以下に、添付の図面を参照して、この発明にかかる車両用障害物検出装置および歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる車両用障害物検出装置を備えた歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の全体構成の例を示す説明図、図2は同歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の車両における配置例を説明するための説明図、図3は同車両用障害物検出装置の静電容量センサ部および回路部の全体構成の例を示す説明図である。
図1および図2に示すように、本実施形態にかかる車両用障害物検出装置は、例えば車両1のフロントバンパー2に、この車両1の前方に向けて検知面が存するように配置された第1静電容量センサ部10、第2静電容量センサ部20、および第3静電容量センサ部30を備える。
これら各静電容量センサ部10〜30は、図2(b)に示すように、例えば車両1の前方に居る歩行者(例えば、歩行者の足49)を検知可能なように、例えば図1および図2(a)に示すように、フロントバンパー2に向かって左側(車両1の右側)に第1静電容量センサ部10が、向かって中央側(車両1の中央側)に第2静電容量センサ部20が、さらに向かって右側(車両1の左側)に第3静電容量センサ部30が位置するようにそれぞれ配置されている。
また、車両用障害物検出装置は、これら静電容量センサ部10〜30からの出力に基づいて、図2(b)に示すように、足49が各静電容量センサ部10〜30上の検知範囲Z1,Z2,Z3内にあるか否かを判定する回路部50を備えて構成されている。回路部50によって出力される車両用障害物検出装置の検出結果に関する情報は、歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の制御部60に対して出力される。
歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の制御部60は、回路部50からの情報とともに、車速センサ90からの検出された車両1の走行状態を示す情報に基づいて、車両1のボンネット3に配置された歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開を制御するための展開制御信号を歩行者保護装置70に対して出力する。歩行者保護装置70は、制御部60からの展開制御信号に基づいて、車両1のボンネット3に配置された歩行者保護用エアバッグ81,82,83を実際に展開させる。
なお、歩行者保護用エアバッグ81〜83は、図2(a)に示すように、例えば車両1のボンネット3の後端側を跳ね上げ可能となるように、ボンネット3に向かって左側(車両1の右側)に第1歩行者保護用エアバッグ81が、向かって中央側(車両1の中央側)に第2歩行者保護用エアバッグ82が、さらに向かって右側(車両1の左側)に第3歩行者保護用エアバッグ83が位置するようにそれぞれ配置されている。
本例の歩行者保護用エアバッグ展開制御装置においては、例えば車両1が所定の走行状態(例えば、時速5km/h以上で前進している状態)にあって、車両用障害物検出装置の第1静電容量センサ部10によって、検知範囲Z1内に足49があることが検知された場合は、第1歩行者保護用エアバッグ81が展開するように制御がなされる。
同様に、車両用障害物検出装置の第2静電容量センサ部20によって検知範囲Z2内に足49があることが検知された場合は、第2歩行者保護用エアバッグ82が、第3静電容量センサ部30によって検知範囲Z3内に足49があることが検知された場合は、第3歩行者保護用エアバッグ83がそれぞれ展開するように制御がなされる。
なお、図1および図2に示すように、本例では、各静電容量センサ部10〜30は、フロントバンパー2内に車両1の幅方向に沿って3つ配置されているが、より多くの静電容量センサ部が配置されてもよい。また、フロントバンパー2に図示しないナンバープレートが取り付けられている場合は、例えば第2静電容量センサ部20をこのナンバープレートを避ける形状で検知範囲Z2を形成可能な状態に配置すればよい。
図3に示すように、各静電容量センサ部10〜30は、車両1の前方に向けた検知面側の検知領域に検知範囲Z1〜Z3が存するように構成され、矩形帯状に形成されたセンサ電極11と、このセンサ電極11の裏面側に形成されたシールド電極12と、センサ電極11と同一平面上に形成されセンサ電極11を囲うような中空長枠状に形成された補助電極13とをそれぞれ備えて構成されている。
センサ電極11および補助電極13は、それぞれ互いに絶縁された状態で配置されている。また、シールド電極12は、裏面側のセンサ感度を減少させるために、センサ電極11よりも大きいことが好ましい。
センサ電極11は、検知面側の検知領域の検知範囲Z1〜Z3内にある検知対象物(歩行者の足49)を検知する。シールド電極12は、センサ電極11の裏面側にてこれらが検知されないようにシールドする。補助電極13は、センサ電極11の検知面側における等静電容量線(面)を可変せしめ、各静電容量センサ部10〜30に指向性を持たせるためのものである。なお、シールド電極12は、上述した態様とともに併せて例えば補助電極13の外周側に設けられていてもよい。
回路部50は、各静電容量センサ部10〜30と接続され、例えばセンサ電極11に直接接続されたC−V変換回路21と、A/D変換器22と、CPU23とを備えて構成されている。ここでは、さらにシールド駆動回路12を備え、補助電極13の接続をC−V変換回路21とシールド駆動回路24とに切り替える切替スイッチSWが設けられている。
C−V変換回路21は、センサ電極11によって、またはセンサ電極11および補助電極13によって、それぞれ検知された静電容量(Capacitance)を電圧(Voltage)に変換する。A/D変換器22は、C−V変換回路21からの電圧を示すアナログ信号をディジタル信号に変換する。
CPU23は、車両用障害物検出装置全体の制御を司るとともに切替スイッチSWを制御したり、検知領域の検知範囲Z1〜Z3内における検知対象物(足49)の検出(有無)を判定したり、この判定結果に関する信号を制御部60に対して出力したりする。シールド駆動回路24は、例えばシールド電極12や補助電極13をセンサ電極11と同等の電位に駆動する。
なお、回路部50は、CPU23の一時記憶領域として利用されるRAMやデータ格納用のROM等の記憶手段(図示せず)を備えて構成される。また、各静電容量センサ部10〜30は、例えば図示しない基板上に形成されている。この基板としては、例えばフレキシブルプリント基板、リジッド基板およびリジッドフレキシブル基板のいずれの基板も採用することができる。
さらに、回路部50は、各静電容量センサ部10〜30が形成された基板の同一面側または裏面側に実装されて一体的に設けられていてもよい。この場合、回路部50は、各静電容量センサ部10〜30の数と対応するように複数設けられてもよい。
センサ電極11、シールド電極12および補助電極13は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ガラスエポキシ樹脂、またはセラミック等の絶縁体からなる基板上にパターン形成された銅、銅合金またはアルミニウムや鉄等の金属部材(導電材)や電線などで構成することができる。
なお、各静電容量センサ部10〜30の配置態様(例えば、フロントバンパー2の表面側に配置する場合)によっては、外観上目立たないように配置する必要が生じる場合がある。このような場合は、上記基板を透明性を有するパネルやフィルムにて形成し、各電極11〜13を透明電極とすればよい。
透明電極は、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)や導電性ポリマーによって構成することができる。導電性ポリマーとしては、例えばPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォニック酸)や、PEDOT/TsO(ポリエチレンジオキシチオフェン/トルエンスルフォネート)などを用いることができる。
