JP5395526B2 - ランフラットタイヤ組立体及びそれに用いられるサポートリング - Google Patents

ランフラットタイヤ組立体及びそれに用いられるサポートリング Download PDF

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Description

本発明は、トレッド部の内面とサポートリングの外周面との摩擦を低減し、ランフラット耐久性能を向上しうるランフラットタイヤ組立体及びそれに用いられるサポートリングに関する。
パンク等によりタイヤの内圧が低下した場合でも、例えば80km/h程度の速度で数十ないし数百キロメートルの距離を安全に走行(以下、このような走行を「ランフラット走行」ということがある。)しうるランフラットタイヤ組立体が種々提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
このようなランフラットタイヤ組立体は、空気入りタイヤ、ホイールリム、及び該ホイールリムの胴部に装着されかつタイヤの内圧低下時にトレッド部の内面と当接してタイヤ荷重を支える環状のサポートリングを含んで構成される。また、サポートリングの外周面には、ランフラット走行時に、トレッド部の内面との摩擦を低減するための潤滑剤が予め塗布されている。
特開2009−018686号公報
しかしながら、ランフラット走行時、サポートリングの外周面とトレッド部の内面との間には、大きな接触圧力が生じるため、潤滑剤が早期にサポートリングの幅方向の外側に押し出されて流出するという傾向がある。このため、トレッド部の内面とサポートリングの外周面との摩擦を長期に亘って低減することができず、ランフラット耐久性の向上が十分に発揮できないという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、摩擦低減用の潤滑剤が塗布されたサポートリングの外周面の幅中心線の両側に、タイヤ回転方向の先着側から後着側へ向かって、該サポートリングの幅方向の外側から内側へ傾斜してのびる傾斜溝を周方向に隔設することを基本として、トレッド部の内面とサポートリングの外周面との摩擦を低減し、ランフラット耐久性能を向上しうるランフラットタイヤ組立体及びそれに用いられるサポートリングを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、空気入りタイヤと、該空気入りタイヤが装着されるホイールリムと、前記ホイールリムの胴部に装着されかつタイヤ内圧低下時に前記空気入りタイヤのトレッド部の内面と当接して荷重を支承する環状のサポートリングとからなるランフラットタイヤ組立体であって、前記サポートリングは、前記トレッド部の前記内面と当接する外周面に、摩擦低減用の潤滑剤が塗布されるとともに、前記サポートリングの前記外周面には、その幅中心線の両側に、タイヤ回転方向の先着側から後着側へ向かって、該サポートリングの幅方向の外側から内側へ傾斜してのびる傾斜溝が周方向に隔設され、前記傾斜溝は、前記幅中心線の手前で他の溝と連通することなく終端することを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記傾斜溝は、周方向にそれぞれ交互に配される請求項1に記載のランフラットタイヤ組立体である。
また、請求項3記載の発明は、前記傾斜溝は、前記サポートリングの幅中心線に対して対称に配される請求項1に記載のランフラットタイヤ組立体である。
また、請求項4記載の発明は、前記傾斜溝は、周方向に対して、30〜75度の角度でのびる請求項1ないし3のいずれかに記載のランフラットタイヤ組立体である。
また、請求項5記載の発明は、前記傾斜溝は、前記サポートリングの幅中心線に近づくにつれて、前記角度が漸減する請求項4に記載のランフラットタイヤ組立体である。
また、請求項6記載の発明は、前記傾斜溝は、その溝深さFが3〜10mm、かつ溝幅Gが5〜15mmである請求項1ないし5のいずれかに記載のランフラットタイヤ組立体である。
また、請求項7記載の発明は、周方向で隣り合う傾斜溝の間隔Sは、15mm以上であり、かつその溝幅Gの4倍以下である請求項6記載のランフラットタイヤ組立体である。
また、請求項8記載の発明は、ホイールリムの胴部に装着されかつタイヤ内圧低下時に空気入りタイヤのトレッド部の内面と当接して荷重を支承する外周面を有するサポートリングであって、前記外周面には、その幅中心線の両側に、タイヤ回転方向の先着側から後着側へ向かって、その幅方向の外側から内側へ傾斜してのびる傾斜溝が周方向に隔設され、前記傾斜溝は、前記幅中心線の手前で他の溝と連通することなく終端することを特徴とするサポートリングである。
