本発明の目的は、定着手段と加圧手段と外部加熱手段とを含む定着装置において、新たなクリーニング手段を増設することなく、定着装置の大型化を招くことなく、かつ特殊な材料の使用などによって製造コストを大幅に上昇させることなく、定着手段、外部加熱手段などを充分に清浄化し得る定着装置および該定着装置を含む画像形成装置を提供することである。
本発明は、
軸線回りに回転駆動可能に設けられて、未定着トナー像を担持する記録媒体を加熱し、該未定着トナー像を構成するトナーを溶融させて記録媒体に定着させる定着手段と、
定着手段に圧接して定着手段との間に圧接部を形成するように設けられて、圧接部に搬送される未定着トナー像を担持する記録媒体を加圧する加圧手段と、
定着手段または加圧手段の外方からその周面に接するように設けられて、該周面を加熱する外部加熱手段と、
定着手段または加圧手段の表面に接触して該表面を清浄化するクリーニングウェブと、クリーニングウェブを送り出す送出ローラと、回転駆動可能に支持されてクリーニングウェブを定着手段または加圧手段に圧接させるウェブ圧接ローラと、定着手段または加圧手段に圧接後のクリーニングウェブを巻き取る巻取りローラとを少なくとも備えるクリーニング手段とを含み、
クリーニングウェブが、
送出ローラとウェブ圧接ローラとによって張架された状態で外部加熱手段に押圧されて外部加熱手段に接触し、巻取りローラによるクリーニングウェブの巻取り量の増加に伴って、クリーニングウェブと外部加熱手段との接触面積が増加または減少するようにクリーニングウェブを配置することを特徴とする定着装置である。
また本発明の定着装置は、
外部加熱手段が
定着手段または加圧手段に圧接するように設けられる加熱ローラを含むことを特徴とする。
さらに本発明の定着装置は、
外部加熱手段が、
定着手段または加圧手段に圧接するように設けられるベルト部材を含むことを特徴とする。
さらに本発明の定着装置は、
クリーニングウェブが、
一方の面が定着手段と外部加熱手段または加圧手段と外部加熱手段とに接触するように設けられることを特徴とする。
さらに本発明の定着装置は、
クリーニングウェブが、
定着手段または加圧手段の回転駆動方向において、外部加熱手段よりも上流側で定着手段または加圧手段に接触するように設けられることを特徴とする。
さらに本発明の定着装置は、
クリーニングウェブが、
外部加熱手段に接触した後に定着手段または加圧手段に接触するように設けられることを特徴とする。
さらに本発明の定着装置は、
クリーニングウェブが、
定着手段または加圧手段の回転駆動方向において、外部加熱手段よりも下流側で定着手段または加圧手段に接触するように設けられることを特徴とする。
さらに本発明の定着装置は、
クリーニングウェブが、
定着手段または加圧手段に接触した後に外部加熱手段に接触するように設けられることを特徴とする。
さらに本発明の定着装置は、
巻取りローラによるクリーニングウェブの巻取り量の増加に伴って、クリーニングウェブと外部加熱手段との接触面積が増加するようにクリーニングウェブを配置することを特徴とする。
また本発明は、
表面に感光層を有する感光体と、感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電状態にある感光体表面に画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、感光体表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、中間転写媒体を介しまたは介することなくトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体上の未定着トナー像を定着させる定着手段とを含む画像形成装置において、
定着手段が、
前述のいずれか1つの定着装置であることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、定着手段と、加圧手段と、外部加熱手段と、クリーニング手段とを含む定着装置が提供される。本発明の定着装置において、外部加熱手段は、定着手段または加圧手段の外方から定着手段または加圧手段の周面に接触するように設けられ、該周面を加熱する。また、クリーニング手段はクリーニングウェブ(以下特に断らない限り単に「ウェブ」という)と、送出ローラと、ウェブを定着ローラ表面に圧接させるウェブ圧接ローラと、巻取りローラとを含む。ウェブは送出ローラと巻取りローラとによって張架された状態で外部加熱手段に対して押圧されることによって外部加熱手段に接触するので、ウェブを外部加熱手段に圧接させるための圧接ローラなどの圧接部材を用いる必要がない。また、ウェブは定着手段と外部加熱手段または加圧手段と外部加熱手段の両方に接触するので、外部加熱手段専用のクリーニング手段を設ける必要がない。したがって、本発明の定着装置では、従来の定着装置に比べて、クリーニング手段に対する外部加熱手段の配置を多少変更するだけで、定着手段または加圧手段、外部加熱手段などを効率良く清浄化できる。しかも、本発明の定着装置では、従来の定着装置が備える外部加熱手段専用のクリーニング手段およびウェブの外部加熱手段への圧接部材を用いないので、定着装置の小型化および製造コストの低減化を図り得る。また、ウェブの外部加熱手段への圧接部材が不要になることによって、外部加熱手段の設計自由度が増す。たとえば、複数の加熱ローラに無端ベルトを張架し、この無端ベルトによって定着手段を加熱する構成を有する外部加熱手段を用いても、圧接部材がないことによって、該ベルトとウェブとの接触部において該ベルトに対する負荷を低減化できる。その結果、該ベルトのスリップが防止され、該ベルトを効率良く清浄化できる。
本発明によれば、定着手段または加圧手段に圧接するように設けられる加熱ローラを含む外部加熱手段を用いる場合には、定着装置の大型化を伴うことなく、しかも従来の定着装置と同じ構成部材からなるにもかかわらず、定着手段と外部加熱手段または加圧手段と外部加熱手段の両方を効率良く清浄化できる。この点で、本発明の定着装置は、従来の定着装置よりも明らかに優れる。
本発明によれば、定着手段または加圧手段に圧接するように設けられるベルト部材を含む外部加熱手段を用いる場合には、たとえば、該ベルト部材の定着手段または加圧手段に対する接触面積を調節することによって、定着装置の大型化を伴うことなく、定着手段または加圧手段を効率良く加熱できる。また、ベルト部材を用いることによって、外部加熱手段の設計自由度が大幅に向上する。たとえば、ベルト部材として無端ベルトを用い、この無端ベルトを複数のローラ部材によって張架する構成を採れば、ローラ部材間の離隔距離の調整によって、無端ベルトで囲まれる領域内にサーミスタ、サーモスタットなどの加熱装置を配置できる。しかも、前述のように、無端ベルトとウェブとの接触部において無端ベルトがスリップすることがない。また、外部加熱手段の設計自由度が向上することは、定着装置の大型化の防止にも寄与する。
本発明によれば、ウェブの一方の面(好ましくは毛羽立ちのない表面)が定着手段と外部加熱手段または加圧手段と外部加熱手段の両方に接触するようにウェブを設けることによって、ウェブのクリーニング性能の低下、それに伴うクリーニング不良の発生を防止できる。
