以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る熱源システム1を説明する。図1は、熱源システム1の模式的系統図である。熱源システム1は、第1の冷凍機(以下「第1冷凍機101」ともいう)及び第2の冷凍機(以下「第2冷凍機102」ともいう)が並列に配置されて構成された冷凍機群100と、各冷凍機101、102で製造された熱媒体としての冷水Cを集める往集合部60と、負荷系統99で熱が利用された後の冷水Cを集める還集合部68と、往集合部60と還集合部68とを接続する連通管55と、各冷凍機101、102で製造された冷水の一部を抜き出して連通管55に合流させるバイパス管53と、冷水Cを効果的に流動させる配管類(後に詳述する)とを備えている。
以下の説明においては、冷水Cに関し、便宜上次のように区別する場合がある。第1冷凍機101で製造された冷水Cを「第1往冷水CS1」と、第2冷凍機102で製造された冷水Cを「第2往冷水CS2」と、冷凍機を特定せずにいずれかの冷凍機で製造された冷水Cを単に「往冷水CS」という。負荷系統99で冷熱が利用されて温度が上昇した冷水Cを「還冷水CR」といい、そのうち第1冷凍機101に導入される還冷水CRを「第1還冷水CR1」と、第2冷凍機102に導入される還冷水CRを「第2還冷水CR2」という。上記のような区別をせず単に冷熱を搬送するための熱媒体の意味を表す際は「冷水C」と総称する。
第1冷凍機101は、例えば空調用として用いられる水冷式の熱源装置であり、典型的には、ターボ冷凍機又は吸収式冷凍機が用いられる。第1冷凍機101は、不図示の冷媒が冷凍サイクルを行い(蒸発と凝縮を交互に行う)、冷媒が蒸発する際に第1の被冷却熱媒体としての第1還冷水CR1から熱を奪う(冷却する)ことで第1往冷水CS1を製造する機器である。第1冷凍機101には、凍結防止の観点から、あらかじめ定められた温度(例えば7℃)以下の温度の第1還冷水CR1が導入されたときに運転を停止する保護装置が設けられている。また、第1冷凍機101には、冷水Cと熱交換をして蒸発した冷媒(不図示)を冷却して凝縮させるために、冷却水CDが導入される。第1冷凍機101には、温度が低い冷却水CDである往冷却水CDSを導入する、冷却水ポンプ43が配設された冷却水往管45と、冷水Cと熱交換して温度が上昇した冷却水CDである還冷却水CDRを導出する冷却水還管47とが接続されている。冷却水往管45及び冷却水還管47の他端には冷却塔41が接続されており、冷却塔41は、冷却水還管47から導入した還冷却水CDRを大気と熱交換させて冷却して往冷却水CDSとして冷却水往管45に流入させることができるように構成されている。
第1冷凍機101には、製造した第1往冷水CS1を導出する第1の被冷却熱媒体管としての第1冷水往管11と、第1還冷水CR1を導入する第1冷水還管18とが接続されている。第1冷水往管11には、第1の開閉弁としての第1制御弁12が挿入配置されている。また、第1冷凍機101と第1制御弁12との間の第1冷水往管11には、第1往冷水CS1の温度を検出する第1温度センサ15が設けられている。第1制御弁12は、アクチュエーターを有する電動弁であり、第1温度センサ15で検出された温度に応じた電気信号を入力することにより弁の開度が調節されて第1冷水往管11を流れる第1往冷水CS1の流量を調節することができるように構成されている。第1冷凍機101と第1制御弁12との間の第1冷水往管11には、第1往冷水CS1の一部又は全部を抜き出す第1抜出管13が接続されている。第1抜出管13には、抜き出した第1往冷水CS1の第1冷水往管11への逆流を防ぐ第1逆止弁14が挿入配置されている。第1冷水還管18には、冷水Cを圧送する第1冷水ポンプ19が挿入配置されている。第1冷水ポンプ19は、第1冷凍機101が冷水Cの通過流量を変えることできる変流量型の場合は、インバータを有し、吐出流量を可変にすることができるように構成されている。なお、第1冷凍機101が変流量型の場合、第1冷凍機101にはあらかじめ設定された当該冷凍機固有の下限流量が存在することとなる。この下限流量は、凍結防止の観点から、運転中の冷凍機内に通過させる冷水Cの最小流量であり、通常は安全のための余裕分が見込まれている。運転中の冷凍機内を通過する冷水Cの流量が下限流量未満になると、例えば保護装置が作動して冷凍機の運転が停止する。
