JP2002225244A - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法

Info

Publication number
JP2002225244A
JP2002225244A JP2001030188A JP2001030188A JP2002225244A JP 2002225244 A JP2002225244 A JP 2002225244A JP 2001030188 A JP2001030188 A JP 2001030188A JP 2001030188 A JP2001030188 A JP 2001030188A JP 2002225244 A JP2002225244 A JP 2002225244A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
printing
nozzle
ink
area
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001030188A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiichiro Takahashi
喜一郎 高橋
Naoji Otsuka
尚次 大塚
Hitoshi Sugimoto
仁 杉本
Osamu Iwasaki
督 岩崎
Hitoshi Nishigori
均 錦織
Minoru Teshigahara
稔 勅使川原
Takeshi Yazawa
剛 矢澤
Satoyuki Chikuma
聡行 筑間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001030188A priority Critical patent/JP2002225244A/ja
Publication of JP2002225244A publication Critical patent/JP2002225244A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録ヘッドの各ノズル群において使用頻度が
異なる場合であっても、濃度ムラや色ムラ等の画像弊害
が発生するのを防止し得るようにする。 【解決手段】 1つの記録領域への記録に使用する複数
のノズル群の組み合わせを、各ノズル群のインク吐出特
性に基づき設定する使用ノズル群設定手段を備え、前記
使用ノズル群設定手段を、前記ノズル群のインク吐出特
性に応じて副走査量を設定する副走査量設定手段と、前
記ノズル群のインク吐出特性に応じて主走査回数を設定
する主走査回数設定手段とを有するものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被記録媒体上に高
品位のカラー画像を得ることができるインクジェット記
録装置および記録方法に関し、詳しくは、複数の記録ヘ
ッドにより、異なる複数種のインクをそれぞれ吐出させ
ると共に、1回の記録走査(1パス)、または複数の記
録走査(マルチパス)により記録を行うインクジェット
記録装置及びインクジェット記録方法に関するものであ
る。
【0002】また、本発明は、紙や布、革、不織布、O
HP用紙等、さらには金属等の被記録媒体を用いる機器
すべてに適用可能である。具体的な適用機器としては、
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の事務機器や工業用
生産機器等を挙げることができる。
【0003】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、低騒音、低
ランニングコストに構成でき、装置の小型化及びカラ−
化が容易であるなどの理由からプリンタ、複写機、ファ
クシミリ等に広く利用されている。
【0004】一般に、カラ−インクジェット記録方法
は、シアン、マゼンタ、イエロ−の3色のカラーインク
に黒インクを加えた4色のインクを使用してカラ−記録
するのが通例である。
【0005】従来のインクジェット記録方法は、インク
のにじみのない高発色のカラ−画像を得るためにはイン
ク吸収層を有する専用紙を使用する必要があったが、近
年はインクの改良によりプリンタや複写機等で大量に使
用される「普通紙」への記録適性を持たせた方法も実用
化されている。
【0006】最近の傾向として、インクジェット記録方
法において、専用紙、普通紙共に高画質で記録したいと
するユーザーのニーズは高まってきている。記録装置や
該記録装置の高画質化技術が急ピッチで開発されてきて
いる。
【0007】高画質化技術の一例として、マルチパス記
録を挙げることができる。
【0008】複数の記録素子を有する記録ヘッドを用い
て記録を行う場合、記録される画像の品位は記録ヘッド
単体の性能に依存するところが大きい。記録ヘッドの吐
出口の形状や電気熱変換体(吐出ヒータ)のバラツキ等
の記録ヘッド製作工程時に生じる僅かな違いが、それぞ
れ吐出されるインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を
及ぼし、最終的に形成される画像の濃度ムラとして画像
品位を劣化させる原因となってしまう。
【0009】その具体例を図1、図2を用いて説明す
る。図1(a)において、101は記録ヘッドであり、
簡単のため8個のマルチノズル(102)によって構成
されているものとする。103はマルチノズル102よ
って吐出されたインクドロップレットであり、通常はこ
の図のように揃った吐出量で、揃った方向にインクが吐
出されるのが理想である。もし、このような吐出が行わ
れれば、図1(b)に示したように紙面上に揃った大き
さのドットが着弾され、全体的にも濃度ムラの無い一よ
うな画像が得られるのである。この状態を図1(c)に
示す。
【0010】しかし、実際には記録ヘッド201は先に
も述べたようにノズル1つ1つにはそれぞれバラツキが
あり、そのまま上記と同ように記録を行ってしまうと、
図2(a)に示したようにそれぞれのノズルより吐出さ
れるインクドロップの大きさ及び向きにバラツキが生
じ、紙面上においては図2(b)に示すように着弾され
る。この図によれば、ヘッド主走査方向に対し、周期的
にエリアファクター100%を満たせない白紙の部分が
存在したり、また逆に必要以上にドットが重なり合った
り、あるいはこの図中央に見られるような白筋が発生し
たりしている。このような状態で着弾されたドットの集
まりはノズル並び方向に対し、図2(c)に示した濃度
分布となり、結果的には、通常人間の目でみた限りで、
これらの現象が濃度ムラとして感知される。
【0011】そこでこの濃度ムラ対策として次のような
方法が提案されている。図3及び図4によりその方法を
説明する。この方法によると図1及び図2で示した記録
領域を完成させるのに記録ヘッド201を3回スキャン
しているが、その半分4画素単位の領域は2パスで完成
している。この場合、記録ヘッドの8ノズルは、上側の
4ノズルと下側の4ノズルのグループに分けられ、1ノ
ズルが1回のスキャンで記録するドットは、規定の画像
データをある所定の画像データ配列に従って約半分に間
引いたものである。そして2回目のスキャン時に残りの
半分の画像データのドットを埋め込み、4画素単位領域
の記録を完成させる。以上のような記録方式は、一般に
マルチパス記録方式と称ばれている。
【0012】このようなマルチパス記録方式を用いる
と、図2で示した記録ヘッドと等しいものを使用して
も、各ノズル固有の記録画像への影響が半減されるの
で、記録された画像は図3(b)のようになり、図2
(b)に見るような黒スジや白スジが余り目立たなくな
る。従って濃度ムラも図3(c)に示すように図2の場
合と比べ、かなり緩和される。
【0013】このような記録方式を行う際、1スキャン
目と2スキャン目では、画像データをある決まった配列
(マスク)に従って互いに埋め合わせる形で分割する
が、通常この画像データ配列(間引きパターン)は図4
に示すように、縦横1画素毎に、千鳥格子になるような
ものを用いるのが最も一般的である。単位記録領域(こ
こでは4画素単位)においては千鳥格子を記録する1ス
キャン目と、逆千鳥格子を記録する2スキャン目によっ
て記録が完成されるものである。
【0014】また、通常各走査間の被記録媒体の移動量
は一定に設定されており、図3及び図4の場合には、4
ノズルずつ均等に移動させている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
マルチパス記録方法は、数ノズルのインク吐出方向のず
れや不吐出等のように、微少領域での画像劣化要因に対
しては有効であるが、特定の大きさを持ったマクロ領域
での劣化要因に対しては、十分な効果を得ることができ
ないという問題がある。
【0016】例えば、記録ヘッドの各ノズル群におい
て、使用頻度の違いによる吐出量のバラツキや濃度ムラ
が存在する場合には、マルチパス記録において次のよう
な問題が発生する。
【0017】図5は4回の記録走査で画像を完成してい
くマルチパス記録を模式的に示す説明図である。
【0018】図5において、記録を行う際の被記録媒体
の送り方向(副走査方向)は、図中の矢印に示す方向
(上方から下方)となっている。また、第1記録走査、
第2記録走査、第3記録走査…というように記録ヘッド
