JP5622042B2 - トナー担持体、現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

トナー担持体、現像装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、トナー担持体、トナー担持体を備えた現像装置及び、現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、電子写真プロセスによる現像装置が用いられている。このような現像装置のうち、静電潜像の形成された感光体に対して、現像剤(トナー)を搬送するトナー担持体を接触させずに現像を行う非接触方式の現像装置が注目されている。非接触方式の例としては、パウダーラウンド法・ジャンピング法、電界カーテンを利用した方法等が知られている。
前記ジャンピング現像方式(感光体とトナー担持体との間でトナー粒子をジャンピングさせる方式)は、トナー粒子とトナー担持体との付着力以上の印加電圧が必要となる。
また電界カーテン法は、内部に一定の間隔で並べられた複数の電極を有するトナー担持体の前記電極に交番電界を印加して、該トナー担持体表面に生じる交番不平等電界によって形成される電界カーテンにより、予め帯電させたトナーをホッピングさせ、静電潜像にトナー粒子を供給するものであり、トナー担持体表面でトナー粒子がホッピングするため、トナー粒子とトナー担持体表面との付着力が略零になり、現像のためにトナー粒子をトナー担持体表面から剥離する力が不要であるため、低電圧で十分にトナーを潜像担持体側に搬送することが可能なものである。
特許文献1の特開平03−21967号公報に開示される前記電界カーテン方式の現像装置は、複数の電極の上に絶縁性材料などからなる表面保護層が被覆された現像剤担持搬送体を用いているので、トナーの電荷が電極にリークせず、トナーの電荷が失われてホッピング不良を引き起こすことがない。
特許文献2の特開2007−133388号公報は、トナー粒子を、予め摩擦帯電させずに、トナー担持体の表面上に供給し、トナー粒子を交番電界によりホッピングさせてトナー粒子を帯電させるために、現像剤担持搬送体表面をトナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促す材料で形成することが開示されている。
しかし、これらの現像装置は、絶縁層上に電位の異なる2種類の電極が設けられるため電極間の間隙が狭い場所が生じると電極間でリークが生じやすい。電極間にリークが生じると2種類の電極間の電位を保てないためトナーをホッピングさせる電界は失われる。
これら電極間リークへの耐性を向上させるため、一方の電極を導電性支持体に担わせその導電性支持体上に絶縁層を形成することで、絶縁層上の電極と絶縁層膜厚の距離を隔離する形態をとることができる。
この形態の場合、トナーホッピングを引き起こす電界を形成するため交番電界もしくは矩形波を電極へ印加したとき、導電性支持体および絶縁層上電極の電荷の間に静電気力が働き電極に多くの電荷を溜め込む。そのため電力が多く消費されるため、より消費電力を小さくすることが強く求められる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は低消費電力であり、長期間安定してトナーのクラウドを安定的に形成し、感光体表面の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像化可能である現像装置、現像装置に搭載されるトナー担持体、現像装置を搭載する画像形成装置を提供することにある。
上記課題は、本発明の(1)〜(7)により解決される。
即ち、(1)導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と、前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記絶縁層が少なくともフッ素樹脂と硬化剤との架橋反応生成物を含むものであり、前記フッ素樹脂がフルオロエチレンとビニルエーテルモノマーの共重合体により構成されることを特徴とするトナー担持体。
(2)前記フッ素樹脂が少なくともポリオールであることを特徴とする前記(1)に記載のトナー担持体。
(3)前記硬化剤がイソシアネート硬化剤であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のトナー担持体。
(4)前記イソシアネート硬化剤がブロックイソシアネート硬化剤であることを特徴とする前記(3)に記載のトナー担持体。
(5)前記表面層がポリカーボネート樹脂からなることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のトナー担持体。
