JP5386450B2 - 電解質 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質に関し、さらに詳しくは、水酸化物イオン伝導性及び耐久性に優れ、かつ、ヒドラジンを燃料とするアルカリ形燃料電池に用いられる電解質に関する。
アルカリ形燃料電池は、電解質として、アルカリ電解液や陰イオン交換型高分子電解質などの水酸化物イオン伝導体を用いた燃料電池である。
アルカリ形燃料電池は、アルカリ雰囲気で使用されるため、ニッケル等の安価な電極触媒を使用することができる。また、酸性と比較して腐食環境が緩和されるため、Tiなどの高価なセパレータを用いる必要がない。そのため、アルカリ形燃料電池は、プロトン交換型高分子電解質を用いる固体高分子型燃料電池に比べて、燃料電池システムの低コスト化を実現できる可能性がある。
このようなアルカリ形燃料電池の電解質などに使用可能な陰イオン交換型高分子電解質及びその製造方法に関し、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、陰イオン交換型高分子電解質ではないが、モノアリルアミン又はジアリルアミンに由来する構成単位と、アリルスルホン酸化合物に由来する構成単位を含むアリルアミン−アリルスルホン酸系共重合体が開示されている。
また、特許文献2、3には、3級アミン及び/又は4級アンモニウム塩を含有する高分子架橋体であって、少なくとも1つの架橋部位の両端部に3級アミン構造を有する高分子架橋体が開示されている。
同文献には、このような構造を備えた高分子架橋体は、耐熱分解性に優れている点が記載されている。
また、特許文献4には、
(a)ビニルカルボン酸アミド、架橋性重合単量体、及び重合開始剤を含む重合性組成物を炭化水素系多孔質フィルムの空隙部に充填し、空隙部内で重合性組成物を重合硬化し、
(b)カルボン酸アミド基を加水分解してアミノ基に変換し、
(c)アミノ基をアルキル化剤により4級アンモニウム塩に変換する
ことにより得られる炭化水素系陰イオン交換膜が開示されている。
同文献には、このような構成を備えた炭化水素系陰イオン交換膜は、高イオン交換容量で、かつ、高伝導性を有する点が記載されている。
また、特許文献5には、主鎖がスチレン骨格を有し、芳香環にアルキレン鎖を介して4級アンモニウム基が結合している陰イオン交換樹脂、及び、この陰イオン交換樹脂を多孔膜の空隙部に充填した炭化水素系陰イオン交換膜が開示されている。
同文献には、このような構造を備えた炭化水素系陰イオン交換膜は、イオン交換容量が大きく、含水率が高く、膜抵抗も小さい点が記載されている。
また、特許文献6には、陰イオン交換型高分子電解質ではないが、スルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂と、カチオン性の窒素原子を含む複素環基を少なくとも1種有する陰イオン交換樹脂とを含有する高分子電解質組成物が開示されている。
同文献には、陽イオン交換樹脂に少量の陰イオン交換樹脂を添加することによって、実用的に十分なプロトン伝導性を有しつつ、柔軟性にも優れた高分子電解質組成物が得られる点が記載されている。
また、非特許文献1には、ジアリルアミンとCF2CFClとの共重合体が開示されている。同文献には、得られた共重合体は、高温耐性(Tg:200℃超)は高いが、OH-伝導度は低い点が記載されている。
また、非特許文献2には、4級アンモニウム塩が付加したシクロオクテン環を、開環メタセシス重合させる方法が開示されている。
さらに、一般に、ベンジルトリメチルアンモニウム部分を含む陰イオン交換樹脂は、アルカリ性下では熱的に不安定であることが知られている。例えば、非特許文献3には、このような陰イオン交換樹脂の13日間100℃の条件での残存率が79%であることが報告されている。
アルカリ形燃料電池に用いられる高分子電解質には、従来、ポリスチレン構造などのフェニル部分に、ベンジルクロライドなどのアルキルハライド基を導入し、これをトリメチルアミンで4級化して得た陰イオン交換樹脂を用いるのが一般的であった。しかしながら、この構造を備えた陰イオン交換樹脂は、トリメチルアミン基がフェニル基と結合したベンジル位(あるいは、アルキル鎖)が熱分解されて脱離し、長期間の耐久性に乏しいという問題があった。
特に、この構造を備えた陰イオン交換樹脂をアルカリ形燃料電池用電解質として用いた場合、ヒドラジンを燃料に用いると、ベンジル位やアルキル部分がヒドラジンと酸素とで酸化され、イオン基(トリメチルアミン)が脱離しやすい。その結果、電解質の水酸化物イオン伝導度が低下し、長期間の耐久性がないという問題があった。
特開2002−293842号公報 特開2001−302729号公報 特開2009−143975号公報 特開2009−173898号公報 特開2009−203455号公報 特開2009−256654号公報