第2冷凍機102は、構造、機能、作用において、第1冷凍機101と同様に構成されている。本実施の形態では、第2冷凍機102の冷凍容量は、第1冷凍機101と同様に構成されている。また、第2冷凍機102まわりの配管及び冷却塔も第1冷凍機101と同様に設けられている。つまり、第2冷凍機102まわりには、第1冷凍機101における第1冷水往管11、第1制御弁12、第1抜出管13、第1逆止弁14、第1温度センサ15、第1冷水還管18、第1冷水ポンプ19に対応する構成として、第2冷水往管21、第2制御弁22、第2抜出管23、第2逆止弁24、第2温度センサ25、第2冷水還管28、第2冷水ポンプ29がそれぞれ設けられている。また、第2冷凍機102まわりには、第1冷凍機101における冷却塔41、冷却水ポンプ43、冷却水往管45、冷却水還管47に対応する構成として、冷却塔42、冷却水ポンプ44、冷却水往管46、冷却水還管48がそれぞれ設けられている。
第1冷水往管11と第2冷水往管21とは、供給接続部P1で接続されている。供給接続部P1は合流管51の一端と接続されており、合流管51の他端は、往集合部60の構成要素の1つである1次往ヘッダ61と接続されている。これにより、冷凍機群100で製造された往冷水CSを1次往ヘッダ61に導入することができるようになっている。往集合部60は、1次往ヘッダ61と、2次往ヘッダ62と、往ヘッダ接続管63と、2次冷水ポンプ64とを含んで構成されている。1次往ヘッダ61よりも負荷系統99側には、2次往ヘッダ62が配設されている。2次往ヘッダ62は、負荷系統99を構成する複数の負荷機器99mに往冷水CSを分配するための管寄せである。1次往ヘッダ61及び/又は2次往ヘッダ62は、いわゆるヘッダの外観を呈しない、配管ヘッダとして構成されていてもよい。2次往ヘッダ62には、複数の負荷機器99mに往冷水CSをそれぞれ供給する負荷配管99pが複数接続されている。1次往ヘッダ61と2次往ヘッダ62とは、往ヘッダ接続管63で接続されている。往ヘッダ接続管63には、往冷水CSを負荷系統99に圧送する2次冷水ポンプ64が挿入配置されている。図では1組の2次冷水ポンプ64が配設された往ヘッダ接続管63が示されているが、所望の台数制御が実現可能なように、典型的には2次冷水ポンプ64が配設された往ヘッダ接続管63の複数組が設けられている。また、1次往ヘッダ61と2次往ヘッダ62とは差圧調節管65で接続されており、差圧調節管65には開度を調節することにより1次往ヘッダ61と2次往ヘッダ62との間の差圧を所定の差圧にする差圧調節弁66が挿入配置されている。1次往ヘッダ61及び2次往ヘッダ62が往ヘッダ接続管63で接続されて、冷凍機群100から供給される往冷水CSが各冷水ポンプ19、29により供給され、負荷系統99側へ送水される往冷水CSが2次冷水ポンプ64により流量調節されることにより、負荷系統99の負荷変動に応じて往冷水CSの供給流量を増減する制御が簡便になる。
