以下では、本発明の実施形態である画像形成装置1について図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成装置1の構成を示す概略図である。図2は、画像形成装置1の制御部9の構成を示すブロック図である。
図1において、画像形成装置1は、画像形成部2、中間転写部3、2次転写部4、記録媒体供給部5および定着部6により構成されている。
また、図2に示すように、画像形成装置1には、上記の各部等のほか、LCD(液晶表示装置)で形成された表示部7a、各種のキーを備えた操作部7b、および、上記の各部等を制御する制御部9を備えている。
図2において、制御部9は、CPU(中央演算処理装置)9a、HDD(ハードディスクドライブ)9b、メモリ9c、表示部制御回路9d、操作部制御回路9e、LAN(
Local Area network)制御回路9f、画像形成部制御回路2a、中間転写部制御回路3a、2次転写部制御回路4a、記録媒体供給部制御回路5aおよび定着部制御回路6a、で構成されている。
CPU9aは、マイクロプロセッサで構成されると共に、HDD9bには、画像形成装置1を制御するのに用いられるOS(Operation System)や各種の制御プログラムやアプリケーションプログラム等のソフトウエアが記憶されており、CPU9aは、これらのソフトウエアに基づいて各種の制御や処理を行う。
また、表示部制御回路9dは表示部7aの、操作部制御回路9eは操作部7bの、LAN制御回路9fはLANインターフェイスの、画像形成部制御回路2aは画像形成部2の、中間転写部制御回路3aは中間転写部3の、2次転写部制御回路4aは2次転写部4の、定着装置制御回路6aは定着装置6の、そして、記録媒体供給部制御回路5aは記録媒体供給部5の、それぞれの動作制御を行うのに用いられる。
以下、上記の各部について説明する。まず、記録媒体供給部5について説明する。記録媒体供給部5は、記録材である記録用紙8を収容する記録用紙収容トレイ42と、この記録用紙収容トレイ42が備えられており、記録用紙収容トレイ42に収容されている記録用紙8を搬出する記録用紙搬出ローラ43と、搬出された記録用紙8を、2次転写部4へ搬送する搬送ローラ44a,44b、および搬送路Pとで構成されている。
次に、画像形成部2について説明する。画像形成部2は、図1に示すように、作像ユニット10y,10m,10c,10bを含み、これらは、各色相のデジタル信号(以下、画像情報と記す)に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して、各色のトナーによりトナー像を形成する。すなわち、作像ユニット10yはイエロー色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10mはマゼンタ色の画像情報に対応するトナーを形成し、作像ユニット10cはシアン色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10bはブラック色の画像情報に対応するトナー像を形成する。
作像ユニット10y,10m,10c,10bは、それぞれイエロー色現像剤、マゼンタ色現像剤、シアン色現像剤またはブラック色現像剤を使用すること、および、画像形成部2に入力される画像情報のうち、イエロー色成分像に対応する画素信号、マゼンタ色成分像に対応する画素信号、シアン色成分像に対応する画素信号、ブラック色成分像に対応する画素信号がそれぞれ入力されること以外は構成を同じくするので、以下、イエロー色に対応する作像ユニット10yを代表例として示し、他については説明を省略する。
なお、各色に対応する作像ユニット10等を個々に示す場合には、アルファベットの添字:y(イエロー色)、m(マゼンタ色)、c(シアン色)、b(黒色)を付して表す。作像ユニット10y,10m,10c,10bは、中間転写媒体である中間転写ベルト21の移動方向(副走査方向)、すなわち、矢符27の方向の上流側から下流側にこの順番で一列に並んで配列される。
図3は、作像ユニット10yの構成を示す概略図である。作像ユニット10yは、図3に示すように、イエロー色のトナー像が表面に形成される感光体ドラム11yと、感光体ドラム11yの表面を均一に帯電する帯電ローラ12yと、帯電された感光体ドラム11y表面に画像情報に応じた光を露光して静電潜像を形成する光走査ユニット13yと、トナーを感光体ドラム11y表面に形成された静電潜像に付着させることによってトナー像を形成する現像装置14yと、中間転写ベルト23に中間転写されずに感光体ドラム11y表面に残存するトナーを除去回収するドラムクリーナ15yとを含んで構成される。
感光体ドラム11yは、画像情報に応じた光で露光されることによってその表面に静電潜像が形成される潜像担持体であり、回転自在に設けられる。感光体ドラム11yは、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない円筒状、円柱状又は薄膜シート状(好ましくは円筒状)の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含んで構成される。
感光体ドラム11yには、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、導電性基体であるアルミニウム素管と、アルミニウム素管の表面に形成される感光層である有機感光層とを含む、GND(接地)電位に接続される感光体ドラム11yが挙げられる。
有機感光層は、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層して形成されるものであってもよく、電荷発生物質と電荷輸送物質とを1つの層に含むものであってもよい。有機感光層の層厚は、特に限定されるものではないが、たとえば、20μmである。又有機感光層と導電性基体との間に下地層を設けてもよい。さらに、有機感光層の表面に保護層を設けてもよい。
