本発明の実施の形態について、以下に図面を用いて説明する。
(画像形成装置の構成と動作)
図1に、本発明の一実施形態による画像形成装置の主要部の構成例を示す。図1を用いて画像形成装置の概略構成と動作を説明する。
本画像形成装置は、電子写真方式により像担持体(感光体)1に形成されたトナー像を用紙等の転写媒体Pに転写して画像形成を行うプリンタである。
本画像形成装置は、画像を担持するための像担持体1を有しており、像担持体1の周囲には、像担持体1を帯電するための帯電部材3、像担持体1上の静電潜像を現像する現像装置2、像担持体1上のトナー像を転写するための転写ローラ5、及び像担持体1上の残留トナー除去用のクリーニングブレード6が、像担持体1の回転方向Aに沿って順に配置されている。
像担持体1は、帯電部材3で帯電された後に、図中のE点の位置でレーザ発光器などを備えた露光装置4により露光されて、その表面上に静電潜像が形成される。現像装置2は、この静電潜像を現像し、トナー像を形成する。転写ローラ5は、この像担持体1上のトナー像を転写媒体Pに転写した後、図中の矢印F方向に排出する。クリーニングブレード6は、転写後の像担持体1上の残留トナーを機械的な力で除去する。
画像形成装置に用いられる像担持体1、帯電部材3、露光装置4、転写ローラ5、クリーニングブレード6等は、周知の電子写真方式の技術を任意に使用してよい。例えば、帯電部材3として図中、帯電ローラが示されているが、像担持体1と非接触の帯電装置であってもよい。また例えば、クリーニングブレードはなくてもよい。
次に、本実施形態に係るハイブリッド現像方式の現像装置2の構成例を説明する。
現像装置2は、以下の構成要素を備える。すなわち、トナーとキャリヤを含む現像剤24を収容する現像剤槽16、現像剤槽16から供給された現像剤24を表面に担持して搬送するトナー供給用現像剤担持体11、トナー供給用現像剤担持体11からトナー供給領域7においてトナーの供給を受け、前記像担持体1上に形成された静電潜像を現像するトナー担持体25、現像領域8を通過した後にトナー担持体25上に残留する現像残トナーをトナー回収領域9において回収するトナー回収用現像剤担持体26を備える。
また現像装置2は、トナー担持体25に現像バイアス電圧Vb2を供給するトナー担持体用バイアス電源31、トナー供給用現像剤担持体11にトナー供給バイアス電圧Vb1を供給するトナー供給用現像剤担持体用バイアス電源32、トナー回収用現像剤担持体26にトナー回収バイアス電圧Vb3を供給するトナー回収用現像剤担持体用バイアス電源33を備える。
現像装置2の詳細な構成と動作については、後述する。
(現像剤の構成)
本実施形態に係る現像装置において使用する現像剤の構成について説明する。
本実施形態において使用する現像剤24はトナーと該トナーを帯電するためのキャリヤを含んでなるものである。
<トナー>
トナーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができ、バインダー樹脂中に着色剤や、必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用できる。トナー粒径としてはこれに限定されるものではないが、3〜15μm程度が好ましい。
このようなトナーを製造するにあたっては、一般に使用されている公知の方法で製造することができる。例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。
トナーに使用するバインダー樹脂としては、これに限定されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)やポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂単体もしくは複合体により、軟化温度が80〜160℃の範囲のものを、またガラス転移点が50〜75℃の範囲のものを用いることが好ましい。
また、着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができ、一般に上記のバインダー樹脂に対して2〜20質量%の割合で用いることが好ましい。
また、上記の荷電制御剤としても、公知のものを用いることができ、正帯電性トナー用の荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などがある。負帯電性トナー用荷電制御剤としては、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物などがある。荷電制御剤は一般に上記のバインダー樹脂に対して0.1〜10質量%の割合で用いることが好ましい。
また、上記の離型剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等を単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができ、一般に上記のバインダー樹脂に対して0.1〜10質量%の割合で用いることが好ましい。
