JP2006252966A - 燃料電池用電極触媒層、および、これを用いた燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 酸素ガスが関与する触媒反応を促進させるだけでなく、長期に亘って所望の発電性能を維持することができる耐久性に優れた燃料電池用電極触媒層を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、電極触媒と、固体高分子電解質とを含む燃料電池用電極触媒層であって、前記電極触媒が、白金合金が担持されてなる導電性担体が、さらに磁性材料に担持されてなるものであり、前記燃料電池用電極触媒層の片面に、親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層により上記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明は、電極触媒と、固体高分子電解質とを含む燃料電池用電極触媒層であって、前記電極触媒が、白金合金が担持されてなる導電性担体が、さらに磁性材料に担持されてなるものであり、前記燃料電池用電極触媒層の片面に、親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層により上記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、燃料電池用電極触媒層に関し、より詳細には、耐久性に優れる燃料電池用電極触媒層に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。燃料電池には、固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)などがある。なかでも、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動することから、電気自動車用電源として期待されている。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜−電極接合体(以下、単に「MEA」とも記載する。)をセパレータで挟持した構造となっている。MEAは、固体高分子電解質膜が一対の電極触媒層およびガス拡散層により挟持されてなるものである。電極触媒層は、電極触媒と、固体高分子電解質とを少なくとも含み、単に電極とも呼ばれている。
固体高分子型燃料電池では、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、アノード側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、アノード側電極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらにアノード側電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、カソード側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、アノード側電極触媒層を構成している導電性担体、さらにアノード側電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
燃料電池における電気化学的反応は、電極触媒層中の、触媒粒子、固体高分子電解質、反応ガスが存在する三相界面上で起こる。したがって、電極触媒層においては、触媒粒子と固体高分子電解質を如何に適切な状態にして反応サイトを増大させるか、ということが極めて重要である。
従来の電極触媒では、カソードおよびアノードともに、カーボンを主成分とする導電性材料を担体として、これに白金粒子などの触媒粒子を担持させたもの等が用いられている。また、特許文献1には、カソード側電極中に永久磁石材を分散、配置した燃料電池が開示されている。該特許文献1によれば、永久磁石材によりカソード側電極における酸素還元反応、および、酸素ガスの輸送を促進させることが可能となる。
特開2002−198057号公報
該特許文献1では、酸素ガスが関与する触媒反応を促進させることについてのみ着目し、触媒粒子として白金単体のみを用いており、触媒粒子の脱落などに起因した電極触媒の耐久性についてはなんら言及していない。
しかしながら、従来の電極触媒では、製造工程における焼成、燃料電池の運転時等において、熱的エネルギーなどが加わることで、導電性担体または永久磁石材上の触媒粒子が脱落、溶出などする問題があった。これにより、触媒粒子の表面積が減少して電極触媒の触媒活性が低くなり、結果として電池寿命を低下させる恐れがある。
また、高加湿、高電流密度などの運転条件下では、アノードからカソードに向けて固体高分子電解質膜を移動するプロトンに伴って移動する水の量、およびカソード側電極触媒層内に生成して凝集する生成水の量が増加する。これらの生成水は、特にカソード側電極触媒層内に滞留し、反応ガス供給路となっていた電極触媒層内の細孔を閉塞するフラッディング現象を招くだけでなく、電極触媒に含まれる触媒粒子の溶出を促進させ、結果として燃料電池の発電性能を低下させる恐れがある。
燃料電池には、高い発電性能の他に、より高い耐久性を有することが所望されている。
そこで、本発明が目的とするところは、酸素ガスが関与する触媒反応を促進させるだけでなく、長期に亘って所望の発電性能を維持することができる耐久性に優れた燃料電池用電極触媒層を提供することである。
本発明者が上記課題に鑑み鋭意検討した結果、白金合金粒子と磁性材料とが有する強い磁性的な結着により触媒粒子の脱落および溶出などに対する耐性が向上すること、電極触媒層に親水層を隣接して配置することにより電極触媒層中の排水性が向上すること、を見出し本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、電極触媒と、固体高分子電解質とを含む燃料電池用電極触媒層であって、前記電極触媒が、白金合金が担持されてなる導電性担体が、さらに磁性材料に担持されてなるものであり、前記燃料電池用電極触媒層の片面に、親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層により上記課題を解決する。
本発明によれば、酸素ガスが関与する触媒反応を促進させるだけでなく、長期に亘って所望の発電性能を維持することができる耐久性に優れた燃料電池用電極触媒層が得られる。
本発明の第一は、電極触媒と、固体高分子電解質とを含む燃料電池用電極触媒層であって、前記電極触媒が、白金合金が担持されてなる導電性担体が、さらに磁性材料に担持されてなるものであり、前記燃料電池用電極触媒層の片面に、親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層(以下、単に「電極触媒層」とも記載する)である。
まず、本発明の電極触媒層に用いられる電極触媒を図1に示す模式図を用いて説明する。図1に示す電極触媒において、導電性担体101上に白金合金102が担持され、さらに導電性担体101が磁性材料103に担持されている。
このような構成を有する前記電極触媒は、触媒粒子として白金合金を用いることで、磁性材料の磁場により白金合金を強く引き付けて付着させることができる。さらに、白金単体よりも、白金合金の方が、磁性材料による付着力だけでなく、初期活性、耐熱性、および一酸化炭素等に対する対被毒性に優れる。従って、前記電極触媒は、磁性材料により酸素ガスが関与する触媒反応を触媒反応が促進されるだけでなく、白金合金からなる触媒粒子の脱落などが抑制され、長期に亘って高い触媒活性を維持することができる。
さらに、本発明の電極触媒層210は、図2の模式断面図に示すように、片面に親水性多孔質層220を有する。
本発明において、親水性多孔質層とは、少なくとも空孔内表面が親水性を有する多孔質の層を意味する。一般的に水は撥水性の高い方から低い方へ移行しやすいため、親水性多孔質層が電極触媒層と隣接して配置されることにより、電極触媒層内の水を親水性多孔質層内へ移動させることができる。このように親水性多孔質層が配置されることにより、電極触媒層内に過剰な水分が停留するのを抑制することができる。
