JP2015010115A - エポキシ系水性分散体 - Google Patents

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渉史 藤村
Watafumi Fujimura
渉史 藤村
洋輔 松井
Yosuke Matsui
洋輔 松井
増美 前原
Masumi Maehara
増美 前原
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Abstract

【課題】有機溶剤を含有しないか、含有しても微量であり、ポリウレタン樹脂と併用した場合に、その乾燥皮膜の機械強度及び密着性に優れるエポキシ系水性分散体の提供。【解決手段】一般式(1)で表されるエポキシ化合物(X)を含有するエポキシ成分、硬化剤及び水性媒体を含有してなるエポキシ系水性分散体。[式中、M1は特定の活性水素含有有機化合物から特定数の活性水素を除いた残基を表し、E1は1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物から水酸基又はハロゲン原子を除いた残基を表し、E2は2個以上のエポキシ基を有する炭素数8〜80のエポキシ化合物から1個のエポキシ基を除いた残基を表し、Lは特定の芳香族ポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いた残基を表し、a、b及びcはそれぞれ特定の整数を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ系水性分散体に関する。更に詳しくは、環境負荷が少なく、かつポリウレタン樹脂との親和性に優れるため、ポリウレタン樹脂と併用した場合にその乾燥皮膜の強度及び基材との密着性に優れるエポキシ系水性分散体に関する。
エポキシ樹脂は物理的、化学的及び電気的特性に優れ、耐溶剤性、耐水性及び耐熱性等が良好であることから、電気製品、塗料及び接着剤等に広く用いられている。特に近年は環境負荷の観点から、塗料用途を中心に溶剤を含まないあるいは少量しか含まないエポキシ樹脂水性分散体が使用されている。エポキシ樹脂は密着性の向上を目的にポリウレタン樹脂と併用されるが、一般にエポキシ樹脂とポリウレタン樹脂は相溶性が良くないため、エポキシ樹脂とポリウレタン樹脂を併用した場合、皮膜の機械強度が低下する。エポキシ樹脂とポリウレタン樹脂の相溶性をあげるためにエポキシとウレタンのハイブリッド化が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、その効果は十分ではない。
特開2007−327023
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、有機溶剤を含有しないか、含有しても微量であり、ポリウレタン樹脂と併用した場合に、その乾燥皮膜の機械強度及び密着性に優れるエポキシ系水性分散体を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、一般式(1)で表されるエポキシ化合物(X)を含有するエポキシ成分、硬化剤及び水性媒体を含有してなるエポキシ系水性分散体;更にポリウレタン樹脂(U)を含有してなる前記分散体を乾燥してなる皮膜;である。
Figure 2015010115
[式中、M1は1〜20価の活性水素含有有機化合物からc個の活性水素を除いた残基を表し;cは1≦c≦(M1の価数)を満たす整数を表し;E1は1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物から水酸基又はハロゲン原子を除いた残基を表し、複数ある場合のE1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;E2は2個以上のエポキシ基を有する炭素数8〜80のエポキシ化合物から1個のエポキシ基を除いた残基を表し、複数ある場合のE2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Lは3価以上の芳香族ポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いた残基を表し、Lの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが少なくとも一つの炭素原子には水素原子が結合しており;a及びbはそれぞれ0以上の整数を表し、かつ、2≦a+b≦d−2を満たし、複数ある場合のaはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、複数ある場合のbはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;dは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。]
本発明のエポキシ系水性分散体は、有機溶剤を含有しないか、含有しても微量であるため、環境適合性及び安全性に優れる。また、本発明のエポキシ系水性分散体とポリウレタン樹脂(U)を併用した場合、エポキシ系水性分散体中のエポキシ成分と硬化剤とを反応させて得られるエポキシ樹脂(EP)とポリウレタン樹脂(U)の親和性に優れるため、本発明のエポキシ系水性分散体にポリウレタン樹脂(U)を併用した場合、乾燥皮膜の機械強度及び密着性等の性能に優れる。
本発明のエポキシ系水性分散体は、一般式(1)で表されるエポキシ化合物(X)を必須成分とするエポキシ成分と硬化剤と水性媒体を含有する。エポキシ成分と硬化剤とを反応させて得られるエポキシ樹脂(EP)が一般式(1)で表されるエポキシ化合物(X)により導入される構成単位を有することにより、エポキシ樹脂(EP)とポリウレタン樹脂(U)の親和性が向上し、ポリウレタン樹脂(U)をエポキシ樹脂(EP)に、又はエポキシ樹脂(EP)をポリウレタン樹脂(U)中に微分散させることが可能となる。
Figure 2015010115
一般式(1)におけるM1は1〜20価の活性水素含有有機化合物からc個の活性水素を除いた残基を表す。
活性水素含有有機化合物としては、水酸基含有化合物、アンモニア、アミノ基含有化合物及びチオール基含有化合物等が挙げられる。活性水素含有有機化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
水酸基含有化合物としては、炭素数1〜20の1価のアルコール、炭素数2〜20の多価アルコール及びフェノール類;これらのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物;アンモニア、アミノ基含有化合物及びチオール基含有化合物のAO付加物;等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価アルコールとしては、炭素数1〜20のアルカノール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)、炭素数2〜20のアルケノール(オレイルアルコール及びリノリルアルコール等)及び炭素数7〜20の芳香脂肪族アルコール(ベンジルアルコール及びナフチルエタノール等)等が挙げられる。
炭素数2〜20の多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール[脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−又は1,10−デカンジオール及び1,2−又は1,12−ドデカンジオール等)、脂環式ジオール(1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)、芳香脂肪族ジオール{1−フェニルエタン−1,2−ジオール及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等}、エーテル基含有ジオール{3−ブトキシ−1,2−プロパンジオール、3−(2−エチルヘキソキシ)−1,2−プロパンジオール
3−フェノキシ−1,2−プロパンジオール及び3−(p−tert―ブチルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール等}及びハロゲン基含有ジオール(3−クロロ−1,2−プロパンジオール等)等]、炭素数3〜20の3価アルコール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)等]及び炭素数5〜20の4〜8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等)及び糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)]等が挙げられる。
フェノール類としては、例えば1価のフェノール(フェノール、1−ヒドロキシナフタレン、アントロール及び1−ヒドロキシピレン等)及び多価フェノール[フロログルシン、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン、1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)及び米国特許3265641号明細書に記載のポリフェノール等]が挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、炭素数1〜20のモノハイドロカルビルアミン[アルキルアミン(ブチルアミン等)、ベンジルアミン及びアニリン等]、炭素数2〜20の脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等)、炭素数6〜20の脂環式ポリアミン(ジアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数2〜20の芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等)、炭素数2〜20の複素環式ポリアミン(ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)、ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン等)及びジシアンジアミド等が挙げられる。
