JP2009242286A - アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】配管の閉塞を生じない、安定したアクリル酸回収方法を、経済的により好ましい態様で提供すること。
【解決手段】アクリル酸多量体を含有するアクリル酸多量体溶液を加熱してアクリル酸多量体をアクリル酸に分解する熱分解工程と、前記熱分解工程によりアクリル酸が分離されたアクリル酸多量体残液を、所定の排出温度に保温されている系に排出する排出工程とを含むアクリル酸の製造方法において、50℃におけるアクリル酸多量体残液の粘度が100〜1,500mPa・sとなるように、前記熱分解工程においてアクリル酸多量体溶液を加熱することを特徴とするアクリル酸の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル酸を製造するための方法に関し、詳しくはアクリル酸多量体を含むアクリル酸多量体溶液から、アクリル酸を製造する方法に関する。
アクリル酸を生成する方法としては、プロパン、プロピレン又はアクロレインを原料とする接触気相酸化反応によって生成したアクリル酸含有ガスを、水等の捕集溶剤と接触させて捕集し、得られたアクリル酸水溶液からアクリル酸を分離し、分離したアクリル酸を減圧蒸留によって精製する方法が一般に知られている。
アクリル酸は非常に重合性に富み、そのため諸工程においてハイドロキノン等の重合禁止剤を加える方法が広く採用されている。また、アクリル酸は重合のほかに容易に二量化、三量化など多量化もされ、マイケル付加体生成反応もおこす。そのため、アクリル酸の製造工程においては、製品としてのアクリル酸が製造されると同時に、アクリル酸多量体などの高沸点物も生成する。この高沸点物は、熱分解によってアクリル酸を生成するアクリル酸多量体、特にアクリル酸二量体を含んでいることから、高沸点物中のアクリル酸多量体を熱分解してアクリル酸を回収することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
アクリル酸の回収においては、アクリル酸多量体を高温で長時間加熱すればするほどアクリル酸は高収率で回収されるが、残液の粘度も増加し排出が困難なほど増粘、硬化することがある。排出が困難になると、アクリル酸の製造に伴う缶出液の排出液からアクリル酸を回収するに際し、アクリル酸の回収処理が滞り、アクリル酸の製造が停止することもあり得る。
一方で、アクリル酸の回収において、特定の触媒を用いることによって短い加熱時間でアクリル酸を回収する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法においてはアクリル酸の回収のための加熱温度の低下や加熱時間の短縮が図られており、残液の増粘防止や残液排出時の閉塞対策への示唆が行われている。しかし、この方法では腐食性の強い酸触媒や高価なアミン類、ホスフィン類等の触媒添加を要するため設備費や触媒費用が高くなり経済性に問題がある。又、この方法では前記のアクリル酸の回収後の残液の増粘による排出困難及びそれに付随するアクリル酸の製造の不安定化を解決するための残液の粘度範囲及び排出温度の最適化が行われておらず、残液の増粘による排出困難の問題に対して十分な改善策を示しているとはいえない。
特開2003−246765号公報 特公昭45−19281号公報
本件発明は、上記アクリル酸多量体を熱分解してアクリル酸を製造する際の課題を解決したものである。すなわち、連続してアクリル酸を製造するプロセスにおけるアクリル酸の回収に適用することができる新規な方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、アクリル酸多量体を含む高沸点物を加熱する際に、所定の温度におけるアクリル酸多量体残液の粘度が特定の値となるように前記高沸点物を加熱することで、前記残渣を排出するための配管内が閉塞することな
く安定的にアクリル酸を回収できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本願発明は、
