JP5400903B2 - アミロイドβ測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アミロイドβ(以降Aβとして説明する)の高感度測定方法に関する。
アルツハイマー病は、初老期から老年期に起こる進行性の痴呆(認知症)を特徴とする疾患である。現在、国内の患者数は100万人以上と言われている。今後、人口の高齢化に伴い、その数は確実に増加すると予想される。アルツハイマー病の臨床症状は、記憶障害、高次脳機能障害(失語、失行、失認、構成失行)等である。それらの症状は他の痴呆疾患でも共通して見られることが多く、臨床症状だけでアルツハイマー病と確定診断することは極めて困難である。
アルツハイマー病はこれまで根本治療法がなかったが、1999年にワクチン療法がモデルマウスで成功して以来、根本治療法開発への期待が高まっている(非特許文献1を参照)。これら根本治療法を有効に活用するためには、早期にアルツハイマー病を診断する必要がある。
アルツハイマー病の特徴的な病理組織所見としては、脳組織における老人斑と神経原線維変化がある。前者の主構成成分はβシート構造をとったAβの凝集体であり、後者のそれは過剰にリン酸化されたタウ蛋白である。現在、アルツハイマー病の発症に関しては、Aβが蓄積することが最初におこる病理変化である、というアミロイド仮説が有力である(非特許文献2を参照)。すなわち、アルツハイマー病においては、臨床症状が発症する前から、脳内ではAβが蓄積する等の上記病理的組織変化が進行することが知られている。したがって、脳内のAβペプチドをマーカーとして検出することが、Aβが蓄積する疾患、特にアルツハイマー病の早期診断方法の1つとなる。
アルツハイマー病の体外診断薬としては、Aβに対する特異抗体を用いたELISA法を原理としたものが広く用いられている。ELISA法によれば、脳脊髄液では、アルツハイマー病の進行に伴い、42個のアミノ酸からなるAβ(Aβ42)が減少することがほぼ確立されている(非特許文献3を参照)。
Schenk D、Seubert P et al.,Nature 400:173−177,1999. Hardy JA, Selkose DF, Science 297:353−356,2002. Hansson O,Mithon L et al.,Lancet Neurol 5:228−234,2006.
しかしながら、例えば生体組織を洗浄して得られる洗浄液のような、Aβを極低濃度(例えば数pM程度)で含有する物質を検体として、前述のELISA法等の抗原抗体反応に基づいた定量測定を実施すると、極低濃度であるが故に正確な測定ができないという課題があった。
本発明は、前記課題を解決するもので、たとえAβを数pM程度という極低濃度で含有する検体においても、Aβ濃度を正確に測定できるAβ測定方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、アミロイドβを含む可能性がある検体を検体処理容器に入れる検体準備工程と、前記検体処理容器中の前記検体に、アミロイドβを可溶化する可溶化剤を添加して、濃縮操作により、前記検体に含まれる溶媒の量を低減する濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた検体処理液中の前記可溶化剤を中和する中和工程と、前記中和された検体処理液に含まれる可能性があるアミロイドβを抗原抗体反応に基づいて定量する測定工程と、を含む、アミロイドβ測定方法に関する。
また、本発明は、アミロイドβに付着させるための添加剤を検体処理容器に入れる検体処理容器準備工程と、アミロイドβを含む可能性がある検体を前記検体処理容器に入れる検体準備工程と、前記検体処理容器内の前記検体を濃縮する第一濃縮工程と、前記第一濃縮工程により濃縮された検体に、アミロイドβを可溶化する可溶化剤を添加して、濃縮操作により、前記検体に含まれる溶媒の量を低減する第二濃縮工程と、前記第二濃縮工程で得られた検体処理液中の前記可溶化剤を中和する中和工程と、前記中和された検体処理液に含まれる可能性があるアミロイドβを抗原抗体反応に基づいて定量する測定工程と、を含む、アミロイドβ測定方法に関する。
本発明のアミロイドβ測定方法によれば、たとえAβを極低濃度(例えば数pM程度)で含有する検体においても、Aβ濃度を正確に測定することができる。
実施例1の各手順を示すフローチャート 実施例1で測定されたAβ濃度の結果を示すグラフ 実施例2の各手順を示すフローチャート 実施例2で測定されたAβ濃度の結果を示すグラフ 実施例3の各手順を示すフローチャート 実施例3によって得られたAβ回収率の結果を示すグラフ 実施例4の各手順を示すフローチャート 実施例4によって得られたAβ回収率の結果を示すグラフ 参考例の各手順を示すフローチャート 参考例によって得られたAβ回収率の結果を示すグラフ 本発明の第一実施形態によるAβ測定方法の各手順を示すフローチャート 本発明の第二実施形態によるAβ測定方法の各手順を示すフローチャート 可溶化剤の有無の差によるAβ回収率の差を示すグラフ
本発明のAβ測定方法におけるAβは凝集性及び吸着性の高い物質である。これは、Aβを構成するアミノ酸の多くが疎水性の高いアミノ酸からなることによる。
「凝集性が高い」とは、Aβ自身が会合して凝集しやすい性質を意味する。ここで、凝集しておらず1分子で遊離しているAβを、Aβモノマーという。また、2分子以上のAβが凝集しているが、生理食塩水中等の水溶液に溶解可能なAβを、可溶性Aβ多量体もしくは可溶性Aβオリゴマー(以下、可溶性Aβオリゴマーと総称する)という。さらに、前記可溶性Aβオリゴマーの状態から凝集が進み、前記水溶液に不溶性のAβを、不溶性Aβ多量体もしくは不溶性Aβポリマー(以下、不溶性Aβポリマーと総称する)という。一般的に、疎水性の強いAβは水溶液中で凝集物として存在するほうが安定であることが、凝集性が高い理由である。
「吸着性が高い」とは、AβがAβ以外の物質に吸着されやすい性質を意味する。Aβ以外の物質とは、例えば、容器表面である。あるいは、生体組織である。いずれの場合も、Aβ以外の物質の疎水性領域とAβの疎水性領域との疎水相互作用が一つの原因であると考えられる。
Aβモノマーにおいて、とくに重要なのが、42個のアミノ酸からなるAβモノマー(これをAβ42という)と、40個のアミノ酸からなるAβモノマー(これをAβ40という)である。脳組織におけるアルツハイマー病の特徴的な現象として知られる老人班の形成には、前記Aβ42とAβ40の凝集性および吸着性が起因していると考えられている。現在、実際の臨床現場では、髄液中のAβ42とAβ40が測定指標とされている。Aβ42とAβ40とを比較すると、相対的にAβ42の方が凝集性及び吸着性ともに強い。本発明では、特に断りのない限り、「Aβ」は、Aβモノマー、可溶性Aβオリゴマー、及び不溶性Aβポリマーを総称して示す。また、特に断りのない限り「Aβモノマー」は、Aβ42とAβ40を示す。
本発明のAβ測定方法における検体とは、アルツハイマー病患者又はアルツハイマー病が疑われる被験者から採取した体液(例えば、脳脊髄液、血清、涙、鼻汁、唾液など)である。または、綿棒やスワブ等の採取具で前記被験者の鼻粘膜から鼻粘液を採取することで得られる鼻汁や鼻腔内粘膜擦過物である。あるいは、前記検体とは、前記Aβが凝集又は吸着している可能性がある生体組織(例えば脳組織や粘膜等)を生理食塩水等で洗浄して得られる洗浄液である。
本発明では、綿棒やスワブ等の採取具で前記被験者の鼻粘膜から鼻粘液を採取することで得られる鼻汁や鼻腔内粘膜擦過物を検体とすることができる。これは、鼻粘膜周辺の組織に脳内のAβが蓄積される傾向が見られるためである。具体的には、スワブや、綿棒(例えば、栄研化学社製のγ滅菌アルミ)を使用して採取することができる。スワブや綿棒等を鼻粘膜に擦りつけることにより鼻粘液を採取し、その採取された鼻粘液そのもの、又は、その綿棒から鼻粘液を所定の抽出液で抽出したものを検体とすることができる。ここで、所定の抽出液としては、生理食塩水、界面活性剤等を含む溶液、有機溶媒等が挙げられる。
