JP5403339B2 - トナー担持体、現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

トナー担持体、現像装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、トナー担持体、トナー担持体を備えた現像装置及び、現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、電子写真プロセスによる現像装置が用いられている。このような現像装置のうち、静電潜像の形成された感光体に対して、現像剤(トナー)を搬送するトナー担持体を接触させずに現像を行う非接触方式の現像装置が注目されている。非接触方式の例としては、パウダーラウンド法・ジャンピング法、電界カーテンを利用した方法等が知られている。
前記ジャンピング現像方式(感光体とトナー担持体との間でトナー粒子をジャンピングさせる方式)は、トナー粒子とトナー担持体との付着力以上の印加電圧が必要となる。
また、電界カーテン法は、内部に一定の間隔で並べられた複数の電極を有するトナー担持体の前記電極に交番電界を印加して、該トナー担持体表面に生じる交番電界によってトナーを飛翔させ、トナー担持体表面にトナーの雲状体、即ちクラウドを発生させ、このクラウドから感光体表面の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像化するもので、トナー担持体表面でトナー粒子がホッピングするため、トナー粒子とトナー担持体表面との付着力が略零になり、現像のためにトナー粒子をから剥離する力が不要であるため、低電圧で十分にトナーを潜像担持体側に搬送することが可能なものである。
前記電界カーテン法に用いる現像剤担持搬送体の外周表面に、絶縁性材料から構成された絶縁層を設けることが、特許文献1に開示されている。
この現像装置は、複数の電極の上に絶縁性材料などからなる表面保護層が被覆されたものを用いているので、トナーの電荷が電極にリークし、トナーの電荷が失われてホッピング不良を引き起こすことがない。
また、トナーの帯電量の変動を抑制するために、トナー担持体表面とトナー供給部材の摩擦帯電列を近接させることが特許文献2に開示されている。
しかし、トナー担持体の表面上に供給されたトナーは、ホッピングに伴ってトナー担持体の表面と摺擦するため、表面保護層の材料によっては、表面保護層がトナーとの摺擦に伴ってトナーの正規帯電極性と同極性側に摩擦帯電(カウンターチャージ)し、トナーの正規帯電極性とは逆極性側への摩擦帯電を促してしまうことがあり、現像剤担持搬送体表面をトナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促す材料で形成することが特許文献3に開示されている。
また、トナー担持体表面のカウンターチャージを防止するためには、担持体表面に除電機能を付与することが考えられる。
しかし、除電機能を付与するためにトナー担持体表面の体積抵抗を下げると、電圧印加直後のトナー担持体表面電位の変化量が大きくなり、トナー粒子が過剰に帯電して、トナー粒子がトナー担持体表面に張り付いたまま飛翔せず、現像が良好に行なわれないという問題が生じることを見出した。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、絶縁性支持体上の電極に交番電界を印加した際にトナーのクラウドを良好な状態で発生させることの可能なトナー担持体、これを備え良好な現像を行なうことが可能な現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題は本発明の(1)「帯電したトナーを担持するトナー担持体であって、内部に一定の間隔で並べられた複数の電極を有し、複数の電極間の電界が時間的に変化するように電極に電圧を印加する電圧印加手段を備え、該電極間の電界変化によりトナー担持体上のトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記電極を被覆する表面層は、導電性粒子の含有率が45wt%以上65wt%以下であり、体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上1.8×1015Ω・cm未満であり、前記導電性粒子はアンチモン酸亜鉛であることを特徴とするトナー担持体」、
)「前記導電性粒子は、電気伝導度が1.0×10−8S/cm以上であることを特徴とする前記第(1)項に記載のトナー担持体」、
)「前記表面層は、ポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種類以上で形成されていることを特徴とする前記第(1)項または第(項に記載のトナー担持体」、