次に、このように構成された車両用障害物検出装置の検知対象物(足49)の検知動作について説明する。まず、CPU23の制御により、切替スイッチSWがシールド駆動回路24側に接続された場合の動作(動作1)について説明する。この動作1の場合、各静電容量センサ部10〜30のセンサ電極11、シールド電極12および補助電極13と回路部20との接続状態は、図3に示すようになる。
すなわち、C−V変換回路21にはセンサ電極11のみが接続され、シールド電極12および補助電極13はシールド駆動回路24に接続されるので、センサ電極11のみによって足49である検知対象物A,Bとの静電容量CがC−V変換回路21によって検出される。このとき、センサ電極11の裏面側は、シールド駆動回路24に接続されたシールド電極12によって覆われた状態である。このため、センサ電極11の裏面側のセンサ感度はほぼないに等しくなり、これは後述する動作2の場合も同様である。
また、両検知対象物A,Bはセンサ電極11からほぼ等しい距離に存する。しかし、シールド駆動回路24に接続された補助電極13の影響によって、上述した等静電容量線(面)Mが図4に示すような状態となり、検知対象物Bに対するセンサ感度が検知対象物Aに対するセンサ感度よりも低下する。
この場合、図5(a)に示すように、センサ電極11の中心部上付近に存する検知対象物Aに対するセンサ電極11からの電気力線P1は、補助電極13からの電気力線P2(シールド)の影響が小さいといえる。だが、図5(b)に示すように、センサ電極11に対して外側に存する検知対象物Bに対するセンサ電極11からの電気力線P1は、補助電極13からの電気力線P2(シールド)の影響を受けやすいといえる。
このため、動作1においては、両検知対象物A,Bはセンサ電極11から同一距離に存するが、C−V変換回路21によって検出される静電容量値は検知対象物Aの方が検知対象物Bに比べて大きくなる。なお、このような動作1のときに検出された第1の静電容量値C1をCPU23によって記憶手段に記憶しておく。
この動作1の場合、補助電極13をシールド駆動回路24に接続することによって、センサ電極11の中心部のセンサ感度に対して、センサ電極11の電極端(補助電極13側の端部)のセンサ感度を下げることができる。これにより、各静電容量センサ部10〜30に僅かな指向性を持たせることが可能となる。
ただし、この動作1においては、センサ電極11の電極端のセンサ感度が僅かに低下する程度である。したがって、例えば図5(b)に示す検知対象物Bよりはセンサ電極11に近い位置に存する足49である検知対象物C(図4参照)の静電容量値は、検知対象物Aの静電容量値とほぼ等しくなってしまう。この際、等静電容量線(面)Mが図4に示すような状態となってしまう。このため、検知対象物A,Cの違いを判別することができず、より強い指向性を持たせることができない状態であるといわざるを得ない。
次に、CPU23の制御により、切替スイッチSWがC−V変換回路21側に接続された場合の動作(動作2)について説明する。この動作2の場合、各静電容量センサ部10〜30のセンサ電極11、シールド電極12および補助電極13の回路部20との接続状態は、図6に示すようになる。
すなわち、C−V変換回路21にセンサ電極11および補助電極13が接続されるので、これらセンサ電極11および補助電極13によって検知対象物A,Bとの静電容量がC−V変換回路21によって検出される。このとき、上述したようにセンサ電極11の裏面側のセンサ感度はほぼないに等しいが、センサ電極11の検知面側(表面側)における等静電容量線(面)Mは図6に示す状態となり、検知面側の180°の範囲で指向性がない状態といえる。
このため、動作2においては、センサ電極11からほぼ等しい距離に存する両検知対象物A,Bについては、ほぼ同等の静電容量値が検出される。そして、このような動作2のときに検出された第2の静電容量値C2を、第1の静電容量値C1と同様にCPU23によって記憶手段に記憶しておく。
このように、上述した動作1および動作2により、センサ電極11による検知面側の等静電容量線(面)Mを可変せしめることができる。こうして、センサ電極11の検知面側において僅かに指向性がある場合に検出された第1の静電容量値C1と、センサ電極11の検知面側において指向性がない場合に検出された第2の静電容量値C2とを取得する。
その後、本例の車両用障害物検出装置においては、次のような動作が行われる。まず、CPU23によって記憶手段に記憶しておいた第1の静電容量値C1と第2の静電容量値C2とを比較する。例えば、上述した動作2の場合においては両検知対象物A,Bから検出された静電容量値はともにほぼ同等の値であるため、検知対象物A,Bはセンサ電極11からほぼ等しい距離にあることが判明する。
次に、動作1の場合では検知対象物Aに対して検知対象物Bの静電容量値が小さくなるため、検知対象物Bは検知対象物Aよりもセンサ電極11に対して外側に存することが判明する。これらを踏まえて、CPU23においては、第1の静電容量値C1に対する第2の静電容量値C2の値を比較することにより、検知対象物がセンサ電極11の中心部に対してどの程度外側に存するのか(すなわち、検知対象物が少なくともセンサ電極11の検知面と対向する領域を含む所定の範囲内(以下、「検知範囲内」と略記することがあるとする。)にあるか否か)を判定することができる。
上述したように構成され動作する車両用障害物検出装置によれば、図1に示すように、例えば各静電容量センサ部10〜30によって、フロントバンパー2内に配置された各静電容量センサ部10〜30(センサ電極11)上に形成された検知範囲Z1〜Z3内に検知対象物(足49)や物体(電柱やポールなど)があるか否かを判定することができる。
これら検知範囲Z1〜Z3は、設定された指向性によりその範囲が決定する。また、足49が検知範囲Z1〜Z3内にある場合の検出される静電容量値もプロファイルにより決定することができる。このため、足49や物体は、検出された静電容量値をプロファイルデータをしきい値等として比較することにより判別することができる。
したがって、例えばフロントバンパー2の前方の検知範囲Z1〜Z3外に足49や物体、あるいは障害物S(図2(b)参照)があったとしても、これらが検知されることなく、また物体や障害物Sが検知範囲Z1〜Z3内にあったとしてもこれらを除外し、検知範囲Z1〜Z3内に足49があるか否かを正確に判定可能なように、検知範囲Z1〜Z3をセンサ電極11上の領域に設定する。
そして、判定結果に基づいて、歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の制御部60は、例えば車両1が上述したような所定の走行状態にあって足49を検知した場合は、検知した静電容量センサ部10〜30の位置と車両1の前後方向に沿って対応する配置位置の歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開を制御する展開制御信号を歩行者保護装置70に対して出力する。
歩行者保護装置70は、制御部60からの展開制御信号に基づき、直ちにボンネット3に配置された歩行者保護用エアバッグ81〜83のうちの少なくとも一つ、すなわち展開制御信号により指示された該当する歩行者保護用エアバッグを展開させて、ボンネット3の後端側の対応位置を跳ね上げる。
これにより、車両1が所定の走行状態にて走行中に歩行者(足49)に衝突した場合であっても、歩行者がボンネット3に激突して負傷する際の衝撃を和らげることができ、衝突時の安全性を向上させることができる。なお、歩行者保護用エアバッグ81〜83は、ボンネット3の後端側を跳ね上げるものの他、例えばボンネット3の表面を被覆する(覆う)ように展開されるものであってもよい。
