第1の発明は、炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、上記鍋を加熱する鍋加熱手段と、上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、上記鍋加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、米の炊飯に関する炊飯情報が入力される炊飯情報入力部とを備え、保温工程は、通常保温温度である第1保温温度と、上記第1保温温度より低温の第2保温温度と、上記第1保温温度より高温の第3保温温度からなり、保温開始後、少なくとも一度は、上記第2保温温度で米飯を保温してから、上記第3保温温度に移行して米飯を保温する第1保温モードを有し、炊飯開始前に上記炊飯情報入力部により入力された上記炊飯情報に応じて第3保温温度を可変させるようにしたものである。
これにより、炊飯する米の保温時の性能に応じて、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができることとなる。
第2の発明は、前記第1の発明において、炊飯情報には、米の米種情報、米の新米度情報、米の組織の硬さ情報、及び予備浸水情報のうち、少なくとも1つの情報が含まれるものである。
第3の発明は、炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、上記鍋を加熱する鍋加熱手段と、上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、上記鍋加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部とを備え、保温工程は、通常保温温度である第1保温温度と、上記第1保温温度より低温の第2保温温度と、上記第1保温温度より高温の第3保温温度からなり、保温開始後、少なくとも一度は、上記第2保温温度で米飯を保温してから、上記第3保温温度に移行して米飯を保温する第1保温モードを有し、上記鍋加熱手段による鍋加熱動作開始時に上記鍋温度検知センサより検知された鍋温度に応じて第3保温温度を可変させるようにしたもので、第4の発明は、炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、上記鍋を加熱する鍋加熱手段と、上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、上記鍋加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、炊飯中の上記米飯の炊飯量を判定する炊飯量判定部とを備え、保温工程は、通常保温温度である第1保温温度と、上記第1保温温度より低温の第2保温温度と、上記第1保温温度より高温の第3保温温度からなり、保温開始後、少なくとも一度は、上記第2保温温度で米飯を保温してから、上記第3保温温度に移行して米飯を保温する第1保温モードを有し、上記炊飯量判定部が判定した炊飯量に応じて第3保温温度を可変させるようにしたものであって、いずれの場合にも、炊飯する米の保温時の性能に応じて、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができることとなる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図4は実施の形態1を示し、炊飯器における本体1には、着脱可能に収納され、米飯を収容可能な鍋2と、この鍋2の上部開口部を覆うように本体1に開閉自在に取り付けられた蓋3と、鍋2、及び蓋加熱用の加熱ユニット4と、鍋2の底面中央部に外接して、その温度を検知する鍋温度センサ5と、前記蓋3の内部に配置され、鍋温度センサ5の検知温度に基づいて、前記加熱ユニット4の鍋加熱動作を制御するとともに、前記蓋4の内部に配した加熱制御部6と連係する制御部7を具備するものである。
本体1の上部開口の周囲に嵌められて取り付けられたリング状の上枠8は、鍋収納部を形成する有底円筒形状のコイルベース9の上端部を固定しており、このコイルベース9の外周面、外底面には、鍋2の外周面、外底面と対向するように誘導加熱用の底内コイル10、底外コイル11、及び側面コイル12が設置されている。
底内コイル10は鍋2の底部2aと、底外コイル11は鍋2の側底部2bと、側面コイル12は鍋2の側部2cとそれぞれ対向するように配置されている。
先の加熱ユニット4は、底内コイル10、底外コイル11、側面コイル12と、後述する蓋コイル13とにより構成されている。
そして、これら底内コイル10、底外コイル11、側面コイル12、及び蓋コイル13に高周波電流を通電すれば、鍋2などが誘導加熱(発熱)するようにしてある。
