JP5404278B2 - ストレッチャーにおけるサイドレールの保持機構 - Google Patents

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Description

本発明は、患者搬送用のストレッチャーにおけるサイドレールの保持機構に関するものである。
従来から、病院あるいは施設などで患者または療養者などをベッドなどから所望の場所へ搬送するにはストレッチャーが用いられている。このストレッチャーには、患者などの落下防止のためにボトムの両側部にサイドレールが具備されている。
しかし、従来のサイドレールにあっては、ボトムの側部に設けた空孔部に門型のサイドレールを差し込むもの、また、ボトムの側部に設けた水平軸に回動自在に軸承したサイドレールをスプリングなどにより一方に付勢し、サイドレール側とボトムの側縁部に設けたそれぞれの歯の噛合によって立設状態を保持するよう構成した係合部を備えているものであった。
前者のような脱着式のサイドレールにあっては、患者などの移載を行うたびにサイドレールを脱着しなければならず、操作上非常に煩わしいものであった。
また、後者の回動可能なサイドレールの場合には、患者などの不測の動作によって係合状態が解除されないように強力なスプリングが必要であり、また、ストレッチャーの移動時にもサイドレールを不用意に掴んで押してしまうと係合状態が解除され、患者などの落下につながる恐れがあった。
これを解決するために、サイドレールの起立及び退避を誤操作することなく確実に実行することできる搬送用のストレッチャーにおけるサイドレールのロック機構を設けたものがある。
これは、本体側に設けた回転支持部に第二係合部を具備し、サイドレール側に設けた第一係合部と前記第二係合部を係合させて、立設状態で保持したり、水平状態で保持するよう構成したものである。さらに、第一係合部は、第二係合部との係合状態が解除されないように係止部材が設けられたものである。
しかしながら、このように構成されたロック機構では、立設状態または水平状態で支持された場合には、その角度でロックされた状態となっているため、例えば、サイドレールを水平状態にしたままベッドなどに接近させて昇降させた場合に不用意に下降を続けるとこのロック部または係止部に大きな負荷がかかりベッドあるいはサイドレールの破損につながる恐れがあった。
特開2009−118983号公報
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、ボトムの側縁にサイドレールを回動自在に取り付け、脱着時の煩わしさを解消するとともに、不測の場合にも立設状態は保持される安全性の高い保持機構を備え、水平状態で保持した場合には上方回動側のみ回動可能に保持できる保持機構を備えたサイドレールを提供することを課題としている。
請求項1の発明では、ストレッチャーなどのボトム側縁に設けるサイドレールの保持機構であって、前記ボトムを構成するボトム支持フレームの側縁部に対して平行かつ同一軸心となるように第一支持軸と第二支持軸を止着し、該第一支持軸には弾性体を介在させて第一取付部材を軸承するとともに、該第一取付部材をサイドレールボードに止着し、前記第二支持軸には凹状切欠または爪部を設け、該凹状切欠または爪部に係合する爪部または凹状切欠を備えたロック部材を前記第二支持軸に軸承し、前記第二支持軸に対して回転自在かつ軸方向に移動しないよう構成したスライド規制部材により前記凹状切欠と爪部との係合部を覆い、該スライド規制部材と前記ロック部材間に上下回動自在なロック解除レバーを配設し、該ロック解除レバーの回動により前記スライド規制部材とロック部材を接離操作可能に構成する一方、前記サイドレールボードが立設状態となるときに前記凹状切欠と爪部が係合するように該サイドレールボードの一端部を前記ロック部材に取り付けることで上記弾性体の付勢力を前記凹状切欠と爪部が係合する方向に作用させ、また、前記第二支持軸の反係合部側には軸方向の水平規制孔を設け、該第二支持軸と前記ロック部材の内部に水