JP5393079B2 - メタセシス反応のための触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、遷移金属−カルベン錯体触媒、それらの調製法、およびメタセシス反応、特にニトリルゴムのメタセシスのための触媒作用としてのそれらの使用に関する。
メタセシス反応は広く各種の化学合成、たとえば、閉環メタセシス(RCM)、交叉メタセシス(CM)、開環メタセシス(ROM)、開環メタセシス重合(ROMP)、環式ジエンメタセシス重合(ADMET)、自己メタセシス、アルケンとアルキンとの反応(エンイン反応)、アルキンの重合、およびカルボニルのオレフィン化などの形態で使用されている((特許文献1)および(非特許文献1))。メタセシス反応は、たとえば、オレフィンの合成のため、ノルボルネン誘導体の開環重合のため、不飽和ポリマーの解重合のため、およびテレケリックポリマーの合成のために採用されている。
公知の金属−カルベン錯体においては、そのカルベン基は各種の構造を有している。(特許文献2)および(特許文献1)には、たとえば、基本的に次の構造を有するメタセシス触媒が開示されている:
Figure 0005393079
[式中、Mがオスミウムまたはルテニウムであり、RおよびRが、広い範囲の構造を有する有機基であり、XおよびXが、アニオン性配位子であり、LおよびLが、電荷を持たない電子供与体である]。文献においては、そのようなメタセシス触媒において慣用される「アニオン性配位子」という用語は、金属中心から個別に見た場合に、閉じた電子殻に対して負に荷電している配位子を指している。
このタイプの化合物の代表する1つの特定なものが、「グラブス(I)触媒」として知られる化合物である:
Figure 0005393079
さらに、(特許文献3)には、当該技術分野で「グラブス(II)触媒」と呼ばれている、一群の触媒が開示されている。
Figure 0005393079
(特許文献4)にはさらに、下記に示すようなタイプのメタセシス触媒が開示されているが、これは文献においては、「ホベイダ触媒」とも呼ばれている。
Figure 0005393079
(特許文献5)にはさらに、下記に示すようなタイプのメタセシス触媒が開示されているが、これは文献においては、「グレラ触媒」とも呼ばれている。
Figure 0005393079
さらに、(特許文献6)には、六配位錯体触媒が開示されているが、これは「グラブス(III)触媒」の名称で知られている。
Figure 0005393079
さらに、その中のカルベン基の炭素原子の上に位置する2つの置換基が架橋されている触媒も公知である。
Figure 0005393079
ヒュルストナー(Fuerstner)ら((非特許文献2))によれば、上述のタイプの化合物の第一の代表的なものは、ヒル(Hill)ら((非特許文献3))によって調製されたが、彼らは当初、その反応生成物に誤った構造を当てはめていた。その正しい構造は、ヒュルストナー(Fuerstner)らによって決められた((非特許文献4))。この触媒が、先にヒル−ヒュルストナー触媒として挙げたものである。この触媒の誘導体で、ホスフィン配位子に代えてNHC配位子を含んでいるものが、ノラン(Nolan)によって(特許文献7)に記載された。ノラン(Nolan)によって記載されたそれらの誘導体は、交叉メタセシスによってさらにルテニウム−カルベン錯体を合成するための出発物質としても好適である((特許文献8))。
(特許文献9)の8ページ、段落[0087]に、基RとRが架橋された(それらによって得られた環式基が脂肪族または芳香族であってよい)カルベン配位子を有し、置換基またはヘテロ原子を含む触媒が記載されている。この環式基は典型的には、4〜12個、好ましくは5〜8個の環原子を有するとの記載がある。そのような環式基の明らかな例は記載されておらず、自明にはなっていない。
カルベン基の炭素原子の上に位置する2つの置換基が架橋されているようなその他の触媒は、現在のところ知られていない。
(特許文献1)、7ページ、39〜40行に、グラブスによって、RuCl(=CHR)(PPhを9−ジアザフルオレンと反応させようとしたが、成功しなかったという記述がある。彼は、「しかしながら、RTにおいては、ジフェニルジアゾメタンまたは9−ジアザフルオレンとの反応は観察されなかった」と書いている。
Figure 0005393079
国際公開第97/06185号パンフレット 国際公開第96/04289号パンフレット 国際公開第00/71554号パンフレット 米国特許出願公開第2002/0107138A1 国際公開第2004/035596号パンフレット 国際公開第03/011455号パンフレット 国際公開第00/15339号パンフレット 国際公開第2004/112951号パンフレット 米国特許出願公開第2003/0100776号明細書 Platinum Metals Rev.、2005、49(3)、123〜137 Chem.Eur.J.、2001、7、No.22、4811〜4820 K.J.ハーロウ(K.J.Harlow)、A.F.Hill(A.F.ヒル)、J.D.E.T.ウィルトン−エリー(J.D.E.T.Wilton−Ely)、J.Chem.Soc.、Dalton Trans.、1999、285〜291 J.Org.Chem.、1999、64、8275〜8280
多くの用途の可能性があるために、メタセシス反応のための新規な触媒に対する要望は、依然として強い。
本発明においては、意外にも、フルオレニル配位子を有し、メタセシス反応のための触媒として使用することが可能な新規な遷移金属錯体触媒を、特定の反応パラメーターを適用することで合成することが可能であることが見出された。
本発明は、一般的な構造要素(I)(ここで「」印を付けた炭素原子は、1個または複数の二重結合を介して触媒骨格に結合されている)を含むルテニウム−またはオスミウム−カルベン錯体触媒を提供するが、
Figure 0005393079
および
〜Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、チオール、CF、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオシアノ、イソシアナト、カルボジイミド、カルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、アミノ、アミド、イミノ、シリル、スルホネート(−SO )、−OSO 、−PO もしくはOPO 、またはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボキシレート、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、ジアルキルアミノ、アルキルシリル、またはアルコキシシリルであるが、ここで、それらの基は、それぞれ場合によっては、1種または複数のアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールまたはヘテロアリール基によって置換されているか、またはそれに代えて、基R〜Rからの2個の直接隣り合った基が、それらが結合されている環の炭素と一緒になって、架橋によって、環式基、好ましくは芳香族系を形成するか、またはそれに代えて、Rが、適切であるならば、ルテニウム−またはオスミウム−カルベン錯体触媒の他の配位子に架橋されていてもよく、
mが、0または1であり、そして
Aが、酸素、硫黄、C(R10)、N−R11、−C(R12)=C(R13)−、−C(R12)(R14)−C(R13)(R15)−であるが、ここでR〜R15は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、基R〜Rの意味合いの1つを有している。
本特許出願および発明の目的においては、以上または以下において述べる基、パラメーター、または説明の一般的な定義または好ましいとする定義はすべて、各種の方法で相互に組み合わせることができる、すなわち、それぞれの範囲と好ましい範囲の間でさらに組み合わせることができる。
各種のタイプのメタセシス触媒に関連して本特許出願の文脈において使用される「置換される」という用語は、指示された基または原子の上の水素原子が、それぞれの場合において、指示された基の1つで置換されたことを意味しているが、ただし、指示された原子の原子価が過剰であってはならず、またその置換で安定な化合物が得られなければならない。
本発明の触媒には、一般式(I)の構造要素が含まれるが、ここで、「」を付けた炭素原子は、1個または複数の二重結合を介して触媒骨格に結合されている。「」を付けた炭素原子が2個以上の二重結合を介して触媒骨格に結合されている場合には、それらの二重結合は集積されていても、あるいは共役されていてもよい。
したがって、一般式(I)の構造要素を有する本発明の触媒としては、たとえば一般式(IIa)および(IIb)のものが挙げられる。
Figure 0005393079
[式中、
Mが、ルテニウムまたはオスミウムであり、
およびXは同一であっても異なっていてもよいが、2個の配位子、好ましくはアニオン性配位子であり、
およびLが、同一であっても異なっていてもよい配位子、好ましくは電荷を持たない電子供与体であるが、ここでLが、それに代えて、基Rによって架橋されていてもよく、
nが、0、1、2または3、好ましくは0、1または2であり、
n’が1または2、好ましくは1であり、そして
〜R、m、およびAが、一般式(I)におけるのと同じ意味合いを有する]
一般式(IIa)を有する本発明による触媒の場合、一般式(I)の構造要素は、錯体触媒の中心金属に対して、1個の二重結合(n=0)または、2、3もしくは4個の集積二重結合(n=1、2または3の場合)を介して結合されている。一般式(IIb)を有する本発明による触媒の場合、一般式(I)の構造要素は、錯体触媒の金属に対して、共役二重結合を介して結合されている。いずれの場合においても、錯体触媒の中心金属の方向で、「」を付けた炭素原子の上に二重結合が存在している。
したがって、上述の一般式(IIa)および(IIb)の触媒には、以下の一般的な構造要素(III)〜(IX)が、
Figure 0005393079
1個または複数の二重結合を介して「」を付けた炭素原子を介して、一般式(Xa)または(Xb)の触媒骨格に結合されている、触媒が包含される。
Figure 0005393079
[式中、XおよびX、LおよびL、n、n’、ならびにR〜R15は、一般式(IIa)および(IIb)において述べた一般的な意味合いを有している]
本発明のルテニウム−またはオスミウム−カルベン触媒は、典型的には、五配位である。
一般式(I)の構造要素において、
〜Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、チオール、CF、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオシアノ、イソシアナト、カルボジイミド、カルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、アミノ、アミド、イミノ、シリル、スルホネート(−SO )、−OSO 、−PO もしくはOPO 、またはアルキル、好ましくはC〜C20−アルキル、特にC〜C−アルキル、シクロアルキル、好ましくはC〜C20−シクロアルキル、特にC〜C−シクロアルキル、アルケニル、好ましくはC〜C20−アルケニル、アルキニル、好ましくはC〜C20−アルキニル、アリール、好ましくはC〜C24−アリール、特にフェニル、カルボキシレート、好ましくはC〜C20−カルボキシレート、アルコキシ、好ましくはC〜C20−アルコキシ、アルケニルオキシ、好ましくはC〜C20−アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、好ましくはC〜C20−アルキニルオキシ、アリールオキシ、好ましくはC〜C24−アリールオキシ、アルコキシカルボニル、好ましくはC〜C20−アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、好ましくはC〜C30−アルキルアミノ、アルキルチオ、好ましくはC〜C30−アルキルチオ、アリールチオ、好ましくはC〜C24−アリールチオ、アルキルスルホニル、好ましくはC〜C20−アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、好ましくはC〜C20−アルキルスルフィニル、ジアルキルアミノ、好ましくはジ(C〜C20−アルキル)アミノ、アルキルシリル、好ましくはC〜C20−アルキルシリル、またはアルコキシシリル、好ましくはC〜C20−アルコキシシリル基であるが、ここで、それらの基はすべて、場合によっては1種または複数のアルキル、ハロゲン、アルコキシ−、アリール−もしくはヘテロアリール基によって置換されていてもよく、それに代えて、基R〜Rからの2個の直接隣り合った基が、それらが結合されている環の炭素と一緒になって、架橋によって、環式基、好ましくは芳香族系を形成してもよく、またはそれに代えて、Rが、場合によっては、ルテニウム−またはオスミウム−カルベン錯体触媒の他の配位子に架橋されていてもよく、
mが、0または1であり、そして
Aが、酸素、硫黄、C(R)(R10)、N−R11、−C(R12)=C(R13)−、または−C(R12)(R14)−C(R13)(R15)−であるが、ここでR〜R15は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ基R〜Rにおけるのと同じ好ましい意味合いを有することができる。
〜C−アルキルは、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、またはn−ヘキシルである。
〜C−シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが包含される。
〜C24−アリールには、6〜24個の骨格炭素原子を有する芳香族基が包含される。6〜10個の骨格炭素原子を有する好適な単環式、2環式または3環式炭素環芳香族基としては、たとえば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントレニル、およびアントラセニルをあげることができる。
およびX
