JP5404093B2 - 半導体ウェーハの洗浄方法 - Google Patents
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また、この2流体ジェット洗浄装置を応用して、APM(アンモニアと過酸化水素水と水の混合液など)を使用し、リフトオフ作用によりパーティクルを除去する技術も知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、上述した2流体ジェット洗浄装置を用いても、半導体ウェーハ表面に付着するパーティクルが微細なものの場合には、この様な微細なパーティクル(例えば、高さ70nm以下のもの)は除去することが困難であった。
発明者らは、背景技術の項で述べた2流体ジェット洗浄装置を用いても微細なパーティクルを除去できないという現象を解析するために、各種の実験を行い、その実験結果を分析した。
水で濡らした半導体ウェーハを回転させて半導体ウェーハ上の水の膜厚を測定した。図1は、半導体ウェーハを回転速度500rpmで回転させた場合の、経過時間と、半導体ウェーハ上の水の膜厚と、半導体ウェーハの中心からの距離との関係を示す。同図の横軸は半導体ウェーハの中心からの距離(mm)を表し、縦軸は水の膜厚(nm)を表す。水の膜厚は、光の干渉を利用して求めたものである。同図には、水の供給を止めた時からの時間として記載してある。つまり水の供給を停止してからは、ウェーハ上の水は回転によりウェーハから排出される。同図には5秒、10秒、20秒、30秒、40秒、及び50秒経過後の水の膜厚のグラフが示される。
但し、上記の結果は、乾燥プロセス条件(回転数、加速度)、及び下地の膜種、及び立体形状にも依存する。
つまり、濡れた半導体ウェーハ上には常時約70nm以下のスタグナントレイヤーが存在する事が分かった。
なお、説明を明確化するため、水滴103の大きさはスタグナントレイヤー101等と比較して縮小して表している。
しかし、大部分がスタグナントレイヤー101内に埋もれている小径のパーティクル110は、水滴衝突流体層120の力を有効に受けることができないので、除去されない。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。これらの実施形態は、本発明を限定するものではない。
以下の実施形態では、前述のスタグナントレイヤー101を薄くして、又は無くして、そこから露出させたパーティクルに物理的に力を加えて除去することを基本的な原理とする。
なお、洗浄対象の半導体ウェーハは、その表面に凹凸を有するパターンが形成されているものとする。
図4から図6を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態では、枚葉洗浄装置を用いた洗浄処理における洗浄液として、アルコール系やフッ素系など、水より低表面張力、且つ水より低粘性を有する薬液を水の代わりに用いる。例えば、アルコール系の薬液としてイソプロピルアルコール(IPA)など、フッ素系の薬液としてハイドロフルオロエーテル(HFE)などを用いて洗浄する。なお、上記薬液の濃度は高い方が好ましい。
本実施形態の一例として、図6に希釈IPA水溶液(IPA希釈DIW)を用いた2流体ジェット洗浄による除粒子性能を示す。同図に示すように、図3に示した純水を用いた2流体ジェット洗浄と比較して、60nm以下の除粒子性能が向上することが分かる。
また、本実施形態によれば、上述の様に低表面張力の洗浄液が用いられるため、その洗浄液が凹凸を有するパターンの隅々にまで入り込みやすく、そこに存在するパーティクルを洗浄することができる。
次に、図7を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、表面張力が高い洗浄液(例えば水など)と、濡れ性が低い(撥水性)表面を持つ半導体ウェーハとを組み合わせる洗浄方法に関する。本明細書においては、洗浄液をはじく性質を撥水性と称す。
次に、図8を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、濡れ性が低い(撥水性)表面を持つ半導体ウェーハを用いる点が第1の実施形態と異なる。
即ち、本実施形態は、水より表面張力が低い洗浄液と、濡れ性が低い(撥水性)表面を持つ半導体ウェーハとを組み合わせる洗浄方法に関する。
本実施形態によれば、同図に示す様に濡れ性が低い(撥水性)半導体ウェーハ100の表面に洗浄液のスタグナントレイヤー101が形成されない。従って、第2の実施形態と同様に半導体ウェーハ100上の微細なパーティクルを効果的に除去することができる。