還集合部68は、各負荷機器99mから導出された還冷水CRを流す負荷配管99pが接続された管寄せ68aと、管寄せ68aに導入された還冷水CRを混合された状態で取り出す混合管68bと、混合管68bを流れた還冷水CRを一旦蓄えるクッション管68cとを有している。混合管68bには流量計68vが挿入配置されている。クッション管68cには共通還管58の一端が接続されており、共通還管58の他端は第1冷水還管18及び第2冷水還管28に接続されている。これにより、還集合部68から導出された還冷水CRを、共通還管58を介して第1冷水還管18及び第2冷水還管28に分配し、第1冷凍機101及び第2冷凍機102に導入させることができるように構成されている。
1次往ヘッダ61と還集合部68とは連通管55で接続されており、1次往ヘッダ61に導入された往冷水CSを、負荷系統99を通過させずに還集合部68に流入させることが可能に構成されている。還集合部68に接続されている連通管55は、典型的には流量計68vよりも冷凍機群100側の混合管68bに接続されている。このように構成されていることで、連通管55を介して還集合部68に流入した往冷水CSが共通還管58に流入される前に、負荷系統99から還された還冷水CRと十分に混合されることとなる。第1抜出管13と第2抜出管23とは、抜出接続部P3で接続されている。抜出接続部P3はバイパス管53の一端と接続されており、バイパス管53の他端は連通管55に接続されている。これにより、第1抜出管13及び/又は第2抜出管23から抜き出された往冷水CSを連通管55に流入させることができるようになっている。
バイパス管53のサイズ(口径)は、冷凍機群100を構成する各冷凍機の下限流量のうち、最も大きい流量に応じて決定された口径となっている。このように構成することで、冷凍機起動直後に下限流量で導出された冷水Cを、合流管51を介さずにバイパス管53を通して連通管55に導くことが可能となる。本実施の形態では、第1冷凍機101及び第2冷凍機102が同じ構成(したがって下限流量も同じ)の冷凍機であるので、いずれかの下限流量に応じて決定される。「流量に応じて決定された口径」とは、典型的にはその流量の冷水Cを所定の設計条件(例えば単位摩擦損失30mmAq/m以下かつ管内流速2.0m/s以下)で流す場合に適した口径である。例えば、第1冷凍機101及び第2冷凍機102が変流量型で、下限流量が定格流量(これを100%の流量とする)の50%の場合は、この50%の流量が所定の設計条件で流れる場合に適した口径に決定される。第1冷凍機101及び第2冷凍機102が定流量型の場合は、100%の流量が所定の設計条件で流れる場合に適した口径に決定される。
合流管51のサイズ(口径)は、冷凍機群100を構成する各冷凍機の冷水Cの定格流量を合計した流量(合計流量)からバイパス管53を流れる冷水Cの設計流量を差し引いた流量に応じて決定された口径となっている。「流量に応じて決定された口径」の意味は、バイパス管53のサイズを決定する場合と同様である。本実施の形態では、冷凍機群100が第1冷凍機101及び第2冷凍機102で構成されているので、合流管51のサイズは、第1冷凍機101から導出される冷水Cの定格流量及び第2冷凍機102から導出される冷水Cの定格流量の合計から、バイパス管53を流れる冷水Cの設計流量を差し引いた流量に応じて決定された口径となっている。例えば、本実施の形態において第1冷凍機101及び第2冷凍機102が変流量型で、下限流量が定格流量の50%の場合は、150%(100%+100%−50%)の流量が所定の設計条件で流れる場合に適した口径に決定される。第1冷凍機101及び第2冷凍機102が定流量型の場合は、100%の流量が所定の設計条件で流れる場合に適した口径に決定され、本実施の形態ではバイパス管53と同じ口径となる。
上述のようにバイパス管53及び合流管51の口径を選定することにより、バイパス管53及び合流管51の設計水量通水時の各々の全配管抵抗(流動抵抗)はほぼ同等となるが、配管経路の差異(例えば曲部の数の差異等)や配管口径の規格による制約で、合流管51の全配管抵抗がバイパス管53の全配管抵抗よりも大きくなる場合は、設計条件(例えば単位摩擦損失)の変更あるいは開度調節が可能な弁を設ける等の措置を施して、合流管51の全配管抵抗がバイパス管53の全配管抵抗よりも大きくならないようにすることが好ましい。
