本発明の実施形態は、被掃除面上を自律走行しつつ被掃除面を掃除する電気掃除機に関する。
従来、例えばセンサなどを用いて障害物などを検出しつつ、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する電気掃除機がある。このような電気掃除機は、電動送風機を収容し集塵部を備えた本体ケースの下部に吸込口が形成されているとともに、この吸込口の側部などに駆動輪が取り付けられている。そのため、これら駆動輪に対応する両側に吸込口を設けることができず、本体ケースの側部の床面上に位置する塵埃を吸い込むことが容易でない。そこで、本体ケースの下部の両側に、床面上を旋回することで塵埃を吸込口へと掻き集める旋回清掃部としてのサイドブラシを備えた構成が知られている。
しかしながら、サイドブラシは本体ケースに対して下方に突出しているため、例えばフローリングなどの床面上に載置したカーペットなどの敷物により生じる段差にサイドブラシが引っ掛かり、電気掃除機が走行不能となる(スタックする)おそれがある。
特開2006−106816号公報
特開平6−125861号公報
特開平7−322977号公報
本発明が解決しようとする課題は、被掃除面上の障害物への旋回清掃部の引っ掛かりにより走行不能となることを防止できる電気掃除機を提供することである。
実施形態の電気掃除機は、被掃除面上を自律走行しつつ被掃除面を掃除する電気掃除機である。この電気掃除機は、本体ケースを有する。また、この電気掃除機は、本体ケースの下部に設けられた集塵口を有する。さらに、この電気掃除機は、本体ケースの下部に設けられた自律走行用の駆動部を有する。また、この電気掃除機は、被掃除面に接地する清掃部材を備え、本体ケースの下部の集塵口の前方に被掃除面上を旋回可能に設けられた旋回清掃部を有する。さらに、この電気掃除機は、旋回清掃部の清掃部材が本体ケースの下部の障害物の下部に入り込んだことを検出する障害物検出手段を有する。そして、この電気掃除機は、旋回清掃部の清掃部材が本体ケースの下部の障害物の下部に入り込んだことを障害物検出手段により検出したときに、自律走行の走行状態を変えてこの障害物を回避するように駆動部を制御する制御手段を有する。
第1の実施形態の電気掃除機の本体ケースの下部の障害物の回避行動の一部を(a)ないし(c)の順に示す説明側面図である。
同上電気掃除機の本体ケースの下部の障害物の回避行動を(a)ないし(c)の順に示す説明平面図である。
同上電気掃除機を示す側面図である。
同上電気掃除機を示す底面図である。
同上電気掃除機を示すブロック図である。
第2の実施形態の電気掃除機の本体ケースの下部の障害物の回避行動を(a)および(b)の順に示す説明平面図である。
第3の実施形態の電気掃除機の本体ケースの下部の障害物の回避行動を示す説明平面図である。
第4の実施形態の電気掃除機の本体ケースの下部の障害物の回避行動を示す説明平面図である。
第5の実施形態の電気掃除機を示すブロック図である。
第6の実施形態の電気掃除機を示すブロック図である。
同上電気掃除機を示す底面図である。
実施形態
以下、第1の実施形態の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
図1ないし図5において、11は電気掃除機を示し、本実施形態では、この電気掃除機11として、被掃除面としての床面F上を自律走行(自走)しつつ床面Fを掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナを例に挙げて以下説明する。
そして、この電気掃除機11は、中空状の本体ケース12と、この本体ケース12内に収容された電動送風機13と、この電動送風機13の吸込側に連通して本体ケース12に設けられた集塵部14と、電気掃除機11を自律走行させる、すなわち自律走行用の例えば複数の駆動部としての駆動輪15と、これら駆動輪15を駆動させる駆動手段としてのモータ16と、本体ケース12の下部に旋回可能に取り付けられた旋回輪17と、本体ケース12の下部に床面F上を旋回可能に取り付けられた例えば一対の旋回清掃部としてのサイドブラシ18と、これらサイドブラシ18をそれぞれ駆動させる旋回駆動手段としての旋回モータ19と、本体ケース12に取り付けられた複数の検出手段としてのセンサ20と、本体ケース12の下部に位置する障害物検出手段21と、回路基板などにより構成された制御手段22と、電源部を構成する電池である二次電池23とを備えている。
なお、以下、電気掃除機11(本体ケース12)の走行方向に沿った方向を前後方向(図4に示す矢印A,B方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
