JP5402006B2 - 印刷装置 - Google Patents

印刷装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5402006B2
JP5402006B2 JP2009007049A JP2009007049A JP5402006B2 JP 5402006 B2 JP5402006 B2 JP 5402006B2 JP 2009007049 A JP2009007049 A JP 2009007049A JP 2009007049 A JP2009007049 A JP 2009007049A JP 5402006 B2 JP5402006 B2 JP 5402006B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
scanning direction
sub
dot
dots
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009007049A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010162772A (ja
Inventor
繁明 角谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2009007049A priority Critical patent/JP5402006B2/ja
Publication of JP2010162772A publication Critical patent/JP2010162772A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5402006B2 publication Critical patent/JP5402006B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Color, Gradation (AREA)

Description

本発明は、印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら印刷を行う印刷技術に関する。
近年、印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら、インクを吐出して印刷を行うシリアル式インクジェットプリンタが普及している。シリアル式インクジェットプリンタでは、印刷速度を早くするために、印刷ヘッドの往復動のうち、往動と復動の両方向においてインクを吐出する両方向印刷が行われることが一般的となっている(例えば、下記特許文献1)。
特開2000−52543号公報
かかるシリアル式インクジェットプリンタでは、N回目の主走査で形成させるドットとN+1回目の主走査で形成されるドットについての副走査方向のつなぎ目において、ドットの形成タイミングが異なることに起因してインクのにじみ易さが変化し、濃度ムラが生じることとなる。また、両方向印刷方式のシリアル式インクジェットプリンタにおいては、印刷ヘッドを印刷媒体の左端から主走査方向に往復させると、印刷媒体の右端では、印刷ヘッドの往動によりドットが形成された直後に、復動によりドットが形成される。一方、印刷媒体の左端では、往動の開始直後にドットが形成された後、印刷ヘッドの往復時間を経過した後に、復動によりドットが形成される。このようなドットの形成タイミングの違も、印刷ヘッドが副走査方向に移動するたびに変化するので、副走査方向に沿って、副走査方向への送り量単位で、濃度ムラを生じる原因となる(これらの現象は、実施例でも詳しく説明する)。
上述の問題を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、シリアル式インクジェットプリンタにおいて、その機構に起因する印刷画質の低下を抑制することである。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら印刷を行う印刷装置であって、前記印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを前記副走査方向に配列したノズル列と、複数の閾値からなるディザマスクの各閾値と画像を構成する画像データとを比較することにより、ハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部と、該ハーフトーン処理の結果を用いて、前記ノズル列の各ノズルからのインクの吐出を制御して印刷を行う印刷部とを備え、前記印刷媒体上の各位置のドットを前記複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、該各位置に適用される前記ディザマスクの各々の閾値の値との対応関係を一定に定め、前記印刷ヘッドが1回の副走査により前記副走査方向に相対移動する送り量が所定の周期性を有し、前記主走査方向のサイズが、1つのラスタを完成させるための主走査回数に等しいドット数であり、前記副走査方向のサイズが、前記複数のノズルのうちの副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数であるノズルピッチの数に等しいドット数の、前記印刷媒体上の連続するドット形成位置である局所領域における、各ドット形成位置へのドットの形成順序である埋め順が、前記1回の副走査ごとに所定の周期を有する規則性に基づいて変化し、前記ディザマスクは、前記主走査方向のサイズが、前記ノズルパターンの繰返しの最小単位の正整数倍のサイズであり、前記副走査方向のサイズが、該繰返しの最小単位の、前記送り量の周期及び前記埋め順の周期に基づいて決定される正整数分の1のサイズである印刷装置。
[適用例1]印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら印刷を行う印刷装置であって、
前記印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを前記副走査方向に配列したノズル列と、
複数の閾値からなるディザマスクの各閾値と画像を構成する画像データとを比較することにより、ハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部と、
該ハーフトーン処理の結果を用いて、前記ノズル列の各ノズルからのインクの吐出を制御して印刷を行う印刷部と
を備え、
前記印刷媒体上の各位置のドットを前記複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、該各位置に適用される前記ディザマスクの各々の閾値の値との対応関係を一定に定めた
印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、ノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係とが一定に定まっているので、ノズル単位で、ドットの形成のされ易さを制御することができる。その結果、ドットの形成タイミングを制御することができ、ドットの形成タイミングによる生じる印刷画質の低下を抑制することができる。
[適用例2]ディザマスクは、主走査方向及び副走査方向のサイズが、ノズルパターンの繰返しの最小単位の正整数倍のサイズである適用例1記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、ディザマスクのサイズを調整するだけで、容易に、繰返しの最小単位における各位置と当該各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値との値との対応関係を一定とすることができる。また、特別な装置構成は不要であり、汎用性が高い。
[適用例3]適用例1記載の印刷装置であって、印刷ヘッドが1回の副走査により副走査方向に相対移動する送り量が所定の周期性を有し、主走査方向のサイズが、複数のノズルのうちの副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数であるノズルピッチの数と、1つのラスタを完成させるための主走査回数の積に等しいドット数であり、副走査方向のサイズがノズルピッチの数に等しいドット数の、印刷媒体上の連続するドット形成位置である局所領域における、各ドット形成位置へのドットの形成順序である埋め順が、1回の副走査ごとに所定の周期を有する規則性に基づいて変化し、ディザマスクは、主走査方向のサイズが、ノズルパターンの繰返しの最小単位の正整数倍のサイズであり、副走査方向のサイズが、該繰返しの最小単位の、送り量の周期及び埋め順の周期に基づいて決定される正整数分の1のサイズである印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、副走査方向の送り量が所定の周期性を有し、埋め順が所定の周期を有する規則性に基づいて変化するので、ノズルパターンの繰返しの最小単位の中でも、ノズルパターンに周期性が現れる。したがって、ディザマスクの副走査方向のサイズを、送り量の周期及び埋め順の周期に基づいて決定される正整数分の1のサイズとしても、その規則性を利用して、ノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係とを一定に定めることができ、ディザマスクの容量を小さくすることができる。その結果、印刷装置の記憶容量を小さくし、あるいは、有効活用することができる。
