JP5407475B2 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents
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(1)(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸を捕集塔において水系媒体に捕集する工程と、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸水溶液をフラッシャーにおいて蒸発させ(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮する工程と、フラッシャーで生成した蒸気またはその凝縮液を前記捕集塔に供給する工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
前記捕集塔において、水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度が前記蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度の±10.0質量%以内となる位置に、前記蒸気またはその凝縮液を供給すること特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法である。
本発明における捕集工程では、(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸を捕集塔において水系媒体に捕集し、(メタ)アクリル酸水溶液が生成する。(メタ)アクリル酸含有ガスは、プロパン、プロピレン、アクロレイン、イソブチレン、t−ブチルアルコール又はメタクロレインなどの(メタ)アクリル酸原料を、反応器において、公知の触媒の存在下において酸素、空気等の分子状酸素含有ガスと接触させ酸化させることで得ることができる。反応器としては、触媒が収容されている原料ガス流路と、原料ガス流路に対して熱交換が可能な熱媒流路とを有する反応器を用いることができる。このような反応器としては、例えば、特開2005−336085号公報に開示されているような、両端にガスの通気口を有すると共に胴部に熱媒の通液口を有するシェルと、シェル内を両端部と胴部に分割する管板と、シェル内の胴部を貫通してシェル内の両端部を連通すると共に両端が管板によって支持され、触媒が収容される複数の反応管と、シェルの胴部に熱媒を循環させる装置とを有する多管式反応器、及び、特開2004−202430号公報に開示されているような、楕円形に似た断面形状を有する複数の管が断面形状の端部で連結されて形成される仕切りを複数併設してなる反応部と、該反応部における二つの仕切りの間に保持される触媒と、前記仕切りの管に熱媒を供給する装置とを有し、前記反応部において前記仕切りに沿って前記管を横断する方向にガスを通過させるプレート式反応器が挙げられる。
一般式(I) MoaWbBicFedAeBfCgDhEiOx
一般式(II) MoaVbWcCudXeYfOg
ェムパック、モンツ(株)製のモンツパック、東京特殊金網(株)製のグッドロールパッキング、日本ガイシ(株)製のハニカムパック、ナガオカ(株)製のインパルスパッキング、及び三菱化学エンジニアリング(株)製のエムシーパックが挙げられる。不規則充填物としては、例えばノートン(株)製のインタロックスサドル、日鉄化工機(株)製のテラレット、BASF(株)製のポールリング、マストランスファー(株)製のカスケード・ミニ・リング、及び日揮(株)製のフレキシリングが挙げられる。
本発明における濃縮工程では、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮し、(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度を上昇させる。その後の(メタ)アクリル酸分離工程を容易に行うことができるため、濃縮後の(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度は高い方がよいが、得られる(メタ)アクリル酸の濃縮液に必要とするコストを考慮すると、得られる濃縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度は50.0質量%以上であることが好ましく、55.0質量%以上であることがより好ましく、60.0質量%以上であることが更に好ましく、70.0質量%以上であることが特に好ましく、75.0質量%以上であることがより一層好ましく、80.0質量%以上であることが最も好ましい。
いられ、好ましくは110〜200℃のものが用いられる。また、スチームの量は、望まれる(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸濃度によって調整することができる。
本発明における供給工程では、フラッシャーで生成した蒸気またはその凝縮液を捕集塔に供給する。蒸気またはその凝縮液を捕集塔に供給するに際し、前記捕集塔において、水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度が前記蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度の±10.0質量%以内となる位置に、該蒸気またはその凝縮液を供給する。捕集塔のこのような位置に蒸気またはその凝縮液を供給することで、(メタ)アクリル酸水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレイン濃度を低減させながら捕集効率も上げることができる。その理由は以下のとおりである。
非水溶性溶剤でアクリル酸を含んだ水溶液である缶出液を抽出することにより、フォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインなどの水溶性不純物を除去することができるとともに、抽出により水を除去することもできることから抽出液中に水がほとんど含まれず、後工程の蒸留塔にて水による(メタ)アクリル酸の重合促進効果の影響を受けずに蒸留することができ、重合物発生による蒸留塔の閉塞が著しく防止できる。
、及びキシレンからなる群から選ばれる一以上であることが好ましい。キシレンは オルト−、メタ−、パラ−キシレンの混合物でもよいし、単品でも構わない。非水溶性芳香族化合物としては、抽出効率が高いためトルエンが最も好ましい。
