本発明は、色材を含有するインクを用いて画像の記録を行うインクジェット記録方法及び記録装置に関する。特に、インクの吐出口(ノズル)を集積配列してなるインクジェット記録ヘッドを、記録媒体に対し往復走査しながら段階的に画像を完成させるマルチパス記録方法に関する。
複写装置や、コンピュータ等の情報処理機器、さらには通信機器や通信環境の普及に伴い、それらの機器の記録装置の一つとして、インクジェット方式を採用したデジタル画像出力装置が急速に普及している。中でも、最も一般的なシリアル型のインクジェット記録装置では、インクを吐出するノズルを複数配列させたノズル列が、インク色毎に複数列備えられた記録ヘッドを用いている。そして、記録ヘッドを記録媒体に対し走査させながらインクを吐出する記録主走査と、当該記録主走査とは交差する方向に記録媒体を所定量搬送する副走査とを間欠的に繰り返すことにより、順次画像を形成していく。
インクジェット記録装置で出力されるカラー画像においては、発色性、階調性、一様性などが重視される。中でも、一様性に関しては、記録ヘッド製造時に生じる僅かなノズル単位のばらつきに影響を受けることが知られている。ノズル単位の製造ばらつきは、記録時における吐出量や吐出方向のばらつきとなり、結果として画像上のすじや濃度むらの原因となる。従来では、このようなノズル単位のばらつきに起因する画像劣化を解消するために、マルチパス記録方法が一般に採用されていた。
マルチパス記録では、記録ヘッドが1回の記録走査で記録可能な画像領域を、複数回の記録走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、段階的に画像を完成させて行く(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照。)。そのため、1つのノズルによって記録可能な主走査方向に延びる領域は、複数のノズルによって形成される。結果、個々のノズルの吐出量や吐出方向にばらつきが含まれていたとしても、その特性が1箇所に集中することがないので、一様性に優れた画像が実現される。このようなマルチパス記録方法の効果は、マルチパス数、すなわち同一の画像領域を完成させるために要する記録走査数が多いほど高いと言える。
米国特許第4748453号明細書
特開昭58−194541号公報
特開昭55−113573号公報
特開2001−80093号公報
米国特許第6086181号公報
しかしながら、マルチパス記録では同一の画像領域に対し複数回の記録走査を実行しなければならないので、より多くの記録時間が費やされるという欠点も有している。すなわち、マルチパス数を多くするほど画像品位は上がるがスループットは低下すると言うように、画像品位とスループットはトレードオフの関係にある。
同じマルチパス数であっても、少しでもスループットを向上させるために、往路走査と復路走査の双方で記録を行う双方向のマルチパス記録方法も実施されてはいる。但しこの場合、「色むら」や「時間差むら」という新たな画像弊害が提起される。以下に、「色むら」および「時間差むら」について具体的に説明する。
図15は、シリアル型のインクジェット記録装置において適用可能なインクジェット記録ヘッドのノズル配列状態例を説明するための模式図である。記録ヘッド2801には、インクを吐出する吐出口2803が図のように複数配置されたノズル列2802が、4色分だけ主走査方向に並列されている。記録を行う際、記録ヘッド2801は主走査方向に移動しながら、個々の吐出口2803からインクを吐出する。この場合、往路走査では、記録媒体に対し、シアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順にインクが付与される。復路走査では、ブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順、すなわち往路走査とは逆の順にインクが付与される。
図6は、色むらを説明するために、上述した記録ヘッド2801を用いて、3パスのマルチパス記録を双方向で行った際の記録ヘッドの記録状態を示した模式図である。また、図7は、同様の記録を行った際の記録媒体における記録状態を示した模式図である。両図共に、固定された記録媒体に対し、記録ヘッド2801の副走査方向における相対的な位置が示されている。
図6を参照するに、3パスのマルチパス記録の場合、記録ヘッド2801のノズル領域は3つの部分(ブロック)に分割して考えることが出来る。往路走査で行われる第1記録走査では、記録ヘッドの先方1/3の領域によってシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順に記録媒体にインクが付与される。1/3領域分の搬送動作の後、続いて行われる復路走査の第2記録走査では、記録ヘッドの先方2/3の領域によってブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順に記録媒体にインクが付与される。更に1/3領域分の搬送動作の後、再び往路走査で行われる第3記録走査では、記録ヘッドの全領域によってシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順に記録媒体にインクが付与される。このように、往路または復路で行われる記録主走査と、1/3領域分の搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体の画像領域には順次画像が形成されて行く。
ここで、図7を参照し、記録媒体上の記録領域Aに注目すると、この領域は往路走査→復路走査→往路走査の順に画像が形成されている。また記録領域Aに隣接する記録領域Bに注目すると、この領域は復路走査→往路走査→復路走査の順に画像が形成されている。以後、同様に、記録領域Aと同じ順番で記録される領域と、記録領域Bと同じ順番で記録される領域とが、副走査方向に交互に配列する。
