JP5347517B2 - 印刷装置、ディザマスク及び印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら画像の印刷を行う印刷技術に関する。
近年、印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら、インクを吐出して印刷を行うシリアル式インクジェットプリンタが普及している。シリアル式インクジェットプリンタでは、印刷速度を早くするために、印刷ヘッドの往復動の主走査のうち、往動と復動の両方向の主走査においてインクを吐出する両方向印刷が行われることが一般的となっている(例えば、下記特許文献1)。
特開2000−52543号公報
しかしながら、両方向印刷方式においては、印刷装置が、印刷ヘッドを印刷媒体の左端から主走査方向に1往復させると、印刷媒体の右端では、印刷ヘッドの往動によりドットが形成された直後に、復動によりドットが形成される。一方、左端では、往動の開始直後にドットが形成された後、印刷ヘッドの往復時間を経過した後に、復動によりドットが形成される。このようなドットの形成タイミングの違いは、印刷媒体の主走査方向の両端間における濃度ムラの原因となる。また、かかるドットの形成タイミングの違いは、印刷ヘッドが副走査方向に移動するたびに変化するので、副走査方向においても、副走査方向への送り量単位で、濃度ムラを生じる原因となる(かかる現象は、実施例でも詳しく説明する)。かかる問題は、印刷ヘッドの往復動作に比較的長時間を要する大判プリンタにおいて特に顕著であり、また、副走査方向での濃度ムラは、印刷画質にとって大きな問題となっていた。
また、シリアル式インクジェットプリンタにおいて複数種類のカラーインクを用いてカラー印刷を行う場合、インク色ごとに副走査方向に沿って配列されたノズル列から各色のインクを吐出して印刷を行うが、両方向印刷を行う場合には、往動と復動とでドットを形成する主走査方向が異なることとなる。かかる主王佐方向の違いは、インク色間の吐出順序が異なることを意味する。例えば、ノズル列が主走査方向の左側からC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(ブラック)の順に配列されている場合、往動(ここでは、左側から右側への動き)では、印刷媒体の所定位置には、カラーインクがK,Y,M,Cの順に吐出されるが、復動(ここでは、左側から右側への動き)では、C,M,Y,Kの順に吐出される。かかるインク色間のインク吐出順序の違いは、色合いの違いを生じる。このような主走査方向の違いを所定の印刷領域ごとに見れば、所定の領域をどのような主走査の順で形成するかが、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに変化することとなる。かかる変化は、その変化点において色ムラを生じさせ、その結果、印刷画質が低下することが問題となっていた。
上述の問題を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、両方向印刷方式を行うシリアル式インクジェットプリンタにおいて、両方向印刷に起因する印刷画質の低下を抑制することである。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本発明の第1の形態は、
印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら画像の印刷を行う印刷装置であって、
前記印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを所定のノズルピッチで前記副走査方向に配列したノズル列と、
前記画像を構成する画像データを入力する入力部と、
前記入力した画像データをドットの形成の有無を表すドットデータに変換するハーフトーン処理部と、
前記ハーフトーン処理の結果に基づき、前記ノズル列の各ノズルのインクの吐出を制御して、印刷を行う印刷部と
を備え、
前記印刷ヘッドは、主走査における往動時と復動時の両方においてインクを吐出する両方向印刷を行うものであり、
前記複数のノズルのノズルピッチは、該複数のノズルのうちの前記副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数と、前記隣り合うノズルのうちいずれか一方のノズルにより形成されるドットとを合算したドット数であり、
所定の範囲のインクデューティの印刷領域において、
前記ノズル列を構成するノズルであって、前記ノズルピッチの数に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、該連続するラスタを形成するための所定回数の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルである前端ノズルがインクを吐出する割合である前端ノズル使用率と、前記ノズル列を構成するノズルであって、前記連続するラスタのいずれに対しても、前記所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルである後端ノズルがインクを吐出する割合である後端ノズル使用率とは、異なる値であり、
前記印刷ヘッドの前記副走査方向への相対的な送り量に相当するバンド毎に、前記前端ノズル使用率と前記後端ノズル使用率との大小関係が入れ替わる
印刷装置である。
[適用例1]印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら画像の印刷を行う印刷装置であって、
前記印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを所定のノズルピッチで前記副走査方向に配列したノズル列と、
前記画像を構成する画像データを入力する入力部と、
前記入力した画像データをドットの形成の有無を表すドットデータに変換するハーフトーン処理部と、
前記ハーフトーン処理の結果に基づき、前記ノズル列の各ノズルのインクの吐出を制御して、印刷を行う印刷部と
を備え、
前記複数のノズルのノズルピッチは、該複数のノズルのうちの前記副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数であり、
所定の範囲のインクデューティの印刷領域において、
前記ノズル列を構成するノズルであって、前記ノズルピッチの数に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、該連続するラスタを形成するための所定回数の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルである前端ノズルがインクを吐出する割合である前端ノズル使用率と、前記ノズル列を構成するノズルであって、前記連続するラスタのいずれに対しても、前記所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルである後端ノズルがインクを吐出する割合である後端ノズル使用率とは、異なる値であり、
前記印刷ヘッドが前記副走査方向に相対移動するたびに、前記前端ノズル使用率と前記後端ノズル使用率との大小関係が入れ替わる
印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに、前端ノズル使用率と後端ノズル使用率との大小関係が入れ替わるので、ノズルピッチの数に等しい数の、任意に選択した連続するラスタを形成するための最初の主走査と最後の主走査では、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに、交互に入れ替わるいずれか一方の主走査でドットが形成されにくくなる。したがって、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに印刷媒体の両端において、副走査方向に沿ってドット形成タイミングが変わることを抑制できる。また、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに印字走査方向が変わることを抑制できる。その結果、副走査方向における濃度ムラや色ムラの発生を抑制し、印刷画質の低下を抑制することができる。
[適用例2]適用例1記載の印刷装置であって、ハーフトーン処理部は、複数の閾値からなるディザマスクの各閾値と画像データとを比較する組織的ディザ法によりハーフトーン処理を行い、印刷媒体上の各位置のドットを複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係は一定に定まっており、ディザマスクは、大小関係が入れ替わるように、前端ノズル及び後端ノズルによりドットが形成されるドット形成位置に適用される閾値の値が設定された印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、ノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係が一定に定まっているので、ノズル単位で、ドットの形成のされやすさを制御することができる。その結果、適用例1のようにノズル使用率を制御することができる。また、ディザマスクの構成に配慮するだけでよいので、特別な装置が必要なく、汎用性が高い。
[適用例3]ディザマスクは、副走査方向のサイズが、ノズルパターンの繰返しの最小単位の正整数倍のサイズである適用例2記載の印刷装置。
[適用例4]ディザマスクは、主走査方向のサイズが、ノズルパターンの繰返しの最小単位の正整数倍のサイズである適用例3記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、ディザマスクのサイズを調整するだけで、容易に、繰返しの最小単位における各位置と当該各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値との値との対応関係を一定とすることができる。また、サイズに配慮したディザマスクを使用するだけの構成であるから、汎用性が高い。
[適用例5]適用例1記載の印刷装置であって、ハーフトーン処理部は、誤差拡散法によりハーフトーン処理を行い、前端ノズル及び後端ノズルによりドットが形成されるドット形成位置におけるドットの形成の有無の判断に用いる閾値の値を、ドット形成位置に応じて相対的に増加させることで、大小関係を入れ替える印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、前端ノズル及び後端ノズルによりドットが形成されるドット形成位置におけるドットの形成の有無の判断に用いる閾値の値を、ドット形成位置に応じて相対的に増加させるので、適用例1のようにノズル使用率を制御することができる。
