JP5394769B2 - 燃料電池用合金触媒電極の製造方法 - Google Patents

燃料電池用合金触媒電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池に用いられる合金触媒電極の製造方法に関する。
従来から燃料電池や排気ガス浄化装置等の触媒材料として白金が広く用いられてきたが、これより高活性の触媒材料として白金−ニッケル合金が用いられるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。合金触媒材料においても、白金を触媒材料として用いる場合と同様に、対象ガスと接触し得る表面積を可及的に大きくして触媒活性を高め延いては装置性能を高め或いは触媒必要量を減じて製造コストを低減するために、粒径がナノメートルオーダまで小さくされたナノ微粒子が特に好適である。
従来、白金−ニッケルナノ合金等の合金触媒ナノ微粒子は、燃焼法(例えば、PtRuNi-TiO2に関するものであるが非特許文献1を参照。)、還元温度範囲が200〜500(℃)のカルボニル錯体を経る方法(例えば、非特許文献2を参照。)、或いは、金属前駆体溶液の共還元による方法等で製造されていた。通常、還元プロセスは室温よりも高い温度で行われる。その上、粒径を制御する目的で、長鎖炭素を含む界面活性剤または高分子化合物が用いられると、これら高分子化合物を除去するために高温の熱処理が必要になり、その結果、触媒材料の粒径が増大することとなる(例えば、非特許文献3を参照。)。
特表2007−504624号公報
Journal of Power Sources, 169, p98-102 (2007) Journal of Physical Chemistry B, 108, p11024-11034 (2004) Journal of Materials Chemistry, 13, p2555-2560 (2003)
ところで、今後の燃料電池の普及のためには初期費用をどれだけ下げられるかが重要な問題である。そのため、全ての材料や製造工程に低コスト化が求められており、各工程における処理温度を可及的に低くすること、例えば室温程度まで低くすることが望まれている。
しかしながら、従来の合金触媒ナノ粒子の製造方法においては、前述したように燃焼工程が必須であったり、還元処理や還元剤の除去処理等を高温で行う必要があることから、処理温度の低温化、延いては低コスト化が困難になっていた。例えば、前述したような界面活性剤または高分子化合物の除去には400(℃)以上の高温処理が必要である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、低温合成が可能な合金触媒の製造方法を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、白金−ニッケルナノ合金が微細な炭素基材に担持された燃料電池用合金触媒電極を製造する方法であって、(a)白金塩およびニッケル塩と、樟脳とを溶媒中に分散させる分散工程と、(b)前記分散工程で得られた分散液に前記炭素基材を混合する炭素混合工程と、(c)還元剤を添加することにより前記白金塩およびニッケル塩を還元して前記炭素基材が混合された分散液中でその炭素基材表面に白金−ニッケルナノ合金を生成させる還元工程と、(d)前記分散液を濾過して前記炭素基材表面に前記白金−ニッケルナノ合金が担持された合金触媒を分離する分離工程とを、含むことにある。
このようにすれば、分散工程において、樟脳が白金塩およびニッケル塩と共に有機溶媒中に分散させられると共に、炭素混合工程において、分散液に炭素基材が混合された後、還元工程において還元剤を添加することにより前記白金塩およびニッケル塩が還元させられると、昇華性有機材料が付着した白金−ニッケルナノ合金が炭素基材表面に生成され、更に、分離工程において、生成された合金触媒が分散液から分離して取り出される。このとき、上記の樟脳は、100(℃)未満の低温で昇華する昇華性有機材料であって、有機溶剤と共に、白金塩、ニッケル塩、および還元して生成されたナノ合金を分散させる分散剤として好適に機能するので、十分に低温例えば室温程度の温度で、凝集等が生ずることなく例えばナノメートルオーダの微細且つ粒径分布の狭いナノ合金が炭素基材表面に生成される。また、合金触媒は分散液を濾過して分離されるので、この分離工程も室温程度の低温で行い得る。したがって、合金触媒を従来に比較して低温で得ることができる。
