JP5405527B2 - 薬理薬物の新規製剤、その製造法及びその使用法 - Google Patents

薬理薬物の新規製剤、その製造法及びその使用法 Download PDF

Info

Publication number
JP5405527B2
JP5405527B2 JP2011132758A JP2011132758A JP5405527B2 JP 5405527 B2 JP5405527 B2 JP 5405527B2 JP 2011132758 A JP2011132758 A JP 2011132758A JP 2011132758 A JP2011132758 A JP 2011132758A JP 5405527 B2 JP5405527 B2 JP 5405527B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formulation
paclitaxel
taxol
capxol
nanoparticles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2011132758A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011219482A (ja
Inventor
デサイ、ネイル、ピー
− シオン、パトリック ソーン
マグダッシ、シュロモ
サハデバン、デビッド、シー
Original Assignee
アブラクシス バイオサイエンス、エルエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US08/926,155 external-priority patent/US6096331A/en
Application filed by アブラクシス バイオサイエンス、エルエルシー filed Critical アブラクシス バイオサイエンス、エルエルシー
Publication of JP2011219482A publication Critical patent/JP2011219482A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5405527B2 publication Critical patent/JP5405527B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/48Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
    • A61K9/50Microcapsules having a gas, liquid or semi-solid filling; Solid microparticles or pellets surrounded by a distinct coating layer, e.g. coated microspheres, coated drug crystals
    • A61K9/51Nanocapsules; Nanoparticles
    • A61K9/5107Excipients; Inactive ingredients
    • A61K9/513Organic macromolecular compounds; Dendrimers
    • A61K9/5169Proteins, e.g. albumin, gelatin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/335Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
    • A61K31/337Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having four-membered rings, e.g. taxol
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/14Particulate form, e.g. powders, Processes for size reducing of pure drugs or the resulting products, Pure drug nanoparticles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/48Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
    • A61K9/50Microcapsules having a gas, liquid or semi-solid filling; Solid microparticles or pellets surrounded by a distinct coating layer, e.g. coated microspheres, coated drug crystals
    • A61K9/51Nanocapsules; Nanoparticles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/48Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
    • A61K9/50Microcapsules having a gas, liquid or semi-solid filling; Solid microparticles or pellets surrounded by a distinct coating layer, e.g. coated microspheres, coated drug crystals
    • A61K9/51Nanocapsules; Nanoparticles
    • A61K9/5192Processes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • A61P11/06Antiasthmatics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/02Drugs for skeletal disorders for joint disorders, e.g. arthritis, arthrosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P27/00Drugs for disorders of the senses
    • A61P27/02Ophthalmic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/06Immunosuppressants, e.g. drugs for graft rejection
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y5/00Nanobiotechnology or nanomedicine, e.g. protein engineering or drug delivery

