JP5386847B2 - アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル酸の製造方法に関し、特に、有機溶剤によるアクリル酸の抽出と、得られた抽出液から有機溶剤を除去するための蒸留とを含むアクリル酸の製造方法に関する。
アクリル酸を製造する方法としては、プロパン、プロピレン又はアクロレインを原料とする気相接触酸化反応によって生成したアクリル酸含有ガスを水等の捕集溶剤に捕集し、得られたアクリル酸水溶液からアクリル酸を分離し、分離したアクリル酸を減圧蒸留によって精製する方法が一般に知られている。
このようなアクリル酸の製造方法としては、例えば、酢酸と共沸する炭化水素と、アクリル酸の抽出効率を高めるためのエステルとを含有する溶剤を抽出溶剤としてアクリル酸水溶液からアクリル酸を抽出する工程と、得られた抽出液を蒸留によって脱水する工程とを含む方法(例えば、非特許文献1参照。)、及び、アクリル酸より沸点の低いエステル類、ケトン類、アルコール類、エーテル類、及び炭化水素類の一又は二以上の溶剤を抽出溶剤としてアクリル酸水溶液からアクリル酸を抽出する工程と、得られた抽出液を蒸留して抽出溶剤とアクリル酸とを分離する工程と、抽出工程における抽残液(水相)から抽出溶剤を蒸留によって回収する工程とを含む方法(例えば、非特許文献2参照。)が知られている。
このように、従来のアクリル酸の製造方法としては、抽出工程後の蒸留において抽出液の脱水が行われる程の水を含有する抽出液が蒸留に用いられる方法が知られている。
大森英三著、「アクリル酸とそのポリマー〔I〕」、第三版、株式会社昭晃堂、1978年4月28日、p.13 石油学会編、「新石油化学プロセス」、初版、株式会社幸書房、1986年9月25日、p.193
本発明は、アクリル酸水溶液から抽出されたアクリル酸成分の脱水のための蒸留工程を含まないアクリル酸の製造方法を提供する。
また本発明は、前記の方法において、アクリル酸の抽出工程における抽出効率、及びその後の蒸留工程における蒸留効率の一方又は両方がより一層高められるアクリル酸の製造方法をさらに提供する。
アクリル酸の製造では、気相接触酸化反応によって生成するアクリル酸含有ガス中のアクリル酸を、一般に水を主成分とする水系媒体によって捕集する。したがってアクリル酸の製造では、アクリル酸は水と共存しやすい。
しかしながら本発明者らは、水の共存下でアクリル酸を蒸留に供するとアクリル酸が重合しやすく、生成する重合物がアクリル酸の製造設備の汚染や閉塞の原因となり得ることを見出し、また非水溶性の芳香族化合物を主成分とする非水溶性溶剤を抽出溶剤に用いてアクリル酸水溶液からアクリル酸を抽出することによって、アクリル酸の製造におけるアクリル酸の重合が抑制されることを見出し、さらに特定の非芳香族化合物を抽出溶剤に併
用することによって、抽出液から抽出溶剤を分離する蒸留における蒸留効率が高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、アクリル酸及び水を含有するアクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させてアクリル酸を抽出する抽出工程と、得られた抽出液を蒸留して抽出液から抽出溶剤を蒸発させて分離する溶剤分離工程とを含むアクリル酸の製造方法において、アクリル酸の沸点よりも低い沸点を有する非水溶性芳香族化合物を主成分として含有する非水溶性溶剤を前記抽出溶剤に用いる方法を提供する。
また本発明は、前記非水溶性芳香族化合物が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群から選ばれる一以上である前記の方法を提供する。
また本発明は、前記非水溶性溶剤が、前記非水溶性芳香族化合物と、アクリル酸の沸点よりも低い沸点を有する25質量%以下の非芳香族化合物とを含有し、かつ、前記溶剤分離工程で分離した抽出溶剤の蒸気の凝縮液を前記抽出工程の抽出溶剤に用いる前記の方法を提供する。
また本発明は、前記非水溶性溶剤が、前記非芳香族化合物を5〜25質量%含有する前記の方法を提供する。
また本発明は、前記非芳香族化合物が、n−ヘキサン、1−ヘキセン、シクロヘキサン、ヘキサジエン、ヘプタン、及びヘプテンからなる群から選ばれる一以上である前記の方法を提供する。
本発明は、アクリル酸水溶液からアクリル酸を抽出溶剤で抽出する抽出工程において、非水溶性芳香族化合物を主成分とする非水溶性溶剤を抽出溶剤に用いることから、アクリル酸は含有するが水を殆ど含有しない抽出液が得られるので、その後の蒸留においてアクリル酸が水の存在下で蒸留に供されることが防止される。したがって、水の存在下でアクリル酸が蒸留に供される従来のアクリル酸の製造方法に比べて、アクリル酸の重合物によるアクリル酸の製造設備の障害がより一層抑制され、アクリル酸を長期にわたり安定して連続して製造することができる。