(1)アクリル酸多量体を含有するアクリル酸多量体溶液を加熱してアクリル酸多量体をアクリル酸に分解する熱分解工程と、
前記熱分解工程によりアクリル酸が分離されたアクリル酸多量体残液を、所定の排出温度に保温されている系に排出する排出工程とを含むアクリル酸の製造方法において、
50℃におけるアクリル酸多量体残液の粘度が100〜1,500mPa・sとなるように、前記熱分解工程においてアクリル酸多量体溶液を加熱することを特徴とするアクリル酸の製造方法である。
(2)好ましくは、前記排出温度が5〜120℃であることを特徴とする上記のアクリル酸の製造方法である。
(3)好ましくは、前記アクリル酸多量体溶液がアクリル酸成分の蒸留の缶出液であることを特徴とする上記のアクリル酸の製造方法である。
(4)好ましくは、前記熱分解工程において、アクリル酸多量体溶液を160〜200℃で1〜6時間加熱することを特徴とする上記のアクリル酸の製造方法である。
本発明によれば、アクリル酸多量体溶液からアクリル酸を、配管の閉塞を生じずに安定して製造することができる。従って連続してアクリル酸を製造するプロセスにおけるアクリル酸の回収に適用することができる。
本発明のアクリル酸の製造方法は、アクリル酸多量体を含有するアクリル酸多量体溶液を加熱してアクリル酸多量体をアクリル酸に分解する熱分解工程と、前記熱分解工程によりアクリル酸が分離されたアクリル酸多量体残液を、所定の排出温度に保温されている系に排出する排出工程とを含み、50℃におけるアクリル酸多量体残液の粘度が100〜1,500mPa・sとなるように、前記熱分解工程においてアクリル酸多量体溶液を加熱することを特徴とする。
(1)熱分解工程
本発明の熱分解工程では、アクリル酸多量体を含有するアクリル酸多量体溶液を加熱してアクリル酸多量体をアクリル酸に分解する。アクリル酸多量体は、具体的にはアクリル酸二量体、アクリル酸三量体等が挙げられる。
また、アクリル酸多量体には、アクリル酸又はアクリル酸二量体等に、水又は酢酸等がマイケル付加したアクリル酸マイケル付加体等が含有される。具体的にはβ−ヒドロキシプロピオン酸、β−アセトキシプロピオン酸(酢酸アクリル酸ダイマー)、アクリル酸二量体への酢酸のマイケル付加体(酢酸アクリル酸トリマー)が挙げられる。これらアクリル酸マイケル付加体も加熱によりアクリル酸に分解する。
アクリル酸二量体は熱分解によりアクリル酸を生成し、アクリル酸多量体溶液中のアクリル酸二量体の含有量は、アクリル酸の回収率を高めるためと、高濃度にするために消費される前工程の精留塔での炊き上げ用熱量の低減及び高濃縮化に伴う重合禁止剤やマレイン酸の析出防止の観点から、5〜90質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることが更に好ましい。アクリル酸三量体も熱分解によりアクリル酸を生成し、アクリル酸多量体溶液中のアクリル酸三量体の含有量は、上記と同様の観点から、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.3〜8
質量%であることがより好ましく、0.4〜4質量%であることが更に好ましい。また、アクリル酸多量体溶液中にはアクリル酸が含有されてもよい。アクリル酸多量体溶液中のアクリル酸の含有量は、5〜90質量%、好ましくは20〜75質量%含まれる。
上記アクリル酸多量体溶液には、アクリル酸多量体の他に重合禁止剤、マレイン酸、無水マレイン酸、プロピオン酸、trans−クロトン酸等を含有してもよい。
アクリル酸多量体溶液中に含まれる重合禁止剤としては、ハイドロキノンの他、メトキノン等のフェノール類、ニトロソ化合物、銅塩、マンガン塩、フェノチアジン等があげられる。これらの重合禁止剤は、好ましくはアクリル酸多量体溶液中1〜25質量%、更に好ましくは3〜15質量%含まれる。ただし、フェノチアジンは、好ましくはアクリル酸多量体溶液中0.2〜10質量%、更に好ましくは0.6〜6質量%含まれる。