(6)前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のトナー担持体を含むことを特徴とする現像装置。
(7)前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のトナー担持体を含むことを特徴とする画像形成装置。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記絶縁層が少なくともフッ素樹脂と硬化剤との架橋反応生成物を含むものであり、前記フッ素樹脂がフルオロエチレンとビニルエーテルモノマーの共重合体により構成されるもので構成されるものである。
前記トナー担持体においては、トナーホッピングを引き起こす電界を形成するため交番電界もしくは矩形波を電極へ印加したとき、少ない消費電力でトナーホッピングを引き起こすことができる。
これにより低消費電力で感光体表面の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像化可能である現像装置、現像装置に搭載されるトナー担持体、現像装置を搭載する画像形成装置の提供が可能となる。
本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。 現像装置のトナーのクラウド状態を説明する模式図である。 トナー担持体の構成を示す図である。 他のトナー担持体の構成を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。図1において、(1)は矢印(A)方向に回転するドラム状の感光体、(2)は感光体(1)の表面を一様に帯電する帯電ローラ、(3)は画像情報に対応するレーザー光等を感光体(1)の表面に照射する露光装置、(4)は感光体(1)の表面に形成された静電潜像にトナーを供給する現像装置である。(5)は感光体(1)の表面に現像装置(3)で形成されたトナー像を転写用紙等の転写材(P)上に転写する転写ローラ、(6)は転写材(P)にトナー像を転写した後に感光体(1)の表面に残存するトナーを感光体(1)の表面から除去するクリーニング装置である。(7)は、転写材(P)上に転写された未定着トナー像を加熱、加圧して転写材(P)上に定着させる定着装置である。
この画像形成装置によって転写材(P)上にトナー画像を形成する方法について説明する。矢印(A)方向に回転する感光体(1)の表面を、帯電ローラ(2)によって所定の電圧を印加して一様に帯電させる。このように一様に帯電された感光体(1)の表面に所望の画像情報に対応するレーザー光を露光装置(3)から照射して感光体(1)の表面に静電潜像を形成する。続いてこのようにして形成された静電潜像に対して、現像装置(4)からトナーを供給して静電的に付着させて静電潜像をトナー像化させる。このようにして形成されたトナー像は、転写ローラ(5)によって感光体(1)の表面と転写材(P)を圧接させて矢印(B)方向に転写材(P)を搬送させながらバイアス電圧を印加して感光体(1)の表面から転写材(P)の表面に転写される。その後転写材(P)上に転写されたトナー像は、定着装置(7)の加熱ローラ(7a)及び加圧ローラ(7b)によって加熱加圧されて転写材(P)上に定着される。このようにして転写材P上にトナー像を転写した感光体(1)は、感光体(1)の表面に残存するトナーをクリーニング装置(6)で除去して感光体(1)の表面をクリーニングし、再び、帯電ローラ(2)によって一様に帯電される。以後、前述のように、露光装置(3)によって静電潜像が形成され、現像装置(4)で静電潜像がトナー像化され、転写ローラ(5)で転写材(P)上にトナー像が転写され、クリーニング装置(6)で感光体(1)の表面がクリーニングされる動作が繰り返される。
本発明においては、感光体(1)の表面に形成された静電潜像をトナーでトナー像化する現像装置(4)に特徴を有する。本実施形態における現像装置(4)は、図1に示すように、トナー(T)を収納する容器(8)内に、トナーを感光体(1)に開口部(8a)から供給するトナー担持体(9)が回転可能に取り付けられ、図示しない駆動手段によって矢印(C)方向に回転されるようになっている。そして、循環パドル(10)によってトナー(T)を攪拌しながら循環させてトナー(T)を帯電させると共にトナー(T)をトナー担持体(9)の表面に供給する。このようにしてトナー(T)が供給されたトナー担持体(9)は、その表面にトナー(T)を静電力によって保持しながら汲み上げ、トナー担持体(9)と所定間隔を有して容器(8)に取り付けられたブレード状のトナー規制部材(11)によって汲み上げるトナー量が規制されている。トナー担持体(9)は、後述するように、開口部(8a)で交番電界が印加されてトナー(T)のクラウドが形成される。その結果、このクラウドからトナー(T)が静電気的に感光体(1)の表面の静電潜像に供給されてトナー像が形成されるようになっている。なお、図1の符号(12)は、補給トナーを供給するトナー供給口である。
