JP5408950B2 - ミシンのモータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、停針制御を行うミシンのモータ制御装置に関する。
従来の家庭用ミシンにおいては、縫い針を上死点近傍の上位置と下死点近傍の下位置のいずれかの定位置に停止するようにミシン主軸を停止させ、糸切りや糸通しなどの信号が入ると、縫い針を前記下位置から前記上位置に上昇するようにミシンモータを起動し停止したり、あるいは上記いずれかの定位置に停止していない状態から上位置又は下位置の何れかに縫い針を移動させるように、ミシンモータを起動して停止するようにしていた。
またミシンのモータ制御装置は、運転速度をある程度減速した後にミシン主軸の停止位相を検知してから、ミシンモータへの電力供給を断つ事によって慣性での回転停止を行っている。
そして、糸通し装置を備えたミシンにおいては糸を通す際に、起動時の位置に応じて順回転して上停止や、逆回転して上停止を自動的に実行すること等も行われている(例えば、特許文献文献1、2参照)。
上記モータ制御装置には、一般的には、逆転して上停止させるために、図9(A)、(B)に示すように、上停止区間検出器100と前後区間検出器110が主軸99に設けられている。
これらの検出器は、主軸99と共に回転するように固定装備された遮光板101,111と、遮光状態を検出する光学センサ102,112とからなり、前後区間検出器110により停止位相より前方の位相であるか後方の位相であるかを判定して順回転と逆回転のいずれを行うかを決定し、上停止区間検出器100により検出された停止位相でミシンモータを停止させていた。
特許第2917324号公報 特許第3268606号公報
昨今のミシンでは、主軸位相を正確な位置で停止させる要求が高まっている。例えば、糸通し装置を備える多針のロックミシン等の場合には、複数縫い針がある上に、ルーパを回避して各針に糸通しを行う必要があり、主軸位相で10°以内の精度で停針させる必要がある。
しかしながら、上記従来のモータ制御装置では、前後区間検出器は、縫い針が主軸の一回転における前半領域と後半領域のいずれに位置するかを検出するのみであり、結局のところ、上停止区間検出器による検出の瞬間から停針制御を開始するに過ぎず、停針精度を高めるために、減速などを行い細やかな停止制御を行うには、得られる情報が不十分であるという問題があった。
この場合、検出器を増やしたり、アブソリュート型のエンコーダを設ける等の解決策もあり得るが、いずれもミシンの生産コストを上昇させるという問題があった。そのために、糸通し装置をロックミシンに搭載することの妨げとなっていた。なお、停針精度の向上は、糸通し装置を搭載する場合に限られず、また、ロックミシンに限られる問題ではなく、その他の種々のミシンにあっても同様の要請がある問題であった。
さらに、順回転と逆回転を適宜選択して実行し、停針を行う場合には、布押さえ121と送り歯122が停針精度の向上を妨げるという問題があった。図10は、送り歯122の移動軌跡を示し、点Aは送り歯の目標停止位置を示し、矢印Bは逆回転時の送り歯122の軌跡を示す。布押さえ121は、針板の開口部から突出する送り歯122を上方から押圧している。そして、送り歯122は、その停止位置Aが順回転時における上昇途中(上死点の手前)に設定されている。このため、順回転で停針を行う場合には、送り歯122が上昇途中で布押さえ121に押圧されることで、下軸を介して主軸に負荷トルクとして作用し、速やかな停針に寄与することができる。しかしながら、逆回転で停針を行う場合には、上死点を過ぎてから送り歯が下降し始めている状態で停止しなければならず、この状態では、布押さえ121の押圧力は主軸を逆回転させるトルクとして作用するため、主軸の減速を妨げ、停針位置を通過させてしまう可能性があった。
このため、逆回転から精度良く停針を行うことが困難になるという問題があった。
本発明は、低廉にして高い停針精度を有するミシンのモータ制御装置を提供することをその目的とする。
請求項1記載の発明は、縫い針の上下動駆動力を伝える主軸と前記主軸を回転させるミシンモータと備えるミシンに搭載され、前記主軸の一回転の範囲を、停止目標である停止位相範囲と当該停止位相範囲の順回転方向上流側となる順回転位相範囲と前記停止位相範囲の逆回転方向上流側となる逆回転位相範囲とに分類し、前記主軸が前記順回転位相範囲である場合には順回転を行って停針し、前記主軸が前記逆回転位相範囲である場合には逆回転を行って停針する停針制御を行うミシンのモータ制御装置において、前記順回転位相範囲と逆回転位相範囲のそれぞれに、前記停止位相範囲と隣接する低速回転範囲と当該低速回転範囲に隣接する高速回転範囲とを設定し、前記主軸に固定装備された遮蔽板と当該遮蔽板による遮蔽状態と非遮蔽状態とを識別する光学素子とにより、前記遮蔽板が遮蔽する主軸の所定の角度範囲を識別する二つの主軸検出手段と、前記二つの主軸検出手段による遮蔽状態と非遮蔽状態の検出状態の四つの組み合わせを識別し、さらに、前記主軸を順回転又は逆回転させた時にいずれの主軸検出手段がいずれの検出状態に切り替わるかを識別することにより、前記停止位相範囲と前記順回転位相範囲の低速回転範囲及び高速回転範囲と前記逆回転位相範囲の低速回転範囲及び高速回転範囲の五つの範囲を全て識別する主軸範囲判定部と、前記各低速回転範囲の検出時には前記各高速回転範囲の検出時よりも低速回転するように前記ミシンモータを制御する停針制御部とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記五つの範囲のうち、前記二つの主軸検出手段による遮蔽状態と非遮蔽状態の検出状態を同じとする範囲については、各々の範囲の角度が異なるように設けられ、前記主軸の角度変化量を検出する角度変化検出手段を備え、前記主軸範囲判定部は、前記五つの範囲の識別に際し、前記角度変化検出手段により検出される各範囲の角度差をも考慮することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記主軸の一回転の範囲を偶数個設定し、前記五つの範囲のいずれにも属さない範囲をも含む設定とし、前記主軸範囲判定部は、前記いずれにも属さない範囲をも識別することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記停針制御部は、前記逆回転位相範囲の低速回転範囲については、前記ミシンモータを低速回転からさらに徐々に減速させる動作制御を行うことを特徴とする。
請求項1記載の発明について、図11を例に説明すると、一方の主軸検出手段が遮蔽状態と非遮蔽状態のいずれであるか(図11(A)、図示では遮蔽をON、非遮蔽をOFFで示す)、また、他方の主軸検出手段が遮蔽状態と非遮蔽状態のいずれであるか(図11(B))によって、(1)遮蔽−遮蔽、(2)遮蔽−非遮蔽、(3)非遮蔽−遮蔽、(4)非遮蔽−非遮蔽から四つの状態を識別することが可能である(図11(C))。しかしながら、停針制御部は、停止位相範囲と前記順回転位相範囲の低速回転範囲及び高速回転範囲と前記逆回転位相範囲の低速回転範囲及び高速回転範囲の五つの範囲に応じてミシンモータに対して異なる動作制御を行うため、当該五つの範囲を識別させる必要がある。この場合、前述した(1)〜(4)の検出状態を五つの範囲に割り当てることで、二つの範囲については同じ検出状態が割り当てられることとなる。例えば、(1)の検出状態を二つの範囲(a),(b)に割り当てた場合、同じ検出状態が割り当てられ二つの範囲(a),(b)について順回転側(又は逆回転側)について隣接する範囲に異なる検出状態の内で一致しない検出状態を割り当て(図11の例では(2)と(3))、逆回転(又は順回転)に駆動することで、(2)と(3)のいずれの検出状態が得られるかを監視することにより、同じ(1)の検出状態が割り当てられた二つの範囲(a),(b)のどちらであるかを識別することが可能となる。
そして、上記判定により、いずれの範囲か識別されると、各範囲に応じて、停止位相範囲の場合にはミシンモータの駆動停止、各低速回転範囲の場合にはミシンモータを低速駆動、各高速回転範囲ではミシンモータを高速駆動に制御する。
停止位相範囲に隣接している各低速回転範囲の検出時には、ミシンモータを低速で駆動させるので、停止位相範囲が検出された時点ですぐに停止することが可能となる。また、各高速回転範囲は、低速回転範囲を経て停止位相範囲に到達するので、ミシンモータを低速回転範囲よりも高速で駆動させることで、ミシンモータの停止までの所要時間を短縮化することが可能となる。
このように、主軸検出手段の個体数を増やすことなく従来より多くの回転範囲を識別可能となり、細やかな停止制御が可能となり、低廉にして高い停針精度を得ることが可能となる。
請求項2記載の発明については、また、前述した図11を例に説明すると、例えば、(1)の検出状態を角度範囲が異なる二つの範囲(a),(b)に割り当てた場合、(1)の検出状態が検出されてから順回転(又は逆回転)に回転駆動を行い且つ角度変化検出手段を用いることで、狭い方の範囲(b)よりも大きな角度変化を経ても検出状態が(1)のままであれば、当該範囲は(b)であることはあり得ないので、(a)であるとの識別が可能となる。このように、角度変化検出手段による検出を組み込むことで、同じ検出状態が割り当てられた二つの範囲について、隣接する範囲に移行するまで回転させることなく、識別可能となり、停止制御をより迅速に行うことが可能となる。
請求項3記載の発明では、主軸の一回転の範囲について前述した五つの範囲のいずれにも属さない新たな範囲をも含む設定としている。例えば、主軸の一回転に対して偶数である六つの範囲に区分した場合の例を図12に基づいて説明する。
前述した図11の例では、二つの主軸検出手段における遮蔽、非遮蔽の境界cとdについては角度を一致させることにより五つの角度範囲を構成しているが、図12の例では、境界cとdとを一致させないことにより六つの角度範囲を構成している。
制止制御のためには、主軸の一回転の範囲を五つの範囲に区分すれば足りるが、二つの主軸検出手段を用いる場合、図11のようにいずれかの境界位置を一致させれば奇数の範囲に区分することができ、図12のように境界をいずれも一致させないと偶数の範囲に区分される。そして、二つの主軸検出手段について、いずれかの境界を一致させるためには、各主軸検出手段の遮蔽板を主軸に取り付ける際に非常に高い取付精度が要求される。
従って、図12のように境界をいずれも一致させないように各主軸検出手段の遮蔽板を主軸に設け、五つの範囲のいずれにも属さない新たな範囲をも含む設定とすることにより、検出状態が等しくなる範囲が二組発生することとなり(図12(C)のように検出状態(1)×2,(3)×2となる)、主軸範囲判定部は二組について識別する処理が必要となるが、二つの主軸検出手段における遮蔽板の取り付け精度を低減することが可能となる。これにより、生産性を向上し、より低廉にして高い停針精度を得ることが可能となる。