また本発明では、抽出溶剤に、非水溶性芳香族化合物と25質量%以下の非芳香族化合物とを含有する非水溶性溶剤を用いることにより、その後の蒸留工程において、非水溶性芳香族化合物のみを抽出溶剤として用いる場合よりも更に、抽出溶剤との共沸によるアクリル酸の凝縮液への混入量を少なくすることができる。したがって、本発明では、非水溶性芳香族化合物と非芳香族化合物とを含有する前記非水溶性溶剤を抽出溶剤に用いることは、溶剤分離工程における蒸留の還流比をより一層小さくして蒸留効率を高める観点からより一層効果的である。
また本発明では、溶剤分離工程の蒸留における凝縮液を抽出溶剤に再利用したときの凝縮液中のアクリル酸の濃度は、非水溶性芳香族化合物のみを抽出溶剤として用いる場合に比べて低いことから、非水溶性芳香族化合物と非芳香族化合物とを含有する前記非水溶性溶剤を抽出溶剤に用いることは、前記凝縮液を抽出溶剤に再利用したときの抽出工程におけるアクリル酸の抽出効率を高める観点からより一層効果的である。
また本発明では、前記非芳香族化合物を5〜25質量%含有する溶剤を前記非水溶性溶剤に用いることが、抽出溶剤との共沸によるアクリル酸の凝縮液への混入量を少なくする観点からより一層効果的である。
本発明のアクリル酸の製造方法は、アクリル酸及び水を含有するアクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させてアクリル酸を抽出する抽出工程と、得られた抽出液を蒸留して抽出液から抽出溶剤を蒸発させて分離する溶剤分離工程とを含む。
前記抽出工程では、アクリル酸の沸点よりも低い沸点を有する非水溶性芳香族化合物を主成分として含有する非水溶性溶剤が抽出溶剤として用いられる。前記非水溶性溶剤は、20℃における水の溶解度が1.5質量%以下の溶剤である。非水溶性溶剤の20℃における水の溶解度は、抽出液への水の混入を抑制する観点から、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
前記非水溶性溶剤は、非水溶性芳香族化合物を主成分として含有する。非水溶性溶剤は、非水溶性芳香族化合物以外の成分を含有していてもよいが、アクリル酸を抽出する作用と非水溶性とを十分に得る観点から、非水溶性芳香族化合物を最も多く含有する。非水溶性溶剤の非水溶性は、例えば後述する非水溶性芳香族化合物の含有量によって調整することができる。
前記非水溶性芳香族化合物は、アクリル酸の沸点よりも低い沸点を有する。非水溶性芳香族化合物の沸点は、溶剤分離工程における蒸留によって抽出溶剤を十分に分離する観点から、常圧において140℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。非水溶性芳香族化合物の沸点は、その下限は特に限定されないが、前記蒸留による系外への排出を抑制する観点から、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
また前記非水溶性芳香族化合物は、20℃における水の溶解度が1.5質量%以下の溶剤である。非水溶性芳香族化合物の20℃における水の溶解度は、抽出液への水の混入を抑制する観点から、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
前記非水溶性溶剤における非水溶性芳香族化合物の含有量は、アクリル酸を十分に抽出する作用及び抽出液への水の混入の抑制の観点から、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。前記非水溶性芳香族化合物は一種でも二種以上でもよい。
前記非水溶性芳香族化合物としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、及びメシチレンが挙げられる。前記非水溶性芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群から選ばれる一以上であることが好ましい。
前記非水溶性溶剤は、アクリル酸の沸点よりも低い沸点を有する非芳香族化合物をさらに含有することが、溶剤分離工程における凝縮液中のアクリル酸の濃度を低くする観点から好ましい。前記非芳香族化合物の沸点は、溶剤分離工程における蒸留によって抽出溶剤を十分に分離する観点から、常圧において140℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、115℃以下であることがさらに好ましい。非芳香族化合物の沸点は、その下限は特に限定されないが、前記蒸留による系外への排出を抑制する観点から、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