この加熱制御部7の下方には、その発熱部品14を冷却するためのヒートシンク15が設置され、さらに、このヒートシンク15の下方には冷却用ファンモータ16が設けられている。
冷却用ファンモータ16のコイルベース9との対向面は、同コイルベース9の形状に沿うように傾斜している。
蓋3は、合成樹脂から形成された外蓋部17と、この外蓋部17の内側に嵌められて取り付けられている内蓋部18と、内蓋部18の下面に着脱可能に取り付けられることで、蓋3の下面を構成する発熱板19とを有している。
内蓋部18の上面には、前記発熱板19を誘導加熱するためのリング状の蓋コイル13が設置されている。
蓋3は、内蓋部18の一部に設けられたヒンジ軸3aを本体1の上枠8の一部に一体形成されたヒンジ部材20に回動自在に支持されることで、本体1の上部開口部を開閉可能なように取り付けられている。
発熱板19の外周下部に取り付けたリング状の鍋パッキン21は、炊飯中に鍋2内に発生する蒸気などを本体1の内部空間へ流出させないように、鍋2と蓋3との隙間を塞ぐように配置されている。
発熱板19の上面の一部には、その温度を検知するための蓋温度センサ22が圧接されている。また、発熱板19の中央部には鍋2内の蒸気を炊飯器外部に排出するための蒸気通路孔23が設けられている。
蓋3の中央部を貫通する貫通穴24には略円筒形状の蒸気筒25が炊飯器外部から嵌め込まれている。
この蒸気筒25には、鍋2内から蒸気通路孔23を通って排出される蒸気を本体1の外部へ排出できるように蒸気排出孔26が設けられている。
鍋底温度センサ5は、コイルベース9上に設けられ鍋2を支持するためのセンサバネ27によって付勢されることにより、鍋2の底部2a中央部に外接可能に配置されている。
この鍋底温度センサ5は、炊飯、及び保温時の鍋温度を検知することで、制御部6が鍋2内の被加熱物(米飯)を最適な温度状態に制御できるように設置されている。
蓋3の内部で蓋温度センサ22の上方には、制御部6、操作基板28、情報入力部29、及び表示部の一例である表示板30設置されている。
外蓋部17は、炊飯器外部から表示板3認可能にする表示窓31と、器外部から押圧することで情報入力部29の入力ボタンを押圧することができる操作パネル32と設けられている。
情報入力部29は図3に示すように、炊飯情報入力部の一例である情報入力ボタンを備えている。
入力ボタンは、硬さ入力ボタン29a、及び新米度入力ボタン29bから構成されている。
硬さ入力ボタン29aは、「コシヒカリ」や「あきたこまち」等の銘柄などによって異なる組織の硬さを、組織の硬さによって「柔らかい米」、「普通米」、「硬い米」の3つに分類することで、入力できるようにしたものである。
なお、ここで、「柔らかい米」、「普通米」、「硬い米」の分類は、20℃及び糊化温度帯の70℃で10分浸水させたときの吸水率の違いにより行っている。
組織の「柔らかい米」とは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%以上で、かつ70℃で10分浸水時の吸水率が20%以上の米をいい、例えばコシヒカリが挙げられる。
組織の硬さが「普通米」であるとは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%以上で、かつ70℃で10分浸水時の吸水率が20%未満の米をいい、例えば「日本晴」が挙げらよう。
組織の「硬い米」とは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%未満の米をいい、例えば「きらら397」が挙げられる。
米は常温での吸水率が高いほど粒の中まで水が浸透し、柔らかいごはんに炊き上がるが、糊化温度帯での吸水率が高いほど、糊化開始温度が低いため、べちゃつきやすいという特徴を持っている。
新米度入力ボタン29bは、米の収穫からの経過期間に応じて、米の新米度を入力できるボタンである。
すなわち、収穫からの経過期間が3ヶ月未満の米を「新米」、3ヶ月以上の米を「古米」として、そのいずれかを入力できるように構成している。
図2のように、制御部7は、硬さ入力ボタン29a、及び新米度入力ボタン29bで入力された炊飯情報と鍋底温度センサ5、及び蓋温度センサ22の検知温度とに基づいて、加熱制御部6を制御して、炊飯動作を行う炊飯制御部7bと、この炊飯制御部7bの炊飯動作の終了を検知して硬さ入力ボタン29a、及び新米度入力ボタン29bで入力された炊飯情報と鍋底温度センサ5及び蓋温度センサ22の検知温度とに基づいて、加熱制御部6を制御して、炊飯された米飯の保温温度を制御する保温温度制御部7cを備えている。なお、制御部7は、別途設けられた計時部33により、炊飯及び保温における各工程の所要時間を制御している。