本発明によれば、ウェブを、定着手段または加圧手段の回転駆動方向における外部加熱手段よりも上流側で定着手段または加圧手段に接触するように設けることによって、定着手段または加圧手段と外部加熱手段とを接触するように配置し、外部加熱手段による加熱効率を一層高めることが可能になる。すなわち、この構成では、ウェブが定着手段または加圧手段の表面を清浄化した後に、定着手段または加圧手段と外部加熱手段とが接触するので、定着手段または加圧手段から外部加熱手段へのトナーの付着を著しく低減化できる。したがって、定着手段または加圧手段と外部加熱手段との接触配置が可能になる。
本発明によれば、ウェブが外部加熱手段に接触した後に定着手段または加圧手段に接触するようにウェブを設けることによって、外部加熱手段と定着手段または加圧手段とを効率良く清浄化できる。外部加熱手段は元々汚れが少ないので、ウェブが外部加熱手段に接触した後に定着手段または加圧手段に接触しても、定着手段または加圧手段を汚染することがなく、定着手段または加圧手段を充分に清浄化できる。
本発明によれば、ウェブを、定着手段または加圧手段の回転駆動方向における外部加熱手段よりも下流側で定着手段または加圧手段に接触するように設けることも可能である。この場合においても、定着手段または加圧手段と外部加熱手段との接触配置が可能になり、外部加熱手段による加熱効率を一層高めることが可能になる。
本発明によれば、ウェブを、定着手段または加圧手段の回転駆動方向における外部加熱手段よりも下流側で定着手段または加圧手段に接触するように設ける場合、ウェブを定着手段または加圧手段に接触させた後に、外部加熱手段に接触させるように構成するのが好ましい。この場合、定着手段または加圧手段と外部加熱手段とを接触させると、定着手段または加圧手段は外部加熱手段によってある程度清浄化され、外部加熱手段表面には定着手段または加圧手段表面からトナーが移行して付着する。すなわち、定着手段または加圧手段表面に付着するトナーは少なくなり、外部加熱手段表面には定着手段または加圧手段表面に付着するよりも多くのトナーが付着する。このような状態で、ウェブを定着手段または加圧手段に接触させた後に、外部加熱手段に接触させると、定着手段または加圧手段の表面を充分に清浄化できる。また、定着手段または加圧手段に接触した後のウェブはトナーの吸着量が少なく、充分なクリーニング性能を維持しているので、外部加熱手段の表面をも清浄化できる。したがって、定着手段または加圧手段と外部加熱手段との接触配置が可能になり、外部加熱手段による加熱効率を一層高めることが可能になる。
本発明によれば、送出ローラが、巻取りローラによるウェブ巻取り量の増加に伴って、ウェブと外部加熱手段との接触面積が増加するようにウェブを送り出すように構成するのが好ましい。定着装置を長時間使用すると、外部加熱手段の表面の離型性が徐々に低下する。したがって、使用時間の経過とともに、ウェブと外部加熱手段との接触面積が徐々に大きくなるようにウェブを配置すると、外部加熱手段の離型性の低下を補うことができる。これによって、定着装置の耐用寿命が終了するまで良好な定着動作が行われる。ウェブと外部加熱手段との接触面積を増加させる具体例として、送出ローラが反時計回りに回転駆動してウェブを送り出す構成が挙げられる。このように構成すれば、ウェブの巻取り量が増加するに伴って、巻回されるウェブを含めた送出ローラの直径が小さくなり、かつ送出ローラの軸心は固定されるので、送出ローラによるウェブの送り出し位置が、ウェブと外部加熱手段との接触位置から離反する。一方、外部加熱手段は、ウェブが送出ローラから送り出された直後に、ウェブを定着ローラから離反する方向に押圧する。したがって、ウェブの送り出し位置が前記接触位置から離反するほど、前記接触位置においてウェブと外部加熱手段とによって形成される角度が小さくなる。その結果、ウェブと外部加熱手段との接触面積を徐々に増加させ得る。
本発明によれば、本発明の定着装置を含む電子写真方式の画像形成装置が提供される。該画像形成装置によれば、画像形成速度の高速化を行っても、画像の定着不良、オフセットトナーの記録媒体への付着による画像汚れの発生、記録媒体の裏面(画像形成面の裏面)の汚れ付着などが防止され、高画質画像を長期的にかつ安定的に形成できる。しかも、これらの効果は、装置の大型化、製造コストの上昇などを伴うことなく達成される。
図1は、本発明の別の実施形態である画像形成装置1の構成を概略的に示す断面図である。図2は、図1に示す画像形成装置1の要部(後述のトナー像形成手段2)の構成を拡大して示す断面図である。図3は、本発明の実施の第1形態である定着装置6の構成を概略的に示す断面図である。図4は、図3に示す定着装置6の要部の構成を拡大して示す断面図である。画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナー像を順次重ね合わせて転写して多色トナー像を形成し、該多色トナー像を記録媒体に定着させて画像を形成するタンデム構成の電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置1は、トナー像形成手段2と、中間転写手段3と、二次転写手段4と、記録媒体供給手段5と、定着装置6と、スキャナ部7とを含む。
トナー像形成手段2は、作像ユニット10y,10m,10c,10bを含む。作像ユニット10y,10m,10c,10bは、後述する中間転写ベルト21の回転駆動方向(副走査方向)すなわち矢符27の方向における上流側からこの順番で一列に配置され、デジタル信号などとして入力される各色の画像情報に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像に対応する色のトナーを供給し、現像して各色のトナー像を形成する。作像ユニット10yはイエローの画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10mはマゼンタの画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10cはシアンの画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10bはブラックの画像情報に対応するトナー像を形成する。作像ユニット10yは、感光体ドラム11yと、帯電ローラ12yと、光走査ユニット13と、現像装置14yと、ドラムクリーナ15yとを含む。
感光体ドラム11yは、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に支持され、その表面に静電潜像ひいてはトナー像が形成される感光層を有するローラ状部材である。感光体ドラム11yには、たとえば、図示しない導電性基体と、導電性基体表面に形成される図示しない感光層とを含むものを使用できる。導電性基体には、円筒状、円柱状、シート状などの導電性基体を使用でき、その中でも円筒状導電性基体が好ましい。感光層としては、有機感光層、無機感光層などが挙げられる。有機感光層としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層などが挙げられる。無機感光層としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む層が挙げられる。導電性基体と感光層との間には、下地層を介在させてもよく、感光層の表面には主に感光層を保護するための表面層(保護層)を設けてもよい。本実施の形態では、接地電位(GND)に接続されるアルミニウム素管(導電性基体)と、アルミニウム素管の表面に形成される厚さ20μmの有機感光層とを含む直径30mmの感光体ドラムを用いる。また、本実施の形態では、感光体ドラム11yは、時計周りの方向に周速度355mm/sで回転駆動する。