Description

本発明は、薬理学的に活性な薬剤を静脈内投与するための微粒子状ビヒクルの製造方法、並びに、それにより製造される新規な組成物に関する。特に、本発明は、実質上水に不溶の薬理学的に活性な薬剤(例えば、抗癌薬のタキソール(登録商標))のin vivoデリバリーの方法に関する。また、本発明の他面では、水不溶の薬理学的に活性な薬剤を含む分散性コロイドシステムが提供される。この懸濁粒子は100%活性な薬剤で形成されていても良く、または、生物適合性のポリマーで調合されたポリマー殻中に入っていても良く、一般的には、約1ミクロン未満の直径を有している。
本発明のコロイドシステムは、従来の界面活性剤やポリマー核マトリックスを使用せずに調製できる。この発明の好ましい一面として、殺菌−ろ過可能な極めて小さな粒子を調製する方法が提供される。
前記したポリマー殻には薬理学的に活性な薬剤の粒子及び、任意的に、生体適合性の分散剤が含まれており、その中に薬理学的に活性な薬剤が溶解又は懸濁されている。かくして、本発明は、液体型又は再分散性粉体型のドラッグデリバリーシステムを提供する。どちらかの形態で、直ちにバイオアベイラブルな薬剤分子(すなわち、分子的に蛋白質に結合した薬剤分子)及び蛋白質で被覆された純粋な薬剤粒子の両方が提供される。
本発明はまた、抗癌剤パクリタキセルなどの薬剤の医薬組成物(製剤)の使用法及び製造方法に関する。一面では、Capxolとして知られるパクリタキセル製剤は、商業的に利用可能なパクリタキセル製剤のタキソール(商標)よりも著しく低毒性であり、かつ、効力が強い。他面では、新規製剤 Capxolは、非経口投与後、ある種の組織に局在するので、このような組織が関係する癌の治療効果を高めている。
静脈内ドラッグデリバリーにより、血流との急速かつ直接的な平衡が達成でき、身体の他の部分への投薬が可能である。血管内注射後、短時間で達成されるピーク血清レベルを避けるのに、安定なキャリャー内に存在し運ばれる薬物を投与すると、治療用ナノ粒子の単回静脈注射に引き続いて、血管内での薬物の徐放が可能となる。
注射可能で制御された放出ができるナノ粒子により、単回注射で数日から数週間及び数か月の範囲にわたる作用持続時間を、あらかじめプログラム化できる。
また、それらは従来法で投与される薬物よりも、投薬計画に対する自動的かつ確実な患者コンプライアンス、並びに特異的組織又は器官への薬物照準を含む、非常に多くの利点をもたらしている(Tice及び Gilley, 非特許文献1)。
血中に存在する微小粒子及び異物は、一般的には、“血液ろ過器官”、すなわち脾臓、肺及び肝臓などにより循環系から除去される。正常な全血中に含まれる粒子状物体には、赤血球(典型的には直径8ミクロン)、白血球(典型的には直径6〜8ミクロン)及び血小板(典型的には、直径1〜3ミクロン)がある。ほとんどの器官と組織における微小循環では、これら血球は自由通航が可能である。10〜15ミクロンより大きいミクロトロンビ(血液凝固物)が循環系に存在すると、梗塞症または毛細血管封鎖の危険が生じ、虚血または器官喪失につながり、組織の死の可能性も引き起こされる。そのため、直径が10〜15ミクロンより大きい粒子の循環系への注射は避けなければならない。一方、7〜8ミクロンより小さい粒子の懸濁物は相対的に安全で、リポソーム及び乳化物、栄養剤、及び造影用途でのコントラスト媒体の形で、薬理学的に活性な薬剤のデリバリーに使用されている。
粒子サイズ及びデリバリーモードが、それら粒子の生物学的挙動を決定する。Strand らは粒子の運命がそれらのサイズに依存することを述べている(微小球体−バイオメディカルへの応用, 非特許文献2)。数ナノメータ(nm)〜100nmの粒度範囲にある粒子は、静脈注射に引き続いて、リンパ毛細管に入り込み、リンパ腺内で食作用が起こる。2ミクロンより小さい粒子は静脈内/動脈内注射後、単核どん食細胞系(MPS)として知られる細網内皮系(RES)により、急速に血流から除去される。約7ミクロンより大きい粒子は、静脈内注射後、肺毛細血管で捕獲される。動脈内注射後、粒子は到達した最初の毛細管床で捕獲される。吸い込まれた粒子は肺胞マクロファージにより捕獲される。
水不溶または水への溶解性に乏しく、かつ、胃での酸性環境に敏感な医薬は、従来法(例えば、静脈注射又は経口投与)では投与することができない。このような医薬の非経口的投与は、油に溶解した薬物を、安定なミクロエマルジョンを精製させる界面活性剤または乳化安定剤の存在下、水性液体(生理食塩水など)に乳化することで達成されている。乳化物の成分が薬理学的に不活性である時、これら乳化物は静脈注射が可能である。特許文献1には、水不溶性の薬理学的に活性な薬剤を油に溶解し、卵りん脂質、プルロニックス(ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの共重合体)、ポリグリセロールオレエートなどの界面活性剤の存在下、水に乳化させ、投与する方法が述べられている。特許文献2には、ジミリストイルホスファチジルコリンなどのりん脂質で被覆され、皮内又は静脈注射に適した寸法を持つ麻酔薬微小滴が述べられている。
水不溶性の薬物例として、Waniらにより太平洋イチイ(Taxus brevifolia)の木から最初に単離された天然物、タキソール(登録商標)(非特許文献3)がある。多くの抗腫瘍薬中、ジテルペン炭素骨格を有するタキソールが、有糸分裂紡錘体の生成原因となる微小管蛋白質に対して独特の作用モードを示す。
チューブリンの構築を防止するビンブラスチンまたはコルヒチンなどの他の細胞分裂阻止性薬とは対照的に、タキソールはチューブリンの解重合を阻害し、それにより細胞複製過程を妨げることが知られている唯一の植物生成物である。
自然界で得られるジテルペノイドのタキソールは、薬物耐性卵巣癌において、顕著な抗腫瘍作用と制癌作用効果を示している。タキソールは、B16メラノーマ、L1210白血病、MX−1乳房腫瘍及びCS−1結腸腫よう異種移植片などの多様の腫瘍モデルに対しめざましい抗腫よう活性を示している。最近の新聞発表で、タキソールは新しい抗腫瘍性を持つ不思議な薬として報道されている。確かに、タキソールは最近、卵巣癌の治療用としてFDAの認可を受けたが、タキソールの乏しい水溶性は、ヒトへの投与に対して問題を提起している。元来、水性媒体に不溶又は難溶の薬物のデリバリーは、経口デリバリーが有効でない場合には著しく損なわれる。それゆえ、現在使用されているタキソール製剤は、その薬物を可溶化するためのクレマホァ(cremaphore)を必要としており、またヒトへの臨床での投薬量範囲は200〜500mgとなっている。この投薬用量がエタノール:クレマホァの1:1溶液に溶解され、生理食塩水で約300〜1000mlの静脈注射可能な流体に希釈される。現在使用されているクレマホァはポリエトキシル化ヒマシ油である。この製剤中にクレマホァが存在することが、動物内(Lorenzら、非特許文献4)及びヒト(Weissら, 非特許文献5)における厳しい過敏反応につながっており、結果として、コルチコステロイド(デキサメタソン)と抗ヒスタミン薬の患者への前投与が必要となっている。また、高希釈の結果、注入が大容量(典型的には投与用量は175mg/m,又は最高1リットル)になり、注入時間も3時間から24時間の範囲になっている。そのため、代わりの、より毒性の低いパクリタキセル製剤が必要とされている。
フェーズIの臨床試験では、タキソール(登録商標)そのものは過度の毒性効果を示さなかったが、厳しいアレルギー性反応が薬物を可溶化するのに用いた乳化剤により引き起こされている。クレマホァによるアレルギー性の副作用を減少させるため、最新の投薬計画では、注入前に患者に対して抗ヒスタミン剤とステロイドによる処置がなされる。
タキソールの水溶性を改善する努力のなかで、何人かの研究者らは、水溶性を高める官能基でその化学構造を修飾することを行っている。それらの中にかなりの生物学的活性を示すスルホン化誘導体(kingstonら、特許文献3(1991))、及びアミノ酸エステル誘導体(Mathewら、非特許文献6)がある。水溶性誘導体を生成させる修飾は、標準食塩水などの無害キャリャーに溶解されたタキソールの静脈内デリバリーを容易にする。しかしながら、このような修飾は薬物合成コストを引き上げ、また、好ましくない副反応及び/又はアレルギー反応を誘発する可能性もあり、及び/又はその薬物の効能を減少させる可能性もある。
薬理学用又は診断用薬物のキャリャーとしての蛋白質ミクロスフェアがいくつかの文献で報告されてきている。アルブミンのミクロスフェアは熱変性又は化学架橋のいずれかで調製される。熱変性ミクロスフェアは乳化混合物(例えば、アルブミン、取り込まれる薬物、及び適当なオイル)を、100℃から150℃の間の温度に加熱することで調製され、次いで、このミクロスフェアを適当な溶媒で洗浄してから貯蔵される。Leucutaらは非特許文献7中で、熱変性ミクロスフェアの製造法を述べている。
化学架橋されたミクロスフェアの合成手順には、乳化物をグルタルアルデヒドで処理して蛋白質を架橋し、次いで、洗浄、貯蔵することが含まれている。Leeらは、非特許文献8、特許文献4で、この合成方法を教示している。
薬理学的に活性な薬物のキャリャーとしての蛋白質ミクロスフェアを合成するための上述の技法は、水溶性薬剤のデリバリーには適しているが、水不溶性薬剤の取り込みができない制限がある。この制限は、水/油乳化物の水相にある蛋白質成分の架橋又は熱変性に基づくこの合成法に固有のものである。蛋白質含有水相中に溶解した水溶性薬剤はいずれも、結果として生じる架橋又は熱変性された蛋白質マトリックス中に閉じこめられるが、貧水溶性又は油溶性薬剤は、この技法で生成させた蛋白質マトリックス内に取り込むことはできない。
従来からの薬物含有ナノ粒子の製造方法の一つに、ポリ乳酸(又は、他の生体適合性、水不溶性ポリマー)を水と混合しない溶媒(塩化メチレン又は他の塩素化脂肪族、又は芳香族溶媒)に溶解し、このポリマー溶液に医薬として活性な薬剤を溶解し、油相又は水相に界面活性剤を加え、適当な方法で油/水乳化物を生成させ、次いで、真空下、その乳化物をゆっくりと蒸発処理する工程が含まれている。油滴が十分に小さく、蒸発処理期間中安定であれば、水中にポリマーが懸濁した懸濁液が得られる。薬物はもともとポリマー溶液中に存在するので、この方法でポリマーマトリックスからなる粒子内に薬物分子が取り込まれた組成物を得ることができる。
多様の薬物が使用されているが、溶媒蒸発法によるミクロスフェアとナノ粒子の生成について幾人かの研究者から報告されている(例えば、Tice 及び Gilley, 非特許文献9;Bodmeier 及びMcGinity, 非特許文献10、Cavalierら,非特許文献11);及び D'Souzaら, 特許文献5)。
Bazileらが、非特許文献12で、及びSpenlehauerらが特許文献6で二種類の生体適合性ポリマーを用いたナノ粒子の生成について報告している。その一つ(例えば、ポリラクチド)を薬物などの活性成分と共に有機相に溶解し、アルブミンなどのもう一方のポリマーを表面活性剤として用い、乳化及び溶媒除去後、ポリラクチド粒子のポリマーマトリックス中に薬物が存在するナノ粒子を得ている。このポリマーマトリックスが形成されるポリマー溶液の性質が、第一段階で適切な乳化物を生成させるのに重要である。例えば、ポリラクチド(注射可能なナノ粒子の調製の際、一般的に使用されるポリマー)はジクロロメタン−水界面で、それらの迅速な吸着を引き起こす表面活性作用を有しており、界面張力の低下を引き起こし(例えば、Bouryら,非特許文献13を参照)、それにより乳化過程を改善している。さらに、同じ研究者らは、ウシ血清アルブミン(BSA)がポリラクチドと相互作用し、油−水界面に存在するポリラクチド単分子層に浸透することを見いだしている。上記参照文献基づくと、従来の溶媒蒸発法での乳化は、非水有機相の表面活性ポリマー(ポリラクチド)の存在により、非常に大きな恩恵を受けることが期待できる。事実、適当な大きさのナノ粒子を生成させるには、ポリラクチドの存在は十分条件であるばかりでなく、実際に必要である。
溶媒蒸発法に基づく他の方法には、ポリマーを有機溶媒に溶解することなく、薬物を親油性の有機溶媒(例えば、トルエン又はシクロヘキサン)に溶解し、従来型の界面活性剤を乳化剤として前記混合液に加え、超音波処理又は高せん断力装置を用いて油/水乳化物を生成させ、しかる後、溶媒を蒸発処理し、乾燥した薬物粒子を得る工程が含まれている(例えば、Sjostromら,非特許文献14を参照)。非極性溶媒を除去する際、溶媒滴の内部で薬物の沈殿が起こり、サブミクロン微子が得られる。
粒子の大きさは主に乳化物の最初の大きさで制御されることが見いだされている。さらに、最終の粒径が有機相中の薬物濃度の減少に伴い減少するという興味深い報告がなされている。この発見は、ナノ粒子の合成に従来の界面活性剤を用いていない(本発明のいくつかの実施態様)本明細書で報告される結果と逆になっている。さらに、使用した薬物の酢酸コレステリルは、トルエン中では表面活性剤であり、そのため油−水界面で配向する可能性があり、それゆえに界面での薬物濃度がより高くなり、沈殿潜在力が増大することが、Sjostrom 論文の著者らにより指摘されている。
サブミクロン粒子の生成は、Calvoらが、非特許文献15で述べているように、沈殿法でも達成されている。この方法は、薬物(例えば、インドメタシン)とポリマー(ポリ−カプロラクトン)を塩化メチレンとアセトンに溶解し、次いで、その溶液を界面活性剤(Poloxamer 188)を含む水相に注ぎ、サブミクロン粒子(216nm)を得ることに基づいている。しかしながら、この方法は乳化物が生成しない溶媒濃度で行われる。
タキソールは抗癌薬として非常に有望な天然化合物である。例えば、タキソールは薬物耐性卵巣癌の活性薬剤であることが McGuireらにより見いだされている(“タキソール:進行した卵巣上皮腫瘍に対して著しい活性を持つユニークな抗腫瘍薬” 非特許文献16参照)。以下において、本明細書中で言及する全ての特許、科学論文、及び他の文書は参照することで、あたかも完全に再生されるように本明細書中に取り込まれる。
不運にも、タキソールは水に対する溶解性が極めて低いため、適当な投薬形態にして供給することが非常に困難である。実際、フェーズI臨床試験では、タキソールの低溶解性を補うためにタキソールと共に投与された乳化剤により深刻なアレルギー反応が引き起こされ、乳化剤により誘発されたアレルギー反応で一人以上の患者が死に至っている。投与用量制限毒性には、好中球減少症、末梢神経障害、及び過敏症などが含まれる。
Brownらは、“6時間静脈内注入で投与されたタキソールのフェーズI試験” 非特許文献17で、タキソールを、前投与なしに毎日6時間IV注入したフェーズI試験を報告している。31人の患者がタキソールの64評価可能(assessable)推移試験を受け、一人の患者は深刻な(又は、急性)の過敏反応を起こし、注入を中断し、直ちに患者の救命処置をしなければならなかった。
他の患者は過敏反応を起こしたが、注入の中断を必要とするほどは深刻ではなかった。骨髄抑制が用量制限因子であり、敗血症による二死亡例が報告されている。非血液毒性は、グレード3の粘膜炎の一患者及び Grade3神経疾患の二患者を除けばグレード1及び2であった。この神経疾患は可逆的な痛ましい知覚異常からなり、二患者についてはタキソールの注入中断が必要であった。部分的応答が四例見られた(非小細胞肺ガン患者で3、及び原発不明の腺癌患者で1)。報告された最大耐用量は275mg/mであり、推奨フェーズII 開始用量は225mg/mであった。過敏反応発生率は、投薬計画依存しており、薬物の6〜24時間注入では0%〜8%の過敏反応発生率であったことが報告されている。また、過敏反応は注入時間の延長に拘わらず、前投与に関係していたり、関係していなかったりした。これらフェーズIでの検討は種々の癌を患っている末期患者に対して行っているので、タキソール治療の効果は測定できなかった。
Krisらの研究では、脱水アルコール中でクレマホールELで製剤化されたタキソールが、21日毎に3時間IV注入、9エスカレーション段階に分かれた投薬量範囲15〜230mg/mで投与された。Krisらは、“過敏反応の深刻さと予測不能性のため、この薬物製剤によるタキソールのさらなる使用は、この投与計画では考えられない。”と結論している(非特許文献18を参照)。
単回注射又は短時間(1〜3時間)注入による初期の試験でアナフィラキシー反応又は他の過敏性応答が誘発されたので、それ以上の研究では、最も深刻なアレルギー反応を避けるため、ステロイド(デキサメタソンなど)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミンなど)及びH2−きっ抗薬(シメチジン又はラニチジン)を前投与した後でのみ、タキソールが投与され、注入時間も24時間に引き延ばされた。最大全用量250mg/m、24時間注入、3週間毎の繰り返しでタキソールを投与する多くのフェーズIとフェーズIIの研究結果が出版されている。患者はデキサメタソン、ジフェンヒドラミン、及びシメチジンで前処置され、アレルギー反応を相殺することが行われている(Einzigら、“転移性腎臓細胞癌を持つ患者でのタキソールのフェーズII試験”, 非特許文献19、及びA.B.Millerらの、“癌治療の報告結果”, 非特許文献20参照)。
Koellerらは、“前投与無しで注入時間を延ばして投与されたタキソールのフェーズI薬物動態研究”, 非特許文献21の中で、タキソール注入に用いられるクレモホア(ポリエトキシル化ひまし油)ビヒクルにより引き起こされると考えられている多くのアレルギー反応を避けるため、ルーチン的な前投与を推奨している。また、患者は175mg/m〜275mg/m範囲の投薬を受けている。
Wiernikらは、“タキソールのフェーズI臨床及び薬物動態研究”,非特許文献22で、フェーズI研究での6時間かけてのクレモホァビヒクル中タキソールのIV注入による投与について報告している。グレード3〜4の過敏反応が13治療例中、4通りの治療例で発生した。この研究の開始用量は15mg/m(犬に対する最低毒性用量の1/3)であった。用量を増やしていき、最低3名の患者を、毒性が認識されるまでそれぞれの用量水準で処置し、4〜6名の患者はそれぞれのその次のレベルで処置した。この研究から、神経毒性と白血球減少症は用量−制限と結論し、フェーズII試験の用量を、前投与付きの250mg/mを推奨した。
タキソールに関する他の模範的な研究として、Leghaらの、“転移性黒色腫でのタキソールのフェーズII 試験”65:2478〜81(June 1990)、非特許文献23;Rowinskyらの、“薬物耐性の急性白血病におけるタキソールのフェーズI及び薬物動力学研究”、非特許文献24、Gremらの、“5日おきの短時間IV注入としてのタキソール投与のフェーズI研究”、非特許文献25、Donehowerらの、“進行した癌患者でのタキソールのフェーズI試験”、非特許文献26、Holmesらの、“転移性乳癌(MBC)患者(PT)でのタキソールのフェーズII研究”、非特許文献27が挙げられる。また、Suffness、“国立癌研究所での抗腫瘍性天然物の開発” 非特許文献28(この文献では、タキソール(商標)の24時間注入を推奨している。)を参照すると良い。
Weissらは、“タキソール由来の過敏反応”、非特許文献29で、使用されたパクリタキセルの用量及び投薬計画が広範囲に変化していること、及び注入スケジュールの変更及び使用する前投与のHSR発生率に及ぼす効果などの未知の影響度のため、過敏反応(HSRs)の信頼できるオーバーオール発生率を決めることは困難と報告している。例えば、前投与無しにタキソールの3時間注入を190mg/mより大きい用量で受けた5名の患者中、3名に反応が現れたが、前投与なしで、それより高い用量で6時間注入を受けた30名の患者中、1名だけが反応を起こしただけであった。これは、注入時間を6時間以上に引き延ばすと、十分にHSR発生率を減少できることを示唆している。それにもかかわらず、Weissらは、24時間注入で250mg/mのタキソール投与をうけた患者が、依然として明らかなHSRsを起こしていることを見いだしている。このことから、薬物注入を6時間〜24時間に引き延ばすことは、急性反応の危険性を軽減するが、この結論は、HSR反応の78%がタキソールの注入開始から10分以内で発生することから確認できず、全注入するのに計画した時間の長さは無関係であることを示唆している。さらに種々の少量タキソール用量に対して患者の大部分が反応を起こしたことより、注入中のパクリタキセル濃度では違いが生じないことが示唆された。
最後に、Taxol HSRの機構が未知であるばかりか、タキソールそのものがHSsを誘発しているのか又はHSRsが賦形剤(クレマホァEL;Badische Anilin und Soda Fabrik AG(BASF)、Ludwigshafen,FederalRepublic of Germany)によるものなのかもはっきりしない。前投与が深刻さ又は数多くのHSRsを軽減するのに影響をおよぼしているか否かは不明確であるにもかかわらず、それの使用に由来する危険が知られていないので、前投与という予防的治療法が推奨されている。
延長された注入持続時間を採用した時、過敏反応を避けるために前投与を行うべきかに関する先行技術分野での対立する推奨、及び6時間以上かけて行った注入の効能データの不足により、クレマホァEL乳化物型タキソールの高投与用量(170mg/m以上)での24時間注入が、癌治療プロトコルとして認められるに至っている。
延長された注入持続時間の採用により、乳化物型タキソールの投与に伴う副作用を最小化することが可能なように思われるが、長い注入持続時間は患者にとって不便であり、患者を6時間から24時間の注入時間中まるまる監視する必要があり、高価である。さらに、長い注入持続時間のため、患者は少なくとも一晩は病院又は治療クリニックで過ごす必要がある。
タキソールのより高い投与用量も文献に記述されている。シクロホスファミド及びシスプラチンの高用量と組み合わせたパクリタキセルの最高耐用量(MTD)の決定と、引き続いての自己造血幹細胞支持(AHPCS)のため、Stemmerらは(“自己造血幹細胞支持体による高用量パクリタキセル、シクロホスファミド及びシスプラチン:フェーズI試験”、非特許文献30)、予後不良の49名の乳癌、非 Hodgkin's リンパ腫(NHL)又は卵巣癌患者で、24時間かけたパクリタキセルの増大投与用量注入、引き続いてのシクロホスファミド(5,625mg/m)及びシスプラチン(165mg/m)及びAHPCSの注入によるフェーズI試験を行った。825mg/mのパクリタキセル投与のところで2名の患者に投与用量−制限毒性が現れ、1名は多臓器不全で死に、もう一人にはグレード3の気道、CNS、及び腎臓毒性が現れたが、解決された。グレード3の多発性神経痛及びグレード4のCNS毒性もまた観察された。この組み合わせのAHPCSにフォローされたMTDを、パクリタキセル(775mg/m)、シクロホスファミド(5,625mg/m)、及びシスプラチン(165mg/m)と決定した。感覚性多発性神経痛及び粘膜炎が際だった毒性であるが、両方とも可逆的で、許容できるものであった。33患者中18名の乳癌患者(54%)に部分応答が見られた。応答はNHLを持つ患者(5名中44名)及び卵巣癌患者(2名中2名)でも観察された。
特許文献7では、3時間注入投与、で175と135mg/mの用量でタキソールを使用した例が報告されている。この注入プロトコルでは前投与を必要とし、35%の患者に過敏反応が現れ、神経毒性が51%の患者で見られたと報告している。また、高用量グループの66%の患者及び低用量グループの患者37%が神経毒性を経験していた。さらに、24時間の長時間注入を行った患者の48%が神経毒性を経験した一方、3時間の短時間注入を行った患者の54%が神経毒性を経験したことは注目すべきことである。
文献では、パクリタキセルの高投薬用量でより早い応答が得られる証拠が見られる。パクリタキセルの最適投薬用量と投薬計画はまだ研究中である。疾患応答の誘発に置いてパクリタキセル投与量強度が重要である可能性を評価するため、NCIの Reedらは、卵巣癌及び乳癌の治療における利用可能なフェーズII試験データを解析した(Reed E,Bitton R,Sarosy G, 及び Kohn E,“パクリタキセル用量強度”,非特許文献31)。という結果が示唆された。
対象疾患応答とパクリタキセル用量強度間の相関は再発卵巣癌では2サイドp値が0.022で統計的に非常に有意であった。乳癌での関係はむしろ大きく、2サイドp値は0.004であった。135mg/m/21日では、対象応答速度は13.2%、250mg/m/21日では対象応答速度は35.9%であった。中間投与用量の175mg/mでの応答速度は、135mg/mと250mg/mの結果と直線関係にあり、これらデータの線形回帰分析で相関係数0.946が得られた(Reedら、1996)。
Holmesらの研究(“転移性乳癌の治療における活性薬物、タキソールのフェーズII試験”、非特許文献32)及びMSKCCでの研究(Reichman BS ら、“転移性乳癌の初期化学療法としてのパクリタキセルと組換型人間か粒球コロニー−刺激因子”、非特許文献33)で、最高250mg/mに及ぶパクリタキセルの高投薬用量で、最近、パクリタキセルで承認された175mg/m、投薬用量(26%)より、さらに大きな応答(60%)が得られることが示されている。これらの結果は、このような高投薬用量でのより高度の毒性のため、再現できなかったが、パクリタキセルの増量投与でその応答速度が増加することの有力な証拠を与えていた。
タキソールを投与するには、患者が病院に一晩泊まることがしばしば必要となる前投与が必要なので、前投与の必要性が排除されたパクリタキセル製剤の開発が大いに望まれている。
タキソールでは、その薬物の投与に伴うHSRのため、前投与が必要であるので、過敏反応を引き起こさないパクリタキセル製剤の開発が希求されている。また、神経毒性を示さないパクリタキセル製剤の開発も同様に望まれている。
タキソール注入は一般的には前投与がそれに先だって行われ、また、注入後監視と記録保存が必要とされる。これらは患者が病院で一晩過ごすことを必要とするもので、治療を受ける者が外来患者基準で扱われるようなパクリタキセル製剤の開発が大いに望まれている。
毒性はより高くなるものの、タキソールのより高い用量により臨床応答が改善できることが実証されているので、この毒性無しでこの投薬用量を達成できるパクリタキセル製剤を開発することが望ましい。
タキソールの用量制限毒性は脳及び神経毒性であることが実証されているので、このような毒性を減少させたパクリタキセル製剤の開発が望まれている。
また、前投与は患者の不安を増し、出費も増加させ、治療に要する時間も長くするので、この前投与を省くことも望ましい。
また、現在3〜24時間かけて投与されているパクリタキセルの注入時間の短縮し、患者が病院又は診療所に滞在する時間を最短にすることも望ましい。
現在、タキソールは0.6〜1.2mg/mlの濃度、ヒトへの典型的投薬用量約250〜350mgの投与が認められているので、注入容量は、典型的には、300mL以上になる。
投与時間を短縮するため、高濃度で安定なパクリタキセル製剤を開発して、この注入容量を減少させることも望ましい。
タキソールの注入は、タキソール(商標)製剤中のクレマホァによる可塑剤の溶出のため、特製のI.V.チューブ及びバッグ又はボトルを使用するように制限されているので、クレマホァを含まず、静脈注入に従来から使用されてきたプラスチック製チューブ又はバッグから潜在的に毒性物質を溶出させないパクリタキセル製剤の開発が望ましい。
米国特許第4,073,943号 PCT国際公開特許番号WO85/00011 米国特許第5,059,699号(1991) 米国特許第4,671,954号 WO94/10980 仏国特許第2 660 556 米国特許第5,641,803号
Journal of Controlled Release,2:343〜352(1985) Ed.A.Rembaum,pp193〜227,CRCPress(1988) J.Am.Chem.Soc.,93:2325(1971) Agents Actions,7:63〜67(1987) J.Clin.Oncol.8:1263〜68(1990) J.Med.Chem.,35:145〜151(1992) Internaional Journal of Pharmaceutics,41:213〜217(1988) Science, 231:233〜235(1981) Journal of Controlled Release, 2:343〜352(1985) McGinity, Int.J.Pharmaceutics,43:179(1988) J.Pham.Pharmacol.,38:249(1985) Biomaterials,13:1093(1992) Langmuir,11:1636(1995) J.Dispersion Science and Techology,15:89〜117(1994) J.Pharm.Sci.,85:530(1996) Ann.Int.Med.,111:273〜279(1989) J. Clin. Oncol., 9(7):1261−67(July, 1991 ) Cancer Treat. Rep.,Vol.70,No.5,May,1986 Cancer Investigation ,9(2)133〜136(1991) Cancer,47:207〜214(1981) Proceedings of ASCO,Vo1.8(March,1989) Cancer Research,47:2486〜93(May 1,1987) "転移性黒色腫でのタキソールのフェーズII 試験"65:2478〜81(June 1990) Cancer Research.49:4640〜47(Aug.15,1989) Cancer Treatment Reports,Vo1.71,No.12,(December,1987) Cancer Treatment Reports,Vo1.71,No.12,(December,1987) Proceedings of the Americaul Society Of Clinical Oncology、10:60、(March,1991) Gann Monograph of Cancer Research,31:21〜44(1989) Journal of Clinical 0ncology,8(7):1263〜68(July,1990) J.Clin.Oncol.,14:1463〜1472(1996) Joumal of Infusional Chemotherapy,6:59−63(1996)) J. Natl.Cancer Inst.,83:1797〜1805(1991) J.Clin.Oncol.,11:1943〜1951(1993)
本発明の目的は、現在ドラッグデリバリーに採用され、添加されている乳化剤及び可溶化剤が引き起こすアレルギー反応を起こさない医薬組成物の形で、かつ、薬学的に活性な薬剤(例えば、タキソール、タキサン、タキソテレなど)を化学修飾されていない形でデリバリーすることにある。
さらに本発明は、任意的に適当な生体適合性液体中に懸濁された、ミクロ粒子又はナノ粒子組成物中の薬学的に活性な薬剤をデリバリーすることを目的としている。
また本発明は、さらに、油/水乳化物からの溶媒蒸発法による薬学的に活性な薬物のサブミクロン粒子(ナノ粒子)の生成方法の提供を目的としている。ある方法では安定剤として蛋白質を使用し、また、ある方法では従来型の界面活性剤や、ポリマーコア物質を使用せずに実施した。
本発明のこれらの目的は、明細書及びクレームを再見することで明確になると思われる。
本発明において、本発明者らは、実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤を、水性懸濁物型の非経口投与に適したミクロ粒子又はナノ粒子の形でデリバリーできることを見いだした。このデリバリー様式により、実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤(すなわち、パクリタキセル)を、例えば、標準生理食塩水に希釈されたエタノールとポリエトキシル化ヒマシ油を含有する乳化物(例えば、Nortonら、Abstracts of the 2nd National CiuCer Institute Workshop on Taxol & Taxus, September 23−24,1992を参照)として投与する必要性を排除できた。
このような既知の医薬組成物の不利益な点は、これらがアレルギー性副作用を起こす傾向をもつことである。
本発明によれば、多様の条件下で調製された油/水乳化物から、溶媒蒸発法で薬理学的に活性な薬剤のナノ粒子の製造方法が提供される。例えば、従来の界面活性剤を使用しない場合や、ナノ粒子のマトリックスを形成するポリマーコア材料を用いない場合には、高せん断力(例えば、超音波分散、高圧ホモジナイゼーションなど)が用いられる。その代わりに、蛋白質(例えば、ヒト血清アルブミン)が安定化剤として使用される。代替法では、単に自動的にミクロ乳化物を形成する材料を選定するだけで、高剪断力無しでナノ粒子を形成できる。
本発明はさらに、0.22ミクロンフィルターを通して殺菌−ろ過が可能な、異常に小さいナノ粒子(直径200nm以下)の再現性良い生成方法を提供する。この方法は水溶性溶媒(例えば、エタノール)を有機相に加えること、及び有機相のタイプ、相割合、及び有機相中の薬物濃度を慎重に選択することで達成される。有意量の蛋白質(例えば、アルブミン)を含む製剤は、オートクレーブ法などの従来方法では蛋白質の熱凝固が起こり殺菌できないので、0.22ミクロンのフィルターでろ過可能なサイズを持つナノ粒子を形成できることは、非常に重要かつ有意義である。
本発明の別の実施態様で、実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤の in vivoデリバリーに有用な組成物を開発した。本発明の組成物は、ポリマー殻内に入った実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤(固体又は液体として)を含んでいる。このポリマー殻は架橋された生体適合性ポリマーである。その中に実質上水不溶性の薬理学的に活性な薬剤を含むポリマー殻は、次いで、投与のために生体適合性の水性液体に懸濁できる。
本発明ではさらに、薬理学的に活性な分子の一部が蛋白質(例えば、ヒト血清アルブミン)に結合されており、ほ乳類に投与すると、ただちにバイオアベイラブルになるドラッグデリバリーシステムが供給される。
薬理学的に活性な薬剤の他の部分は、蛋白質で被覆されたナノ粒子内に含まれる。薬理学的に活性な薬剤を含むナノ粒子は、ポリマーマトリックスで希釈されずに、純粋な活性成分として存在している。
従来型の多数の薬理学的に活性な薬剤は、疎水性又はイオン性相互作用でキャリャー蛋白質(最も一般的な例として血清アルブミン)に結合して、血流中を循環する。本発明の方法及びそれにより製造される組成物により、投与に先立ち、(疎水性又はイオン性相互作用で)蛋白質に“予備結合された”薬理学的に活性な薬剤が提供される。
本開示はヒト血清アルブミンに結合可能な抗癌薬物、タキソール(パクリタキセル)、のバイオアベイラビリティーの両方の上述したモードを実証するものである(例えば、Kumarらの、Research communications in Chemical Pathology and Pharmacology,80:337(1993)を参照)。タキソールと比較して、本発明の粒子中でアルブミンが高濃度であることは、有意量の薬物を血流中で薬物の天然キャリャーでもあるアルブミンに結合した分子の形にすることができる。
さらに、ヒト血清アルブミンがタキソール並びに粒子表面へのタキソールの吸収能を増強する他の薬剤に結合する能力を利点として利用している。アルブミンはコロイド状の薬物粒子(有機溶媒の除去で生成)上に存在するので、電気的反発及び立体的安定化のため、長時間安定なコロイド状分散物の生成を容易にしている。
本発明に従うと、水又は生理食塩水で容易に再構成可能なサブミクロン粒子が粉体形態でも提供される。この粉体は凍結乾燥で水を除去した後に得ることができる。ヒト血清アルブミンは、本発明の中でナノ粒子の構造成分、凍結保護物質及び再構成補助剤として使用できる。本明細書中で前述した本発明の方法による0.22ミクロンフィルターでろ過可能な粒子の合成及び引き続いての乾燥又は凍結乾燥で、静脈内注射に有用な、殺菌した固体製剤が製造できる。
本発明では、特に、抗癌薬、例えば、タキソール、組成物が液体分散物中のナノ粒子として、又は投与の際容易に再構成できる固体として提供される。
ある種の薬剤、例えばタキソール、の特異的性質のため、界面活性剤を頼りにした従来の溶媒蒸発法では、このような組成物が得られない場合がある。様様の界面活性剤の存在下、非常に大きな薬物結晶(例えば、大きさが約5ミクロンから数百ミクロン)が、調製過程後の貯蔵時に、数分以内で生成する。このような結晶の大きさは、通常、静脈注射で許容されている大きさよりもはるかに大きい。
本発明の方法で製造される粒子は、結晶体、非晶体又はそれらの混合物であっても良いと認識される一方、一般的には、薬物は製剤中で非晶体で存在することが好ましく、このことで溶解及び吸収がより容易になり、より良いバイオアベイラビリティーが得られる。
Fig.1は、パクリタキセルナノ粒子の腫瘍保持マウス(各群n=5)への静脈内投与の結果を示している。食塩水を与えた対照群(●)と比較し、治療処置群(■)では腫瘍の完全退縮が見られる。対照群では、実質的非制御腫瘍成長は観察されなかった。治療処置群への5日間続けての単回静脈注射として投与したパクリタキセル投与用量は20mg/kgである。 Fig.2は、コラーゲンを皮内投与して足に関節炎を発生させたラットへの、パクリタキセルナノ粒子の非経口投与結果を示している。足容積を測定し、その疾患の重さを示した。足容積を治療開始時を100%として規準化した。日時0は治療の開始を意味している。食塩水投与の対照群(図中、細線で示し、“非治療処置”とラベル付与);パクリタキセルナノ粒子を投薬用量1mg/kgで受けた第一治療処置群(n=4、図中、太線で示し、“パクリタキセルナノ粒子1mg/kg”とラベル付与)、及びパクリタキセルナノ粒子0.5mg/kgとプレドニソン0.2mg/kgの組み合わせ投与用量の第二治療処置群(n=4、図中、太線で示し、“プレドニソン0.2mg/kg+パクリタキセルナノ粒子0.5mg/kg”とラベル付与)の三試料群を用意した。2個の治療処置群で、時間経過と共に、足容積の劇的な減少が見られ、関節炎の退縮を示していたが、対照群では同一期間中では足容積の増加が見られた。
抗癌剤パクリタキセル(TAXOL, Bristol Myers Squibb, BMS)は、卵巣癌、乳癌、肺癌、食道癌、頭及び首域の癌、膀胱癌及びリンパ腫を含む多くのヒト癌に対して著しい臨床活性を持っており、現在、シスプラチンと組み合わせて使用する卵巣癌の治療、及び組み合わせ化学治療法による優先的治療がうまくいかなかった転移性乳癌に対して承認されている。
タキソール(商標)の主な制約は、それの貧溶解性にあり、そのため、そのBMS製剤は50%のクレマホァELと50%のエタノールを可溶化ベヒクルとして用いている。この製剤の各バイアルには、30mgのパクリタキセルが6mg/mlの濃度で溶解されている。静脈内投与に先立ち、この製剤を生理食塩水で1:10に希釈し、0.6mg/mlでパクリタキセルを含む最終投与溶液にしなければならない。この製剤は動物(Lorenzら., Agents Actions,7:63〜67(1987))とヒト(Weissら., J.Clin.Oncol.,8:1263〜68(1990))における深刻な過敏反応と関係しており、その結果、患者にコルチコステロイド(例えば、デキサメタソン)及び抗ヒスタミン剤を前投与する必要がある。また、高希釈により注入容量が大きくなり(典型的用量175mg/m又は最高1L)、注入時間が3時間から24時間にもなる。そのため、代替のより毒性が低いパクリタキセル製剤が望まれている。
カプクソール(CapxolTM)は新規で、クレマホァを含まない制癌剤パクリタキセル製剤である。本発明者らは、動物での研究から、クレマホァを含まない製剤は、著しく毒性が低く、患者の前投与は必要としないと確信した。現在承認され、市販されている(Bristol Myers Squibb)パクリタキセル製剤は、その中に含まれるクレマホァで引き起こされる過敏反応とアナフィラキシーの軽減のため、患者に対する前投与が必要とされる。
カプクソール(CapxolTM)は、再構成され静脈内投与されるように凍結乾燥された粉体である。0.9%塩化ナトリウム注射液又は5%ブドウ糖注射液などの適当な水性媒体で再構成された時、CapxolTMは安定なパクリタキセルのコロイド溶液を生成する。コロイド状懸濁物のサイズは、20nmから8ミクロン、好ましくは、約20〜400nmの範囲にある。カプクソール(CapxolTM)の主要二成分は非修飾パクリタキセルとヒト血清アルブミン(HSA)である。HSAは自由に水に溶解するので、カプクソール(CapxolTM)は、所望のパクリタキセル濃度に再構成することができ、HSAの溶解度にだけ制約される。かくして、CapxolTMは希薄濃度(0.1mg/mlパクリタキセル)から高濃度(20mg/mlパクリタキセル)まで、広い濃度範囲で再構成が可能であり、その結果、かなり小容量の投与が可能である。
本発明によれば、水性懸濁液になり、非経口的投与に適したナノ粒子の形で生物活性物質をin vivoデリバリーするのに有用な組成物と方法が提供される。発明の組成物はポリマーで安定化されており、そのポリマーは蛋白質アルブミンなどの生体適合性物質である。生物活性物質のデリバリーに本発明の組成物を使用すると、生物活性物質の投与のために、標準食塩水に希釈されたエタノール及びポリエトキシル化ヒマシ油のような毒性希釈剤又はビヒクルに希釈する必要(例えば、Nortonらの、Abstracts of the 2nd National Cancer Institute Workshop on Taxol & Taxus,September 23−24,1992参照)がなくなる。
このような既知組成物の不利な点は、それらが厳しいアレルギー性及び他の副作用を引き起こす傾向にあることである。粒子状懸濁物の形態で生物活性物質をデリバリーすると、肝臓、肺、脾臓、リンパ腺、循環系などの器官での細胞の細網内皮系(RES)による粒子取り込みにより、これら器官を照準としてデリバリーできることは既知である。RES含有器官に照準を合わせることは、種々のサイズを持つ粒子を使用すること及び異なるルートを通しての投与で制御される。しかしながら、ラットに投与した時、CapxolTMは、意外かつ驚いたことに、RESを持たない前立腺、膵臓、睾丸、輸精管、骨などの組織に、同一用量のタキソール(商標)と比較して、かなり多く蓄積することを見いだした。