Journal of Polymer Science Part A Polymer Physics, 2009, vol.47, No.8, 2043-2058 Journal of the American Chemical Society, 2010, 132, 3400-3404
本発明が解決しようとする課題は、水酸化物イオン伝導性及び耐久性に優れ、かつ、ヒドラジンを燃料とするアルカリ形燃料電池に好適な電解質を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る電解質は、
環状4級アンモニウム塩を有する親水部と、
前記親水部と結合している疎水部とを備え、
ヒドラジンを燃料とする燃料電池に用いられることを要旨とする。
本発明に係る電解質は、(A)式又は(B)式で表される構造を備えているものが好ましい。
Figure 0005386450
但し、
P'は、前記疎水部。
1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
3、R4は、それぞれ、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3、R4を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数で、1≦r+s≦8。
uは、整数で、2≦u≦9。
-は、対アニオン。
本発明に係る電解質は、(C)式又は(D)式で表される構造を備えているものが好ましい。
Figure 0005386450
但し、
Pは、前記疎水部。
1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
3は、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数で、1≦r+s≦8。
uは、整数で、2≦u≦9。
-は、対アニオン。
本発明に係る電解質は、(E)式、(F)式又は(G)式で表される構造を備えているものが好ましい。
Figure 0005386450
但し、
Pは、前記疎水部。
1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
3、R4は、それぞれ、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3、R4を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数。tは、1以上7以下の整数。
前記(E)式においては1≦r+s≦8。
前記(F)式においては0≦r+s≦7。
前記(G)式においては1≦r+s+t≦7。
-は、対アニオン。
本発明に係る電解質は、環状4級アンモニウム塩を備えているので、相対的に高い水酸化物イオン伝導性を示す。また、イオン伝導部が環状構造を備えているので、耐久性も高い。さらに、環状4級アンモニウム塩は、酸素ヒドラジン共存下において、極めて高い安定を有しているので、本発明に係る電解質をヒドラジン燃料電池用電解質として用いると、長期間に渡って伝導度の低下を抑制することができる。
理論計算から求めた各種モデル化合物のHOMOレベル及びLUMOレベルである。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 電解質]
[1.1. 構成]
本発明に係る電解質は、親水部と、疎水部とを備え、ヒドラジンを燃料とする燃料電池に用いられる。
[1.1.1. 親水部]
「親水部」とは、環状4級アンモニウム塩を有するセグメントをいう。本発明に係る電解質は、高分子鎖中にいずれか1種の親水部を備えていても良く、あるいは、2種以上を備えていても良い。
「環状4級アンモニウム塩」とは、
(1)一般式:N+4(各Rは、それぞれ、炭化水素基、フッ素化炭化水素基、又は、炭化フッ素基)で表される化合物のうち、少なくとも2つのRで環状構造を形成しており、
(2)環状4級アンモニウム塩を構成する4個のRの内、環状構造を形成しているRは、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基からなり、
(3)環状4級アンモニウム塩を構成する4個のRの内、環状構造を形成しないRは、炭化水素基、フッ素化炭化水素基、又は、炭化フッ素基からなる、
化合物をいう。
従って、環状4級アンモニウム塩には、イミニウムカチオン(N+=Cの不飽和結合)構造を有する化合物や、芳香族性のカチオン(例えば、イミダゾリウム、ピリジニウムなど)は含まれない。
ここで、「炭化水素基」とは、構造内にC−H結合を含み、かつ、C−F結合を含まない基をいう。
「フッ素化炭化水素基」とは、炭化水素基の炭素に結合している水素の一部がフッ素に置き換わったもの、すなわち、構造内にC−H結合とC−F結合の双方を含む基をいう。