ここで、車両用障害物検出装置を備えた歩行者保護用エアバッグ展開制御装置による歩行者保護用エアバッグの展開制御処理について説明する。図7は、上記歩行者保護用エアバッグ展開制御装置による歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開制御処理手順の例を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、車両用障害物検出装置は、例えば車両1のイグニッションスイッチがアクセサリーやONとなることをトリガとするなどして、車両用障害物検出装置の処理が開始されたら、回路部50のCPU23の制御によって、切替スイッチSWによる補助電極13の接続状態を上述した第1および第2の接続状態に切り替える。
こうして、各静電容量センサ部10〜30において静電容量値(第1および第2の静電容量値C1,C2)を検出し(ステップS101)、これらを比較して比較値を算出する(ステップS102)。
そして、第1の静電容量値C1または第2の静電容量値C2に基づいて、検知対象物(障害物)がセンサ電極11上に近接しているか否かを判定する(ステップS103)。これとともに、算出した比較値が、例えばあらかじめ設定された所定のしきい値以上(あるいは所定のしきい値以下や所定のしきい値未満等)であるか否かを判定する(ステップS104)。
障害物が近接していると判定され(ステップS103のY)、かつ比較値が所定のしきい値以上であると判定された場合(ステップS104のY)は、障害物を検知と判定して(ステップS105)、その判定結果を含む検出結果に関する情報を制御部60に対して出力する。
歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の制御部60は、検出結果に関する情報に基づいて、各静電容量センサ部10〜30のうちのどの静電容量センサ部により障害物が検知されたかを判定し、障害物の位置を特定する(ステップS106)。
なお、上記ステップS106では、障害物が各静電容量センサ部10〜30の検知範囲Z1〜Z3のうち、複数の検知範囲内に重複して検知されたとしても、検出された静電容量値に基づき位置を特定するための演算処理をすることにより、その位置を特定することができる。
そして、障害物の位置を特定したら、例えばあらかじめ記憶されている静電容量値のプロファイルデータを参照して、得られた障害物の静電容量値と比較することにより障害物が人体であるか否かを判定する(ステップS107)。人体であると判定された場合(ステップS107のY)は、車速センサ90からの情報に基づき、例えば車両1が上述したような所定の走行状態にあり歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開条件を満たしているか否かを判定する(ステップS108)。
展開条件を満たしていると判定された場合(ステップS108のY)は、歩行者保護装置70に展開制御信号を出力し、歩行者保護装置70によって展開制御信号により指示された該当する位置の歩行者保護用エアバッグを展開させる展開制御を行い(ステップS109)、本フローチャートによる一連の展開制御処理を終了する。
このように車両用障害物検出装置によって車両1に対する障害物を検出し、検出した障害物が歩行者(歩行者の足49)であり車両1が所定の走行状態にある場合に歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開を制御すれば、歩行者の足49を正確かつ確実に検出し車両1の衝突の際にも歩行者のボンネット3への衝撃を和らげることができる。
一方、障害物が近接していないと判定された場合(ステップS103のN)や、比較値が所定のしきい値以上でないと判定された場合(ステップS104のN)は、障害物を非検知と判定し(ステップS110)、歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開は行わず、本フローチャートによる一連の展開制御処理を終了する。
また、人体でないと判定された場合(ステップS107のN)や、例えば車両1が所定の走行状態になく(例えば、停車している等)、展開条件を満たしていないと判定された場合(ステップS108のN)は、同様に歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開は行わずに本フローチャートによる一連の展開制御処理を終了する。
ここで、具体的には、例えばステップS103においては、第1の静電容量値C1が所定のしきい値Th1よりも大きい場合は、障害物がセンサ電極11に近接したと判定可能に設定しておく。また、このとき、例えばステップS104においては、比較値α=(a×C1)−(b×C2)あるいは比較値β=d×C1/C2などの計算式によって算出した比較値αや比較値βが、あらかじめ設定された所定のしきい値としての任意のしきい値Th2よりも小さい場合は、検知範囲Z1〜Z3外であると判定可能に設定しておく。
そして、障害物が近接している場合であって(ステップS104のY)、かつ比較値がしきい値Th2以上の場合にのみ(ステップS105のY)、障害物が検知と判定される(ステップS106)ように構成することができる。このように、本例の車両用障害物検出装置によれば、車両1のフロントバンパー2に配置された各静電容量センサ部10〜30の表面上の(センサ電極11上の)検知範囲Z1〜Z3内への障害物(足49)の近接を正確かつ確実に検知することができる。
なお、上述した比較値α,βにおける係数a,b,cや比較値α,βの計算式およびしきい値Th1,Th2の値などは、次のようであってもよい。すなわち、これらは各静電容量センサ部10〜30のセンサ形状、設置周辺環境、検知対象物の特性などの要因によって変化するものである。このため、これらの各要因が決まった時点でプロファイルを取りながら逐次設定すればよい。
また、上述した例では、第1の静電容量値C1を第2の静電容量値C2で除算した値を用いて比較することで、障害物の近接を判定した。その他にも、例えば第1の静電容量値C1を第1の静電容量値C1と第2の静電容量値C2との和の値で除算した値を用いて比較したり、その他の計算方法を用いたりして近接を判定するようにしてもよい。
このように、本例の車両用障害物検出装置によれば、例えばしきい値Th2が大きい場合は各静電容量センサ部10〜30のセンサ感度の指向性の強度が高く、小さい場合は低いとすることができる。したがって、フロントバンパー2に配置された各静電容量センサ部10〜30の表面上などに指向性を任意に調整して検知範囲Z1〜Z3を設定することができ、所望の指向性をもたせた検知範囲Z1〜Z3内に存する障害物を、簡単な構成で確実かつ正確に検知することができるようになる。また、得られた静電容量値を利用して、検知した障害物と歩行者とを判別することができる。
そして、歩行者保護用エアバッグ展開制御装置により、検知した障害物が人体であるか否かを判断し、人体でありかつ車両1が所定の走行状態であった場合に歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開を行うことができる。なお、上述した回路部50のC−V変換回路21は、例えば抵抗とコンデンサにより出力パルスのデューティー比が変化する周知のタイマーICを利用するものであるが、これに限定されるものではない。
すなわち、例えば正弦波を印加して静電容量値による電圧変化あるいは電流値から直接インピーダンスを測定する方式、測定する静電容量値を含めて発振回路を構成して発振周波数を測定する方式、RC充放電回路を構成して充放電時間を測定する方式、既知の電圧で充電した電荷を既知の容量に移動してその電圧を測定する方式、または未知の容量に既知電圧で充電し、その電荷を既知容量に移動させることを複数回行い、既知容量が所定電圧に充電されるまでの回数を測定する方式などがあり、検出した静電容量値にしきい値を設け、または静電容量の波形を解析して該当する静電容量波形になったときにトリガとするなどの処理を行ってもよい。