このようなアクリル酸多量体溶液は、少なくともアクリル酸二量体を含む組成のものであれば特に限定されないことから、例えば、アクリル酸を製造する工程において、アクリル酸を含有する組成物の蒸留であってアクリル酸が塔底に回収される蒸留で生成する缶出液を用いることが好ましく例示できる。
本発明の熱分解工程で用いられる熱分解装置は、アクリル酸多量体溶液をアクリル酸に熱分解できるものであればいずれも使用することができるが、理論段数1〜5段の精留塔が例として挙げられる。また、熱分解装置は通常加熱装置を備えており、加熱装置としてはリボイラが例として挙げられる。
本発明の熱分解工程では、前記熱分解装置において、160〜200℃の温度で1〜6時間行うことが好ましい。より好ましくは170〜190℃の温度で1.5〜5時間、更に好ましくは180〜190℃の温度で2〜4時間加熱が行われることが好ましい。このような条件でアクリル酸多量体溶液を加熱することにより、生成したアクリル酸多量体残液の粘度が適度な値になり、後述の排出温度において残液を系から抜き出すことが容易になり、安定して排出を行うことができる。
加熱温度が高く、加熱時間が長すぎると、アクリル酸多量体溶液を加熱して生成した残液の粘度が高くなり硬化することがある。一方加熱温度が低く、加熱時間が短すぎると、アクリル酸多量体溶液中の分解が十分に行われず、アクリル酸の回収率が下がる。また、該残液の温度を下げたときに、含有する重合禁止剤が析出する場合があるが、生成した残液の粘度が低くなりすぎた場合には、残液を均一なスラリーとして扱うことができなくなり、後述の排出工程において残渣を抜き出す際に排出手段の安全な運転を妨げてしまう。
また、前記熱分解装置は塔底温度に応じて高真空から加圧の条件まで適宜選ぶことができるが、通常、微減圧の条件下、例えば500〜600torr(66.7〜80.0MPa)の圧力で運転され、バッチ式の熱分解装置であっても連続式の熱分解装置であってもよい。バッチ式熱分解装置の場合には、熱分解装置へのアクリル酸多量体溶液の流入量は、熱分解装置においてアクリル酸多量体をアクリル酸に分解できる流入量であれば特段の制限はない。一方連続式熱分解装置の場合には、アクリル酸多量体溶液が所望の時間装置内に滞留するよう、流入量と排出量を制御する必要がある。
(2)排出工程
本発明の排出工程では、熱分解によってアクリル酸が分離されたアクリル酸多量体残液を、所定の排出温度に保温されている系に排出する。前記アクリル酸多量体残液は、アクリル酸、アクリル酸二量体、アクリル酸三量体、アクリル酸マイケル付加体、ハイドロキノン等の重合禁止剤、マレイン酸、trans−クロトン酸等を含んでもよい。
本発明では、熱分解装置においてアクリル酸多量体溶液の分解が行われた結果、50℃におけるアクリル酸多量体残液の粘度が100〜1,500mPa・sとなることを特徴としている。熱分解工程で生成した残液の粘度が上記の範囲となると、排出工程において生成された残液の排出をスムーズに行うことができる。所定の排出温度に保温されている系における好ましいアクリル酸多量体残液の50℃における粘度は、残液の十分な流動性とスラリーの均一性の確保との観点から150〜1,000mPa・sであり、更に好ましくは200〜800mPa・sである。
前記排出工程においてアクリル酸多量体残液を排出する際には、例えば配管等を通して残液貯槽に輸送され、ポンプ等の排出手段により系外へ排出される。アクリル酸多量体残液を排出する際、50℃における粘度が1,500mPa・sを超える場合には、残液が十分な流動性を有さないため所定の排出温度において遠心ポンプ、ギアポンプ、ねじポンプ、往復動ポンプ等の通常使用されるポンプでの排出が困難になる。このため、アクリル酸多量体残液の50℃における粘度を1,500mPa・s以下とすると、通常使用されるポンプによる排出が可能となり、設備に係るコストを抑えることができる。特に排出温度が40〜60℃においては高出力を必要としない遠心ポンプ等の汎用のポンプによる排出が可能となり設備コスト及び消費動力の点で有利である。一方粘度が100mPa・s未満となる場合には、残液がスラリーである場合や系外において残液がスラリーになる場合に、スラリーの十分な均一性が得られずにスラリー中の析出物等の固形粒子が排出系内に堆積することがある。