「炭化フッ素基」とは、炭化水素基の炭素に結合している水素の全部がフッ素に置き換わったもの、すなわち、構造内にC−F結合のみを含む基をいう。
各Rは、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合及び/又はヒドロキシ基を含んでいても良い。また、Rにヒドロキシ基が含まれる場合、酸化を防ぐため、ヒドロキシ基は、3級アルコールであることが好ましい。
各Rの置換基の構造は特に限定されるものではなく、直鎖構造や環状構造であっても良い。さらに、各Rの置換基には、芳香族基が含まれていても良い。
環の構成原子数は、少なくとも3個であれば良い。一般に、環の構成原子数が多くなるほど、EWが増大する。高いイオン伝導性を得るためには、環の構成原子数は、10以下が好ましい。
また、各Rの炭素数は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、Rに含まれる炭素数が多くなるほど、EWが大きくなり、イオン伝導度が低下する。従って、各Rに含まれる炭素数は、実用上十分なイオン伝導度が得られるように、最適な炭素数を選択するのが好ましい。
次の(a.1)〜(a.8)式に、環状4級アンモニウム塩の具体例を示す。本発明に係る電解質において、環状4級アンモニウム塩は、環を構成するN若しくはC、又は、Nに結合しているRのいずれかを介して、高分子鎖に結合している。
なお、(a.8)式で表されるような芳香環を含む環状4級アンモニウム塩の場合、ベンジル位(芳香環に結合する炭素)の酸化反応を防ぐため、ベンジル位は、4級炭素となっていること(水素以外で置換されていること)が好ましい。
Figure 0005386450
[1.1.2. 疎水部]
「疎水部」とは、親水基を持たないセグメントをいう。本発明に係る電解質は、高分子鎖中にいずれか1種の疎水部を備えていても良く、あるいは、2種以上を備えていても良い。
疎水部は、炭化水素セグメント又は炭化フッ素セグメントのいずれであっても良い。また、疎水部は、炭化水素セグメントの炭素に結合している水素の一部がフッ素に置換されたもの(フッ素化炭化水素セグメント)であっても良い。さらに、疎水部の構造は、特に限定されるものではなく、直鎖構造や環状構造であっても良い。
[1.1.3. 分子構造]
親水部は、環状構造を形成するいずれか1個の原子を介して疎水部と結合していても良い。あるいは、親水部は、環状構造を形成するいずれか2個以上の原子を介して疎水部と結合していても良い。
また、環状4級アンモニウム塩は、環の構成元素の一部が高分子鎖(主鎖)を形成するように、疎水部と結合していても良い。あるいは、環状4級アンモニウム塩は、主鎖に対して側鎖状に結合していても良い。
さらに、環を構成する窒素原子は、4本の結合手を持つ。その内の少なくとも2本は、環状構造を形成するために用いられる。残りの2本は、疎水部との結合、親水部を構成する有機基との結合などに用いられるが、これらは、他の高分子鎖との間の架橋に用いられても良い。架橋構造を備えている場合であっても、環を構成する窒素は、4級アンモニウムイオン(水酸化物イオン伝導体)として機能する。
[1.2. 具体例1]
次の(A)式及び(B)式に、本発明に係る電解質の第1の具体例を示す。(A)式及び(B)式で表される電解質は、いずれも環状4級アンモニウム塩が疎水部P'に側鎖状に結合している構造を備えている。
(A)式で表される電解質は、環の窒素原子を介して、環とP'とが結合しているものである。一方、(B)式で表される電解質は、環の炭素原子を介して、環とP'とが結合しているものである。
Figure 0005386450
但し、
P'は、疎水部。
1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
3、R4は、それぞれ、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3、R4を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数で、1≦r+s≦8。
uは、整数で、2≦u≦9。
-は、対アニオン。
[1.2.1. P']
P'は、疎水部を表す。P'は、炭化水素基、フッ素化炭化水素基、又は、炭化フッ素基のいずれであっても良い。
次の(2.1)〜(2.6)式に、疎水部P'の一例を示す。(2.1)〜(2.6)式中、nは1以上の整数、mは0以上の整数である。また、Yは、直接結合又は酸素原子である。さらに、bは、1以上4以下の整数である。電解質には、これらのいずれか1種の疎水部P'が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
Figure 0005386450