本体ケース12は、例えば合成樹脂などにより平坦な円柱状(円盤状)などに形成されており、円形状の下面12aの後部寄りの幅方向中央部に、幅方向に長手状、すなわち横長の集塵口としての吸込口24が開口形成されている。また、本体ケース12の上部には、図示しないが、各種操作パネルおよび表示部などが配置されている。
吸込口24は、集塵部14に連通している。さらに、この吸込口24には、回転清掃体としての軸状の回転ブラシ25が回転可能に軸支されており、この回転ブラシ25は、本体ケース12内に取り付けられた清掃体駆動手段としての回転モータ26によって回転駆動される。
回転ブラシ25は、例えば長尺の軸部の外周面に、径方向に螺旋状に複数の清掃体部が壁状に突出して取り付けられて構成されている。そして、この回転ブラシ25は、下側が吸込口24から本体ケース12の下面12aの下方へと突出しており、電気掃除機11を床面F上に載置した状態で下側に位置する清掃体部の先端が床面Fに接触するように構成されている。
集塵部14は、電動送風機13の駆動により吸込口24から吸い込まれた塵埃を捕集するものであり、例えば紙パックなどの集塵袋やフィルタにより塵埃を濾過捕集する構成、あるいは遠心分離(サイクロン分離)や直進分離などの慣性分離により塵埃を分離して捕集する構成など、任意の構成を用いることができる。また、この集塵部14は、吸込口24の上方である本体ケース12の後部に位置しており、本体ケース12に対して着脱可能となっている。
各駆動輪15は、少なくとも下側が本体ケース12の下面12aから下方へと突出しており、電気掃除機11を床面F上に載置した状態で床面Fに接触して回転可能となっている。また、これら駆動輪15は、例えば吸込口24の前方である本体ケース12の前後方向の略中央部の両側に位置し、前後方向に沿って回転するように構成されている。
各モータ16は、例えば駆動輪15のそれぞれに対応して配置されており、各駆動輪15を独立して駆動させることが可能となっている。これらモータ16は、各駆動輪15に直接接続されていてもよいし、ギヤ、あるいはベルトなどの図示しない伝達手段を介して各駆動輪15と接続されていてもよい。
旋回輪17は、本体ケース12の幅方向の略中央部で、かつ、前部に位置しており、床面Fに沿って旋回可能な従動輪である。
各サイドブラシ18は、旋回清掃部基部としての旋回中心部である円板状のブラシ基部31と、このブラシ基部31から径方向へと放射状に突出して床面Fに向けて傾斜する例えば3つの清掃体32とをそれぞれ有している。そして、サイドブラシ18,18は、回転中心となるブラシ基部31,31が吸込口24および駆動輪15,15の前方でかつ旋回輪17の後方の両側方の位置で本体ケース12の下面12aに取り付けられている。
また、清掃体32は、例えば3つ設定されており、ブラシ基部31,31の周方向に互いに略等間隔に離間されている。なお、清掃体32は、例えば4つ以上設定されていてもよい。
そして、各清掃体32は、ブラシ基部31から径方向に沿って突出する軸部32aと、この軸部32aの先端に植毛された清掃部材としての複数のブラシ毛32bとをそれぞれ備えている。これらブラシ毛32bは、合成樹脂などにより軸部32aよりも細い線状に形成されている。そして、各清掃体32は、ブラシ毛32bの少なくとも先端側、本実施形態では略全体が、電気掃除機11を床面F上に載置した状態でこの床面Fに対して弾性的に接触されるように構成されている。
また、各旋回モータ19は、下方に突出する回転軸が各ブラシ基部31に対して接続されており、各サイドブラシ18を、本体ケース12の幅方向中心側へと、換言すれば右側のサイドブラシ18を左側へと、左側のサイドブラシ18を右側へと、すなわち各サイドブラシ18により塵埃を吸込口24側へと掻き集めるようにそれぞれ回転可能である。
また、センサ20は、例えば超音波センサ、あるいは赤外線センサなどの測距センサ、あるいは障害物に直接接触することでバンパとなる接触センサなどであり、本体ケース12の前部、側部、あるいは下部などに配置され、本体ケース12の前方の障害物(壁)、側方の障害物(壁)、あるいは下部の障害物(段差)などの有無、およびそれらと本体ケース12との距離などをそれぞれ検出可能となっている。
障害物検出手段21は、各サイドブラシ18のブラシ毛32bが例えばカーペット、あるいは御座などの障害物である敷物Rの下部に入り込んだかどうか(敷物Rが床面Fから持ち上がったかどうか)を検出するもので、種々の構成とすることができるが、本実施形態では、図1ないし図3に示すように、本体ケース12の下面12aに配置されたレバー状の回動体37と、この回動体37の後方にて本体ケース12に配置されたスイッチであるマイクロスイッチ38とを備えており、本体ケース12の左右幅方向の中心位置にて旋回輪17の前方に配置されている。