平保持軸を挿通するに、該水平保持軸の一方にはノブを止着するとともに該ノブと前記第二支持軸間に弾性体を介在させ該水平保持軸をノブ側に付勢し、前記水平保持軸の他方には前記水平規制孔内を摺動する保持ピンと該保持ピンから反ノブ側に離間して水平保持ピンを止着し、前記水平保持軸の反ノブ側端部には第二取付部材を軸承するとともに該第二取付部材をサイドレールボードに止着するに、前記第二取付部材の軸受には前記水平保持軸が通過可能な軸方向のスライド孔と該軸受の周方向の回動孔を連続させてなるL字状のガイド孔を設けることにより、前記ロック解除レバーを回動し凹状切欠と爪部の係合を解除することで立設状態のロックが解除され下方回動自在とし、前記水平保持軸のノブを弾性体に抗して押し込み前記水平保持軸を前記スライド孔内に移動させた後、前記ロック解除レバーを回動し前記凹状切欠と爪部の係合を解除することで立設状態のロックが解除されるとともに前記水平保持ピンが前記回動孔に沿って相対的に移動する範囲内で回動するよう構成することにより、サイドレールが立設状態にあるときには回動不能な状態になるようロックされ、サイドレールが水平状態にあるときには上方回動自在な状態で保持され、それ以外の状態では回動自在な状態となるよう構成したことを特徴とする。
請求項2の発明では、上記ロック解除レバーには回動の基点となる取付孔を設ける一方、該取付孔を中心とした円弧に沿う規制孔と該規制孔の下端部に連続するとともに前記取付孔から徐々に離間する方向のスライド孔を設け、該ロック解除レバーの前記取付孔を上記ロック部材に回動自在に支承するとともに該ロック解除レバーを下方回動側に付勢するスプリングを配し、前記規制孔あるいはスライド孔内を相対的に移動する規制軸を上記スライド規制部材に軸着し、上記凹状切欠と爪部が係合した状態では前記規制軸が規制孔に位置するよう構成し、前記ロック解除レバーの上方回動に伴い前記規制軸がスライド孔を移動して第二支持軸からロック部材が離間し前記凹状切欠と爪部の係合が解除されるよう構成したことを特徴とする。
請求項3の発明では、記ロック部材に回動自在に支承したロック解除レバーには回動の基点を中心とした円弧状の規制孔を設け、該規制孔内を相対的に移動する規制軸を上記スライド規制部材に軸着し、前記ロック解除レバーの上方回動時に前記規制孔の下端部に前記規制軸が位置するよう構成するとともに、該規制孔の下端に前記ロック部材の軸心と平行になるスライド孔を連続して設けることにより、上記サイドレールボードをスライド操作して上記凹状切欠と爪部の係合を解除するよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係るサイドレールの支持機構は、サイドレールを立設したときに、第二支持軸とロック部材に設けた凹状切欠と爪部との係合により保持されるように構成されています。このときロック解除レバーの規制孔に規制軸が位置する状態となっており、サイドレールに第二支持軸の軸方向の負荷がかかっても前記第二支持軸とロック部材の間隔は一定に保持されるので凹状切欠と爪部との係合が解除されることが無い。この状態から前記ロック解除レバーを上方回動させ、前記規制軸を前記スライド孔の端部に相対的に移動させることで前記凹状切欠と爪部の係合が解除され回動自在な状態となり、下方回動することができる。なお、立設状態以外では前記凹状切欠と爪部が係合しないので、レバーなどの操作をすることなく立設状態に復帰することができる。立設状態に復帰すると、弾性体の作用により前記凹状切欠と爪部が係合するとともにロック解除レバーが下方回動し、ロック状態となる。また、水平保持軸のノブを押し込むと保持ピンは第二支持軸に設けた水平規制孔内を摺動するとともに水平保持ピンが第二取付部材の軸受に設けたスライド孔内に移動する。この状態からロック解除レバーを操作して前記凹状切欠と爪部の係合を解除する。この状態では、前記水平保持ピンがスライド孔と回動孔との交差部に移動しているので、回動孔内を水平保持軸が相対的に移動できる範囲において回動自在となっている。そして、前記水平保持軸が回動孔の端部に位置した状態ではサイドレールが水平保持される状態となる。このとき、サイドレールの上方回動はできる状態にあり、レバーなどの操作をすること無く立設状態に復帰させることができる。なお、サイドレールを立設状態に復帰させたときには、上述したように自動的にロックされた状態となる。
