JP5130335B2 - 定着装置およびそれを備えてなる画像形成装置、加熱装置 - Google Patents
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Description
定着工程において、熱源が定着に必要な所定の温度(以下「定着温度」という)までローラ対を加熱した後、未定着トナー像が形成された記録媒体が定着ローラと加圧ローラとの圧接部である定着ニップ部に供給される。定着ニップ部を通過する未定着トナー像は、定着ローラおよび加圧ローラの少なくともいずれか一方から伝わる熱と、定着ローラおよび加圧ローラの圧力とによって、紙などの記録媒体に定着される。定着ニップ部において、記録媒体が通過した部分(以下「通紙部」という)は温度が低下するが、加熱源によって定着温度まで加熱される。
特許文献2に開示の定着装置は、面状発熱体の熱容量がハロゲンランプヒーターの熱容量より小さいので、従来のハロゲンランプヒーターの構成と比べて、加熱手段の熱容量を小さくすることができるため、省電力化やウォームアップ時間の短縮が可能となる。
加熱部材は、定着ベルトに近い側から、伝熱部材、面状発熱体、断熱部材、押圧部材および補強部材の順で構成される。
このような構成の定着装置において、発明者らは面状発熱体を伝熱部材に押し当てる押圧位置の設定に関して次のような課題を見出した。
本発明では、平行する各抵抗発熱層の基板長手方向の抵抗バラツキを均一化するため長手方向の数カ所に導通部を設けて異なる抵抗発熱層を基板短手方向に接続している。導通部を設けることによって抵抗発熱層を長手方向において数個のブロックに分割し、各ブロックが電気的に直列接続されるように構成している。各ブロックを構成する並列の抵抗発熱層に抵抗値のバラツキがあっても、ブロック単位でバラツキを平均化し温度ムラを軽減するためである。
このとき、前記押圧位置が各導通部に近いと、隣り合う導通部で基板が熱膨張して反りが発生し、面状発熱体と伝熱部材との間に隙間が生じる。基板長手方向において部分的に隙間が生じると、その部分の熱の伝導が妨げられ、面状発熱体の温度が局部的上昇する。すると、さらにその部分が熱膨張して反りが著しくなり、極端な場合は基板が破損したり抵抗発熱層が熱によって溶融して均一な発熱ができなくなったりする。そのような破損や不良に至らなくても、長手方向の温度ムラが生じるといった問題が発生する。
面状発熱体の端部付近の押圧位置については、押圧位置を抵抗発熱層の端部より中央寄りの一定の範囲内にすると、面状発熱体が熱膨張して反りが発生し、伝熱部材と面状発熱体との間に隙間が生じた。その結果、前記(1)と同様、基板が破損したり抵抗発熱層が局部的に溶融したりする。そのような破損や不良に至らなくても、長手方向の温度ムラが生じるといった問題が発生する。
さらに、この発明は、前記定着装置を備えてなる画像形成装置を提供する。
また、シートは、その上に印刷すべき像がトナーによって形成され定着される記録媒体である。その典型例は印刷用紙であるが、材質は紙に限らず、例えばオーバーヘッドプロジェクタ用の透明な樹脂であってもよく、あるいは透過性のない樹脂などであってもよい。
また、押圧部材は、面状発熱体を伝熱部材に押し当てるものである。その具体的な態様は、例えば、ステンレス製の板バネである。ただし、耐熱性があり弾性があればその材質は特に限定されない。
この発明の前記(1)の定着装置において、前記面状発熱体は、複数の導通部を含み、前記押圧部材は、隣り合う前記導通部の中間の位置で前記面状発熱体を前記剛体に押し当てるようにしてもよい。このようにすれば、隣り合う前記導通部の中間の位置、即ち、通電時に発熱する抵抗発熱層の中間の位置を押圧するので、熱膨張の大きい箇所を押圧することによって、熱膨張により基板と伝熱部材との間に隙間ができるのをより効果的に防止することができる。即ち、面状発熱体を押圧するより適切な位置を選択し、均一な加熱と堅牢で安定した構造の加熱装置を実現することができる。
前記押圧部材は弾性体からなるものでもよく、さらに、ステンレスの板バネからなるものであってもよい。
前記剛体がアルミニウムからなるものであってもよい。
ここで示した種々の好ましい態様は、それら複数を組み合わせることもできる。
〔実施の形態1〕
図1は、本発明の実施の一形態である画像形成装置1の構成を模式的に示す図である。画像形成装置1は、画像形成部2と、中間転写部3と、2次転写部4と、記録媒体供給部5と、この発明の定着装置である定着部6と、図1には図示しない表示部、操作部および制御部とを備える。
以下、定着部6について説明する。他の部分については、末尾にその詳細な構成を説明する。
図3は、定着部6の構成を示す断面図である。定着手段である定着部6は、定着ベルト71と、定着ローラ50と、テンションローラ77と、加熱部材80と、加圧ローラ60とを含む。