Hを順次主走査方向に走査して記録を行うと共に、各主
走査間で副走査方向へと被記録媒体を移動させながら記
録を完成していく。
【0019】すなわち、第1記録走査で、記録ヘッドH
により第1記録領域に対して記録を行う。第2記録走査
で、第1記録領域、第2記録領域に対して記録を行う。
次に、第3記録走査で、第1記録領域から第3記録領域
に対して記録を行う。次に、第4記録走査で、第1記録
領域から第4記録領域に対して記録を行い、以上の4回
の記録走査で第1記録領域に対する記録を完成する。
【0020】また、第2記録領域から第5記録領域ま
で、それぞれ順次4回の記録走査が行われて、記録を完
成していく。なお、図中の破線間隔は32ノズル幅を示
し、実線間隔は96ノズル幅を示しており、実線間隔は
副走量(被記録媒体の移動量)を示している。
【0021】ここで、第1記録領域の形成に着目する
と、記録領域Aを形成する場合には4回の記録走査の中
で、1回は使用頻度の高いノズル群で記録が行われ、そ
の他の3回は使用頻度の低いノズル群で記録が行われ
る。記録領域Bも同様である。これに対して、記録領域
Cでは、2回は使用頻度の高いノズル群で記録が行わ
れ、その他の2回は使用頻度の低いノズル群で記録が行
われている。使用頻度の高いのノズルは、インク吐出量
が低くなる傾向があるために、このノズル群での記録は
比較的濃度が低くなる。記録領域Aと記録領域Cとで
は、使用頻度の高いノズル群による記録走査回数が異な
ることから、完成された画像に濃度差が生じ、しかも、
この濃度差が生じている特定の大きさの領域が交互に隣
接した状態で形成されてしまうため、この濃度差が濃度
ムラとして感知され、画像品質を劣化させてしまうとい
う不都合が発生する。さらに、複数の記録ヘッドで複数
のインクを用いた場合、濃度差が色ムラとして感知され
てしまう場合もある。
【0022】本発明は、上述した問題点を解消するため
になされたものであり、その目的とするところは、濃度
ムラや色ムラのない高画質記録を実現できるインクジェ
ット記録装置及び記録方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するた
め、本発明は、次のような構成を有する。
【0024】すなわち、本発明は、インク吐出用の複数
のノズルを配列してなるノズル群を複数備えた記録ヘッ
ドを有し、形成すべき画像の少なくとも一部を構成する
1つの記録領域に対し異なるノズル群を用いて複数回主
走査を行うことにより、前記記録領域に対して形成すべ
き画像を完成させるようにしたインクジェット記録装置
であって、1つの記録領域への記録に使用する複数のノ
ズル群の組み合わせをノズル群のインク吐出特性に基づ
き設定する使用ノズル群設定手段を備え、前記使用ノズ
ル群設定手段は、ノズル群のインク吐出特性に応じて副
走査量を設定する副走査量設定手段と、ノズル群のイン
ク吐出特性に応じて主走査回数を設定する主走査回数設
定手段と、を有するものである。
【0025】また、上記発明において、前記使用ノズル
群設定手段は、各記録領域への記録に使用する特性の異
なるノズル群の組み合わせがインク吐出特性において同
一となるよう設定することが考えられる。
【0026】また、上記発明においては、例えば次のよ
うな構成を採ることが可能である。
【0027】すなわち、前記記録ヘッドが、同一種のイ
ンクを吐出する複数の異なるノズル群を有し、形成すべ
き画像の少なくとも一部を構成する1つの記録領域に対
し同一種のインクを吐出する異なるノズル群を用いて複
数回主走査を行うことにより、前記記録領域に対して形
成すべき画像を完成させるマルチパス記録を実行するも
のとすることができる。
【0028】また、前記ノズル群のインク吐出特性を、
ノズル群の使用頻度によって決定されるものとすること
が考えられる。
【0029】また、前記各記録ヘッドの各ノズル群を、
低使用頻度ノズル群と高使用頻度ノズル群とに分類し、
前記使用ノズル群設定手段が、各記録領域への記録に使
用する低使用頻度ノズル群と高頻度ノズル群との組み合
わせを各記録領域において同一となるよう設定すること
が可能である。
【0030】また、前記各記録ヘッドを、使用ノズルと
不使用ノズルとによって構成すると共に、前記使用ノズ
ルと不使用ノズルとの配列のパターンを所定の画像領域
毎に変更するノズルパターン変更手段を設け、前記使用
ノズル群設定手段が、1つの記録領域への記録に使用す
る複数のノズル群の組み合わせを前記使用ノズルの中で
設定するようにすることも可能である。
【0031】また、前記ノズルパターン変更手段は、ノ
ズルパターンを1頁毎に変更するようにすることも可能
である。
【0032】また、前記使用ノズル設定手段は、各記録
領域の記録に使用する異なるノズル群の全てを使用頻度
の低いノズル群に設定することも可能である。
【0033】また、上記発明において、前記ノズル群毎
に使用頻度を判定する頻度判定手段をさらに備えること
も考えられ、この頻度判定手段としては、ノズル群毎に
使用頻度を記憶する使用回数記憶手段を有することが考
えられる。
【0034】また、前記記録ヘッドは、各ノズルにイン
クを吐出させる吐出エネルギー発生手段を備え、前記吐
出エネルギー発生手段は、熱エネルギーによってインク
に気泡を発生させ、その気泡の発生エネルギーによって
インクを吐出させるものとすることが考えられる。
【0035】また、本発明は、インク吐出用の複数のノ
ズルを配列してなるノズル群を複数備えた記録ヘッドを
有し、形成すべき画像の少なくとも一部を構成する1つ
の記録領域に対し、異なるノズル群を用いて複数回主走
査を行うことにより、前記記録領域に形成すべき画像を
完成させるようにしたインクジェット記録方法であっ
て、1つの記録領域への記録に使用する複数のノズル群
の組み合わせを、ノズル群のインク吐出特性に基づき設
定し、前記ノズル群のインク吐出特性に応じて副走査量
を設定し、前記ノズル群のインク吐出特性に応じて主走
査回数を設定するようにしたことを特徴とする。
【0036】上記構成によれば、記録ヘッドを構成する
ノズル群のインク吐出特性に応じて副走査量および主走
査回数を設定することにより、1つの記録領域への記録
に使用する複数のノズル群の組み合わせをノズル群のイ
ンク吐出特性に基づき設定するようになっているため、
記録ヘッドの各ノズル群において使用頻度が異なる場合
であっても、濃度ムラや色ムラ等の画像弊害が発生する
のを防止することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0038】この実施形態に適用するインクジェット記
録装置は、複数の記録ヘッドを搭載したヘッドカートリ
ッジ(記録手段)を主走査方向へと往復移動させると共
に、被記録媒体を主走査方向と直交する副走査方向へと
移動させて記録を行うシリアルプリンタ型のインクジェ
ット記録装置となっている。そして、このインクジェッ
ト記録装置では、設定された記録モードに応じて、各記
録ヘッドの記録に使用するノズルの数及び位置(使用ヘ
ッド部の幅及び位置)をそれぞれ独立に制限し得るもの
となっている。
【0039】すなわち、このインクジェット記録装置
は、打ち込み順ムラ、時間差ムラ、異色境界にじみ等の
画像弊害を抑制するために、設定された記録モードに最
適な使用ノズル部の幅及び位置を設定して記録を行う。
つまり、高速記録モードでは可能な範囲内で最も高速記
録に適したノズルを指定して記録を行い、高画質記録モ
ードでは色ムラ等の画像被害が発生しないようなノズル
限定をして記録を行うことにより、1つの記録装置にお
いて、高速記録と高画質記録とを両立し得るものとなっ
ている。
【0040】なお、打ち込み順ムラとは、異なるインク
を用いた記録ヘッドが横方向(主走査方向)に並んでい
る場合、往路におけるそれぞれのインク打ち込み順序と
復路におけるインク打ち込み順序とが異なるために、往
路記録と復路記録において発生する色ムラを示す。
【0041】また、時間差ムラとは、異なるインクを用
いた記録ヘッドが縦方向(副走査方向)に並んでいる場
合、それぞれの記録領域に対するインクの打ち込み順序
は同一にすることができるが、1パス双方向記録では、
1つの記録領域に対し異なる複数の記録ヘッドが往動、
復動を交互に行うことによって記録が行われることとな
り、先の記録動作によって記録されてから、次の記録動
作によって記録される記録されるまでの時間間隔が、1
つの記録領域内の全ての個所で異なり、その結果現れる
インク濃度の差によって生じるムラである。
【0042】また、異色境界にじみとは、異なる色間の
境界部においてインクがにじむ現象を示す。
【0043】以下、この実施形態に適用されるインクジ
ェット記録装置における(1パス双方向記録)、(高速
記録モード)、(高画質記録モード)、(マルチパス記
録モード)、(ノズル設定切り換えシーケンス)につい
て説明する。
【0044】(1パス双方向記録)高速化を重視した記
録を行う際には、高画質を実現するために用いられてい
るマルチパス記録は行わず、1回のパスで記録を行う所
謂1パス記録が有効である。ここで記録のパス数とは、
1ラインを完成させるのに必要なキャリッジの走査回数
のことである。
【0045】これは、記録ヘッドの吐出口の数がある一
定値である関係上、パス数が多いほど一回の紙送り量は
小さくなり、逆にパス数を少なくするほど一回の紙送り
の量は大きくなるためである。例えば、現在2パスによ