)「前記表面層の膜厚が3μm以上20μm以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項のいずれか1に記載のトナー担持体」により解決される。
また、上記課題は本発明の()「トナーを帯電させる手段と、帯電したトナーを電界によりホッピングさせて前記帯電したトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置であって、トナー担持体が前記第(1)項乃至第()項のいずれか1に記載のトナー担持体であることを特徴とする現像装置」により解決される。
また、上記課題は本発明の()「トナーを帯電させる手段と、帯電したトナーを電界によりホッピングさせて前記帯電したトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置と、前記現像装置とは非接触の状態で、前記現像装置に担持された前記帯電したトナーが潜像に付着し現像される感光体とを有する画像形成装置であって、前記トナー担持体が、トナー担持体が前記第(1)項乃至第()項のいずれか1に記載のトナー担持体であることを特徴とする画像形成装置」により解決される。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により前記表面層は、導電性粒子を含有し、トナー担持体表面層の体積抵抗率を適正な範囲にすることによって、トナーが過剰に帯電すること及びトナー粒子とトナー担持体の間に働く付着力が大きくなることを防ぎ、かつ交番電圧印加に対するトナー担持体表面の電位変化の応答性が高く、絶縁性支持体上の電極に交番電界を印加した際にトナーのクラウドを良好な状態で発生させることの可能なトナー担持体、これを備え良好な現像を行なうことが可能な現像装置及び画像形成装置を提供することができる。
本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。 本発明における櫛歯電極方式の電界変化の状態と電極の形状の説明図である。 図1で示す画像形成装置で使用される現像装置の現像ローラの構成を示す斜視図である。 図1で示す画像形成装置で使用される現像装置のトナーのクラウド状態を説明する模式図である。 本発明における二成分現像の帯電手段の実施形態を示す図である。 本発明における上下電極方式の電界変化の状態と電極の形状の説明図である。 本実施例におけるトナー担持体(フレアローラ)表面電位を測定する方法を示した図である。 本実施例におけるトナー担持体に電圧を印加してからの時間と表面電位変化を表わした図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。
図1において、(1)は矢印(A)方向に回転するドラム状の感光体、(2)は感光体(1)の表面を一様に帯電する帯電ローラ、(3)は画像情報に対応するレーザー光等を感光体(1)の表面に照射する露光装置、(4)は感光体(1)の表面に形成された静電潜像にトナーを供給する現像装置である。(5)は感光体(1)の表面に現像装置(3)で形成されたトナー像を転写用紙等の転写材(P)上に転写する転写ローラ、(6)は転写材(P)にトナー像を転写した後に感光体(1)の表面に残存するトナーを感光体(1)の表面から除去するクリーニング装置である。(7)は、転写材(P)上に転写された未定着トナー像を加熱、加圧して転写材(P)上に定着させる定着装置である。
この画像形成装置によって転写材(P)上にトナー画像を形成する方法について説明する。
矢印(A)方向に回転する感光体(1)の表面を、帯電ローラ(2)によって所定の電圧を印加して一様に帯電させる。このように一様に帯電された感光体(1)の表面に所望の画像情報に対応するレーザー光を露光装置(3)から照射して感光体(1)の表面に静電潜像を形成する。続いてこのようにして形成された静電潜像に対して、現像装置(4)からトナーを供給して静電的に付着させて静電潜像をトナー像化させる。このようにして形成されたトナー像は、転写ローラ(5)によって感光体(1)の表面と転写材(P)を圧接させて矢印(B)方向に転写材(P)を搬送させながらバイアス電圧を印加して感光体(1)の表面から転写材(P)の表面に転写される。その後転写材(P)上に転写されたトナー像は、定着装置(7)の加熱ローラ(7a)及び加圧ローラ(7b)によって加熱加圧されて転写材(P)上に定着される。このようにして転写材(P)上にトナー像を転写した感光体(1)は、感光体(1)の表面に残存するトナーをクリーニング装置(6)で除去して感光体(1)の表面をクリーニングし、再び、帯電ローラ(2)によって一様に帯電される。以後、前述のように、露光装置(3)によって静電潜像が形成され、現像装置(4)で静電潜像がトナー像化され、転写ローラ(5)で転写材(P)上にトナー像が転写され、クリーニング装置(6)で感光体(1)の表面がクリーニングされる動作が繰り返される。