感光体ドラム11yは、図3の紙面向って反時計周りの方向に、たとえば、周速度220mm/sで回転する。感光体ドラム11yの駆動手段は、画像形成部制御回路2aによって制御され、これにより感光体ドラム11yの回転速度が制御される。
帯電ローラ12yは、感光体ドラム11yの表面を所定の極性の電位に帯電させる帯電手段である。帯電手段としては、帯電ローラ12yに限定されるものではなく、帯電ローラ12yに代えて、ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、又はスコロトロンというコロナ帯電器等も使用できる。
光走査ユニット13yは、帯電状態にある感光体ドラム11yの表面にイエロー色の画像情報に対応するレーザ光を照射し、感光体ドラム11yの表面に、イエロー色の画像情報に対応する静電潜像を形成する潜像形成手段である。レーザ光の光源には、半導体レーザ素子等が用いられる。
現像装置14yは、感光体ドラム11yを臨んで設けられ、イエロー色トナー、および、キャリアを含むイエロー色現像剤16yを、層厚規制部材18yによって所定量に規制して現像スリーブ17y表面に担持して感光体ドラム11y表面に搬送し、感光体ドラム11y表面に形成される静電潜像を現像して顕像化する現像手段である。なお、現像装置14yとしては、キャリアを含まない一成分現像剤を用いるもの等も、用いることができる。
現像スリーブ17yは、感光体ドラム11yに近接する現像ニップ部において、感光体ドラム11yの回転駆動方向と同じ方向に回転駆動する。したがって、軸線回りの回転駆動方向としては、逆方向になる。
ドラムクリーナ15yは、感光体ドラム11y表面のイエロー色のトナー像が、中間転写ベルト21に中間転写された後に、感光体ドラム11y表面に残存するイエロー色トナーを除去し回収する。
以下に、本実施形態の画像形成装置1に用いられる現像剤16y,16m,16c,16bの構成成分について詳細に説明する。
以下では、現像剤16y,16m,16c,16bとして、トナーで構成される1成分現像剤について説明する。
トナーは、結着樹脂、着色剤、および、離型剤を含有するトナー粒子で構成される。結着樹脂としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリスチレン、スチレンの置換体の単独重合体、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
これらの結着樹脂の中でも、カラートナー用としては、保存性、耐久性等の点から、軟化点100〜150℃、ガラス転移点50〜80℃の結着樹脂が好ましく、上記の軟化点、および、ガラス転移点を有するポリエステルが特に好ましい。ポリエステルは軟化又は溶融状態で高い透明度を示す。結着樹脂がポリエステルである場合、イエロー、マゼンタ、シアン、および、ブラックのトナー像が重ね合わされた多色トナー像を記録用紙8に定着させると、ポリエステル自体は透明化するので、減法混色によって充分な発色が得られる。
着色剤としては、従来から電子写真方式の画像形成技術に用いられるトナー用顔料、および、染料を使用できる。顔料としては、たとえば、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体系顔料等の有機系顔料、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデンレッド、クロムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ベルリンブルー等の無機系顔料、アルミニウム粉等の金属粉等が挙げられる。顔料は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
離型剤としては、たとえば、ワックスを使用できる。ワックスとしてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。トナーは、結着樹脂、着色剤、および、離型剤の他に、帯電制御剤、流動性向上剤、定着促進剤、導電剤等の一般的なトナー用添加剤の1種又は2種以上を含有できる。
トナーは、着色剤、離型剤等を結着樹脂と溶融混練して粉砕する粉砕法、着色剤、離型剤、結着樹脂のモノマー等を均一に分散した後、結着樹脂のモノマーを重合させる懸濁重合法、結着樹脂粒子、着色剤、離型剤等を凝集剤によって凝集させ、得られる凝集物の微粒子を加熱する乳化凝集法等の公知の方法に従って製造できる。
トナーの体積平均粒径は、特に制限されないけれども、好ましくは2〜7μmである。又トナーの体積平均粒径が、このように適度に小さい場合には、記録媒体に対する被覆率が高くなるので、低付着量での高画質化、および、トナー消費量の低減化を達成できる。
トナーの体積平均粒径が2μm未満では、トナーの流動性が低下し、現像動作の際に、トナーの供給、撹拌、および、帯電が不充分になり、トナー量の不足、逆極トナーの増加等が起こり、高画質画像が得られないおそれがある。一方、体積平均粒径が7μmを超えると、中心部分まで軟化し難い大粒径のトナー粒子が多くなるので、画像の記録用紙8への定着性が低下するとともに、画像の発色が悪くなり、特にOHPへの定着の場合には、画像が暗くなる。
本実施形態で用いられる各色のトナーは、着色剤以外は次に示す同じ構成を有する。このトナーは、たとえば、ガラス転移点60℃、軟化点120℃、および、体積平均粒径6μmのトナーであり、負帯電性の絶縁性非磁性トナーである。このトナーを用いて、X−Rite社製310による反射濃度測定値が1.4の画像濃度を得るには、5g/m2のトナー量が必要である。このトナーは、結着樹脂としてガラス転移点60℃かつ軟化点120℃のポリエステル、離型剤としてガラス転移点50℃かつ軟化点70℃の低分子ポリエチレンワックス、および、着色剤として各色の顔料を含み、ワックス含有量がトナー全量の7重量%、顔料含有率がトナー全量の12重量%、および、残部が結着樹脂のポリエステルである。このトナーに含まれる低分子ポリエチレンワックスは、結着樹脂のポリエステルよりもガラス転移点、および、軟化点が低いワックスである。