る記録が行われているところを、1パスで記録すること
が可能であれば、単純には約2倍の高速化が図れること
になる。すなわち、パス数が少なくなればなるほどキャ
リッジのスキャン回数は減り、かつ、一回の紙送り量は
大きくなり、結果的に1枚の記録に要する時間は短縮さ
れる。
【0046】また、記録方向を双方向にすることで、無
駄な走査を行うことが無くなり、更なる高速化を図るこ
とができる。
【0047】図1に同一の記録ヘッドを用いて、同一の
記録走査回数を行った場合の記録量の比較例を示す。こ
こでは、記録ヘッドの幅を1行と定義する。
【0048】図6(a)に示すように、2パス双方向記
録の場合には、3回の記録走査を行うことにより、記録
完成領域が1行あり、かつ記録未完成領域が1行ある状
態となる。また、記録方向が片方向であれば、記録を伴
わない走査が介在するため、記録完成領域は0.5行に
なる。
【0049】これに対して、図6(b)の1パス片方向
記録では、3回の記録走査で記録完成領域は2行にな
る。ここでは、記録を伴わない走査が1回存在する。一
方、図1(c)の1パス双方向記録では3回の記録走査
を行うことによって記録完成領域は3行になり、最も無
駄のない記録動作が行われることとなる。高速化を図る
ためには有効な方式である。
【0050】(高速記録モード)ここで、高速記録を実
現する場合の一例を説明する。この実施形態において、
高速記録モードが設定された場合、図6(c)に示す1
パス双方向記録の実行が最も有効である。さらに、記録
ヘッドにおいて使用する部分の幅は、それぞれの記録装
置または記録ヘッドの形態に応じて、そのシステムの中
で可能な最大の幅を選択することが望ましい。
【0051】この高速記録モードにおいて使用する記録
ヘッドを図7に示す。図7(a)は384ノズルの幅を
有する複数の記録ヘッドの構成を示しており、ここでは
第1の記録ヘッドH1と第2の記録ヘッドH2とが平行
に配列されている構成状態を示している。また、図7
(b)は384ノズル幅を有する複数の記録ヘッド(第
1の記録ヘッドH1と第2の記録ヘッドH2)を互いに
192ノズル分オフセットした状態で配列されている構
成状態を示している。この場合、双方の記録ヘッドと
も、記録ヘッドの全幅、すなわち全てのノズルを使用ヘ
ッド部として設定する。
【0052】図7(c)に示す記録ヘッドは、ヘッド構
成としては図7(a)と同一であるが、複数の記録ヘッ
ド間で記録走査を分割する必要があるとか、消費電力の
制限のために同時に駆動できるノズル数を制限する必要
があるといった理由により、記録ヘッドを、使用ノズル
(使用ヘッド部)と不使用ノズル(不使用ヘッド部)と
に分割した構成を示している。ここでは、第1の記録ヘ
ッドH1は上部の192ノズルのみを、第2の記録ヘッ
ドH2は下部の192ノズルのみを使用している。この
記録ヘッドH1,H2によれば、1つの記録領域に対し
各記録ヘッドでの同時記録走査による記録が禁止され、
各記録領域は複数の記録走査でそれぞれ記録される。
【0053】同ように、図7(d)はヘッド構成として
は図7(b)と同一であるが、上記の理由により、記録
ヘッドの中で使用ノズルと不使用ノズルとに分割して、
第1の記録ヘッドH1では上部の288ノズルのみを、
第2の記録ヘッドH2では下部の288ノズルのみを使
用している。さらに、各記録ヘッドH1,H2の間で、
1つの記録領域に対する同時記録走査での記録を禁止す
る構成となっている。
【0054】ここで、1つの記録領域に対して、複数の
記録ヘッドでの同時記録走査での記録を禁止するのは、
使用するインク特性に起因した境界にじみ等の発生を抑
制することを目的としているためである。
【0055】以上のように、高速記録モードでは、イン
クジェット記録装置の使用状況または記録ヘッドの構成
のなかで、使用可能な最大の使用ヘッド幅(使用ノズル
数)を選択し、1パス双方向記録を行うことによって最
も高速に画像を形成することができる。
【0056】なお、この高速記録モードでは、高速性を
重視する記録モードであるので、記録データを間引くこ
とにより記録ヘッドの駆動周波数を上げたり、消費電力
による使用ノズルの制限を緩和して使用ノズルを多くし
たりする等の方法を採ることも可能である。
【0057】(高画質記録モード)次に、実施形態にお
いて、高画質記録を実現する場合の一例を説明する。な
お、ここでは、高速記録性を維持するために、図6
(c)に示す1パス双方向記録を実行しつつ、高画質記
録を可能とする場合について説明する。
【0058】1パス双方向記録によって高速記録を行う
場合に問題となるのは、前述のような画像弊害である
が、この実施形態では図8に示すような記録ヘッドを用
い、図9に示すような記録動作を行うことによって上記
問題を解消している。
【0059】すなわち、図8(a)は、384ノズルの
幅を有する複数の記録ヘッド(第1の記録ヘッドH1と
第2の記録ヘッドH2)が互いに平行に配列されている
構成状態を示している。ここで、第1の記録ヘッドH1
における使用ノズル(使用ヘッド部)は上部の128ノ
ズルのみとする。これに対して第2の記録ヘッドH2に
おける使用ノズル(使用ヘッド部)は、下部の128ノ
ズルのみとする。
【0060】一方、図8(b)は、384ノズル幅の第
1の記録ヘッドH1と第2の記録ヘッドH2とが、19
2ノズル分オフセットした状態で配列されている構成状
態を示している。第1の記録ヘッドH1における使用ノ
ズル(使用ヘッド部)は、上部の192ノズルのみとす
る。これに対して第2の記録ヘッドH2における使用ノ
ズル(使用ヘッド部)は、下部の192ノズルのみとす
る。
【0061】これらの記録ヘッドを用いて被記録媒体に
対し記録を行う場合について説明をする。図9は図8
(a)の記録ヘッドを用いて1パス双方向記録を行う場
合を示している。なお、被記録媒体は、図中の矢印に示
すように、上から下への移動(副走査)を行い、この副
走査方向と直交する方向に沿って記録ヘッドが往復移動
(主走査)を行うものとする。
【0062】まず、第1記録走査では、第1の記録ヘッ
ドH1、第2の記録ヘッドH2をそれぞれを往路方向に
走査して記録を行い、第2記録走査では、それぞれの記
録ヘッドを復路方向に走査して記録を行い、第3記録走
査以降も同ように奇数の記録走査では往路方向、偶数の
記録走査では復路方向へと記録を行い、それらの1パス
双方向記録によって画像を完成していく。
【0063】すなわち、第1記録走査では、第1の記録
ヘッドH1により第1記録領域に対して記録を行う。第
2記録走査では、第1の記録ヘッドH1により第2記録
領域に対して記録を行う。次に、第3記録走査では、第
1の記録ヘッドH1により第3記録領域に対して記録を
行うと同時に、第2の記録ヘッドH2により第1記録領
域に対して記録を行う。次に、第4記録走査では、第1
の記録ヘッドH1により第4記録領域に対して記録を行
うと同時に、第2の記録ヘッドH2により第2記録領域
に対して記録を行う。次に、第5記録走査では、第1の
記録ヘッドH1により第5記録領域に対して記録を行う
と同時に、第2の記録ヘッドH2により第3記録領域に
対して記録を行う。このようにして、各記録領域に対し
て、順次第1の記録ヘッドH1と第2の記録ヘッドH2
による記録を行っていく。一方、図8(b)は、384
ノズル幅の複数の記録ヘッド(第1の記録ヘッドH1と
第2の記録ヘッドH2)が互いに192ノズル分オフセ
ットした状態で配列されている構成状態を示している。
図10は図8(b)の記録ヘッド構成で1パス双方向記
録を行う場合を示している。
【0064】図10において、記録を行なう手順は、図
9に示した手順と同様である。ただし、第1の記録ヘッ
ドH1と第2の記録ヘッドH2との間には192ノズル
分のオフセットがあり、各記録領域が副走査方向に長く
なっているため、図9の場合に対して、記録幅が1.5
倍になっており、その分、高速記録には有利な構成とな
っている。また、記録装置の構成的には使用ノズルの幅
が全体的に大きくなってしまい、記録ヘッドが大型化し
てしまうために、装置の小型化の面では若干不利にな
る。
【0065】以上のような図9及び図10に示す高画質
記録モードにおいてその注目すべき特徴は、1つの記録
領域における第1の記録ヘッドH1による記録と第2の
記録ヘッドH2による記録との関係である。すなわち、
第1記録領域に対しては、往路方向への第1記録走査及
び第3記録走査によって記録が行われ、これら第1,第
3記録走査の間に行われる復路方向への第2の記録走査
では、第2記録領域に対する記録が行われる。また、第
2記録領域に対しては、前述の復路方向への第2記録走
査及び第4記録走査によって記録が行われ、これら第
2,第4の記録走査の間に行われる往路方向第3記録走
査では、前述のように第1の記録領域に対する記録が行
われ、その後、第3記録領域、第4記録領域、と順次、
同様の手順で記録が行われる。
【0066】つまり、この高画質記録動作においては、
1つの記録領域について着目すると、複数の記録ヘッド
による記録走査の間に、1回の記録を行わない走査が介
在し、この記録を行わない走査は着目している記録領域
に対する記録は行わないが、他の記録領域に対しての記
録を行うようになっている。
【0067】従って、第1の記録ヘッドH1での記録と
第2の記録ヘッドH2での記録が着目の記録領域全てに
おいて一定の時間差で行われることになる。換言すれ