[適用例4]適用例3記載の印刷装置であって、埋め順の規則性は、局所領域において連続して形成される各ドットのドット形成位置間のそれぞれの相対的な位置関係の組み合わせを示す相対位置パターンが、埋め順の変化に従った周期性を有することである印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、埋め順が相対位置パターンの周期性を有するので、ノズルパターンには、副走査方向の送り量の周期ごとに、主走査方向におけるノズルパターンの繰返しの最小単位が所定量平行移動する規則性が現れる。したがって、ディザマスクの副走査方向のサイズを、送り量の周期及び埋め順の周期に基づいて決定される正整数分の1のサイズとしても、ノズルパターンの各位置に、当該ディザマスクを平行移動させながら副走査方向に敷き詰めて適用していくことで、ノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係とを一定に定めることができる。
[適用例5]埋め順の規則性は、変化する埋め順が周期的に鏡像対称性を示すことである適用例3記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、埋め順が周期的に鏡像対称性を示すので、ノズルパターンには、副走査方向の送り量の周期ごとに鏡像対称性が現れる。したがって、ディザマスクの副走査方向のサイズを、送り量の周期及び埋め順の周期に基づいて決定される正整数分の1のサイズとしても、ノズルパターンの各位置に、当該ディザマスクを鏡像反転させながら副走査方向に敷き詰めていくことで、ノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係を一定に定めることができる。
[適用例6]送り量が有する周期性は、送り量が一定であることである適用例3ないし適用例5のいずれか記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、送り量が一定、すなわち、送り量の周期が最小となるので、副走査方向のディザマスクの容量を効率的に小さくすることができる。
[適用例7]送り量の周期は、副走査方向におけるノズルパターンの繰返しの最小単位のサイズの約数分のドット数である適用例3ないし適用例5のいずれか記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、ディザマスクを副走査方向に複数個敷き詰めれば、その副走査方向のサイズは、ノズルパターンの繰返しの最小単位と一致するので、ディザマスクのサイズを、埋め順の周期と送り量の周期の最小公倍数とすれば、ノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係の一定性を保ちつつ、ディザマスクのサイズを小さくすることができる。
また、本発明は、適用例8のディザマスクや適用例9の印刷方法としても実現することができる。
[適用例8]複数の閾値からなり、印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら印刷を行うためのハーフトーン処理に用いるディザマスクであって、
前記印刷媒体上の各位置のドットを、前記印刷ヘッドに前記副走査方向に配列して設けられ、インクを吐出する複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、該各位置に適用される前記ディザマスクの各々の閾値の値との対応関係を一定に定めた
ディザマスク。
[適用例9]
印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら、前記印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを前記副走査方向に配列したノズル列の各ノズルからのインクの吐出を制御して印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行う印刷方法であって、複数の閾値からなるディザマスクであって、印刷媒体上の各位置のドットを複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係を一定に定めたディザマスクを用いてハーフトーン処理を行って、ノズル列のノズル単位で、ドットの形成のされ易さを制御して印刷を行う印刷方法。
A.第1実施例:
本発明の第1実施例について説明する。
A−1.装置構成:
図1は、本発明の実施例としてのプリンタ20の概略構成図である。プリンタ20は、シリアル式インクジェットプリンタであり、図示するように、プリンタ20は、紙送りモータ74によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモータ70によってキャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ80に搭載された印刷ヘッド90を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、これらの紙送りモータ74,キャリッジモータ70,印刷ヘッド90及び操作パネル99との信号のやり取りを司る制御ユニット30とから構成されている。
キャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構は、プラテン75の軸と並行に架設され、キャリッジ80を摺動可能に保持する摺動軸73と、キャリッジモータ70との間に無端の駆動ベルト71を張設するプーリ72等から構成されている。
キャリッジ80には、カラーインクとして、シアンインクC、マゼンタインクM、イエロインクY、ブラックインクK、ライトシアンインクLc、ライトマゼンタインクLmをそれぞれ収容したカラーインク用のインクカートリッジ82〜87が搭載される。キャリッジ80の下部の印刷ヘッド90には、上述の各色のカラーインクに対応するノズル列が形成されている。キャリッジ80にこれらのインクカートリッジ82〜87を上方から装着すると、各カートリッジから印刷ヘッド90へのインクの供給が可能となる。
制御ユニット30は、CPU40や、ROM51、RAM52、EEPROM60がバスで相互に接続されて構成されている。制御ユニット30は、ROM51やEEPROM60に記憶されたプログラムをRAM52に展開し、実行することにより、プリンタ20の動作全般を制御するほか、入力部41、ハーフトーン処理部42、印刷部43としても機能する。この機能部の詳細については後述する。
EEPROM60には、ディザマスク62が記憶されている。ディザマスク62は、組織的ディザ法によるハーフトーン処理に用いるものであり、本実施例では、いわゆるブルーノイズ特性を備えている。
制御ユニット30には、メモリカードスロット98が接続されており、メモリカードスロット98に挿入したメモリカードMCから画像データORGを読み込んで入力することができる。本実施例においては、メモリカードMCから入力する画像データORGは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなるデータである。
以上のようなハードウェア構成を有するプリンタ20は、キャリッジモータ70を駆動することによって、印刷ヘッド90を印刷媒体Pに対して主走査方向に往復動させ、また、紙送りモータ74を駆動することによって、印刷媒体Pを副走査方向に移動させる。制御ユニット30は、キャリッジ80が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体の紙送りの動き(副走査)に合わせて、印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体P上の適切な位置に適切な色のインクドットを形成する。こうすることによって、プリンタ20は、印刷媒体P上にメモリカードMCから入力したカラー画像を印刷することが可能となっている。
上述の印刷ヘッド90の詳細を図2に示す。本図は、印刷ヘッド90の底面(印刷媒体Pと対向する面)を概略的に示している。図示するように、印刷ヘッド90は、副走査方向に複数のノズルが並んで形成されたノズル列92〜97を備えている。本実施例では、各ノズル列は、ノズルピッチKで配列された30個のノズルから形成されている。30個のノズルから形成されている。これらのノズル列92〜97は、キャリッジ80に装着されるカートリッジのインク色に対応しており、それぞれシアンインクC、マゼンタインクM、イエロインクY、ブラックインクK、ライトシアンインクLc、ライトマゼンタインクLmを吐出するものである。なお、本実施例では、各インク色に対応するノズル列は、ノズルが1列に並んで構成されるが、1つのノズル列におけるノズルの配置は、特に限定するものではなく、例えば、1つのインク色に対して、ノズルが複数列に並んでいてもよいし、更に、かかる複数列のノズルが千鳥状となるように構成されてもよい。
A−2.印刷処理:
プリンタ20における印刷処理について説明する。図3は、本実施形態における印刷処理のフローチャートである。ここでの印刷処理は、ユーザが操作パネル99等を用いて、メモリカードMCに記憶された所定の画像の印刷指示操作を行うことで開始される。印刷処理を開始すると、CPU40は、まず、メモリカードスロット98を介してメモリカードMCから印刷対象であるRGB形式の画像データORGを読み込んで入力する(ステップS110)。
画像データORGを入力すると、CPU40は、EEPROM60に記憶されたルックアップテーブル(図示せず)を参照して、画像データORGについて、RGB形式をCMYKLcLm形式に色変換する(ステップS120)。
