JP2004264393A - 画像形成装置の定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録紙にコート紙を用いて、光沢のある画像を出力する場合でも、細線や小ポイント文字のトナー潰れを防止し、画像品位を得ることが可能となる画像形成装置の定着装置の提供。
【解決手段】加熱源によって加熱される回転加熱部材と、該回転加熱部材に対して圧接して配置される加圧部材を備え、該未定着画像は熱を与えることによりワックス等の離型剤が染み出すトナーを用い、該回転加熱部材は少なくとも基層、弾性層、表層からなる3層以上の構成をとり、弾性層の硬度がJIS−A硬度1°〜30°、及び表層はフッ素樹脂であり、厚みが1〜30μmとなる画像形成装置の定着装置。
【選択図】 なし
【解決手段】加熱源によって加熱される回転加熱部材と、該回転加熱部材に対して圧接して配置される加圧部材を備え、該未定着画像は熱を与えることによりワックス等の離型剤が染み出すトナーを用い、該回転加熱部材は少なくとも基層、弾性層、表層からなる3層以上の構成をとり、弾性層の硬度がJIS−A硬度1°〜30°、及び表層はフッ素樹脂であり、厚みが1〜30μmとなる画像形成装置の定着装置。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に用いられる定着装置及び該定着装置を有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置における定着装置としては、所定の温度に維持された加熱ローラ(定着ローラ)と、弾性層を有して該加熱ローラに圧接する加圧ローラとによって記録材を挟持し搬送しつつ加熱する熱ローラ方式が多用されている。特にカラー画像を形成する定着装置においては、モノクロ画像に比べてシアン、マゼンタ、イエロー等のカラートナーを使用することが一般的である。
【0003】
カラートナーは混色性及びOHPの透過性を高めるために、モノクロトナーに比べ低融点、且つ低溶融粘度のシャープメルト性の材料で形成した非磁性トナーを用いており、用紙上に形成したカラートナーが定着手段の定着ローラ表面に融着する、いわゆるオフセットを発生しやすい傾向にある。このため定着ローラは、多色重ねの画像に対する追従性と定着性そのものの向上のために適度の弾性を備えることが必要であり、HTV(High Temperature Vulcanizing)ゴム等の弾性層上に、LTV(Low Temperature Vulcanizing)、RTV(Room Temperature Vulcanizing)等の離型性が高いシリコーンゴムで表面層を形成している。このシリコーンゴムは、シリコーンオイルと同種の材料であるため両者の親和性が高く、オイルがゴム表面だけでなく内部にも浸透して、高い離型性をもたらし、オフセット防止効果を発揮する。
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置のカラートナーの定着には以下のような問題があった。即ち、定着手段の定着ローラには直接オイルを塗布するが、定着ローラに圧接した下側の加圧ローラには、定着ローラからニップ(定着ニップ)を介して間接的にオイルが供給されるようにしているため、連続プリント時に加圧ローラにオイルを紙間でしか塗布できない。このため、加圧ローラのオイル塗布が途絶えがちになりやすく、加圧ローラのオフセット防止が不利なために、カラーDTPのための両面画像への対応が非常に困難であった。
【0005】
加圧ローラのオフセットを防止するためには、加圧ローラにもオイルを直接塗布すればよいが、そのための塗布機構を必要とすることから、装置が大型化及び複雑化するという問題がある。定着ローラに塗布するオイル量を多めにすることも考えられるが、用紙のオイル染みが発生しやすく、画像の品質や定着の信頼性等が低下する。又、定着ローラのオイルによる膨潤でローラ径の変化やゴムの剥れが生じやすくなり、これを防止するためにはオイルバリヤーの働きを持たせた中間層を必要とするなど、定着ローラの構成が複雑化し、コストアップする。通紙中に加圧ローラ表面にオイル付着量を確保できるように、加圧ローラへのクリーニングブレードの侵入量を小さくする等により、クリーニングブレードの当接圧をゆるく設定すると、今度はオイルの擦り抜けが起こりやすくなり、同様に、用紙へのオイル染みが発生する。又、表層のシリコーンゴム層に浸透しているシリコーンオイルが枯れたり、紙粉や異物等によってキズついてしまうと、本来の離型性能が失われトナーのオフセットや用紙の巻きつき等の不具合が生じてしまう。
【0006】
このような問題を解決するために特許文献1では、定着手段の定着ローラ等に離型剤オイルを塗布することなく、用紙に転写したカラートナーを良好に定着することを可能としている。
【0007】
即ち、離型性を有するワックスを内包させたタイプのトナーを用い、定着ローラは、剛性を有する基材上に弾性層を設け、その上にワックスを内包したトナーとの離型性が良いフッ素樹脂、例えば、FEP(フッ化エチレン共重合樹脂)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を表面に設けたローラ構成とすればよく、加圧ローラの弾性層の厚みや硬度を選択することによって加圧ローラを定着ローラに食い込ませることによって、従来のようにシリコーンオイルを塗布しないでも、離型性や分離性能を維持しつつ良好な定着を可能としている。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−148988号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した画像形成装置及び定着装置においても以下のような問題があった。即ち、ワックス内包トナーで用いられる定着ローラのフッ素樹脂表層は、オイルを塗布するタイプのゴム表層に比べて硬度が高く硬いため、記録紙上に多層に転写されているカラートナーに対して追従性が悪い。このことから、紙目が粗い紙等では繊維の奥にあるトナーと、繊維の表面付近にあるトナーとで加熱ムラが生じて微小な光沢ムラが発生しやすくなっていた。
