以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置及び現像装置では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
〔1.画像形成装置〕
図1は、本発明に係る電子写真式画像形成装置の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印14方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電ステーション16、露光ステーション18、現像ステーション20、転写ステーション22、およびクリーニングステーション24が配置されている。
帯電ステーション16は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する帯電装置26を備えている。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。露光ステーション18は、感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28から出射された画像光30が、帯電された感光体12の外周面に向けて進行するための通路32を有する。露光ステーション18を通過した感光体12の外周面には、画像光が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分からなる、静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像ステーション20は、粉体現像剤を用いて静電潜像を可視像化する現像装置34を有する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写ステーション22は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどのシート38に転写する転写装置36を有する。実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして表されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニングステーション24は、転写ステーション22でシート38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収するクリーニング装置40を有する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
また、感光体12の周囲には、感光体12の表面のトナーの付着量を検知するトナー付着量センサ(請求項のトナー付着量検知装置に相当する。)180が、感光体12の表面に対向して配置されている。トナー付着量センサ180は、後述する現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動容易性を確認するために用いられる。トナー付着量センサ180として、具体的には、例えば、反射式濃度センサが用いられる。トナー付着量センサ180として反射式濃度センサを用いる場合、トナー付着量センサ180には発光部と受光部が設けられ、発光部から感光体12の表面に向けて光を照射したとき、感光体12の表面で反射して受光部により受光される反射光の光量が検知され、検知された光量と、予め設定された演算式とに基づき感光体12の表面に付着したトナー量が算出される。
画像形成装置1の所定位置には、画像形成に関する各種動作を制御する制御部182が設けられている。制御部182は、画像形成装置1の内部の任意の位置に設けることができる。制御部182には、後述する現像バイアスと供給バイアスとを制御するバイアス制御部184と、所定の画像を形成したときにトナー付着量センサ180により検知されるトナー付着量が、上記の所定の画像に対応して予め設定された複数の範囲のうち、いずれの範囲に属するかを判断する判断部186とが設けられている。
このような構成を備えた画像形成装置1の画像形成時、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて時計周り方向に回転する。このとき、帯電ステーション16を通過する感光体外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体外周部分は、露光ステーション18で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像ステーション20に搬送され、そこで現像装置34によって現像剤像として可視像化される。可視像化された現像剤像は、感光体12の回転と共に転写ステーション22に搬送され、そこで転写装置36によりシート38に転写される。現像剤像が転写されたシート38は図示しない定着ステーションに搬送され、そこでシート38に現像剤像が固定される。転写ステーション22を通過した感光体外周部分はクリーニングステーション24に搬送され、そこでシート38に転写されることなく感光体12の外周面に残存する現像剤が回収される。
〔2.現像装置〕
現像装置34は、第1の成分粒子である非磁性トナーと第2の成分粒子である磁性キャリアを含む2成分現像剤と以下に説明する種々の部材を収容するハウジング42を備えている。図面を簡略化することで発明の理解を容易にするため、ハウジング42の一部は削除してある。ハウジング42は感光体12に向けて開放された開口部44を備えており、この開口部44の近傍に形成された空間46にトナー搬送部材(第2の搬送部材)である現像ローラ48が設けてある。現像ローラ48は、円筒状の部材(第2の回転円筒体)であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップ50を介して、回転可能に配置されている。
現像ローラ48の背後には、別の空間52が形成されている。空間52には、現像剤搬送部材(第1の搬送部材)である搬送ローラ54が、現像ローラ48と平行に且つ現像ローラ48の外周面と所定の供給回収ギャップ56を介して配置されている。搬送ローラ54は、回転不能に固定された磁石体58と、磁石体58の周囲を回転可能に支持された円筒スリーブ60(第1の回転円筒体)を有する。スリーブ60の上方には、ハウジング42に固定され、スリーブ60の中心軸と平行に伸びる規制板62が、所定の規制ギャップ64を介して対向配置されている。
磁石体58は、搬送ローラ54の内面に対向し、搬送ローラ54の中心軸方向に伸びる、複数の磁極を有する。実施形態では、複数の磁極は、規制板62の近傍にある搬送ローラ54の上部内周面部分に対向する磁極S1、供給回収ギャップ56の近傍にある搬送ローラ54の左側内周面部分に対向する磁極N1、搬送ローラ54の下部内周面部分に対向する磁極S2、搬送ローラ54の右側内周面部分に対向する、2つの隣接する同極性の磁極N2,N3を含む。
搬送ローラ54の背後には、現像剤攪拌室66が形成されている。攪拌室66は、搬送ローラ54の近傍に形成された前室68と搬送ローラ54から離れた後室70を有する。前室68には図面の表面から裏面に向かって現像剤を攪拌しながら搬送する前攪拌搬送部材である前スクリュー72が回転可能に配置され、後室70には図面の裏面から表面に向かって現像剤を攪拌しながら搬送する後攪拌部材搬送部材である後スクリュー74が回転可能に配置されている。図示するように、前室68と後室70は、両者の間に設けた隔壁76で分離してもよい。この場合、前室68と後室70の両端近傍にある隔壁部分は除かれて連絡通路が形成されており、前室68の下流側端部に到達した現像剤が連絡通路を介して後室70へ送り込まれ、また後室70の下流側端部に到達した現像剤が連絡通路を介して前室68に送り込まれるようにしてある。図示を省略するが、前スクリュー72の近傍には、現像剤中のトナー比率(重量比)を検知するトナー比率センサを設けることが好ましい。トナー比率センサとして、具体的には、例えば、現像剤の透磁率を検知して、検知した透磁率に基づきトナー比率を算出するように構成されたセンサが用いられる。
このように構成された現像装置34の動作を説明する。画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48とスリーブ60はそれぞれ矢印78,80方向に回転する。前スクリュー72は矢印82方向に回転し、後スクリュー74は矢印84方向に回転する。これにより、現像剤攪拌室66に収容されている現像剤2は、前室68と後室70を循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。実施形態では、キャリアは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。図2に示すように、キャリア4はトナー6に比べて相当大きい。そのため、図3に示すように、正極性に帯電したキャリア4の周囲に、負極性に帯電したトナー6が、主として両者の電気的な吸引力に基づいて付着している。
図1に戻り、帯電された現像剤2は、前スクリュー72によって前室68を搬送される過程で搬送ローラ54に供給される。前スクリュー72から搬送ローラ54に供給された現像剤2は、磁極N3の近傍で、磁極N3の磁力によって、スリーブ60の外周面に保持される。スリーブ60に保持された現像剤2は、磁石体58によって形成された磁力線に沿って磁気ブラシを構成しており、スリーブ60の回転に基づいて反時計周り方向に搬送される。規制板62の対向領域(規制領域86)で磁極S1に保持されている現像剤2は、規制板62により、規制ギャップ64を通過する量が所定量に規制される。規制ギャップ64を通過した現像剤2は、磁極N1が対向する、現像ローラ48と搬送ローラ54が対向する領域(供給回収領域)88に搬送される。後に詳細に説明するように、供給回収領域88のうち、主にスリーブ60の回転方向に関して上流側の領域(供給領域)90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された電界の存在により、キャリア4に付着しているトナー6が現像ローラ48に電気的に供給される。また、供給回収領域88のうち、主にスリーブ60の回転方向に関して下流側の領域(回収領域)92では、後に説明するように、現像に寄与することなく供給回収領域88に送り戻された現像ローラ48上のトナーが、磁極N1の磁力線に沿って形成されている磁気ブラシに掻き取られてスリーブ60に回収される。キャリア4は磁石体58の磁力によってスリーブ60の外周面に保持されており、スリーブ60から現像ローラ48に移動することはない。供給回収領域88を通過した現像剤2は、磁石体58の磁力に保持され、スリーブ60の回転と共に磁極S2の対向部を通過して磁極N2とN3の対向領域(放出領域94)に到達すると、磁極N2とN3によって形成される反発磁界によってスリーブ60の外周面から前室68に放出され、前室68を搬送されている現像剤2に混合される。
供給領域90で現像ローラ48に保持されたトナー6は、現像ローラ48の回転と共に反時計周り方向に搬送され、感光体12と現像ローラ48が対向する領域(現像領域)96で、感光体12の外周面に形成されている静電潜像画像部に付着する。実施形態の画像形成装置では、感光体12の外周面は帯電装置26で負極性の所定の電位VHが付与され、露光装置28で画像光30が投射された静電潜像画像部が所定の電位VLまで減衰し、露光装置28で画像光30が投射されていない静電潜像非画像部はほぼ帯電電位VHを維持している。したがって、現像領域96では、感光体12と現像ローラ48との間に形成されている電界の作用を受けて、負極性に帯電したトナー6が静電潜像画像部に付着し、この静電潜像を現像剤像として可視像化する。
このようにして現像剤2からトナー6が消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像剤2に補給されることが好ましい。そのために、現像装置34は、ハウジング42に収容されているトナーとキャリアの混合比を測定する手段を備えている。また、後室70の上方にはトナー補給部98が設けてある。トナー補給部98は、トナーを収容するための容器100を有する。容器100の底部には開口部102が形成されており、この開口部102に補給ローラ104が配置されている。補給ローラ104は図示しないモータに駆動連結されており、トナーとキャリアの混合比を測定する手段の出力に基づいてモータが駆動し、トナーが後室70に落下補給するようにしてある。