本発明では、特に、鼻粘膜を生理食塩水等で洗浄して得られた洗浄液を検体とすることができる。これは、鼻粘膜周辺の組織に脳内のAβが蓄積される傾向が見られるためである。具体的には、一般的に販売される鼻洗浄機器を使用して前記洗浄液を採取することができる。例えば、泉精器製作所で生産販売されている鼻洗浄器(商品名:INC−7000、INC−7200、INC−7001)を用いて、一方の鼻穴から生理食塩水を注入し、他方の鼻穴から洗浄後の生理食塩水を受ける。このようにして、鼻洗浄後に得られた液体を全て採取し、これを本発明における検体とすることができる。尚、鼻腔内に投入して使用する洗浄用液体は、生体適合性のある液体であればよく、生理食塩水に限定されない。
本発明のAβ測定方法が対象とする検体中のAβの量は、極めて微量であってよい。Aβは粘膜等の生体組織に対して強く凝集又は吸着されているので、先に説明したスワブや綿棒で鼻粘液を採取する場合、当該採取具を鼻粘膜に強く複数回擦りつけることが必要になる。しかし、こうして得られる鼻粘液中のAβは微量であるため、抽出液で抽出すると、検体中のAβ濃度はさらに低くなる。また、先に説明した鼻洗浄を行う場合には、少量の生理食塩水ではAβを取り出し難いので、大容量の生理食塩水を用いて鼻洗浄を行なうことが必要になる。そのため、得られた検体中のAβ濃度は、極めて低い。
粘膜等の生体組織に含まれるAβは、大部分が可溶性Aβオリゴマー、または不溶性Aβポリマーであり、Aβモノマーは極めて微量である。このため、例えば和光純薬社より製造販売されているAβモノマー定量用キットを用いて鼻粘液及び鼻洗浄液について直接ELISA測定を行うと、Aβの存在を確認することができなかった。そこで、測定時の濃度が所定の濃度(Aβ40は50pM、Aβ42は10pM)となるよう調製した検体を作製して、減圧濃縮した後に、この検体についてELISAで測定を行なった。すると、非常にわずかであるが、Aβの存在を確認することができた。従って、鼻粘液及び鼻洗浄液に含まれるAβ40モノマー濃度は50pM未満、Aβ42モノマー濃度は10pM未満と、極めて低いと思われる。
Aβは主に脳組織に蓄積されるが、その他の体細胞、あるいは、例えば血液、髄液、鼻水等の体液にも、極微量のAβが分泌される。しかし、例えば、鼻粘膜から検体を採取するには、スワブや綿棒を鼻粘膜に擦りつける、または、鼻粘膜を洗浄用液体で洗浄する。スワブや綿棒で採取する場合、採取された鼻粘液を抽出液に抽出することが好ましい。また、鼻洗浄で採取する場合、大量の洗浄用液体を用いて洗浄することが好ましい。そのため、検体中のAβ濃度が低下することになる。したがって測定を行なう前に、検体を濃縮操作に付して検体中のAβ濃度を高めることが必要になる。
濃縮操作は、一般に減圧濃縮を用いることができる。本発明者らは、濃縮工程に着目し、その条件や方法を様々に変えて実験を繰り返した。鋭意研究を重ねた結果、濃縮工程では、検体に含まれる溶媒が蒸発して検体中の溶媒量が減少するが、その過程で、検体中に含まれているAβ40あるいはAβ42のモノマー同士が凝集して、その凝集物が多量に生成することを解明した。すなわち、検体を直接濃縮工程に付すると、検体中のAβ40又はAβ42のモノマー同士が凝集し強固な凝集物を作るため、検体中のAβ40又はAβ42のモノマー量が激減し、その結果、ELISA法におけるAβの測定値が低下することが判明した。
そこで、本発明者らは、濃縮工程でのモノマー同士の凝集を防ぐため、検体中にギ酸等の可溶化剤を添加してから濃縮工程を実施したところ、飛躍的にAβの測定感度が向上することを見出した。その結果を、図13に示す。先に示した標準物質を所定の濃度に調整し、さらにギ酸を入れてから濃縮を行なった検体では、ギ酸を入れずに濃縮を行なった検体と比較して、約26倍から28倍のAβの測定値が得られた。これにより、ギ酸等の可溶化剤を添加して濃縮工程を実施することにより、添加せずに直接濃縮工程を実施する場合と比較して、極めて高感度にAβの測定を行うことができることが判明した。
本発明のAβ測定方法は、アミロイドβを含む可能性がある検体を検体処理容器に入れる検体準備工程と、前記検体処理容器中の前記検体に、アミロイドβを可溶化する可溶化剤を添加して、濃縮操作により、前記検体に含まれる溶媒の量を低減する濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた検体処理液中の前記可溶化剤を中和する中和工程と、前記中和された検体処理液に含まれる可能性があるアミロイドβを抗原抗体反応に基づいて定量する測定工程とを含む。以上の工程を含むことにより、検体中に含まれるAβを測定前に可溶化するとともに、可溶化により形成されたAβモノマーが濃縮工程を経ても保持されるため、Aβ定量測定をより正確に行うことが可能になる。
本発明のAβ測定方法において、検体を検体処理容器に入れる前に、Aβに付着させるための添加剤を検体処理容器に入れることが好ましい。これにより、添加剤がAβに付着して、Aβ同士の凝集を抑制することができる。
また、本発明において、鼻洗浄液のように大容量の検体を測定対象とする場合には、前記濃縮工程の前に事前濃縮工程を実施することが有効である。すなわち、本発明は、前記濃縮工程(第二濃縮工程)の前に、前記検体処理容器内の前記検体を濃縮する事前濃縮工程(第一濃縮工程)を含むことが好ましい。これにより、次の濃縮工程(第二濃縮工程)を効率よく実施することが可能となる。
さらに、本発明は、前記検体準備工程で使用する検体処理容器に、予め、Aβに付着させるための添加剤を入れる検体処理容器準備工程を含むことが好ましい。これにより、Aβの回収率を向上させることができ、Aβ定量測定をさらに正確に行うことが可能になる。特に、前述した事前濃縮工程を実施する場合には、Aβに付着させるための添加剤を検体処理容器に予め入れておくことで、事前濃縮工程でAβの不溶化が進行するのを防止することが可能になるので、Aβ定量測定をさらに正確に行うことが可能になる。
本発明のAβ測定方法は、アミロイドβに付着させるための添加剤を検体処理容器に入れる検体処理容器準備工程と、アミロイドβを含む可能性がある検体を前記検体処理容器に入れる検体準備工程と、前記検体処理容器内の前記検体を濃縮する第一濃縮工程と、前記第一濃縮工程により濃縮された検体にアミロイドβを可溶化する可溶化剤を添加して、濃縮操作により、前記検体に含まれる溶媒の量を低減する第二濃縮工程と、前記第二濃縮工程で得られた検体処理液中の前記可溶化剤を中和する中和工程と、前記中和された検体処理液に含まれる可能性があるアミロイドβを抗原抗体反応に基づいて定量する測定工程と、を含む。
(第一実施形態)
以下では、本発明の第一実施形態における各工程の詳細を図11に沿って説明する。
本発明のAβ測定における検体準備工程101では、Aβを含む可能性のある検体を検体処理容器へ入れる。
本発明のAβ測定方法において使用する検体処理容器は、容器の内壁表面に対するAβの吸着を抑制してAβの回収率を向上させるため、Aβの吸着を抑制する物性を有する内壁表面を有するものが好ましい。具体的には、内壁表面が、疎水性でない容器が好ましい。例えば、一般的にガラス製の容器が良い。あるいは、内壁表面にシリコン等で親水処理が施された容器であってもよい。前記容器を用いることにより、疎水性が高いAβモノマーと容器内壁との疎水相互作用を低減し、その結果、容器の内壁表面へのAβモノマーの吸着を抑制することができる。このため、Aβの回収率を向上させることができる。
また、ブロッキング剤を用いることにより、さらに容器内壁に対するAβモノマーの吸着を抑制することができる。ブロッキング剤とは、Aβモノマーと反応又は結合しないタンパク質や化合物を含む試薬の総称である。具体的には、牛血清アルブミン(BSA)やスキムミルク、カゼイン、界面活性剤等が挙げられる。これらが容器の内壁表面と相互作用することにより、検体中に低濃度に存在するAβが内壁表面に吸着するのを相対的に阻止することができる。ブロッキング剤は、通常、0.01%w/v〜5%w/vの濃度で使用され、粘性等が問題になる場合は、0.01%w/v〜0.5%w/vの濃度で使用される。