従って、本発明によれば、前記電極触媒により高い発電性能を長期に亘って発揮することができ、さらに、親水性多孔質層を有することによりフラッディング現象および白金合金の溶出を抑制し、耐久性に優れる電極触媒層を提供することが可能となる。
以下、本発明をより具体的に説明する。
(電極触媒層)
本発明の電極触媒層は、電極触媒と、固体高分子電解質とを含む。
本発明の電極触媒層は、電極触媒と、固体高分子電解質とを含む。
前記電極触媒は、上述した通り、白金合金が担持されてなる導電性担体が、さらに磁性材料に担持されてなるものである。
(電極触媒)
前記電極触媒における白金合金としては、ロジウム、パラジウム、オスニウム、クロム、イリジウム、銀、金、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、および、スズからなる郡から選ばれる一種類以上の金属と、白金と、の合金粒子など、電極触媒において従来公知のものであれば特に制限なく用いることができる。
前記電極触媒における白金合金としては、ロジウム、パラジウム、オスニウム、クロム、イリジウム、銀、金、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、および、スズからなる郡から選ばれる一種類以上の金属と、白金と、の合金粒子など、電極触媒において従来公知のものであれば特に制限なく用いることができる。
なかでも、前記白金合金としては、クロム、鉄、コバルト、および、ニッケルからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属と、白金との合金、が好ましく挙げられる。これらの合金は強磁性を示すため、磁性材料との付着力をより向上させることができる。前記白金合金として、具体的には、Pt−Cr合金、Pt−Fe合金、Pt−Co合金、Pt−Ni合金などが挙げられる。
なお、本発明において「合金」とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。
前記白金合金における白金含有率は、前記白金合金の全質量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%とするのがよい。これにより、高い触媒活性を有する電極触媒とすることができる。
前記白金合金の形状は、粒子状、楕円状、立方体状などのいずれの形状を有していていてもよいが、触媒活性を考慮すると粒子状を有しているのが好ましい。この場合、前記白金合金の平均粒子径は、好ましくは1〜30nm、より好ましくは2〜20nmとするのがよい。白金合金は、粒子径が小さいほど比表面積が大きくなるため触媒活性も向上すると推測されるが、実際は、白金合金の粒子径を極めて小さくしても、比表面積の増加分に見合った触媒活性は得られない恐れがあるため、上記範囲内とするのが好ましい。
なお、本発明における「白金合金の平均粒子径」は、X線回折における白金合金の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径、あるいは、透過型電子顕微鏡像より調べられる白金合金径、の平均値により測定することができる。
白金合金の担持量は、電極触媒の全量に対して10〜80質量%、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%とするのがよい。前記担持量が、10質量%未満である場合、所望する触媒活性を得るために電極触媒量を増大させる恐れがある。これにより電極が厚くなり、内部抵抗の増加や反応物の拡散抵抗などに起因して電池性能の低下を招く恐れがある。また、80質量%を超えた場合には、導電性担体表面に担持する白金合金の重なりが多くなり、使用する白金合金量に対して得られる触媒活性が小さくなるため、高コストになる恐れなどがある。このような担持量は、高倍率の走査型や透過型の電子顕微鏡を用いた粒子表面及び断面観察から測定することができる。
次に、本発明の電極触媒における導電性担体としては、集電体として十分な電子伝導性を有しているものであれば特に制限されるべきものではなく、燃料電池用電極触媒において一般的に用いられているものであればよいが、主成分がカーボンであるカーボン材料が好ましい。導電性担体を用いることにより白金合金を担持させる面積を大きくすることができ、白金合金を高分散担持させて高い触媒活性が得られる。さらに、前記導電性材料として前記カーボン材料を用いることにより十分に高い電子伝導性を得ることができ、電極触媒層内の電気抵抗を低くすることができる。導電性担体の電気抵抗が高いと、電極の内部抵抗が高くなり、結果として電池性能の低下を招く恐れがある。
なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
前記導電性担体として、具体的には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;種々の炭素原子を含む材料を炭化、賦活処理した活性炭;グラファイト化カーボン等のカーボン材料を主成分とするものなどが好ましく挙げられる。前記導電性担体として、上記したもののうち、比表面積が高く、電子伝導性に優れることから、カーボンブラックが特に好ましく用いられる。
また、前記導電性担体は、市販品を用いることができ、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD、三菱化学社製#3150、#3250などのオイルファーネスブラック;電気化学工業社製デンカブラックなどのアセチレンブラック等が挙げられる。
また、前記導電性担体の比表面積は、好ましくは100〜1600m2/g、より好ましくは100〜1200m2/g、特に好ましくは800〜1200m2/gとするのがよい。前記比表面積が、100m2/g未満であると前記導電性担体への白金合金の分散性および固体高分子電解質との接触性などが低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、1600m2/gを超えると白金合金および固体高分子電解質の有効利用率が却って低下する恐れがある。
前記導電性担体の大きさとしては、特に限定されないが、電極触媒を用いて作製する電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するという観点からは、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度のカーボン粒子を用いるのがよい。
次に、本発明の電極触媒における磁性材料としては、白金合金と磁性的に結着できればよく、永久磁石材料が好ましく挙げられる。永久磁石材料を用いることにより、電極触媒の耐久性および酸素ガスが関与する触媒反応の促進をより向上させることが可能となる。
前記永久磁石としては、特に制限されないが、SmCo5およびSm2Co17等のSm−Co系、Fe14Nd2B等のFe−Nd−B系、などの希土類磁石;バリウムフェライト(BaO・6Fe2O3)、ストロンチウムフェライトなどのフェライト磁石;鉄・ニッケル・コバルト・アルミニウムを主成分とするCO24Ni14Al8Feなどの合金のアルニコ磁石;Fe46Cr31CO23などのFe−Cr−Co磁石;MnAlC磁石;Fe−Pt系磁石;などが挙げられる。なかでも、強力な磁性を有することから、希土類磁石が特に好ましく挙げられる。
前記磁性材料の形状は、粒子状、楕円状、立方体状などのいずれの形状を有していていてもよいが、導電性担体の担持のし易さ、扱い易さなどを考慮すると粒子状を有しているのが好ましい。この場合、前記磁性材料の平均粒子径は、好ましくは0.001〜1mm、より好ましくは0.01〜0.1mmとするのがよい。前記平均粒子径が1mmを超えると、電極触媒層の厚みが厚すぎるためガス拡散性などが低下し、さらに燃料電池スタックのサイズが大きくなる恐れなどがある。なお、磁性材料の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡像より調べられる磁性材料の粒子径の平均値により測定することができる。