帯電ローラ12yは、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に支持され、感光体ドラム11yの表面を所定の極性および電位に帯電させるローラ状部材である。帯電ローラ12yには図示しない電源が接続され、該電源から電圧を印加されて放電することによって、感光体ドラム11y表面を帯電させる。本実施の形態では、帯電ローラ12yに−1200Vの電圧が印加され、感光体ドラム11y表面は−600Vに帯電する。帯電ローラ12yに代えて、ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、スコロトロンといったコロナ帯電器などを使用できる。光走査ユニット13は、帯電状態にある感光体ドラム11y表面にイエローの画像情報に対応するレーザ光13yを照射し、感光体ドラム11y表面にイエローの画像情報に対応する静電潜像を形成する。光走査ユニット13には、半導体レーザなどを使用できる。本実施の形態では、−600Vに帯電した感光体ドラム11y表面に、露光電位−70Vの静電潜像を形成する。
現像装置14yは、現像ローラ17yと、現像ブレード18yと、現像槽19yと、攪拌ローラ20y,30yとを含む。現像ローラ17yは、その表面にイエロー現像剤16yを担持し、現像ローラ17yと感光体ドラム11yとの近接部(現像ニップ部)において、イエロー現像剤16yを感光体ドラム11y表面の静電潜像に供給する。現像ローラ17yは現像槽19yによって軸線回りに回転可能に支持され、現像槽19yの感光体ドラム11yを臨む面に形成される開口部からその一部が外方に向けて突出して感光体ドラム11y表面に近接するように設けられ、図示しない固定磁極を内包するローラ状部材である。現像ローラ17yは、感光体ドラム11yと逆方向に回転駆動する。したがって、現像ニップ部においては、現像ローラ17yと感光体ドラム11yとは同じ方向に回転駆動する。また、現像ローラ17yには図示しない電源が接続され、該電源から直流電圧(現像電圧)が印加される。これによって、現像ローラ17y表面のイエロー現像剤16yが静電潜像に円滑に供給される。本実施の形態では、現像ローラ17yには−420Vの現像電圧が印加される。現像ローラ17y表面のイエロートナー層が現像ニップ部において感光体ドラム11yと接触し、静電潜像にイエロー現像剤16yが供給される。現像ブレード18yは、一端が現像槽19yによって支持され、他端が現像ローラ17y表面に対して間隙を有して離隔するように設けられる板状部材であり、現像ローラ17y表面に担持されるイエロートナー層を均一化(層規制)する。現像槽19yは前記のように感光体ドラム11yを臨む面に開口部が形成され、内部空間を有する容器状部材である。現像槽19yは、その内部空間に現像ローラ17yと攪拌ローラ20y,30yとを内蔵し、かつイエロー現像剤16yを貯留する。現像槽19yには、イエロー現像剤16yの消費状況に応じて、図示しないトナーカートリッジからイエロー現像剤16yが補給される。本実施の形態では、現像槽19y内には予め磁性キャリアが充填される。現像槽19yに補給されるイエロートナーはこの磁性キャリアと混合されてイエロー現像剤(イエロー2成分現像剤)16yの形態で用いられるけれども、それに限定されず、イエロートナーのみを含む1成分現像剤の形態でも使用できる。攪拌ローラ20y,30yは、現像槽19yの内部空間において軸線回りに回転駆動可能に支持されるスクリュー状部材である。攪拌ローラ20yは、現像ローラ17y表面に圧接するように設けられる。攪拌ローラ20y,30yは、それぞれの回転駆動によって、図示しないトナーカートリッジから現像槽19y内に補給されるイエロー現像剤16yを現像ローラ17yの表面周辺に送給する。現像装置14yによれば、現像槽19y内の磁性キャリアにイエロートナーが付着した形態のイエロー現像剤16yが攪拌ローラ20y,30yによって現像ローラ17y表面に供給され、該表面に現像剤層が形成される。この現像剤層は現像ブレード18yによって層厚を均一化された後、現像剤層から電位差などを利用して感光体ドラム11y表面の静電潜像にイエロー現像剤16yが選択的に供給され、イエローの画像情報に対応するイエロートナー像が形成される。
ドラムクリーナ15yは、後述のように、感光体ドラム11y表面のイエロートナー像を中間転写ベルト21に転写した後に、感光体ドラム11y表面に残存するイエロー現像剤16yを除去、回収する。作像ユニット10yによれば、帯電ローラ12yによって帯電状態にある感光体ドラム11yの表面に、光走査ユニット13からイエローの画像情報に対応する信号光13yを照射して静電潜像を形成し、該静電潜像に現像装置14yからイエロー現像剤16yを供給して該静電潜像を現像し、イエロートナー像を形成する。このイエロートナー像は、後述のように、感光体ドラム11yの表面に圧接して矢符29の方向に回転駆動する中間転写ベルト21に転写される。感光体ドラム11y表面に残留するイエロー現像剤16yはドラムクリーナ15yによって除去され、回収される。この画像(トナー像)形成動作は繰返し実行される。作像ユニット10m,10c,10bは、イエロートナーに代えてマゼンタトナー、シアントナーまたはブラックトナーを使用する以外は、作像ユニット10yに対応する構造を有するので、同一の参照符号を付し、かつ各参照符号の末尾にマゼンタを示す「m」、シアンを示す「c」およびブラックを示す「b」を付し、説明を省略する。
トナーは、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有する。結着樹脂としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリスチレン、スチレンの置換体の単独重合体、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。これらの結着樹脂の中でも、カラートナー用としては、保存性、耐久性などの点から、軟化点100〜150℃、ガラス転移点50〜80℃の結着樹脂が好ましく、前記の軟化点およびガラス転移点を有するポリエステルが特に好ましい。ポリエステルは軟化または溶融状態で高い透明度を示す。結着樹脂がポリエステルである場合、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が重ね合わされた多色トナー像を記録媒体8に定着させると、ポリエステル自体は透明化するので、減法混色によって充分な発色が得られる。着色剤としては、従来から電子写真方式の画像形成技術に用いられるトナー用顔料および染料を使用できる。顔料としては、たとえば、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体系顔料などの有機系顔料、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデンレッド、クロムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ベルリンブルーなどの無機系顔料、アルミニウム粉などの金属粉などが挙げられる。顔料は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。離型剤としては、たとえば、ワックスを使用できる。ワックスとしてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックスなどが挙げられる。トナーは、結着樹脂、着色剤および離型剤の他に、帯電制御剤、流動性向上剤、定着促進剤、導電剤などの一般的なトナー用添加剤の1種または2種以上を含有できる。