なお、上記の製造工程において、溶剤は分離工程において分離されるが、昇華性有機材料は、分離工程の後にもナノ合金表面に付着したままである。しかしながら、合金触媒を使用するに際して100(℃)未満の温度で加熱すれば昇華性有機材料が昇華して消失し、合金触媒が得られることから、これが残存していることに何ら不都合はなく、低温で除去し得るのでこの除去を含む工程全体を低温で実施し得る。しかも、このような昇華性有機材料が消失する前の合金触媒は、エタノールやメタノール等の溶剤との反応性が低く、溶剤と混合しても発火しないため、市販の触媒に比較して安全性が高い利点もある。このような作用は、ナノ合金表面に昇華性有機材料が存在することによるものと考えられる。
なお、本発明においては、昇華性有機材料を必須とする。低温で容易に除去できる材料としては、揮発性の高い溶剤も考えられるが、このような溶剤を用いた場合には、分散工程中や保管中に揮発するので、十分な分散性や保存性が得られない。また、昇華性有機材料と白金塩およびニッケル塩とを混合した後に炭素基材を混合することが必須である。このように昇華性有機材料と白金塩およびニッケル塩との混合を炭素基材の混合に先立って実施することにより、それら白金塩およびニッケル塩の分散性や、白金−ニッケル合金の分散性が高められる。白金塩およびニッケル塩と昇華性有機材料とが結合する前に炭素基材を混合すると、炭素基材と昇華性有機材料とが結合するため、白金塩およびニッケル塩の分散効果が得られ難くなり、延いてはそれらの還元により生成された合金の分散効果が得られ難くなる。昇華性有機材料は、100(℃)以下で昇華する有機物であれば特に限定されないが、常温〜100(℃)の温度範囲で昇華するものが好ましく、常温で昇華するものが特に好ましい。このような昇華性有機材料としては、樟脳(合成樟脳を含む)が挙げられる
また、昇華性有機材料は、上述したように合金触媒の使用時に容易に除去できるものであるから、多量に用いられても特に不都合は無い。すなわち、前記白金塩および前記ニッケル塩の分散に十分な量が用いられていれば足り、過剰に用いられていても差し支えない。但し、昇華性有機材料の量は、白金およびニッケルの合計量に対してモル比で30:1以下に留めることが好ましい。
また、前記微細な炭素基材は、例えば炭素微粒子であるが、形状は特に限定されない。例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーも本願の炭素基材に含まれる。なお、炭素混合工程と還元工程の順序は特に限定されない。炭素混合工程は、還元工程の前、進行中、終了後の何れにおいて実施されてもよく、これらの複数の段階に継続してもよい。
ここで、好適には、前記炭素混合工程は、前記炭素基材を溶剤に分散させて前記分散液に混合するものである。このようにすれば、疎水性を有する炭素基材が溶剤中に分散した状態で、白金塩、ニッケル塩および昇華性有機材料を溶媒に分散させた分散液に混合される。そのため、分散液の分散媒が水である場合にも、分散液中に炭素基材が好適に分散させられる利点がある。
また、好適には、前記合金触媒の製造方法は、前記分散工程、前記炭素混合工程、前記還元工程、および前記分離工程を常温で実施するものである。このようにすれば、合金触媒を製造するための全工程が常温で実施されることから、製造コストを一層低減することができる。
また、好適には、前記分散工程は、前記樟脳を前記溶媒中に分散させた分散液に前記白金塩および前記ニッケル塩を同時に混合するものである。白金塩およびニッケル塩の混合順序は特に限定されず、同時であっても差し支えない。
また、好適には、前記分散工程は、前記白金塩およびニッケル塩の水溶液を、前記昇華性有機材料と前記有機溶媒との混合物中に加えるものである。すなわち、分散工程では適量の水が混合されることが好ましいが、この水の混合は、予め白金塩およびニッケル塩の水溶液を調製し、これを有機溶媒に分散させることで同時に成されることが好ましい。このようにすれば、白金塩およびニッケル塩の凝集を抑制して有機溶媒中に好適に分散させることが容易になる。白金塩およびニッケル塩の水溶液は、適当な液性、例えば酸性に調製されるが、これは、例えば前述したようにインゴットを酸で溶解するに際して水を混合することで容易に得ることができる。