ナノ粒子製剤である本発明のパクリタキセル製剤、CapxolTMがRESを持たない器官の、前立腺、膵臓、睾丸、輸精管、骨などの組織に、タキソール(商標)の様なパクリタキセル非粒子製剤よりもかなり高レベルで濃縮されることは、非常に驚くべきことである。CapxolTMは、これら組織の癌治療にタキソール(商標)より高い効果で活用できる。しかしながら、他の多くの組織への配送は、CapxolTMとタキソール(商標)は類似しており、それ故、CapxolTMは他組織においてはタキソール(商標)と同等以上の抗癌活性を保持していることが期待できる。
CapxolTMが前立腺内に局在した基因として、製剤の粒子径サイズ(20〜400nm)又は製剤中の蛋白質アルブミンの存在が考えられ、これらが特定膜受容体(gp60、gp18、gp13など)を通しての前立腺組織内への局在を引き起こしたと考えた。
また、アルブミン以外の生体適合性、生分解性ポリマーが、前立腺などの組織に特異性を示し、前述した性質の結果、これらの組織でパクリタキセルの局所的濃縮を起こしたとも考えられた。このような生体適合性物質は本発明の範囲に含まれる。前立腺でのパクリタキセルの高局所濃度を達成する好ましい組成物の実施態様は、粒子径が20〜400nmであり、パクリタキセルとアルブミンを含み、クレモホァを含まない製剤である。この実施態様は、等用量のタキソールと比べて、すい臓、腎臓、肺、心臓、骨及び脾臓でのパクリタキセルのより高レベルでの濃縮を示した。これらの特性により、テストステロンレベルの低下の方法、医学上の精巣摘出術の達成、及び再狭窄治療のための冠状血管系への高濃度局所集中を含むこのパクリタキセル製剤の新規な応用が可能となる。
また、パクリタキセルが Capxolとして投与される場合、タキソールよりも、ずっと遅い速度でその代謝産物に代謝されることも驚くべきことである。これは、同じパクリタキセル用量でも、増進した抗癌作用を長時間持つことを意味している。
また、Capxolとタキソールをパクリタキセルで等用量、ラットに投与した時、Capxolと比較した時、タキソールでより高段階の骨髄抑制が起きたということも驚くべきことである。これは感染及び熱発作(例えば、好中球減少症)の低発生率という結果をもたらすことができる。また、現在、治療と治療の期間が21日となっている周期を減少させることもできる。かくして、Capxolは、タキソールよりも実質上、有利な点を持っている。
また、驚いたことにタキソールビヒクル(食塩水に希釈されたクレモホァ/エタノール)だけが、マウスの幾つかの用量グループで強い骨髄抑制を起こし、深刻な過敏反応と死をもたらした。このような反応は等用量及びより高用量 Capxolグループでは起こらなかった。このように、タキソールのビヒクルを用いないパクリタキセル製剤 Capxolは、実質的利点を有していた。
また、Capxolとタキソールをラットに、パクリタキセルで等用量になるよう投与したとき、Capxolでは、著しく高いLD50値で証明されるように、タキソールと比較して非常に低い毒性が見いだされた。これは非常に驚くべきことである。これはパクリタキセルをより高用量で、かつ、治療上効果的な用量で患者に投与できることを意味している。パクリタキセルの高用量に対する増大した応答速度を示す文献にもこの証拠を求めることができる。Capxol製剤では、低毒性のため、このような高用量投与ができ、それによりこの薬物の持つ全潜在能力を利用できる。
また、実質的水不溶性薬物のパクリタキセル製剤、Capxol、が水性媒体中で、非制限的であるが、0.1〜20mg/mlの幾つかの異なる濃度水準で再構成した時、安定であることも驚くべきことである。このことは、それが注入用量をより小さくでき、タキソールで知られている不安定問題(沈殿)を克服でき、注入ラインでのインラインろ過を省くことを可能とし、薬剤の投与期間中でタキソールよりも優れた実質上の利点を提供する。
このように、Capxolは患者へのパクリタキセル投与を著しく簡略化し、改善している。
また、驚くべきことに、Capxolとタキソールをパクリタキセルの用量を同じにしてラットに投与すると、前者では神経毒性の徴候は見られなかったが、タキソールでは、低用量でも神経毒性作用を示した。
本発明の製剤によりさらに、パクリタキセル及び他の実質上水不溶性の薬学的に活性な薬剤を、先行デリバリーシステムで必要とされていた投与容量および時間より、ずっと少量の液体容量と、投与時間で投与できる。
本発明の組成物(Capxol)は、生体適合性ポリマーマトリックスと組み合わせて、より低い毒性と引き延ばされた活性持続で、パクリタキセルを局所に保持されるようにデリバリーできる。
Capxolでの上述の驚くべき発見により、パクリタキセルで治療を受けている患者の生活の質(quality of life)を実質的に改善することが期待できる。
パクリタキセルのためのCapxolTM製剤の潜在的利点
● CapxolTMは、単にパクリタキセルとヒト血清アルブミンだけが含まれる凍結乾燥粉体である。この凍結乾燥粉体の再構成で得られるコロイド状溶液の性質により、薬物を可溶化するためのクレモホァ(パクリタキセルのBMS製剤中に存在)やポリソルベート80(Rhone Poulenc社製ドセタキセル製剤中に存在)などの毒性乳化剤及びエタノールのような溶媒を必要としない。毒性乳化剤を除去したことで、タキソール製品で起こることが知られている深刻な過敏反応、アナフィラキシー反応の発生率を減少できる。
● さらに、この薬物を投与する前に、ステロイドや抗ヒスタミン剤を前投与する必要が無くなることが期待できる。
● LD10/LD50の研究から明らかなように、毒性の軽減により、より大きな薬効を求めて、より大きな投与用量を採用できる。
● また、骨髄抑制の減少(BMS製剤との比較)により、治療サイクル(現在は3週間)期間の短縮及び治療効果の改善が期待できる。
● CapxolTMは、BMS製剤(0.6mg/mL)と比較し、非常に高濃度(最高20mg/mL)で投与できるので、注入容量を著しく減少でき、単回静脈注射としての投与ができる。
● タキソールは、標準的な注入用チューブから製剤へ可塑剤が溶出するため、ニトログリセリンポリオレフン注入セットを用いて注入しなければならない。Capxolは、可塑剤の溶出を起こさないので、標準的な注入用チューブのいずれをも使用できる。さらに、クレモホァ含有溶液の貯蔵には、ガラス及びポリオレフィン容器のみが使用されていたが、Capxolはこのような制約を持たない。
● タキソールで認識されている問題として、留置カテーテルでのパクリタキセルの沈殿があり、その結果、不規則で制御性に乏しい薬物投与が行われる。新規製剤の CapxolTMのコロイド状溶液は、元来、安定であるので、沈殿問題は緩和されている。
● この沈殿問題のため、タキソール(商標)の注入にはインラインフィルターを使用して沈殿物や他の粒子状物をろ過する必要があるが、CapxolTMはその固有安定性により、このような必要がない。
● 大きさが数100ナノメータの範囲にある粒子は腫瘍サイトでのリーク血管を通って腫瘍中に優先的に分配されることが、文献で示唆されている。CapxolTM製剤中のコロイド状パクリタキセル粒子は、そのため、優先的標的効果を示し、タキソール(商標)製剤で投与されたパクリタキセルの副作用を著しく軽減できる。
それ故、上述してきた望ましい特性をもたらすパクリタキセルの新規製剤を提供することが本発明の第一義的目的である。
また、ある組織にパクリタキセルを局在化し、その場でより大きな抗癌作用を与えることができる新規パクリタキセル製剤の提供も、本発明の他の目的である。
また、注入容量を減少させるため、濃度2mg/mL以上でパクリタキセルを投与することも、本発明の他の目的である。
また、タキソールビヒクルを含有しないパクリタキセル製剤の提供も、本発明の他の目的である。
さらにまた、癌治療でパクリタキセルの投与を受けている患者の生活の質を改善するパクリタキセル製剤の提供も、本発明の他の目的である。
本発明により、パクリタキセル(paclitaxel)で治療を受けている患者で、パクリタキセルの毒性を低下する方法が提供され、この方法は2時間以下の投与時間にわたって少くとも175mg/mの用量で上記のパクリタキセルを医薬的に許容できる処方物中で上記の患者に全身的に投与することからなる。
[他の独立クレームについても繰り返して記載する]
本発明により、in vivo デリバリーのための実質的に水不溶性の生理学的活性剤の調製方法が提供され、該調製方法は、
a)i) 該生理学的活性剤を溶解させる有機溶媒;
ii) 水または水性溶液;
iii) サーファクタント;および
iv) コサーファクタント
を一緒にして、マイクロエマルジョンを自動的に形成し;
b) 該有機溶媒を除去して、水における該生理学的活性剤のナノ粒子の懸濁液を得る、ことを含む上記調製方法である。
本発明のさらに別な態様による時、活性剤を含有するナノ粒子を製造する方法が提供され、この方法は、ミクロエマルジョンを自然に形成する、非揮発性の相、上記の活性剤を含有する揮発性の相および界面活性剤を一緒にし、そして上記の揮発性相を除去することによって上記の非揮発性相中の固体ナノ粒子の懸濁液を得ることからなり、このナノ粒子は上記活性剤を含有しまた100nmより小さい平均直径を有する。
上記した諸方法によって生成される組成物は、毒性が極めて低い形の種々の薬理学的活性剤を与えることが認められているので、特に有利である。毒性が低い形の薬理学的活性剤例えばパクリタキセルを製造する別な方法もまた本明細書に記載されている。
好ましい態様において上記した粒子の平均直径は約200nm以下である。このような粒子は、それが無菌濾過にかけられることができ、このことのため、所望の薬理学的活性剤を含有する溶液の殺菌を行うために一層強烈に処理する必要がなくなるので、特に有利である。
本記載で用いる場合、異なった規定がなされない限り「パクリタキセル」という用語はパクリタキセルのあらゆる形、修飾および誘導体例えばタクソテーレ(taxotere)などを包含する。
カプキソール(CapxolTM)(登録商標)は本出願者の譲受人によって販売されるパクリタキセルのための登録商標である。本記載で用いる場合、カプキソール(登録商標)は実施例1の方法によってつくられるタンパク質でコーティングされたパクリタキセルナノ粒子をさすための単なる略記的手段である。カプキソール(登録商標)は抗ガン薬パクリタキセルの、クレマフォーを含有しない特許登録された新規な処方物である。本発明者は動物での研究を基礎として、クレマフォーを含まない処方物は毒性が顕著に少なくまた患者のプレメディケーションを必要としないと考えている。現在、認可されそして市販されているパクリタキセルのタキソール(Taxol)(登録商標)処方物中にクレマフォーがあるために起きる過敏症およびナナフィラキシーを減らすためにはプレメディケーションが必要である。カプキソール(登録商標)は再構成および静脈内投与のための凍結乾燥された粉末である。カプキソール(登録商標)はバイアル1つあたり30mgのパクリタキセルと約400mgのヒト血清アルブミンを含む。0.9%塩化ナトリウム注射液または5%デキストロース注射液のような適当な水性媒体で再構成される時、カプキソール(登録商標)はパクリタキセルの安定なコロイド溶液を形成する。コロイド状ナノ粒子の寸法は典型的に400nmより小さい。ナノ粒子はUSPヒト血清アルブミンと有機溶媒中のパクリタキセルの溶液とを高圧でホモジナイズすることにより調製される。次に、溶媒が除去されて、ヒトアルブミン中のコロイド懸濁液または溶液が生成される。この懸濁液は無菌濾過されそして凍結乾燥されて、カプキソール(登録商標)が得られる。この処方物は他に添加される助剤または安定化剤を含有しない。この製品の無菌性は無菌製造法によりそして(あるいは)無菌濾過により確保される。カプキソール(登録商標)の二つの主成分は変性されていないパクリタキセルおよびヒト血清アルブミン(HSA)である。HSAは水中に自由に溶解するので、カプキソール(登録商標)はHSAに関する溶解限度のみによって制限される所望の任意の濃度のパクリタキセルへと再構成されることができる。従ってカプキソール(登録商標)は稀薄な濃度(0.1mg/mlパクリタキセル)から濃厚な濃度(20mg/mlパクリタキセル)までの広い範囲の濃度で再構成されることができる。これにより、かなり小容量の投与が可能になる。
本記載で用いる場合、「生体内投与」という用語は、経口、静脈内、皮下、腹膜内、包膜内、筋肉内、吸入的、局所的、経皮、坐薬(直腸内)、ペサリー(膣内)、尿道内、門脈内、肝臓内、動脈内、体液内などの投与径路による薬理学的活性剤の投与をさす。
本記載で用いる場合、「ミクロン」という語はミリメートルの千分の一の尺度単位をさす。
本記載で用いる場合、「バイオコンパチブル」という用語はある物質が生物学的な系内に導入されるとして、この系を何らかの仕方で害するように変化させたりあるいはこれに影響を与えたりしない物質について記述する語である。
本発明を実施するのに使用することが考えられる水に実質的に不溶である薬理学的活性剤には医薬的活性剤、診断剤、栄養的価値のある薬剤などが含まれる。医薬的活性剤の例には以下のものがある。
鎮痛剤/解熱剤(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノフィン、ヒドロクロリド、プロポキシフェンヒドロクロリド、プロポキシフェンナプシレート、メペリジンヒドロクロリド、ヒドロモルホンヒドロクロリド、モルフィンサルフェート、オキシコドンヒドロクロリド、コデインホスフェート、ジヒドロコデインビタルトレート、ペンタゾシンヒドロクロリド、ヒドロコドンビタルトレート、レボルファノールタルトレート、ジフラニザール、トロラミンサリシレート、ナルブフィンヒドロクロリド、メフェナミン酸、ブトルファノールタルトレート、コリンサリシレート、ブタルビタール、フェニルトロキサミンシトレート、ジフェンヒドラミンシトレート、メトトリメプラジン、シナメドリンヒドロクロリド、メプロバメートなど);
麻酔薬(例えばシクロプロパン、エンフルラン、ハロタン、イソフルラン、メトキシフラン、亜酸化窒素、プロポホールなど);
抗喘息剤(例えばアゼラスチン(Azelastine)、ケトティフェン(Ketotifen)、トラキサノックス(Traxanox)、アムレキサノックス(Amlexanox)、クロモリン(Cromolyn)、イブディラスト(Ibudilast)、モンテルカスト(Montelukast)、ネドクロミル(Nedocromil)、オキサトミド(Oxatomide)、プランルカスト(Pranlukast)、セラトロダスト(Seratrodast)、サプラタストトシレート(Suplatast Tosylate)、ティアラミド(Tiaramide)、ザフィルルカスト(Zafirlukast)、ジリュートン(Zileuton)、ベクロメタソン(Beclomethason)、ブデソナイド(Budesonide)など);
抗生物質(例えばネオマイシン、ストレプトマイシン、クロランフェニコル、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラシクリンなど);
抗うつ薬(例えばネフォパム、オキシペルチン、ドキセピンヒドロクロリド、アモキサピン、トラゾドンヒドクロリド、アミトリプチリンヒドロクロリド、マプロチリンヒドロクロリド、フェネルジンサルフェート、デシプラミンヒドロクロリド、ノルトリプチリンヒドロクロリド、トラニルシプロミンサルフェート、フルオキセチンヒドロクロリド、ドキセピンヒドロクロリド、イミプラミンヒドロクロリド、イミプラミンパモエート、ノルトリプチリン、アミトリプチリンヒドロクロリド、イソカルボキサジド、デシプラミンヒドロクロリド、トリミプラミンマレエート、プロトリプチリンヒドロクロリドなど);
抗糖尿病薬(例えばビグァニド、ホルモン、スルフィニル尿素誘導体など);
抗真菌剤(例えばグリセオフルビン、ケロコナゾール、アンフォテリシンB、ニスタチン(Nystatin)、カンジシジンなど);
抗高血圧剤(例えばプロパノロール、プロパフェノン、オキシプレノロール、ニフェジピン(Nifedipine)、レゼルピン、メリメタファンカムシレート、フェノキシベンズアミンヒドロクロリド、パルギリンヒドロクロリド、デセルピジン、ジアゾキシド、グアネチジンモノサルフェート、ミノキシジル、レシナミン、ナトリウムニトロプルッシド、ロウウォルフィアセルペンティナ、アルセロキシロン、フェントラミンメシレート、レゼルピンなど);
抗炎症剤(例えば(非ステロイド性)インドメタシン、ナプロキセン、イブプロフェン、(ステロイド性)コルチゾーン、デキサメタゾーン、フルアザコート、ヒドロコルチゾーン、プレドニゾローン、プレドニゾーン、など);
抗新生物薬(例えばアドリアマイシン、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、デュアノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ミトマイシン、メトトレキセート、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル−CCNU、シスプラチン、エトポシド、インターフェロン、カプトテシンおよびその誘導体、フェネステリン、パクリタキセルおよびその誘導体、タキソテーレおよびその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェン、エトポシド、ピポスルファンなど);
抗不安剤(antianxiety agent)(例えばロラゼパム、ブスピロンヒドロクロライド、プラゼパム、クロルジアゼポキシドヒドロクロライド、オキサゼパム、クロルアゼペートジカリウム、ジアザパム、ヒドロキシジンパモエート、ヒドロキシジンヒドロクロライド、アルプラゾラム、ドロペリトール、ハラゼパム、クロルメザノン、ダントロレンなど);
免疫抑制剤(例えばシクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビン、FK506(タクロリマス)など);
抗偏頭痛剤(例えばエゴタミンタルタレート、プロパノロールヒドロクロリド、イソメテプテンムケート、ジクロルアルフェナゾンなど);
鎮静剤/催眠剤(例えばバリビツレート(例えばペントバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム)、ベンゾジアザピン(例えばフルラゼパムヒドロクロリド、トリアゾラム、トマゼパーム、ミダゾラムヒドロクロリド)など);
抗狭心症剤(例えばベータ−アドレナリン作用遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬(例えばニフェジピン、ジルチアゼムヒドロクロリドなど)、硝酸塩(例えばニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート、エリスリチルテトラニトレートなど);
抗精神病薬(例えばハロペリドール、ロクサピンスクシネート、ロクサピンヒドロクロリド、チオリダジン、チオリダジンヒドロクロリド、チオチキセン、フルフェナジンヒドロクロリド、フルフェナジンデカノエート、フルフェナジンエナンテート、トリフルオペラジンヒドロクロリド、クロルプロマジンヒドロクロリド、ペルフェナジン、クエン酸リチウム、プロクロルペラジンなど);
抗躁病剤(例えば炭酸リチウム);
抗不整脈剤(例えばブレチリウムトシレート、エスモロールヒドロクロリド、ベラパミルヒドロクロリド、アミオダロン、エンカイナイドヒドロクロリド、ジゴキシン、ディジトキシン、メキシレチンヒドロクロリド、ジソピラミドホスフェート、プロカイナミドヒドロクロリド、キニジンサルフェート、キニジングルコネート、キニジンポリガラクツロネート、フレカイニドアセテート、トカイニドヒドロクロライド、リドカインヒドロクロリドなど);
抗関節炎剤(例えばフェニルブタゾン、スリンダック、ペニシラミン、サルサレート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメートナトリウム、金ナトリウムチオマレート、ケトプロフェン、オラノフィン、オロチオグルコース、トルメチンナトリウムなど);
抗痛風剤(例えばコルチシン、アロプリノールなど);
抗凝血剤(例えばヘパリン、ヘパリンナトリウム、ワルファリンナトリウムなど);
血栓溶解剤(例えばウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、アルトプラーゼなど);
抗繊維素溶解剤(例えばアミノカプロン酸);
ヘモレオロジック剤(hemorheologic agent)(例えばペントキシフィリン);
抗血小板剤(例えばアスピリン、エンピリン、アスクリプチンなど);
抗痙攣剤(例えばバルプロン酸、ジバルプロエートナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビトール、フェノバルミトールナトリウム、カルバマゼピン、アモバルビトールナトリウム、メトサキシミド、メタルビタール、メホバルビタール、メフェニトイン、フェンサキシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビトールナトリウム、クロルアゼペートジカリウム、トリメタジオンなど);
抗パーキンソン剤(例えばエトサキシミドなど);
抗ヒスタミン剤/抗掻痒症剤(例えばヒドロキシジンヒドロクロリド、ジフェニルヒドラミンヒドロクロリド、クロルフェニルアミンマレエート、ブロムフェニラミンマレエート、シプロヘプタジンヒドロクロリド、テルフェナジン、クレマスチンフマレート、トリプロリジンヒドロクロリド、カルビノキサミンマレエート、ジフェニルピラリンヒドロクロリド、フェニンダミンタルタレート、アザタジンマレエート、トリペレナミンヒドロクロリド、デキスクロルフェニルアミンマレエート、メトジラジンヒドロクロライド、トリムプラジンタルタレートなど)
カルシウム調整のために有用な物質(例えばカルシトニン、パラチロイドホルモンなど);
抗菌剤(例えばアミカシンサルフェート、アズトレオナム、クロランフェニコル、クロランフェニコルパルミテート、クロランフェニコルナトリウムスクシネート、シプロフロキサシンヒドロクロリド、クリンダマイシンヒドロクロリド、クリンダマイシンパルミテート、クリンダマイシンホスフェート、メトロニダゾール、メトロニダゾールヒドロクロリド、ゲンタミシンサルフェート、リンコマイシンヒドロクロリド、トブラマイシンサルフェート、バンコマイシンヒドロクロリド、ポリミキシンBサルフェート、コリスティメテートナトリウム、コリスチンサルフェートなど);
抗ウィルス剤(例えばインターフェロンガンマ、ジドブジン、アマンタジンヒドロクロリド、リバビリン、アシクロビルなど);
抗微生物剤(例えばセファロスポリン(例えばセファゾリンナトリウム、セファラジン、セファクロール、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタンジナトリウム、セフトキシムアゾチル、セフォタキシムナトリウム、セファドロキシルモノハイドレート、セフタジディム、セファレキシン、セファロシンナトリウム、セファレキシンヒドロクロリドモノハイドレート、セファマンドールナフェート、セフォキチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジディム、セファドロキシル、セファラジン、セフロキシムナトリウムなど)、ペニシリン(例えばアンピシリン、アモキシリン、ペニシリンGベンザシン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、ベカンピシリンヒドロクロリド、クロキサシリンナトリウム、トリカルシリンジナトリウム、アズロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウム、ナフシリンナトリウムなど)、エリスロマイシン(例えばエリスロマイシンエチルスクシネート、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンラクトビオネート、エリスロマイシンシエアレート、エリスロマイシンエチルスクシネートなど)、テトラサイクリン(例えばテトラサイクリンヒドロクロライド、ドキシサイクリンハイクレート、ミノサイクリンヒドロクロリドなど)、など);
抗感染剤(例えばGM−CSF);
気管支拡張剤(例えば交感神経興奮剤(例えばエピネフリンヒドロクロリド、メタプロテレノールサルフェート、テルブタリンサルフェート、イソエタリン、イソエタリンメシレート、イソエタリンヒドロクロリド、アルブテロールサルフェート、アルブテロール、ビトルテロール、メシレートイソプロテレノールヒドロクロリド、テルブタリンサルフェート、エピネフリンビタルタレート、メタプロテレノールサルフェート、エピネフリン、エピネフリンビタルタレート)、抗コリン作用剤(例えばイプラトロピウムブロマイド)、キサンチン(例えばアミノフィリン、ジフィリン、メタプロテレノールサルフェートアミノフィリン)、マスト細胞安定剤(例えばクロモリンナトリウム)、吸入用コルチコステロイド(例えばフルリソリデベクロメタゾンジプロピオネート、ベクロメタゾンジプロピオネートモノハイドレート)、サルブタモール、ベクロメタゾンジプロピオネート(BDP)、イプラトロピウムブロマイド、ブデソニド、ケトティフェン、サルメテロール、キナホエート、テルブタリンサルフェート、トリアムシノロン、テオフィリン、ネドクロミルナトリウム、メタプロテレノールサルフェート、アルブテロール、フルニソリドなど);
ホルモン(例えばアンドロゲン(例えばダナゾール、テストステロンサイピオネート、フルオキシメステロン、テストステロンサイピオネート)、エストロゲン(例えばエストラジオール、エストロパイペート、コンジュゲイテッドエストロゲン)、プロゲスチン(例えばメトキシプロゲステロンアセテート、ノルエシンドロンアセテート)、コルチコステロイド(例えばトリアンシノロン、ベータメタソン、ベータメタソンナトリウムホスフェート、デキサメタソン、デキサメタソンナトリウムホスフェート、デキサメタソンアセテート、プレドニソン、メチルプレドニソロンアセテート懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニソロン、プレドニソロンナトリウムホスフェートメチルプレドニソロンナトリウムスクシネート、ヒドロコーチゾンナトリウムスクシネート、メチルプレドニソロンナトリウムスクシネート、トリアムシノロンヘキサカトナイド、ヒドロコーチゾン、ヒドロコーチゾンサイピオネート、プレドニソロン、フルオロコーチゾンアセテート、パラメタゾンアセテート、プレドニソロンテブレート、プレドニソロンアセテート、プレドニソロンナトリウムホスフェート、ヒドロコーチゾンナトリウムスクシネートなど)、甲状腺ホルモン(例えばレボチロキシンナトリウム)など)、など
低血糖症剤(例えばヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリン、グリブリド、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド、トラザミドなど);
ヒポリピデミック剤(hypolipidemic agent)(例えばクロフィブレート、デキストロチロキシンナトリウム、プロブコール、ロバスタチン、ニアシンなど);
タンパク質(例えばDNアーゼ、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、リパーゼなど);
核酸(例えば本記載のすべてのタンパク質を含めて治療上有用な任意のタンパク質をコードするセンス核酸またはアンチセンス核酸など);
赤血球造血刺戟に有用な物質(例えばエリトロポイエチン);
抗潰瘍剤/抗リフラックス剤(例えばファモチジン、シメチジン、ラニチジンヒドロクロリドなど);
抗悪心剤(antinauseants)/制吐剤(例えばマクリジンヒドロクロリド、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート、プロメタジンヒドロクロリド、チエチルペラジン、スコポラミンなど);
油溶性ビタミン(例えばビタミンA,D,E,Kなど);そして
ミトタン、ビサジン、ハロニトロソ尿素、アントロサイクリン、エリプチシンなどのような他の薬物。
本発明を実施するのに使用することが企図される診断薬には、超音波造影剤、放射性造影剤(例えばヨード−オクタン、ハロカーボン、レノグラフィンなど)、磁気造影剤(例えばフルオロカーボン、脂質に可溶な常磁性化合物など)、そしてまた診断薬の水に実質的に不溶である性質を適応させるために物理的なおよび(または)化学的な修飾を行なうことなく容易に投与されることのできる他の診断薬が含まれる。
本発明を実施するのに使用することが企図される栄養上の価値のある物質の例には、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物、脂溶性ビタミン(例えばビタミンA,D,E,Kなど)、脂肪またはこれらの二つ以上の組み合わせがある。
A.高剪断ホモジェニゼーションを用いるナノ粒子の形成
本発明のポリマーシェル中に含まれる薬理学的活性剤と先行技術のタンパク質微細球との重要な差異は、粒子の形成法の本質および粒子形成後のタンパク質の最終的状態、そして水溶性が劣悪であるまたは実質的に水不溶性である物質を坦持する、粒子の能力である。本発明に従う場合、ポリマー(例えばタンパク質)は、高圧ホモジェナイザー内で高剪断条件下に曝される結果、架橋されることができる。必要ならスルフヒドリル基またはジサルファイド基を有する(例えばアルブミン)バイオコンパチブルポリマー中に、溶解したまたは懸濁した薬理学的活性剤を含有する分散剤を分散するために高剪断が採用され、これによって非水性媒体の微細な液滴のまわりに架橋ポリマーのシェルが形成される。高剪断条件は液体中にキャビテーションを生じ、これによって極めて強力な局部的加熱が惹起されまた、例えば、新たにジサルファイド架橋結合を生成するようにスルフヒドリル残基を酸化することにより(そして(あるいは)現存するジサルファイド結合をこわすことにより)、ポリマーを架橋できるスーパーオキシドイオンが生成されるに至る。
本発明とは対照的に、グルタルアルデヒドの架橋を行う先行技術の方法は非特異的であり、またタンパク質構造内にある何らかの親核性基と実質的に反応を行える(例えばアミン、そしてヒドロキシル)。先行技術が教示するように、熱的変性によってタンパク質構造は顕著にまた不可逆的に変化する。対照的に本発明によって企図されるジサルファイドの形成では、タンパク質は実質的に変性しない。さらにシェル内に含まれている、水に実質的に不溶の薬理学的活性剤の粒子は、本発明の方法によって形成されるポリマーシェルが、コーティングされた粒子の直径に比べて比較的薄いので、先行技術の架橋されたまたは熱で変性されたタンパク質微細球とは異なる。ポリマーコーティングの「シェルの厚さ」は、直径が1ミクロン(1000ナノメータ)であるコーティングされた粒子の場合約25ナノメータであることがわかった(透過電子顕微鏡による)。対照的に、先行技術の微細球にはタンパク質シェルはなく、微細球の体積にわたって微細球が分散されている。
従って本発明による時、薬理学的活性剤は好適な溶媒(例えばクロロホルム、メチレンクロライド、エチルアセテート、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブタノール、ブチルアセテート、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドンなど、そしてこれらの任意の二つ以上の混合物)中に溶解される。本発明を実施するのに企図する追加的な溶媒には、大豆油、ココナッツ油、オリーブ油、紅花油、綿実油、ゴマ油、オレンジ油、リモネン油、C〜C20アルコール、C〜C20エステル、C〜C20ケトン、ポリエチレングリコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素およびこれらの組み合わせがある。
ナノ粒子を形成するための慣用的方法とは異なって、ポリマー(例えばポリ乳酸)は溶媒中に溶解されない。本発明の組成物を製造するのに使用する油相は溶媒中に溶解された薬理学的活性剤のみを典型的に含有する。
安定なナノ液滴を形成するための安定化剤として作用させるためにタンパク質(例えばヒト血清アルブミン)が次に添加される。タンパク質は約0.05〜25%(重量/体積)、一層望ましくは約0.5〜5%(重量/体積)の範囲の濃度で添加される。ナノ粒子を形成するための慣用的な方法とは異なって、混合物に界面活性剤(例えばナトリウムラウリルサルフェート、レシチン、トゥイーン(Tween)80、プルロニック(pluronic)F−68など)は添加されない。
次に、高い圧および大きな剪断力の下でのホモジェニゼーションによってエマルジョンが形成される。このようなホモジェニゼーションは約3000psiから60,000psiまでの範囲にある圧力で典型的に運転される高圧ホモジェナイザー中で実施される。このような方法は約6,000psiから40,000psiまでの範囲の圧力で実施される。得られるエマルジョンは非水性溶媒(薬理学的活性剤を溶解して含む)の極めて小さいナノ液滴とタンパク質安定化剤の極めて小さいナノ液滴とを含む。
許容されるホモジェニゼーションの方法には、高圧ホモジェニゼーション、高剪断混合機、超音波処理、高剪断インペラーなどのように高剪断とキャビテーションを生じる方法がある。
最後に溶媒が蒸発されて、薬理学的活性剤のタンパク質でコーティングされたナノ粒子とタンパク質とからなるコロイド系が生成される。許容される蒸発方法は、回転蒸発器、落下膜蒸発器、噴霧乾燥機、凍結乾燥機などの使用を含む。限外濾過もまた溶媒を除去するのに用いられてよい。
溶媒の濾過に引続いて、薬理学的活性剤とタンパク質とを含有する粉末を得るために液状懸濁液が乾燥されることができる。得られる粉末は、生理食塩水、緩衝された生理食塩水、水、緩衝された水性媒体、アミノ酸の溶液、ビタミンの溶液、炭水化物の溶液などそしてまたこれらの二つ以上を組み合わせたもののような適当な水性媒体中に好都合な任意の時に再分散されて、哺乳動物に投与されることのできる懸濁液を得ることができる。この粉末を得るために考えられる方法には、凍結乾燥、噴霧乾燥などがある。
本発明の別な一態様に従うと、異常に小さいサブミクロン粒子(ナノ粒子)つまり直径が200ナノメートルより小さい粒子を形成するための別法が提供される。このような粒子は液状懸濁液の形で使用するのに先立って無菌濾過されることができる。本発明の処方法の最終生成物(すなわち薬物粒子)が無菌濾過され得ることは、オートクレーブ処理のような慣用的な手段によって、タンパク質(例えば血清アルブミン)を高濃度で含有する分散液を殺菌することは不可能であるので、著るしく重要である。
無菌濾過可能な粒子(すなわち、200nmより小さい粒子)を得るために、薬理学的活性剤は、水と実質的に混合しない有機溶媒(例えばクロロホルムのように水中の溶解度が約5%より小さい溶媒)中に高濃度でまず溶解され、これによって薬理学的活性剤を含有する油相が生成される。好適な溶媒は上記に示されている。ナノ粒子を形成するための慣用的な方法とは異なり、ポリマー(例えばポリ乳酸)は溶媒中に溶解されない。本発明の方法で使用される油相は溶媒中に溶解された薬理学的活性剤だけを含有する。
次に水と混合可能な有機溶媒(例としては、例えばエタノールのように水中の溶解度が約10%より大きい溶媒)が、全有機相の約1〜99体積/体積%、望ましくは約5〜25体積/体積%の範囲の最終濃度となるように油相に添加される。水混合性有機溶媒は、エチルアセテート、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ブタノール、アセトン、プロピレングリコール、グリセロール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリジノンなどのような溶媒から選択できる。あるいは別に、水混合性溶媒との水不混合性溶媒の混合物が先ずつくられ、続いてこの混合物に薬理学的活性剤が溶解される。
次に、ヒト血清アルブミンまたは上記したような好適な他の任意の安定化剤が水性媒体中に溶解される。この成分は安定なナノ液滴を形成するための安定化剤として働く。必要ならば、十分な量の第1の有機溶媒(例えばクロロホルム)が、これが飽和濃度に近接するように水性相中に溶解される。計量された別個な有機相(この時、薬理学的活性剤、第1の有機溶媒および第2の有機溶媒を含む)が飽和水性相に添加され、有機相の相分率を0.5〜15体積/体積%、望ましくは1〜8体積/体積%とする。
次に、ミクロ液滴とナノ液滴とからなる混合物が小さな剪断力でのホモジェニゼーションによって形成される。これは、当技術に熟達する者によって容易に知られるように、約2,000rpmから約15,000rpmまでの範囲で運転される慣用の実験室用ホモジェナイザーを例えば使用することにより様々な方法で実施されることができる。この後、高圧(つまり約3,000psiから60,000psiまでの範囲)下のホモジェニゼーションが行なわれる。得られる混合物は、タンパク質水溶液(例えばヒト血清アルブミン)、水不溶性の薬理学的活性剤、第1の溶媒および第2の溶媒からなる。最後に、真空下で溶媒が急速に蒸発されて、無菌濾過されることのできる極度に小さいナノ粒子(つまり約10nm〜200nmの直径を有する)の形のコロイド分散系(薬理学的活性剤およびタンパク質)が生成される。粒子の好ましい寸法範囲は処方物および使用上のパラメータに応じて約50nm〜170nmの間にある。
本発明に従ってつくられるコロイド系は、これから水を除去することにより、例えば、適当な温度−時間プロフィルで凍結乾燥または噴霧乾燥することによって、粉末へとさらに転換される。タンパク質(例えばヒト血清アルブミン)そのものは凍結防止剤またはリオプロテクタント(lyoprotectant)として作用し、またこの粉末は、マンニトール、蔗糖、グリシンなどのような慣用の凍結防止剤の使用を必要とせずに、水、生理食塩水または緩衝液を添加することに容易に再構成される。必要ではないまでも、所望するなら本発明の処方物に慣用の凍結防止剤が添加されてよいことを勿論理解せねばならない。
薬理学的活性剤のコロイド系は、比較的小さい体積で大きな用量の薬理学的活性剤を投与することを可能にする。これによって、大きな容積の液体を受けいれる時の患者の不快感が最小化されまた病院での滞在が最短になる。加えて、ポリマーシェルまたはコーティングの壁は、一般にタンパク分解酵素により生体内で完全に分解されることができ(例えばポリマーがタンパク質である時)、投与システムに由来する副作用は実質的になく、これは従来の処方物によってもたらされる顕著な副作用とは鋭い対照をなす。
水に実質的に不溶な薬理学的活性を包囲するポリマーシェルを形成するために本発明を実施する際には、多くのバイオコンパチブルポリマーが使用されてよい。構造内にスルフヒドリル基またはジサルファイド結合を必要なら有する天然のまたは合成的な実質的に任意のポリマーが、水に実質的に不溶な薬理学的活性剤の粒子のまわりに、ジサルファイドが架橋したシェルをつくるために利用されてよい。スルフヒドリル基またはジサルファイド結合はポリマー構造内に前以って存在してよくあるいは適当な化学的修飾によって導入されてよい。例としては、タンパク質、ペプチド、ポリ核酸、多糖類(例えば澱粉、セルロース、デキストラン、アルギネート、キトサン、ペクチン、ヒアルロン酸など)、プロテオグリカン、リポタンパクなどのような天然のポリマーがこのような変性のために挙げられる。
本発明に従って安定化剤として使用することが考えられるタンパク質にはアルブミン(システイン残基を35個含む)、免疫グロブリン、カゼイン、インシュリン(システインを6個含む)、ヘモグロビン(aβ単位あたりシステインを6個含む)、リゾチーム(システインを8個含む)、免疫グロブリン、α−2−マクログロブリン、フィブロネクチン、ヒドロネクチン、フィブリノーゲン、リパーゼなどがある。タンパク質、ペプチド、酵素、抗体およびこれらの組み合わせが本発明での使用が企図される安定化剤の一般的な種類である。
安定化剤として使用するのに現在好ましいタンパク質はアルブミンである。水に実質的に不溶の薬理学的活性剤のシェル内に包封された粒子のマクロファージ様の細胞による取り込みを助長するため、あるいは肝臓および脾臓内へのシェル内に包封された粒子の取り込みを助長するために、既知のオプソニンであるアルファ−2−マクログロブリンのようなタンパク質が望むなら使用できるであろう。特定の位置にナノ粒子を向かわせるために特定の抗体も利用できる。バイオロジック(biologic)を所望の場所に向かわせることを容易にするであろう抗体または酵素のような他の機能性タンパク質も安定化タンパク質の成分として使用できる。
同様に合成ポリマーもまた、ポリマーシェルを有する粒子を形成するための良い候補である。さらにポリアルキレングリコール(例えば線状鎖または分枝状鎖)、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリエチルオキサゾリン、ポリアクリルアミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリラクチド/グリコリドなどおよびこれらの組み合わせもまた本発明の処方物中のバイオコンパチブルポリマーとしての良い候補である。
同様に合成ポリペプチドもまた水に実質的に不溶な薬理学的活性剤のための安定化剤としての良い候補である。さらに、本発明の実施のために使用することが企図されるのは、システイン残基および(または)ジサルファイド基を含む合成ポリアミノ酸;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されているポリビニルアルコール;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリヒドロキシエチルメタクリレート;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリアクリル酸;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリエチルオキサゾリン;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリアクリルアミド;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリビニルピロリドン;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリアルキレングリコール;遊離のスルフヒドリル基および(または)ジサルファイド基を含むように変性されたポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトンまたはこれらのコポリマー;そしてまた以上のもののいずれか二つ以上の混合物のような物質である。