本発明においては、感光体(1)の表面に形成された静電潜像をトナーでトナー像化する現像装置(4)に特徴を有する。
(一成分現像の帯電手段の説明)
本発明の一実施形態である現像装置(4)は、図1に示すように、トナー(T)を収納する容器(8)内に、トナーを感光体(1)に容器(8)の開口部(8a)から供給するトナー担持体である現像ローラ(9)が回転可能に取り付けられ、図示しない駆動手段によって矢印(C)方向に回転されるようになっている。そして、循環パドル(10)によってトナーTを攪拌しながら循環させてトナー(T)を帯電させると共にトナー(T)を現像ローラ(9)の表面に供給する。
(二成分現像の帯電手段の説明)
図5は本発明の別の実施形態を示す。トナー担持体である現像ローラ(9)に対しては、通常の二成分現像器(56)により二成分現像剤の穂が当接されている。具体的には、粒径50[μm]の磁性キャリア粉と粒径約6[μm]のポリエステルトナーを重量比で7〜8[wt%]混合させた二成分現像剤を、二成分現像器(56)の永久磁石を内包するマグネットスリーブ(57)によって現像ローラ(9)まで搬送し、そこでトナーの一部をマグネットスリーブ(57)と現像ローラ(9)との間に印加される直流バイアス電位によって現像ローラ(9)の表面に供給する。
このようにしてトナー(T)が供給された現像ローラ(9)は、その表面にトナー(T)を静電力によって保持しながら汲み上げられ、現像ローラ(9)と所定間隔を有して容器(8)に取り付けられたブレード状のトナー規制部材(11)によって汲み上げられるトナー量が規制されている。現像ローラ(9)は、後述するように、開口部(8a)で交番電界が印加されてトナー(T)のクラウドが形成される。その結果、このクラウドからトナー(T)が静電気的に感光体(1)の表面の静電潜像に供給されてトナー像が形成されるようになっている。なお、図1の符号(12)は、補給トナーを供給するトナー供給口である。
電極の構成に示すように、2種類の構成がある。
(櫛歯電極方式の説明)
現像ローラ(9)は、図2(a)、(b)(なお、図2(a)は図2(b)の上面図におけるA−A’における断面図である。)に示すように、線状の複数の電極(90Aa)を有する第1の電極パターン(90A)と線状の複数電極(90Bb)を有する第2の電極パターン(90B)とが、電極(90Aa)と電極(90Bb)とが交互に現像ローラの軸方向に平行に形成されている。なお、電極パターン(90A)、(90B)の形成は、図3の回転軸(9d)を有する円筒状に成形された支持体(93)の周面に蒸着での銅薄膜が形成されたものからフォトレジスト法によって所望の形状に加工することにより可能である、形成方法について特に限定はなく、フォトレジスト法を用いたパターニング以外に、例えばインクジェット装置等を用いた描画により形成しても構わない。また、支持体(93)の大きさについて特に限定はなく、発明の実施者が適宜選択したものを用いればよい。また、電極(90Aa)と電極(90Bb)各々の幅d、及び電極(90Aa)と電極(90Bb)との間の間隔Dについても特に限定はなく、発明の実施者が適宜定めればよい。
支持体(93)としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ナイロン、フッ素系樹脂、ポリアセタール、フェノール、ポリスチレン等の合成樹脂から形成された円筒状の絶縁性支持体、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタン、ステンレスなどを切削、研摩などの金属加工をした円筒状の金属の導電性支持体に前記合成樹脂を被覆したものを使用することができる。
さらに、この電極パターン(90A)、(90B)上にこれらの電極(90Aa)、(90Bb)を被覆して保護するための表面層(98)が形成されている。
(上下電極方式の説明)
続いて上下電極方式の現像ローラについて説明する。図6(a)、(b)(なお、図6(a)は図6(b)の上面図におけるA−A’における断面図である。)に示すように、導電性支持体(91A)上に絶縁層(95)を設けた支持体を用い、上記櫛歯電極方式の2つの電極(9bA)、(9bB)の一方の電極の機能を導電性支持体(91A)に担わせ、導電性支持体(91A)をA相、絶縁層(95)上に形成された複数の線状の電極(91Bb)を有する電極パターン(91B)をB相とし、導電性支持体(91A)と電極(91Bb)との間の電位差によりトナー粒子をホッピングさせトナークラウドを形成するものである。電極(91B)は表面層(98)で覆われている。なお、導電性支持体(91A)としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた材料からなる支持体を用いることができる。この他、ポリイミド、ポリカーボネート、ナイロン、フッ素系樹脂、ポリアセタール、フェノール、ポリスチレン等の合成樹脂から形成された支持体上にアルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた材料からなる導電性膜を被覆したものを用いてもよい。また、導電性支持体(91A)の大きさについて特に限定はなく、発明の実施者が適宜選択したものを用いればよい。また、電極(91Bb)の幅(d)、及び電極(91Bb)間の間隔(D)についても特に限定はなく、発明の実施者が適宜定めればよい。