ブロッキング剤を使用する場合、検体を容器に入れた際に、ブロッキング剤が容器内に存在していればよい。具体的には、ブロッキング剤を含む溶液が漏れない状態で容器に封入されており、この容器に、検体を投入する。あるいは、再溶解可能な乾燥状態でブロッキング剤が容器に保持されており、この容器に、液状の検体を投入する。別の形態としては、予め、ブロッキング剤を含む溶液を容器の内壁表面に接触させておくことで、内壁表面にブロッキング剤を吸着固定させておいてもよい。また、別の形態としては、検体を容器に添加した後に、ブロッキング剤又はブロッキング剤を含む溶液を添加してもよい。尚、ブロッキング剤を溶解する溶液は、通常、緩衝液である。例えば、リン酸緩衝液やトリス緩衝液等である。ブロッキング剤を使用すると、Aβの回収率がさらに向上するため好ましいが、使用を省略することは可能である。
本発明で使用する検体処理容器の容量やその形状は特に限定されない。検体を保持できる容量であればよく、任意に設定すればよい。例えば、1mLから2mLまでの容量の容器としてはエッペンドルフのチューブ、50mL以下の容器としてはコーニングのチューブ、1000mL以下の容器としてはビーカーやフラスコを使用できる。また、形状についても、後に続く処理方法に合わせて、任意に選択すればよい。ここで処理方法とは通常の生化学の実験又は検査で使用されるもので、遠心分離等の方法である。尚、前記エッペンドルフのチューブやコーニングのチューブは、よく使用される遠心分離機のローターに合わせた形状になっている場合が多い。
次いで、検体処理容器中の検体に対し、Aβを可溶化する可溶化剤を添加して、得られた混合物を濃縮操作に付すことにより、前記検体に含まれる溶媒の量を低減する濃縮工程102を行う。濃縮工程102では、検体中に含まれる可能性のあるAβオリゴマーを可溶化剤により処理することで、Aβモノマーに変換する。抗体抗原反応に基づいたAβ測定はAβモノマーに対する感度が高いため、可溶化剤を用いた処理により予め検体中のAβをAβモノマーに変換し、これを測定対象とすることで、より正確な定量測定が可能になる。更に、検体に含まれる溶媒量を低減することで、検体中のAβ濃度が高くなり、より高感度な測定が可能になる。
可溶化剤としては、ギ酸を用いることができる。ギ酸は、一般的に、動物やヒトの組織に凝集又は吸着されているタンパク質を可溶化させ、組織から分離するために用いられている。しかし、本発明者らは、生体組織を含まない液体中に分散している可溶性Aβオリゴマーに対してギ酸を作用させると、可溶性Aβオリゴマーが解きほぐされ、Aβモノマーとなることを見出した。ギ酸は検体に添加した際に、ギ酸濃度が70%以上となるものを使用することが好ましい。可溶性AβオリゴマーがAβモノマーとなるメカニズムについては不明であるが、おそらく、液体中では、可溶性オリゴマーの一部は、可逆的にAβモノマーに極一部乖離しており、その中で、ギ酸がAβモノマーの安定化に寄与しているものと推測される。
本発明では、可溶化剤はギ酸に限定されない。可溶化剤としては、可溶性AβオリゴマーをAβモノマーに変換する能力を有する有機酸を用いることができる。そのような有機酸としては、カルボキシル基又はスルホ基を有する有機酸が挙げられる。具体的には、ギ酸の他、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。可溶化剤は1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
濃縮工程102で使用する可溶化剤は、ギ酸と共に、二重結合、三重結合又は共役結合を持つ化合物(例えば、s−アリル−l−システイン(以降、SACと略す))を含むことが好ましい。これにより、Aβの回収率をさらに向上させることができる。
濃縮工程102で濃縮する方法としては、減圧濃縮法が適用できる。本発明のAβ測定方法における濃縮工程102では、Aβを不溶化させることなく検体を濃縮することが好ましい。検体中にはAβモノマーや可溶性オリゴマーが含まれている。濃縮に伴って、前記Aβモノマーや可溶性オリゴマーの凝集が進行して、不溶性Aβポリマーが形成されることで、Aβからなる固相が析出することを、Aβが不溶化するという。本発明においてAβを不溶化させずに検体を濃縮するとは、検体を乾固させることなく濃縮すること、又は、可溶化剤として添加されたギ酸を中和せずに濃縮することで検体中の不溶性Aβポリマー量(すなわちAβからなる固相量)が濃縮に伴って実質上増加することがないようにすることである。濃縮工程102は検体中のAβ濃度を向上させることを目的に行うが、不溶性Aβポリマーが増加しないように濃縮するため、可溶化剤添加により得られたAβモノマーがそのまま保持されることになり、正確なAβの定量測定が可能になる。
上述したような検体を乾固させずに濃縮するには、濃縮工程における溶媒の低減量を調整すればよい。溶媒の低減量が多すぎると検体が乾固するので、低減量を抑制する。ここで、検体が乾固するとは、検体に含まれる溶媒量が相対的に少なくなり、検体全体として流動性がなくなり、固化することを意味する。従って、検体を乾固させずに濃縮するには、液状の検体がその流動性を維持している状態で、濃縮工程を終了すればよい。濃縮工程で検体が乾固すると、Aβモノマーや可溶性オリゴマーが凝集するため、後の実施例3で示すように、Aβの測定感度が低下する。そのため、第一実施形態の濃縮工程では、検体が乾固しない程度に、検体に含まれる溶媒の量を低減することが好ましく、これにより、Aβの測定感度を著しく向上させることができる。
次に、濃縮工程102で得られた検体処理液に対し中和剤を添加して、検体処理液に含まれている可溶化剤を中和する中和工程103を行う。濃縮工程102において、可溶化剤としてギ酸等の有機酸を用いた場合、検体処理液の酸性が強いため、その後に続く測定工程104のために、中和を行う必要がある。
中和剤としては、例えば1Mのトリスを所定量添加することでギ酸を中和することができる。
次に、中和工程103により中和された検体処理液を、抗原抗体反応に基づいてAβを定量する測定工程104に付する。本発明のAβ測定方法における測定工程103では、抗原抗体反応に基づく免疫測定法を利用する。鼻洗浄液等の検体には、測定対象とするAβ以外にも、多くのタンパク質や夾雑物が含まれる。その検体から測定対象のAβのみを測定するには、Aβと特異的に反応する物質を用いるのが好ましい。したがって、免疫測定法を利用する。免疫測定法とは、免疫反応である抗原抗体反応を利用する測定法で、測定するべき物質の抗体を人為的に作製することができるので、測定原理として幅広く適用されている。実際に、和光純薬からAβ測定キットが販売されている。しかし、このような市販のAβ測定キットを用いただけでは、検体にAβが低濃度で含まれている場合、正確なAβ定量ができない。本発明によれば、上述した可溶化剤存在下での濃縮工程を行うことにより、極低濃度でAβを含む検体であっても、正確なAβ定量が可能になる。
測定工程104では定量測定を目的とするので、濃縮工程102では、その濃縮量(濃縮後の液量)を一定に制御することが好ましい。濃縮量の制御は、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の、水系媒体と共沸しない沸点の高い媒体を検体処理液に入れることで容易に実施できる。この場合、当該高沸点媒体の添加量を一定量に調整しておくと、水分蒸発を利用した濃縮により水系媒体のみが蒸発していき、DMSO等の高沸点媒体が残留するため、安定して一定の濃縮量が得られる。
あるいは、光計測により濃縮量を制御することができる。即ち、容器の所定の位置に光を照射しておき、濃縮の過程において検体処理液のメニスカスが所定の位置に移動したときの光の散乱信号を検出した時点で濃縮を停止する。
あるいは、電気化学的に残量を検知することにより濃縮量を制御することができる。即ち、容器の所定の位置に電極対を設けておき、濃縮の過程において所定の位置にある電極対を検体液のメニスカスが超えることで電流が流れなくなった時点で濃縮を停止する。