〔3.電界形成手段〕
供給領域90でスリーブ60から現像ローラ48にトナー6を効率的に移動させるために、現像ローラ48とスリーブ60は電界形成装置110と電気的に接続されている。電源の具体例が図5A〜図9に示してある。
図5Aに示す電界形成装置110は、現像ローラ48に接続された第1の電源112(請求項の現像バイアス印加装置に相当する。)とスリーブ60に接続された第2の電源114(請求項の供給バイアス印加装置に相当する。)を有する。第1の電源112は、現像ローラ48とグランド116との間に接続された直流電源118を有し、トナー6の帯電極性と同一極性の第1の直流電圧VDC1(例えば、−200ボルト)を現像ローラ48に印加している。第2の電源114は、スリーブ60とグランド116との間に接続された直流電源120を有し、トナー6の帯電極性と同一極性で且つ第1の直流電圧よりも高圧の第2の直流電圧VDC2(例えば、−400ボルト)をスリーブ60に印加する。この結果、供給領域90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された直流電界の作用を受けて、負極性に帯電しているトナー6がスリーブ60から現像ローラ48に電気的に吸引される。このとき、正極性に帯電しているキャリア4は、スリーブ60から現像ローラ48に吸引されることはない。また、現像領域96では、現像ローラ48に保持されている負極性トナーが、図5Bに示すように、現像ローラ48(VDC1:−200ボルト)と静電潜像画像部(VL:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に付着する。このとき、負極性トナーは、現像ローラ48(VDC1:−200ボルト)と静電潜像非画像部(VH:−600ボルト)との電位差により、静電潜像非画像部に付着することはない。
図6Aに示す電界形成装置122において、第1の電源124は、図5Aの電源と同様に、現像ローラ48とグランド126との間に接続された直流電源128を有し、トナー6の帯電極性と同一極性の第1の直流電圧VDC1(例えば、−200ボルト)を現像ローラ48に印加している。第2の電源130は、スリーブ60とグランド126との間に直流電源132と交流電源134を有する。直流電源132は、トナー6の帯電極性と同一極性で且つ第1の直流電圧よりも高圧の第2の直流電圧VDC2(例えば、−400ボルト)をスリーブ60に印加している。図6Bに示すように、交流電源134は、スリーブ60とグランド126との間にピーク・ツー・ピーク電圧VP−Pが例えば300ボルトの交流電圧VACを印加する。その結果、供給領域90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された脈流電界の作用を受けて、負極性に帯電しているトナー6がスリーブ60から現像ローラ48に電気的に吸引される。このとき、正極性に帯電しているキャリア4は、スリーブ60の内部の固定磁石の磁力によってスリーブ60に保持され、現像ローラ48に供給されることはない。また、現像領域96では、現像ローラ48に保持されている負極性トナーは、現像ローラ48(VDC1:−200ボルト)と静電潜像画像部(VL:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に付着する。
図7Aに示す電界形成装置136において、第1の電源138は、現像ローラ48とグランド140との間に直流電源142と交流電源144を有する。直流電源142は、トナー6の帯電極性と同一極性の第1の直流電圧VDC1(例えば、−200ボルト)を現像ローラ48に印加する。交流電源144は、現像ローラ48とグランド140との間に振幅(ピーク・ツー・ピーク電圧)VP−Pが例えば1,600ボルトの交流電圧VACを印加する。第2の電源146は、現像ローラ48と交流電源144との間の端子148とスリーブ60との間に接続された直流電源150を有する。直流電源150は、所定の直流電圧VDC2を出力することができ、陽極が端子148、陰極がスリーブ60に接続されており、これにより、スリーブ60が現像ローラ48に対して負極性にバイアスされている(図7B参照)。したがって、供給領域90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された脈流電界の作用を受けて、負極性に帯電しているトナー6がスリーブ60から現像ローラ48に電気的に吸引される。また、現像領域96では、現像ローラ48上の負極性トナーが、現像ローラ48(VDC1:−200ボルト)と静電潜像画像部(VL:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に付着する。
図8に示す電源152は、図5Aに示す実施形態の電源において、第1の電源112と第2の電源114にそれぞれ交流電界形成装置154,156を追加したものである。交流電界形成装置154,156の出力電圧はVAC1,VAC2である。電圧VAC1,VAC2は同一であってもよいし、違ってもよい。図9に示す電界形成装置158は、図5Aに示す実施形態の電源において、第1の電源112に交流電源160を追加したものである。交流電源160の出力電圧はVACである。これらの形態の電界形成装置152,158も、電源110,122,136と同様に、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された脈流電界の作用を受けて、供給領域90では負極性に帯電しているトナー6をスリーブ60から現像ローラ48に供給し、現像領域96では負極性に帯電しているトナー6を現像ローラ48から静電潜像画像部(VL:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に供給する。
〔4.現像剤〕
一般に、トナーとキャリアを主成分とする2成分現像剤は、キャリアの表面にトナーが付着してできる汚れ(スペント)が発生し、これがキャリアの寿命を低下させる。そこで、この問題を解消するために、本発明では、2成分現像剤に第3の成分として荷電粒子(インプラント粒子)が添加されている。
図2〜4を参照して具体的に説明すると、本発明の画像形成装置及び現像装置は、トナー6とキャリア4の他に、トナー6との摩擦接触によりトナー6を正規の極性(実施形態では負極性)に帯電する、トナー6よりも小径の荷電粒子8を含む。実施の形態において、荷電粒子8は、トナー6の外周面に離脱可能に保持されており、トナー補給部98からトナー6と共に補給される。
画像形成時、荷電粒子8はトナー6やキャリア4とともに、ハウジング42の中を搬送された後、スリーブ60に保持されて規制領域86、供給回収領域88、放出領域94を移動する。この搬送過程で、トナー6の表面に保持されて正極性に帯電している荷電粒子8は、供給回収領域88の電界中に置かれると、トナー6に作用する電気的な力とは逆の方向の電気的な力を受けてトナー6の外周面から離脱する。離脱した荷電粒子8は、該分離した荷電粒子8とキャリア4との間に作用するストレスによってキャリア4の外周面に保持される又は打ち込まれる。図4に示すように、キャリア4の外周面の一部又は全体がスペント10で覆われている場合、荷電粒子8はスペント10に打ち込まれる。キャリア4の外周面に保持され又は打ち込まれた荷電粒子8は、トナー6との摩擦接触によりトナー6と逆の極性に帯電する。実施形態では、トナー6は負極性に帯電されるため、荷電粒子8は正極性に帯電される。その結果、荷電粒子8が打ち込まれたキャリア4は、たとえその外周面の少なくとも一部がスペント10に被覆されていても、スペント10の無い状態と同様の荷電性を維持し、トナー6を所定の極性に帯電する。
上述のように、荷電粒子8は、トナー6と逆の極性に帯電される。そのため、図10に示すように、供給回収領域88では、現像ローラ48とスリーブ60の間に形成される電界に基づいてトナー6はスリーブ60から現像ローラ48に移動する。また、トナー6から分離した荷電粒子8は、供給領域90でトナー6が奪われることによって比較的キャリアリッチとなっている現像剤のキャリア表面に素早く保持されて、トナー6と共に現像ローラ48に供給されることがない、または現像ローラ6に供給されるとしてもその量は極めて僅かである。
供給回収領域88において、全部または一部の荷電粒子8が、キャリア4の表面に保持されると、キャリア4の荷電性が向上し、これにより、耐久に伴い低下するキャリア4のトナー帯電性が補われる。
ところで、図11に示すように、図1に示す現像装置から現像ローラを除いた形態の現像装置34’に同様の荷電粒子を用いた場合、異なる結果を招く。具体的に、現像装置34’の搬送ローラ54が対向する感光体12の外周面には静電潜像が形成されている。静電潜像は、例えば、ほぼ帯電電位を維持している高電位の静電潜像非画像部と、露光装置28で光30が投射されて電位の減衰している低電位の静電潜像画像部を有し、これら高電位の静電潜像非画像部と低電位の静電潜像画像部が搬送ローラ54の対向部を通過していく。そして、画像形成時、現像領域において、例えば、負極性に帯電されているトナー6は、低電位の静電潜像画像部に付着し、静電潜像非画像部には付着しない。しかし、トナー6を負極性に帯電させる荷電粒子8は、それ自身が正極性に帯電している。したがって、現像領域で自由状態にある荷電粒子8は、図12に示すように、静電潜像非画像部に付着する。このように、現像装置34’によれば、トナー6から分離した荷電粒子8が現像領域で感光体12の静電潜像非画像部に大量消費される。その結果、上述した現像装置34に比べてキャリア4の外周面に打ち込まれる荷電粒子8の数が極めて少なく、スペントが付着したキャリア4は十分なトナー荷電性能を持ち得ない。
ところで、上述の特許文献4で説明した現像装置では、荷電粒子は、トナーとキャリアのいずれの表面にも保持されることなく両者の間に比較的自由な状態で存在する。また、現像装置に初期導入された荷電粒子は、トナーの帯電極性とは逆の極性に帯電している。そのため、トナーと電気的に結合してトナーと共に現像ローラに供給された後、感光体上の静電潜像非画像部に付着して徐々に無くなり、それと共にトナーの荷電性が低下する。しかし、本願発明の現像装置では、上述のように、供給回収領域88でトナー6から分離した荷電粒子8はその後素早くキャリア4に保持されてスリーブ60の外周面に留まることから、トナー6と同じように現像ローラ48を介して感光体12に供給されて消費されることはないので、長期に亘って安定したトナーの荷電性が得られる。もっとも、本実施例においてもいくらかの荷電粒子8はトナー6と共に現像ローラ48に供給されるが、荷電粒子8はトナーと共に補給部98から新たに補給されるため、無くなることはなく、よって、長期に亘って安定したトナーの荷電性が得られる。
なお、実施形態では、トナー6とキャリア4との摩擦接触によりトナー6は負極性、キャリア4は正極性に帯電される。また、荷電粒子8は、トナー6との接触により該トナーを負極性に帯電するとともに、荷電粒子8は正極性に帯電する。本発明に用いるトナー、キャリア、荷電粒子の帯電性は、そのような組み合わせに限るものでない。具体的に、トナー6とキャリア4との摩擦接触によりトナー6は正極性、キャリア4は負極性に帯電され、荷電粒子8は、トナー6との接触により該トナーを正極性に帯電するとともに、荷電粒子8は負極性に帯電する組み合わせも考えられる。
〔5.具体的な材料〕
トナー、キャリア、荷電粒子、および現像剤に含まれる他の粒子の具体的な材料を説明する。
〔荷電粒子〕
好適に使用される荷電粒子は、トナーの帯電極性に応じて適宜選択される。荷電粒子の個数平均粒径は、例えば、100〜1000nmである。キャリアとの摩擦接触により負極性に帯電するトナーを用いる場合、荷電粒子は、トナーとの接触により正極性に帯電する微粒子が用いられる。そのような微粒子は、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、アルミナ等の無機微粒子やアクリル樹脂、ベンゾグァナミン樹脂、ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成できる。微粒子を構成する樹脂にトナーとの接触により正極性に帯電する正荷電制御剤を含有させてもよい。正荷電制御剤には、例えば、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩等が使用できる。荷電粒子は含窒素モノマーで構成してもよい。含窒素モノマーを構成する材料には、例えば、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル、ビニールピリジン、N−ビニールカルバゾール、ビニールイミダゾールがある。