前記磁性材料の含有量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%とするのがよい。前記含有量が1質量%未満であると電極触媒の耐久性を十分に向上できない恐れがあり、前記含有量が80質量%を超えると上記と同様に電極触媒層の厚みが過剰に大きくなってしまうため、ガス拡散性が低下し、さらに燃料電池スタックのサイズが大きくなる恐れなどがある。
また、磁性材料は、磁力線を通す物質で被覆されているのが好ましい。本発明の電極触媒が好適に用いられる燃料電池における電極触媒層は、Nafion(登録商標)などの強酸性の固体高分子電解質が用いられ得る。磁性材料が磁力線を通す物質で被覆されることにより、表面に強酸性に対する保護層を形成することができ、電極触媒層中での磁性材料の腐食を抑制することが可能となる。
前記磁力線を通す物質としては、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリエステルなどのプラスティック;セラミックス;ガラス;TiN、CrN等の遷移金属窒化物膜や、NiO、FeO等の遷移金属酸化物膜などの無機化合物;Ti、Ta、Mo、Ni等の金属;などが好ましく挙げられる。
本発明の電極触媒層における電極触媒の含有量は、電極触媒層全体に対して、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%とするのがよい。前記電極触媒の質量が、10質量%未満であると十分な発電性能を有する電極触媒層が得られない恐れがあり、80質量%を超えると触媒粒子どうしが凝集する恐れがあり分散性が悪くなる恐れがある。
電極触媒層において上述した電極触媒における磁性材料は、未磁化であってもよく、磁化されていてもよい。未磁化の磁性材料を磁化するには、前記電極触媒を用いて電極触媒層を作製した後、前記電極触媒を電磁石などで磁化すればよい。磁化の方向は、特に限定されないが、電極触媒層内で一様であることが望ましく、カソードとアノードとを結ぶ線に対して、平行、傾斜方向、垂直方向など、いずれの方向でもよい。
(固体高分子電解質)
本発明の電極触媒層に用いられる固体高分子電解質としては、従来の電極触媒層において一般的に用いられているのであれば特に限定されない。具体的には、ポリマー骨格の全部又は一部がフッ素化されたフッ素系ポリマーであってイオン交換基を備えた固体高分子電解質、または、ポリマー骨格にフッ素を含まない炭化水素系ポリマーであってイオン交換基を備えた固体高分子電解質、などが挙げられる。
本発明の電極触媒層に用いられる固体高分子電解質としては、従来の電極触媒層において一般的に用いられているのであれば特に限定されない。具体的には、ポリマー骨格の全部又は一部がフッ素化されたフッ素系ポリマーであってイオン交換基を備えた固体高分子電解質、または、ポリマー骨格にフッ素を含まない炭化水素系ポリマーであってイオン交換基を備えた固体高分子電解質、などが挙げられる。
前記イオン交換基としては、特に制限されないが、−SO3H、−COOH、−PO(OH)2、−POH(OH)、−SO2NHSO2−、−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す)等の陽イオン交換基、−NH2、−NHR、−NRR’、−NRR’R’’+、−NH3 +(R、R’、R’’は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などを表す)等の陰イオン交換基などが挙げられる。
前記フッ素系ポリマーであってイオン交換基を備えた固体高分子電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体などが好適な一例として挙げられる。
前記炭化水素系ポリマーであってイオン交換基を備えた固体高分子電解質として、具体的には、ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸などが好適な一例として挙げられる。
固体高分子電解質は、耐久性などに優れることから、前記フッ素系ポリマーであってイオン交換基を備えた固体高分子電解質を用いるのが好ましく、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)が挙げられる。
電極触媒層における固体高分子電解質の含有量は、電極触媒層全体に対して、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜50質量%程度とするのがよい。前記含有量が、80質量%を超えると電極触媒層の空隙率が低下する恐れがあり、20質量%未満であると十分なプロトン伝導性が得られない恐れがある。
前記電極触媒層の厚さは、所望の性能を有する電極触媒層が得られるように適宜決定すればよいが、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜15μmとするのがよい。前記厚さが、1μm未満であると均一な成膜が困難となり所望する機能が得られない恐れがあり、20μmを超えるとフラッディング現象を招きやすくなるだけでなくガス拡散性および電気抵抗などの低下をも招く恐れがあり望ましくない。
(親水性多孔質層)
本発明の電極触媒層は、片面に親水性多孔質層が配置される。前記親水性多孔質層は、MEAを組立てた際にガス拡散層と接し得る電極触媒層の少なくとも一方の面に配置されればよい。
本発明の電極触媒層は、片面に親水性多孔質層が配置される。前記親水性多孔質層は、MEAを組立てた際にガス拡散層と接し得る電極触媒層の少なくとも一方の面に配置されればよい。
前記親水性多孔質層は、少なくとも表面が親水性を有する導電性材料を含むのが好ましい。これにより、高い電子伝導性を有する親水性多孔質層が得られ、電子伝導性を低下させることなく電極触媒層の排水性を向上させることができる。
前記導電性材料は、高い電子伝導性を有することから、主成分がカーボンからなるカーボン材料が好ましく挙げられる。ここで、「主成分がカーボンである」とは、上記した電極触媒における導電性担体において説明したのと同様である。前記導電性材料として、具体的には、カーボン粒子、カーボン繊維などが好ましく挙げられる。
前記カーボン粒子としては、上述した電極触媒に用いられる導電性担体として列挙したものと同様のものが好ましく用いられる。また、前記カーボン粒子の大きさは、親水性多孔質層の空孔径、厚さなどを適切な値に調整するためには、好ましくは10〜60nm、より好ましくは20〜50nmとするのがよい。
前記導電性材料としてカーボン粒子を用いた場合、前記導電性多孔質層は、前記カーボン粒子の他に、固体高分子電解質(プロトン伝導性高分子)、親水化処理された熱可塑性樹脂などを結着剤として含むのが好ましい。これにより、カーボン粒子の集合体からなる安定した多孔質構造を有する親水性多孔質層とすることができる。なお、後述するように、導電性多孔質層に親水性高分子材料を用いた場合には、親水性高分子材料が結着剤としての役割も果たすため、親水性多孔質層は上記した結着剤を含んでいなくともよい。
前記固体高分子電解質としては、上述した電極触媒層において列挙したものと同様のものが好ましく挙げられる。前記結着剤として固体高分子電解質を用いる場合には、カーボン粒子表面は親水性に改質されているのが好ましい。
カーボン粒子を用いた親水性多孔質層における前記結着剤の含有量は、親水性多孔質層に対して、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%とするのがよい。前記含有量が、5質量%未満であると十分な強度を有する親水性多孔質層が得られない恐れがあり、70質量%を超えるとカーボン粒子の含有量が低下して親水性多孔質層の電子伝導性が低下する恐れがある。
前記カーボン繊維としては、アクリル繊維を原料とするPAN系炭素繊維;石油、ピッチまたはナフタレン系ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維;フェノール樹脂を原料とするフェノール系炭素繊維;レーヨン系炭素繊維;気相成長炭素繊維などが好ましく挙げられる。
