JP5386782B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
このとき、転写工程を終えた感光体表面には未転写のトナー粒子が残留するため、この残留トナーを次回の画像形成プロセスに先立って除去しておくことが必要になる。このような転写残留トナー等を感光体表面から除去し清浄化する手段(クリーニング手段)としては、所謂ファーブラシや磁気ブラシ等を使用する方法やゴム等の弾性材料でなるクリーニングブレードを使用する方法など、種々の方法が知られているが、このうち弾性材料でなるクリーニングブレード(代表的にはゴムブレード)を用いて感光体表面から転写残留トナー等を掻き落とす方法が、安価で且つ操作が簡便である点で優れており、一般に幅広く採用されている。
しかしながら、このようにトナー粒子を小径化・球形化した場合、特に前述のクリーニングブレードを用いる方式では、良好なクリーニング状態を得ることが難しくなるという問題がある。尚、このクリーニングブレードによるクリーニング性能は、トナーの粒径が小さくなるほど、また、粒径分布がシャープになるほど、悪化する傾向がある。
この非流動領域のトナー粒子と感光体表面との間の摩擦抵抗が比較的小さく、トナー粒子が感光体表面に対して滑っている間は、クリーニング不良が発生することはないが、潤滑作用のある外添剤がトナーに加えられている場合であっても、感光体表面に対する摺擦の繰り返しに伴う外添剤の離脱等により、非流動領域のトナー粒子と感光体表面との間の摩擦抵抗が大きくなると、トナー粒子がクリーニングブレードと感光体表面との間をすり抜けて感光体表面に残存し、次回以降の画像形成プロセスでの画像ノイズを招来する、という問題が生じる。
従って、このような低印字率のプリントが継続して行われる場合には、初期的には、現像剤中の上記荷電粒子が感光体表面に十分に付着して上記楔状空間部に滞留するが、ある程度以上プリントを行った後には、現像装置中から荷電粒子が大量に失われている関係上、上記楔状空間部に到達できる荷電粒子の数が減少し、クリーニングブレードの減耗と相俟って、該クリーニングブレードによるトナークリーニング性能が低下し、画像ノイズが生じ易くなるという問題がある。
しかし、特許文献5の説明によれば、この逆帯電樹脂粒子は、磁気ローラから現像ローラの表面へとは移動されずに、2成分現像剤中に残留するものであるため、感光体表面に付着して上記楔状空間部に滞留することはなく、このため、トナークリーニング性能が低下し、画像ノイズが生じ易くなるという問題がある。
攪拌による相互の摩擦接触によって互いに異なる極性に帯電するトナー及びキャリアと、トナー粒子よりも小径で該トナーの表面に離脱可能に保持された状態で供給され上記トナーとは異なる極性に帯電する荷電粒子と、を含む現像剤を貯える現像剤貯留部と、
内部に磁石体を有し、上記現像剤を磁気ブラシ状に保持するとともに該現像剤貯留部から上記現像剤を搬送する第1の搬送部材と、
該第1の搬送部材による現像剤搬送量を規制する搬送量規制部材と、
第1の領域を介して上記第1の搬送部材に対向し、第2の領域を介して上記静電潜像担持体に対向する第2の搬送部材と、
上記第1の搬送部材と上記第2の搬送部材との間に第1の電界を形成して、上記第1の搬送部材が磁力によって周面に磁気ブラシ状に保持している現像剤中のトナーを上記第2の搬送部材に移動させると共に、上記トナーの表面の上記荷電粒子の一部をトナーから分離させて磁気ブラシ状の現像剤中に回収させる第1の電界形成手段と、
上記第2の搬送部材と上記静電潜像担持体との間に第2の電界を形成して、上記第2の搬送部材が保持している上記トナーを上記静電潜像担持体の静電潜像に移動させて上記静電潜像をトナー画像として可視像化する第2の電界形成手段と、
上記静電潜像坦持体上のトナー画像を所定の媒体上に転写するための転写部と、
上記静電潜像坦持体の表面に摺接する摺接端部を有し、上記該転写部による転写後に上記静電潜像坦持体の表面に残留する転写残トナーを除去する、弾性部材で形成されたクリーニングブレードと、を備え、
上記第1の電界で現像剤中に回収されなかった荷電粒子が、上記第2の電界により、上記静電潜像担持体の静電潜像にトナーと共に、又は上記静電潜像担持体の非潜像部に単独で付着し、上記クリーニングブレードの摺接端部の上記静電潜像坦持体の表面に対する摺接に伴って、上記静電潜像担持体の表面と上記クリーニングブレードの摺接端部との間に形成された楔状空間部に滞留することで、該楔状空間部へのトナー粒子の滞留が規制される、ことを特徴としたものである。