請求項2に係るサイドレールの支持機構は、ロック解除レバーの回動操作に連動して自動的に凹状切欠と爪部の係合が解除されるように構成されているので操作が簡単である。
請求項3に係るサイドレールの支持機構は、ロック解除レバーの回動操作だけでは凹状切欠と爪部との係合が解除されず、この状態からサイドレールボードをスライドさせることで前記係合を解除するよう構成しているので、不用意にロック解除レバーに触れても立設状態は保持されたままであり、より安全に構成されたものである。
本発明に係るサイドレールを備えたストレッチャーの全体平面図 その全体正面図 その全体側面図 サイドレールの保持状態を説明するための説明図 本発明に係る保持機構を備えたサイドレールの構成を示す説明図 サイドレールの立設状態を示す一部断面斜視図 サイドレールの立設状態での保持機構を示す要部断面図 立位状態のロックを解除したときの保持機構を示す説明図 立位状態のロックを解除したときの保持機構を示す要部断面図 立位状態から水平状態に移行する手順を示す説明図(1) 立位状態から水平状態に移行する手順を示す説明図(2) 図11に示す状態の保持機構を示す要部断面図 水平状態での保持状態を示す説明図 保持機構を構成する第二支持軸の凹状切欠を示す断面図 ロック解除レバーの別の構成を示す要部断面図(1) ロック解除レバーの別の構成を示す要部断面図(2) ストッパーを示す要部正面図 図17におけるA−A断面図
以下、本発明に係るストレッチャーSにおけるサイドレール1の保持機構2について、一つの実施形態を示し、図面に基いて説明する。図1から図3は、本発明に係るサイドレール1の保持機構2を備えたストレッチャーSを示している。このストレッチャーSは、旋回自在なキャスター型の車輪3,3,・・・を具備した下部フレーム4を備えている。そして、この下部フレーム4上に昇降機構5を介して、ボトム6を支持する構成としている。
なお、前記下部フレーム4の高さを低くするとともに、側面視において前記ボトム6の側縁部の下方に昇降機構5を構成する部材が位置しないように空間を設けておけば、ベッドなどにボトム6を重ねることができ、患者などの乗せ替えを安全に行うことができるものとなる。
続いて、サイドレール1の保持機構2について説明する。このサイドレール1の保持機構2は、図4に示すようにサイドレール1を水平で保持したとき、または、垂下させたときは、上方回動自在となっており、ロック解除などの煩わしい操作を行う必要のないものとなっており、患者をボトム上に乗せた後すぐに落下防止柵として使用できるよう構成されている。なお、本発明に係るサイドレール1及び保持機構2はストレッチャーSやベッドなどの左右側縁部に対称状にそれぞれ設けているので、ここでは一方のサイドレール1及び保持機構2について説明する。
このサイドレール1は、上記ストレッチャーSのボトム6を構成するボトム支持フレーム6aの側縁部から僅かに突出するように設けられたフレームパイプ6b,6bに保持機構2を構成する第一支持軸7及び第二支持軸8をそれぞれ固着し、これらに保持機構2を介してサイドレールボード9を取り付けて構成したものである。
なお、前記第一支持軸7と第二支持軸8はそれぞれの軸心が同一直線上に位置し、かつボトム6の側縁部と平行になるように固着されている。
まず、前記第一支持軸7は、前記フレームパイプ6bに固着される大径軸部7aと小径軸部7bとからなる段付きの軸体である。
一方、前記第二支持軸8は、大径部8aと小径部8bとからなる中空の筒体であって大径部8a側の端部に水平長孔状の水平規制孔8cを設け、大径部8aと小径部8bとの段付き部には凹状切欠8dを設けるとともに、上記フレームパイプ6bとの固着部と該凹状切欠8dの間に位置するように大径部8aの外周にわたってスライド規制溝8eを設けている。なお、該第二支持軸8の内部はほぼ同径となる空孔部8fとしている。