また、上記の外添剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、流動性改善例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子を使用することができ、特にシランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコーンオイル等で疎水化したものを用いるのが好ましい。そして、このような流動化剤を上記のトナーに対して0.1〜5質量%の割合で添加させて用いるようにする。外添剤の個数平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。
さらに上記外添剤として、トナーと逆極性の荷電性を有する逆極性粒子を使用してもよい。好適に使用される逆極性粒子はトナーの帯電極性によって適宜選択される。
トナーとして負帯電性トナーを用いる場合、逆極性粒子としては、正帯電性を有する微粒子が用いられ、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、アルミナ等の無機微粒子やアクリル樹脂、ベンゾグァナミン樹脂、ナイロン(登録商標)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された微粒子を使用することができる。また樹脂中に正帯電性を付与する正荷電制御剤を含有させたり、含窒素モノマーの共重合体を構成するようにしてもよい。
上記の正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩等を使用することができ、また上記の含窒素モノマーとしては、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール等を使用することができる。
一方、正帯電性トナーを用いる場合、逆極性粒子としては、負帯電性を有する微粒子が用いられ、例えば、シリカ、酸化チタン等の無機微粒子に加え、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された微粒子を使用することができる。また樹脂中に負帯電性を付与する負荷電制御剤を含有させたり、含フッ素アクリル系モノマーや含フッ素メタクリル系モノマーの共重合体を構成するようにしてもよい。上記の負荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸系、ナフトール系のクロム錯体、アルミニウム錯体、鉄錯体、亜鉛錯体等を使用することができる。
また、逆極性粒子の帯電性及び疎水性を制御するために、無機微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理するようにしてもよく、特に、無機微粒子に正帯電性を付与する場合には、アミノ基含有カップリング剤で表面処理することが好ましく、また負帯電性を付与する場合には、フッ素基含有カップリング剤で表面処理することが好ましい。
逆極性粒子の個数平均粒径は、100〜1000nmであることが好ましい。トナーに対して0.1〜10質量%の割合で添加させて用いるようにする。
<キャリヤ>
キャリヤとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリヤを使用することができ、バインダー型キャリヤやコート型キャリヤなどが使用できる。キャリヤ粒径としてはこれに限定されるものではないが、15〜100μmが好ましい。
バインダー型キャリヤは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリヤ表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けることもできる。バインダー型キャリヤの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御することができる。
バインダー型キャリヤに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
バインダー型キャリヤの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。その形状は粒状、球状、針状の何れであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。また、化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリヤを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリヤ中に50〜90質量%の量で添加することが適当である。
バインダー型キャリヤの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられ、これらの樹脂を表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、帯電付与能力を向上させることができる。