あるいは、揮発した溶液の容量を計測し残量計算する手段を設けることにより濃縮量を制御することができる。あるいは、濃縮液の重さを利用して一定量の濃縮量を達成する手段を設けることによる制御も可能である。例えば圧電素子を容器に付随させておき、それにより質量変化量を計測する。
以上説明した工程101−104をすべて含む第一実施形態の測定方法は、特に綿棒やスワブ等の採取具で鼻粘膜から鼻粘液を採取して得られた検体を用いる場合に有効である。なぜなら、鼻粘液が検体である場合は、検体の容量が少ないため、検体に直接可溶化剤を添加して濃縮することができるからである。
(第二実施形態)
以下では、本発明の第二実施形態における各工程の詳細を図12に沿って説明する。
本発明のAβ測定における検体処理容器準備工程111では、Aβに付着させるための添加剤を検体処理容器に入れる。本発明者らは、Aβモノマーおよび可溶性Aβオリゴマーに対して前記添加剤を作用させると、Aβモノマーおよび可溶性オリゴマー同士の凝集が抑制されることを見出した。添加剤とは、例えば、ギ酸である。使用するギ酸は、可溶性AβオリゴマーをAβモノマーに変換する能力を有する必要はないため、ギ酸の濃度は70%未満でよい。
本発明では、添加剤はギ酸に限定されない。添加剤としては、Aβモノマーおよび可溶性オリゴマー同士の凝集を抑制する能力を有する有機酸を用いることができる。そのような有機酸としては、カルボキシル基又はスルホ基を有する有機酸が挙げられる。具体的には、ギ酸の他、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。添加剤は1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
検体処理容器準備工程111で使用する添加剤は、ギ酸と共に、二重結合、三重結合又は共役結合を持つ化合物(例えば、s−アリル−l−システイン(以降、SACと略す))を含むことが好ましい。これにより、Aβの回収率をさらに向上させることができる。
検体処理容器準備工程111は、添加剤を検体処理容器に入れるものであり、これによりAβの回収率を向上させることができるため、Aβ定量測定をさらに正確に行うことが可能になる。しかし、添加剤を検体処理容器に予め入れておくことは本発明で必須ではなく、添加剤が入っていない検体処理容器を使用して検体準備工程112を実施し、その後、添加剤を添加してもよい。
本発明のAβ測定方法において使用する検体処理容器は、容器の内壁表面に対するAβの吸着を抑制してAβの回収率を向上させるため、Aβの吸着を抑制する物性を有する内壁表面を有するものが好ましい。具体的には、内壁表面が、疎水性でない容器が好ましい。例えば、一般的にガラス製の容器が良い。あるいは、内壁表面にシリコン等で親水処理が施された容器であってもよい。前記容器を用いることにより、疎水性が高いAβモノマーと容器内壁との疎水相互作用を低減し、その結果、容器の内壁表面へのAβモノマーの吸着を抑制することができる。このため、Aβの回収率を向上させることができる。
また、ブロッキング剤を用いることにより、さらに容器内壁に対するAβモノマーの吸着を抑制することができる。ブロッキング剤とは、Aβモノマーと反応又は結合しないタンパク質や化合物を含む試薬の総称である。具体的には、牛血清アルブミン(BSA)やスキムミルク、カゼイン、界面活性剤等が挙げられる。これらが容器の内壁表面と相互作用することにより、検体中に低濃度に存在するAβが内壁表面に吸着するのを相対的に阻止することができる。ブロッキング剤は、通常、0.01%w/v〜5%w/vの濃度で使用され、粘性等が問題になる場合は、0.01%w/v〜0.5%w/vの濃度で使用される。
ブロッキング剤を使用する場合、検体を容器に入れた際に、ブロッキング剤が容器内に存在していればよい。具体的には、ブロッキング剤を含む溶液が漏れない状態で容器に封入されており、この容器に、検体を投入する。あるいは、再溶解可能な乾燥状態でブロッキング剤が容器に保持されており、この容器に、液状の検体を投入する。別の形態としては、予め、ブロッキング剤を含む溶液を容器の内壁表面に接触させておくことで、内壁表面にブロッキング剤を吸着固定させておいてもよい。また、別の形態としては、検体を容器に添加した後に、ブロッキング剤又はブロッキング剤を含む溶液を添加してもよい。尚、ブロッキング剤を溶解する溶液は、通常、緩衝液である。例えば、リン酸緩衝液やトリス緩衝液等である。ブロッキング剤を使用すると、Aβの回収率がさらに向上するため好ましいが、使用を省略することは可能である。
本発明で使用する検体処理容器の容量やその形状は特に限定されない。検体を保持できる容量であればよく、任意に設定すればよい。例えば、1mLから2mLまでの容量の容器としてはエッペンドルフのチューブ、50mL以下の容器としてはコーニングのチューブ、1000mL以下の容器としてはビーカーやフラスコを使用できる。また、形状についても、後に続く処理方法に合わせて、任意に選択すればよい。ここで処理方法とは通常の生化学の実験又は検査で使用されるもので、遠心分離等の方法である。尚、前記エッペンドルフのチューブやコーニングのチューブは、よく使用される遠心分離機のローターに合わせた形状になっている場合が多い。
次に、準備した検体処理容器に対し、検体を入れる検体準備工程112を行う。
次いで、検体処理容器中の検体を濃縮する第一濃縮工程113を行う。第一濃縮工程113は、検体中のAβ濃度を上昇させることで、後のAβ測定を容易にするとともに、次の可溶化を効率よく実施することを可能とする。第一濃縮工程113を行う場合には、Aβを可溶化させるための添加剤を検体処理容器に予め入れておく検体処理容器準備工程111を行うことが好ましい。これにより、第一濃縮工程113でAβの不溶化が進行するのを防止することができる。この第一濃縮工程113においては、後の参考例で示すように、試料を乾固させることなく濃縮を行う。
次いで、第一濃縮工程により濃縮された検体処理容器中の検体に対し、Aβを可溶化する可溶化剤を添加して、得られた混合物を2回目の濃縮操作に付すことにより、前記検体に含まれる溶媒の量を低減する第二濃縮工程114を行う。第二濃縮工程114では、検体中に含まれる可能性のあるAβオリゴマーを可溶化剤により処理することで、Aβモノマーに変換する。抗体抗原反応に基づいたAβ測定はAβモノマーに対する感度が高いため、可溶化剤を用いた処理により検体中のAβをAβモノマーに変換することで、より正確な定量測定が可能になる。更に、検体に含まれる溶媒量を低減することで、検体中のAβ濃度が高くなり、より高感度な測定が可能になる。
可溶化剤としては、ギ酸を用いることができる。ギ酸は、一般的に、動物やヒトの組織に凝集又は吸着されているタンパク質を可溶化させ、組織から分離するために用いられている。しかし、本発明者らは、生体組織を含まない液体中に分散している可溶性Aβオリゴマーに対してギ酸を作用させると、可溶性Aβオリゴマーが解きほぐされ、Aβモノマーとなることを見出した。ギ酸は検体に添加した際に、ギ酸濃度が70%以上となるものを使用することが好ましい。可溶性AβオリゴマーがAβモノマーとなるメカニズムについては不明であるが、おそらく、液体中では、可溶性オリゴマーの一部は、可逆的にAβモノマーに極一部乖離しており、その中で、ギ酸がAβモノマーの安定化に寄与しているものと推測される。
本発明では、可溶化剤はギ酸に限定されない。可溶化剤としては、可溶性AβオリゴマーをAβモノマーに変換する能力を有する有機酸を用いることができる。そのような有機酸としては、カルボキシル基又はスルホ基を有する有機酸が挙げられる。具体的には、ギ酸の他、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。可溶化剤は1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
第二濃縮工程114で使用する可溶化剤は、ギ酸と共に、二重結合、三重結合又は共役結合を持つ化合物(例えば、s−アリル−l−システイン(以降、SACと略す))を含むことが好ましい。これにより、Aβの回収率をさらに向上させることができる。
