JP5407475B2 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、(メタ)アクリル酸を製造するための方法に関し、詳しくは(メタ)アクリル酸原料の接触気相酸化反応により得た(メタ)アクリル酸含有ガスを捕集し、(メタ)アクリル酸濃度の高い(メタ)アクリル酸水溶液を得る方法に関する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸との総称であり、そのいずれか一方又は両方を指す。同様に(メタ)アクロレインは、アクロレインとメタクロレインとの総称であり、そのいずれか一方又は両方を指す。
(メタ)アクリル酸を生成させる方法として、プロパン、プロピレン、イソブチレン又はアクロレインを原料とする接触気相酸化反応によって生成した(メタ)アクリル酸含有ガスを、水等の捕集溶剤と接触させて(メタ)アクリル酸を捕集し、得られた(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を分離し、分離した(メタ)アクリル酸を精製する方法が一般に知られている。(メタ)アクリル酸水溶液から(メタ)アクリル酸を分離する方法としては、溶剤を用いる抽出や共沸蒸留などの方法が知られている(例えば非特許文献1参照)。
(メタ)アクリル酸水溶液中の水の濃度を下げる方法としては、(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸を捕集塔において水系媒体に捕集する工程と、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸水溶液を放散塔において蒸発させ(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮する工程と、放散塔で生成した蒸気またはその凝縮液を前記捕集塔の塔底に供給する工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
放散塔で生成した蒸気またはその凝縮液は捕集塔の塔底液に比べて一般的にアクリル酸濃度が低いことから、前記蒸気またはその凝縮液を捕集塔の塔底に循環させると捕集塔の塔底液のアクリル酸濃度が下がることがある。また、放散塔で生成した蒸気またはその凝縮液にはフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインが含まれており、捕集塔の塔底に循環させることにより、捕集塔塔底液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインの濃度は思うように下がらず、後工程において重合物を発生させる原因となっている。これらを後工程にできるだけ供給しないよう捕集塔の塔底液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインを削減することが、後工程の安定運転において重要である。
特開2004−10678号公報
大森英三著、「アクリル酸とそのポリマー〔I〕」、第三版、株式会社昭晃堂、1978年4月28日、p10−13
そこで本発明は、(メタ)アクリル酸の捕集及び(メタ)アクリル酸水溶液の濃縮によって(メタ)アクリル酸水溶液を生成するにあたり、(メタ)アクリル酸水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレイン濃度を低減させながら、捕集効率の高い方法を提
供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、前記蒸気またはその凝縮液を捕集塔の特定の箇所に供給することにより、(メタ)アクリル酸水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレイン濃度を低減させながら捕集効率の高い方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち本願発明は、
(1)(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸を捕集塔において水系媒体に捕集する工程と、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸水溶液をフラッシャーにおいて蒸発させ(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮する工程と、フラッシャーで生成した蒸気またはその凝縮液を前記捕集塔に供給する工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
前記捕集塔において、水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度が前記蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度の±10.0質量%以内となる位置に、前記蒸気またはその凝縮液を供給すること特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法である。
(2)前記濃縮工程で濃縮された(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸濃度が50.0質量%以上であることを特徴とする、上記の(メタ)アクリル酸の製造方法である。
(3)前記フラッシャーで生成した缶出液を非水溶性溶剤の抽剤で抽出することを特徴とする、上記の(メタ)アクリル酸の製造方法である。
(4)前記抽出工程から排出される抽残水を濃縮する工程を含むことを特徴とする、上記の(メタ)アクリル酸の製造方法である。