一般式(IIa)および(IIb)において、および一般式(Xa)および(Xb)と同様に、XおよびXは、たとえば、水素、ハロゲン、擬ハロゲン、直鎖状または分岐状のC〜C30−アルキル、C〜C24−アリール、C〜C20−アルコキシ、C〜C24−アリールオキシ、C〜C20−アルキルジケトネート、C〜C24−アリールジケトネート、C〜C20−カルボキシレート、C〜C20−アルキルスルホネート、C〜C24−アリールスルホネート、C〜C20−アルキルチオール、C〜C24−アリールチオール、C〜C20−アルキルスルホニル、またはC〜C20−アルキルスルフィニル基であってよい。
上述の基XおよびXは、1種または複数のさらなる基、たとえばハロゲン、好ましくはフッ素、C〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシまたはC〜C24−アリールによって置換されていてもよく、これらの基がさらに、ハロゲン、好ましくはフッ素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよびフェニルからなる群から選択される1種または複数の置換基によって置換されていてもよい。
好ましい実施態様においては、XおよびXは同一であっても異なっていてもよく、それぞれが、ハロゲン特に、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素、ベンゾエート、C〜C−カルボキシレート、C〜C−アルキル、フェノキシ、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオール、C〜C24−アリールチオール、C〜C24−アリールまたはC〜C−アルキルスルホネートである。
特に好ましい実施態様においては、XおよびXが同一であって、それぞれ、塩素、CFCOO、CHCOO、CFHCOO、(CHCO、(CF(CH)CO、(CF)(CHCO、PhO(フェノキシ)、MeO(メトキシ)、EtO(エトキシ)、トシレート(p−CH−C−SO)、メシレート(2,4,6−トリメチルフェニル)またはCFSO(トリフルオロメタンスルホネート)である。
配位子LおよびL
一般式(IIa)および(IIb)において、ならびに同様にして一般式(Xa)および(Xb)において、LおよびLは同一であっても異なっていてもよい配位子、好ましくは電荷を持たない電子供与体である。
2個の配位子LおよびLは、たとえば、それぞれ、互いに独立して、ホスフィン、スルホネート化ホスフィン、ホスフェート、ホスフィナイト、ホスホナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン、チオエーテルまたはイミダゾリジン(「Im」)配位子とすることができる。
好ましくは、2個の配位子LおよびLはそれぞれ、互いに独立して、式P(Lのホスフィン配位子(ここで、基Lは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキル、好ましくはC〜C10−アルキル、特に好ましくはC〜C−アルキル、シクロアルキル、好ましくはC〜C20−シクロアルキル、特に好ましくはC〜C−シクロアルキル、極めて特に好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびネオペンチル、アリール、好ましくはC〜C24−アリール、特に好ましくはフェニルもしくはトリルである)、式P(Lのスルホネート化ホスフィン配位子(ここでLは、モノスルホネート化またはマルチスルホネート化配位子Lである)、C〜C24−アリールホスフィナイトもしくはC〜C10−アルキルホスフィナイト配位子、C〜C24−アリールホスホナイトもしくはC〜C10−アルキルホスホナイト配位子、C〜C24−アリールホスファイトもしくはC〜C10−アルキルホスファイト配位子、C〜C24−アリールアルシンもしくはC〜C10−アルキルアルシン配位子、C〜C24−アリールアミンもしくはC〜C10−アルキルアミン配位子、ピリジン配位子、C〜C24−アリールスルホキシドもしくはC〜C10−アルキルスルホキシド配位子、C〜C24−アリールエーテルもしくはC〜C10−アルキルエーテル配位子、または、C〜C24−アリールアミドもしくはC〜C10−アルキルアミド配位子であるが、それらのそれぞれは、たとえばフェニル基によってモノ置換もしくはポリ置換されていてもよく、その置換基がさらに、1種または複数のハロゲン、C〜C−アルキルもしくはC〜Cアルコキシ基によって置換されていてもよい。
「ホスフィン」という用語には、たとえば、PPh、P(p−Tol)、P(o−Tol)、PPh(CH、P(CF、P(p−FC、P(p−CF、P(C−SONa)、P(CH−SONa)、P(イソプロピル)、P(CHCH(CHCH))、P(シクロペンチル)、P(シクロヘキシル)、P(ネオペンチル)、およびP(ネオフェニル)が含まれる。
「ホスフィナイト」という用語には、たとえば、トリフェニルホスフィナイト、トリシクロヘキシルホスフィナイト、トリイソプロピルホスフィナイト、およびメチルジフェニルホスフィナイトが含まれる。
「ホスファイト」という用語には、たとえば、トリフェニルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリ−tert−ブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、およびメチルジフェニルホスファイトが含まれる。
「スチビン」という用語には、たとえば、トリフェニルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、およびトリメチルスチビンが含まれる。
「スルホネート」という用語には、たとえば、トリフルオロメタンスルホネート、トシレート、およびメシレートが含まれる。
「スルホキシド」という用語には、たとえば、CHS(=O)CHおよび(CSOが含まれる。
「チオエーテル」という用語には、たとえば、CHSCH、CSCH、CHOCHCHSCH、およびテトラヒドロチオフェンが含まれる。
本特許出願の目的においては、「ピリジン」という用語は、グラブスによって国際公開第03/011455号パンフレットに記載されているようなすべての窒素含有配位子を含む総称として使用されている。例としては以下のものが挙げられる:ピリジン、ピコリン(α−、β−、およびγ−ピコリン)、ルチジン(2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、および3,5−ルチジン)、コリジン(2,4,6−トリメチルピリジン)、トリフルオロメチルピリジン、フェニルピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、クロロピリジン(2−、3−、および4−クロロピリジン)、ブロモピリジン(2−、3−、および4−ブロモピリジン)、ニトロピリジン(2−、3−、および4−ニトロピリジン)、キノリン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、およびフェニルイミダゾール。
イミダゾリジン基(Im)は通常、一般式(XIa)または(XIb)の構造を有している。
Figure 0005393079
[式中、
16、R17、R18、R19は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素、直鎖状または分岐状のC〜C30−アルキル、C〜C20−シクロアルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C24−アリール、C〜C20−カルボキシレート、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニルオキシ、C〜C20−アルキニルオキシ、C〜C20−アリールオキシ、C〜C20−アルコキシカルボニル、C〜C20−アルキルチオ、C〜C20−アリールチオ、C〜C20−アルキルスルホニル、C〜C20−アルキルスルホネート、C〜C20−アリールスルホネート、またはC〜C20−アルキルスルフィニルである]
適切であるならば、基R16、R17、R18、R19の1個または複数を、1種または複数の置換基、好ましくは直鎖状または分岐状のC〜C10−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−アルコキシまたはC〜C24−アリールによって置換することもできるが、ここで上述の置換基がさらに、1種または複数の基、好ましくはハロゲン特に塩素もしくは臭素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、およびフェニルからなる群から選択される基によって、置換されていてもよい。
単に簡明にするためだけであるが、一般式(XIa)および(XIb)として表されたイミダゾリジン基の構造は、(XIa’)および(XIb’)の構造とは等価のものであるが、後者はこのイミダゾリジン基(Im)に関する文献においてしばしば見出されるものであって、イミダゾリジン基のカルベン的な性質を強調しているものである、ということを指摘しておく。このことは、以下に示す関連の好ましい構造(XIIa)〜(XIIf)にも同様にあてはまる。
Figure 0005393079
一般式(IIa)および(IIb)の触媒の好ましい実施態様においては、R16およびR17はそれぞれ、互いに独立して、水素、C〜C24−アリール、特に好ましくはフェニル、直鎖状または分岐状のC〜C10−アルキル、特に好ましくはプロピルもしくはブチルであるか、それらが結合されている炭素原子と共に、シクロアルキルもしくはアリール基を形成するが、ここで、上述の基はすべて、直鎖状または分岐状のC〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシ、C〜C24−アリール、ならびに、ヒドロキシ、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カルバメート、およびハロゲンからなる群から選択される官能基からなる群から選択される1種または複数のさらなる基によってさらに置換されていてもよい。
特に好ましい実施態様においては、一般式(IIa)および(IIb)の触媒は、配位子LおよびLとして1個または2個のイミダゾリジン基(Im)を有しているが、ここで、その基R18およびR19は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、直鎖状または分岐状のC〜C10−アルキル、特に好ましくはi−プロピルもしくはネオペンチル、C〜C10−シクロアルキル、好ましくはアダマンチル、C〜C24−アリール、特に好ましくはフェニル、C〜C10−アルキルスルホネート、特に好ましくはメタンスルホネート、C〜C10−アリールスルホネート、特に好ましくはp−トルエンスルホネートである。
18およびR19の意味合いとしての上述の基は、直鎖状または分岐状のC〜C−アルキル、特にメチル、C〜C−アルコキシ、アリールからなる群から選択される1種または複数のさらなる基、ならびに、ヒドロキシ、チオール、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カルバメート、およびハロゲンからなる群から選択される官能基によって場合によっては置換されていてもよい。
特に、基R18およびR19は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、i−プロピル、ネオペンチル、アダマンチル、メシチルまたは2,6−ジイソプロピルフェニルである。
極めて特に好ましいイミダゾリジン基(Im)は、下記の構造(XIIa)〜(XIIf)を有しているが、ここで、Mesは、それぞれの場合において、2,4,6−トリメチルフェニル基であるか、それに代えてすべての場合において2,6−ジイソプロピルフェニル基である。
Figure 0005393079
Figure 0005393079
同様にして、一般式(IIa)および(IIb)、ならびに同様に一般式(Xa)および(Xb)における配位子LおよびLの一方または両方が、その中でアルキル基の少なくとも1つが、第二級アルキル基もしくはシクロアルキル基、好ましくはイソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルである、同一であっても異なっていてもよい、トリアルキルホスフィン配位子であるのが好ましい。
一般式(IIa)および(IIb)において、ならびに同様に一般式(Xa)および(Xb)において、配位子LおよびL一方または両方が、その中でアルキル基の少なくとも1つが、第二級アルキル基もしくはシクロアルキル基、好ましくはイソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルである、トリアルキルホスフィン配位子であるのが特に好ましい。
以下の一般構造単位(I)を有する一般式(IIa)または(IIb)の触媒が好ましい:
Mが、ルテニウムであり、
およびXが、共にハロゲンであり、
一般式(IIa)においてnが、0、1または2であるか、または
一般式(IIb)においてn’が1であり、
およびLが、一般式(IIa)および(IIb)の場合の一般的な意味合いまたは好ましい意味合いを有し、
〜Rが、一般式(IIa)および(IIb)の場合の一般的な意味合いまたは好ましい意味合いを有し、
mが、0または1のいずれかであり、
そして、m=1の場合には、
Aが、酸素、硫黄、C(C〜C10−アルキル)、−C(C〜C10−アルキル)−C(C〜C10−アルキル)−、−C(C〜C10−アルキル)=C(C〜C10−アルキル)−、または−N(C〜C10−アルキル)である。
以下の一般構造単位(I)を有する式(IIa)および(IIb)の触媒が極めて特に好ましい:
Mが、ルテニウムであり、
およびXが、共に塩素であり、
一般式(IIa)においてnが、0、1または2であるか、または
一般式(IIb)においてn’が1であり、
が、式(XIIa)〜(XIIf)の1つを有するイミダゾリジン基であり、
が、スルホネート化ホスフィン、ホスフェート、ホスフィナイト、ホスホナイト、アルシン、スチビン、エーテル、アミン、アミド、スルホキシド、カルボキシル、ニトロシル、ピリジン基、式(XIIa)〜(XIIf)の1つを有するイミダゾリジン基、またはホスフィン配位子、特にPPh、P(p−Tol)、P(o−Tol)、PPh(CH、P(CF、P(p−FC、P(p−CF、P(C−SONa)、P(CH−SONa)、P(イソプロピル)、P(CHCH(CHCH))、P(シクロペンチル)、P(シクロヘキシル)、P(ネオペンチル)、もしくはP(ネオフェニル)であり、
