JP5385731B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents
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Description
本発明の第1実施形態について、具体的には、(1) ランフラットタイヤの構成、(2)補強ゴム層40に働く力、及び(3)作用・効果について説明する。
図1は、本発明の実施形態においてランフラットタイヤ1のトレッド幅方向の断面を含む一部分解斜視図である。図2は、ランフラットタイヤ1のトレッド幅方向の断面図である。なお、図1、2においては、補強ゴム層の位置を明確にするために、一部断面のハッチングを省略している。図1、図2に示すランフラットタイヤ1は、特に、空気圧が大きく低下(例えば、空気圧が0kPaに低下、或いは、パンク)した場合の耐久性に優れたランフラットタイヤである。具体的には、(1.1)ビード部、(1.2)カーカス、(1.3)ベルト層、(1.4)補強ゴム層、(1.5)高弾性補強層、(1.6)低弾性補強層について、説明する。
ランフラットタイヤ1は、少なくともビードコア10a及びビードフィラー10bを含む1対のビード部10を有している。具体的には、ビード部10を構成するビードコア10aには、スチールコードなどが用いられる。
ランフラットタイヤ1は、一方のビード部10から他方のビード部10にかけて設けられたカーカス12を備える。カーカス12は、ビードコア10aの周りでタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に折り返される。カーカス12は、カーカスコードおよびゴムからなり、ランフラットタイヤ1の骨格を形成する。
ランフラットタイヤ1は、2層の交錯ベルト層(ベルト層20a及びベルト層20b)及び少なくとも1層の追加ベルト層22を有するベルト層24を備える。
ランフラットタイヤ1は、トレッド部34とサイドウォール部38との間に形成され、トレッド部34の幅方向外側端に連なるバットレス部36を備える。具体的には、ランフラットタイヤ1は、トレッド部34のトレッド幅方向TWの両側に一対のバットレス部36を備える。ランフラットタイヤ1は、補強ゴム層40を備える。
補強ゴム層40は、高弾性補強層44と、低弾性補強層42とを備える。高弾性補強層44は、補強ゴム層40において、タイヤ径方向外側かつ、トレッド幅方向内側に設けられる。具体的には、タイヤ赤道線CLからトレッド幅方向TWに沿ったトレッド部34の端部までの長さW1を基準とし、トレッド幅方向TWにおいてタイヤ赤道線CLからトレッド部34の端部までの長さの1.2倍の長さW2に相当する位置を通り、カーカス12に対して垂直な仮想線L1を想定した場合、高弾性補強層44は、補強ゴム層40のトレッド幅方向TWの端部50から仮想線L1にかけた領域の全てに少なくとも設けられる。なお、トレッド部34の端部とは、ランフラットタイヤ1の空気圧が、JATMA標準で、荷重がJATMA最大荷重の場合において、路面と接地するトレッド部34の端部を示す。また、トレッド部34の端部が、明確で無い場合、トレッド幅方向TW及びタイヤ径方向TDに沿った断面において、トレッド部34の近似線と、バットレス部36の近似線とが交差する点をトレッド部34の端部とする。
低弾性補強層42は、サイドウォール部38に沿って設けられる。具体的には、低弾性補強層42は、トレッド部34からサイドウォール部38にかけて高弾性補強層44よりもトレッド幅方向外側かつ、タイヤ径方向内側に設けられる。低弾性補強層42は、高弾性補強層44に連なって設けられる。低弾性補強層42の弾性率は、高弾性補強層44の弾性率よりも低い。
上述したランフラットタイヤ1の空気圧が大きく低下した場合における補強ゴム層40に働く力について、図面を参照しながら説明する。図3は、ランフラットタイヤ1の空気圧が大きく低下(例えば、空気圧が0kPaに低下、或いは、パンク)した場合におけるランフラットタイヤ1の拡大断面図を示す。図4は、ランフラットタイヤ1の空気圧が大きく低下(例えば、空気圧が0kPaに低下、或いは、パンク)した場合における補強ゴム層40に働く力を示す図である。