図1は、本発明に係る電子写真式画像形成装置の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印14方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電ステーション16、露光ステーション18、現像ステーション20、転写ステーション22、およびクリーニングステーション24が配置されている。
露光ステーション18は、感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28から出射された画像光30が、帯電された感光体12の外周面に向けて進行するための通路32を有する。露光ステーション18を通過した感光体12の外周面には、画像光が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分からなる、静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。
現像ステーション20は、粉体現像剤を用いて静電潜像を可視像化する現像装置34を有する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写ステーション22は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどのシート38に転写する転写装置36を有する。実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして表されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。
上記クリーニングブレード40は、図2に示すように、一端側が保持部材41により固着して保持され、他端側は感光体12の表面に摺接する摺接端部40tを備えている。上記クリーニングブレード40は、その摺接端部40tが感光体12の表面に隙間無く密着し得るように十分な弾性を有する弾性材料で製作されている。本実施形態では、クレーニングブレード40は例えばゴム製とした。
現像装置34は、第1の成分粒子である非磁性トナーと第2の成分粒子である磁性キャリアを含む2成分現像剤と以下に説明する種々の部材を収容するハウジング42を備えている。図面を簡略化することで発明の理解を容易にするため、ハウジング42の一部は削除してある。ハウジング42は感光体12に向けて開放された開口部44を備えており、この開口部44の近傍に形成された空間46にトナー搬送部材(第2の搬送部材)である現像ローラ48が設けてある。現像ローラ48は、円筒状の部材(第2の回転円筒体)であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップ50を介して、回転可能に配置されている。
供給領域90でスリーブ60から現像ローラ48にトナー6を効率的に移動させるために、現像ローラ48とスリーブ60は電界形成装置110と電気的に接続されている。電源の具体例が図7A〜図11に示してある。
本発明では、トナーとキャリアを主成分とする2成分現像剤に、第3の成分として荷電粒子(インプラント粒子)が添加されている。この荷電粒子は、現像動作に伴って感光体上へ転移し、感光体からトナーを除去するクリーニングブレードの前記楔状の空間部Kに滞留してトナーが楔状空間部K内に進入・滞留することを規制するもので、荷電補助の機能も持つ。
より具体的に説明すれば、現像装置34’の搬送ローラ54が対向する感光体12の外周面には静電潜像が形成されており、この静電潜像は、例えば、ほぼ帯電電位を維持している高電位の静電潜像非画像部と、露光装置28で光30が投射されて電位の減衰している低電位の静電潜像画像部を有し、これら高電位の静電潜像非画像部と低電位の静電潜像画像部が搬送ローラ54の対向部を通過していく。そして、画像形成時、現像領域において、例えば、負極性に帯電されているトナー6は、低電位の静電潜像画像部に付着し、静電潜像非画像部には付着しない。しかし、トナー6を負極性に帯電させる荷電粒子8は、それ自身が正極性に帯電している。したがって、現像領域で自由状態にある荷電粒子8は、図14に示すように、静電潜像非画像部に付着する。尚、一部の荷電粒子8については、トナー6と共に静電潜像画像部に付着するものもある。このように、現像装置34’によれば、トナー6から分離した荷電粒子8は、現像領域で感光体12の静電潜像非画像部に大量消費される。