本発明のランフラットタイヤ組立体は、空気入りタイヤと、該空気入りタイヤが装着されるホイールリムと、該ホイールリムの胴部に装着されかつランフラット走行時に空気入りタイヤのトレッド部の内面と当接して荷重を支承する環状のサポートリングとからなる。従って、パンク等によりタイヤの内圧が低下した場合でも、一定の距離をランフラット走行することができる。
また、サポートリングの外周面には、その幅中心線の両側に、タイヤ回転方向の先着側から後着側へ向かって、該サポートリングの幅方向の外側から内側へ傾斜してのびる傾斜溝が周方向に隔設される。このような傾斜溝は、トレッド部の内面との接触によって幅方向外側へ押し出された潤滑剤を捕捉しうるとともに、その中に蓄えられた潤滑剤を、トレッド内面との接触圧力によって、サポートリングの幅方向の外側から内側へ移動させる。そして、潤滑剤を、サポートリングの外周面の幅方向中央部へはみ出させる。このようなサイクルが繰り返されることにより、潤滑剤がサポートリングの外部へ流出することを抑制できる。従って、トレッド部の内面とサポートリングの外周面との摩擦を好ましく低減でき、ランフラット耐久性能を向上しうる。
本発明のランフラットタイヤ組立体の一形態を示す部分断面図である。 サポートリングの側面図である。 図1のサポートリングを拡大して示す断面図である。 内のリング体及び装着冶具を拡大して示す断面図である。 サポートリングを拡大して示す部分斜視図である。 傾斜溝が施されていないサポートリングの外周面がトレッド部の内面と接触した状態を示す断面図である。 サポートリングの外周面がトレッド部の内面と接触したときの潤滑剤の移動を示す展開図である。 参考例の傾斜溝を示す展開図である。 (a)、(b)はさらに他の実施形態の傾斜溝を示す展開図である。 (a)、(b)、(c)、(d)は断面略半円状、断面略V字状、断面略U字状、断面略台形状の傾斜溝をそれぞれ示す断面図である。 (a)、(b)は比較例のサポートリングの外周面を示す展開図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態のランフラットタイヤ組立体1は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)2と、該タイヤ2が装着されるホイールリム3と、前記ホイールリム3に装着される環状のサポートリング4とから構成される。
前記タイヤ2は、路面と接地するトレッド部2aと、その両端部からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部2bと、該各サイドウォール部2bの半径方向の内方端に形成されかつ非伸張性のビードコア2dが埋設されたビード部2cとを有する。また、タイヤ2には、トロイド状のカーカス2eと、その半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配置されたベルト層2fとが設けられる。
前記ホイールリム3は、例えば、タイヤ半径方向外側の外周面3oを同一径とした胴部3Aと、該胴部3Aのタイヤ軸方向の一方側に一体形成されかつタイヤ半径方向外側に突出するフランジ部3Bと、該胴部3Aのタイヤ軸方向の他方側でタイヤ半径方向外側に突出し、かつ胴部3Aに着脱自在に取付くサイドリング部3Cとを含んで構成される。
前記胴部3Aには、例えば、タイヤ半径方向に貫通する空気バルブ(図示省略)取り付け用のバルブ孔6が、タイヤ周方向に1箇所設けられる。また、サイドリング部3Cは、そのタイヤ軸方向外側から嵌め込まれる環状のロックリング7により、胴部3Aに抜け止め固定される。なお、タイヤ2及びサポートリング4を胴部3Aに装着するときには、このサイドリング部3Cをホイールリム3から取り外される。また、サイドリング部3C及びタイヤ2の隙間には、例えば、気密性及び水密性に優れたシール材8が配される。
図1、図2に示されるように、サポートリング4は、例えば、周方向に分割、本実施形態では3分割されたリング片4Pを互いに接続することにより環状に形成され、環状の装着冶具5を介してホイールリム3の胴部3Aに装着される。
図3に拡大して示されるように、サポートリング4は、装着冶具5に嵌合される内のリング体4A、ランフラット走行時にトレッド部2aの内面2i(図1に示す)と当接する外周面4oを有する外のリング体4B、及び内、外のリング体4A、4Bを継ぐ支持体4Cを有して形成される。サポートリング4は、ランフラット走行時の荷重を支えることができる、例えば、鉄、ステンレス鋼又はアルミニウム合金などの金属材料や、硬質ゴム、ポリウレタン又はEPDM等の弾性体によって構成することができ、本実施形態では、アルミニウム合金が用いられている。