【0010】
又、定着ニップ内では溶融したトナーが加圧するが、フッ素樹脂表層のように硬い表層ではトナーが伸ばされて潰されてしまう。特にトナー部をより溶かし、画像に光沢を出す場合において起こりやすく、記録紙がコート紙の場合には溶融トナーが紙繊維内に浸透しないために溶けたトナーの潰れがより顕著に発生する。トナーの潰れが起こると、細線の太りやにじみが発生したり、小ポイント文字が潰れて視認性が悪化するといった不具合が生じる。これらの問題は画像の光沢性、細線や小ポイント文字、コート紙等の使用を前提とした高画質機において、ワックストナーによって定着オイルを用いないオイルレス定着を行うための大きな課題となっていた。
【0011】
特開2001−305816公報では、4色のカラートナーの他に透明トナーを用いて上記のトナー潰れによる画像の粒状性悪化と光沢度(グロス)の両立を可能としているが、このように透明トナーを用いると専用の現像器やドラム等の画像形成部を必要とし、コストが大幅にアップしたり装置の大型化につながってしまう。その他記録紙上のトナーの載り量自体が増えるため、転写部や定着部での負荷が大きくなり、根本的な解決にはなっていなかった。
従って、本発明の目的は、ワックス内包トナーと定着ローラにフッ素樹脂表層をもち、オイルレス定着を行う画像形成装置において、記録紙にコート紙を用いて、光沢のある画像を出力する場合でも、細線や小ポイント文字のトナー潰れを防止し、画像品位を得ることが可能となる画像形成装置の定着装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、画像情報をもとに画像を形成する画像形成装置における、記録材上の未定着画像を狭圧搬送して該記録材上の未定着画像の加熱定着を行う定着装置であって、加熱源によって加熱される回転加熱部材と、該回転加熱部材に対して圧接して配置される加圧部材を備え、該未定着画像は熱を与えることによりワックス等の離型剤が染み出すトナーを用いて形成され、該回転加熱部材は少なくとも基層、弾性層及び表層からなる3層以上の構成を有し、弾性層の硬度がJIS−A硬度1°〜30°であり、及び表層がフッ素樹脂からなり、厚みが1〜30μmであることを特徴とした画像形成装置の定着装置(1)を提供する。
【0013】
又、本発明は、前記表面層の表面の微小硬度が60°以下である前記(1)の定着装置(2)、前記記録材が、上質紙又はコート紙である前記(1)の定着装置(3)、前記表面層の表面の微小硬度が60°以下である前記(3)の定着装置(4)、前記記録材が、上質紙又はコート紙である前記(4)の定着装置(5)、前記回転加熱部材の表層にチューブ成型されたフッ素樹脂を用いている前記(1)〜(5)の定着装置(6)、前記回転加熱部材は弾性層上にフッ素樹脂をコート成型した表層を用いている前記(1)〜(6)の定着装置(7)、前記弾性層上のフッ素樹脂が、プライマー等を介して弾性体上に直接フッ素樹脂をコート成型されている前記(7)の定着装置(8)、前記回転加熱部材と加圧部材の平均圧力が、3kgf/cm2以下に設定されている前記(1)〜(6)の定着装置(9)、及び前記(1)〜(9)の何れかの定着装置を有することを特徴とする画像形成装置(10)を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
<画像形成装置の基本構成>
図1に、本発明の定着装置を有するカラー画像形成装置の1実施例の全体構成を示す。本実施形態では、中間転写体を用いたカラー画像形成装置の例を示している。
【0015】
本実施形態において、カラー画像形成装置は、像担持体として矢印方向に所定の周速度で回転駆動される感光ドラム101を有し、この感光ドラム101の周囲に1次帯電器102等の画像形成手段が配置されている。感光ドラム101は、1次帯電器102により所定の極性の所定の表面電位に一様に帯電され、露光手段のレーザスキャナ(図示せず)からの画像の露光103により、感光ドラム101の表面上に1色目の、例えば、マゼンタ成分色の静電潜像が形成される。この潜像はマゼンタ現像器41により現像され、マゼンタトナー像として可視化される。
【0016】
現像方式は、現像剤として非磁性トナーを用いた1成分非接触方式であり、現像器41の現像スリーブと感光ドラム101との間に適当な現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ上の非磁性トナーが感光ドラム101に飛翔し、潜像に付着して現像する。
【0017】
中間転写体として中間転写ローラ20が、感光ドラム101に適度な圧力を持って当接配置されている。中間転写ローラ20は、シリンダ状の芯金上に中抵抗の電気抵抗(体積抵抗率が105〜1011Ωcm程度)を有する非発泡体或は発泡体の弾性層を設けてなっている。弾性層表面のトナーに対する離型性を向上させるために、弾性層の表面にトナーとの離型性が良好なPTFE等のフッ素樹脂若しくはシリコーンゴムの離型層を、チューブ若しくはコートにより形成してある。
【0018】
感光ドラム101上のトナー像は、この中間転写ローラ20と感光ドラム101との間(1次転写ニップN)に、転写バイアス電源61により適当な転写バイアスを印加することにより、中間転写ローラ20の表面上に転写される(1次転写)。
【0019】
1次転写が終了した感光ドラム101は、クリーニング装置14により表面に残留した1次転写残りのトナーが除去される。その後、2色目のシアントナー像(現像器42により現像)、3色目のイエロートナー像(現像器43)、4色目のブラックトナー像(現像器44)が同様な過程を経て感光ドラム101上に形成され、中間転写ローラ20上に重ね合わせて1次転写され、これにより中間転写ローラ20上に4色のトナー像の重ね合わせ像が形成される。中間転写ローラ20の感光ドラム101とは反対側の位置に、2次転写ローラ25が離接自在に設置されている。2次転写ローラ25は、芯金上に中抵抗の弾性層を設けてなっている。