引き続き図1を参照して、熱源システム1の作用を説明する。負荷系統99の熱負荷が冷凍機1台分である場合、第1冷凍機101が運転している一方で第2冷凍機102は停止している。第1冷凍機101が運転しているときは、第1冷水ポンプ19も連動して運転している。第1冷凍機101で製造された第1往冷水CS1が負荷系統99側で要求される温度まで冷却されていると、第1制御弁12は開となる。すると、第1冷凍機101から導出された第1往冷水CS1は、合流管51及びバイパス管53を、両者の流動抵抗が等しくなる流量配分で流れて1次往ヘッダ61に流入する。
負荷系統99側への往冷水CSの供給は、2次冷水ポンプ64の起動により行われる。2次冷水ポンプ64が起動すると、1次往ヘッダ61内の往冷水CSが、往ヘッダ接続管63及び2次往ヘッダ62を介して負荷配管99pに流入し、負荷機器99mに向かって流れる。負荷機器99mに供給された往冷水CSは、冷熱が利用され温度が上昇して還冷水CRとなり、負荷配管99pを流れて還集合部68に流入する。なお、1次往ヘッダ61に流入する往冷水CSの流量よりも負荷系統99に供給される往冷水CSの流量が少ない場合は、余剰分の往冷水CSが連通管55を流れて還集合部68に流入して負荷系統99から還ってきた還冷水CRに合流する。還集合部68内の還冷水CRは、共通還管58及び第1冷水還管18を介して第1冷凍機101に流入し、負荷系統99側で要求される温度まで冷却されて第1往冷水CS1となり、再び第1冷水往管11及び合流管51を流れて1次往ヘッダ61に流入し、以降上述の作用を繰り返す。
上述のような、第1冷凍機101が運転し、第2冷凍機102が停止している状態で、負荷系統99の熱負荷が増大した場合、第2冷凍機102が追従して起動される。第2冷凍機102が起動される際は、第2冷水ポンプ29も連動して起動される。ところが冷凍機は、一般に、起動直後には所定温度(典型的には負荷系統99側で要求される温度)の冷水Cが製造されず、一旦冷水Cの温度が下がり始めると急激に所定温度まで低下するという特性を有する。第2冷凍機102が起動直後の負荷系統99側で要求される温度まで冷却されていない往冷水CSが負荷系統99に供給されると、適切な負荷処理ができず、特に負荷系統99にクリーンルームの冷房のような精密空調がある場合は、不都合が大きい。そのため、第2冷凍機102が起動される際は、第2制御弁22が閉にされる。第2制御弁22が閉にされると、第2冷凍機102から導出された第2往冷水CS2は、第2冷水往管21から第2抜出管23に流入し、バイパス管53を通って連通管55に至る。他方、第1冷凍機101から導出された第1往冷水CS1は、合流管51及びバイパス管53の配管抵抗のバランスと、バイパス管53内にはすべての第2往冷水CS2が流れることとが相俟って、特に第1抜出管13を閉鎖しなくても、より合流管51に流れやすくなっている。このようにして、負荷系統99側で要求される温度まで冷却されている第1往冷水CS1は1次往ヘッダ61に流入し、負荷系統99側で要求される温度まで冷却されていない第2往冷水CS2は連通管55に流入する。
1次往ヘッダ61に流入した第1往冷水CS1は、負荷に応じて回転速度が調節される2次冷水ポンプ64によって、適切な流量が負荷系統99に送水される。1次往ヘッダ61に流入した第1往冷水CS1が余剰となった場合は、余剰分が連通管55を介して還集合部68に送水される。負荷系統99に供給された第1往冷水CS1は、上述のように、負荷機器99mで冷熱が利用され温度が上昇して還冷水CRとなった後に還集合部68に流入する。他方、連通管55に流入した第2往冷水CS2は、2次冷水ポンプ64の吐出流量が1次往ヘッダ61に流入する第1往冷水CS1の流量以下であることから、連通管55を介して還集合部68に流入する。