前記非芳香族化合物は、非水溶性であることが、抽出液への水の混入を抑制する観点か
ら好ましく、例えば非芳香族化合物の20℃における水の溶解度は1.5質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
前記非芳香族化合物の含有量は、非水溶性溶剤によってアクリル酸を十分に抽出し、かつ溶剤分離工程における凝縮液中のアクリル酸の濃度を低減させる観点から、非水溶性溶剤全体に対して25質量%以下であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることがさらに好ましい。前記非芳香族化合物の含有量の上限は、アクリル酸の抽出効率の観点から決めることができ、前記非芳香族化合物の含有量の下限は、アクリル酸と非水溶性芳香族化合物との蒸留における分離効率の観点から決めることができる。前記非芳香族化合物は、一種でも二種以上でもよい。
前記非芳香族化合物としては、例えばn−ヘキサン、1−ヘキセン、シクロヘキサン、ヘキサジエン、ヘプタン、及びヘプテンが挙げられる。非芳香族化合物は、炭素数5〜7の飽和又は不飽和の炭化水素であることが好ましく、脂肪族炭化水素がより好ましい。このような非芳香族化合物としては、例えばn−ヘキサン及び1−ヘキセンが挙げられる。
前記非水溶性溶剤の具体例としては、例えば、トルエン、トルエンにn−ヘキサンを10質量%含有するトルエン−n−ヘキサン溶液、トルエンに1−ヘキセンを10質量%含有するトルエン−1−ヘキセン溶液、トルエンにシクロヘキサンを10質量%含有するトルエン−シクロヘキサン溶液、トルエンにヘキサジエンを10質量%含有するトルエン−ヘキサジエン溶液、トルエンにヘプタンを10質量%含有するトルエン−ヘプタン溶液、及びトルエンにヘプテンを10質量%含有するトルエン−ヘプテン溶液が挙げられる。
前記アクリル酸水溶液におけるアクリル酸の濃度は、20〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることがさらに好ましい。このようなアクリル酸水溶液としては、アクリル酸の製造において、プロパン等の気相接触酸化反応による反応生成ガスからアクリル酸を水系媒体に捕集する捕集工程で得られるアクリル酸水溶液を用いることができ、例えば、アクリル酸と水の混合物、アクリル酸の製造の過程で排出され回収される水成分とアクリル酸の混合物が挙げられる。前記水成分としては、例えば、前記抽出工程における抽残水が挙げられる。
前記抽出工程は、液液接触の抽出に用いられる通常の抽出装置を利用して行うことができる。前記抽出装置は、アクリル酸水溶液と非水溶性溶剤とを十分に接触させる観点から、理論段数が5以上である抽出装置であることが好ましい。このような抽出装置としては、例えば特開2002−58903号公報に開示されているような、筒部と、筒部内に配置され筒部の軸方向に往復運動可能な駆動軸と、前記軸方向に並んで駆動軸に固定される複数の多孔板と、駆動軸を前記軸方向に往復運動させる駆動部とを有する往復動プレート式向流抽出装置を利用することができる。
抽出工程におけるアクリル酸水溶液の温度は、5〜80℃であることが好ましく、10〜60℃であることがより好ましく、20〜50℃であることがさらに好ましい。また、抽出工程における非水溶性溶剤の温度は、5〜80℃であることが好ましく、10〜60℃であることがより好ましく、20〜50℃であることがさらに好ましい。さらに、抽出工程におけるアクリル酸水溶液に対する非水溶性溶剤の供給量の比は、1〜5であることが好ましく、1〜3.5であることがより好ましく、1.2〜2.5であることがさらに好ましい。
前記溶剤分離工程は、アクリル酸の製造において通常行われる蒸留装置を用いて、減圧蒸留によって、抽出溶剤が蒸発し、アクリル酸が缶出液として得られる条件で行うことが
できる。溶剤分離工程において、アクリル酸は、前記蒸留装置における精留塔を降下する液として、又は缶出液として得ることができる。
前記蒸留装置としては、例えば、精留塔と、精留塔の塔底液を加熱、蒸気化するリボイラと、精留塔の塔頂から排出された蒸気を凝縮させる凝縮器と、得られた凝縮液を収容する受器と、精留塔内を減圧する真空装置と、精留塔内に重合禁止剤を供給する重合禁止剤供給装置とを有する装置が挙げられる。