ば、各記録領域毎に記録方向は交互に切り替わる(隣接
する記録領域の記録方向は互いに異なる)が、1つの記
録領域の中で行われる複数の記録ヘッドでの記録動作は
一定の時間差で行われ、これは隣接する記録領域でも同
様である。
【0068】なお、本実施形態では、各記録領域におい
て、インク打ち込みの時間間隔が必ず同一になる構成で
記載しているが、数ラスタの範囲であれば、時間間隔が
異なってしまう記録領域があっても実質的に問題になる
ことはない。つまり、ユーザーが画像弊害と認識してし
まう程度以下の寸法領域であれば、時間差ムラや色ムラ
が発生しても画質上さほど大きな問題とはならない。
【0069】以上説明してきたように、複数の記録ヘッ
ドにおいて、使用する記録ヘッドの幅(ノズル数)と位
置を限定することにより、1つの記録領域内でのインク
の打ち込み時間差、及び各記録領域間でのインクの打ち
込み時間差を一定に保つことが可能となり、色ムラのな
い高画質な画像を得ることができる。
【0070】(マルチパス記録モード)本実施形態で
は、図7または図8に示すような記録ヘッドの構成を用
いてマルチパス記録を実施することも可能である。周知
のように、マルチパス記録方式は、高画質記録に適して
いるが、記録ヘッドの使用ノズルを図8(a)に示すよ
うに設定し、前述の高画質モードを実行することで、よ
り高品位な画像を得ることができる。また、前述の高速
記録モードを設定し、図7に示すような、使用ノズルの
設定を行えば、マルチパス記録で失われた高速性を向上
させることもできる。
【0071】(使用ノズル切換シーケンス)この第1の
実施例では、前述の高速記録モードと高画質記録モード
とに応じて記録における使用ヘッド部の幅及び位置(使
用ノズルの数及び位置)を切り換えて使用する。
【0072】図11は本実施例を実行するノズル設定切
り換えシーケンスの一例を示すフローチャートである。
まず、STEP−1において記録するデータを読み込
む。次に、STEP−2において記録データに付随して
いるヘッダ情報等から記録するべき記録モードの情報を
取得する。次に、STEP−3において、予め設定され
ている記録モードの判別を行い、設定されている記録モ
ードが高速記録モードであればSTEP−4で高速記録
モード用のノズル設定を行い、高画質記録モードであれ
ばSTEP−5で高画質記録モード用のノズル設定を行
う。
【0073】このようにして、記録する記録データの情
報に応じて、高速記録モードと高画質記録モードとをそ
れぞれ独立にノズル設定することができる。通常、記録
データの先頭部にヘッダ情報等が付随しているので、こ
のヘッダ情報に基づき、記録するジョブ毎、もしくはペ
ージ毎に、設定されている記録モードが高速記録モード
であるか高画質記録モードであるかに応じて使用ヘッド
部(使用ノズル)を切り換えて記録を行うことができ
る。
【0074】(使用ノズル切換シーケンスの変形例)次
に、本発明の第1の実施形態の変形例を図12のフロー
チャートに基づき説明する。
【0075】図12は、図11に示したノズル設定切り
換えシーケンスを一部変更したフローチャートを示して
いる。まず、STEP−1において1バンド分の記録デ
ータを読み込む。ここで、1バンド分の記録データは、
処理できる1回分のデータ量でも良いし、高速記録モー
ドの1行分のデータ量でも良く、特定の記録領域毎にデ
ータ処理を行い得る量であれば良い。次に、STEP−
2において、記録データに付随しているヘッダ情報等か
ら記録するべき記録モードの情報を入手する。次に、S
TEP−3において、設定されている記録モードが高速
記録モードであればSTEP−4で高速記録モード用の
ノズル設定をし、また、高画質記録モードであればST
EP−5で高画質記録モード用のノズル設定をする。そ
して、STEP−6では、記録すべき記録データが存在
するか否かを判断し、記録データが存在する場合には、
再度STEP−1から同様の制御を繰り返し、全ての記
録データが記録された場合は、本シーケンスを終了す
る。
【0076】このシーケンスによれば、1バンド毎に使
用する記録ヘッドのノズルを変更することが可能とな
り、より細密な画像形成が可能となる。この際の切り換
えを指示するための情報は、1バンド分の記録データ毎
に付随させるようにする他、切り換えが必要な部分にの
み記録データ情報を付随させるようにすることも可能と
である。
【0077】以上のようにこの実施形態においては、記
録モードによって、図7(c),(d)及び図8
(a),(b)に示すような記録ヘッド内の使用ノズル
を適宜制限し得る構成となっているため、種々の記録形
態に対応できるという利点を有するが、その反面、特定
の記録形態のみが高頻度に実行された場合に、ノズルの
使用頻度にノズル群単位で偏りが発生し、各ノズル群の
吐出特性に差異が発生する可能性がある。この場合、記
録ヘッドの全ノズルを用いて主記録走査を行う通常のマ
ルチパス記録では、先に図5において説明したような画
像弊害が発生する可能性がある。
【0078】そこで、この実施形態では、上記のように
記録モードに応じて、使用する複数の記録ヘッドの幅を
それぞれ独立に制限し得るインクジェット記録装置にお
いて、記録ヘッドの各ノズルの使用頻度を求め、その使
用頻度に応じて各ノズルのインク吐出特性を判別し、そ
の判別結果に基づいて、1つの記録領域への記録に使用
するノズル群の組み合わせ、すなわち、高頻度ノズルと
低頻度ノズルとの組み合わせを設定するようになってい
る。この設定は、副走査量と主走査量とをインク吐出特
性に基づいて設定することによって行うことができ、こ
れにより、使用頻度の異なるノズル群を有する記録ヘッ
ドを用いる場合にも、濃度ムラや色ムラ等の画像弊害が
発生しない記録を行うことが可能となり、高画質記録を
実現することができ、マルチパス記録方式においては極
めて有効である。
【0079】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。なお、各図において、同一符号で示す要素
はそれぞれ同一または対応する要素とする。
【0080】[第1実施例]まず、本発明の第1実施例
を説明する。この第1実施例は、複数の記録ヘッドによ
り被記録媒体上に異なる複数色のインクを用いてカラー
画像を形成する記録方式に関するものであり、各記録ヘ
ッドにおける各ノズルのインク吐出特性に基づき主走査
回数と副走査量を決定して、マルチパス記録を行うもの
となっている。
【0081】以下にその詳細を説明する。
【0082】(記録装置の構成)図9は本発明を適用し
たインクジェット記録装置の実施例の要部構成を模式的
に示す斜視図である。図9において、複数(4個)のヘ
ッドカートリッジ1A,1B,1C,1Dがキャリッジ
2に交換可能に搭載されている。各カートリッジ1A〜
1Dのそれぞれには、記録ヘッド部を駆動する信号を受
けるためのコネクターが設けられている。なお以下の説
明では前記記録手段1A〜1 Dの全体または任意の1
つを指す場合、単に記録手段(記録ヘッドまたはヘッド
カートリッジ)1で示すことにする。
【0083】前記複数のカートリッジ1は、それぞれ異
なる色のインクで記録するものであり、それらのインク
タンク部には例えばシアン、マゼンタ、イエロー、黒な
どの異なるインクが収納されている。各記録手段1はキ
ャリッジ2に位置決めして交換可能に搭載されており、
そのキャリッジ2には、前記コネクターを介して各記録
手段1に駆動信号等を伝達するためのコネクターホルダ
ー(電気接続部)が設けられている。
【0084】キャリッジ2は、主走査方向で装置本体に
設置されたガイドシャフト3に沿って移動方向に案内支
持される。そしてキャリッジ2は、主走査モーター4に
より、モータプーリー5、従動プーリー6、及びタイミ
ングベルト7を介して駆動され、その位置及び移動を制
御される。用紙やプラスチック薄板等の被記録媒体8
は、2組の搬送ローラーの回転により第1の記録ヘッド
H1の吐出口面と対向する位置(記録部)を通して搬送
(紙送り)される。なお被記録媒体8は、記録部におい
て平坦な記録面を形成できるように、その裏面をプラテ
ン(不図示)により指示されている。この場合、キャリ
ッジ2に搭載された各カートリッジ1は、それらの吐出
口面がキャリッジ2から下方へ突出して前記2組の搬送
ローラー対の間で被記録媒体8と平坦になるように保持
されている。
【0085】前記第1の記録ヘッドH1は、熱エネルギ
ーを利用してインクを吐出するインクジェット記録手段
であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体
を備えたものである。また前記第1の記録ヘッドH1は
前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーによ
り生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる
圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させ、記
録を行うものである。
【0086】図10は、前記第1の記録ヘッドH1のイ
ンク吐出部13の主要部構造を部分的に示す模式的斜視
図である。図10において被記録媒体8と所定の隙間
(約0.5〜2[mm]程度)をおいて対面する吐出口
面21には、所定のピッチで複数の吐出口22が形成さ