還集合部68に流入した第2往冷水CS2は、負荷系統99側から還ってきた還冷水CRと混合する。その後還冷水CRは、共通還管58を流れた後に第1冷水還管18と第2冷水還管28とに分配され、第1還冷水CR1として第1冷凍機101に、及び第2還冷水CR2として第2冷凍機102に、それぞれ導入される。
本実施の形態では、第2冷凍機102が立ち上がって第2往冷水CS2の温度が急激に低下するようになった場合でも、負荷系統99に供給されない第2往冷水CS2は、還集合部68において還冷水CRと混合されたうえで第1冷凍機101及び第2冷凍機102に流入するので、負荷系統99側で要求される温度に近い低温の冷水Cが各冷凍機101、102に導入されることを防ぐことができ、各冷凍機101、102が保護装置の作動で停止してしまうことを回避することができる。なお、温度が低い第2往冷水CS2が連通管55を介して還集合部68に流入することにより還冷水CRの温度が低下した場合は、各冷凍機101、102における冷凍負荷が小さくなる。
第2冷凍機102から導出された第2往冷水CS2が負荷系統99側で要求される温度まで下がるようになると、第2制御弁22は開となる。第2制御弁22が開になると、第2冷水往管21を流れる第2往冷水CS2は、第2抜出管23に流入する流れと合流管51に向かう流れとに分配される。他方、第1冷水往管11を流れる第1往冷水CS1は、第2往冷水CS2の一部が合流管51に流入することに伴い、一部が第1抜出管13を介してバイパス管53に流入することとなる。このとき、第1往冷水CS1及び第2往冷水CS2の、合流管51とバイパス管53との分配比率は、特別な弁操作が行われることなく、1次往ヘッダ61に至るまでの配管抵抗のバランスによって決まる。そして、2次冷水ポンプ64の回転速度が負荷系統99の冷熱負荷の増大に伴い増加されると、合流管51を介して1次往ヘッダ61に流入した往冷水CSに加えて、バイパス管53を流れる往冷水CSの一部又は全部も1次往ヘッダ61に流入して負荷系統99に供給されるようになる。このように、バイパス管53は、冷凍機の起動時はバイパス用の管として機能すると共に、定常運転時は冷水往管として機能することとなる。バイパス管53がバイパス用と負荷系統99側供給用との2つの機能を兼用することができると共に、定常運転時は合流管51とバイパス管53とを合わせて負荷系統99に往冷水CSを供給することができるように合流管51及びバイパス管53の口径を決定しているため、従来のように起動時用のバイパス管を専用に設ける場合に比べて、配管の重量及び切換弁の数を少なくすることができ、システム構築の簡略化(施工の省力化)及びイニシャルコストの低減を図ることができる。
上述のような、第1冷凍機101及び第2冷凍機102が運転している状態で、負荷系統99の熱負荷が減少して1台の冷凍機を停止させる場合は、2次冷水ポンプ64の回転速度を減少させると共に停止させる冷凍機の系統の制御弁を閉にする。ここでは、第2冷凍機102を追いかけ起動させる前に運転されていた第1冷凍機101を停止させることとして説明する。つまり、第1制御弁12が閉となる。すると、第2往冷水CS2が合流管51及び1次往ヘッダ61を介して負荷系統99に供給される一方、第1往冷水CS1はバイパス管53及び連通管55を介して還集合部68に導入されるようになる。第1制御弁12を閉にしたら、第1冷凍機101内の冷凍サイクル(冷媒(不図示)の循環)を停止させる。このとき、第1冷水ポンプ19は運転したままである。第1冷水ポンプ19を運転させ、第1冷凍機101内の冷凍サイクルを停止(冷却水CDを介した大気との熱交換の停止を含む)させると、第1冷凍機101から導出される第1往冷水CS1の温度が徐々に上昇する。