前記精留塔には、トレイ及び充填物の一方又は両方を収容することができる。充填物には、規則充填物及び不規則充填物の一方又は両方を用いることができる。前記トレイとしては、例えば泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、スーパーフラッシュトレイ、マックスフラクストレイ、及びデュアルフロートレイが挙げられる。前記規則充填物としては、例えばスルーザー・ブラザース(株)製のスルーザーパック、住友重機械工業(株)製の住友スルーザーパッキング、住友重機械工業(株)製のメラパック、グリッチ(株)製のジェムパック、モンツ(株)製のモンツパック、東京特殊金網(株)製のグッドロールパッキング、日本ガイシ(株)製のハニカムパック、ナガオカ(株)製のインパルスパッキング、及び三菱化学エンジニアリング(株)製のエムシーパックが挙げられる。前記不規則充填物としては、例えばノートン(株)製のインタロックスサドル、日鉄化工機(株)製のテラレット、BASF(株)製のポールリング、マストランスファー(株)製のカスケード・ミニ・リング、及び日揮(株)製のフレキシリングが挙げられる。
前記重合禁止剤には、アクリル酸の製造で通常使用される重合禁止剤を用いて行うことができ、例えば、特開2005−336141号公報に記載されているような、ハイドロキノン、メトキノン等のフェノール類、ニトロソ化合物、銅塩、マンガン塩、フェノチアジン等が挙げられる。
前記溶剤分離工程における蒸留の条件としては、例えば精留塔の理論段数が5〜20であり、精留塔の塔頂温度が10〜80℃であり、精留塔の塔底温度が60〜110℃であり、蒸留で得られる凝縮液の留出液に対する還流液の比(還流比)が0.3〜2であり、精留塔内の圧力が5〜70kPa(Abs)である条件が挙げられる。
前記溶剤分離工程では、抽出溶剤は精留塔の塔頂から蒸気として排出される。この蒸気が凝縮した凝縮液は、その一部(留出液)を前記抽出工程の抽出溶剤に再利用することが好ましい。特に溶剤分離工程において、蒸留を同じ条件で行った場合に、前記非水溶性芳香族化合物と前記非芳香族化合物とを含有する非水溶性溶剤Aを用いた蒸留における凝縮液中のアクリル酸の濃度は、非水溶性芳香族化合物からなる非水溶性溶剤Bを用いた蒸留における凝縮液中のアクリル酸の濃度よりも小さくなる。
したがって、前記凝縮液を抽出溶剤として再利用する場合では、非水溶性溶剤Aの凝縮液は、非水溶性溶剤Bの凝縮液よりも、抽出工程において多くのアクリル酸を含有することができる。したがって、非水溶性溶剤Aは、非水溶性溶剤Bに比べて、前記凝縮液を抽出溶剤として再利用したときに、抽出工程におけるアクリル酸の抽出効率をより一層高めることができる。
また、前記溶剤分離工程において、凝縮液中のアクリル酸の濃度を一定の値に設定した場合には、溶剤分離工程において、非水溶性溶剤Aを用いる蒸留の還流比を、非水溶性溶剤Bを用いる蒸留の還流比よりも小さくすることができる。したがって、溶剤分離工程において、非水溶性溶剤Aを用いる蒸留は、非水溶性溶剤Bを用いる蒸留に比べて蒸留効率をより一層高くすることができる。
本発明のアクリル酸の製造方法は、前述した抽出工程及び溶剤分離工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。このような他の工程としては、例えばアクリル酸の製造で通常行われる種々の工程が挙げられ、例えば、プロパン、プロピレン、又はアクロレインの気相接触酸化反応によってアクリル酸を生成する工程;生成したアクリル酸を含有するガスと水系媒体とを接触させて前記ガスからアクリル酸を捕集する工程;溶剤分離工程で得られたアクリル酸を蒸留によって精製する工程;溶剤分離工程又は精製工程の缶出液中の高沸物を熱で分解してアクリル酸を回収する工程;及び、抽出工程の抽残液から有価物を回収する工程;が挙げられる。
高沸物とは、アクリル酸の沸点よりも高い沸点を有する化合物であり、高沸物としては、例えばアクリル酸の二量体やアクリル酸の三量体が挙げられる。また有価物とは、蒸留によって水と共に蒸発して凝縮液として回収される化合物であり、例えばアクリル酸や酢酸が挙げられる。
前記生成工程において、前記気相接触酸化反応には、多管式反応器及びプレート式反応器の一方又は両方を用いることができる。前記多管式反応器としては、例えば、特開2005−336085号公報に開示されているような、両端にガスの通気口を有すると共に胴部に熱媒の通液口を有するシェルと、シェル内を両端部と胴部に分割する管板と、シェル内の胴部を貫通してシェル内の両端部を連通すると共に両端が管板によって支持され、触媒が収容される複数の反応管と、シェルの胴部に熱媒を循環させる装置とを有する反応器が挙げられる。前記プレート式反応器としては、例えば、特開2004−202430号公報に開示されているような、ラグビーボール型の断面形状を有する複数の管が断面形状の端部で連結されて形成される仕切りを併設してなる反応部と、反応部における二つの仕切りの間に保持される触媒と、前記仕切りにおける管に熱媒を供給する装置とを有し、ガス状の原料が、前記仕切りにおける管を横断する方向に沿って前記反応部を通過する反応器が挙げられる。