定着ベルト71は、定着ローラ50とテンションローラ77との間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材である。また、定着ベルト71は、定着ローラ50と加圧ローラ60との圧接点で加圧ローラに接触するように設けられ、記録媒体8に担持されるトナー像を構成するトナーを加熱溶融させて記録媒体8に定着させるものである。定着ベルト71は加圧ローラ60の矢符55方向の回転駆動によって矢符78の方向に従動回転する。
基材層72を形成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れるものであれば特に制限されないけれども、耐熱性合成樹脂を挙げることができ、中でも、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ニッケル電鋳、SUSなどが好ましい。これらの材料は、強度、耐熱性、価格性等に優れている。
弾性層73を構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はないけれども、さらに耐熱性にも優れるものが好ましい。このような材料の具体例としては、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、特にゴム弾性に優れるシリコーンゴムが好ましい。
離型層74は、フッ素樹脂チューブまたはフッ素樹脂を含有する樹脂を塗布し、これを焼成することにて形成された層よりなる。
離型層74の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。この厚さ範囲であれば、適度な強度を持ち、弾性層の弾性を活かしながら、記録材の微小な凹凸に追従することが可能である。
芯金51を形成する金属には熱伝導率の高い金属を使用でき、たとえば、アルミニウム、鉄などが挙げられる。
また、定着ローラ50の内部に、補助的な加熱手段を設けてもよい。これは、画像形成装置1の電源ONから画像形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮、トナー像定着時に記録媒体8に熱が移行することに起因する定着ローラ50の表面温度の低下などを防止するためである。
図5(a)に示すように面状発熱体82は、平面視矩形短冊状のセラミックなどの絶縁基板上に銀・パラジウム(AgPd)などからなる抵抗発熱体86が複数本配置されている。
上記基板は、耐熱性、良熱伝導性、電気絶縁性などを備えたものであれば特に制限はないけれども、アルミナや窒化アルミなどのセラミック材料が挙げられる。また、耐熱性に優れ、電気絶縁性を持つガラス材料などをコーティングしたSUSなどの金属板を使用することも可能である。
その後、焼成炉に投入され、所定の焼成条件によりセラミックシートの焼成が行われたのち、絶縁保護層として抵抗発熱体表面をガラス材料などの絶縁材料によりコーティングを施すことで面状発熱体82が完成される。
各ブロックを接続する導通部87は、幅が1mmである。基板長手方向において導通部の幅に相当する部分は、その両側の抵抗の部分にくらべて抵抗値が低い。微少な幅ではあるが、導通部は発熱しないため両側の抵抗の部分より温度が若干低くなる。また、抵抗がなく端部電極88が形成される基板両端部も抵抗のある部分より温度が低くなる。
伝熱部材81の表面は、定着ベルト71の内面と摺動するため、曲率を持った形状とすることが好ましい。ただし、曲率が大きい場合、定着ベルト71が伝熱部材81の形状に追従することができず、伝熱部材81の中央部において、定着ベルト71が伝熱部材81から浮いてしまうといった不具合が発生するため、伝熱部材81の曲率は、R10〜200の範囲であることが望ましい。
また、定着ベルト71の内面と良好に摺動させるため、必要に応じて伝熱部材81の表面にフッ素樹脂層を形成してもよい。
両端部の押圧部材84の位置は、配熱パターンの端から10mm以内に配置することが極めて望ましい。従来の構成として、10mm以上外側に押圧部材84を配置する場合、伝熱部材81を押圧部材84の位置まで延長しなくてはならず、端部の温度低下を招くことになる。伝熱部材81を延長しない場合は、面状発熱体82を上に押し上げることで面状発熱体82が反り、伝熱部材81端部近傍において、伝熱部材81と面状発熱体82に隙間が生じてしまう。隙間が生じると面状発熱体82の熱が伝熱部材81へ十分伝わらなくなることでその部分の面状発熱体82が昇温してしまう。すると、その部分が熱膨張してさらに隙間が広がってしまう。このような悪循環が繰り返されていくと、面状発熱体82が破損に至ってしまう。