また、前記合金触媒の製造方法においては、前記白金塩および前記ニッケル塩を還元するための所定の還元剤が、例えば前記還元工程において前記有機溶媒中に添加される。これにより、有機溶媒中の白金塩およびニッケル塩が一層容易に還元されて合金触媒が得られる。上記還元剤は白金塩およびニッケル塩の種類に応じて定められるもので、これを還元できる限りにおいて特に限定されない。例えば、水素化硼素ナトリウム(NaBH4)、アスコルビン酸、蟻酸(HCOOH)、ヒドラジン(N2H4)等が好適に用いられる。また、還元剤は、還元工程の開始段階で添加されても、その進行中に添加されても、或いは終期に添加されてもよい。
また、前記還元剤は水溶性のものが好ましい。このようにすれば、分離工程において分散液を濾過して白金触媒を回収する際に、溶剤や水と共に還元剤も除去される。そのため、白金触媒に不純物が混入することが抑制される。
なお、前記白金塩は特に限定されないが、例えば、塩化白金酸(H2PtCl6)溶液、白金(IV)塩化物、白金(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナト錯体、白金(II)アセチルアセトナト錯体、白金(II)臭化物、白金(II)ヨウ化物、白金(IV)硫化物、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム6水和物等が挙げられるが、これらに限られず、一層複雑な塩も利用できる。白金塩は、例えば、白金インゴットを王水等の適当な酸で溶解して製造することができる。
また、前記ニッケル塩も特に限定されないが、例えば、硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO3)2・6H2O)や、2-エチルヘキサン酸ニッケル(Ni(C8H15O2))等が好適に用いられる。
また、本願発明は、白金−ニッケルナノ合金触媒の製造方法に適用されるものであるが、銀、金、ニッケル、銅やそれらの合金の製造方法にも適用され得る。これらの用途としては、フレキシブル基板への金属膜形成、触媒、センサー、電気接点、その他の電子或いは光電子アプリケーション、医学およびバイオ医学アプリケーション等が挙げられる。
また、前記有機溶媒は特に限定されず、ターピネオール、ローズマリーオイル等の植物油ベースの溶剤、ヘキサン等のパラフィン炭化水素、アセトン等のケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコール溶剤が挙げられる。
本発明の合金触媒の製造方法の一例を説明する工程図である。 図1の製造工程において用いられる昇華性有機材料の一例の樟脳の構造式を示す図である。 本発明の合金触媒の他の製造方法を説明する工程図である。 図3の工程に従って製造した試料8の合金触媒の電子顕微鏡写真である。 図4の合金触媒のEDX分析結果である。 図3の工程に従って製造した試料9の合金触媒の電子顕微鏡写真である。 図6の合金触媒のEDX分析結果である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の白金−ニッケル合金触媒の製造方法を説明するための工程図である。図1において、まず、アセトン等の適当な溶剤を用意し(工程1)、これに図2に構造式を示す樟脳(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン;C10H16O)を混合し(工程2)、撹拌工程3においてこれを撹拌する。混合割合は適宜定められるが、例えば、4(g)の樟脳に対して150(g)のアセトンを加える。撹拌時間は例えば1分間程度で、撹拌速度は例えば300rpm程度である。上記樟脳は、例えば、純度99.9(%)の合成樟脳であり、常温でも昇華し易い特性を有している。本実施例においては、樟脳が昇華性有機材料として用いられている。
次いで、蒸留水を用意する(工程4)一方、白金塩溶解工程5では、例えば耐酸性を有する適当な容器内で、例えば、塩化白金酸(H2PtCl6)等の白金塩に適量の蒸留水を加えて例えば白金が10(wt%)程度の濃度で含まれる白金塩溶液(以下、これを「10% H2PtCl6」と言う。)を調製する。この白金塩溶液を上記の蒸留水に混合する。また、硝酸ニッケル等のニッケル塩を用意して(工程6)、蒸留水に分散させる。これを白金塩溶液に加えて撹拌工程7において撹拌する。この撹拌時間は、例えば5分程度である。この工程では例えば0.8(g)の白金塩に対して300(g)の蒸留水を加え、1.19(g)の硝酸ニッケル六水和物に対して50(ml)の蒸留水を加える。