また、回路部50のC−V変換回路21が静電容量を電圧に変換することを前提としたが、電気的にあるいはソフトウェアとして扱いやすいデータに変換できればよく、例えば静電容量をパルス幅に変換したり、直接ディジタル値に変換したりしてもよい。
さらに、上述した車両用障害物検出装置では、各静電容量センサ部10〜30のセンサ電極11とシールド電極12および補助電極13とを車両1のフロントバンパー2内にそれぞれ配置した。そして、センサ電極11のみの第1の静電容量値C1と、センサ電極11および補助電極13の第2の静電容量値C2とを比較して障害物の検出を判定する例を挙げて説明したが、例えば次のようなものであってもよい。
図8は、上記車両用障害物検出装置の静電容量センサ部および回路部の全体構成の他の例を示す説明図である。この例の車両用障害物検出装置は、センサ電極11の他にダミーのセンサ電極(ダミー電極)19を配置した構成を有し、回路部50のC−V変換回路21が差動動作するものとして構成されている。
具体的には、図8に示すように、例えば差動増幅回路のプラス側入力端にセンサ電極11を接続し、マイナス側入力端にダミー電極19を接続して静電容量Caの値から静電容量Cbの値を減算する。そして、その出力値をコンパレータなどでしきい値と比較して障害物を検出するようにしたものである。
このようなC−V変換回路21の動作としては、例えばスイッチS1がオープン(OFF)で、スイッチS2が接地(GND)され、スイッチS3がクローズ(ON)となっているときに、スイッチS3をオープン(OFF)にし、スイッチS2をVrに切り替え、スイッチS1をオペアンプの反転入力に接続する。すると、静電容量CaとCfにCaVrが充電され、静電容量CbとCfにCbVrが充電される。
次に、スイッチS1をオープン(OFF)およびスイッチS2を接地(GND)した後に、スイッチS1を接地(GND)したときの出力電圧Vを測定する。このときの電圧は、V/Vr={(Cf+Ca)/Cf}−{(Cf+Cb)/Cf}となり、静電容量Caと静電容量Cbの割合に応じた電圧が出力される。
このように、C−V変換回路21を差動動作する構成(差動回路)とすることにより、回路の温度特性を相殺したり、コモンモードノイズを低減したりすることができる。そして、このとき、例えば差動増幅回路のマイナス側入力端にはダミー電極19を接続するが、このダミー電極19が障害物(足49)と静電容量結合するとセンサ自体の感度が低くなる。
このため、センサ電極11に対してダミー電極19の面積を十分に小さく形成するか、ダミー電極19と障害物(足49)との間に同電位である他のシールド電極47を設けて、障害物(足49)との静電容量結合を小さくする必要がある。
なお、上述したシールド駆動回路24は、C−V変換回路21が静電容量Cに応じてデューティー比が変化するものである場合は、センサ電極11の出力波形は測定される静電容量によって変化する。このため、オペアンプなどによるボルテージフォロワやFETによるソースフォロワなどで1倍の増幅回路を構成し、センサ電極11の電圧を入力してその出力をシールド電極12などに接続するように構成してもよい。
また、シールド駆動回路24は、C−V変換回路21が差動動作するものである場合は、センサ電極11の出力波形は電圧がVrとGNDの矩形波で周波数はスイッチの切替周波数になる。このため、静電容量値によって変動しないので、図8に示したオペアンプの非反転入力をシールド電極12などに接続するように構成してもよい。ただし、駆動電流が必要な場合は、高出力電流のオペアンプなどを介したり、VrとGNDの矩形波を別途生成するようにすればよい。
さらに、上述した実施形態では、センサ電極11をC−V変換回路21に接続し、シールド電極12をシールド駆動回路24に接続して、補助電極13を切替スイッチSWを介してシールド電極24またはC−V変換回路21に接続するように構成した。その他にも、例えばC−V変換回路21が差動動作するものである場合は、図8に示したマイナス側入力端にセンサ電極11を接続し、シールド電極12をシールド駆動回路24に、また補助電極13をプラス側入力端にそれぞれ接続するように構成してもよい。
この場合、上述した動作2のときは補助電極13がセンサ電極11と接続され指向性がほとんどない状態となる。しかし、上述した動作1のときは補助電極13と障害物(足49)との静電容量結合分の値はセンサ電極11の静電容量値から差し引かれるので、結果的に緩い指向性を持つこととなる。そして、上述した場合と同様に動作1および動作2のときの検出値を比較すれば同様の効果を得ることが可能となる。
さらにまた、上述した実施形態では、切替スイッチSWにより補助電極13について、動作1のときはシールド駆動回路24に接続し、動作2のときはC−V変換回路21に接続可能と構成し、動作1と動作2のときで等静電容量線(面)Mを可変させるように構成した。その他にも、補助電極13について、例えば動作1のときはシールド駆動回路24に接続し、動作2のときは開放、接地または所定の電位に接続可能に構成したり、また例えば、動作1のときは開放、接地または所定の電位に接続し、動作2のときはC−V変換回路21に接続可能に構成しても同様の効果を得ることが可能である。このように、補助電極13は、切替スイッチSWによって開放に接続されたり、接地や他の電位(例えば、接地と同等の電位や、パルス、充電電圧、正弦波などを含む)に接続されたりしてもよい。
なお、切替スイッチSWは、電気的な接続を切り替えられる構造であればよく、例えばFETやフォトMOSリレーなどの電子回路スイッチでも、接点切替器などの機械的なスイッチでも採用することができる。また、センサ電極11の形状は、上述したものの他に、円形、楕円形、長方形、多角形などの各種形状を採用することができ、例えばセンサ電極11の裏面側も検知範囲Z1〜Z3にする場合には、シールド電極12を設置しなければよい。
そして、補助電極13は、センサ電極11の周囲全体を囲む状態で配置したが、検知範囲Z1〜Z3を設定できるものであれば、一部を囲むような状態であったり、隣接する一部に配置されたりしてもよい。また、例えばセンサ電極11を囲む状態であるときは、センサ電極11と同心(中心を同一)状態に配置されるとよい。
次に、本発明の他の実施形態にかかる車両用障害物検出装置の静電容量センサ部および回路部について、図9〜図11を参照して説明する。上述した実施形態にかかる車両用障害物検出装置においては、回路部50のC−V変換回路21からの出力は、センサ電極11および補助電極13により検知された静電容量を示す第2の静電容量値C2か、センサ電極11のみにより検知された静電容量を示す第1の静電容量値C1のいずれかとなる。
このため、センサ電極11(を含む各静電容量センサ部10〜30)の設置場所の周囲の構造等により検出される静電容量値が異なる場合がある。このような場合、これら第1および第2の静電容量値C1,C2を比較した比較結果がセンサ電極11が設置される場所の周囲の構造等に依存して変化してしまうことがある。このような状況を回避するために、回路部50の内部構成を、さらに例えば次のようにしてもよい。
図9は、本発明の他の実施形態にかかる車両用障害物検出装置の各静電容量センサ部10〜30および回路部50の全体構成の例を示す説明図、図10は同車両用障害物検出装置を備えた歩行者保護用エアバッグ展開制御装置による歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開制御処理手順の例を示すフローチャート、図11は同車両用障害物検出装置の各静電容量センサ部10〜30および回路部50の全体構成の他の例を示す説明図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を付して説明を省略し、本発明と特に関連のない部分については明記しないことがあるとする。