本発明の組成物を製造する際、水に実質的に不溶な薬理学的活性剤を懸濁または溶解するために種々の有機媒体が使用できる。本発明を実施するのに企図される有機媒体には、薬理学的活性剤を懸濁または溶解することができ、シェルをつくるのに使用されるポリマーまたは薬理学的活性剤そのものと化学的に反応しない任意の非水性液体が含まれる。例としては、植物油(例えば大豆油、オリーブ油など)、ココナツ油、紅花油、綿実油、ゴマ油、オレンジ油、リモネン油、炭素原子を4〜30個もつ脂肪族、環式脂肪族または芳香族の炭化水素(例えばn−ドデカン、n−デカン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなど)、炭素原子を2〜30個もつ脂肪族または芳香族のアルコール(例えばオクタノールなど)、炭素原子を2〜30個をもつ脂肪族または芳香族のエステル(例えばエチルカプリレート(オクタノエート)など)、炭素原子を2〜30もつアルキル、アリールまたは環式のエーテル(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、炭素原子を1〜30個もつ(そして場合によっては一つより多くのハロゲン置換基をもつ)アルキルまたはアリールハロゲン化物(例えばCHCl,CHCl,CH−CHなど)、炭素原子を3〜30個もつケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトンなど)、ポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコールなど)、あるいはこれらの任意の二つ以上の組み合わせがある。
本発明を実施するのに使用することが考えられる有機媒体の特に好ましい組み合わせは約200℃以下の沸点を有し、またジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、ベンゼン、エタノール、ブタノール、ブチルアセテートなど(つまり、薬理学的活性剤に対する溶解度が大きくまた使用する別な有機媒体中に可溶である溶媒)のような揮発性液体を分子量がより大きい(揮発性のより低い)有機媒体とともに含む。別な有機媒体に添加されるとき、これらの揮発性添加剤は薬理学的活性剤の有機媒体中への溶解を増大させるのに役立つ。このことは、通常、この段間には時間を要するので好ましい。溶解に続いて、揮発性成分は蒸発(必要なら真空下での)によって除去されてよい。
上記のようにつくられる、ポリマーシェルと連関する薬理学的活性剤の粒子はバイオコンパチブルな水性液体中の懸濁液として投与される。この液体は水、生理食塩水、適当な緩衝剤を含有する溶液、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物、ビタミンまたは脂肪のような栄養物質を含有する溶液などから選択されてよい。
これらのバイオコンパチブル物質は、拡散および(または)基質の分解によって薬理学的活性剤、例えばパクリタキセルが放出される基質を供与するようにいくつかの物理的形態、例えばゲル(架橋されているあるいは架橋されていない)で使用されてもよい。本発明の処方物のための分散用基質として感熱性物質もまた利用されてよい。従って例えばカプキソール(登録商標)が、腫瘍の個所でゲル化しそしてカプキソール(登録商標)をゆっくりと放出する感熱性物質(例えばポリアクリルアミドのコポリマーあるいはポリアルキレングリコールのコポリマーおよびポリアクチド/グリコリド)の液状処方物中に注入されてよい。カプキソール(登録商標)処方物はパクリタキセルを制御しつつ放出する処方物を与えるように上記したバイオコンパチブルポリマーの基質中に分散されてよく、この処方物はカプキソール(登録商標)処方物(パクリタキセルと結びつけられたアルブミン)の特性によって下記に述べるように脳組織に対するより低い毒性および全身に対するより低い毒性が得られる。カプキソール(登録商標)またはこれと同様に処方される化学療法剤とバイオコンパチブルポリマー基質とのこの組み合わせは、脳および腹膜での固形腫瘍(卵巣ガン)を治療するために、そして他の固形腫瘍に対して局所的に適用する際に、化学療法剤を制御しつつ局所的に放出するのに有用であろう。これらの組み合わされた処方物はパクリタキセルを使用することだけに限定されず、また抗感染剤、免疫抑制剤、他の化学療法剤などを含めて広汎な種類の薬理学的活性のある成分とともに利用されてよい。
本記載のようにつくられる、ポリマー安定化剤中に実質的に完全に含められているあるいはこれと結びつけられているコロイド状粒子は単独にあるいは望むならバイオコンパチブル媒体中の懸濁液として投与される。この媒体は水、緩衝された水性媒体、生理食塩水、緩衝生理食塩水、望むなら緩衝されたアミノ酸溶液、望むなら緩衝されたタンパク溶液、望むなら緩衝された糖溶液、望むなら緩衝された炭水化物溶液、望むなら緩衝されたビタミン溶液、望むなら緩衝された合成ポリマー溶液、脂質を含有するエマルジョンなどから選択されてよい。
さらにコロイド状粒子は望むなら好適な物質によって変性されることができ、この場合この物質は望むなら共有結合によってポリマー層に結びついている。このような結合として考えられる共有結合には、エステル、エーテル、ウレタン、ジエステル、アミド、第二アミンまたは第三アミン、ホスフェートエステル、サルフェートエステルなどがある。ポリマーシェルを望むならこのように変性するために考えられる好適な物質には、合成ポリマー(ポリアルキレングリコール(例えば線状あるいは分枝鎖のポリエチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸ポリエチルオキサゾリン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなど)、燐脂質(ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、スフィンゴミエリンなどのような)、タンパク質(酵素、抗体などのような)、多糖類(澱粉、セルロース、デキストラン、アルギネート、キトサン、ペクチン、ヒアルロン酸などのような)、化学的変性剤(ピリドキサル5′−ホスフェート、ピリドキサルの誘導体、ジアルデヒド、ジアスピリンエステルなどのような)、あるいはこれらの二つ以上の任意の組み合わせがある。
安定化されたコロイド状粒子についての一般的なテーマに関して変更を行うことができる。バイオコンパチブル分散剤中の薬理学的物質の微細粒子の懸濁液は、分散剤で懸濁されたバイオロジックの粒子を含むポリマーシェルをつくるために(溶解されたバイオロジックを含有するバイオコンパチブル分散剤の代りに)使用できよう。換言するとポリマーシェルは分散剤中のバイオロジックの飽和溶液を含んでよいであろう。別な変形は、揮発性有機溶媒(例えばベンゼン)中にバイオロジックをまず溶解し、ポリマーシェルを形成しそして揮発性溶媒を真空下で、例えば蒸発器、噴霧乾燥機内で蒸発し、あるいは懸濁液全体を凍結乾燥することにより形成されるバイオロジックの固体のコアを含むポリマーシェルである。これによってポリマーコーティングによって包囲されたバイオロジックの固体のコアを有する構造が得られる。この後者の方法は比較的小さい体積で大きな用量を投与するのに特に有利である。ある場合には、コアのまわりにシェルを形成するバイオコンパチブル物質はそれ自体が治療剤または診断剤であり、例えばインスリンの場合は、それが、上記した方法で形成されたポリマーシェルの一部として投与されてよい。別な場合、シェルを形成するポリマーは、例えば、標的に向けるために使用される抗体の場合あるいはヘモグロビンの場合、バイオロジックを投与する際に一緒にかかわってよく、ヘモグロビンは上記した超音波照射法で形成されるポリマーシェルの一部として投与されてよく、これによって酸素に対する結合能力が大きい血液代用物が提供される。
技術上熟達する者なら、本発明のこの面に関する範囲および趣意のうちでいくつかの改変が可能であることを認めるであろう。ポリマーシェル中の有機媒体は変更されてよく、広汎な種類の薬理学的活性剤が利用されてよくまた広い範囲のタンパク質そしてまた天然のおよび合成的なポリマーがポリマーシェルの壁を形成する際に使用されてよい。薬物、診断剤(画像化への応用での)、人工血液および腸管外栄養物質の投与のような生医学的応用以外に、本発明のポリマーシェル構造物は、スキンクリームまたはヘアケア製品のような化粧品塗布物中に、香料塗布物中に、感圧インキ中などに含められてよい。
本発明のこの面について、以下の限定的ではない実施例を参照しつつ以下に一層詳細に述べる。
例 1
高圧均質化によるナノ粒子(nanoparticle)の製造
パクリタキセル(paclitaxel)30mgを3.0mlの塩化メチレンに溶かした。この溶液をヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)27.0mlへ加えた。粗製エマルションをつくるため混合物を低RPMで5分均質化し(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルションを少なくとも五回再循環させて乳化を9000−40,000psiで行なった。得られた系を回転蒸発器に移し、塩化メチレンを減圧(30mmHg)で20−30分間40℃で迅速に除いた。得られた分散系は半透明であり、生じたパクリタキセル粒子の典型的な直径は160−220nmであった(Z−平均、Malvern Zetasizer)。凍結防止剤をなんら添加することなく分散系を48時間更に凍結乾燥した。この結果生じたケーキは滅菌水または食塩水の添加により、容易に元の分散液に戻すことができた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。
例 2
通常の界面活性剤とタンパク質の使用は大型結晶の形成を起こす
下記の例は、従来の溶媒蒸発法で使用される界面活性剤添加の効果を実証するものである。例1で述べた方法と同様の手順を用いて一連の実験を行なうが、Tween 80といった界面活性剤(1%から10%)を有機溶媒へ加える。塩化メチレン除去後、光学顕微鏡により、また偏光下で見たとき、1−2ミクロンの平均粒径をもつ多数のパクリタキセル結晶が得られることが分かった。これら結晶は2,3時間以内に成長して非常に大きい針様結晶を形成し、これは約5−15ミクロンの範囲内の大きさを有した。他の常用界面活性剤、例えば Pluronic F−68,Pluronic F−127,Cremophor ELおよびBrij 58、を用いても同様な現象が観察された。
これらの結果から、通常の界面活性剤をアルブミンのようなタンパク質と併用する従来の溶媒蒸発法は、極性溶媒(例えば、塩化メチレン)を使用しても、重合体の芯無しにはミクロン以下の薬物粒子(例えば、パクリタキセル)の形成に適さないと結論できる。
例 3
通常の界面活性剤の単独使用は大型結晶の形成を起こす
本例は、重合体芯材料無しに通常の界面活性剤を用いても、極性、水非混和性溶媒(例えば、クロロホルム)に可溶の薬理活性薬剤でナノ粒子をつくることは不可能なことを実証するものである。
タキソール30mgをクロロホルム0.55mlとエタノール0.05mlに溶かした。この溶液をクロロホルム1%で前飽和させた Tween 80溶液(1% w/v)29.4mlへ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルションを少なくとも六回再循環させながら、乳化を9000−40,000psiで行なった。得られた系を回転蒸発器に移し、クロロホルムを40℃で減圧(30mmHg)において15−30分迅速に除去した。生じた分散系は不透明であり、薬物の大きい針様結晶を含んでいた。結晶の初期の寸法(偏光によっても観察)は0.7−5ミクロンであった。分散系を室温で数時間貯蔵すると結晶の寸法は更に増加し、最後には沈殿を生成した。
例 4
200nm未満の無菌濾過できるナノ粒子の調製
本例は、無菌濾過の可能な薬物粒子を得ることのできる方法を説明する。このようにして、30mgのタキソールをクロロホルム0.55mlとエタノール0.05mlに溶かした。この溶液を、1%のクロロホルムで前飽和させたヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)29.4mlへ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルションを少なくとも六回再循環させながら、乳化を9000−40,000psiで行なった。得られた系を回転蒸発器へ移し、クロロホルムを40℃で、減圧(30mmHg)において15−30分迅速に除いた。生じた分散系は半透明であり、得られた粒子の典型的な直径は140−160nm(Z−平均、Malvern Zeta Sizer)であった。この分散系を0.22ミクロン濾過器(Millipore)に通して濾過したが、濁り度、あるいは粒径に有意な変化がなかった。タキソール含量のHPLC分析は、タキソールの97%より多くが濾過後に回収されたことを示し、従って無菌タキソール分散系が得られたことになる。
この無菌分散系を凍結防止剤の添加無しに更に48時間凍結乾燥した。得られたケーキは無菌水または食塩水の添加により元の分散系に容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。
例 5
200nm未満の無菌濾過できるナノ粒子の調製
本例は無菌濾過の可能な薬物粒子を得ることのできる方法を説明する。従って、225mgのタキソールをクロロホルム2.7mlとエタノール0.3mlに溶かした。この溶液を97mlのヒト血清アルブミン溶液(3% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルションを少なくとも六回再循環させながら、乳化を9000−40,000psiで行なった。得られた系を回転蒸発器に移し、40℃で、減圧(30mmHg)において、15−30分クロロホルムを迅速に除去した。生じた分散系は半透明であり、得られた粒子の典型的な直径は140−160nm(Z−平均、Malvern Zeta Sizer)であった。この分散系を0.22ミクロン濾過器(Sartorius, sartobran 300)に通して濾過しても濁り度あるいは粒径に有意な変化がなかった。タキソール含量のHPLC分析は、用いた条件により、濾過後70−100%のタキソールを回収できたことを典型的に示した。このようにして、無菌タキソール分散系が得られた。
無菌分散系を無菌ガラスびん中に無菌的に詰め、凍結防止剤を加えずに凍結乾燥した。得られたケーキは、無菌水または食塩水の添加により最初の分散系に容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。
例 8
モデル薬物のナノ粒子形成
イソレセルピン(モデル薬物)30mgを3.0mlの塩化メチレンに溶かした。この溶液を27.0mlのヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも五回再循環させながら、9000−18,000psiで乳化を行なった。生じた系を回転蒸発器へ移し、40℃で、減圧(30mmHg)において20−30分塩化メチレンを迅速に除いた。得られた分散系は半透明であり、生じた粒子の典型的な直径は120−140nmであった(Z−平均、Malvern Zetasizer)。分散系を0.22ミクロン濾過器(Millipore)に通して濾過した。
この無菌分散系を、凍結防止剤を加えずに、更に48時間凍結乾燥した。生じたケーキは無菌水または食塩水の添加によりもとの分散系へ容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。
例 9
モデル薬物を用いる極小粒子の形成
粒径縮小に及ぼすエタノール添加の効果をイソレセルピンについて実証した。このようにして、イソレセルピン30mgを塩化メチレン2.7mlおよびエタノール0.3mlに溶かした。この溶液を27.0mlのヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも5回再循環させながら、9000−40,000psiで乳化を行なった。得られた系を回転蒸発器へ移し、40℃で、減圧(30mmHg)において、20−30分塩化メチレンを迅速に除去した。生じた分散系は半透明で、生じた粒子の典型的な直径は90−110nm(Z−平均、Malvern Zetasizer)であった。この分散系を0.22ミクロン濾過器(Millipore)に通して濾過した。
この無菌分散系を、凍結防止剤の添加なしで更に48時間凍結乾燥した。生じたケーキは無菌水または食塩水の添加によりもとの分散系へ容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。
例10
薬物で過飽和とした水混和性溶媒単独の使用、本発明方法に対して不適当
タキソールパクリタキセル30mgを0.6mlのエタノールに分散させた。この濃度(50mg/ml)においては、タキソールパクリタキセルは完全には溶解せず、過飽和分散液を生ずる。この分散系を29.4mlのヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)へ加えた。粗製分散系をつくるため、混合物を低RPMで5分均質化し(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも六回再循環させながら、9000−40,000psiで乳化を行なった。得られた系を回転蒸発器へ移し、エタノールを40℃で、減圧(30mmHg)において、15−30分迅速に除去した。生じた分散系の粒径はきわめて幅広く、約250nmから数ミクロンまでに及んだ。
顕微鏡下の観察は、タキソールパクリタキセルの大きい粒子と典型的な針状結晶の存在を示した。これら粒子は静脈注射に対して大き過ぎた。この実験は、水に自由に混和しうるエタノールのような溶媒を本発明方法に用いると、非常に幅広い粒径分布をもつ大きい粒子の生成を起こし、それ自体単独では本発明方法に使用できないことを実証している。従って、本発明方法は、薬物成分の溶解あるいは分散に単独で使用する場合に、水と混和しうる溶媒の使用を明確に排除する。本発明方法は、このような溶媒を使用しなければならないときは、本発明ナノ粒子の製造を可能ならしめるために、本質的に水と混和しない溶媒と混合しなければならないことを要求する。
例12
X線粉末回折によるナノ粒子形のパクリタキセルの物理的状態の決定
パクリタキセル粗製物質は、種々な大きさ、典型的には5−500ミクロン、の針状結晶として普通存在する。静脈注射用の薬物製剤中に結晶が存在すると、もしそれが数ミクロン以上の大きさで存在するなら、毛細血管をふさぐ可能性があるので明らかに有害である。その上、薬物結晶の溶解性は、一般に無定形薬物の溶解性より低いので、静脈内投与後の薬物のバイオアベイラビリティを低下させる。製剤中の薬物含有量を増すにつれて、結晶化の傾向も増加することも公知である。従って、製剤は薬物を本質的に無定形の状態で含むのが有利である。
X線粉末回折法を用いることにより、凍結乾燥された粉末製剤中のパクリタキセルの結晶または非結晶の性状を測定した。次の試料を分析した:試料1−パクリタキセル粉末;試料2−凍結乾燥した血清アルブミン;試料3−パクリタキセルとアルブミンとの物理的混合物;および試料4−製剤化されたパクリタキセル。各試料にCuKa放射線、加速電圧40KeV/30mA、ステップサイズ0.05°2−シータ、およびデータ取り込み時間2.0秒/ステップを使用して2°から70°2−シータ角からX線を当てた。試料1は結晶性試料の典型である強いピークを示した。最も強いパクリタキセルピークは5.1°2−シータに位置した。試料2は無定形材料の典型である幅広い突出部を示した。試料3は殆ど大部分試料2の幅広い突出部を示したが、それに加えて、5.1°2シータのところにパクリタキセルのピークが見られた。試料4、即ち製剤化されたパクリタキセル、はパクリタキセルの結晶質の特徴の証拠を示さず、試料2と同一に見え、このことは製剤化された試料中に実質的に無定形な薬理活性薬剤が存在することを示している。
本発明方法に従って製造されたナノ粒子の無定形性は、ナノ粒子を製造するためにこの分野で述べられた他の方法によりつくられた製品と直接対比を示す。例えば、米国特許第5,145,684号(Liversidge 等)に記載された、またLiversidge-Merisko 等、pharmacentical Research, 13(2):272−278(1996)に記載された粉砕技術の使用は実質的に結晶性の製品を生ずる。
例13
高圧均質化によるシクロスポリン(カプソリン、静脈内)のナノ粒子の製造
シクロスポリン30mgを塩化メチレン3.0mlに溶かした。次にこの溶液を27.0mlのヒト血清アルブミン溶液(1% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、この混合物を低RPM(Vitris ホモジナイザーモデル:Tempest I.Q.)で5分均質化し、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも5回再循環させながら、9000−40,000psiで乳化を行なった。得られた系を Rotavap に移し、塩化メチレンを40℃で、減圧(30mmHg)において、20−30分迅速に除去した。生じた分散系は半透明であり、得られた粒子の典型的な直径は160−220nm(Z−平均、Malvern Zetasizer)であった。
この分散系を、凍結防止剤の添加なしで、48時間更に凍結乾燥した。得られたケーキは無菌水または食塩水の添加によりもとの分散系へ容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。
例14
高圧均質化によるシクロスポリン(カプソリン経口用)のナノ小滴の製造
シクロスポリン30mgを3.0mlの適当な油(オレンジ油10%を含む胡麻油)に溶かした。次に溶液を27.0mlのヒト血清アルブミン溶液(1% v/w)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPM(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)で5分均質化し、次に高圧ホモジナイザー(Avestin)へ移した。エマルションを少なくとも5回再循環させながら、9000−40,000psiで乳化を行なった。生じた分散系は160−220nm(Z−平均、Malvern Zetasizer)の典型的な直径を有した。
この分散系は直接使用できるが、あるいは適当な凍結防止剤を任意に加えることにより、48時間凍結乾燥することもできる。生じたケーキは無菌水または食塩水の添加により、もとの分散系へ容易に再構成できた。
B.超音波を用いるナノ粒子の形成
高せん断ホモジネーションの使用と同様に、水不溶性の生理学的活性剤の蛋白質被覆ナノ粒子の形成のための超音波使用は、分子内ジスルフィド結合の形成を介して蛋白質を架橋することによって作用すると信じられる。前記した高せん断ホモジネーション技術による先行技術を上回る多くの利点が、以下に記載する超音波方法にも同様に適用される。
超音波方法に使用される有機溶媒、蛋白質および非蛋白質ポリマーに関しては、高せん断ホモジネーションに関して前記したそれらの組成が参照される。同じ組成の全てが、両者の方法に同様に働くと期待される。
本発明のこの点は、以下の非限定例を参照して更に詳細に記載される。
例15
抗喘息薬の吸入薬のための製剤
抗喘息医薬品は、乾燥粉末吸入器(DPI)に有効な製剤をつくるため、ミクロ粒子技術を用いて製造されて来た。ステロイド系薬物(例えば、ベクロメタソン、ベクロメタソンニプロピオネート、ブデソニド、デキサメタソン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニドなど)から出発して、呼吸器への効果的な送り込みを確保するために適した粒径と放出特性を有する乾燥製剤がつくられた。
この製剤は、溶媒に溶かした活性薬物をタンパク質水溶液中に分散させてナノ粒子のエマルションをつくるという超音波処理技術、または均質化を用いてつくられる。次にこのエマルションを蒸発させて溶媒を除き、溶液のタンパク質で被覆された活性薬物を残す。コロイド薬物粒子を含むこの液体試料を Malvern Zetasizer により測定し、260nmのZ−平均粒径を得た。特に適当な具体例においては、これらコロイド粒子の粒径の範囲は約50−1,000nmであり、一層好ましくは約70−400nmである。
この液体形には他の付形薬を溶かすことができる。このような付形薬の例として(しかし、これに制限されない)、マンニトール0.5−15%、ラクトース0.1−5%、およびマルトデキストリンが挙げられる。この段階で得られる活性薬物、タンパク質、および付形薬の溶液は、噴霧乾燥するか、あるいは凍結乾燥し、粉砕して乾燥粉末とする。噴霧乾燥後の乾燥粒径を Malvern Mastersizer で測定しD(v.0.5)約1−10μmを得た。これら粒子に対し特に適当な粒径範囲は0.5−15μmであり、一層好ましい範囲は0.7−8μmである。
次にこの噴霧乾燥粉末を付形剤担体粉末と混合する。この場合にも、幾つかの担体、例えばラクトース、トレハロース、ファルマトース325M、ショ糖、マンニトールなど、が利用できる。担体粉末の粒径は製剤化された薬物粒子のそれよりもかなり大きい(ラクトースに対しては〜63−90μm、ファルマトースに対しては40−100μm)。
乾燥粉末製剤の効力は、Andersen 8段階カスケードインパクターを用いる試験により実証される。インパクター試験の結果は、微細粒子分率(FPF)〜60%を示す。これは呼吸器沈着にふさわしい大きさをもつ粒子のきわめて効果的な放出を示す。このFPFは驚く程高く、そして大きい製剤粒子中に薬物のコロイド状ナノ粒子を含む製剤組成の結果である。
この製剤は、DPIによるエーロゾル投与に対する乾燥粉末製剤の処理と構成におけるミクロ粒子および噴霧乾燥技術の適用性を示している。ここに示した高いFPFの結果は、DPI製剤への効率のよいかつ有望な方法を示す。
例16
現在適当とされる製造法の要約:BDSとして1グラムのパクリタキセルから
出発
3%HSA溶液をつくる。25%アルブテイン51.7mlへ注射用の水379.3mlを加える。十分よく混合し、溶液を無菌0.22μm Nalgene 使い捨て濾過器に通して濾過する。使用まで4℃に保つ。
パクリタキセル1.0gをガラスびんに秤り取る。CHClとエチルアルコールをびん中で適当な割合で合わせ、よく混合する。このパクリタキセルへクロロホルム/エチルアルコール混合物13.33mlを加える。かきまぜてすべてのパクリタキセルを溶かす。この溶液を0.22ミクロン無菌テフロンフィルターに通して濾過し、無菌ガラスびん中に集める。
ガラスびん中の溶けたパクリタキセル溶液へHSA溶液を加える。Sentry Microprocessor ミキサーを用いてパクリタキセル/HSA溶液を混合する。溶液を混合しながら内容物をホモジナイザーのチャンバー中に注ぎ込む。求める粒径が得られるまで、混合物をある圧力でホモジナイザーに循環させる。均質化された試料を無菌の Kontes 丸底フラスコに集める。
最終試料を入れたフラスコを回転蒸発器に付ける。回転蒸発器の最大限まで真空で回転させて有機溶媒を蒸発させる。これによりヒトアルブミン中パクリタキセルのコロイド溶液を生ずる。この回転蒸発させた試料の〜3mlを粒径の分析に備えて保存する。
無菌フード下で、無菌0.45/0.2μmフィルターを使用してコロイド溶液を濾過し、無菌の受器に集める。パクリタキセル濃度をHPLCにより分析するために、濾過した試料の〜3mlを保存する。
一びん当りパクリタキセル30mgを得る容器一杯の量(あるいは他の誘導量)を決定する。無菌濾過した試料をオートクレーブにかけた Wheaton 30mlびん中に各びん約17mlまで入れる(検定法に基づく)。びんをオートクレーブにかけた Wheaton 血清びんのストッパーで閉じる。各びんは約30mgのパクリタキセルを含むに違いない。
試料をFTSシステムストッパーリング(System Stoppering)トレー凍結乾燥機で、所定の凍結乾燥サイクルを用いて凍結乾燥する。試料が凍結乾燥し終ってから、びんに施栓し、びんを20mm Wheaton アルミニウム引剥がしキャップで、その端を曲げることにより封じる。試料に適当にレッテルを貼る。全過程は無菌条件下に清潔な室環境で行なう。
凍結乾燥された試料は、残留溶媒を<1000ppm、更に好ましくは<500ppm、更には<100ppmのレベルで含む。
最終生成物の無菌濾過:溶媒を蒸発により除去した後、フラスコ中のパクリタキセルのコロイド溶液を、コンビネーション0.45/0.2ミクロン滅菌フィルターに通して無菌濾過する。濾過した溶液を無菌ビーカーに集め、30mlのびん中に無菌的に詰める。次にびんを凍結乾燥機に入れる。凍結乾燥サイクルの完了後、びんを乾燥無菌窒素ガスで掃気し、窒素気流下で栓をする。
高圧均質化法を利用すると細菌および他の細胞を破って殺し、その内容物を抽出できることは注目に値する。
例17
油を含むタンパク質殻の調製
USP(合衆国薬局方)5%ヒト血清アルブミン溶液(Alpha Therapentic Corporation)3mlを、超音波処理プローブ(Heat Systems、モデルXL2020)に付けることのできる円筒容器に採った。このアルブミン溶液を6.5mlのUSP品等大豆油(soya oil)で重層した。ソニケータープローブのチップをこれら二溶液間の境界に配置し、組み立てを20℃の冷却浴中に保持した。系を平衡化させ、ソニケーターを30秒働かせた。激しい混合が起こり、白い乳状懸濁液が得られた。この懸濁液を通常の食塩水で1:5に希釈した。粒子カウンター(Particle Data Systems, Elzone、モデル280PC)を用いて粒径分布と油含有タンパク質殻の濃度を測定した。生じたタンパク質殻は、最大横断面寸法約1.35±0.73ミクロンを有すると測定され、また全濃度は最初の懸濁液中〜10殻/mlであると測定された。
対照としてのタンパク質を含まない上記成分は、超音波照射に当てたとき安定なミクロエマルジョンを形成しなかった。この結果は、タンパク質が微小球の形成に不可欠であることを示している。このことは後述の走査電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡写真の研究により確証された。
例18
溶解パクリタキセルを含む重合体殻の調製
パクリタキセルをUSP品等大豆油に2mg/mlの濃度で溶かした。USP5%ヒト血清アルブミン溶液3mlを、超音波処理プローブに付けることのできる円筒容器に採った。アルブミン溶液を大豆油/パクリタキセル溶液6.5mlで重層した。ソニケータープローブのチップを二溶液間の境界面に配置し、組み立てを平衡状態に維持し、ソニケーターを30秒働かせた。激しい混合が起こり、安定な白い乳状懸濁液が得られ、このものは油/パクリタキセル溶液を封入したタンパク質壁をもつ重合体殻を含んでいた。
橋かけタンパク質殻中への薬物の高い添加量を得るために、油と薬物とに対する相互溶媒(この溶媒中に薬物は相当に高い溶解度をもつ)を油と混合することができる。もしこの溶媒が比較的無毒性であるならば(例えば、酢酸エチル)、本来の担体と共に注射できるかも知れない。他の場合では、重合体殻の調製後、液体の真空蒸発によってこれを除去してもよい。
幾つかの異なる方法を用いて本発明製剤の物理的諸特性を得ることができることが分かる。特定の器官部位(前立腺、肺、膵臓、骨、腎臓、心臓)における高い局所濃度の、本製剤と関連した生物学的性質ならびに高い効力と関連した低毒性(LD50増加、脊髄抑制(myelosuppression)減少、脳毒性減少)は製造法と無関係である。
例19
超音波処理によるナノ粒子の調製
パクリタキセル20mgを1.0mlの塩化メチレンに溶かした。この溶液を4.0mlのヒト血清アルブミン溶液(5% w/v)へ加えた。粗製エマルションをつくるため、混合物を低RPM(Vitris ホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)で5分均質化し、次に40kHzソニケーターセル中へ移した。超音波処理を0度で60−90%パワーで1分間行なった(550 Sonic Dismembrator)。混合物を回転蒸発器に移し、塩化メチレンを40℃で、減圧(30mmHg)において20−30分迅速に除去した。生じた粒子の典型的な直径は350−420nm(Z−平均、Malvern Zetasizer)であった。
この分散系を、凍結防止剤を加えずに、48時間更に凍結乾燥した。得られたケーキは無菌水または食塩水の添加により元の分散系へ容易に再構成できた。再構成後の粒径は凍結乾燥前と同じであった。
例20
フルオロホアを含む橋かけタンパク質殻のin vivo 生体内分布
静脈内注射後のタンパク質重合体殻内に捕捉された液体の取り込みおよび生体内分布を測定するため、ヒト血清アルブミン(HSA)タンパク質重合体殻内に蛍光染料(ルブレン、Alarich から入手可)を取り込ませ、マーカーとして用いた。このようにして、ルブレンをトルエンに溶かし、トルエン/ルブレンを含むアルブミン殻を、超音波照射により前記と同様に調製した。生じた乳状懸濁系を通常の食塩水で5倍に希釈した。次に希釈懸濁液2mlをラットの尾静脈中に10分にわたり注射した。注射の1時間後、1頭の動物を殺し、他は注射の24時間後に殺した。
肺、肝臓、腎臓、脾臓、および骨髄を100ミクロン凍結断面を、蛍光顕微鏡下で、重合体殻に捕捉された蛍光染料または解放された染料の存在について検査した。1時間では、重合体殻の大部分は完全(即ち、直径約1ミクロンの明るく蛍光を発する粒子として見える)であるように見え、そしてこれらは肺と肝臓に位置していた。24時間では、肝臓、肺、脾臓、および骨髄に染料が観察された。組織の一般的染色も観察されたが、このことは重合体殻の殻壁が消化され、内部から染料が遊離したことを示している。この結果は予期した通りであり、本発明組成物をタキソールと云った捕捉医薬製剤の遅延または制御放出に使用できる可能性を実証する。
例21
大豆油(SBO)を含む重合体殻の毒性
大豆油を含む重合体殻を例15に記載のようにして調製した。得られた懸濁系を通常の食塩水で希釈して二つの異なる溶液、即ち一つは20% SBOを含み、他は30% SBOを含む、をつくった。
市販TPN剤であるイントラリピド(Intralipid)は20%SBOを含む。イントラリピドのマウスにおけるLD50は120ml/kg、あるいは30gマウスに対し約4ml(1cc/分で注射したとき)である。
2群のマウス(各群マウス3頭、各マウスの体重約30g)を、下記のようにSBOを含む本発明組成物で処置した。各マウスにSBO含有重合体殻の調製された懸濁液4mlを注射した。一つの群の各動物は、20% SBOを含む懸濁液を受け、一方他の群の各動物は30% SBOを含む懸濁液を受けた。
20% SBOを含む懸濁系を投与された群中の3頭全部のマウスはこのような処置で生存し、SBO処置後1週間で観察したとき、どの組織あるいは器官においても著しい毒性を示さなかった。30% SBOを含む懸濁液を投与された群の3頭のマウスのうち1頭だけが注射後死んだ。これらの結果は、本発明に係る重合体殻内に含まれた油は、市販SBO製剤(Intralipid)と比較したとき、そのLD50用量において有毒でないことをはっきり示している。この結果は、重合体殻内からの油の緩徐な放出(即ち、生体利用が可能となる制御された速度での放出)に帰せられる。このようなゆっくりした放出は、市販エマルションで到達する高い油投与量とは著しく異なって、油の致死量への到達を防止するのである。
例22
重合体殻から放出される大豆油の生体内バイオアベイラビリティ
重合体殻の懸濁液をラット血流中に注射した後の、重合体殻に封入された物質の緩徐あるいは持続放出を測定する試験を行なった。大豆油(SBO)を含む橋かけタンパク質(アルブミン)壁をもつ重合体殻を前記超音波処理によりつくった。得られた油含有重合体殻の懸濁系を、20%の油を含む最終懸濁系まで食塩水で希釈した。この懸濁系5mlを、10分間にわたりラットのカニューレ挿入した外頚静脈中に注射した。注射後、幾つかの時間点でこれらラットから採血し、血中のトリグリセリド(大豆油は主としてトリグリセリドである)濃度を日常的分析により定量した。
対照として、市販脂肪エマルション(Intralipid、水性非経口栄養剤、大豆油20%、卵黄ホスホリピド1.2%およびグリセリン2.25%を含有)5mlを用いた。この対照はエマルションを安定化する乳化剤として卵ホスファチドを用いている。これら二つの場合におけるトリグリセリドの血清中濃度の比較は、時間の関数として、油のバイオアベイラビリティの直接の比較を与えるであろう。油20%を含む重合体殻の懸濁系の外に、油30%の最終濃度で食塩水中油含有重合体殻の試料5mlも注射した。3群の各々に2頭のラットを用いた。各場合におけるトリグリセリドの血中濃度を、mg/dlの単位で示した表1に表示する。
Figure 0005405527
注射前の血中濃度を「Pre」と印したコラムに示す。Intralipid 対照については、注射後非常に高いトリグリセリド濃度が見られることは明らかである。トリグリセリド濃度が注射前の濃度まで下がるのに約24時間かかることが分かる。従って、油は注射後すぐに代謝に利用されることが分かる。
Intralipid(20%と同じ量の総油を含む油含有重合体殻の懸濁系は、血清中の検出できるトリグリセリドの劇的に異なる利用効率(availability)を示す。このレベルは、正常値の約2倍に上昇し、このレベルに何時間も保持される。このことは、トリグリセリドが血中にかなり正常値に近いレベルで徐々に、あるいは持続して、放出されることを示している。30%の油を含む油含有重合体殻を投与された群は、より高いトリグリセリド濃度(高い投与量と相伴って)を示し、これは48時間以内に正常値に下がる。この場合にもトリグリセリドの血中濃度は、Intralipid を受けた対照群と比較して、この群では天文学的には上昇しない。このことも本発明組成物からの油の緩徐な、そして持続した生体利用効率を示すものであり、重合体殻内に含まれた物質の危険な程高い血中濃度の回避と受け入れられる濃度での長時間にわたる生体利用効率という利点をもつ。明らかに本発明重合体殻内に入れて投与された薬物はこれらの同じ利点を達成する筈である。
大豆油を含む重合体殻のこのような系は、これをアミノ酸、必須電解質、ビタミン類、および糖類の水溶液中に懸濁させることにより、総非経口栄養(TPN)剤をつくることができる。このようなTPNは、現在入手できる脂肪エマルション(例えば Intralipid)から処方することはできない。それは該エマルションが電解質の存在下で不安定だからである。
例23
製薬上活性な薬剤の固形芯を含むタンパク質壁重合体殻の製造
パクリタキセルのような水に僅溶性の薬物を重合体殻内に供給するもう一つの方法は、固体薬物芯の周りに重合体材料の殻をつくることである。このような「タンパク質被覆された」薬物粒子は次のようにして得られる。パクリタキセルを比較的高濃度で溶かす有機溶媒を用いて、例16に記載の手順を繰り返す。一般に使用される溶媒はベンゼン、トルエン、ヘキサン、エチルエーテル、クロロホルム、アルコールなどといった有機化合物である。重合体の殻は、例15に記載のようにしてつくられる。溶解したパクリタキセルを含む重合体殻の乳状懸濁系5mlを通常の食塩水で10mlに希釈する。この懸濁系を回転蒸発器に入れ、揮発性有機物を真空で除く。得られた懸濁系を顕微鏡下で検査したところ不透明な芯が示され、このことは実質的にすべての有機溶媒が除去されたことおよび固体のパクリタキセルが存在することを示している。この懸濁系は永久的に冷凍し、貯蔵することができ、そして後日直接使用することができ、あるいは凍結乾燥することもできる。
別法として、有機溶媒を含む溶解薬物の芯を有する重合体殻を凍結乾燥して乾いた砕けやすい粉末を得、このものは使用時に食塩水(または他の適当な液体)中に再懸濁できる。重合体殻の形成に使用するために現在特に適当とされるタンパク質はアルブミンであるが、マクロファージ様細胞による重合体殻の取り込みを促進するため、他のタンパク質、例えばα−2−マクログロブリン(公知のオプソニン)、も使用できるであろう。別法として、PEGのような分子を粒子中に取り込んで、生体内の循環時間を長くした重合体殻をつくることもできる。
C.自発性ミクロエマルジョンによるナノ粒子の生成
超音波処理、高せん断均質化、または他の高エネルギー技術を用いずにナノ粒子をつくることも可能である。従って、必要に応じ本質的に純粋な薬物の懸濁系(あるいは乾燥粉末)をつくることができる。
ミクロエマルジョンは熱力学的に安定な乳濁系であり、高せん断装置あるいは他の実質的なかきまぜの欠如下で、その全成分を接触させたとき自然に形成される。ミクロエマルジョンは実質的に不透明でなく、それらは透明または半透明である。ミクロエマルジョンは典型的な小滴の粒径が1000オングストローム(Å)以下である分散相からなり、そのため光学的透明さをもつ。ミクロエマルジョン中の小滴は典型的には球状であるが、長く伸びた円筒形といった他の構造も可能である。[更に詳しい論議を必要とする場合には、例えば、
Figure 0005405527
下に示すように、本発明は油相の除去後、極端に小さいナノ粒子の入手に向かって、第一段階としてミクロエマルジョンの独特な特徴を利用するものである。
前記の通り、ミクロ粒子およびナノ粒子は種々な方法、特に溶媒蒸発法によりつくることができる。この方法は、原理上、ローター−ステーターミキサー、ソニケーター、高圧ホモジナイザー、コロイドミルなどといった種々な装置により、高いせん断力をかけながら、界面活性剤の存在下で簡単な水中油型エマルションをつくることに基づいている。分散した油の小滴中に溶けた重合体および薬物を含むこのようなエマルションの形成後、典型的には減圧、高温で、蒸発させることにより油相を除去し、溶解した薬物および重合体のミクロ粒子あるいはナノ粒子を形成させる。明らかに粒径はエマルションの小滴の大きさに依存し、小滴が小さい程生ずる粒子は小さい。小さいエマルション小滴は非常に高いエネルギーをかけることによってのみ達成でき、そしてその場合、最も進歩した高圧ホモジナイザー、例えばミクロフルイダイザー(Microfluidizer)、を使用しても75nm以下のエマルション小滴を達成することは実際的でない。エマルションは本来不安定な系であり、凝集や小滴合体といった過程を受けやすいので、このようなエマルションに対する溶媒蒸発法は大粒子を生じるかも知れない。
通常のエマルションに溶媒蒸発法を適用することに付随する問題を克服する新しい方法は下記の段階からなる:
a.水に対して低い溶解度をもち、そして水より高い蒸気圧を有する溶媒に、水に不溶の薬物を溶かす。薬物は更に重合体結合剤を加えずに溶かすが、このような結合剤は原理上存在しうる。
b.溶媒を適当な界面活性剤(複数のことがある)および水溶性コサーファクタント(cosurfactant)(複数のことがある)と混合する。
