JP5406780B2 - オルガノポリシロキサン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
これに対し、化粧品用途に用いられる基剤には、固体状態でベタつきがなく感触が良好であること、及びエタノールに均一に溶解することが必要である場合が多い。
オルガノポリシロキサンのセグメントの末端及び/又は側鎖に、下記一般式(1)で表される繰返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)のセグメントが結合してなるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法であって、
(a)下記一般式(I)で表される環状イミノエーテル化合物を開環重合して、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)を調製する工程、
(b)前記工程(a)で得られた末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)100gに対して、分子鎖の末端及び/又は側鎖にアミノ基を有する変性オルガノポリシロキサンを30g/分以上の速度で添加して反応させる工程
を含む、オルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
本発明の製造方法によって得られるオルガノポリシロキサン化合物は、オルガノポリシロキサンのセグメントの末端及び/又は側鎖に、下記一般式(1)で表される繰返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)のセグメントが結合してなる。
R1で表されるアラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜14のアラルキル基がより好ましく、炭素数7〜10のアラルキル基が更に好ましい。具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等が挙げられる。なお、芳香環上には、低級アルキル基が導入されていてもよい。
R1で表されるアリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、炭素数6〜9のアリール基が更に好ましい。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1としては、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
R2としては、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。また、R3及びR4が炭素数1〜22のアルキル基又はフェニル基を表す場合も炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
上記式(i)〜(vi)中、X-は4級アンモニウム塩の対イオンを表し、具体例としては、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン、1/2硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン等が挙げられる。
本発明に係るオルガノポリシロキサン化合物は、分子鎖の末端及び/又は側鎖にアミノ基を有する変性オルガノポリシロキサンと、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)とを反応させて製造される。
本発明の方法は、下記工程(a)及び(b)を含む。
(a)下記一般式(I)で表される環状イミノエーテル化合物を開環重合して、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)を調製する工程。
(b)前記工程(a)で得られた末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)100gに対して、変性オルガノポリシロキサンを30g/分以上の速度で添加して反応させる工程。
工程(a)では、前記一般式(I)で表される環状イミノエーテル化合物を開環重合(リビング重合)して、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)を調製する。
前記一般式(I)におけるR1及びnは前記一般式(1)におけるR1及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
環状イミノエーテル化合物の開環重合には重合溶媒を使用することができ、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒を使用することができ、中でも酢酸エステル類が好適に使用される。
脱水時間を短縮する観点から、脱水温度は、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下で行う。操作の効率性の観点から、脱水温度を5℃以上とすることが好ましい。
脱水剤は、環状イミノエーテル化合物溶液中に直接添加し撹拌後、脱水剤を除去してもよいが、操作性の観点から、脱水剤を充填したカラムに、上記環状イミノエーテル化合物溶液を通過させて脱水乾燥処理することが好ましい。また、環状イミノエーテル化合物溶液中の環状イミノエーテル化合物の濃度は、脱水時間を短縮する観点から、好ましくは33〜66質量%、より好ましくは50〜60質量%である。
重合温度は、好ましくは40〜150℃、より好ましくは60〜120℃、更に好ましくは70〜110℃、より更に好ましくは75〜100℃である。重合温度は、得られる重合体の分子量を制御する観点から、開始剤を添加した後に上記範囲にすることが好ましい。
重合時間は、重合温度等の反応条件により一様ではないが、通常1〜60時間であり、好ましくは2〜50時間であり、より好ましくは3〜30時間であり、更に好ましくは5〜15時間である。
一つの好ましい実施態様において、得られる重合体の分子量を制御する観点から、次の工程(b)の前に、前記末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)溶液を冷却することが好ましい。末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)溶液は、好ましくは70℃以下、より好ましくは10〜65℃、更に好ましくは20〜60℃まで冷却されることが好ましい。