また、図4に拡大して示されるように、本実施形態の内のリング体4Aには、装着冶具5に当接する内周面4i、かつ幅中心線4L上に、周方向に連続する周溝4Fが設けられる。また、周溝4Fには、内のリング体4Aを斜めに貫通し、かつタイヤ2の内腔2g(図1に示す)に連通する少なくとも1つの貫通孔4Hが設けられる。
図1、図3に示されるように、前記外のリング体4Bは、例えば、幅W1が、トレッド部2aのトレッド端2t、2t間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド幅TWの30〜60%に設定され、内のリング体4Aよりも幅広に形成されるのが好ましい。これにより、外のリング体4Bは、大きな外周面を形成し、ランフラット走行時、トレッド部2aの内面2iとの接触圧を低減しうる。また、外のリング体4Bは、装着冶具5を含んだタイヤ半径方向の高さH1が、例えば、ビードベースラインBLからのタイヤ断面高さTHの50〜70%に設定されるのが好ましい。これにより、ランフラット走行時のタイヤ2の縦たわみを抑制し、発熱を抑えることができる。なお、トレッド幅TW及びタイヤ断面高さTHは、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。そして、前記ホイールリム3は、正規リムである。
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
さらに「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。
また、前記外のリング体4Bの外周面4oは、タイヤ子午線断面において、タイヤ半径方向外側に凸となる滑らかな円弧面で形成されている。そして、この外周面4oには、ランフラット走行時において、トレッド部2aの内面2iとの摩擦を低減するための潤滑剤9が塗布される。潤滑剤9としては、例えば、ゴムの体積膨張、すなわち膨潤を生じさせない耐ゴム膨潤性を有するものが好ましく、オイル、グリス又はペーストなど種々のものが採用でき、好ましくはグリセリン系、とりわけポリグリコールを基油としたグリスが好適である。また、潤滑剤9は、前記外周面4o上に保持されるように、適度な粘性を有するものが望ましい。また、増ちょう剤として例えばシリカ等を含むものが好ましい。
図2、図3に示されるように、前記支持体4Cは、周方向にのびる主部4C1と、該主部4C1から両側方に突出されたリブ体4C2とを含んで形成される。主部4C1には、例えば、サポートリング4を軽量化するための孔部11が隔設されるのが好ましい。
前記リブ体4C2は、リング片4Pの周方向の両端に設けられる主リブ体12、12と、該主リブ体12、12間に少なくとも1つ設けられる副リブ体13とを含む。主リブ体12には、貫通する取付孔14が設けられ、隣り合うリング片4P、4Pを、ボルト等の締結手段4Eを用いて連結できる。また、副リブ体13には、例えば、リング片4Pを軽量化するための切欠部15が形成される。
図3に示されるように、前記装着冶具5は、タイヤ周方向に連続するリング状をなす。装着冶具5は、特に限定されないが、例えば、鉄、ステンレス鋼又はアルミニウム合金などの金属材料や、硬質ゴム、ポリウレタン又はEPDM等の弾性体によって構成することができ、本実施形態では、硬質ゴムが用いられている。
また、装着冶具5は、タイヤ半径方向外側の外周面5oに、タイヤ周方向に連続し、かつ内のリング体4Aが嵌め込み可能な取付凹溝5Aが設けられる。また、この取付凹溝5Aのサポートリング4の幅方向の幅は、内のリング体4Aの幅と略同一に設定される。これにより、内のリング体4Aは、取付凹溝5Aに、周方向に亘って嵌合される。
また、図1に示されるように、本実施形態の装着冶具5は、タイヤ2のビード部2c、2c間で装着される。これにより、各ビード部2c、2cは、フランジ部3Bと装着冶具5との間、及びサイドリング部3Cと装着冶具5との間でタイヤ軸方向に把持され、ランフラット走行時における気密性や、リム外れを効果的に抑制でき、ランフラット耐久性を向上しうる。
また、図4に示されるように、装着冶具5には、タイヤ半径方向内側の内面5i側に、ホイールリム3のバルブ孔6と連通し、かつタイヤ周方向に連続してのびる周溝5Fが設けられる。このような周溝5Fは、装着冶具5とホイールリム3とをタイヤ周方向で位置調節することなく、バルブ孔6と連通できる。