前記構成において、保温モードは通常保温温度(第1保温温度、例えば70℃〜74℃の範囲内の温度)より低い低温保温温度(第2保温温度、例えば55℃〜69℃の範囲内の温度)と、通常保温温度より高い高温保温温度(第3保温温度、例えば74℃〜95℃の範囲内の温度)とを交互に繰り返した後、通常保温温度に移行する第1保温モードの一例である標準保温モードで構成されている。
図4は、標準保温モードにおける鍋温度及び米飯の温度の変位の一例を示している。
「魚沼産コシヒカリ」等の組織の「柔らかい米」は、保温温度が低いと表面のべとつきが進展し、保温時の食感が悪くなるため、特に保温工程で最も高温になる高温保温温度で保温する工程において、通常より高温(例えば80℃〜95℃)にすることにより、べとつきの進展を低減することができる。
一方、「標準的なコシヒカリ」や「日本晴」等の「普通米」や、「きらら397」等の組織の「硬い米」は、組織の「柔らかい米」よりも吸水率が低く、保温中に乾燥して硬くなるため、特に保温工程で最も高温になる高温保温温度を低く(例えば74℃〜80℃)することにより、乾燥を防ぐことができる。
このため、保温温度制御部7cは、使用者が硬さ入力ボタン29aにより、「柔らかい米」を入力した場合、高温保温温度を高く可変(例えば80℃〜95℃)し、「柔らかい米」以外、つまり「普通米」又は「硬い米」を入力した場合、高温保温温度を低く可変(例えば74℃〜80℃)するように構成されている。
この際、高温保温温度が低く可変された場合の総消費電力量は、高温保温温度が可変されない場合、および高く可変された場合に比べて低くなることは言うまでもない。
また、米は収穫からの経過期間が長くなればなるほど、米の周りに脂肪酸が多く発生することが知られている。
脂肪酸は保温中に酸化されて異臭を発生する原因となるので、古米の場合は、この酸化
反応を抑えてできるだけ異臭の発生を抑える必要がある。
したがって、収穫からの経過期間が短い「新米」は、特に保温工程で最も高温になる高温保温温度で保温する工程において、通常より高温(例えば80℃〜95℃)での保温が適しており、収穫からの経過期間が長い「古米」は保温工程で最も高温になる高温保温温度を低く(例えば74℃〜80℃)しての保温が適している。
このため、保温温度制御部7cは、使用者が新米度入力ボタン29bにより「新米」を入力した場合、高温保温温度を高く可変(例えば80℃〜95℃)し、「新米」以外、つまり「古米」を入力した場合、高温保温温度を低く可変(例えば74℃〜80℃)するように構成されている。
なお、使用者が複数の炊飯情報に基づいて、硬さ入力ボタン29a、及び新米度入力ボタン29bの中から複数の入力ボタンを押圧した場合、保温温度制御部7cは、押圧された硬さ入力ボタン29a、及び新米度入力ボタン29bにより入力される炊飯情報のうち、1つでも高温保温温度が高温での保温が適した炊飯情報が入力された場合には高温保温温度を高く可変(例えば80℃〜95℃)し、全て高温保温温度が低温での保温が適した炊飯情報が入力された場合のみ、高温保温温度を低く可変(例えば74℃〜80℃)するように構成されている。
例えば、炊飯する米の情報が、「コシヒカリ」、及び「収穫からの経過期間が3ヶ月以上」であり、使用者が、硬さ入力ボタン29aにより「普通米」、新米度入力ボタン29bにより「古米」を入力した場合、全ての炊飯情報が低温での保温が適した炊飯情報であるので、保温温度制御部7cは、高温保温温度を低く可変(例えば74℃〜80℃)するように構成されている。
情報入力部29は更に、炊飯ボタン34と切ボタン35とを備えている。炊飯ボタン34は、押圧されると保温温度制御部7cに炊飯等の動作の開始を指示し、切ボタン35は、押圧されると各操作の取消等を指示する。
表示板30は、情報入力部29により入力された炊飯情報や日時などを表示するものである。
なお、表示板30には、可変された高温保温温度や、その高温保温温度による総消費電力量なども併せて表示可能にすることが好ましい。
また、表示板30は、保温開始から現在までの累積消費電力量を演算する累積消費電力量演算部を備えて、その累積消費電力量を表示可能にしてもよい。
このように構成することで、使用者に、正しく高温保温温度が選択されているか確認させることができるとともに、省エネを促すことができる。また、使用電力料金を表示させることでも省エネを促すことができる。
上記のように構成される実施の形態1の炊飯器によれば、炊飯開始前に使用者が硬さ入力ボタン29a、及び新米度入力ボタン29bにより入力した炊飯情報に応じて、保温温度制御部7cにより高温保温温度を可変するので、炊飯開始前に入力された炊飯情報に応じて、それに適した高温保温温度が選択される。