チオール基含有化合物としては、炭素数1〜20の1価のチオール化合物(エタンチオール等のアルカンチオール、ベンゼンチオール及びフェニルメタンチオール)及び多価のチオール化合物(1,2−エタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等)等が挙げられる。
前記水酸基含有化合物に用いられるAOとしては、炭素数2〜4のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−又は2,3−ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)等が挙げられる。これらの内、エポキシ樹脂(EP)の造膜性と耐水性の観点からEO、PO及びTHFが好ましい。AOは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、AOを2種以上併用する場合の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
AOの付加モル数はエポキシ樹脂(EP)の耐水性の観点から、8〜100が好ましく、更に好ましくは10〜80である。AO付加物の水酸基価は18〜360mgKOH/gであることが好ましい。本発明において、水酸基価はJIS K 1557−1に準拠して測定される。
尚、活性水素含有有機化合物として、分子内に2種以上の活性水素含有官能基(水酸基、アミノ基及びチオール基等)を有する化合物も使用できる。
(X)にM1を導入するための活性水素含有有機化合物として、エポキシ樹脂(EP)の耐水性の観点から好ましいのは、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物及びこれらのAO付加物であり、更に好ましいのは、炭素数2〜20の多価アルコール、炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオール及び炭素数2〜20の脂肪族ポリアミン、特に好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコール及び炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオール、最も好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコールである。
活性水素含有有機化合物の活性水素の価数は、エポキシ樹脂(EP)の造膜性と耐水性の観点から、通常1〜20であり、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2である。
一般式(1)におけるcは、1≦c≦(M1の価数)を満たす整数を表し、エポキシ樹脂(EP)の造膜性と耐水性の観点から、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
一般式(1)におけるE1は1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物から水酸基又はハロゲン原子を除いた残基を表し、複数ある場合のE1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物としては、グリシドール、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリ(2〜20)エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリ(2〜20)プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールモノグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールのトリグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン及びエピブロモヒドリン等が挙げられる。
1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物と、後述のLを導入するために用いる3価以上の芳香族ポリカルボン酸又はその無水物等とを反応させることにより、エポキシ化合物(X)にE1を導入することができる。ここで、1個のエポキシ基と1個の水酸基を有するエポキシ化合物を用いる場合は、3価以上の芳香族ポリカルボン酸の無水物を用いる等により、そのエポキシ基を反応させず、水酸基を選択的に反応させる必要がある。また、1個のエポキシ基と1個のハロゲン原子を有するエポキシ化合物を用いる場合は、低温で反応さる等により、そのエポキシ基を反応させず、ハロゲン原子が置換した炭素原子と3価以上の芳香族ポリカルボン酸が有するカルボキシル基とを選択的に反応させる必要がある。
一般式(1)におけるE2は2個以上のエポキシ基を有する炭素数8〜80のエポキシ化合物から1個のエポキシ基を除いた残基を表し、複数ある場合のE2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
2個以上のエポキシ基を有する炭素数8〜80のエポキシ化合物としては、前記1個の水酸基又は1個のハロゲン原子を有するエポキシ化合物の内のエポキシ基を2個以上有するもの、及びその他のエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物が挙げられる。
その他のエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(2〜20)エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(2〜20)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールのジグリシジルエーテル又はテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールのジグリシジルエーテル又はテトラグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル及びビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールB及びビスフェノールF等)又はこれらの水素添加物のジグリシジルエーテル等が挙げられる。
2個以上のエポキシ基を有する炭素数8〜80のエポキシ化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
2個以上のエポキシ基有する炭素数8〜80のエポキシ化合物のエポキシ基と、後述のLを導入するために用いる3価以上の芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基とを反応させることにより、エポキシ化合物(X)にE2を導入することができる。
1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物及び2個以上のエポキシ基を有する炭素数8〜80のエポキシ化合物における1分子中のエポキシ基の個数は、エポキシ樹脂(EP)の造膜性と耐水性の観点から好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
一般式(1)におけるLは、3価以上の芳香族ポリカルボン酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。Lの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが、少なくとも一つの炭素原子は置換基が結合しておらず水素原子と結合している必要がある。
カルボキシル基以外の置換基としては、アルキル基、ビニル基、アリル基、シクロアルキル基、アミノ基、水酸基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、チオール基、アリール基及びシアノ基等が挙げられる。
Lを構成するために用いられる3価以上の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜30の芳香族ポリカルボン酸、例えばトリメリット酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、1,2,4−、1,3,6−又は2,3,6−ナフタレントリカルボン酸及び2,3,6−アントラセントリカルボン酸等のトリカルボン酸;ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシビスフタル酸、ジフェニルメタンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸及び4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフタル酸等のテトラカルボン酸;等が挙げられる。芳香族ポリカルボン酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、Lを導入するに当たっては、前記3価以上の芳香族ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)及び酸ハライド(酸のクロライド等)]を用いることもできる。
これらの芳香族ポリカルボン酸の内、エポキシ樹脂(EP)の造膜性と耐水性の観点から好ましいのは、前記芳香環を構成し置換基が結合していない炭素原子に隣接しかつ芳香環を形成する2個の炭素原子それぞれにカルボキシル基が結合した構造を有するものが好ましく、更に好ましいのは、前記カルボキシル基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に更に1個のカルボキシル基が結合した構造を有するものである。