すなわち、画像部の面積が小さな画像(例えば、文字画像など)を作成する場合、上記荷電粒子が大量に消費される。そして、このような低印字率のプリントが継続して行われる場合には、初期的には、現像剤中の荷電粒子8が感光体12の表面に十分に付着するが、ある程度以上プリントを行った後には、現像装置中から荷電粒子8が大量に失われることになる。尚、上述した現像装置34に比べて、キャリア4の外周面に打ち込まれる荷電粒子8の数が極めて少なくなり、スペントが付着したキャリア4は十分なトナー荷電性能を持ち得ないことにもなる。
図1に示された現像装置34では、現像ローラ48と搬送ローラ54の間に、搬送ローラ54が保持している現像剤2からトナー6を分離する電界(第1の電界)が形成されることにより、電気的に現像剤2中のトナー6を分離させて現像ローラ48の表面に坦持させると共に、トナー6の帯電極性とは逆極性の荷電粒子8の一部は、トナー6と分離されて現像剤2中に引き戻され回収される(図12参照)。回収されずにトナー6と共に現像ローラ48に坦持された荷電粒子8は、現像ローラ48と感光体12の間の現像領域部に供給される。ここで、現像ローラ48と感光体12の間に、現像ローラ48が保持しているトナー6を感光体12の静電潜像に移動させて静電潜像をトナー画像として可視像化する電界(第2の電界)が形成されることにより、現像ローラ48に坦持された荷電粒子8は、更にその一部が、トナー6と共に感光体12の画像部に、又は単独で感光体12の背景部に、それぞれ付着し、その後、感光体12の回転動作に伴って(つまり、クリーニングブレード40の摺接端部40tが感光体12の表面を摺接するに伴って)クリーニングステーション24に供給される。現像剤2中に回収された、若しくは上記現像領域で消費されなかった荷電粒子8は、現像装置34内へ戻される。
この結果として、現像装置34’からクリーニングブレード40と感光体12との摺接部分に供給される荷電粒子(逆極性粒子)量のプリント継続に伴う推移を概略的に示すと図16のように表される。この場合、初期的には荷電粒子8が多すぎるために、荷電粒子8の飛散やクリーニングブレード40の減耗が生じ易く、また、プリントを継続した後には、クリーニングブレード40の摺接部40tに供給される荷電粒子8が少ないために、クリーニング不良が生じ易くなる。
尚、ここでは、図13を用いて、所謂2成分現像装置における荷電粒子8(逆極性粒子)の挙動を、本願発明における場合と対比して説明したが、例えば図17に示すような、一般的な1成分現像装置34’’においても同様である。この現像装置34’’では、規制部材63で量規制されて現像ローラ48上に搬送された現像剤2により、直接に感光体12上の静電潜像が現像される。この現像工程で感光体上へ移動しなかった現像ローラ8上の現像剤2は、回収ローラ55によってハウジング42内へ回収される。
現像ローラに用いる材料、現像剤、並びにトナー、キャリア、荷電粒子および現像剤に含まれる他の粒子の具体的な材料を説明する。
現像ローラ48に用いる好適な材料としては、例えば表面処理したアルミニウムが挙げられる。その他、アルミニウム等の導電性基体上に、例えば、ポリエステル樹脂,ポリカーボネート樹脂,アクリル樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,ウレタン樹脂,ポリアミド樹脂,ポリイミド樹脂,ポリスルホン樹脂,ポリエーテルケトン樹脂,塩化ビニル樹脂,酢酸ビニル樹脂,シリコーン樹脂,フッ素樹脂等の樹脂コートや、シリコーンゴム,ウレタンゴム,ニトリルゴム,天然ゴム,イソプレンゴム等のゴムコーティングを施したものを用いても良い。コーティング材料としては、これらに限定されるものではない。
また、上記コーティングのバルク若しくは表面に導電剤が添加されていても良い。この導電剤としては、電子導電剤もしくはイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤として、ケッチェンブラック,アセチレンブラック,ファーネスブラック等のカーボンブラックや、金属粉,金属酸化物の微粒子などが挙げられるが、これらに制約されることはない。イオン導電剤としては、四級アンモニウム塩等のカチオン性化合物や両性化合物,その他イオン性高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に、アルミニウム等の金属材料からなる導電性ローラであっても良い。
