JP2577668B2 - 空調用熱源水の水温制御装置 - Google Patents

空調用熱源水の水温制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,冷凍機で作られた冷水
を空調機に循環させる空調設備において空調機に送り込
まれる冷水温度の変動を抑制し,空調対象となる室の温
湿度の精度を向上させる水温制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クリーンルームや恒温恒湿等の水熱源空
調設備では,ある程度以上の規模のものは複数台の冷凍
機を設置し,二次側の負荷の大きさに応じて冷凍機の稼
働台数を制御する,いわゆる台数制御によって負荷に見
合うエネルギー(冷熱)を供給するのが通常である。し
かし,最近の高精度な温湿度制御を行うクリーンルーム
では,冷凍機の発停時の水温の変動が室内の温湿度制御
に影響を及ぼすことが問題視されるようになってきた。
【0003】すなわち,二次側の要求により或る冷凍機
の運転を開始する場合,この開始と同時に冷凍機を通過
した冷水が二次側(空調機側)に供給されるので,冷凍
機本体の熱容量や装置の立上り特性によって,冷凍機を
通過する水が所定の温度まで冷却されないまま二次側に
送られてしまい,二次側からの戻り水がその水温のまま
送水側に混合される結果,熱源システムにおける送水温
度の変動要因を引き起こす原因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような現象を防ぐ
ために,二次側から送水量増加の要求が起こると,並列
運転をしている他の冷凍機の冷水出口温度を低くする制
御する方法が一部では採用された。しかしこの方法で
は,常に運転を行っている冷凍機は,発停を行なう冷凍
機の数台分の容量がなければ水温を一定にコントロール
できない。また,全冷凍機容量に対する,発停対象冷凍
機の容量による水温低下率のコントロールはできないた
め,水温の変動は避けられず,ただ影響を少なくするこ
とができるにすぎなかった。
【0005】一方,冷凍機停止時においても冷水ポンプ
の残留運転が行われるので,運転開始時と同じように,
二次側からの戻り水が冷却されないまま冷凍機を通過し
て二次側に送られ,やはり冷水温度の変動を引き起こし
ていた。
【0006】本発明の目的は,このような冷凍機の台数
制御運転での冷水温度の変動を抑制し,該冷水温度を安
定させることによってクリーンルームのような空調対象
室の温湿度制御を一層精密に行えるようにすることにあ
る。
【課題を解決するための手段】本発明によれば,複数台
の冷凍機から得られる冷水を送水側ヘッダを経て空調機
群に送水し,空調機群からの戻り水をレタン側ヘッダを
経て前記冷凍機に戻すようにした空調用熱源水管路にお
いて,前記レタン側ヘッダを,空調機群からの戻り水を
受ける前段ヘッダと冷凍機に戻り水を送り出す後段ヘッ
ダに分割したうえこの前後ヘッダ間を連結管で連結し,
冷凍機から出る冷水を送水側ヘッダを迂回して前記の後
段ヘッダに送るバイパス管路を設け,冷凍機の発停動作
初期に該バイパス管路を経て当該発停冷凍機を通過した
冷水を後段ヘッダに戻す構成としたことを特徴とする空
調用熱源水の水温制御装置を提供する。
【0007】
【実施例】図1に本発明装置の実施例を示した。空調機
1(a,b,c・・) はそれが受け持つ部屋の負荷を処理する
水熱源方式のものであり,図1では熱源水として冷水を
通水する場合について示す。各空調機1では室内温度が
設定温度になるように二方弁2(a,b,c・・) の開度が制
御される。したがって空調側 (二次側) での要求負荷に
応じて空調機1を通過する水量が変化することになる。
冷水は熱源側(一次側)の複数の冷凍機3(a,b,c・・)
による台数制御運転によって製造される。各冷凍機3に
よって製造された冷水は送水側ヘッダ4に集められ,こ
の送水側ヘッダ4から各空調機1に送られる。一方,空
調機1からの戻り水はレタン側ヘッダ5,6を経て冷凍
機3に戻る。7(a,b,c・・) は一次側のポンプ群を示
す。
【0008】本発明装置の一つの特徴は, レタン側ヘッ
ダを前段ヘッダ5と後段ヘッダ6に分割した点にある。