キャリアとの摩擦接触により正極性に帯電するトナーの場合、荷電粒子は、トナーとの接触により負極性に帯電する微粒子が用いられる。このような微粒子は、例えば、シリカ、酸化チタン等の無機微粒子、また、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された微粒子が使用できる。トナーとの接触により負極性に帯電する負荷電制御剤を、荷電粒子を構成する樹脂に含有させてもよい。負荷電制御剤には、例えば、サリチル酸系、ナフトール系のクロム錯体、アルミニウム錯体、鉄錯体、亜鉛錯体等を使用できる。荷電粒子は、含フッ素アクリル系モノマーや含フッ素メタクリル系モノマーの共重合体であってもよい。
荷電粒子の帯電性および疎水性を制御するために、無機微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理してもよい。特に、無機微粒子に正極帯電性を付与する場合、アミノ基含有カップリング剤で表面処理することが好ましい。微粒子に負極性帯電性を付与する場合、フッ素基含有カップリング剤で表面処理することが好ましい。
〔トナー〕
トナーには、画像形成装置で従来から一般に使用されている公知のトナーを使用できる。トナー粒径は、例えば約3〜15μmである。バインダー樹脂中に着色剤を含有させたトナー、荷電制御剤や離型剤を含有するトナー、表面に添加剤を保持するトナーも使用できる。
トナーは、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の方法で製造できる。
〔バインダー樹脂〕
トナーに使用されるバインダー樹脂は、限定的ではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものである。バインダー樹脂は、軟化温度が約80〜160℃の範囲、ガラス転移点が約50〜75℃の範囲であることが好ましい。
〔着色剤〕
着色剤は、公知の材料、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の添加量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2〜20重量部であることが好ましい。
〔荷電制御剤〕
荷電制御剤は、従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的に、正極性に帯電するトナーには、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂が荷電制御剤として使用できる。負極性に帯電するトナーには、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物が荷電制御剤として使用できる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
離型剤は、従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
〔その他の添加剤〕
その他、現像剤の流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコーンオイル等で疎水化した材料を用いるのが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1〜5重量部の割合で添加させることが好ましい。これら添加剤の個数平均一次粒径は9〜100nmであることが好ましい。
〔キャリア〕
キャリアは、従来から一般に使用されている公知のキャリアを使用できる。バインダー型キャリアやコート型キャリアのいずれを用いてもよい。キャリア粒径は、限定的ではないが、約15〜100μmが好ましい。
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、表面に正極性または負極性に帯電する微粒子又はコーティング層を有するものが使用できる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御できる。
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。キャリアの形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50〜90重量%の量で添加することが適当である。
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。これらの樹脂をキャリア表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、キャリアの電荷付与能力を向上できる。
バインダー型キャリアの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与えることにより微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むことで行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部が磁性樹脂キャリア表面から突出するように固定される。帯電性微粒子には、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的に、有機系の絶縁性材料としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子がある。電荷付与能力および帯電極性は、帯電性微粒子の素材、重合触媒、表面処理等に調整できる。無機系の絶縁性材料としては、シリカ、二酸化チタン等の負極性に帯電する無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正極性に帯電する無機微粒子が用いられる。
コート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子を樹脂で被覆したキャリアであり、バインダー型キャリア同様に、キャリア表面に正極性または負極性に帯電する帯電性微粒子を固着することができる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子の選択により調整できる。コーティング樹脂は、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
トナーとキャリアの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー比はトナーとキャリアとの合計量に対して3〜50重量%、好ましくは6〜30重量%が好ましい。
〔実験A〕
図1の現像装置を有する画像形成装置と図11に示す現像装置を備えた画像形成装置を用いて、荷電粒子の効果を調べた。実験用に、荷電粒子を担持していないトナーAと、荷電粒子を担持したトナーBを用意した。
〔トナーA〕
トナーAの製造方法は以下のとおりである。湿式造粒法で作成された体積平均粒径約6.5μmのトナー母材100重量部に、複数の添加剤−第1の疎水性シリカ0.2重量部、第2の疎水性シリカ0.5重量部、疎水性酸化チタン0.5重量部−を添加した。次に、三井鉱山社製のヘンシェルミキサを用い、添加剤が添加されたトナー母材を攪拌して添加剤をトナー母材の表面に付着させ、負極帯電性のトナーAを得た。ミキサの回転速度は40m/秒、攪拌時間は3分間であった。第1の疎水性シリカは、個数平均一次粒径16nmのシリカ(#130:日本アエロジル社製)を疎水化剤のヘキサメチルジラザン(HMDS)で表面処理して得たものである。第2の疎水性シリカは、固体平均一次粒径20nmのシリカ(#90:日本アエロジル社製)をHMDSで表面処理して得たものである。疎水性酸化チタンは、個数平均一次粒径30nmのアナターゼ型酸化チタンを、水系湿式環境で、疎水化剤のイソブチルトリメトキシシランにより表面処理して得たものである。
〔トナーB〕
トナーBの製造方法は以下のとおりである。トナーAに、荷電粒子として個数平均粒径350nmのチタン酸ストロンチウムを添加した。荷電粒子の添加量は、トナーAに含まれるトナー母材粒子100重量部に対して、2重量部であった。次に、荷電粒子が添加されたトナーAを三井鉱山社製のヘンシェルミキサで攪拌し、トナーの表面に荷電粒子を付着させて、トナーBを得た。ミキサの回転速度は40m/秒、攪拌時間は3分間であった。
〔キャリア〕
実験に用いたキャリアは、コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub C350キャリアである。このキャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子にアクリル系樹脂をコーティングしたコート型キャリアである。
〔実施例1〕
現像装置は図1に示す形態の現像装置を使用した。現像剤は、上述のキャリアとトナーBを用いた。現像剤中のトナー比率を8%に調整した。トナー比率は、現像剤全体の重量に対する、トナーと荷電粒子を含む添加材との合計重量の割合である。電界形成装置は、図9に示す形態を採用し、搬送ローラに直流電圧VDC2:−500ボルトを印加し、現像ローラには、直流電圧VDC1:−300ボルトと交流電圧を印加した。交流電圧は、周波数:2kHz、振幅VP−P:1,600ボルト、マイナスデューティ比(トナー回収デューティ比):40%、プラスデューティ比(トナー供給デューティ比):60%の矩形波であった(図13参照)。したがって、負極性に帯電したトナーをスリーブから現像ローラにバイアスする供給電位差(トナー供給電圧)は1,000ボルト、現像ローラからスリーブにトナーをバイアスする回収電圧差(トナー回収電圧)は600ボルトである。
現像ローラには、表面をアルマイト処理したアルミニウムローラを用いた。現像ローラとスリーブの供給回収ギャップは0.3mmに設定した。これにより、現像ローラとスリーブの間に形成されるトナーの供給電界は、3.3×106V/m(=1,000V/0.3mm)であった。規制板とスリーブの規制ギャップは、スリーブ上の磁気ブラシが現像ローラの外周面に接触するように、0.4mmとした。現像ローラとスリーブは同一方向に回転し、供給回収領域でスリーブ上の現像剤搬送方向と現像ローラ上のトナーが逆方向に移動するようにした。感光体の帯電電位は−550ボルト、感光体に形成された静電潜像非画像部画像部の電位は−60ボルトであった。感光体と現像ローラの現像ギャップは0.15mmに設定した。
〔比較例1〕
実施例1と同一の現像剤を用いた。現像装置は、図11に示す現像装置を用いた。スリーブには、振幅1,400ボルト、直流電圧−300ボルト、マイナスデューティ比50%、周波数4kHzの矩形波を印加した。スリーブと感光体の現像ギャップは0.3mmに設定した。その他の条件は、実施例1と同一である。
〔比較例2〕
荷電粒子を有するトナーBに代えて、荷電粒子の無いトナーAを用いた。その他の条件は、実施例1と同一である。
〔評価〕
コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製複写機bizhub C350を改造した画像形成装置を用い、複数の条件で画像面積率5%のオリジナル画像を50,000枚印刷した。10,000枚の印刷ごとに現像装置内の現像剤をサンプリングし、トナー帯電量を測定した。結果を図14に示す。この図から明らかなように、実施例1では、印刷枚数の増加に拘わらず、トナーの帯電量はほぼ一定の値を維持した。これに対し、比較例1,2では、印刷枚数の増加と共にトナーの帯電量が低下した。
50,000枚印刷後、現像剤からキャリアを分離し、キャリアの表面を走査電子顕微鏡で観察した。図15Aは、荷電粒子を有するトナーBを含む現像剤から分離されたキャリアの表面拡大写真である。写真に表れている小さな粒子をX線光電子分光法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)で分析したところ、荷電粒子の主成分であるストロンチウムが検出された。この検出結果は、キャリアの表面に荷電粒子が打ち込まれていることが裏付けるものであった。図15B、図15Cは、荷電粒子の無いトナーBを含む現像剤から分離されたキャリアの表面拡大写真である。図15Aと比較すると明らかなように、キャリアの表面に微小粒子は殆ど存在しなかった。