一般に、インクジェット記録方式においては、より先行して付与されたインクの色が記録媒体の表面で優先色(発色性が勝る)になりやすいことが知られている。例えば、シアンとイエローを50%ずつ記録して一様なグリーン画像を記録する場合、記録領域Aのように最初に往路走査が行われる領域では、最も先行して記録されるシアンが優先色となりやすい。一方、記録領域Bのように最初に復路走査が行われる領域では、最も先行して記録されるイエローが優先色となりやすい。結果、出力された画像においては、シアンが優先色となる青みがかったグリーン領域(記録領域A)と、イエローが優先色となる黄色がかったグリーン領域(記録領域B)が、副走査方向に交互に配置し、「色むら」という画像弊害を招致してしまうのである。
次に「時間差むら」について説明する。図8は、「時間差むら」を説明するために、上述した記録ヘッド2801を用いて2パスのマルチパス記録を双方向で行った際の記録状態を示した模式図である。ここでは、ブラックの一様な画像を記録する場合を例に説明する。
2パス双方向のマルチパス記録の場合、記録ヘッド2801のノズル領域は2つのブロック(部分)に分割して考えることが出来る。往路走査で行われる第1記録走査では、記録ヘッドの先方1/2の領域によってブラックインクが付与される。その後、記録した1/2領域分の搬送動作の後、復路走査の第2記録走査では、記録ヘッドの全領域によって記録媒体にブラックインクが付与される。更に1/2領域分の搬送動作の後の第3記録走査では、再び往路走査で記録ヘッドの全領域によってブラックインクが付与される。このように、往路または復路で行われるブラックインクの記録主走査と、1/2領域分の搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体の画像領域には順次ブラック画像が形成されて行く。
ここで、記録媒体上の記録領域Aの左側に注目すると、この領域は往路走査が行われてから記録ヘッドの一往復分の走査の後に、すなわち残りの往路走査、反転動作および復路走査が行われる最後に、復路走査によるインクの付与が行われている。すなわち、当該領域に対する1回目の記録走査と2回目の記録走査との間に存在する時間は比較的長い。これに対し、記録領域Bの左側に注目すると、この領域は復路走査が行われてから、記録ヘッドの反転後すぐに往路走査によるインクの付与が行われている。すなわち、当該領域に対する1回目の記録走査と2回目の記録走査との間の時間は比較的短い。このように、記録媒体の左側領域においては、記録領域Aのように比較的長い時間をおいて2回の記録主走査が行われる領域と、記録領域Bのように比較的短い時間内で2回の記録主走査が行われる領域とが、副走査方向に交互に配列する。一方、記録媒体の右側領域においては、記録領域Aに対する2回の記録走査は比較的短い時間内に行われ、記録領域Bに対しては比較的長い時間が要される。すなわち、左側の領域と逆転した条件の領域が、やはり副走査方向に交互に配列する。
図14(a)〜(c)は、このような2回の記録走査の時間差が画像に及ぼす影響を説明するための模式図である。図14(a)は、白紙の記録媒体に1つのシアンドットを記録した場合の記録媒体における上面図および断面図である。また、同図(b)は、マゼンタドットを記録した上に、比較的短時間のうちにシアンドットを記録した状態を示している。更に、同図(c)はマゼンタドットを記録した上に、比較的長時間経過した後にシアンドットを記録した状態を示している。一般に、記録媒体に対し新たに記録されるドットの浸透具合は、その領域の濡れ具合に影響を受ける。すなわち、マゼンタドットが記録されて比較的直ぐにシアンドットが記録される図14(b)の状態では、マゼンタドットによって記録媒体が濡れている状態であるので、シアンインクも深さ方向に浸透し、表面に残り難く、その発色性も低い。これに対し、マゼンタドットが記録されて長時間経過した後にシアンドットが記録される同図(c)の状態では、マゼンタドットがある程度定着し記録媒体が乾いた状態であるので、シアンインクは白紙に記録した場合と同程度に表面に残り、その発色性も高い。
上記では、シアンドットとマゼンタドットを例に説明してきたが、図8で説明したブラック単色の画像を2パスのマルチパスで記録する場合にも同様のことが言える。つまり、比較的短時間のうちに2回の記録走査が行われる領域では画像濃度が低く、比較的長い時間をかけて2回の記録走査が行われる領域では画像濃度が高い。結果、図8の場合には、ブラック濃度が高い領域(記録領域Aの左側)と、ブラック濃度が低い領域(記録領域Bの左側)が、副走査方向に交互に配置し、「時間差むら」という画像弊害を招致するのである。
このような「時間差むら」は、マルチパス数を多く設定することによってある程度緩和することは出来る。しかし、完全に取り除くことは出来ない。
図9および図10は、図8と同様の画像を、4パスのマルチパス記録で行った際の記録状態を示した模式図である。図9を参照するに、4パス双方向のマルチパス記録の場合、記録ヘッド2801のノズル領域は4つのブロック(部分)に分割して考えることが出来る。往路走査で行われる第1記録走査では、記録ヘッドの先方1/4の領域によってブラックインクが付与される。その後、記録した1/4領域分の搬送動作の後、復路走査の第2記録走査では、記録ヘッドの先方1/2領域によって記録媒体にブラックインクが付与される。更に1/4領域分の搬送動作の後の第3記録走査では、再び往路走査で記録ヘッドの3/4領域によってブラックインクが付与される。更に1/4領域分の搬送動作の後の第4記録走査では、再び復路走査で記録ヘッドの全領域によってブラックインクが付与される。このように、往路または復路で行われるブラックインクの記録主走査と、1/4領域分の搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体の画像領域には順次ブラック画像が形成されて行く。