前記生成工程における触媒には、アクリル酸の製造における気相接触酸化反応に用いることができる触媒が用いられる。このような触媒としては、例えば、特開2005−336085号公報に開示されているような、下記一般式(I)で表されるMo−Bi系複合酸化物触媒、及び下記一般式(II)で表されるMo−V系複合酸化物触媒が挙げられる。
一般式(I) MoaWbBicFedAeBfCgDhEiOx
一般式(II) MoaVbWcCudXeYfOg
前記一般式(I)中、Aはニッケル及びコバルトの一方又は両方の元素、Bはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムから選ばれる一以上の元素、Cはアルカリ土類金属から選ばれる一以上の元素、Dは、リン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、ヒ素、ホウ素及び亜鉛から選ばれる一以上の元素、Eは、シリコン、アルミニウム、チタニウム及びジルコニウムから選ばれる一以上の元素、Oは酸素を表す。また前記一般式(I)中、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びxは、それぞれ、Mo、W、Bi、Fe、A、B、C、D、E及びOの原子比を表し、a=12の場合、0≦b≦10、0<c≦10(好ましくは0.1≦c≦10)、0<d≦10(好ましくは0.1≦d≦10)、2≦e≦15、0<f≦10(好ましくは0.001≦f≦10)、0≦g≦10、0≦h≦4、0≦i≦30であり、xは各元素の酸化状態によって決まる値である。
前記一般式(II)中、XはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる一以上の元素、YはTi、Zr、Ce、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Sn、Sb、Pb及びBiから選ばれる一以上の元素、Oは酸素を表す。また前記一般式(II)中、a、b
、c、d、e、f及びgは、それぞれ、Mo、V、W、Cu、X、Y及びOの原子比を示し、a=12の場合、2≦b≦14、0≦c≦12、0<d≦6、0≦e≦3、0≦f≦3であり、gは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。が挙げられる。
前記捕集工程、精製工程、アクリル酸回収工程、及び有価物回収工程等のその他の工程は、前記蒸留装置又は前記精留塔を利用して行うことができる。
本発明のアクリル酸の製造方法は、例えば図1に示されるように、反応器で生成したアクリル酸を含有する反応ガスと水系媒体とを接触させて反応ガスからアクリル酸を捕集する捕集塔1と、捕集塔1で生成したアクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させて抽出溶剤にアクリル酸を抽出する抽出塔2と、抽出塔2で生成した抽出液を減圧蒸留によって抽出溶剤とアクリル酸とに分離する溶剤分離塔3とを有する設備によって行うことができる。前記設備は、抽出塔2の塔底から排出される抽残液から有価物を分離する有価物分離装置と、溶剤分離塔3の缶出液中の高沸物を熱分解して前記缶出液からアクリル酸を回収する熱分解装置とをさらに有していてもよい。
捕集塔1及び溶剤分離塔3には、例えばそれぞれ棚段塔が用いられる。抽出塔2には、例えば前記往復動プレート式向流抽出装置が用いられる。
反応器で得られた反応ガスは、塔底部から捕集塔1に供給され、捕集塔1の塔頂部から供給される水系媒体と捕集塔1内で接触する。この接触により反応ガス中のアクリル酸は水系媒体に溶解し、捕集され、生成したアクリル酸水溶液が捕集塔1の塔底から排出される。また、アクリル酸が捕集された後の反応ガスは、排気ガスとして捕集塔1の塔頂から排出される。
得られたアクリル酸水溶液は、抽出塔2の塔頂部から抽出塔2に供給され、抽出塔2内において多孔板の上下動により液滴の状態となり、抽出塔2内を降下しながら、抽出塔2の塔底部から抽出塔2に供給される抽出溶剤と接触する。抽出溶剤には例えばトルエンを主成分とする非水溶性溶剤が用いられる。この接触により、アクリル酸水溶液中のアクリル酸は抽出溶剤に抽出され、生成した抽出液が抽出塔2の塔頂部から排出される。また、アクリル酸が抽出され、抽出塔2の塔底部まで降下したアクリル酸水溶液は、抽残液として抽出塔2の塔底部から排出される。