トナーは、着色剤、離型剤などを結着樹脂と溶融混練して粉砕する粉砕法、着色剤、離型剤、結着樹脂のモノマーなどを均一に分散した後、結着樹脂のモノマーを重合させる懸濁重合法、結着樹脂粒子、着色剤、離型剤などを凝集剤によって凝集させ、得られる凝集物の微粒子を加熱する乳化凝集法などの公知の方法に従って製造できる。トナーの体積平均粒径は、特に制限されないけれども、好ましくは2〜7μmである。トナーの体積平均粒径が2μm未満では、トナーの流動性が低下し、現像動作の際に、トナーの供給、撹拌および帯電が不充分になり、トナー量の不足、逆極トナーの増加などが起こり、高画質画像が得られないおそれがある。一方、体積平均粒径が7μmを超えると、中心部分まで軟化し難い大粒径のトナー粒子が多くなるので、画像の記録媒体8への定着性が低下するとともに、画像の発色が悪くなり、特にOHPへの定着の場合には、画像が暗くなる。
本実施の形態では、トナーは、顔料以外は次に示す同じ構成を有する。トナーは、ガラス転移点60℃、軟化点120℃、体積平均粒径6μmの負帯電性の絶縁性非磁性トナーである。このトナーを用いて、X−Rite社製310による反射濃度測定値が1.4の画像濃度を得るには、5g/m2のトナー量が必要である。トナーは、ガラス転移点60℃かつ軟化点120℃のポリエステル(結着樹脂)、ガラス転移点50℃かつ軟化点70℃の低分子ポリエチレンワックス(離型剤)および各色の顔料を含み、ワックス含有量がトナー全量の7重量%、顔料含有率がトナー全量の12重量%および残部が結着樹脂のポリエステルである。トナーに含まれる低分子ポリエチレンワックスは、結着樹脂のポリエステルよりもガラス転移点および軟化点が低いワックスである。
中間転写手段3は、中間転写ベルト21と、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bと、支持ローラ23,24,25と、ベルトクリーナ26とを含む。中間転写ベルト21は、支持ローラ23,24,25の間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状のトナー像担持体であり、感光体ドラム11y,11m,11c,11bとほぼ同じ周速度で矢符27の方向に回転する。中間転写ベルト21には、たとえば、厚さ100μmのポリイミドフィルムを使用できる。中間転写ベルト21の材料はポリイミドのみに限定されず、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンなどの合成樹脂、各種ゴムなどからなるフィルムを使用できる。合成樹脂または各種ゴムからなるフィルム中には、中間転写ベルト21としての電気抵抗値を調整するために、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、グラファイトカーボンなどの導電材が配合される。中間転写ベルト21のトナー像担持面21aは、中間転写ベルト21の回転駆動方向における上流側から、感光体ドラム11y,11m,11c,11bにこの順番で圧接する。中間転写ベルト21の感光体ドラム11y,11m,11c,11bに圧接する位置が、各色トナー像の中間転写位置である。中間転写ベルト21を介して感光体ドラム11y,11m,11c,11bに対向する位置に、中間転写ローラ22y,22m,22c,22bが配置される。
中間転写ローラ22y,22m,22c,22bは、それぞれ、中間転写ベルト21を介して感光体ドラム11y,11m,11c,11bに対向し、かつ中間転写ベルト21におけるトナー像担持面21aの反対面に圧接し、かつ図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。中間転写ローラ22y,22m,22c,22bには、たとえば、金属製軸体と、該金属製軸体の表面に被覆される導電性層とを含むローラ状部材が用いられる。軸体は、たとえば、ステンレス鋼などの金属により形成される。軸体の直径は特に制限されないけれども、好ましくは8〜10mmである。導電性層は、導電性弾性体などにより形成される。導電性弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カーボンブラックなどの導電剤を含む、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどが挙げられる。導電性層によって、中間転写ベルト21に高電圧が均一に印加される。中間転写ローラ22y,22m,22c,22bには、感光体ドラム11y,11m,11c,11bの表面に形成されるトナー像を中間転写ベルト21上に転写するために、トナーの帯電極性とは逆極性の中間転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラム11y,11m,11c,11bに形成されるイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト21のトナー像担持面21aに順次重ね合わさって転写され、多色トナー像が形成される。ただし、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの一部のみの画像情報が入力される場合には、作像ユニット10y,10m,10c,10bのうち、入力される画像情報の色に対応する作像ユニットのみにおいてトナー像が形成される。
支持ローラ23,24,25は、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動可能に設けられ、中間転写ベルト21を張架して矢符27の方向に回転駆動させる。支持ローラ23,24,25には、たとえば、直径30mmおよび肉厚1mmのアルミニウム製円筒体(パイプ状ローラ)が用いられる。支持ローラ24は、中間転写ベルト21を介して後述する2次転写ローラ28に圧接して2次転写ニップ部を形成し、かつ電気的に接地される。支持ローラ24は中間転写ベルト21を張架する機能と共に、中間転写ベルト21上のトナー像を記録媒体8に2次転写させる機能をも有する。
ベルトクリーナ26は、中間転写ベルト21のトナー像担持面21a上のトナー像を後述の2次転写定着手段4において記録媒体8に転写した後に、トナー像担持面21a上に残存するトナーを除去する部材であり、中間転写ベルト21を介して支持ローラ25に対向するように設けられる。ベルトクリーナ26は、クリーニングブレード26aと、トナー貯留容器26bとを含む。クリーニングブレード26aは、図示しない加圧手段により、中間転写ベルト21のトナー像担持面21aに圧接し、トナー像担持面21a上の残存トナーなどを掻き取る板状部材である。クリーニングブレード26aには、たとえば、弾性を有するゴム材料(たとえば、ウレタンゴム)などからなるブレードを使用できる。トナー貯留容器26bは、クリーニングブレード26aに掻き取られるトナーなどを一時的に貯留する。