n、mは、それぞれ繰り返し単位の繰り返し数を表す。n、mの大きさは、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。但し、n、mが大きくなりすぎると、EWが増大する。従って、n、mは、それぞれ、10以下が好ましい。
bは、1個の芳香環に結合している親水基の数を表す。各芳香環に結合している親水基の数は、同一であっても良く、あるいは、繰り返し単位毎に異なっていても良い。
疎水部P’の内、炭素炭素二重結合を持つ部分は、水素還元により単結合とすることができる。水素還元には、一般的な方法を使用することができる。例えば、金属触媒による接触水素化や、ヒドリド還元法などである。
[1.2.2. P]
(A)式又は(B)式で表される電解質は、疎水部P'に結合している疎水部Pをさらに備えていても良い。疎水部Pの構造は、特に限定されるものではなく、種々の構造を備えたものを用いることができる。
次の(1.1)〜(1.12)式に、疎水部Pの一例を示す。(1.1)〜(1.12)式中、pは、1以上の整数である。電解質には、これらのいずれか1種の疎水部Pが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
Figure 0005386450
pは、繰り返し単位の繰り返し数を表す。pの大きさは、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。すなわち、電解質は、低分子量の疎水部と低分子量の親水部とが結合したランダム共重合体又は交互共重合体でも良く、あるいは、高分子量の疎水部と高分子量の親水部とが結合したブロック共重合体であっても良い。
電解質中には、これらのいずれか1種の疎水部Pが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
疎水部Pの内、炭素炭素二重結合を持つ部分は、水素還元により単結合とすることができる。水素還元には、一般的な方法を使用することができる。例えば、金属触媒による接触水素化や、ヒドリド還元法などである。
[1.2.3. R1、R2
1、R2は、それぞれ、環状4級アンモニウム塩を構成する炭素上の置換基を表す。R1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基からなる。R1、R2が炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である場合、炭化水素基及びフッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
また、R1、R2が炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である場合において、これらにヒドロキシ基が含まれるときには、ヒドロキシ基は、3級アルコールになっているのが好ましい。
さらに、R1、R2が炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である場合、高いイオン伝導度を得るためには、その炭素数は、1〜10が好ましい。
1、R2の構造は、特に限定されるものではなく、直鎖構造、環状構造、あるいは、芳香環を含んでいても良い。
[1.2.4. R3、R4
3、R4は、それぞれ、環状4級アンモニウム塩を構成する窒素上の置換基を表す。R3、R4は、それぞれ、炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基からなる。炭化水素基、フッ素化炭素基及び炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
また、R3、R4にヒドロキシ基が含まれる場合、ヒドロキシ基は、3級アルコールになっているのが好ましい。
さらに、高いイオン伝導度を得るためには、R3、R4の炭素数は、それぞれ、1〜10が好ましい。
3、R4の構造は、特に限定されるものではなく、直鎖構造や環状構造を含んでいても良い。
また、電解質は、R3又はR4の少なくとも一方を介して高分子鎖環が架橋していても良い。架橋基の構造は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の構造を備えたものを用いることができる。
(A'−1)式に、(A)式で表される電解質であって、疎水部P’にさらに疎水部P(−(CF2−CF2)m−)が結合しているものに対して、さらにR3を介した架橋構造を導入した電解質の一例を示す。また、(B'−1)式に、(B)式で表される電解質に対して、さらにR3及びR4を介した架橋構造を導入した電解質の一例を示す。
Figure 0005386450
[1.2.5. r、s、u]
r、s、uは、それぞれ環の構成原子数と関係がある。