バインダー型キャリヤの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリヤと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリヤの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与え、微粒子を磁性樹脂キャリヤ中に打ち込むようにして固定することにより行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリヤ中に完全に埋設されるのではなく、その一部を磁性樹脂キャリヤ表面から突き出すようにして固定される。
帯電性微粒子としては、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的には、有機系としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂及びこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子を用いることができ、帯電レベル及び極性については、素材、重合触媒、表面処理等により、希望するレベルの帯電及び極性を得ることができる。また、無機系としては、シリカ、二酸化チタン等の負帯電性の無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正帯電性の無機微粒子などが用いられる。
一方、コート型キャリヤは磁性体からなるキャリヤコア粒子に樹脂コートがなされてなるキャリヤであり、コート型キャリヤにおいてもバインダー型キャリヤ同様、キャリヤ表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたりできる。コート型キャリヤの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子により制御することができ、バインダー型キャリヤと同様の材料を用いることができる。特にコート樹脂はバインダー型キャリヤのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
トナーとキャリヤの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー混合比はトナーとキャリヤとの合計量に対して3〜50質量%、好ましくは6〜30質量%が適している。
(現像装置2の構成と動作)
図1を参照して本実施形態に係る現像装置2の詳細な構成例と動作例を説明する。
<装置構成>
現像装置2において使用する現像剤24は、既述したようにトナーとキャリヤからなり、現像剤槽16に収容される。
現像剤槽16は、ケーシング19により形成されており、通常は内部に混合撹拌部材17、18を収納している。混合撹拌部材17、18は、現像剤24を混合・撹拌し、トナー供給用現像剤担持体11へ現像剤24を供給する。ケーシング19の混合撹拌部材18に対向する位置には、好ましくは、トナー濃度検出用のATDC(Automatic Toner Density Control)センサ20が配設されている。
現像装置2は通常、現像領域8で消費される分のトナーを現像剤槽16内に補給するための補給部10を有している。補給部10において、補給トナー23を収納した図示しないホッパから送られた補給トナー23が現像剤槽16内へ補給される。
現像装置2はまた、トナー供給用現像剤担持体11上の現像剤量を規制するための現像剤薄層化用の規制部材(規制ブレード)15を有している。
トナー供給用現像剤担持体11は、固定配置された磁石体13と、これを内包する回転自在なスリーブローラ12とから構成され、画像形成時には、トナー担持体25へとトナーを供給するためのトナー供給バイアスVb1が、トナー供給用現像剤担持体用バイアス電源32により印加される。
磁石体13は、スリーブローラ12の回転方向Bに沿ってS1、N1、S2、S3、N2の5つの磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極N1は、トナー担持体25と対向するトナー供給領域7の位置に配されている。
トナー回収用現像剤担持体26も同様に、固定配置された磁石体28と、これを内包する回転自在なスリーブローラ27とから構成され、トナー担持体25上の現像残トナーを回収するためのトナー回収バイアスVb3が、トナー回収用現像剤担持体用バイアス電源33により印加される。
磁石体28は、スリーブローラ27の回転方向Dに沿ってN4、S3、N5、S4、N6の5つの磁極を有する。これらの磁極の配置において、トナー担持体25と対向するトナー回収領域9には磁極を設けていない。しかしながら、トナー回収領域9の、スリーブローラ27の回転方向Dの上流側に磁極N4、下流側に磁極S3を配している。これらの磁極配置については後述する。
また、スリーブローラ27上の現像剤24を剥離するための反発磁界を発生させる同極部N6、N4が、現像剤槽16内部に対向した位置に配置されている。