中間転写手段3によれば、感光体ドラム11y,11m,11c,11b上に形成されるトナー像が、中間転写ベルト21のトナー像担持面21aの所定位置に重ね合わされて転写され、トナー像が形成される。このトナー像は、後述するように、2次転写ニップ部において記録媒体8に2次転写される。2次転写後に中間転写ベルト21のトナー像担持面21aに残留するトナー、オフセットトナー、紙粉などがベルトクリーナ26により除去され、トナー像担持面21aには再度トナー像が転写される。
2次転写手段4は、支持ローラ24と、2次転写ローラ28とを含む。2次転写ローラ28は、中間転写ベルト21を介して支持ローラ24に圧接し、かつ軸線方向に回転駆動可能に設けられ、図示しない駆動手段によって回転駆動するローラ状部材である。2次転写ローラ28は、たとえば、金属製軸体と、該金属製軸体の表面に被覆される導電性層とを含む。金属製軸体は、たとえば、ステンレス鋼などの金属により形成される。導電性層は、導電性弾性体などにより形成される。導電性弾性体としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カーボンブラックなどの導電剤を含む、EPDM、発泡EPDM、発泡ウレタンなどが挙げられる。2次転写ローラ28には図示しない電源が接続され、トナーの帯電極性とは逆の極性を有する高電圧が均一に印加される。支持ローラ24と中間転写ベルト21と2次転写ローラ28との圧接部が2次転写ニップ部である。2次転写手段4によれば、中間転写ベルト21上のトナー像が2次転写ニップ部に搬送され、それに同期して後述の記録媒体供給手段5から送給される記録媒体8が2次転写ニップ部に搬送され、2次転写ニップ部においてトナー像と記録媒体8とが重ね合わされ、トナー像が記録媒体8に2次転写される。このようにして、記録媒体8上に未定着トナー像が担持される。未定着トナー像を担持する記録媒体8は、定着装置6に搬送される。
記録媒体供給手段5は、記録媒体カセット42と、ピックアップローラ43と、レジストローラ44a,44bとを含む。記録媒体カセット42は記録媒体8を貯留する。記録媒体8には、たとえば、普通紙、コート紙、カラーコピー専用用紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用フィルム、葉書などがある。サイズとしては、A4、A3、B5、B4、葉書サイズなどである。ピックアップローラ43は、記録媒体8を搬送路Pに1枚ずつ送給する。レジストローラ44a,44bは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、中間転写ベルト21上の多色トナー像が転写定着ニップ部に搬送されるのに同期して、転写定着ニップ部に記録媒体8を送給する。記録媒体供給手段5によれば、記録媒体カセット42内に貯留される記録媒体8が、ピックアップローラ43によって1枚ずつ搬送路Pに送給され、さらに、レジストローラ44a,44bによって転写定着ニップ部に送給される。
定着装置6は、図3および図4に示すように、定着ローラ50と、加圧ローラ60と、外部加熱手段70と、クリーニング手段80とを含む。なお、図4においては、サーミスタ76およびサーモスタット77の図示を省略する。
定着ローラ50は、図示しない支持手段によって回転自在に支持され、かつ図示しない駆動手段によって矢符56の方向に所定の速度で回転するローラ状部材である。定着ローラ50は、記録媒体8に担持されるトナー像を構成するトナーを加熱溶融させて記録媒体8に定着させる。本実施の形態では、定着ローラ50として、芯金51と、弾性体層52と、表面層53とを含むローラ状部材を使用する。芯金51を形成する金属には熱伝導率の高い金属を使用でき、たとえば、アルミニウム、鉄などが挙げられる。芯金51の形状としては、円筒状、円柱状などが挙げられるけれども、芯金51からの放熱量が少ない円筒状の方が好ましい。弾性体層52を構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はないけれども、さらに耐熱性にも優れるものが好ましい。このような材料の具体例としては、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、特にゴム弾性に優れるシリコーンゴムが好ましい。表面層53を構成する材料は、耐熱性および耐久性に優れ、トナーとの付着力が弱いものであれば特に制限されず、たとえば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料、フッ素ゴムなどが挙げられる。本実施の形態では、表面層53は厚さ約30μmのPFA層である。定着ローラ50の内部には、2個の加熱手段54が設けられる。これは、画像形成装置1の電源ONから画像形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮、トナー像定着時に記録媒体8に熱が移行することに起因する定着ローラ50の表面温度の低下などを防止するためである。本実施の形態では、加熱手段54にはハロゲンランプが用いられる。
加圧ローラ60は、定着ローラ50の鉛直方向最下点よりも定着ローラ50の回転方向下流側において、図示しない加圧機構により定着ローラ50に圧接された状態で回転自在に設けられるローラ状部材である。定着ローラ50と加圧ローラ60との圧接部が定着ニップ部55である。加圧ローラ60は定着ローラ50の回転に従動回転する。加圧ローラ60は、定着ローラ50によるトナー像の記録媒体8への加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーを記録媒体8に対して押圧することによって、トナー像の記録媒体8への定着を促進する。本実施の形態では、加圧ローラ60として、芯金61と、弾性体層62と、表面層63とを含む径50mmのローラ状部材を使用する。芯金61、弾性体層62および表面層63を形成する材料としては、それぞれ、定着ローラ50の芯金51、弾性体層52および表面層53を形成する金属または材料と同じものを使用できる。また、芯金61の形状も定着ローラ50と同様である。加圧ローラ60の内部には、加熱手段64が設けられる。これは、画像形成装置1の電源ONから画像形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮、トナー像定着時に記録媒体8に熱が移行することに起因する加圧ローラ60の表面温度の急激な低下などを防止するためである。本実施の形態では、加熱手段64にはハロゲンランプが用いられる。
外部加熱手段70は、加熱ベルト71と、第1圧接ローラ72と、第2圧接ローラ73と、サーミスタ76と、サーモスタット77とを含む。加熱ベルト71は、第1圧接ローラ72と第2圧接ローラ73との間に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材である。また、加熱ベルト71は、第1圧接ローラ72と定着ローラ50との圧接点から第2圧接ローラ73と定着ローラ50との圧接点の間において、定着ローラ50の外周方向に長さを持ちかつ定着ローラ50の長手方向に亘る帯状の領域で定着ローラ50に接触するように設けられる。また、加熱ベルト71は定着ローラ50の矢符56方向の回転駆動によって矢符78の方向に従動回転する。加熱ベルト71には、耐熱性および耐久性に優れるものであれば特に制限されないけれども、たとえば、ポリイミド製ベルト、ニッケル電鋳ベルトなどが挙げられる。加熱ベルト71の表面には、PFA、PTFEなどのフッ素樹脂層を形成してもよい。本実施の形態では、直径31mmの円筒形状に形成される厚さ100μmの無端ベルトを使用する。