第二濃縮工程114で濃縮する方法としては、減圧濃縮法が適用できる。本発明のAβ測定方法における第二濃縮工程114では、Aβを不溶化させることなく検体を濃縮することが好ましい。検体中にはAβモノマーや可溶性オリゴマーが含まれている。濃縮に伴って、前記Aβモノマーや可溶性オリゴマーの凝集が進行して、不溶性Aβポリマーが形成されることで、Aβからなる固相が析出することを、Aβが不溶化するという。本発明においてAβを不溶化させずに検体を濃縮するとは、検体を乾固させることなく濃縮すること、又は、可溶化剤として添加されたギ酸を中和せずに濃縮することで検体中の不溶性Aβポリマー量(すなわちAβからなる固相量)が濃縮に伴って実質上増加することがないようにすることである。第二濃縮工程114は検体中のAβ濃度を向上させることを目的に行うが、不溶性Aβポリマーが増加しないように濃縮するため、可溶化剤添加により得られたAβモノマーがそのまま保持されることになり、正確なAβの定量測定が可能になる。
第二濃縮工程114の後に続く測定工程116では定量測定を目的とするので、第二濃縮工程114では、その濃縮量(濃縮後の液量)を一定に制御することが好ましい。濃縮量の制御は、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の、水系媒体と共沸しない沸点の高い媒体を検体処理液に入れることで容易に実施できる。この場合、当該高沸点媒体の添加量を一定量に調整しておくと、水分蒸発を利用した濃縮により水系媒体のみが蒸発していき、DMSO等の高沸点媒体が残留するため、安定して一定の濃縮量が得られる。
あるいは、光計測により濃縮量を制御することができる。即ち、容器の所定の位置に光を照射しておき、濃縮の過程において検体処理液のメニスカスが所定の位置に移動したときの光の散乱信号を検出した時点で濃縮を停止する。
あるいは、電気化学的に残量を検知することにより濃縮量を制御することができる。即ち、容器の所定の位置に電極対を設けておき、濃縮の過程において所定の位置にある電極対を検体液のメニスカスが超えることで電流が流れなくなった時点で濃縮を停止する。
あるいは、揮発した溶液の容量を計測し残量計算する手段を設けることにより濃縮量を制御することができる。あるいは、濃縮液の重さを利用して一定量の濃縮量を達成する手段を設けることによる制御も可能である。例えば圧電素子を容器に付随させておき、それにより質量変化量を計測する。
本発明のAβ測定方法における濃縮工程において、検体が鼻洗浄液のような塩を含む溶液である場合、濃縮することで検体中の塩濃度が高くなり、次に例えば酵素免疫測定法により測定する際に、悪影響を及ぼすことがある。この場合、カラムや限外ろ過などを使用して検体の脱塩操作を行ったり、あらかじめ検体の液量を減らしたりしてから本発明を実施してもよい。
次に、第二濃縮工程114で得られた検体処理液に対し中和剤を添加して、検体処理液に含まれている可溶化剤を中和する中和工程115を行う。第二濃縮工程114において、可溶化剤としてギ酸等の有機酸を用いた場合、検体処理液の酸性が強いため、その後に続く測定工程116のために、中和を行う必要がある。
中和剤としては、例えば1Mのトリスを所定量添加することでギ酸を中和することができる。
次に、中和工程115により中和された検体処理液を、抗原抗体反応に基づいてAβを定量する測定工程116に付する。本発明のAβ測定方法における測定工程116では、抗原抗体反応に基づく免疫測定法を利用する。鼻洗浄液等の検体には、測定対象とするAβ以外にも、多くのタンパク質や夾雑物が含まれる。その検体から測定対象のAβのみを測定するには、Aβと特異的に反応する物質を用いるのが好ましい。したがって、免疫測定法を利用する。免疫測定法とは、免疫反応である抗原抗体反応を利用する測定法で、測定するべき物質の抗体を人為的に作製することができるので、測定原理として幅広く適用されている。実際に、和光純薬からAβ測定キットが販売されている。しかし、このような市販のAβ測定キットを用いただけでは、検体にAβが低濃度で含まれている場合、正確なAβ定量ができない。本発明によれば、上述した可溶化剤存在下での濃縮工程を行うことにより、極低濃度でAβを含む検体であっても、正確なAβ定量が可能になる。
以上説明した工程111−116をすべて含む第二実施形態の測定方法は、特に鼻洗浄液など検体が大容量でAβを極低濃度で含む場合に有効である。なぜなら、鼻洗浄液が検体である場合は、検体容量が多いため、検体に直接可溶化剤を添加すると、液量が大量になってしまうからである。そのため、第一濃縮工程を実施して検体の液量を低減してから、可溶化剤を添加することが好ましい。
本発明の対象とするAβを測定するための免疫測定法としては、例えば、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、化学発光免疫測定法、電気化学発光免疫測定法がある。これらの方法によると、酵素、蛍光性物質、化学発光反応性物質、又は電気化学発光性物質を標識した、測定対象物に特異結合する抗体と、測定対象物である抗原とを反応及び結合させ、未結合の前記標識抗体を分離除去する。その後、前記抗原と結合した前記標識抗体に標識されている酵素、蛍光性物質、化学発光反応性物質、又は電気化学発光性物質から生成される光学的もしくは電気化学的なシグナルを検出する。これらの免疫測定技術は、測定対象物である抗原と測定対象物に特異結合する抗体との抗原抗体結合体を、未結合の標識抗体から分離するプロセスが必要となってくる測定技術である。そこで総称して、BF分離方式免疫測定と呼ばれる(Bind−Free分離方式の略である)。
具体的には、前記和光純薬製の測定キットは、酵素免疫測定法を基本原理としたものである。この測定キットの構成は、Aβモノマー(Aβ40、Aβ42)の第一の抗体が固定化されているマイクロタイタープレートと、HRP標識された第二のAβ抗体と酵素発色基質とからなる。性能としては、Aβ40/42ELISA測定キットはAβ40で1pMから100pM,Aβ42で0.1pMから20pMが検出可能である。測定時間は17時間である。非常に感度が高いものである。測定方法は、まず、マイクロタイタープレートに検体液を分注し、マイクロタイタープレートを緩衝液で洗浄した後に、第二の抗体を加える。その後、さらに、マイクロタイタープレートを緩衝液で洗浄した後に、発色基質を加え、発色させて、吸光度を計測する。
本発明の対象とするAβを測定するための免疫測定法としては、非BF分離方式の免疫測定法も利用できる。例えば、免疫比濁法、免疫比朧法、及びラテックス免疫比濁法が、非BF分離方式の免疫測定である。これらは、測定対象物である抗原と測定対象物に特異的に結合する抗体との結合反応により生成する抗原抗体凝集体を光学的に測定するものである。これらは、抗原抗体結合反応に伴う大きさの変化を光学的な変化として検出するものである。免疫比濁法やラテックス免疫比濁法は、抗原抗体反応により生成する濁りを透過光強度変化量として検出することによって、測定対象物を定量する。また、免疫比朧法は、抗原抗体反応により生成する凝集体の大きさの変化を散乱光強度変化量として検出することによって、測定対象物を定量する。
本発明の対象とするAβを測定するための免疫測定法で使用する抗体は、Aβと特異的に反応及び結合する抗体である。抗体は、その作製法が数種類確立されており、既に公知である。代表的なものとしては、マウスに測定対象物を抗原として免疫し、その後マウスの脾臓を取り出し、マウスの脾臓と癌細胞であるミエローマとの融合により、ハイブリドーマ(抗体産生細胞)を作製する方法がある。ここで重要なのは、抗原である。本発明の場合は、Aβを抗原とする。具体的には、Aβ42およびAβ40である。さらに、抗原と結合する抗体は、Aβのどの領域を認識して結合するかが重要である。例えば、Aβ42とAβ40を抗体により区別するには、Aβ42とAβ40とで異なる領域のアミノ酸配列を認識する必要がある。即ち、Aβ42とAβ40とではC末端側のアミノ酸配列が異なるため、アミノ酸配列のC末端側の2つを含むアミノ酸配列を認識できる抗体がAβ42に特異的な抗体であり、そうでないものがAβ40に特異的な抗体である。また、N末端側は、Aβ42もAβ40のいずれも同じアミノ酸配列であるため、Aβ42とAβ40のいずれとも結合する抗体である。前述の和光純薬の測定キットに用いられる抗体は、これらの抗体が適切に組み合わされている測定キットである。