色変換処理を行うと、CPU40は、ハーフトーン処理部41の処理として、組織的ディザ法により、ディザマスク62を用いて、画像データを各色のドットのON/OFFデータに変換するハーフトーン処理を行う(ステップS130)。組織的ディザ法については、周知の技術なので詳しい説明は省略するが、要するに、着目画素の階調データに対応する記録率と、その着目画素の位置に対応するディザマスク内の閾値とを比較し、記録率の方が大きければ、その画素にドットを形成するとし、記録率の方が小さければドットを形成しないと判断するのである。ここで用いるディザマスク62の詳細については、後述する。なお、ハーフトーン処理は、ドットのON/OFFの2値化処理に限らず、大ドット及び小ドットのON/OFFなど、多値化処理であってもよい。
ハーフトーン処理を行うと、CPU40は、プリンタ20のノズル配置や紙送り量などに合わせて、1回の主走査単位で印画するドットパターンデータに並び替えるインターレース処理を行う(ステップS140)。インターレース処理を行うと、CPU40は、印刷部42の処理として、印刷ヘッド90、キャリッジモータ70、モータ74等を駆動させて、印刷を実行する(ステップS150)。
A−3.ノズルパターンの特性:
本実施例のプリンタ20は、印刷媒体P上の各位置のドットを印刷ヘッド90が備える複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンに周期性が現れる。以下、かかる周期性について説明する。
本実施例において、上述の印刷処理では、印刷ヘッド90等の駆動制御の態様として、オーバラップ数を「2」、ノズルピッチを「2」、紙送り量を「15」とし、印刷ヘッド90の往動時と復動時の両方でインクを吐出する双方向印刷を行うこととした。オーバラップ数とは、主走査方向(横方向)に形成する1本のラスタをドットですべて埋めるために必要な主走査の回数のことをいう。つまり、オーバラップ数が「2」ということは、2回の主走査で、主走査方向の1本のラスタが完成することになる。また、ノズルピッチとは、副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数であり、副走査方向に隣り合う2つのノズル間に存在するラスタ(ドット)の数に値1を加えた数のことをいう。本実施例では、ノズルピッチを「2」としたため、1回の印刷ヘッド90の主走査で1ラスタおきにドットが形成されることになる。また、紙送り量とは、1回の主走査につき、印刷ヘッド90が副走査方向に搬送される量(ラスタ数)のことをいう。本実施例では、紙送り量は「15」、つまり、奇数の紙送り量であるため、1ラスタおきに先行して形成されたドットの隙間に、次の主走査で新たなドットが形成されていくことになる。
図4及び図5は、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す図である。図4及び図5は、連続する図であるが、紙面の都合上、図4と図5とに2分割して示している。ここでは、ノズル列92によってドットが形成される様子を代表的に説明するが、他のノズル列も同様である。図4(a),図5(a)には、ノズル列92が、主走査の度に副走査方向に移動していく様子を示している。各ノズルは、説明の便宜上、0から29番目までの番号で表示している。本願では、ノズル列の両端に配置されたノズル、すなわち、ノズル番号が0番と29番のノズルを最先端ノズルという。図示するように、本実施例では、紙送り量を「15」にしたため、印刷ヘッド90は、主走査毎に、15ラスタ分、副走査方向に移動している。また、図示するノズル位置(主走査方向)は、相対的に何回目の主走査であるかを示す主走査番号(図4(a)上部の表を参照)の位置に対応している。例えば、最も左側に図示したノズル列の位置は、主走査番号「−3」に対応している。なお、主走査番号は、図示する4回目の主走査を基準(0回目の主走査)として、相対的な番号で表している。
図4(b),図5(b)は、印刷媒体上に形成される各ドットが、何回目の主走査で形成されるかを主走査番号で表示している。図4(b),図5(b)に示す各格子は、各ラスタにおける奇数番目及び偶数番目のドットを表しており、その格子内の数値が図4(a),図5(a)の上部に示した主走査番号に対応している。つまり、図4(b),図5(b)によれば、最も上部のラスタは、奇数番目のドットが0回目の主走査で形成され、偶数番目のドットが−2回目の主走査で形成されていることがわかる。
図4(b),図5(b)に示すように、本実施例では、2×2の局所的な領域(以下、局所領域という)に注目すると、主走査番号は、最も上部の2つのラスタでは、左上、左下、右上、右下の順に「0」、「−1」、「−2」、「−3」である。すなわち、この局所領域においては、右下、右上、左下、左上の順で各ドットが埋められている。この順序のことを、「埋め順」という。局所領域のサイズは、横方向(主走査方向)がオーバラップ数(本実施例では「2」)に一致し、縦方向(副走査方向)がノズルピッチ(本実施例では「2」)に一致している。図4(b),図5(b)では、各格子は、局所領域ごとに実線で区切って表示している。埋め順は、印刷ヘッド90が副走査方向に移動される毎(つまり主走査が行われる毎)に変化していく性質を有しており、本実施例では、この埋め順が4回変化すると、元の埋め順に戻る。この埋め順の繰り返し単位数は、ノズルピッチとオーバラップ数との積となる。なお、図4(b),図5(b)では、埋め順が変化する位置の主走査番号を反転表示している。このような埋め順の設定は、上述した印刷処理のステップS140で行われる。また、本願において、印刷ヘッド90の送り量ごとの副走査方向の幅をバンドともいい、印刷媒体Pの副走査方向に沿ったドット形成位置をバンド番号でも示す。例えば、図4(a),図5(a)に示すように、ドット形成位置の上端部はバンド0であり、下方に向かってバンド1、バンド2というようにバンド番号が増加していく。
図4(c),図5(c)は、印刷媒体上の各位置のドットを、いずれのノズルによって形成するかを示すノズルパターンを表している。各格子内の数値が、図4(a),図5(a)に示したノズル番号に対応している。また、説明の便宜上、図の上端には、ドット列番号、左端にはドット行番号を表示している。この図4(c),図5(c)と図4(b),図5(b)とを併せて見れば、図中、最も上部のラスタのうち、奇数番目のドットは、0回目の主走査において0番目のノズルによって形成され、偶数番目のドットは、−2回目の主走査において15番目のノズルによって形成されていることが理解できる。また、2番目のラスタについては、奇数番目のドットは、−1回目の主走査において8番目のノズルによって形成され、偶数番目のドットは、−3回目の主走査において23番目のノズルによって形成されていることが理解できる。
かかるノズルパターンでは、同一ラスタ上(主走査方向)においては、奇数列、偶数列のドット形成位置は、それぞれ同一のノズル番号に対応している。また、副走査方向においては、第1行〜第60行を一つの単位としたノズル番号の繰り返しが生じている。すなわち、プリンタ20のノズルパターンは、第1列〜第2列及び第1行〜第60行からなる繰り返し最小単位RUが、走査方向及び副走査方向に繰り返して構成されるのである。このようなノズルパターンの周期性は、上述した埋め順の繰返しと関連しており、主走査方向では、オーバラップ数を単位として繰返しが生じ、副走査方向では、紙送り量と上述した埋め順の繰返し単位数との積を単位として繰返しが生じる。
A−4.第1実施例の解決すべき課題:
上述のノズルパターンにおいて、埋め順が切り替わるドット形成位置、すなわち、最先端ノズルでドットが形成されるドット形成位置では、副走査方向において、主走査番号が偶数列または奇数列単位で同時に切り替わることとなる。例えば、第10行、12行及び14行の偶数列は、それぞれノズル番号27,28,29によって−3回目の主走査でドットが形成されるが、第16行、18行、20行の偶数列は、それぞれノズル番号0,1,2によって1回目の主走査でドットが形成される。すなわち、第14行と第16行とでは、全ての偶数列において主走査番号が同時に切り替わるのである。このように、最先端ノズルでドットが形成され、副走査方向において当該ドットを形成する主走査番号が切り替わる位置を、本願では、最先端ドット形成位置ともいう。最先端ドット形成位置は、図4(c),図5(c)では、ハッチングで表示したドット形成位置である。
このように、主走査番号が全ての偶数列または奇数列において同時に切り替わると、主走査番号の違いによりドット着弾位置のずれが発生する可能性が大きい上に、ドットの形成タイミングの違いによりインクのにじみ易さが変化するので、この最先端ドット形成位置間での濃度ムラが目立ち、印刷画質の低下を招くこととなる。
A−5.第1実施例としてのディザマスクによるノズルパターン制御:
第1実施例は、上述したノズルパターン特性に起因する印刷画質の低下を抑制するものであり、その原理を以下に説明する。プリンタ20のハーフトーン処理(図3、ステップS130参照)において用いるディザマスク62の主走査方向及び副走査方向のサイズは、上述したノズルパターンの繰返し最小単位RUの正整数倍となっている。本実施例では、ディザマスク62は、主走査方向には繰返し最小単位RUの6倍、副走査方向には繰返し最小単位RUの1倍、すなわち、第1列〜第12列及び第1行〜第60行のドット形成位置のドットのON/OFFを決定できるサイズとした。ディザマスク62をこのようなサイズとすることで、容易に、繰返し最小単位RUの各ドット形成位置と、その位置でのドットのON/OFFの判断に適用されるディザマスク62の閾値の値との対応関係を一定に定めることができる。このようにすれば、ノズルパターンは繰返し最小単位RUの周期性を有しているので、ディザマスク62の閾値の値の設定次第で、ノズルごとのドット形成のされやすさを制御することができる。