前記排出工程における所定の排出温度は、通常経済的な観点から許容し得る範囲で定められるが、排出系の温度を保温なし又は低圧スチームによる保温で比較的容易に維持することが可能な5〜120℃とすることが好ましい。より好ましくは20〜80℃であり、更に好ましくは40〜60℃である。温度が高すぎると保温コストがかかり、低すぎると粘度があがって排出が困難になる。
おおよそ60℃以下の排出温度とする場合には、アクリル酸多量体残液に含まれている重合禁止剤が析出することがある。析出する重合禁止剤としては、ハイドロキノン、フェノチアジン、銅塩等が挙げられる。
アクリル酸多量体残液の粘度は、前記熱分解工程におけるアクリル酸多量体溶液の加熱温度、加熱時間により調整することができる。
排出工程で使用する排出装置は、アクリル酸多量体残液を系外へ排出可能なものであれば特段の制限なく使用でき、遠心ポンプ、ギアポンプ、ねじポンプなどが例示できる。特に本発明では、50℃での残液の粘度が100〜1,500mPa・sとすることから、遠心ポンプのような汎用のポンプを通常の運転条件の範囲内で用いることができる。
排出された残液は、他の条件による熱分解でのアクリル酸の回収原料に用いてもよいし、重合禁止剤の回収の原料に用いてもよいし、焼却処理してもよい。
本発明において、アクリル酸多量体溶液として用いることのできる、アクリル酸を製造する工程において生成する缶出液を以下に例示する。
プロパン、プロピレン又はアクロレインから接触気相酸化によりアクリル酸を生成する生成工程と、生成工程で得られたアクリル酸を含有するガスを水系媒体に接触させてアクリル酸を水系媒体に捕集する捕集工程と、得られたアクリル酸水溶液と抽出溶剤とを接触させてアクリル酸を抽出する抽出工程と、得られた抽出液を蒸留してアクリル酸と抽出溶
剤とを分離する溶剤分離工程と、溶剤分離工程で得られるアクリル酸成分を蒸留してアクリル酸を精製する精製工程とを含むアクリル酸の製造方法において、溶剤分離工程で得られる高沸点物を含んだ缶出液や、精製工程で得られる高沸点物を含んだ缶出液が挙げられる。
また、前記生成工程と、前記捕集工程と、得られたアクリル酸水溶液を共沸溶剤の存在下で蒸留してアクリル酸水溶液から水性媒体を分離する脱水工程と、脱水工程で得られたアクリル酸成分を蒸留して前記アクリル酸成分から酢酸を分離する酢酸分離工程と、酢酸分離工程で得られたアクリル酸成分を蒸留してアクリル酸を精製する精製工程とを含むアクリル酸の製造方法において、酢酸分離工程で得られる高沸点物を含んだ缶出液や、精製工程で得られる高沸点物を含んだ缶出液が挙げられる。
前記アクリル酸の製造方法において、前記生成工程は、触媒が収容されている原料ガス流路と、原料ガス流路に体して熱交換が可能な熱媒流路とを有する反応器を用いて行うことができる。このような反応器としては、例えば、特開2005−336085号公報に開示されている多管式反応器、及び、特開2004−202430号公報に開示されているような、プレート式反応器が挙げられる。
また、前記生成工程に用いられる触媒としては、例えば、特開2005−336085号公報に開示されているような、下記一般式(I)で表されるMo−Bi系複合酸化物触媒、及び下記一般式(II)で表されるMo−V系複合酸化物触媒が挙げられる。
一般式(I) MoaWbBicFedAeBfCgDhEiOx
一般式(II) MoaVbWcCudXeYfOg