[適用例6]適用例1記載の印刷装置であって、前端ノズル及び後端ノズルは、印刷媒体上の同一のドット形成位置にドットを形成するノズルであり、印刷部は、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに、同一のドット形成位置に前端ノズル及び後端ノズルのうちのいずれでドットを形成するかを示す分担率を変化させることで、大小関係を入れ替える印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに、同一のドット形成位置に前端ノズル及び後端ノズルのうちのいずれでドットを形成するかを示す分担率を変化させるので、適用例1のようにノズル使用率を制御することができる。
[適用例7]所定のインクデューティにおける印刷時において、前端ノズル使用率及び後端ノズル使用率のいずれか一方の値はゼロである適用例1ないし適用例6のいずれか記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、前端ノズル使用率と後端ノズル使用率とのいずれか一方はゼロであるから、所定のインクデューティ以下の印刷を行う場合には、前端ノズルと後端ノズルのいずれか一方は使用されない。したがって、適用例1の効果を大きくできる。
[適用例8]前端ノズル使用率及び後端ノズル使用率は、印刷媒体上の主走査方向の右端位置と左端位置とで、大小関係が入れ替わる適用例1ないし適用例7のいずれか記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、右端位置と左端位置とで、ノズル使用率の大小関係が入れ替わるので、印刷媒体の両端において、ドット形成タイミングが入れ替わることを抑制することができる。その結果、主走査査方向における濃度ムラの発生を抑制し、印刷画質の低下を抑制することができる。
[適用例9]前端ノズル使用率及び後端ノズル使用率は、印刷媒体上の主走査方向の位置に応じて段階的に変化する適用例8記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、ノズル使用率が印刷媒体上の主走査方向の位置に応じて段階的に変化するので、主走査方向における濃度変化を緩やかにして、印刷画質の低下を抑制することができる。
[適用例10]大小関係は、所定以上のインクデューティの印刷領域においてのみ入れ替わる適用例1ないし適用例9のいずれか記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、濃度ムラや色ムラが発生しにくい低デューティの印刷領域では、前端ノズル使用率と後端ノズル使用率の大小関係を入れ替えない。したがって、中間デューティ以上の印刷領域では、主走査方向の向きの違いによるドットの位置ずれよりも大きな問題となる濃度ムラや色ムラの発生を優先して抑制し、低デューティ領域では濃度ムラや色ムラよりも大きな問題となるドットの位置ずれの発生を優先して抑制することができ、全てのデューティにおいて、印刷画質の低下を抑制することができる。
[適用例11]少なくとも所定の範囲のインクデューティの印刷領域において、において、インクデューティが低い印刷領域ほど前記大小関係における比率が小さくなる適用例1ないし適用例10のいずれか記載の印刷装置。
かかる印刷装置は、インクデューティが大きくなるほど、濃度ムラや色ムラを抑制し、インクデューティが小さくなるほど、ドットの位置ずれを抑制することができるので、インクデューティに応じて、印刷画質の低下を抑制することができる。
また、本発明は、適用例12のディザマスク、適用例13の印刷方法等としても実現することができる。
[適用例12]複数の閾値からなり、印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら印刷を行うためのハーフトーン処理に用いるディザマスクであって、印刷媒体上の各位置のドットを、印刷ヘッドにおいて副走査方向に配列し、インクを吐出する複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、各位置に適用されるディザマスクの各々の閾値の値との対応関係が一定に定められ、複数のノズルを構成するノズルであって、ノズルピッチの数に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、連続するラスタを形成するための所定回数の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルである前端ノズルがインクを吐出する割合である前端ノズル使用率と、複数のノズルを構成するノズルであって、連続するラスタのいずれに対しても、所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルである後端ノズルがインクを吐出する割合である後端ノズル使用率との大小関係が、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに入れ替わるように、前端ノズル及び後端ノズルによりドットが形成されるドット形成位置に適用される閾値の値が設定されたディザマスク。
[適用例13]印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら、印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを副走査方向に配列したノズル列の各ノズルからのインクの吐出を制御して印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行う方法であって、複数のノズルを構成するノズルであって、ノズルピッチの数に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、連続するラスタを形成するための所定回数の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルである前端ノズルがインクを吐出する割合である前端ノズル使用率と、複数のノズルを構成するノズルであって、連続するラスタのいずれに対しても、所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルである後端ノズルがインクを吐出する割合である後端ノズル使用率とが、印刷ヘッドが副走査方向に相対移動するたびに、前端ノズル使用率と後端ノズル使用率との大小関係が入れ替わるようにインクの吐出制御して印刷を行う印刷方法。
本発明の実施例について説明する。
A.第1実施例:
A−1.装置構成:
図1は、本発明の実施例としてのプリンタ20の概略構成図である。プリンタ20は、シリアル式インクジェットプリンタであり、図示するように、プリンタ20は、紙送りモータ74によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモータ70によってキャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ80に搭載された印刷ヘッド90を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、これらの紙送りモータ74,キャリッジモータ70,印刷ヘッド90及び操作パネル99との信号のやり取りを司る制御ユニット30とから構成されている。
キャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構は、プラテン75の軸と並行に架設され、キャリッジ80を摺動可能に保持する摺動軸73と、キャリッジモータ70との間に無端の駆動ベルト71を張設するプーリ72等から構成されている。
キャリッジ80には、カラーインクとして、シアンインクC、マゼンタインクM、イエロインクY、ブラックインクK、ライトシアンインクLc、ライトマゼンタインクLmをそれぞれ収容したカラーインク用のインクカートリッジ82〜87が搭載される。キャリッジ80の下部の印刷ヘッド90には、上述の各色のカラーインクに対応するノズル列が形成されている。キャリッジ80にこれらのインクカートリッジ82〜87を上方から装着すると、各カートリッジから印刷ヘッド90へのインクの供給が可能となる。
制御ユニット30は、CPU40や、ROM51、RAM52、EEPROM60がバスで相互に接続されて構成されている。制御ユニット30は、ROM51やEEPROM60に記憶されたプログラムをRAM52に展開し、実行することにより、プリンタ20の動作全般を制御するほか、入力部41、ハーフトーン処理部42、印刷部43としても機能する。この機能部の詳細については後述する。
EEPROM60には、ディザマスク62が記憶されている。ディザマスク62は、組織的ディザ法によるハーフトーン処理に用いるものであり、本実施例では、いわゆるブルーノイズ特性を備えている。
制御ユニット30には、メモリカードスロット98が接続されており、メモリカードスロット98に挿入したメモリカードMCから画像データORGを読み込んで入力することができる。本実施例においては、メモリカードMCから入力する画像データORGは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなるデータである。
以上のようなハードウェア構成を有するプリンタ20は、キャリッジモータ70を駆動することによって、印刷ヘッド90を印刷媒体Pに対して主走査方向に往復動させ、また、紙送りモータ74を駆動することによって、印刷媒体Pを副走査方向に移動させる。制御ユニット30は、キャリッジ80が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体の紙送りの動き(副走査)に合わせて、印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体P上の適切な位置に適切な色のインクドットを形成する。こうすることによって、プリンタ20は、印刷媒体P上にメモリカードMCから入力したカラー画像を印刷することが可能となっている。
上述の印刷ヘッド90の詳細を図2に示す。本図は、印刷ヘッド90の底面(印刷媒体Pと対向する面)を概略的に示している。図示するように、印刷ヘッド90は、副走査方向に複数のノズルが並んで形成されたノズル列92〜97を備えている。本実施例では、各ノズル列は、ノズルピッチKで配列された30個のノズルから形成されている。これらのノズル列92〜97は、キャリッジ80に装着されるカートリッジのインク色に対応しており、それぞれシアンインクC、マゼンタインクM、イエロインクY、ブラックインクK、ライトシアンインクLc、ライトマゼンタインクLmを吐出するものである。なお、本実施例では、各インク色に対応するノズル列は、ノズルが1列に並んで構成されるが、1つのノズル列におけるノズルの配置は、特に限定するものではなく、例えば、1つのインク色に対して、ノズルが複数列に並んでいてもよいし、更に、かかる複数列のノズルが千鳥状となるように構成されてもよい。