前記導電性材料としてカーボン繊維を用いる場合、前記カーボン繊維は、織物、紙状抄紙体、不織布などシート状の基材として用いられる。これにより、多孔質構造を有する親水性多孔質層が得られる。前記基材は、前記カーボン繊維を用いて作製してもよく、または、前記カーボン繊維からなる基材として市販されているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、東レ株式会社製カーボンペーパTGPシリーズ、E−TEK社製カーボンクロス、SGLカーボン社製黒鉛繊維不織布などが挙げられる。
前記カーボン繊維を含む親水性多孔質層は、カーボン繊維の他に上述した結着剤が含まれていてもよい。前記結着剤が含まれることで、強度、親水性などをより向上させることができる。結着剤として親水性高分子材料を用いることもできる。
カーボン繊維を用いた親水性多孔質層における前記結着剤の含有量は、親水性多孔質層に対して、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%とするのがよい。前記含有量が、5質量%未満であると結着剤によって所望するほどの効果が得られない恐れがあり、70質量%を超えるとカーボン粒子の含有量が低下して親水性多孔質層の電子伝導性が低下する恐れがある。
少なくとも表面が親水性を有する導電性材料としては、具体的には、上述した導電性材料の表面に、親水性官能基を有するもの、親水性金属酸化物が担持されたもの、親水性高分子材料で被覆されてなるもの、などが好ましく挙げられる。
表面に親水性官能基を有する前記導電性材料において、前記親水性官能基としては、カルボキシル基、フェノール基、ケトン基、カルボニル基、キノン基、シアノ基などが好ましく挙げられる。前記親水性官能基は水分子の蒸気からの吸着を促進する活性サイトとして作用するとともに、吸着させた水分子間の水素結合を媒介として水の凝縮を促進することができる。これにより導電性材料表面の親水性を向上させることができる。
表面に親水性官能基を有する導電性材料としては、前記導電性材料を酸化処理したものが好ましく挙げられる。前記導電性材料の酸化処理は、例えば、過マンガン酸カリウム、硝酸、塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩、過酸化水素などを含む強酸化性水溶液による液相法;酸素ガス、水蒸気などによる気相法;プラズマ照射;水素と酸素を反応させて発生した水蒸気を利用するパイロジェニック法(水素燃焼);オゾン、窒素酸化物、空気などによる気相法など、従来公知の技術を用いて行えばよい。
このように酸化処理することで、例えば前記導電性材料としてカーボン材料を用いた場合には、カーボン材料表面のC−C結合の末端における親水性官能基量を増大させることができ、カーボン材料表面の親水性を向上させることができる。
次に、親水性金属酸化物が担持された導電性材料において、前記親水性金属酸化物としては、従来一般的なものであれば特に限定されず、チタニア、シリカ、アルミナの金属酸化物、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物などが好ましく挙げられる。また、前記親水性金属酸化物は、一種のみを用いてもよく、他の親水性金属酸化物の特性を損なわない範囲で二種以上を併用してもよい。
親水性金属酸化物が担持された導電性材料における前記親水性金属酸化物の担持量、分散性などは、所望の親水性、電子伝導性などを有する導電性材料が得られるように適宜決定すればよい。前記導電性材料における前記親水性金属酸化物の担持量は、前記導電性材料に対して、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%程度とすればよい。また、導電性材料の少なくとも一部に前記親水性金属酸化物が担持されていればよいが、前記導電性材料の表面全体が前記親水性金属酸化物で被覆されていてもよい。
次に、親水性高分子材料で被覆された導電性材料において、前記親水性高分子材料としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリビニルスルホン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシドなどが好ましく挙げられる。特に材料に対する付着結合性の点から、含フッ素親水性高分子の使用が有利である。このような含フッ素親水性高分子は、フッ素含有エチレン性不飽和モノマーと、フッ素を含まない親水基含有ビニルモノマーを共重合化させることにより得ることができる。フッ素含有モノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、モノクロロトリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。前記親水性高分子材料は、前記導電性材料表面を全て被覆していてもよいが、これに限定されず、前記導電性材料の少なくとも一部を被覆していればよい。親水性多孔質層における親水性高分子材料の含有量は、親水性多孔質層全体に対して、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは20〜50質量%とするのがよい。前記含有量が、5質量%未満であると十分な親水性を有する親水性多孔質層が得られない恐れがあり、70質量%を超えると親水性多孔質層内の空孔を閉塞する恐れがある。
少なくとも表面が親水性を有する導電性材料において、前記導電性材料は、上述した通り、カーボン粒子またはカーボン繊維が好ましく用いられるが、なかでも、カーボン粒子が特に好ましく用いられる。少なくとも表面が親水性を有するカーボン粒子を含む親水性多孔質層によれば、前記カーボン粒子の集合体により形成された多孔質構造が毛細管力により電極触媒層内の水を吸い取ることができ、電極触媒層内に過剰な水分が停留するのをより高く抑制できる。
親水性多孔質層の平均空孔径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.1μm程度とするのがよい。これにより、排水性およびガス拡散性の双方に優れる親水性多孔質層とすることができる。
親水性多孔質層の空隙率は、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜20%とするのがよい。前記空隙率が5%未満であると本発明の電極触媒層を用いてMEAなどを組立てた際に外部から供給された燃料ガスなどのガス拡散性が低下して電極触媒層の発電性能を低下させる恐れがあり、50%を超えると親水性多孔質層の機械的強度などが低下する恐れがある。
親水性多孔質層の厚さは、好ましくは5〜20μm、より好ましくは10〜15μmとするのがよい。前記厚さが5μm未満であると電極触媒層の排水性を十分に向上させることができない恐れがあり、20μmを超えると電極触媒層のガス透過性、排水性などが低下する恐れがある。
本発明の第二は、上述した片面に親水性多孔質層が配置されてなる電極触媒層を用いた燃料電池用MEAである。すなわち、カソード側電極触媒層およびアノード側電極触媒層が、固体高分子電解質膜の両面に対向して配置され、さらにこれを二枚のガス拡散層が挟持した燃料電池用MEAにおいて、カソード側電極触媒層および/またはアノード側電極触媒層が、本発明の第一の燃料電池用電極触媒層である燃料電池用MEA(以下、単に「MEA」とも記載する。)である。
上述した通り本発明の第一の電極触媒層は各種特性を有することから、前記電極触媒層を用いることにより発電性能および耐久性に優れるMEAが得られる。
前記MEAにおいて、本発明の第一の電極触媒層は、アノード側電極触媒層またはカソード側電極触媒層の少なくとも一方に用いられればよいが、生成水の量が多くフラッディング現象などを招き易いカソード側電極触媒層に少なくとも用いるのが好ましい。カソード側電極触媒層に本発明の第一の電極触媒層を用いた場合、アノード側電極触媒層には本発明の第一の電極触媒層の他、従来公知のアノード側電極触媒層を用いればよい。しかしながら、本発明の第一の電極触媒層は耐久性に優れることから、アノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層の双方に用いられるのがより好ましい。