c.この混合物へ適量の水または水溶液を加えると、なんら高せん断装置を使用せずに、水中油型ミクロエマルジョンが自然に生成する。水溶液は電解質、アミノ酸、または最初の調製段階でミクロエマルジョンの形成に影響を及ぼすかも知れない他の添加物を含みうる。
d.ミクロエマルジョンにタンパク質溶液を任意に加える。
e.溶媒を減圧で蒸発により除去すると、薬物が典型的粒径1000オングストローム以下のきわめて小さい無定形ナノ粒子の形で沈殿を起こす。この段階で粒子を、界面活性剤、コサーファクタント、
および任意に保護剤、例えばタンパク質、糖類など、を含む水性媒質中に分散し、安定化させる。容認しうる蒸発法は回転蒸発器、降膜蒸発器、噴霧乾燥器、凍結乾燥器、および産業界で典型的に使われている他の標準蒸発装置の使用である。
f.界面活性剤およびコサーファクタントは透析、限外濾過、吸着などにより任意に除くことができ、そのようにするとタンパク質(使用したならば)により安定化されるナノ粒子が得られる。
g.溶媒の蒸発後、ナノ粒子の液体分散系を乾燥すれば薬理剤および任意にタンパク質を含む粉末が得られる。この粉末を適当な水性媒質、例えば食塩水、緩衝液、水、などの中に再分散させて1000オングストローム以下の粒径を有する懸濁系を得、これを動物に投与できる。この粉末を得る申し分ない方法は、凍結乾燥、噴霧乾燥などである。固体形への変換を凍結乾燥によって行なうなら、種々な凍結防止剤、例えばマンニトール、ラクトース、アルブミン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マルトデキストリン、および(または)ポリエチレングリコール、を添加できる。
これらナノ粒子は、高いバイオアベイラビリティ、制御放出特性、および胃液中の保護を有する薬物投与系を得るため、更に付形剤またはマトリックス形成物質と混合できる。最終生成物は錠剤、カプセル、再構成液剤などとして患者へ導入できる。
本発明製剤は、ナノ粒子およびミクロ粒子の調製ならびにミクロエマルジョンあるいは「プレ−ミクロエマルジョン コンセントレート(“pre-microemulsion concentrate”)の使用について以前に用いられた方法に勝る重要な利点をもつ。
本発明方法を用いることにより多くの利点が実現する。もし適当な成分を選ぶなら、ミクロエマルジョンが自発的に形成され、高コストの装置およびエネルギー入力の必要がない。小滴寸法は高せん断装置により得られる最も小さいエマルション小滴よりおよそ一順位だけ小さく、それ故にきわめて小さいナノ粒子を得ることができる。ミクロエマルジョンは熱力学的に安定であり、従ってエマルションの不安定性(従って、生ずる粒子の大きさの時間依存性)に関連する通常の問題は避けられるであろう。全体の過程は、従来のエマルション−溶媒蒸発法よりはるかに簡単であり、種々なパラメーターに対して感じにくい。本法には簡単な混合が含まれるだけなので、大量生産の容量への規模拡大は、高せん断ホモジナイザーといった装置による乳化と比較して非常に簡単である。本新規方法により得られる粒径は非常に小さく、無菌濾過に使用される膜の細孔寸法より一順位小さいので、膜閉塞と関連した問題、例えば濾過圧の増大、および濾過の過程中の大きい薬物損失、もなく滅菌過程が非常に効果的である。乳化過程における高いせん断力が無いので、乳化中の温度上昇が無く、それ故に温度に敏感な薬物でも新規本発明方法によって処理できる。本発明に係る液体製剤中の薬物は、化学的安定性が増加する。それは分散したナノ小滴を含む従来のミクロエマルジョンと比較して分散したナノ粒子を含むからである、即ち固体状態(ナノ粒子)に対し液体状態(ミクロ小滴)の方が一層多く化学反応が起こるからである。本発明は、連続したミクロエマルジョン相としての液体である従来のミクロエマルジョンと比べて、乾燥製剤としての増加した化学安定性をもっている。固体製剤は、液体形で存在する従来のミクロエマルジョンあるいは「プレ−ミクロエマルジョン コンセントレート」と比較して、種々な固体剤形、例えば錠剤、顆粒剤、およびカプセル、に薬物を含めることが可能である。非常にせまい粒径分布は、非常に小さい平均粒径と合わさって、従来の方法によりつくられたミクロ粒子およびナノ粒子よりも均一に薬物吸着の増大を確実にするので、バイオアベイラビリティの増加が期待される。
下記のセクションに提出した例は、水に不溶性の分子を引合いに出しているが、ナノ粒子の調製に有用であると企図された薬理製剤は、水に可溶または不溶いずれかの薬物、診断薬、治療価値のある薬剤、栄養剤などを包含するがこれらに限定されない。薬物カテゴリーおよび化合物の一覧(これに限定されない)には、本発明の高せん断均質化の方向で使用するため上に列挙したすべての化合物が包含されるが、これに限定されない。
下記の例に記載の溶媒はトルエンと酢酸ブチルであるが、必要とされる薬物を溶かすことのできるどの溶媒または溶媒混合物も本発明方法への使用に適しているが、ただし溶媒の除去に先立ち適切なミクロエマルジョンを形成しうることを条件とする。このような溶媒はクロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、tert−ブチルメチルエーテル、ブタノール、プロピレングリコール、ヘプタン、アニソール、クメン、ギ酸エチル、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリジノン、大豆油、ヤシ油、ヒマシ油、オリーブ油、ベニバナ油、綿実油、C−C20アルコール、C−C20エステル、C−C20ケトン、ポリエチレングリコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、d−リモネン、これらのコンビネーション、などでよい。
本発明方法に使用されるタンパク質(または幾つかのタンパク質の混合物)は、初期の混合中に、あるいは蒸発段階の間に沈殿しないものでなければならない。多くのこのようなタンパク質があり、例えばアルブミン(例えば、BSA,HSA、卵)、ゼラチン、コラーゲン、IgG、各種酵素、ラクトグロブリン、カゼイン、ダイズタンパク質などが含まれる。
本発明に使用される界面活性剤は、適当なコサーファクタントおよび溶媒の存在下で、薬物またはタンパク質(もし存在するとすれば)の沈殿を起こすことなく、水中油型ミクロエマルジョンを自然に形成できなければならない。界面活性剤は、非イオン性(Tween, Span, Triton, Pluronic,ポリグリセロールエステルなど)、陰イオン性(SDS、コレートおよびデオキシコレート、脂肪酸セッケンなど)、陽イオン性(セチルトリメチルアンモニウムクロリドなど)または双性イオン型(レシチン、アミノ酸など)のいずれでもよい。
コサーファクタントは、溶解した薬物分子(あるいはタンパク質、もし存在するとすれば)の沈殿を起こさず、また大きい結晶性物質の形成を誘発することなく、選ばれた界面活性剤と共にミクロエマルジョンを自発的に形成する能力をもたねばならない。コサーファクタントは水溶性でも油溶性でもよく、例えばブタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、プロパノールなどでよい。
凍結乾燥によるナノ粒子の液体分散系の変換は、凍結防止剤、例えばマンニトール、ラクトース、アミノ酸、タンパク質、多糖類などの添加を必要とする。
本発明で述べられている諸原理は幾つかの変法として適用できる。例えば、
1. 薬物粒子の形成は、ミクロエマルジョンを適当な溶媒で(この溶媒は混和性である)希釈することにより誘発することができる。例えば、もしその溶媒が水に低い溶解性をもつならば、その溶媒の水中溶解限界より下になるようにミクロエマルジョンを希釈することが可能であろう。
2. 溶媒ならびに任意に界面活性剤およびコサーファクタントは、薬物を溶かさない選択的抽出剤を用いることにより除去できる。
3. 界面活性剤およびコサーファクタントは、タンパク質の分子量のそれより下にカット−オフをもつフィルターを使用しながら限外濾過により除去できる。簡単な透析も任意である。
4. 製剤は最終製剤の企図された使用(経口、静脈内、局所など)に容認できる成分のみを含みうるので、これらの除去の必要がない。
5. 同様に、最終製品中に留まりうるコサーファクタント、例えばグリセリン、ベンジルアルコールなど、も使用できる。
6. ミクロエマルジョンの相図に影響するかも知れない種々な水溶性分子(電解質、エタノールなど)の添加が可能であり、従って該分子は最適薬物添加量を得るための各種成分間の比を制御しうる。
7. 自発的乳化工程は、相図(ならびにミクロエマルジョン形成に導く成分割合)に影響を与えるため、室温の外の温度で実施できる。とりわけ、系を水中油型から油中水型ミクロエマルジョンへ変える温度効果(エトキシル化界面活性剤で)を使用することができるであろう。
8. 薬剤のバイオアベイラビリティに影響を与えるため、溶媒相へ他の成分を加えることができる。とりわけ、経口吸収を高めるため、また薬物を化学的および酵素的劣化から保護するため、大豆油のような油の添加が好ましい。
9. 同様に、溶媒へ、マトリックス形成重合体(例えば、PVP)を薬物と一緒に添加することも行なわれる。
10. ミクロエマルジョンの外部水相へ、タンパク質の外の水溶性重合体(カルボキシメチルセルロース、ガム類など)を添加することにより、安定化特性および固体形特性を変えることができる。
11. 生ずる固体形粉末の流れ特性は充填材としてコロイド粒子(例えばシリカ)の添加、あるいは再構成/抗凝集助剤の添加により変えることができる。
12. 本発明で記述した同じ原理は、油中水型ミクロエマルジョンをつくる組成範囲で乳化段階を実行しながら、水溶性粒子をつくるために応用できる。本法は、例えば極端に小さいタンパク質ナノ粒子をつくるために使用できる。
例22
シクロスポリンAのナノ粒子の調製
シクロスポリンA 115mgを酢酸ブチル1mlに溶かし、Triton X−100:n−ブタノールの4:1溶液2gと混合した。透明な系が得られた。幾分振盪させつつ10gの水を滴加した。透明な水中油型ミクロエマルジョンが得られた。幾分振りまぜながら、1%カゼイン溶液10gを加えた。系はやや混濁して来た。酢酸ブチルを Rotovap で、40℃、80mmHgにおいて除去した。系は完全に透明になった。
粒径を光子相関分光法(photon correlation spectroscopy)により測定した。Z−平均粒径は25−33nmであり、一方数分布あるいは体積分布による粒径は僅か9nmであることが分かった。光学顕微鏡下でも、また偏光下でも粒子は観察されなかった。この結果は結晶性粒子が存在しないことを示している。
これらナノ粒子の液体分散系を、ラクトース添加後に(2% w/w)凍結乾燥した。
白色固体物質が得られ、このものを水で再構成したとき、凍結乾燥前と同様の透明な系を生じた。この再構成された試料の粒径はもとの製剤のそれと非常によく似ていて、Z−平均約40nm、そして体積および数分布による直径は10−12nmであった。
実施例25
シクロスポリンAのナノ粒子の製造
119mgのシクロスポリンAを酢酸ブチルの中に溶解し、そしてトリトンX100:プロピレングリコールの4:1の溶液2gと混合する。明澄な系が得られる。僅かに振盪しながら、7gの水を滴加する。明澄な水中油型ミクロエマルジョンが得られる。僅かに振盪しながら、1%カゼイン溶液を7g加える。この系は僅かに濁った。このサンプルを溶剤蒸発に先立って水で1:1に希釈する。酢酸ブチルをロートバプ(Rotovap)で40℃、80mmHgで除去する。この系は完全に明澄になった。この方法はやはり、極めて小さなナノ粒子を生じた;Z平均は45nmであり、そして容積及び数分布による直径は11nmである。
これらナノ粒子の液状分散物をラクトース(2% w/w)の添加後に凍結乾燥した。
白色の固体材料が得られた。これは水中で再構成されたときに、凍結乾燥の前のものに似た明澄な系を生じた。この再構成されたサンプルにおける粒子サイズは元の製剤のそれに近かった:Z平均(Z-average)は約25nm、そして容積及び数分布による直径は9〜11nm。
実施例26
シクロスポリンのナノ粒子
次の組成をもつミクロエマルジョンをつくった:50mgのシクロスポリン、0.5gの酢酸ブチル、3.04gの、ツイーン(Tween)80:プロピレングリコール(1:1)、及び6.8gの水。このミクロエマルジョンを蒸発させて、シクロスポリンを5mg/mLで含有する明澄液体を生じた。対照実験では、上記成分を使用して、但し、酢酸ブチル無しで、単に混合することによって行ったが、17時間後でさえ、シクロスポリンは溶解されなかった。
幾つかの界面活性剤が可能であり、ポリソルベート類(ツイーン(Tween))、ソルビタンエーテル類(スパン(span))、スクロースエステル、レシチン、モノジグリセリド、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体(プルロミクス(pluromics))、石鹸(ステアリン酸ナトリウム、など)、ナトリウムグリコラート胆汁塩、エトキシル化ヒマシ油、ナトリウムステアロイル−ラクチレート(sodium stearoly-lactylate)、エトキシル化脂肪酸(myrj)、エトシキル化脂肪アルコール(Brij)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、などが包含される。また、一般的には、生体高分子、例えば、澱粉、ゼラチン、セルロース誘導体など、が使用されてもよい。また、マッカッチェン ハンドブック オブ サーファクタンツ(McCutheon Handbook of Surfactants)又はCTFAインデックスの中に呈示されている界面活性剤ばかりでなく、経口適用においては、全ての許容される食品級の界面活性剤が使用できる。ミクロエマルジョンのための可能な補助溶剤または補助界面活性剤には、プロピレングリコール、エタノール、グリセロール、ブタノール、オレイン酸などが包含される。
実施例27
BHTのナノ粒子の製造
110mgのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を1mLのトルエンの中に溶解し、そしてトリトンX100:n−ブタノールの4:1の溶液2mLと混合する。1%カゼイン溶液を32g加えた、そしてミクロエマルジョンが自然に形成された。このミクロエマルジョンを減圧下、80mmHg、で、40℃で、明澄になるまで蒸発させた。得られた粒子のサイズは次の通りである: Z平均が30nm、容積及び数分布による直径がそれぞれ16nmと15nm。
実施例28
BHTのナノ粒子の製造
カゼイン溶液の代わりに水を使用しながら、実施例24に記載されているのと同じようなプロセスを行った。40℃、80mmHgでの蒸発の後に、この系は明澄になり、Z平均サイズが〜10nmであった。
実施例29
パクリタキセルのナノ粒子の製造
30mgのパクリタキセル(paclitaxel)を2mLの酢酸ブチルの中に溶解し、そして4gの、トリトンX100:プロピレングリコールの4:1に添加した。40mLの水を加えたら、この系は僅かに濁った。蒸発後、この系は完全に明澄になった。Z平均は6nmであり、容積及び数分布によるサイズは7〜9nmであった。4℃で1日後にも、同じサイズが測定された。
D.ナノ粒子の形成方法の全てに関連する種々の例
実施例30
ミクロエマルジョン状態図の検証
溶剤蒸発法によってナノ粒子を得るのに利用できるミクロエマルジョンを生じる組成を検証した。これら組成物は、疎水性分子を溶解することができる水混和性溶剤、連続媒体としての水溶液、界面活性剤、及び多分、補助界面活性剤、を含有しているべきである。
水中の酢酸ブチルのミクロエマルジョンは、状態図(phase diagrams)によって記述される様々な組成において形成できる(酢酸ブチルは最終製品の中で高い許容残留濃度をもつ溶剤として分類される)。さらに、界面活性剤と補助界面活性剤は両方共に、食品及び医薬品の分野において使用される:ツイーン80(エトキシル化ソルビタンモノオレエート)とプロピレングリコール。疎水性分子モデルとしてBHTを使用して予備実験を行って、20〜50nmのサイズ範囲の粒子の分散物を生じた。0.2μmフィルターによる濾過後、約100%のBHTが膜を通過した。
界面活性剤/補助界面活性剤の様々な組合せの状態図は、溶剤を、界面活性剤/補助界面活性剤の混合物(溶剤との混合の前に様々な比率で製造された)と一緒に渦動させ、次いで水を滴加することによって、得た。「水のライン」に沿って様々な組成の濁度が観察され、そして半透明の系を生じた組成物を光散乱によって更に分析した。溶剤/界面活性剤/補助界面活性剤の様々な比率を使用することによって、ミクロエマルジョンを生じた状態図の領域を検証した(少数の選ばれた構成だけがミクロエマルジョンを生じた)。状態図実験を行う前にBHTが酢酸ブチルの中に溶解された系について同じ手順を使用した。
BHTを含有するミクロエマルジョン及びナノ粒子の「濾過能力」は、0.2μm濾過の前後のUV吸収スペクトルを比較することによって評価された。ナノ粒子は酢酸ブチルの蒸発(60mmHg、40℃)によって得られた。プロセス全体を通して高剪断装置を使用しなかったことは強調されるべきである。
経口送達(oral delivery)のために有効であり得たミクロエマルジョンの系を同定した。溶剤としてn−ブチルアセテートが選ばれた。次の界面活性剤及び補助界面活性剤を様々な比率で評価した:
ツイーン80:グリセロール 5:1
ツイーン80:グリセロール 4:1
ツイーン80:グリセロール 3:1
ツイーン80:グリセロール 2:1
ツイーン80:グリセロール 1:1
スパン80:グリセロール 4:1
スパン80:グリセロール 3:1
ツイーン80:プロピレングリコール 4:1
ツイーン80:プロピレングリコール 3:1
ツイーン80:プロピレングリコール 2.5:1
ツイーン80:プロピレングリコール 1.5:1
ツイーン80:プロピレングリコール 1:1
ツイーン80:プロピレングリコール 1:2
((ツイーン80+スパン80)7:1):プロピレングリコール 3.5:1
((ツイーン80+スパン80)7:1):プロピレングリコール 1:1
((ツイーン80+スパン80)8:1):プロピレングリコール 4:1
((ツイーン80+スパン80)5:1):プロピレングリコール 1:1
ツイーン80:((プロピレングリコール+グリセロール) 1:1.2) 2:1
適する組成物は次のようなものであることが判明した:界面活性剤としてのツイーン80と補助界面活性剤としてのプロピレングリコールの1:1の比率。n−ブチルアセテート、1:1のツイーン80:プロピレングリコール、水、の系について、完全状態図を評価した。更に2つの溶剤を試験した:sec−ブチルアセテートと、tert−ブチルアセテート。これら系の状態図はn−ブチルアセテートを用いたものと同じであった。n−ブチルアセテート、1:1のツイーン80:プロピレングリコール、水、の系を更に評価した。
7%のブチルアセテート、30%の界面活性剤/PG、63%の水、のサンプルについて粒子サイズの測定を行った。Z平均が約20nmであった。ナノ粒子形成プロセスは、不溶性染料スダン(Sudan)III について、1gのブチルアセテート(5%のブチルアセテート、23%の界面活性剤/PG、72%の水)の中の約10mgの濃度で、行った。粒子サイズが約17nmであった。ナノ粒子形成プロセスは更にBHTについても1gのブチルアセテートの中の100mgの濃度で行った。この系の状態図が決定された。約20〜50nmの粒子サイズは組成に依存することが判明した。
スダンIII 及びBHTによる対照実験を行った。14.4gの水を10mgのスダンIII に加え、そしてこの混合物に4.6gの界面活性剤/PGを加えた。このサンプルを磁気式攪拌機で24時間攪拌した。スダンIII の溶解が観察された。しかし、BHT(9gの水および4.3gの界面活性剤/PGの中の100mgのBHT)を用いて同じ実験を行ったときには、BHTの溶解は観察されなかった。このステージで蒸発を行った(温度40℃、圧力約60mmHg)。このサンプルの粒子サイズの測定を蒸発の前後に行った。蒸発の前及び後の、このサンプルについてのZ平均はそれぞれ、約20〜50nm、及び30nmであった。
蒸発後のサンプルを0.2μmのフィルターに通して濾過し、そして濾過の前と後のBHTの濃度をUV吸収によって測定した。この2つのサンプル間には差異が見られなかった。この結果は明らかに、BHTナノ粒子が非常に小さなサイズであることを表している。
2つのサンプルを製造した(これらサンプルの組成は次の通りである:サンプル No.1は、4%のブチルアセテート、14%の界面活性剤/PG、80%の水; サンプル No.2は、ブチルアセテート1g当たり123mgのBHT、5%のブチルアセテート、18%の界面活性剤/PG、77%の水)。
実施例31
プロセス装置の選択における代替
これらバッチを製造するのに使用したプロセス装置は客観的製造のためには規模を大きくされるであろう。カプキソール(Capxol)(登録商標)を製造するためのもっと大きな規模の装置の選択において利用可能な幾つかの代替がある。これら代替の一部を下記に列挙する:
Figure 0005405527
実施例32
様々な材料から処方された静脈内デリベリシステム
静脈内デリベリシステム(intravenous delivery system)をつくるために使用される材料は、ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリビニル、ポリプロピレンのチューブ、など)、又はガラスであってもよい。標準医用級チューブはその内表面上に疎水性部分(hydrophobic moieties)を含有することが知られている。これら疎水性部分は従って注入溶液(injection solution)と接触状態になるのに利用可能である。実際、かかるチューブはカテーテルがそうであるように、チューブに水性物質が吸収されるのを減少させるために疎水性部分が治療溶液と接触するように特別に仕立てられている。しかしながら、治療溶液の中の何らかの疎水性部分はカテーテルチューブ及びデリベリシステムのその他構成部品に結合するらしい。結果として、疎水性の薬理有効物質のかなりの量がチューブカテーテルやデリベリ容器の内壁の中へと分離されていくことになり得る。結局、疎水性の薬理活性物質の投与量はその活性物質のかなりの量がチューブ壁に吸着されることがあるので不正確になり得る。疎水性の薬理活性物質が疾病の治療に使用される場合、臨界的な治療処置においては、活性物質の有効投与量の有意な低下は治療の失敗につながることがある。活性物質が特定レベル以上存在することを必要とするそれでいて治療窓が狭い治療成分を使用する場合には、かかる失敗は特に顕著である。
疎水性の薬理活性物質を静脈内に導入するための新規方法がこのたび開発された。活性物質の疎水性部分を生体適合性コーティング(例えば、アルブミン)の疎水性部分との組合せを通して保護することによって、チューブに付着していく活性物質の性向は顕著に低減される。従って、本発明は高疎水性の薬剤を標準医用級ポリマー及び疎水性ガラスと組み合わせて使用することを可能にする;本発明においては、薬剤は保護されており、従って、表面に吸収されない。本発明の方法は、疎水性薬剤のまわりに生体適合性高分子(例えば、アルブミン)の保護コーティングを適用し、そして得られた組成物を疎水性ポリマー製デリベリシステムの中に置くことを含む。本発明の方法は従って、様々な疎水性治療剤の送達を改良することができる。
実施例33
パクリタキセルのHPLC分析
クロマトグラフィーシステム:
HPLC: 島津LC−10AS 溶剤デリベリシステム
島津SIL−10A オート インジェクター
島津SCL−10A システム コントローラー
島津SPD−M10AV ダイオードアレイ ディテクター
島津CTO−10A カラム オーブン
カラム: Curosil−PFP、5μm、4.6mm×25cm、
又はC−18
フェノメネックス(phenomenex);
移動相: 水/アセトニトリル 65:45
流量: イソクラチック(isocratic)、1.0mL/分
検出: 228nm
パクリタキセル原薬物質(Bulk Drug Substance)(BDS)の本性
パクリタキセルBDS及びパクリタキセル標準(99.9%、ハウザーケミカルリサーチ社(Hauser Chemical Research Inc.)ロット1782−105−5)をアセトニトリルの中に定量的に溶解し、そして別々に、HPLCに注入した。1.00mg/mLのパクリタキセルBDSが10μL、そして、2.07mg/mLの標準パクリタキセルが10μL注入された。パクリタキセルBDSの主要ピークの保持時間はハウザーからのパクリタキセル標準の保持時間と一致している。
パクリタキセルBDSの効力
パクリタキセルBDSおよび標準パクリタキセルを上記のようにHPLCに注入した。パクリタキセルの効力は、標準パクリタキセルに対するパクリタキセルBDSのピークエリア比(peak area ratio)と、標準パクリタキセルの既知効力とから導かれた。
パクリタキセルBDSの不純物プロフィール
上記のクロマトグラフィーシステムはタクサンズ(taxanes)の高分解度を提供することができる。本発明者らのHPLCシステムの直線応答範囲に入るアセトニトリル中の1.0mg/mLのパクリタキセルをHPLCに10〜20μL注入した。不純物プロフィールは相対ピークエリアによって決定された。
カプキソール(登録商標)の効力の検定
3%HSAの中にパクリタキセルBDSを定量的に溶解することによって、標準溶液(60、100、120、140及び160μg/mL)をつくった。カプキソール(登録商標)サンプルを生理食塩水の中に〜100μg/mLのパクリタキセル濃度に希釈した。標準パクリタキセル及びカプキソール(登録商標)サンプルを内標準としてのセファロマンニンでスパイクした後に、固相抽出又は液相抽出(下記を参照)を行った。標準調製液及びカプキソール(登録商標)サンプル調製液の等容量(20〜20μL)を別々にHPLCに注入してパクリタキセルと内標準セファロマンニンのピーク応答比を測定した。較正曲線は標準注入からの結果に対する通常の最小二乗回帰によって作成した。カプキソール(登録商標)におけるパクリタキセルの効力はサンプル注入のピーク応答比を標準注入と比較することによって求められる。
カプキソール(登録商標)の中のパクリタキセルの不純物プロフィール
カプキソール(登録商標)をHPLCに注入する前に固相抽出または液相抽出(下記参照)した。カプキソール(登録商標)から抽出した〜1mg/mLのパクリタキセルを30μL注入して上記のように不純物プロフィールを調べた。
固相抽出
カプキソール(登録商標)を生理食塩水の中で約100μg/mLに再構成する。固相抽出カラム、Bond−Elut(C−18)、を水でコンディショニングする。このカラムにサンプルを搭載し、それを真空を使用してカラムの中を通す。次いで、カラムを水で洗浄した後、パクリタキセルをアセトニトリルで溶離する。抽出パクリタキセルを含有している溶出液をHPLCに注入する。
液相抽出
カプキソール(登録商標)を生理食塩水の中で約100μg/mLに再構成する。このサンプルの約200μLに、800μLのアセトニトリルを加える。この混合物を30秒間渦動させ、次いで3,000gで5分間遠心分離する。上澄み液を取り出し集める。ペレットを200μLの生理食塩水の中に再懸濁し、そして抽出工程を繰り返す。第二の上澄み液を最初のものと一緒にする。たまった抽出液を蒸発によって濃縮した後にHPLCに注入する。
実施例34
光子相関分光法(PCS)による粒子サイズ分布
再構成したカプキソール(登録商標)の粒子サイズ分布を、マルバーン ツェータサイザー(Malvern Zetasizer)(マルバーン インスツルメンツ社(Malvern Instruments Ltd.))で、光子相関分光法(photon correlation spectroscopy)(PCS)によって分析した。ツェータサイザーの較正はNISTトレーサブル(traceable)ナノスフェア(Nanosphere)(登録商標)サイズスタンダード(Size Standards)(デュークサイエンティフィック社(Duke Scientific Corporation))によって行った。マルバーン ツェータサイザーでカプキソール(登録商標)粒子サイズを測定するための手順は次のパラメーターの設定を包含する:
温度: 20〜70℃
散乱角: 90度
屈折率 分散剤: 1.33
波長: 633nm
Visc.(Auto): 0.99
リアル(real)屈折率: 1.55
イメージナリ(imagenary)屈折率:0
ツェータサイザーを用意した後、次いで、kcts/secの読みから良好なサイズ測定のために必要なサンプルの希釈度を求めた(最初に、サンプルのアリコート200μLをキュベット(cuvette)に入れ、次いで0.22μmのフィルターを通した蒸留水約2mLで希釈した)。キュベットをツェータサイザーの内側のホルダーの中に置き、そして測定を開始した)。測定を開始すると、コレレーターコントロール(Correlator Control)の表示が現れるであろう。メニューから表示レートのメーターを選ぶ。レートは100〜250kcts/secの中間範囲にあるべきである。レートが高すぎた又は低すぎた場合には、それぞれ、もっと高い又はもっと低い希釈度の別のサンプルを用意する。再構成されたカプキソール(登録商標)のサイズは3つの自動実験の後のマルチモード分析によって分析され平均化され記録される。カプキソール(登録商標)の25バッチについて、平均粒子サイズ(mean particle size)は155nm±23nmだった。
実施例35
ポリヌクレオチド構成体、酵素及びワクチン
のための担体としての高分子シェル
遺伝子治療は生存可能な治療法の選択としてより広く受け入れられてきている(現時点では、40件を越すヒト遺伝子トランスファー計画がNIH及び/又はFDA検閲局によって承認されている)ので、この治療法の実行において克服すべき障壁の一つはヒト細胞のゲノムの中に遺伝物質を組み入れるのにウイルスベクターを使用することに対する抵抗である。ウイルスは本来的に毒性である。従って、遺伝子治療におけるウイルスベクターの使用に必然的に伴うリスクは特に非致死性の非遺伝性疾病の治療には受け入れられない。不都合なことには、ウイルスベクターを使用せずにトランスファーされたプラスミドは通常、標的細胞のゲノムの中に組み込まれない。その上、通常の薬物を用いたときにそうであるように、かかるプラスミドは体内で有限の半減期を有する。従って、遺伝子治療の実行に対する一般的な制約は細胞膜を透過するには大きすぎる核酸又はオリゴヌクレオチドを有効に送達させる能力がないことである(それは、遺伝子治療の逆の形態であり遺伝子発現を抑制するために核酸又はオリゴヌクレオチドが導入されるアンチセンス治療でも同様である)。
DNA、RNA、プラスミド、オリゴヌクレオチド、酵素、等をここに記載されるようにタンパク質マイクロカプセルシェル(protein microcapsule shells)の中にカプセル化することは、それらの目標とする、肝臓、肺、脾臓、リンパ及び骨髄への送達(delivery)を促進することができる。従って、本発明によれば、かる生物学的製剤はウイルスベクターの使用に関連した付随的リスクなしで細胞内の位置に送達されることができる。このタイプの製剤は血流から直接にRESの細胞への高分子シェルの非特異摂取又はエンドサイトーシスを促進する;筋肉注射によって筋肉細胞の中に、又は腫瘍の中への直接注射によって。加えて、カプセル化製品を特定細胞タイプの核に対してターゲット化させるには、核受容体に対するモノクロナール抗体を使用できる。
このような構成体によって攻撃目標とされることができる疾病には、糖尿病、肝炎、血友病、嚢胞性腺維症、多発性硬化症、癌一般、流行性感冒、エイズ等が包含される。例えば、インスリン様成長因子(IGF−1)のための遺伝子は糖尿性抹消神経障害及び悪液質の治療のための送達のためのタンパク質シェルの中にカプセル化されることができる。同様に、低密度リポタンパク(LDL)受容体のための遺伝子は本発明のタンパク質マイクロカプセルシェルの中へのカプセル化によって、アテローム性動脈硬化症の治療のために肝臓に対してターゲット化されることができる。
本発明の実施に有効なその他の遺伝子は癌細胞に対する体の免疫応答を再刺激する遺伝子である。例えば、プラスミドの中に含有されるDNAによって暗号化されたHLA−B7のような抗原は、腫瘍(例えば、皮膚癌)の中に直接に注射するために、本発明のタンパク質シェルの中に組み入れることができる。腫瘍の中に入りさえすれば、抗原は腫瘍を免疫システム攻撃の代わりの標的にするサイトカイン(例えば、IL−2)のレベルを高める特異細胞を腫瘍に対して駆り集める。
別の例として、アデノ関連ウイルスゲノム(adeno-associated virus genome)の部分を含有するプラスミドを、本発明のタンパク質マイクロカプセルシェルの中にカプセル化することを意図する。加えて、本発明のタンパク質マイクロカプセルシェルは、様々な腫瘍及び感染症に対してよく採用される免疫治療のためにCD8T細胞に治療用遺伝子を送達するのに使用できる。
本発明のタンパク質シェルはまた、例えばB型肝炎ウイルスに対抗するアンチセンスヌクレオチドのターゲット送達によって感染症と戦うためのデリベリシステムとして使用できる。かかるアンチセンスオリゴヌクレオチドの例はB型肝炎ウイルスのポリアデニル化のシグナルに対抗する21−マー(mer)ホスホロチオエートである。
本発明のタンパク質シェルは、嚢胞性腺維症トランスメンブレン調節(cystic fibrosis transmembrane regulator)(CFTR)遺伝子の送達のためにも使用できる。この遺伝子を欠くヒトは嚢胞性腺維症を発現するが、それはCFTR遺伝子を含有する本発明のタンパク質マイクロカプセルシェルをネブライズして直接に肺に吸入させることによって治療できる。
酵素もまた、本発明のタンパク質シェルを使用して送達できる。たとえば、酵素、DNAse、はカプセル化されることができ、そして肺に送達されることができる。同じ様に、リボチーム類(ribozymes)はカプセル化されることができ、そして高分子シェルの外面に適切な抗体を付着させることによってウイルスエンベロープ(virus envelop)タンパク質又はウイルス感染細胞に対してターゲット化されることができる。ワクチンもまた、本発明の高分子マイクロカプセルの中にカプセル化されることができ、そして皮下、筋肉内又は静脈内送達に使用される。
実施例36
脳腫瘍及び腹膜内腫瘍の限局療法
化学療法剤を局限的に腫瘍に送達することは投与量を最小にして副作用を制限しながら長期にわたって薬剤に曝すための有効な方法である。上記に論じた生体適合性物質はまた、薬理活性成分例えばパクリタキセルが拡散及び/又はマトリックスの崩壊によってマトリックスから放出されるそのマトリックスを提供するためにゲル(交叉結合された又は交叉結合されてない)のような幾つかの物理的形態で使用されてもよい。脳腫瘍及び腹膜腔内の腫瘍(卵巣癌及び転移疾患)の治療のためにパクリタキセルの持続性製剤を提供するために、カプキソール(登録商標)が生体適合性物質のマトリックスの中に分散されてもよい。温度感受性物質も本発明の製剤のための分散媒として利用できる。従って、例えば、腫瘍サイトにおいてゲルであり、ゆっくりしたカプキソール(登録商標)の放出を提供する温度感受性物質(例えば、ポリアクリルアミドの共重合体、又はポリアルキレングリコールとポリラクチド/グリコリドの共重合体、など)の液状配合物の中に、カプキソール(登録商標)を注入してもよい。このカプキソール(登録商標)処方物を上記の生体適合性高分子の中に分散させてパクリタキセルの制御放出製剤を提供することができ、この製剤はカプキソール(登録商標)処方物(パクリタキセルと組み合わされたアルブミン)の性質を通して、結果として、下記に論じるように、全身的毒性が低いばかりでなく脳組織に対する毒性も低い。カプキソールと、又はカプキソール(登録商標)に似たその他の配合された化学療法剤と、生物適合性高分子マトリックスとの組合せは、脳及び腹膜の中の充実性腫瘍(卵巣癌)を治療するための化学療法剤のコントロールされた局所送達に及びその他の充実性腫瘍への局所適用に有効である。これら組合せ処方はパクリタキセルの使用に限定されるわけではなく、抗感染薬、免疫抑制剤及びその他の化学療法剤などを含めて広く様々な薬理活性成分をもって利用できる。
実施例37
再構成後のカプキソール(登録商標)の安定性
ガラスバイアルの中の凍結乾燥カプキソール(登録商標)を通常の滅菌生理食塩水で、1、5、10、及び15mg/mLの濃度になるように再構成し、そして室温及び再冷凍条件で貯蔵した。これら懸濁物はこれら条件下で少なくとも3日間は均質であることがわかった。幾つかの時点で行った粒子サイズ測定はサイズ分布に変化を示さなかった。これら条件下で沈殿は見られなかった。この安定性は予想外であり、そしてタキソール(Taxol)(登録商標)に関連した問題を克服する。タキソール(登録商標)は0.6〜1.2mg/mLの推奨濃度に再構成した後約24時間以内に沈殿する。
加えて、再構成カプキソール(登録商標)は、テフロン、シラスティック、ポリエチレン、タイゴン(tygon)、及びその他の標準注入チューブ材料のような様々なポリマーチューブ材料の存在下で安定であった。このことはポリエチレン注入セットとガラス注入びんに限定されるタキソール(登録商標)より優れた主要な利点である。
実施例38
カプキソール(登録商標)の単位用量形態
カプキソール(登録商標)は適切なサイズのバイアルの中の凍結乾燥粉末として製造される。従って、本質的にアルブミンとパクリタキセルを含有する粉末を所期の量で得るために、所期の用量が適切な容器の中に充填され凍結乾燥されることができる。それから、かかる容器は使用時点で希釈剤中のパクリタキセルの均質懸濁物を得るために通常の滅菌生理食塩水又はその他の水性希釈剤によって適切な容積に再構成される。この再構成溶液は標準の静脈注入セットをもって注射又は注入どちらかによって患者に直接投与できる。
加えて、カプキソール(登録商標)は使用時に解凍されて簡単に患者に投与されるビン詰め又は袋詰めの溶液をそのまま使用するための冷凍として製造されてもよい。これは製造プロセスの中の凍結乾燥工程を回避する。
カプキソール(登録商標)とタキソール(登録商標)が等しい投与量のパクリタキセルでラットに投与されたとき、タキソール(登録商標)群についてはカプキソール(登録商標)群に比べてはるかに高い度合の骨髄抑制が生じるということは非常に驚くべきことである。このことは感染症および熱性エピソート(例えば、熱性好中球減少)のより低い発生率をもたらし得る。それはまた、現行では21日である治療周期を短縮させることができる。本発明に従って製造された薬理組成物の使用によって、この周期は2週間以下に短縮でき、それは癌患者にとってより有効な治療を可能にする。従って、本発明に従って製造された薬理組成物はタキソール(登録商標)よりも実質的に有利な立場を与えるであろう。
実施例39
薬物の経口デリベリ
タキソール(登録商標)は経口ルートによる吸収が非常に悪い。カプキソール(登録商標)のような粒子状製剤はパクリタキセルのような薬物の摂取を大きく向上させるであろう。加えて、ミクロエマルジョン/蒸発プロセスを通して製造されたパクリタキセルの本発明の製剤は薬物の経口摂取に有効である。これら製剤と組み合わされた界面活性剤の使用は驚くべきことに、これら薬物の経口による生体内利用効率を向上させる。脂質、界面活性剤、酵素阻害剤、透過向上剤、イオン対合剤(ion pairing agent)、代謝抑制剤などの使用は驚くべきことに、本発明のパクリタキセル製剤の経口吸収を増加させることがわかった。イオン対合剤の例は限定されるものではないが、次のものを包含する:トリクロロアセテート、トリクロロアセテートサリチレート、ナフタレンスルホン酸、グリシン、ビス−N,N−ジブチルアミノエチレンカルボネート、n−アルキルスルホン酸塩、及びn−アルキル硫酸塩。膜透過向上剤の例は限定されるものではないが、次のものを包含する:カプリン酸ナトリウム、アシルグリセリド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルズアシルカルニチン(poloxyethylene alkyl ethersacyl carnitines)、コール酸ナトリウム、タロウコール酸ナトリウム、タロウジヒドロフシジン酸ナトリウム、EDTA、サリチル酸ナトリウム、及びメトキシサリチル酸ナトリウム。本発明の製剤のために使用できる界面活性剤及び脂質の非限定的リストは本明細書中に既に記載されている。
実施例40
カプキソール(登録商標)及びその他の本発明の製剤の投与形態
本発明の製剤は、静脈内注入、濃縮塊の静脈内注入(intravenous bolus)、腹腔内注射、動脈注射、門脈注射(intraportal injection)、肝塞栓術(hepatic embolization)、腫瘍内注射又は植込み(implantation)、尿道内注射又はイオン泳動、筋肉注射、皮下注射、鞘内注射、乾燥粉末又はネブライズド液体の吸入などによって投与できる。
実施例41
血管形成性脈管構造を標的にするための
カプキソール(登録商標)の使用
血管形成は癌、リウマチ性関節炎及び網膜症のような疾病の進行における原因性及び/又は急性増悪性因子として関係があるとされている。本発明者らは驚くべきことには、カプキソール(登録商標)が動物病態モデルにおける腫瘍の治療ばかりでなくリウマチ性関節炎の酷さを好転又は減少させることができること見いだした。従って、カプキソール(登録商標)が抗血管形成活性を有することは可能性としてあり得る。カプキソール(登録商標)をより有効にするために、カプキソール(登録商標)に適切なペプチドを付着させることによって血管形成性脈管構造(angiogenic vasculature)を標的にすることは可能である。かかるペプチドの例は、RGD(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸)である。同様の活性度を有するその他の多数のペプチドが、標的治療(targeted therapy)のために、カプキソール(登録商標)に又は本発明の方法によって製造されたその他の薬物に付着させられてもよい。ペプチド/カプキソール(登録商標)はそれを必要としている患者に通常の手段によって投与できる。
実施例42
肝臓病の治療のためのカプキソール(登録商標)の使用
末期の肝細胞癌及びその他の肝臓癌はカプキソール(登録商標)を門脈内に投与することによって治療できる。肝臓への直接の塞栓術は肝臓に到達する量を高める。更に、疾病をより効率的に治療するのに、通常のタキソール(登録商標)よりはるかに高い投与量が利用できる。また、より大きな治療効率のためには、肝組織の中に局在するタンバク質又はペプチドのような適切なターゲッティング剤(targeting agent)がカプキソール(登録商標)と組み合わされてもよい。
E.前臨床研究に関する又は直接属する例