図9に示すように、本例の回路部50は、上述したC−V変換回路21、シールド駆動回路24の他に、例えばCPUなどからなる判定回路25と、障害物(足49)が接近していないときの静電容量値(初期容量)を記憶する初期容量記憶装置26と、切替スイッチSWの切り替え動作を制御するスイッチ制御回路27と、バッファ28とを備えて構成されている。
このように構成された回路部50を有する車両用障害物検出装置の検知対象物(足49)の検知動作の概要としては、例えば各静電容量センサ部10〜30を同様に車両1のフロントバンパー2内に配置する。その後、障害物が各静電容量センサ部10〜30に接近していないときの動作1と動作2における静電容量値(初期容量)を、スイッチ制御回路27の制御により切替スイッチSWを切り替えてそれぞれ検出する。
そして、初期容量記憶装置26にてこれらの値を記憶しておき、判定回路25にて上述した実際の動作1,2のときの第1および第2の静電容量値C1,C2から初期容量記憶装置26に記憶されたこれらの初期容量を差し引いて比較する。こうして得られた比較結果に基づいて、障害物(足49)がセンサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3内に存するか否かを判定する。
具体的には、上記初期容量は、スイッチ制御回路27の制御により、切替スイッチSWがシールド駆動回路24側に接続された場合の上記動作1のときのものを第1の初期容量として初期容量記憶装置26に記憶される。また、切替スイッチSWがC−V変換回路21側に接続された場合の上記動作2のときのものを第2の初期容量として初期容量記憶装置26に記憶される。
そして、実際の動作1のときは、判定回路25によって、検出された第1の静電容量値C1から初期容量記憶装置26に記憶しておいた第1の初期容量を差し引いて第1の検出値(検出値1)とする。また、実際の動作2のときは、検出された第2の静電容量値C2から初期容量記憶装置26に記憶しておいた第2の初期容量を差し引いて第2の検出値(検出値2)とする。
すなわち、図10に示すように、まず、車両用障害物検出装置は、例えば車両1のイグニッションスイッチがアクセサリーやONとなることをトリガとするなどして、車両用障害物検出装置の処理が開始されたら、上述したような第1の検出値と第2の検出値とを算出し(ステップS201)、これらを比較して比較値を算出する(ステップS202)。
その後、第1または第2の検出値に基づいて、検知対象物(障害物)が近接しているか否かを判定する(ステップS203)。これとともに、第1の検出値と第2の検出値の比較値が、例えばあらかじめ設定された所定のしきい値以上(あるいは所定のしきい値以下や所定のしきい値未満等)であるか否かを判定する(ステップS204)。
つまり、ここでは検出値1,2と、その比較結果とにより検知範囲Z1〜Z3内に障害物があるか否かを判定する。なお、センサ電極11および補助電極13がC−V変換回路21に接続されている上記動作2のときの検出値2は、センサ感度に指向性がない状態での検出値であり、障害物の各静電容量センサ部10〜30への接近に依存した出力となる。
障害物が近接していると判定され(ステップS203のY)、かつ比較値が所定のしきい値以上であると判定された場合(ステップS204のY)は、障害物を検知と判定して(ステップS205)、その判定結果を含む検出結果に関する情報を制御部60に対して出力する。
歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の制御部60は、検出結果に関する情報に基づいて、各静電容量センサ部10〜30のうちのどの静電容量センサ部により障害物が検知されたかを判定し、障害物の位置を特定する(ステップS206)。
そして、障害物の位置を特定したら、例えばあらかじめ記憶されている静電容量値のプロファイルデータを参照して、得られた障害物の静電容量値と比較することにより障害物が人体であるか否かを判定する(ステップS207)。人体であると判定された場合(ステップS207のY)は、車速センサ90からの情報に基づき、例えば車両1が上述したような所定の走行状態にあり歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開条件を満たしているか否かを判定する(ステップS208)。
展開条件を満たしていると判定された場合(ステップS208のY)は、歩行者保護装置70に展開制御信号を出力し、歩行者保護装置70によって展開制御信号により指示された該当する位置の歩行者保護用エアバッグを展開させる展開制御を行い(ステップS209)、本フローチャートによる一連の展開制御処理を終了する。
一方、障害物が近接していないと判定された場合(ステップS203のN)や、比較値が所定のしきい値以上でないと判定された場合(ステップS204のN)は、障害物を非検知と判定し(ステップS210)、歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開は行わず、本フローチャートによる一連の展開制御処理を終了する。
また、人体でないと判定された場合(ステップS207のN)や、例えば車両1が所定の走行状態になく(例えば、停車している等)、展開条件を満たしていないと判定された場合(ステップS208のN)は、同様に歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開は行わずに本フローチャートによる一連の展開制御処理を終了する。
なお、障害物が近接していると判定されるが(ステップS203のY)、比較値が所定のしきい値以上でないと判定された場合(ステップS204のN)は、障害物を非検知と判定する(ステップS210)。そして、例えば指向性を持たせたときの検知範囲Z1〜Z3内に障害物が存在しないことを示すディセーブル信号である非検知信号A(例えば、ハイインピーダンスや所定の電位等)を、判定出力として出力する。
また、例えば第1または第2の検出値(あるいは第1または第2の静電容量値C1,C2)に基づき、障害物は近接しているか否かを判定し(ステップS203)、障害物は近接していないと判定された場合(ステップS203のN)は、上記ステップS210に移行してこれらを非検知と判定する。そして、例えば障害物がセンサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3内にないことを示すディセーブル信号である非検知信号B(非検知信号Aとは異なる信号)を判定出力として出力する。
このように、判定回路25の出力を判定結果によって、例えばイネーブル信号、ディセーブル信号とすることで、障害物がセンサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3内にあるときはイネーブル信号がバッファ28に入力され、このバッファ28から検出値1が出力される。また、障害物がセンサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3内にないときはディセーブル信号として判定出力が接地電圧や基準電圧などの所定の電圧に固定されるか、ハイインピーダンスの出力となる。
なお、障害物がセンサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3内にあるときは、検出値1の他に、検出値2や、第1あるいは第2の静電容量値C1,C2が出力されてもよい。これら検出値1、検出値2、第1および第2の静電容量値C1,C2は、例えば障害物のセンサ電極11までの距離に応じた値を示すものである。
このように、上記構成の回路部50によれば、障害物(足49)が検知範囲Z1〜Z3内にあるときはその距離に応じた検出値が出力され、検知範囲Z1〜Z3内にないときは所定の電圧等の出力となる。したがって、検知範囲Z1〜Z3内に障害物(足49)があるか否か、またあるとすればどのくらいの距離であるかを判別することが可能となる。すなわち、各静電容量センサ部10〜30のセンサ感度の指向性の強度をより高くしたり、指向性をより詳細に設定したりすることが可能となる。