従来の構成として、導通部87の10mm以内の場所に押圧部材を配置した場合、比較的低温の導通部を押し付け、面状発熱体82の高温部がフリーとなってしまう。この場合、温度による熱膨張で面状発熱体82が伸び、反ることで、伝熱部材81と面状発熱体82との間に隙間が生じてしまう。隙間が生じると面状発熱体82の熱が伝熱部材81へ十分伝わらなくなることでその部分の面状発熱体82が昇温してしまう。すると、その部分が熱膨張してさらに隙間が広がってしまう。このような悪循環が繰り返されていくと、面状発熱体82が破損に至ってしまう。
補強部材85は、定着ベルトに加熱部材80を接触させる際に、加熱部材80が撓むのを防止するための部材である。補強部材83は、耐熱性があり、剛性の高い部材であれば特に制限はないけれども、鉄などの金属が好ましい。
CPUは、画像形成指示の入力を受けると、加熱部材80、加圧ローラ60の内部に設けられる面状発熱体82、加熱手段64に電力を供給する図示しない電源に制御信号を送る。画像形成指示は、画像形成装置1の鉛直方向上面に設けられる図示しない操作パネルまたは画像形成装置1に接続されるコンピュータなどの外部機器から入力される。制御信号を受けた電源は電力を供給して面状発熱体82、加熱手段64を起動させる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
面状発熱体の配線パターン端部と押圧位置による影響を確認するため、下記のような実験を行った。
実験に使用した面状発熱体や伝熱部材の仕様、押圧位置は下記の通りとした。
・面状発熱体:366mm(配線パターン:中央部320mm間)
・導通部位置:60mm、127mm、194mm、261mm(片側配線パターン開始位置を0)
・伝熱部材:320mm
・押圧部材配置位置:90、110、150、170、210、230mm(固定)
上記に記載の条件とした加熱部材80を図3の実験装置に組み込んだ。
室温から定着ベルトが200℃になるまで昇温させる昇温実験を50回繰り返し、昇温特性及び実験前後の面状発熱体の状態を目視で確認した。その結果を表1に記す。(○:昇温特性、目視共に問題なし。△:昇温特性問題なし。目視評価で問題あり。×:昇温特性、目視共に問題あり。とした。)
押圧部材をマイナス側(外側)に配置したところ、面状発熱体の一部の配線パターン形状が乱れているのが目視で確認できた。また、破損部分の昇温が早くなっており、全体の昇温特性は遅くなっていることが分かった。
伝熱部材の長さを5mm伸ばした以外は、実験1と同様の実験を行った(図7)。結果を表2に記す。
伝熱部材を5mm伸ばしたことで、面状発熱体が反る位置が5mm伸びるため、実験1よりも5mm結果が伸びたものと思われる。ただし、配線パターン端部よりも伝熱部材を伸ばせば伸ばすほど、熱を奪われてしまうため、端部の温度低下が顕著になってくる。10mm以上伝熱部材を伸ばすと、端部の定着温度に悪影響が出てしまう。
面状発熱体の導通部と押圧位置による影響を確認するため、下記のような実験を行った。
・面状発熱体:366mm(配線パターン:中央部320mm間)
・導通部位置:60mm、127mm、194mm、261mm(片側配線パターン開始位置を0)
・伝熱部材:320mm
・押圧部材配置位置:0、20、90、110、210、230、300、320mm(固定)
そして、押圧位置を127mmの導通部から0、5、10、15、20、25、30mm(図8参照)と移動させた。
室温から定着ベルトが200℃になるまで昇温させる昇温実験を50回繰り返し、昇温特性及び実験前後の面状発熱体の状態を目視で確認した。その結果を表3に記す。(○:昇温特性、目視共に問題なし。△:昇温特性問題なし。目視評価で問題あり。×:昇温特性、目視共に問題あり。とした。)
押圧位置を導通部から10mmの場合、面状発熱体の一部の配線パターン形状が乱れているのが目視で確認できたが、昇温特性については、問題がなかった。
続いて、定着部6の異なる構成態様を説明する。
この態様によれば、定着ベルトを介して伝熱部材としての剛体と対向するように対向部材を配置することにより、剛体と定着ベルトとの間に隙間ができるのを防止し、剛体からの熱をより効率的に定着ベルトに伝えることができる。また、定着ベルトをより均一に加熱することができる。
本実施形態では、対向部材90として、芯金91、弾性層92、表層93を含む直径30mmのローラ状部材を使用する。
芯金91は剛性の高い部材であれば特に制限はないけれども、たとえば、アルミニウム、鉄などが挙げられる。
対向部材90としては、定着ベルト71と伝熱部材81の接触不良を防止する形状であればよく、上記に記載したローラ形状だけでなく、図10に記載したようにクリーニングウェブ96を配置する構成としてもよいし、図11に記載したようなパッド形状でもよい。
以下に、画像形成装置1のうちすでに説明した定着部6を除く部分の構成を説明する。