本発明によれば、(メタ)アクリル酸の捕集及び(メタ)アクリル酸水溶液の濃縮によって(メタ)アクリル酸水溶液を生成するにあたり、(メタ)アクリル酸水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレイン濃度を低減させながら、捕集効率の高い方法を提供することができる。
本発明の方法を実施するための(メタ)アクリル酸の製造設備の一例を概略的に示す図である。 本発明の方法を実施するための(メタ)アクリル酸の製造設備の一例を概略的に示す図である。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸を捕集塔において水系媒体に捕集する工程と、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸水溶液をフラッシャーにおいて蒸発させ(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮する工程と、フラッシャーで生成した蒸気またはその凝縮液を前記捕集塔に供給する工程とを含み、前記捕集塔において、水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度が前記蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度の±10.0質量%以内となる位置に、前記蒸気またはその凝縮液を供給する。
(1)捕集工程
本発明における捕集工程では、(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸を捕集塔において水系媒体に捕集し、(メタ)アクリル酸水溶液が生成する。(メタ)アクリル酸含有ガスは、プロパン、プロピレン、アクロレイン、イソブチレン、t−ブチルアルコール又はメタクロレインなどの(メタ)アクリル酸原料を、反応器において、公知の触媒の存在下において酸素、空気等の分子状酸素含有ガスと接触させ酸化させることで得ることができる。反応器としては、触媒が収容されている原料ガス流路と、原料ガス流路に対して熱交換が可能な熱媒流路とを有する反応器を用いることができる。このような反応器としては、例えば、特開2005−336085号公報に開示されているような、両端にガスの通気口を有すると共に胴部に熱媒の通液口を有するシェルと、シェル内を両端部と胴部に分割する管板と、シェル内の胴部を貫通してシェル内の両端部を連通すると共に両端が管板によって支持され、触媒が収容される複数の反応管と、シェルの胴部に熱媒を循環させる装置とを有する多管式反応器、及び、特開2004−202430号公報に開示されているような、楕円形に似た断面形状を有する複数の管が断面形状の端部で連結されて形成される仕切りを複数併設してなる反応部と、該反応部における二つの仕切りの間に保持される触媒と、前記仕切りの管に熱媒を供給する装置とを有し、前記反応部において前記仕切りに沿って前記管を横断する方向にガスを通過させるプレート式反応器が挙げられる。
また、前記(メタ)アクリル酸ガスの生成に用いられる触媒としては、例えば、特開2005−336085号公報に開示されているような、下記一般式(I)で表されるMo−Bi系複合酸化物触媒、及び下記一般式(II)で表されるMo−V系複合酸化物触媒が挙げられる。
一般式(I) MoaWbBicFedAeBfCgDhEiOx
一般式(II) MoaVbWcCudXeYfOg
前記一般式(I)中、Aはニッケル及びコバルトの一方又は両方の元素、Bはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムから選ばれる一以上の元素、Cはアルカリ土類金属から選ばれる一以上の元素、Dは、リン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、ヒ素、ホウ素及び亜鉛から選ばれる一以上の元素、Eは、シリコン、アルミニウム、チタニウム及びジルコニウムから選ばれる一以上の元素、Oは酸素を表す。また前記一般式(I)中、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びxは、それぞれ、Mo、W、Bi、Fe、A、B、C、D、E及びOの原子比を表し、a=12の場合、0≦b≦10、0<c≦10(好ましくは0.1≦c≦10)、0<d≦10(好ましくは0.1≦d≦10)、2≦e≦15、0<f≦10(好ましくは0.001≦f≦10)、0≦g≦10、0≦h≦4、0≦i≦30であり、xは各元素の酸化状態によって決まる値である。
前記一般式(II)中、XはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる一以上の元素、YはTi、Zr、Ce、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Sn、Sb、Pb及びBiから選ばれる一以上の元素、Oは酸素を表す。また前記一般式(II)中、a、b、c、d、e、f及びgは、それぞれ、Mo、V、W、Cu、X、Y及びOの原子比を示し、a=12の場合、2≦b≦14、0≦c≦12、0<d≦6、0≦e≦3、0≦f≦3であり、gは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。
前記得られた(メタ)アクリル酸含有ガスは、捕集塔において、(メタ)アクリル酸含有ガスと水系媒体を接触させることで捕集される。捕集塔に収容されるトレイとしては、例えば泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、スーパーフラッシュトレイ、マックスフラクストレイ、及びデュアルフロートレイが挙げられる。また規則充填物としては、例えばスルーザー・ブラザース(株)製のスルーザーパック、住友重機械工業(株)製の住友スルーザーパッキング、住友重機械工業(株)製のメラパック、グリッチ(株)製のジ