トナー担持体(9)について説明する。
図2に示すように、トナー担持体(9)は、下層から導電性支持体、絶縁層、電極パターン、接着層、表面層の順に積層構造となっている。
図3はトナー担持体(9)を説明する図である。
トナー担持体(9)は、図3(a)、(b)(なお、図3(a)は図3(b)の上面図におけるA−A’における断面図である。)に示すように、第1の電極と第2の電極とを有し、一方の電極の機能を導電性支持体(91A)に担わせ、導電性支持体(91A)をA相、絶縁層(95)上に形成された複数の線状の電極(91Bb)を有する電極パターン(91B)をB相とし、導電性支持体(91A)と電極(91Bb)との間の電位差によりトナー粒子をホッピングさせトナークラウドを形成するものである。
なお、電極パターン(91B)の形成は、円筒状に成形された支持体(91A)の周面に蒸着での銅薄膜が形成されたものからフォトレジスト法によって所望の形状に加工することにより可能である。形成方法について特に限定はなく、フォトレジスト法を用いたパターニング以外に、例えばインクジェット装置等を用いた描画により形成しても構わない。導電性支持体(91A)としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた材料からなる支持体を用いることができる。また、導電性支持体(91A)の大きさについて特に限定はなく、発明の実施者が適宜選択したものを用いればよい。また、電極(91Bb)の幅(d)、及び電極(91Bb)間の間隔(D)についても特に限定はなく、発明の実施者が適宜定めればよいが、後述する櫛歯電極型に比し間隔(D)を広くすることができるため、短絡することを防止でき好ましい。
トナークラウドの形成は、電極パターン(91Bb)の幅(d)、間隔(D)及び交番電圧等によって影響される。良好なクラウドを形成するには、電極パターン(91Bb)の電極の幅(d)、間隔(D)をそれぞれ40μm〜250μmの幅、85μm〜500μmの間隔とすれば良い。また、交番電圧としては、周波数100Hz〜5KHz、100V〜3KVが好適である。
電極(91Bb)を構成する材料は、高い導電性を有する材料であれば使用することができるが、形成のため施こす際にペースト状のものであると電極パターンを描画することによりこれを達成でき好ましい。
なお、本実施形態におけるトナー担持体(9)においては、交番電圧電源として単相の交番電圧を使用するようにしているが、周期の異なる複数相の交番電圧電源も使用することが可能である。担持体に設けられた2つの電極に周期的に正負の方向が入れ替わるように電圧を印加することにより、担持体表面の電界が周期的に逆方向へと入れ替わる、時間的に変化する電界により、トナー粒子が、感光体(1)の表面とトナー担持体(9)の表面層(98)との間でホッピングしてトナーのクラウドを形成し、このクラウドのトナー(T)が感光体(1)の表面に形成された静電潜像に向かって静電気的に吸引、付着してトナー像を形成できる。
(導電性支持体)
導電性支持体として、例えばAl、Ni、Fe、Cu、Auなどの金属、もしくはそれらの合金の他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属あるいはIn23、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの、樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム,銅,ニッケル等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙等から形成された円筒状の支持体が使用できる。
(絶縁層)
導電性支持体と絶縁層上の電極に挟まれる絶縁層について記述する。導電性支持体と電極の間に交番電圧を印加するとその消費電力は絶縁層の誘電率に比例する。そのため誘電率は小さいことが好ましい。また絶縁層へは電極へ印加した交番電圧が導電性支持体へリークしない絶縁性が求められ、かつ絶縁層上に電極、表層を形成できることが求められる。
本発明者は鋭意検討の末、絶縁層が少なくともフッ素樹脂と硬化剤との架橋反応生成物を含むものであり、前記フッ素樹脂がフルオロエチレンとビニルエーテルモノマーの共重合体により構成されればこれらの必要機能を満たしつつ低消費電力であるトナー担持体を提供可能なことを見出した。