例えば、芳香族ポリカルボン酸の芳香環がベンゼン環の場合、1位と3位にカルボキシル基が結合した構造を有するものが好ましく、更に好ましいのは前記カルボキシル基が結合したベンゼン環の4位及び/又は6位に更にカルボキシル基が結合した構造を有するものである
エポキシ樹脂(EP)の造膜性と耐水性の観点から、Lを構成するために用いる芳香族ポリカルボン酸として特に好ましいのは単環式化合物であり、最も好ましいのはトリメリット酸及びピロメリット酸である。
一般式(1)におけるa及びbはそれぞれ0以上の整数を表し、かつ、2≦a+b≦d−2を満たす。cが2以上で複数ある場合のaはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、cが2以上で複数ある場合のbはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
dは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。例えば、芳香環が炭素原子6個から構成されるベンゼン環の場合、dは6であり、a+bは2〜4の値を取り得、芳香環が炭素原子10個から構成されるナフタレン環の場合、dは8であり、a+bは2〜6の値を取り得る。芳香環が単環の芳香環の場合、エポキシ樹脂(EP)の造膜性と耐水性の観点から、a+bは2又は3が好ましい。
本発明における(X)の水酸基価は、エポキシ樹脂(EP)の破断伸び及び破断強度の観点から、好ましくは0〜500mgKOH/g、更に好ましくは0〜350mgKOH/gである。水酸基価が500mgKOH/gを超えるとエポキシ樹脂(EP)の耐水性が低下する傾向にある。尚、(X)の水酸基価が0とは、一般式(1)におけるM1、E1、E2及びLが全て水酸基を有しないことを意味する。
(X)におけるLの濃度は、(X)1g中の残基Lのミリモル数を意味し、エポキシ樹脂(EP)の造膜性及び耐水性の観点から、好ましくは0.5〜10mmol/g、更に好ましくは0.5〜8mmol/g、特に好ましくは0.5〜7.5mmol/gである。Lの濃度が0.5mmol/g未満ではエポキシ樹脂(EP)の耐水性が低下する傾向にあり、10mmol/gを超えるとエポキシ樹脂(EP)の造膜性が悪化する場合がある。
エポキシ化合物(X)におけるカルボニル基濃度は、エポキシ樹脂(EP)の造膜性及び耐水性の観点から、好ましくは1.5〜30mmol/g、更に好ましくは1.5〜24mmol/g、特に好ましくは1.5〜22.5mmol/gである。カルボニル基濃度が1.5mmol/g未満ではエポキシ樹脂(EP)の耐水性が低下する傾向にあり、カルボニル基濃度が30mmol/gを超えると造膜性が悪化する場合がある。本発明におけるカルボニル基濃度におけるカルボニル基とは、一般式(1)におけるLに結合するカルボニル基、即ちLを導入するために用いられる3価以上の芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基並びにこれから誘導されるエステル基、チオエステル基及びアミド基等の官能基中のカルボニル基を意味する。
エポキシ化合物(X)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明におけるエポキシ成分は、エポキシ化合物(X)以外のエポキシ化合物を含有することができる。(X)以外のエポキシ化合物としては、特に制限はなく、例えば「新エポキシ樹脂」[垣内弘著、(株)昭晃堂、昭和60年5月10発行]15〜97頁、「エポキシ樹脂ハンドブック」[新保正樹編、日刊工業新聞社、昭和62年12月25日発行]19〜129頁等に記載のものが使用できる。エポキシ化合物(X)以外のエポキシ化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(X)以外のエポキシ化合物の具体例としては、前記1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物;前記2個以上のエポキシ基を有する炭素数8〜80のエポキシ化合物;フェノールエーテル系エポキシ樹脂[例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等];エーテル系エポキシ樹脂[例えば、ポリオール、ポリエーテルポリオール等とエピクロルヒドリンとの縮合物等];エステル系エポキシ樹脂[例えば、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和単量体(アクリロニトリル等)との共重合体等];グリシジルアミン系エポキシ樹脂[例えば、アニリン、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール類、キシリレンジアミン、ハロゲン化アニリン及びビスアミノメチルシクロヘキサン等のアミン類とエピクロルヒドリンとの縮合物等];非グリシジル型エポキシ樹脂[例えば、脂肪族及び脂環式エポキシ樹脂等];等が挙げられる。
エポキシ成分におけるエポキシ化合物(X)の含有量は、造膜性及びポリウレタン樹脂(P)との親和性の観点から、エポキシ成分の重量を基準として好ましくは1〜40重量%、更に好ましくは2〜35重量%、特に好ましくは3〜30重量%である。
エポキシ成分と反応させる硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、グアニジン系硬化剤、チオール系硬化剤及びイミダゾリン系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
酸無水物系硬化剤としては、炭素数4〜12のもの、例えば、芳香環含有カルボン酸無水物(無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水−3−又は−4−クロロフタル酸及び無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等)、脂環式カルボン酸無水物(無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルナジック酸及び無水クロレンデック酸等)、脂肪族カルボン酸無水物(無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水ジメチルコハク酸、無水ジクロールコハク酸、無水ドデシルコハク酸及び無水マレイン酸等)が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、脂肪族ポリアミン[例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン及びビス(ヘキサメチレン)トリアミン等のポリアルキレン(アルキレンの炭素数2〜6)ポリアミン、アルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン及びメチルイミノビスプロピルアミン等のアルキル又はヒドロキシアルキルアミン化合物、キシリレンジアミン及びテトラクロルパラキシリレンジアミン等の芳香族含有脂肪族アミン類等];脂環又は複素環含有脂肪族アミン[例えば、N−アミノエチルピペラジン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、水添メチレンジアニリン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等];芳香族ポリアミン[例えば、メタフェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン等];ポリアミドポリアミン[上記ポリアミンとダイマー酸との縮合物];ベンゾグアナミン、アルキルグアナミン及びこれらの変性物;ジシアンジアミド;等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、炭素数13〜70のフェノール化合物、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック及びビスフェノールAノボラック等が挙げられる。
ヒドラジド系硬化剤としては、炭素数4〜16のヒドラジド化合物、例えば、脂肪族ヒドラジド(コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びマレイン酸ジヒドラジド等)、芳香環含有ヒドラジド(オルト−、イソ−又はテレフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド及びフェニルアミノプロピオン酸ヒドラジド)が挙げられる。
グアニジン系硬化剤としては、炭素数2〜15のグアニジン化合物、例えば、ジシアンジアミド、メチルグアニジン、エチルグアニジン、プロピルグアニジン、ブチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン及びトルイルグアニジンが挙げられる。
チオール系硬化剤としては炭素数3〜32のチオール化合物、例えば、多価アルコールとチオール基を有する有機酸とのエステル化反応によって得られるチオール化合物[トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β−チオプロピオネート)等]、アルカンポリチオール[1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール及び1,10−デカンジチオール等]、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオールとエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物が挙げられる。
イミダゾリン系硬化剤としては、炭素数10〜32のイミダゾリン化合物、例えば、脂肪族系のもの(テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン及び1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等)、芳香環を含有するもの(1,2−、1,3−および1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等)が挙げられる。