請求項4記載の発明は、停針制御部が、逆回転位相範囲の低速回転範囲については、ミシンモータを低速回転からさらに徐々に減速させる動作制御を行うので、
布押さえにより押圧力が主軸の減速を妨げ、停針位置を通過させてしまうような場合であっても、逆回転から精度良く停針を行うことが可能となる。
(ミシンモータ制御装置の全体的な構成)
図1は本発明の実施形態たるミシンのモータ制御装置10を搭載したミシン100の斜視図、図2はその構成を示すブロック図である。
かかるミシン100は多針のロックミシンであり、図1及び図2に示すように、縫い針の上下動の駆動源となるミシンモータ11と、ミシンモータ11を動力として縫い針の上下動と布送りとルーパ駆動などを行う図示しない機構部と、各縫い針に糸通しを行う図示しない糸通し装置と、縫製時にはコントローラ18からの入力に応じてミシンモータ11の速度制御を行い、非縫製時には糸通しの実行に際して後述する主軸14が所定の停針位相にない場合でも停針位相となるように停針制御を行うためのミシンモータ制御装置10とを備えている。
さらに、ミシン100は、ミシンモータ11により回転駆動される主軸14と、主軸14と共に回転し、外部から操作可能なはずみ車15とを備え、ミシンモータ制御装置10は、主軸回転速度150〜1800[rpm]の間での運針の速度を設定する速度設定機能と踏み込み解除状態で停止を指示する信号を発する停止操作機能とを有する操作手段としてのコントローラ18と、主軸14の角度変化量を検出する角度変化検出手段としてのエンコーダ12と、主軸14の一周における所定の位相(後述)を検出する主軸検出手段としての主軸主検出センサ13及び主軸副検出センサ16と、前述した糸通し装置の実行操作を検出する糸通しレバー操作検出センサ17と、ミシンモータ11の動作制御を行う制御回路20を備えている。
(糸通し装置)
図示しない糸通し装置は、縫い針の目穴に向かって往復進退動作を行い、目穴への侵入時に縫い針の前面に保持された縫い糸を係止し、後退時に係止した縫い糸を目穴に引き込む糸通しフックと、糸通しフックに進退動作を付与する動作機構と、糸通しフックを各縫い針の目穴に対応する位置に位置決めする位置決め機構とからなり、動作機構は、手動により糸通し動作を付与する糸通しレバーを備えている。そして、糸通しレバーには前述した糸通しレバー操作検出センサ17が併設されており、当該センサ17は糸通しレバーへの入力操作の開始時点で当該操作入力を検出する。糸通しレバー操作検出センサ17には、例えば、マイクロスイッチ等が使用される。
(エンコーダ)
エンコーダ12は、ミシンモータ11の回転軸に取り付けた円盤と、投光器と受光器とからなる光学センサによって構成される。円盤には等間隔にスリットが開けられており、主軸4が1回転すると332.3パルスを発生する。ミシンモータ11の回転軸と主軸4とを13:72で減速させているため、1パルスは主軸4の1.08°に相当する。従って、かかるパルス数をカウントすることにより、1.08°の分解能で主軸4の角度変化を検出することができる。
エンコーダ12が出力するパルス信号は、後述する入力インターフェイス21のパルスカウンタ22に入力される。
(主軸主検出センサ及び主軸副検出センサ)
図3は主軸主検出センサ13及び主軸副検出センサ16の構成を示す動作説明図である。
ミシンモータ11により回転駆動が行われる主軸14には、主軸主検出センサ13及び主軸副検出センサ16が設けられている。主軸主検出センサ13及び主軸副検出センサ16は、対向配置された発光素子及び受光素子からなる光学素子(13a,16a)と、主軸14の所定の角度範囲で光学素子(13a,16a)の受光検出を遮断する遮蔽板(13b,16b,16c)とを備えている。そして、これらの主軸主検出センサ13と主軸副検出センサ16とは、はずみ車15の内側部分に収容されている。
なお、以下の説明では、各センサ13,16について、遮蔽板により光学素子の受光遮断が行われた状態をON状態、遮断が行われていない状態をOFF状態というものとする。
主軸主検出センサ13の遮蔽板13bは、主軸角度0°から主軸14の順回転方向下流側に向かって123°までの範囲を遮蔽するように形成されている。また、主軸副検出センサ16は、二枚の遮蔽板16b,16cを備えており、遮蔽板16bは主軸角度30°から95°までの範囲を遮蔽し、遮蔽板16cは主軸角度305°から350°までの範囲を遮蔽する。
上記のように、主軸主検出センサ13は、遮蔽板が一枚なので、遮蔽領域と非遮蔽領域の二つの範囲を形成する。一方、主軸副検出センサ16は、遮蔽板は二枚なので、遮蔽領域と非遮蔽領域を二つずつ、合計四つの範囲を形成する。従って、主軸主検出センサ13により形成される範囲と主軸副検出センサ16により形成される範囲を重合させることで、主軸の全周を図4に示す六つの範囲に分割することができる。
即ち、主軸の全周は、主軸角度0〜30°となる第一の範囲H1(図4(A)参照)と、主軸角度30〜95°となる第二の範囲H2(図4(B)参照)と、主軸角度95〜123°となる第三の範囲H3(図4(C)参照)と、主軸角度123〜305°となる第四の範囲H4(図4(D)参照)と、主軸角度305〜350°となる第五の範囲H5(図4(E)参照)と、主軸角度350〜360(0)°となる第六の範囲H6(図4(F)参照)とに分けることができる。