得られた抽出液は、溶剤分離塔3の中部又は下部から溶剤分離塔3に供給され、減圧蒸留される。得られた抽出液には、水が殆ど含まれないことから、減圧蒸留はアクリル酸は存在するが水は存在しない系で行われる。このため溶剤分離塔3において、アクリル酸の重合物の発生が防止され、減圧蒸留は長期間安定して行われる。この減圧蒸留により、抽出液中の抽出溶剤の蒸気は溶剤分離塔3の塔頂から排出される。また、溶剤分離塔3における回収部の降下液の一部は製品アクリル酸として溶剤分離塔3から排出される。さらに、溶剤分離塔3の塔底液の一部は、溶剤分離塔3の塔底から缶出液として排出される。
より詳しくは、図2に示すように、溶剤分離塔3の塔頂から排出された抽出溶剤の蒸気は、コンデンサ4により冷却されて凝縮液となる。得られた凝縮液の一部は還流液として溶剤分離塔3の上部に戻され、残りは留出液として抽出塔2の塔底部に供給され、抽出溶剤として再利用される。また、溶剤分離塔3の塔底液の一部はリボイラ5によって加熱されて溶剤分離塔3の塔底部に戻され、残りは缶出液として抜き出される。この液を熱分解装置へ供給して有価物の回収を行ってもよい。
留出液には、例えば抽出溶剤にトルエンを用いた場合には、数千ppmの濃度のアクリル酸が共沸により含まれる。例えば抽出溶剤に20質量%のn−ヘキサンとトルエンとの
混合溶剤を用いた場合には、共沸により留出液に混入するアクリル酸の濃度は、抽出溶剤がトルエンのみの場合に比べて、2/3程度となる。このため、前記混合溶剤を抽出溶剤に用いる場合には、トルエンのみの抽出溶剤を用いる場合に比べて、還流比を下げても留出液中のアクリル酸の濃度を一定の値以下に維持することができる。又は、前記混合溶剤を抽出溶剤に用いる場合には、トルエンのみの抽出溶剤を用いる場合に比べて、還流比を上げなくても留出液中のアクリル酸の濃度が数千ppm程度低くなることから、このような留出液を抽出溶剤に再利用したときの抽出工程におけるアクリル酸の抽出効率をより一層高めることができる。又は、前記混合溶剤を用いたときに、還流比を調整することにより、これらの両方の効果を奏することも可能である。
抽出塔2の塔底から排出された抽残液は、一部が捕集塔1の塔頂部に供給される水系媒体として再利用される。また抽残液の一部を有価物分離装置に供給して有価物の回収を行ってもよい。
なお、図1には示していないが、例えば溶剤分離塔3の塔底から排出されて熱分解装置に供給された缶出液は、熱分解装置で加熱され、缶出液中のアクリル酸二量体等のアクリル酸の多量体は熱によって分解され、この分解によって生成したアクリル酸が熱分解装置の塔頂から排出される。得られたアクリル酸成分は、溶剤分離塔3に供給される抽出液に供給され、溶剤分離工程における原料液として用いられる。熱分解装置の塔底液は、高沸点成分(Heavy End)として系外に排出される。
また本発明のアクリル酸の製造方法は、図3に示す設備によって行うことができる。この設備は、溶剤分離塔3に代えて溶剤分離塔6を有し、精製塔7をさらに有する以外は、図1に示す設備と同じである。
溶剤分離塔6では、抽出液が溶剤分離塔6の中部又は下部から溶剤分離塔6に供給され、減圧蒸留される。この減圧蒸留により、抽出液中の抽出溶剤の蒸気は溶剤分離塔6の塔頂から排出される。また、抽出液中のアクリル酸は溶剤分離塔3の塔底から缶出液として排出される。溶剤分離塔6でも、溶剤分離塔6の塔頂から排出された抽出溶剤の蒸気は、コンデンサにより冷却されて凝縮液となり、得られた凝縮液の一部は所望の還流比に基づき還流液として溶剤分離塔3の上部に戻され、残りは留出液として抽出塔2の塔底部に供給されて抽出溶剤として再利用される。溶剤分離塔6の缶出液は、アクリル酸成分として精製塔7に供給される。
精製塔7に供給されたアクリル酸成分は、精製塔7の上部から精製塔7に供給され、減圧蒸留される。この減圧蒸留により、アクリル酸成分中におけるアクリル酸の沸点よりも低い沸点を有する低沸物は蒸発して精製塔7の塔頂から排出され、アクリル酸成分中のアクリル酸は、精製塔7を降下し、精製塔7の回収部において精製塔7を降下する液の一部を排出することにより、製品アクリル酸として得られる。
前述のアクリル酸の製造方法によれば、トルエン等の非水溶性芳香族化合物を主成分とする非水溶性溶剤を抽出溶剤に用いることによって水が殆ど含まれない抽出液が得られることから、抽出工程以降の工程においてアクリル酸を含む系での蒸留に水が含まれないので、水の存在下での蒸留によるアクリル酸の重合を防止することができ、アクリル酸の製造を長期間安定して行うことができる。
また前述のアクリル酸の製造方法によれば、非水溶性芳香族化合物とn−ヘキサン等の非芳香族化合物との非水溶性の混合溶剤を抽出溶剤に用いると、非水溶性芳香族化合物のみの抽出溶剤を用いる場合に比べて、溶剤分離工程での蒸留における凝縮液中のアクリル酸の濃度を低くすることができる。したがって、凝縮液中のアクリル酸の濃度の設定値を