エポキシ成分に対する硬化剤の使用量は、エポキシ成分のエポキシ基の当量に対して硬化剤の反応性基の当量が通常0.3当量〜2.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量、特に好ましくは0.7〜1.3当量となる量である。
本発明のエポキシ系水性分散体を製造する方法は特に限定されず、例えばエポキシ化合物(X)を含有するエポキシ成分と乳化剤とを有機溶剤(S)の存在下又は非存在下に水と混合して、撹拌下に更に水を加えて転相させて水性分散体として、必要により用いた有機溶剤(S)を留去し、ここに硬化剤の水性媒体溶液又は水性分散体を加えることで製造することができる。
乳化剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びその他の乳化分散剤が挙げられる。乳化剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えばAO付加型ノニオン性界面活性剤及び多価アルコール型ノニオン性界面活性剤が挙げられる。AO付加型としては、炭素数10〜20の脂肪族アルコールのEO付加物、フェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO付加物、炭素数8〜22のアルキルアミンのEO付加物及びポリ(オキシプロピレン)グリコールのEO付加物等が挙げられ、多価アルコール型としては、多価(3〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエート等)及びアルキル(炭素数4〜24)ポリ(重合度1〜10)グリコシド等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステル又はエーテル硫酸エステル及びそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等];炭素数8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]並びにアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
その他の乳化分散剤としては、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基含有(共)重合体及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン基又はエステル基を有する乳化分散剤[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]等が挙げられる。
乳化剤の使用量は、エポキシ成分の重量に対して好ましくは3〜20重量%、更に好ましくは5〜15重量%である。
有機溶剤(S)としてはケトン系溶剤[例えばアセトン及びメチルエチルケトン(以下、MEKと略記)]、エステル系溶剤(例えば酢酸エチル及びγ−ブチロラクトン)、エーテル系溶剤(例えばTHF)、アミド系溶剤(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチルカプロラクタム)、アルコール系溶剤(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン及びキシレン)等が挙げられる。有機溶剤(S)は1種を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
硬化剤が水性媒体に可溶の場合は硬化剤と水性媒体を混合することにより硬化剤の水性媒体溶液が得られ、硬化剤が水性媒体に不溶の場合はエポキシ成分の水性分散体の製造方法と同様にして硬化剤の水性媒体分散体を得ることができる。
エポキシ系水性分散体を得る際には、有機溶剤(S)を用いることができるが、臭気、経時安定性、環境負荷、安全性及び生産コスト等の観点からは、有機溶剤(S)の含有量は水性分散体の重量に基づいて5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、環境汚染の観点からは使用しないことが特に好ましい。有機溶剤(S)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明において水性媒体とは、水及び水と前記有機溶剤(S)との混合物を意味する。水性媒体に使用される有機溶剤(S)は、分散性の観点から水溶性の有機溶剤であることが好ましい。(S)を使用した場合には、エポキシ系水性分散体の製造途中又は製造後に必要によりこれを留去してもよい。
本発明のエポキシ系水性分散体におけるエポキシ成分及び硬化剤(硬化剤が水性媒体可溶性の場合を除く)の体積平均粒子径は、分散安定性の観点からそれぞれ好ましくは0.01〜1μm、更に好ましくは0.02〜0.7μm、特に好ましくは0.03〜0.5μmである。
尚、本発明における体積平均粒子径は、水性分散体をイオン交換水で有効成分(エポキシ成分、硬化剤及びポリウレタン樹脂)の濃度が0.01重量%となるよう希釈した後、光散乱粒度分布測定装置[大塚電子(株)製「ELS−8000」]を用いて測定される。
本発明のエポキシ系水性分散体は、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤及び可塑剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤の使用量はエポキシ成分と硬化剤の合計重量に基づいて通常10重量%以下、好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。
前述の通り、本発明のエポキシ系水性分散体中のエポキシ成分と硬化剤とを反応させて得られるエポキシ樹脂(EP)はポリウレタン樹脂(U)との親和性に優れることから、(EP)と(U)を併用することで(U)が(EP)中に、又は(EP)が(U)中に微分散されて機械強度や耐水性等に優れる皮膜が得られる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、特に限定されず、例えば活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂が挙げられる。
活性水素成分(A)は、ポリオール(a1)並びに必要により親水性基と活性水素を有する化合物(a2)、鎖伸長剤(a3)及び反応停止剤(a4)を含有する。
ポリオール(a1)としては、化学式量又は数平均分子量(以下、Mnと略記)が300以上の高分子ポリオール(a11)及び化学式量又はMnが300未満の低分子ポリオール(a12)が挙げられる。
本発明におけるポリオール及び一般式(1)で表されるエポキシ化合物(X)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記)を用いて例えば以下の条件で測定することができる。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μl
・流量:0.6ml/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
また、後述のポリウレタン樹脂(U)のMnはGPCを用いて例えば以下の条件で測定することができる。
・装置:「HLC−8120GPC」[東ソー(株)製]
・カラム:「Guardcolumn HXL−H」(1本)、「TSKgel GMHXL」(2本)[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:100μl
・流量:1ml/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリスチレン
化学式量又はMnが300以上の高分子ポリオール(a11)としては、ポリエーテルポリオール
(a111)及びポリエステルポリオール(a112)等が挙げられる。(a11)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルポリオール(a111)としては、脂肪族ポリエーテルポリオール及び芳香族環含有ポリエーテルポリオールが挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシエチレンポリオール(PEG等)、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリ(オキシプロピレン)グリコール等]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール及びポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールの市販品としては、PTMG1000[Mn=1,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]及びサンニックストリオールGP−3000[Mn=3,000のポリ(オキシプロピレン)トリオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのEO付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等]及びビスフェノールAのPO付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物、ビスフェノールAのPO5モル付加物等]等のビスフェノール骨格を有するポリオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
(a111)のMnは、ポリウレタン樹脂(U)の造膜性及び耐水性の観点から、通常300以上、好ましくは300〜10,000、更に好ましくは300〜6,000である。