上記第一の範囲H1ではセンサ13はON、センサ16はOFFとなり(以下、ON-OFFのように記載する)、第二の範囲H2ではON-ONとなり、第三の範囲H3ではON-OFFとなり、第四の範囲H4ではOFF-OFFとなり、第五の範囲H5ではOFF-ONとなり、第六の範囲H6ではOFF-OFFとなる。従って、第一の範囲H1と第三の範囲H3、第四の範囲H4と第六の範囲H6とは、それぞれ同じセンサ出力が得られるので、二つのセンサ13,16の出力からは判別がつかない。従って、これらについては、回転制御停止部43及び主軸位相判定部45により識別の処理が行われるがそれらについては後述する。
そして、上述した各範囲H1〜H6のそれぞれは、以下に説明する意義を有している。
まず、第六の範囲H6は、主軸14を停止させる目標となる停止位相である。
第六の範囲H6の順回転方向下流側に位置する第一〜第三の範囲H1〜H3は、主軸14の順回転(図4における反時計方向)時に停止位相である第六の範囲H6よりも先に検出が行われる順回転位相範囲である。即ち、停針制御の実行開始時に主軸角度がこれらの範囲H1〜H3である場合には、主軸14を順回転させて停針が行われる。
また、第六の範囲H6の逆回転方向下流側に位置する第四、第五の範囲H4,H5は、主軸14の逆回転(図4における時計方向)時に停止位相である第六の範囲H6よりも先に検出が行われる逆回転位相範囲である。即ち、停針制御の実行開始時に主軸角度がこれらの範囲H4,H5である場合には、主軸14を逆回転させて停針が行われる。
順回転位相範囲と逆回転位相範囲とは、おおむね主軸の全周を二分するように分けられているが、停止位相を除く全範囲を丁度二等分しても良い。
さらに、順回転位相範囲内において、第六の範囲H6(停止位相)に隣接する第一の範囲H1は、停針制御において、予め設定された低速で回転が行われる低速回転範囲である。つまり、第一の範囲H1は第六の範囲H6に隣接し、順回転で停針を行う場合には、すぐに停止位相H6に到達し得るので、第六の範囲H6内で速やかに停針ができるように低速回転を行うように設定される。なお、ここでいう「低速」とは、後述する高速回転範囲よりも低速ということを意味する相対的な概念であり、具体的には55[rpm]とされる。
さらに、順回転位相範囲内において、第一の範囲H1に対して順回転方向下流側に隣接する第二の範囲H2は、停針制御において、予め設定された高速で回転が行われる高速回転範囲である。つまり、第二の範囲H2は、順回転時に、第一の範囲H1を経て第六の範囲H6に到達するので、停針までに隔たりがあるので、停針の所要時間短縮化のために高速回転を行うように設定される。なお、ここでいう「高速」とは前述の低速よりも高速ということを意味する相対的な概念であり、具体的には65[rpm]とされる。
さらに、順回転位相範囲内において、第二の範囲H2に対して順回転方向下流側に隣接する第三の範囲H3では、停針制御において、前述と同じ低速で回転が行われる。かかる第三の範囲H3は、前述したように固有の識別制御を行わないと第一の範囲H1との識別ができないので、停針時には第一の範囲H1と同じ速度で回転が行われる。
また、逆回転位相範囲内において、第六の範囲H6(停止位相)に隣接する第五の範囲H5は、停針制御において、予め設定された低速で回転が行われる低速回転範囲である。かかる第五の範囲H5の場合も、第六の範囲H6内で速やかに停針ができるように低速回転を行うように設定される。
なお、逆回転から停針を行う場合には、ミシン100が有する布押さえが針板の開口部から覗く送り歯を押圧し、当該押圧力が下軸を通じてミシンモータ11に対して停針位相を通過させるように作用する。このため、逆回転から停針位相内に正確に停針させることは正回転の場合よりも難しい。このため、後述する停針時の制御では、第五の範囲H5の検出されてミシンモータ11を駆動する際には低速の55[rpm]から、所定の減速度で25[rpm]まで徐々に減速を行うようにミシンモータ11の駆動制御が行われる。
さらに、逆回転位相範囲内において、第五の範囲H5に対して逆回転方向下流側に隣接する第四の範囲H4は、停針制御において、予め設定された高速で回転が行われる高速回転範囲である。かかる第四の範囲H4も停針までに隔たりがあるので、停針の所要時間短縮化のために高速回転を行うように設定される。この場合も回転速度は65[rpm]とされる。
(制御回路の全体構成)
上記制御回路20は、コントローラ18から入力された設定速度となるようにミシンモータ11の回転速度制御を行うモータ出力制御手段としての処理部40と、バスを介して処理部40に接続された入力インターフェイス21及び出力インターフェイス26と、スイッチングによりミシンモータ11への電源供給を行う半導体駆動手段としてのモータ通電回路29と、ミシンモータ11へ供給される整流された交流のゼロ電位地点(ゼロ電位となるタイミング)を検出するゼロクロス検出手段としてのゼロクロス検出回路19とを備えている。
(入力インターフェイス)
上記入力インターフェイス21は、エンコーダ12,主軸主検出センサ13,主軸副検出センサ16,コントローラ18及び糸通しレバー操作検出センサ17からの入力信号をCPU46に伝達するためのものである。
図5は制御回路20とその制御に関連する構成を含む機能ブロック図である。図5に示すように、入力インターフェイス21内には、エンコーダ12からの出力のカウントを行う構成部として、パルス信号をカウントするパルスカウンタ22を備えている。
かかるパルスカウンタ22は、処理部40に対して所定期間のパルス信号の受信数をカウントし、出力する。
