JP5410491B2 - 現像ローラ - Google Patents
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Description
すなわち、前記圧接状態で現像ローラを回転させるとトナーが帯電され、帯電されたトナーが現像ローラの外周面に付着されるとともに、帯電ブレードによって付着量が規制されることで、前記現像ローラの外周面の略全面に、厚みがほぼ均一なトナー層が形成される。
前記現像ローラとしては、ローラ本体を備え、前記ローラ本体の少なくとも外周面を半導電性ゴムで形成したもの等を用いるのが一般的である(特許文献1等参照)。
ところが、例えば8000枚程度の画像形成をするごとにメンテナンスをするように設計された高耐久機においては、使用開始から最初のメンテナンスをするまでの間に、前記シール部材によってシールされたはずの両端部からトナー漏れが発生しやすくなるという問題がある。この原因は、ローラ本体の外周面の前記両端部の付近が、シール部材の摺接によって摩耗して、当該シール部材との間に隙間を生じることにある。
しかし前記樹脂被覆層は、トナー等との摩擦力のバランスを考慮して、摩擦係数μが0.25〜0.5程度とされるため耐摩耗性が不十分であり、特に高耐久機等に使用した際に、所定の設定枚数以前にトナー漏れが生じるのを防止することはできなかった。
本発明においては、現像ローラのローラ本体の外周面の、シール部材が摺接される両端部に、選択的に上記の時間、紫外線を照射する処理をして、その摩擦係数μを、前記のように0.15以下とすることで、当該両端部にこれまでよりも高い耐摩耗性を付与して、例えば高耐久機等に使用して設定された枚数の画像形成をしても、前記両端部とシール部材との間に隙間が生じてトナー漏れするのを防止することが可能となる。
図1を参照して、この例の現像ローラ1は、円筒状のローラ本体2と、前記ローラ本体2の中心の通孔3に挿通されたシャフト4とを備えている。
ローラ本体2は非多孔質状に形成してもよいし、多孔質状に形成してもよい。またローラ本体2は、外周面5側の外層とシャフト4側の内層の2層構造に形成してもよい。
シャフト4は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成される。ローラ本体2とシャフト4とは、例えば導電性を有する接着剤等により電気的に接合されると共に機械的に固定されて一体に回転される。
具体的には、上記3種のゴム分に、当該ゴム分を架橋させるための架橋成分やその他の添加剤を配合して半導電性ゴム組成物を調製し、前記半導電性ゴム組成物を、例えば押出成形等によって筒状に形成するとともに前記ゴム分を架橋反応させたのち、さらに必要に応じて外周面5を研磨等することにより、ローラ本体2が形成される。
ゴム分としてエピクロルヒドリンゴムを配合することでローラ本体2にイオン導電性を付与し、そのローラ抵抗値を適度な範囲に設定して、現像時に、トナーを適度な帯電量に帯電させることが可能となる。
すなわち、前記ローラ本体2を備えた現像ローラ1を、帯電ブレードを圧接させた状態で回転させた際に、トナーを、感光体ドラムの表面の静電潜像を現像するのに適した帯電量に帯電させることができる。
前記エピクロルヒドリンゴムとしては、例えばエピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、およびエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。
エチレンオキサイドは電気抵抗値を下げる働きがあるが、エチレンオキサイド含量が前記範囲未満であると、かかる電気抵抗値の低減効果が小さい。一方、エチレンオキサイド含量が前記範囲を超える場合には、エチレンオキサイドの結晶化が起こり分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に電気抵抗値が上昇する傾向がある。また、架橋後のローラ本体の硬度が上昇したり、架橋前の半導電性ゴム組成物の、加熱溶融時の粘度が上昇したりするおそれもある。
前記ECOにおけるエチレンオキサイド含量は30〜80モル%、特に50〜80モル%であるのが好ましい。またエピクロルヒドリン含量は20〜70モル%、特に20〜50モル%であるのが好ましい。
前記GECOにおけるエチレンオキサイド含量は30〜95モル%、特に60〜80モル%であるのが好ましい。またエピクロルヒドリン含量は4.5〜65モル%、特に15〜40モル%以上であるのが好ましい。さらにアリルグリシジルエーテル含量は0.5〜10モル%、特に2〜6モル%であるのが好ましい。
(他のゴム分)
前記エピクロルヒドリンゴムとともにローラ本体を構成する他のゴム分としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、および極性ゴムが挙げられる。
これらSBRの1種または2種以上を使用することができる。
また極性ゴムとしては、例えばクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、およびアクリルゴム(ACM)等の1種または2種以上が挙げられる。特にクロロプレンゴム、ニトリルゴムが好ましい。極性ゴムを配合すると、ローラ本体のローラ抵抗値を微調整することができる。
エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、ゴム分の総量の5質量%以上であるのが好ましく、40質量%以下であるのが好ましい。またSBRの配合割合は、ゴム分の総量の5質量%以上であるのが好ましく、80質量%以下であるのが好ましい。