また、各静電容量センサ部10〜30が設置される場所の周囲の構造等に依存することを回避する方法の他の例として、次のように基準電圧を調整することでこれらを保持することも可能となる。すなわち、図11に示すように、この例の回路部50は、C−V変換回路21およびシールド駆動回路24の他に、基準電圧調整回路40および減算回路31を備えて構成されている。
基準電圧調整回路40は、上述したような第1および第2の初期容量の初期容量測定時に、C−V変換回路21の出力が基準電位になるように調整するものである。この基準電圧調整回路40は、ここではコンパレータ41、制御回路42、レジスタ43、D/A変換器44、および調整部45を備えて構成されている。
基準電圧調整回路40は、例えばC−V変換回路21の出力をコンパレータ41のプラス側入力端から入力し、基準電圧(Reference Voltage:RV)をマイナス側入力端から入力して両者を比較する。そして、この比較結果に基づく制御回路42の制御によりレジスタ43の設定値を変化させる。
さらに、レジスタ43の出力をD/A変換器44にてディジタル信号からアナログ信号に変換した後、調整部45にて電圧調整を行い、この調整部45からの出力によってC−V変換回路21の入力を調整する。このようにして、障害物が各静電容量センサ部10〜30に近接していないときの動作1において、C−V変換回路21からの出力が基準電位に最も近くなったところでレジスタ43の設定値を固定して第1の初期容量の出力を基準電圧とし、そのときの設定値(設定値1)を記憶する。
これとともに、障害物が各静電容量センサ部10〜30に近接していないときの動作2において、C−V変換回路21からの出力が基準電位に最も近くなったところでレジスタ43の設定値を固定して第2の初期容量出力を基準電位とし、そのときの設定値(設定値2)を記憶する。
そして、実際の動作1のときは、レジスタ43の設定値1を固定したときのC−V変換回路21の出力を、例えば減算回路31のプラス側入力端に入力するとともに、基準電圧RVをマイナス側入力端に入力して、出力を基準電圧RVで減算して検出値1とする。また、実際の動作2のときは、レジスタ43を設定値2に固定したときのC−V変換回路21の出力を、例えば減算回路31のプラス側入力端に入力するとともに、基準電圧RVをマイナス側入力端に入力して、出力を基準電圧RVで減算して検出値2とする。
そして、これら検出値1と検出値2を比較することにより、同様にセンサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3内に障害物(足49)があるか否か、またあるとすればどのくらいの距離であるかを判別する。なお、C−V変換回路21への入力の調整は、例えば入力に接続した固定コンデンサ等からなる調整部45にD/A変換器44の電圧を加えることで、入力する静電容量を増減させることにより実現することができる。
図12は、本発明のさらに他の実施形態にかかる車両用障害物検出装置の静電容量センサ部および回路部の全体構成の例を示す説明図、図13は同車両用障害物検出装置の検知動作時における動作概念を説明するための説明図、図14〜図16は同車両用障害物検出装置の第1検知動作時(動作3)における検知対象物と電気力線との関係を説明するための説明図である。
また、図17〜図19は、同車両用障害物検出装置の第2検知動作時(動作4)における検知対象物と電気力線との関係を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態にて既に説明した部分と重複する説明は割愛することがあるとする。
図12に示すように、本実施形態にかかる車両用障害物検出装置は、上述した実施形態にかかる車両用障害物検出装置と同様の構成であるとともに、各静電容量センサ部10〜30と、回路部50とを備えて構成されている。各静電容量センサ部10〜30は、センサ電極11と、シールド電極12と、上記補助電極13と同様にセンサ電極11を囲うような中空長枠状に形成された補助電極13Aとを備えて構成されている。
センサ電極11は、主に検知面側の検知領域の検知範囲Z1〜Z3内に存する障害物(足49)を検知するために設けられている。シールド電極12は上述した作用を有する。補助電極13Aは、主にセンサ電極11の検知面側の等静電側における等静電容量線(面)を可変せしめるために設けられている。
回路部50は、センサ電極11または補助電極13Aに接続されるC−V変換回路21と、A/D変換器22と、CPU23と、シールド電極12に直接接続されるとともにセンサ電極11または補助電極13Aに接続されるシールド駆動回路24とを備えて構成されている。
また、回路部50は、センサ電極11からの入力をC−V変換回路21またはシールド駆動回路24に切り替える第1切替スイッチSW1と、補助電極13Aからの入力をシールド駆動回路24またはC−V変換回路21に切り替える第2切替スイッチSW2とを備えて構成されている。なお、これら第1および第2切替スイッチSW1,SW2は、それぞれA側およびB側(図12など参照)に切り替え可能に構成されている。
C−V変換回路21は、センサ電極11によって、または補助電極13Aによって、それぞれ検知された静電容量を電圧に変換する。A/D変換器22は上記と同様に動作する。CPU23は、車両用障害物検出装置全体の制御を司るとともに、例えば第1および第2切替スイッチSW1,SW2のオルタネイト接続(A側あるいはB側への二者択一的な接続)の動作を制御したり、検知領域における検知対象物(足49)の検出(足49の近接や有無)を判定したりする。シールド駆動回路24は、シールド電極12と、補助電極13Aまたはセンサ電極11とを、例えばセンサ電極11と同等の電位に駆動する。
各静電容量センサ部10〜30や、回路部50の構造や構成、および各電極11〜13Aの構造や構成は、上述した実施形態にて既に説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。なお、第1切替スイッチSW1は、例えばセンサ電極11がC−V変換回路21に接続されていないときにセンサ電極11を開放、接地または所定の電位に接続可能に構成され、第2切替スイッチSW2は、センサ電極11がC−V変換回路21に接続されているときに補助電極13Aを開放、接地または所定の電位に接続可能に構成されていてもよい。
また、シールド駆動回路24は、補助電極13Aにセンサ電極11と同等の電位を与える、またはセンサ電極11に補助電極13Aと同等の電位を与えるように構成されている。第1切替スイッチSW1は、センサ電極11がC−V変換回路21に接続されていないときにセンサ電極11をシールド駆動回路24に接続可能に構成され、第2切替スイッチSW2は、センサ電極11がC−V変換回路21に接続されているときに補助電極13Aをシールド駆動回路24に接続可能に構成されていてもよい。
さらに、シールド駆動回路24は、補助電極13Aにセンサ電極11と同等の電位を与えるように構成されていてもよく、この場合第1切替スイッチSW1は、センサ電極11がC−V変換回路21に接続されていないときに補助電極13Aを開放、接地または所定の電位に接続可能に構成されていてもよい。そして、第2切替スイッチSW2は、センサ電極11がC−V変換回路21に接続されているときに補助電極13Aをシールド駆動回路24に接続可能に構成されていてもよい。
また、シールド駆動回路24は、センサ電極11に補助電極13Aと同等の電位を与えるように構成され、この場合第1切替スイッチSW1は、センサ電極11がC−V変換回路21に接続されていないときに補助電極13Aをシールド駆動回路24に接続可能に構成されていてもよい。そして、第2切替スイッチSW2は、センサ電極11がC−V変換回路21に接続されているときに補助電極13Aを開放、接地または所定の電位に接続可能に構成されていてもよい。
