としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系及びベンゾトリアゾール系劣化防止剤及び安定化剤等が挙げられる。
凍結防止剤としては、エチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。
粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤の含有量は、水性塗料の重量に基づいてそれぞれ好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。
水性塗料には、乾燥後の塗膜外観を向上させる目的で更に溶媒を添加してもよい。添加する溶媒としては例えば炭素数1〜20の1価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール及び2−エチルヘキサノール等)、炭素数1〜20のグリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコール等)、炭素数1〜20の3価以上のアルコール(グリセリン等)及び炭素数1〜20のセロソルブ類(メチル及びエチルセロソルブ等)等が使用できる。添加する溶媒の含有量は、水性塗料の重量に基づいて、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。
本発明の樹脂水性分散体を用いた水性塗料は、本発明の樹脂水性分散体と前記記載の各成分を混合、撹拌することで製造される。混合の際は全ての成分を同時に混合しても、各成分を段階的に投入して混合してもよい。
水性塗料の固形分濃度は、好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは15〜60重量%である。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下において部は重量部を、%は重量%を表す。
製造例1 [ジアミン(a1−1)の製造]
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に、ジエチレントリアミン386部、メチルイソブチルケトン1124部を仕込み、120±5℃で生成水を反応系中から留去しつつ10時間反応させ、ジエチレントリアミンの両末端のアミノ基をメチルイソブチルケトンでケチミン化したケチミン化合物を得た。続いて撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、前記ケチミン化合物100部を入れ、水酸化カリウム2部仕込み、反応容器内を0.01MPaまで減圧した。次いで120±10℃でEO725部を21時間かけて吹き込み、前記ケチミン化合物のイミノ基にEOが付加した化合物を得た。続いて撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に前記ケチミン化合物のイミノ基にEOが付加した化合物100部とイオン交換水2部を仕込んで90℃で1時間攪拌した後、90℃で熱時ろ過を行い別の撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に移し、イオン交換水15部を仕込んで90±5℃で生成するメチルイソブチルケトンを反応系中から留去しつつ10時間反応させ、減圧脱水を行いジエチレントリアミンのイミノ基のみにEOが付加したジアミン(a1−1)を得た。
製造例2 [ジアミン(a1−2)の製造]
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に、ジエチレントリアミン386部、メチルイソブチルケトン1124部を仕込み、120±5℃で生成水を反応系中から留去しつつ10時間反応させ、ジエチレントリアミンの両末端のアミノ基をメチルイソブチルケトンでケチミン化したケチミン化合物を得た。続いて撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、前記ケチミン化合物100部を入れ、水酸化カリウム2部仕込み、反応容器内を0.01MPaまで減圧した。次いで120±10℃でPO 95.6部を5時間かけて吹き込んだ後、EO 371部を21時間かけて吹き込み、前記ケチミン化合物のイミノ基にPOとEOが付加した化合物を得た。続いて撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に前記ケチミン化合物のイミノ基にPOとEOが付加した化合物100部とイオン交換水2部を仕込んで90℃で1時間攪拌した後、90℃で熱時ろ過を行い別の撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に移し、イオン交換水15部を仕込んで90±5℃で生成するメチルイソブチルケトンを反応系中から留去しつつ10時間反応させ、減圧脱水を行いジエチレントリアミンのイミノ基のみにPOとEOが付加したジアミン(a1−2)を得た
製造例3 [ジアミン(a1−3)の製造]