作像手段である画像形成部2は、作像ユニット10y,10m,10c,10bを含む。作像ユニット10y,10m,10c,10bは、各色相のデジタル信号(以下、「画像情報」と記載する)に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して、各色のトナーでトナー像を形成する。すなわち、作像ユニット10yはイエロー色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10mはマゼンタ色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10cはシアン色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10bはブラック色の画像情報に対応するトナー像を形成する。
なお、各色に対応する作像ユニット10などを個々に示す場合には、アルファベットの添字:y(イエロー色)、m(マゼンタ色)、c(シアン色)、b(ブラック色)を付して表す。作像ユニット10y,10m,10c,10bは、後述する中間転写ベルト21の移動方向(副走査方向)、すなわち、矢符27の方向の上流側から下流側にこの順番で一列に並んで配列される。
感光体ドラム11yは、イエロー色のトナー像が表面に形成される像担持体であり、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない円筒状、円柱状または薄膜シート状(好ましくは円筒状)の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。
感光体ドラム11yとしては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、導電性基体であるアルミニウム素管と、アルミニウム素管の表面に形成される感光層である有機感光層とを含む、GND(接地)電位に接続される感光体ドラムを使用できる。
有機感光層は、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層して形成されるものであってもよく、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む1つの層によって形成されてもよい。有機感光層の層厚は、特に限定されるものではないが、たとえば、20μmである。また有機感光層と導電性基体との間に下地層を設けてもよい。さらに、有機感光層の表面に保護層を設けてもよい。
帯電ローラ12yは、感光体ドラム11yの表面を所定の極性の電位に帯電させる帯電手段である。帯電手段としては、帯電ローラ12yに限定されるものではなく、帯電ローラ12yに代えて、ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、またはスコロトロンというコロナ帯電器なども使用できる。
光走査ユニット13yは、帯電状態にある感光体ドラム11yの表面にイエロー色の画像情報に対応するレーザ光を照射し、感光体ドラム11yの表面に、イエロー色の画像情報に対応する静電潜像を形成する潜像形成手段である。レーザ光の光源には、半導体レーザ素子などが用いられる。
現像スリーブ17yは、感光体ドラム11yに近接する現像ニップ部において、感光体ドラム11yの回転駆動方向と逆の方向に回転駆動する。
ドラムクリーナ15yは、感光体ドラム11y表面のイエロー色のトナー像が中間転写ベルト21に中間転写された後、感光体ドラム11y表面において中間転写ベルト21に中間転写されずに残存したイエロー色トナーを除去し回収する。
次いで、感光体ドラム11yの表面と現像スリーブ17y表面に担持されるイエロー色トナーとを近接させる。現像スリーブ17yには現像電位として−450Vの直流電圧が印加されており、現像スリーブ17yと感光体ドラム11yとの電位差によって、静電潜像にイエロー色トナーが付着し、感光体ドラム11yの表面にイエロー色トナー像が形成される。このイエロー色トナー像は、後述するように、感光体ドラム11yの表面に圧接し、矢符27の方向に駆動する中間転写ベルト21に中間転写される。感光体ドラム11yの表面に残留するイエロー色トナーはドラムクリーナ15yにより除去回収される。以後、同様にしてイエロー色のトナー像の形成動作が繰り返し実行される。
トナーは、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー粒子で構成される。結着樹脂としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリスチレン、スチレンの置換体の単独重合体、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