〜Rが、一般式(IIa)および(IIb)の場合の一般的な意味合いまたは好ましい意味合いを有し、
mが、0または1のいずれかであり、
そして、m=1の場合には、
Aが、酸素、硫黄、C(C〜C10−アルキル)、−C(C〜C10−アルキル)−C(C〜C10−アルキル)−、−C(C〜C10−アルキル)=C(C〜C10−アルキル)−、または−N(C〜C10−アルキル)である。
基Rが、本発明の触媒の他の配位子に架橋されている場合には、一般式(IIa)および(IIb)の触媒は、たとえば、一般式(XIIIa)および(XIIIb)の構造を有している。
Figure 0005393079
[式中、
が、酸素、硫黄、N−R21基、またはP−R21であり(R21は以下において定義されるものである)、
20およびR21は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、またはアルキルスルフィニル基であるが、それらはすべて、場合によっては、1種または複数のアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリール、またはヘテロアリール基によって置換されていてもよく、
pが、0または1であり、そして
が、p=1の場合には、−(CH−(ここで、r=1、2もしくは3)、−C(=O)−CH−、−C(=O)−、−N=CH−、−N(H)−C(=O)−であるか、またはそれらに代えて、全体の構造単位「−Y(R20)−(Y−」が、(−N(R20)=CH−CH−)、(−N(R20,R21)=CH−CH−)であり、そして
M、X、X、L、R〜R、A、m、およびnが、一般式(IIa)および(IIb)の場合におけるのと同じ意味合いを有している]
本発明の触媒の例としては、以下の構造を挙げることができる:
Figure 0005393079
Figure 0005393079
本発明の触媒の調製:
そのようなルテニウム−またはオスミウム−カルベン錯体触媒の合成は、適切な触媒前駆体の錯体を、適切なジアゾ化合物と反応させることによって実施することができるが、その合成は、特定の温度範囲で実施され、それと同時に出発物質のモル比も特定の範囲とする。
したがって、本発明は、触媒前駆体化合物を、一般式(XVI):
Figure 0005393079
[式中、R〜R、m、およびAは、一般式(I)において述べた一般的な意味合いを有する]
の化合物と反応させることによって、一般式(I)の構造要素を有するルテニウム−またはオスミウム−カルベン触媒を調製するための方法であって、
その反応を、
(i)温度が、−20℃〜100℃の範囲、好ましくは+10℃〜+80℃の範囲、特に好ましくは+30〜+50℃の範囲で、
(ii)触媒前駆体化合物の一般式(XVI)の化合物に対するモル比が、1:0.5から1:5まで、好ましくは1:1.5から1:2.5まで、特に好ましくは1:2で、実施することを特徴とする方法を提供する。
一般式(XVI)の化合物は、9−ジアゾフルオレン、または、基R〜RおよびAの意味合いに応じた、その各種誘導体である。本発明の調製方法においては、各種の9−ジアゾフルオレンの誘導体を使用することができる。そのようにして、広く各種のフルオレニリデン誘導体を得ることができる。
触媒前駆体化合物は、一般的な構造要素(I)を含む配位子をまだ含んでいない、ルテニウムまたはオスミウム錯体触媒である。
この反応においては、配位子がその触媒前駆体化合物から脱離し、一般的な構造要素(I)を含むカルベン配位子が取り込まれる。
その反応を進めるためには、飽和、不飽和、および芳香族の炭化水素、エーテル、およびハロゲン化溶媒が好適である。塩素化溶媒たとえば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、またはクロロベンゼンが好ましい。
通常は、触媒前駆体化合物をまず、好ましくは乾燥させた溶媒の中に、ルテニウムまたはオスミウム前駆体の形態で仕込む。溶媒中のルテニウムまたはオスミウム前駆体の濃度は、通常15〜25重量%の範囲、好ましくは15〜20重量%の範囲である。次いでその溶液を加熱してもよい。その溶液を、30〜50℃の範囲の温度にまで加熱するのが特に有用であることが見出された。次いで、通常、乾燥させた、好ましくは無水の溶媒の中に溶解させた一般式(XVI)の化合物を添加する。その溶媒中の一般式(XVI)の化合物の濃度は、好ましくは5〜15重量%の範囲、好ましくは約10重量%である。反応を完了させるために、さらに0.5時間〜1.5時間かけてその混合物を反応させておくが、その間、温度は上述と同じ範囲、すなわち30〜50℃に維持する。次いで溶媒を除去し、たとえばヘキサンと芳香族溶媒との混合物を用いてその残渣を精製する。
本発明の触媒は通常、反応の化学量論の面から、純粋な形では得られず、一般式(XVI)の化合物と反応において使用された触媒前駆体化合物の脱離配位子との反応生成物との等モル混合物として得られる。その脱離配位子が、ホスフィン配位子であるのが好ましい。本発明の純粋な触媒を得る目的で、その反応生成物を除去することが可能である。しかしながら、メタセシス反応の触媒反応を起こさせるためには本発明の純粋な触媒を使用することが必須という訳ではなく、その代わりに、上述の反応生成物を含む本発明によるこの触媒の混合物を使用することもまた可能である。
上述の方法について以下に説明する。
一般式(IIa)および(IIb)の触媒の場合、一般式(XVII):
Figure 0005393079
[式中、
M、X、X、LおよびLは、一般式(IIa)および(IIb)の場合と同じ一般的な意味合いおよび好ましい意味合いを有し、そして
AbLが、「脱離配位子」であって、一般式(IIa)および(IIb)におけるLおよびLと同じ意味合いを有することができるが、好ましくは一般式(IIa)および(IIb)において述べた一般的な意味合いを有するホスフィン配位子である]
の触媒前駆体化合物を、一般式(XVI)の化合物と、−20℃〜100℃の範囲、好ましくは+10℃〜+80℃の範囲、特に好ましくは+30〜+50℃の範囲の温度と、1:0.5から1:5まで、好ましくは1:1.5から1:2.5まで、特に好ましくは1:2の、一般式(XVII)の触媒前駆体化合物の、一般式(XVI)の化合物に対するモル比で、反応させる。
一般式(II)に属する触媒の調製法を、例を挙げて以下に説明する。その反応は、所望のフルオレニリデンカルベン錯体触媒を、フルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物で与える。
Figure 0005393079
先のスキームで示した、本発明の触媒のRuCl(フルオレニリデン)(PPhは、RuCl(ベンジリデン)(PPhよりも顕著に安定である点で、従来技術からの公知のものとは、区別される。RuCl(ベンジリデン)(PPhは固相では安定であるが、溶液中においては−60℃であってさえも分解する(J.Am.Chem.Soc.、1996、118、100)。溶液中における安定性を改良するためには、RuCl(ベンジリデン)(PPhをPCyと反応させて、RuCl(ベンジリデン)(PCyを形成させなければならない。それに対応するRuCl(フルオレニリデン)(PPhの場合には、こういうことをする必要はない。このことは、経済的に有利である。
1個または2個のIm配位子(式(XIa)および(XIb)およびさらに(XIIIa〜f)について先に定義されたような「Im」)を導入するためには、以下の手順が有用であることが判明した。
その第一の工程においては、本発明による触媒を調製するための上述の方法を実施するが、ここでその配位子LおよびLはすべて、Im配位子は別にして、一般式(IIa)および(IIb)において述べた一般的な意味合いを有している。その第二の工程においては、すでに一般的な構造要素(I)を含んでいる本発明によるこの触媒中の配位子LおよびLの一方または両方を、Im配位子によって置換させる。
この手順は、式RuCl(「フルオレニリデン」)(PPh)(Im)の本発明による触媒を調製するには特に好ましいが、ここで「フルオレニリデン」は、錯体触媒中に一般的な構造要素(I)を含む配位子を代表するものとして使用しているが:第一に、配位子交換法によってRuCl(PPhからRuCl(「フルオレニリデン」)(PPhを調製し、第二の工程で、その2個のトリフェニルホスフィン配位子の1個を、飽和または不飽和のIm配位子によって置換させる。
1個または複数のIm配位子を導入するためには、アージュエンゴ(Arduengo)の方法(J.Am.Chem.Soc.、1995、117、11027)によって得られるような遊離のカルベンを使用することが可能である。それに代わる方法としては、強酸たとえば、塩酸もしくはテトラフルオロホウ酸とカルベンとの塩、またはクロロホルム、t−ブタノール、クロラールなどとのカルベン付加物を、出発物質として使用する。カルベン塩またはカルベン付加物を使用する場合、強塩基によって「遊離の」カルベンがインサイチュで生成することが、米国特許第6,613,910号明細書に記載されている。
しかしながら、アージュエンゴ(Arduengo)によりJ.Am.Chem.Soc.、1995、117、11027に記載されている方法によって、遊離のカルベンを調製し、単離するのが好ましい。アージュエンゴ(Arduengo)によって記述されたこの方法は、飽和、不飽和いずれのカルベンもこの方法で得ることが可能であるという利点を有しているが、それというのも、米国特許第6,613,910号明細書においては、不飽和カルベンのカルベン付加物が得られないからである:「4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩だけがイミダゾリデンを形成する−−芳香族イミダゾリウム塩(すなわち、その不飽和類似体)はいかなる条件下においてもそれらの付加物を形成しない、ということは注目に値する」(第19カラム第65行〜第20カラム第1行)。
記述されている二段工程の、Im配位子が導入される、第二工程について以下に例を挙げて説明する:
および/またはLがIm配位子である一般式(IIa)の化合物の調製は、一般式(IIa’):
Figure 0005393079
[式中、X、X、L、n、m、A、およびR〜Rは、一般式(IIa)におけるのと同じ意味合いを有し、
およびLは同一であっても異なっていてもよいが、それぞれ、ホスフィン配位子、好ましくはPPh、P(p−Tol)、P(o−Tol)、PPh(CH、P(CF、P(p−FC、P(p−CF、P(C−SONa)、P(CH−SONa)、P(イソプロピル)、P(CHCH(CHCH))、P(シクロペンチル)、P(シクロヘキシル)、P(ネオペンチル)、またはP(ネオフェニル)である]
の化合物を、一般式(XVIIIa)または(XVIIIb):
Figure 0005393079
[式中、R16〜R19は、一般式(XIa)および(XIb)において述べた一般的な意味合いを有する]
の化合物と反応させる。
この反応においては、式(IIa’)中における配位子Lおよび/または配位子Lが、式(XVIIIa)または(XVIIIb)の配位子によって置換される。
この反応を、P(Ph)配位子がIm配位子によって置換される特に好適な例について、以下に示す。
Figure 0005393079
この反応は、通常−20℃〜80℃の範囲、好ましくは0℃〜50℃の範囲の温度で実施される。
一般式(IIa’)の化合物の、式(XVIIIa)または(XVIIIb)の化合物に対するモル比が、1:0.5から1:1.5の範囲、好ましくは1:1である場合、通常1個の配位子、LまたはLがIm配位子によって置換される。
一般式(IIa’)の化合物の、式(XVIIIa)または(XVIIIb)の化合物に対するモル比が、1:2から1:5まで、好ましくは1:2から1:3までである場合には、通常2個のIm配位子が導入される。
その反応は、飽和、不飽和もしくは芳香族炭化水素中、またはエーテルもしくはそれらの混合物の中で実施される。エーテル、特にジエチルエーテルが好ましいが、その理由は、反応生成物がその中に溶解しないからである。
二段プロセスによって得られ、Im配位子(L)に加えてまだホスフィン配位子(L)も含んでいる、本発明の一般式(IIa)および(IIb)の触媒から出発して、そのホスフィン配位子(L)を、第三工程のページ10および11に示される意味合いを有している、窒素含有、好ましくは芳香族複素環、特にピリジンもしくはその誘導体である他の配位子Lによって置き換えることも可能である。
これらの反応においては、窒素含有の、好ましくは芳香族複素環のみが常に、すでに構造要素(I)を含んでいる一般式(IIa)または(IIb)の本発明による触媒の中に導入される。
上に記したホスフィン/ピリジン交換反応は、国際公開第03/011455号パンフレットにおいてグラブス(Grubbs)によって記述されている反応に類似の方法により実施する。
さらに、カルベン配位子を有する遷移金属錯体触媒を合成すること、および基本的には遷移金属錯体触媒の中にカルベン配位子を導入することについては多くの方法が文献からも公知である。そのような文献としては、たとえば、国際公開第96/04289号パンフレット、国際公開第97/06185号パンフレット、国際公開第00/71554号パンフレット、米国特許出願公開第2002/0107138A1号明細書、国際公開第2004/035596号パンフレット、国際公開第03/011455号パンフレットなどが挙げられる。そのような合成はさらに、米国特許出願公開第2003/0100776号明細書、国際公開第2003/011455号パンフレット、および国際公開第2003/087167号パンフレットからも公知である。当業者ならば、そのような文献の方法に基づいて、本発明の触媒を合成することが可能であろう。
メタセシスのための本発明の触媒の使用:
本発明はさらに、メタセシス反応における本発明の触媒の使用を提供する。
このメタセシス反応は、国際公開第97/06185号パンフレットおよびPlatinum Metals Rev.、2005、49、(3)、123〜137に記載されているメタセシス反応、特に閉環メタセシス(RCM)、交叉メタセシス(CM)、開環メタセシス(ROM)、開環メタセシス重合(ROMP)、環式ジエンメタセシス重合(ADMET)、自己メタセシス、アルケンとアルキンとの反応(エンイン反応)、アルキンの重合、ならびにカルボニルのオレフィン化である。