次に、図9を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、枚葉洗浄装置を用いて洗浄する際に、半導体ウェーハ100を撥水性化できる撥水化処理液を用いる点が第1の実施形態と異なる。
なお、パーティクルは微細パターンの隙間には殆ど存在しておらず、その多くは幅広なパターン部に存在している。
また、パーティクルが除去された後は、アッシング処理を行って撥水化コーティング膜を除去することが好ましい。
以下の実施形態では、半導体ウェーハ100の表面は親水性であるとする。
図10〜図12を参照して本発明の第5の実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る半導体ウェーハの洗浄装置の主要部を概略的に表す概念図である。同図に示す様に、この半導体ウェーハの洗浄装置は、2流体ジェットノズル301と、気体ジェットノズル302とを備える、3流体ジェットノズル300を備える。
この洗浄装置は2流体に加えてそれとは別の流体も用いるので、本明細書においては3流体ジェット洗浄装置と称す。
同図に示す様に、2流体ジェットノズル301は、その中心部に液体通路400を備え、液体通路400を同心円状に取り囲む様に気体通路401を備える。導入口304から供給された液体は内側の液体通路400を通過し、気体は外側の気体通路401を通過して、2流体ジェットノズル301の先端の噴射口301bから混合された液滴ミスト307として噴射される。液体と気体とは、液体と気体との混合点より下流側でより効果的に混合された液滴ミスト307となる。なお、外側に液体、内側に気体が供給されても良い。
まず、図示しないステージが半導体ウェーハ100を水平に保持すると共に、半導体ウェーハ100の中心を通る鉛直軸の周りで回転させる。回転数は、例えば300〜500rpmである。
なお、半導体ウェーハ100の表面には、液滴ミスト307により濡れた領域310が形成される。
気体308がスタグナントレイヤー101に対して噴射されると、気体308の圧力によりその厚さが薄くなる。つまり、図12に示す様に、スタグナントレイヤー101は図2よりも薄くなり、微細なパーティクル110〜112は図2よりも更にスタグナントレイヤー101の外部に露出する。
つまり、気体308が噴射されている間、スタグナントレイヤー101は常に薄く保持されるので、水滴103を半導体ウェーハ表面に近づけることができ、パーティクルが除去され易くなる。
次に、図13を参照して第5の実施形態の第1の変形例について説明する。本変形例では、気体ジェットノズル602の角度が自由に調節可能である点が第5の実施形態と異なる。
同図に示す様に、気体ジェットノズル602は、ホース603,604の間に調節ネジ605を備え、ホース604と、2流体ジェットノズル301との間に調節ネジ606を備える。この様な構成により、気体ジェットノズル602は、調節ネジ605,606を用いて先端の噴射口602aの向きが自由に調節できるので、気体308の噴射方向を調節できる。
次に、第5の実施形態の第2の変形例について説明する。本変形例は、気体ジェットノズル302の角度を第5の実施形態と異ならしめるものである。
つまり、図10を参照して、気体ジェットノズル302の角度は、液滴ミスト307が噴射されるに先立ち、3流体ジェットノズル300のスキャンの方向に合わせて高速の気体308が噴射される様に設定される。例えば、3流体ジェットノズル300のスキャン方向が図10において右方向から左方向であれば、気体308は液滴ミスト307が噴射される領域の左側の領域に予め噴射される。3流体ジェットノズル300がスキャンされるので、予め気体308が噴射されてスタグナントレイヤー101が薄くなった領域に、続いて到達する液滴ミスト307に含まれる水滴103が衝突する。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態では、気体308の噴射速度を変化させながら洗浄する点が、第5の実施形態と異なる。
即ち、本実施形態では、第5の実施形態に係る半導体ウェーハの洗浄装置を用いて、角度を変えて斜め方向から気体308を噴射する際に、半導体ウェーハ100の表面のパターンの大きさに応じて、その噴射速度を高速、または低速に変化させる。具体的には、パターンの大きさが小さい部分(例えば、パターン幅が約40nm以下の微細パターン)では、気体308の噴射速度を第5の実施形態よりも低速にして、パターンの大きさが大きい部分や、パターンが存在せず平面的な部分では、その噴射速度を第5の実施形態よりも高速にする。