〔荷電粒子の帯電極性〕
図16に示す実験装置170を用いて荷電粒子の帯電極性を確認した。実験装置170は、固定円筒体172と、円筒体172の内部に回転可能に配置されたマグネットローラ174と、マグネットローラ174を囲む外筒176を有する。円筒体172と外筒176との間には、負極性のトナーを円筒体172から外筒176に向けて電気的に付勢しない電界、すなわち、トナーと逆極性の荷電粒子を円筒体172から外筒176に向けて付勢する電界を加えた。そして、荷電粒子を含むトナーBとキャリアからなる現像剤を攪拌した後、攪拌後の現像剤を円筒体172の外周面に保持させてマグネットローラ174を回転した。結果、円筒体172から外筒176に向かう電界付勢力を受けた荷電粒子のチタン酸ストロンチウムが現像剤から分離して離脱し、外筒176の内面上に確認された。これにより、チタン酸ストロンチウムがトナーとは逆の極性(正極性)に帯電していることが分かる。
〔結論〕
以上より、現像装置の中で、トナーとは逆の極性に帯電するチタン酸ストロンチウムがキャリアの表面に付着し、それにより、キャリアがトナーを帯電する能力の低下を補い、長期に亘ってトナーの帯電量が必要な値に保たれることが分かった。
〔実験B〕
実施例1で用いたトナーBと図1の現像装置を用いて、スリーブと現像ローラの間で現像剤に作用する電界の強さを変化させ、画像面積率が5%の画像を50,000枚印刷後、現像ローラの表面に担持されているトナー帯電量の低下量を測定した。実験の条件と結果を、表1,2に示す。
表1から分かるように、供給回収領域に直流電界であって1×106V/m以下の弱いトナー供給電界の場合(実験1,13)、比較的大きな帯電量の低下が見られた。ただし、そのような条件下にあっても実用上問題の無い画質が得られた。このような帯電量の低下は、荷電粒子をトナーから分離する電界が弱いことからトナーと共に挙動し、キャリア表面への荷電粒子付着量が少なく、十分なトナー荷電性能が得られなかった事に原因があるものと考えられる。したがって、直流電界を採用する場合、供給回収領域には1×106V/m以上のトナー供給電界を形成することが好ましい。
実験1、13と実験4の結果、また実験2と実験8,9の結果を対比すれば明らかなように、供給回収領域に振動電界を作用させた場合、直流電界と同等の平均電界であっても、より高いトナー帯電性能が得られることが分かる。その理由は、振動電界によってトナーと荷電粒子には逆方向の付勢力が交互に作用し、それにより荷電粒子がトナーから効率的に分離したものと考えられる。したがって、供給回収領域には、直流電界よりも振動電界を形成することがより好ましいといえる。また、振動電界を用いる場合、トナー供給電界は約2.5×10
6V/m以上であることが好ましいと考えられる。
〔実験C〕
〔比較例3〕
図1の現像装置と図17の現像装置を用いて、面積画像率5%の画像を50,000枚印刷し、トナー帯電量の低下と画像メモリの発生を調べた。図17の現像装置が図1の現像装置と異なる点は、スリーブ60の回転方向、磁石体58における磁極の配置、規制板62の取付位置である。結果を表3に示す。
表3に示すように、トナー帯電量の低下、画像メモリの点で、図17の現像装置は図1の現像装置に劣ることが確認された。これらの点で両現像装置に明らかな違いが表れた原因は、現像領域を移動するスリーブと現像ローラの移動方向が異なることによるものと思われる。具体的に、図1の現像装置では、現像領域ではスリーブと現像ローラの表面が逆の方向に移動するのに対して、図17の現像装置ではスリーブと現像ローラの表面が同一の方向に移動する。その結果、図1の現像装置では、現像ローラの表面部分はまず回収領域を通過し、そこで現像に寄与しなかったトナーがスリーブの磁気ブラシに回収される。このとき、磁気ブラシは、すでに供給領域で現像ローラにトナーが奪われて、トナーが少ない状態になっている。そして、トナーが少ない状態の磁気ブラシは、次の回収領域で効率良くトナーを回収する。したがって、供給回収領域を通過した現像ローラでは全て又は殆どのトナーが入れ替わり、画像メモリが生じることはない。これに対し、図17の現像装置では、供給回収領域に到達した磁気ブラシが現像ローラに接触する。このとき、磁気ブラシにはトナーが十分付着しているため、供給回収領域の上流側でスリーブから現像ローラに移動するトナー量は少なく、そこを通過した磁気ブラシには比較的多くのトナーが付着している。そのため、供給回収領域の下流側で、比較的多くのトナーが付着している磁気ブラシは現像ローラから多くのトナーを回収できず、結果的に、現像ローラの表面に画像メモリが残った状態になるものと思われる。
以上のように、図1と図17の現像装置では、現像ローラ上のトナーの入れ替わり、すなわち、供給回収領域におけるトナーの動きに大きな違いがあることから、トナーの動きに基づいてトナーから分離する荷電粒子の数も少なく、それがキャリアへの荷電粒子の打ち込み量、引いてはトナーを帯電する能力の違いとして表れたものと考えられる。
〔実験D〕
トナーBの他に複数のトナーC〜Gを用意して、トナー帯電量の変化を調べた。トナーC〜Gは、それぞれ個数平均粒径210nm、140nm、70nm、850nm、1,000nmのチタン酸ストロンチウムからなる荷電粒子をトナーAに添加し攪拌して得た。荷電粒子の添加量は、トナー母材粒子100重量部に対して2重量部とした。攪拌は、ヘンシェルミキサを用いて、40m/秒の攪拌速度で3分間行った。その他の条件は実施例1と同一である。
用意されたトナーB〜Gを図1の現像装置に装填し、画像面積率5%の画像を50,000枚印刷し、10,000枚ごとに現像ローラの外周面に保持されているトナーの帯電量を測定した。結果を図18のグラフに示す。このグラフに示すように、トナーB,C,D,Fについては帯電量の低下は殆ど無かったが、トナーE,Gについては印刷枚数の増加と共にトナー帯電量が低下する傾向が得られた。その結果から、個数平均粒径が小さくなると、荷電粒子がトナーから分離し難くなり、結果的にキャリアに付着する量が減少するものと考えられる。また、個数平均粒径が大きくなると、キャリアへの荷電粒子の打ち込み性が低下し、トナーの帯電性を有効に発揮できないものと考えられる。これらの事実から、荷電粒子の粒径は約100nm〜約850nmの範囲であることが好ましいと考えられる。
〔実験E〕
トナーBの他に複数のトナーH〜Kを用意して、トナー帯電量の変化を調べた。トナーH〜Kは、それぞれ個数平均粒径150nmの酸化チタン、個数平均粒径200nmのアルミナ、個数平均粒径500nmのチタン酸バリウム、個数平均粒径200nmのメラミン樹脂ビーズからなる荷電粒子をトナーAに添加し攪拌して得た。荷電粒子の添加量は、トナー母材粒子100重量部に対して2重量部とした。攪拌は、ヘンシェルミキサを用いて、40m/秒の攪拌速度で3分間行った。その他の条件は実施例1と同一である。
用意されたトナーH〜Kを図1の現像装置に装填し、画像面積率5%の画像を50,000枚印刷し、10,000枚ごとに現像ローラの外周面に保持されているトナーの帯電量を測定した。結果を図19のグラフに示す。このグラフに示すように、チタン酸ストロンチウムを添加したトナーB、チタン酸バリウムを添加したトナーJ、酸化チタンを添加したトナーHについては、トナー帯電量の低下は殆ど無かった。アルミナを添加したトナーIについては、トナー帯電量が多少低下した。メラミン樹脂ビーズを添加したトナーKについては、トナー帯電量の低下が最も大きくなった。
このように、荷電粒子を構成する材料の違いによって帯電量に違いが生じる原因は、材料自体の飽和帯電量にあるものと考えられる。つまり、粒子が持ち得る電荷量が少ない場合、粒子は早期に飽和し、その飽和帯電量はトナーを必要な程度まで帯電させるに足らないものであるが、粒子が持ち得る帯電量が多い場合、飽和状態まで帯電した粒子はトナーを必要程度まで帯電し得るものと考えられる。
粒子が持ち得る電荷量は、それを構成する材料の比誘電率に比例する。上述した荷電粒子材料の比誘電率を、実験Eで得られた帯電性の評価結果と共に、以下の表4に示す。この表より、トナーに添加する荷電粒子の比誘電率は、8.5以上であることが好ましいことが分かる。
〔実験F〕
〔比較例4〕
現像装置に荷電粒子を含む現像剤を装填し、トナー補給部の容器に荷電粒子を含まないトナーを装填し、画像面積率5%の画像を50,000枚印刷し、10,000枚ごとに現像ローラ上のトナーの帯電量を測定した。結果を、実施例1及び比較例2の結果とともに、図20に示す。図20のグラフに示すように、比較例4では、当初現像装置内に充填されている荷電粒子が消費されるまで(約、10,000枚の印刷まで)は帯電量の低下が見られなかったが、その後は印刷枚数の増加と共にトナーの帯電量が減少した。50,000枚の印刷が終了後、現像剤からキャリアをサンプリングして走査電子顕微鏡で表面を観察したところ、図15Aの写真とは異なり、キャリアの表面にチタン酸ストロンチウムは認められなかった。この実験から、荷電粒子を含む現像剤を現像装置に充填しても、その後の荷電粒子の補充がなければ、キャリアがトナーを荷電する能力が次第に低下することから、トナー補給機構を備えた現像装置にあっては補給用トナーに荷電粒子を含ませておくことが望ましいことが分かる。
[6.現像バイアスおよび供給バイアスの制御]
以下、現像バイアスおよび供給バイアスの制御について、図21〜図26を参照しながら説明する。
温湿環境の変化に伴ってトナー帯電量が変化したり、低印字率での大量プリントに伴ってトナーの外添剤が埋没若しくは離脱したりすると、これに伴って、現像ローラ48とトナーとの付着力が変化する。現像ローラ48とトナーとの付着力が変化すると、これに伴い、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動容易性が変化するため、現像ローラ48から感光体12へ供給されるトナー量(現像トナー量)が不安定となってしまう。このような問題に鑑みて、本実施形態では、現像バイアスおよび供給バイアスについて、現像トナー量を安定させるための制御(現像トナー量安定化制御)が行われる。
図21は、現像トナー量安定化制御の各処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
図21に示すように、まずステップ1において、現像トナー量安定化制御用の画像としてベタ画像が感光体12の表面に形成される。ただし、現像トナー量安定化制御用の画像は、ベタ画像以外の画像であってもよい。
次のステップ2では、トナー付着量センサ180により感光体12の表面の単位面積当たりのトナー付着量が検知され、検知されたトナー付着量の情報が制御部182に送信された後、ステップ3に進む。
ステップ3およびステップ6では、ステップ2で検知されたトナー付着量が、制御部182において現像トナー量安定化制御用の画像に対応して予め設定された複数の範囲のうち、いずれの範囲に属するかを判断するための処理が、制御部182の判断部186により行われる。具体的に、制御部182では、例えば、現像トナー量安定化制御用の画像を高温高湿環境(HH環境)(例えば、雰囲気温度30℃、相対湿度85%の環境)で形成するときに検知されるトナー付着量の範囲(HH環境時の範囲)、標準的な温湿環境(NN環境)(例えば、雰囲気温度23℃、相対湿度85%の環境)で形成するときに検知されるトナー付着量の範囲(NN環境時の範囲)、および低温低湿環境(LL環境)(例えば、雰囲気温度10℃、相対湿度15%の環境)で形成するときに検知されるトナー付着量の範囲(LL環境時の範囲)が設定されている。一般に、トナーの帯電量、すなわちトナーとキャリアとの付着力は、LL環境、NN環境、HH環境の順で大きいため、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動容易性は、HH環境、NN環境、LL環境の順で高い。そのため、制御部182において、上記3つの範囲は、大きいものから順にHH環境時の範囲、NN環境時の範囲、LL環境時の範囲となるように、且つ、互いの範囲が重複しないように設定される。より具体的に、HH環境時の範囲は所定量α1g/m2以上に設定され、NN環境時の範囲は所定量α2g/m2以上所定量α1g/m2未満に設定され、LL環境時の範囲は所定量α2g/m2未満に設定される。所定量α1およびα2は任意に設定できるが、例えば、所定量α1は1.5g/m2に設定され、所定量α2は1.2g/m2に設定される。