ポリエステルポリオール(a112)としては、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール及びヒマシ油系ポリオールが挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールは、低分子量(化学式量又はMnが300未満)の多価アルコールと炭素数2〜10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とを反応させて得られるポリエステルポリオールである。
低分子量(化学式量又はMnが300未満)の多価アルコールとしては、化学式量又はMnが300未満の2価〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール及び化学式量又はMnが300未満の2価〜8価又はそれ以上のフェノールのAO低モル付加物が挙げられる。これらの内で好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAのEO又はPO低モル付加物及びこれらの併用である。
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる炭素数2〜10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの併用が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの市販品としては、サンエスター2610[Mn=1,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、サンエスター2620[Mn=2,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]及びサンエスター5620[Mn=2,000のポリネオペンチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールは、前記低分子量(化学式量又はMnが300未満)の多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4〜12のラクトン(例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前記低分子量(化学式量又はMnが300未満)の多価アルコールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。低分子量多価アルコール及びアルキレンカーボネートはそれぞれ2種以上併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)及びポリ[シクロヘキシレンビス(メチレン)/ヘキサメチレン]カーボネートジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、ニッポラン980R[Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製]ニッポラン981[Mn=1,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製]、デュラノールG4672[Mn=2,000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]及びエタナコールUM−90[Mn=900のポリ[シクロヘキシレンビス(メチレン)/ヘキサメチレン]カーボネートジオール、宇部興産(株)製]等が挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールには、ヒマシ油、及びポリオール又はAOで変性された変性ヒマシ油等が挙げられる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造でき、たとえばトリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油及びヒマシ油のEO(4〜30モル)付加物が挙げられる。
ポリエステルポリオール(a112)の内、好ましいのは、縮合型ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールである。
化学式量又はMnが300未満の低分子ポリオール(a12)としては、2価の脂肪族アルコール、3価の脂肪族アルコール及び4価以上の脂肪族アルコールが挙げられる。(a1)の内、造膜性及び耐水性の観点から好ましいのは、2〜3価の脂肪族アルコールであり、脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールが特に好ましく、脂肪族3価アルコールとしては、トリメチロールプロパンが特に好ましい。(a12)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
親水性基と活性水素を有する化合物(a2)としては、アニオン性基と活性水素を有する化合物(a21)及びカチオン性基と活性水素を含有する化合物(a22)等が挙げられる。(a2)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アニオン性基と活性水素を有する化合物(a21)としては、例えばアニオン性基としてカルボキシル基を有し、炭素数が2〜10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸)、酒石酸及びアミノ酸(例えばグリシン、アラニン及びバリン)等]、アニオン性基としてスルホ基を含有し、炭素数が2〜16の化合物[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸及びスルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル等]、アニオン性基としてスルファミン酸基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[N,N−ビス(2−ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等]等並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(a21)を中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1〜20のアミン化合物又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
炭素数1〜20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
これらの内、ポリウレタン樹脂水性分散体の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点からは、25℃における蒸気圧が高い化合物、例えばアンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミンが好ましく、更に好ましいのはアンモニア、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びジエチルアミン、特に好ましいのはアンモニアである。また、ポリウレタン樹脂水性分散体の貯蔵安定性の観点からは沸点が50℃以上の中和剤、例えばトリエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びメチルプロパノールアミンが好ましく、更に好ましいのは、トリエチルアミン及びジメチルモノエタノールアミンである。中和剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(a21)の内、得られる皮膜の樹脂物性及びポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から好ましいのは、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸及びこれらの塩であり、更に好ましいのは2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸のアンモニア又は炭素数1〜20のアミン化合物による中和塩である。
カチオン性基と活性水素を含有する化合物(a22)としては、例えば炭素数1〜20の3級アミノ基含有ジオール[N−アルキルジアルカノールアミン(例えばN−メチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルジプロパノールアミン)及びN,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(例えばN,N−ジメチルエタノールアミン)等]等の化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(a22)を中和するための中和剤としては、例えば炭素数1〜10のモノカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロパン酸及び乳酸等)、炭酸、塩酸、燐酸、硫酸、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、メチルクロライド及びベンジルクロライド等が挙げられる。
これらの内、ポリウレタン樹脂水性分散体の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点からは、25℃における蒸気圧が高い化合物、例えば炭素数1〜10のモノカルボン酸及び炭酸が好ましく、更に好ましいのはギ酸及び炭酸、特に好ましいのは炭酸である。また、ポリウレタン樹脂水性分散体の貯蔵安定性の観点からは、沸点が50℃以上の中和剤、例えばギ酸、酢酸及び乳酸が好ましく、更に好ましいのは、ギ酸及び乳酸である。中和剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(a21)及び(a22)に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水性媒体への分散工程前、水性媒体への分散工程中又は水性媒体への分散後のいずれの時期に添加しても良いが、ポリウレタン樹脂(U)の安定性及び水性分散体の安定性の観点から、水性媒体への分散工程前又は水性媒体への分散工程中に添加することが好ましい。