実施例43
パクリタキセルの毒性/骨髄抑制の試験
ラットでの単一用量投与についての
タキソール(登録商標)とBMS製剤の比較
臨床前試験のまとめを下記に示す:
スケジュール: 1回、単一用量(single dose)静脈内注入(第1日目)
動物: スプレーグ−ドーリー(Sprague Dawley)ラット オス40、メス40、1群当たり性別毎に5ラット
体重: 300±50g
試験期間: 15日
治療群: BMS(1ベヒクル+3治療群)
カプキソール(登録商標)(1ベヒクル+3治療群)
投与量: BMS(0、3、6、及び9mg/kg)
カプキソール(登録商標)(0、6、9、及び12mg/kg)
投与濃度:0.6mg/mL(全ラット)
投与容量:BMS(15、5、10、15mL/kg)
カプキソール(登録商標)(20、10、15、及び20mL/kg)
注入速度:約0.75mL/時(全ラット)
投与経路:静脈内(I.V.)注入、尾部静脈
Clin.obs.: 1回/日
Clin.Path: 0日目(治療前)、第1日目、第3日目、第7日目、第11日目、第15日目。
NCI トックス ブランチ(NCI Tox Branch)のための標準リストを実施。
体重測定: −1日目、第1日目、第3日目、第8日目、及び第15日目。
ベヒクルは、パクリタキセルを添加しないこと以外は製造部門に記載の同一プロセスによって製造される)
実施例44
骨髄抑制(血液学的毒性)の予備的試験
正式試験の開始に先立って、カプキソール(登録商標)群に3ラット及びBMS群に3ラットで予備的試験を行って結果を決定した。使用した投与量は5mg/kgであり、7mL/kgの投与容量をもってした。この投薬は濃縮塊の静脈内注入として、尾部静脈を通して与えられた。この試験の結果はグラフ(図3参照)にまとめられており、そこには、時間の関数として各製剤についてのWBCカウント数の変化率%(骨髄抑制の指標)が示されている。
骨髄抑制の予備的試験の結論
データはカプキソール(登録商標)群に比べてBMS群における有意に低いWBCカウント数(平均(mean)+SD)を示しており、それはBMS(登録商標)では骨髄抑制度がより大きいことを表している(BMSでは最大WBC抑制が>70%;カプキソール(登録商標)では最大WBC抑制が<30%)。データの分析は、0日目、第13日目及び第14日目以外の全時点のデータについて2群間の統計的有意差(p<0.05)を示している。加えて、WBCの通常レベルはカプキソール(登録商標)受容群では6日以内に回復するが、BMS(登録商標)群では通常のWBCレベルの回復に14日を要する。このことはカプキソール(登録商標)では有意に低下した血液学的毒性であることを表している。同様の結果がヒトの臨界試験においても観察されるなら、このデータは治療周期(BMSでは現在3週間)を有意に短縮(カプキソール(登録商標)を使用すると、約2週間に、又は1週間以下にさえ)できることを示唆している。
実施例45
抗腫瘍効力の予備的試験
上記試験の開始に先立って、カプキソール(登録商標)による予備的試験を行ってターゲット投与量範囲及び効力を測定した。マウス(n=10)にMX−1乳腺腫瘍を皮下に接種し、そして腫瘍が約150〜300mgの大きさになったときに治療を始めた。これは第12日目に起こり、そして治療は最初の接種から第13日目に開始した。カプキソール(登録商標)はパクリタキセルのナノ粒子のコロイド溶液を得るために生理食塩水の中で再構成された。腫瘍をもつマウス(n=5)は、連続5日間毎日、濃縮塊の尾部静脈内注入によって与えられる、用量20mg/kgの再構成カプキソール(登録商標)で治療された(VIV−1と呼ぶ)。腫瘍をもつ対照群(n=5)は同じスケジュールで生理食塩水だけを受理した。腫瘍の大きさを時間の関数として監視した。対照群は腫瘍重量が平均で4500mgを越すほどのすごい増加を示し、そしてこの群の動物は28日目と29日目の間に全て犠牲にされた。もう一方の治療群は顕著な効能を示し、そして全部の動物は25日目までには測定できる腫瘍がなくなった。この群の動物は全て第29日目に犠牲にされたが、その時点では再発の証拠及び腫瘍の証拠を示さなかった。結果は図4に示されている。
結論:
この試験はカプキソール(登録商標)については顕著な抗腫瘍活性を示した。従って、パクリタキセルの抗腫瘍作用はカプキソール(登録商標)製剤の中に保たれる。この試験はパクリタキセルのナノ粒子の静脈内投与が可溶性形態での薬物の投与と同じように有効であり得ることを表す。従って、カプキソール(登録商標)は認可され市販されているクレマフォア(cremaphor)含有BMS製剤に見られる毒性効果なしで効能と有力な抗腫瘍活性を示す。
注:文献データ及びSRI(サザン リサーチ インスティチュート(Southern Research Institure))の技術者の実験によれば、希釈剤12(クレマフォア/エタノール、それはBMS製剤の中に使用されている同じ希釈剤である)の中に溶解されたパクリタキセルの最大許容量(MMD)は、無胸腺症マウスのこの特殊な系統に対しては22.5mg/kgである。この結果は、販売BMS製剤(クレマフォア/エタノールの中のBMSパクリタキセル6mg/mL)に比べてはるかに高い濃度でパクリタキセルを希釈剤12の中に溶解することによって得られる。これはマウスに投与されるクレマフォア/エタノールの量を最小にしてベヒクルの毒性を回避するために行われる。22.5mg/kgの投与量では、希釈剤12の中のパクリタキセルは上記のカプキソール(登録商標)のそれに似た効力を有する。
実施例46
動物病態モデルのリウマチ性関節炎の
パクリタキセルナノ粒子による治療
ルーベイン(Louvain)ラットでのコラーゲン誘発関節炎モデルを使用して関節炎に対するパクリタキセルナノ粒子の治療効果を試験した。実験動物の足サイズを監視して関節炎の深刻度を評価した。
関節炎の完全な発現後(通常、コラーゲン注入から〜9〜10日後)に、実験動物を異なる群に分け、パクリタキセルナノ粒子1mg/kg q.o.d.又はパクリタキセルナノ粒子0.5mg/kg+プレドニゾン0.2mg/kg q.o.d.(組合せ治療)のどちらかを腹腔内に6回投薬し、次いで週1回の投薬を3週間行った。処置の開始時(0日)と薬物を注入する度毎に足サイズを測定した。一つの群は対照として通常の生理食塩水だけを受理した。実験の終了までに、パクリタキセルナノ粒子を受理している群は足サイズの42%減少を達成し、組合せ治療の群は足サイズの33%減少を示したのに、対照群は足サイズの約20%増加を有していた。関節炎が誘発される前の元の足サイズは50%であった。結果は図2に示されている。
要するに、パクリタキセルを含有するナノ粒子は関節炎に対する治療効果を証明した。パクリタキセル及びステロイドの両方の長期使用の副作用を回避するためには、組合せ治療を選択して各薬物の投与量を半分ですませて類似の効果を得る方が多分よいであろう。
実施例47
動脈再発狭窄症に対するカプキソール(登録商標)の効果
異常な血管平滑筋増殖(vascular smooth muscle proliferation)(VSMP)は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、及び殆どの脈管内処置のような心臓血管疾患に関連している。異常VSMPは経皮経管的冠状血管形成(percutaneous trasluminal coronary angioplasty)(PTCA)の普遍合併症である。PTCAの後のVSMPの結果生じる慢性再発狭窄症の発生率は3〜6カ月以内に40〜50%の高率であると報告されている。
PTCAに関連した血管再閉塞の高い発生率は再発狭窄症のインビボ動物病態モデルの開発及びそれを防ぐための薬物の探究につながっている。下記の試験は動脈の血管内膜損傷の後の再発狭窄症の抑制にカプキソール(登録商標)を使用することを説明している。
体重350〜400mgのオスのスプレーグ‐ドーリー ラット(チャールズリバー(Charles River))をケタミン(Ketanim)とロムパン(Rompun)で麻酔し、そして右の総頸動脈を3.0cmの距離だけ露出させる。癒着性組織(adherent tissue)をきれいにして、迷走神経または関連する上頸神経節および交感神経索を圧潰損傷せずに、2つのダイエットリッチ マイクロ ブルドッグ クランプ(DIETRICH micro bulldog clamps)を約2cm離して頸動脈のまわりに置く。この区域の血管に沿って枝は存在しない。三方ストップコックに取り付けた30ゲージの針を、まず挿入し次いで隔離区域の下端から引き抜いて血管の壁に穴をあけ、次いで注入のために上端に挿入する。2〜3mLの燐酸塩緩衝生理食塩水を注入して隔離区域の内側の血液を全て洗い出し、次いで三方ストップコックを圧縮空気の調節された源につながる方にまわす。空気のおだやかな流れ(25mL/分)を血管の内腔に沿って3分間通して内皮の傷を乾燥させる。次いで、針を血管から除去する前に、この区域に生理食塩水を再充填する。クランプを除去する前に、血管壁の上の針穴は出血を防ぐために丁寧に焼灼される。生理食塩水で湿らせたスワブ(swab)はやはり出血を止めるために針穴の上に押し当てて使用できる。皮膚を7.5−mmの金属クリップで閉じ、そしてベタジン(Betadine)で洗浄する。
上記手術を受けた動物は手術後14日で犠牲にされる。各側の頸動脈は病理検査のために回収された。切開されてない側は自己対照として役立つであろう。実験群は次のような異なる治療を受けた:
第1群:高投与量のカプキソール(登録商標)治療
パクリタキセル 5mg(w/100mgヒトアルブミン)/kg
/週、IV
第2群:低投与量のカプキソール(登録商標)治療
パクリタキセル 1mg(w/20mgヒトアルブミン)/kg
/週、IV
第3群:薬剤ベヒクル対照
ヒトアルブミン 100mg/kg/週、IV
頸動脈生検サンプルをホルマリンの中に保存し、そしてパラフィンブロックから横断面(8μm)を切り取り、ヘマトキシリンとエオシンで染色する。血管層(動脈内膜、中膜、及び外膜)の断面の面積を定量化する。
対照群では傷付けられた頸動脈は内膜平滑筋細胞の顕著な蓄積および基礎膜のVSMC侵入を示した。頸動脈の壁の全体の厚さは2倍になっている。治療群は対照に比べて内膜の壁の肥厚において統計上の有意な減少を示した。
実施例48
ナノ粒子のインビボターゲッティング
ナノ粒子のタンパク質コーティングの中に、タンパク質、抗体、酵素、ペプチド、オリゴヌクレオチド、糖類、多糖類、等のような特定のターゲッティング部分(targeting moieties)を組み入れることによって、体の特定部位を標的にすることが可能である。このターゲッティング部分は治療又は診断の目的のために利用されることができる。
実施例49
高分子シェルの抗体ターゲッティング
本発明の或る態様の高分子シェルの本性はモノクロナール又はポリクロナール抗体を高分子シェルに付着させること又は抗体を高分子シェルの中に組み入れることを許す。抗体は高分子ミクロカプセルシェルが形成されるときに高分子シェルの中に組み入れられることができる、又は抗体は高分子シェルがつくられたあとにその高分子シェルに付着させられることができる。標準的なタンパク質固定技術はこの目的のために使用できる。例えば、アルブミンのようなタンパク質から製造されたタンパク質ミクロカプセルでは、アルブミンリジン残基の上の大きな数のアミノ基は適切に修飾された抗体の付着に利用可能である。例として、抗腫瘍薬は高分子シェルが形成されるときにその中に腫瘍に対する抗体を組み入れることによって腫瘍に送達されることができる、又は腫瘍に対する抗体は高分子シェルがつくられた後にその高分子シェルに付着させられることができる。別の例としては、遺伝子産物を特定細胞(例えば、肝細胞、又は骨髄の中の特定の幹細胞)に送達することは、その標的細胞の上の受容体に対する抗体を高分子シェルが形成されるときにその高分子シェルの中に組み入れることによって可能である、又は標的細胞上の受容体に対する抗体は高分子シェルがつくられた後にその高分子シェルに付着させられることができる。加えて、核受容体に対するモノクロナール抗体はカプセル化製品を特定細胞タイプの核に対してターゲットとするために使用できる。
実施例50
移植臓器に対する免疫抑制剤のターゲッティング
かかる薬剤を含有する高分子シェルの静脈内送達を使用
免疫抑制剤は臓器移植後に拒絶エピソードを防ぐために広く使用されている。特に、シクロスポリン、強い免疫抑制剤、は、動物における皮膚、心臓、腎臓、脾臓、骨髄、小腸、及び肺を含めて同種異系の移植体の生存を延ばす。シクロスポリンは若干、体液の免疫を抑制すること、及び様々な臓器については多数の動物種における細胞媒介反応、例えば、同種異系移植の拒絶反応、遅延型過敏症、実験的アレルギー性脳脊髄炎、フロインドアジュバント(Freund's adjuvant)関節炎、及び移植片対宿主病(graft versus host disease)、を更に大きな度合いで抑制することが証明されている。シクロスポリンを使用して、ヒトにおける腎臓、肝臓、及び心臓の同種異系移植がうまく実施されている。
シクロスポリンは現在のところ、アルコール中の、及びコーン油、ポリオキシエチル化グリセリド、等のような油中の、シクロスポリンの溶液を含有しているカプセルとして、又はオリーブ油、ポリオキシエチル化グリセリド、等の中の溶液として、経口形態で送達される。それは静脈注射によっても投与され、その場合、それはエタノール(約30%)とクレマフォア(cremaphor)(ポリオキシエチル化ヒマシ油)の溶液中に溶解され、それは注射に先立って通常の生理食塩水または5%デキストロースの中に1:20乃至1:100に希釈されなければならない。静脈内(i.v.)注入に比べると、経口溶液の絶対生体内利用効率は約30%である(サンドズ ファーマコイティカル コーポレーション(Sandoz Pharmaceutical Corporation)、パブリケーション SDI−Z10(A4)、1990)。一般に、シクロスポリンのi.v.デリベリは現在実施されているタキソール(登録商標)のi.v.デリベリと同じような問題、即ち、i.v.製剤のために使用されたクレマフォア即ちデリベリベヒクルが原因していると考えられる過敏性及びアレルギー性の反応、に煩わされる。加えて、ここに記載されているようにカプセル化された薬物(例えは、シクロスポリン)の静脈内デリベリは投薬直後の危険な最大血中濃度を回避する。例えば、現在入手できるシクロスポリン製剤と、上記のカプセル化された形態のシクロスポリンとの比較は、注入直後のシクロスポリンの最大血中濃度の減少が5倍にもなることを示していた。
クレマフォアに関連した問題を回避するために、上記のような高分子シェル内に含有されたシクロスポリンがi.v.注入によって送達されてもよい。それは生体適合性の油又は多数のその他溶剤の中に溶解されてもよく、その後に、それは上記のように超音波処理によって高分子シェルの中に分散されてもよい。加えて、高分子シェル内のシクロスポリン(又はその他の免疫抑制剤)をデリベリすることの重要な利点は、肝臓の中のRESシステムによる注入物質の摂取による局所標的化の利点を有している。この方法はある程度は、全身的毒性を回避し、そして局所標的化のせいで有効投与量を減少させる。
実施例51
抗体ターゲッティングのためのカプキソール(登録商標)の使用
様々な腫瘍または組織に対するナノクロナール抗体は本発明の方法によって製造されたカプキソール(登録商標)又はその他の薬剤をして疾患部位をターゲットにすることを可能にさせるためにカプキソール(登録商標)に付着されてもよい。例えば、カプキソール(登録商標)に付着されて腹腔内投与された、卵巣癌に対する抗体は卵巣癌の患者にとって大いに有益であろう。
実施例52
治療薬の静脈内投与
治療薬たとえば薬物や造影剤などの静脈内投与は治療薬に少なくとも一度は肝臓の中を通る素因を与える。その治療薬が肝臓を通して濾されるとき、その治療薬の有意部分が肝臓によって吸収され接収される、従って、全身的分布のために利用可能でない。その上、肝臓に吸収されると、それは代謝されるようであり、そして代謝物はしばしば一般的な全身的毒性を有する。薬物又はその他の治療薬を本発明によるコーティング(例えば、アルブミンのようなタンパク質を使用する)の中に包み込むことによって、静脈内投与されたときの肝臓による接収は軽減される。たとえば、アルブミンは肝臓を通過して一般的にはその患者の全身に分布されるようになることが知られている。従って、肝臓によるアルブミンの接収は、毒性化合物または血流からの除去をもたらす過程を開始させる肝性受容体(hepatic receptors)(又はその他のメカニズム)を有する薬物と同程度には起こらない。治療薬を生体適合性高分子のコーティング(例えば、ヒトアルブミンコーティング)で保護することによって、薬物は肝臓を飛び越え(bypass)、そして一般的に全ての臓器システムの中に分布される。本発明の一つの局面によれば、薬物をヒト肝臓アルブミン(本質的には、生理学的成分)の中に包み込むことを含む新規な肝臓バイパス方法が提供される。この方法では、薬物が全身的治療のためにより多く利用可能になる。薬物の増加した利用効率に加えて、肝細胞の薬物分解の代謝副産物の産出が減少する。肝臓バイパスの増加と薬物代謝の副産物の減少の両方が全体の薬効を相乗的に改良する。この改良された効力はヒトアルブミンの中にカプセル化される全ての薬物及び物質に及ぶ。
例53
薬剤の骨髄抑制的(血液学的毒性)効果の低減
及び全般的毒性
幾つかの化学療法剤は、それらの骨髄抑制効果のために投与量制限的な毒性を有している。タキソール(Taxol:登録商標)(パクリタキセル[paclitaxel])は、そのような薬剤の古典的な例である。その一般的に認可されている財形であるクレマホア(cremaphor)/エタノールを以て投与された場合に、タキソール(登録商標)は、薬剤の反復投与を制限し、患者の血球数が正常に戻ることを可能とするために少なくとも3週間の間患者の再処置を妨げるような骨髄抑制効果を生じる。本発明のある側面の薬剤担体、即ちヒトアルブミンの非毒性的生物学的適合性によって、骨髄抑制の毒性副作用は、大きく低減されるであろうことが仮定された。
スプラグ・ドウリー(Sprague Dawley)ラットは、パクリタキセルを、商業的剤形(以下で、タキソール(登録商標)という、クレモホア/エタノール中のBristol Myers Squibb (BMS)から得られる)において、又はアルブミンを用いたナノ粒子として本発明によって調製された剤形で与えられた。両方の剤形は、共に尾部静脈注射により投与された。タキソール(登録商標)について、5mg/kgの単一投与量水準が投与され、その一方で、発明の剤形については5mg/kg及び12mg/kgの2種類の投与量水準が投与された。ラットの白血球細胞計数が、骨髄抑制の指標として、毎日投与後に監視された。
タキソール(登録商標)(5mg/kg)については、投与後の1日目及び2日目に、それぞれ47.6%及び63.5%のWBC計数の低下が見出されたが、一方で、5mg/kgにおける本発明剤形においては、WBC計数が1日目及び2日目にそれぞれ14.7%及び2.4%増加した。12mg/kgのより高い投与量の本発明剤形については、WBC計数は1日目及び2日目にそれぞれ6.5%及び3.6%増加した。
これらの結果は、本発明の剤形を以て薬剤を投与することにより短期的骨髄抑制が大きく低減されることを示している。
全般的毒性の他の指標は、動物の体重である。ラットの体重が、パクリタキセルの投与に引き続いて監視された。5mg/kgの投与量において、タキソール(登録商標)は、投与後3日までに10.4%の体重低下をもたらしたが、一方で本発明の剤形におけるパクリタキセルの同じ投与量は、わずかに3.9%の体重低減を生じ、本発明の剤形の大きく低減された毒性を示した。
本発明剤形及びタキソール(登録商標)が、パクリタキセルの同じ投与量を以てラットに投与された場合に、かなり高い程度の骨髄抑制が、本発明剤形の群に比べてタキソール(登録商標)群について得られたことは、極めて驚くべきことである。このことは、感染及び発熱症状(例えば、発熱性好中球減少症)のより低い発生率をもたらしうる。またそれは、タキソール(登録商標)について現在では21日間である処置間の周期時間を低減しうる。本発明に従って調製された医薬組成物の使用によって、この周期時間は、2週間、1週間あるいはそれ以下に短縮され得て、癌のより有効な処置を可能とする。従って、本発明に従って調製された医薬組成物の使用は、タキソール(登録商標)に比べて実質的な優位点を提供しうる。
例54
ナノ粒子剤形のボーラス用量投与
抗ガン剤パクリタキセルは、そのクレマホア/エタノールを用いた商業的BMS剤形においては、静脈内ボーラスとして投与できない。これは、重篤な過敏症反応をもたらし、薬剤を投与される患者がステロイド剤、抗ヒスタミン剤等により予め医薬的治療を受けていることを要求するベヒクルの広範囲な毒性による。タキソール(登録商標)剤形は、1時間〜24時間まで継続する静脈内輸液として投与される。対照的に、本発明の剤形は非毒性担体の使用により、現在臨床的に使用されているタキソール(登録商標)に見られる毒性問題を伴うことなく、静脈ボーラスとして(即ち、1時間以内で)患者に容易に投与されうる。
患者に対するパクリタキセルの有効投与量は、患者の体重又は体表面積に依存して、典型的には200−500mgの間にある。タキソール(登録商標)は、0.6mg/mlの最終投与濃度を以て投与されなければならず、大きい輸液体積(典型的には約300−1000mlの範囲)を要求する。対照的に、本発明の剤形はこれらの制限を持たず、所望の濃度を以て投与されうる。このことは、治療医が数分間程度の短時間で投与されうる急速な静脈ボーラスにより患者を治療することを可能とする。例えば、本発明剤形を20mg/mlの投与濃度に再構成した場合に、200−500mgの全投与量についての輸液体積は、それぞれわずかに10−25mlである。このことは、臨床的に大きな優位点である。
例55
ナノ粒子剤形によるパクリタキセルの
タキソールに対比しての毒性の低減
抗ガン剤パクリタキセルは、その商業的剤形(即ち、タキソール(登録商標))においては、重篤な過敏症反応をもたらし、薬剤を投与される患者がステロイド剤、抗ヒスタミン剤等により予め医薬的治療を受けていることを要求する広範囲な毒性を有することがよく知られている。BMS製剤の毒性が、本発明のナノ粒子剤形と比較された。
而して剤形は、異なった投与濃度を以てC57BLマウスの尾部静脈を通して静脈内的に注射され、注射後のマウスの全般的観察により毒性効果を監視した。
タキソール(登録商標)については、30mg/kgの投与量は、静脈内投与の5分以内に一様に致死的であった。同じ投与量について、本発明によるナノ粒子剤形は、明らかな毒性を示さなかった。103mg/kgの投与量のナノ粒子剤形は、マウス体重のいくらかの低下を示したが、この高い投与量においてさえも致死的ではなかった。約1000mg/kg、800mg/kg及び550mg/kgの投与量は、全て致死的であったが、致死までの時間が数時間〜24時間の範囲で異なった。従って、発明剤形の致死的投与量は、103mg/kgより大きく、550mg/kg未満であった。
従って、パクリタキセルの発明剤形の致死的投与量は、タキソール(登録商標)よりも実質的に高いことが明らかである。このことは、化学療法剤のより高い投与量が、より有効な腫瘍崩壊活性のために高度に低減された毒性を以て投与されるであろう臨床的実務において極めて重要な意味を有する。
例56
発明方法により製造されるタキソール(登録商標)
及び単一静脈内投与後のタキソールについての
マウスにおけるLD 50 の測定
カプキソール(商標)、タキソール(登録商標)及びそれらの担体ベヒクルのLD50を、単一静脈内投与に続いて比較した。併せて48頭のCD1マウスが使用された。カプキソール(商標)については30、103、367、548、及び822mg/kgのパクリタキセル投与量が試験され、タキソール(登録商標)については、4、6、9、13.4、及び20.1mg/kgのパクリタキセル投与量が試験された。ヒトアルブミンはヒトに対して毒性であるとは考えられないことから、カプキソール(商標)のためのベヒクルであるヒトアルブミンは、4.94g/kg(548mg/kgのカプキソール(商標)投与量に対応する)においてのみ試験された。タキソール(登録商標)ベヒクル(クレマホアEL(登録商標))について試験された投与量は、1.5、1.9、2.8、及び3.4ml/kgであり、これはパクリタキセルの9、11.3、16.6、及び20.1mg/kgの投与量にそれぞれ対応する。3〜4頭のマウスが、各濃度の投与を受けた。結果は、カプキソール(商標)において投与されたパクリタキセルが、タキソール(登録商標)又は単独で投与されたタキソール(登録商標)ベヒクルよりも低毒性であることを示した。LD50及びLD10は、カプキソール(商標)について447.4及び371.5mg/kgのタキソール(登録商標)、タキソール中のパクリタキセルの7.53及び5.13mg/kg、並びにタキソールベヒクルの1325及び794mg/kg(パクリタキセル、15.06mg/kg及び9.06mg/kgの投与量に相当)であった。この研究において、カプキソール(商標)のLD50は、タキソール(登録商標)より59倍大きく、またタキソール(登録商標)ベヒクル単独より29倍大きかった。カプキソール(商標)中のパクリタキセルのLD10は、タキソール(登録商標)中のパクリタキセルより72倍大きかった。この研究における全てのデータの検討は、タキソール(登録商標)ベヒクルがタキソール(登録商標)の毒性の多くを負っていることを示唆している。タキソール(登録商標)及びタキソール(登録商標)ベヒクルの投与を受けたマウスが、投与後短時間で明るいピンク色の皮膚の発色により示される重篤な過敏症の古典的徴候を示したことが見られた。カプキソール(商標)及びカプキソール(商標)ベヒクル群では、このような反応は見られなかった。結果は表2に表される。
Figure 0005405527
これらのカプキソール(商標)の高投与量がボーラス注射として投与され、ヒトにおける約80−2000mg/mの投与量の均等物に相当した。この試験におけるカプキソール(商標)のLD10又は最大許容投与量は、ヒトにおける約1000mg/mに同等である。これは、タキソール(登録商標)についての175mg/mの許容されたヒト投与量よりかなり高い。
驚いたことに、ベヒクルであるクレモホア/エタノール単独で、重篤な過敏症反応を引き起こし、かつマウスの幾つかの投与群で死亡を招いていることが見出された。タキソール(登録商標)ベヒクル単独についてのLD50データは、それがカプキソール(商標)よりも相当に毒性であり、タキソール(登録商標)の毒性に顕著に寄与していることを示している。文献においては、過敏症の原因が不明確であったが、これらのデータに基づけば我々はHRSがタキソール(登録商標)ベヒクルのせいであるものと信じることができる。
例57
複数回静脈投与後のタキソール(登
録商標)のマウスにおけるLD 50 の決定
カプキソール(商標)及びタキソール(登録商標)及びそれらの担体のLD50を、複数回静脈投与後に比較した。合わせて32頭のCD1マウスを使用した。30、69、及び103mg/kgのパクリタキセル投与量を持ったカプキソール(商標)を、5日間続けて投与した。4、6、9、13.4及び20.1mg/kgのパクリタキセル投与量を持ったタキソール(商標)を5日間続けて投与した。4頭のマウスが、それぞれの濃度の投与を受けた。結果は表3に示される。
Figure 0005405527
結果は、カプキソール(商標)がタキソール(商標)より低毒性であることを示した。カプキソール(商標)のLD50及びLD10は、それぞれ76.2及び64.5mg/kgパクリタキセルであり、タキソール(商標)における8.07及び4.3mg/kgパクリタキセルのそれぞれと対比される。この研究において、カプキソール(商標)のLD50は、タキソール(登録商標)についてより9.4倍高かった。カプキソール(商標)のLD10は、タキソール(登録商標)についてより15倍高かった。この研究結果は、1日間隔で複数投与量を投与した場合に、カプキソール(商標)がタキソール(登録商標)よりもより低毒性であることを示唆している。
例58
カプキソール(商標)及びタキソール(登録商標)
の2種類の剤形の毒性及び有効性
MX−1ヒト乳癌断片の移植を受けた雌無胸腺NCr−nuマウスにおいて、カプキソール(商標)、タキソール(登録商標)及びカプキソール(商標)ベヒクルの有効性を決定するための研究を行った。それぞれ5頭のマウスの群に、13.4、20、30、45mg/kg/日の投与量を以て5日間、カプキソール(商標)剤形VR−3及びVR−4の静脈注射を行った。5頭のマウスの群にそれぞれ、13.4、20及び30mg/kg/日の投与量を以て5日間、タキソール(登録商標)の静脈注射を行った。10頭のマウスの対照群は、カプキソール(商標)ベヒクル対照(ヒトアルブミン、600mg/kg/日)の静脈注射により処置された。評価パラメータは、完全な腫瘍退行の数、完全退行の平均継続期間、腫瘍不在生存個体、及び腫瘍再発であった。
カプキソール(商標)剤形VR−3による処置は、全ての投与水準で完全な腫瘍退行をもたらした。2種の高投与量は、103日後において100%の生存を生じた。カプキソール(商標)剤形VR−4は、3種の高投与量群において完全な腫瘍退行を、また13.4mg/kg/日において60%の退行を生じた。103日後の生存率は、剤形VR−4を用いた場合より若干低かった。30、20及び13.4mg/kg/日におけるタキソール(登録商標)を用いた処置は、それぞれ40%、20%、及び20%の103日生存率をもたらした。対照ベヒクルを用いた処置は、腫瘍成長に対して効果を持たず、動物は33〜47日後に犠牲にされた。結果は、表4に表される。
Figure 0005405527
CR=完全な腫瘍退行;
TFS=腫瘍不在生存個体
TR=腫瘍再発;
DCR=完全退行の日数
これらの予期されない驚くべき結果は、タキソール(登録商標)に比べて、2種類のカプキソール(商標)剤形についての増大した有効性を示している。加えて、パクリタキセルの高投与量が、カプキソール(商標)群において剤形のより低い毒性のために達成された。これらの高い投与量は、ボーラス注射として投与された。
例40
ラットにおける単一静脈投与後の H−タキソール(登録
商標)及びカプキソール(商標)の血液動態及び組織分布
カプキソール(商標)及びタキソール(登録商標)の注射濃度に製剤化されたH−パクリタキセルの薬理動態及び組織分布を比較するために2種の研究を行った。14頭の雄ラットに、10mg/kgのH−タキソール(登録商標)を、また10頭のラットに4.9mg/kgを静脈内的に注射した。上記研究において10頭の雄ラットに、5.1mg/kgのH−カプキソール(商標)を静脈内的に注射した。
全放射能及びパクリタキセルの両者の濃度は、H−タキソール(登録商標)又はH−カプキソール(商標)の何れかの5mg/kg IVボーラス投与の後に、ラットの血中で二期的に減少する。しかしながら、全放射能及びパクリタキセルの両者の濃度は、同様なH−タキソール(登録商標)投与後より、H−カプキソール(商標)投与後において顕著に低い。この低い濃度は、血中においてより迅速に分配される。
血液のHPLCプロフィールは、H−カプキソール(商標)及びH−タキソール(登録商標)の両者について、高極性の代謝産物に対して同様な代謝パターンを示す。しかしながら、代謝速度は、H−カプキソール(商標)については44.2%の血液放射能が投与後24時間でパクリタキセルとして残っていることに対して、H−タキソール(登録商標)については27.7%であることからして、有意に遅いものと思われる。放射能の排出は、H−タキソール(登録商標)について報告されている排出パターンと同様に、H−カプキソール(商標)についても尿中にはわずかに最小量で、主には便中に起こる。H−カプキソール(商標)又はH−タキソール(登録商標)の5mg/kgのIV投与後の全放射能及びパクリタキセルについての血液動態が、表5に示される。
Figure 0005405527
組織放射能水準は、14の組織中の12においてH−タキソール(登録商標)投与よりも、H−カプキソール(商標)投与後の方がより高い。組織/血液 ppm 比は、H−カプキソール(商標)投与動物については血中濃度がより低いことから、全ての組織においてより高い。このことは、血液動態データから示唆されるように、血液から組織へのH−カプキソール(商標)の迅速な分布を支持している。
カプキソール(商標)に製剤化されたH−パクリタキセルは、注射濃度についてはタキソール(登録商標)に製剤化されたH−パクリタキセルと同様な薬理動態プロフィールを示すが、組織/血液 ppm 比及び代謝速度は有意に異なる。投与後2分間の血液試料中の全放射能が、カプキソール(商標)処置動物についてタキソール(登録商標)処置動物よりも有意に低濃度であることは、H−カプキソール(商標)が、より迅速に血中に分布することを示している。しかしながら、代謝速度は、H−カプキソール(商標)については投与後24時間において44%の血中活性が残ることに対して、H−タキソール(登録商標)については28%であって、有意に遅いものと思われる。
このカプキソール(商標)に関する知見は、驚くべきものであり、タキソール(登録商標)に比べて、パクリタキセルが維持された活性を達成する新規な剤形を提供する。局所的な高い濃度と共に、この向上された活性は、高い局所濃度を持った器官における原発腫瘍又は転移の処置について増大された有効性をもたらすであろう。組織分布は、下記の表6に表される。データは、各群(カプキソール(商標)及びタキソール(登録商標))における10頭のラットの平均及び標準偏差を表す。
Figure 0005405527
データは、幾つかの組織におけるタキソール(登録商標)に比べて有意に高い濃度のカプキソール(商標)の蓄積を表している。これらの器官は、前立腺、膵臓、腎臓、肺、心臓、骨、及び胸腺を含む。従って、カプキソール(商標)は、これらの器官の癌処置において、パクリタキセルの同じ濃度でタキソール(登録商標)よりも効果的であり得る。
前立腺組織における濃度は、前立腺癌の処置において特に興味あるものである。この驚くべき予知不能な結果は、前立腺癌治療に対して密接に関連する。下記の表7は、タキソール(登録商標)に対比されるカプキソール(商標)についての前立腺におけるパクリタキセルの増大された蓄積の個々のラット(各群に10頭)についてのデータを示す。前立腺内への局在化の根拠は、剤形の粒子の大きさ(20−400nm)、又は特異的な膜レセプタ(gp60、gp18、gp13等)を介しての前立腺組織への局在化を招きうる剤形中の蛋白アルブミンの存在の結果であり得る。アルブミン以外の他の生物学的に適合性の生物分解可能な高分子は、前立腺等の特定の組織に対する特異性を示し得て、上記のような性質の結果としてこれらの組織中のパクリタキセルの高い局所濃度を生じることもあり得る。このような生物学的適合性物質も、この発明の範囲内と考えられる。前立腺内のパクリタキセルの高い局所濃度を達成する組成物の好ましい実施態様は、20−400nmの範囲内の粒子サイズを持ったパクリタキセルとアルブミンを含み、クレモホアを含まない剤形である。この実施態様は、膵臓、腎臓、肺、心臓、骨及び胸腺において、同等な濃度のタキソール(登録商標)と対比してパクリタキセルのより高濃度を生じることも例示された。
Figure 0005405527
このデータは、前立腺へのカプキソール(商標)の局在が、タキソール(登録商標)に対比して150%であることを示す。
このカプキソール(商標)剤形における前立腺へのパクリタキセルの予期されない局在化は、その器官に影響する他の疾患状態の処置のための前立腺に対する他の薬理学的活性薬剤の分配、例えば前立腺炎(前立腺の炎症及び感染)の処置のための同様な剤形における抗生物質の分配に利用されてよく、良性前立腺肥大の処置に有効な治療剤は、高い局所的分配を達成するために同様な様式で製剤化されてよい。同様に、カプキソール(商標)が心臓に対して高い局所濃度を与えるという驚くべき知見は、冠状血管におけるアテローム性動脈硬化症に加えて再狭窄の処置に利用可能である。パクリタキセルは、再狭窄及びアテローム性動脈硬化の防止に治療的に有効であることが示されており、従って、カプキソール(商標)は、これらの症状についてパクリタキセルの理想的な形態である。更に、高分子化アルブミンは、おそらくgp60、gp18及びgp13レセプタを介して炎症内皮血管に優先的に結合することが示されている。
例60
ラットにおけるカプキソール(商標)の複数回静脈内
投与後のパクリタキセルの血液動態及び組織分布
H−カプキソール(商標)を使用する研究は、カプキソール(商標)中のパクリタキセルの9.1mg/kg、26.4mg/kg、116.7mg/kg、及び148.1mg/kgの単一のボーラス投与により処置された付加的な4つのラット群により補充された。血液を尾部静脈から採取し、AUC0−24を計算した。24時間の時点で血液試料を採取し、抽出し、該抽出物をHPLCに注入して血液中の親化合物濃度を測定した。
H−カプキソール(商標)のIV投与後の全放射能及びパクリタキセルの血液動態は、表8に示されている。
Figure 0005405527
パクリタキセルの投与量の増大に伴って、曲線の下側の面積が比例的に増加した。24時間後の親化合物の濃度は、9mg/kg投与から148mg/kg投与にした場合に、8.5の因子(0.04ppm−0.34ppm)で増加した。
例61
単一静脈内投与後のカプキソール(商標)及びタキソール
(登録商標)のラットにおける毒性の測定
研究の目的は、雄及び雌ラットにおける単一IV投与後のカプキソール(商標)の毒性の測定である。カプキソール(商標)を、6頭の雄及び6頭の雌ラットに、5、9、30、90及び120mg/kgの投与量を以て投与した。各投与量群の動物の半分を、8日目に安楽死させ、剖検した。残る動物は31日目に剖検された。カプキソール(商標)治療動物の結果は、通常食塩水、ベヒクル対照群の結果、及び5、9及び30mg/kgタキソール(登録商標)により処置された動物の結果と比較された。
動物を、投与直後、投与後1時間及び4時間、並びにその後は1日に1回検査した。安楽死に先行して、血液学的及び血清測定のために各動物から血液を採取した。
30日の観察期間に13頭の死亡が起こった。30mg/kgのパクリタキセルの投与量でタキソール(登録商標)による処置を行った12頭全ての動物は、4日以内に死亡した。わずか1頭のみのカプキソール(商標)により処置した動物が死亡した。90mg/kgのパクリタキセルの投与を受けたカプキソール(商標)処置動物は、15日目に死亡したことが見出された。カプキソール(商標)により処置された他の動物は、90mg/kg及び120mg/kg投与において全く死亡せず、従って死亡は処置関連とは考えられない。
最初の4時間の観察期間において、おそらく薬剤のアルコール含量のために、タキソール(登録商標)により処置された動物の多くに立毛及びふらつき歩行が観察された。立毛は、カプキソール(商標)により処置された数頭の動物にも認められた。30mg/kgパクリタキセル投与においてタキソール(登録商標)により処置された動物は、立毛及び昏睡状態が観察され、4日までに死亡が見出された。カプキソール(商標)処置動物においては、90mg/ml及び120mg/ml投与水準でのいくらかの立毛発生をのぞいて、毒性の明らかな徴候は何ら観察されなかった。
カプキソール(商標)処置動物においては、何らの異常も報告されなかった。8日及び31日の総体剖検の結果は、正常であった。カプキソール(商標)にて処置された動物においては雄の生殖器官における有意な投与量関連の変化が見られた。しばしば多病巣介在性リンパ球浸潤を伴う精巣上体管上皮細胞の退行及び空胞化が観察された。カプキソール(商標)投与量増大に伴って、増大する輸精管の深刻な萎縮が見られた。病理学者の意見では、9、30、90及び120mg/kgのカプキソール(商標)により処置された動物の雄生殖器官において観察される有意な病変が存在した。これらの変化は、精巣の拡散的退行及び壊死に関連した。これらの変化は、より高いカプキソール(商標)の投与を受けた動物において最も流行していた。未処置の対照動物、ベヒクル対照動物又はタキソール(登録商標)処置動物においては、何らの変化も見られなかった。
この知見は、予期されないものであり、また前立腺癌等のホルモン依存性癌の処置に対して、有意な治療的関連を有する。精巣除去(精巣摘出)は、前立腺癌の処置について治療的な方法である。カプキソール(商標)は、その部位におけるパクリタキセルの高い局所濃度を達成し、活性成分の維持された活性により、精巣機能の低減により、かつ毒性のクレモホアベヒクルを伴わずに、この疾患の処置のための新規な剤形を与える。従って、カプキソール(商標)による処置は、テストステロン及び他のアンドロゲンホルモン類の濃度低減を許容する。
大脳皮質壊死が、中間投与量のタキソール(登録商標)処置動物において見られた。これは、より高投与量のタキソール(登録商標)により処置された動物の死亡を説明するであろう。カプキソール(商標)により処置された動物において大脳病巣は見られなかった。
この大脳又は神経的毒性の欠如は、驚くべきことであり、また脳腫瘍の治療及びラットにおける5−120mg/kgの範囲の高い全身投与(ヒトにおける30−700mg/m投与量に同等である)を達成する能力の両方において有意な関連を有する。
要約すれば、カプキソール(商標)は、タキソール(登録商標)よりもかなり低毒性である。タキソール(登録商標)動物は、いずれも9mg/kgより以上の投与量で生存しなかった。90mg/kgのカプキソール(商標)における偶発的な死亡をのぞいては、カプキソール(商標)を投与された全ての動物は120mg/kgを含みそこまでの投与量において生存した。雄生殖器官及び雄の体重抑制に対しては、カプキソール(商標)の高投与量−関連効果があった。雌ラットには、120mg/kgを含みそこまでの投与量において、カプキソール(商標)の投与からは何らの毒性効果も示されなかった。これらの高投与量は、ボーラス注射として投与され、ヒトにおける30−700mg/m投与と同等であることを表す。
例62
静脈内投与後のシクロスポリンナノ粒子(カプソリン
(Capsorin)IV)についての薬理動態(PK)データ
(現在サンドにより販売されるサンディミュン
(Sandimmune)との比較)
前述のように(例13及び14)調製されたシクロスポリンナノ粒子(カプソリンIV)を、食塩水中に再構成し、3頭のスプラグ・ドウリー(Sprague Dawley)ラットの最初の群に静脈内ボーラスにより投与した。3頭のラットの第2の群は、食塩水中への希釈後にクレマホア/エタノールを含むサンディミュンIVが与えられた。各群は2.5mg/kgシクロスポリンの同じ投与量を受けた。血液試料を、0、5、15,30(分)及び1、2、4、8、24、36及び48(時間)に採取した。血液中のシクロスポリン濃度はHPLCによりアッセイされ、典型的なPKパラメタが決定された。PK曲線は、以下のような典型的な経時的崩壊を示した。