これらの結着樹脂の中でも、カラートナー用としては、保存性および耐久性などの点から、軟化点が100〜150℃であり、ガラス転移点が50〜80℃の結着樹脂が好ましく、上記範囲内に軟化点およびガラス転移点を有するポリエステルが特に好ましい。ポリエステルは軟化または溶融状態で高い透明度を示す。結着樹脂がポリエステルである場合、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が重ね合わされた多色トナー像を、後述する定着部6で記録媒体8に定着させると、ポリエステル自体は透明化するので、減法混色によって十分な発色が得られる。
離型剤としては、たとえば、ワックスを使用できる。ワックスとしてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。
トナーは、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法などの公知の方法で製造できる。粉砕法では、着色剤および離型剤などを結着樹脂と溶融混練して粉砕することでトナーを得る。懸濁重合法では、結着樹脂、着色剤および離型剤などのモノマーを均一に分散した後、これらのモノマーを重合させることでトナーを得る。乳化凝集法では、結着樹脂、着色剤および離型剤などを凝集剤によって凝集させ、得られる凝集物の微粒子を加熱することでトナーを得る。
トナーの体積平均粒径が2μm未満では、トナーの流動性が低下し、現像動作の際に、トナーの供給、撹拌および帯電が不十分になるので、感光体ドラム11に供給されるトナー量の不足や逆極トナーの増加などが発生し、高画質画像が得られないおそれがある。トナーの体積平均粒径が7μmを超えると、定着時に中心部分まで軟化し難い大粒径のトナー粒子が多くなるので、記録媒体8へのトナー像の定着性が低下するとともに、画像の発色が悪くなり、特にOHPシートへの定着の場合には、画像が暗くなる。
また、トナーは、結着樹脂としてガラス転移点が60℃であり軟化点が120℃のポリエステルを含み、着色剤として各色の顔料をトナー全量の12重量%含み、離型剤としてガラス転移点が50℃であり軟化点が70℃の低分子ポリエチレンワックスをトナー全量の7重量%含む。このトナーに離型剤として用いられる低分子ポリエチレンワックスは、結着樹脂として用いられるポリエステルよりもガラス転移点および軟化点が低いワックスである。
また、磁性を有する粒子に樹脂を被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどをキャリアとして用いてもよい。磁性を有する粒子を被覆する樹脂としては特に制限はないけれども、たとえばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂およびフッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないけれども、たとえばスチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂およびフェノール樹脂などが挙げられる。
キャリアの抵抗率は、キャリアを0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められたキャリアにおもりで1kg/cm2の荷重を掛け、おもりと底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読取ることで得られる値である。キャリアの抵抗率が低いと、現像スリーブ17yにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体ドラム11yにキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。
2成分現像剤16y,16m,16c,16bにおけるトナーとキャリアとの混合割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択すればよい。
図1に示すように、中間転写部3は、中間転写ベルト21と、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bと、支持ローラ23,24,25と、ベルトクリーナ26とを含む。本実施形態では、中間転写部3と、後述する2次転写部4とによって、転写手段を構成する。
中間転写ベルト21は、支持ローラ23,25と後述する支持ローラ24との間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状の像担持体である。中間転写ベルト21は、感光体ドラム11y,11m,11c,11bとほぼ同じ周速度で、矢符27の方向に、すなわち、感光体ドラム11y,11m,11c,11bに臨む像担持面が、感光体ドラム11yから感光体ドラム11bに向って移動するように回転駆動される。