しかしながら、第1往冷水CS1は負荷系統99側に供給されることなくバイパス管53及び連通管55を介して冷凍機に循環されるため、負荷系統99が要求するよりも温度が高い往冷水CSが負荷系統99に供給されることを回避することができる。第1冷凍機101から導出される第1往冷水CS1の温度が、第1冷凍機101内を循環する冷媒(不図示)の放熱が完了したと判断できる程度に上昇したら、第1冷水ポンプ19を停止させ、第2冷凍機102の1台が運転している状態とする。
以上で説明したように、熱源システム1では、冷凍機の起動過程で急激に温度が低下した冷水が冷凍機に導入されること(ショートサーキット)に起因する冷凍機の意図しない停止を回避することができ、配管重量及び制御弁の数を削減できるためにシステム構築の省力化及びイニシャルコストの低減を図ることができる。さらに、熱源システム1では、制御弁が故障して開かなくなった場合であっても、バイパス管53を介して負荷系統99に往冷水CSを供給することができ、バイパス管53を制御弁故障時のバックアップルートとすることができるので、負荷系統99への冷熱の供給という本来の目的を達成することが可能となる。
次に図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る熱源システム2を説明する。図2は、熱源システム2の模式的系統図である。熱源システム2の、熱源システム1(図1参照)と異なる点は、フリークーリング(外気の冷熱を冷水Cの冷却に利用する方式)を可能にする構成を備えている点である。すなわち、熱源システム2の構成は、熱源システム1(図1参照)の構成に加えてさらに、冷凍機群100に対して並列に配置された熱交換器83と、冷却塔42において外気と熱交換する熱媒体としての外気熱媒水CFを熱交換器83に導出入させる外気熱媒水往管86及び外気熱媒水還管88と、熱媒体としての冷水Cを効果的に流動させる配管類(後に詳述する)とを備えている。
熱交換器83は、外気熱媒水CFを介して間接に外気と冷水Cとで熱交換させる機器であり、プレート型熱交換器が好適に用いられる。熱交換器83には、外気と熱交換して温度が低下した外気熱媒水CFである往外気熱媒水CFSを導入する外気熱媒水往管86の一端が接続されていると共に、熱交換器83で冷水と熱交換して温度が上昇した外気熱媒水CFである還外気熱媒水CFRを導出する外気熱媒水還管88の一端が接続されている。外気熱媒水往管86の他端は冷却水往管46に接続され、外気熱媒水還管88の他端は冷却水還管48に接続されている。これにより、冷却水ポンプ44を運転することで外気熱媒水CFを熱交換器83と冷却塔42との間で循環させることができるように構成されている。なお、外気熱媒水CFは、第2冷凍機102が運転される際は第2冷凍機102と冷却塔42とを循環する冷却水CDとして用いられる熱媒体であり、この冷却塔42まわりの配管46、48、86、88には、第2冷凍機102の運転時は冷却水CDが熱交換器83に導入されず、フリークーリング運転時は外気熱媒水CFが第2冷凍機102に導入されないように、開閉弁(不図示)が適切な場所に設けられている。
熱交換器83は、冷水Cを導入し、冷却して導出するという作用及び機能において各冷凍機101、102と共通している。熱交換器83まわりには、冷水Cの系統の配管類として、熱交換器83が第1冷凍機101と同等の冷凍機であると仮定した場合において有するべき冷凍機まわりの配管類を有している。つまり、熱交換器83まわりには、第1冷凍機101における第1冷水往管11、第1制御弁12、第1抜出管13、第1逆止弁14、第1温度センサ15、第1冷水還管18、第1冷水ポンプ19に対応する構成として、第3冷水往管31、第3制御弁32、第3抜出管33、第3逆止弁34、第3温度センサ35、第3冷水還管38、第3冷水ポンプ39がそれぞれ設けられている。