本発明の触媒は、たとえば、不活性ガス雰囲気下または好気条件下での、ジアリルマロン酸ジエチル、ジアリルマロノニトリルの閉環メタセシスに好適である。
本発明の触媒系は、ニトリルゴムのメタセシスのために好適に使用される。それらは、ニトリルゴムを本発明による触媒と接触させることによって、ニトリルゴムの分子量を低下させるための方法である。この反応は交叉メタセシスである。
上述のタイプ(B)の触媒はすべて、NBRメタセシスの反応混合物中でそのまま使用することもできるし、あるいは固体担体の上に適用して固定させることもできる。適切な固体相または担体は、第一にはメタセシスの反応混合物に対して不活性であり、第二には触媒の活性に悪影響を及ぼすことがない物質である。触媒の固定化は、たとえば、金属、ガラス、ポリマー、セラミック、有機ポリマー球状体もしくは無機ゾル−ゲル、カーボンブラック、シリカ、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、および硫酸バリウムを使用して、達成することができる。
使用されるニトリルゴムの量あたりのメタセシス触媒の量は、その特定の触媒の性質と触媒活性に依存する。使用される触媒の量は通常、使用されるニトリルゴムを基準にして貴金属が、1〜1000ppm、好ましくは2〜500ppm、特には5〜250ppmである。
NBRのメタセシスは、共オレフィンの非存在下または存在下に実施することができる。その共オレフィンは好ましくは、直鎖状または分岐状のC〜C16−オレフィンである。好適な共オレフィンは、たとえば、エチレン、プロピレン、イソブテン、スチレン、1−ヘキセン、または1−オクテンである。1−ヘキセンまたは1−オクテンを使用するのが好ましい。共オレフィンが液状である場合(たとえば1−ヘキセンの場合)、共オレフィンの量が、使用されるニトリルゴムを基準にして0.2〜20重量%の範囲であるのが好ましい。共オレフィンがガス状、たとえばエチレンの場合には、共オレフィンの量を選択して、室温で反応用器の中で、1×10Pa〜1×10Paの範囲の圧力、好ましくは5.2×10Pa〜4×10Paの範囲の圧力が得られるようにするのが好ましい。
メタセシス反応は、使用される触媒を失活させることなく、さらには何か別なことでその反応に悪影響を与えることがない、適切な溶媒の中で実施することができる。好適な溶媒としては、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、およびシクロヘキサンなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。特に好適な溶媒はクロロベンゼンである。場合によっては、共オレフィンそのものが溶媒として機能することができる、たとえば1−ヘキセンの場合には、さらなる追加の溶媒を加えずにすますこともできる。
メタセシスの反応混合物中で使用されるニトリルゴムの濃度には厳しい制約はないが、ただし当然のことながら、反応混合物の粘度が過度に高く、それに伴って混合の問題が起きて反応に悪影響が出ないことを確実にする必要がある。反応混合物中のNBRの濃度は、全反応混合物を基準にして、好ましくは1〜25重量%の範囲、特に好ましくは5〜20重量%の範囲である。
メタセシス分解は、通常10℃〜150℃の範囲の温度、好ましくは20〜100℃の範囲の温度で実施する。
その反応時間はいくつかの因子に依存するが、そのような因子としてはたとえば、NBRのタイプ、触媒のタイプ、使用される触媒濃度、反応温度などが挙げられる。通常の条件下では、その反応は典型的には3時間以内に完了する。メタセシス反応の進行状況は、標準的な分析方法、たとえばGPC測定や粘度測定によってモニターすることができる。
ニトリルゴム(「NBR」)としては、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、および適切であるならばメタセシス反応における1種または複数のさらなる共重合性モノマーの繰り返し単位を有するコポリマーまたはターポリマーを使用することができる。
共役ジエンは各種のタイプのものであってよい。(C〜C)−共役ジエンを使用するのが好ましい。1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレン、またはそれらの混合物が特に好ましい。1,3−ブタジエンおよびイソプレンまたはそれらの混合物が特に好ましい。1,3−ブタジエンが極めて特に好ましい。
α,β−不飽和ニトリルとしては、各種公知のα,β−不飽和ニトリルを使用することができるが、(C〜C)−α,β−不飽和ニトリル、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物が好ましい。特に好ましいのは、アクリロニトリルである。
したがって、特に好ましいニトリルゴムは、アクリロニトリルと1,3−ブタジエンとのコポリマーである。
共役ジエンおよびα,β−不飽和ニトリルに加えて、当業者に公知の1種または複数のさらなる共重合性モノマー、たとえば、α,β−不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸、それらのエステルまたはアミドをさらに使用することもできる。α,β−不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸が好ましい。α,β−不飽和カルボン酸のエステルとしては、それらのアルキルエステルおよびアルコキシアルキルエステルが好ましい。特に好ましいα,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステルは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸オクチルである。特に好ましいα,β−不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステルは、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、および(メタ)アクリル酸メトキシエチルである。上に挙げたものなどのアルキルエステルと、アルコキシアルキルエステルたとえば上に挙げた形態のものとの混合物を使用することも可能である。
使用されるNBRポリマーの中での共役ジエンとα,β−不飽和ニトリルとの比率は、広い範囲で変化させることができる。共役ジエン、または共役ジエンを合計したものの比率は、全ポリマーを基準にして、通常は40〜90重量%の範囲、好ましくは60〜85重量%の範囲である。α,β−不飽和ニトリル、またはα,β−不飽和ニトリルを合計したものの比率は、全ポリマーを基準にして、通常は10〜60重量%、好ましくは15〜40重量%である。モノマーの比率は、それぞれの場合において、合計して100重量%とする。追加のモノマーは、全ポリマーを基準にして、0〜40重量%、好ましくは0.1〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%の量で存在させることができる。この場合、共役ジエンもしくはジエンおよび/またはα,β−不飽和ニトリルもしくはニトリルの該当する比率を、追加のモノマーの比率で置き換えるが、それぞれの場合において、全部のモノマーの比率を合計して100重量%とする。
上述のモノマーを重合させてニトリルゴムを調製することは、当業者には周知のことであって、文献に包括的に記載されている。
本発明の目的のために使用することが可能なニトリルゴムは、たとえばランクセス・ドイチュラント・GmbH(Lanxess Deutschland GmbH)のペルブナン(Perbunan)(登録商標)およびクリナック(Krynac)(登録商標)製品シリーズからの製品として、容易に入手することも可能である。
メタセシスのために使用されるニトリルゴムは、30〜70、好ましくは30〜50の範囲のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有している。これは、150 000〜500 000の範囲、好ましくは180 000〜400 000の範囲の重量平均分子量Mに相当する。さらに、使用されるニトリルゴムは、2.0〜6.0の範囲、好ましくは2.0〜4.0の範囲の、多分散性PDI=M/M(ここでMは重量平均分子量、Mは数平均分子量である)を有している。
ムーニー粘度の測定は、ASTM標準D1646に従って実施する。
本発明のメタセシス法により得られるニトリルゴムは、5〜30の範囲、好ましくは5〜20の範囲のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有している。これは、10 000〜100 000の範囲、好ましくは10 000〜80 000の範囲の重量平均分子量Mに相当する。さらに、得られたニトリルゴムは、1.4〜4.0の範囲、好ましくは1.5〜3.0の範囲の多分散性PDI=M/M(ここでMは数平均分子量である)を有している。
メタセシスにおける塩の添加:
1つの実施態様において、NBRのメタセシスを、一般式(XIX)を有する1種または複数の塩の存在下に実施することができる。
n+z− (XIX)
[式中、
Kが、カチオンであり、そして
Aが、アニオンであり、そして
nが、1、2または3であり、そして
zが、1、2または3である]
好適なカチオンは、1個、2個または3個の正の電荷を担持するカチオンを形成することが可能な、周期律表からの元素(主族(main group)および遷移族元素)をベースとしたものである。
好適なカチオンは、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、ならびに、希土類の属のすべての元素、特にセリウム、プラセオジムおよびネオジム、ならびにさらにアクチニド元素、である。
さらなる好適なカチオンは、窒素、リンおよび硫黄をベースとする錯体カチオンである。たとえば、テトラアルキルアンモニウム、テトラアリールアンモニウム、ヒドロキシルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウム、テトラアリールホスホニウム、スルホニウム、アニリニウム、ピリジニウム、イミダゾロニウム、グアニジニウム、およびヒドラジニウムカチオン、ならびにさらにはカチオン性エチレンジアミン誘導体を使用することが可能である。
上述の錯体カチオンのいずれにおいてもそのアルキル基は同一であっても異なっていてもよく、通常はそれぞれ、直鎖状または分岐状のC〜C30−アルキル基、好ましくはC〜C20−アルキル基、特に好ましくはC〜C18−アルキル基である。それらのアルキル基は、アリール基によってさらに置換されていてもよい。C〜C18−アルキルに含まれるのは、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、およびベンジルである。
上述の錯体カチオンのいずれにおいてもそのアリール基は同一であっても異なっていてもよく、通常はそれぞれ、C〜C24−アリール基、好ましくはC〜C14−アリール基、特に好ましくはC〜C10−アリール基である。C〜C24−アリールの例は、フェニル、o−、p−、m−トリル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニル、およびフルオレニルである。
[RS]のタイプのスルホニウムカチオンは、3個の同一であっても異なっていてもよい基を有していて、その性質は脂肪族であっても芳香族であってもよい。それらの基は、上述の一般的意味合い、好ましい意味合い、および特に好ましい意味合いと同じ意味合いを有するアルキルまたはアリール基であってよい。
特に好適な錯体カチオンとしては以下のものが挙げられる:ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム、ジメチルアニリニウム、N−アルキル−N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)−N−ベンジルアンモニウム、N,N,N−トリエチルベンゼンメタナミニウム、O−メチルウロニウム、S−メチルチウロニウム、ピリジニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラメチルウロニウム、テトラアセチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、ジフェニルグアニジニウム、ジ−o−トリル−グアニジニウム、ブチルジフェニルスルホニウム、トリブチルスルホニウム。
一般式(I)において、Aは、1価、2価、または3価に荷電したアニオン、好ましくは、ハライド、擬ハライド、錯体アニオン、有機酸のアニオン、脂肪族または芳香族スルホネート、脂肪族または芳香族スルフェート、ホスホネート、ホスフェート、チオホスフェート、キサントゲネート、ジチオカルバメート、および非配位アニオンからなる群からのアニオンである。
好適なハライドは、フルオリド、クロリド、ブロミド、およびヨーダイドである。
好適な擬ハライドは、たとえば、トリヨーダイド、アジド、シアニド、チオシアニド、チオシアネート、およびインターハライドである。
好適な錯体アニオンは、たとえば、サルファイト、スルフェート、ジチオナイト、チオスルフェート、カーボネート、ハイドロゲンカーボネート、ペルチオカーボネート、ナイトライト、ナイトレート、ペルクロレート、テトラフルオロボレート、テトラフルオロアルミネート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアーセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、およびヘキサクロロアンチモネートである。
好適な1価、2価、または3価に荷電した有機酸のアニオンは、1〜20個の炭素原子の有する有機カルボン酸の1価、2価、または3価に荷電したアニオンである。それらの有機カルボン酸は、飽和であっても、モノ不飽和であっても、あるいはポリ不飽和であってもよい。好適な例は、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、オレエート、パルミテート、ステアレート、バーサテート、アクリレート、メタクリレート、クロトネート、ベンゾエート、ナフタレンカーボネート、オキサレート、サリチレート、テレフタレート、フマレート、マレエート、イタコネート、およびアビエテートである。