ェムパック、モンツ(株)製のモンツパック、東京特殊金網(株)製のグッドロールパッキング、日本ガイシ(株)製のハニカムパック、ナガオカ(株)製のインパルスパッキング、及び三菱化学エンジニアリング(株)製のエムシーパックが挙げられる。不規則充填物としては、例えばノートン(株)製のインタロックスサドル、日鉄化工機(株)製のテラレット、BASF(株)製のポールリング、マストランスファー(株)製のカスケード・ミニ・リング、及び日揮(株)製のフレキシリングが挙げられる。
捕集塔は、常圧以上で操作するのが一般的である。本発明の捕集工程では、捕集塔の塔頂圧力としては、0.07〜0.3MPa(Abs)で操作することが好ましい。また、捕集塔の塔頂温度としては、一般には20〜120℃、特に30〜70℃であることが好ましく例示でき、塔底温度としては30〜150℃、特に40〜80℃であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸の捕集に用いられる水系媒体は、水を主成分とする液体である。前記水系媒体は、水溶性の有機溶剤を含んでいてもよい。水系媒体としては、例えば水及び易重合性化合物の製造において排出される水成分が挙げられる。水成分としては、例えば(メタ)アクリル酸の製造方法における抽出工程の抽残水、及び(メタ)アクリル酸の製造方法における脱水工程の留出液が挙げられる。
(メタ)アクリル酸の捕集に用いられる水系媒体の温度は、捕集塔へ供給する前で10〜80℃、好ましくは10〜50℃である。(メタ)アクリル酸含有ガスに対する該捕集用水の質量流量比は、目的とする(メタ)アクリル酸濃度によって適宜選択することができ、(メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸の質量流量の0.1〜2倍、好ましくは0.2〜0.7倍の質量流量を接触させて(メタ)アクリル酸を捕集する。
前記捕集塔には重合禁止剤を供給することが通常である。重合禁止剤は、(メタ)アクリル酸の製造で通常使用される重合禁止剤を用いて行うことができ、例えば、特開2005−336141号公報に記載されているような、ハイドロキノン、メトキノン等のフェノール類、ニトロソ化合物、銅塩、マンガン塩、フェノチアジン等が挙げられる。この中でもハイドロキノン等のフェノール類が水溶液への溶解性が高いため、好ましい。
(2)濃縮工程
本発明における濃縮工程では、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮し、(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度を上昇させる。その後の(メタ)アクリル酸分離工程を容易に行うことができるため、濃縮後の(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度は高い方がよいが、得られる(メタ)アクリル酸の濃縮液に必要とするコストを考慮すると、得られる濃縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度は50.0質量%以上であることが好ましく、55.0質量%以上であることがより好ましく、60.0質量%以上であることが更に好ましく、70.0質量%以上であることが特に好ましく、75.0質量%以上であることがより一層好ましく、80.0質量%以上であることが最も好ましい。
前記濃縮工程では、フラッシャーを使用し(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮する。フラッシャーとは理論段数1段の蒸留装置をいい、(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮することができるものであれば、特に限定されるものではない。捕集工程で得た(メタ)アクリル酸水溶液は、フラッシャー内に供給する前に、高温のスチームによって加熱される。加熱された(メタ)アクリル酸水溶液がフラッシャー中に供給されると、(メタ)アクリル酸よりも沸点の低い水がより多く蒸発し、(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度を上昇させることができる。前記スチーム温度は、100〜350℃のものが用
いられ、好ましくは110〜200℃のものが用いられる。また、スチームの量は、望まれる(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸濃度によって調整することができる。
(3)供給工程
本発明における供給工程では、フラッシャーで生成した蒸気またはその凝縮液を捕集塔に供給する。蒸気またはその凝縮液を捕集塔に供給するに際し、前記捕集塔において、水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度が前記蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度の±10.0質量%以内となる位置に、該蒸気またはその凝縮液を供給する。捕集塔のこのような位置に蒸気またはその凝縮液を供給することで、(メタ)アクリル酸水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレイン濃度を低減させながら捕集効率も上げることができる。その理由は以下のとおりである。