また、前記MEAにおいて、本発明の第一の電極触媒層は、親水性多孔質層とガス拡散層とが接触するようにして配置される。これにより、電極触媒層から移動させた水をガス拡散層を介して外部へ排出させることができる。
前記MEAの構成は、本発明の第一の電極触媒層を用いる以外は、特に限定されることはなく従来公知の各種技術を適宜参照すればよい。従って、固体高分子電解質膜、ガス拡散層などに関する詳細な説明はここでは省略する。
本発明の第三は、上述したMEAを用いた燃料電池である。上述した本発明のガス拡散層またはMEAによれば、固体高分子電解質の劣化を抑制することができ、耐久性に優れる燃料電池を提供することが可能となる。
燃料電池の種類としては、所望する電池特性が得られるのであれば特に限定されないが、固体高分子電解質の劣化を抑制できることから固体高分子型燃料電池(PEFC)として用いるのが好ましい。
燃料電池の構造は、特に限定されず、MEAをセパレータなどで挟持した構造などが挙げられる。
セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、従来一般的なものであれば特に制限なく用いることができる。前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。また、空気と燃料ガスの流路を確保するためにガス流通溝が形成されてもよく、従来公知の技術を適宜利用することができる。セパレータの形状は、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下に、本発明の第一の電極触媒層に用いられる電極触媒の製造方法について説明する。なお、下記に示す製造方法は本発明の一実施形態を示したに過ぎず、本発明における電極触媒の製造方法が下記製造方法に限定されない。
本発明の電極触媒の製造方法としては、特に制限されないが、白金合金を導電性担体上に担持させた後、前記白金合金が担持された導電性担体と磁性材料とを混合させる方法などが用いられる。
まず、白金合金を導電性担体上に担持させる方法としては、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの従来公知の方法を用いて行えばよい。白金合金を導電性担体上に担持させる方法として、以下に一例を示すが、下記方法に限定されるわけではない。
まず、白金化合物を水または水とアルコールとの混合溶媒に溶解させ、これに導電性担体を分散させた後、還元剤を添加することにより、導電性担体上に白金粒子を担持させる。次に、白金と合金化させる金属化合物を水または水とアルコールとの混合溶媒に溶解させ、これに白金粒子が担持された前記導電性担体を分散させた後、得られた混合液を蒸発乾固することにより、溶媒を除去するとともに白金と合金化させる金属粒子を導電性担体表面に析出させ、その後、白金および合金化させる金属粒子が担持された導電性担体を焼成する。
前記白金化合物としては、特に制限されないが、白金の硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、アミン、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン塩、亜硝酸塩、蓚酸などの無機塩類、ギ酸塩などのカルボン酸塩および水酸化物、アルコキサイド、酸化物などが例示でき、これらを溶解する溶媒の種類やpHなどによって適宜選択することができる。
前記還元剤としては、特に制限されないが、水素、ホウ素化水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、酢酸などの有機酸またはその塩、水素化ホウ素ナトリウム、蟻酸、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレン、一酸化炭素等が挙げられる。前記白金化合物を含む溶液に前記還元剤を添加した後は、還流反応装置などを用いて20〜100℃に加熱して、白金の還元担持を行えばよい。
白金粒子が担持された導電性担体は、溶液から濾別し、乾燥させる。乾燥方法としては、真空乾燥、自然乾燥、ロータリーエバポレータ、沿送風乾燥機による乾燥など、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。乾燥時間などは、使用する方法に応じて適宜決定すればよい。
白金と合金化させる前記金属化合物としては、特に制限されないが、白金と合金化させる金属の硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、オキシ硝酸塩、ハロゲン化物、金属錯体塩などが挙げられる。また、白金と合金化させる前記金属としては、好ましくは、クロム、鉄、コバルト、および、ニッケルからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属が挙げられる。
蒸発乾固条件としては特に制限されるものではなく、用いられた溶媒の種類などに応じて適宜決定される。例えば、溶媒が水の場合には、混合液をロータリーエバポレータ等で適当に攪拌等しながら90℃程度以下で、溶媒である水分が完全に蒸発するまで加熱を続ければよい。90℃を超える場合には、溶媒が急激に蒸発するため、一部の導電性担体に金属粒子が偏析する恐れがある。また、溶媒の蒸発は、減圧乾燥器などを用いて減圧環境下で行っても良い。
白金および合金化させる金属粒子が担持された導電性担体の焼成条件としては、特に限定されないが、大気中、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気中、または水素のような可燃性ガスを含んだ還元雰囲気中で、300〜1000℃で、1〜6時間程度、行えばよい。焼成を行うことにより、導電性担体上に担持された白金粒子および金属粒子を合金化させることができる。
得られる電極触媒において白金合金の担持量、平均粒子径などが所望の値となるように、白金化合物、還元剤、および金属化合物の添加量、還元反応や焼成時における時間、温度などを適宜調整するとよい。
上記方法の他、白金化合物を水または水とアルコールとの混合溶媒に溶解させ、これに導電性担体を分散させた後、還元剤を添加し、白金粒子が担持された導電性担体を濾別せずに、前記溶液に白金と合金化させる金属化合物をさらに添加し、得られた混合液を蒸発乾固させる方法などであってもよい。また、白金粒子と、合金化させる金属粒子を担持させる順序は、特に制限されず、合金化させる金属粒子を導電性担体に担持させた後、白金粒子を担持させる順序であってもよい。
上述の通りにして、白金合金が担持された導電性担体を、磁性材料と混合することにより電極触媒が得られる。前記混合は、攪拌子や攪拌羽根、ホモジナイザーによる機械的攪拌手段、噴流等による攪拌手段、超音波処理など、従来一般的な方法を用いて行えばよい。磁性材料については、上述した通りである。
また、燃料電池の電極触媒層の作製に用いられる触媒インクを調整する際に、前記導電性担体と磁性材料を混合し、攪拌などすることによって、前記触媒インク中で本発明の電極触媒を得ることもできる。前記触媒インクとは、後述する実施例において記載する通りであるが、固体高分子電解質を含む溶液に、電極触媒など電極触媒層を構成する材料を添加したスラリーのことである。
前記混合の際に用いる磁性材料は未磁化のものを用いてもよく、上記した混合を行うことで、白金合金が担持された前記導電性担体を前記磁性材料上に付着させることができる。その後、特に制限されないが、前記電極触媒を用いて作製した電極触媒層を、電磁石などにより磁化させることで前記磁性材料を磁化させてもよい。
磁性材料は、磁力線を通す物質で被覆されていてもよく、被覆方法としては希土類系永久磁石などの磁性材料表面に樹脂被膜を形成する一般的な方法を用いて行えばよい。例えば、被膜成分となるポリアミド樹脂を有機溶剤に溶解して調製した塗液を電着塗装法、スプレー塗装法、浸漬塗装法、ロールコート法などによって磁性材料の表面に塗布した後、熱処理を行う方法、蒸気重合法などが挙げられる。その後、磁力線を通す物質で被覆された磁性材料と白金合金が担持された導電性担体とを混合すればよい。