第1圧接ローラ72および第2圧接ローラ73は、回転自在に支持されかつ図示しない加圧手段によって加熱ベルト71を介して定着ローラ50表面に圧接するように設けられるローラ状部材である。第1圧接ローラ72および第2圧接ローラ73は加熱ベルト71の矢符78方向の回転に従動回転する。第1圧接ローラ72および第2圧接ローラ73には、アルミニウム、鉄などの熱伝導率の高い金属からなる金属製ローラを使用できる。金属製ローラは必要に応じてその表面にフッ素樹脂層が形成されてもよい。第1圧接ローラ72および第2圧接ローラ73は、その内部に加熱手段74,75を有する。これによって、加熱ベルト71ひいては定着ローラ50が加熱される。加熱手段74,75には図示しない電源が接続され、加熱手段74,75を発熱させるための電力が供給される。加熱手段74,75には一般的な加熱手段を使用できる。本実施の形態では加熱手段74,75にはハロゲンランプを使用する。なお、第1圧接ローラ72および第2圧接ローラ73は定着ローラ50上において互いの軸線が平行になり、かつ間隙を有して離隔するように設けられる。
サーミスタ76は、加熱ベルト71を介して第2圧接ローラ73に対向する位置において加熱ベルト71に近接するように設けられ、加熱ベルト71の温度を検知する。サーミスタ76による検知結果はCPUに入力される。CPUは、サーミスタ76の検知結果から、サーミスタ76の温度が設定範囲内にあるか否かを判定する。加熱ベルト71の温度が設定範囲よりも低い場合には、加熱手段74,75に接続される電源に制御信号を送り、加熱手段74,75に電力を供給して発熱を促す。加熱ベルト71の温度が設定範囲よりも高い場合には、加熱手段74,75への給電力の有無を確認する。電力供給が継続される場合は、電力供給を停止する制御信号を送る。サーモスタット77は、加熱ベルト71を介して第2圧接ローラ73に対向しかつサーミスタ76よりも加熱ベルト71の回転方向下流側の位置において、加熱ベルト71に近接するように設けられ、加熱ベルト71の異常昇温を検知する。サーモスタット77による検知結果はCPUに入力される。CPUはサーモスタット77の検知結果に応じて加熱手段74,75に接続される電源からの給電を停止する。
定着ローラ50と加圧ローラ60と外部加熱手段70とを含む定着機構は、画像形成装置1の全動作を制御する図示しない制御手段によって制御される。制御手段は、画像形成指示の入力を受けると、定着ローラ50、加圧ローラ60および第1・第2圧接ローラ72,73の内部に設けられる加熱手段54,64,74,75に電力を供給する図示しない電源に制御信号を送る。画像形成指示は、画像形成装置1の鉛直方向上面に設けられる図示しない操作パネルまたは画像形成装置1に接続されるコンピュータなどの外部機器から入力される。制御信号を受けた電源は電力を供給して加熱手段54,64,74,75を起動させる。加熱手段54,64,74,75は、定着ローラ50、加圧ローラ60および加熱ベルト71表面がそれぞれの設定温度になるように加熱する。定着ローラ50および加圧ローラ60の近傍に設けられる図示しない温度検知センサが設定温度に到達したことを検知し、その検知結果がCPUに入力されると、制御手段は定着ローラ50を回転駆動させる図示しない駆動手段に制御信号を送り、定着ローラ50を矢符56の方向に回転駆動させる。それに伴って加圧ローラ60および加熱ベルト71が従動回転する。この状態で、未定着トナー像を担持する記録媒体8が2次転写手段4から定着ニップ部55に搬送される。この記録媒体8が定着ニップ部55を通過する際に、トナー像を構成するトナーが加熱加圧され、記録媒体8に定着され、画像が形成される。
クリーニング手段80は、ウェブ81と、送出ローラ82と、ウェブ圧接ローラ83と、巻取りローラ84とを含み、定着ローラ50および加熱ベルト71表面に付着するオフセットトナーなどを除去する。
ウェブ81は、送出ローラ82からウェブ圧接ローラ83に向けて矢符87の方向に送り出され、ウェブ圧接ローラ83に巻回されて定着ローラ50表面に圧接した後、巻取りローラ84によって巻き取られるように設けられる。ウェブ81と定着ローラ50表面との圧接部が第1クリーニングニップ部85である。また、ウェブ81は、送出ローラ82とウェブ圧接ローラ83とによって弛みがないように張架された状態で、加熱ベルト71表面に押圧され、加熱ベルト71表面に接触するように配置される。この配置は、送出ローラ82、ウェブ圧接ローラ83および加熱ベルト71の配置を適宜選択することによって容易に実現できる。この構成によって、ウェブ81を加熱ベルト71に圧接させるための圧接部材を設けることなく、ウェブ81を加熱ベルト71に接触させることが可能になる。このウェブ81と加熱ベルト71との圧接部が第2クリーニングニップ部86である。ウェブ81には、その製法上の問題から、毛羽立ちがなく緻密で清浄化性能(トナー除去性能)の高い表面と、毛羽立ちが多くて目が粗く清浄化性能の低い裏面とがある。したがって、本発明では、ウェブ81の表面が、第1・第2クリーニングニップ部85,86において定着ローラ50および加熱ベルト71に圧接するように構成する。すなわち、ウェブ81の同じ面が定着ローラ50および加熱ベルト71に圧接する。このように構成すれば、ウェブ81の清浄化性能に優れる表面のみで定着ローラ50および加熱ベルト71の清浄化することが可能になり、ウェブ81裏面を用いる必要がない。しかも、ウェブ81の懸架機構が簡素化され、定着装置6の大型化防止に有効である。
本実施の形態では、ウェブ81は加熱ベルト71に圧接した後、定着ローラ50に圧接するけれども、加熱ベルト71から除去したトナーによって定着ローラ50を汚染するおそれはない。加熱ベルト71上のトナーは加熱を受けて溶融し、粘着性を示すので、ウェブ81にほぼ確実に付着して除去される。しかしながら、加熱ベルト71に付着するトナーは非常に少なく、かつウェブ81によって第2クリーニングニップ部86から第1クリーニングニップ部85に搬送される間にウェブ81に固着し、粘着性も低減化されるので、定着ローラ50には付着しない。しかも、加熱ベルト71からトナーが付着してもその量が少ないので、ウェブ81のクリーニング能力は実質的に低下しない。したがって、定着ローラ50表面をも充分に清浄化できる。
ウェブ81には、たとえば、耐熱性不織布を使用できる。耐熱性不織布としては特に制限されないけれども、たとえば、芳香族ポリアミド繊維と高温で軟化するポリエステル繊維とを含み、適度の柔軟性と機械的強度とを併せ持つ不織布などが挙げられる。このような耐熱性不織布は市販されており、たとえば、ノーメックス(商標名)、ヒメロン(商品名)などが挙げられる。また、ウェブ81の厚さも特に制限されないけれども、好ましくは30〜100μmである。本実施の形態ではウェブ81として厚さ40μmのものを使用する。また、ウェブ81には離型効果などを有するオイルを含浸させ得る。オイルとしてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどのシリコーンオイルが挙げられる。本実施の形態では、ウェブ81に、0.01m2/s(10000センチストークス、25℃)程度の粘度を持つシリコーンオイルを含浸させた。