4回の記録走査で画像が完成される4パスのマルチパス記録においては、個々の記録走査の間に介在する時間も、長かったり、短かったりと一律では無い。よって、例えば第1記録走査と第2記録走査の間が長い記録領域Aの方が、記録領域Bよりも必ずしも濃度が高いとは言えない。しかしながら、一般に、4パス程度のマルチパス記録においては、最初の2回の記録走査で記録媒体の略全域がドットで被覆されてしまうことが多く、最初の2回の記録走査のタイミングで濃度や色相が影響を受けるのも確かである。よって、画像の両端部においては、濃度や色相の異なる2種類の領域が交互に配置する結果となり、これが目立つ場合には「時間差むら」として認識される。このような「時間差むら」は、記録領域の両端部で検出され、記録媒体の幅(すなわち、記録ヘッドの走査領域)が大きいほど、その程度は大きくなる。
以上説明した「色むら」や「時間差むら」も、8パスや16パスのようにマルチパス数を更に大きく設定することによって、視覚的に目立たない程度に抑制することは可能である。しかし、スループットを向上させるために双方向記録を採用する状況において、マルチパス数の増加は好ましいことではない。例えば特許文献4や特許文献5には、上記「色むら」を抑制するための工夫された記録方法が開示されているが、これらを採用しても「時間差むら」を同時に解決することは出来なかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、「色むら」と「時間差むら」を同時に解決しつつも、少ないマルチパス数で双方向のマルチパス記録を実現可能なインクジェット記録方法を提供することである。
そのために本発明においては、複数種類のインクに対応した複数のノズル列を備えた記録ヘッドを往復走査させるとともに、前記往復走査の往路走査と復路走査の間に記録媒体を搬送方向に搬送させることで記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記搬送方向における前記ノズル列の幅より小なる量の記録媒体の搬送を介在させた前記往路走査と復路走査を含むM回(Mは3以上の整数)の走査、によって前記小なる量の幅を有する前記記録媒体上の単位領域に記録を行うにあたり、前記往路走査と前記復路走査で前記複数種類のインクの記録順を異ならせて記録を行う工程を有し、前記搬送方向に連続する複数の前記単位領域で前記複数種類のインクの記録順を同じにするために、前記単位領域に対する前記M回の走査のうち記録を伴わない走査を含ませることで前記M回より少ない回数だけ記録を伴う走査が行われるように前記M回の走査間で使用するノズルの位置を変更することを特徴とする。
また、複数のノズルが所定方向に配列したノズル列を備えた記録ヘッドを用いて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、連続した位置のノズルをブロックとして前記ノズル列を前記所定方向にM個のブロックに分割し、前記ブロックの前記所定方向の幅に対応する記録媒体上の単位領域のうち第1単位領域を往路走査及び復路走査を含むM回の走査によって記録する工程と、前記第1単位領域に隣接する第2単位領域を往路走査及び復路走査を含むM回の走査によって記録する工程と、前記往路走査と復路走査の間に前記ブロックの前記幅だけ前記記録媒体を搬送する工程とを有し、前記第1単位領域は前記M回の走査のうちM−1回の走査で前記搬送の方向における前記ノズル列の一方の端からM−1個のブロックに含まれるノズルにより記録され、前記第2単位領域は前記M回の走査のうちM−1回の走査で前記搬送の方向における前記ノズル列の他の一方の端からM−1個のブロックに含まれるノズルにより記録されることを特徴とする。
さらに、複数のノズルが所定方向に配列したノズル列を備えた記録ヘッドを用いて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、連続した位置のノズルをブロックとして前記ノズル列を前記所定方向にM個のブロックに分割し、前記ブロックの前記所定方向の幅に対応する記録媒体上の単位領域を、往路走査および復路走査を含むMより少ない回数の前記所定方向と交差する方向への走査によって記録する工程と、前記往路走査と復路走査の間に前記ブロックの前記幅だけ前記記録媒体を前記所定方向に搬送する工程とを有し、前記単位領域に対する前記Mより少ない回数の前記往路走査と前記復路走査の順序と回数が前記搬送の方向に隣接する前記単位領域において等しくするために、記録で使用する前記ブロックの位置を、前記往路走査と前記復路走査で変更することを特徴とする。
本発明によれば、双方向のマルチパス記録において、往路走査と復路走査とで使用するマスクパターンを適切に変更することによって、インク付与順序や複数の記録走査での記録タイミングを、隣接する記録領域間ひいては記録領域全域で統一することが出来る。よって、少ないマルチパス数であっても「色むら」と「時間差むら」を同時に解決した一様性に優れた画像を出力することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るホスト機器として機能するパーソナルコンピュータ(以下、単にPCとも言う)の主にハードウェアおよびソフトウェアの構成を示すブロック図である。