さらに、現像装置2においては、トナー供給用現像剤担持体11上の現像剤24をトナー回収用現像剤担持体26へと受け渡すために、それぞれのS2極とN4極がトナー供給用現像剤担持体11とトナー回収用現像剤担持体26の対向部に配されている。トナー供給用現像剤担持体11のS2磁極側からトナー回収用現像剤担持体26のN4磁極側へ、現像剤24は受け渡され、搬送されていく。
トナー担持体25はトナー供給用現像剤担持体11、トナー回収用現像剤担持体26及び像担持体1のそれぞれに対向するように配され、像担持体1上の静電潜像を現像するための現像バイアスVb2がトナー担持体用バイアス電源31により印加されている。
トナー担持体25は上記電圧を印加可能な限りいかなる材料からなっていてもよく、例えば、アルマイト等の表面処理を施したアルミローラが挙げられる。その他アルミ等の導電性基体上に、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂コートやシリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴムコーティングを施したものを用いてもよい。コーティング材料としては、これに限定されるものではない。
さらに上記コーティングのバルクもしくは表面に導電剤が添加されていてもよい。導電剤としては、電子導電剤もしくはイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤として、ケッチンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックや、金属粉、金属酸化物の微粒子等が挙げられるが、これに制約されない。イオン導電剤として、四級アンモニウム塩等のカチオン性化合物や、両性化合物、その他イオン性高分子材料が挙げられるが、これにこだわらない。さらに、アルミ等の金属材料からなる導電性ローラであっても構わない。
<装置の動作>
図1を参照して現像装置2の動作例について詳しく説明する。
現像剤槽16内の現像剤24は、混合撹拌部材17、18の回転により混合撹拌され、摩擦帯電すると同時に現像剤槽16内で循環搬送され、現像剤担持体11表面のスリーブローラ12へと供給される。
この現像剤24は、トナー供給用現像剤担持体11内部の磁石体13の磁力によってスリーブローラ12の表面側に保持され、スリーブローラ12とともに回転移動して、トナー供給用現像剤担持体11に対向して設けられた規制部材15で通過量を規制される。
その後、現像剤24はトナー担持体25と対向するトナー供給領域7へと搬送される。
トナー供給領域7では磁石体13の主磁極N1の磁力によって現像剤穂立ちが形成され、トナー担持体25に印加された現像バイアスVb2とトナー供給用現像剤担持体11に印加されたトナー供給バイアスVb1により形成された供給電界がトナーに与える力により、現像剤24中のトナーがトナー担持体25側へ供給される。
トナー担持体25に供給されたトナー層は、トナー担持体25の回転に伴って現像領域8へと搬送され、現像バイアスと像担持体1上の潜像電位とによって形成される現像電界により潜像が顕像へと現像される。現像方式は反転現像方式であってもよいし、または正規現像方式であってもよい。
現像領域8でトナーを消費したトナー担持体25上のトナー層(現像残トナー)は、さらにトナー担持体25の回転によって、トナー回収用現像剤担持体26と対向するトナー回収領域9へと搬送される。
一方、トナー供給領域7においてトナー担持体25へとトナーを供給した残りの現像剤24は、トナー回収用現像剤担持体26との対向部まで搬送され、トナー供給用現像剤担持体11の磁極S2とトナー回収用現像剤担持体26の磁極N4により形成される磁界によって、トナー回収用現像剤担持体26へと受け渡される。
トナー回収用現像剤担持体26へと受け渡された現像剤24は、トナー回収用現像剤担持体26のスリーブローラ27とともに回転移動して、トナー担持体25と対向するトナー回収領域9まで搬送される。
トナー回収領域9では、トナー担持体25に印加された現像バイアスVb2とトナー回収用現像剤担持体26に印加されたトナー回収バイアスVb3により形成された回収電界がトナーに与える静電気力、及びトナー回収用現像剤担持体26に保持された現像剤24による機械的摺擦力によって、トナー担持体25からトナー回収用現像剤担持体へと現像残トナーが移動し、回収される。
このトナー回収領域9での磁極配置など、回収条件の詳細については後述する。
トナー回収用現像剤担持体26上に回収されたトナーを含む現像剤24は、スリーブ27の回転とともに現像剤槽16に向けて搬送され、磁石体28の同極部N6、N4の反発磁界によってトナー回収用現像剤担持体26上から剥離され、現像剤槽16内へと回収される。
図示しない補給制御部が、ATDCセンサ20の出力値から、現像剤24中のトナー濃度が画像濃度確保のための最低トナー濃度以下になったことを検出すると、図示しないトナー補給手段によってホッパ内に貯蔵された補給トナー23がトナー補給部10を介して現像剤槽16内へ供給される。
なお、上記現像装置2の構成と動作例では、現像剤の流れは次のようであった。