【0020】
この2次転写ローラ25と中間転写ローラ20とのニップ間(2次転写ニップn)に、用紙カセット109からの用紙11が通紙される。バイアス電源を電源29から電源28に切換えて、中間転写ローラ20と2次転写ローラ25との間に適当な転写バイアスを印加することにより、中間転写上の4色のトナー像が一括して用紙11上に転写される(2次転写)。用紙11は、給紙カセット109から給紙ローラ110により搬送され、レジストローラ111及びその前後の給紙ガイド112により、上記2次転写ニップに供給される。
【0021】
2次転写が終了した中間転写ローラ20の表面に残留した2次転写残りのトナーは、中間転写ローラ20と感光ドラム101との間にバイアス電源62で1次転写時と逆極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム101上へ戻され、最終的にクリーニング装置14により回収される。
【0022】
4色のトナー像が転写された用紙11はガイド113を経て定着装置10に搬送され、定着ローラ1と加圧ローラ2との間の定着ニップを通過して、トナーの混色及び紙の繊維への定着がなされる。片面画像形成の場合は、このまま用紙11を排紙トレイへ排出する。両面画像形成の場合は、定着装置10を出た用紙11は、一旦別の紙パス方向Aへ送った後、スイッチバックをされて両面ユニット部Bへと運ばれる。そして、用紙11の1面目と反対側の2面目の画像形成時に、用紙11が上記の2次転写ニップnに到達し、用紙11の反対側の面に2次転写されつつ通過し、定着装置10を経て2面目の定着が終了した後、排紙トレイに排出される。
【0023】
本実施形態において、現像剤の非磁性トナーとしてシャープメルトトナーを使用した。更にいえば、このシャープメルトトナーは重合法で製造した重合トナーで、溶融粘度と分子量がトナーの母体樹脂よりも小さいワックス、パラフィン等の離型剤を内包している。このような重合法によるシャープメルトトナーを使用することにより、定着時に高いトナーの混色性を達成するとともに、トナーからの内包されたワックスの熱による滲み出しにより高い離型性が得られ、定着のオイルレス化を実現した。
【0024】
重合トナーはその製法上、形状が球形となる。重合トナーは、コア、その上の樹脂層及びその上の表層から構成されており、コアにはエステル系ワックスが内蔵され、樹脂層はスチレン−ブチルアクリレート樹脂からなり、表層はスチレン−ポリエステル樹脂からなっている。この重合トナーの比重は約1.05である。重合トナーが3層構造となっている理由は、コアにワックスを内包することにより、定着工程でのオフセット防止効果を得、樹脂層の表層を設けることにより、トナーの帯電効率の向上を図るためである。この重合トナーを使用するに際しては、摩擦帯電電荷の安定化のためにオイル処理したシリカを外添する。なお、本実施形態では重合法によるワックスを内包したトナーを用いたが、この製造方法に限定する必要はなく、熱を与えることによって離型剤が染み出すようなトナーであれば、何れのトナーでもよい。
【0025】
<定着装置の基本構成>
図2に、本実施形態における定着装置を示す。定着装置10は、上下に圧接した定着ローラ1と加圧ローラ2とを備えてなっており、定着ローラ1は基層となる鉄、アルミニウム等の芯金1a上に、耐熱シリコーンゴム層からなる弾性層1bと、FRP、PFA、PTFE等のフッ素樹脂からなる離型層1cとを設けた3層構造に構成されている。
【0026】
弾性層1bは厚み2〜3mm程度を用いるのがよい。弾性層は厚いほどゴムを変形させてニップ幅を取ることができるが、ゴム厚が厚くなると熱源が芯金内部にある構成では、表面と芯金界面との温度差が大きくなり、ゴムの劣化が起こりやすくなる。
【0027】
表層のPFAチューブの膜厚は10μm未満では均一なチューブの成型や被覆が難しくなるため、10μm以上が好ましく、50μm以上の膜厚では下層の弾性層のゴムに低硬度品を用いてもチューブ自体が硬く、表面の微小硬度が硬くなる弊害が起こるほか、表面微小硬度を下げるために低硬度ゴムを使用するとゴムの液状化や、ゴムの断絶といった耐久性に問題が生じる。このため、表層はPFAチューブは30μm以下にすることが好ましい。
【0028】
表層がフッ素樹脂コーティングの場合には、チューブに比べて表面の微小硬度が硬くなりにくい。このため弾性層の硬度を高めに設定し、ゴム硬度を上げて耐久性を上げたとしてもトナー潰れが起き難い傾向にある。又、フッ素樹脂コーティングの厚みは、薄くコートする場合はコートが割れる等の耐久性に問題が生じ、厚くコートする場合には表層膜厚の均一性に問題が生じるため、実際には1μm〜30μm程度でコートすることが望ましい。
【0029】
トナー潰れは紙上の転写されたトナーが定着器で加熱加圧されることによって、溶融されたトナーが広がり潰れる現象である。この現象は、紙表面に樹脂や塗料をコートしたコート紙では溶融したトナーが紙の繊維内に浸透することが不可能であるため、より顕著に起こる。更にコート紙で画像に光沢感を得るために、定着温度、加熱時間、圧力等の条件を高め、トナーを十分溶融して表面を平滑化するような定着条件で使用される場合には特に問題となる。又、トナー内部にワックスを内包し、定着ローラの表面にPFA等のフッ素樹脂を用いた定着装置の場合には、表層が硬くなりやすいのでトナー潰れが起き易い。
【0030】
このような文字、細線等の潰れを防ぐために、定着ローラ表面の硬度、特に表面の微小硬度を抑えることが有効的であることが判った。本発明らの検討では、高分子計器(株)製のマイクロ硬度計(MD−1)によってJIS−Aタイプ表面微小硬度を測定し、定着前の細線の幅と定着後の細線の幅を比較することでトナーの潰れ具合を測定した。図3はA2コート紙上の細線において、定着前の状態から定着後で何倍に線幅が増えたかをトナー潰れ率として測定した関係であり、約60°以下に抑えればトナー潰れが良化すると判断した。更に好ましくは55°以下で用いることが望ましい。