(A)式において、uが大きくなるほど、環の構成原子数が多くなる。uが大きくなりすぎると、EWが大きくなり、イオン伝導度が低下する。従って、uは、2以上9以下が好ましい。uは、さらに好ましくは、3以上6以下である。
同様の理由から、(B)式において、r+sは、1以上8以下が好ましい。r+sは、さらに好ましくは、2以上5以下である。
[1.2.6. X-
-は、4級アンモニウムイオンの対アニオンを表す。対アニオンは、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。対アニオンとしては、具体的には、OH-、Cl-、Br-、I-、(CF3SO2)2-、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -などがある。
[1.3. 具体例2]
次の(C)式及び(D)式に、本発明に係る電解質の第2の具体例を示す。(C)式及び(D)式で表される電解質は、いずれも環状4級アンモニウム塩の窒素原子を介して親水部と疎水部Pとが結合している構造を備えている。疎水部Pとのもう1つの連結点は、環のどの原子であっても良い。
(C)式で表される電解質は、環の窒素原子と環の炭素原子とを介して、環と疎水部Pとが結合しているものである。一方、(D)式で表される電解質は、環の窒素原子が持つ2本の結合手を介して、環と疎水部Pとが結合しているものである。
Figure 0005386450
但し、
Pは、前記疎水部。
1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
3は、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数で、1≦r+s≦8。
uは、整数で、2≦u≦9。
-は、対アニオン。
(C)式において、r+sが大きくなるほど、環の構成原子数が多くなる。r+sが大きくなりすぎると、EWが大きくなり、イオン伝導度が低下する。従って、r+sは、1以上8以下が好ましい。r+sは、さらに好ましくは、2以上5以下である。
同様の理由から、(D)式において、uは、1以上9以下が好ましい。uは、さらに好ましくは、3以上6以下である。
(C)式及び(D)式において、疎水部Pは、(1.1)〜(1.12)式で表されるものが好ましい。
なお、
(1)(C)式及び(D)式中、P、R1〜R3及びX-の詳細、並びに、
(2)(C)式に示す電解質において、R3を介して高分子鎖間が架橋していても良い点
については、第1の具体例と同様であるので、詳細な説明を省略する。
[1.4. 具体例3]
次の(E)式〜(G)式に、本発明に係る電解質の第3の具体例を示す。(E)式〜(F)式で表される電解質は、いずれも環状4級アンモニウム塩の炭素原子のみが直接、疎水部Pと結合している構造を備えている。そのため、主鎖は、疎水部Pと、環を構成する炭素原子の一部とで構成されている。
(E)式で表される電解質は、1個の炭素原子が環と主鎖とで共有されているものである。(F)式で表される電解質は、2個の炭素原子が環と主鎖とで共有されているものである。(G)式で表される電解質は、(2+t)個の炭素原子が環と主鎖とで共有されているものである。
Figure 0005386450
但し、
Pは、前記疎水部。
1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
3、R4は、それぞれ、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3、R4を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数。tは、1以上7以下の整数。
前記(E)式においては1≦r+s≦8。
前記(F)式においては0≦r+s≦7。
前記(G)式においては1≦r+s+t≦7。
-は、対アニオン。
(E)式において、r+sが大きくなるほど、環の構成原子数が多くなる。r+sが大きくなりすぎると、EWが大きくなり、イオン伝導度が低下する。従って、r+sは、1以上8以下が好ましい。r+sは、さらに好ましくは、2以上5以下である。
同様の理由から、(F)式において、r+sは、0以上7以下が好ましい。r+sは、さらに好ましくは、2以上4以下、さらに好ましくは、3以上4以下である。
同様の理由から、(G)式において、r+s+tは、1以上7以下が好ましい。r+s+tは、さらに好ましくは、1以上4以下である。
(E)式〜(G)式において、疎水部Pは、(1.1)〜(1.12)式で表されるものが好ましい。
なお、
(1)(E)〜(G)式中、P、R1〜R4及びX-の詳細、並びに、
(2)R3又はR4の少なくとも一方を介して高分子鎖間が架橋していても良い点
については、第1の具体例と同様であるので、詳細な説明を省略する。
[2. 電解質の製造方法]
本発明に係る電解質は、種々の方法により製造することができる。