現像剤16y,16m,16c,16bは、トナーの他にキャリアを含む2成分現像剤であってもよい。キャリアとしては、磁性を有する粒子を使用することができる。磁性を有する粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライト、および、マグネタイト等の金属、これらの金属とアルミニウム又は鉛等の金属との合金等が挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。
磁性を有する粒子に樹脂を被覆した樹脂被覆キャリア、又は樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリア等をキャリアとして用いてもよい。磁性を有する粒子を被覆する樹脂としては特に制限はないけれども、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、および、フッ素含有重合体系樹脂等が挙げられる。又樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としても特に制限されないけれども、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、および、フェノール樹脂等が挙げられる。
キャリアの形状は、球形又は扁平形状が好ましい。又キャリアの体積平均粒径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、好ましくは30μm以上50μm以下である。さらにキャリアの抵抗率は、好ましくは108Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの抵抗率は、キャリアを0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読取ることから得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブ17にバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体ドラムにキャリア粒子が付着し易くなる。又バイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10emu/g〜60emu/g、さらに好ましくは15emu/g〜40emu/gである。磁化強さは現像スリーブ17の磁束密度にもよるけれども、現像スリーブ17の一般的な磁束密度の条件下においては、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。又磁化強さが60emu/gを超えると、キャリアの穂立ちが高くなり過ぎる非接触現像では、潜像担持体である感光体ドラムと非接触状態を保つことが困難になる。又接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
現像剤16y,16m,16c,16bにおけるトナー、および、キャリアの使用割合は特に制限されず、トナー、および、キャリアの種類に応じて適宜選択すればよい。
作像ユニット10yによれば、感光体ドラム11yをその軸線回りに回転駆動させながら、図示しない電源により帯電ローラ12yにたとえば−1200Vを印加し、放電させることより感光体ドラム11yの表面をたとえば−600Vに帯電する。次に、帯電状態にある感光体ドラム11yの表面に、光走査ユニット13yからイエロー色の画像情報に対応するレーザ光を照射し、イエロー色の画像情報に対応する露光電位−70Vの静電潜像を形成する。
次いで、感光体ドラム11yの表面と現像スリーブ17y表面に担持されるイエロー色現像剤とを近接させる。現像スリーブ17yには現像電位として−450Vの直流電圧が印加されており、現像スリーブ17yと感光体ドラム11yとの電位差によって、静電潜像にイエロー色トナーが付着し、感光体ドラム11yの表面にイエロー色トナー像が形成される。このイエロー色トナー像は、後述するように、感光体ドラム11yの表面に圧接し、矢符27の方向に駆動する中間転写ベルト21に中間転写される。感光体ドラム11yの表面に残留するイエロー色トナーはドラムクリーナ15yにより除去回収される。以後、同様にしてイエロー色のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
次に、中間転写部3について説明する。中間転写部3は、図1に示すように、中間転写ベルト21と、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bと、支持ローラ23,24,25と、ベルトクリーナ26とを含んで構成される。中間転写ベルト21は、支持ローラ23,24,25の間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状の像担持体であり、感光体ドラム11y,11m,11c,11bとほぼ同じ周速度で、矢符27の方向に、すなわち、感光体ドラム11y,11m,11c,11bに臨む像担持面が、感光体ドラム11yから感光体ドラム11bに向って移動するように回転駆動される。
中間転写ベルト21には、たとえば、厚さ100μmのポリイミドフィルムを使用できる。中間転写ベルト21の材料としてはポリイミドのみに限定されず、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂や、各種ゴム等から構成されるフィルムを使用できる。合成樹脂又は各種ゴムからなるフィルム中には、中間転写ベルト21の電気抵抗値を調整するために、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、グラファイトカーボン等の導電材が配合される。又中間転写ベルト21には、トナーに対する付着力の弱いフッ素樹脂組成物やフッ素ゴム等から構成される被覆層が設けられていてもよい。被覆層の構成材料としては、たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(PTFEとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)等が挙げられる。被覆層には導電材が配合されていてもよい。