好適な脂肪族または芳香族スルホネートは、アントラキノン−2−スルホネート、ベンゼンスルホネート、ベンゼン−1,3−ジスルホネート、デカン−1−スルホネート、ヘキサデカン−1−スルホネート、ヒドロキノンモノスルホネート、メチル−4−トルエンスルホネート、ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレン−1,5−ジスルホネート、トシレート、およびメシレートである。
好適な脂肪族または芳香族スルフェートは、たとえば、ドデシルスルフェートおよびアルキルベンゼンスルフェートである。
好適なホスホネート、ホスフェート、およびチオホスフェートは、ビニルホスホネート、エチルホスホネート、ブチルホスホネート、セチルホスホネート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジブチルジチオホスフェート、およびジオクチルチオホスフェートである。
好適な脂肪族または芳香族キサントゲネートは、エチルキサントゲネート、ブチルキサントゲネート、フェニルキサントゲネート、ベンジルキサントゲネートなどである。
好適な脂肪族または芳香族ジチオカルバメートは、ジメチルジチオカルバメート、ジエチルジチオカルバメート、ジブチルジチオカルバメート、およびジベンジルジチオカルバメートである。
非配位アニオンは、たとえば、テトラキス[ペンタフルオロフェニル]ボレート、ペンタキス[ペンタフルオロフェニル]ホスフェート、テトラキス[3,5−トリフルオロメチルフェニル]ボレート、ペンタキス[3,5−トリフルオロメチルフェニル]ホスフェート、およびペンタキス[ペンタフルオロフェニル]シクロヘキサジエニルアニオンである。
たとえば、アルカリ金属ハライドたとえば、塩化リチウム、臭化リチウム、またはヨウ化リチウム、および臭化セシウムを使用するのが好ましい。
たとえば、アルカリ土類金属塩化物、たとえば塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムを使用するのが好ましい。
塩のニトリルゴムに対する量:
本発明の触媒系においては、メタセシス触媒と一般式(I)の1種または複数の塩とを、塩:メタセシス触媒の重量比で、0.01:1〜10 000:1、好ましくは0.1:1〜1000:1、特に好ましくは0.5:1〜500:1で使用する。
その1種または複数の塩は、溶媒中または溶媒無しで、メタセシス触媒またはその溶液に添加することができる。
1種または複数の塩を触媒またはその溶液に添加する際に使用する溶媒または分散媒体としては、各種公知の溶媒を使用することができる。塩を効果的に添加するために、その1種または複数の塩のその溶媒中への溶解度が高くなければならないということはまったくない。好適な溶媒としては、アセトン、ベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、およびトルエンなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。その溶媒がメタセシス触媒に対して不活性であるのが好ましい。
本発明の触媒をニトリルゴムのメタセシスに使用する場合、分解させる対象のゴムの量あたりに使用される塩の量は、0.0001phr〜50phr、好ましくは0.001phr〜35phrである(phr=ゴム100重量部あたりの重量部)。
NBRのメタセシスに使用する場合もまた、その塩は、溶媒もしくは分散媒体中か、さもなくば溶媒もしくは分散媒体無しで、メタセシス触媒の溶液に添加することができる。それに代わる方法として、その塩を、分解させる対象のニトリルゴムの溶液に直接添加し、次いでそれをメタセシス触媒に添加することも可能である。
遷移金属アルコキシドの添加:
遷移金属アルコキシドもまた、メタセシスプロセス、特にメタセシスNBRの分解の中に添加することができる。
それらは一般式(XX)の化合物である:
M’(OZ’)m’ (XX)
[式中、
M’が、元素周期律表の遷移族4、5または6の遷移金属であり、
m’が、4、5または6であり、そして
基Z’は同一であっても異なっていてもよいが、それぞれ、1〜32個の炭素原子を有し、さらに1〜15個のヘテロ原子を有していてもよい、直鎖状、分岐状、脂肪族、環式、複素環式または芳香族基である]
一般式(XX)の化合物において適切な遷移族4、5または6の遷移金属は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、およびタングステンである。
一般式(XX)の化合物において、基Z’は同一であっても異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有し、さらに1〜15個のヘテロ原子、好ましくは窒素または酸素を有していてもよい直鎖状、分岐状、脂肪族、環式、複素環式または芳香族基である。
基Z’が1〜32個の炭素原子を有し、さらに1〜15個のヘテロ原子、好ましくは窒素または酸素を有していてもよいとすると、Z’は、直鎖状または分岐状のC〜C30−アルキル、好ましくはC〜C20−アルキル、特に好ましくはC〜C12−アルキル、C〜C20−シクロアルキル、好ましくはC〜C10−シクロアルキル、特に好ましくはC〜C−シクロアルキル、C〜C20−アルケニル、好ましくはC〜C18−アルケニル、C〜C20−アルキニル、一般式(−CHZ’’−CHZ’’−A−)−CH−CHの基[式中、pは1〜10の整数であり、基Z’’は同一であっても異なっていてもよいが、それぞれ、水素またはメチルであり、隣接する炭素原子の上に位置する基Zが異なっているのが好ましく、そしてAは、酸素、硫黄もしくは−NH、C〜C24−アリール基、好ましくはC〜C14−アリール基、もしくは少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは窒素または酸素を有するC〜C23−ヘテロアリール基である]である。
以下のような一般式(XX)の化合物を使用するのが好ましい:
M’が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、
m’が、4、5または6であり、そして
Z’が、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、ドデシル、オレイル、フェニル、または立体障害のあるフェニルである。
本発明の方法において特に好ましく使用される一般式(I)の化合物は、テトラエトキシチタネート、テトライソプロピルオキシチタネート、テトラ−tert−ブチルオキシチタネート、テトラ−tert−ブチルオキシジルコネート、ペンタエトキシニオベート、およびペンタエトキシタンタレートである。
水素化
本発明の触媒系の存在下におけるメタセシス分解の後に、そうして得られた分解されたニトリルゴムを水素化させることができる。これは、当業者公知の方法で実施することができる。
水素化は、均一系または不均一系の水素化触媒を使用して実施することができる。水素化をインサイチュで、すなわちその前にメタセシス分解を実施したのと同一の反応容器中で、分解されたニトリルゴムを単離することを必要とせずに、実施することも可能である。水素化触媒を、反応容器の中に単純に導入する。
使用される触媒は通常は、ロジウム、ルテニウムまたはチタンをベースとするものであるが、白金、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、または銅を金属としてか、または好ましくは金属化合物の形態として使用することも可能である(たとえば、米国特許第3,700,637号明細書、DE−A−25 39 132、EP−A−0 134 023、DE−OS−35 41 689、DE−OS−35 40 918、EP−A−0 298 386、DE−OS−35 29 252、DE−OS−34 33 392、米国特許第4,464,515号明細書、および米国特許第4,503,196号明細書を参照されたい)。
均一相における水素化のために好適な触媒および溶媒は、以下において記載され、DE−A−25 39 132およびEP−A−0 471 250からも公知である。
たとえば選択的水素化は、ロジウムまたはルテニウム含有触媒の存在下で実施することができる。たとえば、次の一般式の触媒を使用することも可能である。
(R B)MX
[式中、Mがルテニウムまたはロジウムであり、基Rは同一であっても異なっていてもよいが、それぞれC〜C−アルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C15−アリール基またはC−C15−アラルキル基であり、Bが、リン、ヒ素、硫黄またはスルホキシド基S=Oであり、Xが、水素もしくはアニオン、好ましくはハロゲン、特に好ましくは塩素もしくは臭素であり、lが2、3または4であり、mが2または3であり、そしてnが1、2または3、好ましくは1または3である]好適な触媒は、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)クロリド、およびトリス(ジメチルスルホキシド)ロジウム(III)クロリド、さらには式(CP)RhHのテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム水素化物および、そのトリフェニルホスフィンの全部または一部をトリシクロヘキシルホスフィンで置換したそれに対応する化合物である。触媒の使用量は少量でよい。その量を、ポリマーの重量を基準にして、0.01〜1重量%の範囲、好ましくは0.03〜0.5重量%の範囲、特に好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲とするのが好適である。
通常は、その触媒を助触媒と共に使用するのが有用であるが、その助触媒は、式R Bの配位子であり、ここでR、mおよびBは、先に触媒について述べた意味合いを有する。mは、好ましくは3であり、Bは好ましくはリンであり、そして基Rは同一であっても異なっていてもよい。3個のアルキル基、3個のシクロアルキル基、3個のアリール基、3個のアラルキル基、2個のアリールと1個のアルキル基、2個のアリールと1個のシクロアルキル基、2個のアルキルと1個のアリール基、2個のアルキルと1個のシクロアルキル基、2個のシクロアルキルと1個のアリール基、または2個のシクロアルキルと1個のモノアリール基を有している助触媒が好ましい。
助触媒の例は、たとえば米国特許第4,631,315号明細書に見出すことができる。好適な助触媒はトリフェニルホスフィンである。助触媒は、水素化されるニトリルゴムの重量を基準にして、0.3〜5重量%の範囲、好ましくは0.5〜4重量%の範囲の量で使用するのが好ましい。さらに、ロジウム含有触媒の助触媒に対する重量比は、1:3〜1:55の範囲、特に好ましくは1:5〜1:45の範囲である。水素化されるニトリルゴムの100重量部を基準にして、0.1〜33重量部の助触媒、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜5重量部、特には2重量部を超えるが5重量部未満の助触媒を使用するのが適切である。
この水素化を実施する実用的な手順は、米国特許第6,683,136号明細書からも当業者には周知のことである。水素化されるニトリルゴムを、溶媒たとえばトルエンまたはモノクロロベンゼンの中で、100〜150℃の範囲の温度と50〜150バール圧力で2〜10時間かけて水素にさらすことによって通常水素化を行う。
本発明の目的においては、水素化で、出発ニトリルゴムの中に存在する二重結合の、少なくとも50%、好ましくは70〜100%、特に好ましくは80〜100%を反応させる。また、HNBRにおける残存二重結合含量が0〜8%であるのが特に好ましい。
不均一系触媒を使用する場合には、通常それらは、たとえば、カーボン、シリカ、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムの上に支持されたパラジウムをベースとする担持触媒である。
水素化が完了すると、ASTM標準D1646に従って測定して、10〜50、好ましくは10〜30の範囲のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有する水素化ニトリルゴムが得られる。これは、2000〜400 000g/モルの範囲、好ましくは20 000〜200 000g/モルの範囲の重量平均分子量Mに相当する。さらに、そのようにして得られた水素化ニトリルゴムは、1〜5の範囲、好ましくは1.5〜3の範囲の多分散性PDI=M/M(ここでMは重量平均分子量、Mは数平均分子量である)を有している。
本発明の触媒を使用すれば、各種の形態のメタセシスにおいて極めて良好な結果が得られる。それらをニトリルゴムの分解に使用すると、顕著に低下した分子量MおよびM、ならびに良好な多分散性を有する分解ニトリルゴムを得ることができる。
[実施例]
以下の実施例において使用される従来技術の触媒は以下のものである:
「グラブス(III)触媒」:
Figure 0005393079
グラブスIII触媒は、Angew.Chem.Int.Ed.、2002、41(21)、4035の記載に従って調製した。
「グラブスII触媒」:
Figure 0005393079
このグラブスII触媒は、マテリア・インコーポレーテッド(Materia Inc.)(カリフォルニア州パサデナ(Pasadena/California))から入手した。
I.本発明の触媒の調製
1.1 ジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(1)
1.1.1 フルオレノン−トシルヒドラゾン(A)
(D.A.ファン・ガレン(D.A.Van Galen)、J.H.バーンズ(J.H.Barnes)、M.D.ハウレー(M.D.Hawley)、J.Org.Chem.、1986、51、2544の方法をベースとする方法)
Figure 0005393079
5.41gの9−フルオレノン(30ミリモル)、5.59gのトルエン−4−スルホニルヒドラジド(95%純度;30ミリモル)および30mLのエタノールの混合物を、環流下で30分間加熱した。これによって透明で黄色の溶液が得られたが、冷却して室温にすると、淡黄色の結晶がそれから沈殿してきた。その結晶を濾過し、2×3mLのエタノールを用いて洗浄し、風乾させた。収量は9.51g(91%)である。