れ、共通液室23を各吐出口22とを連通する各流路2
4の壁面に沿ってインク吐出量のエネルギーを発生する
ために電気熱変換体(発熱抵抗体など)25が配設され
ている。本例においては、第1の記録ヘッドH1は前記
吐出口22がキャリッジ2の走査方向と交差する方向に
並ぶような位置関係で、該キャリッジ2に搭載されてい
る。こうして画像信号または吐出信号に基づいて対応す
る電気熱変換体25を駆動(通電)して、流路24内の
インクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐
出口22からインクを吐出させる第1の記録ヘッドH1
が構成されている。
【0087】(制御回路の構成)図11は、図1に示し
たインクジェットプリント装置における制御回路の概略
構成例を示す。
【0088】図11において、コントローラ100は主
制御部であり、例えばマイクロ・コンピュータ形態のC
PU101、プログラムや所要のテーブルその他の固定
データを格納したROM103、画像データを展開する
領域や作業用の領域等を設けたRAM105を有する。
ホスト装置110は、画像データの供給源(プリントに
係る画像等のデータの作成、処理等を行うコンピュータ
とする他、画像読み取り用のリーダ部等の形態であって
もよい)である。画像データ、その他のコマンド、ステ
ータス信号等は、インタフェース(I/F)112を介
してコントローラ100と送受信される。
【0089】操作部120は操作者による指示入力を受
容するスイッチ群であり、電源スイッチ122、プリン
ト開始を指示するためのスイッチ124、吸引回復の起
動を指示するための回復スイッチ126等を有する。
【0090】ヘッド・ドライバ140は、プリント・デ
ータ等に応じてプリント・ヘッド1の吐出ヒータ25を
駆動するドライバである。ヘッド・ドライバ140は、
プリントデータを吐出ヒータ25の位置に対応させて整
列させるシフト・レジスタ、適宜のタイミングでラッチ
するラッチ回路、駆動タイミング信号に同期して吐出ヒ
ータを作動させる論理回路素子の他、ドット形成位置合
わせのために駆動タイミング(吐出タイミング)を適切
に設定するタイミング設定部等を有する。
【0091】プリント・ヘッド1には、サブヒータ14
2が設けられている。サブヒータ142はインクの吐出
特性を安定させるための温度調整を行うものであり、吐
出ヒータ25と同時にプリント・ヘッド基板上に形成さ
れた形態及び/またはプリント・ヘッド本体ないしはヘ
ッド・カートリッジに取り付けられる形態とすることが
できる。
【0092】モータ・ドライバ150は主走査モータ1
52を駆動するドライバであり、副走査モータ162は
プリント媒体8を搬送(副走査)するために用いられる
モータであり、モータ・ドライバ160はそのドライバ
である。
【0093】(マルチパス記録方式)ここで、本発明の
第1実施例に適するマルチパス記録方式、つまり記録ヘ
ッドの各領域において、使用頻度の違いによる吐出量の
バラツキや濃度ムラが存在する場合のマルチパス記録方
式について説明をする。
【0094】図16に各ノズル群で使用頻度が異なる記
録ヘッドを用いたマルチパス記録の一例を示す。
【0095】図16において、記録を行う際の送り方向
は、上から下に被記録媒体が副走査される。また、第1
記録走査、第2記録走査、第3走査記録、とそれぞれの
記録ヘッドを主走査方向に走査して記録を行い、各主走
査間で副走査を行って、被記録媒体を移動させながら、
記録を完成していく。
【0096】まず、第1記録走査では、記録ヘッドHに
より第1記録領域に対して記録を行う。第2記録走査で
は、第1記録領域、第2記録領域に対して記録を行う。
次に、第3記録走査では、第1記録領域から第3記録領
域に対して記録を行い、以上の3回の記録走査で第1記
録領域に対する記録を完成する。また、第2記録領域か
ら第5記録領域についても同様にそれぞれ3回の記録走
査が順次行われて、記録を完成していく。なお、図中の
破線間隔は、32ノズル幅を示し、また実線間隔は12
8ノズル幅を示しており、この実線間隔は副走査量(紙
送り量)に相当する。
【0097】ここで、各記録領域に着目すると、第1記
録領域では、3回の記録走査の中で、1回は使用頻度の
高いノズル群で記録が行われ、その他の2回は使用頻度
の低いノズル群で記録が行われており、その他の記録領
域でも同様であることがわかる。つまり、各記録領域に
おいて、使用頻度の高いのノズル群での記録走査回数と
使用頻度の低いノズル群での記録走査回数とが同一であ
るので、完成された画像濃度に差が生じることはなく、
濃度ムラのない状態で画像を形成することができる。
【0098】次に図17に示した記録ヘッドと同様の記
録ヘッドを用いた他のマルチパス記録を図17に示す。
【0099】図17において、まず、第1記録走査で
は、記録ヘッドHにより第1記録領域に対して記録を行
う。第2記録走査では、第1記録領域、第2記録領域に
対して記録を行う。次に、第3記録走査では、第1記録
領域から第3記録領域に対して記録を行い、引き続き、
第6記録走査まで記録を行う。以上の6回の記録走査で
第1記録領域に対する記録を完成する。また、第2記録
領域から第7記録領域についても、それぞれ6回の記録
走査が順次行われて、記録を完成していく。なお、図中
の破線間隔は、32ノズル幅を示し、また実線間隔は6
4ノズル幅を示しており、この実線間隔は副走査量(紙
送り量)に相当する。
【0100】ここで、各記録領域に着目すると、第1記
録領域では、6回の記録走査の中で、2回は使用頻度の
高いノズル群で記録が行われ、その他の4回は使用頻度
の低いノズル群で記録が行われており、その他の記録領
域でも同様であることがわかる。つまり、各記録領域に
おいて、使用頻度の高いのノズル群での記録走査回数と
使用頻度の低いノズル群での記録走査回数とが同一であ
るので、完成された画像濃度には差が生じることはな
く、濃度ムラのない状態で画像を形成することができ
る。
【0101】次に図17に示した記録ヘッドと同様の構
成を有する記録ヘッドを用いた他のマルチパス記録を図
18に示す。
【0102】図18において、まず、第1記録走査で
は、記録ヘッドHにより第1記録領域に対して記録を行
う。ここで、使用するノズル群は図示の通りであり、記
録ヘッドHの上部32ノズルと下部64ノズルはこの記
録モードでは使用しない。すなわち、第2記録走査で
は、第1記録領域、第2記録領域に対して記録を行う。
次に、第3記録走査では、第1記録領域から第3記録領
域に対して記録を行い、3回の記録走査で第1記録領域
に対する記録を完成する。また、第2記録領域から第7
記録領域まで、それぞれ順次3回の記録走査が順次行わ
れて、記録を完成していく。なお、図中の破線間隔は、
32ノズル幅を示し、また実線間隔は96ノズル幅を示
しており、この実線間隔は副走査量(紙送り量)に相当
する。
【0103】ここで、各記録領域に着目する。第1記録
領域では、3回の記録走査の中で、1回は使用頻度の高
いノズル群で記録が行われ、その他の2回は使用頻度の
低いノズル群で記録が行われており、その他の記録領域
でも同様であることがわかる。つまり、各記録領域にお
いて、使用頻度の高いのノズル群での記録走査回数及び
使用頻度の低いノズル群での記録走査回数が同一である
ので、完成された画像の濃度に差が生じることはなく、
濃度ムラのない状態で画像を形成することができる。つ
まり各記録走査で使用しないノズル群が存在しても、各
記録領域に対する使用頻度の高いノズル群での記録走査
回数と使用頻度の低いノズル群での記録走査回数とが同
一であれば、同等の効果を得ることができる。
【0104】以上のように、本実施例の制御方法によれ
ば、記録ヘッドの中の各ノズル群において使用頻度が異
なることに起因するインク吐出特性が異なる記録ヘッド
を用いたマルチパス記録において、1つの記録領域への
記録に使用するノズル群の組み合わせ(使用回数)を同
一にすることで、濃度ムラや色ムラ等の画像被害が発生
しない記録を行うことが可能となり、高画質記録を実現
できる記録装置を提供することができる。
【0105】また、本実施例では、記録ヘッドの各ノズ
ル群において使用頻度が異なる1つの記録ヘッドを用い
たマルチパス記録について説明をしてきたが、当然、複
数の記録ヘッドの場合にも各ヘッドにおいて同様に記録
を行うことが可能である。つまり、複数の記録ヘッドに
おいて、1つの記録領域への記録に使用する使用頻度の
異なるノズル群の組み合わせ(記録回数)を同一にする
ことで、全ての記録ヘッドにおいても同等の効果を得る
ことができる。
【0106】[第2実施例]本発明の第2実施例は、上
記第1実施例と同ように、複数の記録ヘッドにより被記
録媒体上に異なる複数色の記録インクを吐出させてカラ
ー画像を形成するようにした記録方式に関するものであ
り、使用するノズルが特定のノズル群に集中しないよう
に、頁毎に使用ノズルを切り換えるものとなっている。
【0107】図19に各ノズル群で使用頻度が異なる記
録ヘッドを用いたマルチパス記録の一例を示す。これ
は、記録ヘッド及び副走査方向の走査量は図18の場合
と同様である。なお、ここでは、記録ヘッドHの中間位
置にある3つのノズル群(96ノズル)は不使用ノズル
となっている。
【0108】図19において、まず、第1記録走査で、
記録ヘッドにより第1記録領域に対する記録を行う。次
に、第2記録走査では、第1記録領域には記録は行わ