(a2)の使用量は、(U)中の親水性基の含有量が、(U)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜5重量%、更に好ましくは0.1〜4重量%、特に好ましくは1〜3重量%となるよう調節する。
本発明における親水性基の含有量とは、未中和のカチオン性基又はアニオン性基の重量%を意味し、対イオンの重量は含まない。例えば、(a21)における親水性基の含有量は、2,2−ジメチロールプロピオン酸のトリエチルアミン塩の場合は、カルボキシル基(−COOH)の重量%を、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸のトリエチルアミン塩の場合はスルホ基(−SO3H)の重量%を指す。また、(a22)における親水性基の含有量は、3級アミノ基中の窒素原子のみの重量%を指す。
鎖伸長剤(a3)としては、水、炭素数2〜10のジアミン(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、ポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミン(ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチエレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等)、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及び炭素数2〜10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。(a3)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
反応停止剤(a4)としては、炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)、炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン並びにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。(a4)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明における有機イソシアネート成分(B)としては、従来ポリウレタンの製造に使用されているものが使用でき、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)、炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b2)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)、炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(b5)等が挙げられる。有機イソシアネート成分(B)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDI略記)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
(b1)〜(b4)のポリイソシアネートの変性物(b5)としては、前記ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等;遊離イソシアネート基含有量が通常8〜33重量%、好ましくは10〜30重量%、特に12〜29重量%のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物が挙げられる。
有機ポリイソシアネート成分(B)の内、得られる皮膜の造膜性及び耐水性の観点から好ましいのは(b2)及び(b3)、更に好ましいのは(b3)、特に好ましいのはIPDI及び水添MDIである。
ポリウレタン樹脂(U)に用いるポリオール(a1)、鎖伸長剤(a3)及び/又は有機ポリイソシアネート成分(B)に3価以上のポリオール[ポリ(オキシプロピレン)トリオール及びポリエステルトリオール等]、3価以上の鎖伸長剤[ポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミン等]、3価以上の有機イソシアネート化合物(イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等)を用いることにより、ポリウレタン樹脂(U)に架橋構造を導入してその機械強度及び耐水性等を向上させることができる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)には、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤及び可塑剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤の使用量はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて通常10重量%以下、好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。
本発明において、ポリウレタン樹脂(U)のMnは、造膜性及び耐水性の観点から好ましくは1万〜100万、更に好ましくは1万〜50万、特に好ましくは1万〜20万、最も好ましくは1万〜10万である。
本発明において、ポリウレタン樹脂(U)の体積平均粒子径は、ポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜1μm、更に好ましくは0.02〜0.7μm、特に好ましくは0.03〜0.5μmである。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体を製造する方法は特に限定されず、例えば、活性水素成分(A)の内、ポリオール(a1)、親水性基を含有する化合物(a2)並びに必要により鎖伸長剤(a3)及び反応停止剤(a4)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、有機溶剤(S)の存在下又は非存在下で一段又は多段でウレタンプレポリマーを形成し、次いで必要により該プレポリマーの(a2)により導入された親水基部分を中和又は四級化により塩として、有機溶剤(S)、乳化剤、鎖伸長剤(a3)及び/又は鎖停止剤(a4)の存在下又は非存在下で水性媒体に分散して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応[水又は(a3)による鎖伸長、及び必要により(a4)による鎖停止]させ、必要により用いた有機溶剤(S)を留去する方法が挙げられる。
この方法におけるウレタンプレポリマーは、活性水素成分(A)の内、ポリオール(a1)、親水性基を含有する化合物(a2)並びに必要により鎖伸長剤(a3)及び反応停止剤(a4)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを有機溶剤(S)の存在下又は非存在下に、活性水素含有基(カルボキシル基、スルホ基及びスルファミン酸基を除く)に対するイソシアネート基の当量比率が好ましくは1.01〜3、更に好ましくは1.1〜2となる割合でウレタン化反応させることにより形成される。
ウレタンプレポリマー化反応は、好ましくは20℃〜150℃、更に好ましくは60℃〜110℃の反応温度で行われ、反応時間は好ましくは2〜15時間である。ウレタンプレポリマーは好ましくは0.1〜5重量%のイソシアネート基を有する。
ウレタンプレポリマー化反応においては反応を促進させるため、必要により通常のウレタン化反応に使用される触媒を使用してもよい。触媒には、アミン触媒、例えばトリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン及び米国特許第4524104号明細書に記載のシクロアミジン類[1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(サンアプロ社製「DBU」)等];錫系触媒、例えばジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレート及びオクチル酸錫;チタン系触媒、例えばテトラブチルチタネート;ビスマス系触媒、例えばトリオクチル酸ビスマス;等が挙げられる。
得られたウレタンプレポリマー又はその有機溶剤溶液を、必要により該プレポリマーの(a2)により導入された親水基部分を中和又は四級化により塩として、有機溶剤(S)、乳化剤、鎖伸長剤(a3)及び/又は鎖停止剤(a4)の存在下又は非存在下で水性媒体に分散して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応[水による鎖伸長並びに必要により(a3)による鎖伸長及び(a4)による鎖停止]させることにより本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体が得られる。
ポリウレタン樹脂水性分散体を得る際には、有機溶剤(S)を用いることができるが、臭気、経時安定性、環境負荷、安全性及び生産コスト等の観点からは、有機溶剤(S)の含有量は水性分散体の重量に基づいて5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、環境汚染の観点からは使用しないことが特に好ましい。有機溶剤(S)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン樹脂水性分散体を製造する際に必要により用いられる乳化剤としては、前述のエポキシ系水性分散体を得る際の乳化剤として例示したものと同様のものが挙げられる。乳化剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