回動体37は、障害物感知部(敷物感知部)であり、本体ケース12に対して前後方向に回動可能に配置されており、後部、すなわちマイクロスイッチ38側に突出部37aが突設されている。この回動体37は、各サイドブラシ18のブラシ基部31よりも前方で、かつ、最前部に位置した清掃体32(のブラシ毛32b)の先端部よりも後方に位置しており、通常の状態(無負荷状態)では、先端側である下端側が本体ケース12の下面12aから下方に突出している。また、この回動体37の先端部である下端部の本体ケース12の下面12aからの突出量は、各サイドブラシ18のブラシ基部31の本体ケース12の下面12aからの突出量よりも大きく設定されており、この回動体37の下端部の本体ケース12の下面12aからの突出量に応じて障害物検出手段21の感度が設定されている。すなわち、この回動体37の下端部の本体ケース12の下面12aからの突出量が大きいほど、薄い敷物Rを検出できるようになるため、この突出量は、検出が必要な敷物Rの厚さに応じて適宜設定する。
また、マイクロスイッチ38は、回動体37側である前側下方に向けて例えばボタン状の切換部38aが突出して構成された例えば常開または常閉のスイッチであり、例えば敷物Rとの接触によって相対的に後方へと押し込まれて回動した回動体37の突出部37aにより切換部38aが押圧されている間のみオンオフ(開閉)が切り換わるように構成されている。
そして、障害物検出手段21は、本体ケース12の下面12aと床面Fとの間に突出する敷物Rとの接触により回動体37が後方へと回動することでマイクロスイッチ38のオンオフが切り換えられることにより、各サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部に入り込んだかどうか(敷物Rが床面Fから持ち上がったかどうか)を検出するように構成されている。
また、制御手段22は、例えばメモリなどの記憶手段、および、マイコンなどの制御部を備えており、図5に示すように、電動送風機13、回転モータ26、各モータ16、各旋回モータ19、センサ20および障害物検出手段21(マイクロスイッチ38)などと電気的に接続され、センサ20および障害物検出手段21(マイクロスイッチ38)による検出結果に基づいて、電動送風機13、回転モータ26、各モータ16および各旋回モータ19などの駆動を制御可能である。
また、図3および図4に示す二次電池23は、図5に示す各部、すなわち制御手段22、電動送風機13、回転モータ26、各モータ16、各旋回モータ19およびセンサ20などに給電するものである。この二次電池23は、例えば旋回輪17の後方の位置に配置されている。そして、この二次電池23は、旋回輪17の両側にて本体ケース12の下面12aに位置する充電端子45,45と電気的に接続されており、例えば室内(部屋)の所定位置などに設置された所定の図示しない充電台に対して充電端子45,45が接続されることによって充電可能となっている。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
電気掃除機11は、例えば制御手段22に予め設定された所定時刻などとなると、電動送風機13を駆動させ、例えば充電台から掃除を開始する。なお、掃除の開始位置は、電気掃除機11の走行開始位置、あるいは部屋の出入り口など、任意の場所に設定可能である。
そして、電気掃除機11は、制御手段22がモータ16,16を回転駆動させて駆動輪15,15により床面F上を自律走行する。このとき、制御手段22は、センサ20を介して周囲の障害物との距離などを検出することで電気掃除機11の位置や走行状態を監視しており、これらセンサ20での検出に対応して、障害物を回避しながら床面F上を走行する。そして、この電気掃除機11は、電動送風機13の駆動によって発生した負圧が集塵部14を介して作用した吸込口24により、床面F上の塵埃を空気とともに吸い込む。
また、同時に、制御手段22は、回転モータ26および旋回モータ19,19をそれぞれ適宜駆動させることにより、回転ブラシ25を床面Fに沿って回転させるとともにサイドブラシ18,18を床面F上で旋回させることで、床面Fに入り込んだ塵埃を回転ブラシ25の清掃体部および各サイドブラシ18のブラシ毛32bなどにより掻き出して、この塵埃を本体ケース12の幅方向の中心側、すなわち吸込口24側へと掻き集めて吸込口24から吸い込む。