合成樹脂または各種ゴムから構成されるフィルム中には、中間転写ベルト21の電気抵抗値を調整するために、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラックおよびグラファイトカーボンなどの導電材が配合される。また中間転写ベルト21には、トナーに対する付着力の弱いフッ素樹脂組成物、またはフッ素ゴムなどから構成される被覆層が設けられていてもよい。被覆層の構成材料としては、たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)などが挙げられる。被覆層には導電材が配合されていてもよい。
中間転写ローラ22y,22m,22c,22bは、それぞれ、中間転写ベルト21を介して感光体ドラム11y,11m,11c,11bに対向するように設けられるローラ状部材である。かつ中間転写ベルト21における像担持面の反対面に圧接し、かつ図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。
金属製軸体は、たとえばステンレス鋼などの金属によって構成される。金属製軸体の直径は特に制限されないけれども、好ましくは8mm以上10mm以下である。
導電性層は、導電性の弾性体などによって構成される。導電性の弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえばカーボンブラックなどの導電剤を含む、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、発泡EPDMおよび発泡ウレタンなどが挙げられる。導電性層によって、中間転写ベルト21に高電圧が均一に印加される。
ベルトクリーナ26は、中間転写ベルト21の像担持面上のトナー像を後述の2次転写部4において記録媒体8に転写した後に、像担持面上に残存するトナーを除去する部材であり、中間転写ベルト21を介して支持ローラ25に対向するように設けられる。
中間転写部3によれば、感光体ドラム11y,11m,11c,11b上に形成されるトナー像は、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bにトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加される。これによって、中間転写ベルト21の像担持面の所定位置に重ね合わされて中間転写され、多色のトナー像が形成される。このトナー像は、後述するように、2次転写ニップ部において記録媒体8に2次転写される。2次転写後に中間転写ベルト21の像担持面に残留するトナー、および紙粉などがベルトクリーナ26によって除去され、中間転写ベルト21の像担持面には再度多色のトナー像が転写される。
2次転写部4は、支持ローラ24と、2次転写ローラ28とを含む。支持ローラ24は、中間転写ベルト21を張架する機能と共に、中間転写ベルト21上の多色のトナー像を記録媒体8に2次転写させる機能を有する。2次転写ローラ28は、中間転写ベルト21を介して支持ローラ24に圧接し、かつ軸線方向に回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。
導電性弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえばカーボンブラックなどの導電材を含む、EPDM、発泡EPDMおよび発泡ウレタンなどが挙げられる。2次転写ローラ28には図示しない電源が接続され、トナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加される。支持ローラ24と中間転写ベルト21と2次転写ローラ28との圧接部が2次転写ニップ部である。
2次転写部4によれば、中間転写ベルト21上のトナー像が2次転写ニップ部に搬送されるのに同期して、後述する記録媒体供給部5から送給される記録媒体8が2次転写ニップ部に搬送される。そして、2次転写ニップ部において多色のトナー像と記録媒体8とが重ね合わされ、2次転写ローラ28にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧が均一に印加されることによって、未定着のトナー像が記録媒体8に2次転写される。そして、未定着トナー像を担持した記録媒体8は、定着部6に搬送される。
記録媒体供給部5は、記録用紙収容トレイ42と、記録用紙搬出ローラ43と、搬送ローラ44a,44bと、搬送路Pとを含む。記録用紙収容トレイ42は、記録媒体である記録媒体8を収容する。記録用紙搬出ローラ43は、記録用紙収容トレイ42に収容されている記録媒体8を搬出する。搬送ローラ44a,44bは、搬出された記録媒体8を2次転写部4へ搬送する。
2:画像形成部
3:中間転写部
4:2次転写部
5:記録媒体供給部
6:定着部
8:記録媒体
10,10y,10m,10c,10b:作像ユニット
11,11y,11m,11c,11b:感光体ドラム
12y,12m,12c,12b:帯電ローラ
13y,13m,13c,13b:光走査ユニット