(出力インターフェイス)
ミシンモータ11への電源供給は、交流の周期の二分の一の周期でオフ期間(通電をオフとする位相)とオン期間(通電をオンとする位相)とが繰り返され、目標回転数に応じてオン期間の増減が図られるように制御される。
出力インターフェイス26は、モータ通電回路29がミシンモータ11に対して行うON-OFF制御について処理部40が定めるオン期間を実際に計時してモータ通電回路29に出力するためのものである。出力インターフェイス26は、図5に示すように、後述するゼロクロス信号を受けてこれを基準にオフ位相カウントし、カウントアップしたときにミシンモータ11に対する通電のオンの指令をモータ通電回路29に出力する位相制御回路27を備えている。
(モータ通電回路)
モータ通電回路29は、交流電源に接続されると共に、交流電源から前記ミシンモータへ供給される電力をオン−オフの切り替えにより制御する半導体スイッチング手段としてのMOSトランジスタ(図示略)を備えており、当該トランジスタは、出力インターフェイス26を介して処理部40の指令に従ってON-OFFの切り替えが可能となっている。
(ゼロクロス検出回路)
ゼロクロスは交流電源出力が略0[V]になるタイミングである。
ゼロクロス検出回路19は、モータ通電回路29を通じて、全波整流された交流電源の電位を監視し、0[V]の電位が検出されると、処理回路40に出力する。交流電源は周波数60[Hz](又は50[Hz])の交流を出力するので、ゼロクロス検出回路19は、8.33[ms](又は10[ms])の周期で0電位の検出を行うこととなる。
(処理部)
処理部40は、図2に示すように、後述する各種の制御又は処理を行うための各種プログラムと縫いに要する各種設定データを記憶するROM47と、ROM47内の各種のプログラムを実行するCPU46と、各種のプログラムの実行に際して作業領域となるRAM48と、CPU46,ROM47及びRAM48と入出力インターフェイス21,26とを接続するバスとを備えている。
そして、処理部40は、ROM47に格納された各種プログラムをCPU46が実行することにより、図5に示す各種機能構成を実現する。
即ち、処理部40は、入力インターフェイス21から入力されるパルスカウント値からミシンモータ11の現在速度を算出する速度算出部41と、コントローラ18により指定された指定速度と現在速度との偏差を求め、当該偏差に基づいてPI制御の演算によりミシンモータ11の操作量を決定すると共に当該操作量に応じてミシンモータ通電のオフ期間に対応するカウント値(変数「オフ期間」とする)を定める制御演算部42としての処理を実行する。
速度算出部41は、個々のパルスカウント値を受信して、パルスごとの時間間隔を計り、当該パルスごとの時間間隔からミシンモータ11の回転速度を算出し、制御演算部42に出力する。
制御演算部42は、速度指定部44から指定速度が入力され、速度算出部41から現在回転数が入力されると、指定速度から現在速度を減算して偏差を算出する。さらに、制御演算部42は、算出した速度偏差に基づいてPI制御処理を行い、ミシンモータ11の操作量を算出する。
さらに、制御演算部42は、算出した操作量に応じて交流電源周期のゼロクロス点の検出周期の一周期ごとにミシンモータ11への通電のオン期間とオフ期間とを設定する。そして、設定したオン期間とオフ期間とを前述した出力インターフェイス26に出力する。
なお、ミシンモータ11の速度検出や操作量演算は、ゼロクロス検出回路19が求める交流電源のゼロクロス点の検出周期に合わせて周期的に実行される。
また、制御演算部42は、停針制御時には、後述する回転制御停止部43からの指定速度から現在速度との偏差を求め、ミシンモータ11の操作量を算出し、ミシンモータ11への通電のオン期間とオフ期間の設定をも行う。
速度指定部44は、コントローラ18の踏み込み量を示す指令信号の入力に基づいて、指定速度(停止指令を含む)を生成し、制御演算部42に入力する。
主軸位相判定部45は、糸通しにおける停針制御の際に用いられるものであって、主軸主検出センサ13及び主軸副検出センサ16のON,OFF出力の組み合わせを四つの状態に分類して識別する。即ち、(1)ON-ON,(2)ON-OFF,(3)OFF-ON,(4)OFF-OFFの四つの状態のいずれであるかを識別する。そして、識別の結果を回転制御停止部43に出力する。
回転制御停止部43は、主軸位相判定部45からの識別の結果に応じて、指令速度、回転停止、順逆の回転方向を決定し、制御演算部42に出力する。
より具体的には、回転制御停止部43は、主軸位相判定部45からの識別結果が状態(1)である場合には、現在の主軸角度が第二の範囲H2(図4(B))内であることが即座に特定されるので、順回転に高速(65[rpm])の指定速度指令を制御演算部42に出力する。
また、回転制御停止部43は、主軸位相判定部45からの識別結果が状態(3)である場合には、同様にして、即座に第五の範囲H5(図4(E))内であると特定されるので、逆回転に低速(55[rpm])の指定速度指令を制御演算部42に出力する。また、このとき、エンコーダ12のパルス信号を受信し、パルスごとに所定の減速度で指定速度を低減させる。このとき、減速による最低速度を25[rpm]とする。
また、回転制御停止部43は、主軸位相判定部45からの識別結果が状態(2)である場合には、現在の主軸角度が第一の範囲H1又は第三の範囲H3内であると判定し、順回転に低速(55[rpm])の指定速度指令を制御演算部42に出力する。さらに、回転制御停止部43は、主軸位相判定部45からの状態変化の出力待ちを行い、状態が変化したときには、その状態が(1)であるか(4)であるかを判定する。
