JP5410926B2 - 直結系軌道の補修方法 - Google Patents
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しかしながら、上述した補修方法では、特に軌道の周囲にホームや排水設備等の支障物が配置されている箇所では、填充層を掘削する掘削機を侵入させるスペースを確保することが難しく、上述の方法では施工できないという問題がある。
特に、軌道の補修作業時において比較的省スペースで補修作業を行うことができるので、軌道の周囲に支障物が配置されている箇所であっても、スムーズな補修作業を実現することができる。
この構成によれば、第1ショルダーの一部がコンクリート道床から僅かに突出して残存している場合であっても、この残存した部分を収容部によって収容することで絶縁板をコンクリート道床上にガタツキなく載置することができる。したがって、絶縁板上に配置される第2締結装置のベース部のガタツキも防止することができる。
また、第1ショルダーの一部をコンクリート道床から僅かに突出して残存させることで、第1ショルダーの切断面をコンクリート道床と面一に切断する場合に比べて、第1ショルダーの切断時に高い切断精度を要求されないため、作業効率の向上を図ることができる。さらに、切断時にコンクリート道床を損傷させる虞もない。
この構成によれば、ベース部に上段部よりも厚さが薄い下段部を形成することで、上段部の厚さを厚く形成した場合であっても、それに伴いコンクリート道床に締結される締結部材の長さを長くする必要がない。これにより、締結部材の長さ拡大に伴う曲げモーメントの増加を抑制することができる。
特に、軌道の補修作業時において比較的省スペースで補修作業を行うことができるので、軌道の周囲に支障物が配置されている箇所であっても、スムーズな補修作業を実現することができる。
次に、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、TC型省力化軌道の補修方法であって、路盤が変状した場合等に、座面式の締結装置が埋設されたコンクリート道床にタイプレート式の締結装置を設置するものである。そのため、以下の説明では、まず補修作業前の軌道である座面式の締結装置が設置されたTC型省力化軌道について説明する。
図1は補修作業前におけるTC型省力化軌道の平面図であり、図2は断面図である。なお、以下の説明ではレールの長手方向を前後、幅方向を左右、頭部側を上方とする。
図1,2に示すように、本実施形態の軌道はいわゆるTC型省力化軌道であり、図示しない路盤上に敷き詰められたバラスト10とまくらぎ11とを填充材により一体化させてなる填充層(コンクリート道床)9からなり、まくらぎ11に埋設された座面式締結装置12(以下、第1締結装置12という)と、第1締結装置12に締結されたレール13とを備えている。
まくらぎ11は、コンクリートからなる略直方体形状のものであって、その長手方向が左右方向に一致した状態で填充材に埋設されている。そして、まくらぎ11の上面は填充層9から露出している。なお、まくらぎ11の上面は、左右方向外側から内側に向かって側面視V字状に若干傾斜している。この傾斜は、レール13を鉄道の車輪の傾斜に合わせて傾斜させるものであり、これにより、鉄道は曲線等においてスムーズに曲がることができる。
アンカー部22は、まくらぎ11の上面から下面に向けて先細るように延出する先細り部27と、この先細り部27の先端が拡大して形成された拡大部28とで構成されている。
また、各ベース部31の対向面は、後述する楔形インシュレーター35に噛合される鋸歯面31aを有している。この鋸歯面31aの長手方向は、前後方向にかけて傾斜しているとともに、各ベース部31の鋸歯面31aの長手方向は互いに平行に形成されている。
次に、路盤の変状等により填充層9が沈下した場合の軌道の補修方法について説明する。図3,4は図2に相当する軌道の断面図であり、軌道の補修方法を示す工程図である。
図3(a)に示すように、まずまくらぎ11における各ショルダー本体24の両側方に穴51を形成する(穿孔工程)。具体的には、図示しない穿孔機を用いてまくらぎ11を穿孔し、アンカー部22の長さと同程度の深さの穴51をあける。
次に、図3(b)に示すように、穴51内に樹脂材料やセメント等の充填材52を充填するとともに、ボルト穴53aが形成されたインサート部材53を挿入する(インサート設置工程)。そして、この状態で充填材52を養生してボルト穴53aの軸方向がまくらぎ11の上面の面方向に直交するようにインサート部材53を位置決めする。なお、穴51及びインサート部材53は、アンカー部22に接触しない程度にレール13に近接させた方が好ましい。これにより、インサート部材53に後述するボルト71(図5参照)が螺入された際に、レール13からボルト71に作用する曲げモーメントを可能な限り低減することができる。