本実施形態で用いる現像剤2は、トナー6と、該トナー6を帯電するためのキャリア4と、トナー6とは逆極性に荷電する荷電粒子8を含有するもので、この荷電粒子(逆極性粒子)8はトナー6に外添されている。例えば、トナー6がキャリア4によって負に帯電されているとき、荷電粒子8は現像剤2中で正に帯電されている正荷電性粒子である。また、例えば、トナー6がキャリア4によって正に帯電されているとき、荷電粒子8は現像剤2中で負に帯電されている負荷電性粒子である。このような荷電粒子8をトナー6に外添し、且つ現像装置34内の分離機構により、長期使用に伴ってキャリア4の表面に荷電粒子8を付着させることにより、トナー6や外添剤のキャリア4へのスペント等によりキャリア4の荷電性が低下しても、荷電粒子8もトナー6を正規の極性に荷電し得るため、キャリア4の荷電性低下を有効に補うことができ、その結果としてキャリア4の劣化を抑制できるのである。
好適に使用される荷電粒子は、トナーの帯電極性に応じて適宜選択される。キャリアとの摩擦接触により負極性に帯電するトナーを用いる場合、荷電粒子は、トナーとの接触により正極性に帯電する微粒子が用いられる。そのような微粒子は、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム,アルミナ等の無機微粒子や、アクリル樹脂、ベンゾグァナミン樹脂、ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成できる。微粒子を構成する樹脂にトナーとの接触により正極性に帯電する正荷電制御剤を含有させてもよい。正荷電制御剤には、例えば、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩等が使用できる。荷電粒子は含窒素モノマーで構成してもよい。含窒素モノマーを構成する材料には、例えば、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル、ビニールピリジン、N−ビニールカルバゾール、ビニールイミダゾールがある。
トナーには、画像形成装置で従来から一般に使用されている公知のトナーを使用できる。トナー粒径としては、これに限定されるものではないが、例えば約3〜15μm程度が好ましい。バインダー樹脂中に着色剤を含有させたトナー、荷電制御剤や離型剤を含有するトナー、表面に添加剤を保持するトナーも使用できる。
トナーは、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の方法で製造できる。
トナーに使用されるバインダー樹脂は、限定的ではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものである。バインダー樹脂は、軟化温度が約80〜160℃の範囲、ガラス転移点が約50〜75℃の範囲であることが好ましい。
着色剤は、公知の材料、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の添加量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2〜20重量部であることが好ましい。
荷電制御剤は、従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的に、正極性に帯電するトナーには、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂が荷電制御剤として使用できる。負極性に帯電するトナーには、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物が荷電制御剤として使用できる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
離型剤は、従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
その他、現像剤の流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコンオイル等で撥水化した材料を用いることが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1〜5重量部の割合で添加させることが好ましい。これら添加剤の個数平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。
キャリアは、従来から一般に使用されている公知のキャリアを使用できる。バインダー型キャリアやコート型キャリアのいずれを用いてもよい。キャリア粒径は、限定的ではないが、約15〜100μmが好ましい。