また、抽出の温度は0〜100℃、好ましくは10℃〜60℃、最も好ましくは15〜50℃である。高すぎると抽出液への水溶解度が増加し、低すぎると抽出効率が上がらない。
上記抽出装置の具体例として、市販されている住重プラントエンジニアリング株式会社製のカールカラム(登録商標)が好ましく挙げられる。
酸が回収できるため、好ましい。また、水および(メタ)アクリル酸を含有する留出液を捕集塔の捕集水として用いることもできる。この場合、抽残水と混合して捕集塔に供給してもよいが、抽残水に比べて高沸点化合物の少ない水溶液であるため、抽残水の供給口よりも上方から前記留出液を供給することが好ましい。
抽出工程において、非水溶性の抽剤を使用しているため、抽料に含まれるフォルムアルデヒドは抽残水に含有されて排出されてくる。また、水溶性の重合禁止剤であるハイドロキノンなどのフェノール類の重合禁止剤も抽残水に含有されて排出されてくる。この抽残水を蒸留する場合、フォルムアルデヒドとハイドロキノンなどのフェノール類の濃度が高いと、フェノール樹脂を形成し、蒸留塔塔底で閉塞したり、後流の配管を詰まらせたりする。
このため、捕集塔において、塔底の水溶液中のフォルムアルデヒド濃度を低くすることは、そのまま抽残水を分離する蒸留塔底での重合物生成の抑制につながるため、プラントを連続的に運転するために非常に重要である。
ば、酢酸分離塔16を降下する液、又は上昇する蒸気の一部を酢酸分離塔16の回収部で抜き出すことによって得られる。酢酸分離塔16の塔底から排出される缶出液は、例えば図示しない熱分解装置に供給される。熱分解装置では、(メタ)アクリル酸の沸点より高い沸点を有する高沸点化合物熱分解によって(メタ)アクリル酸が回収される。回収された(メタ)アクリル酸は、例えば酢酸分離塔16の原料液として再利用される。
プロピレンを空気及び水・窒素・二酸化炭素からなる不活性ガスと混合し、第一の反応帯域において、酸化モリブデン固体触媒存在下でプロピレンを分子状酸素と反応させてアクロレインを得た。次いで、第二の反応帯域において、酸化モリブデン系固体触媒の存在下でアクロレインを分子状酸素と反応させて、アクリル酸を20.7kg/h含むアクリル酸含有ガスを得た。このアクリル酸含有ガスを理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力は110kPa(絶対圧)、塔頂温度は66℃であり、塔底温度は68℃であった。また、1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶
液(アクリル酸濃度55%)46.7kg/hをフラッシャーに供給し、圧力130kPa(絶対圧)、温度112℃でフラッシュさせた。フラッシャーの塔頂からの蒸気にはアクリル酸が36重量%含まれていた。この蒸気を塔頂から理論段で11段目(棚段上の液のアクリル酸濃度が36重量%の位置)に供給した。フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはアクリル酸が65%含まれており、流量は30.7kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.7kg/hであり、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが3400重量ppm、アクロレインが30重量ppm含まれていた。
実施例1と同じアクリル酸含有ガスを、理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力、塔頂温度は実施例1と同じであり、塔底温度は73℃とした。1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶液(アクリル酸濃度55%)46.8kg/hをフラッシャーに供給し、実施例1と同様に圧力130kPa(絶対圧)、温度112℃でフラッシュさせた。フラッシャーの塔頂からの蒸気にはアクリル酸が36重量%含まれていた。この蒸気を塔頂から理論段で14段目(棚段上の液のアクリル酸濃度が55重量%の位置)に供給した。フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはアクリル酸が65%含まれており、流量は30.8kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.7kg/hであり、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが6800重量ppm、アクロレインが30重量ppm含まれていた。
つまり、フラッシャーの塔頂からの蒸気のアクリル酸濃度36重量%より、捕集塔の棚段上のアクリル酸濃度の高いところ(55重量%)にアクリル酸蒸気を供給すると、実施例1と比較して、反応器からのアクリル酸含有ガス中のアクリル酸を、捕集塔の塔頂にロスする量は実施例1と同じであるが、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液中のフォルムアルデヒド濃度が大幅に増加することがわかる。
実施例1と同じアクリル酸含有ガスを、理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力は110kPa(絶対圧)、塔頂温度は66℃でああった。1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。塔底温度は75℃として、この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶液中のアクリル酸濃度が65%になるように調整したところ、缶出液は30.8kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.7kg/hであり、捕集塔の缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが6800重量ppm、アクロレインが130重量ppm含まれていた。
フラッシャーが無い場合、アクリル酸水溶液の濃度を上げようとすると、捕集塔の塔頂にロスする量は実施例1と同じであるが、実施例1のフラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液中のフォルムアルデヒド濃度と比較して、捕集塔の缶出液中のフォルムアルデヒド濃度およびアクロレイン濃度が増加することがわかる。