前記の濃縮工程においては、(メタ)アクリル酸水溶液が濃縮される一方、(メタ)アクリル酸水溶液を蒸発させた蒸気が生成する。この蒸気は(メタ)アクリル酸を含む一方、フォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインも含有する。フォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインは(メタ)アクリル酸よりも低沸点であるため、蒸発させた蒸気中に多く含まれており、この蒸気またはその凝縮液を捕集塔の塔頂に近い位置に戻すと、蒸気またはその凝縮液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインは、塔頂から非凝縮性ガスとともに排出されるため、捕集塔塔底の(メタ)アクリル酸水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレイン濃度を低くできる。しかし、同時に(メタ)アクリル酸も塔頂から非凝縮性ガスとともに排出されてしまい、(メタ)アクリル酸の捕集効率が低下する。前記蒸発させた蒸気またはその凝縮液を塔底または塔底に近い位置に戻すと、(メタ)アクリル酸の捕集効率は上がるが、フォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインも捕集塔塔底の(メタ)アクリル酸水溶液中に再循環されるため、その水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレイン濃度を低くできない。
本発明のように蒸気またはその凝縮液を捕集塔に供給するに際し、前記捕集塔において、水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度が前記蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度の±10.0質量%以内となる位置に前記蒸気またはその凝縮液を供給する場合には、捕集塔塔底の(メタ)アクリル酸水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレイン濃度を低く保ちながら、(メタ)アクリル酸の捕集効率が高められる。捕集塔における蒸気またはその凝縮液の供給位置は、捕集塔塔底の(メタ)アクリル酸水溶液中のフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインの濃度低減と捕集効率のさらなる向上の観点から±5.0質量%以内となる位置であることがより好ましく、±3.0質量%であることがより好ましく、±2.0質量%以内となる位置であることが最も好ましい。
前記蒸気またはその凝縮液を捕集塔に供給する位置は、計算によって算出し決定することも可能であるし、実測により計測し決定することも可能である。計算によって算出する場合には、アスペンプラス(蒸留計算ソフト)を使用し、コンピュータによってシミュレーションすることにより算出することができる。捕集塔への(メタ)アクリル酸含有ガスの流入量、(メタ)アクリル酸含有ガスに対する該捕集用水の質量流量比、フラッシャーで生成した蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度等を入力することで、捕集塔における水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度を計算することができる。得られた算出値に基づいて、捕集塔の高さ方向において、蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度に対して±10.0質量%以内となる位置を求めることができる。実測する場合には、捕集塔中の各トレイ上の水系媒体を抜き出し、その水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度を測定する。該測定値に基づいて、捕集塔の高さ方向において、蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度に対して±10.0質量%以内となる位置を求めることができる。
前記蒸気またはその凝縮液は、例えば捕集塔に設けられているノズルを介して、捕集塔の高さ方向における特定の位置から捕集塔へ供給することができる。このようなノズルは、前述した計算や実測によって求められる一箇所のみに設けられてもよいし、捕集塔の高さ方向において複数箇所設けられていても良い。捕集塔に複数のノズルが設けられていることは、捕集塔やフラッシャーの運転条件の変更に応じて蒸気またはその凝縮液の供給位置を変更する観点から好ましい。また、蒸気またはその凝縮液の供給位置を、捕集塔中の(メタ)アクリル酸水溶液の濃度及び前記蒸気またはその凝縮液の(メタ)アクリル酸の濃度の一方又は両方に応じて切り替えられることは、運転条件の変動や変更に対して効率的な運転を維持する観点から好ましい。このような切り替え可能な構成としては、例えば捕集塔の高さ方向において設けられている複数のノズルと、これらのノズルのそれぞれとフラッシャーを接続し、前記蒸気またはその凝縮液を前記ノズルに供給する分岐管と、分岐管のそれぞれの枝管を開閉自在な弁とを有する構成が挙げられる。
上記のような位置に蒸気またはその凝縮液を供給することによって、(メタ)アクリル酸の捕集及び(メタ)アクリル酸水溶液の濃縮によって(メタ)アクリル酸水溶液を生成するにあたり、フォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインの濃度を低減させながら(メタ)アクリル酸水溶液を得ることができる。また、凝縮液は(メタ)アクリル酸ガスを捕集する能力を有しており、捕集塔の本発明で決定される位置に凝縮液を供給することで、捕集塔中における水系媒体の(メタ)アクリル酸ガス捕集能が向上し、(メタ)アクリル酸ガスを効率よく回収できる。本発明の工程により得られた(メタ)アクリル酸の濃度の高い(メタ)アクリル酸水溶液は、(メタ)アクリル酸の用途に応じて溶剤抽出、共沸蒸留、減圧蒸留などのアクリル酸分離工程へさらに供給してもよい。