工程(b)では、前記工程(a)で得られた末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)100gに対して、分子鎖の末端及び/又は側鎖にアミノ基を有する変性オルガノポリシロキサンを30g/分以上の速度で添加して反応させる。
前記の変性オルガノポリシロキサンの添加速度は、得られる生成物の構造の均一性を向上させる観点から、前記の末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)100gに対して、30g/分以上であり、好ましくは35g/分以上であり、より好ましくは50g/分以上である。前記の添加速度の上限は、特に限定されないが、製造設備の能力の観点から、好ましくは260g/分以下である。上記の範囲に添加速度を設定することで、先に添加した変性オルガノポリシロキサンからの生成物と、後から添加した変性オルガノポリシロキサンからの生成物との構造の均一性が高まり、得られる生成物の物性を向上させることができる。
前記変性オルガノポリシロキサンは、特に限定されないが、好ましい具体例としては、下記一般式(II)で表される変性オルガノポリシロキサンである。
上記式(vii)〜(xi)のいずれかで表される置換基のうち、上記式(vii)又は(viii)で表される基が好ましい。
そのため、変性オルガノポリシロキサン溶液中の水分濃度は、脱水乾燥処理により制御される。当該水分濃度は、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)の活性を維持する観点から、好ましく100mg/kg以下、より好ましくは90mg/kg以下、更に好ましくは60mg/kg以下であることが好ましい。一方、操作の効率性の観点から、好ましくは3mg/kg以上、より好ましくは5mg/kg以上、更に好ましくは10mg/kg以上である。
末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)溶液と変性オルガノポリシロキサン溶液との反応温度は、好ましくは40〜150℃、より好ましくは60〜120℃、更に好ましくは70〜110℃、より更に好ましくは75〜100℃である。反応温度は、得られる生成物の分子量を制御する観点から、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)と変性オルガノポリシロキサン溶液とを混合した後に上記範囲にすることが好ましい。
反応時間は重合温度等の反応条件により一様ではないが、通常1〜60時間であり、好ましくは3〜30時間であり、より好ましくは5〜15時間である。
本発明では、必要に応じて、得られる反応液から溶媒を除去することが好ましい。反応液からの溶媒の除去は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃の条件下で行うことができる。
一つの好ましい実施態様において、生産効率の観点から、特開平10−279690号公報に記載の二軸スクリューを有する脱溶媒機を用いて溶媒除去をすることができる。この脱溶媒機は、槽底より二軸のスクリュー上端までの空間を有効容積として有し、この有効容積の上部には、原料供給口から乾燥物排出口にかけて一様な空間が蒸発室として存在し、蒸発室の天井部には、減圧ラインにつながる脱気孔が設けられる。
溶媒除去は、得られる変性オルガノポリシロキサンの着色を抑制する観点から、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
また、本発明の方法により得られるオルガノポリシロキサン化合物は、エタノールに均一に溶解することができる。エタノールへの溶解性は、オルガノポリシロキサン化合物をエタノールに溶解させたときの透過率から判断できる。透過率は、例えば、UV−可視分光光度計を用いて測定することができる。本発明において、透過率は、85〜100%が好ましい。
以下の実施例及び比較例において、オルガノポリシロキサンセグメントの質量比とは核磁気共鳴法(1H−NMR)から求めた値であり、また最終生成物の重量平均分子量は、計算値である。ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)の分子量は、下記の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)より求めた数平均分子量である。
カラム:K−804L + K−804L(いずれも商品名、昭和電工(株)社製)
溶離液:1mmol/L ファーミンDM20(商品名、花王(株)製)/クロロホルム
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折率計
サンプル:5mg/mL,100μL
標準ポリスチレン換算
溶液中の水分濃度は、下記装置を用いて測定した。なお、環状イミノエーテル化合物溶液及び変性オルガノポリシロキサン溶液中の水分濃度は実測値であり、変性オルガノポリシロキサン溶液と末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)溶液との反応混合液中の水分濃度は、仕込み量からの計算値である。
装置:カールフィーシャー水分測定装置(商品名:CA−06、三菱化成(株)製)
陰極側試薬:アクアミクロンCK(商品名、三菱化成(株)製)
陽極側試薬:アクアミクロンAU(商品名、三菱化学(株)製):アクアミクロンCM(商品名、三菱化成(株)製)=20:80(容量%)
エタノールへの溶解性は、透過率から判断した。測定条件は以下の通りである。
装置:UV−可視分光光度計(商品名:UV−2550、島津製作所製)
セル:石英セル
光路長:10mm
波長:650nm
サンプル:2質量%エタノール溶液
ベタつきの度合いはタック性から判断した。測定条件は以下の通りである。
装置:タック性試験機(商品名:LT25A−500、(株)レスカ製)
圧子:直径5mmSUS性円形圧子
押し込み速度:120mm/分
Preload:200gf(1.96133N)
Press Time:1.0秒
引き上げ速度:600mm/分
サンプル厚み:5mm
測定温度:25℃
2−エチル−2−オキサゾリン12.9g(0.13モル)と酢酸エチル27.7gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(商品名:ゼオラムA−4、東ソー(株)製)2.0gで28℃15時間脱水を行った。脱水後の混合液中の水分濃度は100mg/kgであった。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(商品名:KF−8015、信越シリコーン(株)製、重量平均分子量10万、アミン当量2万)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで28℃15時間脱水を行った。脱水後の混合液中の水分濃度は68mg/kgであった。