その後、図示しないカッター等を用いて、ショルダー21におけるまくらぎ11の上面から突出している部分、すなわちショルダー本体24を切断し、その後グラインダ等を用いてショルダー本体24の切断面を研磨する(切断工程)。これにより、まくらぎ11内にアンカー部22が埋設された状態で、ショルダー本体24だけがまくらぎ11上から撤去される。
なお、上述した切断工程において、ショルダー本体24はまくらぎ11の上面と面一になるように切断することが好ましいが、ショルダー本体24の切断面がまくらぎ11の上面から僅かながら突出して残存する場合がある。そのため、絶縁板54の裏面には、絶縁板54の面方向においてショルダー本体24と重なる位置に、ショルダー本体24の残存部分(まくらぎ11から突出している部分)を収容する凹部(収容部)56が形成されている。これにより、絶縁板54をまくらぎ11上にガタツキなく載置することができ、その後に設置される後述する締結装置57もガタツキなく設置することができる。
プレート61は、填充層9の沈下量に相当する板厚を有している。また、プレート61は、その面方向において上述したインサート部材53のボルト穴53aと重なるように貫通孔67を有している。この貫通孔67は、上述した絶縁板54の貫通孔55と同様に左右方向を長軸方向とする長円形状に形成されている。このように、絶縁板54及びプレート61の貫通孔55,67を長円形状に形成することで、まくらぎ11上における絶縁板54及びプレート61の左右方向の位置を調整することができる。
ベース部63は、略円柱形状のものであり、その軸方向が前後方向と一致している。そして、ベース部63には、その軸方向に沿って貫通する貫通孔65が形成されている。支持部64は、ベース部63の左右方向外側でベース部63の高さより低く形成され、その上面が平坦面66を有している。
そして、図5,6に示すように、タイプレート58及び絶縁板54の貫通孔55,67内にカバープレート68及び座金69を間に挟んでボルト71を挿通し、インサート部材53(図4参照)のボルト穴53aに螺入する。これにより、タイプレート58がまくらぎ11上に固定される。その後、プレート61上における各ショルダー62間に、ゴム等からなる平板状の軌道パッド72を配置する。
クリップ59をショルダー62に装着する場合、まずクリップ59の挿入部75をショルダー62の貫通孔65に挿入した後、クリップ59の当接部76をショルダー62の支持部64の平坦面66に当接させる。すると、クリップ59に復元力が発生し、この復元力がレール13への押圧力となってクリップ59の押圧部78からインシュレーター73の上面に作用する。これにより、レール13の底部37が下方に向かって押圧されることで、レール13がまくらぎ11上に締結される。
以上により、まくらぎ11上に第2締結装置57によってレール13が締結される。
この構成によれば、まくらぎ11上に第2締結装置57をセットすることで、第1締結装置12に比べてまくらぎ11の上面からレール13の上端面までの高さ(上下方向におけるショルダー62の位置)をプレート61の厚さ分だけ上昇させることができる。すなわち、填充層9の沈下量をプレート61の厚さにより許容することができる。よって、まくらぎ11上に第2締結装置57をセットするだけの簡単な作業で軌道の補修作業を完了させることができる。これにより、TC型省力化軌道のようなまくらぎ11が填充層9内に埋設された直結系軌道であっても、補修作業時に填充層9を掘削する等の必要がないので、作業効率の向上を図るとともに、作業コストの低減を図ることができる。
特に、本実施形態では、軌道の補修作業時において比較的省スペースで補修作業を行うことができるので、軌道の周囲に支障物が配置されている箇所であっても、スムーズな補修作業を実現することができる。
さらに、まくらぎ11は、その上面が予め左右方向内側に向けて傾斜して形成されているため、プレート61に傾斜を形成する必要がない。そのため、平板状のタイプレート58をまくらぎ11に設置するのみで、タイプレート58がまくらぎ11の傾斜に倣って傾斜することになる。これにより、タイプレート58の製造コストも低減することが可能である。
図7に示す第2締結装置81のプレート82は、上述した第1実施形態のプレート61よりも厚さが厚い平板からなり、各ショルダー62間においてレール13が載置される上段部83と、ショルダー62の外側の領域においてプレート82の厚さが縮小するように削り取られた下段部84とで構成されている。すなわち、プレート82は、側面視で階段形状に形成されている。下段部84の厚さは例えば第1実施形態のプレート61の厚さと同等に形成される一方、上段部83の厚さは、下段部84よりも厚く、かつ填充層9の沈下量に相当する厚みに形成されている。また、下段部84には、ボルト71が挿通される貫通孔85が形成されている。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図8は第2実施形態における軌道の補修方法を示す工程図である。上述した第1実施形態の補修作業では、切断工程において第1締結装置12におけるショルダー本体24を切断する場合について説明したが、本実施形態では、ショルダー本体24を切断せずに補修作業を行う場合について説明する。