本発明では、前記フラッシャーで生成した缶出液を非水溶性溶剤の抽剤で抽出して(メタ)アクリル酸を精製することが好ましい。
非水溶性溶剤でアクリル酸を含んだ水溶液である缶出液を抽出することにより、フォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインなどの水溶性不純物を除去することができるとともに、抽出により水を除去することもできることから抽出液中に水がほとんど含まれず、後工程の蒸留塔にて水による(メタ)アクリル酸の重合促進効果の影響を受けずに蒸留することができ、重合物発生による蒸留塔の閉塞が著しく防止できる。
前記抽剤として用いられる前記非水溶性溶剤には、20℃における水の溶解度が1.5質量%以下である溶剤が用いられる。前記非水溶性溶剤には、前記非水溶性芳香族化合物を主成分として含有する溶剤が挙げられる。ここで、本願でいう「主成分」とは、前記非水溶性溶剤における前記非水溶性芳香族化合物の割合が50質量%以上であることをいう。非水溶性溶剤の非水溶性は非水溶性芳香族化合物の含有量によって調整することができる。非水溶性溶剤は一以上の有機溶剤から構成される。
非水溶性芳香族化合物は、20℃における水の溶解度が1.5質量%以下の溶剤である。次工程に水を持ち込まないことより、上記水の溶解度が0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、0.06質量%以下であることが最も好ましい。非水溶性芳香族化合物は一種でも二種以上でもよい。非水溶性芳香族化合物による(メタ)アクリル酸の抽出作用を十分に発現させる観点から、非水溶性芳香族化合物は非水溶性溶剤に総量で最も多く含有されていることが好ましい。非水溶性芳香族化合物の非水溶性溶剤の総量に対する含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
前記非水溶性芳香族化合物としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。前記非水溶性芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン
、及びキシレンからなる群から選ばれる一以上であることが好ましい。キシレンは オルト−、メタ−、パラ−キシレンの混合物でもよいし、単品でも構わない。非水溶性芳香族化合物としては、抽出効率が高いためトルエンが最も好ましい。
非水溶性溶剤には、非水溶性芳香族化合物以外の他の化合物を含んでいてもよい。このような他の化合物としては、例えば、n−ヘキサン、1−ヘキセン、シクロヘキサン、ヘキサジエン、ヘプタン、ヘプテン、及びイソプロパノール等の非芳香族化合物が挙げられる。前記非芳香族化合物は、炭素数5〜7の飽和又は不飽和の炭化水素であることが好ましく、脂肪族炭化水素がより好ましい。このような非芳香族化合物としては、例えばn−ヘキサン及び1−ヘキセンが挙げられる。このような非芳香族化合物の含有量は、(メタ)アクリル酸の抽出効率の減少を抑制する観点から、溶剤全体に対して総量で20質量%以下であることが好ましい。
また、抽出の温度は0〜100℃、好ましくは10℃〜60℃、最も好ましくは15〜50℃である。高すぎると抽出液への水溶解度が増加し、低すぎると抽出効率が上がらない。
前記抽出工程では、液−液接触の抽出に用いられる公知の抽出装置を利用して行うことができる。前記抽出装置は、(メタ)アクリル酸水溶液と非水溶性溶剤とを十分に接触させる観点から、理論段数が3以上であることが好ましい。抽出効率を高めるために、理論段数5段以上、更に好ましくは7段以上、最も好ましくは9段以上である。このような抽出装置としては、例えば特開2002−58903号公報に開示されているような、筒部と、筒部内に配置され筒部の軸方向に往復運動可能な駆動軸と、前記軸方向に並んで駆動軸に固定される複数の多孔板と、駆動軸を前記軸方向に往復運動させる駆動部とを有する往復動プレート式向流抽出装置を好ましく利用することができる。
このような装置の具体的な態様についてさらに詳しく説明すると、上記筒部は、さらに筒部への液の供給と筒部からの液の排出のための上部中空室を筒部の上側に有し、同じく筒部への液の供給と筒部からの液の排出のための下部中空室を筒部の下側に有することが好ましい。この態様では、上部中空室の上端付近に抽出液出口が設置され、該抽出液出口よりも下部側に(メタ)アクリル酸水溶液の入口(抽料入口)が設置されている。さらに、筒部の下端付近に抽出溶剤の入口(抽剤入口)が設置され、下部中空室の下端付近に抽残液出口が設置されている。多孔板は、筒部のほぼ全域にわたって複数枚(例えば、20〜200枚)設置されていることが好ましい。また、上記多孔板は、筒部内壁との間に適当なクリアランス(例えば、30〜800mm)を保つように据え付けられていることが好ましい。駆動部には、例えば、上記往復動可能な駆動軸を往復動に変換する機構と、駆動モーターが収納されている態様が例示できる。
上記抽出装置の具体例として、市販されている住重プラントエンジニアリング株式会社製のカールカラム(登録商標)が好ましく挙げられる。
上記抽出装置の運転にあたっては、抽料としての(メタ)アクリル酸水溶液は上記抽料入口から供給し、抽剤としての非水溶性溶剤は上記抽剤入口から供給される。抽出工程において、抽料と抽剤の供給量(kg/h)の好ましい比は、抽料に対する抽剤の比として1.0〜5.0が抽出効率及びその後の抽出溶剤の回収の観点から好ましく、より好ましくは1.0〜3.5であり、特に好ましくは1.2〜2.5であり、最も好ましくは1.4〜2.0である。