また、遷移金属窒化物膜や遷移金属酸化物膜などの無機化合物により磁性材料を被覆するには、電解又は無電解めっき、アルミイオンプレーティング、アルミクロメート処理、化成処理、所望する金属のアルコキシド化合物を含む溶液を用いたゾルゲル成膜方法、等を用いて、ニッケル等を被覆すればよい。
以下に、片面に親水性多孔質層が配置されてなる本発明の第一の燃料電池用電極触媒層の製造方法について説明する。なお、下記に示す製造方法は本発明の一実施形態を示したに過ぎず、本発明の電極触媒層の製造方法が下記製造方法に限定されない。
片面に、親水性多孔質層が配置されてなる本発明の第一の燃料電池用電極触媒層の製造方法は、固体高分子電解質と、白金合金が担持されてなる導電性担体がさらに磁性材料に担持されてなる電極触媒とを含むスラリー(A)を基材上に塗布および乾燥させることにより電極触媒層を作製する工程と、酸化処理されたまたは親水性金属酸化物が担持されたカーボン粒子および結着剤を含むスラリー(B)を前記電極触媒層上に塗布および乾燥させることにより、前記電極触媒層上に親水性多孔質層を作製する工程と、を有する方法などが好ましく用いられる。かような方法は、親水性多孔質層において少なくとも表面が親水性を有する導電性材料として、酸化処理されてなるカーボン粒子、または、親水性金属酸化物が担持されたカーボン粒子を用いた場合に好ましく用いられる。
まず、電極触媒層を作製する工程において、前記スラリー(A)は、固体高分子電解質を水やアルコール系溶媒に混合させた溶液に、電極触媒など電極触媒層を構成する材料を添加することにより作製できる。前記固体高分子電解質および前記電極触媒については、本発明の第一において記載した通りである。
前記スラリー(A)を塗布する基材としては、MEAに用いられる固体高分子電解質膜、PTFE製シート等の離型シートなどが挙げられる。
前記スラリー(A)を固体高分子電解質膜上に塗布および乾燥させる方法は、従来の電極触媒層の製造方法として公知の方法を用いればよい。
次に、前記スラリー(B)は、表面が親水性を有するカーボン粒子および結着剤を、水、および/または、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることにより得られる。表面が親水性を有するカーボン粒子および結着剤については、本発明の第一において記載した通りである。
表面が親水性を有するカーボン粒子は、前記カーボン粒子を酸化処理する、または、前記カーボン粒子表面に親水性金属酸化物を担持させる、ことにより得られる。
カーボン粒子を酸化処理するには公知の方法を用いればよい。例えば、強酸化性水溶液を用いた液相法により酸化処理するには、強酸化性水溶液に、カーボン粒子を所定時間、浸漬させるなどすればよい。この際、前記強酸化性水溶液の温度、硝酸などの酸の濃度、浸漬時間などは適宜調製すればよい。気相法により酸化処理するには、350〜400℃の酸素ガス雰囲気下、または700〜1000℃の水蒸気中などで、前記カーボン粒子を酸化処理すればよい。また、プラズマ照射により前記カーボン粒子を酸化処理するには、従来一般的な装置を用いて行えばよく、簡便には常温常圧の空気中で放電するコロナ放電処理装置などを用いて行えばよい。
また、カーボン粒子に親水性金属酸化物を担持させるには、例えば、気相から薄膜を得るCVD法、金属アルコキシドを加水分解して金属酸化物を得るゾルゲル法、有機系金属錯体を熱分解する方法等、従来公知の方法を用いて行えばよい。
前記スラリー(B)を先に作製した電極触媒層上に塗布するには、フローコーティング法、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法など公知の方法を用いて行えばよい。塗布した前記スラリー(B)を乾燥させるには、真空乾燥、自然乾燥、ロータリーエバポレータ、沿送風乾燥機による乾燥など、公知の方法を用いればよく特に限定されない。乾燥時間などは、使用する方法に応じて適宜決定すればよい。
電極触媒層を作製する際に用いた基材が、PTFE製シートなどの離型フィルムを用いた場合には、前記電極触媒層上に親水性多孔質層を作製した後、前記離型フィルムを剥がせばよい。また、前記基材として、固体高分子電解質膜を用いた場合には、固体高分子電解質膜上に作製した親水性多孔質層を有する電極触媒層をそのままMEAなどに用いることができる。
また、片面に親水性多孔質層が配置されてなる本発明の第一の燃料電池用電極触媒層の製造方法として、上述した方法の他、固体高分子電解質と、白金合金が担持されてなる導電性担体がさらに磁性材料に担持されてなる電極触媒とを含むスラリー(A)を基材上に塗布および乾燥させることにより電極触媒層を作製する工程と、カーボン粒子および親水性高分子材料を含むスラリー(C)を前記電極触媒層上に塗布および乾燥させことにより、前記電極触媒層上に親水性多孔質層を作製する工程と、を有する方法なども好ましく用いられる。かような方法は、親水性多孔質層において少なくとも表面が親水性を有する導電性材料として、親水性高分子材料で被覆されてなるカーボン粒子を用いた場合に好ましく用いられる。
電極触媒層を作製する工程は、上記した方法と同様にして行えばよい。
前記スラリー(C)は、カーボン粒子および親水性高分子材料を、水、および/または、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることにより得られる。前記スラリー(C)には、さらに、結着剤が含まれていてもよい。なお、カーボン粒子、親水性高分子材料、および結着剤については本発明の第一において記載した通りである。
前記スラリー(C)を前記電極触媒層上に塗布および乾燥する方法は、前記スラリー(B)を塗布および乾燥する方法として上記したのと同様にして行えばよい。
また、片面に親水性多孔質層が配置されてなる本発明の第一の燃料電池用電極触媒層の製造方法は、電極触媒層上に親水性多孔質層を直接作製する上述した方法の他に、親水性多孔質層を別途作製した後、電極触媒層と接合する方法なども好ましく用いられる。すなわち、固体高分子電解質と、白金合金が担持されてなる導電性担体が、さらに磁性材料に担持されてなる電極触媒とを含むスラリー(A)を基材(A)上に塗布および乾燥させることにより電極触媒層を作製する工程と、酸化処理または親水性金属酸化物が担持されたカーボン粒子および結着剤を含むスラリー(B)を基材(B)上に塗布および乾燥させることにより親水性多孔質層を作製する工程と、前記電極触媒層と前記親水性多孔質層とを接合する工程と、を有する方法なども好ましく用いられる。前記方法も、親水性多孔質層において少なくとも表面が親水性を有する導電性材料として、酸化処理されてなるカーボン粒子、または、親水性金属酸化物が担持されたカーボン粒子を用いた場合に好ましく用いられる。
前記方法において、前記電極触媒層を作製する工程、および、表面が親水性を有する導電性材料および結着剤を含むスラリー(B)については上述した方法と同様である。
前記スラリー(B)を塗布する基材としては、MEAに用いられるガス拡散層、PTFE製シートなどの離型シート等が用いられる。また、前記スラリー(B)を塗布および乾燥させる方法は、上記したのと同様の方法を用いればよい。
電極触媒層と親水性多孔質層との接合は、電極触媒層と親水性多孔質層とを接触させた後、ホットプレスなどを用いて接合すればよい。基材(A)および/または基材(B)にPTFE製シートなどの離型シートを用いた場合には、接合した後に前記基材(A)および/または基材(B)を剥がせばよい。また、基材(A)および/または基材(B)に、固体高分子電解質膜および/またはガス拡散層を用いた場合には、固体高分子電解質膜および/またはガス拡散層と電極触媒層と親水性多孔質層とを有する接合体をそのまたMEAに用いることができる。
前記ホットプレスは、好ましくは110〜170℃で、触媒塗布面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行うのがよい。また、プレス時間は、特に制限されないが、1〜10分程度で十分である。