すなわち、トナー供給用現像剤担持体11とトナー回収用現像剤担持体26が対向して配置し、現像剤槽16からトナー供給用現像剤担持体11上に供給された現像剤24をトナー供給用現像剤担持体11上で規制し、トナー供給用現像剤担持体11からトナー回収用現像剤担持体26へ受け渡し、トナー回収用現像剤担持体26から分離して現像剤槽16へと戻すようにしている。
しかしながら、現像剤24の流れは上記の流れに限定されるものではない。
例えば、トナー回収用現像剤担持体26から再度トナー供給用現像剤担持体11に現像剤24を受け渡した後に、トナー供給用現像剤担持体11から現像剤槽16へと戻すようにしてもよい。
また、トナー供給用現像剤担持体11及びトナー回収用現像剤担持体26のそれぞれに現像剤24を供給し、搬送量を規制した後にトナー供給領域7及びトナー回収領域9に搬送し、それぞれの現像剤担持体上から現像剤24を分離して現像剤槽16へと戻す(トナー供給用現像剤担持体11とトナー回収用現像剤担持体26との現像剤の流れを別にする)ようにしてもよい。
つまり、トナー供給領域7に搬送される現像剤24が現像剤槽16でトナー濃度が調整された現像剤でありさえすればよい。
(トナー回収領域での問題と回収条件設定)
トナー回収領域でのトナー回収能力と、磁極配置、バイアス設定など、回収条件との関係の詳細について説明する。
まず、現像履歴(ゴースト)について述べ、次に現像剤担持体によるトナー供給、回収能力とバイアス設定について説明し、最後にトナー回収用現像剤担持体上のトナー蓄積とそれを防止するための設定について説明する。
<ゴーストについて>
図2を用いて現像履歴(ゴースト、画像メモリーともいう)について説明する。
図2(a)はゴーストを検知するために使用する画像チャートの一例である。背景領域である白部51に黒ベタ領域52及びハーフ画像領域53が図に示すように配置されている。図2(b)は、図2(a)の画像チャートを図示するような印刷方向で印刷し、ゴーストが発生した様子を示す印刷画像例である。
現像履歴(画像メモリー、ゴースト)とは、次のような現象である。
図2(a)の画像チャートに示すような、白地部51に黒ベタ部52のようにコントラストの高い画像を印刷した後に、グレーなどのハーフトーン画像領域53の印刷が続くような中間調画像を出力する。そうすると、出力した印刷画像には、図2(b)に示すようにハーフトーン画像領域53内に、原稿とした画像チャートには存在しなかった、上流側で印刷したハイコントラスト画像のパターンが現れる。図2(b)では、黒ベタ部のトナー担持体一周期分後で印刷されるハーフトーン画像領域53内にゴーストであるパターン54が見られる。
このような現象は、次のようなことに起因するものである。
ハイコントラスト画像を印刷した直後のトナー担持体上には、印刷画像パターンに対応した現像残トナー層が残留するため、それが十分除去されていないと、それに続くトナー担持体へのトナー供給後にも、トナー担持体上には、印刷した画像パターンに応じたトナー層の厚みムラなどが残る。
そのトナー層の厚みムラによる現像特性変化が、次の印刷画像上に先行して印刷したパターンに対応した濃度ムラ(ゴースト)を生じさせる。この現像特性変動による濃度ムラは特に中間調画像において視認性が高い。
従って、トナー担持体表面の現像残トナーを十分に回収することが、ゴーストの発生を抑止するために必要となる。
<トナー供給、回収能力とバイアス設定について>
本実施形態は、ハイブリッド現像方式である。特に、トナー担持体にトナーを供給するトナー供給用現像剤担持体に加えて、トナー回収用現像剤担持体を設け、トナー回収用現像剤担持体にトナー担持体上の現像残トナー回収する電圧を印加するようにしたトナー供給回収機能分離型のハイブリッド現像方式である。
トナー供給用現像剤担持体、及びトナー回収用現像剤担持体によるトナー供給、回収能力とバイアス設定について、図3を用いて説明する。
図3はトナー供給用現像剤担持体11、トナー担持体25、トナー回収用現像剤担持体26に印加される各バイアス電圧、及びトナー蓄積に伴うトナー層電位について、負帯電トナーを用いた場合について示したものである。
トナー供給用現像剤担持体11、トナー担持体25、及びトナー回収用現像剤担持体26のそれぞれに印加される各バイアス電圧は直流電圧であっても、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧であってもよいが、ここでは単純のためにそれぞれの印加電圧の平均値を用いて説明する。
図3(a)は、トナー供給用現像剤担持体11、トナー担持体25、トナー回収用現像剤担持体26のそれぞれに印加されるバイアス電圧Vb1、Vb2、Vb3の関係の一例を示している。
この例では、トナー供給用現像剤担持体11上の現像剤からトナー担持体25へトナーを供給させるために、トナー供給用現像剤担持体11とトナー担持体25間に電位差Vb2−Vb1(トナー供給電位差)が設定されている。
また、トナー担持体25上の現像に使用されなかったトナー(現像残トナー)をトナー回収用現像剤担持体26に回収するために、トナー担持体25とトナー回収用現像剤担持体26との間に電位差Vb3−Vb2(トナー回収電位差)が設定されている。