かかる併用系において、エピクロルヒドリンゴムの配合割合が前記範囲に限定されるのは、配合割合が5質量%未満ではローラ抵抗値が上昇して、現像ローラとして使用した際に、トナー帯電量が低下するおそれがあるためである。また40質量%を超える場合には、現像ローラとして使用した際に、ローラ本体にトナーが付着しやすくなって、形成画像の画像濃度が低下するおそれがあるためである。
架橋成分としては架橋剤が挙げられる。
また前記架橋剤としては、例えば硫黄系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン誘導体系架橋剤、過酸化物系架橋剤、各種モノマー等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
チオウレア系架橋剤としては、例えばテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレア、(CnH2n+1NH)2C=S〔式中、nは1〜10の整数を示す。〕で表されるチオウレア等が挙げられる。
架橋剤の種類に応じて、さらに促進剤や促進助剤を配合してもよい。
促進剤としては、例えば消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や、下記の有機促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
また有機促進剤としては、例えば1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩等のグアニジン系促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系促進剤;N−シクロへキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系促進剤;チオウレア系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
促進助剤としては、亜鉛華等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の促進助剤の1種または2種以上が挙げられる。
架橋剤、促進剤、および促進助剤の配合割合は、ゴム分の組み合わせや配合割合、架橋剤、促進剤、および促進助剤の種類や組み合わせ等に応じて適宜設定することができる。
半導電性ゴム組成物に導電性カーボンブラックを配合することで、ローラ本体2に電子導電性を付与することもできる。ただし多量に配合すると、ローラ抵抗値がばらついたり不均一になったりするおそれがあるため、導電性カーボンブラックの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
このうち受酸剤は、ゴム分の架橋時にエピクロルヒドリンゴムから発生する塩素系ガスの、ローラ本体内への残留と、それによる架橋阻害や感光体の汚染等を防止するために機能する。
前記受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、分散性に優れていることからハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、特にハイドロタルサイト類が好ましい。
前記受酸剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、特に1質量部以上であるのが好ましく、10質量部以下、特に5質量部以下であるのが好ましい。
充填剤としては、例えば酸化亜鉛、シリカ、カーボン、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン等の1種または2種以上が挙げられる。
充填剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり50質量部以下、特に10質量部以下であるのが好ましい。
前記各成分を含む半導電性ゴム組成物は、従来同様に調製できる。まずゴム分を、所定の割合で配合して素練りし、次いで架橋成分以外の添加剤を加えて混練した後、最後に架橋成分を加えて混練することで半導電性ゴム組成物が得られる。前記混練には、例えばニーダ、バンバリミキサ、押出機等を用いることができる。
前記半導電性ゴムを用いて、先に説明した手順でローラ本体2を形成するとともに、前記ローラ本体2とシャフト4とを、導電性を有する接着剤等によって電気的に接合し、かつ機械的に固定したのち、前記ローラ本体2の外周面5のうちシール部材(図示せず)が摺接される軸方向の両端部5a(図中に一点鎖線で区画された領域)に、選択的に紫外線を照射して、その摩擦係数μが0.15以下となるように処理することで、本発明の現像ローラ1が製造される。
次にローラ本体2を、シャフト4の中心軸を中心として、外周面5の周方向に例えば90°ずつ回転させながら、停止させた面に一定時間に亘って、図2中に破線の矢印で示すように紫外線ランプから紫外線を照射する。
照射する紫外線の波長は、半導電性ゴムを効率よく酸化させることを考慮すると100nm以上、400nm以下、中でも300nm以下程度であるのが好ましい。特に前記範囲内で波長の異なる2種以上の紫外線を照射することにより、半導電性ゴムを効率よく酸化させることができる。
なお照射時間は、特に10分間以上であるのが好ましく、15分間以下であるのが好ましい。
外周面5のうち、前記両端部5a以外の領域は未処理であってもよいし、両端部5aと同様に紫外線を照射したり、被覆層で被覆したりしてもよい。
未処理の場合はそのままで、前記領域の摩擦係数μを0.25以上の範囲内とすることができる。
すなわち図1、図4を参照して、前記両端部5a等の摩擦係数μを測定する現像ローラ1を、シャフト4の中心軸を水平に向けた状態で、図中に二点鎖線の矢印で示す方向に回転可能に保持する。また現像ローラ1の中心軸との距離を一定に維持した状態で荷重計9を設置する。