かかるサイズのディザマスク62の閾値の特性を図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は、ディザマスク62のサイズに対応するドット形成位置のノズルパターンを示している。ディザマスク62では、図示するドット形成位置のうち、反転表示したノズル番号で示す位置に適用される閾値は、その他の位置に適用される閾値よりも、ドット形成の優先順位が低くなるように、すなわち、閾値が相対的に大きくなるように設定されている。かかる相対的に大きな閾値を本願では、ドット抑制閾値という。
ドット抑制閾値を適用するドット形成位置は、最先端ノズルから所定幅のノズルによってドットが形成されるドット形成位置のうちから設定されている。本願では、かかる最先端ノズルから所定幅のノズルを先端ノズルともいい、先端ノズルによってドットが形成されるドット形成位置を先端ドット形成位置ともいう。本実施例では、最先端ノズル(ノズル番号が0番,29番のノズル)から2ノズル分を所定幅とした。すなわち、先端ノズルは、ノズル番号が0番、1番,2番、29番,28番,27番のノズルである。
また、本実施例のディザマスク62では、最先端ドット形成位置から副走査方向に距離が近い先端ドット形成位置に適用する閾値ほど、ドット抑制閾値として設定される閾値の数が多くなるように、ドット抑制閾値の数を段階的に変化させている。具体的には、例えば、最先端ドット形成位置である第14行の偶数列及び第16行の偶数列に適用される閾値については、ドット抑制閾値の数は6個であり、最先端ドット形成位置から2ラスタ分(1ノズル分)だけ副走査方向に離れた第12行の偶数列及び第18行の偶数列に適用される閾値については、ドット抑制閾値の数は4個であり、最先端ドット形成位置から4ラスタ分(2ノズル分)だけ離れた第10行の偶数列及び第20行の偶数列に適用される閾値については、ドット抑制閾値の数は2個である。図示する他の最先端ドット形成位置についても、ドット抑制閾値を同様の方法で設定しており、ドット抑制閾値の数は合計で96個となっている。
なお、上述したディザマスク62は、以下のようにして作成することができる。まず、ドット抑制閾値が適用されるドット形成位置を除いて、ディザマスクの閾値を最適に配置する。そして、当該ドット形成位置よりもドット形成の優先順位が低くなる閾値(ドット抑制閾値)を用いて、ドット抑制閾値が適用されるドット形成位置について、閾値を最適に配置する。例えば、ディザマスク62の閾値が「1」から「960」までの値をとるとすれば、ドット抑制閾値の数は96個であるから、ドット抑制閾値を除いた「1」から「864」までの864個の閾値を、ドット抑制閾値を設定する位置を除いたドット形成位置のそれぞれに最適に配置し、その後、「865」から「960」までの96個のドット抑制閾値を、ドット抑制閾値を設定するドット形成位置のそれぞれに最適に配置するのである。なお、閾値配置の最適化方法は、種々の方法が知られているので、その説明は省略するが、例えば、各閾値の配置を、所定の粒状性評価値に基づいて、最も小さい閾値から順に決定していく方法を用いることができる。
かかるディザマスク62の特性を、ノズル番号ごとの全てのドット形成位置の数に対する、ドット抑制閾値が適用される位置を除いたドット形成位置の数の割合であるノズル有効率で示せば、図8のようになる。すなわち、先端ノズルとして設定したノズル番号0〜2及び27〜29のノズルは、ノズル列の先端ほど、すなわち、最先端ドット形成位置に対して副走査方向に距離が近い位置にドットを形成するノズルほど、ノズル有効率が低くなる。
かかるディザマスク62を用いて、ハーフトーン処理を行えば、先端ドット形成位置では、最先端ドット形成位置に近づくほどドットが形成されにくくなる。特に、インクデューティが90%(864/960)以下の印刷を行う場合であれば、ドット抑制閾値が適用されるドット形成位置にはドットが全く形成されないので、その効果は顕著となる。
かかる構成のプリンタ20は、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの正整数倍のサイズのディザマスク62を用いて、組織的ディザ法によりハーフトーン処理を行うので、ノズルパターンの繰返し最小単位RUにおける各位置と、各位置に適用されるディザマスク62の各々の閾値の値との対応関係とを一定に保つことができる。さらに、プリンタ20において、ディザマスク62は、濃度ムラが生じる最先端ドット形成位置の周辺、すなわち、先端ドット形成位置では、最先端ドット形成位置に向かって、ドット抑制閾値の数が多くなるように設定されている。したがって、先端ドット形成位置では、必ず、最先端ドット形成位置に向かって、ドットが徐々に発生しにくくなる。特に、インクデューティが各ノズルのノズル有効率の平均値以下となる場合には、先端ドット形成位置では、必ず、最先端ドット形成位置に向かって、形成されるドットの数が減少していく。したがって、濃度ムラが生じる最先端ドット形成位置の周辺において、ドットの濃度変化を視覚的に緩やかにすることができ、その結果、濃度ムラを目立たなくし、印刷画質の低下を抑制することができる。
B.第2実施例:
本発明の第2実施例について説明する。プリンタ20の装置構成、プリンタ20による印刷処理及びノズルパターン特性は、第1実施例と同様であるため、説明を省略し、異なる点についてのみ、以下に説明する。
B−1.第2実施例の解決すべき課題:
図9及び図10は、図4及び図5に示したノズルパターンについて、印刷媒体Pの主走査方向の両端における各ドットの形成タイミングを示している。ここでは、紙面の都合上、用紙幅は、ドット16列分としている。上述した局所領域に注目すると、印刷媒体Pの左端の局所領域、例えば、印刷媒体Pの左端の1行1列から2行2列までの局所領域では、−3回目の主走査(右向き)において、ノズル番号23のノズルにより最初のドットが形成される。そして、−2回目の主走査(左向き)において、ノズル番号15のノズルにより2番目のドットが形成される。かかるドットは、最初のドットが形成されてから、印刷ヘッド90の往復動時間を経過後に形成されるものであり、先のドットが形成されてから相対的に長時間経過後に形成されるドットであるから、本願ではロングドットLともいう。
そして、−1回目の主走査(右向き)において、ノズル番号8のノズルにより、3番目にドットが形成される。かかるドットは、2回目のドットが形成された後、印刷ヘッド90が印刷媒体Pの左端で折り返してすぐに形成されるドットであり、先のドットが形成されてから相対的に短時間経過後に形成されるドットであるから、本願ではショートドットSともいう。
そして、0回目の主走査(左向き)において、ノズル番号0番のノズルにより、最後のドットが形成される。かかるドットは、ロングドットLである。説明は省略するが、印刷媒体Pの両端における他の局所領域についても、同様に、ロングドットLとショートドットSとが形成される。図9(c),図10(c)では、ロングドットLが形成されるドット形成位置はハッチング表示、ショートドットSが形成されるドット形成位置は反転表示により表示している。
上述したように、1行1列から2行2列までの局所領域では、最初のドットが形成された後、2番目から4番目に形成されるドットは、ロングドットL、ショートドットS、ロングドットLの順に形成される。これを図9(c),図10(c)では、ノズルパターンの左脇のドット形成タイミング1として「LSL」と表示している。
一方、印刷媒体Pの右端の局所領域、例えば、1行15列から2行16列の局所領域では、左端とは逆に、ショートドットS、ロングドットL、ショートドットSの順にドットが形成される。これを図9(c),図10(c)では、ノズルパターンの右脇のドット形成タイミング1として「SLS」と表示している。
かかるドットの形成タイミングは、図9(c),図10(c)のドット形成タイミング1に示すように、副走査方向に沿って、印刷ヘッド90が副走査方向に移動するドット形成位置ごとに「LSL」と「SLS」とが入れ替わることとなる。例えば、印刷媒体Pの左端では、ドット形成位置の1行1列から14行2列までに属する局所領域におけるドット形成タイミングは「LSL」であるが、15行1列から30行2列までに属する局所領域におけるドット形成タイミングは「SLS」となる。かかるドット形成タイミングの変化は、局所領域を1ラスタ分ずらして注目した場合においても、図9(c),図10(c)のドット形成タイミング2に示すように、同様の結果となる。
このように、両方向印刷においては、印刷ヘッド90が相対移動するたびに、副走査方向に沿ってドット形成タイミングが変化する。かかるドット形成タイミングの違いは、インクのにじみやすさが異なることから、濃度ムラの原因となり、印刷画像の副走査方向において、印刷ヘッド90の送り量ごとに縞模様となって表れる。この問題は、特に、印刷ヘッド90の1回の往復動作に長時間を要する大判プリンタにおいて顕著となる。
B−2.第2実施例としてのディザマスクによるノズルパターン制御:
第2実施例は、上述した両方向印刷に起因する印刷画像の濃度ムラを、ノズルパターンの特性を利用して抑制するものであり、その原理を以下に説明する。プリンタ20のハーフトーン処理(図3、ステップS130参照)において用いるディザマスク62の主走査方向及び副走査方向のサイズは、第1実施例と同様に、上述したノズルパターンの繰返し最小単位RUの正整数倍となっている。
かかるディザマスク62の閾値の特性について、図11を用いて説明する。図11は、図4,図5に示したノズルパターンを示している。図11では、バンド番号が偶数のドット形成位置のうち、ノズル番号23〜29によってドットが形成されるドット形成位置と、バンド番号が奇数のドット形成位置のうち、ノズル番号0〜6のノズルでドットが形成されるドット形成位置を反転表示で示している。ディザマスク62の各閾値は、かかる反転表示のドット形成位置では、インクデューティが所定値以下ではドットが形成されないように設定されている。本実施例では、所定値は50%とした。