A−2.印刷処理:
プリンタ20における印刷処理について説明する。図3は、本実施形態における印刷処理のフローチャートである。ここでの印刷処理は、ユーザが操作パネル99等を用いて、メモリカードMCに記憶された所定の画像の印刷指示操作を行うことで開始される。印刷処理を開始すると、CPU40は、まず、入力部41の処理として、メモリカードスロット98を介してメモリカードMCから印刷対象であるRGB形式の画像データORGを読み込んで入力する(ステップS110)。
画像データORGを入力すると、CPU40は、EEPROM60に記憶されたルックアップテーブル(図示せず)を参照して、画像データORGについて、RGB形式をCMYKLcLm形式に色変換する(ステップS120)。
色変換処理を行うと、CPU40は、ハーフトーン処理部42の処理として、組織的ディザ法により、ディザマスク62を用いて、画像データを各色のドットのON/OFFデータに変換するハーフトーン処理を行う(ステップS130)。組織的ディザ法については、周知の技術なので詳しい説明は省略するが、要するに、着目画素の階調データに対応する記録率(階調値そのものでもよい)と、その着目画素の位置に対応するディザマスク内の閾値とを比較し、記録率の方が大きければ、その画素にドットを形成するとし、記録率の方が小さければドットを形成しないと判断するのである。ここで用いるディザマスク62の詳細については、後述する。なお、ハーフトーン処理は、ドットのON/OFFの2値化処理に限らず、大ドット及び小ドットのON/OFFなど、多値化処理であってもよい。
ハーフトーン処理を行うと、CPU40は、プリンタ20のノズル配置や紙送り量などに合わせて、1回の主走査単位で印画するドットパターンデータに並び替えるインターレース処理を行う(ステップS140)。インターレース処理を行うと、CPU40は、印刷部43の処理として、印刷ヘッド90、キャリッジモータ70、モータ74等を駆動させて、印刷を実行する(ステップS150)。
A−3.ノズルパターンの特性:
本実施例のプリンタ20は、印刷媒体P上の各位置のドットを印刷ヘッド90が備える複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンに周期性が現れる。以下、かかる周期性について説明する。
本実施例において、上述の印刷処理では、印刷ヘッド90等の駆動制御の態様として、オーバラップ数を「2」、ノズルピッチを「2」、紙送り量を「15」とし、印刷ヘッド90の往動時と復動時の両方でインクを吐出する双方向印刷を行うこととした。オーバラップ数とは、主走査方向(横方向)に形成する1本のラスタをドットですべて埋めるために必要な主走査の回数のことをいう。つまり、オーバラップ数が「2」ということは、2回の主走査で、主走査方向の1本のラスタが完成することになる。また、ノズルピッチとは、副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数であり、隣り合う2つのノズル間に存在するラスタ(ドット)の数に値1を加えた数のことをいう。本実施例では、ノズルピッチを「2」としたため、1回の印刷ヘッド90の主走査で1ラスタおきにドットが形成されることになる。また、紙送り量とは、1回の主走査につき、印刷ヘッド90が副走査方向に搬送される量(ラスタ数)のことをいう。本実施例では、紙送り量は「15」、つまり、奇数の紙送り量であるため、1ラスタおきに先行して形成されたドットの隙間に、次の主走査で新たなドットが形成されていくことになる。
図4及び図5は、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す図である。図4及び図5は、連続する図であるが、紙面の都合上、図4と図5とに2分割して示している。ここでは、ノズル列92によってドットが形成される様子を代表的に説明するが、他のノズル列も同様である。図4(a),図5(a)には、ノズル列92が、主走査の度に副走査方向に移動していく様子を示している。各ノズルは、説明の便宜上、0から29番目までの番号で表示している。図示するように、本実施例では、紙送り量を「15」にしたため、印刷ヘッド90は、主走査毎に、15ラスタ分、副走査方向に移動している。また、図示するノズル位置(主走査方向)は、相対的に何回目の主走査であるかを示す主走査番号(図4(a)上部の表を参照)の位置に対応している。例えば、最も左側に図示したノズル列の位置は、主走査番号「−3」に対応している。なお、主走査番号は、図示する4回目の主走査を基準(0回目の主走査)として、相対的な番号で表している。
図4(b),図5(b)は、印刷媒体上に形成される各ドットが、何回目の主走査で形成されるかを主走査番号で表示している。図4(b),図5(b)に示す各格子は、各ラスタにおける奇数番目及び偶数番目のドットを表しており、その格子内の数値が図4(a),図5(a)の上部に示した主走査番号に対応している。つまり、図4(b),図5(b)によれば、最も上部のラスタは、奇数番目のドットが0回目の主走査で形成され、偶数番目のドットが−2回目の主走査で形成されていることがわかる。
図4(b),図5(b)に示すように、本実施例では、2×2の局所的な領域(以下、局所領域という)に注目すると、主走査番号は、最も上部の2つのラスタでは、左上、左下、右上、右下の順に「0」、「−1」、「−2」、「−3」である。すなわち、この局所領域においては、右下、右上、左下、左上の順で各ドットが埋められている。この順序のことを、「埋め順」という。局所領域のサイズは、横方向(主走査方向)がオーバラップ数(本実施例では「2」)に一致し、縦方向(副走査方向)がノズルピッチ(本実施例では「2」)に一致している。図4(b),図5(b)では、各格子は、局所領域ごとに実線で区切って表示している。埋め順は、印刷ヘッド90が副走査方向に移動される毎(つまり主走査が行われる毎)に変化していく性質を有しており、本実施例では、この埋め順が4回変化すると、元の埋め順に戻る。この埋め順の繰り返し単位数は、ノズルピッチとオーバラップ数との積となる。なお、図4(b),図5(b)では、埋め順が変化する位置の主走査番号を反転表示している。このような埋め順の設定は、上述した印刷処理のステップS140で行われる。
図4(c),図5(c)は、印刷媒体上の各位置のドットを、いずれのノズルによって形成するかを示すノズルパターンを表している。各格子内の数値が、図4(a),図5(a)に示したノズル番号に対応している。また、説明の便宜上、図の上端には、ドット列番号、左端にはドット行番号を表示している。この図4(c),図5(c)と図4(b),図5(b)とを併せて見れば、図中、最も上部のラスタのうち、奇数番目のドットは、0回目の主走査において0番目のノズルによって形成され、偶数番目のドットは、−2回目の主走査において15番目のノズルによって形成されていることが理解できる。また、2行目のラスタについては、奇数番目のドットは、−1回目の主走査において8番目のノズルによって形成され、偶数番目のドットは、−3回目の主走査において23番目のノズルによって形成されていることが理解できる。
かかるノズルパターンでは、同一ラスタ上(主走査方向)においては、奇数列、偶数列のドット形成位置は、それぞれ同一のノズル番号に対応している。また、副走査方向においては、第1行〜第60行を一つの単位としたノズル番号の繰り返しが生じている。すなわち、プリンタ20のノズルパターンは、第1列〜第2列及び第1行〜第60行からなる繰り返し最小単位RUが、走査方向及び副走査方向に繰り返して構成されるのである。このようなノズルパターンの周期性は、上述した埋め順の繰返しと関連しており、主走査方向では、オーバラップ数を単位として繰返しが生じ、副走査方向では、紙送り量と上述した埋め順の繰返し単位数との積を単位として繰返しが生じる。なお、本願において、印刷ヘッド90の送り量ごとの副走査方向の幅をバンドともいい、印刷媒体Pの副走査方向に沿ったドット形成位置をバンド番号でも示す。例えば、図4(a),図5(a)に示すように、ドット形成位置の上端部はバンド0であり、下方に向かってバンド1、バンド2というようにバンド番号が増加していく。
A−4.両方向印刷の課題:
上述したプリンタ20が両方向印刷を行うことによって生じる課題について説明する。
A−4−1.ドット形成タイミングの違いによる濃度ムラ:
図6及び図7は、図4及び図5に示したノズルパターンについて、印刷媒体Pの主走査方向の両端における各ドットの形成タイミングを示している。ここでは、紙面の都合上、用紙幅は、ドット16列分としている。上述した局所領域に注目すると、印刷媒体Pの左端の局所領域、例えば、印刷媒体Pの左端の1行1列から2行2列までの局所領域では、−3回目の主走査(右向き)において、ノズル番号23のノズルにより最初のドットが形成される。そして、−2回目の主走査(左向き)において、ノズル番号15のノズルにより2番目のドットが形成される。かかるドットは、最初のドットが形成されてから、印刷ヘッド90の往復動時間を経過後に形成されるものであり、先のドットが形成されてから相対的に長時間経過後に形成されるドットであるから、本願ではロングドットLともいう。
そして、−1回目の主走査(右向き)において、ノズル番号8のノズルにより、3番目にドットが形成される。かかるドットは、2回目のドットが形成された後、印刷ヘッド90が印刷媒体Pの左端で折り返してすぐに形成されるドットであり、先のドットが形成されてから相対的に短時間経過後に形成されるドットであるから、本願ではショートドットSともいう。
そして、0回目の主走査(左向き)において、ノズル番号0番のノズルにより、最後のドットが形成される。かかるドットは、ロングドットLである。説明は省略するが、印刷媒体Pの両端における他の局所領域についても、同様に、ロングドットLとショートドットSとが形成される。図6(c),図7(c)では、ロングドットLが形成されるドット形成位置はハッチング表示、ショートドットSが形成されるドット形成位置は反転表示により表示している。
上述したように、1行1列から2行2列までの局所領域では、最初のドットが形成された後、2番目から4番目に形成されるドットは、ロングドットL、ショートドットS、ロングドットLの順に形成される。これを図6(c),図7(c)では、ノズルパターンの左脇のドット形成タイミング1として「LSL」と表示している。
一方、印刷媒体Pの右端の局所領域、例えば、1行15列から2行16列の局所領域では、左端とは逆に、ショートドットS、ロングドットL、ショートドットSの順にドットが形成される。これを図6(c),図7(c)では、ノズルパターンの右脇のドット形成タイミング1として「SLS」と表示している。