ステップ3では、ステップ2で検知されたトナー付着量が所定量α1以上であるか否かが判断される。ステップ3において、トナー付着量が所定量α1以上であると判断されるとステップ4に進み、トナー付着量が所定量α1未満であると判断されるとステップ6に進む。
ステップ4では、ステップ2で検知されたトナー付着量が、HH環境時の範囲に属すると判断部186により判断され、ステップ5に進む。
ステップ5では、バイアス制御部184により、現像バイアスおよび供給バイアスが、HH環境用のバイアスとなるように制御されて、処理が終了する。
ステップ6では、ステップ2で検知されたトナー付着量が所定量α2以上であるか否かが判断される。ステップ6において、トナー付着量が所定量α2以上であると判断されるとステップ7に進み、トナー付着量が所定量α2未満であると判断されるとステップ9に進む。
ステップ7では、ステップ2で検知されたトナー付着量が、NN環境時の範囲に属すると判断され、ステップ8に進む。
ステップ8では、バイアス制御部184により、現像バイアスおよび供給バイアスが、NN環境用のバイアスとなるように制御されて、処理が終了する。
ステップ9では、ステップ2で検知されたトナー付着量が、LL環境時の範囲に属すると判断され、ステップ10に進む。
ステップ10では、バイアス制御部184により、現像バイアスおよび供給バイアスが、LL環境用のバイアスとなるように制御されて、処理が終了する。
以下、現像バイアスおよび供給バイアスの具体的な構成について、第1〜第4の実施形態を説明する。
まず、第1〜第4の実施形態に共通する構成を説明する。現像剤として、現像剤中のトナー比率(重量比)が例えば8wt%のものが用いられる。トナーの正規帯電極性は負極性であり、キャリアおよび荷電粒子の正規帯電極性は正極性である。現像ローラ48としては、表面がアルマイト処理されたアルミニウム製のローラが用いられる。規制部材62とスリーブ60との間隔は例えば0.45mmとされ、スリーブ60上の現像剤量が例えば200g/m2となるように構成されている。現像ローラ48とスリーブ60との対向部において、現像ローラ48とスリーブ60との間隔は例えば0.3mmとされ、感光体12と現像ローラ48との対向部において、感光体12と現像ローラ48との間隔は例えば0.15mmとされている。現像ローラ48、スリーブ60および感光体12の回転速度は、例えば、(スリーブ60の周速度)/(現像ローラ48の周速度)=1.5で、且つ、(現像ローラ48の周速度)/(感光体12の周速度)=1.5となるように設定される。感光体12の表面電位は、非静電潜像部が例えば−550V、静電潜像部が例えば−50Vとなるように構成されている。
[第1の実施形態]
図22Aは、第1の実施形態に係る画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの構成を示し、図22Bは、図22Aに示す現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)を示している。
なお、第1の実施形態では、例えば、図9に示す電界形成装置158と同様、現像ローラ48に直流電源および交流電源が直列に接続され、スリーブ60に直流電源が接続されるが、現像ローラ48およびスリーブ60に接続する電源の構成は特に限定されない。
(NN環境用の制御)
現像トナー量安定化制御においてNN環境用の制御を行うとき、画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図22A(a)に示すように制御される。
具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−300Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば400Vの最大電圧値と例えば−1000Vの最小電圧値との間で変動する。一方、画像形成時の供給バイアスVSは、例えば−200Vの直流電圧で構成される。
画像形成時の現像バイアスVDの電位が最小電圧値(−1000V)のとき、すなわち、感光体12の表面の静電潜像部の電位VL(−50V)よりも低いとき、現像ローラ48と感光体12との間に、現像ローラ48上のトナーが感光体12の表面の静電潜像部に供給されて現像が行われる電界が形成される。他方、画像形成時の現像バイアスVDの電位が最大電圧値(400V)のとき、すなわち、感光体12の表面の静電潜像部の電位VL(−50V)よりも高いとき、現像ローラ48と感光体12との間に、感光体12上のトナーが現像ローラ48に回収される電界が形成される。画像形成時、これらの電界は交互に形成されるが、現像ローラ48から感光体12に供給されるトナー量は、感光体12から現像ローラ48に回収されるトナー量よりも多く、NN環境において所定量のトナーを現像ローラ48から感光体12へ移動させることができ、感光体12の表面に付着する単位面積当たりのトナー量を適正量とすることができる。なお、ベタ画像を形成する際、感光体12の表面に付着するトナーの単位面積当たりの適正量は、例えば5.5g/m2とされる。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図22B(a)に示す矩形波となる。現像バイアスVDが最小電圧値(−1000V)のとき、電位差(VS−VD)は負(具体的には−600V)となり、このとき、供給回収領域88において、スリーブ60に担持された現像剤中のトナーは現像ローラ48に供給され、荷電粒子の一部がトナーから分離してスリーブ60上の現像剤に回収される。他方、現像バイアスVDが最大電圧値(400V)のとき、電位差(VS−VD)は正(具体的には800V)となり、このとき、供給回収領域88において、現像ローラ48に担持されたトナーはスリーブ60上の現像剤に回収され、荷電粒子の一部がトナーから分離して現像ローラ48に供給される。画像形成時、こうした荷電粒子の回収と供給(消費)は交互に行われるが、荷電粒子の回収量は荷電粒子の消費量よりも多く、キャリアに保持される荷電粒子の量は、画像形成を行うに連れて増大する。こうしてキャリアによる荷電粒子の保持量が増大することにより、耐久に伴うキャリアのトナー帯電性の低下が補われる。
一方、非画像形成時には、図26(a)に示す制御が行われる。なお、本明細書でいう非画像形成時とは、前処理シーケンス時、像間シーケンス時、または後処理シーケンス時等を指す。具体的に説明すると、非画像形成時において、供給バイアスVSは、画像形成時と同様に構成されるが、現像バイアスVDは、−300Vの直流電圧のみから構成され、画像形成時のように直流電圧に交流電圧が重畳されない。そのため、非画像形成時において、現像バイアスVDは、供給バイアスVSよりも低電位である状態が常時維持され、現像領域96におけるトナーの飛散を防止できる。このとき、現像ローラ48とスリーブ60との間には、トナーが現像ローラ48からスリーブ60へ移動し、荷電粒子の一部がトナーから分離してスリーブ60から現像ローラ48へ移動する電界が形成される。このように構成されたNN環境用の非画像形成時のバイアス制御を行うことで、荷電粒子は単位時間当たりにCN消費される。
(LL環境用の制御)
LL環境では、NN環境と比較して、トナーがキャリアとの摩擦により帯電しやすく、トナーの帯電量が大きくなるため、トナーとキャリアとの間に作用するクーロン力が大きくなり、キャリアからトナーが分離し難い。そのため、画像形成時において、現像バイアスVDおよび供給バイアスVSをNN環境と同様に制御すると、スリーブ60から現像ローラ48へのトナーの供給量、および現像ローラ48から感光体12へのトナーの供給量が少なくなり、現像時に感光体12の表面に付着するトナー量(現像トナー量)が少なくなってしまう。そこで、NN環境と同様の現像トナー量を確保するため、LL環境用の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの制御は次のように構成される。
画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図22A(b)に示すように制御される。具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−300Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が40%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば400Vの最大電圧値と例えば−1000Vの最小電圧値との間で変動する。このように、画像形成時において、LL環境用の制御は、現像バイアスVDのマイナスデューティ比が、NN環境用の制御時のマイナスデューティ比(30%)よりも大きい40%とされているため、現像ローラ48と感光体12との間に、NN環境用の制御を行う場合と比較して、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動を容易とする電界が形成される。これにより、LL環境においても、NN環境と同様の現像トナー量が確保される。一方、画像形成時の供給バイアスVSは、NN環境用の制御時よりも低電位の例えば−400Vの直流電圧で構成される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図22B(b)に示す矩形波となる。荷電粒子の回収量は、電位差(VS−VD)が負であるときの電位差(VS−VD)の絶対値と現像バイアスVDのプラスデューティ比との積S1に比例し、荷電粒子の消費量は、電位差(VS−VD)が正であるときの電位差(VS−VD)と現像バイアスVDのマイナスデューティ比との積S2に比例する。したがって、荷電粒子の回収量から荷電粒子の消費量を差し引いた実質的な回収量は、上記の積S1,S2の差D(S1―S2)に比例する。NN環境用の制御を行う場合、差Dは下記の数式1のように算出される(図22B(a)参照)。
D=S1−S2=(電位差600V)×(プラスデューティ比70%)−(電位差800V)×(マイナスデューティ比30%)=420−240=180・・・(数式1)
一方、LL環境用の制御を行う場合、差Dは下記の数式2のように算出される(図22B(b)参照)。
D=S1−S2=(電位差800V)×(プラスデューティ比60%)−(電位差600V)×(マイナスデューティ比40%)=480−240=240・・・(数式2)
これらの計算から分かるように、LL環境用の制御時の差Dは、NN環境用の制御時の差Dの約1.33倍であるため、荷電粒子の実質的な回収量も、LL環境用の制御時において、NN環境用の制御時の約1.33倍となる。したがって、LL環境用の制御において、非画像形成時のバイアス制御をNN環境用の制御時と同様に行うと、荷電粒子の回収量が過剰となり、プリントを行うに連れてキャリアのトナー帯電性が上昇してしまう。そこで、LL環境においても、NN環境時と同様にキャリアのトナー帯電性を適正に維持するため、LL環境用の非画像形成時のバイアス制御が、次のように行われる。
図26(b)に示すように、非画像形成時において、現像バイアスVDは、NN環境用の制御と同様、−300Vの直流電圧により構成されるが、供給バイアスVSは、NN環境用の制御よりも高電位の例えば−150Vの直流電圧により構成される。LL環境用の制御時において、現像ローラ48とスリーブ60との間には、NN環境用の制御時と同様、トナーが現像ローラ48からスリーブ60へ移動し、荷電粒子の一部がトナーから分離してスリーブ60から現像ローラ48へ移動する電界が形成されるが、NN環境用の制御時と比較して、供給バイアスVSと現像バイアスVDとの電位差が大きいため、単位時間当たりの荷電粒子の消費量CLが、NN環境用の制御時の荷電粒子の消費量CNよりも多くなる。このように、LL環境用の制御時は、非画像形成時の荷電粒子の消費量CLがNN環境用の制御時よりも多いため、上述のように画像形成時に過剰に回収される荷電粒子を、非画像形成時に消費でき、キャリアのトナー帯電性が適正に維持される。
(HH環境用の制御)