中間転写ベルト21の像担持面は、中間転写ベルト21の回転駆動方向における上流側から、感光体ドラム11y,11m,11c,11bにこの順番で圧接する。中間転写ベルト21の感光体ドラム11y,11m,11c,11bに圧接する位置が、各色トナー像の中間転写位置である。
中間転写ローラ22y,22m,22c,22bは、それぞれ、中間転写ベルト21を介して感光体ドラム11y,11m,11c,11bに対向するように設けられ、かつ中間転写ベルト21における像担持面の反対面に圧接し、かつ図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。
中間転写ローラ22y,22m,22c,22bには、たとえば、金属製軸体と、金属製軸体の表面に被覆される導電性層とを含むローラ状部材が用いられる。金属製軸体は、たとえば、ステンレス鋼等の金属により形成される。金属製軸体の直径は特に制限されないけれども、好ましくは8mm〜10mmである。導電性層は、導電性弾性体等により形成される。導電性弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カーボンブラック等の導電剤を含む、エチレン−プロピレンゴム(以下、EPDMと記す)、発泡EPDM、発泡ウレタン等が挙げられる。導電性層によって、中間転写ベルト21に高電圧が均一に印加される。
中間転写ローラ22y,22m,22c,22bには、感光体ドラム11y,11m,11c,11bの表面に形成されるトナー像を中間転写ベルト21上に転写するために、トナーの帯電極性とは逆極性の中間転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラム11y,11m,11c,11bに形成されるイエロー、マゼンタ、シアン、および、ブラック色のトナー像が中間転写ベルト21の像担持面に順次重ね合わさって転写され、多色のトナー像が形成される。ただし、イエロー、マゼンタ、シアン、および、ブラック色の一部のみの画像情報が入力される場合には、作像ユニット10y,10m,10c,10bのうち、入力される画像情報の色に対応する作像ユニット10のみにおいてトナー像が形成される。
支持ローラ23,24,25のうち、支持ローラ23,25は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられ、中間転写ベルト21を張架して矢符27の方向に回転駆動させる。支持ローラ23,25には、たとえば、直径30mm、および、肉厚1mmのアルミニウム製円筒体(パイプ状ローラ)が用いられる。このうち、支持ローラ24は、中間転写ベルト21を介して後述する2次転写ローラ28に圧接して2次転写ニップ部を形成し、かつ電気的に接地される。支持ローラ24は中間転写ベルト21を張架する機能と共に、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙8に2次転写させる機能をも有する。
ベルトクリーナ26は、中間転写ベルト21の像担持面上のトナー像を後述の2次転写部4において記録用紙8に転写した後に、像担持面上に残存するトナーを除去する部材であり、中間転写ベルト21を介して支持ローラ25に対向するように設けられる。
中間転写部3によれば、感光体ドラム11y,11m,11c,11b上に形成されるトナー像は、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bにトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加されることによって、中間転写ベルト21の像担持面の所定位置に重ね合わされて中間転写され、トナー像が形成される。このトナー像は、後述するように、2次転写ニップ部において記録用紙8に2次転写される。2次転写後に中間転写ベルト21の像担持面に残留するトナー、および、紙粉等がベルトクリーナ26により除去され、像担持面には再度トナー像が転写される。
次に、2次転写部4について説明する。2次転写部4は、図1に示すように、支持ローラ24と、2次転写ローラ28とを含む。2次転写ローラ28は、中間転写ベルト21を介して支持ローラ24に圧接し、かつ軸線方向に回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。2次転写ローラ28は、たとえば、金属製軸体と、該金属製軸体の表面に被覆される導電性層とを含む。金属製軸体は、たとえば、ステンレス鋼等の金属により形成される。導電性層は、導電性弾性体等により形成される。導電性弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カーボンブラック等の導電材を含む、EPDM、発泡EPDM、発泡ウレタン等が挙げられる。2次転写ローラ28には図示しない電源が接続され、トナー粒子の帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加される。支持ローラ24と中間転写ベルト21と2次転写ローラ28との圧接部が2次転写ニップ部である。
2次転写部4によれば、中間転写ベルト21上のトナー像が2次転写ニップ部に搬送されるのに同期して、上述の記録媒体供給部5から送給される記録用紙8が2次転写ニップ部に搬送される。そして、2次転写ニップ部においてトナー像と記録用紙8とが重ね合わされ、2次転写ローラ28にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加されることによって、トナーから形成される像が記録用紙8に2次転写される。そして、トナー像を担持した記録用紙8は、定着部6に搬送される。
次に、本発明の特徴を備えた定着部6について説明する。図4は、定着部6の構成を示す概略図である。