かかるドットの形成タイミングは、図6(c),図7(c)のドット形成タイミング1に示すように、副走査方向に沿って、印刷ヘッド90が副走査方向に移動するドット形成位置ごとに「LSL」と「SLS」とが入れ替わることとなる。例えば、印刷媒体Pの左端では、ドット形成位置の1行1列から14行2列までに属する局所領域におけるドット形成タイミングは「LSL」であるが、15行1列から30行2列までに属する局所領域におけるドット形成タイミングは「SLS」となる。かかるドット形成タイミングの変化は、局所領域を1ラスタ分ずらして注目した場合においても、図6(c),図7(c)のドット形成タイミング2に示すように、同様の結果となる。
このように、両方向印刷においては、印刷ヘッド90が相対移動するたびに、副走査方向に沿ってドット形成タイミングが変化する。かかるドット形成タイミングの違いは、インクのにじみやすさが異なることから、濃度ムラの原因となり、印刷画像の副走査方向において、印刷ヘッド90の送り量ごとに縞模様となって表れる。また、印刷媒体Pの両端間では、ドット形成タイミングが反対となり、印刷媒体Pの中央部に向かうにつれ、このようなタイミングの違いが緩和されていくので、印刷画像の主走査方向において、濃度がグラデーションとして表れる。これらの問題は、特に、印刷ヘッド90の1回の往復動作に長時間を要する大判プリンタにおいて顕著となる。逆に、形成されるドット同士が接触しない程度に疎である場合には、ドット形成タイミングが違ってもインクのにじみやすさは変わらないので、低デューティの印刷領域では、かかる濃度ムラの問題は生じにくい。
A−4−2.インク色間のドット形成順序の違いによる色ムラ:
図8は、局所領域の各ドットを形成する印刷ヘッド90の主走査方向を時系列的に示している。図6(c)で説明したように、1行1列から2行2列までの局所領域の4つのドットは、右方向、左方向、右方向、左方向の順の主走査で形成される。これを図8(c)では、ノズルパターンの右脇に主走査方向順序「→ ← → ←」として表示している。かかる主走査方向の順序は、上述したドット形成タイミングと同様に、印刷ヘッド90が副走査方向に移動するドット形成位置ごとに、副走査方向に沿って「→ ← → ←」と「← → ← →」とが入れ替わることとなる。なお、38行以降のノズルパターンは図示を省略している。
ここで、図2に示したように、各カラーインクに対応するノズル列92〜97は、副走査方向に沿って配列されているので、印刷ヘッド90の主走査方向の違いは、カラーインク間の吐出順序の違いを生じる。つまり、印刷ヘッド90の往動(図2では右向き)では、印刷媒体Pには、ライトマゼンタインクLm,ライトシアンインクLc,ブラックインクK,イエロインクY,マゼンタインクM,シアンインクCの順に吐出されるのに対して、印刷ヘッド90の復動(図2では左向き)では、シアンインクC,マゼンタインクM,イエロインクY,ブラックインクK,ライトシアンインクLc,ライトマゼンタインクLmの順に形成されるのである。かかるカラーインク間の吐出順序の違いは、印刷媒体Pに形成されるドットの色合いの違いを生じる。かかる色合いの違いは、上述のように所定領域のドットを形成する主走査方向の順序がドット形成位置によって変化することによっても発生し、その変化点において色ムラを生じることとなる。なお、かかる色ムラの問題は、上述した濃度ムラと同様に、低デューティの印刷領域では生じにくい。
A−5.ディザマスクによるノズルパターン制御:
本発明は、上述した両方向印刷に起因する印刷画像のムラを、ノズルパターンの特性を利用して抑制するものであり、その原理を以下に説明する。プリンタ20のハーフトーン処理(図3、ステップS130参照)において用いるディザマスク62の主走査方向及び副走査方向のサイズは、上述したノズルパターンの繰返し最小単位RUの正整数倍となっている。ディザマスク62をこのようなサイズとすることで、容易に、繰返し最小単位RUの各ドット形成位置と、その位置でのドットのON/OFFの判断に適用されるディザマスク62の閾値の値との対応関係を一定に定めることができる。このようにすれば、ノズルパターンは繰返し最小単位RUの周期性を有しているので、ディザマスク62の閾値の値の設定次第で、ノズルごとのドット形成のされやすさを制御することができる。ただし、ディザマスク62のサイズは、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの正整数倍に限るものではなく、ディザマスク62が、繰返し最小単位RUの各ドット形成位置と、その位置でのドットのON/OFFの判断に適用されるディザマスク62の閾値の値との対応関係を一定に定めることができるものであればよい。例えば、図4(c),図5(c)に示したノズルパターンのうち、ノズルパターンの繰返し最小単位RUの半分に相当する1行1列から30行2列までのノズルパターンは、31行2列から60行3列までのノズルパターンと同じであるから、各ドット形成位置に対して、ディザマスクを1列分ずつずらして副走査方向に敷き詰めるように適用するのであれば、ディザマスク62の副走査方向のサイズをノズルパターンの繰返し最小単位RUの2分の1のサイズとしてもよい。
かかるディザマスク62の閾値の特性について、図9を用いて説明する。図9は、図4,図5に示したノズルパターンを示している。図9では、バンド番号が偶数のドット形成位置のうち、ノズル番号23〜29によってドットが形成されるドット形成位置と、バンド番号が奇数のドット形成位置のうち、ノズル番号0〜6のノズルでドットが形成されるドット形成位置を反転表示で示している。ディザマスク62の各閾値は、かかる反転表示のドット形成位置では、インクデューティが所定値以下ではドットが形成されないように設定されている。本実施例では、所定値は50%とした。
上述のノズル番号0〜6のノズルは、ノズルピッチの数(ここでは2)に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、当該連続するラスタを形成するための所定回数(ここでは4回)の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルであり、本願においては、前端ノズルともいう。例えば、図4(c)に示したノズルパターンにおいて、第13,14行の連続するラスタの形成に対しても、第14,15行のラスタの連続するラスタの形成においても、ノズル番号19のノズルは、これらの連続するラスタを形成する4回の主走査のうち、最初の主走査でドットを形成するということである。また、上述のノズル番号23〜29のノズルは、上述の連続するラスタのいずれに対しても、所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルであり、本願においては、後端ノズルともいう。
かかる特性のディザマスク62を用いて上記ステップS130のハーフトーン処理を行えば、インクデューティ50%以下の印刷を行う際には、図9に反転表示で示したドット形成位置には、ドットが形成されないこととなる。その結果が印刷画質に与える影響について図10及び図11を用いて説明する。図10,図11は、ディザマスク62を用いたハーフトーン処理によって、図6,図7に示した印刷媒体Pの両端におけるドット形成タイミング1がどのように変化するかを示している。例えば、偶数バンドに属する1行1列から2行2列までの局所領域に注目すれば、インクデューティ50%以下の印刷を行う際には、偶数バンドの前端ノズルではドットは形成されない(当該局所領域においては、ノズル番号23のノズルではドットは形成されない)ので、当該局所領域には、−2回目の主走査において、ノズル番号15のノズルにより最初のドットが形成される。その後、−1回目の主走査において、ノズル番号8のノズルによりショートドットSが形成され、その後、0回目の主走査においてノズル番号0のノズルによりロングドットLが形成される。すなわち、当該局所領域におけるドット形成タイミングは、「SL」となる。
また、奇数バンドに属する15行1列から16行2列までの局所領域に注目すれば、インクデューティ50%以下の印刷を行う際には、奇数バンドの後端ノズルではドットは形成されない(当該局所領域においては、ノズル番号0のノズルではドットは形成されない)ので、当該局所領域には、−2回目の主走査において、ノズル番号22のノズルにより最初のドットが形成される。その後、0回目の主走査において、ノズル番号15番のノズルによりショートドットSが形成され、その後、0回目の主走査においてノズル番号7番のノズルによりロングドットLが形成される。すなわち、この場合の局所領域におけるドット形成タイミングは、「SL」となる。
以上のように、ディザマスク62を用いてハーフトーン処理を行えば、所定のインクデューティ以下(ここでは50%以下)の印刷を行う際には、印刷媒体Pの左端において、一部の領域を除き、ドット形成順序を「SL」で統一させることができるのである。この一部の領域については、後述する。また、説明は省略するが、同様にして、印刷媒体Pの右端では、ドット形成順序を「LS」で統一させることができる。すなわち、印刷媒体Pの両端において、ドット形成タイミングが副走査方向に沿って変化することを抑制して、副走査方向における濃度ムラの発生を抑制することができる。なお、かかるディザマスク62を用いてハーフトーン処理を行えば、インクデューティが50%を超える印刷を行う場合であっても、一定の効果が得られることは勿論である。
また、ディザマスク62を用いてハーフトーン処理を行えば、主走査方向の順序の違いによる色ムラをも大幅に改善できることとなる。偶数バンドでは前端ノズルから、奇数バンドでは後端ノズルからドットが吐出されないので、図12(d)に示すように、局所領域を形成する主走査順序は、一部の局所領域を除き、「← → ←」で統一することができるからである。なお、38行以降のノズルパターンは図示を省略している。
なお、上述のドット形成タイミングの違いや主走査方向の順序の違いを統一できない一部の領域とは、本実施例においては、例えば、図10(c),11(c)の29行1列から30行2列までの局所領域や、59行1列から60行2列までの局所領域である。かかる局所領域は、バンド境界に属するからである。例えば、29行1列から30行2列までの局所領域において、当該局所領域にドットを形成する最後の主走査である1回目の主走査でノズル番号7のノズルでドットを形成しなければ、上述した場合と同様に、当該局所領域ではドット形成順序は「SL」となるが、図6(c)に示したドット形成タイミング2の区分に基づいて、30行1列から31行2列までの局所領域(LSL)に注目すれば、ノズル番号7のノズルでドットを形成しないようにしても、ドット形成順序は「SL」とはならないのである。当該局所領域でドット形成順序を「SL」とするためには、最初の主走査でドットを形成するノズル番号22のノズルでドットが形成されないようにする必要がある。つまり、ノズル番号7や22のノズルはバンド境界に位置し、局所領域の注目の仕方によって、最初や最後の主走査でドットを形成するノズルになる場合と、そのようにならない場合があるので、当該箇所では、ドット形成タイミングの違いや主走査方向の順序の違いを完全には統一できないのである。