したがって、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
なお、前記実施の形態1の炊飯器においては、使用者が、炊飯する米を「新米」、「古米」と判断し、入力するように構成したが、別途カレンダー機能を備えて、カレンダーの日付により「新米」、「古米」を自動的に選択するように構成してもよい。
例えば、米の収穫時期を9月15日であると仮定して、カレンダーの日付が9月16日から12月15日の間であるなら「新米」、それ以外であるなら「古米」を自動的に選択するように構成してもよい。
また、加熱ユニット4を底内コイル10、底外コイル11、側面コイル12、及び蓋コイル13で構成し、鍋2内の被調理物を、鍋底側、鍋側面側、鍋2の上部開口部を覆う蓋3側から加熱するように構成したが、本発明はこれには限定されない。
加熱ユニット4は、少なくとも鍋底側を加熱する鍋底加熱手段36を備えておればよい。すなわち、底内コイル10又は底外コイル11を備えておればよい。
また、加熱ユニット4を全て、誘導コイルにより構成したが、コイルに限られず、ヒータや、ヒータとコイルとの組合せなどにより構成されても構わない。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2を示し、予備浸水入力ボタン29cをさらに付加した点で実施の形態1とは異なるものである。なお、図3と同作用を行う部分については実施の形態1の説明を援用する。
予備浸水入力ボタン29cは情報入力部29の一部に設けられている。ここで、予備浸水とは、鍋2に米と水を入れてから炊飯開始までの間に予め米に水を吸水させることをいう。
実施の形態2においては、使用者が、米に水を10分以上吸水させた場合を予備浸水「有」、その吸水が10分未満である場合を予備浸水「無」としている。
予備浸水が有る場合、浸水工程開始時にはすでに米が吸水しているため、浸水工程で水温が50℃〜60℃に上がることにより米表面においては糊化がわずかに始まってしまい、浸漬時間が長くなると米表面が糊状になり、粒の崩れた食味の悪いごはんになってしまう。
このため、予備浸水した米は、炊き上がりの含水率が高くなる傾向があり、保温時にべたつくため、特に保温工程で最も高温になる高温保温温度で保温する工程において、通常より高温(例えば80℃〜95℃)での保温が適している。
一方、予備浸水せずに直ぐに炊飯する米は、高温保温温度を低く(例えば74℃〜80℃)しての保温が適している。
このため、保温温度制御部7cは、使用者が予備浸水入力ボタン29cにより、予備浸水「有」を入力した場合、高温保温温度を高く可変(例えば80℃〜95℃)し、予備浸水「無」を入力した場合、高温保温温度を低く可変(例えば74℃〜80℃)するようになっている。
上記のように実施の形態2の炊飯器によれば、予備浸水の有無を入力できる予備浸水入力ボタン29cを備えて、予備浸水の有無に応じて高温保温温度を可変するように構成し
ているので、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要はない。
したがって、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
なお、上述したように米飯に適する保温温度は、炊き上がりの含水率に応じて異なり、その炊き上がりの含水率は、使用する水の温度によっても左右される。
その使用する水の温度は、加熱ユニット4による鍋加熱動作開始前において、その水を入れた鍋2の温度と相関関係にある。つまり、炊飯工程で糊化を進行させる前に予め米に吸水させておく浸水工程は、浸水工程開始前の水の水温が例えば20℃程度と考えて、浸水工程終了時、最適な吸水状態となるように設定されているので、鍋加熱動作開始時において、鍋2の温度が高い状態で炊飯した米は、浸水工程中に僅かに糊化し崩れて、炊き上がりの含水率が高く、保温時にべたつくため、特に保温工程で最も高温になる高温保温温度で保温する工程において、通常より高温(例えば80℃〜95℃)での保温が適する一方、鍋2の温度が低い状態で炊飯した米は、浸水工程が終了しても十分な吸水状態が得られていない状態なので、炊き上がりの含水率が低いため、乾燥を防止するために高温保温温度を低く(例えば74℃〜80℃)しての保温が適する。
このため、鍋底温度センサ5により検知された鍋温度が、予め設定された温度以上であれば、保温温度制御部7cが高温保温温度を高く可変(例えば80℃〜95℃)するとともに、予め設定された温度未満であれば、保温温度制御部7cが高温保温温度を低く可変(例えば74℃〜80℃)するように構成してもよい。