前記抽出装置から排出される抽残水は、そのまま捕集塔の捕集水として使用することもできるが、水溶性の高沸点成分が濃縮してくるので、一部パージを行なうことが好ましい。また、高沸点成分をパージする際、抽残水の一部を蒸留装置に供給し、(メタ)アクリル酸よりも高沸点の成分を分離してパージすることにより、抽残水中の(メタ)アクリル
酸が回収できるため、好ましい。また、水および(メタ)アクリル酸を含有する留出液を捕集塔の捕集水として用いることもできる。この場合、抽残水と混合して捕集塔に供給してもよいが、抽残水に比べて高沸点化合物の少ない水溶液であるため、抽残水の供給口よりも上方から前記留出液を供給することが好ましい。
抽残水を分離する蒸留塔はフラッシャー(フラッシュドラム)でもよいし、多段の精留塔でも構わない。圧力は、減圧から加圧まで使用でき、重合物の生成を防止するため、操作温度を低減できる減圧蒸留が好ましい。
抽出工程において、非水溶性の抽剤を使用しているため、抽料に含まれるフォルムアルデヒドは抽残水に含有されて排出されてくる。また、水溶性の重合禁止剤であるハイドロキノンなどのフェノール類の重合禁止剤も抽残水に含有されて排出されてくる。この抽残水を蒸留する場合、フォルムアルデヒドとハイドロキノンなどのフェノール類の濃度が高いと、フェノール樹脂を形成し、蒸留塔塔底で閉塞したり、後流の配管を詰まらせたりする。
このため、捕集塔において、塔底の水溶液中のフォルムアルデヒド濃度を低くすることは、そのまま抽残水を分離する蒸留塔底での重合物生成の抑制につながるため、プラントを連続的に運転するために非常に重要である。
以下、本発明の態様を、図1に基づいて説明する。
図1は、本発明に用いられる(メタ)アクリル酸の製造設備の一例を表している。(メタ)アクリル酸原料1は反応器2において、公知の触媒の存在下において酸素、空気等の分子状酸素含有ガスと反応し、(メタ)アクリル酸含有ガス3となる。得られた(メタ)アクリル酸含有ガス3は、捕集塔4において、(メタ)アクリル酸含有ガスとノズル13から供給される水系媒体とを接触させることで捕集される。捕集塔4の塔頂から排出されたガス12は燃焼装置11に送られ、ガス中の有機物が焼却される。焼却処理されたガスの一部は、(メタ)アクリル酸原料として再利用されることがある。
捕集塔4において捕集された(メタ)アクリル酸水溶液5は、フラッシャー6に供給される。フラッシャー6に供給される手前で、(メタ)アクリル酸水溶液5はリボイラー17により加熱され、フラッシャー6に供給される。フラッシャー6では、(メタ)アクリル酸水溶液の水が蒸発することで(メタ)アクリル酸水溶液が濃縮され、フォルムアルデヒドと(メタ)アクロレインの濃度が低く、(メタ)アクリル酸濃度の高い(メタ)アクリル酸水溶液7が得られる。
フラッシャー6の塔頂からは、(メタ)アクリル酸を含有した水蒸気が排出される。この蒸気を冷却器9により凝縮することで凝縮液8を得、凝縮液8を捕集塔の導入部10から捕集塔4に供給することとなる。このとき、凝縮液8中の(メタ)アクリル酸の濃度は、例えば35.0質量%であり、導入部10は、捕集塔内において(メタ)アクリル酸水溶液の濃度が35.0±10.0質量%となる位置に設けられている。
フラッシャー6で得られた(メタ)アクリル酸水溶液7は、脱水塔14に供給される。脱水塔14における減圧下の蒸留により、(メタ)アクリル酸水溶液7中の水は除去され、脱水塔14の塔底からは(メタ)アクリル酸成分が得られ、脱水塔14の塔頂からは水を主成分とする蒸気が排出される。この蒸気は凝縮器15により凝縮され、得られた凝縮液は捕集塔4に供給されて水系媒体として再利用される。
脱水塔14で得られた(メタ)アクリル酸成分は、例えば酢酸分離塔16に供給される。酢酸分離塔16における減圧蒸留により、(メタ)アクリル酸成分中の酢酸は酢酸分離塔16の塔頂から排出される。(メタ)アクリル酸成分中の(メタ)アクリル酸は、例え
ば、酢酸分離塔16を降下する液、又は上昇する蒸気の一部を酢酸分離塔16の回収部で抜き出すことによって得られる。酢酸分離塔16の塔底から排出される缶出液は、例えば図示しない熱分解装置に供給される。熱分解装置では、(メタ)アクリル酸の沸点より高い沸点を有する高沸点化合物熱分解によって(メタ)アクリル酸が回収される。回収された(メタ)アクリル酸は、例えば酢酸分離塔16の原料液として再利用される。
以下本発明の好ましい態様を図2に基づいて説明する。
図2は、本発明に用いられる(メタ)アクリル酸の製造設備の一例を表している。3は図1と同様にして得られた(メタ)アクリル酸含有ガスである。この3は、捕集塔4において、(メタ)アクリル酸含有ガスと供給される水系媒体(捕集溶剤24)とを接触させることで捕集される。捕集塔4の塔頂から排出されたガス12は燃焼装置(記載なし)に送られ、ガス中の有機物が焼却される。焼却処理されたガスの一部は、(メタ)アクリル酸原料として再利用されることがある。
捕集塔4において捕集された(メタ)アクリル酸水溶液5は、フラッシャー6に供給される。フラッシャー6に供給される手前で、(メタ)アクリル酸水溶液5は加熱され、フラッシャー6に供給される。フラッシャー6では、(メタ)アクリル酸水溶液の水が蒸発することで(メタ)アクリル酸水溶液が濃縮され、フォルムアルデヒドと(メタ)アクロレインの濃度が低く、(メタ)アクリル酸濃度の高い(メタ)アクリル酸水溶液7が得られる。
フラッシャー6の塔頂からは、(メタ)アクリル酸を含有した水蒸気が排出される。この蒸気8aを捕集塔4に供給することとなる。このとき、蒸気8a中の(メタ)アクリル酸の濃度は、例えば35.0質量%であり、導入部10は、捕集塔内において(メタ)アクリル酸水溶液の濃度が35.0±10.0質量%となる位置に設けられている。