また、装着冶具5には、一端が周溝5Fに連通し、かつ他端が内のリング体4Aの周溝4Fに連通する貫通孔5Hが、タイヤ周方向に少なくとも一つ設けられる。このような貫通孔5Hは、サポートリング4と装着冶具5とをタイヤ周方向で位置調節することなく、貫通孔4H及び貫通孔5Hと連通できる。従って、ホイールリム3、サポートリング4、及び装着冶具5を、タイヤ周方向で位置調整することなく、バルブ孔6から貫通孔5H、4Hを経て、タイヤ2の内腔2g(図1に示す)までを容易に連通させることができる。
図5に示されるように、前記外のリング体4Bの外周面4oには、その幅中心線4Lの両側に、タイヤ回転方向Rの先着側から後着側へ向かって、該サポートリング4の幅方向の外側から内側へ傾斜してのびる直線状の傾斜溝10が、周方向に隔設(凹設)される。
図6に示されるように、傾斜溝10が形成されていない従来のサポートリング4では、ランフラット走行時、トレッド部2aの内面2iとの接触圧力によって、潤滑剤9が圧力の低いサポートリング4の幅方向の外側へと順次押し出される。このため、潤滑剤9は、早期に外周面4oから消失し易い。
これに対し、本実施形態のサポートリング4では、図7に示されるように、その外周面4oとトレッド部2aの内面2iとが接触すると、例えば領域Aの潤滑剤9は、サポートリング4の幅方向の外側へと押し出されるものの、傾斜溝10で捕捉され、その中へ蓄えられる。その後、潤滑剤9は、トレッド部2aの内面2iとの繰り返し接触圧力によって、サポートリング4の幅方向の外側から内側へと徐々に押し出される。そして、潤滑剤9は、傾斜溝10のタイヤ回転方向Rの後着側の後端部10rから、サポートリング4の外周面4oの領域Bへとはみ出す。これらの潤滑剤9の移動サイクルが、周方向へ繰り返される。
従って、本実施形態のランフラットタイヤ組立体1は、潤滑剤9を長期に亘ってサポートリングの外周面4o上に存在させ、サポートリング4の幅方向の外側へ該潤滑剤9が流出することを抑制できる。これにより、トレッド部2aの内面2iとサポートリング4の外周面4oとの摩擦を好ましく低減でき、ランフラット耐久性能を向上しうる。
本実施形態では、傾斜溝10が、サポートリング4の幅中心線4Lに対して対称に配されている。このような傾斜溝10は、図7において、左右ほぼ同時に、サポートリング4の幅方向の内側へ、潤滑剤9を押し出すことができる。また、傾斜溝10の後端部10r、10rは、それぞれ幅中心線4Lの手前で終端している。
側の傾斜溝10は、周方向に交互に配されてもよい。このような傾斜溝10は、左右交互に潤滑剤9を押し出すことができる
なお、図3に示されるように、傾斜溝10の溝深さFや溝幅Gについては、適宜定めることができるが、傾斜溝10の溝深さFが小さすぎると、潤滑剤9を該傾斜溝10内に十分に蓄えることができないおそれがある。逆に、溝深さFが大きすぎると、傾斜溝10内での潤滑剤9の移動が低下するおそれがある。このような観点により、傾斜溝10の溝深さFは、好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上が望ましく、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは7mm以下が望ましい。
また、同様の観点により、傾斜溝10の溝幅Gは、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは7mm以上が望ましく、好ましくは15mm以下、さらに好ましくは12mm以下が望ましい。
また、周方向に隣り合う傾斜溝10の間隔Sは、特に限定されるものではないが、該間隔Sが小さすぎると、サポートリング4の外周面4oとトレッド部2aの内面2iの傾斜溝10との出隅部10b(図5に示す)で接地圧が高くなりすぎて、該内面2iを損傷させるおそれがある。逆に、間隔Sが大きすぎると、潤滑剤9をサポートリング4の内側へ、十分に押し出すことができないおそれがある。このような観点により、傾斜溝10の前記間隔Sは、15mm以上、好ましくは20mm以上、さらに好ましくは25mm以上が望ましく、溝幅Gの4倍以下、好ましくは3.5倍以下、さらに好ましくは3.2倍以下が望ましい。
また、傾斜溝10の周方向に対する角度α1は、特に限定されるものではないが、角度α1が小さすぎると、傾斜溝10内での潤滑剤9の移動が低下するおそれがある。逆に、角度αが大きすぎると、傾斜溝10内での潤滑剤9の移動により生じるエネルギーの損失が大きくなるおそれがある。このような観点より、前記角度α1は、30度以上、好ましくは40度以上、さらに好ましくは45度以上が望ましく、75度以下、好ましくは70度以下、さらに好ましくは65度以下が望ましい。