経時的崩壊
AUC,mg−時/ml Cmax,ng/ml
カプソリンIV 12.228 2.853
サンディミュンIV 7.791 2.606

加えて、サンディミュンIV剤形の毒性のために、その群の3頭の内の2頭のラットは投与から4時間後には死亡した。而して、本発明によるナノ粒子剤形(カプソリンIV)は、商業的に入手可能な剤形(サンディミュンIV)に比べてより大きいAUCを示し、かつ毒性を示さない。
例63
経口投与後のシクロスポリンナノ粒子(カプソリン経口)
についての薬理動態(PK)データ(現在サンドにより販
売されるネオーラル(Neoral)との比較)
前述のように調製されたシクロスポリンのナノドロップレットを、オレンジジュースにて、3頭のスプラグ・ドウリーラットの最初の群に経口食により投与した。3頭のラットの第2の群は、乳化剤を含む商業的に入手可能なマイクロエマルジョン剤形であるネオーラルを、オレンジジュース中に希釈した後にやはり経口食により投与した。各群は12mg/kgシクロスポリンの同じ投与量を、動態席のオレンジジュースにて受けた。血液試料を、0、5、15,30(分)及び1、2、4、8、24、36及び48(時間)に採取した。血液中のシクロスポリン濃度はHPLCによりアッセイされ、典型的なPKパラメタが決定された。PK曲線は、以下のような典型的な経時的崩壊を示した。

経時的崩壊
AUC,mg−時/ml Cmax,ng/ml
カプソリンIV 3.195 887
サンディミュンIV 3.213 690

而して、本発明によるナノドロップレット剤形(カプソリン経口)は、商業的に入手可能な剤形(ネオーラル)に近似したPK挙動を示す。
例64
カプキソール(商標)を用いた臨床的調査:
目標及び優位点
第I/II相の治験の為の初期投与量を選択するための理論的根拠は、タキソール(登録商標)に比べてのカプキソール(商標)の劇的に低い前臨床的毒性データに基づくであろう。上記の前臨床データは、第I/II相試験の為のカプキソール(商標)の初期投与濃度が、タキソール(登録商標)中のパクリタキセルについての確立されたMTD(最大許容投与量)を使用するであろうことを示している。現在の前臨床データに基づけば、この時点において販売許可のための臨床的目標は、パクリタキセル投与に先行する前処置の必要性を無くすること;カプキソール(商標)についてのタキソール(登録商標)と同等の投与量を決定する、即ち、同等な抗腫瘍応答が得られる投与量を決定すること;及びパクリタキセル投与のための連続的静脈内投与(3〜24時間)の必要性を無くし、より短時間での投与(<1時間、又はボーラス)に置き換えることにあるものと予想される。
パクリタキセルのためのカプキソール(商標)剤形には多くの可能性ある優位点がある。カプキソール(商標)は、パクリタキセル及びヒト血清アルブミンのみを含有する凍結乾燥粉末である。凍結乾燥粉末の再構成により形成されるコロイド状溶液の性質によって、クレマホア(パクリタキセルのBMS剤形中)又はポリソルベート80(ドセラキセル(docetaxel)のローヌプ−ラン剤形中)等の毒性乳化剤、及び薬剤の可溶化の為のエタノール等の溶媒を必要としない。毒性の乳化剤の除去は、タキソール(登録商標)のような製品から起こることが知られている重篤な過敏症及びアナフィラキシー反応の発生を低減するであろう。
加えて、ステロイド類及び抗ヒスタミン類による前処置も、薬剤の投与に先行して予期されない。
LD10/LD50試験により実証されるように、低減された毒性のために、より大きな効果を生じるであろう高投与量が採用されうる。
骨髄抑制の低減(タキソール(登録商標)に比較して)が、処置周期の期間(現在は3週間)を短縮し、治療結果の改善が期待される。
カプキソール(商標)は、タキソール(登録商標)に比べてかなり高濃度にて投与され得、かなり小体積の輸液、及び多分に静脈内ボーラスとしての投与を許容する。
タキソール(登録商標)について認識された問題点は、装着カテーテル内でのパクリタキセルの沈殿である。このことは、不安定で不十分な制御の投与を生じる。新規な剤形、カプキソール(商標)のコロイド状溶液の本質的な安定性故に、沈殿の問題は軽減される。
文献は、低い100ナノメーター径の範囲の粒子は、腫瘍部位における浸透性血管を通して腫瘍に優先的に分配されることを示唆している。カプキソール(商標)剤形中のパクリタキセルのコロイド粒子は、従って優先的標的効果を示し、BMS剤形において投与されるパクリタキセルの副作用を大きく低減することが期待される。
例65
カプキソール(商標)の臨床試験計画の概要
薬効:転移性乳癌
計画:第I/II相の治験の為の初期投与量を選択するための理論的根拠は、BMS製剤に比べてのカプキソール(商標)の有意に低い前臨床的毒性データ(マウスにおける単一投与LD10データ)に基づくであろう。マウスにおける単一投与LD10は、398.1mg/kgと測定される。この投与量の表面積ベースへの変換(mg/kg値の3倍)は、1194.3又は約1200mg/mの評価を与える。ヒトに対するこの値の10分の1の控えめな出発投与量は、120mg/mの投与量を与える。しかしながら、パクリタキセルは175mg/mの投与量において安全であることが既に十分に確立しており、またラットにおいて低い骨髄抑制を示すカプキソール(商標)のパイロット試験に基づけば、175mg/mの投与量は、カプキソール(商標)剤形について安全であり得る。カプキソール(商標)溶液は、約15−30分間、又は可能であればそれ以内で分配されるであろう。
例66
カプキソール(商標)の臨床開発計画の概要:
連合I/II相投与量判定試験/有効性限度試験
患者/目標:標準的治療に抵抗性の進行性胸部転移疾患を有する患者。この試験の到達点は、転移性乳癌を持った患者において単一薬剤としてのカプキソール(商標)に対する応答率を確立することであろう。
投与−第I相要素:治験の第I相要素において使用されるべき初期投与量は、パクリタキセルについての既知の最大許容投与量(MTD)(135mg/m)であろう。引き続く投与量は、MTDに達するまで、25%の段階を以て拡大されるであろう。初期カプキソール(商標)投与濃度のそれぞれにおいて、3人の患者がおり、MTDにおいて6人の患者まで拡大される。次の投与濃度に移行する能力は、不利な事象のパターンによるであろう。即ち、試験は、6人中2人以上の患者が特定の投与濃度にて、3級の非−骨髄抑制的毒性又は4級の骨髄抑制毒性(WHO毒性スケールの基づく)を示した場合に中断されるであろう。カプキソール(商標)の投与量は、試験が中断された時点の投与量の直前における投与量として指定されるであろう。1日に5回又は24時間輸液等の別の薬剤投与計画も、必要に応じて初期の単一投与量ボーラス計画に基づいて検討されうる。
薬理動態:選択された患者について、完全薬理動態試験が、適切に計画された時点での血清採取を使用して行われるであろう。t1/2(α及びβ相)、AUC、Cmax、排除及び分配体積等のパラメータが決定されるであろう。
患者−第II相要素:MTDが決定されたならば、元のパクリタキセル治験において使用された患者と同様な乳癌患者が第II相要素の為に選択されるであろう。人数は、95%の信頼性での許容される精度を以て腫瘍応答を確立するための要求に基づくであろう。而して、試験は、信頼性差がカプキソール(商標)に対して期待される応答率を包含することを示すことにより、標準的パクリタキセルとの同等性を確立するとの目標をもって、片腕であり得る。使用される患者試料の大きさは、第I/II相試験の第II相要素について一般的な30人の患者であろう。
測定:主要な結果は、登録された患者についての腫瘍応答(CR/PR)であろう。加えて、応答時間、応答の持続及び生存期間が監視されるであろう。治療の安全性は、不利な事象の割合及び標準研究室パラメータの変更からも評価されるであろう。

Claims (24)

  1. タンパク質被膜を有するタキサンを含むナノ粒子を含むタキサンの製剤であって、該ナノ粒子は、0.22ミクロンフィルターで殺菌ろ過できる200ナノメーター以下の平均直径を有し、該製剤中におけるタキサンの濃度は、少なくとも2.0mg/mlであってかつ5.0mg/ml未満であり、該製剤はクレマホアを含まない、製剤。
  2. タキサンを含むナノ粒子を含むタキサンの製剤であって、該ナノ粒子は、0.22ミクロンフィルターで殺菌ろ過できる200ナノメーター以下の平均直径を有し、該製剤中のタキサンの量は、対象に対して少なくとも135mg/mのタキサンの投与量を提供するに十分な量であり、製剤は実質的にクレマホアを含まない、製剤。
  3. 2時間以下の投与時間にわたって少なくとも175mg/mの投与量で全身的に投与するための製剤である、請求項2に記載の製剤。
  4. 癌の治療に使用するための、請求項1から3のいずれかに記載の製剤。
  5. 癌が乳癌である、請求項1から4のいずれかに記載の製剤
  6. 乳癌が転移性乳癌である、請求項5に記載の製剤
  7. 再発狭窄症を治療するための医薬を製造するためのタキサンの製剤であって、クレモホアの無い製剤中にタキサンが存在する、製剤。
  8. 網膜症を治療するための医薬を製造するためのタキサンの製剤であって、クレモホアの無い製剤中にタキサンが存在する、製剤。
  9. 癌を治療するための医薬を製造するためのタキサンの製剤であって、クレモホアの無い製剤中にタキサンが存在し、癌が、前立腺、膵臓、骨、肺、腎臓、心臓および脾臓癌から選ばれる、製剤。
  10. 製剤がタキサンを含むナノ粒子を含有する、請求項7から9のいずれかに記載の製剤。
  11. ナノ粒子が200ナノメーター以下の平均直径を有する、請求項10に記載の製剤。
  12. タキサンがパクリタキセルである、請求項1から11のいずれかに記載の製剤。
  13. ナノ粒子がタンパク質被膜を有する、請求項から6および10から12のいずれかに記載の製剤。
  14. タンパク質がアルブミンである、請求項1から6および13のいずれかに記載の製剤。
  15. アルブミンがヒトアルブミンである、請求項14に記載の製剤。
  16. ヒトアルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項15に記載の製剤。
  17. ナノ粒子がコアを有し、該コアはポリマー材料を実質的に含まない、請求項1から6および10から16のいずれかに記載の製剤。
  18. パクリタキセルは実質的にアモルファスである、請求項1から6および10から17のいずれかに記載の製剤。
  19. ナノ粒子の平均直径が、10−200ナノメーターである、請求項1から6および10から18のいずれかに記載の製剤。
  20. ナノ粒子の平均直径が、50−170ナノメーターである、請求項1から6および10から19のいずれかに記載の製剤。
  21. 滅菌濾過される製剤である、請求項1から20のいずれかに記載の製剤。
  22. 静脈投与に適している製剤である、請求項1から21のいずれかに記載の製剤。
  23. 投与前の製剤がシール化バイアルに含まれる、請求項1から22のいずれかに記載の製剤。
  24. 凍結乾燥される製剤である、請求項1から23のいずれかに記載の製剤。
JP2011132758A 1997-06-27 2011-06-15 薬理薬物の新規製剤、その製造法及びその使用法 Expired - Lifetime JP5405527B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US5102197P 1997-06-27 1997-06-27
US60/051,021 1997-06-27
US08/926,155 US6096331A (en) 1993-02-22 1997-09-09 Methods and compositions useful for administration of chemotherapeutic agents
US08/926,155 1997-09-09

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50574999A Division JP4865937B2 (ja) 1997-06-27 1998-06-26 パクリタキセル製剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011219482A JP2011219482A (ja) 2011-11-04
JP5405527B2 true JP5405527B2 (ja) 2014-02-05

Family

ID=26728969

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50574999A Expired - Lifetime JP4865937B2 (ja) 1997-06-27 1998-06-26 パクリタキセル製剤
JP2011132758A Expired - Lifetime JP5405527B2 (ja) 1997-06-27 2011-06-15 薬理薬物の新規製剤、その製造法及びその使用法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50574999A Expired - Lifetime JP4865937B2 (ja) 1997-06-27 1998-06-26 パクリタキセル製剤

Country Status (19)

Country Link
US (2) US20080161382A1 (ja)
EP (1) EP1023050B1 (ja)
JP (2) JP4865937B2 (ja)
KR (3) KR100923172B1 (ja)
CN (2) CN100525748C (ja)
AU (1) AU8266298A (ja)
BR (1) BRPI9810945B8 (ja)
CA (1) CA2294981C (ja)
DK (1) DK1023050T3 (ja)
ES (1) ES2435944T3 (ja)
HK (1) HK1030543A1 (ja)
HU (1) HU230338B1 (ja)
IL (2) IL133672A0 (ja)
MX (1) MX337149B (ja)
NO (2) NO332166B1 (ja)
NZ (2) NZ525580A (ja)
PT (1) PT1023050E (ja)
SG (1) SG113402A1 (ja)
WO (1) WO1999000113A1 (ja)