以上説明したように、本実施形態に係るランフラットタイヤ1によれば、高弾性補強層44は、補強ゴム層40のトレッド幅方向内側の端部50から仮想線L1にかけた領域の全てに設けられる。このため、ランフラットタイヤ1の空気圧が大きく低下、又は、空気圧が0になった場合に高弾性補強層44により、補強ゴム層40に働くせん断力Fによる変形を抑制できる。これにより、トレッド部34がタイヤ径方向内側に反り返るバックリングによるトレッド部34の変形量D1を低減し、トレッド部34の接地面積の減少を抑制できる。すなわち、接地面積の減少を抑制することで、操縦安定性を向上できる。
本実施形態に係るランフラットタイヤ2の全体構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係るランフラットタイヤ2のトレッド幅方向及びタイヤ径方向の断面図である。なお、以下の第2実施形態、第3実施形態においては、他の実施形態と異なる点を主に説明し、重複する説明を省略する。
上述した第1実施形態では、高弾性補強層44のタイヤ径方向内側の端部54は、仮想線L1の近傍に位置する。これに対して、第2実施形態では、高弾性補強層44Aのタイヤ径方向内側の端部54Aは、仮想線L1よりも更にタイヤ径方向内側の基準点に位置する。具体的には、端部54Aは、トレッド幅方向TW及びタイヤ径方向TDに沿った断面の内郭線L2上において、カーカス12の曲率半径の曲率最小位置58から内郭線L2の長さSの1/4の長さ分だけタイヤ径方向内側を基準点として、当該基準点に位置する。
高弾性補強層44Aのタイヤ径方向内側の端部54Aは、カーカス12の曲率半径の曲率最小位置58から内郭線L2の長さSの1/4の長さ分だけタイヤ径方向内側に位置する。このため、高弾性補強層44Aは、インナーライナー18の屈曲部を覆うこととなる。これにより、ランフラットタイヤの空気圧が大きく低下(例えば、空気圧が0kPaに低下、或いは、パンク)した場合に、タイヤ径方向TDに沿った補強ゴム層40に働く圧縮力による変形と、補強ゴム層40に働くせん断力Fによる変形とを抑制できる。従って、トレッド部34がタイヤ径方向内側に反り返るバックリングによるトレッド部34の変形量を更に低減し、トレッド部34の接地面積の減少を更に抑制できる。
(1)高弾性補強層の詳細構成
本実施形態に係るランフラットタイヤ3の全体構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係るランフラットタイヤ3のトレッド幅方向及びタイヤ径方向の断面図である。
上述した第2実施形態では、トレッド幅方向TW及びタイヤ径方向TDに沿った断面において、高弾性補強層44Aの面積は、低弾性補強層42Aの面積よりも小さい。これに対して、第3実施形態では、トレッド幅方向TW及びタイヤ径方向TDに沿った断面において、高弾性補強層44Bの面積は、低弾性補強層42Bの面積よりも大きい。具体的には、低弾性補強層42Bのタイヤ径方向外側の端部56Bは、仮想線L1よりもタイヤ径方向内側に位置する。その他の特徴は、第2実施形態と重複するため、説明を省略する。
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、(1)評価方法、(2)評価結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
3種類のランフラットタイヤを用いて、(1.1)操縦安定性能評価、(1.2)接地面積評価、(1.3)耐久性能評価、及び(1.4)乗り心地性能評価を行った。ランフラットタイヤに関するデータは、各評価方法で規定する場合を除き、以下に示す条件において測定された。
・ リムサイズ : 7.5J×17
・ 空気圧条件 : 0kPa
・ 試験車種 : 自動四輪車
・ 荷重条件 : 4.52kN
各ランフラットタイヤは、補強ゴム層の構成が異なっており、それ以外の構成は、本実施形態のランフラットタイヤ1と同様である。高弾性補強層の弾性率は、低弾性補強層の弾性率を1.0とした比率で示す。
評価方法;各ランフラットタイヤをリムに装着し、空気圧条件を設定後、速度80km/hの定速走行から100mの走行距離でレーンチェンジをした際のハンドル蛇角を測定した。なお、比較例1に係るランフラットタイヤのハンドル蛇角を100として、その他のランフラットタイヤの測定結果を指数表示した。指数の値が小さい程、ハンドル蛇角が小さく、操縦安定性に優れていることを示す。