上述の表面層(98)は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂に、帯電したトナー表面の電荷を受容するアクセプタを添加したものから形成されている。表面層(98)の厚さについて特に限定はないが、電極とトナーとの間にリークが生じず、且つ電界強度が弱くなりすぎないように膜厚は、3μm以上20μm以下であることが好ましい。表面層(98)をこのような膜厚とすることでホッピング電界強度の低下によるトナークラウドの不安定化が生じにくくなる。
前記アクセプタとしては、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの他、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。
これらの電子受容性物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。なお、表面層における電子受容性物質の含有量について特に限定はないが、トナークラウド形成直後の現像ローラの表面電位が初期値(0V)となるように約40wt%の濃度で含有させることが好ましい。
また、絶縁層(95)は、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート、ナイロン、フッ素系樹脂、ポリアセタール、フェノール、ポリスチレン等の合成樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等の中から選択された一または二以上の絶縁性を有する材料で形成されている。絶縁層(95)の厚さについて特に限定はないが、上下電極方式を用いる場合は、A相とB相との間がリークしない程度の厚さとすることが好ましい。
トナーの種類について特に限定はなく、粉砕トナーまたはケミカルトナーのいずれであってもよい。また、ワックスを含有していても、含有していなくても構わない。トナーとトナー担持体の表面が接触する際に生じる電荷移動によりトナー担持体の表面電位が著しく変動することを抑制するために、前記表面層(98)のイオン化ポテンシャルをトナーのイオン化ポテンシャルよりも0.2eV以上大きくすることが好ましい。
導電性を有する物質としては、電気伝導度が1.0×10−8S/cm以上の導電性微粒子であることが、好ましい。
アンチモン酸亜鉛、モリブデン酸化物または酸化インジウムにスズをドープした化合物、並びに酸化スズにアンチモンをドープした化合物などの酸化物半導体導電性粒子は環境特性に優れているため、常に一定の導電性を保つことができる。
導電性微粒子の添加量は、20wt%以上65wt%以下含有することが好ましく、45wt%以上60wt%以下含有することが、交番電圧印加に対するトナー担持体表面の電位変化の応答性が高く、さらに好ましい。
導電性を有する物質としては、他に界面活性剤等が汎用されているが、界面活性剤は湿度依存性が大きく環境変化に対応できないという問題があるため好ましくない。
表面層の体積低効率は、1.0×10Ω・cm以上1.8×1015Ω・cm未満であることが好ましく、1.6×10Ω・cm以上8.0×10Ω・cm以下であることが、さらに好ましい。
1.0×10Ω・cmよりも低くなると、ホッピング電界が発生せず、トナークラウドが形成できない。
電極パターン(90A)、(90B)の電極(90Aa)と(90Bb)は、それぞれ、図3に示すように、対向する端部側がそれぞれ長く形成されており、この長くなった端部(9bA1)及び(9bB1)の部分が露出されてそれぞれ容器(8)の開口部(8a)側に取り付けられた端子(13A)、(13B)と電気的に接続されていてもよい。端子(13A)、(13B)には、交番電圧(14)が印加され、端子(13A)及び(13B)から印加された交番電界によって、電極パターン(9b)の複数の電極(9bA)と(9bB)間の電界が時間的に変化する。その結果、電極パターン(9b)の電極(9bA)と(9bB)間に印加された電界によって、現像ローラ(9)の表面層(9c)上に保持されたトナー(T)が、図4に示すように、感光体(1)の表面と現像ローラ(9)の表面層(9c)との間で飛翔してクラウドを形成し、このクラウドのトナー(T)が感光体(1)の表面に形成された静電潜像に向かって静電気的に吸引、付着してトナー像を形成するようになっている。