第3冷水往管31は、供給接続部P2で第2冷水往管21に接続されており、この場合は供給接続部P1と供給接続部P2とが第3冷水往管31よりも太く合流管51よりも細い準合流管51aで接続される。合流管51の口径は、熱源システム1(図1参照)と同様、冷凍機群100を構成する各冷凍機の冷水Cの定格流量を合計した流量(合計流量)からバイパス管53を流れる冷水Cの設計流量を差し引いた流量に応じて決定された口径となっている。なお、第3冷水往管31は、供給接続部P1に直接接続されていてもよい。第3抜出管33は、抜出接続部P4で第2抜出管23に接続されおり、この場合は抜出接続部P3と抜出接続部P4とが準バイパス管53aで接続される。このとき、バイパス管53、準バイパス管53a、第3抜出管33は、同一口径となっている。なお、第3抜出管33は、抜出接続部P3に直接接続されていてもよい。第3冷水還管38は、第2冷水還管28に接続されており、この場合は、共通還管58と第1冷水還管18との接続部と、第2冷水還管28と第3冷水還管38との接続部とが、共通還管58よりも細く第3冷水還管38よりも太い準共通還管58aで接続される。なお、第3冷水還管38は、共通還管58と第1冷水還管18との接続部に接続されていてもよい。
引き続き図2を参照して、熱源システム2の作用を説明する。熱源システム2では、通常、第3制御弁32が閉となっている。冷却塔42まわりの外気湿球温度が、外気熱媒水CF及び冷水Cの熱交換効率を考慮しても還冷水CRより低い温度となる場合(熱交換器83における外気熱媒水CFと冷水Cとの熱交換により冷水Cを冷却できる場合)であって、かつ第2冷凍機102を停止させていることができる場合は、冷却水ポンプ44を起動して外気熱媒水CFを冷却塔42と熱交換器83との間で循環させる。外気熱媒水CFが、冷却塔42において外気と熱交換することにより温度が低下し、熱交換器83内に導入される第3還冷水CR3を冷却できる温度になったら、第3冷水ポンプ39を起動して第3還冷水CR3を熱交換器83に導入する。
熱交換器83では往外気熱媒水CFSと第3還冷水CR3とで熱交換が行われ、往外気熱媒水CFSは温度が上昇して還外気熱媒水CFRとなり、第3還冷水CR3は温度が低下して第3往冷水CS3となる。還外気熱媒水CFRは、熱交換器83から導出されると冷却塔42に導かれ、外気と熱交換して冷却されて再び往外気熱媒水CFSとなり、熱交換器83に導入される。他方、第3往冷水CS3は、熱交換器83から導出されると、通常の第3制御弁32が閉になっている場合は第3抜出管33に流入し、第3温度センサ35で検出された温度が負荷系統99の要求する温度まで低下している場合は第3制御弁32が開にされたうえで第3抜出管33に流入するほか準合流管51aに向かって第3冷水往管31を流れる。
第3温度センサ35で検出された温度が負荷系統99の要求する温度まで低下して第3制御弁32が開になった場合、第3往冷水CS3は、準合流管51a及び合流管51並びに準バイパス管53a及びバイパス管53を、両者の流動抵抗が等しくなる流量配分で流れて往冷水CSとして1次往ヘッダ61に流入する。1次往ヘッダ61に流入した往冷水CSは、2次冷水ポンプ64により負荷系統99に供給され、負荷機器99mにおいて冷熱負荷が処理されて温度が上昇して還冷水CRとなった後に、還集合部68を介して熱交換器83に(第1冷凍機101が運転していない場合)又は第1冷凍機101と熱交換器83とに導入され、再び冷却されて往冷水CSとして導出される。他方、第3温度センサ35で検出された温度が負荷系統99の要求する温度まで低下せずに第3制御弁32が閉の場合、第3抜出管33に流入した第3往冷水CS3は、準バイパス管53a及びバイパス管53を介して連通管55に流入し、負荷系統99を経由せずに還集合部68に導入され、負荷系統99から還ってきた還冷水CRに合流する。