次いで、攪拌工程8では、上記2つの溶液を混合し、適当な攪拌装置を用いて例えば10分程度攪拌する。これにより、白金塩およびニッケル塩が溶剤中に分散される。したがって、この工程は分散工程に対応する。
次いで、アセトン等の適当な溶剤を用意し(工程9)、これに微粉カーボンを加え(工程10)、混合工程11において高速ミキサーで撹拌後、超音波混合機で混合する。高速ミキサーによる撹拌処理は、例えば30(m/秒)程度の回転数で3分程度行う。また、超音波混合機による混合時間は例えば5分間程度である。この工程では、例えば15(g)のアセトンに0.25(g)の微粉カーボンを加える。撹拌工程12では、これを上記の分散液に混合し、例えば高速ミキサーで撹拌処理を施す。撹拌時間は例えば3分間程度である。本実施例ではこの撹拌工程12が炭素混合工程に対応する。
次いで、還元剤添加工程13では、上記の混合液に還元剤として水素化硼素ナトリウム(NaBH4)を添加し、混合・撹拌工程14では、混合液を高速ミキサーで15分程度撹拌した後、超音波混合機で1時間程度混合する。水素化硼素ナトリウムは、例えば1(g)が25(ml)の蒸留水に溶解され、滴下により添加される。これにより、白金塩およびニッケル塩が同時に還元されてナノメートルオーダーの白金−ニッケル合金微粒子が微粉カーボン表面に生成され、PtNi/C微粒子分散液が得られる。次いで、撹拌を停止して静置すると、生成したPtNi/C微粒子が沈殿すると共に、そのPtNi/C微粒子を含む溶剤層と水層とに分離する(工程15)。静置時間は例えば一晩である。なお、上記の還元剤添加工程13では、水素化硼素ナトリウムに代えて他の還元剤を添加しても良い。なお、上記各工程は全て常温すなわち25(℃)程度で実施される。本実施例では、上記混合・撹拌工程14が還元工程に対応する。
次いで、分離・乾燥工程16においては、上記のように2層に分離している白金分散液から水を除去し、2〜3度水洗した後、室温で乾燥処理を施す。水の分離は、例えば、良く知られた分液漏斗等を用いて行えばよく、回収した溶剤層を乾燥して溶剤が除去されると、PtNi/C触媒粉末(白金−ニッケル合金担持カーボン触媒)が得られる。この分離・乾燥工程16が分離工程に対応する。なお、上記分離・乾燥工程16は、前記工程15において静置する処理を待つことなく直ちに実施することも可能であるが、静置して2層に分離させると、水を容易に除去できるため、濾過時間を短縮できる利点がある。
本実施例によれば、常温で昇華する樟脳が塩化白金酸および硝酸ニッケルと共に有機溶媒中に分散させられ、これに微粉カーボンが混合された後、還元工程14において、樟脳が表面に付着した白金−ニッケル合金微粒子がその微粉カーボン表面に生成される。そのため、分離・乾燥工程において溶剤および水が分離され且つ乾燥処理が施されると、樟脳が表面に付着した白金−ニッケル合金微粒子が微粉カーボン表面に存在するPtNi/C触媒粉末が得られる。上記各工程は全て常温で実施されるため、白金−ニッケル合金触媒を従来に比較して低温で得ることができる。しかも、このようにして得られる触媒粉末は、乾燥処理を施して樟脳を除去するまでは、溶剤と混合しても反応性に乏しく発火することがないため、市販の触媒に比較して安全性に優れる利点もある。
また、本実施例によれば、還元剤として水素化硼素ナトリウムが用いられるので、塩化白金酸および硝酸ニッケルの還元を常温で比較的短時間で完了させることができる。
上記のようにして製造した合金触媒の特性を評価した結果を下記の表1に示す。試料1〜4は、何れも図1に示す工程に従って合金触媒を合成したもので、相違点は工程10で添加した微粉カーボンの量のみである。特性評価は、作製した各試料をアセトン等の溶剤に分散して行い、合金量はTGA測定結果から求め、粒径は分散液をスライドガラスに滴下して室温で乾燥して薄膜を作製し、XRD測定結果から求めた。
上記表1の「合金量」は、各試料に含まれる白金−ニッケル合金量の割合(すなわち担持量)を示したもので、PtNi/C触媒のTGA測定では、カーボンおよび有機成分が全て焼失し、PtNi合金のみが残ることになるので、残存質量の割合は合金含有量に等しいはずである。