そして、吸込口24から空気とともに吸い込まれた塵埃は、集塵部14により分離および捕集されるとともに、塵埃が分離された空気は、電動送風機13に吸い込まれ、この電動送風機13を冷却した後、排気風となって本体ケース12から外部へと排気される。
さらに、電気掃除機11の自律走行中に、例えば図1(a)に示すように、少なくともいずれかのサイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部に入り込んで敷物Rが持ち上がった(捲れ上がった)際には、この持ち上がった敷物Rが障害物検出手段21の回動体37の前部と接触し、さらに電気掃除機11が前進することにより、図1(b)に示すように、回動体37が後方へと回動し、この回動体37の突出部37aがマイクロスイッチ38の切換部38aを押圧し、マイクロスイッチ38のオンオフが切り換わる。換言すれば、障害物検出手段21により本体ケース12の下部の障害物である敷物Rが検出される。制御手段22は、このマイクロスイッチ38のオンオフの切り換わりによって本体ケース12(電気掃除機11)の前方下部に敷物Rがあると判断し、各モータ16を介して各駆動輪15を駆動させて電気掃除機11の自律走行の進行方向を変える。具体的に、制御手段22は、各モータ16への通電の極性を変えてこれらモータ16を反転させることにより、各駆動輪15を反転させて電気掃除機11を後退させる(図1(c)および図2(a))。そして、この後退により、サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部から出てこの敷物Rから離間され、敷物Rの持ち上がりが解消されると、この敷物Rにより後方へと回動されていた回動体37が前方へと復帰回動することで、この回動体37の突出部37aがマイクロスイッチ38の切換部38aから離間されるため、マイクロスイッチ38のオンオフが復帰する。したがって、障害物検出手段21によって本体ケース12の下部に敷物Rが検出されなくなるので、制御手段22は、電気掃除機11の自律走行制御を復帰させる。すなわち、電気掃除機11が敷物Rを回避する。
このとき、制御手段22は、各駆動輪15(各モータ16)の回転方向を互いに反対方向とすることにより、図2(b)に示すように、電気掃除機11を側方に例えば90°程度旋回させて電気掃除機11の前進方向を変え、図2(c)に示すように、その変えた前進方向へと電気掃除機11を自律走行させる。すなわち、制御手段22は、電気掃除機11の自律走行の走行状態を変えてこの障害物を回避するように各駆動輪15(各モータ16)を制御する。
掃除すべき床面F全体の掃除が終了したと判断した場合には、制御手段22は、電気掃除機11を充電台の位置まで自律走行させ、電動送風機13および各モータ19,26などを停止させるとともに、充電台に充電端子45,45を(物理的および電気的に)接続させてモータ16,16を停止させ、運転を終了して二次電池23を充電する。
このように、上記第1の実施形態によれば、制御手段22は、障害物検出手段21が床面F上の敷物Rの持ち上がりを検出したときに電気掃除機11を一旦後退させた後、前進方向を変えてこの敷物Rを回避させることにより、敷物Rを持ち上げた状態のまま電気掃除機11が前進走行することで走行不能となることを確実に防止できる。
次に、第2の実施形態を図6を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態において、障害物検出手段21が床面F上の敷物Rの持ち上がりを検出したときに、制御手段22が、電気掃除機11の自律走行の走行状態を変えてこの障害物を回避するように、すなわち、電気掃除機11を一旦後退させた後、再度同方向に前進させるように各駆動輪15(各モータ16)を制御するものである。
具体的に、障害物検出手段21が床面F上の敷物Rの持ち上がりを検出すると、制御手段22は、図6(a)に示すように、所定距離、例えばサイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部から出る位置まで電気掃除機11を後方へと後退させ、図6(b)に示すように、再度電気掃除機11を前進させる。このとき、例えばサイドブラシ18のブラシ毛32bが再度敷物Rの下部に入り込んだときには、図6(a)および図6(b)に示す制御を繰り返す。すなわち、サイドブラシ18が敷物Rを乗り越えるまで繰り返し後退および前進を繰り返す。この結果、敷物Rを持ち上げた状態のまま電気掃除機11が前進走行することで走行不能となることを、より確実に防止できる。