乳化剤は、ポリウレタン樹脂(U)のウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水性媒体分散工程前、水性媒体分散工程中又は水性媒体分散後のいずれの時期に添加してもよいが、(U)の分散性及び水性媒体性分散体の安定性の観点から、水性媒体分散工程前又は水性媒体分散工程中に添加することが好ましい。
乳化剤を使用する場合のその使用量はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
ウレタンプレポリマー又はその有機溶剤溶液を水性媒体に乳化分散させる装置の方式は特に限定されず、例えば、(1)錨型撹拌方式、(2)回転子−固定子式方式[例えばエバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、(3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、(4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、(5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社製)]、(6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、(7)高圧衝撃式[例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社)]、(8)膜乳化式[例えば膜乳化モジュール]、及び(9)遠心薄膜接触式[例えば「フィルミックス」(プライミックス社製)]等の乳化機が挙げられる。これらの内、好ましいのは、(2)である。
エポキシ化合物(X)を含有するエポキシ成分、硬化剤及びポリウレタン樹脂(U)を含有する水性分散体を得る方法としては、例えば以下の(1)〜(2)の方法が挙げられる。
(1)エポキシ成分及び硬化剤を含有する水性分散体とポリウレタン樹脂(U)の水性分散体をそれぞれ前述の方法で製造して混合する方法。
(2)エポキシ成分及び硬化剤を含有する水性分散体を前述の方法で製造し、これに前述の方法でポリウレタン樹脂(U)を分散させる方法、即ち、前述のポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法における水性媒体の代わりにエポキシ成分及び硬化剤を含有する水性分散体を用いる方法。
水性分散体を混合する場合、各水性分散体の容器への投入順序は任意であり、また、任意の2種の水性分散体を混合後残りの1種の水性分散体を混合する等、段階的に混合してもよいし、全てを一括混合してもよい。
エポキシ成分と硬化剤を含有する水性分散体、ポリウレタン樹脂(U)及びその水性分散体の製造時に有機溶剤(S)を用いた場合、これらの混合物の水性分散体を得た後に(S)を留去してもよい。有機溶剤(S)を留去せずに用いることもできるが、臭気、経時安定性、環境負荷、安全性及び生産コスト等の観点からは、有機溶剤(S)の含有量は水性分散体の重量に基づいて5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、環境汚染の観点からは使用しないことが特に好ましい。
エポキシ化合物(X)を含有するエポキシ成分及び硬化剤の合計重量とポリウレタン樹脂(U)の重量の比は、皮膜の耐衝撃性及び皮膜強度の観点から、好ましくは1:99〜99:1、更に好ましくは10:90〜90:10、特に好ましくは20:80〜80:20、最も好ましくは25:75〜75:25である。
以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下において部は重量部を意味する。
製造例1 [エポキシ化合物(X−1)の製造]
撹拌装置及び温度制御装置を備えたステンレス製オートクレーブに、無水トリメリット酸192部、メタノール32部、アルカリ触媒{サンアプロ(株)製「DBN」:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン}7.8部及びアセトン156部を仕込み、85℃で6時間反応させて酸無水物基部分のハーフエステル化を行い、無水トリメリット酸1モルにメタノールが1モル反応した化合物を得た。続いて、エピクロロヒドリン185部を仕込み、50℃で10時間反応させた。その後、80±10℃、ゲージ圧−0.05MPaでアセトンを留去することにより、前記化合物1モルにエピクロロヒドリンが2モル反応したエポキシ化合物(X−1)を得た。
製造例2 [エポキシ化合物(X−2)の製造]
撹拌装置及び温度制御装置を備えたステンレス製オートクレーブに、無水トリメリット酸192部及びn−プロパノール60部、アルカリ触媒{サンアプロ(株)製「DBN」:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン}7.8部及びアセトン156部を仕込み、85℃で6時間反応させて酸無水物基部分のハーフエステル化を行い、無水トリメリット酸1モルにプロパノールが1モル反応した化合物を得た。続いて、レゾシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製「デナコールEX−201」)468部を仕込み、90℃で10時間反応させた。その後、80±10℃、ゲージ圧−0.05MPaでアセトンを留去することにより、前記化合物1モルにレゾシノールジグリシジルエーテルが2モル反応したエポキシ化合物(X−2)を得た。
製造例3 [エポキシ化合物(X−3)の製造]
レゾシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX−201)468部をジグリセロールトリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製「デナコールEX−421」)318部に変更する以外は製造例2と同様にして、前記化合物1モルにジグリセロールトリグリシジルエーテルが2モル反応したエポキシ化合物(X−3)を得た。
製造例4 [エポキシ化合物(X−4)の製造]
レゾシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX−201)468部をペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製「デナコールEX−411」)458部に変更する以外は製造例2と同様にして、前記化合物1モルにペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルが2モル反応したエポキシ化合物(X−4)を得た。
製造例5 [(X−5)の製造]
撹拌装置及び温度制御装置を備えたステンレス製オートクレーブに、無水ピロメリット酸218部、n−プロパノール120部、アルカリ触媒{サンアプロ(株)製「DBN」:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン}7.8部及びアセトン156部を仕込み、85℃で6時間反応させて酸無水物基部分のハーフエステル化を行い、無水ピロメリット酸1モルにプロパノールが2モル反応した化合物を得た。続いて、レゾシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製「デナコールEX−201」)468部を仕込み、90℃で10時間反応させた。その後、80±10℃、ゲージ圧−0.05MPaでアセトンを留去することにより、前記化合物1モルにレゾシノールジグリシジルエーテルが2モル反応したエポキシ化合物(X−5)を得た。
製造例1〜5で得られたエポキシ化合物(X−1)〜(X−5)の分析結果を表1に示す。
Figure 2015010115
製造例6 [ポリウレタン樹脂水性分散体(UE−1)の製造]
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に表2に記載のプレポリマー用原料を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのアセトン溶液を製造した。ウレタンプレポリマーのアセトン溶液の固形分当たりのイソシアネート含量は0.46mmol/gであった。続いて系内温度を40℃とした後、撹拌下にトリエチルアミン(中和剤)6.0部及び水509.0部を加えた。60rpmで3分間攪拌後、鎖伸長剤としてのジエチレントリアミンの10重量%水溶液5.6部を加え、減圧下に65℃で8時間かけてアセトンを留去して体積平均粒子径が0.1μmのポリウレタン樹脂水性分散体(UE−1)を得た。
製造例7〜10 [ポリウレタン樹脂水性分散体(UE−2)〜(UE−5)の製造]
仕込み原料を表2に記載のものに代える以外は製造例6と同様にして、ポリウレタン樹脂水性分散体(UE−2)〜(UE−5)を得た。(UE−2)〜(UE−5)の体積平均粒子径はいずれも0.1μmであった。
尚、表2ににおいて商品名で表した原料の組成は以下の通りである。
・ニッポラン981:Mn=1,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール[日本ポリウレタン工業(株)製]
・エタナコールUM−90:Mn=900のポリ[シクロヘキシレンビス(メチレン)/ヘキサメチレン]カーボネートジオール[宇部興産(株)製]
・サンエスター5620:Mn=2,000のポリネオペンチレンアジペートジオール[三洋化成工業(株)製]
・PTMG2000:Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製]
・ニューポールBP−3P:ビスフェノールAのPO3モル付加物[但し、付加モル数は平均値;三洋化成工業(株)製]
Figure 2015010115
実施例1
反応容器に酢酸エチル9.1部を仕込み、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(「EOCN−104S」、日本化薬(株)製、Mn1,700])33.8部及びエポキシ化合物(X−1)7.78部を加えて溶解させ、これにショ糖ステアリン酸エステル6.0部を添加し、40℃で30分間撹拌した。その後、同温度で水41.4部を2時間で滴下して転相乳化させ、50℃、減圧下(30kPa以下)で2時間脱溶剤後、30%無水マレイン酸水溶液33.5部を添加し、25℃で10分間撹拌混合して体積平均粒子径が0.1μmのエポキシ系水性分散体(EPE−1)を得た。