ず、第2記録領域に対してのみ記録を行う。次に、第3
記録走査では、第1記録領域、第3記録領域に対して記
録を行う。次に、第4記録走査では、第1記録領域、第
2記録領域、第4記録領域に対して記録を行い、以上の
4回の記録走査で第1記録領域に対する記録を完成す
る。但し、途中の第2記録走査では第1記録領域に対す
る記録は行っていない。また、第2記録領域から第7記
録領域についても、それぞれ4回の記録走査が順次行わ
れて、記録画像を完成していく。なお、図中の破線間隔
は、32ノズル幅を示し、また実線間隔は96ノズル幅
を示しており、この実線間隔は副走査量(紙送り量)に
相当する。
【0109】各記録領域において、第1記録領域では、
3回の記録走査の中で1回は使用頻度の高いノズル群で
記録が行われ、その他の2回は使用頻度の低いノズル群
で記録が行われており、その他の記録領域でも同様であ
る。このため、図18の場合と全く同ように、各記録領
域において、使用頻度の高いのノズル群での記録走査回
数及び使用頻度の低いノズル群での記録走査回数が同一
となるため、完成された画像の濃度に差はなく、濃度ム
ラのない状態で画像を形成することができる。
【0110】ここで、注目すべき点は、図18と図19
の場合において、使用ノズルが異なる(ノズルパターン
が異なる)点である。つまり、不使用ノズル群を設ける
必要がある場合、その記録モードのみを使用すると、使
用頻度の違いによりインク吐出特性が変化し、濃度ムラ
が発生する原因になる可能性がある。従って、本実施例
では、各頁毎に、使用ノズルの設定を変えて記録を行
う。
【0111】図20に頁毎に使用ノズルを変更する場合
の制御シーケンスを示す。ここで、図18の使用ノズル
をノズルパターン1、図19の使用ノズルをノズルパタ
ーン2とする。
【0112】図20において、まず、STEP−1にお
いて、記録するデータを読み込む。次に、STEP−2
において、記録データに付随しているヘッダ情報等から
記録するべき記録モードの情報を取得する。次に、ST
EP−3において、記録装置に設定されている現在のノ
ズルパターンの情報を取得する。次に、STEP−4で
は、現在設定されている記録モードが、使用するノズル
を切り換える必要のある記録モードであるか否かを判断
する。使用ノズル変更の必要がなければ、そのまま本シ
ーケンスを終了する。また、使用ノズル変更の必要があ
れば、STEP−5でのノズルパターンを変更して、本
シーケンスを終了する。ここで変更は、前記ノズルパタ
ーン1とノズルパターン2とを交互に用いる。さらに、
記録モードの設定は頁毎に行えるので、頁毎にノズルパ
ターンを切り換えることができる。
【0113】以上のように、本実施例のノズル切換シー
ケンスによれば、不使用ノズル群を設ける必要がある場
合、各頁毎に、使用ノズルの設定を変えて(ノズルパタ
ーンを変えて)記録を行うことにより、濃度ムラの原因
となる各使用ノズル間の使用頻度の違いを緩和すること
が可能となり、濃度ムラのない高品質な記録画像を形成
することができる。
【0114】[第3実施例]次に本発明の第3実施例を
説明する。
【0115】この第3実施例は、上記第1実施例と同よ
うに、複数の記録ヘッドにより被記録媒体上に記録イン
クを吐出してカラー画像を形成する記録方式に関するも
のであり、使用頻度の低いノズル群のみを用いてマルチ
パス記録を行うものとなっている。また、本実施例にお
いても第1実施例と同様に図13ないし図15に示す構
成を備える。
【0116】図17については既に説明しているが、図
17において、まず、第1記録領域に対しては、第1記
録走査、第2記録走査では、記録を行わずに、第3記録
走査から第6記録走査で記録を行い、同ように、第2記
録領域から第7記録領域まで、それぞれ順次4回の記録
走査が順次行うことで記録を完成する。
【0117】ここで、注目に値する点は、使用するノズ
ルは使用頻度の低いノズル群のみであるという点であ
る。この場合にも第1実施例と同ように完成された画像
の濃度に差はなく、濃度ムラのない状態で画像を形成す
ることができる。しかも本実施例を用いることで、使用
頻度が低いノズル群のみを使用することとなり、記録ヘ
ッドの使用頻度の均等化を図ることが可能となる。
【0118】(使用頻度履歴)以上のように、記録ヘッ
ドの各ノズルの使用頻度は、設定される記録モードの種
類によって決定されるので、記録モード毎に使用回数を
記録することで、各ノズル群の使用頻度を判定すること
ができる。例えば、図8に示すように、使用ノズル、不
使用ノズルは記録モードによって決定されるので、この
記録モード設定情報から使用頻度を判定すれば良いので
ある。
【0119】また、図21に示すように、記録ヘッドH
を各ノズル群(ノズル群1〜ノズル群12)に分割し、
それぞれノズル群毎に記憶領域を設けて、記録ドットを
記憶しておいても良い。ここでノズル群の中のノズル数
は、1つでも複数でも構わない。
【0120】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化、高精細化が
達成できるからである。
【0121】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。
【0122】この方式は所謂オンデマンド型、コンティ
ニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オン
デマンド型の場合には、液体(インク)が保持されてい
るシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体
に、記録情報に対応していて、書く沸騰を超える急速な
温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印可する
ことによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せし
め、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果
的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内
の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、
収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行わ
れるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が
達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号と
しては、米国特許第4463359号明細書、同第43
45262号明細書に記載されているようなものが適し
ている。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明
の米国特許第4313124号明細書に記載されている
条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが出来
る。
【0123】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に記載されているような吐出口、液路電気熱変換体の
組合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書、米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59―123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59―138461号公報に基づいた構成とし
ても本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッド
の形態がどのようなものであっても、本発明によれば記
録を確実に効率よく行うことが出来るようになるからで
ある。
【0124】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応して長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組み合わせに
よってその長さを満たす構成や、一体的に形成された一
個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0125】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0126】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定出来るので、好ましい
ものである。これらを具体的にあげれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あ
るいは吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱
素子或いはこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備
加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出手段をあげ