フッ素樹脂は、ポリオールであることが好ましく、また、硬化剤は、このポリオールであるフッ素樹脂を硬化できる多価イソシアネートを用いることが、薄膜形成の容易さ、膜厚精度の高さなどの利点から、より好ましい。
一般的にPTFEやポリエチレンは誘電率が低いプラスティックとして知られるが、これらは有機溶剤に対して不溶もしくは難溶であるため基材表面にミクロンレベルの一様で平滑な薄膜を形成するのはいちじるしく困難である。ゆえにミクロンレベルの一様で平滑な薄膜を形成できるウェット薄膜形成プロセスが望まれるが、有機溶剤可溶である材料は有機溶剤可溶となる官能基等の構造を備えるためその構造が起因で誘電率が高くなってしまう。
このように相反する機能が求められるが、発明者は鋭意努力の結果、前記フッ素樹脂がフルオロエチレンとビニルエーテルモノマーの共重合体により構成されれば、有機溶剤可能なためミクロンレベルの一様で平滑な薄膜を形成可能であり、かつ、誘電率が小さい絶縁層を形成可能となることを見出した。したがって以下、このような共重合体を中心に説明する。
フルオロエチレンとビニルエーテルモノマーの共重合体により構成されるフッ素樹脂は、ビニルエーテル等の共重合成分を含むため有機溶媒に溶融可能であり、導電性支持体上へ慣用される塗工法によって容易に薄膜を形成可能と優れた特性を有する。
また、優れた絶縁性を有しており、また薄膜形成後の有機溶剤への耐性にも優れ電極、および表層形成時に有機溶剤等により絶縁層が侵され破壊されることがない。
具体的には例えば、旭硝子(株)製のルミフロンLF-100、ルミフロンLF-200、ルミフロンLF-200F、ルミフロンLF-302、ルミフロンLF-400、ルミフロンLF-600、ルミフロンLF-600X、ルミフロンLF-800、ルミフロンLF-906N、ルミフロンLF-910N、ルミフロンLF-916N、ルミフロンLF-936、ルミフロンLF-9010などをこれらの1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
硬化剤としてはポリオールであるフッ素樹脂を硬化できる多価イソシアネートを用いることが好ましい。多価イソシアネートは形成薄膜の誘電率に大きな影響を与えずフッ素樹脂を硬化するのに好ましい。
具体的には例えば、旭化成ケミカルズ(株)製のデュラネートTHA-100、デュラネートTPA-100、デュラネートTSS-100、デュラネートTSE-100、デュラネートTSR-100など、住化バイエル(株)のスミジュールN3300など、三井武田ケミカル(株)製のタケネートD-177N、タケネートD-173N、タケネートD-140Nなど、日本ポリウレタン工業(株)コロネートHXなどをこれらの1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
特に硬化剤としては常温における塗工液の保存性向上のためブロックイソシアネート構造をもつ多価イソシアネートを用いることが好ましい。
具体的には例えば、旭化成ケミカルズ(株)製のデュラネートTPA-B80X、TPA-B80E、17B-60PX、E402-B80Tなど、住化バイエル(株)製のデスモジュールBL-3175、BL4265などをこれらの1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
そのほかメラミン硬化剤も適用可能である。メラミン硬化剤としては、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、エポキシ変性メラミン、部分又は完全にアルキルエーテル化されたメラミン樹脂等を用途に応じて各種変性されたものが使用できる。
具体的には例えば、DIC(株)製のスーパーベッカミン G-821-60、L-110-60、L-127-60、L-105-60など三井サイテック(株)製のサイメル-370、サイメル-771、マイコート-102をこれらの1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
絶縁層の形成には適当な溶媒を用いて、慣用される塗工法によって形成することができる。
絶縁層膜厚は材料にもよるが1μm以上100μm以下であることが好ましい。
1μm未満では電極とトナー間に電荷リークが生じないよう絶縁するのが困難であるため1μm以上とするのが好ましい。100μmより厚くては内部電極からの電界が弱くなり、トナーが表面層から遊離してホッピング可能である静電気力を生じることが困難であり、50μm以下がさらに好ましい。
(表面層)
表面層は電極を被覆し、トナー等へのリーク防止、およびトナーとの摩擦帯電によりトナーを適度に帯電させる機能が求められる。