なお、本実施形態では、撤去工程までは上述した第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
そして、矩形孔92内にショルダー本体24を挿入するように絶縁板91をまくらぎ11上に載置する。これにより、絶縁板91がショルダー本体24を避けた状態でまくらぎ11上に載置される。
ここで、本実施形態の第2締結装置93は、タイプレート94と、タイプレート94に装着されレール13を押圧固定するクリップ59(図9参照)とを備えている。タイプレート94は、平板状のプレート95と、プレート95上に形成された一対のショルダー62とを備えている。
そして、矩形孔96内にショルダー本体24を挿入するようにタイプレート94をまくらぎ11上に載置する。これにより、タイプレート94がショルダー本体24を避けた状態でまくらぎ11上に載置される。
さらに、本実施形態では、上述した第1実施形態と異なりショルダー本体24を切断する必要がないので、作業効率の更なる向上を図ることができる。
例えば、上述した実施形態では、路盤上にまくらぎ11及びバラスト10が填充層9として一体化されてなるTC型省力化軌道の補修方法を例にして説明したが、これに限らずコンクリート路盤にまくらぎが埋設された直結系軌道や、コンクリート路盤上に軌道スラブ(コンクリート道床)が設置されたスラブ軌道、コンクリート路盤上にゴム等の弾性部材を介してまくらぎが設置された弾性まくらぎ直結軌道等、何れの直結系軌道においても上述した軌道の補修方法を採用することが可能である。
さらに、第1実施形態において、絶縁板54の裏面に各ショルダー本体24の切断面を収容する凹部56をそれぞれ形成する場合について説明したが、これに限らず左右方向に長い凹部を形成して各ショルダー本体24の切断面を一括して収容するようにしても構わない。
また、第2実施形態において、ショルダー62をプレート95上における前後方向で異なる位置に配置する構成について説明したが、これに限られず、矩形孔92の前後何れか一方で互いに対向するようにショルダー62を配置しても構わない。
Claims (3)
- レールを支持するコンクリート道床と、
前記コンクリート道床に設置され、前記レールの幅方向両側において一部が前記コンクリート道床に埋設された一対の第1ショルダー、及び第1ショルダーに装着され、前記レールの底部を前記コンクリート道床に向けて押圧する第1締結手段を有する第1締結装置と、を備えた直結系軌道の補修方法であって、
前記第1ショルダーから前記レール及び前記第1締結手段を取り外す撤去工程と、
前記第1ショルダーにおける前記コンクリート道床からの突出部分を切断する切断工程と、
前記コンクリート道床上に第2締結装置を設置する設置工程と、
前記第2締結装置によって前記レールを締結する締結工程とを有し、
前記第2締結装置として、前記コンクリート道床と前記レールとの間に配置され、高さ調整に応じた厚さを有するベース部と、前記ベース部上における前記レールの幅方向両側に形成された一対の第2ショルダーと、前記第2ショルダーに装着され、前記レールの底部を前記ベース部に向けて押圧する第2締結手段とを備えるものを使用し、
前記設置工程では、前記コンクリート道床上に前記ベース部及び前記一対の第2ショルダーを設置し、
前記締結工程では、前記ベース部に前記レールを設置した後に、前記第2ショルダーに前記第2締結手段を装着することで前記レールの底部を前記ベース部に向けて押圧させることを特徴とする直結系軌道の補修方法。 - 前記設置工程では、前記ベース部と前記コンクリート道床との間に絶縁板を配置し、
前記絶縁板における前記コンクリート道床との対向面には、前記切断工程において残存する前記第1ショルダーの一部を収容する収容部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の直結系軌道の補修方法。 - 前記第2締結装置の前記ベース部は、前記レールが載置される上段部と、前記上段部の幅方向両側に形成され、前記上段部より高さが縮小した下段部とを備え、
前記設置工程では、締結部材を用いて前記下段部を前記コンクリート道床に固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の直結系軌道の補修方法。
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