状態(1)であれば前述と同様に順回転に高速(65[rpm])の指定速度指令を制御演算部42に出力する。
また、状態(4)であれば順回転時に状態(2)から(4)に変化を生じるのは第六の範囲H6に到達した場合以外にはあり得ない(第四の範囲H4であることはあり得ない)ので、第六の範囲H6即ち停針位相に到達したものとして、制御演算部42に停止指令を出力する。
また、回転制御停止部43は、主軸位相判定部45からの識別結果が状態(4)である場合には、現在の主軸角度が第四の範囲H4又は第六の範囲H6内であると判定し、逆回転に低速(55[rpm])の指定速度指令を制御演算部42に出力する。そして、エンコーダ12からのパルス信号をカウントし、10°分のパルスをカウントするまでに主軸位相判定部45から状態変化が入力されるかを判定する。もし、10°逆回転が行われても識別結果が状態(4)のままであれば、主軸角度は第六の範囲H6内ではないので、第四の範囲H4と判定し、逆回転に高速(65[rpm])の指定速度指令を制御演算部42に出力する。
また、10°の逆回転を行うまでに主軸位相判定部45からの識別結果が状態(3)に変化した場合には、前述したように、逆回転に低速(55[rpm])の指定速度指令を制御演算部42に出力する。
また、10°の逆回転を行うまでに主軸位相判定部45からの識別結果が状態(2)に変化した場合には、それまでの主軸角度が第六の範囲H6であったものとして、順回転低速に出力を切り換え、状態(4)の検出を待って、制御演算部42に停止指令を出力する。
なお、上述のように、主軸位相判定部45及び回転制御停止部43は、それらの協働により、「主軸範囲判定部」及び「停針制御部」として機能することとなる。
(モータ制御装置における停針制御)
図6〜図8はモータ制御装置10の処理部40が行う停針制御を示すフローチャートである。
まずは、図6に示すように、糸通しレバー操作検出センサ17により糸通しレバーの操作開始が検出されると、回転制御停止部43は、現在の主軸角度の位置を識別する主軸位相判定部45から識別結果を受信し、現在の主軸14は状態(4)[OFF-OFF](図4(D)又は(F))であるか判定する(ステップS1)。
その結果、主軸角度が状態(4)である場合には、回転制御停止部43は、制御演算部42を通じて、ミシンモータ11を逆回転の低速(55[rpm])で起動する(ステップS2)。
ミシンモータ11の駆動と共にエンコーダ12の出力のカウントを開始して(ステップS3)、カウント値が主軸角度10°分に達したか否かを判定する(ステップS4)。
かかる判定において、10°に達していないときには、回転制御停止部43は、状態(3)[OFF-ON](図4(E))に変化したか判定し(ステップS5)、状態(3)に変化した場合には主軸角度が第五の範囲H5に到達したものとして処理をステップS13に進める。
また、状態(3)に変化していない場合には、回転制御停止部43は、状態(2)[ON-OFF]に変化したか判定し(ステップS6)、変化していない場合には、ステップS4に処理を戻して、主軸角度が状態(4)のままでエンコーダ12が10°分のパルス出力をしたかを判定する。
また、ステップS6において、状態(2)に変化した場合には、主軸角度が第六の範囲H6(停止位相)から第一の範囲H1に移動したものとして、一旦ステッピングモータ11を停止させ(ステップS7)、回転を低速順回転に切り換える(ステップS8)。そして、状態(4)に戻るのを待つと共に(ステップS9)、状態(4)となった時点で主軸角度が第六の範囲H6に到達したことを意味するので、ミシンモータ11を通電停止により停止させる(ステップS10)。
一方、ステップS4において、逆回転で状態(4)のままで10°分の回転が行われたと判定された場合には、回転制御停止部43は、現在の主軸角度は第四の範囲H4内であると判定し、ミシンモータ11を逆回転で高速(65[rpm])に切り換える(ステップS11)。
さらに、回転制御停止部43は、状態(3)[OFF-ON](図4(E))に変化したか判定し(ステップS12)、状態(3)に変化するまで、当該判定を繰り返し行う。そして、状態(3)に変化した場合には主軸角度が第五の範囲H5に到達したものとして処理をステップS13に進める。
第五の範囲H5では、エンコーダ12をカウントし、1カウント(又は所定数のカウント)ごとにミシンモータ11の回転数を一定の割合で減速させる。かかる減速は25[rpm]を最低値とする(ステップS13)。
回転制御停止部43は、ミシンモータ11を減速させつつ、状態(4)[OFF-OFF]への変化を監視し(ステップS14)、変化していない場合にはステップS13に処理を戻し、変化した場合には主軸角度が第六の範囲H6に到達したことを意味するので、ミシンモータ11を通電停止により停止させる(ステップS15)。
次に、図7に示すように、回転制御停止部43は、糸通しレバーの操作開始時において、ステップS1において主軸角度の位置が状態(4)ではないと判定された場合には、状態(3)[OFF-ON](図4(E))であるか判定する(ステップS16)。
その結果、主軸角度が状態(3)である場合には、回転制御停止部43は、主軸角度は第五の範囲H5内であると判定し、制御演算部42を通じて、ミシンモータ11を逆回転の低速(55[rpm])で起動する(ステップS17)。