送出ローラ82は軸線回りに従動回転可能に支持され、その表面にウェブ81を巻回して保持する。本実施の形態では、送出ローラ82は、外部加熱手段70の鉛直方向上方において、外部加熱手段70に対して離隔しかつ外部加熱手段70を介して定着ローラ50に対向するように設けられる。特に、送出ローラ82の軸心が、水平方向において、第1圧接ローラ72の軸心よりも第2圧接ローラ73側にあるように、送出ローラ82を設けるのがよい。このように構成すれば、第2クリーニングニップ部86においてウェブ81と加熱ベルト71とが一層確実に圧接するとともに、定着装置6の大型化も防止される。また、本実施の形態では、送出ローラ82は、反時計回りの方向に従動回転してウェブ81を送り出すように構成される。この構成では、図4に示すように、巻取りローラ84によるウェブ81の巻取り量の増加に伴って、送出ローラ82によるウェブ81の送り出し位置が第2クリーニングニップ部86から離反する方向(または鉛直方向下方)、すなわち矢符90の方向に移動する。そして、第2クリーニングニップ部86において、ウェブ81と加熱ベルト71とによって形成される角の角度が徐々に小さくなる。その結果、ウェブ81または加熱ベルト71の移動方向におけるウェブ81と加熱ベルト71との接触幅dは徐々に大きくなる。定着動作が進むと、定着動作開始時よりは加熱ベルト71へのトナーの付着量も増加するので、徐々にウェブ81と加熱ベルト71との接触面積を増大させることによって、加熱ベルト71表面の清浄化を極めて効率良く実施できる。
ウェブ圧接ローラ83は、長手方向の両端が図示しない軸受けによって従動回転可能に軸支されるローラ状部材である。ウェブ圧接ローラ83は、第1圧接ローラ72の鉛直方向下方において、図示しない押圧手段によってウェブ81を介して定着ローラ50表面に圧接するように設けられる。ウェブ圧接ローラ83は、巻取りローラ84によるウェブ81の巻取り動作時に従動回転する。ウェブ圧接ローラ83には、たとえば、金属製芯金と、金属製芯金の表面に形成される弾性層とを含むローラ状部材が用いられる。弾性層を構成する弾性材料としては、たとえば、シリコーンゴムなどの耐熱性ゴム、その発泡体などが挙げられる。弾性層の表面硬度は特に制限されないけれども、好ましくは20°〜30°(Asker−c、アスカーC硬度)である。また、定着ローラ50への押圧力は、好ましくは3793.6Pa(0.039kgf/cm2)〜18967.9Pa(0.19kgf/cm2)である。3793.6Pa未満では、オフセットトナーが画像形成装置1の内部に漏出するおそれがある。18967.9Paを超えると、定着ローラ50の表面層が損傷し易くなり、画像の定着不良などが発生するおそれがある。押圧手段には、たとえば、ばね部材などが用いられる。ウェブ圧接ローラ83の長手方向の幅は、画像形成装置1において形成しようとする画像形成領域の最大幅よりも大きくすればよい。また、クリーニングニップ部84の幅(クリーニングニップ幅)はクリーニング装置70のクリーニング性能に大きな影響を及ぼすので、適切な範囲に設計するのが好ましい。クリーニングニップ幅は、主に、ウェブ圧接ローラ83の定着ローラ50に対する押圧力、ウェブ圧接ローラ83のローラ径などによって決定される。本実施の形態では、ウェブ圧接ローラ83の長手方向の幅を画像形成領域よりも長い310mm、ローラ径を20mmとする。
巻取りローラ84は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に支持され、定着ローラ50と接触した後のウェブ81を巻き取る。本実施の形態では、巻取りローラ84は、ウェブ圧接ローラ83の鉛直方向上方において、送出ローラ82および外部加熱手段70から離隔するように設けられる。これによって、定着装置6の大型化を防止できる。巻取りローラ84の回転駆動によって、ウェブ81が送出ローラ82から矢符87の方向に送り出され、クリーニング動作が開始される。クリーニング手段70の動作は、図示しないCPUによって制御される。CPUは、所定の枚数の記録媒体8が定着ニップ部55を通過したことをセンサ、定着ローラ50の回転回数などによって検知した後、巻取りローラ84を回転させる図示しない駆動手段(ここでは画像形成装置1の本体内部に設けられるモータ)に制御信号を送る。制御信号を受けた駆動手段は、巻取りローラ84を回転させてウェブ81を一定量巻き取る。この巻取りによってウェブ81が送出ローラ82から矢符87の方向に送り出される。ウェブ81は第2クリーニングニップ部86および第1クリーニングニップ部85の順番に通過して加熱ベルト71および定着ローラ50表面のオフセットトナーなどを取り込んで清浄化する。それとともに加熱ベルト71および定着ローラ50に対してオイルを供給する。その後、ウェブ81はウェブ圧接ローラ83に巻回されて搬送方向を反転され、巻取りローラ84によって巻き取られる。なお、巻取りローラ84によって間欠的に巻取りを行う動作例を示したけれども、それに限定されず、記録媒体8が定着ニップ部55を通過するタイミングに合わせて連続的に巻取りを行ってもよい。
定着装置6によれば、定着ローラ50と加圧ローラ60とによるトナー像の記録媒体8への定着動作と平行して、クリーニング手段80による定着ローラ50および加熱ベルト71のクリーニング動作が実行される。したがって、高速で連続的に画像形成を行っても、定着ローラ50の表面温度の低下、定着ローラ50へのオフセットトナーの付着などが確実に防止されるので、定着不良、画像不良などを伴うことなく、所定の画像を高画質で形成できる。
スキャナ部7は、原稿台41と、光源(不図示)と、CCDセンサ9とを含む。原稿台41の上面には、複写すべき原稿が載置される。原稿台41には透明ガラスなどの透明性材料からなる板状部材が用いられる。光源は、原稿台41に載置される原稿を照明する。CCDセンサ9は、光源によって照明される原稿からの反射光を光電変換することで、反射光を画像情報(画像信号)に変換する。CCDセンサ9は変換部と転送部と出力部とを含み、変換部では反射光である光信号を電気信号に変換し、転送部ではクロックパルスに同期して電気信号を順次出力部へ転送し、出力部では電気信号を電圧信号に変換し、増幅、低インピーダンス化して出力する。このようにして得られたアナログ信号を周知の画像処理を行ってデジタル信号に変換する。スキャナ部7により読み取られる原稿の画像情報は、画像形成装置の全動作を制御する図示しないCPUに送られ、各種画像処理が施された後、メモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリ内の画像を読出して光走査ユニット13に転送して記録媒体8である記録紙上に画像を形成させる。