また、上述のプリンタ20は、ディザマスク62の閾値の設定を考慮するだけで特別な構成を必要としないので、上述した濃度ムラや色ムラを抑制することができる効果に加えて、汎用性が高いという効果も奏する。
かかるディザマスク62の具体例を図13に示す。図示するディザマスク62は、主走査方向及び副走査方向の一部分を抜粋したものであり、その閾値は0〜255の範囲で設定されている。各閾値の上端及び左端に付した行列番号は、当該閾値が適用されるノズルパターンの行列番号を示している。すなわち、ディザマスク62は、図9に示したノズルパターンの左上端と、ディザマスク62の左上端が一致する位置関係で適用される。図13では、各閾値は、インクデューティ50%の印刷時において、ドットがオンとなる閾値は反転表示し、ドットがオフとなる閾値は、通常の黒文字表示で示している。特に、図9に示した、所定のインクデューティ以下ではドットが形成されないドット形成位置(図9の反転表示位置)に適用される閾値は、背景色をグレー表示している。図13では、背景色をグレー表示した閾値は128より大きな値となっており、インクデューティ50%以下の印刷時においては、かかるドット形成位置には、ドットが形成されないこととなる。
なお、かかるディザマスク62は、以下のようにして作成することができる。まず、図13の背景をグレー表示した位置を除いて、値0〜128までのディザマスクの閾値を最適に配置する。そして、背景をグレー表示した位置を含む残りの位置に、値129〜255までの閾値を最適に配置する。閾値配置の最適化方法は、種々の方法が知られているので、その説明は省略するが、例えば、各閾値の配置を、所定の粒状性評価値に基づいて、最も小さい閾値から順に決定していく方法を用いることができる。
図13に示したディザマスク62の特性を、ノズルごとのインクを吐出する割合であるノズル使用率(インクデューティ50%時)で示せば、図14のとおりとなる。図示するように、偶数バンドにおいては、前端ノズル(ノズル番号23〜29)については、ノズル使用率はゼロであり、ノズル番号0〜21のノズルについては、平均的なノズル使用率となっている。また、本実施例においては、偶数バンドにおけるノズル番号22のノズルのノズル使用率は、前端ノズルのノズル使用率と、その他のノズルのノズル使用率との中間値をとるように設定されている。
一方、奇数バンドにおいては、後端ノズル(ノズル番号0〜6)については、ノズル使用率はゼロであり、ノズル番号8〜29番のノズルについては、平均的なノズル使用率となっている。また、本実施例においては、奇数バンドにおけるノズル番号7番のノズルのノズル使用率は、後端ノズルのノズル使用率と、その他のノズルのノズル使用率との中間値をとるように設定されている。このようにノズル番号7と22のノズルのノズル使用率を中間的な値としたのは、当該ノズルは、上述のとおり、バンド境界に位置するので、バンド境界における縞模様が目立たないようにするためである。ただし、ノズル番号7と22のノズルのノズル使用率は、中間的な値に限らず、どのような値であってもかまわない。
なお、上述の例では、偶数バンドにおいては前端ノズルのノズル使用率が、奇数バンドにおいては後端ノズルのノズル使用率が、いずれもゼロとなるように、ディザマスク62の閾値を設定したが、前端ノズルまたは後端ノズルのノズル使用率は、必ずしもゼロである必要はなく、例えば、図16に示すように、前端ノズルまたは後端ノズルのノズル使用率を、他のノズルよりも低い値としてもよい。図16のノズル使用率に対応するディザマスク62の具体例は、図15に示すとおりである。図13において背景をグレー表示で示した位置の閾値の一部(例えば、2行6列の閾値)が、インクデューティ50%でドットが形成される128以下の値(反転表示)となっている。こうしても、上述の濃度ムラや色ムラを一定程度抑制する効果を奏する。
もとより、前端ノズルまたは後端ノズルのノズル使用率や、その他のノズルの使用率は、必ずしも一定値である必要はなく、図17に示すように、それぞれが異なる値となってもよい。
また、上述の実施例では、偶数バンドにおいて前端ノズルから、奇数バンドにおいて後端ノズルからインクが吐出されないように、ディザマスク62の閾値が設定された例を示したが、偶数バンドにおいて後端ノズルから、奇数バンドにおいて前端ノズルからインクが吐出されないように、ディザマスク62の閾値が設定されても同様の効果を奏することは勿論である。この場合、例えば、印刷媒体Pの左端におけるドット形成タイミングは、「LS」で統一されることとなる。
要するに、かかるディザマスク62は、前端ノズル使用率と後端ノズル使用率とが異なる値となり、かつ、印刷ヘッド90が相対移動するたびに(バンドごとに)前端ノズルのノズル使用率と後端ノズルのノズル使用率との大小関係が入れ替わるように閾値が設定されていればよいのである。換言すれば、印刷ヘッド90の往復動のいずれか一方の方向の主走査においては、前端ノズルと後端ノズルのうちのいずれか一方からのインクの吐出を抑制し、他方の方向の主走査においては、前端ノズルと後端ノズルのうちの他方からのインクの吐出を抑制すればよいのである。
また、上述の例では、インクデューティが50%以下の印刷時に、図9に反転表示で示したドット形成位置にドットが形成されないようにディザマスク62の閾値を設定したが、このような効果が得られるインクデューティは、50%に限らず、適宜設定すればよく、例えば、30%でもよいし、75%でもよい。ただし、ドットがある程度密に形成される中間階調以上の印刷領域で、上述した濃度ムラや色ムラが顕著となりやすいので、中間階調領域に対応するインクデューティで設定することがより望ましい。
B.第2実施例:
本発明の第2実施例について説明する。第1実施例においては、ディザマスク62を用いた組織的ディザ法によるハーフトーン処理により、両方向印刷に起因する濃度ムラ及び色ムラを抑制する構成について示したが、第2実施例においては、所定のインターレース処理により同様の効果を奏する点が第1実施例と異なる。以下、異なる点について説明する。第2実施例としてのプリンタ20の構成及びプリンタ20による印刷処理は、基本的に第1実施例と同様であり、第1実施例と異なる点は、図2に示したノズル列92〜97がノズル番号0〜36の37個のノズルで構成されている点と、ステップS130のハーフトーン処理をどのような方法によってもよい点である。ノズル番号30〜36のノズルは、第1実施例でいう前端ノズルであるが、本実施例においては、後端ノズル(ノズル番号0〜6)のノズルと同一のドット形成位置にドットを形成する、すなわち、後端ノズルとドットの形成を分担するため、余剰ノズルともいう。まず、余剰ノズルを有する従来のプリンタ20の構成について、図18及び図19を用いて説明する。
図18及び図19は、余剰ノズルを備えた従来のプリンタによってドットが形成される様子を示す図である。図18及び図19は、連続する図であるが、紙面の都合上、図4と図5とに2分割して示している。図18(a),図19(a)は、ノズル列92が、主走査の度に副走査方向に移動していく様子を示している。図18(b),図19(b)は、印刷媒体上に形成される各ドットが、何回目の主走査で形成されるかを主走査番号で表示している。図18(b),図19(b)に示す各格子は、左から順に、各ラスタにおけるN,N+1,N+2,N+3(Nは1以上の整数)番目のドットを表している。これらの図については、上述した図4,図5と同様の考え方に基づいているため、詳しい説明は省略する。図18(c),図19(c)は、ノズルパターンを示している。第1実施例のノズルパターン(図4(c),図5(c)参照)との違いは、ノズル番号0〜6のノズルでドットを形成する位置の半分については、余剰ノズル(ノズル番号30〜36)でドットを形成する点である。図18(c),図19(c)では、余剰ノズルでドットが形成されるドット形成位置を反転表示で示している。
かかる従来のプリンタにおけるノズル使用率(インクデューティ50%時)を図20に示す。図示するように、前端ノズル(ノズル番号30〜36)と後端ノズル(ノズル番号0〜6)とは、他のノズルと比べて半分のノズル使用率となっている。こうすることで、主走査番号が異なるドットのつなぎ目が分散することとなるので、バンディングを目立たなくすることができるからである。
次に、第2実施例におけるプリンタ20の構成について説明する。第2実施例においては、図20に示したノズル使用率に代えて、図21に示すノズル使用率で印刷を行う。要するに、偶数バンドにおいては、前端ノズル(ノズル番号30〜36)のノズル使用率をゼロとし、その他のノズルのノズル使用率は50%とする。また、奇数バンドにおいては、後端ノズル(ノズル番号0〜6)のノズル使用率をゼロとし、その他のノズルのノズル使用率を50%とする。かかる制御は、上記ステップS140のインターレース処理において、CPU40が、前端ノズルと後端ノズルの分担率を制御することで行うものである。こうすれば、偶数バンドにおいては、前端ノズルによりドットが形成されにくく、奇数バンドにおいては、後端ノズルによりドットが形成されにくいので、第1実施例と同様の効果を奏することができる。
なお、前端ノズルまたは後端ノズルのノズル使用率は、必ずしもゼロである必要はなく、第1実施例と同様に、印刷ヘッド90が相対移動するたびに(バンドごとに)、前端ノズルのノズル使用率と後端ノズルのノズル使用率との大小関係が入れ替わるようにノズル使用率が変化すれば、一定の効果を奏する。例えば、図22に示すように、偶数バンドと奇数バンドとで、前端ノズル及び後端ノズルのノズル使用率の値を逆転させることでもよい。
C.第3実施例:
本発明の第3実施例について説明する。第3実施例においては、特別な配慮を行った誤差拡散法を用いて上記ステップS130のハーフトーン処理を行う点が上述の第1実施例及び第2実施例と異なる。以下、第3実施例としてのステップS130の詳細について説明する。第3実施例としてのハーフトーン処理(ステップS130)の流れを図23に示す。この処理は、CPU40がハーフトーン処理部42の処理として実行する処理である。なお、かかる処理のうち、後述するステップS133及びS134以外は、従来の誤差拡散法によるハーフトーン処理の手順であり、従来手法の部分については説明を簡略化する。この処理が開始されると、CPU40は、まず、ステップS120で色変換処理が行われた画像データについて、注目画素位置の座標データn(x,y)と、注目画素データDnとを取得する(ステップS131)。
注目画素位置の座標データn(x,y)と注目画素データDnとを取得すると、CPU40は、注目画素データDnに拡散誤差Edを加算する(ステップS132)。ここで、拡散誤差Edについては、後述するS138において算出されるものであり、その内容は後述する。