HH環境では、NN環境と比較して、トナーがキャリアとの摩擦により帯電し難く、トナーの帯電量が小さくなるため、トナーとキャリアとの間に作用するクーロン力が小さくなり、キャリアからトナーが分離しやすい。そのため、画像形成時において、現像バイアスVDおよび供給バイアスVSをNN環境と同様に制御すると、スリーブ60から現像ローラ48へのトナーの供給量、および現像ローラ48から感光体12へのトナーの供給量が多くなり、現像トナー量が多くなってしまう。そこで、現像トナー量をNN環境と同様の量にするため、HH環境用の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの制御は次のように構成される。
画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図22A(c)に示すように制御される。具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−300Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が20%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば400Vの最大電圧値と例えば−1000Vの最小電圧値との間で変動する。このように、画像形成時において、HH環境用の制御は、現像バイアスVDのマイナスデューティ比が、NN環境用の制御時のマイナスデューティ比(30%)よりも小さい20%とされているため、現像ローラ48と感光体12との間に、NN環境用の制御を行う場合と比較して、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動を困難とする電界が形成される。これにより、HH環境においても、現像トナー量がNN環境と同様となる。一方、画像形成時の供給バイアスVSは、NN環境用の制御時よりも高電位の例えば0Vの直流電圧で構成される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図22B(c)に示す矩形波となる。HH環境用の制御を行う場合、上述の差Dは下記の数式3のように算出される。
D=S1−S2=(電位差400V)×(プラスデューティ比80%)−(電位差1000V)×(マイナスデューティ比20%)=320−200=120・・・(数式3)
NN環境用の制御を行う場合の差Dは、上述のように180であることから、HH環境用の制御時の差Dは、NN環境用の制御時の差Dの約0.67倍である。そのため、荷電粒子の実質的な回収量も、HH環境用の制御時において、NN環境用の制御時の約0.67倍となる。したがって、HH環境用の制御において、非画像形成時のバイアス制御をNN環境用の制御時と同様に行うと、荷電粒子の回収量が不足し、プリントを行うに連れてキャリアのトナー帯電性が低下してしまう。そこで、HH環境においても、NN環境時と同様にキャリアのトナー帯電性を適正に維持するため、HH環境用の非画像形成時のバイアス制御が、次のように行われる。
図26(c)に示すように、非画像形成時において、現像バイアスVDは、NN環境用の制御と同様、−300Vの直流電圧により構成されるが、供給バイアスVSは、NN環境用の制御よりも低電位の例えば−225Vの直流電圧により構成される。HH環境用の制御時において、現像ローラ48とスリーブ60との間には、NN環境用の制御時と同様、トナーが現像ローラ48からスリーブ60へ移動し、荷電粒子の一部がトナーから分離してスリーブ60から現像ローラ48へ移動する電界が形成されるが、NN環境用の制御時と比較して、供給バイアスVSと現像バイアスVDとの電位差が小さいため、単位時間当たりの荷電粒子の消費量CHが、NN環境用の制御時の荷電粒子の消費量CNよりも少なくなる。このように、HH環境用の制御時は、非画像形成時の荷電粒子の消費量CHがNN環境用の制御時よりも少ないため、キャリアによる荷電粒子の回収量が不足することを回避でき、キャリアのトナー帯電性が適正に維持される。
[第2の実施形態]
図23Aは、第2の実施形態に係る画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの構成を示し、図23Bは、図23Aに示す現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)を示している。
なお、第2の実施形態では、例えば、図9に示す電界形成装置158と同様、現像ローラ48に直流電源および交流電源が直列に接続され、スリーブ60に直流電源が接続されるが、現像ローラ48およびスリーブ60に接続する電源の構成は特に限定されない。
(NN環境用の制御)
現像トナー量安定化制御においてNN環境用の制御を行うとき、画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図23A(a)に示すように制御される。かかる制御は、第1の実施形態に係るNN環境用の画像形成時の制御と同じ構成である(図22A(a)参照)。
具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−300Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば400Vの最大電圧値と例えば−1000Vの最小電圧値との間で変動する。これにより、NN環境の現像時、所定量のトナーが現像ローラ48から感光体12へ移動し、感光体12の表面に付着する単位面積当たりのトナー量を適正量とすることができる。一方、画像形成時の供給バイアスVSは、例えば−200Vの直流電圧で構成される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図23B(a)に示すように、第1の実施形態と同様の矩形波となる。したがって、第1の実施形態と同様、現像ローラ48からスリーブ60に回収される荷電粒子の量は、スリーブ60から現像ローラ48へ供給される荷電粒子の量よりも多くなり、キャリアに保持される荷電粒子の量は、画像形成を行うに連れて増大する。こうしてキャリアによる荷電粒子の保持量が増大することにより、耐久に伴うキャリアのトナー帯電性の低下が補われる。
一方、非画像形成時には、第1の実施形態と同様、図26(a)に示す制御が行われる。非画像形成時の制御により、現像ローラ48とスリーブ60との間には、トナーが現像ローラ48からスリーブ60へ移動し、荷電粒子の一部がトナーから分離してスリーブ60から現像ローラ48へ移動する電界が形成される。このとき、単位時間当たりの荷電粒子の消費量はCNとなる。
(LL環境用の制御)
LL環境においても、NN環境と同様の現像トナー量を確保するため、LL環境用の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの制御は次のように構成される。
画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図23A(b)に示すように制御される。具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−440Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば260Vの最大電圧値と例えば−1140Vの最小電圧値との間で変動する。このように、画像形成時において、LL環境用の制御は、現像バイアスVDの最大電圧値および最小電圧値が、NN環境用の制御時よりも低電位となるため、現像ローラ48と感光体12との間に、NN環境用の制御を行う場合と比較して、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動を容易とする電界が形成される。これにより、LL環境においても、NN環境と同様の現像トナー量が確保される。一方、画像形成時の供給バイアスVSは、NN環境用の制御時よりも低電位の例えば−400Vの直流電圧で構成される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図23B(b)に示す矩形波となる。NN環境用の制御を行う場合、上述の差Dは、第1の実施形態と同様、180となる。一方、LL環境用の制御を行う場合、差Dは下記の数式4のように算出される。
D=S1−S2=(電位差660V)×(プラスデューティ比70%)−(電位差740V)×(マイナスデューティ比30%)=462−222=240・・・(数式4)
このように、LL環境用の制御時の差Dは、NN環境用の制御時の差Dの約1.33倍であるため、荷電粒子の実質的な回収量も、LL環境用の制御時において、NN環境用の制御時の約1.33倍となる。したがって、LL環境用の制御において、非画像形成時のバイアス制御をNN環境用の制御時と同様に行うと、荷電粒子の回収量が過剰となり、プリントを行うに連れてキャリアのトナー帯電性が上昇してしまう。
そこで、LL環境においても、NN環境時と同様にキャリアのトナー帯電性を適正に維持するため、LL環境用の非画像形成時のバイアス制御が、第1の実施形態と同様に行われる(図26(b)参照)。具体的に、非画像形成時において、現像バイアスVDは、NN環境用の制御と同様、−300Vの直流電圧により構成され、供給バイアスVSは、NN環境用の制御よりも高電位の例えば−150Vの直流電圧により構成される。これにより、NN環境用の制御時と比較して、非画像形成時の供給バイアスVSと現像バイアスVDとの電位差が大きくなり、単位時間当たりの荷電粒子の消費量CLが、NN環境用の制御時の荷電粒子の消費量CNよりも多くなるため、画像形成時に過剰に回収される荷電粒子を非画像形成時に消費でき、キャリアのトナー帯電性が適正に維持される。
(HH環境用の制御)
HH環境においても、現像トナー量をNN環境と同様の量にするため、HH環境用の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの制御は次のように構成される。
画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図23A(c)に示すように制御される。具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−160Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば540Vの最大電圧値と例えば−860Vの最小電圧値との間で変動する。このように、画像形成時において、HH環境用の制御は、現像バイアスVDの最大電圧値および最小電圧値が、NN環境用の制御時よりも高電位となるため、現像ローラ48と感光体12との間に、NN環境用の制御を行う場合と比較して、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動を困難とする電界が形成される。これにより、LL環境においても、現像トナー量がNN環境と同様となる。一方、画像形成時の供給バイアスVSは、NN環境用の制御時よりも高電位の例えば0Vの直流電圧で構成される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図23B(c)に示す矩形波となる。HH環境用の制御を行う場合、上述の差Dは下記の数式5のように算出される。
D=S1−S2=(電位差540V)×(プラスデューティ比70%)−(電位差860V)×(マイナスデューティ比30%)=378−258=120・・・(数式5)
NN環境用の制御を行う場合の差Dは、上述のように180であることから、HH環境用の制御時の差Dは、NN環境用の制御時の差Dの約0.67倍である。そのため、荷電粒子の実質的な回収量も、HH環境用の制御時において、NN環境用の制御時の約0.67倍となる。したがって、HH環境用の制御において、非画像形成時のバイアス制御をNN環境用の制御時と同様に行うと、荷電粒子の回収量が不足し、プリントを行うに連れてキャリアのトナー帯電性が低下してしまう。
そこで、HH環境においても、NN環境時と同様にキャリアのトナー帯電性を適正に維持するため、HH環境用の非画像形成時のバイアス制御が、第1の実施形態と同様に行われる(図26(c)参照)。具体的に、非画像形成時において、現像バイアスVDは、NN環境用の制御と同様、−300Vの直流電圧により構成され、供給バイアスVSは、NN環境用の制御よりも低電位の例えば−225Vの直流電圧により構成される。これにより、NN環境用の制御時と比較して、非画像形成時の供給バイアスVSと現像バイアスVDとの電位差が小さくなり、単位時間当たりの荷電粒子の消費量CHが、NN環境用の制御時の荷電粒子の消費量CNよりも少なくなるため、キャリアによる荷電粒子の回収量が不足することを回避でき、キャリアのトナー帯電性が適正に維持される。