図1において、ホストコンピュータであるPC100は、オペレーティングシステム(OS)102によって、アプリケーションソフトウェア101、プリンタドライバ103、モニタドライバ105の各ソフトウェアを動作させる。
アプリケーション101は、ワープロ、表計算、インターネットブラウザなどに関する処理を行って、記録装置104で記録する画像データを生成する。モニタドライバ105は、モニタ106に表示する画像データを作成するなどの処理を実行する。
プリンタドライバ103は、アプリケーション101からOS102へ発信される各種描画命令群(イメージ描画命令、テキスト描画命令グラフィクス描画命令など)を画像処理し、最終的に記録装置104で処理可能な2値の画像データに展開する。詳しい処理については、図2を用いて後述する。
ホストコンピュータ100は、内蔵したソフトウェアを動作させるための各種ハードウェアとして、CPU108、ハードディスク(HD)107、RAM109、ROM110などを備える。CPU108は、ハードディスク107やROM110に格納されているソフトウェアプログラムに従ってその処理を実行し、RAM109はその処理実行の際にワークエリアとして用いられる。
本実施形態のPC100は、記録装置104によるマルチパス記録のために、記録モードに応じたマスクパターンを製造可能なデータ処理装置として機能する形態であってもよい。この場合、製造されたマスクパターンデータは、記録装置104に転送され、記録装置104内のメモリに格納される。
本実施形態の記録装置104は、インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査しながら記録を行うシリアル型のインクジェット記録装置である。記録ヘッドは、既に図15で説明した構成のものであり、複数種類、ここではシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)の4色のインクに対応し主走査方向に並列した4列のノズル列2802を具備している。記録ヘッド2801は、更にキャリッジに装着され、このキャリッジが主走査方向に走査する。図15を参照するに、個々のノズル列2802において、複数の吐出口2803は副走査方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の密度で配列しており、それぞれの吐出口からは、約3.0ピコリットルのインクが吐出される。
図2は、図1に示した構成において、記録装置104で記録を行う際の、PC100および記録装置104における主なデータ処理過程を説明するためのブロック図である。PC100のアプリケーション101を介して、ユーザは記録装置104で記録する画像データを作成することができる。そして、記録を行うときはアプリケーション101で作成された画像データがプリンタドライバ103に渡される。
プリンタドライバ103は、その処理として、前段処理J0002、後段処理J0003、γ補正J0004、2値化処理J0005、および印刷データ作成J0006をそれぞれ実行する。
前段処理J0002では、アプリケーションによる画面を表示する表示器が持つ色域を記録装置104の色域に変換する色域変換を行う。具体的には、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)夫々が8ビットで表現された画像データR、G、Bを3次元LUTにより、記録装置の色域内の8ビットデータR、G、Bに変換する。
続く後段処理J0003では、変換された色域を再現する色をインク色に分解する。具体的には、前段処理J0002にて得られた8ビットデータR、G、Bが表す色を再現するためのインクの組合せに対応した8ビットデータC、M、Y、Kを求める処理を行う。
γ補正J0004では、色分解で得られたCMYKのデータ夫々についてγ補正を行う。具体的には、色分解で得られた8ビットデータCMYK夫々が記録装置104の階調特性に線形的に対応づけられるように、信号値の一次変換を行う。
2値化処理J0005では、γ補正がなされた8ビットデータC、M、Y、Kそれぞれを1ビットデータC、M、Y、Kに変換する量子化処理(2値化処理)を行う。変換後の1ビット画像データは、ドットの記録を示すドット記録データ(1)と、ドットの非記録を示すドット非記録データ(0)から構成される2値データである。
プリンタドライバ103における最終処理となる印刷データ作成処理J0006では、2値化された1ビット画像データに印刷制御データなどを付して印刷データを作成する。印刷制御データには、「記録媒体情報」、「記録品位情報」、および「給紙方法」のような制御情報が含まれる。以上のようにして生成された印刷データは、記録装置104へ供給される。
記録装置104は、入力されてきた印刷データに含まれる2値の画像データに対しマスクデータ変換処理J0008を行う。マスクデータは、記録ヘッド2801が1回の記録走査で記録可能な全画素データに対する記録の許容および非許容が画素単位で定められた2値データであり、記録装置内のメモリに予め格納されている。マスクデータ変換処理J0008では、このようなマスクパターンを読み出し、入力されてきた2値の画像データとの間でAND処理をかける。これにより、マルチパス記録の各記録走査で実際に記録(吐出動作)が実行される2値の記録データが決定される。
マスクデータ変換処理J0008によって記録が決定された2値データは、ヘッド駆動回路J0009へ転送され、次の記録走査でインクが吐出されるタイミングが設定される。その後、設定されたタイミングに従って、記録ヘッド2081が吐出動作を実行する。