H NMR(300MHz、CDCl):δ 8.37(broad s,1H)、7.97(d,J=8.1Hz,2H)、7.87(d,J=7.7Hz,1H)、7.72(d,J=7.5Hz,1H)、7.65(d,J=7.5Hz,1H)、7.54(d,J=7.5Hz,1H)、7.45(t,J=7.5Hz,1H)、7.39〜7.30(m,4H)、7.26(t,J=7.5Hz,1H)、2.41(s,3H)。
1.1.2 9−ジアゾフルオレン(B)
(A.ジョンチク(A.Jonczyk)、J.ウロストウスカ(J.Wlostowska)、Synth.Commun.、1978、8、569の方法をベースとする方法)
Figure 0005393079
2.09gのフルオレノントシルヒドラゾン(1)(6ミリモル)、15mLのジオキサン、および2mLの50%強度のNaOH水溶液の混合物を、85℃で1時間激しく撹拌した。この間に、元々は2相のオレンジ色の反応混合物が変色して赤色になった。ほんの10分後には、TsNaが白色の沈殿物として沈殿しはじめた。その反応混合物を冷却して室温とし、10mLの水を混ぜ込んだ。その有機相を分離し、2×6mLのペンタンを用いて残りの水相を抽出した。有機相を合わせ、2×4mLの水で振盪させた。さらに乾燥させることなく、減圧下で溶媒を除去した。
これにより9−ジアゾフルオレン(2)がオレンジ色の粉体として得られ、収量は1.08g(94%)であった。
H NMR(300MHz、CDCl):δ 7.96(dm,J=7.4Hz,2H)、7.52(dm,J=7.5Hz,2H)、7.40(dt,J=7.4および1.3Hz,2H)、7.33(dt,J=7.4および1.3Hz,2H)。
1.1.3 ジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K1)の調製
(ジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K1)とフルオレニリデントリフェニルホスファジン(P1)との等モル混合物(「K1+P1」)として)
Figure 0005393079
1.918gのRuCl(PPh(2.0ミリモル)および10mLの乾燥CHClを、窒素雰囲気とマグネチックスターラーバーを備えたシュレンク容器の中に入れた。形成された溶液を加熱して40℃とし、10mLの無水のCHCl中0.769gの9−ジアゾフルオレン(4.0ミリモル)の第二の溶液を、30分間かけて滴下により添加した。次いでその混合物を、40℃でさらに80分間撹拌した。次いで高真空下で溶媒を除去した。そうして得られた反応生成物には、ルテニウムカルベンおよびホスファジンに加えて、H NMR分光光度法によって測定すると、約2.5モル%の未反応のRuCl(PPhが含まれていた。この粗製物を精製するために、5×12mLのベンゼン/ヘキサン混合物(1:2)を用いてそれを完全に抽出した。
それによって、2.57g(97%収率)の赤さび色の粉体が得られた。
H NMRスペクトルから、この粉体には、等モル量のジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K1)とフルオレニリデントリフェニルホスファジン(P1)とが含まれていたが、これはカルベン含量65%に相当する。RuCl(PPhが、不純物として約0.8モル%の濃度で残存していた。
1.1.4 ジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K1)
上述のジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物(K1+P1)(1.40g)を、窒素雰囲気下−20℃の、シリカゲル(20g)を用いたカラムクロマトグラフィーにより分離させた。カラムおよび溶出液(トルエン/THF、15:1)のいずれもを−20℃に冷却した。約100mLの暗褐色の溶出液が得られ、それから溶媒を除去すると、0.33gの粗反応生成物が得られた。この粗反応生成物のフラクションには、トリフェニルホスフィンとトレース量のRuCl(PPhとが不純物として残っていた。ベンゼン/ヘキサン混合物(1:2)を用いて抽出すると、純粋な生成物K1が得られた。
H NMR(500MHz、CDCl):δ 7.45(m,14H)、7.41(t,J=7.5Hz,6H)、7.37(d,J=7.7Hz,2H)、7.30(d,J=7.3Hz,2H)、7.25(t,J=7.7Hz,12H)、6.40(dt,J=7.6および1.1Hz,2H)。
31P NMR(202MHz、CDCl):δ 32.2(s)。
13C NMR(125MHz、CDCl):δ 303.2(t,C=Ru,JC−P=12.3Hz)、147.8(C)、139.0(C)、135.4(t,CH,JC−P=5.4Hz)、131.6(d,CH,JC−P=7.2Hz)、130.8(t,C,JC−P=21.5Hz)、130.5(CH)、129.3(CH)、128.2(t,CH,JC−P=4.8Hz)、117.8(CH)。
元素分析計算値(C4938ClRu):C:68.37、H:4.45。実測値:C:68.58、H:4.53。
X線構造解析に適した化合物1の結晶を、ベンゼン溶液を徐々に蒸発させることにより得た。図1にこの化合物の構造を示す。選択された結合距離(Å)は以下のとおりである:Ru−C1 1.862(3)、Ru−Cl1 2.3505(8)、Ru−Cl2 2.3487(8)、Ru−P1 2.4070(8)、Ru−P2 2.4066(9)、C1−C2 1.479(4)、C1−C13 1.501(4)。選択された結合角(度):C1−Ru−Cl1 99.49(9)、C1−Ru−Cl2 99.28(9)、Cl2−Ru−Cl1 161.23(3)、C1−Ru−P1 100.53(8)、C1−Ru−P2 99.03(8)、C1−Ru−P2 99.03(8)、C11−Ru−P1 84.98(3)、C11−Ru−P2 92.42(3)、Cl2−Ru−P1 91.62(3)、Cl2−Ru−P2 84.62(3)、P1−Ru−P2 160.43(3)、C2−C1−Ru 128.8(2)、C13−C1−Ru 127.8(2)、C2−C1−C13 103.3(2)。
Figure 0005393079
1.1.5 フルオレニリデントリフェニルホスファジン(P1)
上述(1.1.4)のクロマトグラフィーでカラムの上に残っているホスファジンを、極性がより強い溶出液混合物のトルエン/THF(5:1)の手段を用いて溶出させることが可能で、同様にして淡褐色のフラクションとして得られた。その溶出液を蒸発させた後、塩化メチレン/ヘキサン混合物から、その物質が黄色の結晶の形で得られる。その構造は、X線結晶構造解析により求めた。
H NMR(300MHz、CDCl):δ 8.21(d,J=7.7Hz,2H)、7.81(dd,J=12.5および7.8Hz,6H)、7.67(dt,J=7.2および1.2Hz,3H)、7.54(dt,J=7.8および3.0Hz,6H)、7.03(t,J=7.3Hz,2H)、6.92(t,J=7.5Hz,2H)、6.38(d,J=8.0Hz,2H)。
31P NMR(121MHz、CDCl):δ 6.9(s)。
13C NMR(75MHz、CDCl):δ 141.6(d,C,JC−P=14.9Hz)、134.2(d,CH,JC−P=10.2Hz)、132.7(d,CH,JC−P=2.8Hz)、130.8(d,C,JC−P=14.1Hz)、129.1(d,CH,JC−P=12.2Hz)、125.7(d,C,JC−P=88.5Hz)、122.8(CH)、119.4(d,CH,JC−P=1.5Hz)、116.4(CH)、115.9(CH)。
1.2 ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K2)
(ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K2)とフルオレニリデントリフェニルホスファジン(P1)との等モル混合物(「K2+P1」)として)
Figure 0005393079
シュレンク容器中で、0.729gの1,3−ジメシチルイミダゾリニウムテトラフルオロボレート(1.85ミリモル)および8mLの乾燥テトラヒドロフランを、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーバーに手段を用いて混合した。これによって得られた懸濁液に、89mgの水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体;2.22ミリモル)を徐々に加えた。形成された白色の懸濁液を2時間撹拌してから、濾過した。その濾液を蒸発乾固させ、次いで、得られたワックス状の固形物を20mLの乾燥ジエチルエーテルの中に再溶解させた。
この1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデンのエーテル溶液を、20mLの乾燥ジエチルエーテル中の、全部で2.44gのジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの等モル混合物(「K1+P1」)(65%純度;1.84ミリモル)の懸濁液に、窒素雰囲気下で、滴下により添加した。その反応溶液を室温で2時間撹拌してから、濾過した。5×20mL部のジエチルエーテルを用いてその粗反応生成物を徹底的に抽出すると、トレース量のジクロロ(フルオレニリデン)ビス(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)ルテニウムおよび未反応ジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムが除去された。
1.91g(75%収率)の赤さび色の粉体が残った。
H NMRスペクトルによると、この物質には、等量(モル/モル)のジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジン(「K2+P1」)とが含まれているが、これはK2含量65%に相当する。ジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K1)の残存量は約1%であり、副生物の1,3−ジメシチルイミダゾリニウムクロリドも同様に約1%である。
1.2.2 ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K2)
2.09gの、ジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K1)とフルオレニリデントリフェニルホスファジン(P1)との等モル混合物(65%純度;1.5ミリモル)および16mLの乾燥CHClを、窒素雰囲気下でシュレンク容器の中に導入した。50mLの乾燥ヘキサンを用いてこの溶液を慎重に覆い、2日間放置して、結晶化させた。黄褐色の沈殿物を濾過し、その濾液から溶媒を蒸発させることによってさらに1.0gの褐色の粉体を得た。H NMRスペクトルから、その成分のモル比はK2:P1=3.4であることが判った。5×30mLのジエチルエーテルを用いて徹底的に洗浄すると、成分のモル比K2:P1=27(これはK2含量98%に相当する)を有する純粋な反応生成物0.57gが残った。
H NMR(500MHz、CDCl):δ 7.81(d,J=7.7Hz,2H)、7.41(t,J=7.1Hz,2H)、7.23(t,J=7.3Hz,3H)、7.19(s,2H)、7.10(d,J=7.3Hz,2H)、6.99(dt,J=7.7および1.7Hz,6H)、6.92(t,J=8.5Hz,6H)、6.64(t,J=7.5Hz,2H)、5.86(s,2H)、4.02(dd,J=11.8および8.9Hz,2H)、3.78(dd,J=11.8および8.9Hz,2H)、2.76(s,6H)、2.51(s,3H)、1.85(s,3H)、1.84(s,6H)。
31P NMR(202MHz、CDCl):δ 26.9(s)。
13C NMR(125MHz、CDCl):δ 302.9(d,C=Ru,JC−P=13.8Hz)、212.1(d,N−C−N,JC−P=99.7Hz)、148.5(d,C,JC−P=3.1Hz)、139.6(C)、139.2(C)、138.6(C)、137.0(C)、136.9(C)、136.5(C)、136.2(C)、134.9(d,CH,JC−P=9.8Hz)、132.3(C)、132.0(C)、131.1(CH)、130.4(CH)、130.2(CH)、129.6(d,CH,JC−P=1.9Hz)、128.8(CH)、128.4(CH)、116.5(CH)、52.5(d,CH,JC−P=3.9Hz)、52.4(d,CH,JC−P=3.3Hz)、21.5(CH)、20.6(CH)、19.4(CH)。
元素分析計算値(C5249ClPRu):C:69.02、H:5.46、N:3.10。実測値:C:69.39、H:5.61、N:3.19。
X線構造解析に適した化合物3の結晶は、ヘキサンで覆ったベンゼン溶液から得られた。図2にこの化合物の構造を示す。選択された結合距離(Å)は以下のとおりである:Ru−C1 1.861(4)、Ru−C14 2.088(4)、Ru−Cl1 2.3686(10)、Ru−Cl2 2.3608(10)、Ru−P 2.4453(11)、C1−C2 1.502(5)、C1−C13 1.493(5)。選択された結合角(度):C1−Ru−C14 97.37(16)、C1−Ru−Cl1 105.15(12)、C1−Ru−Cl2 100.50(12)、Cl2−Ru−Cl1 153.98(4)、C14−Ru−Cl1 85.13(10)、C14−Ru−Cl2 95.98(10)、C1−Ru−P 96.47(12)、C14−Ru−P 165.99(11)、Cl1−Ru−P 89.16(4)、Cl2−Ru−P 83.62(4)、C2−C1−Ru 128.5(3)、C13−C1−Ru 127.2(3)、C2−C1−C13 104.3(3)、N1−C14−Ru 120.9(3)、N2−C14−Ru 132.0(3)。
Figure 0005393079
1.3 ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(ピリジン)ルテニウム(K3)