このように構成することによって、鍋温度に適した高温保温温度が選択されるので、使用者自身が鍋2内に入れた水の温度を測って、それに適した高温保温温度を選択する必要はない。
したがって、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3を図6及び図7を用いて説明する。
実施の形態3にかかる炊飯器は、炊飯量判定部36をさらに有する点で、前記の実施の形態と異なる。それ以外の点においては、実施の形態1と同様であるので、説明は実施の形態1のものを援用する。
炊飯量判定部36は、炊飯中の鍋底温度センサ5より検知された鍋温度の単位時間当たりの変化に基づいて、米飯の炊飯量を判定するよう構成されている。
より具体的には、炊飯量判定部36は、加熱ユニット4により予め設定した火力で一定時間、加熱された鍋2の温度上昇率を算出することにより、米飯の炊飯量が予め設定された量以上であるかどうかを判定するよう構成されている。
また、米飯は、その保温量が多過ぎると、高温保温温度まで、温度上昇させなければならないが、保温量が多過ぎると、温まりにくいので、高温保温温度に到達するまでに時間を要し、その間に腐敗してしまうということになる。
また、保温量が少ないと、温まりやすいため、高温保温温度まで短時間で到達するため
、米飯が乾燥してしまうことになる。
したがって、実施の形態3において、保温温度制御部7cは、炊飯量判定部36が米飯の炊飯量が予め設定された量以上であると判定した場合には、高温保温温度を高く可変(例えば80℃〜95℃)するように構成され、米飯の炊飯量が予め設定された量未満であると判定した場合には、高温保温温度を低く可変(例えば74℃〜80℃)するように構成されている。
次に、上記のように構成された実施の形態3の炊飯器における保温モードの選択フローを図7を参照しつつ説明する。
まず、使用者が情報入力部29により炊飯する米の、硬さ情報、新米度情報、及び予備浸水情報を含む炊飯情報を入力した後、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン34を押圧する(ステップ1)。
次いで、保温温度制御部7cは、入力された炊飯情報の中の米の硬さ情報が「普通米」又は「硬い米」である場合にはステップS3に進み、「柔らかい」である場合にはステップS8に進む(ステップS2)。
次いで、保温温度制御部7cは、入力された炊飯情報の中の、米の新米度情報が「新米」以外、つまり「古米」である場合にはステップS4に進み、「新米」である場合にはステップS8に進む(ステップS3)。
次いで、保温温度制御部7cは、入力された炊飯情報の中の、予備浸水情報が予備浸水「無」である場合にはステップS5に進み、予備浸水「有」の場合にはステップS8に進む(ステップS4)。
なお、上記ステップS2〜S4は順序が入れ替わっても構わない。
次いで、入力された上記炊飯情報が「普通米又は硬い米」、「古米」、及び予備浸水「無」であった場合、保温温度制御部7cは、鍋底温度センサ5により、鍋加熱動作開始時の鍋温度情報を取得する(ステップS5)。
次いで、保温温度制御部7cは、取得した鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度(例えば25℃)未満であるかどうかを判定する(ステップS6)。
鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度(例えば25℃)未満であった場合、保温温度制御部7cは、高温保温温度を低く可変する(ステップS7)。一方、鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度以上であった場合、保温温度制御部7cは、高温保温温度を高く可変する(ステップS8)。
次いで、炊飯量判定部36が、鍋底温度センサ5により検知した鍋温度の単位時間当たりの変化、つまり、鍋2の温度上昇率を算出(ステップS9、S10)する。次いで、ステップS7において高温保温温度が低く可変されている場合には、炊飯量判定部36が算出した鍋2の温度上昇率に基づいて炊飯量が予め設定された量未満であるかどうかを判定する(ステップS11)。
なお、算出した鍋2の温度上昇率の情報は、炊飯工程時に、炊飯量に応じた加熱を行うためにも用いられる。
判定された米飯の炊飯量が予め設定された量未満であった場合、保温温度制御部7cは、高温保温温度は低く可変したままとし、また、判定された米飯の炊飯量が予め設定された量以上であった場合、保温温度制御部7cは、高温保温温度を高く可変する(ステップS12)。
以上のようにして、保温温度制御部7cにより、高温保温温度が保温開始前に可変される。