得られた(メタ)アクリル酸水溶液7は抽出塔19に供給され、更にフォルムアルデヒドや(メタ)アクロレインなどの水溶性不純物が除去される。抽出塔下部から抜き出される抽残水26は、一部を蒸留塔20に供給し、蒸留塔の塔頂より蒸留塔凝縮液27を得、塔底よりHeavy End 28を得る。蒸留塔凝縮液27は、抽残水26の一部と混合して、捕集塔4へ供給した。
抽出塔19で抽出された抽出液25は、減圧蒸留塔である溶剤分離塔21にて抽出溶剤を塔頂から回収し、(メタ)アクリル酸が主成分の塔底缶出液である粗(メタ)アクリル酸29を得る。この、粗(メタ)アクリル酸29はさらに蒸留塔22にて蒸留され、精製(メタ)アクリル酸30が留出液として得られる。
以下、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
プロピレンを空気及び水・窒素・二酸化炭素からなる不活性ガスと混合し、第一の反応帯域において、酸化モリブデン固体触媒存在下でプロピレンを分子状酸素と反応させてアクロレインを得た。次いで、第二の反応帯域において、酸化モリブデン系固体触媒の存在下でアクロレインを分子状酸素と反応させて、アクリル酸を20.7kg/h含むアクリル酸含有ガスを得た。このアクリル酸含有ガスを理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力は110kPa(絶対圧)、塔頂温度は66℃であり、塔底温度は68℃であった。また、1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶
液(アクリル酸濃度55%)46.7kg/hをフラッシャーに供給し、圧力130kPa(絶対圧)、温度112℃でフラッシュさせた。フラッシャーの塔頂からの蒸気にはアクリル酸が36重量%含まれていた。この蒸気を塔頂から理論段で11段目(棚段上の液のアクリル酸濃度が36重量%の位置)に供給した。フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはアクリル酸が65%含まれており、流量は30.7kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.7kg/hであり、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが3400重量ppm、アクロレインが30重量ppm含まれていた。
(比較例1)
実施例1と同じアクリル酸含有ガスを、理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力、塔頂温度は実施例1と同じであり、塔底温度は73℃とした。1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶液(アクリル酸濃度55%)46.8kg/hをフラッシャーに供給し、実施例1と同様に圧力130kPa(絶対圧)、温度112℃でフラッシュさせた。フラッシャーの塔頂からの蒸気にはアクリル酸が36重量%含まれていた。この蒸気を塔頂から理論段で14段目(棚段上の液のアクリル酸濃度が55重量%の位置)に供給した。フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはアクリル酸が65%含まれており、流量は30.8kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.7kg/hであり、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが6800重量ppm、アクロレインが30重量ppm含まれていた。
つまり、フラッシャーの塔頂からの蒸気のアクリル酸濃度36重量%より、捕集塔の棚段上のアクリル酸濃度の高いところ(55重量%)にアクリル酸蒸気を供給すると、実施例1と比較して、反応器からのアクリル酸含有ガス中のアクリル酸を、捕集塔の塔頂にロスする量は実施例1と同じであるが、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液中のフォルムアルデヒド濃度が大幅に増加することがわかる。
(比較例2)(フラッシャーが無い場合を示す。)
実施例1と同じアクリル酸含有ガスを、理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力は110kPa(絶対圧)、塔頂温度は66℃でああった。1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。塔底温度は75℃として、この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶液中のアクリル酸濃度が65%になるように調整したところ、缶出液は30.8kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.7kg/hであり、捕集塔の缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが6800重量ppm、アクロレインが130重量ppm含まれていた。
フラッシャーが無い場合、アクリル酸水溶液の濃度を上げようとすると、捕集塔の塔頂にロスする量は実施例1と同じであるが、実施例1のフラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液中のフォルムアルデヒド濃度と比較して、捕集塔の缶出液中のフォルムアルデヒド濃度およびアクロレイン濃度が増加することがわかる。
(実施例2)