評価方法;各ランフラットタイヤのトレッド表面に転写しやすい塗料(例えば、墨等)を塗り、空気圧条件を設定後、当該塗料が転写される紙の上で、荷重を加えた。紙に転写されたトレッドの接地面積を測定し、指数化した。なお、比較例1に係るランフラットタイヤの接地面積を100として、その他のランフラットタイヤの測定結果を指数標示した。指数の数値が大きいほど、接地面積が大きいことを示す。
評価方法;各ランフラットタイヤを試験ドラムに装着し、速度80km/hで走行し、故障が発生するまでの距離を測定した。なお、比較例1に係るランフラットタイヤの耐久性能を100として、その他のランフラットタイヤの測定結果を指数標示した。指数の数値が大きいほど、耐久性能が優れていることを示す。
評価方法;各ランフラットタイヤを車両に装着し、テストコースを走行することで、テストドライバーによるフィーリング評価をした。具体的には、2名乗車、空気圧条件230kPa、速度40〜120km/hで周回路を走行した。なお、評価は、10段階評点で比較した。数値が大きいほど、乗り心地が優れていることを示す。なお、6点より高い数値であれば、実車レベルとしては、問題がない。
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
Claims (4)
- 少なくともビードコアを含む一対のビード部と、
一方の前記ビード部から他方の前記ビード部にかけて設けられたカーカスと、
トレッド部から、前記トレッド部に連なるサイドウォール部にかけて設けられ、トレッド幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面形状が三日月状である補強ゴム層と、
を備えるランフラットタイヤであって、
前記補強ゴム層は、
タイヤ径方向外側に設けられる高弾性補強層と、
前記高弾性補強層よりも弾性率の低い低弾性補強層とを備え、
タイヤ赤道線からトレッド幅方向に沿った前記トレッド部の端部までの長さを基準とし、トレッド幅方向において前記タイヤ赤道線から前記トレッド部の端部までの長さの1.2倍の長さに相当する位置を通り、前記カーカスに対して垂直な仮想線を想定した場合、前記高弾性補強層は、前記補強ゴム層のトレッド幅方向内側の端部から前記仮想線にかけた領域の全てに設けられており、
前記低弾性補強層は、前記トレッド部から前記サイドウォール部にかけて前記高弾性補強層よりもトレッド幅方向外側かつ、タイヤ径方向内側に設けられるランフラットタイヤ。 - 少なくともビードコアを含む一対のビード部と、
一方の前記ビード部から他方の前記ビード部にかけて設けられたカーカスと、
トレッド部から、前記トレッド部に連なるサイドウォール部にかけて設けられ、トレッド幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面形状が三日月状である補強ゴム層と、
を備えるランフラットタイヤであって、
前記補強ゴム層は、
タイヤ径方向外側に設けられる高弾性補強層と、
前記高弾性補強層よりも弾性率の低い低弾性補強層とを備え、
タイヤ赤道線からトレッド幅方向に沿った前記トレッド部の端部までの長さを基準とし、トレッド幅方向において前記タイヤ赤道線から前記トレッド部の端部までの長さの1.2倍の長さに相当する位置を通り、前記カーカスに対して垂直な仮想線を想定した場合、前記高弾性補強層は、前記補強ゴム層のトレッド幅方向内側の端部から前記仮想線にかけた領域の全てに設けられており、
トレッド幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面において、
前記補強ゴム層は、前記補強ゴム層のトレッド幅方向内側の端部からタイヤ径方向内側の端部にかけて、前記補強ゴム層の形状に沿った内郭線を含み、
前記内郭線上において、前記カーカスの曲率半径の最小位置から前記内郭線の長さの1/4の長さ分だけタイヤ径方向内側に位置する点を基準点として、前記高弾性補強層のタイヤ径方向内側の端部は、前記基準点よりもタイヤ径方向内側に位置するランフラットタイヤ。 - 前記高弾性補強層のゴム硬度は、前記低弾性補強層のゴム硬度よりも大きい請求項1又は2に記載のランフラットタイヤ。
- 前記高弾性補強層の弾性率は、前記低弾性補強層の弾性率の1.1倍〜7.0倍である請求項1乃至3の何れか一項に記載のランフラットタイヤ。
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