それら求められる機能が満たせるならば表面層に用いる材料はかまわないが、特にビスフェノール系のポリカーボネートが摩擦帯電能とトナーホッピングとを両立させ、長期間トナーのクラウドを安定的に形成可能であり、耐摩耗性をも向上させることができる。
分子量は30000〜60000であることが溶媒への溶解時の扱いやすさ等の点から好ましい。分子量が小さ過ぎると、塗工液を調製する際には作業し易いけれども、作製済みの感光体の塗工膜中のポリカーボネートの速やかな結晶化や分子鎖再配位による体積の著しい減少を来たし、所望の耐久強度が得難くなることがある。
表面層にはポリカーボネート樹脂に添加剤としてレベリング剤が含有されていても良い。
レベリング剤としては、公知の材料を用いることができるが、微量で高い平滑性を付与することができるシリコーンオイル系のレベリング剤が特に好ましい。シリコーンオイルの例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイル等が挙げられる。
表面層にはそのほか、可塑剤、酸化防止剤、などの添加剤を適量添加することもできる。
表面層の形成にはテトラヒドロフラン等のポリカーボネート樹脂を可溶な1種類以上の溶媒を用いて、浸漬塗工法、スプレー塗工法等の慣用される塗工法によって形成することができる。
なお、本実施形態におけるトナー担持体(9)においては、交番電圧電源として単相の交番電圧を使用するようにしているが、位相又は周期の異なる(但し、当然のことながらベクトル和が零にならない)複数相の交番電圧電源も使用することが可能である。担持体に設けられた2つの電極に周期的に正負の方向が入れ替わるように電圧を印加することにより、担持体表面の電界が周期的に逆方向へと入れ替わる、時間的に変化する電界により、トナー粒子が、感光体(1)の表面とトナー担持体(9)の表面層(98)との間でホッピングしてトナーのクラウドを形成し、このクラウドのトナー(T)が感光体(1)の表面に形成された静電潜像に向かって静電気的に吸引、付着してトナー像を形成できる。
表面層の膜厚はトナー担持体の表面にトナーの電界カーテンを形成でき、また、電極(91b)のトナー担持体表面への露出を防ぐことができればいずれでもかまわないが、0.5μm以上、50μm以下であることが好ましい。
0.5μm以下では電極とトナー間に電荷リークが生じないよう絶縁するのが困難であるため0.5μm以上とするのが好ましい。
50μm以上では内部電極からの電界が弱くなるため、トナーが表面層から遊離してホッピング可能である静電気力を生じることが困難であるため50μm以下とするのが好ましい。
さらに、5〜50μmであるとトナーホッピングはより安定的に行なわれる。
以上のように本発明は、上記のように、図3に示す上下電極方式のトナー担持体に適用すると大きな効果を得るものであるが、図4に示す櫛歯電極方式のトナー担持体に適用することも、効果は著しく大ではないが、可能である。
櫛歯電極方式について説明する。
トナー担持体(9)は、図4(a)、(b)(なお、図4(a)は図4(b)の上面図におけるA−A’における断面図である。)に示すように、線状の複数の電極(90Aa)を有する第1の電極パターン(90A)と線状の複数電極(90Bb)を有する第2の電極パターン(90B)とが、電極(90Aa)と電極(90Bb)とが交互にトナー担持体の軸方向に平行に形成され、この電極パターン(90A)、(90B)上にこれらの電極(90Aa)、(90Bb)を上に接着層(97)、電極(90Aa)、(98Bb)を保護するための表面層(98)が形成されている。
支持体(93)としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ナイロン、フッ素系樹脂、ポリアセタール、フェノール、ポリスチレン等の合成樹脂から形成された円筒状の絶縁性支持体、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタン、ステンレスなどを切削、研摩などの金属加工をした円筒状の金属の導電性支持体に前記合成樹脂を被覆したものを使用することができる。
本発明にて用いられるトナーとしては、粉砕法、もしくは重合法にて形成された既知のトナーを用いることができる。
以下、本発明を実施例、比較例により、更に具体的に説明する。
[絶縁層用塗工液]
フッ素樹脂(ルミフロンLF-200(旭硝子製))190重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E旭化成ケミカル製))35重量部をメチルエチルケトン75重量部と混合し、絶縁層用塗工液を作製した。
[表面層用塗工液]
テトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部の混合液に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(構造単位M−15からなる分子量50000の重合化合物:パンライト TS−2050帝人化成製)3重量部、シリコーンオイル(KF−50(信越化学工業社製))0.002重量部を溶解し、表面層用塗工液を作製した。
[トナー担持体]
直径16mm、長さ230mmの円柱状のAl製導電性支持体上に前記の絶縁層用塗工液にて浸漬塗工を行い膜厚20μmの絶縁層を形成した。これを絶縁層形成済みの支持体(91A)とした。絶縁層形成済みの支持体(91A)上にそれぞれ蒸着によって導電性金属箔膜である0.8μm厚みの銅箔膜を形成した。さらに、これらの銅箔膜上に5μm厚みのレジスト膜を塗布した。銅膜及びレジスト膜に覆われた絶縁層形成済みの支持体(91A)に幅d=100μm、長さL=200mm、間隔D=200μmで離間させた格子状のパターンをレーザー描画機で露光して、NaCO水溶液中で現像した後、FeCl水溶液に浸漬させてエッチングを行い、前記電極パターンと同一形状の電極パターン(91B)を有する電極(91Bb)を形成した。
次に、このようにして所定の電極パターン(91B)を有する電極を形成した絶縁層形成済みの支持体(91A)の電極パターン(91B)の片側端部をマスキングし、電極を覆う最大膜厚10μmの表面層(98)を表面層形成塗工液にてスプレー塗工を行うことにより形成した。
表面層(98)は絶縁層形成済みの支持体(91A)の端部で電極が露出した状態で塗布した。このようにして作製したトナー担持体(9)を現像装置(4)に組み込んだ。
[電極への電圧印加条件]
現像装置(4)の開口部に取り付けた端子と導電性支持体に−400Vと0Vのそれぞれをピークに持つ各瞬間における平均電位が−200Vの交流バイアスを5KHzの周波数で交流電源から印加した。
トナーとして(株)リコー製のimagio Neo C320に搭載されるBK色トナー(ワックス非含有粉砕トナー)を現像装置(4)に供給して使用した。
これらの現像装置およびトナーをimagio Neo C320の黒ステーションに組み込んで画像出力を行い、現像装置の消費電力、導電性支持体と電極間のリークの有無、トナー担持体上のトナー飛翔の状態、異常画像の発生の有無、を比較した。
実施例1の絶縁層用塗工液のフッ素樹脂(ルミフロンLF-200(旭硝子製))190重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E(旭化成ケミカル製))35重量部をメチルエチルケトン75重量部中に含む絶縁層用塗工液に代えて、フッ素樹脂(ルミフロンLF-906N(旭硝子製))140重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E(旭化成ケミカル製))66重量部をメチルエチルケトン93重量部中に含む絶縁層用塗工液、を用いる他は実施例1と同様にトナー担持体を得た。
実施例1の絶縁層用塗工液のフッ素樹脂(ルミフロンLF-200(旭硝子製))190重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E(旭化成ケミカル製))35重量部をメチルエチルケトン75重量部中に含む絶縁層用塗工液に代えて、フッ素樹脂(ルミフロンLF-400(旭硝子製))240重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E(旭化成ケミカル製))32重量部をメチルエチルケトン30重量部中に含む絶縁層用塗工液、を用いる他は実施例1と同様にトナー担持体を得た。
実施例1の絶縁層用塗工液のフッ素樹脂(ルミフロンLF-200(旭硝子製))190重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E(旭化成ケミカル製))35重量部をメチルエチルケトン75重量部中に含む絶縁層用塗工液に代えて、フッ素樹脂(ルミフロンLF-200F(旭硝子製))100重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E(旭化成ケミカル製))33重量部をメチルエチルケトン165重量部中に含む絶縁層用塗工液、を用いる他は実施例1と同様にトナー担持体を得た。