トナー供給用現像剤担持体11からトナー担持体25へのトナー供給量は、トナー供給電位差Vb2−Vb1の大きさに依存し、その最大供給量は、トナー担持体25上に供給されたトナー層によるトナー層電位Vtdがトナー供給電位差Vb2−Vb1とほぼ等しくなる量である(図3(b)参照)。
一方、トナー担持体25上の現像残トナーのトナー回収用現像剤担持体26への回収は、トナー担持体25とトナー回収用現像剤担持体26間の電位差Vb3−Vb2(トナー回収電位差)に加えて、トナー担持体25上のトナー層電位Vtdの影響も受ける。
すなわちトナー担持体25への印加電圧Vb2にトナー層電位Vtdを加えたVb2+Vtdとトナー回収用現像剤担持体26への印加電圧Vb3との電位差Vb2+Vtd−Vb3が実効的なトナー回収電位差となる。
従って、トナー回収用現像剤担持体26への印加電圧Vb3は、Vb2+Vtd−Vb3がトナー回収方向となる電圧であれば静電気力によるトナー回収効果が得られる。
例えば、図3(c)に示すようにトナー回収用現像剤担持体26への印加電圧Vb3がトナー担持体11への印加電圧Vb2に対してトナーを供給する方向であっても、実効的なトナー回収電位差によって、トナー層の一部に対しては回収方向へ作用する。
このように、トナー回収領域9でのトナー担持体25からトナー回収用現像剤担持体26への現像残トナーの回収は、バイアス設定に依存する。回収バイアスVb3はトナー担持体25の現像バイアスVb2に対してトナー供給方向であっても、実効的な電位差はトナー回収方向に作用する。もちろん、回収バイアスVb3がトナー回収方向であり、電位差が大きいほど回収能力も大きい。
しかしながら、トナー回収領域9で、この回収方向の電界が強すぎると次のような問題が生じてくる。
すなわち、トナー回収領域9で現像剤(穂立ち)中のトナーがキャリヤから分離され、トナー回収用現像剤担持体26表面へトナーが移動し、表面でのトナーの偏在が生じてくることが起こる。
<トナー回収用現像剤担持体上のトナー蓄積とそれを防止するための設定>
図4(a)には、トナー回収用現像剤担持体26内の磁石ロール28の磁極Nをトナー担持体25と対向するように配置した従来の磁極配置例を示す。図4(a)を用いて、トナー回収用現像剤担持体26表面でのトナーの偏在と蓄積、それによる回収能力の低下について説明する。
図では、回収電界の方向(図中央の太い矢印参照)に対して、ほぼ平行に現像剤24の穂立ち(磁気ブラシ)が生じている。この場合、トナー回収用現像剤担持体26へ回収されたトナーのうちの一部がトナー回収電界の作用を受けることによって、磁極Nにより穂立ちを形成された磁気ブラシチェーンを伝わって、容易にトナー回収用現像剤担持体26表面まで移動する。
このトナー回収用現像剤担持体26表面へ移動し、偏在したトナーは、キャリヤと分離された状態となる。そのため、現像剤24がトナー回収用現像剤担持体26の回転に伴い搬送され、磁石ロール28の同極部N6、N4の反発磁界によって現像剤槽16へと戻される際に、キャリヤと共に現像剤槽16には戻らず、トナー回収用現像剤担持体26表面に残留した状態となる。
このトナー回収用現像剤担持体26の表面残留トナーの量は、回収動作を繰り返し行うことで次第に増加、蓄積する。最終的には、図5に示すように、トナー回収用現像剤担持体26上のトナー層電位Vtrは、トナー担持体25の印加電圧Vb2にトナー担持体25上トナー層電位Vtdを加えた値とほぼ等しくなるまで増大する。
トナー回収用現像剤担持体26上の帯電トナーの蓄積により、トナー層電位Vtrが増大するということは、トナー回収用現像剤担持体26によるトナー回収のための実効的な回収電位差Vb2+Vtd−(Vb3+Vtr)が減少していくということを表す。
特にトナー回収用現像剤担持体26上のトナー層電位Vtrが、図5に示すような状態までに増加すると回収のための実効電位差はゼロとなってしまう。
従って、トナー回収用現像剤担持体26表面での帯電したトナーの蓄積は、トナー回収領域9での回収電界を阻害し、トナー回収能力を低下させてしまう。このため、トナーの蓄積が生ずるまでは良好であった現像残トナーの回収能力が、長期間は持続せず、画像形成の繰り返しとともにゴースト発生が問題となってくる。
本実施形態では、トナー回収領域において、磁力線がトナー回収用現像剤担持体26表面と略平行、すなわち回収電界に対してほぼ直交するように磁極配置を設定し直すことで、上述のトナー蓄積によるトナー回収能力の低下を抑制している。
図4(b)は、本実施形態におけるトナー回収用現像剤担持体の磁極配置と現像剤の穂立ちの状態を示す断面図である。図4(b)を用いて、トナー回収用現像剤担持体26表面でのトナーの偏在と蓄積の防止、トナー回収能力の低下の抑制について説明する。
本実施形態では、図に示すようにトナー担持体25とトナー回収用現像剤担持体26との対向領域には磁極を設けず、その上下流側に極性の異なる磁極(図1ではN4及びS3)を設けた。これにより、トナー回収領域での磁力線の向きがトナー回収用現像剤担持体26表面、すなわちスリーブローラ27表面と略平行になり、磁気ブラシチェーンもトナー回収電界の向きと平行にならない構成とした。