次に、このように構成された車両用障害物検出装置の検知対象物(足49)の検知動作について説明する。まず、CPU23の制御により、第1および第2切替スイッチSW1,SW2がともにA側に切り替えられ、センサ電極11がC−V変換回路21に接続される。これとともに、シールド電極12および補助電極13Aがシールド駆動回路24に接続された場合の動作(動作3)について説明する。
この動作3の場合、センサ電極11やシールド電極12および補助電極13Aの回路部20との接続状態は、図13に示すようなものとなる。すなわち、上述したように、C−V変換回路21にはセンサ電極11のみが接続され、シールド電極12および補助電極13Aはシールド駆動回路24に接続される。これにより、センサ電極11のみによって検知対象物X,Y,Wとの静電容量CがC−V変換回路21によって検出される。
なお、各静電容量センサ部10〜30のセンサ電極11の裏面側は、シールド電極12によって覆われた状態である。このため、センサ電極11の裏面側のセンサ感度は、センサ電極11の検知面(表面)から回り込んだ電気力線のみを検出することになるので、検知面側と比較するとかなり小さい。ここでは、検知対象物Xを検知範囲Z1〜Z3内に存する検知対象物として、また検知対象物Y,Wを検知範囲Z1〜Z3外に存する検知対象物として説明する。
図14に示すように、検知対象物Xに対するセンサ電極11からの電気力線P1は、補助電極13Aからの電気力線P2(シールド)の影響が小さい。
一方、図15に示すように、検知対象物Xとほぼ等しい距離にある検知対象物Yに対するセンサ電極11からの電気力線P1は、補助電極13Aからの電気力線P2(シールド)の影響を受けて、検知対象物Xに対する場合と比較して減少する。このため、検知対象物Yは、検知対象物Xと比較して、センサ電極11との静電容量結合が弱いこととなる。
これにより、動作3のときの検知対象物X,Yの識別(すなわち、検知範囲Z1〜Z3内であるか検知範囲Z1〜Z3外であるかの区別)は容易に行うことが可能となる。しかし、図16に示すように、検知対象物Yよりもセンサ電極11に近い検知対象物Wでは、センサ電極11からの電気力線P1が図14における検知対象物Xに対するものと同じであるため、C−V変換回路21からの出力は同じとなる。
つまり、検知対象物Xと検知対象物Wは、図13における等電位面(線)M上にあることになり、動作3での検出値(静電容量値)は同じである。このため、検知対象物Wが検知範囲Z1〜Z3内に存するか検知範囲Z1〜Z3外に存するかの識別は、この動作3のみでは困難となる。なお、この実施形態においても上述した実施形態と同様に、動作3だけでは判定しないで、動作3のときのC−V変換回路21にて検出された第1の静電容量値としての静電容量値C1をCPU23によって記憶手段に記憶しておく。
次に、CPU23の制御により、第1および第2切替スイッチSW1,SW2がともにB側に切り替えられ、補助電極13AがC−V変換回路21に接続される。これとともに、シールド電極12およびセンサ電極11がシールド駆動回路24に接続された場合の動作(動作4)について説明する。
なお、動作4の場合の車両用障害物検出装置におけるセンサ電極11やシールド電極12および補助電極13Aの回路部50との接続状態を示す図13に対応する構成は、図13における各切替スイッチSW1,SW2をB側に切り替えたものである。このため、ここでは図示および説明を省略する。
この動作4の場合、C−V変換回路21には補助電極13Aのみが接続され、シールド電極12およびセンサ電極11はシールド駆動回路24に接続される。これにより、補助電極13Aのみによって検知対象物X,Y,Wとの静電容量CがC−V変換回路21によって検出される。なお、検知対象物X,Y,Wの各静電容量センサ部10〜30に対する配置位置などの諸条件は、動作3のときと同様であるとする。
そして、この動作4の場合、図17に示すように、検知対象物Xに対するセンサ電極11からの電気力線P2(シールド)は、補助電極13Aからの電気力線P1に対して影響が大きい。このため、検知対象物Xは、補助電極13Aとの静電容量結合が弱いこととなり、C−V変換回路21によって検出される静電容量値は動作3における検知対象物Xに対する場合と比較して小さくなる。
一方、図18に示すように、検知対象物Yに対するセンサ電極11からの電気力線P2(シールド)は、検知対象物Xに対する場合と比較して減少し、補助電極13Aからの電気力線P1は、検知対象物Xに対する場合と比較して増加する。このため、動作4の場合においては、検知対象物Yは、補助電極13Aとの静電容量結合が強いこととなり、C−V変換回路21によって検出される静電容量値は動作3における検知対象物Yに対する場合と比較して大きくなる。
また、図19に示すように、検知対象物Wに対する補助電極13Aからの電気力線P1は、図17における検知対象物Xに対する補助電極13Aからの電気力線P1と比較して多く、しかもセンサ電極11からの電気力線P2(シールド)の影響も小さい。このため、動作4においては、検知対象物WにおけるC−V変換回路21からの出力は検知対象物Xにおけるものよりも大きい。そして、このような動作4のときにC−V変換回路21にて検出された第2の静電容量値としての静電容量値C2をCPU23によって記憶手段に記憶しておく。
このようにして第1および第2の静電容量値C1,C2を検出したら、次に、CPU23にて記憶手段に記憶しておいたこれらの静電容量値C1,C2を比較する。例えば、上述した検知対象物Xでは、動作3での第1の静電容量値C1が動作4での第2の静電容量値C2と比較して大きくなるが、検知対象物Yでは、動作3での第1の静電容量値C1が動作4での第2の静電容量値C2と比較して小さくなる。このため、検知対象物Wでは、動作3での第1の静電容量値C1と動作4での第2の静電容量値C2が同程度となる。
このように、CPU23においては、静電容量値C1に対する静電容量値C2の値を比較することによって、検知対象物がセンサ電極11の中心部に対してどの程度外に存するのかを判定することが可能となる。このとき、静電容量値C1とC2の比較値が、例えばあらかじめ設定された所定のしきい値以上(あるいは所定のしきい値以下や所定のしきい値未満等)となれば、センサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3内であると判定可能なように設定しておけば、任意に指向性を持たせることが可能となる。
なお、図13から図19に示す説明図では、検知対象物Xでは動作3での検出値が動作4での検出値より大きくなり、検知対象物Yでは動作3での検出値が動作4での検出値より小さくなる。また、検知対象物Wでは動作3での検出値と動作4での検出値が同程度となる例を挙げて説明した。しかし、センサ電極11および補助電極13Aの配置形状や配置面積などの諸条件が変わると、検知対象物X,Y,Wにおける動作3と動作4の上下関係は変わることとなる。
ただし、動作3における第1の静電容量値C1に対する動作4における第2の静電容量値C2の割合(C2/C1)は、常に検知対象物X<検知対象物Y(または検知対象物W)であるため、区別することが可能である。したがって、条件ごとに動作3と動作4の比較式を変えれば、検知対象物X,Y,Wを判別することが可能となる。なお、比較式や比較値、各種係数や所定のしきい値(Th1,Th2)などは、上述した実施形態にて説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
また、条件によっては数式で表現できない場合があるが、検知対象物(足49)の検知範囲Z1〜Z3内の位置における静電容量値C1,C2の値をあらかじめ測定してプロファイルしておき、各プロファイルと実際の検出値とを比較するようにすればよい。
このように、この車両用障害物検出装置によれば、例えば所定のしきい値Th2が大きい場合には各静電容量センサ部10〜30のセンサ感度の指向性の強度が高く、小さい場合は指向性の強度が低いとすることができる。これにより、センサ感度の指向性を任意に設定してセンサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3を任意に定めることができ、所望の指向性を持たせた検知範囲Z1〜Z3内への検知対象物(足49)の近接を、簡単な構成で確実かつ正確に検知することができるようになる。