疎水部P、P'を備えたポリマの合成については、一般的な重合方法を用いることができる。重合方法としては、例えば、ラジカル重合、プラズマ重合、グラフト重合、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、ミニエマルジョン重合、マイクロエマルジョン重合などがある。
[2.1. 具体例1]
次の(3.1)式に、(A)式で表される電解質の一種である電解質(A−1)の合成反応の一例を示す。電解質(A−1)は、市販の1−ピロリジノ−1−シクロヘキセンをMeIで4級化し、次いで開環メタセシス反応させることにより得られる。
電解質(A−1)と類似の構造を有する他の電解質(A)も同様であり、(3.1)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.2. 具体例2]
次の(3.2)式に、(A)式で表される電解質の一種である電解質(A−2)の合成反応の一例を示す。まず、ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンに対し、電子線を照射して2−クロロエチルビニルエーテルをグラフト重合し、中間体(A−21)を得る。次に、中間体(A−21)に対し、1−メチルピペリジンを反応させると、電解質(A−2)が得られる。
電解質(A−2)と類似の構造を有する他の電解質(A)も同様であり、(3.2)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.3. 具体例3]
次の(3.3)式に、(A)式で表される電解質の一種である電解質(A−3)の合成反応の一例を示す。電解質(A−3)は、テトラフルオロエチレン(TFE)、あるいは、エチレンと、モノマ(A−31)とを共重合させることにより得られる(例えば、Macromolecules 2009, 42, 7689-7700参照)。
電解質(A−3)と類似の構造を有する他の電解質(A)も同様であり、(3.3)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.4. 具体例4]
次の(3.4)式に、(B)式で表される電解質の一種である電解質(B−1)の合成反応の一例を示す。
電解質(B−1)は、
(1)ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)の芳香環に1−メチル−4−ピペリドンを付加し、
(2)得られたポリマに導入された窒素原子をMeIで4級化し、
(3)さらにポリマをKOHで洗浄する、
ことにより得られる。
電解質(B−1)と類似の構造を有する他の電解質(B)も同様であり、(3.4)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.5. 具体例5]
次の(3.5)式に、(C)式で表される電解質の一種である電解質(C−1)の合成反応の一例を示す。
まず、文献(Journal of Fluorine Chemistry 2005, 126, 653-660)に記載の方法を参考にすると、中間体(C−11)を合成することができる。次いで、中間体(C−11)とI(CH2)4Iとを反応させると、2量化した中間体(C−12)が得られる。さらに、中間体(C−12)を加熱することで、CF2=CF部が架橋し、電解質(C−1)が得られる。
電解質(C−1)と類似の構造を有する他の電解質(C)も同様であり、(3.5)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.6. 具体例6]
次の(3.6)式に、(C)式で表される電解質の一種である電解質(C−2)の合成反応の一例を示す。
電解質(C−2)は、
(1)ジブロモベンゼンをBuLiでLi化し、
(2)これに1−メチル−4−ピペリドンを加え、中間体(C−21)を合成し、
(3)中間体(C−21)にジヨードアルカンを加える、
ことにより得られる。
電解質(C−2)と類似の構造を有する他の電解質(C)も同様であり、(3.6)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.7. 具体例7]
次の(3.7)式に、(D)式で表される電解質の一種である電解質(D−1)の合成反応の一例を示す。
まず、ピペリジンをNaHと反応させる。次いで、これと0.5当量のジクロロアルカンとを反応させると、中間体(D−11)が得られる。この中間体(D−11)にジヨードアルカンを反応させると、電解質(D−1)が得られる。
電解質(D−1)と類似の構造を有する他の電解質(D)も同様であり、(3.7)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.8. 具体例8]