前記一般式(I)中、Aはニッケル及びコバルトの一方又は両方の元素、Bはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムから選ばれる一以上の元素、Cはアルカリ土類金属から選ばれる一以上の元素、Dは、リン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、ヒ素、ホウ素及び亜鉛から選ばれる一以上の元素、Eは、シリコン、アルミニウム、チタニウム及びジルコニウムから選ばれる一以上の元素、Oは酸素を表す。また前記一般式(I)中、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びxは、それぞれ、Mo、W、Bi、Fe、A、B、C、D、E及びOの原子比を表し、a=12の場合、0≦b≦10、0<c≦10(好ましくは0.1≦c≦10)、0<d≦10(好ましくは0.1≦d≦10)、2≦e≦15、0<f≦10(好ましくは0.001≦f≦10)、0≦g≦10、0≦h≦4、0≦i≦30であり、xは各元素の酸化状態によって決まる値である。
前記一般式(II)中、XはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる一以上の元素、YはTi、Zr、Ce、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Nb、Sn、Sb、Pb及びBiから選ばれる一以上の元素、Oは酸素を表す。また前記一般式(II)中、a、b、c、d、e、f及びgは、それぞれ、Mo、V、W、Cu、X、Y及びOの原子比を示し、a=12の場合、2≦b≦14、0≦c≦12、0<d≦6、0≦e≦3、0≦f≦3であり、gは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である。
前記捕集工程に用いられる水系媒体は、水を主成分とする液体である。前記水系媒体は、水溶性の有機溶剤を含んでいてもよい。水系媒体としては、例えば水、及び易重合性化合物の製造において排出される水成分が挙げられる。
前記抽出工程に用いられる抽出溶剤には、水溶性溶剤又は非水溶性溶剤のいずれかを用いることができる。本発明において使用する水溶性溶剤とは、1気圧において温度20℃で当該溶剤100gに対する純水の飽和溶解量が1.5g以上の溶剤を意味し、非水溶性
溶剤とはこれに該当しないもの、即ち1気圧において温度20℃で当該溶剤100gに対する純水の飽和溶解量が1.5g未満のものを意味する。水溶性溶剤としては、例えばアセトン、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの混合物が挙げられる。非水溶性溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族非水溶性化合物を主成分とし、n−ヘキサン、1−ヘキセン、シクロヘキサン、ヘキサジエン、ヘプタン及びヘプテンを含有していてもよい溶剤が挙げられる。
前記抽出溶剤が非水溶性溶剤である場合には、前記抽出工程には、特開2002−58903号公報に開示されているような、筒部と、筒部内に配置され筒部の軸方向に往復運動可能な駆動軸と、前記軸方向に並んで駆動軸に固定される複数の多孔板と、駆動軸を前記軸方向に往復運動させる駆動部とを有する往復動プレート式向流抽出装置を用いることが好ましい。
前記脱水工程に用いられる共沸溶剤は、水と共沸する溶剤である。共沸溶剤としては、例えばトルエンが挙げられる。
以下、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲が実施例にのみ限定されることがないのは言うまでもない。
<実施例1>
理論段数1段の精留塔に、下記組成のアクリル酸精製塔缶出液300gを供給し、還流せずに塔底温度180℃で3時間加熱した。この分解によりアクリル酸を88質量%含有する留出液181g(アクリル酸回収量159g)を得た。一方で残液を、塔底から60℃に保温されている排出管に流入し、排出流路中の遠心ポンプによって廃液処理設備に移送した。残液の50℃における粘度は370mPa・sであった。
残液の移送後における排出管内及び遠心ポンプ内を目視で確認したところ、析出物の滞留は認められなかった。
<缶出液の組成>
アクリル酸二量体 14.0質量%
アクリル酸 71.9質量%
アクリル酸三量体 0.4質量%
ハイドロキノン 1.2質量%
メトキシフェノール 1.0質量%
フェノチアジン 4.4質量%
マレイン酸(含無水物) 3.5質量%