【0031】
定着ローラ1の芯金は中空の筒体に形成されており、その中空内にはハロゲンヒータ3が内蔵され、ハロゲンヒータ3が定着に必要な熱を供給する。ローラの温度制御は、定着ローラ1にサーミスタ(温度検知素子)4を接触配置し、温度変化にともなうサーミスタ4の抵抗値変化から定着ローラ1の温度を検知し、制御装置(図示せず)によりハロゲンヒータ3のON/OFFを制御し、定着ローラ1の温度を所定に維持する。
【0032】
加圧ローラ2は、芯金2a上にシリコーンゴムの弾性層2bを設け、その上にフッ素樹脂の離型層2cを設けてなっている。この加圧ローラ2は図示しない駆動機構と連動されている定着ローラ1との間にニップを形成しつつ回転することにより、従動回転される。
【0033】
加圧ローラ2のシリコーンゴム弾性層によってカラー画像における単色から4色重ねにわたるトナーの厚み変動(数〜数十μm)に追従でき、又、定着ローラ1に加圧ローラ2との間にニップを確保できるようにするために、LTV若しくはHTVのシリコーンゴムを用いて芯金1a上に形成している。弾性層は弾性が小さいと、トナー像の凹部の未定着やトナーの潰れによる画像の解像度の低下をもたらすので、適当な大きさの弾性を要する。
【0034】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、定着ローラ1に直径が40mm、厚み3mmのアルミニウム製芯金上に、弾性層としてJIS−A硬度で10°のシリコーンゴム層を2.5mmの厚みを設け、離型層としてPFA(パーフロロアルコキシ樹脂)の厚さが20μmのチューブ被覆を成型した。以上のような構成で、必要なニップ幅を得るために定着ローラ1への加圧ローラ2の圧接力(加圧力)は400Nとした。
【0035】
(実施例2、3)
実施例1と同様の定着ローラで、ゴム硬度と表層のPFAチューブの層圧が、表面微小硬度が60°以下となるような構成を用いた。
【0036】
(実施例4)
本実施例は、実施例1とほぼ同様の構成であるが、弾性層としてJIS−A硬度が28°のシリコーンゴムを2.5mm設け、離型層としてPTFEとPFAの樹脂を20μmコーティングしたものを用いた。チューブで被覆した離型層はフッ素樹脂の硬度が高いのに比べ、コーティングで被覆した離型層はゴムの柔軟性を反映して柔かく感じる。そのため、下層の弾性層を実施例1よりも硬い30°のものを用いた場合でも同じ圧接力(加圧力)400Nでほぼ同じニップ幅を得ることができた。
【0037】
(比較例1〜4)
比較例として、実施例1とほぼ同じ構成であるが離型層及び弾性層のゴム硬度等をさまざまに選び、表面の微小硬度が60°を超えるような組み合わせを選んだ。
【0038】
以上の各構成において、普通紙又はコート紙において小文字や細線を定着した場合のトナーの潰れ程度を下記表1にまとめる。表1の○×判断は、細線や微小文字の視認性から主観的に行った結果である。実施例及び比較例共に定着後のトナー潰れは、上質紙では問題ないレベルであったものの、コート紙では潰れ程度が悪化傾向にあり、比較例におけるトナー潰れは不良と判断した。
【0039】
【0040】
図4〜図6は、この実験で得られた4P文字の画像のサンプルである。図4は実施例及び比較例中でもっともトナー潰れが少なく、画像的に良好であった実施例2の画像である。図5は△で判断された比較例2の画像であるが、トナー潰れによって文字が潰れるために太っていることがわかる。図6は×で判断された比較例4の画像である。この画像ではトナー潰れによって文字が読めないレベルまで悪化しており、画像品位は問題ありと判断した。
【0041】
【発明の効果】
以上のような本発明によって、ワックス内包トナーと定着ローラにフッ素樹脂表層をもちオイルレス定着を行う画像形成装置の定着装置であって、記録紙にコート紙を用いて、光沢のある画像を出力する場合でも、細線や小ポイント文字のトナー潰れを防止し、画像品位を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の1実施形態おける全体構成を示す図。
【図2】本発明の定着装置を1例示す図。
【図3】A2コート紙上の細線において、定着前の状態から定着後で何倍に線幅が増えたかをトナー潰れ率として測定した図。
【図4】実施例2の4P文字の画像サンプル。
【図5】比較例2の4P文字の画像サンプル。
【図6】比較例4の4P文字の画像サンプル。
【符号の説明】
1:定着ローラ
1a:芯金
1b:弾性層
1c:離型層
2:加圧ローラ
2a:芯金
2b:弾性層
2c:離型層
3:ハロゲンヒータ
4:サーミスタ
10:定着装置
11:用紙
14:クリーニング装置
20:中間転写ローラ
25:2次転写ローラ
28、29:電源
41、42、43、44:現像器
61:転写バイアス電源
62:バイアス電源
101:感光ドラム
102:1次帯電器
103:露光
109:用紙カセット
110:給紙ローラ
111:レジストローラ
112:給紙ガイド
113:ガイド
A:紙パス方向
B:両面ユニット部
N:1次転写ニップ
n:2次転写ニップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に用いられる定着装置及び該定着装置を有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置における定着装置としては、所定の温度に維持された加熱ローラ(定着ローラ)と、弾性層を有して該加熱ローラに圧接する加圧ローラとによって記録材を挟持し搬送しつつ加熱する熱ローラ方式が多用されている。特にカラー画像を形成する定着装置においては、モノクロ画像に比べてシアン、マゼンタ、イエロー等のカラートナーを使用することが一般的である。
【0003】