次に、第3の実施形態を図7を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施形態は、上記第1の実施形態において、障害物検出手段21が床面F上の敷物Rの持ち上がりを検出したときに、制御手段22が、電気掃除機11の自律走行の走行状態を変えてこの障害物を回避するように、すなわち、電気掃除機11をその位置で旋回させて敷物Rを回避するように各駆動輪15(各モータ16)を制御するものである。
具体的に、障害物検出手段21が床面F上の敷物Rの持ち上がりを検出すると、制御手段22は、各駆動輪15(各モータ16)の回転方向を互いに反対方向とすることにより、図7に示すように、サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部から出るようにその位置で電気掃除機11を例えば90°以上旋回させる。なお、この旋回の際には、各サイドブラシ18(各旋回モータ19)は旋回を停止させてもよい。そして、この後、例えば旋回した方向へと電気掃除機11を前進させる。この結果、敷物Rを持ち上げた状態のまま電気掃除機11が前進走行することで走行不能となることを、より確実に防止できる。
次に、第4の実施形態を図8を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第4の実施形態は、上記第3の実施形態において、障害物検出手段21が床面F上の敷物Rの持ち上がりを検出したときに、制御手段22が、電気掃除機11の自律走行の走行状態を変えてこの障害物を回避するように、すなわち、電気掃除機11をその位置で旋回させて敷物Rを回避するように各駆動輪15(各モータ16)を制御するとともに、この旋回方向と逆方向(反対方向)にサイドブラシ18を旋回させるように旋回モータ19を制御するものである。
具体的に、通常の自律走行時には、制御手段22は、各サイドブラシ18(各旋回モータ19)を、本体ケース12の幅方向中心側へと、換言すれば右側のサイドブラシ18を左側へと、左側のサイドブラシ18を右側へと、すなわち各サイドブラシ18により塵埃を吸込口24側へと掻き集めるようにそれぞれ旋回させている。すなわち、通常の自律走行時には、各サイドブラシ18は、互いに反対方向に旋回している。これに対して、サイドブラシ18が敷物Rの下部に入り込んだときには、制御手段22が、電気掃除機11をその位置で例えば90°以上旋回させて敷物Rを回避するように各駆動輪15(各モータ16)を制御するとともに、各サイドブラシ18をこの旋回方向と逆方向に旋回させるように旋回モータ19を制御する。図8においては、右側のサイドブラシ18を、電気掃除機11の旋回方向と逆方向、すなわち左側のサイドブラシ18の旋回方向と同方向となるように旋回させる。この結果、敷物Rを回避するために電気掃除機11を旋回させるときに、各サイドブラシ18を駆動させる各旋回モータ19の負荷を低減できるとともに、旋回を補助することができる。
したがって、上記第4の実施形態によれば、サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rに引っ掛かって電気掃除機11の旋回を妨げることを、より確実に防止でき、敷物Rを回避するように電気掃除機11を容易かつ確実に旋回させることができる。
そして、以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、障害物検出手段21の回動体37を本体ケース12の下面12aよりも下方に突出させることにより、障害物検出手段21によって、敷物Rの下部に各サイドブラシ18のブラシ毛32bが入り込んだことをより確実に検出できる。
さらに、障害物検出手段21を、吸込口24の前方で本体ケース12の下部に突出し前後方向に回動可能な回動体37と、この回動体37の後方に位置し、この回動体37が後方に回動した状態でオンオフが切り換えられるマイクロスイッチ38とにより構成し、制御手段22が、マイクロスイッチ38のオンオフの切り換えによって本体ケース12の下部の敷物Rの有無を判断することにより、敷物Rおよびこの敷物Rの持ち上がりを検出可能な障害物検出手段21を、容易に機械的に構成できる。したがって、高価なセンサなどを別途用いる必要がなく、製造コストを抑制できる。
次に、第5の実施形態を図9を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第5の実施形態は、上記各実施形態の障害物検出手段21に代えて、各旋回モータ19に流れる電流を検出することにより各サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部に入り込んだことを検出する障害物検出手段としての電流センサ51を備えるものである。