注目画素データDnに拡散誤差Edを加算すると、CPU40は、注目画素位置の座標データn(x,y)と注目画素データDnとに基づいて、閾値加算値Th_addを算出する(ステップS133)。この処理の詳細については後述する。閾値加算値Th_addを算出すると、CPU40は、従来の誤差拡散法においてドットのON/OFFの判断に用いる閾値Thに閾値加算値Th_addを加算して、修正閾値RThを算出する(ステップS134)。
修正閾値RThを算出すると、CPU40は、注目画素データDnと修正閾値RThとを比較する(ステップS135)。その結果、注目画素データDnが修正閾値RTh以上であれば(ステップS135:YES)、注目画素のドットをONに決定し(ステップS136)、注目画素データDnが修正閾値RTh未満であれば(ステップS135:NO)、注目画素のドットをOFFに決定する(ステップS137)。
ドットのON/OFFを決定すると、CPU40は、2値化誤差E及び拡散誤差Edを算出する(ステップS138)。2値化誤差Eとは、注目画素データDnとドットのON/OFF結果(ここでは階調値0または255)との差分である。拡散誤差Edとは、上記ステップS132において注目画素データDnに加算する誤差であり、本実施例では、注目画素の上下左右の画素に対して、2値化誤差Eの1/4ずつを配分するものとした。
そして、2値化誤差E及び拡散誤差Edを算出すると、CPU40は、全ての画素を注目画素として上記ステップS131〜S138の処理を繰り返す(ステップS139)。こうして、ステップS130のハーフトーン処理は終了する。
上記ステップS133の閾値加算値Th_add算出処理の手順を図24に示す。この処理が開始されると、CPU40は、まず、注目画素位置n(x,y)から、当該画素に対応するドットを形成するノズルのノズル番号NNを特定する(ステップS210)。ノズル番号NNは、例えば、ノズルパターンの繰返し最小単位RUをEEPROM60などに記憶しておき、CPU40が、注目画素位置n(x,y)がノズルパターンの繰返し最小単位RUのいずれの位置に対応するかを判断することにより、容易に特定することができる。
ノズル番号NNを特定すると、CPU40は、注目画素位置n(x,y)から、当該画素が属するバンド番号BNを特定する(ステップS220)。この処理は、例えば、注目画素位置n(x,y)の副走査方向成分yの値から値1を引き、副走査方向の送り量(ここでは15)で除して、小数点以下を切り捨てることで、容易に特定することができる。例えば、yの値が45であれば、(45−1)/15(=2.93)の計算により、バンド番号BNは2となる。
バンド番号BNを特定すると、CPU40は、ノズル番号NNが0以上6以下であり、かつ、バンド番号BNが奇数であるか、あるいは、ノズル番号NNが23以上29以下であり、かつ、バンド番号BNが偶数であるか否かを判断する(ステップS230)。その結果、ノズル番号NNが0以上6以下であり、かつ、バンド番号BNが奇数である場合、あるいは、ノズル番号NNが23以上29以下であり、かつ、バンド番号BNが偶数である場合には(ステップS230:YES)、CPU40は、閾値加算値Th_addを値AD1に設定する(ステップS240)。一方、ノズル番号NN及びバンド番号BNがステップS230の条件のいずれにも該当しない場合には(ステップS230:NO)、CPU40は、ノズル番号NNが7であり、かつ、バンド番号BNが奇数であるか、あるいは、ノズル番号NNが22であり、かつ、バンド番号BNが偶数であるか否かを判断する(ステップS250)。
その結果、ノズル番号NNが7、かつ、バンド番号BNが奇数である場合、あるいは、ノズル番号NNが22、かつ、バンド番号BNが偶数である場合には(ステップS250:YES)、CPU40は、閾値加算値Th_addを値AD2に設定する(ステップS260)。一方、ノズル番号NN及びバンド番号BNがステップS250の条件のいずれにも該当しない場合には(ステップS250:NO)、CPU40は、閾値加算値Th_addを値0に設定する(ステップS270)。こうして、閾値加算値Th_addの算出処理は終了となる。なお、閾値加算値Th_addとして設定する値AD1及びAD2は、AD1>AD2>0の関係を有する。
かかる構成のプリンタ20は、注目画素に対応するドットが前端ノズル(ノズル番号23〜29)により偶数バンドに形成される場合には、ドットのON/OFF判断に用いる閾値を値AD1だけ相対的に大きくするので、当該ドットのドット形成位置にはドットが形成されにくくなる。注目画素に対応するドットが後端ノズル(ノズル番号0〜6)により奇数バンドに形成される場合も同様である。
また、注目画素に対応するドットがノズル番号7のノズルにより奇数バンドに形成される場合と、ノズル番号22のノズルにより偶数バンドに形成される場合には、ドットのON/OFF判断に用いる閾値を値AD2だけ相対的に大きくするので、当該ドットのドット形成位置にはドットが形成されにくくなる。また、AD1>Ad2であるから、閾値に値AD1を加える場合よりは、ドットは形成されやすい。したがって、値AD1及びAD2を調整することにより、ノズル使用率を制御することができ、第1実施例と同様の効果を奏する。
なお、値AD1及びAD2の調整は、例えば、インクデューティが所定の値(例えば、50%)の印刷を行う際に、図14に示したノズル使用率に近づくように行えばよい。また、値AD1及びAD2を、入力階調値の関数として最適化しておけば、入力階調値、すなわち、インクデューティに応じて、所望のノズル使用率に制御することも可能である。
D.変形例:
上述の実施形態の変形例について説明する。
D−1.変形例1:
上述の実施形態においては、各ドット形成位置の副走査方向の位置(バンド)と、当該ドット形成位置にドットを形成するノズル番号に応じて、ドットの形成のされやすさを制御して、印刷を行う構成について示したが、さらに、各ドット形成位置の主走査方向の位置に応じて、ドットの形成のされやすさを制御してもよい。以下に、かかる構成について説明する。
変形例1は、上述の第1実施例の構成(組織的ディザ法による構成)に加えて、各ドット形成位置の主走査方向の位置に応じて、ドットの形成のされやすさを制御する構成である。変形例1としてのノズル使用率(インクデューティ50%時)を図25に示す。図示するように、印刷媒体Pの左端におけるノズル使用率は、偶数バンドでは、前端ノズル(ノズル番号23〜29)がゼロ、ノズル番号0〜21のノズルがインクデューティに対応する平均的な値、ノズル番号22がそれらの中間値とし、奇数バンドでは、後端ノズル(ノズル番号0〜6)がゼロ、ノズル番号8〜29のノズルがインクデューティに対応する平均的な値、ノズル番号7がそれらの中間値としている。
一方、印刷媒体Pの右端におけるノズル使用率は、奇数バンドでは、前端ノズル(ノズル番号23〜29)がゼロ、ノズル番号0〜21のノズルがインクデューティに対応する平均的な値、ノズル番号22がそれらの中間値とし、偶数バンドでは、後端ノズル(ノズル番号0〜6)がゼロ、ノズル番号8〜29のノズルがインクデューティに対応する平均的な値、ノズル番号7がそれらの中間値としている。すなわち、印刷媒体Pの左端と右端では、ノズル使用率の大小関係を逆転させているのである。
かかるノズル使用率を実現するためには、印刷媒体Pの左端については、第1実施例と同様のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行えばよい。また、印刷媒体Pの右端については、図26に反転表示で示すドット形成位置にドットが形成されにくいディザマスクを用いてハーフトーン処理を行えばよい。図26は、図4,図5に示したノズルパターンであり、バンド番号が偶数のドット形成位置のうち、ノズル番号0〜6によってドットが形成されるドット形成位置と、バンド番号が奇数のドット形成位置のうち、ノズル番号23〜29のノズルでドットが形成されるドット形成位置を反転表示で示している。
このように、印刷媒体Pの左端側と右端側とでノズル使用率の大小関係を入れ替えたディザマスクを切り替え使用してハーフトーン処理を行えば、図27(c)に示すように、図6のドット形成タイミング1で示したドット形成順序を印刷媒体Pの両端において、一部の領域を除き、「SL」で統一させることができる。なお、ドット形成順序が「SL」で統一される理由は、図10及び図11で説明済みであるため、説明を省略する。その結果、第1実施例における副走査方向の濃度ムラの発生を抑制することができる効果に加えて、主走査方向においても、濃度ムラの発生を抑制することができる。
さらに、変形例1においては、図25に示すように、印刷媒体Pの中央付近においては、全てのノズルのノズル使用率がインクデューティに対応する平均的な値としている。これは、印刷媒体Pの中央付近においては、主走査方向の向きにかかわらず、ドット形成タイミングはほぼ一定になるからである。このように、印刷媒体Pの左端側、中央付近、右端側といった印刷媒体Pの主走査方向の位置に応じて、使用するディザマスクを切り替えてノズル使用率を段階的に変化させることで、主走査方向の濃度ムラを緩やかにして、印刷画質の低下を抑制することができる。なお、ノズル使用率の主走査方向における段階変化は、図25に示したような3段階(左端側、中央付近、右端側)の変化に限るものではなく、さらに多段階に変化させれば、主走査方向の濃度変化がさらに緩やかになるのは勿論である。
D−2.変形例2:
第2実施例に示した余剰ノズルを用いたインターレース処理について、変形例1と同様の効果を奏する構成について変形例2として説明する。変形例2では、インターレース処理により、ノズル使用率を図28のように制御する点が、第2実施例と異なる。要するに、印刷媒体Pの左端におけるノズル使用率は、偶数バンドでは、前端ノズル(ノズル番号30〜36)のノズル使用率をゼロとし、その他のノズルのノズル使用率は50%とし、奇数バンドでは、後端ノズル(ノズル番号0〜6)のノズル使用率をゼロとし、その他のノズルのノズル使用率を50%とする。
一方、印刷媒体Pの右端におけるノズル使用率は、偶数バンドでは、後端ノズル(ノズル番号0〜6)のノズル使用率をゼロとし、その他のノズルのノズル使用率は50%とし、奇数バンドでは、前端ノズル(ノズル番号30〜36)のノズル使用率をゼロとし、その他のノズルのノズル使用率を50%とする。また、印刷媒体Pの中央付近では、従来の余剰ノズルを有するプリンタと同様に、前端ノズル(ノズル番号30〜36)と後端ノズル(ノズル番号0〜6)とは、他のノズルと比べて半分のノズル使用率とする。
このようにしても、前端ノズルと後端ノズルのノズル使用率の大小関係を、バンドごと、かつ、印刷媒体Pの左端と右端とで入れ替えることができるので、変形例1と同様の効果を奏することができる。
D−3.変形例3:
第3実施例に示した誤差拡散法によるハーフトーン処理について、変形例1と同様の効果を奏する構成について変形例3として説明する。変形例3におけるハーフトーン処理では、図24に示した閾値加算値Th_add算出処理が第3実施例と異なる。変形例3としての閾値加算値Th_add算出処理の流れを図29に示す。なお、図24と同様の処理については、図24と同一の符号を付して、説明を省略する。
この処理では、ノズル番号NN及びバンド番号BNを特定すると(ステップS210,S220)、CPU40は、ノズル番号NN及びバンド番号BNに応じて、閾値加算値Th_addを設定する。具体的には、ノズル番号NNが0以上6以下であり、かつ、バンド番号BNが奇数、あるいは、ノズル番号NNが23以上29以下であり、かつ、バンド番号BNが偶数であれば(ステップS230:YES)、CPU40は、注目画素位置n(x,y)の主走査方向成分xと、主走査方向成分xがとり得る最大値であるXmaxを用いて、閾値加算値Th_addを次式(1)により設定する(ステップS340)。
Th_add=AD1×(Xmax−x)/Xmax・・・(1)
また、ノズル番号NNが23以上29以下であり、かつ、バンド番号BNが奇数、あるいは、ノズル番号NNが0以上6以下であり、かつ、バンド番号BNが偶数であれば(ステップS350:YES)、CPU40は、閾値加算値Th_addを次式(2)により設定する(ステップS360)。
Th_add=AD1×x/Xmax・・・(2)
また、ノズル番号NNが7であり、かつ、バンド番号BNが奇数、あるいは、ノズル番号NNが22であり、かつ、バンド番号BNが偶数であれば(ステップS370:YES)、CPU40は、閾値加算値Th_addを次式(3)により設定する(ステップS380)。
Th_add=AD2×(Xmax−x)/Xmax・・・(3)
また、ノズル番号NNが22であり、かつ、バンド番号BNが奇数、あるいは、ノズル番号NNが7であり、かつ、バンド番号BNが偶数であれば(ステップS390:YES)、CPU40は、閾値加算値Th_addを次式(4)により設定する(ステップS400)。
Th_add=AD2×x/Xmax・・・(4)
そして、ノズル番号NN及びバンド番号BNが、上記の4つの条件のいずれにも該当しない場合には、CPU40は、閾値加算値Th_addを値0に設定する(ステップS270)。こうして閾値加算値Th_addの算出処理は終了となる。なお、第3実施例と同様に、値AD1及びAD2は、AD1>AD2>0の関係を有する。
このようにしても、前端ノズルと後端ノズルのノズル使用率の大小関係を、バンドごと、かつ、印刷媒体Pの左端と右端とで入れ替えることができるので、変形例1と同様の効果を奏することができる。勿論、注目画素位置n(x,y)の主走査方向成分xの大きさを判断条件に加えれば、図25に示したノズル使用率と同様に、印刷媒体Pの左端から右端にかけてノズル使用率を段階的に変化させることも可能である。
D−4.変形例4:
上述の実施形態においては、所定のインクデューティ(実施例では50%)の印刷領域において、前端ノズルのノズル使用率と後端ノズルのノズル使用率との大小関係がバンドごとに入れ替わる構成について説明したが、かかる構成は、全てのインクデューティの印刷領域において上述の大小関係を入れ替える構成としてもよい。
例えば、全てのインクデューティの印刷領域において、上述の大小関係を入れ替えるためには、第1実施例であれば、図9に反転表示で示したドット形成位置には、他のドット形成位置にドットが全て形成されるまでドットが形成されないように、十分に大きな閾値が適用されるように、ディザマスク62を最適化すればよい。第2実施例及び第3実施例であれば、全てのインクデューティの印刷領域において、上述したインターレース処理や誤差拡散法によるハーフトーン処理を行えばよい。
また、所定の範囲のインクデューティの印刷領域のみで上述の大小関係を入れ替える構成としてもよい。例えば、インクデューティが所定値以上の印刷領域のみで、上述の大小関係を入れ替えることとしてもよい。このような構成の例を図30に示す。この例では、図示するように、インクデューティ50%の印刷領域では、図16に示したノズル使用率と同様であるが、インクデューティ10%の印刷領域においては、全てのノズルのノズル使用率が平均的な値となっている。
図30に示したノズル使用率を実現するためのディザマスク62の例を図31に示す。図示するディザマスク62は、主走査方向及び副走査方向の一部分を抜粋したものであり、その閾値は0〜255の範囲で設定されている。各閾値の表示方法は、上述した図13及び図15と同様であるため、説明を省略する。この例では、図13において背景をグレー表示で示した位置の閾値の一部(例えば、42行5列や26行10列の閾値)が、インクデューティ10%でドットが形成される24以下の値(反転表示)となっている。
また、この例では、インクデューティが10%よりも大きくなるに従い、偶数バンドの前端ノズル及び奇数バンドの後端ノズルのノズル使用率と、他のノズルのノズル使用率との比率が大きくなっていくように設定されている。逆に言えば、隣り合うバンド間における前端ノズルのノズル使用率と後端ノズルのノズル使用率との大小関係における比率は、インクデューティが低い領域ほど小さくなるように設定されている。
かかるプリンタ20では、低デューティの印刷領域では、前端ノズル使用率と後端ノズル使用率の大小関係を入れ替えず、全てのノズルが平均的なノズル使用率となる、すなわち、全ての主走査で平均的にドットが形成されるようになる。上述したとおり、低デューティの印刷領域では、濃度ムラや色ムラは生じにくいので、低デューティ領域では濃度ムラや色ムラよりも大きな問題となる、主走査方向の向きの違いによるドットの位置ずれの発生を優先して抑制することができる。
また、プリンタ20では、インクデューティが所定値以上の範囲では、インクデューティが大きくなるに従い、偶数バンドの前端ノズル及び奇数バンドの後端ノズルのノズル使用率と、他のノズルのノズル使用率との比率が大きくなるので、インクデューティが大きくなるほど、濃度ムラや色ムラを抑制し、インクデューティが小さくなるほど、ドットの位置ずれを抑制することができるので、インクデューティに応じた問題を解決することができる。また、1つの印刷画像においても、各領域のデューティに応じて、最適な印刷を行うことができる。
なお、上述の大小関係を入れ替えるインクデューティの基準(上述の例では10%)や、インクデューティに応じてどの程度ノズル使用率を変化させるかは、特に限定するものではなく、インクの質や印刷媒体Pの質に応じて、すなわち、インクのにじみやすさに応じて、適宜設定すればよい。
なお、上述した変形例4の構成は、第2実施例や第3実施例においても実現可能である。例えば、第2実施例においては、入力される階調値に応じて、前端ノズルと後端ノズルの分担率を変化させればよい。例えば、入力階調値が所定値よりも小さい場合には、前端ノズルと後端ノズルの分担率を50%とし、入力階調値が大きくなるに従い、分担率を一方に大きく偏らせればよい。また、第3実施例においては、入力される階調値に応じて、ステップS133で算出する閾値加算値Th_addを変化させればよい。例えば、入力階調値が所定値よりも小さい場合には、値AD1,AD2をゼロとし、入力階調値が大きくなるに従い、AD1,AD2を大きくすればよい。
D−5.変形例5:
上述の第2実施例では、余剰ノズルを用いたプリンタにおいて、前端ノズルと後端ノズルの分担率を制御することで、第1実施例と同様の効果を奏する例について示したが、余剰ノズルを用いたプリンタにおいても、第1実施例と同様の方法を用いてもよい。例えば、図18及び図19に示したノズルパターンであれば、繰返し最小単位RUは、第1列〜第4列及び第1行〜第60行からなるので、ディザマスク62の主走査方向及び副走査方向のサイズを、この繰返し最小単位RUの正整数倍として、第1実施例の方法を適用すれば、容易に、図21に示すノズル使用率に制御することができる。
また、余剰ノズルを用いたノズルパターンの第2の具体例を図32及び図33に示す。この例では、ノズル番号0〜6のノズルとノズル番号30〜36のノズルとの分担率を行によって変化させている。かかるノズルパターンの繰返し最小単位RUは、第1列〜8列及び第1行〜第60行からなる。余剰ノズルを用いたノズルパターンでは、上述の分担率の変化の規則性により、繰返し最小単位RUの主走査方向のサイズが異なる結果となるのである。
このように、前端ノズルと後端ノズルとの分担率が等しくない場合には、余剰ノズルがないものと扱って、各閾値を設定してもよい。すなわち、図示したノズルパターンのうち、ノズル番号30〜36をノズル番号0〜6に置き換えて、あるいは、ノズル番号0〜6をノズル番号30〜36に置き換えて、閾値を設定してもよい。換言すれば、第1実施例で示したディザマスク62をそのまま図32及び図33のノズルパターンのプリンタに使用してもよい。こうしても、一定程度の効果を得ることができる。
なお、かかる場合には、ディザマスク62の主走査方向のサイズは、必ずしも繰返し最小単位RUの正整数倍としなくてもよい。例えば、図32及び33に示したノズルパターンの繰返し最小単位RUの主走査方向のサイズは8列分であるが、適用するディザマスク62は余剰ノズルを無視した閾値設定とするのであるから、余剰ノズルがない場合のノズルパターンの繰返し最小単位RUの正整数倍(例えば、2列分)としてもよいのである。
D−6.変形例6:
上述した実施形態においては、プリンタ20が図2の印刷処理の全てを実行する構成としたが、プリンタ20にコンピュータが接続される場合には、印刷処理の一部を当該コンピュータが実行してもよい。かかる場合、コンピュータとプリンタ20とによって構成される印刷システムは、広義の印刷装置として捉えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明は、印刷装置としての構成の他、ディザマスク、印刷方法等としても実現することができる。