画像形成装置1には、図示しない制御手段が設けられる。制御手段は、たとえば、画像形成装置1の内部空間における上部に設けられ、図示しない、記憶部と、演算部と、制御部とを含む。記憶部には、画像形成装置1の上面に配置される図示しない操作パネルを介する印刷指令、画像形成装置1内部の各所に配置される図示しない各種センサなどからの検知結果、外部機器から入力される画像情報、画像形成装置1内部の各装置の動作を制御するための各種設定値およびデータテーブル、各種制御を実行するためのプログラムなどが書き込まれる。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラなどが挙げられる。演算部は、記憶部に入力される各種データ(印刷指令、検知結果、画像情報など)および各種制御を実施するためのプログラムを取り出し、各種検知および/または判定を行う。制御部は、演算部における各種判定結果、演算結果などに応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は、たとえば、中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路である。制御手段は、記憶部、演算部および制御部とともに主電源を含む。主電源は、制御手段だけでなく、画像形成装置1内部における各装置にも電力を供給する。
画像形成装置1によれば、トナー像形成手段2において感光体ドラム11y,11m,11c,11b上に形成された各色トナー像が中間転写手段3の中間転写ベルト21上に重ね合わせて転写されて多色トナー像が形成される。この多色トナー像は2次転写手段4において記録媒体8に転写される。未定着多色トナー像を担持する記録媒体8が定着装置6の定着ニップ部に導入され、加熱加圧を受けることによって、多色トナー像が記録媒体8に定着されてカラー画像が形成される。このとき、クリーニング手段80によって、定着ローラ50および外部加熱手段70表面からオフセットトナーなどが確実に除去される。したがって、画像形成を高速化しても、定着不良、オフセットトナーの記録媒体8への付着による画像不良などが発生するのを防止できる。
図5は、本発明の実施の第2形態である定着装置6aの要部の構成を拡大して示す断面図である。定着装置6aは定着装置6に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。定着装置6aは、送出ローラ82が時計回り方向に従動回転してウェブ81を送り出すことを特徴とし、それ以外は定着装置6と同様の構成である。この構成では、巻取りローラ84によるウェブ81の巻取り量の増加に伴い、送出ローラ82によるウェブ81の送り出し位置が鉛直方向上方すなわち矢符91の方向に移動する。その結果、第2クリーニングニップ部86においてウェブ81と加熱ベルト91とがなす角の角度が徐々に大きくなる。したがって、ウェブ81または加熱ベルト91の移動方向におけるウェブ81と加熱ベルト91との接触幅dは徐々に小さくなるが、このような構成においても、定着ローラ50および加熱ベルト71を充分に清浄化できる。
図6は、本発明の実施の第3形態である定着装置6bの構成を模式的に示す断面図である。定着装置6bは定着装置6に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。定着装置6bは、外部加熱手段70に代えて外部加熱手段70aを含む以外は、定着装置6と同様の構成である。外部加熱手段70aは、第1圧接ローラ72を含む。第1圧接ローラ72は、外部加熱手段70における第1圧接ローラ72と同様の構成であり、加熱ローラとして機能する。ウェブ81は、送出ローラ82とウェブ圧接ローラ83とによって弛みのないように張架された状態で、第1圧接ローラ72に押圧され、第1の圧接ローラ72表面に接触する。また、ウェブ81は、ウェブ圧接ローラ83によって押圧されて定着ローラ50表面に圧接する。したがって、ウェブ81は第1圧接ローラと定着ローラ50との両方に圧接し、第1圧接ローラ72は定着ローラ50とウェブ81との両方に圧接する。ウェブ81は第1圧接ローラ72に圧接してその表面を清浄化した後、定着ローラ50に圧接してその表面を清浄化するとともに、その表面にオイルを付与する。このように構成することによっても、画像形成速度の高速化への対応が可能であり、定着不良および画像不良を発生させることなく、高画質画像を安定的に形成できる。
図7は、本発明の実施の第4形態である定着装置6cの構成を模式的に示す断面図である。定着装置6cは定着装置6に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。定着装置6においては、ウェブ圧接ローラ83が、外部加熱手段70よりも定着ローラ50の回転方向上流側において、ウェブ81を介して定着ローラ50表面に圧接するように設けられる。これに対し、定着装置6cは、定着ローラ50の回転方向において、ウェブ圧接ローラ83を外部加熱手段70よりも下流側に配置することを特徴とする。これによって、定着ローラ50の回転方向における外部加熱手段70よりも下流側において、ウェブ81が定着ローラ50表面に圧接する。すなわち、定着装置6cは、ウェブ81と、定着ローラ50の回転方向における外部加熱手段70よりも下流側においてウェブ81を介して定着ローラ50に圧接するウェブ圧接ローラ83と、ウェブ圧接ローラ83の鉛直方向上方に設けられる送出ローラ82と、外部加熱手段70の鉛直方向上方に設けられる巻取りローラ84とを含む。このように、送出ローラ82、ウェブ圧接ローラ83および巻取りローラ84を配置することによって、ウェブ81が定着ローラ50表面に圧接した後に、外部加熱手段70の矢符91の方向に回転駆動する加熱ベルト71に圧接する構成を採ることができる。
この構成にすることで、外部ベルト71が定着ローラ50に付着した汚れを引き付け、ウェブ81は加熱ベルト71に圧接してその表面を充分に清浄化するので、定着ローラ50は汚染の度合が非常に低くなり、ほとんど汚染することがない。また、ウェブ81は定着ローラ50から除去したトナーが付着した状態で加熱ベルト71に接するけれども、ウェブ81に付着するトナーが加熱ベルト71に移行することはない。その理由としては、1)加熱ベルト71の方がウェブ81よりも離型性が高いこと、2)加熱ベルト71は通常トナーの溶融温度程度に加熱されるので、加熱ベルト71に付着するトナーは溶融状態で強い粘着性を示すこと、3)ウェブ81の表面温度は加熱ベルト71の温度よりも低いことなどが挙げられる。よって、このような構成を採っても、加熱ベルト71からウェブ81への不可逆的なトナーの移行が起こるのみなので、定着ローラ50および加熱ベルト71を充分に清浄化し得る。
本実施の形態では、巻取りローラ84の取り付け方法について特に限定はないが、図7に示すようにウェブ81が、巻取りローラ84の軸の下側に取り付けられていることが好ましい。このように構成すれば、図7に示すように、巻取りローラ84によるウェブ81の巻取り量の増加に伴って、巻取りローラ84によるウェブ81の巻取り位置が矢符の方向(鉛直方向下方)に移動する。そして、第2クリーニングニップ部86において、ウェブ81と加熱ベルト71とによって形成される角の角度が徐々に小さくなる。その結果、ウェブ81または加熱ベルト71の移動方向におけるウェブ81と加熱ベルト71との接触幅dは徐々に大きくなる。定着動作が進むと、定着動作開始時よりは加熱ベルト71へのトナーの付着量も増加するので、徐々にウェブ81と加熱ベルト71との接触面積を増大させることによって、加熱ベルト71表面の清浄化を極めて効率良く実施できる。