実施例1の絶縁層用塗工液のフッ素樹脂(ルミフロンLF-200(旭硝子製))190重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E(旭化成ケミカル製))35重量部をメチルエチルケトン75重量部中に含む絶縁層用塗工液に代えて、フッ素樹脂(ルミフロンLF-200(旭硝子製))190重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-100(旭化成ケミカル製))19重量部をメチルエチルケトン90重量部中に含む絶縁層用塗工液、を用いる他は実施例1と同様にトナー担持体を得た。
実施例1の絶縁層用塗工液のフッ素樹脂(ルミフロンLF-200(旭硝子製))190重量部、イソシアネート硬化剤(TPA-B80E(旭化成ケミカル製))35重量部をメチルエチルケトン75重量部中に含む絶縁層用塗工液に代えて、フッ素樹脂(ルミフロンLF-200(旭硝子製))190重量部、イソシアネート硬化剤(D-177N(三井武田ケミカル製))22重量部をメチルエチルケトン90重量部中に含む絶縁層用塗工液、を用いる他は実施例1と同様にトナー担持体を得た。
[比較例1]
実施例1の絶縁層用塗工液に代えて、アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50(大日本インキ化学工業社製))110重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))60重量部をメチルエチルケトン110重量部に溶解した比較例1用絶縁層用塗工液を用いる他は実施例1と同様にトナー担持体を得た。
[比較例2]
実施例1の絶縁層用塗工液に代えて、前記実施例1の表面層用塗工液を用いて実施例1の表層形成方法と同様の形成方法にて絶縁層を形成したほかは、実施例1と同様にトナー担持体を得た。
[比較例3]
実施例1の絶縁層用塗工液に代えて、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックスB BX−1(積水化学工業))30重量部を、メチルエチルケトン70重量部に溶解した比較例3用絶縁層用塗工液を用いる他は実施例1と同様にトナー担持体を得た。
各実施例及び比較例の測定結果及び観察結果を表1に示す。
実施例1〜6は比較例1に比較して消費電力が少ない。
比較例2、3については、電極への電圧印加において導電性支持体と電極の間がリークして導通する現象が見られた。導電性支持体と電極の間に電位差が生じないため電界は発生せず、トナー担持体表面でトナーのホッピングは生じなかった。画像出力も行えなかった。
Figure 0005622042
1 感光体
2 帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
5 転写ローラ
6 クリーニング装置
7 定着装置
7a 加熱ローラ
7b 加圧ローラ
8 容器
8a 開口部
9 トナー担持体
10 循環パドル
11 トナー規制部材
A 回転方向
B 搬送方向
C 回転方向
D 間隔
T トナー
d 幅
90A 電極パターン
90Aa 電極
90B 電極パターン
90Bb 電極
91A 導電性支持体
91B 電極
91Bb 電極
93 支持体
95 絶縁層
98 表面層
特開平3−21967号公報 特開2007−133388号公報

Claims (7)

  1. 導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と、前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記絶縁層が少なくともフッ素樹脂と硬化剤との架橋反応生成物を含むものであり、前記フッ素樹脂がフルオロエチレンとビニルエーテルモノマーの共重合体により構成されることを特徴とするトナー担持体。
  2. 前記フッ素樹脂が少なくともポリオールであることを特徴とする請求項1に記載のトナー担持体。
  3. 前記硬化剤がイソシアネート硬化剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー担持体。
  4. 前記イソシアネート硬化剤がブロックイソシアネート硬化剤であることを特徴とする請求項3に記載のトナー担持体。
  5. 前記表面層がポリカーボネート樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー担持体。
  6. 前記請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー担持体を含むことを特徴とする現像装置。
  7. 前記請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー担持体を含むことを特徴とする画像形成装置。
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