定着部6は、図4に示すように、加熱ローラ50と、加圧ローラ60と、外部加熱手段70とを含む。
加熱ローラ50は、図示しない支持手段によって回転自在に支持され、且つ、図示しない駆動手段によって矢符56の方向に所定の速度で回転するローラ状部材である。加熱ローラ50は、記録用紙8に担持されるトナー像を構成するトナーを加熱溶融させて記録用紙8に定着させる。本実施の形態では、加熱ローラ50として、芯金51と、弾性体層52と、表面層53とを含むローラ状部材を使用する。芯金51を形成する金属には熱伝導率の高い金属を使用でき、たとえば、アルミニウム、鉄等が挙げられる。芯金51の形状としては、円筒状、円柱状等が挙げられるけれども、芯金51からの放熱量が少ない円筒状の方が好ましい。弾性体層52を構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はないけれども、さらに耐熱性にも優れるものが好ましい。このような材料の具体例としては、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。これらの中でも、特にゴム弾性に優れるシリコーンゴムが好ましい。表面層53を構成する材料は、耐熱性、および、耐久性に優れ、トナーとの付着力が弱いものであれば特に制限されず、たとえば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂材料、フッ素ゴム等が挙げられる。本実施の形態では、表面層53は厚さ約40μmのPFA層である。加熱ローラ50の内部には、熱源54が設けられる。これは、画像形成装置1の電源ONから画像形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮、トナー像定着時に記録用紙8に熱が移行することに起因する加熱ローラ50の表面温度の低下等を防止するために用いられる。本実施の形態では、熱源54にはハロゲンランプが用いられる。
加圧ローラ60は、加熱ローラ50の鉛直方向最下点よりも加熱ローラ50の回転方向下流側において、図示しない加圧機構により加熱ローラ50に圧接された状態で回転自在に設けられるローラ状部材である。加熱ローラ50と加圧ローラ60との圧接部が定着ニップ部55である。加圧ローラ60は加熱ローラ50の回転に従動回転する。加圧ローラ60は、加熱ローラ50によるトナー像の記録用紙8への加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーを記録用紙8に対して押圧することによって、トナー像の記録用紙8への定着を促進する。本実施の形態では、加圧ローラ60として、芯金61と、弾性体層62と、表面層63とを含む径40mmのローラ状部材を使用する。芯金61、弾性体層62、および、表面層63を形成する材料としては、それぞれ、加熱ローラ50の芯金51、弾性体層52、および、表面層53を形成する金属又は材料と同じものを使用できる。又、芯金61の形状も加熱ローラ50と同様である。加圧ローラ60の内部には、熱源64が設けられる。これは、画像形成装置1の電源ONから画像形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮、トナー像定着時に記録用紙8に熱が移行することに起因する加圧ローラ60の表面温度の急激な低下等を防止するために設けられる。本実施の形態では、熱源64にはハロゲンランプが用いられる。
外部加熱手段70は、加熱ベルトである無端ベルト71、と、第1支持ローラ72、および、第2支持ローラ73の2個の支持ローラと、温度検知部材(以降サーミスタと呼ぶ)76、78と、サーモスタット77とを含む。無端ベルト71、は、第1支持ローラ72と第2支持ローラ73との間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材である。又、無端ベルト71、は、第1支持ローラ72と加熱ローラ50との圧接点から第2支持ローラ73と加熱ローラ50との圧接点の間において、加熱ローラ50の外周方向に長さを持ちかつ加熱ローラ50の長手方向に亘る帯状の領域で加熱ローラ50に接触するように設けられる。又、無端ベルト71は、加熱ローラ50の矢符56方向の回転駆動によって矢符79の方向に従動回転する。無端ベルト71の材質としては、耐熱性、および、耐久性に優れるものであれば特に制限されないけれども、たとえば、ポリイミド製ベルト、ニッケル電鋳ベルト等が挙げられる。無端ベルト71、の表面には、PFA、PTFE等のフッ素樹脂層を形成してもよい。本実施の形態では、直径31mmの円筒形状に形成される厚さ100μmの無端ベルトを使用する。
第1支持ローラ72、および、第2支持ローラ73は、回転自在に支持され、且つ、図示しない加圧手段によって、無端ベルト71を介して加熱ローラ50表面に圧接するように設けられるローラ状部材である。第1支持ローラ72、および、第2支持ローラ73は無端ベルト71の、矢符79方向の回転に従動回転する。第1支持ローラ72、および、第2支持ローラ73には、アルミニウム、鉄等の熱伝導率の高い金属からなる金属製ローラを使用できる。金属製ローラは必要に応じてその表面にフッ素樹脂層が形成されてもよい。第1支持ローラ72、および、第2支持ローラ73は、その内部に熱源74,75を有する。これによって、無端ベルト71、ひいては加熱ローラ50が加熱される。熱源74,75には電源が接続され、熱源74,75を発熱させるための電力が供給される。熱源74,75には一般的な熱源を使用できる。本実施形態では熱源74,75にはハロゲンランプを使用する。ハロゲンランプは、それぞれ発光長236mm、定格500Wであり、たとえば、図5に示すような配光分布を示す。縦軸は、5mm当たりの発光量(W/5mm)を示し、横軸は、中心からの距離(mm)を示す。ハロゲンランプの配光分布は、中心から両端に向かって一定の発光量(10W/5mm)であり、中心から100〜110mmの両端部で発光量が高くなる。