カラートナーは混色性及びOHPの透過性を高めるために、モノクロトナーに比べ低融点、且つ低溶融粘度のシャープメルト性の材料で形成した非磁性トナーを用いており、用紙上に形成したカラートナーが定着手段の定着ローラ表面に融着する、いわゆるオフセットを発生しやすい傾向にある。このため定着ローラは、多色重ねの画像に対する追従性と定着性そのものの向上のために適度の弾性を備えることが必要であり、HTV(High Temperature Vulcanizing)ゴム等の弾性層上に、LTV(Low Temperature Vulcanizing)、RTV(Room Temperature Vulcanizing)等の離型性が高いシリコーンゴムで表面層を形成している。このシリコーンゴムは、シリコーンオイルと同種の材料であるため両者の親和性が高く、オイルがゴム表面だけでなく内部にも浸透して、高い離型性をもたらし、オフセット防止効果を発揮する。
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置のカラートナーの定着には以下のような問題があった。即ち、定着手段の定着ローラには直接オイルを塗布するが、定着ローラに圧接した下側の加圧ローラには、定着ローラからニップ(定着ニップ)を介して間接的にオイルが供給されるようにしているため、連続プリント時に加圧ローラにオイルを紙間でしか塗布できない。このため、加圧ローラのオイル塗布が途絶えがちになりやすく、加圧ローラのオフセット防止が不利なために、カラーDTPのための両面画像への対応が非常に困難であった。
【0005】
加圧ローラのオフセットを防止するためには、加圧ローラにもオイルを直接塗布すればよいが、そのための塗布機構を必要とすることから、装置が大型化及び複雑化するという問題がある。定着ローラに塗布するオイル量を多めにすることも考えられるが、用紙のオイル染みが発生しやすく、画像の品質や定着の信頼性等が低下する。又、定着ローラのオイルによる膨潤でローラ径の変化やゴムの剥れが生じやすくなり、これを防止するためにはオイルバリヤーの働きを持たせた中間層を必要とするなど、定着ローラの構成が複雑化し、コストアップする。通紙中に加圧ローラ表面にオイル付着量を確保できるように、加圧ローラへのクリーニングブレードの侵入量を小さくする等により、クリーニングブレードの当接圧をゆるく設定すると、今度はオイルの擦り抜けが起こりやすくなり、同様に、用紙へのオイル染みが発生する。又、表層のシリコーンゴム層に浸透しているシリコーンオイルが枯れたり、紙粉や異物等によってキズついてしまうと、本来の離型性能が失われトナーのオフセットや用紙の巻きつき等の不具合が生じてしまう。
【0006】
このような問題を解決するために特許文献1では、定着手段の定着ローラ等に離型剤オイルを塗布することなく、用紙に転写したカラートナーを良好に定着することを可能としている。
【0007】
即ち、離型性を有するワックスを内包させたタイプのトナーを用い、定着ローラは、剛性を有する基材上に弾性層を設け、その上にワックスを内包したトナーとの離型性が良いフッ素樹脂、例えば、FEP(フッ化エチレン共重合樹脂)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を表面に設けたローラ構成とすればよく、加圧ローラの弾性層の厚みや硬度を選択することによって加圧ローラを定着ローラに食い込ませることによって、従来のようにシリコーンオイルを塗布しないでも、離型性や分離性能を維持しつつ良好な定着を可能としている。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−148988号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した画像形成装置及び定着装置においても以下のような問題があった。即ち、ワックス内包トナーで用いられる定着ローラのフッ素樹脂表層は、オイルを塗布するタイプのゴム表層に比べて硬度が高く硬いため、記録紙上に多層に転写されているカラートナーに対して追従性が悪い。このことから、紙目が粗い紙等では繊維の奥にあるトナーと、繊維の表面付近にあるトナーとで加熱ムラが生じて微小な光沢ムラが発生しやすくなっていた。
【0010】
又、定着ニップ内では溶融したトナーが加圧するが、フッ素樹脂表層のように硬い表層ではトナーが伸ばされて潰されてしまう。特にトナー部をより溶かし、画像に光沢を出す場合において起こりやすく、記録紙がコート紙の場合には溶融トナーが紙繊維内に浸透しないために溶けたトナーの潰れがより顕著に発生する。トナーの潰れが起こると、細線の太りやにじみが発生したり、小ポイント文字が潰れて視認性が悪化するといった不具合が生じる。これらの問題は画像の光沢性、細線や小ポイント文字、コート紙等の使用を前提とした高画質機において、ワックストナーによって定着オイルを用いないオイルレス定着を行うための大きな課題となっていた。
【0011】
特開2001−305816公報では、4色のカラートナーの他に透明トナーを用いて上記のトナー潰れによる画像の粒状性悪化と光沢度(グロス)の両立を可能としているが、このように透明トナーを用いると専用の現像器やドラム等の画像形成部を必要とし、コストが大幅にアップしたり装置の大型化につながってしまう。その他記録紙上のトナーの載り量自体が増えるため、転写部や定着部での負荷が大きくなり、根本的な解決にはなっていなかった。
従って、本発明の目的は、ワックス内包トナーと定着ローラにフッ素樹脂表層をもち、オイルレス定着を行う画像形成装置において、記録紙にコート紙を用いて、光沢のある画像を出力する場合でも、細線や小ポイント文字のトナー潰れを防止し、画像品位を得ることが可能となる画像形成装置の定着装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、画像情報をもとに画像を形成する画像形成装置における、記録材上の未定着画像を狭圧搬送して該記録材上の未定着画像の加熱定着を行う定着装置であって、加熱源によって加熱される回転加熱部材と、該回転加熱部材に対して圧接して配置される加圧部材を備え、該未定着画像は熱を与えることによりワックス等の離型剤が染み出すトナーを用いて形成され、該回転加熱部材は少なくとも基層、弾性層及び表層からなる3層以上の構成を有し、弾性層の硬度がJIS−A硬度1°〜30°であり、及び表層がフッ素樹脂からなり、厚みが1〜30μmであることを特徴とした画像形成装置の定着装置(1)を提供する。