上述のノズル番号0〜6のノズルは、ノズルピッチの数(ここでは2)に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、当該連続するラスタを形成するための所定回数(ここでは4回)の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルであり、本願においては、前端ノズルともいう。例えば、図9(c)に示したノズルパターンにおいて、第13,14行の連続するラスタの形成に対しても、第14,15行のラスタの連続するラスタの形成においても、ノズル番号19のノズルは、これらの連続するラスタを形成する4回の主走査のうち、最初の主走査でドットを形成するということである。また、上述のノズル番号23〜29のノズルは、上述の連続するラスタのいずれに対しても、所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルであり、本願においては、後端ノズルともいう。
かかる特性のディザマスク62を用いて上記ステップS130のハーフトーン処理を行えば、インクデューティ50%以下の印刷を行う際には、図11に反転表示で示したドット形成位置には、ドットが形成されないこととなる。その結果が印刷画質に与える影響について図12及び図13を用いて説明する。図12,図13は、ディザマスク62を用いたハーフトーン処理によって、図9,図10に示した印刷媒体Pの両端におけるドット形成タイミング1がどのように変化するかを示している。例えば、偶数バンドに属する1行1列から2行2列までの局所領域に注目すれば、インクデューティ50%以下の印刷を行う際には、偶数バンドの前端ノズルではドットは形成されない(当該局所領域においては、ノズル番号23のノズルではドットは形成されない)ので、当該局所領域には、−2回目の主走査において、ノズル番号15のノズルにより最初のドットが形成される。その後、−1回目の主走査において、ノズル番号8のノズルによりショートドットSが形成され、その後、0回目の主走査においてノズル番号0のノズルによりロングドットLが形成される。すなわち、当該局所領域におけるドット形成タイミングは、「SL」となる。
また、奇数バンドに属する15行1列から16行2列までの局所領域に注目すれば、インクデューティ50%以下の印刷を行う際には、奇数バンドの後端ノズルではドットは形成されない(当該局所領域においては、ノズル番号0のノズルではドットは形成されない)ので、当該局所領域には、−2回目の主走査において、ノズル番号22のノズルにより最初のドットが形成される。その後、0回目の主走査において、ノズル番号15番のノズルによりショートドットSが形成され、その後、0回目の主走査においてノズル番号7番のノズルによりロングドットLが形成される。すなわち、この場合の局所領域におけるドット形成タイミングは、「SL」となる。
以上のように、ディザマスク62を用いてハーフトーン処理を行えば、所定のインクデューティ以下(ここでは50%以下)の印刷を行う際には、印刷媒体Pの左端において、一部の領域を除き、ドット形成順序を「SL」で統一させることができるのである。この一部の領域については、後述する。また、説明は省略するが、同様にして、印刷媒体Pの右端では、ドット形成順序を「LS」で統一させることができる。すなわち、印刷媒体Pの両端において、ドット形成タイミングが副走査方向に沿って変化することを抑制して、副走査方向における濃度ムラの発生を抑制することができる。なお、かかるディザマスク62を用いてハーフトーン処理を行えば、インクデューティが50%を超える印刷を行う場合であっても、一定の効果が得られることは勿論である。
なお、上述のドット形成タイミングの違いを統一できない一部の領域とは、本実施例においては、例えば、図12(c),13(c)の29行1列から30行2列までの局所領域や、59行1列から60行2列までの局所領域である。かかる局所領域は、バンド境界に属するからである。例えば、29行1列から30行2列までの局所領域において、当該局所領域にドットを形成する最後の主走査である1回目の主走査でノズル番号7のノズルでドットを形成しなければ、上述した場合と同様に、当該局所領域ではドット形成順序は「SL」となるが、図9(c)に示したドット形成タイミング2の区分に基づいて、30行1列から31行2列までの局所領域(LSL)に注目すれば、ノズル番号7のノズルでドットを形成しないようにしても、ドット形成順序は「SL」とはならないのである。当該局所領域でドット形成順序を「SL」とするためには、最初の主走査でドットを形成するノズル番号22のノズルでドットが形成されないようにする必要がある。つまり、ノズル番号7や22のノズルはバンド境界に位置し、局所領域の注目の仕方によって、最初や最後の主走査でドットを形成するノズルになる場合と、そのようにならない場合があるので、当該箇所では、ドット形成タイミングの違いを完全には統一できないのである。
また、上述のプリンタ20は、ディザマスク62の閾値の設定を考慮するだけで特別な構成を必要としないので、上述した濃度ムラを抑制することができる効果に加えて、汎用性が高いという効果も奏する。
かかるディザマスク62の具体例を図14に示す。図示するディザマスク62は、主走査方向及び副走査方向の一部分を抜粋したものであり、その閾値は0〜255の範囲で設定されている。各閾値の上端及び左端に付した行列番号は、当該閾値が適用されるノズルパターンの行列番号を示している。すなわち、ディザマスク62は、図11に示したノズルパターンの左上端と、ディザマスク62の左上端が一致する位置関係で適用される。図14では、各閾値は、インクデューティ50%の印刷時において、ドットがオンとなる閾値は反転表示し、ドットがオフとなる閾値は、通常の黒文字表示で示している。特に、図11に示した、所定のインクデューティ以下ではドットが形成されないドット形成位置(図11の反転表示位置)に適用される閾値は、背景色をグレー表示している。図14では、背景色をグレー表示した閾値は128より大きな値となっており、インクデューティ50%以下の印刷時においては、かかるドット形成位置には、ドットが形成されないこととなる。
なお、かかるディザマスク62は、以下のようにして作成することができる。まず、図14の背景をグレー表示した位置を除いて、値0〜128までのディザマスクの閾値を最適に配置する。そして、背景をグレー表示した位置を含む残りの位置に、値129〜255までの閾値を最適に配置する。閾値配置の最適化方法は、種々の方法が知られているので、その説明は省略するが、例えば、各閾値の配置を、所定の粒状性評価値に基づいて、最も小さい閾値から順に決定していく方法を用いることができる。
図14に示したディザマスク62の特性を、ノズルごとのインクを吐出する割合であるノズル使用率(インクデューティ50%時)で示せば、図15のとおりとなる。図示するように、偶数バンドにおいては、前端ノズル(ノズル番号23〜29)については、ノズル使用率はゼロであり、ノズル番号0〜21のノズルについては、平均的なノズル使用率となっている。また、本実施例においては、偶数バンドにおけるノズル番号22のノズルのノズル使用率は、前端ノズルのノズル使用率と、その他のノズルのノズル使用率との中間値をとるように設定されている。
一方、奇数バンドにおいては、後端ノズル(ノズル番号0〜6)については、ノズル使用率はゼロであり、ノズル番号8〜29番のノズルについては、平均的なノズル使用率となっている。また、本実施例においては、奇数バンドにおけるノズル番号7番のノズルのノズル使用率は、後端ノズルのノズル使用率と、その他のノズルのノズル使用率との中間値をとるように設定されている。このようにノズル番号7と22のノズルのノズル使用率を中間的な値としたのは、当該ノズルは、上述のとおり、バンド境界に位置するので、バンド境界における縞模様が目立たないようにするためである。ただし、ノズル番号7と22のノズルのノズル使用率は、中間的な値に限らず、どのような値であってもかまわない。
また、上述の実施例では、偶数バンドにおいて前端ノズルから、奇数バンドにおいて後端ノズルからインクが吐出されないように、ディザマスク62の閾値が設定された例を示したが、偶数バンドにおいて後端ノズルから、奇数バンドにおいて前端ノズルからインクが吐出されないように、ディザマスク62の閾値が設定されても同様の効果を奏することは勿論である。この場合、例えば、印刷媒体Pの左端におけるドット形成タイミングは、「LS」で統一されることとなる。
要するに、かかるディザマスク62は、前端ノズル使用率と後端ノズル使用率とが異なる値となり、かつ、印刷ヘッド90が相対移動するたびに(バンドごとに)前端ノズルのノズル使用率と後端ノズルのノズル使用率との大小関係が入れ替わるように閾値が設定されていればよいのである。換言すれば、印刷ヘッド90の往復動のいずれか一方の方向の主走査においては、前端ノズルと後端ノズルのうちのいずれか一方からのインクの吐出を抑制し、他方の方向の主走査においては、前端ノズルと後端ノズルのうちの他方からのインクの吐出を抑制すればよいのである。
また、上述の例では、インクデューティが50%以下の印刷時に、図11に反転表示で示したドット形成位置にドットが形成されないようにディザマスク62の閾値を設定したが、このような効果が得られるインクデューティは、50%に限らず、適宜設定すればよく、例えば、30%でもよいし、75%でもよい。ただし、ドットがある程度密に形成される中間階調以上の印刷領域で、上述した濃度ムラが顕著となりやすいので、中間階調領域に対応するインクデューティで設定することがより望ましい。
C.第3実施例:
本発明の第3実施例について説明する。第3実施例では、ノズルパターンの特性を利用して、上述したディザマスク62のサイズを小さくするための構成について説明する。
C−1.第1の例:
図16及び図17は、上述した図4及び図5と同様に、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す図である。ここでは、説明を簡単にするために、印刷ヘッド90等の駆動制御の態様として、オーバラップ数を「4」、ノズルピッチを「2」、紙送り量を「5」として示している。図16(a),図17(a)及び図16(b),図17(b)の表示方法は、上述した図4及び図5と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図16(c),図17(c)では、上述した埋め順が、印刷ヘッド90が副走査方向に移動される毎に変化していく様子を示している。埋め順の繰り返し単位数は、上述した通り、ノズルピッチとオーバラップ数との積であるから、この例では8である(ノズルピッチ2×オーバラップ数4)。図16(c),図17(c)の埋め順の左側には、説明を容易にするため、最も上部に表示した埋め順から順に、埋め順番号(1〜8)を付している。また、図16(d),図17(d)には、ノズルパターンを示している。ノズルパターンの最小単位RUは、上述した通り、主走査方向のサイズがオーバラップ数、副走査方向のサイズが紙送り量と埋め順の繰返し単位数との積であるから、この例では、1行1列〜40行4列のノズルパターンである。
ここで、図16(c),図17(c)に示した埋め順は、所定の周期を有する規則性を有している。この規則性について、図18を用いて説明する。図18(a)は、図16(c)に示した埋め順番号が1である埋め順1を上下左右に並べたものである。図示するように、この埋め順では、n番目の主走査でドットが形成されるドット形成位置とn+1番目の主走査でドットが形成されるドット形成位置との相対的な位置関係を正の数で示す相対変位量dnをdn(x,y)(xは主走査方向の変位量、yは副走査方向の変位量を示す)として表示すれば、d1(x,y)=(3,1)、d2(x,y)=(2,1)となる。かかる相対的な位置関係をn=1〜8として整理した結果を図18(b)に示す。図示するように、埋め順1の相対変位量dnは、(3,1)と(2,1)とが交互に繰り返すパターンとなっている。本願では、1つの埋め順における相対変位量dnの組み合わせ、すなわち、局所領域において連続して形成される各ドットのドット形成位置間のそれぞれの相対的な位置関係の組み合わせを相対位置パターンともいい、図18(b)に示した相対位置パターンを相対位置パターン1という。
同様にして、図16(c)に示した埋め順2について求めた相対位置パターンを、相対位置パターン2として、図18(c)に示す。相対位置パターン2では、図示するように、(2,1)と(3,1)とが交互に繰り返すパターンとなっている。このようにして、図16(c),図17(c)に示した埋め順1〜8について相対位置パターンを求めれば、各埋め順の相対位置パターンは、埋め順1は相対位置パターン1、埋め順2は相対位置パターン2、埋め順3は相対位置パターン1,埋め順4は相対位置パターン2、埋め順5は相対位置パターン1というように、埋め順2つ分ごとの周期性を有することとなる。
また、本例において、紙送り量は一定値「5」であるから、相対位置パターンの周期ごとの送り量も、常に一定となる。このように、紙送り量が一定であり、かつ、埋め順が上述の規則性を有する場合には、ノズルパターンは、副走査方向に沿って、埋め順の周期に等しい周期性を有することとなる。詳しくは、相対位置パターンの周期(埋め順が2回変化する分)に相当する副走査方向の変位量である10行(ドット)分のノズルパターンは、埋め順の周期に相当する主走査方向のサイズである1列(ドット)分ずつ主走査方向にシフトしながら副走査方向に繰り返し現れることとなる。具体的には、図19に示すように、例えば、1行1列〜10行8列までのノズルパターンは、1列分左にシフトした11行2列〜20行9列のノズルパターンや、2列分シフトした21行3列〜30行10列のノズルパターンと等しくなる。したがって、図19に示すように、例えば、1行1列〜10行8列までのノズルパターンと同じサイズのディザマスクを主走査方向に1列分ずつシフトしながら10行ごとに副走査方向に敷き詰めて適用すれば、繰返し最小単位RUの各ドット形成位置と、その位置でのドットのON/OFFの判断に適用されるディザマスク62の閾値の値との対応関係の一定性を保持したまま、ディザマスク62の副走査方向のサイズを4分の1にすることができる。
なお、ディザマスク62の主走査方向へのシフト量は、1列分に限るものではなく、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの主走査方向のサイズが4列分であることから、1+4N(Nは0以上の整数)列であればよいことは勿論である。例えば、N=1の場合、図20に示すようにディザマスク62を5列分ずつ主走査方向にシフトしながら副走査方向に沿って敷き詰めて適用することとなる。
また、ディザマスク62の副走査方向のサイズは、相対位置パターンの周期に相当する副走査方向のサイズに限るものではなく、相対位置パターンの周期に相当する副走査方向のサイズ倍数であればよい。例えば、図21に示すように、相対位置パターンの周期に相当する副走査方向の2倍(20列分)としてもよい。
かかる構成のプリンタ20は、ディザマスク62の副走査方向のサイズを小さくし、プリンタ20が備える記憶容量を有効に活用できる。あるいは、プリンタ20が備える記憶容量を小さくすることができる。なお、上述の例では、説明を簡単にするために、ノズル数やオーバラップ数が少ないプリンタ20の構成を示したため、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの副走査方向のサイズは、40列(40ラスタ)分であったが、ノズル数やオーバラップ数が多くなれば、その効果は顕著なものになる。
C−2.第2の例:
図22及び図23は、第3実施例における第2の例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す図である。ここでは、オーバラップ数、ノズルピッチ及び紙送り量は、上述した第1の例と同じであるが、埋め順が第1の例と異なる。本例における埋め順は、図22(c),図23(c)に示すように、埋め順1と埋め順5、埋め順2と埋め順6、埋め順3と埋め順7、埋め順4と埋め順8とは、それぞれ鏡像対称の関係となっている。すなわち、各埋め順は、周期的に鏡像対称性を有しているのである。
また、本例において、紙送り量は一定値「5」であるから、相対位置パターンの周期ごとの送り量も、常に一定となる。このように、紙送り量が一定であり、かつ、埋め順が上述の規則性を有する場合には、ノズルパターンは、副走査方向に沿って、埋め順の鏡像対称性の周期に等しい周期で、鏡像対称性を示すこととなる。詳しくは、鏡像対称性の周期(埋め順が4回変化する分)に相当する副走査方向のサイズである20行分のノズルパターンは、鏡像対称性を示しながら変化することとなる。具体的には、図24に示すように、例えば、1行1列〜20行8列までのノズルパターンと、21行1列〜40行8列までのノズルパターンとは鏡像対称の関係にある。したがって、図19に示すように、例えば、1行1列〜20行8列までのノズルパターンと同じサイズのディザマスクを、鏡像反転させながら、20行ごとに副走査方向に敷き詰めて適用すれば、繰返し最小単位RUの各ドット形成位置と、その位置でのドットのON/OFFの判断に適用されるディザマスク62の閾値の値との対応関係の一定性を保持したまま、ディザマスク62の副走査方向のサイズを2分の1にすることができる。かかる場合においても、第1の例と同様の効果を奏する。
なお、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの主走査方向のサイズが4列分であることから、ディザマスク62を4N(Nは0以上の整数)列ずつシフトしながら適用してもよいことは勿論である。例えば、N=1の場合、図25に示すようにディザマスク62を4列分ずつ主走査方向にシフトしながら副走査方向に沿って敷き詰めて適用してもよい。
C−3.第3の例:
上述の第1の例及び第2の例では、紙送り量が一定であり、かつ、埋め順が所定の規則性を有する場合に、ディザマスク62の副走査方向のサイズを小さくできる構成について示したが、紙送り量は、必ずしも一定である必要はなく、ノズルピッチの数とオーバラップ数と紙送り量の平均値との積、すなわち、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの副走査方向のサイズの約数分のドット数(ラスタ数)の周期性を有していてもよい。かかる構成の具体例を図26及び図27を用いて説明する。
図22及び図23は、第3実施例における第3の例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す図である。ここでは、オーバラップ数を「4」、ノズルピッチを「2」、紙送り量を「6→5→4→5」の順で繰り返す不等間隔送りとしている。また、詳しい説明は省略するが、本例における埋め順は、第1の例と同様に、各埋め順の相対位置パターンが埋め順2つ分ごとの周期性を有している。
また、上述の通り、紙送り量は、「6→5→4→5」の繰返しであるから、20ドット(ラスタ)を周期とする周期性を有している。紙送り量が不等間隔送りである場合には、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの副走査方向のサイズは、ノズルピッチの数とオーバラップ数と紙送り量の平均値との積として求められるので、本例の紙送り量は、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの副走査方向のサイズ(40ドット)の約数分のドット数の周期を有していることとなる。