なお、第1支持ローラ72、および第2支持ローラ73は定着ローラ50上において互いの軸線が平行になり、かつ間隙を有して離隔するように設けられる。
サーミスタ76は、無端ベルト71を介して第2支持ローラ73に対向する位置において無端ベルト71に近接するように設けられ、無端ベルト71が第2支持ローラ73と接している無端ベルト71の部分の温度である第2温度を検知する。
サーミスタ78は、無端ベルト71を介して第1支持ローラ72に対向する位置において無端ベルト71に近接するように設けられ、無端ベルト71が第1支持ローラ72と接している無端ベルト71の部分の温度である第2温度を検知する。
サーモスタット77は、無端ベルト71を介して第2支持ローラ73に対向しかつサーミスタ76よりも無端ベルト71の回転方向下流側の位置において、無端ベルト71に近接するように設けられ、無端ベルト71の異常昇温を検知する。
本実施形態では、外部加熱部材をベルト状のものとしているが、外部から加熱ローラ50の表面を効果的に加熱する構成であればよく、たとえばローラ状の外部加熱部材でもよい。
定着部6は、上述したように、制御部9の定着部制御回路6aにより制御される。すなわち、定着ローラ50と加圧ローラ60と外部加熱手段70とを含む定着機構は、定着部制御回路6aによってその動作が制御される。
CPU9aは、画像形成指示の入力を受けると、加熱ローラ50、加圧ローラ60、および、第1、第2支持ローラ72,73の内部にそれぞれ設けられる熱源54,64,74,75に電力を供給する電源に制御信号を送る。画像形成指示は、画像形成装置1の上面に設けられる操作部7b又は画像形成装置1にLANを介して接続されるコンピュータ等の外部機器から入力される。制御信号を受けた電源は電力を供給して熱源54,64,74,75を起動させる。熱源54,64,74,75は、加熱ローラ50、加圧ローラ60、および、無端ベルト71、表面がそれぞれの設定温度になるように加熱する。
加熱ローラ50、および、加圧ローラ60の近傍に設けられる図示しない温度検知センサが設定温度に到達したことを検知し、その検知結果がCPU9aに入力されると、CPU9aは加熱ローラ50を回転駆動させる図示しない駆動手段に制御信号を送り、加熱ローラ50を矢符56の方向に回転駆動させる。加熱ローラ50の駆動に伴って加圧ローラ60、および、無端ベルト71、が従動回転する。この状態で、未定着トナー像を担持する記録用紙8が2次転写部4から定着ニップ部55に搬送される。この記録用紙8が定着ニップ部55を通過する間に、トナー像を構成するトナーが加熱加圧され、記録用紙8に定着され、画像が形成される。
次に、本発明のウォーミングアップ動作について説明する。ウォーミングアップ動作は、制御部9の定着部制御回路6aにより制御される。
図6は、本発明のウォーミングアップ動作を示すグラフである。縦軸は温度(℃)を示し、横軸は時間(秒)を示す。
グラフAは、ベルト71の温度を示し、グラフBは、加熱ローラ50の温度を示し、グラフCは、加圧ローラ60の温度を示す。また、グラフDは、外部加熱手段70の熱源74、75の電力投入タイミングを示し、グラフEは、加熱ローラ50の熱源54の電力投入タイミングを示す。
図7は、定着装置6の加熱制御を示すフローチャートである。
画像形成装置本体の電源がオンされた起動直後、スリープモードからの復帰の際、加熱ローラ50、ベルト71が所定の温度(本実施形態では70℃)以下となっている場合がある。その場合まず、図4に示す定着装置6の外部加熱手段70の熱源74、75に電力を投入する(ステップS1)。外部加熱手段70の無端ベルト71を第一温度T1まで加熱した後に、加熱ローラ50の駆動モータの回転を開始する(ステップS2,S3)。外部加熱手段70として、本実施形態のようなベルト方式を使用した場合、ベルト71が低温の時には、第1、第2支持ローラ72,73によって型がついて回転しづらくなっている。そのため、ベルト71が十分柔らかくなる温度T1までベルト71を昇温させてから、加熱ローラ50の駆動モータを回転させる。加熱ローラ50の表面を効果的に加熱するため、駆動モータの回転開始後も外部加熱手段70の熱源74、75には電力を投入し続ける。
ベルト71のターゲット温度であるT3よりも低い温度T2に達するか、電力投入開始から時間t2経過後、外部加熱手段70の熱源74、75に投入していた電力を加熱ローラ50の熱源54への投入に切り替える(ステップS4,S5)。これにより、これまで外部加熱手段70の熱源74,75やベルト71に蓄積していた熱量で、電力の投入先を加熱ローラ50の熱源54へ切り替えた後も加熱ローラ50を加熱し続けることができる。
また、電力の投入先を加熱ローラ50の熱源54に切り替えているので、加熱ローラ50を内部から加熱することも可能である。
電力の投入先を加熱ローラ50の熱源54に切り替えてからt3秒後(たとえば5秒後)、再び電力の投入先を外部加熱手段70の熱源74,75に切り替える(ステップS6,S7)。外部加熱手段70の熱源74,75に切り替えてから温度T3に到達せず、t4秒後経過すると電力の投入先を加熱ローラ50の熱源54に切り替える(ステップS8,S9)。
ベルト71がターゲット温度T3に到達した後は、電力の投入先を加熱ローラ50の熱源54に切り替え(ステップS10)、ベルトの温度をT3に維持するよう熱源74、75のON/OFF制御を行う(ステップS12,S13)。外部加熱手段70の熱源74、75への電力供給がOFFのときには、加熱ローラ50の熱源54に電力を切り替えて投入する。このような加熱制御を繰り返すことで加熱ローラ50の温度をターゲット温度T4(<T3)まで加熱を続ける(ステップS11)。加熱ローラ50の温度がターゲット温度に達するとウォーミングアップ動作を終了する。
加熱ローラ50の熱源54であるハロゲンランプの点灯時間を、外部加熱手段70による加熱を優先する外部優先時間に比べて長くし過ぎると、加熱ローラ50の表面を効率的に加熱することができないため、昇温時間が延びてしまい、ウォーミングアップに長時間を要してしまう。
そのため、ハロゲンランプ54の点灯時間を、以下のように制限する。