前述したように、本発明のAβ測定方法によると、加齢に応じて脳内のAβが鼻粘膜やその周辺の組織に蓄積することを利用し、鼻粘膜等をスワブおよび綿棒を擦りつけることで得られる鼻粘液、または、鼻粘膜等を洗浄して得られる洗浄液を検体とすることができる。この場合、本発明は、鼻骨を取り出さずに、即ち、臨床研究や診断に役立てることができるように、鼻骨や鼻粘膜を含む鼻腔内のAβ量を測定することができるという利点がある。また、Aβを凝集させることなく検体を濃縮することにより、高感度にAβを測定できるため、通常の濃縮方法では測定不可能な、鼻等から採取した検体中のAβ量を測定できるという利点がある。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)綿棒で採取した鼻粘液の測定
本実施例については、図1を用いて説明する。
(検体準備工程の実施)
栄研化学が生産販売している綿棒(11)(γ滅菌アルミ軸綿棒)を用い、インフルエンザ簡易キットの方法を転用して、被験者a〜eの5名の健常な被験者から鼻粘液を採取した。鼻粘液を採取した綿棒(11)を試験管(12)に入れ、採取した鼻粘液を検体(13)とした。
(濃縮工程の実施)
次いで、検体(13)を採取した綿棒(11)を入れた試験管(12)に80%ギ酸(14)を500μL添加するとともに、10μM SAC(15)を50μL添加して、綿棒に付いた検体(13)を抽出するとともに可溶化を行い、試料(16)を得た。さらに、綿棒(11)の採取部を試験管(12)内の溶液から引き上げた状態で綿棒(11)を試験管(12)に固定し、試験管(12)を遠心機に入れて、回転数2000rpmで1分間遠心を行い、綿棒(11)を脱水し(17)、その後、綿棒(11)を試験管(12)から取り出して試料(18)を得た。その後、減圧濃縮(19)により試料(18)を濃縮して容量が40μLの試料(20)を得た。
(中和工程の実施)
その後、試料(20)に1Mトリス緩衝溶液(pH未調整)(21)を960μL加えてギ酸を中和し、容量が1mLの測定用試料(22)を得た。
(測定工程の実施)
測定は、アミロイドβを測定するELISAの測定キットを用いて実施した(和光純薬社製、Human/Rat βAmyloid42 ELISA Kit wako、High−Sensitive;商品番号292−64501およびHuman/Rat βAmyloid40 ELISA Kit wako II;商品番号;294−64701)。測定に先立って、検量線を作製するための溶液を、Aβ42およびAβ40のスタンダード溶液、あるいは、実施例4で調製した原液を用いて、Aβ42を0.05、0.1、0.2、0.25、1、2、2.5、5、10、又は20pM、Aβ40を0.25、0.5、1、1.25、2.5、5、10、12.5、25、50、又は100pM、に調製した。調製後は、検量線を作製するための溶液と各測定用試料をそれぞれ、前記測定キットのマイクロタイタープレートに100μL添加した。
その後、測定キットの使用説明に従い、測定を実施した。測定後は、検量線を用いて、各測定用試料に含まれるAβ42とAβ40の濃度を算出した。
(測定結果)
以上の測定結果を、図2に示す。これによると、本実施例の方法で処理した鼻粘液検体において、Aβ40が0.75〜3.26pM、Aβ42が0.12〜0.27pMの値を示した。以上のように、鼻粘液検体にギ酸を添加して減圧濃縮することで、通常では測定出来なかった鼻粘液中に含まれるAβ量を測定することに成功した。
(実施例2)マウス脳ホモジネートの測定
本実施例については、図3を用いて説明する。
(検体準備工程の実施)
Aβが大量発現されるように遺伝子改変されたマウス(以下APPマウスという)の脳切片を10mMリン酸緩衝液(PB)中でホモジナイズして得られた脳ホモジネート溶液の上清を用いた。本実施例では、これを検体(31)とし、試験管(32)に10μL添加した。
(濃縮工程の実施)
次いで、試験管(32)に添加された検体(31)に、80%ギ酸(33)を500μL添加し、10μM SAC(34)を50μL添加して可溶化を行い、容量が560μLの試料(35)を得た。その後、減圧濃縮(36)により試料(35)を濃縮して、容量が40μLの試料(37)を得た。
(中和工程の実施)
その後、試料(37)に1Mトリス緩衝溶液(pH未調整)(38)を960μL加えてギ酸の中和を行い、容量が1mLの測定用試料(39)を得た。
(未処理検体の調製)
検体準備工程で調製した脳検体を10μL試験管に添加し、さらに10mMリン酸緩衝液(PB)を990μL添加して100倍希釈した。これは、中和工程まで実施した脳検体と同等の希釈倍率となる。これを、本実施例の処理検体と比較するための未処理検体とした。
(測定工程の実施)
測定は、アミロイドβを測定するELISAの測定キットを用いて実施した(和光純薬社製、Human/Rat βAmyloid42 ELISA Kit wako、High−Sensitive;商品番号292−64501およびHuman/Rat βAmyloid40 ELISA Kit wako II;商品番号;294−64701)。測定に先立って、検量線を作製するための溶液を、Aβ42およびAβ40のスタンダード溶液、あるいは、実施例4で調製した原液を用いて、Aβ42を0.1、0.2、0.25、1、2、2.5、5、10、又は20pM、Aβ40を1、1.25、2.5、5、10、12.5、25、50、又は100pM、に調製した。調製後は、検量線を作製するための溶液と各測定用試料をそれぞれ、前記測定キットのマイクロタイタープレートに100μL添加した。
その後、測定キットの使用説明に従い、測定を実施した。測定後は、検量線を用いて、各測定用試料に含まれるAβ42とAβ40の濃度を算出した。
(測定結果)
以上の測定結果を、図4に示す。これによると、本実施例の方法で処理した脳検体において、Aβ40とAβ42はともに未処理検体と比較して高い値を示した。中でも、Aβ42は約18倍となり、脳検体中に多量の凝集Aβ42が含まれていたことがわかった。これにより、検体にギ酸を添加して減圧濃縮することで、通常では測定出来なかった検体中に含まれる凝集AβをAβモノマーに変換して測定することができ、非常に高感度にAβを測定できることがわかった。
(実施例3)可溶化工程後の濃縮工程の有無
本実施例については、図5を用いて説明する。
尚、実施例3では、鼻洗浄液を想定したモデルとしてAβをリン酸緩衝液に希釈した溶液を調製し、これを検体として用いた。この検体中のAβ濃度はAβ40で50pM、Aβ42で10pMとした。以上の濃度は、APPマウスに対し鼻洗浄を行い、得られた洗浄液について測定したAβ濃度に基づき、体重比でヒトへ反映させたときに得られると予想される濃度に設定したものである。
(検体準備工程の実施)
市販の固体Aβ42(ペプチド研究所製;商品番号4349−V)、市販の固体Aβ40(ペプチド研究所製;商品番号4307−V)、及び、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を用いて、Aβ42のDMSO溶液(濃度20μM)、及び、Aβ40のDMSO溶液(濃度100μM)を調製した。これら溶液を等量混ぜAβ42とAβ40の混合液とした。
(濃縮工程の実施)
次に、この混合液を70%ギ酸により希釈することで可溶化を行い、最終濃度を、Aβ42は70%ギ酸溶液の10pM、Aβ40は70%ギ酸溶液の50pMとした。これを検体(41)とした。検体(41)を試験管(42)に1mL添加し、減圧濃縮(43)により検体(41)の濃縮を行い、完全乾固した試料(44)と、完全乾固させずに50μLの液体を残留させた試料(45)を作製した。その後、完全乾固した試料(44)に、40μLのギ酸(46)を入れて、試料(47)を得た。
(中和工程の実施)
次いで当該試料(47)に1Mトリス緩衝液(48)を960μL加えて中和を行い、1000μLの測定用試料(49)を得た。完全乾固させなかった試料(45)には、直接1Mトリス緩衝液(50)を950μL加えて中和を行い、1000μLの測定用試料(51)を得た。