このように、紙送り量がノズルパターンの繰返し最小単位RUの副走査方向のサイズ(40ドット)の約数分のドット数の周期を有しており、埋め順が何らかの周期性を有している場合には、ノズルパターンは、紙送り量の周期と埋め順の周期の最小公倍数を周期とする周期性を有することとなる。詳しくは、紙送り量の周期である20行(ドット)と、埋め順の周期(埋め順が2回変化する分)に相当する副走査方向のサイズである10行(ドット)の最小公倍数は20行(ドット)であるから、20行(ドット)分の周期を有することとなる。具体的には、図28に示すように、例えば、1行1列〜20行8列までのノズルパターンは、20行分に相当する埋め順の主走査方向の変位量である2列分ずつ主走査方向にシフトした21行3列〜40行10列と等しくなる。したがって、図28に示すように、例えば、1行1列〜20行8列までのノズルパターンと同じサイズのディザマスクを主走査方向に2列分ずつシフトしながら20行ごとに副走査方向に敷き詰めて適用すれば、繰返し最小単位RUの各ドット形成位置と、その位置でのドットのON/OFFの判断に適用されるディザマスク62の閾値の値との対応関係の一定性を保持したまま、ディザマスク62の副走査方向のサイズを2分の1にすることができる。かかる場合においても、第1の例と同様の効果を奏する。
D.変形例:
D−1.変形例1:
上述の実施形態においては、各ノズルが均等な数でノズルパターンが形成される例について示したが、このような態様に限るものではなく、例えば、部分オーバラップによりドットを形成する態様であってもよい。部分オーバラップとは、同一のドット形成位置にドットを形成可能な2グループのノズルで、当該ドット形成位置でのドットの形成を分担することをいう。図29及び図30に、部分オーバラップのノズルパターンの第1の具体例を示す。この例では、ノズル列92〜97がノズル番号0〜36の37個のノズルで構成されている点が上述の実施形態(ノズル数30個)と異なる。ノズル番号30〜36のノズルは、本変形例においては、ノズル番号0〜6のノズルと同一のドット形成位置にドットを形成可能であり、当該両者間でドットの形成を分担するため、余剰ノズルともいう。
図29及び図30は、余剰ノズルを備えたプリンタによってドットが形成される様子を示す図である。図29及び図30は、連続する図であるが、紙面の都合上、図4と図5とに2分割して示している。図29(a),図30(a)は、ノズル列92が、主走査の度に副走査方向に移動していく様子を示している。図29(b),図30(b)は、印刷媒体上に形成される各ドットが、何回目の主走査で形成されるかを主走査番号で表示している。図29(b),図30(b)に示す各格子は、左から順に、各ラスタにおけるN,N+1,N+2,N+3(Nは1以上の整数)番目のドットを表している。これらの図については、上述した図4,図5と同様の考え方に基づいているため、詳しい説明は省略する。図29(c),図30(c)は、ノズルパターンを示している。第1実施例のノズルパターン(図4(c),図5(c)参照)との違いは、ノズル番号0〜6のノズルでドットを形成する位置の半分については、余剰ノズル(ノズル番号30〜36)でドットを形成する点である。図29(c),図30(c)では、余剰ノズルでドットが形成されるドット形成位置をグレー表示で示している。かかるノズルパターンは、繰返しの最小単位RUが、図29(c),図30(c)に示すように、第1列〜第4列及び第1行〜第60行からなる。かかる余剰ノズルを備えたプリンタは、主走査番号が異なるドットのつなぎ目が分散することとなるので、バンディングを目立たなくすることができるからである。
上述のノズルパターンは、第1列及び第2列においては、ノズル番号29のドット形成位置とノズル番号0のドット形成位置との間で主走査番号が切り替わることとなる(例えば、第14行2列と第16行2列)。また、第3列及び第4列においては、ノズル番号36のドット形成位置とノズル番号7のドット形成位置との間で主走査番号が切り替わることとなる(例えば、第13行3列と第15行3列)。このように、列によって、主走査番号が切り替わる位置が異なるのは、第1列及び第2列においては、余剰ノズルでドットを形成しないために、ノズル番号0及び29がノズル列の両端に配置されたノズルとして働き、第3列及び第4列においては、余剰ノズルでドットを形成する(ノズル番号0〜6ではドットを形成しない)ために、ノズル番号7及び36がノズル列の両端に配置されたノズルとして働くからである。
このようなノズルパターンであっても、ノズル列の両端に配置されたノズルとして働くノズルを、実施例の最先端ノズルとして扱って、実施例と同様にドット抑制閾値を設定すれば、第1実施例と同様の効果を奏することができる。
また、余剰ノズルを用いたノズルパターンの第2の具体例を図31及び図32に示す。この例では、ノズル番号0〜6のノズルとノズル番号30〜36のノズルとの分担率を行によって変化させている。かかるノズルパターンの繰返し最小単位RUは、第1列〜8列及び第1行〜第60行からなる。このように、余剰ノズルを用いたノズルパターンでは、上述の分担率の変化の規則性により、繰返し最小単位RUの主走査方向のサイズが異なる結果となるのである。
また、余剰ノズルを用いたノズルパターンに対しては、部分オーバラップがないものと扱って、ドット抑制閾値を設定してもよい。すなわち、図示したノズルパターンのうち、ノズル番号30〜36をノズル番号0〜6に置き換えて、あるいは、ノズル番号0〜6をノズル番号30〜36に置き換えて、ドット抑制閾値を設定してもよい。換言すれば、第1実施例で示したディザマスク62をそのまま図29〜図30のノズルパターンのプリンタに使用してもよい。こうしても、ドット抑制閾値を設定しない場合と比べれば、一定程度の効果を得ることができる。
なお、かかる場合には、ディザマスク62の主走査方向のサイズは、必ずしも繰返し最小単位RUの正整数倍としなくてもよい。例えば、図31及び32に示したノズルパターンの繰返し最小単位RUの主走査方向のサイズは8列分であるが、適用するディザマスク62は部分オーバラップを無視した閾値設定とするのであるから、部分オーバラップがない場合のノズルパターンの繰返し最小単位RUの正整数倍(例えば、2列分)としてもよいのである。
D−2.変形例2:
変形例1に示した余剰ノズルを用いたプリンタにおいて、第2実施例と同様の制御を行うことも可能である。例えば、図29及び図30に示したノズルパターンであれば、繰返し最小単位RUは、第1列〜第4列及び第1行〜第60行からなるので、ディザマスク62の主走査方向及び副走査方向のサイズを、この繰返し最小単位RUの正整数倍として、第1実施例の方法を適用すれば、容易に、前端ノズル及び後端ノズルの使用率を制御することができる。
また、図31及び図32に示したように、前端ノズルと後端ノズルとの分担率が等しくない場合には、変形例1と同様に、余剰ノズルがないものと扱って、各閾値を設定してもよい。こうしても、一定程度の効果を得ることができる。また、この場合、変形例1と同様に、ディザマスク62の主走査方向のサイズは、必ずしも繰返し最小単位RUの正整数倍としなくてもよい。
D−3.変形例3:
上述した実施形態においては、プリンタ20が図2の印刷処理の全てを実行する構成としたが、プリンタ20にコンピュータが接続される場合には、印刷処理の一部を当該コンピュータが実行してもよい。かかる場合、コンピュータとプリンタ20とによって構成される印刷システムは、広義の印刷装置として捉えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。
本発明の実施例としてのプリンタ20の概略構成図である。 印刷ヘッド90のノズル配置を示す説明図である。 プリンタ20による印刷処理のフローチャートである。 プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 ディザマスク62の閾値の特性を示す説明図である。 ディザマスク62の閾値の特性を示す説明図である。 ディザマスク62によるノズルごとのノズル有効率を示す説明図である。 両方向印刷における濃度ムラの原因についての説明図である。 両方向印刷における濃度ムラの原因についての説明図である。 第2実施例としてのディザマスク62の閾値の特性を示す説明図である。 プリンタ20による濃度ムラの抑制効果を示す説明図である。 プリンタ20による濃度ムラの抑制効果を示す説明図である。 第2実施例としてのディザマスク62の具体例を示す説明図である。 ノズル使用率の例を示す説明図である。 第3実施例の第1の例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 第3実施例の第1の例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 第1の例としての埋め順の規則性を示す説明図である。 第1の例としてのディザマスク62の適用の仕方を示す説明図である。 第1の例としてのディザマスク62の適用の仕方を示す説明図である。 第1の例としてのディザマスク62の適用の仕方を示す説明図である。 第3実施例の第2の例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 第3実施例の第2の例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 第2の例としてのディザマスク62の適用の仕方を示す説明図である。 第2の例としてのディザマスク62の適用の仕方を示す説明図である。 第3実施例の第3の例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 第3実施例の第3の例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 第3の例としてのディザマスク62の適用の仕方を示す説明図である。 変形例としてのノズルパターンを示す説明図である。 変形例としてのノズルパターンを示す説明図である。 変形例としてのノズルパターンを示す説明図である。 変形例としてのノズルパターンを示す説明図である。