本実施の形態の炊飯器によれば、炊飯中の鍋底温度センサ5より検知された鍋温度の単位時間当たりの変化に基づいて、米飯の炊飯量を判定する炊飯量判定部36を備え、炊飯量判定部36が米飯の炊飯量が予め設定された量以上であると判定した場合には、高温保温温度を高く可変し、予め設定された量未満であると判定した場合には高温保温温度を高く可変するようにしているので、炊飯量に応じて、それに適した高温保温温度に選択される。
したがって、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
なお、上記では、予め設定した火力で一定時間、加熱された鍋2の温度上昇率を算出することにより、米飯の炊飯量を判定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の他の方法により、米飯の炊飯量を判定するよう構成してもよい。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4にかかるジャー炊飯器を図8〜図10を用いて説明する。
実施の形態4にかかる炊飯器は、保温モード自動選択部37を有する点、および、蒸気筒25に代えて、蓋開閉検知部38を有する点で前記の実施の形態と異なる。それ以外の点においては、これまで述べた実施の形態と同様であるので、具体的な説明は実施の形態1〜3のものを援用する。
蓋開閉検知部38は、蒸気筒39、マグネット40、及びリードスイッチ41で構成されている。
蒸気筒39は、図8に示すように、ほぼ円筒形状を有し、貫通穴24に炊飯器外部から嵌め込まれている。
蒸気筒39には、ヒンジ軸3aから遠ざかるにつれて下方に傾斜する傾斜部42が形成されており、この傾斜部42上に、球形のマグネット40が転がって動けるように配置されている。
マグネット40は、蓋3が閉められた時にはヒンジ軸3aから遠い位置(図8中、実線で示す位置)に位置し、蓋3が開けられた時には傾斜部42を転がり、ヒンジ軸3aに近い位置(図8中、点線で示す位置)に移動する。
蓋3の内部の上記遠い位置近傍には、リードスイッチ41が設置されている。リードスイッチ41は、蓋3の開閉によってマグネット40が傾斜部42に沿って転がって、上記遠い位置から離れたり、近付いたりすることにより、ON、OFFする。
このリードスイッチ41のON、OFFにより、蓋3の開閉状態を検知することが可能となっている。
一般的に使用者は、炊飯終了後、米飯をほぐしたり、小分けにして食べたりするために、保温途中で一度は蓋3を開閉するものと考えられ、蓋3の開閉によって鍋2内の熱が炊飯器外部に逃げ、米飯の温度が下がって、米飯が腐敗しやすくなる。
このため、本実施の形態においては、高温保温温度を標準保温モードより低く設定した第2保温モードで保温開始後、蓋開閉検知部38が蓋3の開閉状態を検知したとき、保温モード自動選択部37が、高温保温温度を標準保温モードへ戻すことで、保温開始から予め設定された時間(例えば12時間)までの総消費電力量を第2保温モードよりも多くした標準保温モードに、自動的に切り替え選択するように構成されている。
次に、上記のように構成される実施の形態4の炊飯器における保温モードの切り替え選択のフローを図10を参照しつつ説明する。
なお、保温開始前の高温保温温度の可変フローは、上述した実施の形態3の選択フローと同様であるので重複部分については実施の形態3のものを援用する。
保温モード自動選択部37は、保温中、蓋開閉検知部38が蓋3の開閉があったことを検知(ステップS31)した場合、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS32)。
現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部37は、保温モードを切り替えないか、或いは標準保温モードを再選択する。
一方、現在の保温モードが第2保温モードである場合、保温モード自動選択部37は、保温モードを第2保温モードから標準保温モードに切り替え選択する(ステップS33)。
以上のようにして、保温モード自動選択部37により、保温中に保温モードが自動的に切り替え選択される。
このように実施の形態4の炊飯器によれば、蓋3の開閉を検知する蓋開閉検知部38を備え、保温モード自動選択部37により保温開始前に自動選択された保温モードが第2保温モードであり、且つ蓋を開けられたことを検知したとき、保温モード自動選択部37が自動的に、高温保温温度の温度のみを標準保温モードより低くすることで、保温開始から予め設定された時間(例えば12時間)までの総消費電力量を第2保温モードよりも多くした標準保温モードに切り替え選択するように構成しているで、蓋開閉後の加熱ユニット4の加熱量が増え、米飯の温度が上がり、米飯の腐敗を防ぐことができる。