実施例2
エポキシ化合物(X−1)7.78部を製造例2で得られたエポキシ化合物(X−2)16.33部に変更する以外は実施例1と同様にして体積平均粒子径が0.1μmのエポキシ系水性分散体(EPE−2)を得た。
実施例3
(X−1)7.78部を製造例3で得られた(X−3)8.62部に変更する以外は実施例1と同様にして体積平均粒子径が0.1μmのエポキシ系水性分散体(EPE−3)を得た。
実施例4
(X−1)7.78部を製造例4で得られた(X−4)8.05部に変更する以外は実施例1と同様にして体積平均粒子径が0.1μmのエポキシ系水性分散体(EPE−4)を得た。
実施例5
(X−1)7.78部を製造例5で得られた(X−5)18.28部に変更する以外は実施例1と同様にして体積平均粒子径が0.1μmのエポキシ系水性分散体(EPE−5)を得た。
実施例6〜19
実施例1〜5で得られたエポキシ系水性分散体(EPE−1)〜(EPE−5)及び製造例6〜10で得られたポリウレタン樹脂水性分散体(UE−1)〜(UE−5)を用いて、表3記載の混合比(エポキシ成分と硬化剤の合計重量とポリウレタン樹脂の重量の比)で混合して、エポキシ成分、硬化剤及びポリウレタン樹脂を含有する水性分散体(M−1)〜(M−14)を得た。
比較例1
反応容器に酢酸エチル9.1部を仕込み、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(「EOCN−104S」、日本化薬(株)製、Mn1,700])43.8部を加えて溶解させ、これにショ糖ステアリン酸エステル6.0部を添加し、40℃で30分間撹拌した。その後、同温度で水41.4部を2時間で滴下して転相乳化させたものを50℃、減圧下(30kPa以下)で2時間脱溶剤後、30%無水マレイン酸水溶液33.5部を添加し、25℃で10分間撹拌混合してエポキシ化合物(X)を用いないエポキシ系水性分散体(EPE’−1)を得た。得られたエポキシ系水性分散体(EPE’−1)と製造例6で得られたポリウレタン樹脂水性分散体(UE−1)を用いて、表3記載の混合比(エポキシ成分と硬化剤の合計重量とポリウレタン樹脂の重量の比)で混合して、エポキシ化合物(X)を用いないエポキシ成分、硬化剤及びポリウレタン樹脂を含有する水性分散体(M’−1)を製造した。
Figure 2015010115
実施例6〜19及び比較例1で得られた水性分散体について、体積平均粒子径、造膜性、乾燥皮膜の耐水性、乾燥皮膜におけるエポキシ樹脂中のポリウレタン樹脂の分散性、密着性、乾燥皮膜の破断強度を以下の方法で測定又は評価した結果を表4に示す。
<体積平均粒子径の測定方法>
水性分散体を、イオン交換水で有効成分(エポキシ成分、硬化剤及びポリウレタン樹脂)の濃度が0.01重量%となるよう希釈した後、光散乱粒度分布測定装置[大塚電子(株)製「ELS−8000」]を用いて測定した。
<水性分散体の造膜性の評価方法>
水性分散体10部を、縦10cm×横20cm×深さ1cmのポリプロピレン製モールドに、乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、25℃で48時間乾燥後に造膜しているかどうかを判定した。造膜している場合は○、造膜していない場合は×とした。
<乾燥皮膜の耐水性>
水性分散体10部を、縦10cm×横20cm×深さ1cmのポリプロピレン製モールドに、乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、25℃で12時間乾燥後、循風乾燥機で105℃で3時間加熱乾燥することによって得られたフィルムを、50℃のイオン交換水に5時間浸漬した後、目視にて皮膜の表面状態を観察した。変化が無い場合を○、白化した場合を×とした。
<乾燥皮膜におけるエポキシ樹脂中のポリウレタン樹脂の分散性の評価方法>
水性分散体を10cm×20cmのポリエチレンテレフタレート製フィルムにバーコーターで塗布し、80℃で3分加熱後140℃で30分加熱して膜厚10μmの皮膜を作製した。この皮膜付きポリエチレンテレフタレート製フィルムを3mm×10mmにカットしてウルトラミクロトームで−80℃に冷却しながら幅が100nmとなるように切り出し、その皮膜断面を透過型電子顕微鏡を用いて倍率10000倍で観察し、分散性を以下の評価基準で評価した。
○:ポリウレタン樹脂ドメインの大きさが500nm以下。
×:ポリウレタン樹脂ドメインの大きさが500nmを超える。
<密着性の評価方法>
水性分散体を溶融亜鉛メッキ鋼板にバーコーターで塗布し、100℃で4時間加熱し、膜厚10μmの皮膜を作製した。乾燥皮膜にナイフで1mm幅に切れ目を入れて碁盤目(10×10個)を作製し、該碁盤目上にセロハン粘着テープを貼り付け90度剥離を行い、基材からの皮膜の剥離状態を観察し評価した。
○:碁盤目の剥離が10個以下。
×:碁盤目11個以上が剥離する。
<乾燥皮膜の破断強度の測定方法>
ポリプロピレン製モールドに水性分散体を乾燥後の膜厚が約200μmとなるように静かに流し込み、全体が均一になる様に広げ、25℃で24時間静置後、循風乾燥機を用いて105℃で3時間乾燥後、更に105℃、圧力1.3kPaで1時間減圧乾燥して得られた樹脂皮膜について、JIS K 6251に準拠して、試験片の形状をダンベル状3号形とし、オートグラフ[島津製作所(株)製「AGS−500D」]を用いて、引張速度500mm/分で破断強度を測定した。
Figure 2015010115
本発明のエポキシ系水性分散体におけるエポキシ成分と硬化剤とを反応させて得られるエポキシ樹脂(EP)はポリウレタン樹脂(U)との親和性に優れ、エポキシ樹脂(EP)とポリウレタン樹脂(U)との混合物の機械強度及び密着性等の性能に優れるため、接着剤、塗料及びコーティング剤等に好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. 一般式(1)で表されるエポキシ化合物(X)を含有するエポキシ成分、硬化剤及び水性媒体を含有してなるエポキシ系水性分散体。
    Figure 2015010115
    [式中、M1は1〜20価の活性水素含有有機化合物からc個の活性水素を除いた残基を表し;cは1≦c≦(M1の価数)を満たす整数を表し;E1は1個以上のエポキシ基と1個の水酸基又は1個のハロゲン原子とを有する炭素数3〜80のエポキシ化合物から水酸基又はハロゲン原子を除いた残基を表し、複数ある場合のE1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;E2は2個以上のエポキシ基を有する炭素数8〜80のエポキシ化合物から1個のエポキシ基を除いた残基を表し、複数ある場合のE2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Lは3価以上の芳香族ポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いた残基を表し、Lの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが少なくとも一つの炭素原子には水素原子が結合しており;a及びbはそれぞれ0以上の整数を表し、かつ、2≦a+b≦d−2を満たし、複数ある場合のaはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、複数ある場合のbはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;dは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。]
  2. 前記一般式(1)における3価以上の芳香族ポリカルボン酸が、前記芳香環を構成し置換基が結合していない炭素原子に隣接する2個の炭素原子にカルボキシル基が結合した構造を有する請求項1記載の分散体。
  3. 前記カルボキシル基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に更にカルボキシル基が結合した構造を有する請求項2記載の分散体。
  4. 前記一般式(1)における3価以上の芳香族ポリカルボン酸が、トリメリット酸及び/又はピロメリット酸である請求項1記載の分散体。
  5. 前記エポキシ化合物(X)の水酸基価が、0〜500mgKOH/gである請求項1〜4のいずれか記載の分散体。
  6. 前記エポキシ化合物(X)におけるLの濃度が、0.5〜10mmol/gである請求項1〜5のいずれか記載の分散体。
  7. 前記エポキシ化合物(X)のカルボニル基濃度が、1.5〜30mmol/gである請求項1〜6のいずれか記載の分散体。
  8. 前記エポキシ成分における前記エポキシ化合物(X)の含有量が、1〜40重量%である請求項1〜7のいずれか記載の分散体。
  9. 更に、ポリウレタン樹脂(U)を含有してなる請求項1〜8のいずれか記載の分散体。
  10. 前記エポキシ成分及び前記硬化剤の合計重量と前記ポリウレタン樹脂(U)の重量との比が1:99〜99:1である請求項9記載の分散体。
  11. 実質的に有機溶剤を含有しない請求項1〜10のいずれか記載の分散体。
  12. 請求項9〜11のいずれか記載の分散体を乾燥してなる皮膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019011408A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 大日精化工業株式会社 ポリウレタンウレア水分散体及び艶消し塗料
JP2022022263A (ja) * 2017-06-29 2022-02-03 大日精化工業株式会社 ポリウレタンウレア水分散体及び艶消し塗料

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