このようなクラウドの形成は、電極パターン(9b)の電極(9bA)及び(9bB)の幅(d)、間隔(D)及び交番電圧等によって影響される。電極パターンのサイズについて特に限定はないが、図3の現像ローラにおいて良好なクラウドを形成するには、電極パターン(9b)の電極(9bA)及び(9bB)の幅(d)、間隔(D)をそれぞれ40μm〜250μmの幅、85μm〜500μmの間隔とすれば良い。また、交番電圧としては、周波数100Hz〜5KHz、100V〜3KVが好適である。
なお、本実施形態における現像ローラ(9)においては、交番電圧電源として単相の交番電圧を使用するようにしているが、周期の異なる複数相の交番電圧電源も使用することが可能である。この場合、電極パターン(9b)として前記周期に対応させて端部の長さが異なる複数の電極(9b)を隣接して形成し、同一長さの端部同士で接続する複数の端子を取り付け、各端子から周期の異なる相の交番電圧を印加するようにしても良い。このような周期の異なる複数相の交番電圧電源を使用する場合には、進行波状のクラウドを形成することが可能となる。
次に、本発明による一実施形態の現像ローラの作製について実施例に基づいて説明する。
[実施例1、2、参考例1、比較例1,2]
絶縁性支持体用塗布液
下記材料を混合し、絶縁性支持体形成用塗布液とした。
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50(大日本インキ化学工業社製))
30重量部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))
20重量部
2−ブタノン 60重量部
導電性粒子含有表面層塗布液
下記材料を混合し、導電性粒子としてアンチモン酸亜鉛ゾルを含む表面層形成用塗布液とした。
アルキッド樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製)) 30重量部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))
20重量部
2−ブタノン 60重量部
アンチモン酸亜鉛ゾル(セルナックスCX)電気伝導度2.0〜3.3×10-3[S/cm]
尚、アンチモン酸亜鉛ゾルの添加量は表1に記載した。
直径16mm、長さ230mmの円柱状のアルミニウム管を上記絶縁性支持体形成用塗布液に浸漬させて20μm厚の絶縁膜で被覆することにより絶縁性支持体(9a)を作成した。絶縁性支持体(9a)上に蒸着によって導電性金属箔膜である0.8μm厚みの銅箔膜を形成した。さらに、銅箔膜上に5μm厚みのレジスト膜を塗布した。銅箔膜及びレジスト膜に覆われた絶縁性支持体(9a)に幅d=100μm、長さL=200mmの線状の複数の電極(9bA)及び(9bB)を間隔D=200μmで離間させた電極パターン(9b)をレーザー描画機で露光して、NaCO水溶液中で現像した後、FeCl水溶液に浸漬させてエッチングを行い、電極パターン(9b)を有する電極(9bA)及び(9bB)を形成した。
次に、このようにして所定の電極パターン(9b)を有する電極を形成した絶縁性支持体(9a)上に設けられた電極(9bA)、(9bB)上に表面層形成用塗布液を絶縁性支持体(9a)の両端で電極軸(9bA1)及び(9bB1)が露出するようにして塗布し、これらの電極(9bA)、(9bB)を覆う表面層(9c)を10μm厚で形成した。
このようにして作製した現像ローラ(9)を現像装置(4)に組み込み、現像装置(4)の開口部(8a)に取り付けた端子(13A)及び(13B)に−400Vと0Vのそれぞれをピークに持つことによって常時平均電位が−200Vとなる交流バイアスを5KHzの周波数で交流電源から印加した際のトナー飛翔の有無を観察した。
この場合、奇数番目電極群(9bA)と偶数番目電極群(9bB)の交流バイアスは逆位相である。また、現像ローラ(9)上に汲み上げられる単位面積当りのトナー量は、0.2mg/cmとなるようにした。
また、前記現像装置及びトナーをimagio Neo C320に組み込んで画像を出力し、1000枚画像出力後の異常画像発生の有無を観察した。
各実施例、参考例及び比較例の観察結果を表1に示す。
本発明による実施例1、2、参考例1の表面層(9c)を形成した現像ローラでは、電極(9bA)及び(9bB)に逆位相の交流バイアスを印加すると、電極間の電界により現像ローラ上のトナーを飛翔させてクラウドを形成することができ、出力画像に異常は見られなかった。
これに対し、比較例1で示すアンチモン酸亜鉛ゾル含有率が0wt%の表面層(9c)を形成したものでは、電極(9bA)及び(9bB)に逆位相の交流バイアスを印加すると、印加直後は電極間の電界により現像ローラ上のトナーを飛翔させてクラウド形成を観察することができたが、時間が経過するとカウンターチャージにより、徐々にトナーは飛翔しなくなり安定なクラウドを形成することができなかった。