本発明の実施例としてのプリンタ20の概略構成図である。 印刷ヘッド90のノズル配置を示す説明図である。 プリンタ20による印刷処理のフローチャートである。 プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 両方向印刷における濃度ムラの原因についての説明図である。 両方向印刷における濃度ムラの原因についての説明図である。 両方向印刷における色ムラの原因についての説明図である。 ディザマスク62の閾値の特性を示す説明図である。 プリンタ20による濃度ムラの抑制効果を示す説明図である。 プリンタ20による濃度ムラの抑制効果を示す説明図である。 プリンタ20による色ムラの抑制効果を示す説明図である。 ディザマスク62の第1の具体例を示す説明図である。 ノズル使用率の第1の例を示す説明図である。 ディザマスク62の第2の具体例を示す説明図である。 ノズル使用率の第2の例を示す説明図である。 ノズル使用率の第3の例を示す説明図である。 第2実施例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 第2実施例としての、プリンタ20によってドットが形成される様子を示す説明図である。 従来のプリンタにおけるノズル使用率の例を示す説明図である。 第2実施例としての、ノズル使用率の第1の例を示す説明図である。 第2実施例としての、ノズル使用率の第2の例を示す説明図である。 第3実施例としてのハーフトーン処理の流れを示すフローチャートである。 閾値加算値算出処理の流れを示すフローチャートである。 変形例1としてのノズル使用率を示す説明図である。 印刷媒体の右端に適用するディザマスク62の閾値の特性を示す説明図である。 変形例1による濃度ムラ抑制の効果を示す説明図である。 変形例2としての、ノズル使用率を示す説明図である。 変形例3としての、閾値加算値算出処理の流れを示すフローチャートである。 変形例4としてのノズル使用率を示す説明図である。 変形例4としてのディザマスク62の具体例を示す説明図である。 変形例5としてのノズルパターンを示す説明図である。 変形例5としてのノズルパターンを示す説明図である。
20…プリンタ
30…制御ユニット
40…CPU
41…ハーフトーン処理部
42…印刷部
51…ROM
52…RAM
60…EEPROM
62…ディザマスク
70…キャリッジモータ
71…駆動ベルト
72…プーリ
73…摺動軸
74…紙送りモータ
75…プラテン
80…キャリッジ
82〜87…インクカートリッジ
90…印刷ヘッド
92〜97…ノズル列
98…メモリカードスロット
99…操作パネル
P…印刷媒体
MC…メモリカード
RU…繰返し最小単位

Claims (13)

  1. 印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら画像の印刷を行う印刷装置であって、
    前記印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを所定のノズルピッチで前記副走査方向に配列したノズル列と、
    前記画像を構成する画像データを入力する入力部と、
    前記入力した画像データをドットの形成の有無を表すドットデータに変換するハーフトーン処理部と、
    前記ハーフトーン処理の結果に基づき、前記ノズル列の各ノズルのインクの吐出を制御して、印刷を行う印刷部と
    を備え、
    前記印刷ヘッドは、主走査における往動時と復動時の両方においてインクを吐出する両方向印刷を行うものであり、
    前記複数のノズルのノズルピッチは、該複数のノズルのうちの前記副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数と、前記隣り合うノズルのうちいずれか一方のノズルにより形成されるドットとを合算したドット数であり、
    所定の範囲のインクデューティの印刷領域において、
    前記ノズル列を構成するノズルであって、前記ノズルピッチの数に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、該連続するラスタを形成するための所定回数の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルである前端ノズルがインクを吐出する割合である前端ノズル使用率と、前記ノズル列を構成するノズルであって、前記連続するラスタのいずれに対しても、前記所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルである後端ノズルがインクを吐出する割合である後端ノズル使用率とは、異なる値であり、
    前記印刷ヘッド前記副走査方向への相対的な送り量に相当するバンド毎に、前記前端ノズル使用率と前記後端ノズル使用率との大小関係が入れ替わる
    印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記ハーフトーン処理部は、複数の閾値からなるディザマスクの各閾値と前記画像データとを比較する組織的ディザ法によりハーフトーン処理を行い、
    前記印刷媒体上の各位置のドットを前記複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、該各位置に適用される前記ディザマスクの各々の閾値の値との対応関係は一定に定まっており、
    前記ディザマスクは、前記大小関係が入れ替わるように、前記前端ノズル及び前記後端ノズルによりドットが形成されるドット形成位置に適用される閾値の値が設定された
    印刷装置。
  3. 前記ディザマスクは、前記副走査方向のサイズが、前記ノズルパターンの繰返しの最小単位の正整数倍のサイズである請求項2記載の印刷装置。
  4. 前記ディザマスクは、前記主走査方向のサイズが、前記ノズルパターンの繰返しの最小単位の正整数倍のサイズである請求項3記載の印刷装置。
  5. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記ハーフトーン処理部は、誤差拡散法によりハーフトーン処理を行い、
    前記前端ノズル及び前記後端ノズルによりドットが形成されるドット形成位置におけるドットの形成の有無の判断に用いる閾値の値を、該ドット形成位置に応じて相対的に増加させることで、前記大小関係を入れ替える
    印刷装置。
  6. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記前端ノズル及び前記後端ノズルは、前記印刷媒体上の同一のドット形成位置にドットを形成するノズルであり、
    前記印刷部は、前記印刷ヘッド前記副走査方向への相対的な送り量に相当するバンド毎に、前記同一のドット形成位置に前記前端ノズル及び前記後端ノズルのうちのいずれでドットを形成するかを示す分担率を変化させることで、前記大小関係を入れ替える
    印刷装置。
  7. 所定のインクデューティにおける印刷時において、前記前端ノズル使用率及び前記後端ノズル使用率のいずれか一方の値はゼロである請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の印刷装置。
  8. 前記前端ノズル使用率及び前記後端ノズル使用率は、前記印刷媒体上の主走査方向の右端位置と左端位置とで、前記大小関係が入れ替わる請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の印刷装置。
  9. 前記前端ノズル使用率及び前記後端ノズル使用率は、前記印刷媒体上の主走査方向の位置に応じて段階的に変化する請求項8記載の印刷装置。
  10. 前記大小関係は、所定以上のインクデューティの印刷領域においてのみ入れ替わる請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の印刷装置。
  11. 少なくとも所定の範囲のインクデューティの印刷領域において、インクデューティが低い印刷領域ほど前記大小関係における比率が小さくなる請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の印刷装置。
  12. 複数の閾値からなり、印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら印刷を行うためのハーフトーン処理に用いるディザマスクであって、
    前記印刷ヘッドは、主走査における往動時と復動時の両方においてインクを吐出する両方向印刷を行うものであり、
    前記印刷媒体上の各位置のドットを、前記印刷ヘッドにおいて前記副走査方向に配列し、インクを吐出する複数のノズルのうちのいずれのノズルで形成するかを示すノズルパターンの繰返しの最小単位における各位置と、該各位置に適用される前記ディザマスクの各々の閾値の値との対応関係が一定に定められ、
    所定の範囲のインクデューティの印刷領域において、
    前記複数のノズルを構成するノズルであって、該複数のノズルのうちの前記副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数と前記隣り合うノズルのうちいずれか一方のノズルにより形成されるドットとを合算したドット数であるノズルピッチの数に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、該連続するラスタを形成するための所定回数の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルである前端ノズルがインクを吐出する割合である前端ノズル使用率と、前記複数のノズルを構成するノズルであって、前記連続するラスタのいずれに対しても、前記所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルである後端ノズルがインクを吐出する割合である後端ノズル使用率との大小関係が、前記印刷ヘッド前記副走査方向への相対的な送り量に相当するバンド毎に入れ替わるように、前記前端ノズル及び前記後端ノズルによりドットが形成されるドット形成位置に適用される閾値の値が設定された
    ディザマスク。
  13. 印刷ヘッドを印刷媒体に対して主走査方向及び副走査方向に相対移動させながら、前記印刷ヘッドに設けられ、インクを吐出する複数のノズルを前記副走査方向に配列したノズル列の各ノズルからのインクの吐出を制御して印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行う方法であって、
    前記印刷ヘッドは、主走査における往動時と復動時の両方においてインクを吐出する両方向印刷を行うものであり、
    前記複数のノズルのノズルピッチは、該複数のノズルのうちの前記副走査方向に隣り合うノズルの中心間のドット数と、前記隣り合うノズルのうちいずれか一方のノズルにより形成されるドットとを合算したドット数であり、
    所定の範囲のインクデューティの印刷領域において、
    記ノズルを構成するノズルであって、前記ノズルピッチの数に等しい数の、任意に選択した連続するラスタのいずれに対しても、該連続するラスタを形成するための所定回数の主走査のうちの最初の主走査でドットを形成するノズルである前端ノズルがインクを吐出する割合である前端ノズル使用率と、前記ノズルを構成するノズルであって、前記連続するラスタのいずれに対しても、前記所定回数の主走査のうちの最後の主走査でドットを形成するノズルである後端ノズルがインクを吐出する割合である後端ノズル使用率とが、前記印刷ヘッド前記副走査方向への相対的な送り量に相当するバンド毎に、前記前端ノズル使用率と前記後端ノズル使用率との大小関係が入れ替わるように前記インクの吐出を制御して印刷を行う
    印刷方法。
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