前記第二支持軸8には、凹状切欠8dに対応する爪部11aを備えたロック部材10が挿通される。該ロック部材10は、一端部に前記爪部11aを備えた筒体11を備えており、該筒体11に後述するカバー部材12及びロック解除レバー13を取り付けるプレート14と前記サイドレールボード9を取り付ける差込軸15が固着されている。なお、該筒体11の内部は前記第二支持軸8の小径部8bに対応する内径とし、外部は第二支持軸8の大径部8aの外径と等しくしている。
前記ロック解除レバー13は、規制プレート16にレバー17を固着して構成される。この規制プレート16はほぼ逆凹字状のプレートであり、一方側に規制孔16aとスライド孔16bを連続させ、ほぼヘ字状となるように設けている。詳述すると、該規制孔16aは規制プレート16の他方側に穿設した取付孔16cを中心とした円弧に沿うとともに上端側が僅かに幅広となる形状としている。また、スライド孔16bはこの規制孔16aの下端部から連続するように設けるとともに、前記取付孔16cから徐々に離間するほぼ直線状に構成されている。さらに、該規制プレート16の中間部には空孔部16dが穿設されている。
このように構成したロック解除レバー13は、前記取付孔16cをロック部材10のプレート14に回動自在な状態で支承している。
上記第二支持軸8のスライド規制溝8eには、次のように構成するスライド規制部材18が取り付けられる。
該スライド規制部材18は第二支持軸8の大径部8aの外径及び前記ロック部材10の筒体11の外径に対応する内径の筒体19に支持プレート20が固着されてなる。なお、筒体19の端部には雌ネジ部19aが設けられている。さらに、支持プレート20の根元には空孔部20aが穿設されている。
このように構成されたスライド規制部材18は第二支持軸8に挿通して、前記雌ネジ部19aにネジ21を螺着し、該ネジ21の先端が前記第二支持軸8のスライド規制溝8eに係止されることで、該スライド規制部材18が第二支持軸8に対して軸周りに回転自在かつ軸方向には移動しない構成となっている。
そして、前記第二支持軸8とスライド規制部材18の間に前記ロック部材10を挿通して、前記ロック解除レバー13の規制孔16aまたはスライド孔16b内に位置するようにスライド規制部材18の支持プレート20に規制軸22を軸着している。
さらに、前記スライド規制部材18の空孔部20aとロック解除レバー13の空孔部16dにはスプリング23を掛止して、ロック解除レバー13が下方回動する方向、すなわち、前記規制軸22が規制孔16aに位置する状態となるように付勢している。
なお、前記規制孔16aに規制軸22が位置する状態では、第二支持軸8の凹状切欠8dにロック部材10の爪部11aが係止した状態となっており、第二支持軸8に対してロック部材10が回転しない状態となっている。
そして、これら第二支持軸8とロック部材10の内部には、水平保持軸24が挿通される。該水平保持軸24は、第二支持軸8の空孔部8fに対応する軸径の軸材25の端部に水平保持ピン26と保持ピン27を螺着するとともに、端部にはノブ28を止着して構成している。なお、ロック部材10の筒体11の内部にはスプリング29を嵌め、第二支持軸8の小径部8bの端部と水平保持軸24のノブ28で挟み込み、該スプリング29により水平保持軸24の保持ピン27が第二支持軸8の水平規制孔8cの反開放端部に位置する状態、すなわちノブ側に向けて付勢している。なお、この実施例では、スプリング29を用いているが、前述のように付勢できる弾性体であればよく、スプリングに限定するものではない。
このように構成した第一支持軸7及び第二支持軸8には、第一取付部材30及び第二取付部材31を介してサイドレールボード9を取り付ける。