Figure 0005393079
138mgのジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(K2)(98%純度:0.15ミリモル)および0.36mLのピリジン(4.5ミリモル)を、窒素雰囲気下で、マグネチックスターラーバーを備えたシュレンク容器の中に導入した。その暗褐色の溶液を室温で30分間撹拌し、次いで10mLの乾燥ヘキサンを添加した。暗黄色の沈殿物が生成するので、それから液体を注いだ。ヘキサン2mLずつで3回その沈殿物を洗浄し、減圧下で乾燥させた。残存しているピリジンは、塩化メチレンと共に蒸留することにより除去した。
これにより97mgの触媒K3が得られたが、これは収率90%に相当する。
H NMR(500MHz、CDCl):δ 8.08(d,J=7.6Hz,1H)、7.86(d,J=5.5Hz,1H)、7.49(dt,J=7.4および1.0Hz,2H)、7.44(t,J=7.6Hz,1H)、7.14(s,2H)、7.13(d,J=6.3Hz,2H)、6.94(m,4H)、6.08(s,2H)、4.08(dd,J=11.6および8.8Hz,2H)、3.81(dd,J=11.6および8.8Hz,2H)、2.83(s,6H)、2.35(s,3H)、1.93(s,3H)、1.89(s,6H)。
13C NMR(125MHz、CDCl):δ 301.3(C=Ru)、210.5(N−C−N)、153.0(CH)、148.5(C)、139.9(C)、139.2(C)、137.0(C)、136.8(CH)、136.7(C)、135.6(C)、135.5(C)、130.6(CH)、130.4(CH)、129.7(CH)、129.4(CH)、128.5(CH)、123.9(CH)、117.1(CH)、53.0(CH)、51.2(CH)、21.2(CH)、21.0(CH)、20.7(CH)、19.3(CH)。
元素分析計算値(C3939ClRu):C:64.90、H:5.45、N:5.82。実測値:C:65.02、H:5.52、N:5.78。
X線構造解析に適した化合物4の結晶は、ヘキサンで覆ったベンゼン溶液から得られた。図3にこの化合物の構造を示す。
選択された結合距離(Å)は以下のとおりである:Ru−C1 1.860(2)、Ru−C14 2.068(2)、Ru−Cl1 2.3587(6)、Ru−Cl2 2.3635(6)、Ru−N3 2.144(2)、C1−C2 1.487(3)、C1−C13 1.493(3)。選択された結合角(度):C1−Ru−C14 99.41(10)、C1−Ru−Cl1 101.97(7)、C1−Ru−Cl2 97.78(7)、Cl2−Ru−Cl1 158.52(3)、C14−Ru−Cl1 85.58(6)、C14−Ru−Cl2 99.50(6)、C1−Ru−N3 92.70(9)、C14−Ru−N3 166.75(9)、C11−Ru−N3 86.65(6)、Cl2−Ru−N3 84.06(6)、C2−C1−Ru 127.59(17)、C13−C1−Ru 126.94(18)、C2−C1−C13 104.8(2)、N1−C14−Ru 118.82(18)、N2−C14−Ru 131.59(18)。
Figure 0005393079
1.4 ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(ピリジン)ルテニウム(K3)とフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物(「K3+P1」)
Figure 0005393079
338mgの、ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物(K2+P1)(65%純度;0.24ミリモル)および0.97mLのピリジン(12ミリモル)を、窒素雰囲気下で、マグネチックスターラーバーを備えたシュレンク容器の中に導入した。得られた褐色の懸濁液を室温で30分間撹拌し、次いで20mLの乾燥ヘキサンを添加した。黄褐色の沈殿物から液体をデカントで除去し、次いで3×2mLのヘキサンを用いてその沈殿物を洗浄した。減圧下で乾燥させると、242mgの混合物K3+P1(73%収率)が得られた。H NMRスペクトルから、モル比はK3:P1=0.69であり、これは、K3含量52%に相当する。
1.5 ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(3−ブロモピリジン)ルテニウム(K4)
Figure 0005393079
0.37mLの3−ブロモピリジン(3.75ミリモル)を使用して、パラグラフ1.3に記載の手順を繰り返すと、ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(3−ブロモピリジン)ルテニウム(K4)がオレンジ〜褐色の反応生成物として、収量111mg(92%)で得られた。
H NMR(500MHz、CDCl):δ 8.27(d,J=2.1Hz,1H)、8.05(d,J=7.5Hz,2H)、7.59(dm,J=8.2Hz,1H)、7.52(dd,J=5.3および1.2Hz,1H)、7.50(dt,J=7.3および1.0Hz,6H)、7.14(s,2H)、7.13(d,J=7.7Hz,2H)、6.95(dt,J=7.5および1.1Hz,2H)、6.76(dd,J=8.0および5.6Hz,1H)、6.08(s,2H)、4.09(dd,J=11.4および8.8Hz,2H)、3.82(dd,J=11.4および8.8Hz,2H)、2.81(s,6H)、2.36(s,3H)、1.93(s,3H)、1.88(s,6H)。
13C NMR(125MHz、CDCl):δ 302.0(C=Ru)、209.5(N−C−N)、153.1(CH)、152.0(CH)、148.4(C)、140.1(C)、139.5(CH)、139.3(C)、139.1(C)、137.0(C)、136.7(C)、135.5(C)、135.3(C)、130.7(CH)、130.4(CH)、129.7(CH)、129.4(CH)、128.6(CH)、124.8(CH)、119.5(C)、117.2(CH)、53.1(CH)、51.1(CH)、21.3(CH)、21.0(CH)、20.6(CH)、19.3(CH)。
元素分析計算値(C3938BrClRu):C:58.51、H:4.78、N:5.25。実測値:C:58.62、H:4.82、N:5.18。
X線構造解析に適した触媒K4の結晶は、ヘキサンで覆ったベンゼン溶液から得られた。図4にこの化合物の構造を示す。選択された結合距離(Å)は以下のとおりである:Ru−C1 1.8570(16)、Ru−C14 2.0510(16)、Ru−Cl1 2.3681(4)、Ru−Cl2 2.3678(4)、Ru−N3 2.1538(14)、C1−C2 1.496(2)、C1−C13 1.501(2)。選択された結合角(度):C1−Ru−C14 99.68(7)、C1−Ru−Cl1 102.71(5)、C1−Ru−Cl2 96.91(5)、Cl2−Ru−Cl1 158.268(16)、C14−Ru−Cl1 85.63(5)、C14−Ru−Cl2 100.29(5)、C1−Ru−N3 93.85(6)、C14−Ru−N3 165.25(6)、Cl1−Ru−N3 85.68(4)、Cl2−Ru−N3 83.76(4)、C2−C1−Ru 128.59(12)、C13−C1−Ru 126.73(12)、C2−C1−C13 104.05(13)、N1−C14−Ru 117.10(12)、N2−C14−Ru 134.76(12)。
Figure 0005393079
1.6 ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(3−ブロモピリジン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物(K4+P1)
Figure 0005393079
出発物質として0.73mLの3−ブロモピリジン(7.5ミリモル)を使用して、上述のパラグラフ1.4の手順を繰り返すと、300mgの、ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(3−ブロモピリジン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物(K4+P1)が、オレンジ〜褐色の反応生成物として得られた(83%収率)。H NMRスペクトルによれば、そのモル比はK4:P1=0.78であり、これはK4含量57%に相当する。
1.7 ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(3−ニトロピリジン)ルテニウム(K5)
Figure 0005393079
138mgのジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウムK2(98%純度;0.15ミリモル)、465mgの3−ニトロピリジン(3.75ミリモル)、および1.0mLのトルエンを、窒素雰囲気下でマグネチックスターラーバーを備えたシュレンク容器の中に導入した。その褐色の懸濁液を室温で1時間撹拌してから、10mLの乾燥ヘキサンを添加した。そのオレンジ〜赤色の沈殿物から液体をデカントで除去し、3×2mLのヘキサンを用いてその沈殿物を洗浄し、減圧下に乾燥させた。その沈殿物をまず0.2mLのジクロロメタンの中に溶解させて、残存している3−ニトロピリジンを除去し、次いで2mLのヘキサンを添加することによって、それを再び沈殿させた。
これにより、103mgの純粋な反応生成物ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(3−ニトロピリジン)ルテニウム(K5)が得られた(90%収率)。
H NMR(500MHz、CDCl):δ 9.30(s,1H)、8.24(d,J=7.8Hz,1H)、8.00(d,J=7.6Hz,2H)、7.74(d,J=5.2Hz,1H)、7.50(t,J=7.3Hz,2H)、7.14(s,2H)、7.13(d,J=8.3Hz,2H)、7.04(m,1H)、6.94(t,J=7.5Hz,2H)、6.08(s,2H)、4.11(t,J=10.1Hz,2H)、3.84(t,J=10.1Hz,2H)、2.82(s,6H)、2.32(s,3H)、1.93(s,3H)、1.89(s,6H)。
13C NMR(125MHz、CDCl):δ 302.5(C=Ru)、208.7(N−C−N)、159.0(CH)、148.4(C)、147.9(CH)、143.9(C)、139.9(C)、139.4(C)、139.1(C)、137.1(C)、136.8(C)、135.4(C)、135.2(C)、131.6(CH)、131.0(CH)、130.4(CH)、129.8(CH)、129.4(CH)、128.7(CH)、124.2(CH)、117.3(CH)、53.0(CH)、51.2(CH)、21.2(CH)、21.0(CH)、20.6(CH)、19.4(CH)。
元素分析計算値(C3938ClRu):C:61.09、H:5.00、N:7.31。実測値:C:60.74、H:4.89、N:7.27。
X線構造解析に適した化合物6の結晶は、ヘキサンで覆ったベンゼン溶液から得られた。図5にこの化合物の構造を示す。選択された結合距離(Å)は以下のとおりである:Ru−C1 1.854(6)、Ru−C14 2.042(6)、Ru−Cl1 2.3597(14)、Ru−Cl2 2.3705(15)、Ru−N3 2.139(5)、C1−C2 1.492(8)、C1−C13 1.491(8)。
選択された結合角(度):C1−Ru−C14 100.0(3)、C1−Ru−Cl1 96.15(19)、C1−Ru−Cl2 102.39(19)、Cl2−Ru−Cl1 159.14(6)、C14−Ru−Cl1 100.03(16)、C14−Ru−Cl2 86.19(17)、C1−Ru−N3 96.3(2)、C14−Ru−N3 163.3(2)、Cl1−Ru−N3 81.95(14)、Cl2−Ru−N3 86.57(14)、C2−C1−Ru 127.2(4)、C13−C1−Ru 128.0(5)、C2−C1−C13 104.2(5)、N1−C14−Ru 116.2(5)、N2−C14−Ru 134.2(4)。
Figure 0005393079
1.8 ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(3−ニトロピリジン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物(K5+P1)
Figure 0005393079
169mgの、ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物(「K2+P1」)(65%純度;0.12ミリモル)、さらに372mgの3−ニトロピリジン(3ミリモル)および0.8mLのトルエンを、窒素雰囲気下でマグネチックスターラーバーを備えたシュレンク容器の中に導入した。その褐色の懸濁液を室温で1時間撹拌してから、8mLの乾燥ヘキサンを添加した。その赤褐色の沈殿物から液体をデカントで除去し、3×1mLのヘキサンを用いてその沈殿物を洗浄し、減圧下に乾燥させた。
それによって、139mgの、ジクロロ(フルオレニリデン)(1,3−ジメシチルジヒドロイミダゾリリデン)(3−ニトロピリジン)ルテニウムとフルオレニリデントリフェニルホスファジンとの混合物(K5+P1)が得られた(82%収率)。H NMRスペクトルによれば、そのモル比はK5:P1=0.73であり、これはK5含量55%に相当する。
すべての「」印についての説明:
混合比は、それぞれの場合において、以下のH NMRシグナル(300MHz、CDCl)により求めた:RuCl(PPh(7.01ppmにおける18H)、1(6.40ppmにおける2H)、ホスファジン2(6.33ppmにおける2H)、3(5.86ppmにおける2H)、4(6.08ppmにおける2H)、5(6.08ppmにおける2H)、6(6.08ppmにおける2H)。1,3−ジメシチルイミダゾリニウムクロリドの含量は、4.4ppmにおける4Hを、4.02および3.78ppmにおけるカルベンの4Hと比較した、水素原子についての積分値の比率から求めた。未反応のジクロロ(フルオレニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムは、その31P NMRスペクトルによって求めることが可能であった。31.3ppmにおけるその2P原子の、26.0ppmにおける化合物3の1Pに対する積分値の比率を採用した。