ることができる。
【0127】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたもののほか、記録色や濃度を異にする複
数のインクに対応して複数個設けられるものであっても
良い。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
記録ヘッドを一体的に構成するか複数個によるかのいず
れでも良いが、異なる色の複数カラー、または、混色に
よるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備え
た装置にも本発明はきわめて有効である。
【0128】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以上で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によってはじめて液化する性質のインクを使用する場合
も本発明は適用可能である。このような場合のインク
は、特開昭54―56847号公報あるいは特開昭60
―71260号公報に記載されるような、多孔質シート
凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された
状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態とし
てもよい。本発明においては、上述した各インクに対し
てもっとも有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行す
るものである。
【0129】さらに加えて、本発明インクジェット方式
の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像
出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組み合
わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0130】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、記
録ヘッドを構成するノズル群のインク吐出特性に応じて
副走査量および主走査回数を設定することにより、1つ
の記録領域への記録に使用する複数のノズル群の組み合
わせをノズル群のインク吐出特性に基づき設定するよう
になっているため、記録ヘッドの各ノズル群において使
用頻度が異なる場合であっても、濃度ムラや色ムラ等の
画像弊害が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置における理想的な記録
状態を示す説明図であり、(a)は記録ヘッドの説明断
面図、(b)はインク滴の打ち込み状態を示す説明図、
(c)は濃度値を示す線図である。
【図2】濃度ムラのある記録状態を示す図であり、
(a)は記録ヘッドの説明断面図、(b)インク滴の打
ち込み状態を示す説明図、(c)は濃度値を示す線図で
ある。
【図3】マルチパス記録方式により従来例により濃度ム
ラを抑制した記録を説明する説明図であり、(a)は記
録ヘッドの説明断面図、(b)インク滴の打ち込み状態
を示す説明図、(c)は濃度値を示す線図である。
【図4】マルチパス記録方式における分割記録の一例を
説明する説明図であり、(a)は1回目の記録走査によ
る記録状態を、(b)2回目の記録走査による記録状態
を、(c)は3回目の記録走査による記録状態を、それ
ぞれ示している。
【図5】従来のマルチパス記録での画像弊害の発生状態
を示す説明図である。
【図6】インクジェット記録装置における記録走査回数
と記録領域との関係を示す説明図であり、(a)は2パ
ス双方向記録を行った場合を、(b)は1パス片方向記
録を行った場合を、(c)は1パス双方向記録を行った
場合をそれぞれ示している。
【図7】本発明の第1実施形態に係る複数の記録ヘッド
の使用ヘッド部を示す説明図であり、(a)は第1高速
記録モードに適用する記録ヘッドを、(b)は第2高速
記録モード2に適用する記録ヘッドを、(c)は第3高
速記録モードに適用する記録ヘッドを、(d)は第4高
速記録モードに適用する記録ヘッドをそれぞれ示してい
る。
【図8】本発明の第1実施例に係る複数の記録ヘッドの
使用ヘッド部を示す説明図であり、(a)は第1高速記
録モードに適用する使用ヘッド部を、(b)は第2高速
記録モードに適用する使用ヘッド部をそれぞれ示してい
る。
【図9】本発明の第1実施例に係る複数の記録ヘッドで
第1高画質記録モードを実行した場合を示す説明図であ
る。
【図10】本発明の第1実施例に係る複数の記録ヘッド
での第2高画質記録モードを実行した場合を示す説明図
である。
【図11】本発明の第1実施例における記録ヘッドの使
用ノズル切り換えシーケンスの一例を示すフローチャー
トである。
【図12】本発明の第1実施例における記録ヘッドの使
用ノズル切り換えシーケンスの変形例を示すフローチャ
ートである。
【図13】本発明の第1実施例に係るインクジェット記
録装置の概略構成を一部破断して示す斜視図である。
【図14】図9に示した記録ヘッドの主要部の構造を模
式的に示す斜視図である。
【図15】本発明の実施例に係るインクジェット記録装
置における制御回路の概略構成を示すブロック図であ
る。
【図16】本発明の第1実施例におけるマルチパス記録
方式の一例を示す説明図である。
【図17】本発明の第1実施例におけるマルチパス記録
方式の一例を示す説明図である。
【図18】本発明の第1実施例におけるマルチパス記録
方式の一例を示す説明図である。
【図19】本発明の第2実施例におけるマルチパス記録
方式の一例を示す説明図である。
【図20】本発明の第2実施例におけるノズルパターン
の切り換えシーケンスを示すフローチャートである。
【図21】本発明の記録ヘッドのノズル群を概念的に示
す説明図である。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C、1D ヘッドカートリッジ 2 キャリッジ 3 ガイド・シャフト 4 主走査モータ 5 モータ・プーリ 6 従動プーリ 7 タイミング・ベルト 8 被記録媒体 9,10,11,12 搬送ローラ 13 記録ヘッド部 21 吐出口面 22 吐出口 23 共通液室 24 液路 25 電気熱変換体 100 コントローラ 101 CPU 103 ROM 105 RAM 110 ホスト装置 112 I/F 120 操作部 122 電源スイッチ 124 プリント・スイッチ 126 回復スイッチ 140 ヘッド・ドライバ 142 サブヒータ 150、160 モータ・ドライバ 123,162 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岩崎 督 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 錦織 均 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 勅使川原 稔 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢澤 剛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 筑間 聡行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA06 EB08 EB29 EC08 EC11 EC12 EC28 EC34 EC71 EC74

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク吐出用の複数のノズルを配列して
    なるノズル群を複数備えた記録ヘッドを有し、形成すべ
    き画像の少なくとも一部を構成する1つの記録領域に対
    し、異なるノズル群を用いて複数回主走査を行うことに
    より、前記記録領域に形成すべき画像を完成させるよう
    にしたインクジェット記録装置であって、 前記1つの記録領域への記録に使用する複数のノズル群
    の組み合わせを、各ノズル群のインク吐出特性に基づき
    設定する使用ノズル群設定手段を備え、 前記使用ノズル群設定手段は、 前記ノズル群のインク吐出特性に応じて副走査量を設定
    する副走査量設定手段と、 前記ノズル群のインク吐出特性に応じて主走査回数を設
    定する主走査回数設定手段と、を有することを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記使用ノズル群設定手段は、各記録領
    域への記録に使用する特性の異なるノズル群の組み合わ
    せがインク吐出特性において同一となるよう設定するこ
    とを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装
    置。
  3. 【請求項3】 前記記録ヘッドは、同一種のインクを吐
    出する複数の異なるノズル群を有し、形成すべき画像の
    少なくとも一部を構成する1つの記録領域に対し、同一
    種のインクを吐出する異なるノズル群を用いて複数回主
    走査を行うことにより、前記記録領域に対して形成すべ
    き画像を完成させるマルチパス記録を実行することを特