まず、前記第一取付部材30は軸受32を断面形状がU字状に構成した取付プレート33に固着してなる。そして、この第一取付部材30を前記第一支持軸7に挿通するに、小径軸部7bにスプリング34を挿通して大径軸部7aと軸受32で該スプリング34を挟み込むように取り付けている。そして、この第一取付部材30をサイドレールボード9に設けた取付部9aに止着している。
このように取り付けられた前記スプリング34は、サイドレールボード9を介して第二支持軸8の凹状切欠8dとロック部材10の爪部11aが係合する方向に付勢している。なお、この実施例では、スプリング34を用いているが、前述のように付勢できる弾性体であればよく、スプリングに限定するものではない。
次に、第二取付部材31は、軸受35の一側面から上記水平保持軸24に設けた水平保持ピン26の水平移動に対応するように水平に設けたスライド孔35aの端部から約90度円弧方向に向けて回動孔35bが設けられ、これらの孔35a,35bがL字状の一体的なガイド孔として設けられている。そして、この軸受35を断面形状がU字状に構成した取付プレート36に固着してなる。
このように構成した第二取付部材31は、上記水平保持軸24の端部に挿通するように取り付けるとともに、取付プレート36をサイドレールボード9に設けた取付部9aに止着している。
なお、サイドレールボード9には、レバー17が配置される部分を覆うように把持部9bが設けられるとともに、該把持部9bの下端部に設けた差込穴9cに上記ロック部材10の差込軸15を嵌合する。そして、ロック解除レバー13の作動部を隠すように前記カバー部材12が止着される。
また、第一取付部材30と第二取付部材31及びロック部材10はサイドレールボード9に止着されており、それぞれが一定間隔で回転したりスライドするように構成されている。
上述したように構成した保持機構2及びサイドレールボード9からなるサイドレール1は、立設状態では図6と図7に示すようになっている。
図示しているように、立設状態では第二支持軸8の凹状切欠8dとロック部材10の爪部11aとが係合して、軸周りの回転ができない状態である。このとき、スライド規制部材18に設けた規制軸22はロック解除レバー13の規制孔16aに位置しており、サイドレールボード9に負荷がかかり前述の係合状態が解除される方向に負荷がかかっても、この規制孔16aによりロック部材10とスライド規制部材18が一定の間隔で保持されるようになっている。したがって、第二支持軸8とロック部材10の係合が解除されることはなく、安全である。
次にサイドレール1の立設状態でのロック解除方法について説明する。
このロックを解除するには、ロック解除レバー13を上方回動するだけで良い。この状態を図8及び図9に示している。
ロック状態からロック解除レバー13を上方回動すると、規制軸22とスライド孔16bの作用により、スライド規制部材18からロック部材10が離間する。この離間によって凹状切欠8dと爪部11aの係合が解除される。このとき、図9に示すように前記ロック部材10と第二取付部材31などが図において右側にスライドするが、水平保持軸24の保持ピン27は水平規制孔8cの端部に位置し、水平保持ピン26は軸受35と第二支持軸8間に位置しており、第一取付部材30と第二取付部材31とロック部材10及びスライド規制部材18はサイドレールボード9とともに第二支持軸8の周りを回転自在な状態となっており、サイドレール1を下方回動することができる。なお、凹状切欠8dと爪部11aの形状によっては、水平で保持するなど、段階的に係合するよう構成することもできるが、本実施例では立設状態以外では係合しないように構成している。
すなわち、サイドレール1が垂下しているときは、サイドレール1が回動自在なのでレバー操作などすることなく、サイドレール1を上方回動すれば立設状態でスプリング34の付勢力により自動的に凹状切欠8dと爪部11aが係合して、これと同時にスプリング23の付勢力によりロック解除レバー13が下方回動され、ロック状態となる。
上述したように、立設状態でのみロックされ、それ以外では回動自在に構成しているのは、サイドレール1に他の物が接触したり、ベッドとの橋渡しとして使用する時など、ロック部に過剰な負荷が掛かるのを防止するためである。また、このように構成することで橋渡しとして使用する際にベッドなどのマットレスのたわみに追従するようにサイドレール1が回動するので正確な高さ調節を必要としないという効果もあります。