これにより、負荷系統99から還ってきた還冷水CRの温度が低下する。温度が低下した還冷水CRは、第1冷凍機101及び熱交換器83に流入する。このとき、第1冷凍機101に導入される還冷水CRは、フリークーリング運転をしていない場合に比べて低温となるので、第1冷凍機101で処理する熱量が少なくなり、第1冷凍機101の効率を向上させることができる。なお、熱源システム2では、フリークーリング運転が行われていないときは、熱源システム1(図1参照)と同様の運転が行われる。
以上で説明したように、熱源システム2では、外気湿球温度が第3還冷水CR3を冷却可能な程度に低下したときに少なくとも1台の冷凍機を停止させて負荷系統99の冷熱処理をすることができるので省エネルギーとなる。また、第3往冷水CS3が負荷系統99の要求する温度まで低下し、負荷系統99の冷熱負荷を処理するのに足りる流量となる場合は、冷凍機群100を停止することができるのでさらなる省エネルギーとなる。他方、第3往冷水CS3が負荷系統99の要求する温度まで低下しない場合であっても、冷凍機群100に導入される還冷水CRの予冷を行うことが可能となるため、フリークーリングを実施可能な時期が従来よりも拡大することとなり、より省エネルギーに資することとなる。
以上の熱源システム2の説明では、冷水Cが外気熱媒水CFを介して間接に外気と熱交換されることとしたが、熱交換器83を省略して第3還冷水CR3を直接冷却塔42に導入して外気と直接熱交換させ、第3還冷水CR3を温度が低い第3往冷水として第3冷水往管31に導出することとしてもよい。この場合は、冷水Cの配管経路内へのゴミやスケールの侵入防止及び水質管理の観点から、冷却塔42を密閉式とすることが好ましい。
以上の説明では、説明を簡単にするために、冷凍機群100が第1冷凍機101及び第2冷凍機102の2台の冷凍機で構成されていることとして説明したが、3台以上の冷凍機が並列に配列されて冷凍機群100が構成されていてもよい。この場合、典型的には、並列に接続された冷凍機まわりのそれぞれに、開閉弁が設けられた冷水往管、逆止弁が設けられた抜出管、及び冷水ポンプが配設された冷水還管が設置されることとなる。そして、各抜出管を流れた往冷水CSがバイパス管53を介して連通管55に流入するような配管の接続関係が構築される。なお、冷凍機は複数に分割されていてもよい。これを換言すれば、冷凍機が直列に配置されている場合は、直列に配置された冷凍機全体を、冷凍機群100における1台の冷凍機と考えることとなる。
以上の説明では、第1往冷水CS1と第2往冷水CS2と(熱源システム2の場合は第3往冷水CS3も)が合流して合流管51を介して1次往ヘッダ61に流入することとしたが、合流させずに個別に1次往ヘッダ61に流入するように構成されていてもよい。冷凍機群100が3台以上の並列に配列された冷凍機を有する場合は、各冷凍機から導出された往冷水CSのそれぞれを別個に又はいくつかのグループごとに、1次往ヘッダ61に流入することとしてもよい。別個に流入させることとすると、配管抵抗が変わらない構成とすることができる。しかしながら、各往冷水CSを合流させて流す合流管51とすると、合流管51の口径を、冷凍機群100を構成する各冷凍機の冷水Cの定格流量を合計した流量(合計流量)からバイパス管53を流れる冷水Cの設計流量を差し引いた流量に応じて決定された口径とすることができ、配管重量を小さくすることができる。
以上の説明において、各制御弁12、22、32の開閉制御は、典型的には各温度センサ15、25、35で検出された値に基づいて行われるが、冷凍機特性をあらかじめ把握して、起動から冷水Cが負荷系統99側で要求される温度になるまでの時間に基づいて制御することとしてもよい。