さらに、親水性多孔質層において少なくとも表面が親水性を有する導電性材料として、親水性高分子材料で被覆されてなるカーボン粒子を用いる場合には、親水性多孔質層を別途作製した後、電極触媒層と接合する本発明の第一の燃料電池用電極触媒層の製造方法として上記した方法において、前記スラリー(B)に代わってカーボン粒子および親水性高分子材料を含むスラリー(C)を用いればよい。また、前記スラリー(C)の調製方法としては、上記した通りである。
また、親水性多孔質層における導電性材料としてカーボン繊維を用いた場合には、表面が親水性を有するカーボン繊維を含む親水性多孔質層を、上記と同様にして作製した電極触媒層上に積層すればよい。その後、ホットプレスなどにより前記電極触媒層と前記カーボン繊維からなる基材との接合性を高めてもよい。
前記表面が親水性を有するカーボン繊維を含む親水性多孔質層は、予め表面が親水性を有するカーボン繊維を用いてシート状に成形することにより得られる。
表面が親水性を有するカーボン繊維については、本発明の第一において記載した通りである。カーボン繊維表面を酸化処理または親水性金属酸化物の担持により親水性に改質するには、カーボン粒子表面を親水性に改質する上記したのと同様の方法を用いて行えばよい。
また、カーボン繊維表面を親水性高分子材料で被覆することにより親水性に改質するには、親水性高分子材料を、水、および/または、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させた溶液を用いて、前記カーボン繊維を湿潤させた後、乾燥させる方法などが用いられる。前記親水性高分子材料を含む溶液を用いて前記カーボン繊維を湿潤させるには、前記溶液中に前記カーボン繊維を浸漬させる方法などを用いればよい。親水性高分子材料で湿潤された前記カーボン繊維を乾燥させるには、真空乾燥、自然乾燥、ロータリーエバポレータ、沿送風乾燥機による乾燥など、公知の方法を用いればよく特に限定されない。乾燥時間などは、使用する方法に応じて適宜決定すればよい。
前記親水性多孔質層は、親水性を有しないカーボン繊維をシート状に成形させた後、得られた成型体に、酸化処理または親水性金属酸化物を担持させることによっても得られる。前記成型体に酸化処理または親水性金属酸化物を担持させるには、カーボン粒子表面を親水性に改質する上記したのと同様の方法を用いて行えばよい。
また、親水性高分子材料を含む溶液を用いて、前記成型体を湿潤させた後、乾燥させることによって、前記成型体に含まれるカーボン繊維を、親水性高分子材料で被覆することができる。前記親水性高分子材料を含む溶液を用いて前記成型体を湿潤させるには、前記溶液中に前記成型体を浸漬させる方法、前記溶液を前記成型体に塗布する方法などを用いればよい。親水性高分子材料で湿潤された前記成型体を乾燥させるには、上記と同様に行えばよい。
前記親水性多孔質層に結着剤を含ませる場合には、結着剤を水、および/または、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させた溶液を用いて、前記表面が親水性を有するカーボン繊維を含む親水性多孔質層を湿潤させた後、乾燥させる方法などが用いられる。なお、結着剤を含む溶液を用いて前記親水性多孔質層を湿潤および乾燥させる方法は、親水性高分子材料を含む溶液を用いる上記方法と同様にして行えばよい。結着剤については、本発明の第一において記載した通りである。
上記の通りにして作製した電極触媒層と親水性多孔質層とをホットプレスにより接合性を高めるには、電極触媒層と親水性多孔質層とを接触させた後、ホットプレスなどを用いて接合すればよい。前記ホットプレスは、好ましくは110〜170℃で、触媒塗布面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行うのがよい。また、プレス時間は、特に制限されないが、1〜10分程度で十分である。
本発明の第一の電極触媒層を用いたMEAの製造方法としては、従来公知の方法に従って行えばよい。例えば、一例を挙げると、上記の通りにして作製した片面に親水性多孔質層を有する電極触媒層を、固体高分子電解質膜の両側に前記親水性多孔質層を外側にして配置した後、これをさらに二枚のガス拡散層を用いて挟持してホットプレスする方法などが用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。本発明は、下記実施例のみに限定されることはない。
1.電極触媒の作製
(1)白金担持工程
0.5質量%の白金を含有するジニトロジアミン白金水溶液200gに、導電性担体(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製 ケッチェンブラックEC、比表面積800m2/g、平均粒子径30nm)1gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、これに還元剤としてエタノール50mlを加え、超音波分散を10分間行った後、得られたスラリーをセパラブルフラスコに入れ、90℃に加熱し、6時間保持した。続いて自然放冷させた後、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間、乾燥させることにより、白金粒子(平均粒子径2.3nm)が50質量%担持された導電性担体を得た。
(1)白金担持工程
0.5質量%の白金を含有するジニトロジアミン白金水溶液200gに、導電性担体(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製 ケッチェンブラックEC、比表面積800m2/g、平均粒子径30nm)1gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、これに還元剤としてエタノール50mlを加え、超音波分散を10分間行った後、得られたスラリーをセパラブルフラスコに入れ、90℃に加熱し、6時間保持した。続いて自然放冷させた後、ろ過および洗浄を3回繰り返し、80℃で6時間、乾燥させることにより、白金粒子(平均粒子径2.3nm)が50質量%担持された導電性担体を得た。
(2)コバルト担持工程
0.1質量%のコバルトを含有する硝酸コバルト水溶液に、上記工程(1)で得られたPt担持導電性担体を投入し、十分に攪拌させた後、超音波を10分間照射した。得られた混合液を、ロータリーエバポレータを使用してナスフラスコに入れ、ウォーターバス温度を90℃とし、0.04Mpaまで減圧し攪拌を行いながら、混合溶液を十分蒸発乾固した。その後、得られた固形物を不活性ガス雰囲気下、800℃、6時間、焼成することにより、Pt−Co合金担持導電性担体を得た。なお、得られたPt−Co合金担持導電性担体において、Pt−Co合金は、平均粒子径0.01μm、担持量52質量%、Ptに対するCoの質量比(Pt:Co)が3:1であった。
0.1質量%のコバルトを含有する硝酸コバルト水溶液に、上記工程(1)で得られたPt担持導電性担体を投入し、十分に攪拌させた後、超音波を10分間照射した。得られた混合液を、ロータリーエバポレータを使用してナスフラスコに入れ、ウォーターバス温度を90℃とし、0.04Mpaまで減圧し攪拌を行いながら、混合溶液を十分蒸発乾固した。その後、得られた固形物を不活性ガス雰囲気下、800℃、6時間、焼成することにより、Pt−Co合金担持導電性担体を得た。なお、得られたPt−Co合金担持導電性担体において、Pt−Co合金は、平均粒子径0.01μm、担持量52質量%、Ptに対するCoの質量比(Pt:Co)が3:1であった。
(3)磁性材料被覆工程
ポリアミドを、m−クレゾールと塩化メチレンの混合溶媒(混合比50:50)100mlに投入し30℃で約2時間撹拌することによりポリアミド樹脂溶液を得た。次に、磁性材料としてNd−Fe−B系粒子を用い、これを前記樹脂溶液に浸漬させた後、浸漬浴から取出し、室温で乾燥させ、さらに、大気中300℃で加熱硬化させた後、室温まで放冷することにより、ポリイミド樹脂膜で被覆された前記磁性材料を得た。