上記の脱水2−エチル−2−オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.62g(0.004モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)溶液を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は3400であった。
この溶液を60℃まで冷却後、得られた溶液中の末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)100gに対して、上記の脱水したシリコーン溶液中のシリコーンの添加速度が155g/分(添加時間:5分)となるように加え、10時間80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(108g、収率95%)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.88、重量平均分子量は11.4万であった。
2−エチル−2−オキサゾリン12.9g(0.13モル)と酢酸エチル27.7gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(商品名:ゼオラムA−4、東ソー(株)製)2.0gで28℃15時間脱水を行った。脱水後の混合液中の水分濃度は70mg/kgであった。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(商品名:KF−8015、信越シリコーン(株)製、重量平均分子量10万、アミン当量2万)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで28℃、15時間脱水を行った。脱水後の混合液中の水分濃度は55mg/kgであった。
上記の脱水2−エチル−2−オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.62g(0.004モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)溶液を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は3400であった。
この溶液を60℃まで冷却後、得られた溶液中の末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)100gに対して、上記の脱水したシリコーン溶液中のシリコーンの添加速度が52g/分(添加時間:15分)となるように加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(107g、収率94%)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.87、重量平均分子量は11.5万であった。
2−エチル−2−オキサゾリン12.9g(0.13モル)と酢酸エチル27.7gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(商品名:ゼオラムA−4、東ソー(株)製)1.0gで28℃15時間脱水を行った。脱水後の混合液中の水分濃度は78mg/kgであった。
側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(商品名:KF−8015、信越シリコーン(株)製、重量平均分子量10万、アミン当量2万)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで28℃15時間脱水を行った。脱水後の混合液中の水分濃度は40mg/kgであった。
上記の脱水2−エチル−2−オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.62g(0.004モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)溶液を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は3500であった。
この溶液を30℃まで冷却後、得られた末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)100gに対して、上記の脱水したシリコーン溶液中のシリコーンの添加速度が26g/分(添加時間:30分)となるように加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(107g、収率94%)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.88、重量平均分子量は11.4万であった。
Claims (2)
- オルガノポリシロキサンのセグメントの末端及び/又は側鎖に、下記一般式(1)で表される繰返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)のセグメントが結合してなるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法であって、
(a)下記一般式(I)で表される環状イミノエーテル化合物を開環重合して、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)を調製する工程、
(b)前記工程(a)で得られた末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)100gに対して、分子鎖の末端及び/又は側鎖にアミノ基を有する変性オルガノポリシロキサンを30g/分以上、260g/分以下の速度で添加して反応させる工程
を含む、オルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
- 前記工程(b)において、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)と変性オルガノポリシロキサンとを、40〜150℃で反応させる、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
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