図3は、本実施形態で適用するインクジェット記録装置104の内部構成を説明するための斜視図である。キャリッジM4000は、記録ヘッドおよびこれにシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)それぞれのインクを供給するインクタンクH1900を搭載した状態で、X方向(主走査方向)の往路方向あるいは復路方向に移動する。この移動の際に、記録ヘッドの各ノズルは2値の記録データに基づき所定のタイミングでインクを吐出し、往路方向あるいは復路方向の記録主走査が実行される。記録ヘッドの1回の主走査が終了すると、記録媒体は、搬送ローラM3600の回転によって、図のY方向(副走査方向)にノズル列の幅よりも小なる所定量だけ搬送される。その後、再び復路走査あるいは往路走査の記録主走査が実行される。以上のような往路方向または復路方向の記録主走査と搬送動作とを交互に繰り返すことによって、記録媒体に対し、双方向のマルチパス記録が実行される。
本発明は、マルチパス記録における複数回の各走査で用いるマスクパターンおよびそれを利用したマルチパス記録方法に特徴を有するものである。以下では、本発明の特徴的な構成を説明する前に、一般的なマルチパス記録における、マスクパターンの役割とこれを用いた記録状態について説明する。
図4は、2パスのマルチパス記録における記録ヘッドとマスクパターンおよび記録媒体の関係を模式的に説明するための図である。ここでは、簡単のため、512個のノズルを有するノズル列を、シアン、マゼンタおよびイエローの3色分用いて画像を記録する場合で説明する。
2パスのマルチパス記録の場合、各色のノズル列は連続した位置にある256個のノズルを有する第1グループおよび第2グループの2つのグループに分割される。各グループには副走査方向に256画素、主走査方向に所定の領域(ここでは256画素)を有するマスクパターンが宛がわれ、同色の2つのグループに宛がわれる2種類のマスクパターン(例えばY1とY2)は、互いに補完の関係を保っている。
図5は、互いに補完の関係にある2パス用のマスクパターンの仕組みをより簡潔に説明するための模式図である。ここでは、簡単のため、8個のノズルを有する記録ヘッドP0001を4ノズルずつの第1グループと第2グループに分け、それぞれに対し4画素×4画素の領域を有するマスクパターPAおよびPBを宛がっている。図では、黒く示した領域が記録を許容する画素、白く示した領域が記録を許容しない画素をそれぞれ示している。マスクパターンPAとマスクパターンPBとは互いに反転した関係であり、マスクパターンPAで記録が許容される画素はマスクパターンPBでは記録が許容されず、マスクパターンPAで記録が許容されない画素は、マスクパターンPBでは記録が許容される。すなわち、これら2種類のマスクパターンを取り替えながら2回の記録走査で画像を記録することにより、記録媒体上の4画素×4画素に含まれる全ての画素が記録される。
再度図4を参照するに、マスクパターンY1とY2の関係、マスクパターンM1とM2の関係、マスクパターンC1とC2の関係も、マスクパターンの大きさは異なるが、図5のマスクパターンPAとPBの関係と同様、互いに補完の関係にある。すなわち、例えば、第1の記録走査でマスクパターンY1を用いて記録された記録媒体上の領域に対し、第2の記録走査でマスクパターンY2を用いて記録を行うことにより、当該領域の全ての記録データが記録される。実際の記録動作では、各記録走査の間に256画素分の記録媒体の搬送動作(副走査)を行うことにより、記録媒体上の256画素幅の領域毎に段階的に画像が完成されて行く。
以上では、最も簡単な例として2パスのマルチパス記録で説明を行ったが、ノズル列の分割数(グループ数)、マスクパターンにおける記録データの間引き率、および記録媒体の搬送量を調整することにより、3パス以上のマルチパス記録を実現することも出来る。但し、背景技術の項でも説明したように、以上説明したマルチパス記録を往復走査で行った場合には、記録媒体に対するインクの付与順序の逆転や付与タイミングのばらつきに起因して、「色むら」や「時間差むら」という新たな画像弊害が誘発される。
本発明が課題としているのは、「色むら」および「時間差むら」を、なるべく少ないマルチパス数の双方向記録で抑制することである。そのために、本発明者らが考案した特徴的なマスクパターンおよびマルチパス記録方法を以下に具体的に説明する。
図11は、本実施例における、3パス双方向のマルチパス記録を行った際の記録ヘッド2801の記録状態を示した模式図である。3パスのマルチパス記録の場合、記録ヘッド2801のノズル領域はグループ1〜グループ3の3つのブロック(部分)に分割して考えることが出来る。
本実施例では、このような3つのグループの往路走査および復路走査のために、P1〜P4の4種類のマスクパターンを用意する。P1は往路走査におけるグループ1のためのマスクパターン、P2は同じく往路走査におけるグループ2のためのマスクパターンである。また、P3は復路走査におけるグループ2のためのマスクパターン、P4は同じく復路走査におけるグループ3のためのマスクパターンである。マスクパターンP1とマスクパターンP3は互いに補完の関係にあり、マスクパターンP2とマスクパターンP4も互いに補完の関係にある。本実施例において、往路走査におけるグループ3と、復路走査におけるグループ1は記録を行わない。また、各記録走査の間に行われる搬送動作は、背景技術の項で図6を用いて説明した従来の3パスのマルチパス記録と同様、記録ヘッド2801の1/3の長さに相当する分だけの搬送量で行われる。