    徴とするインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記ノズル群のインク吐出特性は、ノズ
    ル群の使用頻度によって決定されることを特徴とする請
    求項1ないし3いずれか記載のインクジェット記録装
    置。
  5. 【請求項5】 前記各記録ヘッドの各ノズル群は、低使
    用頻度ノズル群と高使用頻度ノズル群とに分類され、前
    記使用ノズル群設定手段は、各記録領域への記録に使用
    する低使用頻度ノズル群と高頻度ノズル群との組み合わ
    せが全記録領域において同一となるよう設定することを
    特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のインクジェ
    ット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記各記録ヘッドは、使用ノズルと不使
    用ノズルとによって構成されると共に、前記使用ノズル
    と不使用ノズルとの配列のパターンを所定の画像領域毎
    に変更するノズルパターン変更手段を備え、前記使用ノ
    ズル群設定手段は、1つの記録領域への記録に使用する
    複数のノズル群の組み合わせを前記使用ノズルの中で設
    定することを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載
    のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 前記ノズルパターン変更手段は、ノズル
    パターンを1頁毎に変更することを特徴とする請求項6
    記載のインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 前記使用ノズル設定手段は、各記録領域
    の記録に使用する異なるノズル群の全てを使用頻度の低
    いノズル群に設定することを特徴とする請求項4ないし
    7いずれか記載のインクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 前記ノズル群毎に使用頻度を判定する頻
    度判定手段を備えることを特徴とする請求項2ないし8
    いずれか記載のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 前記頻度判定手段は、ノズル群毎に使
    用頻度を記憶する使用回数記憶手段を有することを特徴
    とする請求項10記載のインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 前記記録ヘッドは、各ノズルにインク
    を吐出させる吐出エネルギー発生手段を備え、前記吐出
    エネルギー発生手段は、熱エネルギーによってインクに
    気泡を発生させ、その気泡の発生エネルギーによってイ
    ンクを吐出させることを特徴とする請求項1ないし10
    いずれか記載のインクジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 インク吐出用の複数のノズルを配列し
    てなるノズル群を複数備えた記録ヘッドを有し、形成す
    べき画像の少なくとも一部を構成する1つの記録領域に
    対し、異なるノズル群を用いて複数回主走査を行うこと
    により、前記記録領域に形成すべき画像を完成させるよ
    うにしたインクジェット記録方法であって、 1つの記録領域への記録に使用する複数のノズル群の組
    み合わせを、ノズル群のインク吐出特性に基づき設定
    し、 前記ノズル群のインク吐出特性に応じて副走査量を設定
    し、 前記ノズル群のインク吐出特性に応じて主走査回数を設
    定することを特徴とするインクジェット記録方法。
JP2001030188A 2001-02-06 2001-02-06 インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 Pending JP2002225244A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001030188A JP2002225244A (ja) 2001-02-06 2001-02-06 インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001030188A JP2002225244A (ja) 2001-02-06 2001-02-06 インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002225244A true JP2002225244A (ja) 2002-08-14

Family

ID=18894435

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001030188A Pending JP2002225244A (ja) 2001-02-06 2001-02-06 インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002225244A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008155474A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Canon Inc インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008155474A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Canon Inc インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
JP4480175B2 (ja) * 2006-12-22 2010-06-16 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4343481B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
KR100463359B1 (ko) 잉크젯 프린트 장치, 잉크젯 프린트 방법, 프로그램, 및프로그램을 저장한 컴퓨터 판독 가능한 기억 매체
EP0518670B1 (en) Ink jet recording apparatus
JP4693343B2 (ja) 記録位置調整方法およびインクジェット記録装置
US7585040B2 (en) Printing apparatus and printing method
US7922287B2 (en) Inkjet printer and inkjet printing method
JP2000079681A (ja) 記録装置及びその制御方法、コンピュ―タ可読メモリ
JP2001018376A (ja) 記録装置及び記録方法
JP4913939B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
US8740329B2 (en) Inkjet printing apparatus and method for controlling drive of nozzles in inkjet printing apparatus
US20100149258A1 (en) Ink jet print head and printing method and apparatus using the same
EP1097818B1 (en) Two-way print apparatus and print method
JP2005169940A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP4027135B2 (ja) インクジェット記録装置
JP5224968B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP2000025210A (ja) 記録装置及びその制御方法、コンピュータ可読メモリ
JP3720773B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JPH081962A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP5065460B2 (ja) 記録位置調整方法およびインクジェット記録装置
JP4280400B2 (ja) インクジェット記録方法、記録装置およびデータ処理方法
JP2002225244A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
US8177328B2 (en) Ink jet printing apparatus and ink jet printing method
JP2001038926A (ja) インクジェット記録装置
JPH05318770A (ja) インクジェット記録装置
JP2001038927A (ja) インクジェット記録装置