設けたときに、非水溶性芳香族化合物のみの抽出溶剤を用いる場合に比べて前記蒸留における還流比を下げて蒸留効率を高めることができ、又は留出液を抽出溶剤に再利用したときの抽出効率を高めることができ、又はこれらの両方を高めることができる。
[蒸留効率の検討]
5,000質量ppmのアクリル酸を含有するトルエン溶液を、圧力が100mmHgの条件で減圧蒸留し、凝縮液の全量を還流したときの凝縮液中のアクリル酸の濃度を測定したところ、3,000質量ppmであった。また、前記トルエン溶液を、圧力が200mmHgの条件で減圧蒸留し、凝縮液の全量を還流したときの留出液中のアクリル酸の濃度を測定したところ、7,000質量ppmであった。
さらに前記トルエン溶液に、含有量が20質量%となるようにn−ヘキサンを添加したトルエン−ヘキサン溶液を、圧力が100mmHgの条件で減圧蒸留し、凝縮液の全量を還流したときの留出液中のアクリル酸の濃度を測定したところ、2,000ppmであった。また、前記トルエン溶液に、含有量が20質量%となるように1−ヘキセンを添加したトルエン−ヘキセン溶液を、圧力が100mmHgの条件で減圧蒸留し、凝縮液の全量を還流したときの留出液中のアクリル酸の濃度を測定したところ、2,000ppmであった。
[抽出効率の検討]
4,500質量ppmのアクリル酸を含有するトルエン溶液、このトルエン溶液に、含有量が25質量%となるようにn−ヘキサンを添加したトルエン−ヘキサン溶液、及び前記トルエン溶液に、含有量が25質量%となるように1−ヘキセンを添加したトルエン−ヘキセン溶液のそれぞれを抽出溶剤に用いて、アクリル酸水溶液からのアクリル酸の抽出を行い、抽出溶剤に抽出されるアクリル酸の量を測定した。抽出装置には攪拌機付きガラス製500mLフラスコを用い、このフラスコに抽料と抽剤とを1対1(体積比)で入れて攪拌し、次いで静置することにより、抽出温度が25℃の条件での液液平衡測定を行った。結果を図4に示す。
図4から明らかなように、アクリル酸水溶液から抽出溶剤に抽出されるアクリル酸の量は、トルエン溶液、トルエン−ヘキセン溶液、トルエン−ヘキサン溶液の順で高かった。アクリル酸水溶液の水に対するアクリル酸の質量比を質量比Aとし、抽出液の抽出溶剤に対するアクリル酸の質量比を質量比Bとしたとき、質量比Aに対する質量比Bの比(B/A)は、アクリル酸水溶液中のアクリル酸の濃度が高いとき、例えば質量比Aが0.3、のときでは三者間に最大で0.1程度の差があるが、アクリル酸水溶液中のアクリル酸の濃度が低いとき、例えば水に対するアクリル酸の質量比が0.02以下のときでは、三者間の差は約0.02程度と非常に小さい。すなわち、抽出装置では抽出溶剤とアクリル酸水溶液との接触が繰り返し行われて、アクリル酸水溶液中のアクリル酸の濃度は抽出に伴って小さくなるが、アクリル酸水溶液が抽出装置から排出される直前、すなわち抽出終期では、三者の抽出効率はほぼ同等であることがわかる。
参考例1
抽出装置と蒸留装置とを用いて、アクリル酸水溶液からのアクリル酸の抽出と、得られた抽出液の減圧蒸留によるアクリル酸成分の分離とを行った。

前記抽出装置には、筒部と、筒部内に配置され筒部の軸方向に往復運動可能な駆動軸と、前記軸方向に並んで駆動軸に固定される複数の多孔板と、駆動軸を前記軸方向に往復運動させる駆動部とを有する理論段数が7段の往復動プレート式向流抽出装置を用いた。また、前記減圧蒸留には、精留塔と、精留塔の塔底液の一部を加熱、蒸発させるリボイラと
、精留塔の塔頂から排出された蒸気を凝縮させる凝縮器と、得られた凝縮液を収容する受器と、精留塔内を減圧させる真空装置とを有し、凝縮液の一部が還流液として精留塔に供給される蒸留装置を用いた。前記精留塔には、理論段数が30段の棚段塔を用いた。そして下記の条件で連続運転を行った。
以下の組成を有し、温度が25℃であるアクリル酸水溶液を、前記抽出装置の塔頂部から抽出装置に0.098kg/hで供給した。また、温度が25℃であり、20℃における水の溶解度が0.1質量%であり、トルエンを主成分とする、以下の組成を有する液を抽出溶剤1として前記抽出装置の塔底部から抽出装置に0.229kg/hで供給した。<アクリル酸水溶液>
アクリル酸 59質量部
酢酸 1質量部
水 39質量部
<抽出溶剤1>
トルエン 99質量部
アクリル酸 0.45質量部
酢酸 0.5質量部
前記抽出装置の塔頂からは、以下の組成を有する抽出液1が0.287kg/hで排出され、前記蒸留装置の精留塔に供給された。前記抽出装置の塔底からは、以下の組成を有する抽残液1が0.039kg/hで排出された。
<抽出液1>
トルエン 80質量部
アクリル酸 20質量部
酢酸 0.4質量部
<抽残液1>
水 96質量部
アクリル酸 2.9質量部
酢酸 2.5質量部
トルエン 0.3質量部