外部加熱手段を優先する外部優先制御において、所定の温度以下から加熱ローラ50を加熱するために昇温動作を行った場合の、加熱ローラ50の熱源54が点灯した合計時間を測定し、この測定を10回繰り返す。得られた10回分の合計時間の平均値を算出し、ハロゲンランプ54の点灯時間を、算出した平均値の±10秒以内に制限する。
これにより、ウォーミングアップ時間を短くしてユーザーに不快感を与えることなく、また、異常停止の際にも外部加熱手段の異常な昇温を防ぐことが可能となる。
さらに、外部加熱手段70の熱源74,75の5mm当りの発光量が、7W以上の場合は、装置の異常停止の際、オーバーシュートが大きなものとなるので、本発明の加熱制御を用いるのが好ましい。一方、7W未満では、第1支持ローラ72、および第2支持ローラ73に与える熱量が少ないため、後述する従来の外部優先制御でのオーバーシュートと本発明でのオーバーシュートとの差がほとんど見られない。そのため、単純な外部優先制御でウォーミングアップ時間の短い従来の加熱制御を用いる方が良い。
上記のように、電源を投入する熱源を外部加熱手段70の熱源74,75から加熱ローラ50の熱源54に切り替えることで、外部加熱手段70の熱源74,75やベルト71に蓄積していた熱量を放出するので、加熱ローラ50の駆動モータが異常停止した場合においてもオーバーシュートを抑えることができる。
特に外部加熱手段70に、単位長さ当たりに投入する電力が大きい場合、効果が顕著に現れる。たとえば、幅の小さい用紙を大量に出力した際に問題となる加熱ローラ50の端部の過剰昇温対策のために、それぞれ外部加熱手段70の熱源のハロゲンランプ74,75の配光を変更している場合、単一の外部加熱手段70に大電力のハロゲンランプを挿入している場合などである。
なお、本発明は、上記のような定着装置6の加熱制御を行うための制御プログラムで実現してもよい。
すなわち、画像形成装置の定着装置6が、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行する加熱制御用のCPU(central processing unit)、上記制御プログラムを格納したROM(read only memory)、上記制御プログラムを展開するRAM(random access
memory)、上記制御プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備える加熱制御装置によって制御される。
そして、上記のような加熱制御を実現するソフトウェアである加熱制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記加熱制御装置に供給し、そのコンピュータ(またはCPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、実現可能である。
加熱制御プログラムを記録する記録媒体としては、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などの記録媒体を用いることができる。
また、加熱制御装置を通信ネットワークと接続してデータ通信可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。
また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、たとえば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAなどの赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11規格無線、HDR、携帯電話網、衛星通信回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
(実施例1)
上記の定着装置6を用いて、ウォーミングアップ動作における加熱制御を行った。図8は、実施例1で用いたランプの配光分布を示す分布図である。
縦軸は、5mm当たりの発光量(W/5mm)を示し、横軸は、中心からの距離(mm)を示す。ハロゲンランプの配光分布は、中心から両端に向かって一定の発光量(14W/5mm)とした。
A4R用紙対応の定着装置6において、ベルト71の温度が150℃(T1)に到達した時点で定着ローラ50を回転させる。次に、ウォーミングアップ動作開始から100秒(t2)経過した時点で、電力の投入先を、外部加熱手段70の熱源74,75から加熱ローラ50の熱源54に切り替えた。5秒(t3)後、電力の投入先を、加熱ローラ50の熱源54から外部加熱手段70の熱源74,75に切り替えた。
外部加熱手段70の熱源74,75に20秒(t4)電力投入した後に、加熱ローラ50の熱源54に電力投入先を切り替えるという制御をベルト71が215℃(T3)に到達するまで繰り返した。
ベルト71が215℃に到達した後は、ベルト71を215℃に維持するようにON/OFF制御を行った。その後、加熱ローラ50がターゲット温度に到達した時点でウォーミングアップを終了した。この時のウォーミングアップ時間は168秒であった。
同様に室温の状態からウォーミングアップ動作を行い、ウォーミングアップ動作開始から100秒経過した時点から、上記と同様の電力投入先の切替制御を行い、ベルト71が215℃に到達した時に、熱源への電力投入および加熱ローラ50の駆動モータをOFFする異常停止状態とした場合、オーバーシュートは245℃であった。
(比較例1)
上記の定着装置6において、ベルト71の温度が150℃(T1)に到達した時点で定着ローラ50を回転させる。次に、ベルト71の温度が215℃(T3)になるまで優先的に外部加熱手段70の熱源74,75に電力投入し、ベルト71が215℃に到達した以降は、ベルト71が215℃を維持するようON/OFF制御を行った。その後、加熱ローラ50がターゲット温度に到達した時点でウォーミングアップを終了した。この時のウォーミングアップ時間は161.5秒であった。