【0013】
又、本発明は、前記表面層の表面の微小硬度が60°以下である前記(1)の定着装置(2)、前記記録材が、上質紙又はコート紙である前記(1)の定着装置(3)、前記表面層の表面の微小硬度が60°以下である前記(3)の定着装置(4)、前記記録材が、上質紙又はコート紙である前記(4)の定着装置(5)、前記回転加熱部材の表層にチューブ成型されたフッ素樹脂を用いている前記(1)〜(5)の定着装置(6)、前記回転加熱部材は弾性層上にフッ素樹脂をコート成型した表層を用いている前記(1)〜(6)の定着装置(7)、前記弾性層上のフッ素樹脂が、プライマー等を介して弾性体上に直接フッ素樹脂をコート成型されている前記(7)の定着装置(8)、前記回転加熱部材と加圧部材の平均圧力が、3kgf/cm2以下に設定されている前記(1)〜(6)の定着装置(9)、及び前記(1)〜(9)の何れかの定着装置を有することを特徴とする画像形成装置(10)を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
<画像形成装置の基本構成>
図1に、本発明の定着装置を有するカラー画像形成装置の1実施例の全体構成を示す。本実施形態では、中間転写体を用いたカラー画像形成装置の例を示している。
【0015】
本実施形態において、カラー画像形成装置は、像担持体として矢印方向に所定の周速度で回転駆動される感光ドラム101を有し、この感光ドラム101の周囲に1次帯電器102等の画像形成手段が配置されている。感光ドラム101は、1次帯電器102により所定の極性の所定の表面電位に一様に帯電され、露光手段のレーザスキャナ(図示せず)からの画像の露光103により、感光ドラム101の表面上に1色目の、例えば、マゼンタ成分色の静電潜像が形成される。この潜像はマゼンタ現像器41により現像され、マゼンタトナー像として可視化される。
【0016】
現像方式は、現像剤として非磁性トナーを用いた1成分非接触方式であり、現像器41の現像スリーブと感光ドラム101との間に適当な現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ上の非磁性トナーが感光ドラム101に飛翔し、潜像に付着して現像する。
【0017】
中間転写体として中間転写ローラ20が、感光ドラム101に適度な圧力を持って当接配置されている。中間転写ローラ20は、シリンダ状の芯金上に中抵抗の電気抵抗(体積抵抗率が105〜1011Ωcm程度)を有する非発泡体或は発泡体の弾性層を設けてなっている。弾性層表面のトナーに対する離型性を向上させるために、弾性層の表面にトナーとの離型性が良好なPTFE等のフッ素樹脂若しくはシリコーンゴムの離型層を、チューブ若しくはコートにより形成してある。
【0018】
感光ドラム101上のトナー像は、この中間転写ローラ20と感光ドラム101との間(1次転写ニップN)に、転写バイアス電源61により適当な転写バイアスを印加することにより、中間転写ローラ20の表面上に転写される(1次転写)。
【0019】
1次転写が終了した感光ドラム101は、クリーニング装置14により表面に残留した1次転写残りのトナーが除去される。その後、2色目のシアントナー像(現像器42により現像)、3色目のイエロートナー像(現像器43)、4色目のブラックトナー像(現像器44)が同様な過程を経て感光ドラム101上に形成され、中間転写ローラ20上に重ね合わせて1次転写され、これにより中間転写ローラ20上に4色のトナー像の重ね合わせ像が形成される。中間転写ローラ20の感光ドラム101とは反対側の位置に、2次転写ローラ25が離接自在に設置されている。2次転写ローラ25は、芯金上に中抵抗の弾性層を設けてなっている。
【0020】
この2次転写ローラ25と中間転写ローラ20とのニップ間(2次転写ニップn)に、用紙カセット109からの用紙11が通紙される。バイアス電源を電源29から電源28に切換えて、中間転写ローラ20と2次転写ローラ25との間に適当な転写バイアスを印加することにより、中間転写上の4色のトナー像が一括して用紙11上に転写される(2次転写)。用紙11は、給紙カセット109から給紙ローラ110により搬送され、レジストローラ111及びその前後の給紙ガイド112により、上記2次転写ニップに供給される。
【0021】
2次転写が終了した中間転写ローラ20の表面に残留した2次転写残りのトナーは、中間転写ローラ20と感光ドラム101との間にバイアス電源62で1次転写時と逆極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム101上へ戻され、最終的にクリーニング装置14により回収される。
【0022】
4色のトナー像が転写された用紙11はガイド113を経て定着装置10に搬送され、定着ローラ1と加圧ローラ2との間の定着ニップを通過して、トナーの混色及び紙の繊維への定着がなされる。片面画像形成の場合は、このまま用紙11を排紙トレイへ排出する。両面画像形成の場合は、定着装置10を出た用紙11は、一旦別の紙パス方向Aへ送った後、スイッチバックをされて両面ユニット部Bへと運ばれる。そして、用紙11の1面目と反対側の2面目の画像形成時に、用紙11が上記の2次転写ニップnに到達し、用紙11の反対側の面に2次転写されつつ通過し、定着装置10を経て2面目の定着が終了した後、排紙トレイに排出される。
【0023】
本実施形態において、現像剤の非磁性トナーとしてシャープメルトトナーを使用した。更にいえば、このシャープメルトトナーは重合法で製造した重合トナーで、溶融粘度と分子量がトナーの母体樹脂よりも小さいワックス、パラフィン等の離型剤を内包している。このような重合法によるシャープメルトトナーを使用することにより、定着時に高いトナーの混色性を達成するとともに、トナーからの内包されたワックスの熱による滲み出しにより高い離型性が得られ、定着のオイルレス化を実現した。