(測定工程の実施)
測定は、アミロイドβを測定するELISAの測定キットを用いて実施した(和光純薬社製、Human/Rat βAmyloid42 ELISA Kit wako、 High−Sensitive;商品番号292−64501およびHuman/Rat βAmyloid40 ELISA Kit wako II;商品番号;294−64701)。測定に先立って、検量線を作製するための溶液を、Aβ42およびAβ40のスタンダード溶液、あるいは、実施例4で調製した原液を用いて、Aβ42を0.3125、0.625、1.25、2.5、5、10、又は20pM、Aβ40を1.5625、3.125、6.25、12.5、25、50、又は100pM、に調製した。調製後は、検量線を作製するための溶液と各測定用試料1mLをそれぞれ、前記測定キットのマイクロタイタープレートに添加した。
その後、測定キットの使用説明に従い、測定を実施した。測定後は、検量線を用いて、各測定用試料に含まれるAβ42とAβ40の濃度を算出し、容量補正を行なった後、各試料に含まれていたAβ42量およびAβ40量に対する回収率を評価した。
(測定結果)
以上の測定結果を、図6に示す。これによると、Aβ42及びAβ40の回収率は、可溶化剤添加後の濃縮工程により乾固させなかった試料では、それぞれ80%及び100%と、非常に高い値を示した。一方、可溶化剤添加後の濃縮工程により乾固させた試料では、回収率が10%未満及び20%未満と極めて低い値に留まった。これにより、可溶化剤添加後の濃縮工程で試料を乾固させないことにより、Aβの回収率、すなわち測定感度が著しく向上することが分かった。
(実施例4)検体処理容器準備工程における添加剤の検討
本実施例については、図7を用いて説明する。
(検体(61)の調製)
Aβ42、Aβ40等のAβモノマーのリン酸緩衝溶液の調製にはAβモノマーの凝集性および吸着性による損失が伴う。したがって、調製は、段階希釈に基づき、慎重に行った。具体的には、市販の固体Aβ42(ペプチド研究所製;商品番号4349−V)、市販の固体Aβ40(ペプチド研究所製;商品番号4307−V)、及び、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を用いて、Aβ42のDMSO溶液(濃度20μM)、及び、Aβ40のDMSO溶液(濃度100μM)を調製した。これら溶液を等量混ぜAβ42とAβ40の混合液とした。その後、0.5%牛血清アルブミン(BSA)及び0.1%Tween20のリン酸生理食塩緩衝液(pH7.4、PBS)を用いて、Aβ42の濃度が5nM、Aβ40の濃度が25nMになるまで前記混合液を希釈した。この希釈された混合液では、Aβ42およびAβ40いずれも、Aβモノマーとして安定に存在させることができるので、本実施例における原液とした。
その後、前記原液を、リン酸緩衝液(PB)により段階希釈を行い、目的の濃度へ調整した。本実施例では、最終濃度を、Aβ42はリン酸緩衝溶液中5pM、Aβ40はリン酸緩衝液中25pMとした。また、前記段階希釈の過程において、ブロッキング剤として、最終濃度で0.9%牛血清アルブミン(BSA)が含有されるように調整した。その後、調製した溶液を24時間以上放置することで、可溶性Aβオリゴマー、不溶性AβポリマーおよびAβモノマーの混合物溶液とし、これを検体(61)とした。
以上により調製した検体は、5pM Aβ42・25pM Aβ40・0.9%BSAのリン酸緩衝溶液(微量のDMSOを含む)である。
(検体処理容器準備工程の実施)
試験管(62)を13本準備し、各試験管に、添加剤(63)250μLを加えた。添加剤としては、次の(A)から(M)で示す13種類の添加剤(63)を準備し、試験管1本あたり1種類の添加剤を添加した。
(A) 0.9%BSA・80%ギ酸
(B) 10nMクルクミン・0.9%BSA・80%ギ酸
(C) 9%TritonX100・0.9%BSA・80%ギ酸
(D) 10μM SAC・0.9%BSA・80%ギ酸
(E) 20%DMSO・0.9%BSA・80%ギ酸
(F) 0.9%BSA・0.1%Tween20・PBS
(G) 10nMクルクミン・0.9%BSA・0.1%Tween20・PBS
(H) 9%TritonX100・0.9%BSA・0.1%Tween20・PBS(I) 10μM SAC・0.9%BSA・0.1%Tween20・PBS
(J) 50%DMSO・0.9%BSA・0.1%Tween20・PBS
(K) PB
(L) 28%NH
(M) 5.6%NH・0.9%BSA・0.1%Tween20・PBS
(検体準備工程の実施)
次に、各試験管に、検体(61)を2mL添加して2250μLの試料(64)を得た。
(第一濃縮工程の実施)
試料(64)に対し、減圧濃縮により濃縮(65)を実施し、容量を50μLまで濃縮した試料(66)を得た。
(第二濃縮工程の実施)
試料(66)に80%ギ酸(67)を300μL添加することで可溶化を行い、容量が350μLの試料(68)を得た。その後、減圧濃縮(69)により試料(67)の濃縮を実施し、容量が40μLの試料(70)を得た。
(中和工程の実施)
その後、試料(70)に1Mトリス緩衝溶液(pH未調整)(71)を960μL加えてギ酸の中和を行い、容量が1mLの測定用試料(72)を得た。
(測定工程の実施)
測定は、アミロイドβを測定するELISAの測定キットを用いて実施した(和光純薬社製、Human/Rat βAmyloid42 ELISA Kit wako、 High−Sensitive;商品番号292−64501およびHuman/Rat βAmyloid40 ELISA Kit wako II;商品番号;294−64701)。測定に先立って、検量線を作製するための溶液を、Aβ42およびAβ40のスタンダード溶液、あるいは、前記調製した原液を用いて、Aβ42を0.3125、0.625、1.25、2.5、5、10、又は20pM、Aβ40を1.5625、3.125、6.25、12.5、25、50、又は100pM、に調製した。調製後は、検量線を作製するための溶液と測定用試料(72)をそれぞれ、前記測定キットのマイクロタイタープレートに添加した。
その後、測定キットの使用説明に従い、測定を実施した。測定後は、検量線を用いて、測定用試料(72)に含まれるAβ42とAβ40の濃度を算出し、容量補正を行なった後、試料に含まれていたAβ42量およびAβ40量に対する回収率を評価した。
(測定結果)
以上の測定結果を、図8に示す。これによると、検体処理容器に予めギ酸を添加していた試料(A)−(E)では、ギ酸を添加していない試料(F)−(M)と比較して、Aβ42及びAβ40双方の回収率が非常に高い値を示した。中でも、ギ酸とSACを併用した試料(D)は、最も高い回収率を示した。これにより、検体処理容器に予めギ酸に代表される添加剤を添加しておくことにより、濃縮工程(第二濃縮工程)の前に事前濃縮工程(第一濃縮工程)を行う場合であっても、Aβの回収率、すなわち測定感度が著しく向上することが分かった。
(参考例)
実施例4における添加剤を使用しない状態で第一濃縮工程を実施し、第一濃縮工程を実施する場合における添加剤の必要性を検討した。本参考例については、図9を用いて説明する。
(検体(81)の調製)
市販の固体Aβ42(ペプチド研究所製;商品番号4349−V)、市販の固体Aβ40(ペプチド研究所製;商品番号4307−V)、及び、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を用いて、Aβ42のDMSO溶液(濃度20μM)、及び、Aβ40のDMSO溶液(濃度100μM)を調製した。これら溶液を等量混ぜAβ42とAβ40の混合液とした。その後、0.5%牛血清アルブミン(BSA)及び0.1%Tween20のリン酸生理食塩緩衝液(pH7.4、PBS)を用いて、Aβ42の濃度は5nM、Aβ40の濃度は25nMになるまで前記混合液を希釈した。この希釈された混合液では、Aβ42およびAβ40いずれも、Aβモノマーとして安定に存在させることができるので、本参考例における原液とした。