すなわち、各サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部に入り込むと、ブラシ毛32bと敷物Rとの摩擦抵抗によって、各サイドブラシ18の旋回が停止したり、各サイドブラシ18が旋回しにくくなったりすることで、各サイドブラシ18を旋回させる旋回モータ19の負荷(電流)が相対的に大きくなる。したがって、電流センサ51によって各旋回モータ19に流れる電流を検出することにより、各サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部に入り込んだことを、確実に検出できる。
しかも、電流センサ51は、本体ケース12の外部に突出させることなく内部に組み込むことができるので、各種の障害物などに引っ掛かって電気掃除機11の自律走行を妨げることもない。
次に、第6の実施形態を図10および図11を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第6の実施形態は、上記第1ないし第4の実施形態の障害物検出手段21に代えて、本体ケース12の下面12aと床面F側との距離を検出することにより、各サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部に入り込んだことを検出する障害物検出手段としての測距センサ55を、各サイドブラシ18の旋回半径Cの外側の位置に備えるものである。
すなわち、測距センサ55は、本体ケース12の下面12aにおいて、例えば左右幅方向の中心で、かつ、各サイドブラシ18のブラシ基部31よりも前方の位置に下方に向けて配置され、これらブラシ基部31を中心としブラシ毛32bの先端側を通る旋回半径Cよりも外側に位置している。
そして、各サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部に入り込むと、敷物Rが持ち上がることで、測距センサ55の位置において、本体ケース12の下面12aと床面F側(敷物Rの上面)との距離が相対的に小さくなる。したがって、測距センサ55によって本体ケース12の下面12aと床面F側との距離を検出することにより、各サイドブラシ18のブラシ毛32bが敷物Rの下部に入り込んだことを、確実に検出できる。
しかも、測距センサ55は、本体ケース12の外部に突出させることなく内部に組み込むことができるので、各種の障害物などに引っ掛かって電気掃除機11の自律走行を妨げることもない。
なお、上記各実施形態において、障害物検出手段21により検出する障害物は、敷物Rに限定されない。
また、障害物検出手段21は、例えばサイドブラシ18のそれぞれの前方などに配置してもよいし、本体ケース12の下部に配置する構成に限定されず、例えば本体ケース12の側面などに配置してもよい。
さらに、制御手段22は、モータ16,16を介して駆動輪15,15の回転駆動を制御する機能の他に、旋回モータ19,19を介してサイドブラシ18,18の回転を制御する機能、電動送風機13の駆動を制御する機能、および、回転モータ26を介して回転ブラシ25の回転駆動を制御する機能を一体に構成したが、これらの機能はそれぞれ別個に構成してもよい。
そして、各サイドブラシ18は、清掃部材としてブラシ毛32bを用いるものだけでなく、例えば帯状に延びるブレード体、あるいはこれらブラシ毛とブレード体との組み合わせなど、任意の清掃部材を用いる構成とすることが可能である。
また、サイドブラシ18は、本体ケース12の吸込口24の前方の少なくとも一側に1つあれば、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、電動送風機13を備えず、回転ブラシ25により床面Fの塵埃を掻き上げて集塵部14へと集塵する構成とすることも可能である。
そして、以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、吸込口24よりも前方に位置する障害物検出手段21により敷物Rの下部に各サイドブラシ18のブラシ毛32bが入り込んだことを検出したときに制御手段22が各駆動輪15(各モータ16)を制御して電気掃除機11の自律走行の走行状態を変えてこの敷物Rを回避させることにより、そのまま電気掃除機11が前進走行して敷物Rに対して下部のサイドブラシ18(のブラシ毛32b)が引っ掛かり電気掃除機11が走行不能、すなわちスタックした状態となることを防止でき、自律走行しながらの掃除を継続できる。
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。