ポリアミドを、m−クレゾールと塩化メチレンの混合溶媒(混合比50:50)100mlに投入し30℃で約2時間撹拌することによりポリアミド樹脂溶液を得た。次に、磁性材料としてNd−Fe−B系粒子を用い、これを前記樹脂溶液に浸漬させた後、浸漬浴から取出し、室温で乾燥させ、さらに、大気中300℃で加熱硬化させた後、室温まで放冷することにより、ポリイミド樹脂膜で被覆された前記磁性材料を得た。
2.電極触媒層の作製
上記で作製したPt−Co合金担持導電性担体と、ポリイミド樹脂膜で被覆された磁性材料と、Nafion(登録商標)/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、DE−520、Nafion5wt%含有)と、水とを、質量比で10:20:20:50となるように混合し、超音波照射することにより、前記磁性材料にPt−Co合金担持導電性担体を付着させるとともに触媒インクを調製した。次に、得られた触媒インクを、PTFE製シート上に、ダイコーター法により塗布し、風乾することにより、前記PTFE製シート上に電極触媒層(厚さ10μm、大きさ60mm×60mm)を作製した。
上記で作製したPt−Co合金担持導電性担体と、ポリイミド樹脂膜で被覆された磁性材料と、Nafion(登録商標)/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、DE−520、Nafion5wt%含有)と、水とを、質量比で10:20:20:50となるように混合し、超音波照射することにより、前記磁性材料にPt−Co合金担持導電性担体を付着させるとともに触媒インクを調製した。次に、得られた触媒インクを、PTFE製シート上に、ダイコーター法により塗布し、風乾することにより、前記PTFE製シート上に電極触媒層(厚さ10μm、大きさ60mm×60mm)を作製した。
3.親水性多孔質層の作製
カーボン粒子(ケッチェンブラックEC)2.0gを、50℃の10質量%硝酸水溶液に8時間浸漬した後、蒸留水で十分に洗浄して乾燥させることにより、表面が酸化処理されたカーボン粒子を得た。酸化処理されたカーボン粒子1.0gと、Nafion(登録商標)/イソプロピルアルコール溶液(Nafion5wt%含有)10gと、を混合し、得られたスラリーをPTFE製シート上にスクリーンプリンターを用いて塗布し、オーブン中で50℃、6h以上乾燥させ、一辺50mmの正方形に切り出すことにより、PTFE製シート上に親水性多孔質層(厚さ5μm、大きさ50mm×50mm)を得た。
カーボン粒子(ケッチェンブラックEC)2.0gを、50℃の10質量%硝酸水溶液に8時間浸漬した後、蒸留水で十分に洗浄して乾燥させることにより、表面が酸化処理されたカーボン粒子を得た。酸化処理されたカーボン粒子1.0gと、Nafion(登録商標)/イソプロピルアルコール溶液(Nafion5wt%含有)10gと、を混合し、得られたスラリーをPTFE製シート上にスクリーンプリンターを用いて塗布し、オーブン中で50℃、6h以上乾燥させ、一辺50mmの正方形に切り出すことにより、PTFE製シート上に親水性多孔質層(厚さ5μm、大きさ50mm×50mm)を得た。
上記の通りにして作製した電極触媒層および親水性多孔質層を接触させて積層した後、片側PTFE製シートあたり2.0MPaの圧力で、130℃、10分間ホットプレスし、冷却後PTFE製シートのみを剥がすことで、片面に親水性多孔質層を有する電極触媒層を得た。
本発明の耐久性および発電性能に優れる燃料電池用電極触媒層によれば、長期に亘って高い発電性能を発揮することができる燃料電池を提供することが可能である。
101…導電性担体、102…白金合金、103…磁性材料、210…電極触媒層、220…親水性多孔質層。
Claims (13)
- 電極触媒と、固体高分子電解質とを含む燃料電池用電極触媒層であって、
前記電極触媒が、白金合金が担持されてなる導電性担体が、さらに磁性材料に担持されてなるものであり、
前記燃料電池用電極触媒層の片面に、親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層。 - 前記白金合金が、クロム、鉄、コバルト、および、ニッケルからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属と、白金との合金である請求項1記載の燃料電池用電極触媒層。
- 前記導電性担体が、100〜1600m2/gの比表面積を有する請求項1または2のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒層。
- 前記磁性材料が、永久磁石である請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒層。
- 前記磁性材料が、磁力線を通す物質で被覆されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒層。
- 前記親水性多孔質層は、少なくとも表面が親水性を有する導電性材料を含む請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒層。
- 前記少なくとも表面が親水性を有する導電性材料は、親水性官能基を有する導電性材料、親水性金属酸化物が担持されてなる導電性材料、および、親水性高分子材料で被覆される導電性材料からなる群から選択される少なくとも一種である請求項6記載の燃料電池用電極触媒層。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒層を用いた燃料電池用MEA。
- 請求項8記載の燃料電池用MEAを用いた燃料電池。
- 固体高分子電解質と、白金合金が担持されてなる導電性担体がさらに磁性材料に担持されてなる電極触媒とを含むスラリー(A)を基材上に塗布および乾燥させることにより電極触媒層を作製する工程と、
酸化処理されたまたは親水性金属酸化物が担持されたカーボン粒子および結着剤を含むスラリー(B)を前記電極触媒層上に塗布および乾燥させることにより、前記電極触媒層上に親水性多孔質層を作製する工程と、
を有する、片面に親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層の製造方法。 - 固体高分子電解質と、白金合金が担持されてなる導電性担体がさらに磁性材料に担持されてなる電極触媒とを含むスラリー(A)を基材上に塗布および乾燥させることにより電極触媒層を作製する工程と、
カーボン粒子および親水性高分子材料を含むスラリー(C)を前記電極触媒層上に塗布および乾燥させことにより、前記電極触媒層上に親水性多孔質層を作製する工程と、
を有する、片面に親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層の製造方法。 - 固体高分子電解質と、白金合金が担持されてなる導電性担体がさらに磁性材料に担持されてなる電極触媒とを含むスラリー(A)を基材(A)上に塗布および乾燥させることにより電極触媒層を作製する工程と、
酸化処理されたまたは親水性金属酸化物が担持されたカーボン粒子および結着剤を含むスラリー(B)を基材(B)上に塗布および乾燥させることにより親水性多孔質層を作製する工程と、
前記電極触媒層と前記親水性多孔質層とを接合する工程と、
を有する、片面に親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層の製造方法。 - 固体高分子電解質と、白金合金が担持されてなる導電性担体がさらに磁性材料に担持されてなる電極触媒とを含むスラリー(A)を基材(A)上に塗布および乾燥させることにより電極触媒層を作製する工程と、
カーボン粒子および親水性高分子材料を含むスラリー(C)を基材(B)上に塗布および乾燥させることにより親水性多孔質層を作製する工程と、
前記電極触媒層と前記親水性多孔質層とを接合する工程と、
を有する、片面に親水性多孔質層を有する燃料電池用電極触媒層の製造方法。
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