図1に示す本実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置と、図13に示す従来の2成分現像装置を備えた画像形成装置と、図17に示す従来の1成分現像装置を備えた画像形成装置とを用いて、本発明の作用効果を調べた。この実験では、以下のトナー(トナーAと称する),キャリア,クリーニング装置を用いた。
トナーAの製造方法は以下のとおりである。湿式造粒法で作成された体積平均粒径約6.5μmのトナー母材100重量部に、複数の添加剤−第1の疎水性シリカ0.2重量部、第2の疎水性シリカ0.5重量部、疎水性酸化チタン0.5重量部−を添加した。次に、三井鉱山社製のヘンシェルミキサを用い、添加剤が添加されたトナー母材を攪拌して添加剤をトナー母材の表面に付着させた(つまり外添処理した)。ミキサの回転速度は40m/秒、攪拌時間は3分間であった。その後、荷電粒子(逆極性粒子)として、個数平均粒径350nmのチタン酸ストロンチウムを添加した。荷電粒子の添加量は、トナーAに含まれるトナー母材粒子100重量部に対して、2重量部であった。次に、この荷電粒子が添加されたトナーを三井鉱山社製のヘンシェルミキサで攪拌し、トナーの表面に荷電粒子を付着させて、負極帯電性のトナーAを得た。ミキサの回転速度は40m/秒、攪拌時間は3分間であった。
ここで用いた第1の疎水性シリカは、個数平均一次粒径16nmのシリカ(#130:日本アエロジル社製)を疎水化剤のヘキサメチルジラザン(HMDS)で表面処理して得たものである。第2の疎水性シリカは、固体平均一次粒径20nmのシリカ(#90:日本アエロジル社製)をHMDSで表面処理して得たものである。疎水性酸化チタンは、個数平均一次粒径30nmのアナターゼ型酸化チタンを、水系湿式環境で、疎水化剤のイソブチルトリメトキシシランにより表面処理して得たものである。
実験に用いたキャリアは、コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub C350キャリアである。このキャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子にアクリル樹脂をコーティングしたコート型キャリアである。
下記の特性を示すポリウレタン系のクリーニングブレード(北辰ゴム社製)を用いた。
・ゴム硬度:67度
・ヤング率:55kg/cm2
・反発弾性:52%
また、このクリーニングブレードを感光体表面に圧接させるに際しては、圧接角(図2における角度β)を所定角度(14度または17度)、圧接力を所定値(2.5g/mmまたは3.5g/mm)となるように調整した。
現像装置は図1に示す本実施形態に係る現像装置を使用した。
現像剤は、上述のキャリアとトナーAを用いた。現像剤中のトナー比率を8%に調整した。トナー比率は、現像剤全体の重量に対する、トナーと荷電粒子を含む添加材との合計重量の割合である(この点は、以下においても同様である)。
電界形成装置は、図11に示す形態を採用し、搬送ローラに直流電圧VDC2:−500ボルトを印加し、現像ローラには、直流電圧VDC1:−300ボルトと交流電圧を印加した。交流電圧は、周波数:2kHz、振幅VP−P:1,600ボルト、マイナスデューティ比(トナー回収デューティ比):40%、プラスデューティ比(トナー供給デューティ比):60%の矩形波であった(図18参照)。したがって、負極性に帯電したトナーをスリーブから現像ローラにバイアスする供給電位差(トナー供給電圧)は1,000ボルト、現像ローラからスリーブにトナーをバイアスする回収電圧差(トナー回収電圧)は600ボルトである。
現像装置は、図13に示す従来の2成分現像装置を使用した。
現像剤は、実施例1と同一のものを用いた。
搬送ローラには、振幅1,400ボルト、直流電圧成分−300ボルト、マイナスデューティ比50%、周波数4kHzの矩形波を印加した。搬送ローラと感光体の最近接部の現像ギャップは0.3mmに設定した。その他の条件は、実施例1と同一である。
現像装置は、図17に示す従来の1成分現像装置を使用した。
現像剤は、実施例1と同一のものを用いた。
現像ローラには、振幅1,600ボルト、直流電圧成分−300ボルト、マイナスデューティ比40%、周波数2kHzの矩形波を印加した。現像ローラと感光体の最近接部の現像ギャップは0.15mmに設定した。その他の条件は、実施例1と同一である。
コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製複写機bizhub C350を改造した画像形成装置を用い、クリーニングブレードの圧接角と圧接力の組み合わせを種々変更して、画像面積率5%のオリジナル画像を、クリーニング不良(拭き残し)が発生し易い低温低湿(10℃,15%RH)環境にて、50,000枚印刷した。最初の5000枚の後は10,000枚の印刷ごとにクリーニング不良発生の有無を判定した。各条件でのクリーニング不良の判定結果を表1に示す。