続いて、サイドレール1を立設状態から水平状態に回動する手順について図10から図13に基いて説明する。
まず、水平保持軸24をスプリング29に抗して押し込む(図10参照)。この操作により保持ピン27は水平規制孔8cの開放端側に移動するが、水平規制孔8c内から抜け出ることは無く、水平保持軸24は第二支持軸8に対して回動しない状態のままである。このとき、水平保持軸24の水平保持ピン26は軸受35のスライド孔35aと回動孔35bの交差部に移動している。この状態からロック解除レバー13を上方回動する(図11,12参照)とサイドレールボード9などがスライドして凹状切欠8dと爪部11aの係合が解除され、回動自在となる。このとき、水平保持ピン26と回動孔35bとの作用によりサイドレール1は約90度回動自在であり、水平保持ピン26が回動孔35bの端部に接触してサイドレール1を水平状態で保持する(図13参照)。この保持状態では、サイドレール1は下方回動側への回動のみ規制されている状態であるので、上方回動側にはレバー操作なしで回動することができる。これも前述したようにロック部に過剰な負荷が掛かるのを防止するためである。
この水平状態で保持されたサイドレール1を立設状態にするには、サイドレール1を上方回動するだけでよい。この操作によりサイドレール1が立設状態となると、水平保持ピン26が回動孔35bとスライド孔35aの交差部に位置し、スプリング29の付勢力によって水平保持軸24がノブ28側に摺動する。同時にスプリング34の付勢力によって凹状切欠8dと爪部11aが係合し、さらに、スプリング23の付勢力によってロック解除レバー13が下方回動し規制軸22が規制孔16aに位置してロック状態となる。
このように、本願発明におけるサイドレール1の保持機構2によれば、図4に示すように立設状態では第一支持軸7及び第二支持軸8周りの回動ができないようにロックされた状態となっている。さらに、この状態ではサイドレール1に前後方向の負荷がかかってもロック解除レバー13の規制孔16aと規制軸22との作用によって、ロック部材10が第二支持軸8から離間しないように構成されており、このサイドレール1が落下防止柵として効果的に使用できる状態となっている。
また、サイドレール1を水平保持したときには、下方回動側のみ規制しているので上方回動側には回動することができる。すなわち、水平保持したサイドレール1を上肢台などとして使用できるとともに、ベッドなどへの移載をするときに不用意にベッドまたはストレッチャーSの昇降操作をした場合に、何れかの昇降動作にあわせ、サイドレール1が上方回動されるので、サイドレール1のロック部あるいはベッドなどを破損する恐れも無いものとなっている。
なお、水平状態にあるサイドレール1を立設状態にするには、垂下状態にあるサイドレール1と同様にレバー操作など必要とせず、上方回動すれば立設状態で自動的にロックされるので、操作も非常に簡単である。
なお、本実施例ではサイドレール1が立設状態でのみ第二支持軸8に設けた凹状切欠8dとロック部材10に設けた爪部11aが係合するように構成している。この凹状切欠8dと爪部11aについて図14に基いて説明する。なお、図において上側は第二支持軸8を示し、下側はロック部材10の筒体11を示している。
まず、図(a)に示すように1ヵ所だけ凹状切欠8dと爪部11aを設けたものでも、図(b)に示すように2ヵ所設け、一方が他方よりも幅広に形成したものでもよい。この場合には、それぞれの接触面が大きくなるのでより耐久性を増すことができる。
このように、それぞれの軸心を対称点として点対称にならない形状で凹状切欠8dと爪部11aを設けると、立設状態のみ係合するよう構成できる。なお、図示していないものであっても立設状態でのみ係合するものであれば何ら問題はない。