その後、前記原液を、リン酸緩衝液(PB)により段階希釈を行い、目的の濃度へ調整した。本参考例では、最終濃度を、Aβ42はリン酸緩衝溶液中20pM、Aβ40はリン酸緩衝液中100pMとした。また、前記段階希釈の過程において、ブロッキング剤として、最終濃度で0.9%牛血清アルブミン(BSA)が含有されるように調整した。その後、調製した溶液を24時間以上放置することで、可溶性Aβオリゴマー、不溶性AβポリマーおよびAβモノマーの混合物溶液とし、これを検体(81)とした。
以上により調製した検体は、20pM Aβ42・100pM Aβ40・0.9%BSAのリン酸緩衝溶液(微量のDMSOを含む)である。
(第一濃縮工程の実施)
検体(81)を試験管(82)に500μL添加した後、減圧濃縮により検体(81)の濃縮(83)を実施した。ここで、濃縮(83)では、凍結乾燥又は減圧濃縮を利用し、減圧濃縮により完全乾固させた試料(84)と、凍結乾燥により得た試料(85)と、減圧濃縮により容量を50μLまで濃縮したが乾固していない試料(86)を作製した。
(第二濃縮工程の実施)
各試料に70%ギ酸(87)を添加することで可溶化を行い、容量が500μLの試料(88)、(89)及び(90)を得た。
引き続き、各試料(88)、(89)及び(90)を完全乾固させないように減圧濃縮により濃縮(91)を実施し、容量が40μLの試料(92)、(93)及び(94)を得た。
(中和工程の実施)
その後、各試料(92)、(93)及び(94)に1Mトリス緩衝溶液(pH未調整)(95)を960μL加えてギ酸を中和し、容量が1mLの測定用試料(96)、(97)及び(98)を得た。
(測定工程の実施)
測定は、アミロイドβを測定するELISAの測定キットを用いて実施した(和光純薬社製、Human/Rat βAmyloid42 ELISA Kit wako、 High−Sensitive;商品番号292−64501およびHuman/Rat βAmyloid40 ELISA Kit wako II;商品番号;294−64701。測定に先立って、検量線を作製するための溶液を、Aβ42およびAβ40のスタンダード溶液、あるいは、前記調製した原液を用いて、Aβ42を0.3125、0.625、1.25、2.5、5、10、20pM、Aβ40を1.5625、3.125、6.25、12.5、25、50、100pM、に調製した。調製後は、検量線を作製するための溶液と各測定用試料1mLをそれぞれ、前記測定キットのマイクロタイタープレートに添加した。
その後、測定キットの使用説明に従い、測定を実施した。測定後は、検量線を用いて、各測定用試料に含まれるAβ42とAβ40の濃度を算出し、容量補正を行なった後、各試料に含まれていたAβ42量およびAβ40量に対する回収率を評価した。
(測定結果)
以上の測定結果を、図10に示す。これによると、いずれの試料でも、24%程度の回収率に留まった。可溶化剤添加の前に検体(81)を濃縮する第一濃縮工程においては、試料を完全乾固させても、完全乾固させなくても、回収率に有意差はなく、回収率は低かった。実施例4で示したように、可溶化剤添加の前に第一濃縮工程を実施する場合には、第一濃縮工程で試料の完全乾固を回避することよりも、検体処理容器に予めギ酸等の添加剤を添加しておくことの方が、Aβの回収率、すなわち測定感度を向上させるために重要であることが判明した。
本発明に係るAβ測定方法によると、検体を濃縮してもAβを可溶化状態に維持できるため、低濃度でAβを含む溶液中のAβを正確に定量することができる。そのため、例えば鼻洗浄液中に存在する極めて微量のAβを測定することができ、アルツハイマー病の早期体外診断に利用できる。
11 綿棒
12 試験管
13 検体
14 ギ酸添加
15 SAC添加
16 ギ酸及びSACを添加した試料
17 綿棒の脱水
18 ギ酸及びSAC添加後綿棒除去後の試料
19 濃縮
20 容量40μLに濃縮した試料
21 1Mトリス緩衝液添加
22 測定用試料
31 検体
32 試験管
33 ギ酸添加
34 SAC添加
35 ギ酸及びSACを添加した試料
36 濃縮
37 容量40μLに濃縮した試料
38 1Mトリス緩衝液添加
39 測定用検体
41 検体
42 試験管
43 濃縮
44 完全乾固した試料
45 完全乾固していない試料
46 ギ酸添加
47 ギ酸を添加した試料
48、50 1Mトリス緩衝液添加
49 測定用試料
51 測定用試料
61 検体
62 試験管
63 添加剤
64 添加剤を添加した試料
65、69 濃縮
66 濃縮後の、完全乾固していない試料
67 ギ酸添加
68 ギ酸を添加した試料
70 第二濃縮後の、完全乾固していない試料
71 1Mトリス緩衝液添加
72 測定用試料
81 検体
82 試験管
83、91 濃縮
84 第一濃縮後の、完全乾固した試料
85 凍結乾燥した試料
86 第一濃縮後の、完全乾固していない試料
87 ギ酸添加
88,88,89 ギ酸添加後の試料
92、93、94 第二濃縮後の、完全乾固していない試料
95 1Mトリス緩衝液添加
96、97、98 測定用試料
101 検体準備工程
102 濃縮工程
103 中和工程
104 測定工程
111 検体処理容器準備工程
112 検体準備工程
113 第一濃縮工程
114 第二濃縮工程
115 中和工程
116 測定工程

Claims (12)

  1. アミロイドβを含む可能性がある検体を検体処理容器に入れる検体準備工程と、
    前記検体処理容器中の前記検体に、アミロイドβを可溶化する可溶化剤を添加して、濃縮操作により、前記検体を乾固させずに、前記検体に含まれる溶媒の量を低減する濃縮工程と、
    前記濃縮工程で得られた検体処理液中の前記可溶化剤を中和する中和工程と、
    前記中和された検体処理液に含まれる可能性があるアミロイドβを抗原抗体反応に基づいて定量する測定工程と、
    を含む、アミロイドβ測定方法。
  2. 前記検体準備工程の前に、少なくともカルボキシル基又はスルホ基のいずれか一つを有する有機酸を含む添加剤を検体処理容器に入れる検体処理容器準備工程をさらに含む、請求項1に記載のアミロイドβ測定方法。
  3. 少なくともカルボキシル基又はスルホ基のいずれか一つを有する有機酸を含む添加剤を検体処理容器に入れる検体処理容器準備工程と、
    アミロイドβを含む可能性がある検体を前記検体処理容器に入れる検体準備工程と、
    前記検体処理容器内の前記検体を濃縮する第一濃縮工程と、
    前記第一濃縮工程により濃縮された検体に、アミロイドβを可溶化する可溶化剤を添加して、濃縮操作により、前記検体に含まれる溶媒の量を低減する第二濃縮工程と、
    前記第二濃縮工程で得られた検体処理液中の前記可溶化剤を中和する中和工程と、
    前記中和された検体処理液に含まれる可能性があるアミロイドβを抗原抗体反応に基づいて定量する測定工程と、
    を含む、アミロイドβ測定方法。
  4. 前記可溶化剤が、ギ酸である請求項1又は3に記載のアミロイドβ測定方法。
  5. 前記添加剤が、ギ酸とs−アリル−l−システインを含む請求項2又は3に記載のアミロイドβ測定方法。
  6. 前記検体処理容器は、ブロッキング剤を含む請求項1又は3に記載のアミロイドβ測定方法。
  7. 前記ブロッキング剤が、牛血清アルブミンを含む請求項6に記載のアミロイドβ測定方法。
  8. 前記検体処理容器が、アミロイドβの吸着を抑制する内壁表面を有する請求項1又は3に記載のアミロイドβ測定方法。
  9. 前記第一濃縮工程において、アミロイドβを不溶化させずに濃縮を行う請求項3に記載のアミロイドβ測定方法。
  10. 前記検体が、体液である請求項1又は3に記載のアミロイドβ測定方法。
  11. 前記検体が、生体組織を洗浄して得られる洗浄液である請求項1又は3に記載のアミロイドβ測定方法。
  12. 前記生体組織が、鼻粘膜である請求項11に記載のアミロイドβ測定方法。
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