Families Citing this family (142)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6537579B1 (en) * 1993-02-22 2003-03-25 American Bioscience, Inc. Compositions and methods for administration of pharmacologically active compounds
US20070117862A1 (en) * 1993-02-22 2007-05-24 Desai Neil P Novel formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US5439686A (en) * 1993-02-22 1995-08-08 Vivorx Pharmaceuticals, Inc. Methods for in vivo delivery of substantially water insoluble pharmacologically active agents and compositions useful therefor
US8137684B2 (en) * 1996-10-01 2012-03-20 Abraxis Bioscience, Llc Formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
EP1023050B1 (en) * 1997-06-27 2013-09-25 Abraxis BioScience, LLC Novel formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US8853260B2 (en) 1997-06-27 2014-10-07 Abraxis Bioscience, Llc Formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US20030199425A1 (en) * 1997-06-27 2003-10-23 Desai Neil P. Compositions and methods for treatment of hyperplasia
US7314637B1 (en) 1999-06-29 2008-01-01 Neopharm, Inc. Method of administering liposomal encapsulated taxane
US6040330A (en) * 1999-01-08 2000-03-21 Bionumerik Pharmaceuticals, Inc. Pharmaceutical formulations of taxanes
WO2000071079A2 (en) * 1999-05-21 2000-11-30 American Bioscience, Inc. Protein stabilized pharmacologically active agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
GB9920548D0 (en) * 1999-08-31 1999-11-03 Rhone Poulenc Rorer Sa Treatment of hepatocellular carcinoma
US6632671B2 (en) 2000-02-28 2003-10-14 Genesegues, Inc. Nanoparticle encapsulation system and method
ITMI20001107A1 (it) * 2000-05-18 2001-11-18 Acs Dobfar Spa Metodo per il trattamento di tumori solici mediante microparticelle di albumina incorporanti paclitaxel
CA2432319A1 (en) 2000-12-21 2002-07-18 Nektar Therapeutics Pulmonary delivery of polyene antifungal agents
US20050048126A1 (en) 2000-12-22 2005-03-03 Barrett Rabinow Formulation to render an antimicrobial drug potent against organisms normally considered to be resistant to the drug
US9700866B2 (en) 2000-12-22 2017-07-11 Baxter International Inc. Surfactant systems for delivery of organic compounds
US8067032B2 (en) 2000-12-22 2011-11-29 Baxter International Inc. Method for preparing submicron particles of antineoplastic agents
KR100426636B1 (ko) * 2001-05-18 2004-04-08 한국과학기술연구원 주사 가능한 젤 상의 조성물 및 그의 제조방법
US20060003012A9 (en) 2001-09-26 2006-01-05 Sean Brynjelsen Preparation of submicron solid particle suspensions by sonication of multiphase systems
EP1429749A2 (en) 2001-09-26 2004-06-23 Baxter International Inc. Preparation of submicron sized nanoparticles via dispersion and solvent or liquid phase removal
US20030087837A1 (en) 2001-10-15 2003-05-08 Jonas Jeffrey M. Compositions and methods for delivery of poorly water soluble drugs and methods of treatment
ITMI20020680A1 (it) * 2002-03-29 2003-09-29 Acs Dobfar Spa Composizione antitumorale migliorata a base di paclitaxel e metodo per il suo ottenimento
ITMI20020681A1 (it) * 2002-03-29 2003-09-29 Acs Dobfar Spa Procedimento per la produzione di nanoparticelle di paclitaxel ed albumina
US20030207907A1 (en) * 2002-05-03 2003-11-06 Iversen Patrick L. Delivery of microparticle-conjugated drugs for inhibition of stenosis
ITMI20021392A1 (it) * 2002-06-25 2003-12-29 Nicox Sa Forme farmaceutiche per la somministrazione orale di farmaci liquidi a temperatura ambiente dotate di migliore biodisponibilita'
KR101003514B1 (ko) 2002-07-15 2010-12-30 알콘, 인코퍼레이티드 안용 약물 전달을 위한 생침식성 필름
GB0216700D0 (en) * 2002-07-18 2002-08-28 Astrazeneca Ab Process
IL150906A0 (en) * 2002-07-25 2003-02-12 Yissum Res Dev Co Diagnostic microspheres
US7838034B2 (en) 2002-07-30 2010-11-23 Grunenthal Gmbh Intravenous pharmaceutical form of administration
DE10234784A1 (de) * 2002-07-30 2004-02-19 Günenthal GmbH Intravenös applizierbare, pharmazeutische Darreichungsform
SI1585548T1 (sl) * 2002-12-09 2018-11-30 Abraxis Bioscience, Llc Sestave in metode odmerjanja farmakoloških sredstev
KR100871529B1 (ko) * 2002-12-09 2008-12-05 치아-시앙 수 정맥내 주사용으로 적합한 피브리노겐 입자의 제조방법
JP4711947B2 (ja) 2003-02-03 2011-06-29 ネオファーム、インコーポレイティッド 安定な濾過滅菌性リポソームに被包化されたタキサン及び他の抗腫瘍剤
GB0302673D0 (en) 2003-02-06 2003-03-12 Astrazeneca Ab Pharmaceutical formulations
CN1303994C (zh) * 2003-03-03 2007-03-14 浙江海正药业股份有限公司 紫杉醇囊泡注射剂及其制备方法
US8476010B2 (en) 2003-07-10 2013-07-02 App Pharmaceuticals Llc Propofol formulations with non-reactive container closures
DK1722761T3 (da) * 2004-01-21 2011-03-28 Univ London Pharmacy Fremgangsmåde til frembringelse af mikropartikler
KR100578382B1 (ko) 2004-07-16 2006-05-11 나재운 항암제의 전달체용 수용성 키토산 나노입자 및 그 제조방법
US8735394B2 (en) 2005-02-18 2014-05-27 Abraxis Bioscience, Llc Combinations and modes of administration of therapeutic agents and combination therapy
PL1853250T3 (pl) * 2005-02-18 2012-03-30 Abraxis Bioscience Llc Kombinacje i sposoby podawania środków terapeutycznych oraz terapia skojarzona
WO2007000842A1 (ja) * 2005-06-29 2007-01-04 Mitsubishi Chemical Corporation 粒状物分散組成物及びその製造方法、並びに、粒状物及び医薬品
US8034765B2 (en) * 2005-08-31 2011-10-11 Abraxis Bioscience, Llc Compositions and methods for preparation of poorly water soluble drugs with increased stability
CN101291659A (zh) 2005-08-31 2008-10-22 阿布拉科斯生物科学有限公司 包含水难溶性药剂和抗微生物剂的组合物
KR20080080087A (ko) * 2005-09-30 2008-09-02 티티아이 엘뷰 가부시키가이샤 신규 약학 담체를 이용한 경피 약물 전달시스템, 장치 및방법
US20100166872A1 (en) * 2005-10-21 2010-07-01 Amarjit Singh Novel improved compositions for cancer therapy
WO2007146722A1 (en) * 2006-06-08 2007-12-21 3M Innovative Properties Company Polymeric beads and methods of making polymeric beads
US20080181947A1 (en) 2006-09-26 2008-07-31 Astellas Pharma Inc. Controlled release dosage form of tacrolimus
WO2008076373A1 (en) 2006-12-14 2008-06-26 Abraxis Bioscience, Llc Breast cancer therapy based on hormone receptor status with nanoparticles comprising taxane
EP2119442A4 (en) 2006-12-28 2010-12-15 Astellas Pharma Inc PHARMACEUTICAL COMPOSITION WITH TACROLIMUS MAINTAINED RELEASE
CA3201293A1 (en) 2007-03-07 2008-09-12 Abraxis Bioscience, Llc Nanoparticle comprising rapamycin and albumin as anticancer agent
EP3326630A3 (en) 2007-05-03 2018-08-29 Abraxis BioScience, LLC Methods and compositions for treating pulmonary hypertension
ES2435452T3 (es) 2007-06-01 2013-12-19 Abraxis Bioscience, Llc Métodos y composiciones para tratar un cáncer recurrente
CA2713813C (en) * 2008-01-30 2017-12-05 University Of Kansas Intralymphatic chemotherapy drug carriers
BRPI0909780B1 (pt) 2008-03-05 2022-05-03 Baxter International Inc Suspensão contendo uma partícula com superfície modificada, composição farmacêutica compreendendo a referida suspensão, método para aprimorar a absorção celular de um agente ativo, uso de partículas com superfície modificada, e método de preparação de uma partícula com superfície modificada
MX2010011165A (es) * 2008-04-10 2011-02-22 Abraxis Bioscience Llc Composiciones de derivados de taxano hidrofobos y sus usos.
TW200942233A (en) * 2008-04-10 2009-10-16 Abraxis Bioscience Llc Compositions of hydrophobic taxane derivatives and uses thereof
EP3266453A1 (en) 2008-07-03 2018-01-10 Mayo Foundation for Medical Education and Research Treating cancer
KR101043407B1 (ko) * 2009-02-19 2011-06-22 한국과학기술연구원 암 표적성이 우수한 단백질 복합체 및 이의 제조방법
KR101066197B1 (ko) 2009-04-06 2011-09-20 한국생명공학연구원 코엔자임 q10 나노입자, 그 제조방법 및 상기 나노입자를 포함하는 조성물
CN102458112A (zh) * 2009-04-10 2012-05-16 阿布拉科斯生物科学有限公司 纳米颗粒制剂及其用途
MX340055B (es) 2009-04-15 2016-06-22 Abraxis Bioscience Llc Metodos y composiciones de nanoparticulas sin priones.
DK2470173T3 (en) * 2009-08-25 2016-06-06 Abraxis Bioscience Llc Combination therapy of nanoparticle composition of the taxane and the hedgehog inhibitors
JP4856752B2 (ja) * 2009-11-30 2012-01-18 ホソカワミクロン株式会社 薬物含有ナノ粒子の製造方法
WO2011075691A1 (en) * 2009-12-18 2011-06-23 Exodos Life Sciences Limited Partnership Methods and compositions for stable liquid drug formulations
WO2011097149A2 (en) * 2010-02-03 2011-08-11 Oncbiomune, L.L.C. Taxane-and taxoid-protein compositions
MX359413B (es) 2010-03-26 2018-09-27 Abraxis Bioscience Llc Metodos de tratamiento de carcinoma hepatocelular.
MX2012011155A (es) 2010-03-29 2012-12-05 Abraxis Bioscience Llc Metodos para mejorar suministros de farmacos y efectividad de agentes terapeuticos.
MX364637B (es) 2010-03-29 2019-05-03 Abraxis Bioscience Llc Star Platino y nanopartículas que incluyen placlitaxel/albúmina para usarse en el trartamiento de nsclc.
CN102970990A (zh) 2010-05-03 2013-03-13 帝国制药美国公司 非水性紫杉烷前-乳剂制剂以及制备和使用该制剂的方法
KR20180049180A (ko) 2010-06-04 2018-05-10 아브락시스 바이오사이언스, 엘엘씨 췌장암의 치료 방법
SG10201504590WA (en) * 2010-06-07 2015-07-30 Abraxis Bioscience Llc Combination Therapy Methods For Treating Proliferative Diseases
KR101007948B1 (ko) 2010-08-13 2011-01-14 김지훈 스팀을 이용한 고무 블록의 성형 방법
US9782342B2 (en) 2010-10-11 2017-10-10 Wichita State University Composite magnetic nanoparticle drug delivery system
CN102670518B (zh) * 2011-03-14 2014-08-20 齐鲁制药有限公司 一种难溶性药物球形颗粒的制备方法
EP2694056B1 (en) 2011-04-01 2019-10-16 AstraZeneca AB Therapeutic treatment
PL2707030T3 (pl) 2011-05-09 2020-08-24 Mayo Foundation For Medical Education And Research Metody leczenia raka
LT2785349T (lt) 2011-11-30 2019-12-10 Astrazeneca Ab Kombinuotas vėžio gydymas
KR20140107417A (ko) 2011-12-14 2014-09-04 아브락시스 바이오사이언스, 엘엘씨 입자의 동결건조 또는 동결을 위한 중합체 부형제의 용도
WO2013115559A1 (ko) * 2012-01-30 2013-08-08 성균관대학교 산학협력단 수난용성 약물을 내부에 포함하는 알부민 나노입자 제조방법
SI2833905T1 (en) 2012-04-04 2018-08-31 Halozyme, Inc. Combination therapy with hyaluronidase and tumane-directed taxane
AU2013204533B2 (en) 2012-04-17 2017-02-02 Astrazeneca Ab Crystalline forms
EP2903610B1 (en) 2012-10-01 2021-11-03 Mayo Foundation For Medical Education And Research Cancer treatments
JO3685B1 (ar) 2012-10-01 2020-08-27 Teikoku Pharma Usa Inc صيغ التشتيت الجسيمي للتاكسين غير المائي وطرق استخدامها
US9149455B2 (en) 2012-11-09 2015-10-06 Abraxis Bioscience, Llc Methods of treating melanoma
CN104780912B (zh) * 2012-11-15 2018-03-30 犹他-仁荷Dds及新医疗技术开发共同研究所 包含白蛋白及葡聚糖硫酸酯的抗癌药吸附能力得到提高的生物降解性微珠及其制备方法
US9999676B2 (en) 2012-11-27 2018-06-19 Utah-Inha Dds & Advanced Therapeutics Research Center Biodegradable microbead comprising anionic polymer for improving adsorptive power to anticancer drugs, and method for preparing same
CN103908432B (zh) * 2013-01-02 2018-09-21 博瑞生物医药(苏州)股份有限公司 一种伊沙匹隆白蛋白的冻干组合物及其制备方法
US9511046B2 (en) 2013-01-11 2016-12-06 Abraxis Bioscience, Llc Methods of treating pancreatic cancer
KR102222346B1 (ko) 2013-03-04 2021-03-02 아스트라제네카 아베 조합 치료
CA2903454A1 (en) * 2013-03-12 2014-10-02 Abraxis Bioscience, Llc Methods of treating lung cancer
EP2968191B1 (en) 2013-03-14 2021-06-16 Abraxis BioScience, LLC Methods of treating bladder cancer
KR101329646B1 (ko) 2013-05-02 2013-11-14 주식회사 지니스 표적지향증폭형 항암나노입자 및 이의 제조방법
IL228528A (en) 2013-09-17 2015-01-29 Technion Res & Dev Foundation Potato-based nanoparticles
WO2015051349A1 (en) * 2013-10-04 2015-04-09 Sorrento Therapeutics, Inc. Treating metastatic cancer with micellular paclitaxel
CN104758942A (zh) * 2014-01-02 2015-07-08 国家纳米科学中心 基于蛋白质的药理活性物质组合物及其制备方法和应用
WO2015152433A1 (en) * 2014-03-31 2015-10-08 Hanmi Pharm. Co., Ltd. Amorphous solid dispersion comprising paclitaxel, tablet comprising the same, and method for preparing the same
WO2015187194A1 (en) * 2014-06-01 2015-12-10 Crititech, Inc. Use of paclitaxel particles
US20150352176A1 (en) * 2014-06-06 2015-12-10 Newport Research, Inc. Oil-free and fat-free aqueous suspensions of cyclosporin
EA201692502A1 (ru) 2014-06-16 2017-09-29 Мэйо Фаундейшн Фор Медикал Эдьюкейшн Энд Рисерч Лечение миелом
CN111700877A (zh) 2014-09-03 2020-09-25 吉倪塞思公司 治疗性纳米粒子和相关的组合物、方法和系统
US9446148B2 (en) 2014-10-06 2016-09-20 Mayo Foundation For Medical Education And Research Carrier-antibody compositions and methods of making and using the same
US20200237859A1 (en) 2019-01-25 2020-07-30 Newport Research, Inc. Aqueous suspensions of cyclosporin
US11324800B2 (en) 2015-01-15 2022-05-10 Wellspring Ophthalmics, Inc. Aqueous suspensions of cyclosporin
US10527604B1 (en) 2015-03-05 2020-01-07 Abraxis Bioscience, Llc Methods of assessing suitability of use of pharmaceutical compositions of albumin and paclitaxel
US10705070B1 (en) 2015-03-05 2020-07-07 Abraxis Bioscience, Llc Methods of assessing suitability of use of pharmaceutical compositions of albumin and poorly water soluble drug
DK3302431T3 (da) 2015-06-04 2020-11-30 Crititech Inc Taxanpartikler og anvendelse deraf
RS62743B1 (sr) 2015-06-29 2022-01-31 Abraxis Bioscience Llc Nanočestice koje sadrže sirolimus i albumin za primenu u lečenju tumora epiteloidnih ćelija
TW201707725A (zh) 2015-08-18 2017-03-01 美國馬友醫藥教育研究基金會 載體-抗體組合物及其製造及使用方法
CA2998483C (en) 2015-09-16 2022-09-06 Dfb Soria, Llc Delivery of drug nanoparticles and methods of use thereof
TW201713360A (en) 2015-10-06 2017-04-16 Mayo Foundation Methods of treating cancer using compositions of antibodies and carrier proteins
CN105412024B (zh) * 2015-12-14 2018-03-30 广州帝奇医药技术有限公司 靶向疏水性抗肿瘤药物纳米制剂及其制备方法
WO2017120501A1 (en) 2016-01-07 2017-07-13 Mayo Foundation For Medical Education And Research Methods of treating cancer with interferon
US11833118B2 (en) 2016-01-20 2023-12-05 Flurry Powders, Llc Encapsulation of lipophilic ingredients in dispersible spray dried powders suitable for inhalation
EP3405175A4 (en) * 2016-01-20 2019-09-25 Flurry Powders, LLC Encapsulation of Lipophilic Ingredients in Dispersible Aerosol Powder Incorporated Powder
EP3413874A4 (en) 2016-02-12 2020-01-22 Mayo Foundation for Medical Education and Research HEMATOLOGICAL CANCER TREATMENTS
WO2017165439A1 (en) 2016-03-21 2017-09-28 Mayo Foundation For Medical Education And Research Methods for improving the therapeutic index for a chemotherapeutic drug
US11305020B2 (en) 2016-03-21 2022-04-19 Mayo Foundation For Medical Education And Research Methods for reducing toxicity of a chemotherapeutic drug
CA3018989A1 (en) 2016-04-04 2017-10-12 Crititech, Inc. Methods for solid tumor treatment
US10618969B2 (en) 2016-04-06 2020-04-14 Mayo Foundation For Medical Education And Research Carrier-binding agent compositions and methods of making and using the same
CN105944109B (zh) * 2016-05-03 2019-06-11 四川大学 一种肾小球靶向的蛋白纳米颗粒药物组合物及其用途
US11406684B2 (en) 2016-08-26 2022-08-09 Tetsuji Okuno Fine nano-sized medicinal agent and use thereof
MX2019002473A (es) 2016-09-01 2019-09-18 Mayo Found Medical Education & Res Métodos y composiciones para el direccionamiento de cánceres de células t.
US11548946B2 (en) 2016-09-01 2023-01-10 Mayo Foundation For Medical Education And Research Carrier-PD-L1 binding agent compositions for treating cancers
CA3035655A1 (en) 2016-09-06 2018-03-15 Mayo Foundation For Medical Education And Research Methods of treating pd-l1 expressing cancer
US11590098B2 (en) 2016-09-06 2023-02-28 Mayo Foundation For Medical Education And Research Methods of treating triple-negative breast cancer using compositions of antibodies and carrier proteins
US11311631B2 (en) 2016-09-06 2022-04-26 Mayo Foundation For Medical Education And Research Paclitaxel-albumin-binding agent compositions and methods for using and making the same
US20190247357A1 (en) * 2016-10-10 2019-08-15 Abraxis Bioscience, Llc Nanoparticle formulations and methods of making and using thereof
WO2018170196A1 (en) 2017-03-15 2018-09-20 Dfb Soria, Llc Topical therapy for the treatment of skin malignancies using nanoparticles of taxanes
JP2020523285A (ja) 2017-06-09 2020-08-06 クリチテック,インコーポレイテッド 抗腫瘍粒子の嚢胞内注入による上皮嚢胞の治療
JP6840869B2 (ja) 2017-06-14 2021-03-10 クリチテック,インコーポレイテッド 肺障害の治療方法
EP3648741A4 (en) * 2017-07-07 2021-05-05 DFB Pharmaceuticals, LLC TREATMENT OF HYPERPLASTIC TISSUE GROWTH INCLUDING BENEFIT PROSTATE HYPERPLASIA (BPH) BY DIRECT INJECTION OF ANTINEOPLASTIC AGENT
CN107510600A (zh) * 2017-08-07 2017-12-26 苏州大学 一种制备药用固体微粒的设备及方法
EP3691631A1 (en) 2017-10-03 2020-08-12 Crititech, Inc. Local delivery of antineoplastic particles in combination with systemic delivery of immunotherapeutic agents for the treatment of cancer
US11819488B2 (en) 2018-02-23 2023-11-21 Rhnanopharma Nanosuspensions of salsalate and methods of using the same
US11497726B2 (en) 2018-03-16 2022-11-15 Dfb Soria, Ll. Topical therapy for the treatment of cervical intraepithelial neoplasia (CIN) and cervical cancer using nanoparticles of taxanes
SG11202009145PA (en) 2018-03-20 2020-10-29 Abraxis Bioscience Llc Methods of treating central nervous system disorders via administration of nanoparticles of an mtor inhibitor and an albumin
WO2019207061A1 (en) * 2018-04-25 2019-10-31 Ethris Gmbh Cryoprotective agents for particulate formulations
WO2019222435A1 (en) 2018-05-16 2019-11-21 Halozyme, Inc. Methods of selecting subjects for combination cancer therapy with a polymer-conjugated soluble ph20
US20220257521A1 (en) * 2019-06-14 2022-08-18 Folium Biosciences Europe B.V. Method for micro-encapsulation of natural ingredients by means of contacting with supercritical gas
TW202128154A (zh) 2019-10-28 2021-08-01 美商亞伯辛生物科學有限責任公司 蛋白素及雷帕黴素(rapamycin)之醫藥組合物
WO2023063796A1 (ko) * 2021-10-14 2023-04-20 주식회사 스카이테라퓨틱스 유기물, 무기물 또는 이들의 염으로 이루어진 나노 분자 회합체 및 그의 제조방법
WO2023194441A1 (en) 2022-04-05 2023-10-12 Istituto Nazionale Tumori Irccs - Fondazione G. Pascale Combination of hdac inhibitors and statins for use in the treatment of pancreatic cancer

Family Cites Families (100)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2660556A (en) * 1952-09-08 1953-11-24 Donald G Butler Electric arc production of combustible gases
US3536074A (en) * 1968-03-29 1970-10-27 Alfred Aufhauser Oral administration of a pill,tablet or capsule
US3959457A (en) * 1970-06-05 1976-05-25 Temple University Microparticulate material and method of making such material
US4073943A (en) * 1974-09-11 1978-02-14 Apoteksvarucentralen Vitrum Ab Method of enhancing the administration of pharmalogically active agents
US4107288A (en) * 1974-09-18 1978-08-15 Pharmaceutical Society Of Victoria Injectable compositions, nanoparticles useful therein, and process of manufacturing same
DK143689C (da) * 1975-03-20 1982-03-15 J Kreuter Fremgangsmaade til fremstilling af en adsorberet vaccine
CA1077842A (en) * 1975-10-09 1980-05-20 Minnesota Mining And Manufacturing Company Albumin medicament carrier system
US4357259A (en) * 1977-08-01 1982-11-02 Northwestern University Method of incorporating water-soluble heat-sensitive therapeutic agents in albumin microspheres
DE2965725D1 (en) * 1978-07-19 1983-07-28 Patrick Couvreur Biodegradable nanoparticles, pharmaceutical compositions containing them and process for their preparation
US4344934A (en) * 1978-11-20 1982-08-17 American Home Products Corporation Therapeutic compositions with enhanced bioavailability
DE3013839A1 (de) * 1979-04-13 1980-10-30 Freunt Ind Co Ltd Verfahren zur herstellung einer aktivierten pharmazeutischen zusammensetzung
US4247406A (en) * 1979-04-23 1981-01-27 Widder Kenneth J Intravascularly-administrable, magnetically-localizable biodegradable carrier
DE3119383A1 (de) * 1981-05-15 1982-12-02 Basf Ag, 6700 Ludwigshafen Verfahren zur herstellung von feinverteilten, pulverfoermigen carotinodpraeparaten
US4572203A (en) * 1983-01-27 1986-02-25 Feinstein Steven B Contact agents for ultrasonic imaging
US4622219A (en) * 1983-06-17 1986-11-11 Haynes Duncan H Method of inducing local anesthesia using microdroplets of a general anesthetic
US4818542A (en) * 1983-11-14 1989-04-04 The University Of Kentucky Research Foundation Porous microspheres for drug delivery and methods for making same
US4671954A (en) * 1983-12-13 1987-06-09 University Of Florida Microspheres for incorporation of therapeutic substances and methods of preparation thereof
US4914084A (en) * 1984-05-09 1990-04-03 Synthetic Blood Corporation Composition and method for introducing heme, hemoproteins, and/or heme-hemoprotein complexes into the body
US4963367A (en) * 1984-04-27 1990-10-16 Medaphore, Inc. Drug delivery compositions and methods
US4826689A (en) * 1984-05-21 1989-05-02 University Of Rochester Method for making uniformly sized particles from water-insoluble organic compounds
US4752567A (en) * 1984-06-21 1988-06-21 Janssen Pharmaceutica N.V. Method of visualizing individual submicroscopic metal particles
EP0241469B1 (de) * 1984-12-14 1991-10-23 Gergely, Gerhard, Dr. Teilchen aus einer hydrophoben oder schwerlöslichen substanz und verfahren zu ihrer hydrophilisierung
GB8601100D0 (en) * 1986-01-17 1986-02-19 Cosmas Damian Ltd Drug delivery system
WO1987004592A1 (en) * 1986-02-10 1987-08-13 Liposome Technology, Inc. Controlled-release liposome delivery system
US4966773A (en) * 1986-11-25 1990-10-30 Alcon Laboratories, Inc. Topical ophthalmic compositions containing microfine retinoid particles
CA1338736C (fr) * 1986-12-05 1996-11-26 Roger Baurain Microcristaux comportant une substance active presentant une affinite pour les phospholipides, et au moins un phospholipide, procede de preparation
FR2608942B1 (fr) * 1986-12-31 1991-01-11 Centre Nat Rech Scient Procede de preparation de systemes colloidaux dispersibles d'une substance, sous forme de nanocapsules
FR2608988B1 (fr) * 1986-12-31 1991-01-11 Centre Nat Rech Scient Procede de preparation de systemes colloidaux dispersibles d'une substance, sous forme de nanoparticules
FR2634397B2 (fr) * 1986-12-31 1991-04-19 Centre Nat Rech Scient Procede de preparation de systemes colloidaux dispersibles d'une proteine sous forme de nanoparticules
US4861579A (en) * 1988-03-17 1989-08-29 American Cyanamid Company Suppression of B-lymphocytes in mammals by administration of anti-B-lymphocyte antibodies
US4929446A (en) * 1988-04-19 1990-05-29 American Cyanamid Company Unit dosage form
US5041292A (en) * 1988-08-31 1991-08-20 Theratech, Inc. Biodegradable hydrogel matrices for the controlled release of pharmacologically active agents
US4957656A (en) * 1988-09-14 1990-09-18 Molecular Biosystems, Inc. Continuous sonication method for preparing protein encapsulated microbubbles
US5114703A (en) * 1989-05-30 1992-05-19 Alliance Pharmaceutical Corp. Percutaneous lymphography using particulate fluorocarbon emulsions
JP2642486B2 (ja) * 1989-08-04 1997-08-20 田辺製薬株式会社 難溶性薬物の超微粒子化法
US5079018A (en) * 1989-08-14 1992-01-07 Neophore Technologies, Inc. Freeze dry composition and method for oral administration of drugs, biologicals, nutrients and foodstuffs
US5188837A (en) * 1989-11-13 1993-02-23 Nova Pharmaceutical Corporation Lipsopheres for controlled delivery of substances
CA2013485C (en) * 1990-03-06 1997-04-22 John Michael Gardlik Solid consumer product compositions containing small particle cyclodextrin complexes
US5091187A (en) * 1990-04-26 1992-02-25 Haynes Duncan H Phospholipid-coated microcrystals: injectable formulations of water-insoluble drugs
US5091188A (en) * 1990-04-26 1992-02-25 Haynes Duncan H Phospholipid-coated microcrystals: injectable formulations of water-insoluble drugs
US5441739A (en) * 1990-06-22 1995-08-15 The Regents Of The University Of California Reduced and controlled surface binding of biologically active molecules
US5059699A (en) * 1990-08-28 1991-10-22 Virginia Tech Intellectual Properties, Inc. Water soluble derivatives of taxol
JP3247374B2 (ja) * 1990-10-05 2002-01-15 ブラッコ インターナショナル ベスローテン フェンノートシャップ 超音波エコグラフィーに適切な中空気体封入微小球の安定懸濁物の製造のための方法
US20030087985A1 (en) * 1990-10-15 2003-05-08 Hubbell Jeffrey A. Gels for encapsulation of biological materials
EP0495187B1 (en) * 1991-01-15 1997-01-22 Hemosphere, Inc. Protein nanomatrixes and method of production
AU642066B2 (en) * 1991-01-25 1993-10-07 Nanosystems L.L.C. X-ray contrast compositions useful in medical imaging
US5399363A (en) * 1991-01-25 1995-03-21 Eastman Kodak Company Surface modified anticancer nanoparticles
US5145684A (en) * 1991-01-25 1992-09-08 Sterling Drug Inc. Surface modified drug nanoparticles
US5143716A (en) * 1991-02-01 1992-09-01 Unger Evan C Phosphorylated sugar alcohols, Mono- and Di-Saccharides as contrast agents for use in magnetic resonance imaging of the gastrointestinal region
JPH06511481A (ja) * 1991-07-05 1994-12-22 ユニバーシティ オブ ロチェスター 気泡を取り込む超微小非凝集多孔質粒子
US5250236A (en) * 1991-08-05 1993-10-05 Gasco Maria R Method for producing solid lipid microspheres having a narrow size distribution
US5233995A (en) * 1991-11-21 1993-08-10 Sterling Winthrop Inc. Encapsulated particles useful as contrast agents in ultrasound and x-ray imaging compositions and methods
WO1993018751A1 (en) * 1992-03-23 1993-09-30 Georgetown University Liposome encapsulated taxol and a method of using the same
US5334640A (en) * 1992-04-08 1994-08-02 Clover Consolidated, Ltd. Ionically covalently crosslinked and crosslinkable biocompatible encapsulation compositions and methods
WO1993024476A1 (en) * 1992-06-04 1993-12-09 Clover Consolidated, Limited Water-soluble polymeric carriers for drug delivery
FR2692168B1 (fr) * 1992-06-16 1995-03-24 Centre Nat Rech Scient Préparation et utilisation de nouveaux systèmes colloïdaux dispersibles à base de cyclodextrine, sous forme de nanosphères.
DE4220624A1 (de) * 1992-06-24 1994-01-05 Zahnradfabrik Friedrichshafen Drehschieberventil, insbesondere für Hilfskraftlenkungen
ZA935111B (en) * 1992-07-17 1994-02-04 Smithkline Beecham Corp Rapamycin derivatives
CA2086874E (en) * 1992-08-03 2000-01-04 Renzo Mauro Canetta Methods for administration of taxol
US5665383A (en) * 1993-02-22 1997-09-09 Vivorx Pharmaceuticals, Inc. Methods for the preparation of immunostimulating agents for in vivo delivery
US5916596A (en) * 1993-02-22 1999-06-29 Vivorx Pharmaceuticals, Inc. Protein stabilized pharmacologically active agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US5439686A (en) 1993-02-22 1995-08-08 Vivorx Pharmaceuticals, Inc. Methods for in vivo delivery of substantially water insoluble pharmacologically active agents and compositions useful therefor
US5362478A (en) * 1993-03-26 1994-11-08 Vivorx Pharmaceuticals, Inc. Magnetic resonance imaging with fluorocarbons encapsulated in a cross-linked polymeric shell
US5650156A (en) * 1993-02-22 1997-07-22 Vivorx Pharmaceuticals, Inc. Methods for in vivo delivery of nutriceuticals and compositions useful therefor
EP0693924B2 (en) * 1993-02-22 2008-04-09 Abraxis BioScience, Inc. Methods for (in vivo) delivery of biologics and compositions useful therefor
US20070117862A1 (en) * 1993-02-22 2007-05-24 Desai Neil P Novel formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US5665382A (en) * 1993-02-22 1997-09-09 Vivorx Pharmaceuticals, Inc. Methods for the preparation of pharmaceutically active agents for in vivo delivery
US5554730A (en) * 1993-03-09 1996-09-10 Middlesex Sciences, Inc. Method and kit for making a polysaccharide-protein conjugate
EP0702557A4 (en) * 1993-05-13 1998-06-03 Neorx Corp INHIBITORS OF SMOOTH VASCULAR MUSCLE CELLS FOR THERAPEUTIC USE
US5886026A (en) * 1993-07-19 1999-03-23 Angiotech Pharmaceuticals Inc. Anti-angiogenic compositions and methods of use
US5543158A (en) * 1993-07-23 1996-08-06 Massachusetts Institute Of Technology Biodegradable injectable nanoparticles
ES2255477T5 (es) * 1993-07-29 2010-04-08 The United States Of America, Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services Uso de paclitaxel y sus derivados en la fabricacion de un medicamento para el tratamiento de reestenosis.
US5415869A (en) * 1993-11-12 1995-05-16 The Research Foundation Of State University Of New York Taxol formulation
KR100357839B1 (ko) * 1994-03-07 2003-08-02 더 다우 케미칼 캄파니 생체활성및/또는표적화된덴드리머콘쥬게이트
US5565478A (en) * 1994-03-14 1996-10-15 The United States Of America As Represented By The Department Of Health & Human Services Combination therapy using signal transduction inhibitors with paclitaxel and other taxane analogs
FR2718963B1 (fr) * 1994-04-25 1996-05-24 Rhone Poulenc Rorer Sa Nouvelle composition pharmaceutique à base de taxoïdes.
ES2078190B1 (es) * 1994-05-20 1996-08-01 Cusi Lab Procedimiento para el recubrimiento de goticulas o particulas de tamaño nanometrico.
US5616330A (en) * 1994-07-19 1997-04-01 Hemagen/Pfc Stable oil-in-water emulsions incorporating a taxine (taxol) and method of making same
US5626862A (en) * 1994-08-02 1997-05-06 Massachusetts Institute Of Technology Controlled local delivery of chemotherapeutic agents for treating solid tumors
US5534270A (en) * 1995-02-09 1996-07-09 Nanosystems Llc Method of preparing stable drug nanoparticles
US5510118A (en) * 1995-02-14 1996-04-23 Nanosystems Llc Process for preparing therapeutic compositions containing nanoparticles
US5565188A (en) * 1995-02-24 1996-10-15 Nanosystems L.L.C. Polyalkylene block copolymers as surface modifiers for nanoparticles
JPH11507913A (ja) * 1995-06-07 1999-07-13 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 治療用マイクロデバイスならびにその製造方法および使用方法
US5609629A (en) * 1995-06-07 1997-03-11 Med Institute, Inc. Coated implantable medical device
KR0180334B1 (ko) * 1995-09-21 1999-03-20 김윤 블럭 공중합체 미셀을 이용한 약물전달체 및 이에 약물을 봉입하는 방법
US5637625A (en) * 1996-03-19 1997-06-10 Research Triangle Pharmaceuticals Ltd. Propofol microdroplet formulations
CN1148957A (zh) * 1996-09-02 1997-05-07 张海茹 紫杉醇水溶性粉针剂及其制备方法
US8137684B2 (en) * 1996-10-01 2012-03-20 Abraxis Bioscience, Llc Formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
EP1023050B1 (en) * 1997-06-27 2013-09-25 Abraxis BioScience, LLC Novel formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US8853260B2 (en) * 1997-06-27 2014-10-07 Abraxis Bioscience, Llc Formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US20030199425A1 (en) * 1997-06-27 2003-10-23 Desai Neil P. Compositions and methods for treatment of hyperplasia
EP1171117A4 (en) * 1999-04-22 2002-08-07 American Bioscience Inc LONG-TERM ADMINISTRATION OF PHARMACOLOGICALLY ACTIVE AGENTS
ITMI20020681A1 (it) * 2002-03-29 2003-09-29 Acs Dobfar Spa Procedimento per la produzione di nanoparticelle di paclitaxel ed albumina
ITMI20020680A1 (it) * 2002-03-29 2003-09-29 Acs Dobfar Spa Composizione antitumorale migliorata a base di paclitaxel e metodo per il suo ottenimento
SI1585548T1 (sl) * 2002-12-09 2018-11-30 Abraxis Bioscience, Llc Sestave in metode odmerjanja farmakoloških sredstev
US8420603B2 (en) * 2004-05-14 2013-04-16 Abraxis Bioscience, Llc SPARC and methods of use thereof
PL1853250T3 (pl) * 2005-02-18 2012-03-30 Abraxis Bioscience Llc Kombinacje i sposoby podawania środków terapeutycznych oraz terapia skojarzona
US20070166388A1 (en) * 2005-02-18 2007-07-19 Desai Neil P Combinations and modes of administration of therapeutic agents and combination therapy
US8034765B2 (en) * 2005-08-31 2011-10-11 Abraxis Bioscience, Llc Compositions and methods for preparation of poorly water soluble drugs with increased stability
CN101291659A (zh) * 2005-08-31 2008-10-22 阿布拉科斯生物科学有限公司 包含水难溶性药剂和抗微生物剂的组合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4865937B2 (ja) 2012-02-01
NO996433D0 (no) 1999-12-23
NO340319B1 (no) 2017-03-27
NO20120338A1 (no) 2000-02-14
WO1999000113A9 (en) 1999-04-08
DK1023050T3 (da) 2013-10-14
KR20050042507A (ko) 2005-05-09
KR100904931B1 (ko) 2009-06-29
CN100462066C (zh) 2009-02-18
HUP0003972A3 (en) 2002-10-28
HK1030543A1 (en) 2001-05-11
HU230338B1 (hu) 2016-02-29
BRPI9810945B1 (pt) 2016-12-27
IL133672A0 (en) 2001-04-30
PT1023050E (pt) 2013-12-04
KR20070091051A (ko) 2007-09-06
JP2002507976A (ja) 2002-03-12
AU8266298A (en) 1999-01-19
BRPI9810945B8 (pt) 2021-05-25
KR100923172B1 (ko) 2009-10-22
SG113402A1 (en) 2005-08-29
NZ525580A (en) 2004-08-27
EP1023050A4 (en) 2006-08-30
HUP0003972A2 (hu) 2001-08-28
EP1023050A1 (en) 2000-08-02
NO996433L (no) 2000-02-14
US20080160095A1 (en) 2008-07-03
NZ502500A (en) 2002-03-28
CA2294981A1 (en) 1999-01-07
KR100789008B1 (ko) 2007-12-26
KR20010014254A (ko) 2001-02-26
US20080161382A1 (en) 2008-07-03
CN100525748C (zh) 2009-08-12
ES2435944T3 (es) 2013-12-26
WO1999000113A1 (en) 1999-01-07
CN1515246A (zh) 2004-07-28
JP2011219482A (ja) 2011-11-04
NO332166B1 (no) 2012-07-09
CN1267214A (zh) 2000-09-20
CA2294981C (en) 2012-04-03
IL222002B (en) 2018-02-28
MX337149B (es) 2016-02-15
BR9810945A (pt) 2002-02-05
EP1023050B1 (en) 2013-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5405527B2 (ja) 薬理薬物の新規製剤、その製造法及びその使用法
US8137684B2 (en) Formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US8853260B2 (en) Formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
US20070128290A1 (en) Novel formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
KR101180181B1 (ko) 나노 입자 및 그의 제조 방법
AU2002300723B2 (en) Novel Formulations of Pharmacological Agents, Methods for the Preparation Thereof and Methods for the Use Thereof
CA2765222A1 (en) Novel formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof
MXPA00000294A (en) Novel formulations of pharmacological agents, methods for the preparation thereof and methods for the use thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130412

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130710

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130716

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130809

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130814

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130911

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131025

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131030

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term