前段ヘッダ5には各空調機1からの戻り水が集められ,
この集液が連結管8を経て後段ヘッダ6に送り込まれ,
後段ヘッダ6からは各冷凍機3に戻り水がポンプ7の駆
動台数に応じて分配される。前後ヘッダ5と6とを繋ぐ
連結管8には,流量計9と温度センサ10が取り付けられ
る。
【0009】本発明装置のいま一つの特徴は,冷凍機3
から送水ヘッダ4に通ずる一次側冷水管路11(a,b,c・
・) から後段ヘッダ6に通ずるバイパス管路12を設けた
点にある。すなわち, このバイパス管路12は各冷凍機か
ら出る冷水を送水側ヘッダ4を迂回して後段ヘッダ6に
送るためのものであり,このバイパス管路12への送水量
の調節は,各一次側冷水管路11に介装した冷水弁13(a,
b,c・・) と分岐バイパス管路に介装したバイパス弁14
(a,b,c・・) の開度制御によって行う。また,後願ヘッ
ダ6と送水ヘッダ4とを直接連結する連通管15が施設さ
れており,この連通管15に差圧弁16が設けてある。
【0010】本発明によれば,バイパス管路12への通水
量を調節することによって,冷凍機3の発停時における
冷水温度の変動を抑制することができる。この操作は温
度センサ10および流量計9の検出値に基いて演算装置18
(マイクロコンピュータ) によって自動制御される。こ
の制御操作を以下に説明する。
【0011】流量計9では二次側での要求水量の変動を
計測できる。この計測値は演算装置18に送られる。二次
側要求水量の増加(二次側負荷の増加時)を流量計9が
計測すると,演算装置18では,要求水量がその時点で運
転している冷凍機の全水量に対する設定割合(80%程度)
を越えると判断したときに,冷凍機一台を追加運転す
る信号を出す。これによって,新たに起動した冷凍機を
通過した水の温度を温度センサ17(a,b,c・・) が検出
し,この計測値が所定温度より高い場合は(冷凍機立上
り時しばらく続く), これに対応する分岐バイパス管路
のバイパス弁14が開き且つ冷水弁13が閉じて,その水は
後段ヘッダ6に直接戻される。
【0012】例えば冷凍機3a,3bが稼働中に冷凍機3cが
新たに起動した場合は,その冷水管路11cの温度センサ1
7cが設定温度より高い水温を検出したら冷水弁13cを閉
じ,バイパス弁14c開いてその水を後段ヘッダ6に戻す。
そして,温度センサ17cが設定水温にまで下がった水温
を検出すると,冷水弁13cが開き, バイパス弁14cが閉
じ,冷水は送水用ヘッダ4に送られる。
【0013】他方,流量計9が二次側要求水量の減少を
計測すると,演算装置17では,要求水量がその時点で運
転している冷凍機のうち一台停止してもよいと判断した
ときに,冷凍機一台停止の信号を出す。当該冷凍機が停
止しても,その冷水ポンプ7はしばらく残留運転を行な
う。このため,停止した冷凍機を通過する水は次第に温
度が二次側返水温度に近づく。この場合も水温の上昇を
温度センサ17が計測し設定値を超えたら冷水弁13を閉,
バイパス弁14を開にして, 温度の上がった水を二次側に
送ることなく後段ヘッダ6に返す。そして必要時間経過
後に対応するポンプ7を停止する。
【0014】このようにして,二次側での負荷の変動に
よって冷凍機3を台数制御する場合に,冷凍機の発停時
の冷水温度の変動は二次側に伝わることなく一次側で吸
収される。そのさい,温度センサ17による冷水弁13とバ
イパス弁14の開閉動作は周知の温度調節計を用いて行う
ことが便宜である。
【0015】なお,システム運転中において,二次側要
求水量が, 稼働している全冷凍機による一次側水量より
少ない場合は,送水用ヘッダ4と後段ヘッダ6との連通
管15に介装された差圧制御弁16が作動し,過剰の一次側
水量を後段ヘッダ6に戻し,余剰水量を二次側に送らな
いようにする。
【0016】また,各空調機1で処理する負荷の大きさ
に応じて冷水量を二方弁2を制御する場合に,これら二
方弁2のうち或るものは閉じ,或るものは開いていると
水量が減少するほか,戻り水温が上昇することになる。
連結管8に取り付けた温度センサ10はこの戻り水温を検
出し,戻り水温が設定値より上昇したことを検知する
と,この信号を演算装置18に送る。演算装置18はこの温