そして、第五の範囲H5では、前述と同様に、エンコーダ12の1カウントごとに一定割合で最低25[rpm]まで減速させる(ステップS18)。そして、ミシンモータ11を減速させつつ、状態(4)[OFF-OFF]に変化するまで監視を続け(ステップS19)、状態(4)に変化した場合には主軸角度が第六の範囲H6に到達したことを意味するので、ミシンモータ11を通電停止により停止させる(ステップS20)。
また、ステップS16において、回転制御停止部43は、主軸角度の位置が状態(3)ではないと判定された場合には、状態(2)[ON-OFF](図4(A)又は(C))であるか判定する(ステップS21)。
その結果、主軸角度が状態(2)である場合には、回転制御停止部43は、主軸角度は第一の範囲H1又は第三の範囲H3内であると判定し、制御演算部42を通じて、ミシンモータ11を順回転の低速(55[rpm])で起動する(ステップS22)。
さらに、順回転時において、回転制御停止部43は、状態(1)[ON-ON](図4(A))に変化したか判定し(ステップS23)、状態(1)に変化した場合には主軸角度が第三の範囲H3から第二の範囲H2に到達したものとして処理をステップS27に進める。
また、状態(1)に変化していない場合には、回転制御停止部43は、状態(4)[OFF-OFF]に変化したか判定し(ステップS24)、変化していない場合には、ステップS23に処理を戻して、ステップS23,S24の判定を繰り返し行う。
また、ステップS24において、状態(4)に変化した場合には、主軸角度が第一の範囲H1から第六の範囲H6に移動したものとして、ミシンモータ11を通電停止により停止させる(ステップS25)。
また、ステップS21において、回転制御停止部43は、主軸角度の位置が状態(2)ではないと判定された場合には、主軸角度は第二の範囲H2内であると判定して、ミシンモータ11を順回転で高速(65[rpm])に切り換え(ステップS26)、ステップS28に処理を進める。
また、ステップS23において、回転制御停止部43は、主軸角度の位置が状態(1)と判定された場合にも、主軸角度は第二の範囲H2内であると判定してステップS28に処理を進める(ステップS27)。
そして、ステップS28では、状態(2)[ON-OFF]に変化したか判定し、状態(2)に変化した場合には主軸角度が第二の範囲H2から第一の範囲H1に到達したものとして、ミシンモータ11を順回転で低速(55[rpm])に切り換える(ステップS29)。
次いで、回転制御停止部43は、状態(4)[OFF-OFF]に変化したか判定し(ステップS30)、変化していない場合には、ステップS24の判定を繰り返し行う。そして、状態(4)に変化した場合には、主軸角度が第一の範囲H1から第六の範囲H6に移動したものとして、ミシンモータ11を通電停止により停止させる(ステップS31)。
(実施形態の効果)
上記ミシン100のモータ制御装置10では、二つのセンサ13,16により主軸の六つの角度範囲H1〜H6を四つの状態(1)〜(4)に分類し、同一分類に属する角度範囲H1とH3及びH4とH6については、主軸が順回転又は逆回転を行うことによりいかなる検出状態に変化するかによって、全ての角度範囲の識別を可能としている。
そして、上記識別により、いずれの範囲H1〜H6か識別されると、各範囲に応じて、停止位相範囲H6の場合にはミシンモータ11の駆動停止、各低速回転範囲H1,H5の場合にはミシンモータを低速駆動、各高速回転範囲H2、H4ではミシンモータ11を高速駆動に制御する。
従って、停針制御の開始時に主軸角度が停止位相から離れている場合には、速やかに停針位相まで回転させることができ、停止位相に近い場合には低速で精度良く停止位相に停止させることを可能とする。
また、検出センサの個体数を増やすことなく、多くの回転範囲を識別可能とすることにより、上述のように細やかな停止制御を可能とし、低廉にして高い停針精度を得ることが可能となる。
また、モータ制御装置10は、角度変化検出手段としてのエンコーダ12を備えるので、同一分類に属する角度範囲H4とH6とでその角度が異なる場合には、小さい角度範囲の角度だけ回転を行っても検出状態が変化するか否かにより識別が可能となり得るので、識別が迅速となる場合があり、停止制御をより迅速に行うことが可能となる。
また、モータ制御装置10では、主軸角度範囲を五以上である六つに分けているので、主軸センサを二つ使用すると、通常は主軸角度範囲を偶数に分けなければならないという事情に対応することが可能となる。つまり、各センサ13,16は遮蔽と非遮蔽の二領域をONとOFFとで識別するので単独で偶数の領域を識別可能とする。そして、これらを重合させて使用すると、それらの合計値である偶数の領域が識別可能となる。かかる重合使用において、奇数領域を識別しようとすると、二つのセンサ13,16について遮蔽領域と非遮蔽領域の境界を同一角度に精度良く一致させなければならず、遮蔽板の取り付け精度が非常に高く要求されることとなり、装置のコスト上昇、生産性の低下を招いてしまう。
そこで、主軸角度範囲を偶数である六つとして、これらを全て識別可能とすることにより、センサ13,16について遮蔽板の取り付け精度を低減させることを可能とし、装置のコスト低減、生産性の向上を図っている。