また、自動的に第2保温モードから標準保温モードに切り替わるように構成しているので、使用者の手間を省いて、負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。
また、必要なとき(蓋開閉時)のみ、自動的に標準保温モードに切り替え、通常は総消費電力量の少ない第2保温モードで保温するように構成しているので、省エネを効率良く達成することができる。
なお、上記において蓋開閉検知部38は、一例として、蒸気筒39、マグネット40、及びリードスイッチ41で構成したが、本発明はこれに限られるものではなく、任意の他の構成により蓋3の開閉を検知するよう構成してもよい。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5にかかる炊飯器を図11、図12を用いて説明する。
実施の形態5にかかる炊飯器は、浸水時間計時部43を有する点で前記の実施の形態4と異なる。それ以外の点においては実施の形態4と同様であるので、具体的な説明は実施の形態4のものを援用する。
使用者が米を炊飯するときには、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン34を押す前に必ず、米と水を入れた鍋2を本体1内にセットするために、蓋3を開閉する動作が必要である。
一方、本体1内にセットされた鍋2内の米と水は、セット後、すぐに炊飯されるとは限らない。例えば、使用者が外出から帰宅したときに、すぐに炊きたてのごはんが食べたいと思った時には、外出する前に予め、帰宅時間に合わせて炊飯予約がされることも考えられる。このような場合には、浸水時間が予め設定された時間以上となる可能性が高いと考えられる。
このため、浸水時間計時部43は、蓋開閉検知部38が蓋3が閉じられたことを検知してから、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン34が押されるまでの時間を計測するように構成されている。
また、保温モード自動選択部37は、浸水時間計時部43が計測した計時時間が、予め設定された時間(例えば10分)以上であれば予備浸水「有」と判断して標準保温モードを自動的に選択し、予め設定された時間(例えば10分)未満であれば予備浸水「無」と判断して第2保温モードを自動的に選択するように構成されている。
次に、上記のように構成された炊飯器における保温モードの選択のフローを図12を参照しつつ説明する。
なお、上述した実施の形態4の選択フローと同様であるフローについてはその説明を援用する。
浸水時間計時部43は、炊飯工程開始前に、蓋開閉検知部38が蓋3の開閉があったことを検知(ステップS41)した場合、計時時間を初期化して(ステップS42)、蓋3の開閉を検知したときからの時間をカウントしていく(ステップS43)。
次いで、炊飯ボタン34が押圧された場合(ステップS44)、保温モード自動選択部37は、浸水時間計時部43の計時時間を読み出す(ステップS46)。
一方、炊飯ボタン34が押圧されず(ステップS44)、再び蓋開閉検知部38が蓋3の開閉があったことを検知(ステップS45)した場合、浸水時間計時部43は計時時間を初期化する。
次いで、保温モード自動選択部37は、読み出した浸水時間計時部43の計時時間が予め設定された時間以上であるかどうかを判定し(ステップS47)、予め設定された時間以上であれば標準保温モードを自動的に選択し(ステップS48)、予め設定された時間未満であれば第2保温モードを自動的に選択する(ステップS49)。
以上のようにして、保温モード自動選択部37により炊飯工程開始前に保温モードが自
動的に選択される。
本実施の形態の炊飯器によれば、予備浸水の有無を、蓋開閉検知部38により蓋3の開閉を検知してから炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン34が押されるまでの時間により、判断している。
これにより、先の実施の形態2では必要であった使用者自らが炊飯する米の予備浸水の有無を判断する必要性も無くすことが可能になる。
したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
なお、炊飯器内に被加熱物を入れた鍋をセットした後にプラグが差し込まれるなどして、電源ON状態になってから炊飯ボタン34が押されるまでの間に、蓋3の開閉が行われないこともあり得る。このような場合に備えて、プラグが差し込まれたことを検知する検知部をさらに設け、浸水時間計時部43が前記検知部がプラグを差し込まれたことを検知してから、炊飯ボタン34が押されるまでの時間を計測するように構成してもよい。