実施例1と同じアクリル酸含有ガスを、理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力110kPa(絶対圧)、塔頂温度は63℃、塔底温度は70℃とした。1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶液(アクリル酸濃度55%)40.7kg/hをフラッシャーに供給し、圧力130kPa(絶対圧)、温度110℃でフラッシュさせた。フラッシャーの塔頂からの蒸気にはアクリル酸が32重量%含まれていた。この蒸気を塔頂から理論段で12段目(棚段上の液のアクリル酸濃度が33
重量%の位置)に供給した。フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはアクリル酸が60%含まれており、流量は33.7kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.4kg/hであり、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが4500重量ppm、アクロレインが60重量ppm含まれていた。
(比較例3)
実施例2と同じアクリル酸含有ガスを、理論段14段を持つ棚段式捕集塔に供給した。捕集塔の塔頂圧力110kPa(絶対圧)、塔頂温度は64℃、塔底温度は70℃とした。1500重量ppmの重合禁止剤ハイドロキノンを含んだ捕集水を塔頂から16.6kg/hで供給した。この捕集塔の缶出液であるアクリル酸の水溶液(アクリル酸濃度55%)39.8kg/hをフラッシャーに供給し、実施例2と同様に圧力130kPa(絶対圧)、温度110℃でフラッシュさせた。フラッシャーの塔頂からの蒸気にはアクリル酸が32重量%含まれていた。この蒸気を塔頂から理論段で5段目(棚段上の液のアクリル酸濃度が20重量%の位置)に供給した。フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはアクリル酸が60%含まれており、流量は33.0kg/hであった。この時、捕集塔の塔頂からアクリル酸ロスは0.9kg/hであり、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液にはフォルムアルデヒドが4600重量ppm、アクロレインが60重量ppm含まれていた。
フラッシャーの塔頂からの蒸気のアクリル酸濃度32重量%より、捕集塔の棚段上のアクリル酸濃度の低いところ(20重量%)にアクリル酸蒸気を供給すると、実施例2と比較すると、フラッシャーの缶出液であるアクリル酸の濃縮液のフォルムアルデヒド濃度はほとんど変わらないが、反応器からのアクリル酸含有ガス中のアクリル酸を捕集塔の塔頂にロスする量が大幅に増加することがわかる。
(実施例3)
実施例1で得られたフラッシャーの缶出液1kgをトルエン1.6kgとを混合し、20℃にてフラスコで激しく攪拌した後、静置して油層と水層に分離させた。この得られた水層のうち200gを取り、500mlのフラスコをもつ単蒸留装置にて、オイルバス温度100〜115℃に上げながら常圧で単蒸留した。1時間で約140g留出させた。この時、フラスコ内には重合物は見当たらなかった。
(比較例4)
比較例1で得られたフラッシャー液を使用した以外は実施例3と同様に操作した。1時間で約140g留出させた。この時、フラスコ内には重合物の粉が沈んでいた。分析したところハイドロキノンとフォルムアルデヒドの重合したフェノール樹脂であった。
1 (メタ)アクリル酸原料
2 反応器
3 (メタ)アクリル酸含有ガス
4 捕集塔
5 (メタ)アクリル酸水溶液
6 フラッシャー
7 (メタ)アクリル酸濃縮液
8 (メタ)アクリル酸凝縮液
8a (メタ)アクリル酸蒸気
9 冷却器
10 導入部
11 燃焼装置
12 排出(メタ)アクリル酸含有ガス
13 ノズル
14 脱水塔
15 凝縮器
16 酢酸分離塔
17 リボイラー
18 冷却器
19 抽出塔
20、22 蒸留塔
21 溶剤分離塔
23 熱分解装置
24 捕集溶剤
25 抽出液
26 抽残水
27 蒸留塔凝縮液
28、33 Heavy End
29 粗(メタ)アクリル酸
30 精製(メタ)アクリル酸
31 高沸物
32 熱分解凝縮液

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸含有ガスに含まれる(メタ)アクリル酸を捕集塔において水系媒体に捕集する工程と、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸水溶液をフラッシャーにおいて蒸発させ(メタ)アクリル酸水溶液を濃縮する工程と、フラッシャーで生成した蒸気またはその凝縮液を前記捕集塔に供給する工程とを含む(メタ)アクリル酸の製造方法において、
    前記捕集塔において、水系媒体中の(メタ)アクリル酸の濃度が前記蒸気またはその凝縮液中の(メタ)アクリル酸の濃度の±10.0質量%以内となる位置に、前記蒸気またはその凝縮液を供給することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
  2. 前記濃縮工程で濃縮された(メタ)アクリル酸水溶液中の(メタ)アクリル酸の濃度が50.0質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  3. 前記濃縮工程で濃縮された(メタ)アクリル酸水溶液を非水溶性溶剤の抽剤で抽出する抽出工程を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  4. 前記抽出工程から排出される抽残水を濃縮し、前記捕集工程に用いる水系媒体とする工程を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
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