また、図面においては第二支持軸8に凹状切欠8dを設け、ロック部材10に爪部11aを設けたものを示しているが、第二支持軸8に爪部を設け、ロック部材10に凹状切欠を設けたものとしても同様の作用を得ることができ、何ら問題はない。
さらに、図(c)に示すように均等に2ヵ所の凹状切欠8dと、それに対応する爪部11aとすると、退避させたサイドレール1が垂下状態で保持されるものとすることもできる。また、図(d)に示すように均等に4ヶ所の凹状切欠8dとそれに対応する爪部11aとすると、水平保持及び退避状態でも保持されるものとすることができる。
なお、図(c),(d)において、爪部11aは何れかの凹状切欠8dに係合するよう1ヵ所に設けたものであってもよく、図示したものに限定するものではない。
このように構成するとは、保持された状態から上方回動する際に、ロック解除レバー13の回動操作が必要になり、操作上の煩わしさがあるが必要に応じてこれらの形状を用いてもよい。
また、図15はロック解除レバー13の別の構成を示すものである。これは、規制孔16a’とスライド孔16b’が異なるもので、次のように構成している。まず、規制孔16a’は規制軸22がレバー17の操作範囲において規制孔16a’に沿って移動するように上記規制孔16aよりも長くなるよう構成している。そして、該規制孔16a’の下端部に、取付孔16cから離間する方向、ここでは水平方向にスライド孔16b’を設けたものとしている。
このように構成したロック解除レバー13では、ロック解除レバー13の回動操作をしただけでは、ロック部材10とスライド規制部材18との間隔が変化しないので、凹状切欠8dと爪部11aが係合したままである。そのため、この状態から、サイドレールボード9をスプリング34に抗してスライドさせる(図16参照)ことで、規制軸22を相対的にスライド孔16b’に沿ってスライドさせ、凹状切欠8dと爪部11aの係合を解除して、回動自在な状態とする。
このように構成したロック解除レバー13であれば、不用意にレバー17を回動操作しても、凹状切欠8dと爪部11aの係合が解除されていないので、立設状態は保持されたままである。したがって、より安全性が高いものであると言える。
また、サイドレール1を垂下した状態から上方回動すれば、凹状切欠8dと爪部11aとの係合と同時に規制軸22がスライド孔16bに沿って相対的に移動し、規制孔16aの下端部に位置する。同時に、スプリング23の付勢力により自動的にロック解除レバー13は下方回動され、凹状切欠8dと爪部11aの係合状態が保持されるロック状態となる。
さらに、サイドレール1を垂下した状態で、ストレッチャーSのボトム6を下降させたときに、下部フレーム4との接触を防止するために、図17,18に示すように垂下状態から内側への回動を規制するストッパーを設けても良い。
これは、上記第一取付部材30の取付プレート33に上記第一支持軸7側へ張り出すように接触片33aを設けてなるものである。
この接触片33aは、図18に示すようにサイドレール1のロックを解除してサードレールボード9を垂下させたときに、上記ボトム6を構成するフレームパイプ6bに接触することにより、それ以上回動しないように作用する。
なお、図示したものについては垂下した状態で、作用するよう構成したものを示しているが、前記接触片33aの形状によって、下方に向かう傾斜状態で保持できるように構成したものであっても良い。
さらに、第二取付部材31に同様の接触片を設け、第二支持軸8側のフレームパイプ6bに接触させる構成としても良い。
以上に説明した本発明に係る保持機構2を備えたサイドレール1は、ストレッチャーS以外にもベッドなどのように患者を載せるものに設けることにより、同様の効果を得ることができる。
1 サイドレール
2 保持機構
3 車輪
4 下部フレーム
5 昇降機構
6 ボトム
7 第一支持軸
8 第二支持軸
8c 水平保持溝
8d 凹状切欠
9 サイドレールボード
10 ロック部材
11a 爪部
13 ロック解除レバー
18 スライド規制部材
24 水平規制孔
30 第一取付部材
31 第二取付部材
35a スライド孔