その他成分 3.6質量%
<実施例2>
加熱温度及び時間を173℃及び3時間に代えたこと、及びアクリル酸精製塔缶出液が下記組成であること以外は実施例1と同様に缶出液の熱分解を行い、この分解によりアクリル酸を90質量%含有する留出液147g(アクリル酸回収量132g)を得た。そして残液を実施例1と同様に移送した。残液の50℃における粘度は284mPa・sであった。
残液の移送後における排出管内及び遠心ポンプ内を目視で確認したところ、析出物の滞留は認められなかった。
<缶出液の組成>
アクリル酸二量体 22.6質量%
アクリル酸 51.6質量%
アクリル酸三量体 0.9質量%
ハイドロキノン 2.7質量%
メトキシフェノール 1.2質量%
フェノチアジン 1.0質量%
マレイン酸(含無水物) 6.2質量%
その他成分 13.8質量%
<実施例3>
加熱温度及び時間を180℃及び4時間に代えた以外は実施例1と同様に缶出液の熱分解を行い、この分解によりアクリル酸を88質量%含有する留出液184g(アクリル酸回収量162g)を得た。そして残液を実施例1と同様に移送した。残液の50℃における粘度は894mPa・sであった。
残液の移送後における排出管内及び遠心ポンプ内を目視で確認したところ、析出物の滞留は認められなかった。
<実施例4>
加熱温度及び時間を173℃及び2時間に代えた以外は実施例2と同様に缶出液の熱分解を行い、この分解によりアクリル酸を90質量%含有する留出液135g(アクリル酸回収量122g)を得た。そして残液を実施例1と同様に移送した。残液の50℃における粘度は163mPa・sであった。
残液の移送後における排出管内及び遠心ポンプ内を目視で確認したところ、析出物の滞留は認められなかった。
<比較例1>
加熱温度及び時間を155℃及び50分に代えた以外は実施例1と同様に缶出液の熱分解を行い、この分解によりアクリル酸を91質量%含有する留出液97g(アクリル酸回収量88g)を得た。そして残液を実施例1と同様に移送した。残液の50℃における粘度は6.9mPa・sであった。
残液の移送後における排出管内及び遠心ポンプ内を目視で確認したところ、析出物の滞留が確認され、分解回収残渣を完全に排出できなかった。
<比較例2>
加熱温度及び時間を210℃及び6時間に代えた以外は実施例1と同様に缶出液の熱分解を行い、この分解によりアクリル酸を85質量%含有する留出液224g(アクリル酸回収量190g)を得た。そして残液を実施例1と同様に移送した。残液の50℃における粘度は5,000mPa・sを超えており測定できなかった。
粘度の高さゆえ遠心ポンプによる残液の送液ができず、またデカンテーションにより残液を取り出した後に、析出物を目視で確認することはできなかった。
Figure 2009242286

Claims (4)

  1. アクリル酸多量体を含有するアクリル酸多量体溶液を加熱してアクリル酸多量体をアクリル酸に分解する熱分解工程と、
    前記熱分解工程によりアクリル酸が分離されたアクリル酸多量体残液を、所定の排出温度に保温されている系に排出する排出工程とを含むアクリル酸の製造方法において、
    50℃におけるアクリル酸多量体残液の粘度が100〜1,500mPa・sとなるように、前記熱分解工程においてアクリル酸多量体溶液を加熱することを特徴とするアクリル酸の製造方法。
  2. 前記排出温度が5〜120℃であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
  3. 前記アクリル酸多量体溶液がアクリル酸成分の蒸留の缶出液であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクリル酸の製造方法。
  4. 前記熱分解工程において、アクリル酸多量体溶液を160〜200℃で1〜6時間加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
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