以上のような3パス双方向のマルチパス記録を実行した際の、記録媒体の各領域(単位領域)における記録状態を考える。まず、記録領域(単位領域)Aに注目すると、当該領域には、まず第1の記録走査によってシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順に、インクが付与される。このとき、記録領域Bに対しても同じ第1の記録走査でシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順にインクが付与される。記録媒体の搬送動作が行われた後、記録領域Aおよび記録領域B共に、第2の記録走査によってブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順にインクが付与される。以上、往復1回ずつの記録走査によって、領域Aおよび領域Bの記録が同時に完了する。
このとき、領域Aと領域Bとでは、インクの付与順序(記録順序)は全く同じ状態となる。すなわち、全ての領域において、シアン→マゼンタ→イエロー→ブラック→ブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順に統一される。よって、インクの付与順序(記録順序)が異なる2つの領域が交互に配置することによって認識される「色むら」は回避される。
また、各領域に対し2回の記録走査が行われる間に経過する時間も、記録媒体の右端部および左端部それぞれの領域で同等である。例えば、画像の左端部に注目すると、第1の記録走査によってインクが付与されてから第2の記録走査によってインクが付与されるまでに経過する時間は、記録領域Aも記録領域Bも、記録ヘッドの略一往復分に相当する比較的長い等しい時間になる。また、右端部においても、第1の記録走査によってインクが付与されてから第2の記録走査によってインクが付与されるまでに経過する時間は、記録領域Aも記録領域Bも、記録ヘッドの反転動作分に相当する比較的短い等しい時間になる。よって、複数の記録走査によるインクの付与タイミングが異なる2つの領域が交互に配置することによって認識される「時間差むら」は回避される。
図12は、実施例2における、4パス双方向のマルチパス記録を行った際の記録ヘッド2801の記録状態を示した模式図である。4パスのマルチパス記録の場合、記録ヘッド2801のノズル列はグループ1〜グループ4の4つのブロック(部分)に分割して考えることが出来る。
実施例2では、このような4つのグループの往路走査および復路走査のために、P1〜P6の6種類のマスクパターンを用意する。P1は往路走査におけるグループ1のためのマスクパターン、P2は同じく往路走査におけるグループ2のためのマスクパターンである。また、P3は復路走査におけるグループ2のためのマスクパターン、P4は同じく復路走査におけるグループ3のためのマスクパターンである。更に、P5は往路走査におけるグループ3のためのマスクパターン、P6は同じく往路走査におけるグループ4のためのマスクパターンである。マスクパターンP1、マスクパターンP3およびマスクパターンP5は互いに補完の関係にあり、マスクパターンP2、マスクパターンP4およびマスクパターンP6も互いに補完の関係にある。本実施例において、復路走査におけるグループ1とグループ4は記録を行わない。また、各記録走査の間に行われる搬送動作は、従来の4パスのマルチパス記録と同様、記録ヘッド2801の1/4の長さ相当する分の搬送量で行われる。
以上のような4パス双方向のマルチパス記録を実行した際の、記録媒体の各領域(単位領域)における記録状態を考える。まず、記録領域(単位領域)Aに注目すると、当該領域にはまず第1の記録走査によってシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順にインクが付与される。このとき、記録領域Bに対しても同じ第1の記録走査でシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順にインクが付与される。記録媒体の搬送動作が行われた後、記録領域Aおよび記録領域B共に、第2の記録走査によってブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順にインクが付与される。更に、記録媒体の搬送動作が行われた後、記録領域Aおよび記録領域B共に、第3の記録走査によって再びシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順にインクが付与される。以上、往路走査2回と復路走査1回の記録走査によって、領域Aおよび領域Bの記録が同時に完成する。
このとき、領域Aと領域B、更にこれに続く全ての領域で、インクの付与順序(記録順序)は全く同じ状態となる。すなわち、全ての領域において、シアン→マゼンタ→イエロー→ブラック→ブラック→イエロー→マゼンタ→シアン→シアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順に統一される。よって、インクの付与順序(記録順序)が異なる2つの領域が交互に配置することによって認識される「色むら」は回避される。
また、各領域に対しそれぞれの記録走査間で経過する時間も、右端部および左端部それぞれで同等である。例えば、画像の左端部に注目すると、第1の記録走査によってインクが付与されてから第2の記録走査によってインクが付与されるまでに経過する時間は領域Aと領域Bで等しい。また、第2の記録走査によってインクが付与されてから第3の記録走査によってインクが付与されるまでに経過する時間も、記録領域Aと領域Bで等しい。すなわち、領域Aと領域B、更にこれに続く全ての領域では、全く同じタイミングでインクが付与される3回の記録主走査によって、画像が完成される。結果、複数の記録走査によるインクの付与タイミングが異なる2つの領域が交互に配置することによって認識される「時間差むら」は回避される。