前記減圧蒸留は、塔頂温度が57℃であり、塔底温度が89℃であり、塔頂圧力が16kPa(Abs)であり、留出液に対する還流液の流量の比である還流比が1.5であり、重合禁止剤として5質量%フェノチアジン含有トルエン溶液を0.001kg/hで精留塔に供給する条件1で行った。この減圧蒸留によって、以下の組成を有するアクリル酸成分が塔底液として0.058kg/hで得られた。
<アクリル酸成分>
アクリル酸 98.5質量部
トルエン 1.5質量部
また前記減圧蒸留によって、以下の組成を有する留出液1が0.229kg/hで得られた。得られた留出液を抽出溶剤として前記抽出装置の塔底部に供給した。
<留出液1>
トルエン 99質量部
酢酸 0.5質量部
アクリル酸 0.45質量部
前述した抽出、減圧蒸留、及び留出液の再利用により、アクリル酸水溶液からアクリル酸成分を連続して4時間製造した。この連続運転後、精留塔の内部を点検したところ、アクリル酸の重合物は見られなかった。なおこの連続運転におけるアクリル酸の抽出効率(
([抽料中のアクリル酸量]−[抽残液中のアクリル酸量])/[抽料中のアクリル酸量]×100)は98.1%であった。
実施例1
以下の組成を有する抽出溶剤2を抽出溶剤1に代えて用いた以外は、参考例1と同様にアクリル酸の抽出とアクリル酸成分の分離を行った。抽出溶剤2の20℃における水の溶解度は0.1質量%であった。また抽出溶剤2の使用により、以下の組成を有する抽出液2aが抽出装置の塔頂から得られ、以下の組成を有する抽残液2が抽出装置の塔底から得られた。
<抽出溶剤2>
トルエン 79.2質量部
n−ヘキサン 19.8質量部
アクリル酸 0.3質量部
酢酸 0.5質量部
<抽出液2a>
トルエン 64質量部
アクリル酸 20.6質量部
n−ヘキサン 16質量部
酢酸 0.4質量部
<抽残液2>
水 96質量部
アクリル酸 2質量部
酢酸 2.5質量部
トルエン 0.2質量部
n−ヘキサン 0.1質量部

前記減圧蒸留は、参考例1における条件1と同様の条件2で行った。この条件2の減圧蒸留によって、以下の組成を有する留出液2が0.229kg/hで得られた。得られた留出液2を抽出溶剤として前記抽出装置の塔底部に供給した。
<留出液2>
トルエン 79.2質量部
n−ヘキサン 19.8質量部
酢酸 0.5質量部
アクリル酸 0.3質量部
前記抽出と減圧蒸留との連続運転に伴い、抽出溶剤が留出液2に置き換えられ、以後、以下の組成を有する抽出液2bが前記抽出装置の塔頂から0.229kg/hで得られ、前記蒸留装置に供給された。
<抽出液2b>
トルエン 64質量部
アクリル酸 20.6質量部
n−ヘキサン 16質量部
酢酸 0.4質量部
前述した抽出、減圧蒸留、及び留出液の再利用により、アクリル酸水溶液からアクリル酸成分を連続して4時間製造した。この連続運転後、精留塔の内部を点検したところ、アクリル酸の重合物は見られなかった。この連続運転におけるアクリル酸の抽出効率は98.7%であった。
本発明のアクリル酸の製造方法に用いられる設備の一例を示す図である。 図1の要部を拡大して示す図である。 本発明のアクリル酸の製造方法に用いられる設備の他の例を示す図である。 抽出溶剤でアクリル酸水溶液からアクリル酸を抽出したときの、アクリル酸水溶液のアクリル酸の濃度と抽出溶剤に抽出されるアクリル酸の量との関係を示す図である。
符号の説明
1 捕集塔
2 抽出塔
3、6 溶剤分離塔
4 コンデンサ
5 リボイラ
7 精製塔

Claims (2)

  1. アクリル酸及び水を含有するアクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させてアクリル酸を抽出する抽出工程と、
    得られた抽出液を蒸留して抽出液から抽出溶剤を蒸発させて分離する溶剤分離工程とを含むアクリル酸の製造方法において、
    1)アクリル酸の沸点よりも低い沸点を有する、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群から選ばれる一以上である非水溶性芳香族化合物を主成分とし、2)アクリル酸の沸点よりも低い沸点を有する、n−ヘキサン、1−ヘキセン、シクロヘキサン、ヘキサジエン、ヘプタン、及びヘプテンからなる群から選ばれる一以上である非芳香族化合物を5〜25質量%含有する非水溶性溶剤を前記抽出溶剤に用いることを特徴とするアクリル酸の製造方法。
  2. 前記溶剤分離工程で分離した抽出溶剤の蒸気の凝縮液を前記抽出工程の抽出溶剤に用いることを特徴とする請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
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