このように磁極を配置することで、トナーがトナー回収電界によって磁気ブラシチェーンを伝わり、トナー回収用現像剤担持体26表面まで移動するのを阻害することができる。
さらに、磁気ブラシが寝た状態であるため現像剤層の現像剤密度が高くなり、トナー担持体25からトナー回収用現像剤担持体26表面への直接移動をも阻害する(立体障害)効果が得られる。
これにより、トナー回収用現像剤担持体26表面での帯電したトナーの蓄積を防止し、トナー回収領域9での回収電界を阻害したり、トナー回収能力を低下させることもなく、現像残トナーの回収能力が長期間持続し、ゴーストの問題が発生しない高画質の画像を長期に渡って得ることができる。
さらに、図4(a)の磁極配置と比較して、図4(b)の磁極配置では磁気ブラシの穂立ちの仕方が異なるため、以下の式で表される現像剤充填密度(PD)を高めることが可能となる。
PD=M/(Ds・ρ)
M:現像剤担持体による単位面積当たりの現像剤搬送量(g/m2)
Ds:トナー担持体と現像剤担持体との間隔(m)
ρ:現像剤の単位体積質量(g/m3)。
現像剤充填密度(PD)を高めることで、磁気ブラシの摺擦によるトナー回収(機械的回収)能力を高めることができる。
特に図3(c)に示すように、トナー回収用現像剤担持体26へ印加する回収バイアス電圧Vb3をトナー担持体25へ印加する現像バイアス電圧Vb2よりトナー供給側に設定した場合などに、現像剤充填密度(PD)を高めることが有効である。
すなわち、実効的なトナー回収電位差が低下するので、機械的トナー回収が十分でないとトナー担持体25上の現像残トナーの回収不良が発生する恐れがある。そのような場合において現像剤充填密度(PD)を高めて、トナー回収(機械的回収)能力を高めることが有効である。
一方で、トナー供給時においては現像剤充填密度(PD)を高めることは、供給されたトナーの掻き取りを生じさせ、トナー供給性の低下を招く。またそれだけでなく、現像剤充填密度(PD)を高くしすぎると、トナー担持体25と現像剤担持体との間のギャップを現像剤が通過しきれずに、現像剤こぼれなどの弊害が生じる恐れがある。
このことから、トナー供給性低下や現像剤こぼれを生じさせないよう、トナー回収領域9のみ現像剤充填密度(PD)を高めることが好ましい。トナー回収領域9での磁極配置は、上述したように現像剤充填密度(PD)を高くすることが可能な磁極配置にしている。
トナー回収領域9の現像剤充填密度(PD)を高める手段としては、トナー担持体25とトナー供給用現像剤担持体11との間隔(トナー供給ギャップ)よりもトナー担持体25とトナー回収用現像剤担持体26との間隔(トナー回収ギャップ)を狭くする。トナー供給用現像剤担持体11上の現像剤搬送量よりもトナー回収用現像剤担持体26上の現像剤搬送量を多くするなどが挙げられる。
図1に示したような現像装置2において、トナー供給用現像剤担持11上よりもトナー回収用現像剤担持体26上の現像剤搬送量を増やす手段としては、トナー供給用現像剤担持体11回転速度よりもトナー回収用現像剤担持体26の回転速度を遅くすることで達成できる。
このように、トナー回収領域での磁力線の向きをトナー回収用現像剤担持体表面と略平行にし、磁気ブラシチェーンをトナー回収電界の向きと平行にならない構成とすることで、トナー蓄積による回収能力の低下を抑制するとともに、トナー回収領域9での現像剤充填密度(PD)を高くすることを可能にする。これにより、機械的摺擦力によるトナー回収能力を高め、静電的回収能力を補うことができ、ゴーストの問題が発生しない高画質の画像を長期に渡って得ることができる。
上述した実施形態に係る現像装置を用いて、効果を確認するために実施した結果を述べる。
用いた現像装置は、上記現像装置2に相当する構成の現像装置を用意した。
画像形成装置は、コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製のMFPであるbizhubC350を改造し、図1に示した構成の現像装置2を装着して用いた。現像剤も上記bizhubC350用の現像剤を用いた。トナーの極性はマイナス帯電であり、現像剤のトナー濃度は8%であった。
各現像装置において、像担持体とトナー担持体との現像ギャップは0.15mmとした。トナー担持体とトナー供給用現像剤担持体とのトナー供給ギャップ、トナー供給用現像剤担持体と規制部材とのギャップはそれぞれ0.35mmとした。
トナー担持体に印加する電圧は、振幅がpeak to peakで1.4kV、DC成分が−350V、周波数が2kHz、Duty比が50%の矩形波電圧とした。
トナー供給用現像剤担持体に印加する電圧は、DC−350Vとした。
像担持体上に形成された静電潜像の背景部電位は−550V、画像部電位は−60Vであった。
後述する各実施例及び比較例においては、上記の画像形成装置を用いて、図2(a)に示した画像チャートを100枚連続印刷し、1枚目と100枚目の現像履歴(ゴースト)の発生状態を比較した。