同様に室温の状態からウォーミングアップ動作を行い、ベルト71の温度が215℃になるまで優先的に外部加熱手段70の熱源74,75に電力投入する制御を行い、ベルト71が215℃に到達した時に、熱源への電力投入および加熱ローラ50の駆動モータをOFFする異常停止状態とした場合、オーバーシュートは273℃にまで上昇した。
次に加熱ローラ50の熱源54に電力投入した時間の合計時間を制御する検討を行った。加熱ローラ50の熱源54に電力投入した時間の合計時間が、優先的に外部加熱手段70の熱源74,75に電力投入する優先制御によって、所定の温度以下から加熱した場合の加熱ローラ50の熱源54への電力投入時間の合計時間の10回平均値の±10秒となるように制御した。
(比較例2)
比較例2では、図5に示す配光分布を有するランプを熱源として用いたこと以外は実施例1と同様にした。
定着装置6において、ベルト71の温度が150℃(T1)に到達した時点で定着ローラ50を回転させる。次に、ベルト71の温度が220℃(T3)になるまで優先的に外部加熱手段70の熱源74,75に電力投入し、ベルト71が220℃に到達した以降は、ベルト71が220℃を維持するようにON/OFF制御を行った。その後、加熱ローラ50がターゲット温度に到達した時点でウォーミングアップを終了した。この時のウォーミングアップ時間は96.3秒であり、定着ローラ50の熱源54への電力投入時間は、12.1秒であった。以後、同様の検討を9回行い、加熱ローラ50の熱源54への電力投入時間の平均は、12.5秒であった。
上記と同様に室温の状態からウォーミングアップ動作を行い、ベルト71の温度が220℃になるまで優先的に外部加熱手段70の熱源74,75に電力投入する制御を行い、ベルト71が220℃に到達した時に、熱源への電力投入および加熱ローラ50の駆動モータをOFFする異常停止状態とした場合、オーバーシュートは269℃にまで上昇した。
(実施例2)
定着装置6において、ベルト71の温度が150℃(T1)に到達した時点で定着ローラ50を回転させる。次に、ベルト71が200℃(T2)に到達した時点で、電力投入先を、外部加熱手段70の熱源74,75から定着ローラ50の熱源54に切り替えた。3秒(t3)後、電力の投入先を、加熱ローラ50の熱源54から外部加熱手段70の熱源74,75に切り替えた。
外部加熱手段70の熱源74,75に10秒(t4)電力投入した後に、加熱ローラ50の熱源54に電力投入先を切り替えるという制御をベルト71が220℃(T3)に到達するまで繰り返した。ベルト71が220℃に到達した後は、ベルト71を220℃に維持するようにON/OFF制御を行った。その後、加熱ローラ50がターゲット温度に到達した時点でウォーミングアップを終了した。この時のウォーミングアップ時間は100.9秒であった。
同様に室温の状態からウォーミングアップ動作を行い、ベルト71が200℃に到達した時点から、上記と同様の電力投入先の切替制御を行い、ベルト71が220℃に到達した時に、熱源への電力投入および加熱ローラ50の駆動モータをOFFする異常停止状態とした場合、オーバーシュートが251℃であった。
次にA3用紙対応の定着装置6を用いて検討を行った。
外部加熱手段70の熱源74,75は、それぞれ配光分布の異なるハロゲンランプを使用した。
図9は、実施例3および比較例3で用いたランプの配光分布を示す分布図である。
縦軸は、5mm当たりの発光量(W/5mm)を示し、横軸は、中心からの距離(mm)を示す。熱源75のハロゲンランプの配光分布は、中心から両端に向かって90mmの位置まで一定の発光量(14W/5mm)とした。熱源74のハロゲンランプの配光分布は、中心から両端に向かっておよそ90mmの位置までは発光量がほぼ0であり、100mmを超える端部において約10W/5mmの発光量とした。
実施例3は、このような配光分布のランプを用いたこと以外は、実施例1と同様とした。また、比較例3は、このような配光分布のランプを用いたこと以外は、比較例1と同様とした。
(実施例3)
ベルト71の温度が150℃(T1)に到達した時点で定着ローラ50を回転させる。次に、ウォーミングアップ動作開始から100秒(t2)経過した時点で、電力の投入先を、外部加熱手段70の熱源74,75から加熱ローラ50の熱源54に切り替えた。5秒(t3)後、電力の投入先を、加熱ローラ50の熱源54から外部加熱手段70の熱源74,75に切り替えた。
外部加熱手段70の熱源74,75に20秒(t4)電力投入した後に、加熱ローラ50の熱源54に電力投入先を切り替えるという制御をベルト71が215℃(T3)に到達するまで繰り返した。
ベルト71が215℃に到達した後は、ベルト71を215℃に維持するようにON/OFF制御を行った。その後、加熱ローラ50がターゲット温度に到達した時点でウォーミングアップを終了した。この時のウォーミングアップ時間は195秒であった。
同様に室温の状態からウォーミングアップ動作を行い、ウォーミングアップ動作開始から100秒経過した時点から、上記と同様の電力投入先の切替制御を行い、ベルト71が215℃に到達した時に、熱源への電力投入および加熱ローラ50の駆動モータをOFFする異常停止状態とした場合、オーバーシュートは247℃であった。
(比較例3)
A3用紙対応の定着装置6において、ベルト71の温度が150℃(T1)に到達した時点で定着ローラ50を回転させる。次に、ベルト71の温度が215℃(T3)になるまで優先的に外部加熱手段70の熱源74,75に電力投入し、ベルト71が215℃に到達した以降は、ベルト71が215℃を維持するようON/OFF制御を行った。その後、加熱ローラ50がターゲット温度に到達した時点でウォーミングアップを終了した。この時のウォーミングアップ時間は190.5秒であった。
同様に室温の状態からウォーミングアップ動作を行い、ベルト71の温度が215℃になるまで優先的に外部加熱手段70の熱源74,75に電力投入する制御を行い、ベルト71が215℃に到達した時に、熱源への電力投入および加熱ローラ50の駆動モータをOFFする異常停止状態とした場合、オーバーシュートは275℃にまで上昇した。