[第3の実施形態]
図24Aは、第3の実施形態に係る画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの構成を示し、図24Bは、図24Aに示す現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)を示している。
なお、第3の実施形態では、例えば、図8に示す電界形成装置152と同様、現像ローラ48に直流電源および交流電源が直列に接続され、スリーブ60にも直流電源および交流電源が直列に接続されるが、現像ローラ48およびスリーブ60に接続する電源の構成は特に限定されない。
(NN環境用の制御)
現像トナー量安定化制御においてNN環境用のバイアス制御を行うとき、画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図24A(a)に示すように制御される。
具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−300Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば400Vの最大電圧値と例えば−1000Vの最小電圧値との間で変動する。これにより、NN環境の現像時、所定量のトナーが現像ローラ48から感光体12へ移動し、感光体12の表面に付着する単位面積当たりのトナー量を適正量とすることができる。
一方、画像形成時の供給バイアスVSは、例えば−80Vの直流電圧VSDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが600V、プラスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VSACが重畳されて構成され、例えば220Vの最大電圧値と例えば−380Vの最小電圧値との間で変動する。供給バイアスVSは、現像バイアスVDと逆位相となるように同期して印加される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図24B(a)に示す矩形波となる。現像バイアスVDが最小電圧値(−1000V)のとき、電位差(VS−VD)は負(具体的には−780V)となり、このとき、供給回収領域88において、スリーブ60に担持された現像剤中のトナーは現像ローラ48に供給され、荷電粒子の一部がトナーから分離してスリーブ60上の現像剤に回収される。他方、現像バイアスVDが最大電圧値(400V)のとき、電位差(VS−VD)は正(具体的には1200V)となり、このとき、供給回収領域88において、現像ローラ48に担持されたトナーはスリーブ60上の現像剤に回収され、荷電粒子の一部がトナーから分離して現像ローラ48に供給される。画像形成時、こうした荷電粒子の回収と供給(消費)は交互に行われるが、荷電粒子の回収量は荷電粒子の消費量よりも多く、キャリアに保持される荷電粒子の量は、画像形成を行うに連れて増大する。こうしてキャリアによる荷電粒子の保持量が増大することにより、耐久に伴うキャリアのトナー帯電性の低下が補われる。
一方、非画像形成時には、第1および第2の実施形態と同様、図26(a)に示す制御が行われる。かかる非画像形成時の制御により、現像ローラ48とスリーブ60との間には、トナーが現像ローラ48からスリーブ60へ移動し、荷電粒子の一部がトナーから分離してスリーブ60から現像ローラ48へ移動する電界が形成される。このとき、荷電粒子は単位時間当たりにCN消費される。
(LL環境用の制御)
LL環境においても、NN環境と同様の現像トナー量を確保するため、LL環境用の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの制御は次のように構成される。
画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図24A(b)に示すように制御される。具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−300Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が40%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば400Vの最大電圧値と例えば−1000Vの最小電圧値との間で変動する。このように、画像形成時において、LL環境用の制御は、現像バイアスVDのマイナスデューティ比が、NN環境用の制御時のマイナスデューティ比(30%)よりも大きい40%とされているため、現像ローラ48と感光体12との間に、NN環境用の制御を行う場合と比較して、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動を容易とする電界が形成される。これにより、LL環境においても、NN環境と同様の現像トナー量が確保される。
一方、画像形成時の供給バイアスVSは、例えば−340Vの直流電圧VSDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが600V、プラスデューティ比が40%、周波数が2kHzである交流電圧VSACが重畳されて構成され、例えば−40Vの最大電圧値と例えば−640Vの最小電圧値との間で変動する。NN環境用の制御時と同様、供給バイアスVSは、現像バイアスVDと逆位相となるように同期して印加される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図24B(b)に示す矩形波となる。NN環境用の制御を行う場合、上述の差Dは下記の数式6のように算出される(図24B(a)参照)。
D=S1−S2=(電位差780V)×(現像バイアスVDのプラスデューティ比70%)−(電位差1220V)×(現像バイアスVDのマイナスデューティ比30%)=546−366=180・・・(数式6)
一方、LL環境用の制御を行う場合、差Dは下記の数式7のように算出される(図24B(b)参照)。
D=S1−S2=(電位差1040V)×(現像バイアスVDのプラスデューティ比60%)−(電位差960V)×(現像バイアスVDのマイナスデューティ比40%)=624−384=240・・・(数式7)
これらの計算から分かるように、LL環境用の制御時の差Dは、NN環境用の制御時の差Dの約1.33倍であるため、荷電粒子の実質的な回収量も、LL環境用の制御時において、NN環境用の制御時の約1.33倍となる。したがって、LL環境用の制御において、非画像形成時のバイアス制御をNN環境用の制御時と同様に行うと、荷電粒子の回収量が過剰となり、プリントを行うに連れてキャリアのトナー帯電性が上昇してしまう。
そこで、LL環境においても、NN環境時と同様にキャリアのトナー帯電性を適正に維持するため、LL環境用の非画像形成時のバイアス制御が、第1の実施形態と同様に行われる(図26(b)参照)。具体的に、非画像形成時において、現像バイアスVDは、NN環境用の制御と同様、−300Vの直流電圧により構成され、供給バイアスVSは、NN環境用の制御よりも高電位の例えば−150Vの直流電圧により構成される。これにより、NN環境用の制御時と比較して、非画像形成時の供給バイアスVSと現像バイアスVDとの電位差が大きくなり、単位時間当たりの荷電粒子の消費量CLが、NN環境用の制御時の荷電粒子の消費量CNよりも多くなるため、画像形成時に過剰に回収される荷電粒子を非画像形成時に消費でき、キャリアのトナー帯電性が適正に維持される。
(HH環境用の制御)
HH環境においても、現像トナー量をNN環境と同様の量にするため、HH環境用の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの制御は次のように構成される。
画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図24A(c)に示すように制御される。具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−300Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が20%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば400Vの最大電圧値と例えば−1000Vの最小電圧値との間で変動する。このように、画像形成時において、HH環境用の制御は、現像バイアスVDのマイナスデューティ比が、NN環境用の制御時のマイナスデューティ比(30%)よりも小さい20%とされているため、現像ローラ48と感光体12との間に、NN環境用の制御を行う場合と比較して、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動を困難とする電界が形成される。これにより、HH環境においても、現像トナー量がNN環境と同様となる。
一方、画像形成時の供給バイアスVSは、例えば180Vの直流電圧VSDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが600V、プラスデューティ比が20%、周波数が2kHzである交流電圧VSACが重畳されて構成され、例えば480Vの最大電圧値と例えば−120Vの最小電圧値との間で変動する。NN環境用の制御時およびLL環境用の制御時と同様、供給バイアスVSは、現像バイアスVDと逆位相となるように同期して印加される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図24B(c)に示す矩形波となる。HH環境用の制御を行う場合、上述の差Dは下記の数式8のように算出される。
D=S1−S2=(電位差520V)×(現像バイアスVDのプラスデューティ比80%)−(電位差1480V)×(現像バイアスVDのマイナスデューティ比20%)=416−296=120・・・(数式8)
NN環境用の制御を行う場合の差Dは、上述のように180であることから、HH環境用の制御時の差Dは、NN環境用の制御時の差Dの約0.67倍である。そのため、荷電粒子の実質的な回収量も、HH環境用の制御時において、NN環境用の制御時の約0.67倍となる。したがって、HH環境用の制御において、非画像形成時のバイアス制御をNN環境用の制御時と同様に行うと、荷電粒子の回収量が不足し、プリントを行うに連れてキャリアのトナー帯電性が低下してしまう。
そこで、HH環境においても、NN環境時と同様にキャリアのトナー帯電性を適正に維持するため、HH環境用の非画像形成時のバイアス制御が、第1の実施形態と同様に行われる(図26(c)参照)。具体的に、非画像形成時において、現像バイアスVDは、NN環境用の制御と同様、−300Vの直流電圧により構成され、供給バイアスVSは、NN環境用の制御よりも低電位の例えば−225Vの直流電圧により構成される。これにより、NN環境用の制御時と比較して、非画像形成時の供給バイアスVSと現像バイアスVDとの電位差が小さくなり、単位時間当たりの荷電粒子の消費量CHが、NN環境用の制御時の荷電粒子の消費量CNよりも少なくなるため、キャリアによる荷電粒子の回収量が不足することを回避でき、キャリアのトナー帯電性が適正に維持される。
[第4の実施形態]
図25Aは、第4の実施形態に係る画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの構成を示し、図25Bは、図25Aに示す現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)を示している。
なお、第4の実施形態では、例えば、図8に示す電界形成装置152と同様、現像ローラ48に直流電源および交流電源が直列に接続され、スリーブ60にも直流電源および交流電源が直列に接続されるが、現像ローラ48およびスリーブ60に接続する電源の構成は特に限定されない。
(NN環境用の制御)
現像トナー量安定化制御においてNN環境用のバイアス制御を行うとき、画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図25A(a)に示すように制御される。かかる制御は、第3の実施形態に係るNN環境用の画像形成時の制御と同じ構成である(図24A(a)参照)。