図2(b)の出力画像に54で示したのはゴーストが発生した例で、黒ベタ部52の1周期後の位置にハーフ画像部53より薄い領域54が発生している。この黒ベタ部52に対応する領域54と白ベタ部51に対応するハーフ画像部53の濃度測定によりゴースト発生を評価した。
現像履歴(ゴースト)の評価は、濃度計(X−Rite社製X−Rite310)により行った。印刷されたハーフ画像部の黒ベタ部、白部に対応する領域の濃度を測定し、濃度差が0.05以下の場合を○(特に良好)、濃度差が0.05を超えて0.1以下の場合を△(良好)、それ以外を×(発生)とした。
また、100枚目終了後の現像器を取り出して、トナー回収用現像剤担持体表面へのトナーの偏在が発生しているかを確認するため、キャリヤとともに分離されずにN4からN6極の間で表面に付着しているトナーの表面電位を測定した。
表面電位の測定に際してはTREK社製表面電位計Model344を用い、トナー回収用現像剤担持体を接地した状態で測定を行った。評価は、測定したトナー層電位の絶対値が10V以下であれば○(特に良好)、10Vを超えて50V以下であれば△(良好)、それ以外を×(不良)とした。
(実施例1)
図1に示す現像装置を用い、トナー回収用現像剤担持体は、図4(b)のような磁極配置とした。トナー担持体とトナー回収用現像剤担持体との回収ギャップは0.35mmとし、トナー回収用現像剤担持体にはDC−300Vの電圧を印加した。
(実施例2)
図1に示す現像装置を用い、トナー回収用現像剤担持体は、図4(b)のような磁極配置とした。トナー担持体とトナー回収用現像剤担持体との回収ギャップは0.35mmとし、トナー回収用現像剤担持体にはDC−400Vの電圧を印加した。
(実施例3)
図1に示す現像装置を用い、トナー回収用現像剤担持体は、図4(b)のような磁極配置とした。トナー担持体とトナー回収用現像剤担持体との回収ギャップは0.25mmとし、トナー回収用現像剤担持体にはDC−400Vの電圧を印加した。
(実施例4)
図1に示す現像装置を用い、トナー回収用現像剤担持体は、図4(b)のような磁極配置とした。トナー担持体とトナー回収用現像剤担持体との回収ギャップは0.35mmとし、トナー回収用現像剤担持体にはDC−400Vの電圧を印加し、駆動速度をトナー供給用現像剤担持体の0.8倍とした。
(比較例1)
図1に示す現像装置を用い、トナー回収用現像剤担持体は、図4(a)のような磁極配置とした。トナー担持体とトナー回収用現像剤担持体との回収ギャップは0.35mmとし、トナー回収用現像剤担持体にはDC−300Vの電圧を印加した。
(比較例2)
図1に示す現像装置を用い、トナー回収用現像剤担持体は、図4(a)のような磁極配置とした。トナー担持体とトナー回収用現像剤担持体との回収ギャップは0.25mmとし、トナー回収用現像剤担持体にはDC−400Vの電圧を印加した。
(比較例3)
図1に示す現像装置を用い、トナー回収用現像剤担持体は、図4(a)のような磁極配置とした。トナー担持体とトナー回収用現像剤担持体との回収ギャップは0.35mmとし、トナー回収用現像剤担持体にはDC−400Vの電圧を印加し、駆動速度をトナー供給用現像剤担持体の0.8倍とした。
(評価結果)
実施例1〜4及び比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
表中、「磁極配置」のa、bは、それぞれ図4(a)、図4(b)のような磁極配置を表す。「回収ギャップ」の単位はmm、「回収バイアス」の単位はVである。「駆動速度」は、トナー供給用現像剤担持体の駆動速度に対する比率を表す。
「ゴースト1枚目」は、1枚目のゴースト発生状況を前記の基準で判断した評価、「ゴースト100枚目」は、100枚目のゴースト発生状況を前記の基準で判断した評価である。
「トナー層電位」は、100枚目終了後のトナー回収用現像剤担持体表面における、N4からN6極の間の表面電位を測定した結果である。
表1より、本発明の実施例1〜4と比較例1〜3の結果を比較して明らかなように、トナー回収用現像剤担持体の磁極配置をトナー担持体との対向領域に設けず、その上下流に配置することで、トナー回収用現像剤担持体表面へのトナー蓄積を抑制でき、現像履歴のない良好な出力画像が得られることが確認できた。
さらに前記磁極配置によりトナー回収用現像剤担持体とトナー担持体との間のギャップの現像剤充填密度(PD)を高めることが可能であり、実施例3及び4の結果からも分かるように、トナー回収領域の現像剤充填密度(PD)を高めることで、良好な画像出力が可能である。比較例2及び3では、トナー回収領域の現像剤充填密度(PD)を高めることができず、現像剤こぼれが発生している。
上述のように、本実施形態に係る現像装置及び画像形成装置によれば、トナー回収用現像剤担持体によってトナー担持体上の現像残トナーの回収を確実に行い、またトナー回収用現像剤担持体へのトナーの蓄積を回避できるため、常にトナー担持体上に安定したトナー層が供給される。これにより、トナー回収能力が持続し、ゴーストの問題が発生しない高画質の画像を長期に渡って得ることができる。
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。