また、「粒径」は、XRD測定結果の(111)ピークの半値幅から算出した値である。この値はTEM(透過型電子顕微鏡)による測定値とよく一致することが経験的に知られている。
上記の測定結果に示されるように、試料1〜4の何れにおいても、常温のみの処理プロセスで4.9〜6(nm)の微細な白金−ニッケル合金粉末を還元生成できた。また、PtNi/C触媒粒子の合金含有量は、製造条件によって異なり、評価した範囲ではカーボン量が少ないほど合金量が多くなる結果が得られた。すなわち、この結果によれば、PtNi/C触媒の担持量をカーボン添加量で制御できることが判る。
上述したように、本実施例によれば、分散工程に対応する攪拌工程8において、分散剤として機能し100(℃)未満の低温で昇華する樟脳が塩化白金酸および硝酸ニッケルと共にアセトン中に分散させられると共に、炭素混合工程に対応する撹拌工程12において、分散液に炭素微粒子が混合された後、還元工程に対応する混合・撹拌工程14において、塩化白金酸および硝酸ニッケルが水素化硼素ナトリウムの還元作用等によって還元させられ、昇華性有機材料である樟脳が付着した白金−ニッケルナノ合金が炭素微粒子表面に生成され、更に、分離・乾燥工程16において、生成された合金触媒が分散液から分離して取り出される。
そのため、樟脳は、白金塩、ニッケル塩およびそれらの還元により生成された白金−ニッケルナノ合金を分散させる分散剤として好適に機能するので、十分に低温例えば室温程度の温度で、凝集等が生ずることなくナノメートルオーダの微細且つ粒径分布の狭いナノ合金が炭素基材表面に生成される。また、合金触媒は分散液を濾過して分離されるので、この分離工程も室温程度の低温で行い得る。したがって、合金触媒を従来に比較して低温で得ることができる。
下記の表2は、本発明の他の実施例の製造方法によって製造したPtNi/C触媒の調合仕様および特性評価結果をまとめたものである。下記表2において、試料5〜7は、何れもニッケル塩として硝酸ニッケルに代えて2-エチルヘキサン酸ニッケルを用いた他は、前記図1に示される工程に従って製造されたものである。
上記実施例の試料5は、前記図1の撹拌工程3においてアセトン250(g)に樟脳8(g)を分散させ、これに、1.6(g)の塩化白金酸を700(g)の水に溶解したものと1.5(g)の2-エチルヘキサン酸ニッケルを50(ml)のアセトンに溶解したものと混合して添加し、更に、0.6(g)の炭素微粒子を24(g)のアセトンに分散させて加える。撹拌工程12では、高速ミキサーで3分間撹拌し、超音波混合機で15分間混合する。還元剤添加工程13では、上記の混合液に2(g)の水素化硼素ナトリウムを55(ml)の水に分散させて添加し、高速ミキサーおよび超音波混合機で撹拌・混合する。これにより、前記実施例と同様に白金塩およびニッケル塩が同時に還元されてナノメートルオーダーの白金−ニッケル合金微粒子が微粉カーボン表面に生成され、PtNi/C微粒子分散液が得られる。この後、前記実施例と同様にしてPtNi/C微粒子が得られる。なお、本実施例では、前記分離・乾燥工程16において、乾燥処理を60(℃)で2時間加熱することによって行う。
試料6,7も、塩化白金酸量等が異なる他は、試料5と同様にして製造される。このようにして得られた試料5〜7の合金触媒は、2.58〜2.78(nm)の極めて微細な粒径を備えるものであった。すなわち、2-エチルヘキサン酸ニッケルを用いたこの製造工程によれば、硝酸ニッケルを用いた前記表1に示す場合に比較して一層微細な合金触媒が得られた。また、TGA測定によって得られたそれぞれの合金量によれば、2-エチルヘキサン酸ニッケルが少ない方が若干合金量が少なくなっており(試料6,7の比較)、また、塩化白金酸および2-エチルヘキサン酸ニッケル等が少ない方が合金量が少ない結果となった(試料5,6の比較)。
上記実施例によれば、ニッケル塩として2-エチルヘキサン酸ニッケルを用いても白金−ニッケルナノ合金触媒を得ることができ、しかも、硝酸ニッケルを用いた場合よりも一層微細なナノ粒子を得ることができる。
図3は、本発明の他の実施例の製造方法を説明する工程フロー図である。この製造方法では、ニッケル塩を白金塩とは別に昇華性界面活性剤に分散させて用いる。前記図1に示す工程との相違点について説明する。図3の工程4では、水に代えてアセトンが用いられる。また、撹拌工程6では、塩化白金酸をそのアセトンに分散させ、直ちに高速ミキサー等で撹拌する。得られた分散液は、樟脳を溶剤に分散した分散液に添加される。