また、停針制御部としての回転制御停止部43が、逆回転位相範囲の低速回転範囲H5については、ミシンモータ11を低速回転55[rpm]からさらに徐々に減速させる動作制御を行っている、布押さえにより押圧力が主軸の減速を妨げ、停針位置を通過させてしまうような場合であっても、逆回転から精度良く停針を行うことが可能となる。
(その他)
なお、上記構成からなるミシンモータ制御装置10は、ロックミシンへの適用に限らず、本縫いミシン等、停針精度が要求されるあらゆるミシンに採用しても良いことは言うまでもない。
また、制御演算部42は、速度偏差に所定の制御ゲインを乗じてミシンモータの出力を制御しているが、停針制御において、高速時で制御ゲインを大きくし、低速時では高速時よりも制御ゲインを小さくするように制御させても良い。
ミシンモータ制御装置としての制御回路を搭載したミシンの斜視図である。 制御回路の構成を示すブロック図である。 図3(A)は主軸主検出センサの構成を示す動作説明図、図3(B)は主軸副検出センサの構成を示す動作説明図、図3(C)は主軸主検出センサと主軸副検出センサの重合装備による検出状態を示す動作説明図である。 図4(A)〜(F)は主軸全周に設定された六つの角度範囲のそれぞれの検出状態を示した説明図である。 制御回路とその制御に関連する構成を含む機能ブロック図である。 ミシンモータ制御装置の停針制御内容を示すフローチャートである。 ミシンモータ制御装置の停針制御内容を示す図6に続くフローチャートである。 ミシンモータ制御装置の停針制御内容を示す図7に続くフローチャートである。 図9(A)は従来の上停止区間検出器の構成を示す説明図、図9(B)は従来の前後区間検出器の構成を示す説明図である。 送り歯軌跡と布押さえの位置関係を示す説明図である。 図11(A)は一方の主軸検出手段の識別領域を示す説明図、図11(B)は他方の主軸検出手段の識別領域を示す説明図、図11(C)は二つの主軸検出手段を重合装備して奇数の識別領域を識別する場合の例を示す説明図である。 図12(A)は一方の主軸検出手段の識別領域を示す説明図、図12(B)は他方の主軸検出手段の識別領域を示す説明図、図12(C)は二つの主軸検出手段を重合装備して偶数の識別領域を識別する場合の例を示す説明図である。
符号の説明
10 モータ制御装置
11 ミシンモータ
12 エンコーダ(角度変化検出手段)
13 主軸主検出センサ(主軸検出手段)
13a 光学素子
13b 遮蔽板
14 主軸
16 主軸副検出センサ(主軸検出手段)
16a 光学素子
16b,16c 遮蔽板
43 回転制御停止部(主軸範囲判定部、停針制御部)
45 主軸位相判定部(主軸範囲判定部)
H1 第一の範囲(順回転方向の低速回転範囲)
H2 第二の範囲(順回転方向の高速回転範囲)
H3 第三の範囲
H4 第四の範囲(逆回転方向の高速回転範囲)
H5 第五の範囲(逆回転方向の低速回転範囲)
H6 第六の範囲(停止位相)

Claims (4)

  1. 縫い針の上下動駆動力を伝える主軸と前記主軸を回転させるミシンモータと備えるミシンに搭載され、
    前記主軸の一回転の範囲を、停止目標である停止位相範囲と当該停止位相範囲の順回転方向上流側となる順回転位相範囲と前記停止位相範囲の逆回転方向上流側となる逆回転位相範囲とに分類し、前記主軸が前記順回転位相範囲である場合には順回転を行って停針し、前記主軸が前記逆回転位相範囲である場合には逆回転を行って停針する停針制御を行うミシンのモータ制御装置において、
    前記順回転位相範囲と逆回転位相範囲のそれぞれに、前記停止位相範囲と隣接する低速回転範囲と当該低速回転範囲に隣接する高速回転範囲とを設定し、
    前記主軸に固定装備された遮蔽板と当該遮蔽板による遮蔽状態と非遮蔽状態とを識別する光学素子とにより、前記遮蔽板が遮蔽する主軸の所定の角度範囲を識別する二つの主軸検出手段と、
    前記二つの主軸検出手段による遮蔽状態と非遮蔽状態の検出状態の四つの組み合わせを識別し、さらに、前記主軸を順回転又は逆回転させた時にいずれの主軸検出手段がいずれの検出状態に切り替わるかを識別することにより、前記停止位相範囲と前記順回転位相範囲の低速回転範囲及び高速回転範囲と前記逆回転位相範囲の低速回転範囲及び高速回転範囲の五つの範囲を全て識別する主軸範囲判定部と、
    前記各低速回転範囲の検出時には前記各高速回転範囲の検出時よりも低速回転するように前記ミシンモータを制御する停針制御部とを備えることを特徴とするミシンのモータ制御装置。
  2. 前記五つの範囲のうち、前記二つの主軸検出手段による遮蔽状態と非遮蔽状態の検出状態を同じとする範囲については、各々の範囲の角度が異なるように設けられ、
    前記主軸の角度変化量を検出する角度変化検出手段を備え、
    前記主軸範囲判定部は、前記五つの範囲の識別に際し、前記角度変化検出手段により検出される各範囲の角度差をも考慮することを特徴とする請求項1記載のミシンのモータ制御装置。
  3. 前記主軸の一回転の範囲を偶数個設定し、前記五つの範囲のいずれにも属さない範囲をも含む設定とし、
    前記主軸範囲判定部は、前記いずれにも属さない範囲をも識別することを特徴とする請求項1又は2記載のミシンのモータ制御装置。
  4. 前記停針制御部は、前記逆回転位相範囲の低速回転範囲については、前記ミシンモータを低速回転からさらに徐々に減速させる動作制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシンのモータ制御装置。
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