次の(3.8)式に、(E)式で表される電解質の一種である電解質(E−1)の合成反応の一例を示す。
まず、文献(Journal of Organic Chemistry 2005, 70, 5528-5535)に記載の方法を用いて、中間体(E−11)を合成する。次いで、中間体(E−11)とスチレンとを共重合させると、電解質(E−1)が得られる。
電解質(E−1)と類似の構造を有する他の電解質(E)も同様であり、(3.8)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.9. 具体例9]
次の(3.9)式に、(F)式で表される電解質の一種である電解質(F−1)の合成反応の一例を示す。
電解質(F−1)は、市販の化合物を酸化によりエポキシ化し、開環重合させることにより得られる。
電解質(F−1)と類似の構造を有する他の電解質(F)も同様であり、(3.9)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.10. 具体例10]
次の(3.10)式に、(G)式で表される電解質の一種である電解質(G−1)の合成反応の一例を示す。
電解質(G−1)は、市販の4級アンモニウム塩を開環メタセシス反応させることにより得られる。
電解質(G−1)と類似の構造を有する他の電解質(G)も同様であり、(3.10)式と同様の方法により製造することができる。
Figure 0005386450
[2.11. 具体例11]
環状4級アンモニウム塩のR3又はR4を介して高分子鎖間が架橋している電解質は、種々の方法により製造することができる。
例えば、上述した電解質(A'−1)は、3級アミンを導入した架橋構造のない電解質(A)を製造した後、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジヨードブタンなどの分子内に2つ以上のハロゲン部位を有するアルキル化合物と電解質(A)とを反応させることにより得られる。
上述した電解質(B'−1)やその他の電解質も同様であり、これと同様の方法により、高分子鎖間を架橋することができる。
[3. 電解質の作用]
本発明に係る電解質は、環状4級アンモニウム塩を備えているので、相対的に高い水酸化物イオン伝導性を示す。また、イオン伝導部が環状構造を備えているので、耐久性も高い。
また、通常のアルカリ形電解質は、(4.1)式の左辺に示すように、ベンジル位で結合した4級アンモニウム塩構造を持っている。しかしながら、このような構造を備えたアルカリ形電解質は、(4.1)式に示すように、ベンジル位が熱分解し、イオン基が脱離しやすい。
これに対し、(4.2)式の左辺に示すように、環状4級アンモニウム塩を持つアルカリ形電解質は、ベンジル4級アンモニウム塩構造を備えたアルカリ形電解質に比べて、酸化されにくい。そのため、これを酸化雰囲気下において使用しても、(4.2)式に示すように、イオン基が脱離しにくい。その結果、環状4級アンモニウム塩を持つアルカリ形電解質は、ヒドラジン・酸素共存下においても、長期に渡り水酸化物イオン伝導度が維持される。
Figure 0005386450
(実施例1)
[1. 試料の作製]
(3.4)式に従い、電解質(B−1)を合成した。すなわち、PEES(500mg)をTHF(20mL)に溶解し、この溶液に−80℃でn−BuLi(0.6mL)を1.2当量加えた。この溶液に、1−メチル−4−ピペリドン(0.15mL)を滴下し、徐々に室温まで昇温し、一晩攪拌した。得られたポリマを水で洗浄した。
次に、このポリマのTHF溶液(20mL)にMeI(0.2mL)を加えて窒素を4級化し、KOHで洗浄することで、目的のポリマ(612mg)を得た。
[2. 結果]
得られたポリマの1H NMRスペクトルから、得られたポリマが電解質(B−1)であることを確認した。
(実施例2)
[1. 試験方法]
各種4級アンモニウム塩について、理論計算により、HOMO(最高占有分子軌道)レベル及びLUMO(最低非占有分子軌道)レベルを求めた。HOMOレベルは、分子から電子を引き抜くのに必要なエネルギーを表す。HOMOレベルが低いことは、電子が引き抜かれにくい(分子が酸化されにくい)ことを意味する。また、LUMOレベルは、分子が電子を受け取るのに必要なエネルギーを表す。LUMOレベルが低いことは、電子が入りやすい(分子がアルカリ中で不安定となる)ことを意味する。
[2. 結果]
図1に、理論計算から求めた各種モデル化合物のHOMOレベル及びLUMOレベルを示す。図1より、環状4級アンモニウム塩(E'、F')のHOMOレベルは、他のモデル化合物に比べて低く、かつ、LUMOレベルは、他のモデル化合物に比べて高いことがわかる。これは、環状4級アンモニウム塩(E'、F')がアルカリ雰囲気下において、酸化されにくいことを示している。
(実施例3)
[1. 試験方法]