ここで、クリーニング不良の判定は、次の基準によって行った。
○:評価時点で、クリーニング不良によるスジ状の画像欠陥の発生なし。
×:評価時点で、画像領域の一部においてクリーニング不良によるスジ状の画像欠陥の発生あり。
××:評価時点で、画像領域の全面においてクリーニング不良によるスジ状の画像欠陥が発生。
表1に示す4つのクリーニング条件での含有量データを平均し、実施例1,比較例1及び比較例2のそれぞれにおける廃棄現像剤中のチタン酸ストロンチウムの含有量を調べた結果を、図19のグラフに示す。
更に、耐久試験を継続した場合におけるクリーナーボックス中のチタン酸ストロンチウム含有量の推移より、図1に示す本実施形態の現像装置を用いた印刷の場合には、第1の電界によってトナーから分離されたチタン酸ストロンチウムの多くが現像槽中に維持され、長期間にわたって安定的にチタン酸ストロンチウムをクリーニングブレードの摺接端部へ供給するのに寄与しているものと考えられる。
次に、図1に示す本実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置と実施例1のトナー(トナーA)とを用い、トナーの供給回収領域にて搬送ローラと現像ローラとの間で現像剤に作用する電界条件を種々変化させて実験IIを行った。
クリーニングブレードは実験Iにおける場合と同様のものを用い、圧接角を14度に、圧接力を3g/mmに、それぞれ固定した。また、現像ローラと搬送ローラのスリーブとの供給回収ギャップは、最近接部の設定値を0.25mm,0.30mm及び0.45mmの3種類に変化させた。
更に、変化させた電界条件、すなわち、電界の種類(直流/振動),トナー供給方向電位差および電界,トナー回収方向電位差および電界・平均電界(トナー供給方向をプラスとして)を表2に示す。
ここで、安定性の評価は、クリーナーボックス内の廃棄現像剤中のチタン酸ストロンチウム含有量の初期と末期との差に基づいて、以下の基準で判定した。
◎:差が0.5未満
○:差が0.5〜1.0
△:差が1.0〜1.5
×:差が1.5以上(これは実験Iにおける比較例1や比較例2と同レベルである)
次に、図1に示す本実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置を用い、トナーに外添する逆極性粒子の粒径を種々変えて実験IIIを行った。
トナーAは実験Iの実施例1で説明した通りであり、これに対して逆極性粒子の粒径を変えたトナーB〜Fを以下のようにして得た。
実施例1で用いたトナーAの逆極性粒子(個数平均粒径35nm)に代えて、個数平均粒径210nmのチタン酸ストロンチウムをトナー母材粒子100重量部に対して2重量部添加し、この逆極性粒子が添加されたトナーを、上記ヘンシェルミキサを用いて40m/sの速度で3分間にわたって攪拌することで、トナーの表面に逆極性粒子を付着させ(外添処理し)、負極帯電性のトナーBを得た。
〔トナーC〕
トナーAの荷電粒子に代えて、個数平均粒径140nmのチタン酸ストロンチウムをトナー母材粒子100重量部に対して2重量部用いた。外添処理方法はトナーBと同じである。
〔トナーD〕
トナーAの荷電粒子に代えて、個数平均粒径70nmのチタン酸ストロンチウムをトナー母材粒子100重量部に対して2重量部用いた。外添処理方法はトナーBと同じである。
〔トナーE〕
トナーAの荷電粒子に代えて、個数平均粒径850nmのチタン酸ストロンチウムをトナー母材粒子100重量部に対して2重量部用いた。外添処理方法はトナーBと同じである。
〔トナーF〕
トナーAの荷電粒子に代えて、個数平均粒径1000nmのチタン酸ストロンチウムをトナー母材粒子100重量部に対して2重量部用いた。外添処理方法はトナーBと同じである。
また、実験Iにおける場合と同様の評価基準で、50000枚印刷後のクリーニング不良発生の有無を調べた。