本発明による触媒を使用したメタセシス反応:
A 不活性ガス雰囲気下の「閉環メタセシス」
本発明において調製した触媒の、ジアリルマロン酸ジエチルおよびジアリルマロノニトリルの閉環メタセシスに対する適合性を、以下の実施例で示す。
この目的のためには、グローブボックス中で、ヤングバルブ(Young valve)付きのNMRチューブに、以下のものを充填した:基質として使用される0.6mLのCDCl中の、24.0mgのジアリルマロン酸ジエチルまたは14.6mgのジアリルマロノニトリル(それぞれの場合において、0.1ミリモル)。0.10mL(1マイクロモル;1モル%)の触媒溶液(0.50mLのCDCl中5マイクロモルの触媒)を23〜25℃で添加した。シクロペンテン誘導体が形成される反応を、H NMR分光光度法によって追跡し、出発物質(ジアリルマロン酸ジエチルでは2.61ppm、ジアリルマロノニトリルでは2.70ppm)および反応生成物(ジエチル−3−シクロペンテン−1,1−ジカルボキシレートでは2.98ppm、3−シクロペンテン−1,1−ジカルボニトリルでは3.22ppm)のメチレンプロトンのシグナルの積分値から定量した。生成するエチレンのために生じうる過圧は、注意深く放出した。
それらの結果を次の表A1およびA2に示す。
A1 不活性ガス雰囲気下でのジアリルマロン酸ジエチルの閉環メタセシス
Figure 0005393079
Figure 0005393079
A2 不活性ガス雰囲気下でのジアリルマロノニトリルの閉環メタセシス
Figure 0005393079
Figure 0005393079
A3 好気条件下でのジアリルマロン酸ジエチル(DEDAM)の閉環メタセシス
以下の実験から、本発明の触媒が好気条件下でのDEDAMの閉環メタセシスに対する触媒作用を有し、またDEDAMの閉環メタセシスが、CaClを添加することによってプラスの影響を受けることが判る。
Figure 0005393079
本発明による触媒を使用し、CaCl添加および不添加で、空気および水分を排除するための特別な手段をとることなく、ジアリルマロン酸ジエチルの閉環メタセシスを実施した。それらの実験は、0.151mL(0.625ミリモル)のDEDAM、以下の表に記載した触媒およびその量、0.3mLのクロロベンゼン、0.2mLのCDCl、ならびに場合に応じて1mgのCaClを使用して、実施した。
実験を実施するにあたっては、表に記載された触媒と量を、グローブボックス中で試験管の中に秤量し、グローブボックス中でセプタムを使用して封じた。グローブボックスの外で、触媒を溶解させるために、0.3mLの窒素で飽和させていない非重水素化クロロベンゼンをシリンジを用いて触媒に添加した。その触媒溶液を空気中で、シリンジを用いてNMRチューブに移した。次いでその試験管を、空気中で、0.2mLの重水素化クロロホルム(CDCl)を用いて洗浄し、シリンジを用いてNMRチューブの中に移した。CaClを添加する実験においては、さらに約1mgの塩化カルシウムをNMRチューブの中に導入した。0.151mL(0.625ミリモル)のDEDAM(アルドリッチ(ALDRICH)製)を添加することにより、室温で反応を開始させた。所定の間隔でH NMRスペクトルを記録して、反応の転化率を求めた。
Figure 0005393079
Figure 0005393079
B ニトリルゴムのメタセシスのための本発明による触媒の使用
以下に記載の一連の実験1〜5における分解反応は、ランクセス・ドイチュラント・GmbH(Lanxess Deutschland GmbH)製のニトリルゴムのペルブナン(Perbunan)(登録商標)NT3435を使用して実施した。このニトリルゴムは、以下の特性値を有していた:
アクリロニトリル含量:34重量%
ムーニー粘度(ML1+4、100℃):35ムーニー単位
残存水分含量:1.8重量%
:186 000g/モル
:60 000g/モル
PDI(M/M):3.1
メタセシス分解は、それぞれの場合において、293gのクロロベンゼン(以後、「MCB」と略す、アクロス・オーガニックス(Acros Organics)製)を用いて実施し、さらなる精製工程は加えなかった。その中に、室温で10時間かけて40.0gのNBRを溶解させた。そのNBR含有溶液に、800mg(2phr)の1−ヘキサンをそれぞれの場合において添加し、その混合物を10分間撹拌することにより均質化させた。
以下の表に記載された触媒を使用し、室温でメタセシス反応を実施したが、それぞれの場合において、1回は塩化カルシウム無しで、1回は800mg(2phr)の塩化カルシウムを加えた。それらの触媒は、それぞれの場合において、アルゴン下室温で10gのMCB中に溶解させた。触媒溶液を調製した後直ちに、それらの触媒溶液をMCB中のNBR溶液に添加した。その反応溶液の約5mLのサンプルを30、60、90、180、および420分後に採取し、その後直ちに約0.5mLのエチルビニルエーテルを添加して、反応を停止させた。溶液のそれぞれから2mLを採取し、3mLのDMAcを用いて希釈した。GPC分析を実施するために、それぞれの場合において、それらの溶液を、テフロン(登録商標)(Teflon)製の0.2μmシリンジフィルター(クロマフィル・PTFE(Chromafil PTFE)0.2μm;マチェレイ−ナゲル(Macherey−Nagel)製)によって濾過した。次いで、80℃でGPC分析を実施したが、それには、ポリマー・ラボラトリーズ(Polymer Laboratories)製のピーエルゲル(PLgel)前置カラムと、2本の300×7.5mmレジポア(Resipore)3μmPEカラムを使用した(ポンプ:ウォータース(Waters)モデル510)。
GPCカラムの較正は、ポリマー・スタンダーズ・サービシズ(Polymer Standards Services)製の直鎖状ポリ(スチレン)標準を使用して実施した。検出器としては、ウォータース(Waters)製のRI検出器(ウォータース(Waters)410)を使用した。分析は、溶出液としてDMAc(0.075モル/LのLiBrを含む)を使用し、1.0mL/分の流量で実施した。ポリマー・ラボラトリーズ(Polymer Laboratories)製のソフトウェアを使用して、GPC曲線の評価を実施した。
元のNBRゴム(分解前)について、および分解させたニトリルゴムについての両方で、GPC分析によって下記の特性を求めた:
/(kg/モル):重量平均モル質量
/(kg/モル):数平均モル質量
PDI:モル質量分布の幅(M/M
Figure 0005393079
1.00 グラブスII触媒使用の比較実験
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
2.00 混合物K2+P1を使用した本発明による実験
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
3.00 混合物K3+P1を使用した本発明による実験
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
4.00 混合物K4+P1を使用した本発明による実験
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
5.00 混合物K5+P1を使用した本発明による実験
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079
Figure 0005393079

Claims (9)

  1. 一般的な構造要素(I)(ここで「」印を付けた炭素原子は、1個の二重結合を介して触媒骨格に結合されている)を含む、メタセシス反応のためのルテニウム−およびオスミウム−カルベン錯体触媒であって、
    Figure 0005393079
    および
    〜Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、チオール、CF、ニトロ、ニトロソ、シアノ、チオシアノ、イソシアナト、カルボジイミド、カルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、アミノ、アミド、イミノ、シリル、スルホネート(−SO )、−OSO 、−PO もしくはOPO 、またはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボキシレート、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、ジアルキルアミノ、アルキルシリル、またはアルコキシシリルであるが、ここで、それらの基は、それぞれ場合によっては、1種または複数のアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールまたはヘテロアリール基によって置換されているか、またはそれに代えて、基R〜Rからの2個の直接隣り合った基が、それらが結合されている環の炭素と一緒になって、架橋によって、環式基を形成するか、またはそれに代えて、Rが、適切であるならば、ルテニウム−またはオスミウム−カルベン錯体触媒の他の配位子に架橋されていてもよく、
    mが、0または1であり、そして
    Aが、酸素、硫黄、C(R10)、N−R11、−C(R12)=C(R13)−、−C(R12)(R14)−C(R13)(R15)−であるが、ここでR〜R15は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、基R〜Rの意味合いの1つを有している、触媒。
  2. 一般式(IIa):
    Figure 0005393079
    [式中、
    Mが、ルテニウムまたはオスミウムであり、
    およびXは同一であっても異なっていてもよいが、2個の配位子であり、
    およびLが、同一であっても異なっていてもよい配位子であるが、ここでLが、それに代えて、基Rによって架橋されていてもよく、
    nが、0であり、
    〜R、m、およびAが、請求項1の一般式(I)におけるのと同じ意味合いを有する]
    で表される、請求項1に記載の、メタセシス反応のための触媒。
  3. 前記基Rが、錯体触媒の他の配位子に架橋されて、一般式(XIIIa):
    Figure 0005393079
    [式中、
    が、酸素、硫黄、N−R21基、またはP−R21であり(R21は以下において定義されるものである)、
    20およびR21は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、またはアルキルスルフィニル基であるが、それらはすべて、場合によっては、1種または複数のアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリール、またはヘテロアリール基によって置換されていてもよく、
    pが、0または1であり、そして
    が、p=1の場合には、−(CH−(ここで、r=1、2もしくは3)、−C(=O)−CH−、−C(=O)−、−N=CH−、−N(H)−C(=O)−であるか、またはそれらに代えて、全体の構造単位「−Y(R20)−(Y−」が、(−N(R20)=CH−CH−)、(−N(R20,R21)=CH−CH−)であり、そして
    M、X、X、L、R〜R、A、m、およびnが、一般式(IIa)の場合におけるのと同じ意味合いを有している]
    の構造を形成している、請求項2に記載の、メタセシス反応のための触媒。
  4. 以下の構造式:
    Figure 0005393079
    Figure 0005393079
    [式中、Mesは、それぞれの場合において、2,4,6−トリメチルフェニルであり、R20およびR21は請求項3に記載の意味合いを有する]
    で表される、メタセシス反応のための触媒。
  5. 触媒前駆体化合物を、一般式(XVI):
    Figure 0005393079
    [式中、R〜R、m、およびAは、一般式(I)において述べた意味合いを有する]
    の化合物と反応させることによって、一般式(I)の構造要素を有する、メタセシス反応のためのルテニウム−またはオスミウム−カルベン触媒を調製するための方法であって、
    前記反応を
    (i)温度が、−20℃〜100℃の範囲で、
    (ii)触媒前駆体化合物の一般式(XVI)の化合物に対するモル比が、1:0.5から1:5までで、
    実施することを特徴とする、方法。
  6. 請求項2に記載の一般式(IIa)の触媒を調製するための方法であって、一般式(XVII):
    Figure 0005393079
    [式中、
    M、X、X、LおよびLは、一般式(IIa)の場合と同じ一般的な意味合いを有し、そして
    AbLが、「脱離配位子」であって、一般式(IIa)におけるLおよびLと同じ意味合いを有することができる]
    の触媒前駆体化合物を、一般式(XVI):
    Figure 0005393079
    [式中、R〜R、m、およびAは、一般式(I)において述べた意味合いを有する]
    の化合物と、−20℃〜100℃の範囲の温度、1:0.5から1:5までの、一般式(XVII)の触媒前駆体化合物の、一般式(XVI)の化合物に対するモル比で反応させる、方法。
  7. メタセシス反応における、請求項1〜4のいずれか一項に記載触媒の使用。
  8. 閉環メタセシス(RCM)、交叉メタセシス(CM)、開環メタセシス(ROM)、開環メタセシス重合(ROMP)、環式ジエンメタセシス重合(ADMET)、自己メタセシス、アルケンとアルキンとの反応(エンイン反応)、アルキンの重合、およびカルボニルのオレフィン化における、請求項1〜4のいずれか一項に記載触媒の使用。
  9. ニトリルゴムを触媒と接触させることによって、前記ニトリルゴムの分子量を低下させるために、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒を使用する、請求項8に記載の使用。
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