実施例1と同じアクリル酸含有ガスを、理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力110kPa(絶対圧)、塔頂温度は63℃、塔底温度は70℃とした。1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶液(アクリル酸濃度55%)40.7kg/hをフラッシャーに供給し、圧力130kPa(絶対圧)、温度110℃でフラッシュさせた。フラッシャーの塔頂からの蒸気にはアクリル酸が32重量%含まれていた。この蒸気を塔頂から理論段で12段目(棚段上の液のアクリル酸濃度が33
重量%の位置)に供給した。フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはアクリル酸が60%含まれており、流量は33.7kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.4kg/hであり、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが4500重量ppm、アクロレインが60重量ppm含まれていた。
実施例2と同じアクリル酸含有ガスを、理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力110kPa(絶対圧)、塔頂温度は64℃、塔底温度は70℃とした。1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶液(アクリル酸濃度55%)39.8kg/hをフラッシャーに供給し、実施例2と同様に圧力130kPa(絶対圧)、温度110℃でフラッシュさせた。フラッシャーの塔頂からの蒸気にはアクリル酸が32重量%含まれていた。この蒸気を塔頂から理論段で5段目(棚段上の液のアクリル酸濃度が20重量%の位置)に供給した。フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはアクリル酸が60%含まれており、流量は33.0kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.9kg/hであり、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが4600重量ppm、アクロレインが60重量ppm含まれていた。
フラッシャーの塔頂からの蒸気のアクリル酸濃度32重量%より、捕集塔の棚段上のアクリル酸濃度の低いところ(20重量%)にアクリル酸蒸気を供給すると、実施例2と比較すると、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液のフォルムアルデヒド濃度はほとんど変わらないが、反応器からのアクリル酸含有ガス中のアクリル酸を捕集塔の塔頂にロスする量が大幅に増加することがわかる。
実施例1で得られたフラッシャーの缶出液1kgをトルエン1.6kgとを混合し、20℃にてフラスコで激しく攪拌した後、静置して油層と水層に分離させた。この得られた水層のうち200gを取り、500mlのフラスコをもつ単蒸留装置にて、オイルバス温度100〜115℃に上げながら常圧で単蒸留した。1時間で約140g留出させた。この時、フラスコ内には重合物は見当たらなかった。
比較例1で得られたフラッシャー液を使用した以外は実施例3と同様に操作した。1時間で約140g留出させた。この時、フラスコ内には重合物の粉が沈んでいた。分析したところハイドロキノンとフォルムアルデヒドの重合したフェノール樹脂であった。
2 反応器
3 (メタ)アクリル酸含有ガス
4 捕集塔
5 (メタ)アクリル酸水溶液
6 フラッシャー
7 (メタ)アクリル酸濃縮液
8 (メタ)アクリル酸凝縮液
8a (メタ)アクリル酸蒸気
9 冷却器
10 導入部
11 燃焼装置
12 排出(メタ)アクリル酸含有ガス
13 ノズル
14 脱水塔
15 凝縮器
16 酢酸分離塔
17 リボイラー
18 冷却器
19 抽出塔
20、22 蒸留塔
21 溶剤分離塔
23 熱分解装置
24 捕集溶剤
25 抽出液
26 抽残水
27 蒸留塔凝縮液
28、33 Heavy End
29 粗(メタ)アクリル酸
30 精製(メタ)アクリル酸
31 高沸物
32 熱分解凝縮液
Claims (4)
- (メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸を捕集塔において水系媒体に捕集する工程と、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸水溶液をフラッシャーにおいて蒸発させ(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮する工程と、フラッシャーで生成した蒸気またはその凝縮液を前記捕集塔に供給する工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
前記捕集塔において、水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度が前記蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度の±10.0質量%以内となる位置に、前記蒸気またはその凝縮液を供給することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。 - 前記濃縮工程で濃縮された(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度が50.0質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
- 前記濃縮工程で濃縮された(メタ)アクリル酸水溶液を非水溶性溶剤の抽剤で抽出する抽出工程を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
- 前記抽出工程から排出される抽残水を濃縮し、前記捕集工程に用いる水系媒体とする工程を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
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