【0024】
重合トナーはその製法上、形状が球形となる。重合トナーは、コア、その上の樹脂層及びその上の表層から構成されており、コアにはエステル系ワックスが内蔵され、樹脂層はスチレン−ブチルアクリレート樹脂からなり、表層はスチレン−ポリエステル樹脂からなっている。この重合トナーの比重は約1.05である。重合トナーが3層構造となっている理由は、コアにワックスを内包することにより、定着工程でのオフセット防止効果を得、樹脂層の表層を設けることにより、トナーの帯電効率の向上を図るためである。この重合トナーを使用するに際しては、摩擦帯電電荷の安定化のためにオイル処理したシリカを外添する。なお、本実施形態では重合法によるワックスを内包したトナーを用いたが、この製造方法に限定する必要はなく、熱を与えることによって離型剤が染み出すようなトナーであれば、何れのトナーでもよい。
【0025】
<定着装置の基本構成>
図2に、本実施形態における定着装置を示す。定着装置10は、上下に圧接した定着ローラ1と加圧ローラ2とを備えてなっており、定着ローラ1は基層となる鉄、アルミニウム等の芯金1a上に、耐熱シリコーンゴム層からなる弾性層1bと、FRP、PFA、PTFE等のフッ素樹脂からなる離型層1cとを設けた3層構造に構成されている。
【0026】
弾性層1bは厚み2〜3mm程度を用いるのがよい。弾性層は厚いほどゴムを変形させてニップ幅を取ることができるが、ゴム厚が厚くなると熱源が芯金内部にある構成では、表面と芯金界面との温度差が大きくなり、ゴムの劣化が起こりやすくなる。
【0027】
表層のPFAチューブの膜厚は10μm未満では均一なチューブの成型や被覆が難しくなるため、10μm以上が好ましく、50μm以上の膜厚では下層の弾性層のゴムに低硬度品を用いてもチューブ自体が硬く、表面の微小硬度が硬くなる弊害が起こるほか、表面微小硬度を下げるために低硬度ゴムを使用するとゴムの液状化や、ゴムの断絶といった耐久性に問題が生じる。このため、表層はPFAチューブは30μm以下にすることが好ましい。
【0028】
表層がフッ素樹脂コーティングの場合には、チューブに比べて表面の微小硬度が硬くなりにくい。このため弾性層の硬度を高めに設定し、ゴム硬度を上げて耐久性を上げたとしてもトナー潰れが起き難い傾向にある。又、フッ素樹脂コーティングの厚みは、薄くコートする場合はコートが割れる等の耐久性に問題が生じ、厚くコートする場合には表層膜厚の均一性に問題が生じるため、実際には1μm〜30μm程度でコートすることが望ましい。
【0029】
トナー潰れは紙上の転写されたトナーが定着器で加熱加圧されることによって、溶融されたトナーが広がり潰れる現象である。この現象は、紙表面に樹脂や塗料をコートしたコート紙では溶融したトナーが紙の繊維内に浸透することが不可能であるため、より顕著に起こる。更にコート紙で画像に光沢感を得るために、定着温度、加熱時間、圧力等の条件を高め、トナーを十分溶融して表面を平滑化するような定着条件で使用される場合には特に問題となる。又、トナー内部にワックスを内包し、定着ローラの表面にPFA等のフッ素樹脂を用いた定着装置の場合には、表層が硬くなりやすいのでトナー潰れが起き易い。
【0030】
このような文字、細線等の潰れを防ぐために、定着ローラ表面の硬度、特に表面の微小硬度を抑えることが有効的であることが判った。本発明らの検討では、高分子計器(株)製のマイクロ硬度計(MD−1)によってJIS−Aタイプ表面微小硬度を測定し、定着前の細線の幅と定着後の細線の幅を比較することでトナーの潰れ具合を測定した。図3はA2コート紙上の細線において、定着前の状態から定着後で何倍に線幅が増えたかをトナー潰れ率として測定した関係であり、約60°以下に抑えればトナー潰れが良化すると判断した。更に好ましくは55°以下で用いることが望ましい。
【0031】
定着ローラ1の芯金は中空の筒体に形成されており、その中空内にはハロゲンヒータ3が内蔵され、ハロゲンヒータ3が定着に必要な熱を供給する。ローラの温度制御は、定着ローラ1にサーミスタ(温度検知素子)4を接触配置し、温度変化にともなうサーミスタ4の抵抗値変化から定着ローラ1の温度を検知し、制御装置(図示せず)によりハロゲンヒータ3のON/OFFを制御し、定着ローラ1の温度を所定に維持する。
【0032】
加圧ローラ2は、芯金2a上にシリコーンゴムの弾性層2bを設け、その上にフッ素樹脂の離型層2cを設けてなっている。この加圧ローラ2は図示しない駆動機構と連動されている定着ローラ1との間にニップを形成しつつ回転することにより、従動回転される。
【0033】
加圧ローラ2のシリコーンゴム弾性層によってカラー画像における単色から4色重ねにわたるトナーの厚み変動(数〜数十μm)に追従でき、又、定着ローラ1に加圧ローラ2との間にニップを確保できるようにするために、LTV若しくはHTVのシリコーンゴムを用いて芯金1a上に形成している。弾性層は弾性が小さいと、トナー像の凹部の未定着やトナーの潰れによる画像の解像度の低下をもたらすので、適当な大きさの弾性を要する。
【0034】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、定着ローラ1に直径が40mm、厚み3mmのアルミニウム製芯金上に、弾性層としてJIS−A硬度で10°のシリコーンゴム層を2.5mmの厚みを設け、離型層としてPFA(パーフロロアルコキシ樹脂)の厚さが20μmのチューブ被覆を成型した。以上のような構成で、必要なニップ幅を得るために定着ローラ1への加圧ローラ2の圧接力(加圧力)は400Nとした。
【0035】
(実施例2、3)
実施例1と同様の定着ローラで、ゴム硬度と表層のPFAチューブの層圧が、表面微小硬度が60°以下となるような構成を用いた。
【0036】
(実施例4)