次に、図14を参照して本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態では、2組の気体ジェットノズル700,701を備える点が、第5の実施形態と異なる。
即ち、図14に示す様に、3流体ジェットノズル710は気体308の導入口704,705、及び気体と液体の導入口706を備える。また、貫通している2組の気体通路707,708を設置し、2組の気体ジェットノズル700,701のそれぞれの噴射口700a,701aと通じる構造をしている。この2組の気体ジェットノズル700,701を有する構成により、第5の実施形態よりも自由度が高く気体308と液滴ミスト307とを個別に操作して、混合せずに噴射することができる。従って、洗浄の要求に従って、それぞれを自由にコントロールする事が可能である。
次に、図15を参照して本発明の第8の実施形態について説明する。
本実施形態では、2流体ジェットノズルと気体ジェットノズルとは一体の一体型ノズル(3流体ジェットノズル)として構成される点が第5の実施形態と異なる。
図15は、本実施形態に係る3流体ジェットノズルの断面図を表す。同図に示す様に、この3流体ジェットノズル800は、中心部の液体通路400、及び液体通路400を取り囲む様に同心円状に配置された気体通路401から構成される2流体ジェットノズルと、気体通路401を取り囲む様に配置された同心円状の気体通路801とを備える。
また、本実施形態によれば、第5の実施形態の気体ジェットノズル302が占有する空間が不要であるため、プロセススペースの削減ができる。
また、第2の実施形態から第4の実施形態で説明した撥水性の半導体ウェーハを用いて洗浄しても良い。この場合も、第5の実施形態から第8の実施形態よりも効率的にパーティクルを除去できる。
次に、図16〜図20を参照して本発明の第9の実施形態について説明する。本実施形態は、枚葉洗浄装置を用いた洗浄処理における洗浄液として、希釈IPA水溶液にゼータ電位を制御する薬液を混合したものを用いる点が第1の実施形態と異なる。
以上で述べた様に、本実施形態によれば、40nm相当の微小なパーティクル150を半導体ウェーハ100から脱離させた後、再度半導体ウェーハ100へ付着させることなく、効率的に除去できる。
例えば、枚葉洗浄装置は2流体ジェット洗浄装置、又は3流体ジェット洗浄装置に限られない。
さらに、本発明の実施形態に係る半導体ウェーハの洗浄装置、及び半導体ウェーハの洗浄方法は、液晶表示装置のガラス基板等、半導体ウェーハ以外の基板の洗浄に用いることもできる。
Claims (4)
- 洗浄液による半導体ウェーハの洗浄方法において、
前記洗浄液として、水より低表面張力、且つ水より低粘性を有するものを用い、かつ、第1の気体を前記半導体ウェーハの表面に噴射し、前記半導体ウェーハの前記表面に存在する前記洗浄液の、動的な流れを感じ取れない層であるスタグナントレイヤーの厚さを、水のスタグナントレイヤーの厚さよりも薄くした状態において、前記洗浄液と第2の気体の2流体を混合させた液滴ミストを前記半導体ウェーハの前記スタグナントレイヤーの厚さが薄くなった領域に噴射することにより前記洗浄液で洗浄し、
前記洗浄液は、イソプロピルアルコール、ハイドロフルオロエーテル、前記半導体ウェーハを疎水化させる界面活性剤が混合された水、又は、ゼータ電位を制御する界面活性剤が混合された水である事を特徴とする半導体ウェーハの洗浄方法。 - 前記第1の気体を噴射する第1のノズルおよび前記液滴ミストを噴射する第2のノズルをスキャンしながら、前記第1の気体および前記液滴ミストを前記半導体ウェーハに噴射する事を特徴とする請求項1に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
- 前記第2のノズルのスキャン方向の下流側で、前記第1のノズルから前記第1の気体を前記半導体ウェーハに噴射する事を特徴とする請求項2に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
- 前記第1のノズルから前記第1の気体を前記半導体ウェーハに噴射する際に、前記第1の気体の噴射速度を変化させる事を特徴とする請求項2または3に記載の半導体ウェーハの洗浄方法。
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