そして、判定結果に基づいて、歩行者保護用エアバッグ展開制御装置の制御部60は、例えば足49を検知した場合は車両1が所定の走行状態にあったら、その足49を検知した静電容量センサ部と対応する配置位置の歩行者保護用エアバッグ81〜83の展開を制御する展開制御信号を歩行者保護装置70に対して出力する。このようにすれば、車両1のフロントバンパー2の前方にて歩行者の足49を実際の衝突に先立って検知することができ、これに基づいて歩行者保護用エアバッグ81〜83を展開させれば、歩行者のボンネット3への激突による衝撃を和らげることができる。
なお、回路部50のC−V変換回路21の各種構成や作用は、上述した実施形態にて説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。また、本実施形態にかかる車両用障害物検出装置では、センサ電極11とシールド電極12および補助電極13Aとを配置して、センサ電極11の静電容量値C1と補助電極13Aの静電容量値C2とを比較して検知対象物(足49)の検出を判定するものを例に挙げて説明した。その他にも、上述した実施形態にて図8を用いて説明したように、ダミー電極19を配置し、C−V変換回路21が差動動作するように構成してもよい。これについても上述したものと各種構成や作用は同様であるため、ここでは説明を省略する。
また、シールド駆動回路24の変形例や、第1および第2切替スイッチSW1,SW2の変形例などについても、各種構成や作用は上述した実施形態にて説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
なお、本実施形態にかかる車両用障害物検出装置では、補助電極13Aがセンサ電極11の周囲全体を囲むような状態で配置されている。このため、各静電容量センサ部10〜30はセンサ電極11の検知面の全方向に同様な指向性を持つ(すなわち、検知範囲Z1〜Z3がセンサ電極11に対するどの方向でも同様)が、指向性を持たせたくない方向が存在する場合は、例えば次のようにすればよい。
すなわち、指向性を持たせたくない方向に補助電極13Aを配置せずに、補助電極13Aの形状を、例えばコの字状やC字型、L字型や半円形などにして、補助電極13Aのない方向の指向性を低減させることも可能である。
また、上述した回路部50のC−V変換回路21からの出力は、第1の静電容量値C1か第2の静電容量値C2かのいずれかとなるため、センサ電極11(を含む各静電容量センサ部10〜30)の設置場所の周囲の構造等により検出される静電容量値が異なる場合がある。
すると、これら第1および第2の静電容量値C1,C2を比較した比較結果が、センサ電極11が設置される場所の周囲の構造等に依存して変化してしまうことがある。このような状況を回避するために、回路部50の構成を、さらに例えば次のようにしてもよい。
図20は、本発明のさらに他の実施形態にかかる車両用障害物検出装置の静電容量センサ部および回路部の全体構成の例を示す説明図、図21は同車両用障害物検出装置の静電容量センサ部および回路部の全体構成の他の例を示す説明図である。なお、上述した実施形態において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を付して説明を割愛する。
図20に示すように、回路部50は、C−V変換回路21、シールド駆動回路24、判定回路25、上述した初期容量を記憶する初期容量記憶装置26、各切替スイッチSW1,SW2の切り替え動作を制御するスイッチ制御回路27、およびバッファ28を備えて構成されている。
このような回路部50を有する車両用障害物検出装置の検知対象物(足49)の検知動作の概要としては、例えば各静電容量センサ部10〜30を所定の設置場所に設置した後、検知対象物(足49)が各静電容量センサ部10〜30に接近していないときの静電容量値(初期容量)をスイッチ制御回路27の制御により各切替スイッチSW1,SW2を切り替えてそれぞれ検出し、初期容量記憶装置26にてこれらの値を記憶しておく。
そして、判定回路25にて上述した実際の動作3,4のときの第1および第2の静電容量値C1,C2から初期容量記憶装置26に記憶された各初期容量を差し引いて比較し、比較結果に基づいて検知対象物(足49)がセンサ電極11上の検知範囲Z1〜Z3内に存するか否かを判定する。
具体的には、上記初期容量は、スイッチ制御回路27の制御により、各切替スイッチSW1,SW2がA側に接続された場合の上記動作3のときのものを第1の初期容量とし、各切替スイッチSW1,SW2がB側に接続された場合の上記動作4のときのものを第2の初期容量として初期容量記憶装置26に記憶される。
そして、実際の動作3のときは、判定回路25によって、検出された第1の静電容量値C1から初期容量記憶装置26に記憶しておいた第1の初期容量を差し引いて第1の検出値(検出値1)とし、動作4のときは、検出された第2の静電容量値C2から初期容量記憶装置26に記憶しておいた第2の初期容量を差し引いて第2の検出値(検出値2)とする。
その後、判定回路25にてこれら検出値1と検出値2とを比較して、その比較結果により検知範囲Z1〜Z3内に検知対象物(足49)があるか否かを判定する。例えば、上記動作3のときの検出値1は、検知対象物(足49)の各静電容量センサ部10〜30への接近に依存した出力となる。その後の動作や作用および効果等は、上述した実施形態にて説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
また、上述した第1および第2の初期容量は、例えば初期容量測定時の電圧をA/D変換器等でディジタル変換して、レジスタやメモリ等に保持するようにしてもよいが、次のように基準電圧を調整することでこれらを保持することも可能となる。すなわち、図21に示すように、回路部50は、C−V変換回路21、シールド駆動回路24、基準電圧調整回路40、および減算回路31を備えて構成されている。
基準電圧調整回路40は、上述したような第1および第2の初期容量の初期容量測定時に、C−V変換回路21の出力が基準電位になるように調整するためのものであり、ここでは、コンパレータ41、制御回路42、レジスタ43、D/A変換器44、および調整部45を備えて構成されている。これらの構成や作用等も、上述した実施形態にて説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
基準電圧調整回路40によって、第1および第2の初期容量の出力を基準電圧とし、このように基準電圧にされたC−V変換回路21の出力を、例えば減算回路31のプラス側入力端に入力し、基準電圧RVをマイナス側入力端に入力して、出力を基準電圧RVで減算して第1および第2の初期容量を差し引き、同様に検知範囲Z1〜Z3内に検知対象物(足49)があるか否か、またあるとすればどのくらいの距離であるかを判別することができる。
以上述べたように、上述した実施形態にかかる車両用障害物検出装置によれば、各静電容量センサ部10〜30によって、センサ電極11上の所望の指向性を持たせた検知範囲Z1〜Z3内に障害物があるか否かを判定することができる。そして、判定結果に基づいて、障害物が人体であり、例えば足49を検知した場合は該当する歩行者保護用エアバッグ81〜83を展開させることができる。このようにすれば、歩行者のボンネット3への激突による衝撃を和らげることが可能となる。
なお、上述した実施形態にかかる車両用障害物検出装置は、車両1のフロントバンパー2に各静電容量センサ部10〜30を配置したものであったが、例えば歩行者保護用エアバッグ81〜83がリアトランクリッドやリアゲートに配置されている場合は、リアバンパーに配置されてもよい。この場合、所定の走行状態は車両1が所定速度で後退していることとすればよい。