この際、現像ローラ1と荷重計9との間のOHPフィルム11が水平となるようにする。また、前記現像ローラ1から錘10までの間のOHPフィルム11は鉛直方向に垂下させた状態とする。これによりOHPフィルムは、シャフト4の中心軸を中心とする接触角度θ(=90°)の範囲に亘って、ローラ本体2の外周面5のうち両端部5a等の、摩擦係数μを測定する領域と接触した状態となる。
μ=(1/θ)ln(F/W) (i)
によって摩擦係数μを求める。
(半導電性ゴム組成物の調製)
ゴム分としてはSBR〔JSR(株)製のJSR1502〕70質量部、ECO〔東ソー(株)製のエピクロマー(登録商標)D、エチレンオキサイド含量:61モル%〕20質量部、およびCR〔昭和電工(株)製のショウプレン(登録商標)WRT〕10質量部を配合した。
エチレンチオウレア:架橋剤、川口化学工業(株)製のアクセル(登録商標)22−S
5%油入り硫黄:架橋剤、鶴見化学工業(株)製
促進剤DT:1,3−ジ−o−トリルグアニジン、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)DT
促進剤DM:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM
促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド、大内新興化学工業(株)製のノクセラーTS
亜鉛華:促進助剤、三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
導電性カーボンブラック:電気化学工業(株)製のデンカブラック(登録商標)
ハイドロタルサイト類:受酸剤、協和化学工業(株)製のDHT−4A(登録商標)−2
表中の質量部は、前記ゴム分の総量100質量部あたりの質量部である。
前記半導電性ゴム組成物を押出成形機に供給して外径φ22mm、内径φ7.0mmの円筒状に押出成形した後、前記筒状体を架橋用の仮のシャフトに装着して加硫缶内で160℃×1時間架橋反応させた。
次いで前記筒状体を、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ7.5mmのシャフトに装着し直して、オーブン中で160℃に加熱して前記シャフトに装着したのち両端部を整形し、外周面を、円筒研磨機を用いてトラバース研磨したのち仕上げとして鏡面研磨して、外径がφ20.00mm(公差0.05)になるように仕上げて、前記シャフトと一体化されたローラ本体を形成した。
図1、図2を参照して、研磨後のローラ本体2の外周面を水洗いしたのち、紫外線照射装置〔セン特殊光源(株)製のPL21−200〕にセットした。またセットしたローラ本体2と、図示しない紫外線の発生源(紫外線ランプ)との間には、紫外線を遮蔽する遮蔽板6を配設した。遮蔽板6は、ローラ本体2の外周面5のうち前記両端部5aを紫外線ランプに対して露出し、前記外周面5のその他の領域を、前記紫外線ランプから遮蔽する大きさに形成した。またローラ本体2の外周面から紫外線ランプまでの距離は10cmに設定した。
前記現像ローラ1の、前記両端部5aの摩擦係数を先に説明した方法で測定したところ0.15であった。また外周面5のうち、両端部5a以外の紫外線を照射していない領域の摩擦係数を同様にして測定したところ0.84であった。なお荷重計9としては、(株)イマダ製のデジタルフォースゲージModel PPX−2Tを用いた。
ローラ本体2の両端部5aに紫外線を照射して酸化膜7を形成する処理をしなかったこと以外は実施例1と同様にして、現像ローラ1を製造した。
ローラ本体2の外周面5の摩擦係数は、両端部5aおよびそれ以外の領域で、いずれも0.84であった。
ローラ本体2の停止させた面の両端部5aに紫外線を照射する時間を1分間ずつ(比較例2)、5分間ずつ(比較例3)、および15分間ずつ(実施例2)としたこと以外は実施例1と同様にして、現像ローラ1を製造した。
ローラ本体2の外周面5のうち両端部5aの摩擦係数は0.71(比較例2)、0.17(比較例3)、および0.09(実施例2)であった。また両端部5a以外の領域の摩擦係数は、いずれの実施例、比較例も0.84であった。
前記各実施例、比較例で製造した現像ローラ1を、それぞれレーザープリンタ〔ブラザー工業(株)製のHL−5340D〕の現像部に組み込み、その両端部5aに、プリンタ備え付けのフェルト製のシール部材を摺接させた状態で、8000枚の連続通紙試験をした。
○:トナー漏れは全く見られなかった。
×:トナー漏れが見られた。
以上の結果を表2に示す。
これに対し実施例1、2の結果より、前記両端部5aに8分間以上、30分間以下に亘って紫外線を照射することで、当該両端部5aの摩擦係数を0.15以下とすることにより、その耐摩耗性を向上して、画像形成を繰り返した際に前記両端部5aからトナー漏れが発生するのを防止できることが判った。
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
5a 両端部
6 遮蔽板
7 酸化膜、被覆層
8 マスキング
9 荷重計
10 錘
11 OHPフィルム
W 質量
θ 接触角度
F 荷重
Claims (1)
- 電子写真法を利用した画像形成装置に用いる現像ローラであって、エピクロルヒドリンゴム、スチレンブタジエンゴム、および極性ゴムの架橋物からなるローラ本体を備え、前記ローラ本体の外周面の、軸方向の両端部は、選択的に紫外線を8分間以上、30分間以下に亘って照射する処理をされて、摩擦係数μが0.15以下とされていることを特徴とする現像ローラ。
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