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に、テトラエチレンペンタミン386部、メチルイソブチルケトン1124部を仕込み、120±5℃で生成水を反応系中から留去しつつ10時間反応させ、テトラエチレンペンタミンの両末端のアミノ基をメチルイソブチルケトンでケチミン化したケチミン化合物を得た。続いて撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、前記ケチミン化合物100部を入れ、水酸化カリウム2部仕込み、反応容器内を0.01MPaまで減圧した。続いて、120±10℃でEO 565部を21時間かけて吹き込み、前記ケチミン化合物のイミノ基にEOが付加した化合物を得た。続いて撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に前記ケチミン化合物のイミノ基にEOが付加した化合物100部とイオン交換水2部を仕込んで90℃で1時間攪拌した後、90℃で熱時ろ過を行い別の撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製反応釜に移し、イオン交換水15部を仕込んで90±5℃で生成するメチルイソブチルケトンを反応系中から留去しつつ10時間反応させ、減圧脱水を行いテトラエチレンペンタミンのイミノ基のみにEOが付加したジアミン(a1−3)を得た
製造例4 [ジアミン(a1−4)の製造]
EOの吹き込み量を73部に変更する以外は製造例1と同様にして、ジエチレントリアミンのイミノ基のみにEOが付加したジアミン(a1−4)を得た。
比較製造例1 [ジアミン(a1’−1)の製造]
EOの吹き込み量を1741部に変更する以外は製造例1と同様にして、ジエチレントリアミンのイミノ基のみにEOが付加したジアミン(a1’−1)を得た。
比較製造例2 [ジアミン(a1’−2)の製造]
POの吹き込み量を382部に、EOの吹き込み量を371部にする以外は製造例2と同様にして、ジエチレントリアミンのイミノ基のみにPOとEOが付加したジアミン(a1’−2)を得た。
実施例1 [ポリウレタン樹脂水性分散体(PE−1)の製造]
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に、表1に記載のポリオール(a2)としてのデュラノールG4672[旭化成ケミカルズ(株)製;Mn=2,000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール]200部及び1,4−ブタンジオール0.36部、有機溶剤(J)としてのMEK450部並びに有機ポリイソシアネート成分(B)としてのIPDI 66.6部を仕込み、85℃で5時間攪拌してウレタン化反応した後30℃以下に冷却して一般式(1)で表されるジアミン(a1)としてのジアミン(a1−1)を滴下し、2時間攪拌することでジアミン(a1)を含有するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのMEK溶液を製造した。ウレタンプレポリマーのMEK溶液の固形分当たりのイソシアネート含量は0.051mol/gであった。得られたウレタンプレポリマーのMEK溶液を40℃で撹拌しながらイオン交換水373部を滴下し、60rpmで30分間攪拌後、67℃に昇温し、減圧下で5時間かけてMEKを留去してポリウレタン樹脂水性分散体(PE−1)を得た。
実施例2〜5 [ポリウレタン樹脂水性分散体(PE−2)〜(PE−5)]
仕込み原料を表1に記載のものに代える以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂水性分散体(PE−2)〜(PE−5)を得た。
比較例1 [ポリウレタン樹脂水性分散体(PE’−1)の製造]
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に、表1に記載のポリオール(a2)としてのデュラノールG4672 200部及び1,4−ブタンジオール0.90部、有機溶剤(J)としてのMEK373部並びに有機ポリイソシアネート成分(B)としてのIPDI62.2部仕込み、85℃で5時間攪拌してウレタン化反応した後30℃以下に冷却してイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのMEK溶液を製造した。ウレタンプレポリマーのMEK溶液の固形分当たりのイソシアネート含量は0.054mol/gであった。得られたウレタンプレポリマーのMEK溶液を40℃に冷却後、界面活性剤としてのナロアクティーCL−120[三洋化成工業(株)製「高級アルコール系非イオン系界面活性剤」]26部を加え、撹拌して均一化する。続いて、イオン交換水373部を滴下し、60rpmで30分間攪拌後、67℃に昇温して減圧下、5時間かけてMEKを留去してポリウレタン樹脂水性分散体(PE’−1)を得た。
比較例2〜3 [ポリウレタン樹脂水性分散体(PE’−2)〜(PE’−3)]
仕込み原料を表1に記載のものに代える以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂水性分散体(PE’−2)〜(PE’−3)を得た。
尚、表1において商品名で表した原料の組成は以下の通りである。
・デュラノールG4672:Mn=2,000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール[旭化成ケミカルズ(株)製]
・PTMG2000:Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製]