20…プリンタ
30…制御ユニット
40…CPU
41…ハーフトーン処理部
42…印刷部
51…ROM
52…RAM
60…EEPROM
62…ディザマスク
70…キャリッジモータ
71…駆動ベルト
72…プーリ
73…摺動軸
74…紙送りモータ
75…プラテン
80…キャリッジ
82〜87…インクカートリッジ
90…印刷ヘッド
92〜97…ノズル列
98…メモリカードスロット
99…操作パネル
P…印刷媒体
MC…メモリカード
RU…繰返し最小単位

Claims (5)

  1. 印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら印刷を行う印刷装置であって、
    前記印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを前記副走査方向に配列したノズル列と、
    複数の閾値からなるディザマスクの各閾値と画像を構成する画像データとを比較することにより、ハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部と、
    該ハーフトーン処理の結果を用いて、前記ノズル列の各ノズルからのインクの吐出を制御して印刷を行う印刷部と
    を備え、
    前記印刷媒体上の各位置のドットを前記複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、該各位置に適用される前記ディザマスクの各々の閾値の値との対応関係を一定に定め
    前記印刷ヘッドが1回の副走査により前記副走査方向に相対移動する送り量が所定の周期性を有し、
    前記主走査方向のサイズが、1つのラスタを完成させるための主走査回数に等しいドット数であり、前記副走査方向のサイズが、前記複数のノズルのうちの副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数であるノズルピッチの数に等しいドット数の、前記印刷媒体上の連続するドット形成位置である局所領域における、各ドット形成位置へのドットの形成順序である埋め順が、前記1回の副走査ごとに所定の周期を有する規則性に基づいて変化し、
    前記ディザマスクは、前記主走査方向のサイズが、前記ノズルパターンの繰返しの最小単位の正整数倍のサイズであり、前記副走査方向のサイズが、該繰返しの最小単位の、前記送り量の周期及び前記埋め順の周期に基づいて決定される正整数分の1のサイズである
    印刷装置。
  2. 請求項記載の印刷装置であって、
    前記埋め順の規則性は、前記局所領域において連続して形成される各ドットのドット形成位置間のそれぞれの相対的な位置関係の組み合わせを示す相対位置パターンが、前記埋め順の変化に従った周期性を有することである
    印刷装置。
  3. 前記埋め順の規則性は、前記変化する埋め順が周期的に鏡像対称性を示すことである請求項記載の印刷装置。
  4. 前記送り量が有する周期性は、該送り量が一定であることである請求項ないし請求項のいずれか記載の印刷装置。
  5. 前記送り量の周期は、前記副走査方向における前記ノズルパターンの繰返しの最小単位のサイズの約数分のドット数である請求項ないし請求項のいずれか記載の印刷装置。
JP2009007049A 2009-01-15 2009-01-15 印刷装置 Active JP5402006B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009007049A JP5402006B2 (ja) 2009-01-15 2009-01-15 印刷装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009007049A JP5402006B2 (ja) 2009-01-15 2009-01-15 印刷装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010162772A JP2010162772A (ja) 2010-07-29
JP5402006B2 true JP5402006B2 (ja) 2014-01-29

Family

ID=42579361

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009007049A Active JP5402006B2 (ja) 2009-01-15 2009-01-15 印刷装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5402006B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6021600B2 (ja) * 2012-11-16 2016-11-09 キヤノン株式会社 画像処理装置および画像処理方法
JP6016588B2 (ja) * 2012-11-16 2016-10-26 キヤノン株式会社 画像処理装置、記録装置および画像処理方法
JP6102206B2 (ja) * 2012-11-19 2017-03-29 セイコーエプソン株式会社 印刷装置、印刷方法およびプログラム
JP2014100861A (ja) * 2012-11-21 2014-06-05 Seiko Epson Corp 液体吐出装置および液体吐出方法
JP6366143B2 (ja) * 2015-09-18 2018-08-01 富士フイルム株式会社 ディザマスク生成方法及び装置、並びにプログラム
JP6815511B2 (ja) * 2017-07-11 2021-01-20 富士フイルム株式会社 画像処理装置及び方法、プログラム並びに画像記録装置
JP2022063095A (ja) 2020-10-09 2022-04-21 株式会社リコー 液体吐出装置、および印刷方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005205881A (ja) * 2003-12-24 2005-08-04 Seiko Epson Corp ドットの位置ずれを検出する方法、位置ずれを考慮したディザマトリックスの生成方法、および、ディザマトリックスを用いた印刷装置、印刷方法、位置ずれの調整方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010162772A (ja) 2010-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5633110B2 (ja) 印刷装置、ディザマスク及び印刷方法
JP5402006B2 (ja) 印刷装置
US8272710B2 (en) Bi-directional print masking
JP6881912B2 (ja) 記録装置、記録方法およびプログラム
US6241338B1 (en) Dot printing using partial overlap scheme
JP5339801B2 (ja) 画像処理装置および画像処理方法
JP2012204940A (ja) 印刷装置、印刷方法、印刷データ生成プログラム、ディザマスクの生成方法
JP4598249B2 (ja) 非一様なオーバーラップ印刷
JP4480175B2 (ja) インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
CN114070951B (zh) 图像处理方法、图像处理设备和存储介质
JP5347517B2 (ja) 印刷装置、ディザマスク及び印刷方法
US8376495B2 (en) Printing apparatus and dither mask
US8376488B2 (en) Image recording device
JP2009262342A (ja) 液体吐出装置、液体吐出方法
JP2004306617A (ja) 印刷装置および印刷方法
JP5883451B2 (ja) 非対称印字解像度のハーフトーン処理方法およびプリンタ
US20030052941A1 (en) Non-uniform overlapping printing
JP6260369B2 (ja) 印刷制御装置および印刷制御方法
KR102480007B1 (ko) 마스크를 이용하여 덴서티 밴딩을 개선하는 방법
JP2006168111A (ja) インクジェット記録装置
JP5062359B2 (ja) 印刷制御装置、印刷制御方法および印刷制御プログラムを記録するコンピュータ読み取り可能媒体
JP2010194822A (ja) インクジェット記録装置およびデータ生成装置
JP4013482B2 (ja) 複数種類の駆動波形を用いたオーバーラップ印刷
JP4715945B2 (ja) 印刷装置、印刷方法および記録媒体
JP2008024008A (ja) 非一様なオーバーラップ印刷

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131001

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131014

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5402006

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350