14y,14m,14c,14b:現像装置
15y,15m,15c,15b:ドラムクリーナ
16y,16m,16c,16b:2成分現像剤
17y:現像スリーブ
18y:層厚規制部材
21:中間転写ベルト
22y,22m,22c,22b:中間転写ローラ
23,24,25:支持ローラ
26:ベルトクリーナ
28:2次転写ローラ
42:記録用紙収容トレイ
43:記録用紙搬出ローラ
44a,44b:搬送ローラ
50:定着ローラ
51:芯金
52:弾性層
53:表面層
55:定着ニップ部
60:加圧ローラ
61:芯金
62:弾性層
63:表面層
64:加熱手段
71:定着ベルト
72:基材層
73:弾性層
74:離型層
76:サーミスタ
77:テンションローラ
80:加熱部材
81:伝熱部材
82:面状発熱体
83:断熱部材
84:押圧部材
85:補強部材
86:抵抗発熱体
87:導通部
88:端部電極
90:対向部材
91:芯金
92:弾性層
93:表層
96:クリーニングウェブ
Claims (15)
- トナー画像が転写されたシートを加熱しそのトナー画像をシートに定着させる無端状ベルトと、前記無端状ベルトを回動可能に懸架する懸架部材とを含んでなる定着装置において、
前記無端状ベルトの回動方向と直交する幅方向にのび、通電により発熱する面状発熱体と、
前記面状発熱体と前記無端状ベルトとのいずれにも接触するように配置され伝熱部材として機能する剛体と、
前記面状発熱体を前記剛体に押し当てる押圧部材とを備え、
前記面状発熱体は、幅方向に細長い基板と、その基板の表面に形成され基板長手方向にのびる複数本の並列な抵抗発熱層と、各抵抗発熱層の一端部と他端部との間に挟まれた中間部の複数の箇所に形成されて異なる抵抗発熱層を基板短手回動方向に接続する導通部とを含んでなり、
前記押圧部材は、基板長手方向において隣り合う前記導通部の間の位置であって、前記導通部が形成された箇所を避けた位置で前記面状発熱体を前記剛体に押し当てることを特徴とする定着装置。 - 前記押圧部材は、隣り合う前記導通部の間にあっていずれの導通部からも10mm以上離れた位置で前記面状発熱体を前記剛体に押し当てる請求項1に記載の定着装置。
- 前記剛体の一端は、各抵抗発熱層の一端と基板長手方向において略等しい位置にあり、前記押圧部材は、各抵抗発熱層の一端とその一端に最も近くの導通部との間の位置で前記面状発熱体を前記剛体に押し当てる請求項1または2に記載の定着装置。
- 前記押圧部材は、各抵抗発熱層の一端とその一端に最も近くの導通部との間かつ前記一端と前記導通部との間の位置で前記面状発熱体を前記剛体に押し当てる請求項3に記載の定着装置。
- 前記押圧部材は、各抵抗発熱層の一端とその一端に最も近くの導通部との間かつ前記一端から10mm以内にあるいずれかの位置で前記面状発熱体を前記剛体に押し当てる請求項3に記載の定着装置。
- 前記面状発熱体は、板厚が略0.8mmのセラミック材の基板上に厚さ略10μmの銀・パラジウムからなる抵抗発熱層を形成してなる請求項2または5に記載の定着装置。
- 前記押圧部材は弾性体からなる請求項1〜5のいずれか一つに記載の定着装置。
- 前記押圧部材はステンレスの板バネからなる請求項7に記載の定着装置。
- 前記剛体がアルミニウムからなる請求項1〜8のいずれか一つに記載の定着装置。
- 請求項1〜9のいずれか一つに記載の定着装置を備えてなる画像形成装置。
- 幅方向に細長い基板と、その基板の表面に形成され基板長手方向にのびる複数本の並列な抵抗発熱層と、各抵抗発熱層の一端部と他端部との間に挟まれた中間部の複数の箇所に形成されて異なる抵抗発熱層を基板短手回動方向に接続する導通部とを含んでなり通電により発熱する面状発熱体と、
前記面状発熱体からの熱を加熱すべき物体に伝えるため前記物体と接触する剛体と、
前記面状発熱体を前記剛体に押し当てる押圧部材とを備え、
前記押圧部材は、基板長手方向において隣り合う前記導通部の間の位置であって、前記導通部が形成された箇所を避けた位置で前記面状発熱体を前記剛体に押し当てることを特徴とする加熱装置。 - 前記無端状ベルトを介して前記剛体と対向するように配置される対向部材とをさらに備え、
前記対向部材は、前記剛体に向けて前記無端状ベルトを加圧する請求項1に記載の定着装置。 - 前記対向部材は、前記無端状ベルトをクリーニングするクリーニング部材を兼ねる請求項12に記載の定着装置。
- 前記無端状ベルトを介して前記剛体と対向するように配置される対向部材をさらに備え、
前記懸架部材は複数あって、前記剛体および前記対向部材は二つの懸架部材の間に配置され、
前記対向部材は前記剛体に向けて前記無端状ベルトを加圧する請求項1に記載の定着装置。 - 前記対向部材は、前記無端状ベルトをクリーニングするクリーニング部材を兼ねる請求項14に記載の定着装置。
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