低分子量の各種4級アンモニウム塩をヒドラジン及び/又はKOHを含む水溶液に溶解し、酸素雰囲気下(但し、実験No.5のみ窒素雰囲気下)で80℃×24hrの加熱を行った。溶液中のヒドラジン濃度は、20wt%とした。また、KOH濃度は、5wt%とした。
加熱前後の溶液中の4級アンモニウム塩の量は、ピリジンを内部標準とし、1H NMRスペクトルによる内部標準法を用いて測定した。試験前の4級アンモニウム塩の量W0及び試験後の残存量W1から、残存率(=W1×100/W0(%))を算出した。
[2. 結果]
表1に、その結果を示す。化合物A〜Dは、いずれも、酸素ヒドラジン共存下ではKOHの有無にかかわらず、1〜5割程度が分解した。これに対し、化合物E、Fは、いずれも、酸素ヒドラジン共存下においても、ほとんど分解しなかった。
Figure 0005386450
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る電解質は、ヒドラジンを燃料とするアルカリ形燃料電池の電解質膜や触媒層アイオノマに用いることができる。

Claims (6)

  1. 環状4級アンモニウム塩を有する親水部と、
    前記親水部と結合している疎水部とを備え、
    ヒドラジンを燃料とする燃料電池に用いられる電解質。
  2. (A)式〜(G)式で表されるいずれか1以上の構造を備えている請求項1に記載の電解質。
    Figure 0005386450
    但し、
    P'は、前記疎水部。
    1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
    3、R4は、それぞれ、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3、R4を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
    r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数で、1≦r+s≦8。
    uは、整数で、2≦u≦9。
    -は、対アニオン。

    Figure 0005386450
    但し、
    Pは、前記疎水部。
    1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
    3は、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
    r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数で、1≦r+s≦8。
    uは、整数で、2≦u≦9。
    -は、対アニオン。

    Figure 0005386450
    但し、
    Pは、前記疎水部。
    1、R2は、それぞれ、水素、フッ素、ヒドロキシ基、又は、炭素数が1から10の炭化水素基若しくはフッ素化炭化水素基。R1、R2を構成する前記炭化水素基及び前記フッ素化炭化水素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
    3、R4は、それぞれ、炭素数が1から10の炭化水素基、フッ素化炭化水素基又は炭化フッ素基。R3、R4を構成する前記炭化水素基、前記フッ素化炭化水素基及び前記炭化フッ素基は、それぞれ、エーテル結合、スルホニル結合、及び/又は、ヒドロキシ基を含んでいても良い。
    r、sは、それぞれ、0以上8以下の整数。tは、1以上7以下の整数。
    前記(E)式においては1≦r+s≦8。
    前記(F)式においては0≦r+s≦7。
    前記(G)式においては1≦r+s+t≦7。
    -は、対アニオン。
  3. (A)式又は(B)式で表される構造を備えた電解質において、
    前記疎水部P'は、(2.1)〜(2.6)式で表されるいずれか1以上の構造を備えている請求項2に記載の電解質。
    Figure 0005386450
    但し、nは、1以上の整数。mは、0以上の整数。Yは、直接結合又は酸素原子。
    bは、1以上4以下の整数。
  4. (A)式又は(B)式で表される構造を備えた電解質において、
    前記疎水部P'と結合する疎水部Pをさらに備えている請求項2又は3に記載の電解質。
  5. 前記疎水部Pは、(1.1)〜(1.12)式で表されるいずれか1以上の構造を備えている請求項2から4までのいずれかに記載の電解質。
    Figure 0005386450
  6. 前記R3又はR4の少なくとも一方を介して高分子鎖間が架橋している請求項2から5までのいずれかに記載の電解質。
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