一方、工程7ではアセトン等の溶剤を用意し、これに樟脳とは別の昇華性有機材料例えばナフタレンを加える。更に、これにニッケル塩例えば2-エチルヘキサン酸ニッケルを加え、例えば高速ミキサーで撹拌する。そして、得られた分散液を、上述したように白金塩分散液を添加した分散液に混合し、撹拌工程8において、高速ミキサー等で撹拌する。この後の工程は、図1に示したものと同様である。この実施例の特徴は、白金塩およびニッケル塩をそれぞれ別個に昇華性有機材料と混合するところにある。

上記図3の工程に従って製造した試料8〜10の調合仕様および特性を下記の表3に示す。これら試料8〜10では、樟脳の添加量は全て同一であるが、ニッケル塩と混合するナフタレンの添加量が互いに相違する。他の条件は全て同一である。
上記の表3に示されるように、樟脳とナフタレンの混合比を異なるものとしたこれら試料8〜10は、他の条件は全て同一ありながら、合金量および粒径が著しく相違する。すなわち、樟脳/ナフタレン=2の試料8では、合金量が26.02(wt%)と少なくなったが、樟脳/ナフタレン=8〜16の試料9,10では合金量が56〜57(wt%)と大きい結果が得られた。合金量および粒径の何れも、樟脳/ナフタレンが大きくなるほど小さくなる傾向にある。
図4は上記試料8の電子顕微鏡写真、図5はその写真に示される範囲の表面のEDX分析結果、図6は試料9の電子顕微鏡写真、図7はその写真に示される範囲の表面のEDX分析結果である。これら図5、図7の分析結果によれば、試料8はNiが48.02(%)、Ptが51.98(%)、試料9はNiが74.24(%)、Ptが25.76(%)(何れも原子数)であるから、それぞれ得られた合金の組成は、試料8がPt0.5Ni0.5、試料9がPt0.25Ni0.75と考えられる。すなわち、上記図3、表3に示されるように、2種の昇華性有機材料を併用し、且つその比を制御することで得られる合金組成を制御できる。
本実施例によれば、分散工程に対応する撹拌工程8において、白金塩に対する分散作用がニッケル塩に対するそれよりも大きい樟脳すなわち第1の昇華性有機材料と、そのニッケル塩に対する分散作用がその白金塩に対するそれよりも大きいナフタレンすなわち第2の昇華性有機材料とが共に添加されることから、これら2種の添加量比を制御することにより、前記表3および図5、図7に示されるように、生成される合金の白金とニッケルのモル比を制御することができる。すなわち、分散効果の相違に基づき、後の還元工程で還元される度合いが変化するため、様々な白金/ニッケルモル比の合金触媒を得ることができる。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。

Claims (4)

  1. 白金−ニッケルナノ合金が微細な炭素基材に担持された燃料電池用合金触媒電極を製造する方法であって、
    白金塩およびニッケル塩と、樟脳とを溶媒中に分散させる分散工程と、
    前記分散工程で得られた分散液に前記炭素基材を混合する炭素混合工程と、
    還元剤を添加することにより前記白金塩およびニッケル塩を還元して前記炭素基材が混合された分散液中でその炭素基材表面に白金−ニッケルナノ合金を生成させる還元工程と、
    前記分散液を濾過して前記炭素基材表面に前記白金−ニッケルナノ合金が担持された合金触媒を分離する分離工程と
    を、含むことを特徴とする合金触媒の製造方法。
  2. 前記炭素混合工程は、前記炭素基材を溶剤に分散させて前記分散液に混合するものである請求項1の合金触媒の製造方法。
  3. 前記分散工程、前記炭素混合工程、前記還元工程、および前記分離工程を常温で実施するものである請求項1または請求項2に記載の合金触媒の製造方法。
  4. 前記分散工程は、前記樟脳を前記溶媒中に分散させた分散液に前記白金塩および前記ニッケル塩を同時に混合するものである請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の合金触媒の製造方法。
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