図13は、実施例3における、5パス双方向のマルチパス記録を行った際の記録ヘッド2801の記録状態を示した模式図である。5パスのマルチパス記録の場合、記録ヘッド2801のノズル列はグループ1〜グループ5の5つのブロック(部分)に分割して考えることが出来る。
実施例3では、このような5つのグループの往路走査および復路走査のために、P1〜P8の8種類のマスクパターンを用意する。P1、P2、P5およびP6は往路走査におけるグループ1、グループ2、グループ3およびグループ4にそれぞれ宛がわれるマスクパターンである。また、P3、P4、P7およびP8は、復路走査におけるグループ2、グループ3、グループ4およびグループ5のそれぞれに宛がわれるマスクパターンである。マスクパターンP1、マスクパターンP3、マスクパターンP5およびマスクパターンP7は互いに補完の関係にあり、マスクパターンP2、マスクパターンP4、マスクパターンP6およびマスクパターンP8も互いに補完の関係にある。本実施例において、往路走査におけるグループ5と復路走査におけるグループ1は記録を行わない。また、各記録走査の間に行われる搬送動作は、従来の5パスのマルチパス記録と同様、記録ヘッド2801の1/5の長さ相当する分の搬送量で行われる。
以上のような5パス双方向のマルチパス記録を実行した際の、記録媒体の各領域(単位領域)における記録状態を考える。まず、記録領域(単位領域)Aに注目すると、当該領域にはまず第1の記録走査によってシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順にインクが付与される。このとき、記録領域Bに対しても同じ第1の記録走査でシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順にインクが付与される。記録媒体の搬送動作が行われた後、記録領域Aおよび記録領域B共に、第2の記録走査によってブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順にインクが付与される。続いて、記録媒体の搬送動作が行われた後、記録領域Aおよび記録領域B共に、第3の記録走査によって再びシアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順にインクが付与される。更に、記録媒体の搬送動作が行われた後、記録領域Aおよび記録領域B共に、第4の記録走査によってブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順にインクが付与される。以上、往路走査2回と復路走査2回の記録走査によって、領域Aおよび領域Bの記録が同時に完了する。
このとき、領域Aと領域Bとでは、インクの付与順序(記録順序)は全く同じ状態となる。すなわち、全ての領域において、シアン→マゼンタ→イエロー→ブラック→ブラック→イエロー→マゼンタ→シアン→シアン→マゼンタ→イエロー→ブラック→ブラック→イエロー→マゼンタ→シアンの順に統一される。よって、インクの付与順序(記録順序)が異なる2つの領域が交互に配置することによって認識される「色むら」は回避される。
また、各領域に対しそれぞれの記録走査間で経過する時間も、右端部および左端部それぞれで同等である。例えば、画像の左端部に注目すると、第1の記録走査によってインクが付与されてから第2の記録走査によってインクが付与されるまでに経過する時間は領域Aと領域Bで等しい。また、第2の記録走査によってインクが付与されてから第3の記録走査によってインクが付与されるまでに経過する時間も、記録領域Aと領域Bで等しい。更に、第3の記録走査によってインクが付与されてから第4の記録走査によってインクが付与されるまでに経過する時間も、記録領域Aと領域Bで等しい。すなわち、領域Aと領域Bとでは、全く同じタイミングでインクが付与される4回の記録主走査によって、画像が完成される。結果、複数の記録走査によるインクの付与タイミングが異なる2つの領域が交互に配置することによって認識される「時間差むら」は回避される。
以上説明した、3つの実施例の効果を確認するために、本発明者らは以下の条件の下に検証を行った。
(検証条件)
記録ヘッドの1色当たりのノズル数:768ノズル
記録ヘッドの駆動条件:駆動周波数24KHz
吐出量:3pl/ドット
インク:インクジェット用カラーインクBCI7(キヤノン販売株式会社)
キャリッジ走査速度 :20インチ/秒
キャリッジ反転時間 :0.2秒
記録解像度:1200dpi
記録媒体種:インクジェット用フォトペーパーPR101(キヤノン販売株式会社)
記録媒体幅:36インチ
記録画像:シアン100%、マゼンタ100%、イエロー100%のベタパッチ(1200dpiで配列する全ての画素にシアン、マゼンタおよびイエローのドットを記録する状態)
上記条件に基づき、3つの実施例に従って記録した画像と、3つの実施例と同様のマルチパス数(3パス、4パス、5パス)でありながら、従来のマルチパス記録方法によって双方向で記録した画像とを出力し、画像品位を目視で確認した。いずれのマルチパス数においても、本発明の実施例で記録した画像の方が「色むら」および「時間差むら」が抑制されており、好適な画像が得られることが確認された。また、インクジェット用の他の専用紙や普通紙などにおいても同様の結果を得ることが出来た。
以上説明した3つの実施例では、いずれも、ノズル列をマルチパス数で分割して形成される複数のグループのうちの一部を、所定の走査方向において非使用(非吐出)とすることによって記録を行っている。このような領域を設けつつ、往路走査と復路走査とで使用するマスクパターンを適切に変更することによって、インク付与順序(記録順序)や複数の記録走査での記録タイミングを、隣接する記録領域間ひいては記録領域全域で統一することを可能にしているのである。