35b 回動孔
S ストレッチャー

Claims (3)

  1. ストレッチャーなどのボトム側縁に設けるサイドレールの保持機構であって、前記ボトムを構成するボトム支持フレームの側縁部に対して平行かつ同一軸心となるように第一支持軸と第二支持軸を止着し、該第一支持軸には弾性体を介在させて第一取付部材を軸承するとともに、該第一取付部材をサイドレールボードに止着し、前記第二支持軸には凹状切欠または爪部を設け、該凹状切欠または爪部に係合する爪部または凹状切欠を備えたロック部材を前記第二支持軸に軸承し、前記第二支持軸に対して回転自在かつ軸方向に移動しないよう構成したスライド規制部材により前記凹状切欠と爪部との係合部を覆い、該スライド規制部材と前記ロック部材間に上下回動自在なロック解除レバーを配設し、該ロック解除レバーの回動により前記スライド規制部材とロック部材を接離操作可能に構成する一方、前記サイドレールボードが立設状態となるときに前記凹状切欠と爪部が係合するように該サイドレールボードの一端部を前記ロック部材に取り付けることで上記弾性体の付勢力を前記凹状切欠と爪部が係合する方向に作用させ、また、前記第二支持軸の反係合部側には軸方向の水平規制孔を設け、該第二支持軸と前記ロック部材の内部に水平保持軸を挿通するに、該水平保持軸の一方にはノブを止着するとともに該ノブと前記第二支持軸間に弾性体を介在させ該水平保持軸をノブ側に付勢し、前記水平保持軸の他方には前記水平規制孔内を摺動する保持ピンと該保持ピンから反ノブ側に離間して水平保持ピンを止着し、前記水平保持軸の反ノブ側端部には第二取付部材を軸承するとともに該第二取付部材をサイドレールボードに止着するに、前記第二取付部材の軸受には前記水平保持軸が通過可能な軸方向のスライド孔と該軸受の周方向の回動孔を連続させてなるL字状のガイド孔を設けることにより、前記ロック解除レバーを回動し凹状切欠と爪部の係合を解除することで立設状態のロックが解除され下方回動自在とし、前記水平保持軸のノブを弾性体に抗して押し込み前記水平保持軸を前記スライド孔内に移動させた後、前記ロック解除レバーを回動し前記凹状切欠と爪部の係合を解除することで立設状態のロックが解除されるとともに前記水平保持ピンが前記回動孔に沿って相対的に移動する範囲内で回動するよう構成することにより、サイドレールが立設状態にあるときには回動不能な状態になるようロックされ、サイドレールが水平状態にあるときには上方回動自在な状態で保持され、それ以外の状態では回動自在な状態となるよう構成したことを特徴とするサイドレールの保持機構。
  2. 上記ロック解除レバーには回動の基点となる取付孔を設ける一方、該取付孔を中心とした円弧に沿う規制孔と該規制孔の下端部に連続するとともに前記取付孔から徐々に離間する方向のスライド孔を設け、該ロック解除レバーの前記取付孔を上記ロック部材に回動自在に支承するとともに該ロック解除レバーを下方回動側に付勢するスプリングを配し、前記規制孔あるいはスライド孔内を相対的に移動する規制軸を上記スライド規制部材に軸着し、上記凹状切欠と爪部が係合した状態では前記規制軸が規制孔に位置するよう構成し、前記ロック解除レバーの上方回動に伴い前記規制軸がスライド孔を移動して第二支持軸からロック部材が離間し前記凹状切欠と爪部の係合が解除されるよう構成したことを特徴とする請求項1に記載のサイドレールの保持機構。
  3. 上記ロック部材に回動自在に支承したロック解除レバーには回動の基点を中心とした円弧状の規制孔を設け、該規制孔内を相対的に移動する規制軸を上記スライド規制部材に軸着し、前記ロック解除レバーの上方回動時に前記規制孔の下端部に前記規制軸が位置するよう構成するとともに、該規制孔の下端に前記ロック部材の軸心と平行になるスライド孔を連続して設けることにより、上記サイドレールボードをスライド操作して上記凹状切欠と爪部の係合を解除するよう構成したことを特徴とする請求項1に記載のサイドレールの保持機構。
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