本実施例は、実施例1とほぼ同様の構成であるが、弾性層としてJIS−A硬度が28°のシリコーンゴムを2.5mm設け、離型層としてPTFEとPFAの樹脂を20μmコーティングしたものを用いた。チューブで被覆した離型層はフッ素樹脂の硬度が高いのに比べ、コーティングで被覆した離型層はゴムの柔軟性を反映して柔かく感じる。そのため、下層の弾性層を実施例1よりも硬い30°のものを用いた場合でも同じ圧接力(加圧力)400Nでほぼ同じニップ幅を得ることができた。
【0037】
(比較例1〜4)
比較例として、実施例1とほぼ同じ構成であるが離型層及び弾性層のゴム硬度等をさまざまに選び、表面の微小硬度が60°を超えるような組み合わせを選んだ。
【0038】
以上の各構成において、普通紙又はコート紙において小文字や細線を定着した場合のトナーの潰れ程度を下記表1にまとめる。表1の○×判断は、細線や微小文字の視認性から主観的に行った結果である。実施例及び比較例共に定着後のトナー潰れは、上質紙では問題ないレベルであったものの、コート紙では潰れ程度が悪化傾向にあり、比較例におけるトナー潰れは不良と判断した。
【0039】
【0040】
図4〜図6は、この実験で得られた4P文字の画像のサンプルである。図4は実施例及び比較例中でもっともトナー潰れが少なく、画像的に良好であった実施例2の画像である。図5は△で判断された比較例2の画像であるが、トナー潰れによって文字が潰れるために太っていることがわかる。図6は×で判断された比較例4の画像である。この画像ではトナー潰れによって文字が読めないレベルまで悪化しており、画像品位は問題ありと判断した。
【0041】
【発明の効果】
以上のような本発明によって、ワックス内包トナーと定着ローラにフッ素樹脂表層をもちオイルレス定着を行う画像形成装置の定着装置であって、記録紙にコート紙を用いて、光沢のある画像を出力する場合でも、細線や小ポイント文字のトナー潰れを防止し、画像品位を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の1実施形態おける全体構成を示す図。
【図2】本発明の定着装置を1例示す図。
【図3】A2コート紙上の細線において、定着前の状態から定着後で何倍に線幅が増えたかをトナー潰れ率として測定した図。
【図4】実施例2の4P文字の画像サンプル。
【図5】比較例2の4P文字の画像サンプル。
【図6】比較例4の4P文字の画像サンプル。
【符号の説明】
1:定着ローラ
1a:芯金
1b:弾性層
1c:離型層
2:加圧ローラ
2a:芯金
2b:弾性層
2c:離型層
3:ハロゲンヒータ
4:サーミスタ
10:定着装置
11:用紙
14:クリーニング装置
20:中間転写ローラ
25:2次転写ローラ
28、29:電源
41、42、43、44:現像器
61:転写バイアス電源
62:バイアス電源
101:感光ドラム
102:1次帯電器
103:露光
109:用紙カセット
110:給紙ローラ
111:レジストローラ
112:給紙ガイド
113:ガイド
A:紙パス方向
B:両面ユニット部
N:1次転写ニップ
n:2次転写ニップ
Claims (1)
- 画像情報をもとに画像を形成する画像形成装置における、記録材上の未定着画像を狭圧搬送して該記録材上の未定着画像の加熱定着を行う定着装置であって、加熱源によって加熱される回転加熱部材(定着ローラ)と、該回転加熱部材に対して圧接して配置される加圧部材(加圧ローラ)を備え、該未定着画像は熱を与えることによりワックス等の離型剤が染み出すトナーを用いて形成され、該回転加熱部材は少なくとも基層、弾性層及び表層からなる3層以上の構成を有し、弾性層の硬度がJIS−A硬度1°〜30°であり、及び表層がフッ素樹脂からなり、厚みが1〜30μmであることを特徴とした画像形成装置の定着装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003052693A JP2004264393A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 画像形成装置の定着装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003052693A JP2004264393A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 画像形成装置の定着装置 |
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JP2003052693A Pending JP2004264393A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 画像形成装置の定着装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004264393A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008126870A1 (ja) * | 2007-04-09 | 2008-10-23 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | フッ素樹脂被覆ローラ及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003052693A patent/JP2004264393A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008126870A1 (ja) * | 2007-04-09 | 2008-10-23 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | フッ素樹脂被覆ローラ及びその製造方法 |
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