(他の実施形態)
以上説明した3つの実施例においては、ノズル列を分割してなる複数のグループのうちの一部を、所定の走査方向において非使用(非吐出)とする構成で説明してきた。しかし、僅かな記録を伴ったとしても、完全に非使用(記録許容率0%)でなく、略非使用になるように、マスクパターンによる記録許容率が低く抑えられていれば、程度の差こそあれ本発明の効果は得ることが出来る。本発明者らの検討によれば、マスクパターンにおける記録許容率が10%以下、好ましくは5%以下であれば、「色むら」および「時間差むら」が画像弊害にならない程度に抑えられることが確認された。
また、以上の実施例では、複数のグループのうちの端部の1グループを、非使用(非吐出)とし、マルチパス数Nに対して記録媒体の同一記録領域にN−1回の記録走査を実行する内容で説明した。しかしながら、本発明はこのような回数構成に限定されるものではなく、例えば、同一記録領域に対し、N−2回やN−3回の記録走査で画像が形成される構成であってもよい。但し、記録に関与しない走査回数の増大化は、スループットを低減させるばかりか、本来のマルチパス記録方法の高画質化への効果を減じてしまうという欠点を有する。よって、各記録走査で非使用のグループは、なるべく少なく抑える方が好ましい。
一方、上記実施例のように、複数のグループのうちの端部のグループを非使用とすることは、2つおきの記録領域の境界でつなぎすじを目立ちやすくしてしまう場合がある。この場合、例えば端部のグループに対し上述したような5%以下の記録許容率のマスクを設定すれば、つなぎすじ、「色むら」および「時間差むら」の全てをバランスよく抑制することが可能となる。この際、グループ内の記録許容率が、記録ヘッドの端部に向けて徐々に減少していくような、グラデーション形態のマスクパターンにしても効果的である。
本発明は、シリアル型のインクジェット記録装置であれば、その効果を発揮することが出来る。よって、使用するインクは、染料インクであっても顔料インクであっても構わない。また、使用するインク色の種類も上述した4色に限定されるものではない。例えば、通常のシアンやマゼンタよりも色材濃度を抑えたライトシアンやライトマゼンタ、あるいはレッド、ブルー、グリーンのような特色インクを含む複数種類を併用する場合であっても本発明の効果は得られる。
更に、記録ヘッドの構成についても、図15に示した形態に限定されるものではない。例えば、図16に示したような左右対称型の記録ヘッドを用いた場合、往路走査においても復路走査においても記録媒体に対するインクの付与順序(記録順序)は統一され、本発明を採用しなくても「色むら」を回避することは出来る。また、ブラックインクを吐出する記録ヘッドしか搭載しないモノクロプリンタでも、「色むら」は提起されない。しかし、このような場合であっても、「時間差むら」を低減可能であると言う点で本発明は有効に機能する。
更に、異なる吐出量の同色インクを吐出する複数のノズル列を有する記録ヘッドを用いる場合であっても、インク以外の液体をインクと併用して記録する場合であっても、本発明は好適に適用することが出来る。ここで、インク以外の液体としては、インク中の色材を凝集あるいは不溶化させる無色透明な反応液などが挙げられる。この場合、少なくとも、ある1種のインクと反応液についての時間差が基因するムラの発生を抑制することが出来る。
本発明の実施形態に係るホスト機器として機能するパーソナルコンピュータ(以下、単にPCとも言う)の主にハードウェアおよびソフトウェアの構成を示すブロック図である。
記録装置104で記録を行う際の、PC100および記録装置104における主なデータ処理過程を説明するためのブロック図である。
本発明の実施形態で適用するインクジェット記録装置104の内部構成を説明するための斜視図である。
2パスのマルチパス記録における記録ヘッドとマスクパターンおよび記録媒体の関係を模式的に説明するための図である。
互いに補完の関係にある2パス用のマスクパターンの仕組みをより簡潔に説明するための模式図である。
色むらを説明するために、上述した記録ヘッド2801を用いて、3パスのマルチパス記録を双方向で行った際の記録ヘッドの記録状態を示した模式図である。
図6と同様の記録を行った際の記録媒体における記録状態を示した模式図である。
「時間差むら」を説明するために、記録ヘッド2801を用いて2パスのマルチパス記録を双方向で行った際の記録状態を示した模式図である。
図8と同様の画像を、4パスのマルチパス記録で行った際の記録状態を示した模式図である。
図8と同様の画像を、4パスのマルチパス記録で行った際の記録状態を示した模式図である。
実施例1における、3パス双方向のマルチパス記録を行った際の記録ヘッド2801の記録状態を示した模式図である。
実施例2における、4パス双方向のマルチパス記録を行った際の記録ヘッド2801の記録状態を示した模式図である。
実施例3における、5パス双方向のマルチパス記録を行った際の記録ヘッド2801の記録状態を示した模式図である。
(a)〜(c)は、2回の記録走査の時間差が画像に及ぼす影響を説明するための模式図である。
シリアル型のインクジェット記録装置において一般的に用いられているインクジェット記録ヘッドのノズル配列状態を説明するための模式図である。
左右対称型の記録ヘッドの構成を説明するための模式図である。
符号の説明
100 ホストコンピュータ(PC)
101 アプリケーション
102 オペレーションシステム
103 プリンタドライバ
104 記録装置
105 モニタドライバ
106 モニタ
107 ハードディスク
108 CPU
109 RAM
110 ROM
2801 記録ヘッド
2802 ノズル列
2803 吐出口