また、比較例2で示すアンチモン酸亜鉛ゾル含有率が70wt%の表面層(9c)を形成したものでは、電極(9bA)及び(9bB)に逆位相の交流バイアスを印加すると、電極間の電界によりトナー担持体上のトナーを飛翔させてクラウドを形成することができず、画像を出力することもできなかった。
Figure 0005403339

○:良好なトナー飛翔
△:初期にはトナー飛翔するが徐々にトナー飛翔低下
×:トナー飛翔しない
次に、図7に示す実験装置により、実施例1、2参考例1、比較例1のトナー担持体に−500Vの電圧を印加し、印加開始からトナー担持体表面の電位が−500V(100%)になるまでのトナー担持体表面電位を以下の条件で測定した。
< 実験条件 > フレアの標準条件
●フレアローラφ : 30[mm]
●フレアローラ線速 : 180[mm/s]
●供給ローラ線速 : 108[mm/s]
●供給ローラ材質 : スポンジローラ(イノアック製)
●食い込み : 1.5[mm]
●絶縁層(アルキッドメラミン)膜厚 : 20[um]
●低抵抗層 : 5[um]
電圧を印加してからの時間と表面電位変化を図8に示す。
実施例1,2は、1秒後の表面電位変化率(%)が80%以上であり、電圧を印加してから表面電位が変化するまでの時間が短く(応答性がよく)高周波の交番電界を印加でき、効率よくトナーを帯電させることができる。
1 感光体
2 帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
5 転写ローラ
6 クリーニング装置
7 定着装置
7a 加熱ローラ
7b 加圧ローラ
8 容器
8a 開口部
9 現像ローラ
9a 支持体
9b 電極パターン
9bA 電極
9bB 電極
9c 表面層
9d 回転軸
9bA1 端部
9bB1 端部
10 循環パドル
11 トナー規制部材
12 トナー供給口
13A 端子
13B 端子
14 交番電圧
90A 電極パターン
90Aa 電極
90B 電極パターン
90Bb 電極
91A 導電性支持体
91B 電極
91Bb 電極
93 支持体
95 絶縁層
98 表面層
A 回転方向
B 搬送方向
C 回転方向
D 間隔
T トナー
d 幅
56 二成分現像器
57 マグネットスリーブ
59 交番電圧
60 容器
61 現像剤攪拌装置
62 現像剤攪拌装置
63 現像剤
特開平3−21967号公報 特開2008-076461号公報 特開2007−133388号公報

Claims (6)

  1. 帯電したトナーを担持するトナー担持体であって、内部に一定の間隔で並べられた複数の電極を有し、複数の電極間の電界が時間的に変化するように電極に電圧を印加する電圧印加手段を備え、該電極間の電界変化によりトナー担持体上のトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記電極を被覆する表面層は、導電性粒子の含有率が45wt%以上65wt%以下であり、体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上1.8×1015Ω・cm未満であり、前記導電性粒子はアンチモン酸亜鉛であることを特徴とするトナー担持体。
  2. 前記導電性粒子は、電気伝導度が1.0×10−8S/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のトナー担持体。
  3. 前記表面層は、ポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種類以上で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー担持体。
  4. 前記表面層の膜厚が3μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載のトナー担持体。
  5. トナーを帯電させる手段と、帯電したトナーを電界によりホッピングさせて前記帯電したトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置であって、トナー担持体が請求項1乃至のいずれか1に記載のトナー担持体であることを特徴とする現像装置。
  6. トナーを帯電させる手段と、帯電したトナーを電界によりホッピングさせて前記帯電したトナーを担持するトナー担持体を有する現像装置と、前記現像装置とは非接触の状態で、前記現像装置に担持された前記帯電したトナーが潜像に付着し現像される感光体とを有する画像形成装置であって、前記トナー担持体が請求項1乃至のいずれか1に記載のトナー担持体であることを特徴とする画像形成装置。
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