これについては、以下のように考えることができる。すなわち、トナー母材および荷電粒子の材料が同じであっても、個数平均粒径が70nmと非常に小さい荷電粒子を外添したトナーDでは、荷電粒子のトナーからの分離が行われ難くなり、トナーと一緒でなければクリーニングブレードの摺接端部に荷電粒子が供給されない。つまり、低印字率の画像の印刷が続いても、感光体の静電潜像非画像部への荷電粒子の付着量が非常に少なく、クリーニングブレード40の摺接端部40tと感光体表面12fとの間に形成される微少な楔状空間部K(図3参照)内に荷電粒子8が滞留せず、トナー粒子6が侵入・滞留することとなり、トナーが擦り抜け易くなる。耐久試験の初期であれば、クリーニングブレード40の摺接端部40tが減耗していないので、荷電粒子8が楔状空間部K内に滞留していなくてもクリーニング性能を維持できるが、耐久試験を継続するに連れてクリーニングブレード40の摺接端部40tが減耗した状態では、楔状空間部K内への荷電粒子8の滞留がなければ、正常なクリーニングを行うことが難しくなったものと考えられる。
以上より、トナーに外添する荷電粒子の個数平均粒径は、100nm〜850nmの範囲とすることが好ましい。
Claims (8)
- 少なくともトナーとキャリアを含む現像剤を用いて、静電潜像担持体上の静電潜像を可視像化する現像装置を備えた画像形成装置であって、
攪拌による相互の摩擦接触によって互いに異なる極性に帯電するトナー及びキャリアと、トナー粒子よりも小径で該トナーの表面に離脱可能に保持された状態で供給され上記トナーとは異なる極性に帯電する荷電粒子と、を含む現像剤を貯える現像剤貯留部と、
内部に磁石体を有し、上記現像剤を磁気ブラシ状に保持するとともに該現像剤貯留部から上記現像剤を搬送する第1の搬送部材と、
該第1の搬送部材による現像剤搬送量を規制する搬送量規制部材と、
第1の領域を介して上記第1の搬送部材に対向し、第2の領域を介して上記静電潜像担持体に対向する第2の搬送部材と、
上記第1の搬送部材と上記第2の搬送部材との間に第1の電界を形成して、上記第1の搬送部材が磁力によって周面に磁気ブラシ状に保持している現像剤中のトナーを上記第2の搬送部材に移動させると共に、上記トナーの表面の上記荷電粒子の一部をトナーから分離させて磁気ブラシ状の現像剤中に回収させる第1の電界形成手段と、
上記第2の搬送部材と上記静電潜像担持体との間に第2の電界を形成して、上記第2の搬送部材が保持している上記トナーを上記静電潜像担持体の静電潜像に移動させて上記静電潜像をトナー画像として可視像化する第2の電界形成手段と、
上記静電潜像坦持体上のトナー画像を所定の媒体上に転写するための転写部と、
上記静電潜像坦持体の表面に摺接する摺接端部を有し、上記該転写部による転写後に上記静電潜像坦持体の表面に残留する転写残トナーを除去する、弾性部材で形成されたクリーニングブレードと、を備え、
上記第1の電界で現像剤中に回収されなかった荷電粒子が、上記第2の電界により、上記静電潜像担持体の静電潜像にトナーと共に、又は上記静電潜像担持体の非潜像部に単独で付着し、上記クリーニングブレードの摺接端部の上記静電潜像坦持体の表面に対する摺接に伴って、上記静電潜像担持体の表面と上記クリーニングブレードの摺接端部との間に形成された楔状空間部に滞留することで、該楔状空間部へのトナー粒子の滞留が規制される、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 上記静電潜像担持体との対向部を通過した後の第2の搬送部材上にあるトナーを第1の搬送部材上に形成された磁気ブラシで掻き取り、上記第1の搬送部材上の現像剤中に戻すことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 上記第1の電界形成手段は、トナーを上記第1の搬送部材から上記第2の搬送部材へ移動させる方向の、2×106V/m以上の直流電界を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 上記第1の電界形成手段は、平均的にはトナーを上記第1の搬送部材から上記第2の搬送部材へ移動させる方向の振動電界を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 上記第1の電界形成手段によるトナー分離電界が、2×106V/m以上であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 上記荷電粒子の個数平均粒径は、100〜850nmであることを特徴とする請求項1から5の何れか一に記載の画像形成装置。
- 上記現像剤貯留部に対し、トナーと荷電粒子とを補給する補給部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 上記荷電粒子は、トナーに対し離脱可能に保持された状態で補給されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
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