度を参照し,単純に要求水量が減っても冷凍機の運転台
数を減少させず,十分な一次側水量を確保したうえで前
記差圧制御弁16の開度調整によって,冷凍機入口水温が
設定値を越えないよう制御する。
【0017】図2は,図1の差圧制御弁16による二次側
送水量の調整方式に代えて, 二次側ポンプ群20(a,b,c,d
・・) を設けた本発明例を示したものである。すなわ
ち,図2の設備では送水側ヘッダ4に複数台の二次側ポ
ンプ20を配置し,これら二次側ポンプ20の吐出管を二次
送水ヘッダ21に連結したものであり,これら二次側ポン
プ20の稼働台数を決める台数制御回路22を設け, 演算装
置18によって判断された二次側の必要送水圧となるよう
に二次側ポンプ20の台数制御を行う。これによって,二
次側の送水必要圧力は二次側ポンプ20で賄われるので図
1の差圧制御弁16は不要となる。ただし,送水側ヘッダ
4とレタン側の後段ヘッダ6との間には連通管を設けて
おき,後段ヘッダ6から冷凍機3を迂回して送水側ヘッ
ダ4に必要に応じて送水できるようにしておく。
【0018】
【発明の効果】本発明装置によれば,熱源機器である冷
凍機の発停時における冷水温度の変動が防止される結
果, 高精度の温湿度制御が要求されるクリーンルーム等
における外乱要因が除かれるので,最近の高精度クリー
ンルームの温湿度制御に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の機器配置を示す図である。
【図2】本発明装置の他の例の機器配置を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 空調機 2 二方弁 3 冷凍機 4 送水側ヘッダ 5 前段ヘッダ 6 後段ヘッダ 7 冷水ポンプ(一次側) 8 連結管 9 流量計 10 温度センサ 12 バイパス管路 13 冷水弁 14 バイパス弁 16 差圧制御弁 17 温度センサ 18 演算装置 20 二次側ポンプ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数台の冷凍機から得られる冷水を送水
    側ヘッダを経て空調機群に送水し,空調機群からの戻り
    水をレタン側ヘッダを経て前記冷凍機に戻すようにした
    空調用熱源水管路において,前記レタン側ヘッダを,空
    調機群からの戻り水を受ける前段ヘッダと冷凍機に戻り
    水を送り出す後段ヘッダに分割したうえこの前後ヘッダ
    間を連結管で連結し,冷凍機から出る冷水を送水側ヘッ
    ダを迂回して前記の後段ヘッダに送るバイパス管路を設
    け,冷凍機の発停動作初期に該バイパス管路を経て当該
    発停冷凍機を通過した冷水を後段ヘッダに戻す構成とし
    たことを特徴とする空調用熱源水の水温制御装置。
  2. 【請求項2】 前後ヘッダ間の連結管には,流量計と温
    度センサが取り付けられ,これらの検出値を冷凍機の台
    数制御の操作信号とする請求項1に記載の空調用熱源水
    の水温制御装置。
  3. 【請求項3】 各冷凍機と送水側ヘッダとの間の管路に
    は温度センサが取り付けられ,冷凍機の発停時において
    該温度センサの検出値に基いてバイパス管路を経て当該
    発停冷凍機の冷水を後段ヘッダに戻す請求項1または2
    に記載の空調用熱源水の水温制御装置。
  4. 【請求項4】 空調機は,クリーンルーム用の空調機で
    ある請求項1,2または3に記載の水温制御装置。
  5. 【請求項5】 送水側ヘッダと後段側ヘッダとの間に
    は,これらヘッダ間を直接連通する連通管が設けられ,
    この連通管に差圧制御弁が取り付けられている請求項
    1,2,3または4に記載の空調用熱源水の水温制御装
    置。
  6. 【請求項6】 送水側ヘッダと空調機群との間の管路に
    二次側ヘッダが設けられ,送水側ヘッダと二次側ヘッダ
    との間に複数台の二次側ポンプが配置されている請求項
    1,2,3または4に記載の空調用熱源水の水温制御装
    置。
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