・ナロアクティーCL−120:高級アルコール系非イオン系界面活性剤[三洋化成工業(株)製]
実施例1〜5で得られたポリウレタン樹脂水性分散体(PE−1)〜(PE−5)及び比較例1〜3で得られた比較用のポリウレタン樹脂水性分散体(PE’−1)〜(PE’−3)について、以下の評価方法で水性ポリウレタン分散体の分散安定性、耐水性及び皮膜の破断強度を評価した結果を表1に示す。
<分散安定性>
40℃に温調したポリウレタン樹脂水分散体を静置しておき、沈降物の発生を目視にて評価した。
48時間後に沈降物が発生しないもの:○
48時間後には沈降物が見られたもの:×
<耐水性>
ガラス板上に予め固形分濃度20%に調製したポリウレタン樹脂水性分散体を乾燥後の膜厚が約200μmとなるように塗工し、25℃で24時間静置後、循風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥して得られた樹脂皮膜を、25℃水中に48時間浸漬し、外観変化を目視にて確認した。
外観に全く変化が無いもの:◎
僅かに白化が見られるもの:○
はがれ及び白化の発生があるもの:×
<皮膜の破断強度の測定方法>
ポリプロピレン製モールドに、予め固形分濃度20%に調製した樹脂水性分散体又は樹脂溶液を、乾燥後の膜厚が約200μmとなるように静かに流し込み、全体が均一になる様に広げた。25℃で24時間静置後、循風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥して得られた樹脂皮膜について、JIS K 6251に準拠して、試験片の形状をダンベル状3号形とし、オートグラフ[島津製作所(株)製「AGS−500D」]を用いて、引張速度500mm/分で破断強度を測定した。
Figure 2015157916
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体は分散安定性に優れ、また当該ポリウレタン樹脂水性分散体から得られるポリウレタン樹脂は、界面活性剤を使用しないことから耐水性が高く、カルボキシル基やスルホキシル基のような通常水性ポリウレタン樹脂で用いられる親水基を含有しない又は極めて少量しか含有しないためウレタン基等のハードセグメントの凝集力を阻害されず、高い破断強度を保持することから、塗料、コーティング剤(防汚コーティング剤等)、繊維加工処理剤(顔料捺染用バインダー、不織布用バインダー、補強繊維用集束剤、抗菌剤用バインダー及び人工皮革・合成皮革用原料等)及び紙処理剤等に幅広く使用することができる。

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表されるジアミン(a1)を含有する活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)と水性媒体とを含有するポリウレタン樹脂水性分散体。
    Figure 2015157916
    [式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数2〜10のアルキレン基を表し、AOは炭素数3〜12のオキシアルキレン基であり、複数個ある場合のAOは同一でも異なっていてもよく、aは1〜5の整数を表し、bは5〜100の整数を表し、cは0〜10の整数を表し、かつ10≦b+c≦110を満たし、cが1以上の場合、b個のオキシエチレン基とc個のオキシアルキレン基(AO)の結合形式はランダムでもブロックでもこれらの併用でもよい。]
  2. 前記一般式(1)におけるR1及びR2がそれぞれ独立に炭素数2〜5のアルキレン基である請求項1記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  3. 前記一般式(1)におけるaが1〜3の整数であり、bが10〜60の整数であり、cが0〜5の整数である請求項1又は2記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  4. 前記一般式(1)におけるAOが炭素数3〜4のオキシアルキレン基である請求項1〜3のいずれか記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  5. 前記活性水素成分(A)が、前記(A)の重量に基づいて少なくとも30重量%のポリカーボネートジオールを含有する請求項1〜4のいずれか記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  6. 前記有機ポリイソシアネート成分(B)が、炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)、炭素数4〜22の鎖状脂肪族ポリイソシアネート(b2)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)及び炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートを含有する請求項1〜5のいずれか記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015193810A (ja) * 2014-03-17 2015-11-05 三洋化成工業株式会社 透湿防水素材用ポリウレタン樹脂

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