図9(a)、(b)に示されるように、前記傾斜溝10は、曲線溝であっても良く、例えば、前記サポートリング4の幅中心線4Lに近づくにつれて、角度α1が漸減するのが好ましい。これにより、傾斜溝10内に蓄えられた潤滑剤9が、サポートリング4の幅方向の外側から内側へ押し出される際に生じるエネルギー損失が抑制され、より円滑に押し出すことができる。
また、本実施形態の傾斜溝10は、図10(a)に示される断面略半円状に形成されているが、これに限定されることはない。例えば、図10(b)、(c)、(d)に示されるように、例えば、断面略V字状、断面略U字状、又は断面略台形状等、サポートリング4の外周面4oに塗布される潤滑剤の量や種類、トレッド部2aの内面2iの接触圧力の大きさ等によって、種々変形できる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す構造をなし、かつ表1に示す傾斜溝を有するランフラット組立体を以下の条件で試作するとともに、各供試タイヤの性能を比較した。
タイヤサイズ:315/80R20
リムサイズ:20×8.5V
テストの方法は次の通りである。
<潤滑剤の残量>
各供試タイヤをバルブコアを取り去った上記リムにリム組みし、デフレート状態でドラム試験機上を速度30km/h、縦荷重44.13kNの条件にて、距離50km走行させた。走行後、サポートリングを取り出し、潤滑剤が塗布されていないサポートリングとの重量差(潤滑剤の残量)を測定し、比較例1を100とする指数により評価した。数値が大きいほど潤滑剤の残量が多いことを示す。
<ランフラット耐久性>
各供試タイヤをバルブコアを取り去った上記リムにリム組みし、デフレート状態でドラム試験機上を速度30km/h、縦荷重44.13kNの条件にて走行させた。タイヤが破壊するまでの走行距離を測定し、比較例1を100とする指数により評価した。数値が大きいほどランフラット耐久性能に優れている。
テスト結果を表1に示す。
Figure 0005395526
テストの結果、実施例のランフラットタイヤ組立体は、潤滑剤の流出を抑制することができるとともに、トレッド部の内面とサポートリングの外周面との摩擦を低減し、ランフラット耐久性能を向上しうることが確認できた。
1 ランフラットタイヤ組立体
2 空気入りタイヤ
3 ホイールリム
4 サポートリング
9 潤滑剤
10 傾斜溝

Claims (8)

  1. 空気入りタイヤと、該空気入りタイヤが装着されるホイールリムと、該ホイールリムの胴部に装着されかつタイヤ内圧低下時に前記空気入りタイヤのトレッド部の内面と当接して荷重を支承する環状のサポートリングとからなるランフラットタイヤ組立体であって、
    前記サポートリングは、前記トレッド部の前記内面と当接する外周面に、摩擦低減用の潤滑剤が塗布されるとともに、
    前記サポートリングの前記外周面には、その幅中心線の両側に、タイヤ回転方向の先着側から後着側へ向かって、該サポートリングの幅方向の外側から内側へ傾斜してのびる傾斜溝が周方向に隔設され、
    前記傾斜溝は、前記幅中心線の手前で他の溝と連通することなく終端することを特徴とするランフラットタイヤ組立体。
  2. 前記傾斜溝は、周方向にそれぞれ交互に配される請求項1に記載のランフラットタイヤ組立体。
  3. 前記傾斜溝は、前記サポートリングの幅中心線に対して対称に配される請求項1に記載のランフラットタイヤ組立体。
  4. 前記傾斜溝は、周方向に対して、30〜75度の角度でのびる請求項1ないし3のいずれかに記載のランフラットタイヤ組立体。
  5. 前記傾斜溝は、前記サポートリングの幅中心線に近づくにつれて、前記角度が漸減する請求項4に記載のランフラットタイヤ組立体。
  6. 前記傾斜溝は、その溝深さFが3〜10mm、かつ溝幅Gが5〜15mmである請求項1ないし5のいずれかに記載のランフラットタイヤ組立体。
  7. 周方向で隣り合う前記傾斜溝の間隔Sは、15mm以上であり、かつその溝幅Gの4倍以下である請求項6記載のランフラットタイヤ組立体。
  8. ホイールリムの胴部に装着されかつタイヤ内圧低下時に空気入りタイヤのトレッド部の内面と当接して荷重を支承する外周面を有するサポートリングであって、
    前記外周面には、その幅中心線の両側に、タイヤ回転方向の先着側から後着側へ向かって、その幅方向の外側から内側へ傾斜してのびる傾斜溝が周方向に隔設され、
    前記傾斜溝は、前記幅中心線の手前で他の溝と連通することなく終端することを特徴とするサポートリング。
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