具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−300Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば400Vの最大電圧値と例えば−1000Vの最小電圧値との間で変動する。これにより、NN環境の現像時、所定量のトナーが現像ローラ48から感光体12へ移動し、感光体12の表面に付着する単位面積当たりのトナー量を適正量とすることができる。
一方、画像形成時の供給バイアスVSは、例えば−80Vの直流電圧VSDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが600V、プラスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VSACが重畳されて構成され、例えば220Vの最大電圧値と例えば−380Vの最小電圧値との間で変動する。供給バイアスVSは、現像バイアスVDと逆位相となるように同期して印加される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図25B(a)に示すように、第3の実施形態と同様の矩形波となる。したがって、第1の実施形態と同様、現像ローラ48からスリーブ60に回収される荷電粒子の量は、スリーブ60から現像ローラ48へ供給される荷電粒子の量よりも多くなり、キャリアに保持される荷電粒子の量は、画像形成を行うに連れて増大する。こうしてキャリアによる荷電粒子の保持量が増大することにより、耐久に伴うキャリアのトナー帯電性の低下が補われる。
一方、非画像形成時には、第1〜第3の実施形態と同様、図26(a)に示す制御が行われる。かかる非画像形成時の制御により、現像ローラ48とスリーブ60との間には、トナーが現像ローラ48からスリーブ60へ移動し、荷電粒子の一部がトナーから分離してスリーブ60から現像ローラ48へ移動する電界が形成される。このとき、荷電粒子は単位時間当たりにCN消費される。
(LL環境用の制御)
LL環境においても、NN環境と同様の現像トナー量を確保するため、LL環境用の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの制御は次のように構成される。
画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図25A(b)に示すように制御される。具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−440Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば260Vの最大電圧値と例えば−1140Vの最小電圧値との間で変動する。このように、画像形成時において、LL環境用の制御は、現像バイアスVDの最大電圧値および最小電圧値が、NN環境用の制御時よりも低電位となるため、現像ローラ48と感光体12との間に、NN環境用の制御を行う場合と比較して、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動を容易とする電界が形成される。これにより、LL環境においても、NN環境と同様の現像トナー量が確保される。
一方、画像形成時の供給バイアスVSは、例えば−280Vの直流電圧VSDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが600V、プラスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VSACが重畳されて構成され、例えば−20Vの最大電圧値と例えば−580Vの最小電圧値との間で変動する。NN環境用の制御時と同様、供給バイアスVSは、現像バイアスVDと逆位相となるように同期して印加される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図25B(b)に示す矩形波となる。NN環境用の制御を行う場合、上述の差Dは、第3の実施形態と同様、180となる。一方、LL環境用の制御を行う場合、差Dは下記の数式9のように算出される。
D=S1−S2=(電位差840V)×(現像バイアスVDのプラスデューティ比70%)−(電位差1160V)×(現像バイアスVDのマイナスデューティ比30%)=588−348=240・・・(数式9)
このように、LL環境用の制御時の差Dは、NN環境用の制御時の差Dの約1.33倍であるため、荷電粒子の実質的な回収量も、LL環境用の制御時において、NN環境用の制御時の約1.33倍となる。したがって、LL環境用の制御において、非画像形成時のバイアス制御をNN環境用の制御時と同様に行うと、荷電粒子の回収量が過剰となり、プリントを行うに連れてキャリアのトナー帯電性が上昇してしまう。
そこで、LL環境においても、NN環境時と同様にキャリアのトナー帯電性を適正に維持するため、LL環境用の非画像形成時のバイアス制御が、第1の実施形態と同様に行われる(図26(b)参照)。具体的に、非画像形成時において、現像バイアスVDは、NN環境用の制御と同様、−300Vの直流電圧により構成され、供給バイアスVSは、NN環境用の制御よりも高電位の例えば−150Vの直流電圧により構成される。これにより、NN環境用の制御時と比較して、非画像形成時の供給バイアスVSと現像バイアスVDとの電位差が大きくなり、単位時間当たりの荷電粒子の消費量CLが、NN環境用の制御時の荷電粒子の消費量CNよりも多くなるため、画像形成時に過剰に回収される荷電粒子を非画像形成時に消費でき、キャリアのトナー帯電性が適正に維持される。
(HH環境用の制御)
HH環境においても、現像トナー量をNN環境と同様の量にするため、HH環境用の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSの制御は次のように構成される。
画像形成時の現像バイアスVDおよび供給バイアスVSは、図25A(c)に示すように制御される。具体的に、画像形成時において、現像バイアスVDは、例えば−160Vの直流電圧VDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが1400V、マイナスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VACが重畳されて構成され、例えば540Vの最大電圧値と例えば−860Vの最小電圧値との間で変動する。このように、画像形成時において、HH環境用の制御は、現像バイアスVDの最大電圧値および最小電圧値が、NN環境用の制御時よりも高電位となるため、現像ローラ48と感光体12との間に、NN環境用の制御を行う場合と比較して、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動を困難とする電界が形成される。これにより、LL環境においても、現像トナー量がNN環境と同様となる。
一方、画像形成時の供給バイアスVSは、例えば120Vの直流電圧VSDCに、例えばピーク・ツー・ピーク電圧Vppが600V、プラスデューティ比が30%、周波数が2kHzである交流電圧VSACが重畳されて構成され、例えば420Vの最大電圧値と例えば−180Vの最小電圧値との間で変動する。NN環境用の制御時およびLL環境用の制御時と同様、供給バイアスVSは、現像バイアスVDと逆位相となるように同期して印加される。
現像バイアスVDと供給バイアスVSとの電位差(VS−VD)は、図25B(c)に示す矩形波となる。HH環境用の制御を行う場合、上述の差Dは下記の数式10のように算出される。
D=S1−S2=(電位差720V)×(現像バイアスVDのプラスデューティ比70%)−(電位差1280V)×(現像バイアスVDのマイナスデューティ比30%)=504−384=120・・・(数式10)
NN環境用の制御を行う場合の差Dは、上述のように180であることから、HH環境用の制御時の差Dは、NN環境用の制御時の差Dの約0.67倍である。そのため、荷電粒子の実質的な回収量も、HH環境用の制御時において、NN環境用の制御時の約0.67倍となる。したがって、HH環境用の制御において、非画像形成時のバイアス制御をNN環境用の制御時と同様に行うと、荷電粒子の回収量が不足し、プリントを行うに連れてキャリアのトナー帯電性が低下してしまう。
そこで、HH環境においても、NN環境時と同様にキャリアのトナー帯電性を適正に維持するため、HH環境用の非画像形成時のバイアス制御が、第1の実施形態と同様に行われる(図26(c)参照)。具体的に、非画像形成時において、現像バイアスVDは、NN環境用の制御と同様、−300Vの直流電圧により構成され、供給バイアスVSは、NN環境用の制御よりも低電位の例えば−225Vの直流電圧により構成される。これにより、NN環境用の制御時と比較して、非画像形成時の供給バイアスVSと現像バイアスVDとの電位差が小さくなり、単位時間当たりの荷電粒子の消費量CHが、NN環境用の制御時の荷電粒子の消費量CNよりも少なくなるため、キャリアによる荷電粒子の回収量が不足することを回避でき、キャリアのトナー帯電性が適正に維持される。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、トナー付着量センサ180を感光体12の表面に対向して配置し、感光体12の表面に付着したトナー量を検知することで、現像トナー量を検知する構成について説明したが、本発明において、現像トナー量を検知するための構成は、上述の実施形態に限られず、例えば、感光体上のトナー像が転写される中間転写ベルトを備えた画像形成装置において、トナー付着量センサ180を中間転写バベルの外周面に対向して配置して、中間転写ベルトの外周面に付着したトナー量を検知することで、現像トナー量を検知する構成としてもよい。
また、本発明では、現像ローラ48から感光体12へのトナーの移動容易性を確認するための検出値は、上述の実施形態で説明した感光体12の表面のトナーの付着量に限られない。例えば、画像形成装置1の内部に温度センサおよび湿度センサを設けて、これらのセンサで検知される雰囲気温度および相対湿度の検出値を、トナーの移動容易性を確認するための検出値として用いることが可能である。この場合、判断部186は、雰囲気温度および相対湿度の検出値に基づき、機内の温湿環境が、HH環境、NN環境またはLL環境のいずれの範囲に属するかを判断するように構成すればよい。
さらに、上述の実施形態では、非画像形成時において適量の荷電粒子が消費されるように現像バイアスおよび供給バイアスを制御する構成について説明したが、本発明は、非画像形成時において適量の荷電粒子が回収されるように現像バイアスおよび供給バイアスを制御する構成も含むものである。
1:画像形成装置、2:現像剤、4:キャリア、6:トナー、8:荷電粒子、10:スペント、12:感光体、16:帯電ステーション、18:露光ステーション、20:現像ステーション、22:転写ステーション、24:クリーニングステーション、26:帯電装置、28:露光装置、30:画像光、32:通路、34:現像装置、36:転写装置、38:シート、40:クリーニング装置、42:ハウジング、44:開口部、46:第2の空間、48:現像ローラ、50:現像ギャップ、52:第2の空間、54:搬送ローラ、56:供給回収ギャップ、58:磁石体、60:スリーブ、63:規制板、64:規制ギャップ、66:現像剤攪拌室、68:前室、70:後室、72:前スクリュー、74:後スクリュー、76:隔壁、86:規制領域、88:供給回収領域、90:供給領域、92:回収領域、94:放出領域、96:現像領域、98:トナー補給部、100:容器、102:開口部、104:補給ローラ、110:電界形成装置、112:第1の電源、114:第2の電源、116:グランド、118:直流電源、120:直流電源、122:電界形成装置、124:第1の電源、126:グランド、128:直流電源、130:第2の電源、132:直流電源、134:交流電源、136:電界形成装置、138:第1の電源、140:グランド、142:直流電源、144:交流電源、146:第2の電源、148:端子、150:直流電源、152:電界形成装置、154:交流電源、156:交流電源、158:電界形成装置、160:交流電源、180:トナー付着量センサ、182:制御部、184:バイアス制御部、186:判断部。